昔の茨城弁集
昭和35年〜45年頃の茨城弁集
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◆印:『土浦の方言・続土浦の方言』掲載語。■印:『土浦市史・民族編』掲載語。▲印:『茨城方言集覧』掲載語。印:新編常陸国誌掲載語。印:茨城方言民俗語辞典掲載語。印:茨城弁今昔掲載語。印:物類称呼掲載語。●印:『国立国語研究所・日本語情報資料館・電子資料館・日本言語地図・方言文法全国地図』掲載語。▼印:日本方言大辞典掲載語。印:日本方言辞典掲載語。浪花聞書掲載語。印:俚言集覧掲載語。★印:使用例とその標準語訳。黒太文字:標準語。
茨城弁 標準語訳 備考・解説・使用例
(むい) 無理 鹿児島。
(むい) 沖縄。
むいがら
むいから
麦わら 『麦殻・麦柄』の意味。
むいから:埼玉・東京多摩・神奈川・山梨・静岡・愛知・岐阜。
むいからぼーし:麦藁帽子:神奈川。
むいからやね:麦藁で葺いた屋根:神奈川。
むんがらちゃっぷ:麦わら帽子:宮城。
(むいなか・むいね) 【形】惨たらしい 鹿児島。
むいむい 糸を紡ぐ道具、糸車、糸繰り車、座繰り 当時はどこの家にもあった。カタツムリに似ているので『マイマイ』が訛ったと考えられる。
よこどり:神奈川。
むいる
むえる
【動】燃える むえる:植える:佐渡島。『植えて萌える』意味か。
むゆる:鹿児島。
むいんぼどげ
むえんぼとけ
無縁仏 無縁仏とは、かつて餓鬼とか外精霊と言われ、祭ってくれる子孫を持たない仏のことを指す。無縁仏はこの世に害を及ぼすという俗信があり、当時のお盆では先祖同様に祭った。無縁仏はこれから増えることはありえないもので、江戸時代の落ち武者等の死骸を葬ったものが大半と思われる。無縁仏は寺が祭る場合と、死者が発見された所有者が祭っているものがある。その多くは灯篭状の形をしている。
昭和40年前後に手野の台地の耕地整理が行なわれ、それにともなって、狭隘な道路の拡張工事が行なわれた。我が裏山の近くに山道に近い市道があってそこを拡張することになった。そこの斜面は、以前から人の骨が埋まってるとか骨が出たとかいう場所だったが、整地してみると数体の人骨が出て来たと聞いた。子供達はその斜面に生えたチガヤを食べていたので、その後はあまり近づかなかった。
 その時の遺骨がどのように葬られたかは私の記憶にもなく恐らく公的な記録にも残っていないと思われるが、まさにそのようなお骨に対して、関係者が自腹を切って葬ったのが現代風の無縁仏だろうと思う。
我が家の寺は、時宗の流れを受けた『空禅寺』という寺で土浦市内では唯一の時宗の寺である。当時は、蚊に食われるところだったが、今では樹木がことごとく伐採され、蚊も住み様がない環境になった。それでも空禅寺の境内に入ると右側に無縁仏の墓が祭ってある。市内でもかなり大規模な無縁仏とされている。
また、我が家の墓にも文字の読める墓石が並んだ後ろに、一回り小さい無縁仏の列が並んでいる。十体前後はあるだろう。
当時は、この無縁仏にも線香を上げたが、今では、その歴史的経緯も忘れ去られ、ただの石でしかなくなっている。
むえんさん:無縁仏・子供で死んだ場合の霊・未婚で死んだ場合の霊:神奈川。
(むうつ) 【副】全く、毛頭 鹿児島。
むがー @【形動】向こう、A【動】向う @旧仮名使いの『むかふ』が濁音化したと思われる。『集覧:久』。 
むがい
むがい
むがいか
むがいかー
むがいっか
むがいっかー
向こう側
むがいかだ
むがいつら
むがいばだ
むがいっかだ
むがいっつら
むがいっ
むがいっ
向こう側、向こうの端、向うの方
むがいちょーぢん
むがいちょーちん
盆の13日の夕方に使う提灯 『迎え提灯』。
むがいづぎ 生まれた月、満1年目の月 『迎え月』『周期月(むかわりつき)』。
むかいづき:神奈川。
むかえづき:山形・神奈川・鹿児島。
むかえつき:鹿児島。
むかえどき:神奈川。
むかり:神奈川。
むかわり:神奈川。
むがいと 迎え人
むがいび (お盆の)迎え火
むがいぼん 迎え盆、盆の13日 行きは提灯を付けず迎えに行く。古くは墓まで行ったと聞くが、その当時すでに村境あたりで引き返すようになっていた。村境まで行くとそこで火を焚き線香に火を付ける。また仏様を家まで案内する帰りは提灯に火を灯す。帰りは、主要な個所に線香を立て(置き)道案内をする。
家に付くと用意してある塩とバケツの水で清め、提灯は軒先にぶら下げ、玄関ではなく縁側から上がるのが慣わしである。その方法は今も変わっていない。
むがさる 【動】向かう むがさり:結婚式・花嫁:山形。
むかさり::結婚式:宮城・山形・福島・長野・山梨。
むがさる:嫁に行く:宮城・山形・福島。
むかさる:嫁に行く:宮城・山形・福島・長野。
むかーさる:嫁に行く:山梨・静岡。
むかる:嫁に行く:鹿児島。
むけれる:嫁に行く:鹿児島。
むがし
むがーし
むがしむがし
むがーしむがし
むがしんごった:昔の事だ。
むがしくせ 昔気質
むがしくさい
むがしくせー
【形】古い、古臭い 東北系の訛。
むかしくさい:青森。
むがしのひと @考えの古い人、老人、A死んだ人 『昔人』。
@・むがすびと:宮城。
むがぜ
むかぜ
むがぜめ
ムカデ 『集覧:多』。単なる訛りか。
むかぜ:群馬・神奈川・山梨・鹿児島。
むがづぐ
むがつく
【動】むかつく 濁音化。
むがづぐ:山形。
むがっづら
むかづら
むがっつら
@向かい合う相手の顔、顔、A敵 『向こう面』の転。
@・むがつら:青森・秋田・山形。
むがっつらたづ:腹が立つ。
むがっ
むかっ
むかばら、わけもなく腹をたてること 『向腹、向かっ腹』。県下では他に『むっくらばら』(新治郡)、名詞形の『むっかばらたち』(県下広域)がある。
むかっ:東京・静岡。
むかっらたてる:短気を起こす:山梨。
むかっらをおったける:怒る・腹を立てる:神奈川。
むがで
むがでめ
ムカデ むかじ:八丈島・静岡。
むかじめ:八丈島。
むじー 【形動】無我夢中 『あむじー』
むがりつき
むがれづぎ
むがれつき
△▽むかれつき
むかれどき
むがんづぎ
むがんづき
むかんづき
生まれた月、満1年目の月 『迎え月』の意味。『ころばせもぢ』の儀式を行なう。『集覧:真』。 古語では『周期:むかはり:むかわること。一ヵ年または一ヵ月がめぐって来ること。』。満一年に当たる月は『周期月:むかわりつき』と言う。『源氏物語』『狭衣物語』の『むかはり』は『巡り来る』の意味と言う。
むかいづき:神奈川。
むかえづき:神奈川。
むかえどき:神奈川。
むかり:神奈川。
むかわり:神奈川。
むかわり:一周忌:長野・京都・奈良・和歌山・兵庫・岡山・大分。
むかれつき:宮城・福島・茨城。
むかれどき:青森・岩手・秋田・宮城・山形・福島・茨城・山梨・熊本。
むかわり:一周忌:近畿・中国・四国。本来は『周期弔い:むかわりとむらい』。
むがわりづぎ:山形。
むかん 考えのあさいこと 『無考え』。
むぎ @事の状態、ものの状態、作物の状態、天気の状態、ある傾向の状態またはその状態にある人、A方向、B相応しいこと 『向き』の意味。標準語の『向き』は広辞苑に『ある傾向・関心・用向き・性質などを持っていること。また、その人。』とある。
@・むぎ:青森。
むき:本性・得意・上手:静岡。
いいむぎだごと:良い天気ですこと。
きたむぎいいな:着心地が良いな。
むぎ
むき
一徹者、本気になること、簡単に腹を立てる人 『向き』。『集覧:稲・西』。標準語では『むきになる』しか使われず、名詞形を単独で使うことは無い。
むぎ (その)際 標準語の『向き』は広辞苑に『ある傾向・関心・用向き・性質などを持っていること。また、その人。』とある。
むき:東京多摩。
むき 阿る(おもねる)人 『侫人』。『集覧:稲・西』。
あら
やら
あらぼーし
麦藁帽子 むんからちゃっ:宮城。
むぎいー 【形】(作物などが)元気が良い 『向き』が『良い』。
ぎが 麦こがし。麦炒粉(ムギイリコ)。はったい。香煎(コウセン)。炒粉。 『麦菓子』の意味。何故か辞書には無いが広く麦を使った菓子を言う。
△▽から 麦わら 『麦殻・麦柄』の意味。
から:福島・千葉・山梨・三重・長崎。
っから:静岡。
むんから:宮城。
むぎわりー 【形】(作物などが)元気が無い 『向き』が『悪い』。
むぎけーし 刈り取って畑に並べて干してある麦の上下を返す作業
こめ うどん粉 『集覧:久』。『麦粉』+『め』。
っかす ふすま 『麦粕』。これを加工したのはいわゆるウェハース。
むぎげーる
むぎーる
【動】@脱皮する、A振り返る
こうせん 麦焦がし 『麦香煎』。『はったい』とも言う。
ごはん 麦(大麦)を混ぜたご飯
ざく
ざくきり
ざっきり
っつぁぐ
麦畑の中耕。 『麦さく』『麦さく切り』の意味。『さく』は広辞苑にも掲載され『鍬(クワ)でうちかえした、畑の溝。畦(ウネ)。さくり。』とある。
すくぼ 麦の実の殻 『麦すくも』。
ついたぢ 6月1日、衣替え その年とれた麦でうどんを作りカヤの箸を添え、神棚の出雲の権現様に供える。ヘビの皮がむける日と言われる。
むぎっ むかばら、わけもなく腹をたてること 『向腹、向かっ腹』の転。『向き』には単独で『本気になること、簡単に腹を立てる人』意味があるので『向き腹』の意味とも言える。
麦の穂
むぎっ
むぎっ
むきぼー
むきになる人 『むきになる人』。『向き』には単独で『本気になること、簡単に腹を立てる人』意味がある。
むぎっちょ:青森。
むぎっ:栃木。
むぎどー
むきどー
考え方や行動がでたらめで、一定の方向のないこと。非常識なこと。 『無軌道』。
むきどー:静岡。
むぎどもねー
むきともねー
【形】@とてつもない、A手荒い、B不相応だ、C普通ではない 『向き』には単独で『本気になること、簡単に腹を立てる人』意味がある。『向きともな・し』の意味。
むぎなし 【形動】乱暴なこと 『向き』には単独で『本気になること、簡単に腹を立てる人』意味がある。『向きな・し』の意味。
むぎなり
むきなり
【副】@あまりに勢い良く、Aいきなり、B傾向に合わせて 『向き』には単独で『本気になること、簡単に腹を立てる人』意味がある。『向き成り』の意味。
のつきみ @十五夜、A十三夜
のはなみ 4月10日に老人達が鉦をつきながら虫送りをする行事 『麦の花見』。
のふた 麦に関わる行事 県下には@麦が出る頃の行事、A2月23日の行事、B2月15日の行事。麦の豊作祈願の行事 がある。
はん 麦飯 かで:岩手。
ぶい 麦の茎で作り、笛のように吹き鳴らすもの。むぎわらぶえ。 『麦笛』。
ぶぢ 麦の脱穀
むぎぶぢだい
むぎぶちだい
麦を脱穀する台 むぎぶちだい:神奈川。
ぶぢぼー 麦を脱穀する棒 唐竿の一種。
むぎぶちぼー:八丈島。
まぎどり
□△まきどり
セキレイ 『称呼』には『遠江及上総常陸にて麦まき鳥と云。』とある。標準語でムギマキとはヒタキ・コツバメを指す。
まきどり:千葉・神奈川・静岡・愛知。
まぎぼだもぢ 麦撒きが終わった時に作るぼた餅
むぎみや アサリ売り 『剥き身屋』の意味。
むぎみや
@綿入れの筒袖、A三角形の袖 むきみや:三角形の袖・巻き袖・巻き袖の衣類:神奈川。
むきみやそで:三角形の袖・巻き袖:神奈川。
むぎみやつっ 綿入れの筒袖 『剥き身屋筒っぽ』の意味。
むぎみやはんてん
むきみやばんてん
@綿入れの筒袖、A三角形の袖 『剥き身屋半纏』の意味。
むきみやばんてん:巻き袖の半纏。
むぎふむぎ 得意不得意 濁音化。『向き不向き』。
むぎむぎ 【形動】思い思いに、【名】向き不向き、得意不得意 『向き向き』の濁音化。
広辞苑によると『各々好みによってその向きを異にすること。それぞれ。思い思い。万九「遠つ国黄泉(ヨミ)の界(サカイ)にはふ蔦の各(オノ)が―天雲の別れし行けば」。「好みには―がある」』とあり、古い言葉。
むきむき:山梨・静岡。
◎むめし 麦(大麦)を混ぜたご飯
むぎもない
むぎもねー
むきもねー
【形】@とてつもない、A手荒い、B不相応だ、C普通ではない、D傾向が無い @ABCの意味の『むきもない』は標準語の俗語として一部で使われているようである。『向き』には単独で『本気になること、簡単に腹を立てる人』意味がある。『向きもな・し』の意味。良し悪しに関わらず使われる。
C・ぶんきもねえ・ぶんきゃあねえ:山梨。
Dは現代語でも使われる『向きも無い』。
むぎもなぐ
むぎもなく
むぎなぐ
【副】@とてつもなく、A手荒に、B不相応に、C普通でなく、D傾向が無く 現代標準語の『向きもなく』は『その様子も無い』の意味。標準語に無いのが不思議な位の表現力ある訛。ただし、俗語としては一部で使われているようである。『向き』には単独で『本気になること、簡単に腹を立てる人』意味がある。『向きもな・し』の意味。
Dは現代語でも使われる『向きも無く』。
たんぼにざっそーむぎもなくはいちゃった:田んぼに雑草がとてつもなく生えちゃった。
やらぼーし 麦藁帽子
麦茶 『麦湯』。やや古い標準語。
(むぎょーた) 麦を栽培する乾田 静岡。『麦小田』の意味か。
【動】ねじり取る 『もぎる』。
れる 【動】ねじれて取れる 『もぎれる』。
わらてんのーさま 藁を直径30センチ程度に束ね、それに2本の竹を十文字に通して作った神輿 子供が、祇園祭りの真似事をする時に使うもの。私は、散々それで遊んだ。
わら
わらどんば
シオカラトンボの雌
わらとんぼ シオカラトンボの雌 『麦藁蜻蛉』。
わらぼっち @桟俵、A麦の稲叢
むぎわりー 【形】(作物などが)元気が無い
わりごはん 麦を混ぜたご飯
わりめし 麦(大麦)を混ぜたご飯 当時は、麦割り飯が経済的な理由で当たり前だったが、次第に大麦の栽培が商品価値の高い野菜や果物にとって変わり、収入も安定して無くなって行く。今でも覚えているが独特のいやな匂いがした。今、健康食として見直されているのが皮肉だ。
むぐ 【動】@剥く、A向く、B時間が経つ、C(服を)脱ぐ Bは標準語の『向く』の意味拡大。
むぐ 木魚 『もぐょ』。
むぐぐに
むぐくに
むぐぐり
【副】無理に 『無理』+『無窮(むぐう)』(きわまりないこと、無限)と推測しているが、定かではない。むしろ『惨い・酷い』(ひどい。甚だしい。)が訛った可能性が高い。=『むりぐり』
長塚節の『土』には、次の会話部文がある。俺(お)らこんで體格(なり)はちっちえ強(つを)かったな、俺(お)らな無垢(むく)に強(つえ)えのだから、いや本當(ほんたう)だよ
むぐ 木蓮
むぐじる
□△▽むくじる
【動】剥く、剥ぐ、捲る 『剥きくじる』意味か。
むくじりだす:剥き出す:山梨。
むくじる:宮城・埼玉・神奈川・山梨。
むくじれる:ひねくれる:神奈川。
【動】漏らす 『むらす』
30年代の言葉。東北系の訛。
『むる』には潜る意味があり、網の目などを潜り抜ける場合に使われるので、『むる』の他動詞形と考えられる。
:秋田・山形・宮城・福島。
:くすぐる:埼玉・群馬。
:おだてる:群馬。
:漏らす・大小便が漏りそうになる:宮城・山形・福島。
むくずり 男子の袴の一種 『裁着袴』(たっつけばかま)。『集覧:久』。 
たい
ったい
ってー
てー
【形】くすぐったい ったい:栃木・埼玉・群馬。
ももっちー:山梨。
むくちゃがむくちゃが 【副】むくむく、もくもく
ちょ
◆■っちょ
カイツブリ、カイツムリ っちょ:群馬。
むぐっと 【副】むくりと、むっくりと
むぐに
むぐり
【副】一心に 『無垢に』の意味か。
むぐむぐ 【副】@多く重なり合って生えたさま。もくもく、A厚くふくらんださま。肥えたさま。Bうごめくさま。C雲や煙などが盛んにわきでるさま。もくもく。D起き上がるさま、むくりと 『むくむく』。
(むくめ) 木目 静岡。
◆● モグラ 茨城でモグラを『むら』と言い、多くの人が方言だと思っているが、実は由緒ある言葉である。
:群馬・神奈川。
むぐらおぎ むっくり起き上がること
らが 【複】モグラが土を盛り上げる 『モグラが盛る』の意味。
らもぢ
らもち
モグラ 『土竜』。
広辞苑には『広くは哺乳綱モグラ目(食虫類)、またそのうちモグラ科の総称。十数属約三○種を含み、わが国には四属六種がいる。代表的な種は東日本ではアズマモグラ、西日本ではコウベモグラで、前者は頭胴長一○〜一六センチメートル余り。後者はそれよりはやや大きい。毛色は黒褐色。手は外を向いて、手のひらは大きく、頑丈。眼は退化している。地中にトンネルを作り、ミミズや昆虫の幼虫を食べ、土を隆起させ、農作物に害を与える。ら。うら。もらもち。うろもち。田鼠(デンソ)。』とある。茨城弁が、現代語の古形をよく残している言葉の典型例。『集覧:猿』。
『称呼』によると江戸時代の代表語は『うろもち』だったことが解る。『ろもち:京にてろもち、東武にてらもち、西国にてもぐら、中国にてろもち、四国にてらもち、遠江にてらもち、大和及伊賀伊勢にてろもち、越後にて土龍(どりゅう)といふ。』とあり現代標準語は江戸時代の西国言葉が採用されたことになる。
『新撰字鏡』には『むくろもち』があるが辞書には無い。
『本草啓蒙』には『らう(江戸・水戸)、らもち(薩摩・備後・仙台)、むくこ(出雲)、むくろもち(加賀・越中)、むぐろ(出雲・佐渡)、ろもち(備前)、(三河・周防)、らもち(豊後)、(筑前)、もくろ(出雲)、(阿波・大和・伊賀・伊勢)、らもち(美濃)、らもち(四国)、をんろもち(讃岐)、いくらもち(遠江)、どりう(近江・越後)。』とある。
土龍以外は全て元の言葉が一つだったと考えられる珍しい例である。
◎む @もぐり、もぐること、Aカイツブリ 古い標準語。茨城弁が、現代語の古形をよく残している言葉の典型例。
り) 静岡。
広辞苑に『畝・畦』(@畑に作物を植えつけるため、間隔をおいて土を高く盛り上げ、筋をなした所。A山脈・波などの小高く連なったところ。)とある。@Aのいずれを指しているかは不明。
現代では@しか使われないが、Aの存在は『尾根』と『うね』は同源であることを示していると考えられる。
むくりかいし
むぐりけーし
むぐりーし
繰り返し 県南部方言。『めくり返し』の意味。『むくる』は『捲る(めくる)』の古形。
むぐりかいす 【動】繰り返す 県南部方言。
むぐりむぐり 【副】@多く重なり合って生えたさま。もくもく、A厚くふくらんださま。肥えたさま。Bうごめくさま。C雲や煙などが盛んにわきでるさま。もくもく。D起き上がるさま、むくりと 『むくりむくり』。
◆■△▽ 【動】@(水)に潜る、(布団に)はいる(潜る)、Aくぐる 中世で使われた言葉。関東語とされる。
@・:山形・宮城・福島・群馬・神奈川・静岡。
:沈む:静岡。
もく:山形。
ふとんにむってろ:布団にもぐってろ。
A・:山形。
もく:山形。
とんねるをむ:トンネルをくぐる。
★『土』:そんでも四斗樽(とだる)の太(ふて)え箍(た)ん處(ところ)むった時(とき)や、夜(よる)横(よこ)に成(な)って見(み)たって直(ぢき)耳(みゝ)の側(そば)でさら/\っとかう水(みづ)が動(う)いてんだから、放心(うっかり)眠(ねむ)ったらそっくり持(も)ってかれっかどうだか分(わか)んねえと思(おも)ってね、ぼっちりともはあ云(ゆ)はんねえで居(ゐ)たのせえ。
Bその他。
:漏る:山形・宮城。
:漏らす:福島。
もく:山形。
むぐる
□△☆むくる
【動】@めくる、A剥がす、Bむくれる @茨城弁が、現代語の古形をよく残している言葉の典型例。『むくる』は『捲る(めくる)』の古形。
むぐる:山形。
むくる:岩手・秋田・宮城・群馬・山梨・静岡。
ふとんむって、ながにむ:布団をめくって中に潜りなさい。
A・むくる:東京・静岡。
C・むくる:巻き上げる:静岡。
(むくるな・むくろな) 【形】無理な、手荒な 鹿児島。
むぐれがいる
むぐれかいる
むぐれーる
【動】むくれる、腹をたててぷんぷんする 『剥れ返る』意味。
むくれっけーる:群馬。
むぐれつら
むぐれっつら
膨れっ面 『剥れ面』の意味。
むぐれる
△むくれる
【動】@むくれる、腹をたててぷんぷんする、A皮がむける、剥がれる、めくれる 『剥れる(むくれる)』なら標準語。
@・むぐれる:宮城。
むくれる:東京・山梨・静岡。
Aの意味は死語。
むぐれる:宮城・山形。
むぐれる:ひっくり返る:山形。
むくれる:岩手・山形。
むぐれん
むぐれん
むくれん
モクレン 『俚言』『むくれん』があるがモクレンを指していると思われる。
むくれん:東京。
むぐれんじ ムクロジ、モクレン 『無患子』。
▲●
ろめ
モグラ 『集覧:多』。
(むくろじ) ムクロジの核に孔をうがち、彩色した鳥の小羽を数枚さしこんだもの。羽子板でこれをついて遊ぶ。はね。つくばね。おいばね。 静岡。『羽子』。作る材料がものの名称になったもの。
ろぶぢ 藁鉄砲 『モグラ打ち』の意味。
むげー
むけー
むけぇー
@▲向かい、A迎え 『集覧:多』。
@・むげ:青森・宮城。
むけー:神奈川。江戸言葉。
A・むけー:神奈川。江戸言葉。
【形】惨い :神奈川・長野。
:可愛そうだ:長野。惨いのを哀れんでいる意味で哀れむ人の心を表しているのだろう。
むげー
むげー
むげーか
むげーかー
向かい側 岩井市では『むげーと言う。
むげー
むげーかし
むげーっかし
向かい側、向こうの端
むげーかだ
むげっかだ
むげーっかだ
向かい側、向こうの方
むげ
むけ
抜け殻 『剥け殻』の意味。清音なら標準語と言いたいが、なぜかそうは言わない。
むけ:岩手・宮城。
ひびのむげせーふにいれでっとかねもーがんだど:蛇の抜け殻を財布に入れて置くとお金が儲かるんだって。
(むちなし) 【形】惨い 近世の東国語。『むげない』。この言葉が何故消えてしまったのかは解らない。
むげついたぢ
むげのついたぢ
6月1日、衣替え 『剥節供』(むけぜっく)のことで東日本の風習。
6月1日は仏教にまつわる剥け日でその日の早朝、桑畑に行くと自分の剥け殻(剥けた殻)に会うので行ってはならないとされた。転じて衣替えの意味もある。辞書にも『蛇または人が皮を脱ぐ日だから桑畑に行ってはならぬなどという。』とある。
県下の他地域では、逆に桑の木で逆さになるとよく剥けるとか、桑の木の下で股から覗くと剥けた皮がよく見える等の言い伝えがある。
県下にはこの他『むげつついだぢ・むけのついたち』がある。また、この日小麦で作った『むげい』(剥け粥か?)や『むげだんご』(小麦のだんご)『むげまんじー』(小麦の饅頭)を食べたりする地域がある。
むげっと
むげーと
迎え人 むげっと:青森。
ねー
もねー
【形】一途である。かたくなである。また、思いやりがない。冷酷である。 『むげない』
現代では『むげもない』と言うが、辞書には無い。
むげーび
むけーび
迎え火
(むけめ) 出迎え 鹿児島。
(むける) 【動】卵が孵る 長野。
そのまま『剥ける』意味とも思われるが、『剥き孵る』意味とも考えられる。
むご 婿 むご:青森。
(むご・むっそん) 鹿児島。
むご
むごー
向こう むけん:山梨。
むごいじり
むこいじり
婿苛め 『いじり』は死語となった標準語。
むご
むごー
むごか
むごーか
むごーかー
向こう側 2002年に惜しくも廃止になった川崎の『向丘遊園(むこうがおかゆうえん)』がある。開園当初の地名である『むかおかむら、むかいがおかむら』に由来すると言われる。
むごー
むごーかし
むごっかし
対岸、向こう側 標準語では『向う河岸』に当たる。
むこっかし:東京。
(むこくに) 【副】無理やり、強いて、前後を考えず 神奈川。
『無極(むごく):この上もないこと。無上至極。』か。
むごさま 婿、お婿様 むこんどん:静岡。
むごーずね 脛の前面。むかはぎ。 『向う脛』の濁音化。
(むこったい) 【形】惨い 静岡。『惨体』の意味か。
むごーば
むこーば
対岸、向こう側 『ば』は『端』。
むごーはる 【動】対向する 『向こうを張る』。
むこーをはる:群馬。
むごっか
むごっかー
向こう側 むこっかわ:群馬。
むごっかし 対岸、向こうの端 標準語では、『向う河岸』に当たる。
むこっかし:群馬。
むごっかだ 向こうの方
むごっき 気が強いこと 『向こう気・向こう意気・向こうっ気』。
ったらしい 【形】惨たらしい、酷い むこったい:静岡。
むごっつら
むごーっつら
向こうの面
むごっ
むごっ
向うの端 むこっ:群馬。
むこっ:群馬。
むごながし 婿いじめ
むごーまい
むごーめー
向い合うこと、向い合う関係にあること 『向う前』。
むこーめー:神奈川。
むごら
むごーら
あのあたり、来年
・むらしい 【形】残酷な様 『惨らしい、酷らしい』。古い標準語。茨城弁が、現代語の古形をよく残している言葉の典型例。
▲△☆むさい 【形】@不潔で不快である、きたならしい、むさくるしい、Aむさぼり欲する心が強い、卑しい、下品である 『集覧:多』。
古い標準語だが死語。ところが最近この言葉が都内の若い人達の間で流行り始めているという。このような古い言葉は決って漢字が当てられていない。古語では『むさし』
『武者(むさ)』や『貪る(むさぼる)』『むさくるしい』との関係を思わせる言葉。『むさ』『むしゃ』『むちゃ』がつく言葉は、『汚い・卑しい・乱暴・無謀・粗末・浪費』等の意味を伴い、いずれもあまり良い意味の言葉はなく、『おぞい』と同じく物の嫌悪感を示す言葉と考えられる。
映画『トランスフォーマーリベンジ』の字幕でも使われている。
@・ごむさい:汚い:長野。
むさい:青森・宮城・山形・福島・佐渡島・長野・愛知・兵庫・徳島・高知。
むへ:秋田。
むさい 【形】長持ちする、食べ物の減り方が遅いこと 広域方言。
『香取』には『沢山』の意味で掲載されている。『無際』の意味か。
『方言学概論』には『むすい・むそい・むせい・むっさえ等とも。』とある。
むさい:東北全県・茨城・千葉・栃木・群馬・新潟・石川・広島・山口・徳島・愛知。
むさくさ 【副】むしゃくしゃ 標準語だが死語。『むさむさ』とも言う。
現代では『むしゃくしゃ』と言う。
むさくさ:埼玉。
むさくらしー
むさくるしい
むさっくるしー
【形】ごちゃごちゃときたならしい。だらしなく不潔である。 古くは『むさくろしい。』とも言ったとされる。
本来は『むさくるわしい』だったのだろう。すなわち、『むさく狂わしい』なのだろう。『狂わしい』(心が狂ってしまいそうな気持である。感情が激して異常な状態に陥りそうになるさま。)は『くるおしい』とも言う。
訛った『むさくらしい』は、西日本でも使う地域がある。
むざげる 【動】@むしり裂ける、Aふざける 語源を追うと、訳が解からなくなる言葉。
むさっ 無謀な人 『集覧:新』。
@無茶坊主、A無算坊主、B無作法、C古い標準語の『むさい』の流れで『むさい坊』、D武者(むしゃ)坊主 等が考えられる。『武者(むしゃ)坊主』の意味か?。標準語では『無鉄砲』の意味に近い。
てばっーなし:経済のやりくりの下手な人:神奈川。
むさ:和歌山。
(むざと) 【副】不注意に。無造作に。うかと。 東京。近世語。
△◇☆むさんこ 【形動】@無用に多い、むやみやたら、A無謀なこと、向こう見ず 何故全国的の散在するのだろうと思ったら『無算』(数えきれぬほど数の多い・無謀)の意味に近い。俗語の『むちゃんこ』にも通ずる。
『俚言』に『向こう見ず』の意味で掲載されているので近世語と考えられる。
むさい:沢山:千葉。
むさど:うっかり:山形。
むさんこ:乱暴:千葉銚子。
むさんこ:新潟・石川・福井・滋賀・三重・奈良・大阪・京都・四国・中国・佐賀。
むさらく:沢山:三重・和歌山。
むさんぼー:めちゃくちゃ:東京多摩。
むしゃんこ:岐阜・愛知・香川・愛媛。
むしあぜー
むしあづぇー
【形】蒸し暑い むしあてー:神奈川。
むしおぐり 虫送りの行事。 4月10日の行事。土浦では念仏衆が鉦や太鼓を叩いて野良を回る。広辞苑には『作物などの害虫を除くため、村人が大勢で松明(タイマツ)をともし鐘鼓を鳴らして村はずれまで稲虫の作り物を送り出す行事。』とある。県下では『むしおい』と呼んで勝田市・行方郡で標準語で定義されたそのままの風習が残っている。
むしおぐりねんぶづ 虫送りの行事。 念仏衆が集会所や辻で大きな数珠をくりながら念仏を唱える。
むしかいす 【動】蒸し返す
(むじからむ) 【動】糸がもつれる 神奈川。『捩り絡む』意味か。
むしおぎる 【動】@癇癪を起こす、A腹痛を起こす、B疳の虫を起こす 標準語では『虫が起こる』。当時は、腹の中に悪い虫が居て時々暴れると言われていた。ex.『腹の虫が治まらない』。
(虫切り) 疳の虫のある子供の虫封じ 全国的なものだと言う。『ヘビトンボ』の幼虫を商品化した『孫太郎虫』という薬が市販されていた。また神仏に祈願した風習もあった。
むしかじ:神奈川。
むじぐ 【動】【動】@むしる、A引っ張り取る、B曲がる
むしくいば @虫歯、A虫に食われた葉 『俚言』によれば江戸時代には、虫歯を指したという。
むしくされ 虫食いの状態
むしくだし 寄生虫駆除剤 古い標準語。
むしくよう 虫送りの行事。 『虫供養』。
広辞苑には『@一○月一○日ごろ行われる念仏講。十日夜(トオカンヤ)。A徳島地方などで、虫送りのこと。』とある
むじぐる 【動】むしり取る、無理やりはがす 『捩る(もじる)』+『弄くる(いじくる)』の転?。
むしぐる
むしくる
【動】むしる、掻く むしくる:三重・愛媛・高知。
むしくれ
むしっくれ
むしっくれー
虫に食われたもの、虫食い 『虫食らい』の意味。
むすくれ:宮城。
むしくれば @虫歯、A虫に食われた葉 @『虫食らい歯』の意味。
『俚言』によれば江戸時代には『虫食い歯』と言ったという。
むしくれば:鹿児島。
A『虫食らい葉』の意味。
むしずわぐ 【動】吐き気がするほど不快になる 『虫唾が走る』。
むしずる 【動】むしり取る
むしつる 米などに虫が入り巣を作る コクゾウムシの幼虫が蛹を作ること。当時の家々の米櫃ではしばしばそのようなことが起きた。それだけ隙間が大きかったのだろうが、稲の段階から新入していた可能性もあろう。それだけ当時の米は虫に好かれる毒の無いものだったのだろう。米櫃の中に見つかった場合は取り除いたが、幼虫は白いので見つからない。ただし、米を研ぐさいには浮いてくるので除去できる。
むしあつなぐ:山形。このこめあむしあつなえだ:米に虫が入って巣を作った。
むしっつる:米や粉の中の虫が糸を出して巣を作るその巣のこと:群馬。
むしっかいす
むしっけーす
【動】蒸し返す むしっけーす:群馬。江戸言葉と見られる。
(むしと) 鹿児島。
むじな
むじなめ
タヌキ ムジナは本来はアナグマを指す。当時ムジナと言えば得たいの知れない怪物のように教えられた。
『わりーごどすっとむじなででくっとー、ほれ!』と父親に脅かされたものである。
むじな:福島。
むんずな:青森。
(むしなげな) 【形】可哀そうな 鹿児島。
むじなけむだし 茅葺屋根の側面(斜面)に設ける煙出し。 (類)『やらけむだし』
むじなつかう
◎むじなをつかう
【複】@人を騙すA知らないふりをする、B味方のように見せ掛けたりする
むじなっばだぎ
むじなったき
10月10日の収穫の祝いの行事 『亥の子打ち』のこと。『亥の子餅』と言って餅を搗くところもある。
昭和30年代の後半までと記憶しているが、子供達が縄の先端に『いぼくたま』を作り家々を回って庭の地面を叩きお捻りをもらったりご馳走を食べた。
(むしのこ) シラミの卵 青森・秋田・山形・千葉・長野・種子島。
むしふーじ 虫送りの行事。 標準語では『子供に虫気(ムシケ)の起らないようにまじないをすること。また、その護符。』とある。
(むしむし) 【副】黙々と仕事をする様 神奈川。
むしめ ・:八丈島。
むしめにくわれだ:虫に刺された。
むしゃくしゃ
むしゃくちゃ
@乱れもつれるさま、(髪などが)くしゃくしゃの様、A腹が立って堪えがたいさま
むじゃぐる
むしゃぐる
【動】ぐしゃぐしゃにする むしゃ:むしりつく・かきむしる・もみくちゃにする:神奈川。
むしゃ:むしり取る:静岡。
むじゃげる:破れる:青森。
むじゃっなし
むじゃっねー
むじゃっいなし
むしゃっなし
物を粗末にする事(人)、物を浪費する事(人)、でたらめ、いい加減 語源不詳。
『じ』は『ぢ』の可能性もある。この方言は県下全てを網羅した。『む』は『も』のこともあり、その方がバリエーションが多い。
@無茶坊主、A無算坊主、B無作法、C古い標準語の『むさい』の流れで『むさい坊』、D武者(むしゃ)坊主 等が考えられる。
他に『むさっー』『むしゃっがありほぼ似た意味を持つことから『むじゃっぽな・し』の意味と思われる。『武者(むしゃ)坊主』の意味か?。
標準語では『無鉄砲』の意味に近いが語源は異なるだろう。
てばっーなし:経済のやりくりの下手な人:神奈川。
っけなし:群馬。
むじゃなし:福島。
むしょっとに:向こう見ずに:新潟。
もじゃぼい:千葉。
もじゃっ:稗:東北。これは擬態語。
むしゃっ 容貌粗野にして不潔なる人 『集覧:久』。=『むさっー』
@無茶坊主、A無算坊主、B無作法、C古い標準語の『むさい』の流れで『むさい坊』、D武者(むしゃ)坊主 等が考えられる。『武者(むしゃ)坊主』の意味か?。
標準語では『無鉄砲』の意味に近いが語源は異なるだろう。
『俚言』には『武者らっぽう』がある。『武者乱妨』の意味としている。 
(むしゃまど) 武家屋敷の表長屋の表側に設けた、太い竪格子(タテゴウシ)のある窓。武家窓。 『武者窓』。
むしゃまど:入り口と座敷の間の表側の壁につけた窓:神奈川。
(むしょい・むっしょい・むっしょん) 【副】無性に 鹿児島。
(むじょなげな) 【形】可哀そうな 鹿児島。
むしょーやだらに 【副】無性に 同義語の繰り返し。
むしょくた:長野。
(むじり・むじりこ) 労働に用いる筒袖 宮城。
むじる 【動】(縄を)綯う 『捩る(もじる)』(ねじる・よじる)。
『曲がる』意味の方言があるのは、『ねじる・よじる』意味が転じたのだろう。
むじり・むじりこ:作業用の筒袖:宮城。『捩り(もじり):男が着物の上から重ねて着る筒袖または角袖の外套・上っ張り』。
(むじる) 【動】(道などを)曲がる 辞書掲載語。
『捩る(もじる)』(ねじる・よじる)が変化したものと思われる。
むじる:山形・宮城・福島。
むじれる:すねる・むずかる:宮城・福島。
むずる:(道などを)曲がる:山形。
むずる:すねる・むずかる:宮城。
◎むしる 【動】@掻く、Aもぎる、B引きちぎる 『毟る』。
むしれる 【動】千切れてとれる、もげる 『むしる』の自発形。
標準語には『引き抜く、剥がし取る』意味の『毟る』(むしる)の可能形はあるが、自発形は記載されていない。ところがネット検索すると自動詞形が出てくる。
標準語世界に30年住んでいながら聞いたことが無いので標準語かどうか判断できない言葉。しかし、助動詞の『れる』の中に自発の意味がある以上、標準語なのだろう。ただし、一般には『もげる』『取れる』を使う事が多いのは確かだ。
むしれる:すねる:福島。
むしろおり
むしろばだ
むしろばだあし
むしろばたん
筵を編む道具
むしろはだぎ 稲の取入れから調整まで終わったときの祝い
むしろぼし
むしろほし
稲を収穫した後の庭仕事
むじんこ 無尽講 互助的な金融組合。
むしん 心無いないこと 『無心』。
むしんする 【動】ねだる 『無心する』。茨城弁が、現代語の古形をよく残している言葉の典型例。
■▲むすい 【形】長持ちする、食べ物の減り方が遅いこと 『むそい』
関東から東北にかけて分布。『集覧:稲』。『無双』(ならぶもののないこと、無比)か。『無際』の意味か。
他の方言から、『汚い、むさくるしい、卑しい』意味があるべきだが、何故か使われない。『おぞい』と同じく物の嫌悪感を示す言葉と考えられる。最近の若者言葉の『むずい』にも通ずる。
むさい:東北全県・茨城・千葉・栃木・群馬・新潟・石川・広島・山口・徳島・愛知。『方言学概論』には『むすい・むそい・むせい・むっさえ等とも。』とある。
むすい:福島・栃木。
むつい:食べ物の水分が少なく口の中がぼそぼそする様:青森。
むづがし
むずがしー
【形】@食べにくい、A難しい、B気難しい A・むずがしー:秋田。
むんずがす:青森。
(むすかしか) 【形】痒い 鹿児島。
むすったい
むすってー
むすてー
【形】くすぐったい 標準語には、『むず痒い』『憤る』がある。恐らく同源の言葉である。『むずむず』も同様である。
『俚言』には『むす:下野にてくすぐる。又むすったいは、くすくったいなり。』とある。
むすったい:栃木。
むす:福島。
むずってー:神奈川。
もぐってー:群馬。
もぞっ:長野。
もそぼったい:静岡。
もそもったい:静岡。
もちょくさい:青森。
もちょこい:青森。
ももっちー:山梨。
▲●むす 【動】くすぐる 『集覧:多』。
むす:茨城・栃木・長野・静岡。
もぐす:群馬。
むず
むつかる
【動】むずかる、(子供の)機嫌が悪い様子 標準語では普通『むずかる』と言う。
むじれる:すねる・むずかる:宮城・福島。
むずる:すねる・むずかる:宮城。
むつける:すねる・むずかる:宮城。
むずさい
むずせー
【形】@むずむずして鬱陶しい、Aむごい、可哀想 A・むじぇ:岩手。
むずこい:山形。
むずせ:福島。
むずす 【動】欺く、騙す むずす:戻る・Uターンする:宮城。
むずする 【動】欺く、騙す 『集覧:猿』。 
むずっと 【副】強い力でつかんだり組みついたりする様 標準語の『むずと、むんずと』に該当するがこれ自体最近はあまり聞かれない。
むすっとする 【動】黙っている、不貞腐れる むつむつ:黙った様:岩手。
むすむす 【形動】@むしむし、蒸すこと、A不貞腐れる @・むっつむっつ:岩手。
むすめっかぶり 手ぬぐいで髪を前から後ろに包んでしばった被り方、あねさんかぶり むすめっかぶり:群馬。
むすめっこ 娘、少女 関東方言。本来は『娘子』。
むすめっこ:神奈川。
むせー 【形】@汚い、むさくるしい、Aむさぼり欲する心が強い、卑しい、下品である 古い標準語の『むさい』の連母音変形。『おぞい』と同じく物の嫌悪感を示す言葉と考えられる。
□▽むせー 【形】長持ちする、食べ物の減り方が遅いこと、使い出がある 『集覧:鹿・多・猿』。
『無双』(ならぶもののないこと、無比)か『無際』の意味。
むさい:東北全県・茨城・千葉・栃木・群馬・新潟・石川・広島・山口・徳島・愛媛。『方言学概論』には『むすい・むそい・むせい・むっさえ等とも。』とある。
むさえ:山形。
むさし:大盃:青森。
むせ:秋田。
むせげーる
むせけーる
むせっかえる
◆■むせっけーる
【動】むせ返る 『集覧:多』。
★『土』:おゝ暑(あつ)いやまあ、咽(むせ)っ返(けえ)る樣(やう)だ。
むせったい
むせってー
【形動】むせる、煙い むせったい:埼玉・静岡。
◆■□△▽むそい
むつい
【形】@長持ちする、A食べ物の減り方が遅い、B使い出がある、C手ごわい 『むすい』『もそい』
『無双』(ならぶもののないこと、無比)か。『無際』の意味か。
むさい:東北全県・茨城・千葉・栃木・群馬・新潟・石川・広島・山口・徳島・愛媛。『方言学概論』には『むすい・むそい・むせい・むっさえ等とも。』とある。
むそい:福島・茨城・栃木・千葉。
むつこい:しつこい:愛媛。
むそい 【形】汚い、むさくるしい、卑しい 古い標準語の『むさい』の転。石岡市では『むつい』と言う。『おぞい』と同じく物の嫌悪感を示す言葉と考えられる。
『無粋・不粋(ぶすい):粋(イキ)でないこと。通(ツウ)でないこと。やぼくさいこと。無骨。』との関連があるかもしれない。
くぢがむそい:言う事が卑しい(言わなければいいのに)。
(むぞい) 【形】不憫な、可哀そうな 『無慙』か。辞書掲載語。=『もぞい』
青森・岩手・秋田・宮城・山形・福島・大分・福岡・宮崎・熊本・鹿児島。
(むぞい・むぞか) 【形】可愛い 鹿児島。辞書掲載語。『無慙』か。
むぞか:宮城・熊本。熊本方言の形容詞表現の末尾『か』は、形容動詞の『か』が特に使われたと思われる。
むぞーか:愛らしい:長崎・種子島。
んぞーさ:沖縄。
(むぞう) @残酷なこと。Aいたわしいこと。ふびんなこと、Bかわいらしいこと 『無慙』。
@もともとは『無残』。
A・むじょけら:かわいそう:青森。
むぞい:かわいそう:岩手・宮城・秋田・福島・熊本。
むぞーがる:いとおしがる:佐賀。
めーじょー:かわいそう:新潟。
もぞい:かわいそう:岩手・宮城。
B・みじょか:熊本。
みぞか:長崎。
みぞーか:長崎。
むじー:宮崎。
むしゃんよか:熊本。
むじょか:熊本。
むぞきー:大分。
もじっこい:茨城・群馬・長野。
(むぞがる) 【動】可愛がる 鹿児島。
むそぐ
むーそぐ
【副】汚く、卑しく 当時は『ものすごく』の意味で使っていたが、『むそい』の連用形だったと考えられる。
むぞーさ 造作ないさま。あれこれ手段・技巧を弄しないさま。慎重に構えることもなく、手軽にやってのけるさま。 『無造作』。
むぞーさい:惨い:福島。
(むぞなげな) 【形】可哀想 鹿児島。
(むぞむぞ) 【形動】虫がうごめくさま。もぞもぞ。 佐渡島。『むずむず』が転じたか。
むたい 【形】長持ちする、食べ物の減り方が遅いこと
むだ 無駄なこと むだ:むやみやたらに:静岡。
むだっけ 無駄なこと、無駄な様
むだっけない
むだっけねー
【形】無駄が無い
むだや 物置小屋、倉庫 『集覧:久』。『民俗:久慈郡・高萩』 
県南では『までや』という。それが訛ったものだろう。茨城方言集覧では旧久慈郡の方言で『種々の物を入れる家』とある。
むだんき 短気 『向こう気・向こう意気・向こうっ気』が訛ったものか。県下広域方言。
むぢー 【形動】夢中 むじょー:夢中:秋田。
(むーちー) 月桃の葉に餅を包んで蒸した餅 沖縄。
むぢーする
むちーする
むぢゅーする
【動】@夢中になる、A意識が無くなる
むぢーで 【副】夢中で
むぢーに 【副】夢中で、夢中に
むぢーになって 【副】@夢中になって、A意識が無くなって @・むちゅうーけーって:群馬。
むぢーになる 【動】@夢中になる、A意識が無くなる 県北部では『むちーする』と言う。
むぢゃ
むぢゃっこ
むぢゃっこい
むぢゃっ
【形動】@筋道が立たないさま、A道理や常識を顧みないさま。乱暴に扱ったりしたりするさま、B程度をこえているさま。大変。Cよく分らないさま。知識がないさま。(広辞苑) 『無茶』。
むぢゃぐる
むちゃぐる
【動】ぐしゃぐしゃにする むちゃぐる:かきむしる:神奈川。
むちゃっ
むちゃっいなし
むちゃえなし
浪費すること、物の扱いがぞんざいなこと 『集覧:東』。=『むじゃっいなし』。@無茶坊主、A無算坊主、B無作法、C古い標準語の『むさい』の流れで『むさい坊』、D武者(むしゃ)坊主 等が考えられる。他に『むさっー』『むしゃっがありほぼ似た意味を持つことから『むじゃっぽな・し』の意味と思われる。『武者(むしゃ)坊主』の意味か?。
標準語の『無茶』は広辞苑に『(「無茶」は当て字)@筋道が立たないさま。A道理や常識を顧みないさま。乱暴に扱ったり、したりするさま。B程度をこえているさま。大変。「―に暑い」Cよく分らないさま。知識がないさま。』とある。
標準語では『無鉄砲』の意味に近いが語源は異なるだろう。
『俚言』には『武者らっぽう』がある。『武者乱妨』の意味としている。 
(むちゃむちゃする) 甘いお菓子やアイスなどが乾いてべたべたすること 沖縄。
むぢーんなる 【複】夢中になる ぐっすり寝たことを『むぢーんなってねだ』とも言う。
むちゅくりけーる:群馬。
むつい 【形】汚い、むさくるしい、卑しい 石岡市。
むつかし
むつかしー
むっかし
むっかしー
【形】難しい 清音化。
『むつかしい』は一般には関西方言と考えられている。また、古語では『むつかし』と言った。茨城弁が、現代語の古形をよく残している言葉の典型例。国会答弁でも聞く言葉でもある。
むつかし:青森。
むつかしー:秋田。濁音形との共存が方言書で謳われているのは茨城以外には秋田だけである。
むつこい:しつこい・くどい・味が濃い:山口・四国。
(むっかしょー) 【形動】丁寧 静岡。
むっからたち むかばら、わけもなく腹をたてること、またはその人
むっかり 【副】意志が強く物事に動ぜずしっかりしているさま、毅然とした様 『集覧:筑』。
むっかり:むっと:静岡。
むっきーする:むっとする:静岡。
むっきり:むっと:静岡。
むず
むつかる
むつける
【動】不機嫌になる、文句を言う、拗ねる 清音形は古語。普通『憤る』(むずかる)と言う。
むっける:岩手・山形・宮城。
むつけらがす:いじけさせてしまう:宮城。
むつける:宮城。
(むっきゃぐる) 【動】吐きそうになる、むかつく 鹿児島。
むっくら 【副】むっくり、むくっと、勢い良く起きる様 はいぐむっくらおぎろ!:早くむくっと起きて!。
むっくらおぎ むっくり起き上がること 『俚言』によると江戸では『むくおき、むくりおき』と言った。
むっくらおき:目が覚めると直ぐに布団から起きる・早く起きる:神奈川。
むっくりいし
むっくりーし
むっくりけーし
むっくりがいしひっくりがいし
むっくりげーしひっくりげーし
むっくるいし
むっくるーし
むっくるいしひっくるいし
むっくるーしひっくるーし
【副】繰り返し 『が・げ』は濁音・鼻濁音。清音のこともある。『む』は『も』のこともある。殆ど死語となった『むくる』は『捲る(めくる)』の古形。『捲り返す』意味。
むっくりいす
むっくりかえす
むっくるいす
むっくりげーす
むっくるけーす
【動】繰り返す 『が・げ』は濁音・鼻濁音。清音のこともある。『集覧:真』。『む』は『も』のこともある。殆ど死語となった『剥る(むくる)』(はがし取る。はがす。むく。)の流れ。『捲り返す』意味。
(むっけー) 【形】情けない 静岡。
むっけな:意気地無しな:静岡。
(むっける) 【動】億劫がる 静岡。『憤ける(むつける)』(@機嫌をわるくする。ぶつぶつ文句を言う。A子供がじれて泣く。すねてさからう。B健康を損ねる。気分がすぐれず衰弱する。)が転じたか。
むっこり 【副】盛り上がっている(凸)様子
むっしょ 筵(むしろ) むっしょ:宮城。
もしょ:八丈島。
むっすら 【副】むっつり
むっすらする 【動】黙っている、不貞腐れる 『むすっとする』の方が新しい言い回し。『むっつりする』。
むったい
むっちゃい
むっちぇー
【形動】@(小便等が)漏りそうな様、A(小便・大便を)したい @『漏り体』(漏りそうな体)の意味も考えられるが、古語の『放る(まる)』(大小便をする、排泄する)との関係を思わせる。
Aは『まりたい』意味だろう。
むったぐなる
むったくなる
むっちゃぐなる
【動】@(小便等が)漏れそうになる、A(小便・大便を)したくなる 古語の『放る(まる)』(大小便をする、排泄する)との関係を思わせる。『まりたくなる』意味だろう。
(むったど・むったと) 【副】ずっと、絶えず、常に むったど:青森。
むったと:青森・岩手・秋田。『もたもた』が訛ったか。
むっち
むっちめ
幼児言葉。
あらー、むっちめいだ:あら、虫が居た。
むっちゃー 【複】(尿などが)もれちゃう むっちゃう:山梨。
むっちゃいでー 【複】(小便・大便を)してしまいたい、 古語の『放る(まる)』(大小便をする、排泄する)との関係を思わせる。『まりちゃいたい』意味だろう。
(むっつー) 襁褓(むつき) 静岡。
広辞苑に『襁褓(むつき):@生れたばかりの子に着せる産衣(ウブギ)。A子供の大小便を取るために腰から下を巻くもの。おしめ。おむつ。Bふんどし。たふさぎ。』とある。すなわち現代語の『おむつ』。
むっつりすけべ 無口でいて好色な人 『むっつり助兵衛』。
むってー 【形】@(小便・大便が)漏れそうな状態、A(小便・大便を)したい @『漏り体』(漏りそうな体)の意味も考えられるが、古語の『放る(まる)』(大小便をする、排泄する)との関係を思わせる。
Aは『まりたい』意味だろう。茨城特有の方言と思っていたが、群馬県でも使っているという。そうなると古い関東弁に分類されるだろう。
むってー:栃木・群馬。
むっ 【複】漏るだろう
(むつむつ) 【副】ぐずぐず、はっきりしない様 むつむつ:宮城・長野・高知。群馬では『むしむし』の意味。
むで 素手 『無手』。『無体、無代、無台』。
むで
むでー
【形動】@むやみに、やたらに、むしょうに、A無理なこと、無鉄砲 『無手(むて)』(方法や思慮がなくて物事をすること)。『無体、無代、無台(むたい)』。古くは『むだい』とも発音されたと言う。
現代語の『無鉄砲』の語源を思わせる言葉。
むくたいに:静岡。
むたい:東京。
むたいやー:甚だしい:静岡。『やー』は終助詞と見られる。
むで:宮城・栃木。
むて:岩手・宮城・福島・栃木・大分。
むでな:大きい:宮城。
(むでな) 【形】弱い、意気地ない 鹿児島。
むでぼー
むでっこ
むでっ
むでっ
むでっ
むでっ
むでっーなし
むやみにすること、やたらにすること、向こう見ず、無鉄砲 『無手』(方法や思慮がなくて物事をすること)『無手っ法』((ムテンポウ(無点法)の転) 理非や前後を顧みず、むやみに事をすること。むこうみず。あとさきみず。無鉄砲。)。
『俚言』には『無手八』がある。
『柳亭記』に『むてつぱうむてつぱうとは。関東下世話にて今もいふ者あり。今様踊くどきといふ小歌本に載たる諸国角力の名よせに中略「うきゝのおひなげ御用木きかん十五郎むて八はよわいやうでつよいへ」といふ事あり。巻中に元禄。宝永の事見えたり。されば当時無手八といふ角力ありて我より強きものもおそれず。これよりいでし詞なるべく思ひしがさにはあらず。元禄よりはるか古き冊子に無天罰者と書たるがあり。むてつぱうは無天罰の訛り天罰知らずといふに同じ。はや元禄の事はいひ誤りそれを名につきたるなるべし。』とある。
むってこーじ:山梨。
むでっか:山形。
むてっこー:山梨。
むてっこき:栃木・群馬。
むてっこし:考えなし・無鉄砲:静岡。
むてっこち:静岡。
むてっ:埼玉。
むでに 【副】@むやみに、やたらに、むしょうに、A無理に 『無手に』。
@・むてんに:新潟・石川・富山。
むでもねー 【形】むやみな様、やたらにする様、むしょうにする様 古い言い回し。『むで』は『無体』『無手』と考えられ、『むていな・し』の意味か?。
むないだ 胸の平らなところ、胸 『胸板』。
むなおぢ
むなおち
みぞおち 辞書には『胸落(むなおち)』(みずおちのあたり。むなもと。)がある。
(むね) 佐渡島。
(むねげ) 馬の胸から鞍橋(クラボネ)に掛けわたす緒(オ)。 鹿児島。『胸懸・鞅』(むながい:ムナカキの音便)。
むな 胸ぐら むな:長野・静岡。
むな
むなくさ
胸糞 『むなくそ・むねくそ』。
むなくさわるい
むなさわりー
むなくさわりー
むなくそわりー
胸糞が悪い、いまいましい 『集覧:久』。 
むな 着物の左右の襟の重なり合う辺りの部分。むながらみ。むなづくし。 『胸座・胸倉』。
むな:長野。
(むに) 鹿児島。
(むにうった) 【複】無くなった 静岡。
むになる 【複】労苦などが無駄になる。無に帰す。 『無になる』。
むにゃむにゃ 【副】訳のわからないことを呟く様
(むぬいー) 物言い、文句 沖縄。
むね 田のうね 馬は古くは『むま』だったように、畝は古くは『むね』だったかというとそうではないようである。単なる音通現象による方言のようである。
むね:秋田・富山・石川・熊本。
むねあ 上棟、上棟式
むねあいわい 上棟式 『棟上祝い』。
むねわるい
むねわりー
むねっくそわるい
むねわりー
【慣】@吐き気がして気分が悪い。胸焼けがして気持ちが悪い。A癪(しゃく)に障る。むかむかとして腹立たしい。 標準語では使われなくなって来ている言葉。
むねがわく:食べ過ぎて胃が痛い:鹿児島。
むねつかまれる:福島。
★『土』餘(あんま)りあまくつて俺(おら)にや胸が惡(わる)くなるやうだな:あまりに甘くて俺には気持ちが悪くなりそうだ。
むねしょー 胸章
むねーだ 胸板 むなぇーた:静岡。
むねねた:静岡。元『胸な板』か。
むねのきょーり 胸の中、心の中 繰り返し語。『胸の胸裏・胸裡』の意味。
むねわり 棟の部分に天井を張らないこと。
むほう
むほー
【形動】途方も無い 『法外も無い』の形容動詞形。
□むまかた 馬子 『馬方』。
(むむ) 沖縄。
◎むめんもく 面目のないこと。面目を知らないこと。 『無面目』。
むめんもく:東京。
むやす 【動】燃やす むやす:鹿児島。
むやっ 【形】汚らしい
むやみやだら 【副】むやみに、やららに 同義語の繰り返し。
むやむや わずらいもだえるさま。もやもや。
むよが
むよか
六日 六日の古形は『むゆか』
むよが:青森・宮城。
むらいこ
むらいっこ
貰い子、養子
むらー
むらう
貰う むらう:八丈島・長野・静岡。
むらうぢ 村内 むらのなかをはずす:村で仲間はずれになる:神奈川。
むらうちしんせき
むらうぢしんせぎ
むらしんせぎ
同じ村落内の親戚 町村合併によって言葉の意味が変わってしまうことがある。明治後間も無く町村合併によって村の概念が変わったが今や小泉内閣の隠れた施策によって合併が進んでいる。『村』と『町』、『郡』と『市』は恐らく地方自治法あたりが定めているものだろうが、法律で定められたルールによって田舎の生活の管理組織が変わってもすぐさま言葉は変わるものではない。かつての自治組織は『組・番組』に代表される10〜20件程度の最小単位の組講を母体に言わば自然発生的に地域の管理が徹底された。
今、都会の商業地区では町内会長、マンション街ではマンションの管理組合理事長が責任代行する時代になった。
日本の自治組織は古いほどまともで、新しいほど自治組織になっていないと言われる。
高齢者達の生活の不都合を今の生産世代がどれだけまかなえるか、日本の社会制度が立ち遅れ、個人のふるまいに期待されることになった。
むらさぎー
むらさきー
【形】紫色の様
むらざげー
むらさげー
村境 むらざけー:千葉。
むらさげー:千葉。
むらさなぶり 村落の全ての田植えが終わった時のさなぶり
むらす 【動】漏らす 40年頃の言い回し。関東・東北圏から北海道まで分布する方言。
むらす:漏らす:埼玉。
むりがら
むりど
むりと
【副】無理やり 『むりがら』:『無理』+『柄』(〜からに)か、あるいは『無理からぬ』の肯定形か?。『むりど・むりと』は『に』が『と』に転じたものだろう。
むりから:東京。
むりと:山梨。
むりぐり
むり
むりむぐり
【副】無理やり 『無理矢理』の『矢理』は当て字で『無理に遣る』意味らしいが、『むりぐり』は『無理』『繰り』の意味だろうか?。『むりむぐり』は『無理』+『無垢に』で『無理一心に』のような意味で使っているようである。近世語『蒙古高句麗』(むくりこくり・もくりこくり・こくりむくり)がありそれが転じた可能性もある。
『むりくり』は、最近新語として使われ始めているという。最近、国会答弁でも聞いた言葉。
むりむくったい:静岡。
むりこい 【形】無理な様、難しい様
むりこぐ 【副】無理に、無理やり
むりさり 【副】むりやり、是が非でも 『差理無理』。
『俚言』にはさらに『しゃっちむっち・しゃにむに・むりしゃり・しゃでもむでも・じゃがひでも・否でも応でも』が掲載されている。
現代では『むりしゃり』は北海道で使われているという。
むりさんだん 【慣】無理してお金や物事の工面をすること
むりじに 自殺
むりと 【副】無理に むりと:山梨。
むりっこい
むりっ
むり
【形】無理な様、難しい様
むりむでー 【形動】無理に行うこと 『無理無体』。
むりむだえに:山形。
むんちん:あまのじゃく:宮城。
むりむり 【副】無理に 俗語。
むーむと:宮城。
むりむり:山形。
むりむり 【副】がみがみ
◆■▲□▽むる 【動】@漏る、漏れる、A(小便・大便を)する 関東・東北から北海道まで分布する方言。『集覧:稲・鹿』。
@『俚言』には『むる:漏を田野にてむると云。』とある。江戸時代からある訛りである。
むる:青森・秋田・宮城・山形・栃木・群馬・埼玉・神奈川・八丈島・佐渡島・山梨・静岡。
A古語の『放る(まる)』(大小便をする、排泄する)との関係を思わせる。
(むる) 【形動】全部、諸、全て 沖縄。『諸』。
むるせー 【形】煩い 『集覧:新』。『むさい』と『煩い』の複合語か。
むれる 【動】漏れる なーんだーこれー、あーぶらむれでっとー:なにこれ、ガソリンが漏れてるよ。
(むん) 鹿児島。
むんこめ うどん粉 『麦粉』+『め』。
むんずり 【副】強い力でつかんだり組みついたりする様 標準語の『むずと、むんずと』に該当するがこれ自体最近はあまり聞かれない。
(むんちん) へそ曲がり、ひねくれ者 宮城。茨城では『もんち・もんちー』と言う。
(むんつん) 好き嫌いが激しいこと。わがまま。 宮城。
むんじぎ セキショウ 『めはじき』が訛ったもの。
 本茨城弁集は、昭和40年前後の茨城方言を中心に茨城県全域の江戸時代まで遡る言葉を集めたものです。他県の方言との関係を重視し主要なものについては他県の方言も紹介しています。また、近年使われなくなってきた標準語や語源考察、また昭和30年代の風俗・文化等を紹介するために、合わせて標準語も掲載していますのでご注意下さい。
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