昔の茨城弁集
昭和35年〜45年頃の茨城弁集
茨城弁・土浦弁掲示板/新規に開設しました。どなたでもお気軽に書き込みください。
  茨城方言大辞典/ん
 昔の茨城弁集 TOP
 茨城方言の特徴
 茨城方言入門
 茨城方言大辞典
 動物・両生類
 魚・水産物・海産物
 虫・昆虫・軟体動物 
 樹木
 草花・キノコ 
 地理・自然
 
 
 特殊な形容詞
 人体用語
 代名詞
 風俗文化・建築・生活
 子供の遊び 
 農業・養蚕・漁業
 茨城の迷信
 年中行事
 挨拶言葉
 
 
 茨城方言の分布
 茨城方言の文法
 小説の中の茨城方言
 茨城方言の発音練習 
 茨城の日常会話
 幼児語に学ぶ
 投稿文紹介
 当時のテレビ番組
 相互リンク集
 八丈方言との関係
BACK
◆印:『土浦の方言・続土浦の方言』掲載語。■印:『土浦市史・民族編』掲載語。▲印:『茨城方言集覧』掲載語。印:新編常陸国誌掲載語。印:茨城方言民俗語辞典掲載語。印:茨城弁今昔掲載語。印:物類称呼掲載語。●印:『国立国語研究所・日本語情報資料館・電子資料館・日本言語地図・方言文法全国地図』掲載語。▼印:日本方言大辞典掲載語。印:日本方言辞典掲載語。浪花聞書掲載語。印:俚言集覧掲載語。★印:使用例とその標準語訳。黒太文字:標準語。
茨城弁 標準語訳 備考・解説・使用例

んー
【感】 標準語の口語にもある感嘆符。標準語では単独で用いられるが、茨城弁の場合はそれに様々な助詞が付いて一つのセンテンスを作るところが異なる。
もともとは『うん』である。
:宮城・福島。
んだ:そうだ、
んだよ:そうだよ、
んーが・んーがー・んーか・んーかー:そうか、
んだんべ・んだべ・んだっ・んだっへ:そうだろう
〜ん 【助動】〜(し)ない 『ぬ』が訛ったもの。関東圏でも古くは使ったが、今では高齢者しか使わず、主に関西で使われる。
いかん:いけない・良くない。
いかん:行かない。山梨。
しらん:知らない。山梨。
〜ん 【助】〜の 格助詞。
撥音形。標準語にもある表現。上代東国語の『ぬ』が変化したもの。『ぬ』は格助詞『の』の変化したもので広辞苑には、『(ノの母音交代したもの) 上代語、特に東国方言で、野(ノ)。』とある。
日本語の語源説を唱えようとすると真っ先に使われそうな格助詞である。
かんめ:蚊。『蚊の奴』の意味。
やまんなが:山の中。
よんなが:世の中。
たんなが:田の中。
あんちきしょー:あの畜生。
ラ行活用動詞の『ら、る、れ』 標準語の口語の中にも見られるれる。
★遣らなかった:やんなかった・やんないがった・やんねーがった
★遣るな:やんな
★呉れないか:くんないか・くんねーが
★知れない:しんない・しんねー
〜ん 【助】〜に 格助詞。
撥音形。標準語にもある表現。八丈方言では特に顕著。
あさんなった:朝になった。
むちゅーんなってる:夢中になってる。
〜ん 【助】 終助詞
もともとは詠嘆を示す終助詞『なあ』であったか、単に鼻に抜ける茨城方言の傾向によって生まれたとも思われる。
似た方言に 埼玉では、疑問を示す終助詞の『の』が変化して『ん』が使われる。
やっかん:やるか?。
いぐっつになったん:幾つになった?。
あーそーかん:ああそうかい。
んだっーん:そうだろう。
んが
んか
んがー
んかー
んーがー
んーかー
【慣】そうか(解かった) 気乗りはしないものの、納得した時に使う。繰り返して『んがんが』『んかんか』と言うこともある。
アニメ『怪物君』のフランケンの『ンガー』は茨城弁由来かも知れない。
《得体の知れない怪物の鳴き声ではありません!》
あーんが:ああそうか。
〜ん 【助】〜のもの 『〜のが』がさらに訛ったもの。
(〜んか) 【複】〜(する)か 東京・神奈川方言。
茨城では促音化する。
そんなこともあんかとおもってさあ:そんなこともあるかと思ってさあ。
くんからいけねえ:来るからいけない。
いいかんにやんからそうなるんだ:いい加減にやるからそうなるんだ。
そんなことすんかねえ:そんなことするかねえ。
んげ
んけ
【慣】そうか(解かった)、そうなの
〜んげ
〜んけ
【助】〜のかい 『〜のげ』がさらに訛ったもの。
あしたとうきょうさいぐんけ:明日東京に行くんですか
んこ 大便 多く幼児語。
【動】動く
んこばぢ コウカアブ、キイロコウカアブ
んこびしゃく 肥びしゃく
んーこらんーこら
んーこらしょっこら
【副】重いものを運ぶ様
んーこらしょ 【慣】どっこいしょ
(〜んさい) 【複】〜なさい 〜んさい:岐阜・島根・岡山・愛媛・佐賀・島根・福岡・佐賀。
んじ
んじぇ
んで
んでぃ
【接】それで んじどーした・んじぇどーした:それでどうした。−
んじゃ
んじゃー
【複】それじゃあ
んじゃ
んじゃー
【複】そうだ んじゃよ:そうだよ。
んじゃ
んじゃ
【接】だが、けれど
んじゃが
んじゃがー
【複】そうなの?
(んじゃっかなー ) 【感】それではさようなら。バイバイ。 福島。
(んじゃなばー) にが菜 沖縄。
(んじゅん) 【動】見る 沖縄。
〜んしょ 【複】〜なさい 〜んしょ:福島。
(んすなばー) ふだん草 沖縄。
んだ
んだー
んーだ
んーだー
【複】@そうだ、Aなんだい、なに! @承諾・肯定の感嘆詞『うん』『だ』がついた『うんだ』が原型と見られる。
じゃ:岡山。
じゃー:奈良。
んだ:北海道・青森・岩手・秋田・宮城・山形・福島・神奈川。
んだー:東京多摩。
んだず:そうだぞ:山形。
以下はネットサイトの『横手/方言散歩』という秋田県横手市の方言サイトにある『んだ』に係わる方言を紹介する。『平鹿』は横手市の町。『仙・南・雄』の略語が含まれているが、『南』は県南部と思われるが他は所在地不明。
何と茨城と同一または類似語の多い事か!。
んだ:そうだ:秋田全県。
んだえてが:そうだから:秋田平鹿。
んだおの:さうだもの:秋田平鹿。
んだっけ:そうだったよ:秋田平鹿。
んだけぁ:そうだった:秋田平鹿。
んだげぁ:そうですか:秋田平鹿・雄。
んだけなんす:そうでしたね:秋田平鹿。
んだした:そうですよ:秋田平鹿。
んだしゃ:そうだよ:秋田平鹿。
んだたって:だって:秋田平鹿・南・雄。
んだても:それでも:秋田平鹿。
んだど:そうだぞ:秋田平鹿。
んだどんしょ:そうだそうですよ:秋田平鹿。
んだな:そうだね:秋田平鹿。原型は『うんであるなり』か。
んだなんし:そうですね:秋田平鹿。
んだの:そうだ:秋田平鹿。原型は『うんだのう』か。
んだら:そうなら:秋田平鹿・雄。原型は『うんでありたらば』か。
んだんべしゃ:そうでしょうよ:秋田平鹿・仙。原型は『うんであらんべしや』か。
んだんべた:そうだろうさ:秋田平鹿。
んだんす:そうです:秋田平鹿・雄。原型は『んでやんす』か。
んだんべでぁ:そうだろうよ:秋田平鹿。・んでねぁんし:そうではありません:秋田平鹿。原型は『んでない候』か。
んでねぁんすや:そうではありませんよ:秋田平鹿。原型は『んでない候や』か。
A『なんだ』の『な』が略されたと見られる。
んだーそれ:なんだいそれ。
んだ〜
んた〜
んーだ〜
んーた〜
【連体】そんな んたごどゆーないよ:そんな事言うなよ、最近は、『そんなごどゆーなよ』がメジャーになっているようだ。
んたはなしなんつぉしんね:そんな話なんて知らない。
んーたんなっとはおまーねがったな:そんなになるとはおもわなかったね。
〜んだ 【助】〜(する)んだ、〜(する)のだ 『る』で終わる動詞の場合は、撥音化することがあるのは標準語でも同じだが、茨城では『る』音が消える。ただし、標準語でも口語では使われることがある。
ちゃんとやんだよ:ちゃんと遣るんだよ。
そーたごどすんだねーど:そんなことするんじゃないぞ。
おらーはーねんだ:俺はもう寝るんだ。
んだあんめ
んだあんめー
【複】そうじゃないだろう んであんめっちゃ:そうじゃないだろう:宮城。
んだぃ 【複】そうだよ 『んだよ』がさらに訛ったもの。
んだえん:岩手。
んだい
んだえ
んだや
んだよ
【複】何だよ 乱暴な言い方で、『な』が略されている。
んだえー:千葉銚子。
(んだいか・んだいが) 【複】そうだろうか 宮城。
(〜んだいか・〜んだいが) 【複】〜(する)のだろうか 宮城。
くんだいか:来るのだろうか。
すんだいか:するのだろうか。
いくんだいか:行くんだろうか。
んだぃな
んだいな
【複】そうだよな 『んだよな』がさらに訛ったもの。もっとも代表的な相づちの言葉。
んだお
んだおん
【複】そうだよ んだおん:宮城。
んだが
んだがー
【複】そうか、そうかい んだか:福島。
んだ
んだ
【接】そうだが 標準語で言えば『だが』。
んだな、んだなー:そうだがね、そうだがな。
んだ:そうだがね、そうだけどさ。
〜んだ 【複】〜だが、〜だけど 〜んだな、〜んだなー:〜だけどね〜、〜だけどな〜、
はだげさいったんだな、あめふってきたんでけえってきた:畑に行ったんだけどさ、雨が降って来たんで帰って来た、
〜んだよ〜:〜だけどね〜、〜だけどな〜
んだかぎゃーつぶれだでもねー 【複】消息が無いこと、梨のつぶて 『熟んだ柿が潰れたでもない。』の意味。
『音沙汰無い』意味に例えたものと思われる。
『民俗』には『一言の返事が無いこと。』とある。
うんだら:熟した柿:埼玉・群馬。
んだがしんねー
んだがもしんね
んだかもしんねー
【複】そうかもしれない
んだがも
んだがもな
【複】そうかも、そうかもな
んだがや
んだがやー
んだがよ
んだがよー
【慣】@そうではない、Aそうかなあ 古語の反語が残る言葉。
んでがえ:宮城。
んだがや:宮城。
んでがいん:そうではない:宮城。
んだがやー、んだねーど:そうかな、そうではないぞ。
んだがら
んだがらに
【接】だから んだがら:秋田・宮城・福島。
んだから:千葉野田・群馬。
んだがらっしゃ:宮城。目上に使う。
んだがらや
んだがらよ
【接】だからね んだがらや:宮城。
んだがれ
んだがーれ
【複】そうだったの? んだがれ:宮城。自問自答のニュアンス。
んだがんな
んだかんな
【慣】そうだからね んだがんな、ちぐなんつぉぬいでねーど:そうだよ、嘘なんてついてないよ
んだきっと 【複】@そうだよきっと、きっとそうだ、Aだけど
んだげど
んだけど
んだげど
【接】そうだけど、だけど 標準語の『んー、だけど』に近い。
んだげどよ:そうだけどさ。 
んだげっと
んだけっと
んだげっと
んだけっと
んだげっとも
んだけっとも
んだけっとよー
んだけっともよー
んだけと
んだけと
【接】そうだけど、だけど
んだげれ
んだけれ
【接】それなら
んだげんと
んだけんと
んだげんとー
んだけんとー
んだげんとも
んだけんとも
【複】そうだけど、だけど 代表的表現。さらに助詞『が』が付くことがある。
んだげんちょ:福島。
んだげんとも:宮城。
んだけんとよー、そんではこまっよ。:だけどね、それでは困るだろうよ。
んだげんど
んだけんど
んだけんどー
【複】そうだけど、だけど んだけんど:埼玉。
んだごったら
んたごったら
んーだごったら
んーたごったら
【複】そんなことなら んだごったら:宮城。
んだごって
んたごって
んーだごって
んーたごって
【複】そんなことで んだごって:宮城。
んだごど〜
んたごど〜
んーだごど〜
んーたごど〜
【複】そんなこと んたごどぬかすなはー:そんなこと言うなよもう
んだしけ 【複】そうだって、そうらしい 淡々と話す。
んだしけが:そうなんだって?。
んだしけ:そうらしいが。
んだしけど:そうだってよ。
んだしけな:そうだってな。
んだしけべ:そう言ってただろう。
んだしけよ:そうだってよ。   
んだしとも
んだちとも
【複】そうだけれど
んだし
んだす
【複】そうだろう んだす:宮城。
んだす 【動】追い出す 『おんだす』がさらに訛ったもの。
んだちが
んだっちが
【複】そうだって
んだちけ 【複】そうだって、そうらしい 淡々と話す。
んだちけが?:そうなんだって?。
んだちけ:そうらしいが。
んだちけど:そうだってよ。
んだちけな:そうだってな。
んだちけべ:そう言ってただろう。
んだちけよ:そうだってよ。 
んだちど 【複】そうだって
んだちな
んだちなや
【複】そうだってな
んだちべ
んだちべげ
【複】そう言ってたろう
んだちよ 【複】そう言うだろうよ
んだっけ? 【複】そうだっけ?、そうしたら んだっけが?:そうだっけ?。
んだっけど、んだっけと:そうだけど。
んだっけどーした:それならどうした。
んだっけな:そうだったな。
んだっけべ:そうだっただろう。
んだっけよ:そうだったよ。      
んだっけれ 【接】それなら んだっけれ:栃木。
んだっければ、けーっかんな:それなら帰るからな
んだった
んだっちゃ
【複】そうだった んだっちゃ:そうですよ:宮城『そうなのだ』。
んだっち〜
んだっちー〜
んだっちゅ〜
んだっちゅー〜
【複】そうだって言う〜 んだっちが:そうなんだって?。
んだっちど・んだっちーど・んだっちゅど・んだっちゅーど:そうだってよ、そうだとすると。
じーじにいったのが、んだっちど、いまろはーおーわらいだな:十時に行ったのか、そうだとすると今ごろはもう大洗だな。
んだっちはなしだ:そうだという話だ、んだっちゅーよ:そうだってよ。
んだっちげ
んだっちけ
んだっちゅげ
んだっちゅーげ
【複】そうだって んだっちけべ:そうだったろう。
んだっちど 【複】そうだってよ
んだっちども 【複】それでも、そう言っても
んだっちば 【複】そうだってば んだでば:宮城。
んだっつぁなんだ 【複】そうだってどういうことだい
んたっつぁねー 【複】そんなことってないよ
んだっつど
んだっつーど
【複】そうだってよ、そうだとすると
んだって 【接】だって、そうだとしても んだって:宮城。  
んだって 【複】そうだって
んだってよ 【接】@そうだってよ、Aだってさあ
んだっべ
んだっ
んだっへ
んだへ
んだへー
【複】そうだろう の発生は促音化した動詞の後に付く助動詞『べ』が、無声音になったことから生まれたと考えられる。
んだっべ:福島。
んだへー、んだがらやんなっちったんだよ:だろう、たから遣るなって言ったんだよ(嫌になっちゃったんだよ)。
んだっべが
んだっ
んだっへが
んだへが
【複】そうだろうか んだいか:宮城。いくんだいか:行くんだろうか。くんだいか:来るんだろうか。すんだいか:するんだろうか。
んだっべげ
んだっ
んだっげー
んだっげな
んだっへげ
んだっへげー
んだっへげな
【複】そうだったろう
んだど
んだどー
【複】@そうだよ、Aそうだって @・んだど:青森・秋田。
んだどー:宮城。
んだどな:そうだって、そうだよね
んだども 【接】@だけれど、Aそうだよ 『んだけんとも』
@・だども:秋田。
A・んだとも:埼玉。
んだどや 【複】そうだよ 強調した言い回し。
んだどよ 【複】そうだってよ
んだな
んだなー
んだない
んだなや
んだなやー
【複】そうだな 原型は『うんだなや』。
少し語尾を上げたイントネーションになる。感嘆しながら言う。
んだなー:宮城。
んだない:福島。
んだない 【複】@そうだな、Aそうではない
んだなげば
んだなげれば
【複】そうでなければ
んだなや
んだなやー
【複】そうだな 単音形は言いきりの言い方で、長音形はやや不安を含む言い方。
んだなやー:宮城。
んだね
んだねー
んだねぁ
【複】そうだね 『ね』は同意の接尾語。少し語尾を上げたイントネーションになり、淡々とした同意を表す。元『うんではない』
んだねー:宮城。
んだね
んだねー
【複】そうじゃ無い! ぶっきらぼうに尻下がりに発音し否定の強い意志が入る。
んでね:宮城。
んだねど・んだねーど:そうじゃないぞ。
んだねな・んだねーな:そうじゃないな。
んだねよ・んだねーよ:そうじゃないよ。
んだの
んたの
んーだの
んーたの
【代】そんなの んだの:宮城。
んーたのひゃぐもしねー:そんなの大した事ない。
んだのに 【複】なのに 『であるのに・だのに』。
んだば
んだーば
んだばい
【接】それなら、それでは 東北訛りだが稀に使われてい原型は『んだらば』
んだば:岩手・宮城。
んだばい:福島。
んだばな 【感】じゃあね
んだべ
んだへ
んだべな
んだへな
んだべなー
んだへなー
【複】そうだろう、そうだろうな んだべ:宮城・福島。
んだべお:宮城。
んだべっちゃ:宮城。『そうだろうなのだ』。
んだべっちゃー:宮城。
んだべなー:宮城。
んだべが
んだへが
【複】そうだろうか んだいか:宮城。
んだべか:宮城。
んだべしか
んだちか
んだっちか
【複】そうだろうか 『べし』には確実な推量の意味がある。
んだべし
んだ
んだっ
【複】そうだろうが
んだべしけ
んだちけー
んだっちけ
【複】そうだろう
(んだべっちゃー) 【複】そうだろう 宮城。
んだやな
んだやなー
【複】そうだよな
んだよ 【複】そうだよ んだえっちゃ:宮城。
んだでば:宮城。
んだよな
んだよなー
んだよない
【複】そうだよな、そうだねえ んだっちゃなー:宮城。
んだべ
んだべー
【複】そうだろう んだべが:そうだろうか:福島。
んだも
んだもー
んだもの
【接】だから 『そうだもの』の意味。
んだもの
んーたもの
んだもん
んーたもん
【複】そんな物 んつぁもん:新潟。
んーたもんいんね:そんな物要らない。
んだら
んだらー
んだらば
【複】そうしたら、そうなら 『んだらば』は、テレビドラマ水戸黄門で光圀が田舎爺に扮したとき使われた方言。
んだら:宮城・山形。
んだらば:宮城。
〜んだら 【助】〜(する)なら 標準語では完了の助動詞『た』の仮定形。ガ・ナ・バ・マの各行の五段活用の動詞に付く時に限って『だ』になる。仮定形が撥音便になる動詞に付く様である。かんだら:噛んだら、よんだら:読んだら、んだら:屈んだら、こばんだら:拒んだら。
茨城弁の場合『〜(する)のなら』が訛ったか、『〜(する)のだら』『〜(する)のであらば』(最近とんと聞かない)の撥音形と考えられる。これは、『〜にてあるらむ』『〜にてあるらば』がルーツだとすれば、全ての疑問が解ける。
茨城では清音形をを使うのは促音化した動詞だけで他は全て濁音形が使われる。
いぐんだら:行くなら。
よぶんだら:呼ぶなら。
むんだら:屈むなら。
こばむんだら:拒むなら。
やんだらいーべ:やるのなら良いだろう。
おめがやんだらいーべ:お前が遣るならいいだろう。
★『土』:欲(ほ)しいっちんだら出(だ)して遣(や)れえ。
〜んだらば 【助】〜(する)ならば
んだわ 【複】そうだ、そうだね
んだわげあんめ
んたわげあんめ
【複】そんな訳ないだろう
んだわげねーべ
んたわげねーべ
【複】そんな訳ないだろう
んだんだ 【複】そうそう、そうだ じゃじゃ:岡山。
じゃーじゃー:宮崎。
じゃがじゃが:宮崎。
んだんだ:福島。
んだんべ 【複】そうだろう
んだんべげな 【複】そうだったろう
んだんめ
んだんめー
んだんめよ
んだんめよー
【複】そうじゃないだろうよ 短縮形、=『んだあんめよ』
んぢぇす
んぢす
んでぃす
【複】そうです
(んじゃっかなー 【感】さようなら 福島。
(んじちゃーびら) 【感】さようなら 沖縄。
んつぁー
んつぁま
叔父 『おんつぁん』がさらに訛ったもの。
◎んで
んでー
【接】で、それで、それでは 標準語の口語で使われることがある。俗語。
んでどーしたっちんだ:それでどうしたって言うんだい、んでだがらだよ:そうだからだよ
(〜んで) 【複】〜(し)ないで 長野。『〜ぬで』
一般には関西言葉である。
んでぁ
んであな
んでは
んでやな
【複】@それでは、Aさようなら 辞書によれば、もともとは『である』を『であ』と言いそれが訛ったとある。現在も他県にある『でやあ』『でぁあ』の言い方は、古い言葉であることになる。また、茨城でも昭和30年代には『んでぁな・んでゃな』に近い言い方をしている人がいた。
んでまず:宮城。
んでぁまだ:じゃあまた。
んでぃす
んでぃっす
んです
んでっす
【複】そうです テレビや教育の影響による新語。茨城弁の特徴を生かしながら標準語を取り入れた過渡的な言葉葉。東北では『んだっすか』にあたる。
んですねー:そうですね。
んですか:そうですか。
んでがさ
んでがす
【複】そうです んでがす:宮城。
んでさあ
んでね
それでさあ、それでね 俗語。
んでな
んでなー
【接】それでな んでなー:埼玉。
んでなげば
んでなげれば
【複】そうでなければ
んでねー 【複】そうじゃ無い
んでは 【接】それでは 俗語。
んでも 【接】それでも 俗語。
〜んでもあっ
〜んでもあんべ
【複・助】〜(する)んだろう〜、〜(することでも)あるんだろう 30年代の言い回し、婉曲的な言い回し、その後次第に使わなくなる
んでもつーでもねー
んーでもつーでもねー
んでもつんでもねー
んでもねーつーでもねー
【複】何の返事も無い
んでよ
んでよー
【接】だからさ、それで 最近は若年層は『んでさ』に変わっている。
んでよ:千葉野田。
んと
んーと
んーとー
@【副】沢山、A【慣】ええと A『ええと』の意味の『んーと』は俗語でも使われる。
んと:宮城。
茨城の『んーと』は長音化するとイントネーションが異なる。
んーとー
1141
んとな:ええとね。
んーとよ:ええとね。
それは、んーとー、こやってとぐんだ:それはね、えーと、こうやって解くんだ
んどい 【形】ひどい
んどぐ
んどく
【副】ひどく
んとご
んーとご
んとごさ
んーとごさ
んとごせ
んーとごせ
んとしょーど
【副】沢山、うんと
んとごさ
んーとごさ
んとごしょ
んーとごしょ
んとごせ
んーとごせ
んとごどっこい
んーとごどっこいしょ
んーとごんーとご
んとどっこい
んとどっこいしょ
【副】力を入れる様、うんと ほぼ力を入れる意味の方言と一致する。
んとごせ
んーとごせ
【副】やっと 鹿島郡。
んーとな 【慣】あのな、ええと
んーとよ 【慣】あのね、ええと
んな 【代】そんな んな:宮城。
んな @【感】なあ、A【代】おまえ
〜んな
〜んなな
【複】〜(す)るな ラ行の活用形の動詞に現れる言葉。江戸言葉である。現代では俗語として生きている。
『な』を重複する言い方の場合、最後の『な』は終助詞であり、文法的には成立するが標準語ではそのような言い方はないまたこの場合の最後の『な』は、念を押す感嘆詞とも言える。
〜んな:群馬。
すんなすんなな:するな。
とんな:取るな。
やんな・やんなな:遣るな。
よんな:寄るな。
遣るなをベースにした変形。
なんでそんなことやんの:どうしてそんなことをやるの?。
いづまでそったごどやんの:いつまでそんなことをするの?。
(〜んな) 【助】〜の 宮城。格助詞。
あんだんな:貴方の。
おめんな:お前の。
おはなさんな:お花さんの。
〜んない 【助】〜(ら)ない 『〜らない』の音便。今では標準語の口語でも使われる。茨城では古くから使っていたが、都心では特定の言葉に限られるようである。
〜んない:東京。
いんない:要らない。
くんない:呉れない。
しんない:知らない。そうかもしんない:そうかも知れない。。
やんない:やらない。
んなごど 【複】そんなこと
んなごだね
んなごだねー
【複】そんなことはない んなこたねー:東京青梅。青梅ではなこたねーとも言う。
んな事言われてその気になって 結婚したのが大間違い 炊事洗濯まるで駄目:スーダラ節(植木等)。
〜んなって 【複】〜になって 『〜に』の音便。
あさはやぐおぎるよーんなったらちょうしいぐなった:朝早く起きるようになったら調子が良くなった。
んなの 【代】そんなの、そんなもの、【慣】そうなの
んなよ 【感】そうだよ
んなもな
んなもなー
【複】そんなものは 俗語か。
んなもなー:東京。
んならがす 【動】うなりをあげる
んなわげあんめ
んなわけあんめ
【複】そんなわけ無いだろう
んなんだけんと 【複】そうなんだけれど
んにゃ 俺、私
んにゃ 【感】否、反対 んーにゃ:鹿児島。
んにゃかげる 【複】強く反対する
〜んね
んねー
【助】〜れない、〜できない 『〜んない』がさらに訛ったもの。標準語の口語では、『遣んない』がある。
★『土』俺(お)ら要らねえや、齒悪くなっちゃって噛まんねえから:俺は要らないよ、歯が悪くなっちゃって噛めないから
(んねえー) 【感】へえ 宮城。
〜んの 【複】〜(す)るの 標準語の口語でも使われる。『る』の音便。
なにすんの:何をするの。
なにやんの:何を遣るの。
んのやろ
んのやろー
【慣】この野郎、あの野郎
んば 乳母 んば:下女:福島。
んぶー 【動】負ぶう んぶー:福島。
んぶする 【複】おんぶする んぶ:おんぶ:山形。
んー、ふっふっふっふ 【慣】迷ったときの言葉 標準語と同じ表現だが、気をつけないと『いー、っひっひっひ』に聞こえてしまう。
〜んべ
〜んべー
【助】〜(する)だろう、〜(し)よう 動詞の音便形に付ける。
んま @馬、A作業用の台 全国にある訛り。古語の『むま』の流れ。茨城ではきわめて顕著。関東では栃木・群馬が欠落地域である。関東ではむしろ『んま』の勢力の方が大きい。 『呼称』には『灯心をとうしみと云時は和訓和名と成。たとへば芭蕉をはせを、文をふみ、紫苑をしをにと云類也。是音を和語に用る例也。』とある。これによれば、和語の表記をそのまま音読みしたものが標準語となっているものがあることが解り『んま』の発音は方言とは言いがたい。
@・をま:長野。
んま:山形・福島・東京。
んま @【名】▲食べ物、A【形】美味い 幼児語。=『うま』
@・んま:新潟。
んま 売春婦 水戸市の方言。隠語か。
んまあぶ ウマバエ
んまい 【形】@美味い、A甘い、A良い、B上手だ 俗語。『方言地図』によると全国に分布するが偏在している。北海道・東北南部、新潟・長野・富山・石川、近畿南部、四国等に集中する。関東では、茨城・千葉の全域と東京東部に分布し、江戸の下町言葉でもあると推測される。
んまおげ 飼い葉桶
んまおり 嫁入りの時、途中の中宿で立ち寄ること
(んまが) 沖縄。古語『うま
んまあーね
んまあわね
【複】うまがあわない、性向が合わない んまあう:馬が合う:東京。
んまがない
んまかない
んまがね
んまがねー
んまぐね
んまぐねー
【形】@美味くない、A甘くない、B良くない、C上手ではない @・んまぐね:宮城・福島。
んめぐねー:福島。
んまぐづ
んまくっこ
馬にはかせる草鞋
んま 馬小屋 んま:宮城。
んますてば 死んだ馬を葬る場所、多く馬頭観音のある場所
んまたでば
んまたてば
馬を繋ぎ止めるところ、馬の休憩所
んまだらい
んまだれー
馬を洗う時のタライ 『馬盥』。
んまつくらい
んまつくろい
んまつくれー
@観音講、A馬の手入れ 『馬繕い』の意味。『繕う(つくらう・つくろう)』。
んまつくらいば 馬の手入れをする場所 『馬繕い場』。
んまとび 馬とび、子供の遊びの一つ
んまねる 【動】告げ口をする 『集覧:高』。『阿る(おもねる)』が訛ったもの。
んまのけー 馬に飲ませる水 水海道市。『馬の粥』の意味か。
んまのじゃーぼ
んまめのじゃーぼ
んまめのじゃんぼ
仰向けに寝てのんびりしていること 馬は死ぬと4本足を上にして運ばれるためそう呼ばれる。
んまのそーれん 農休日 稲敷郡。『馬の葬礼』の意味。
んまべろ @モクレン、Aノカンゾウ @・んまのしたべろ:埼玉。
んまめ
んまや 馬の血統 『厩柄』の意味。
んまや 家畜小屋の糞尿と敷藁とのまじったものを腐敗させた肥料。 『厩肥』。多く『まやい』と言う。
んまやど 結婚式の中宿
んまーらいば 土浦市手野町石田にあった池の名称 『馬洗い場』の意味。
んまる 【動】埋まる
んまれいー 【複】家柄が良い、血筋が良い 『生まれが良い』。
んまれこ @その土地に生まれて育った人、Aそこで生まれ婿を取った女性、B生まれたばかりの赤ん坊
んまれだぢ うまれだち、うまれつき、天性 んまれだち:東京。
んまれっこ @その土地に生まれて育った人、Aそこで生まれ婿を取った女性、B生まれたばかりの赤ん坊
(んみゃーち) 【感】いらっしゃい。こんにちは。 沖縄。
んめ んめ:福島。
んめ
んめー
【形】美味い、上手 俗語。一般には『うめえ』と言う。
んめ:青森・宮城。
んめー:宮城・福島・群馬・埼玉。
んめー:甘い:神奈川。
〜んめ
〜んめー
【複】〜しないだろう、〜できないだろう 〜んめっちゃ:宮城。『〜まいにてや』。かかんめっちゃ:かけないじゃない。
〜んめっちゃや:宮城。『〜まいにてや』。とらんめっちゃや:取れないじゃない。
どごにもいがんめ:何処にもいけないだろう。
んめず 梅酢
(〜んめっちゃー・〜んめっちゃや) 【複】〜できないではないか 宮城。『〜まいにてや』。
かかんめっちゃや:書けないではないか。
とらんめっちゃー:取れないではないか。
んめぶし
んめぼし
梅干
んめーもん おいしい物 俗語。
んめる 【動】埋める
んめわが
んめわがさま
んめわがじーごにぢ
んめわがじーごんち
3月15日の行事。餅や赤飯を作り神棚に供える。 『梅若様』。梅若丸の故事にちなんだもの。広辞苑には『謡曲「隅田川」中の人物。吉田少将の子。人買に誘拐されて東国に下り、隅田川畔で病死。遺跡(東京都墨田区堤通)に木母寺(モクボジ)があり、旧暦三月一五日を梅若忌とする。』とある。
んるさい
んるせー
【形】うるさい
 本茨城弁集は、昭和40年前後の茨城方言を中心に茨城県全域の江戸時代まで遡る言葉を集めたものです。他県の方言との関係を重視し主要なものについては他県の方言も紹介しています。また、近年使われなくなってきた標準語や語源考察、また昭和30年代の風俗・文化等を紹介するために、合わせて標準語も掲載していますのでご注意下さい。
 お気づきの点やご指摘等がありましたら、『茨城弁投稿』と書いてお気軽にここにメール下さい。他地域・他県との関係情報もお知らせください。訛の変遷が解かるような投稿は積極的に掲載致します。