昔の茨城弁集
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◆印:『土浦の方言・続土浦の方言』掲載語。■印:『土浦市史・民族編』掲載語。▲印:『茨城方言集覧』掲載語。印:新編常陸国誌掲載語。印:茨城方言民俗語辞典掲載語。印:茨城弁今昔掲載語。印:物類称呼掲載語。●印:『国立国語研究所・日本語情報資料館・電子資料館・日本言語地図・方言文法全国地図』掲載語。▼印:日本方言大辞典掲載語。印:日本方言辞典掲載語。浪花聞書掲載語。印:俚言集覧掲載語。★印:使用例とその標準語訳。黒太文字:標準語。
茨城弁 標準語訳 備考・解説・使用例
(か) 方言理解のための必須用語。(広辞苑)。
1)か【何】:疑問を表す語。なに。だれ。どれ。「誰―(スイカ)」「幾―」
2)か【彼】:【代】
@遠くにある物や人を指す。かれ。あれ。万一四「―の児ろと宿(ネ)ずやなりなむはだすすき裏野の山に月(ツク)かた寄るも」
A「何」と対応して、並列される事物を漠然と指し表す。浄、夏祭浪花鑑「何をいふも―をいふも皆こつちの不調法」。「何や―や」
3)か:【副】あのように。ああ。万一七「―行きかく行き見つれども」。万二「浪の共(ムタ)―寄りかく寄る」
4)か:【助詞】事柄に対する疑問を表現する。また、自己の迷い・惑いをこめた詠嘆の感情を表現する。
@【係助詞】
ア)文中にあって係りとなり文末の活用語を連体形で結ぶ。
・「…か」「…だろうか」という疑問を表す。記中「にひばり筑波を過ぎて幾夜―寝つる」。伊勢「かかる道はいかで―いまする」
・活用語の已然形その他条件表現を受けて疑問を表す。万一五「吾妹子がいかに思へ―ぬば玉の一夜も落ちず夢(イメ)にし見ゆる」
・「…だろうか、いや…ではない」という反語を表す。万一七「いづれの時―吾が恋ひざらむ」。竹取「何の疑ひ―あらむ」
イ)文末にあって文を終止する。ただし口語の文末に用いられるものは終助詞とするのが普通。
・疑問の意を表す。万一「少女らが玉裳の裾に潮満つらむ―」。古今秋「秋の月山辺さやかに照らせるは落つるもみぢの数を見よと―」。源桐壺「我かの気色にて臥したればいかさまに―と思し召しまどはる」
・問いかけの意を表す。平家一○「宗清は御供して候―」。十訓抄「此の木はさくら―」
・反語の意を表す。多く「かは」「ものか」の形となる。万一五「心なき鳥にぞありけるほととぎす物思ふ時に鳴くべきもの―」。古今春「声絶えず鳴けや鶯ひととせに再びとだに来べき春―は」。天草本平家「大勢の中から一人選ばるるは後代の冥加ぢやと喜ばぬ侍は何の用に立たう―」
・「ぬ」を受けて願望を表す。(「ぬか」で一語と意識された。「も」を伴うこともある。奈良時代に多用された) 万三「わが命も常にあらぬ―昔見し象(キサ)の小河を行きて見むため」
ウ)他の助詞について否定の意を表し接続助詞のように用いられる。浄、冥途飛脚「恥をかくばかり―梅川は何となれといふことぞ」
A【終助詞】 体言または活用語の連体形に接して文末に置かれる。
ア)「…かなあ」という詠嘆の意を表す。(多く、事に気づいた時の心の動揺を表す。助詞「も」と呼応することが多い) 記下「山県に蒔ける青菜も吉備人と共にし摘めばたのしくもある―」。万一「三輪山をしかも隠す―雲だにも情(ココロ)あらなも隠さふべしや」。古今春「はかなくも散る花ごとにたぐふ心―」。「彼も死んだ―」
イ)疑問を表す。江戸時代「ず」について疑問を表し文を終止した例がある。浄、手習鑑「春様はまだ帰らず―」。人、春の若草「此儘死だ方が増―と思ひますよ」。「無事に着いた―」
ウ)問いを表す。浄、淀鯉「こなたは御存じござらぬ―」。「何を聞かれたの―」「本当にそう―」
エ)反語を表す。浄、淀鯉「泣いて居て、すむ事―」
・多く「ない」を受けて、相手の同意を求める。膝栗毛初「なんと奇妙―」。「一杯やらない―」
・相手を非難する意を表す。「いつも言っているではない―」「言われてする人があります―」
・近世、上層で下女などに呼びかける時その名につけて言う。浮世風呂二「弥寿―」
B【副助詞】多く不定を表す語と共に用いられて不確実な意を表す。浄、生玉「いやいや今迄幾たび―たらされた」。浄、手習鑑「伊勢の御師―なんぞの様に」
C【並立助詞】 文中で対等の関係に立ついくつかの語を並べてそのうち一つの選択を求める意。平治「大国―小国―官裳加階も進むべし」。浄、博多小女郎「今日―明日―は戻られふ」。「明日は晴―雨―を占う」
5)か:【接頭】形容詞などに冠して語調を整える。万一五「―黒き髪に」。「―細い」

6)【接尾】状態を表す体言を形づくる。「さだ―」「ひそ―」「ゆた―」
7)か【処】:【接尾】(ソコのコ、イヅクのクと同源) 場所の意を表す。万五「国の奥―を」。「住み―」。
8)か:(形容詞の語尾クに助詞ハのついた「…くは」の約) …ければ。狂、素襖落「諷ひた―此方諷はつしやれ」
かー @▲川、A▲皮、B肌、C蚊 @川も皮も側も同源と思われる。古語では『かは』と言う。川は古くは『か』と言った。平坦な表現は、茨城に限ったものではなく、古語の『かは』に由来することは間違いない。
かー:福島・東京西部・神奈川・静岡。
かーど:川岸にある洗い場:神奈川。
かは:岩手。
かーら:沖縄。
かわど:川岸にある洗い場:神奈川。
けーど:川岸にある洗い場:神奈川。
A『集覧:西』。古語の『かは』に由来することは間違いない。『架端』の意味か。
かー:沖縄。
かは:岩手。
つらのかー:面の皮。
B皮を肌の意味で使うのは誰でも理解できる。体の縁にあるからである。漢字が伝わった後、皮が当てられたのであろう。『肌』はあまり使われていなかった。
C・かー:青森。格助詞が隠れている。
かーとんできた:蚊が飛んできた。
(かー) 井戸 伊豆大島・長崎・沖縄。井戸が無い時代に川の水を利用していた時の名残か。広辞苑に『かわ:(九州・沖縄などで) 井戸。かあ。いかわ。』とある。
かわ:島根・広島・山口・愛媛・大分・長崎・壱岐・五島列島・鹿児島・種子島。
がー
かー
『集覧:稲・新』。何とも素朴な言い方。
がーさま・がーま:宮城。
(がー) 沖縄。『皮』の意味。もともとは『側』か。
ちらがー:豚の皮。
みみがー:豚の耳。
かー
かう
【動】買う 『かう』とも発音するが、『買う』が『かあ』となるのは、『あ』にアクセントがある時である。
かーだー:食べよう:山梨。
かる:青森。
★『土』:呉(く)んねえか、買あんだから:頂戴よ、買うんだから。
(かー) 【動】食う 静岡。
かー 【慣】駄菓子屋を訪問するときの言葉。下さいな。 石岡市。
単純に買う意志を示した原始的な言葉である。
かうー:下さいな:秋田・山形。この方言を見る限り、普通は『かーべ、かうべ』と言うところを終止形を用いた方言で、かなり原始的な言い方である。
かー
かう
【動】(鍵を)かける、支う 南京錠やかんぬきを使った時代の言葉『支う』がそのまま残っているもの。現代語の『掛ける』も同様である。
かう:群馬・山梨・長野。
かる:青森。
さんかめる:山形。
かったがー:鍵をかけたかい。
かー 【慣】@ええ!、なにそれ!、Aそうか @『3113』『3111』。
A『31』。『そうかー』の短縮形。

がー
【感】だからか、そうか もともとは終助詞。
『からが』『そーが』『んがー』が短縮したと考えられる。標準語で『それでどうした』を『でどうした』『で』と言うのと同じ語法。
【接】(接続助詞からの転用) であるが。だが。 標準語。普段気が付かずに使っている言葉。
【複】〜の家 『〜
おらさこーよ:家に来いよ。
〜が〜
〜が〜
〜か〜
〜かー〜
【複】〜くは 形容詞の語尾『く』に助詞『は』のついたもの。
標準語世界で使う人は少ないが清音なら江戸言葉でもある。
やりだがねー:やりたくない。
★『土』:寒(さむ)かあんめえな:寒くないだろうが。
★『土』:どうした鹽辛(しよっ)かあ有(あ)んめえ:どう?、塩っぱくないだろう。
〜が
〜がー


〜か
〜かー
うらっかー・うら:裏側。
こっちか:こっち側。
★◆つぢうらっか:土浦側。
めーか・めー:前側。
まーりか・まーり:周り側。
〜か 場所を示す、処 かぐれか・かぐれっか:隠れ家。
どでか:土手になったところ。
(〜ー) 【助動】〜です 静岡。
◎〜 【助】@〜の、〜のもの(標準語)、A〜分(古語)、B〜の(〜)、体言の省略形 格助詞。
現代語には無い表現。以下概ね解明できている。当時の茨城弁は、古語がほぼ忠実に残っていたことになる。
@所属・所有を表す『が』は古い標準語。現代語ではほとんど文語でしか残っていない。『我が社』等。『そのぬしぬしの足をば取違へ、我を人に、人のを我に、つぎかへたり/咄本・醒睡笑:大辞林』。茨城弁では日常会話で頻繁に使われる。
:群馬・八丈島・静岡。おれん:俺のもの:静岡。あかい:赤いもの:静岡。
どごみぢいぢばんみちけーんだっ:どこの道が一番短いんだろう。
そいづはおれ:それは俺のものだ。
あいづやろ、いづまでいんだっ:あいつの野郎、いつまで居るんだろう。
★『土』勘次さん心持(こころもち)も分んねえな:勘次さんの考えていることも解らないな。
★『土』:そんじゃ爺(じい)砂糖でも嘗(な)めろ:それじゃあ爺の砂糖でもなめろ。
★『土』:此(こ)の粒(つぶ)でがすから、わしに相違ありあんせん:この粒ですから私のに相違ありません。
★『土』:俺(お)れ南瓜(たうなす)は此(こ)れだっけかな
A古語にもある表現。相当する分量を示す。
浮世風呂に『四文がくだっし。』とある。
:静岡。
:大阪。
ひゃぐいんはあんな:100円分はあるな。
ごじーいんもってこーや:50円分持って来なよ。
ひゃぐいんではだいだ:百円分では駄目だ。
おめにやっから:お前の分としてやるから。
B一見意味の無い単なる接尾語のようだが、実際は『が』に続く体言が省略されたもので@の変形。
いー:良いように:石川。
いっせんがっ:一銭の価値:鹿児島。
じゃ:〜のだ:高知。
おめ(ごど)はきれーだ:お前は嫌いだ。
あいづ(やづ)はなにやってんだっぺ:あいつは何を遣っているんだろう。
★『土』:うむ、そんでも俺(お)ら見(み)てえなな、滅多(めった)持(も)ってるもなねえかんな
★『土』:身體(からだ)の工合(ぐええ)惡(わ)りいなんて、さうだ料簡(れうけん)だから卯平等(うへいら)仕(し)ゃうねえ、此等(こっら)ようまづだなんて、ようまづなんち病氣(びゃうき)は腹(はら)の蟲(むし)から出(で)んだから、なあに譯(わき)あねえだよ、蛇(へび)でかう扱(こ)きおろすんだ、ええか、俺(お)れこすってやっから、いや本當(ほんたう)だよ俺(お)らなんざあ
【助】前後が反対の結果になり、食い違う事柄に移行したりする意味を表す。〜けれど。 接続助詞。
現代ではもっぱら文章語として使われ口語からはほとんど消えてしまった。現代では『ところが』程度か。茨城の高齢者は今でも口語として使う。
んだよー、かいってよがった:だけどね、かえって良かっただろう。
〜が
〜がー
【助】〜か、〜かい?、〜ですか? 疑問の終助詞。
茨城では『〜げ、〜け』の方がやや丁寧語になる。
現代語では一般に『〜のか』が使われるが、口語では『〜か』が使われる。
茨城方言では、丁寧語として古くは『かい、かえ』、転じて当時は『げ、け』が使われた。
〜が:東北・岩手・鹿児島。
〜かわ:宮城。古語の発音『くわ』の名残か。
〜きゃー:静岡。どこへいったきゃー
いかなぇが:行かないか:岩手。
あーそーが:ああそうか。
:行こうか。
ふんとがー:本当なの?。
【助】@相手の注意を促す。ぞ。A感動や強く念を押す気持を表す。B(疑問の「か」の転ともいう) 希望を表す。上に「し」「てし」「にし」を添えて「しが」「てしが」「にしが」とする。また「がな」「がも」「もが」「もがな」「もがもな」となることもある。後世には「がな」が主に用いられた。 終助詞。
現代では西日本で広く使われる。他の終助詞と組み合わさることも多い。@Aの識別は難しい。
@・:静岡。『です』の意味。
〜がお:鹿児島。
A現代では『〜がな』が使われる。
:群馬・新潟・富山・石川・奈良・鳥取・島根・愛媛・高知・宮崎。中国・四国以西では濁音。そうする:そうするよ:静岡。
:〜のに:新潟。『がのに』。
:埼玉・群馬・新潟・岐阜・愛知・高知。
:富山・石川・愛知・愛媛・高知。現代語では『のだ』の意味に近い。
B・:〜のか:高知・静岡。
:兵庫・鳥取。
〜が
〜か
【助】かどうか 副助詞。
多く不定を表す語と共に用いられて不確実な意を表す。
〜が:秋田。
どーすんだがみでみっ:どうするのか見てみようよ。
★『土』:汝等(わツら)なんにも知(し)らねえから仕(し)やうねえ、田耕(たうね)え始(はじ)まりにやおとつゝあ等(ら)見(み)てえな手(て)だってかうえに出(で)んだか見(み)ろ:お前なんか何にも知らないからしょうがない。田うないの始めには、お父さんみたいな手だってこういうように(肉刺が)出来るかどうか見てみなさい。
(〜か) 形容詞の語尾 活用はしない。福岡・佐賀・長崎・宮崎・熊本鹿児島。
現代語では形容動詞の語尾に残る。
いたか:痛い・熱い:鹿児島。
うけ:多い:鹿児島。
うまか:うまい:福岡・長崎。
うんまか:うまい:鹿児島。
かいか:痒い:鹿児島。
つよか:強い・財力がある・大きい:鹿児島。
かーあしなが 足半 竹の皮で作ったものと思われる。
あんだ 【複】〜が有るんだ 『何があんだい』ならくだけた標準口語として使われることがある。
かい @かえること。A代り。予備。 『代え・替え・換え』。
かい
交換の割合。 『代え・替え・換え』。
かい
くらい、位、程度 本来交換の割合を示す『かえ』の意味が転じた可能性もある。
かい かい:佐渡島。
がい 自分の考えをおし通そうとする気持。わがまま。我(ガ)。 『我意』。
我意を通す:我を通す。
○☆がい 【形動】@もう結構の意味、多すぎる様、害になるほど多い様、あまりに、余計な様、A害、無理 『げー』
@『集覧:久・稲』。
近世で使われ、現代では死語になった言葉である。
古い標準語に『がいな』『がいに』(大層な、はなはだしい)がある。これは『我意な、我意に』の意味と推測されているが、『害な、害に』の意味ではないかとも思われる。ただし『我意』は『自分の考えをおし通そうとする気持。わがまま。我(ガ)。』の意味。どうやら『我意』は当て字の可能性が高い。また『実に』と当てられた『げに』とも意味が近い。
また、数量の単位に『垓』(がい)がある。日本語の数の単位は大数の場合『一、十、百、千、万、億、兆、京、、穣、溝、澗、正、載、極、恒河沙、阿僧祇、那由他、不可思議、無量大数』である。このうち一般の人に親しまれているのは、せいぜい『京、垓』までである。国家予算でさえ、兆を上回ることはない。『垓』もともとは『はての意。境。』の意味で、数値としては『@京(ケイ)の一万倍。すなわち一○の二○乗。A古くは京の一○倍、すなわち一○の八乗。』である。
『称呼』には、『大いなる事を(中略)がいとも云(関東すべていふか)。』とある。
『俚言』には『我意:(中略)常陸の土民物の多きをがいといふ。』『がい:又げえとも云。物の多きを云。がいにつめたいなどと云。異にといふ事歟。然ればげえのかた正に近しがいは、塀をつつしみいふとてはいと訛り呼ふ類なるべし。』とあり、我意と『がい・げえ』を別に扱っている。 またたさらに『げいといふ詞:田舎者のげいにといふは仰にといふ訛也。大分といふに同し詞なり。芝居がある歟。仰にそはつく。』とある。確かに辞書に『仰に』(仰山に。大変に。ひどく。)がある。
『俚言』には『もうだ:水戸にて多をいふ。かいはよけいをいふ。』とある。
がー:余計:東京都大島。
がい:北海道・東北・愛媛。
がい:邪魔・悪い・厄介:静岡。
がい:大きい:宮城・千葉。
がい:ほら・大げさな話:宮城。
がいと:沢山・非常に:大分。
がい:たくましい・荒っぽい・気が強い:香川・徳島。
がい:変な・丁寧な:高知。
がい:大変な様:愛媛。
がいなもんじゃ:大したものだ:三重。
がいもん:良く辛抱した者:新潟。
がいもん:乱暴者:高知。
がいよな:変な・丁寧な:高知。
がうぇー:甚だしい・大きい:長野。
がっともねー:多すぎることに驚く言葉:神奈川。
ぎゃーった:驚いたときの言葉:神奈川。
そーたがいにやるごんだねーど:そんなに余計にする事ではないよ。
A★そらからだにがいんなっかもしんね:それは身体に良く無いかもしれない。
Bその他。
がいぐち:冗談:石川。
がいくり:いっこうに:宮城。
がい
がーい
具合 『げー』
『概(がい)』(趣き、様子)か。
古語では『外』が『ぐゎい』と発音された。
『具合』は『ぐわい』と発音されても誰も不思議とは思わない。
日本語は表意文字で英語に代表される西洋語は表音文字だが、表音文字でも後方同化・逆行同化現象は避けられず、世界中に方言は存在する。
イギリス英語の『me』は、『マイ』に聞こえる。『day』はイギリスでもオーストラリアでも同じで『ダイ』に聞こえる。
かい
かいー
かーい
かーいー
かいかい
かーいかい
【形】痒い @『かい・かいー』
古語では『痒し』だが『俚言』には江戸時代に『かゆ』と言っていたとある。『かいい』は俗語的に使われる。
かい:宮城・鹿児島。
かいー:千葉・群馬・神奈川・長野・山梨。
かいか:鹿児島。
かいかい:宮城。
かやい:群馬・山梨。
かんめにくわれでかーいかい:蚊に刺されて痒い痒い。
うー、かいー、かいかい:ああ、痒い、痒い痒い。
★『土』:おゝ痒(かい)い。
(かいー) 【形】軽い 静岡。
かーい
かーいー
かいかい
かーいかい
【形】可愛い 『かーい』が代表語だが、実際はかなり混乱して使われる。
あじこい:茨城・銚子・京都・神戸。
京都では美しい意味、茨城では可愛い意味である。
いちゃけ:石川。
ししゅーか:佐賀。『殊勝』か。
みじょか:熊本。
みぞか:長崎。
みぞーか:長崎。
むじー:宮崎。
むしゃんよか:熊本。
むじょか:熊本。
むぞーがる:いとおしがる:佐賀。『無慙』(むざん・むぞう)には残酷な意味に加えて『いたわしいこと。ふびんなこと。かわいらしいこと。』の意味がある。どうやら一連の九州方言は、『無慙』(むざん・むぞう)に由来するようである。
むぞきー:大分。
めーじょー:かわいそう:新潟。
めじょけね・秋田。
いーやかーいごどかーいごど、こんではめんながいれでもいだぐあんめ:いやあ、可愛いねえ、これでは目の中に入れても痛くないだろう。
(〜がい) 【複】〜下さい 宮城。命令または丁寧な命令。
近世語の『くだはれ』または『つかはされ』と同じ流れの言葉と考えられる。
〜がい
〜かい
【助】@疑問を表す、A反意を表す、B詠嘆を表す 疑問を表す終助詞『か』に、命令・疑問・断定を表す終助詞『い』がついたもの。広辞苑には『@軽く疑って問う語、A強く反対していう語』しかないが、他にB詠嘆を表す意味もあると言える。=『〜かや』『〜かよ』『〜かえ』
この『い』は、広辞苑に『(終助詞)(ヤからエを経て、あるいはヨから転じたとされる)@(名詞に添えて) 呼びかけを表す。…よ。浄、難波丸金鶏「コレとと様―のふ、とと様と、ゆすれど甲斐もなきがらを」A命令・疑問・断定など種々の文の終りについて語勢を添える。口語では主として男が遠慮のない態度で話すとき使う。狂、萩大名「いやいや、さうもおぢやらぬ―のう」。浄、手習鑑「ソリヤ道理―な、ドリヤ」。「早くしろ―」「なんだ―」「食べるか―」』とある。
これは珍しく全国的に使われる助詞であるが、東日本ではそのまま使われるが、西日本ではさらに別の助詞がつくこともある。ただし方言かどうかの識別は微妙である。ただし、発生のルーツを考えた時、『かい』にさらに『な、ね、の、よ』が付くのは二重表現とも言える。
〜かいさ:古い映画等に出て来る表現。所属不明。
〜かいし:富山。『し』は『さ』の意味。
〜かいな:近畿。
〜かいね:島根。
〜かいねー:鳥取。
〜かいの:香川。
〜かいよ:愛媛。
@・〜かえ:高知。
ふんとにそーがい:本当にそうなの?。
A★そーたごどしっかい:そんな事知るかい。
B★そーがい。いがったなー:そうかい。良かったねえ。
〜がい
〜かい
【助】 形容詞につけて状態を指す。辞書に無いのは本来は『〜か・い』(『い』は強調を整える終助詞)との解釈と思われる。たとえば『柔らか・い』の場合の『か』は、体言を形成する接尾語だが、茨城弁では、語幹に多様性があるため様々な語が生まれる。≒『〜こい』。
九州方言の形容詞表現の『〜か』に通ずる。原型は、形容動詞の『かり』活用の可能性も有る。現代語でも『あたたか・あたたかい』が残る。
すっかい:すっぱい。
やっかい:柔らかい。

いー
【複】〜の家


【助】〜に、〜のもとへ 『〜』『〜
古い格助詞『が』に『へ』がついたもの。
〜がい:長崎。
おらこーたのはーいんねがらおめいやっ:俺はこんなの、もういらないからお前にあげよう。
あそごへいげっどもーが:あそこに行けると思うか?。
いー
ーいー
【助】〜したらいい、〜して行けば良い 『〜(い)けば良い』の転。『が』は濁音・鼻濁音。
ーいー:群馬。
のんでーいーよ:飲んでけば良いよ。
がいいー
がーいいー
【形】具合が良い 単に『具合が良い』が訛ったほか、『概(がい)』(趣き、様子)が良い意味の可能性もある。
(かいいん) 飼い犬 鹿児島。
茨城でも犬を『いん』と言うことがある。
かいぇー 【形】@痒い、A可愛い
かいおごさま 蚕。 蚕はもともと『飼い蚕』の意味。
かい 交代 『交代』を訓読みしたものと思われる。
かいかい 稲敷郡の方言。『可愛い可愛い』意味。幼児語と考えられる。
かいかい:おんぶ:九州。
かいかい @痒いできもの、疥癬、A【形】痒い 広辞苑に『(「かゆいかゆい」の意) 疥癬(カイセン)の俗称。「―の薬」』とある。
かいいしー 【形】@かいのあるさまである。思いどおりのさまである。A有能である。頼りがいがある。B骨身をおしまず、てきぱきしている。はりがあって、いきおいがよい。 『甲斐甲斐しい』。
現代ではBの意味でしか使われずしかも連用形で用いられることが多い。
かいかいしー:もどかしい:宮城。
〜がいがっ
〜がいーべ
【助】〜したらいいだろう、〜して行けば良い 『〜(い)けば良いだろ』の転。
のんでがいがっ:飲んで行けば良いだろ。
かいましー 【形】押し付けがましい、うるさい
がいがめ キツネ 稲敷郡の方言。狐火を指して『怪火』(ふしぎな火。原因のわからない火。鬼火・火のたまなど。)と呼び、その濁音形に接尾語『め』がついたものか。『怪訝』(かいが)に接尾語『め』がついたという説もある。
(貝殻に入った練り薬) 当時の薬で思い出深いのは、練り薬がハマグリの貝殻に入っていたこと。今の様にガラスやプラスチックが普及する前の時代だったので考え出されたものだろう。また、駄菓子屋で売っているハッカの練り物も貝の中に入っていた。
かい 池・沼などの水を汲み出して干し、中の魚を捕ること。 真壁郡・結城郡。
『掻い掘り』と『川狩』が混じったような方言。
かい
かーい
【動】可愛がる 江戸言葉。『かいる』は『浮世』にも登場する。
かい 着替え 『替着』。
かい @正月14日に作る二股のヌルデの先の皮を剥き十文字に割れ目を入れたもの、Aおかまさまに供える二股のヌルデの棒 東茨城郡。
(かいき) 織物の名。 『甲斐絹』。広辞苑に『海気・改機・海黄:織物の名。慶長(15961615)以前に舶来。染色した絹練糸で織った平絹で、無地や縞などがある。羽織裏・夜具・座布団・傘地などに用いる。多くは甲斐国郡内地方から産するので「甲斐絹」とも書く。』とある。
けーき:神奈川。
かいき 古河市。
かいきり 全く、皆目、まるで 古い言葉の『掻い暮れ』の流れか。『掻い暮れ』は当て字なのではないか。『皆限』の意味か。あるいは『皆式・皆色』(かいしき)の転か。『からきり』が訛ったか。
がいくり:宮城。
かいくりさっ:すっかり・初めから最後まで:秋田。
かいふつ:滋賀。
かいきんいわい 病気が回復した祝 『快気祝』。
かい 買い食い 標準語。
食べ物は自ら作り食する時代の言葉なので、死語と言って間違いない。今は、食べるものは全部買って食べるがあたりまえである。
昭和30年代はまだ地産地消の時代だったから、この言葉はまだ健在だった。
戦後10年を経て日本の経済は朝鮮特需を経て、高度経済成長期を迎える。
当時の学校ではなぜかかいはタブーとされた。
かいりかいりっとっとのめ 【慣】乳幼児をあやす言葉 標準語。最近は使う人が少なくなった。略して『かいぐり』とも言う。広辞苑には『とっとのめ【鳥の目】(幼児語) 右の人差指で、左の掌(テノヒラ)の中央を突きながらいう語。また、その遊戯。』とある。江戸時代には『ととの目』。
かいこ @貝、A貝殻 折口信夫の『霊魂の話』には『たまごの古い言葉は、かひ(穎)である。「うぐひすの、かひこの中のほとゝぎす」などの用語例が示してゐる様に、たまごの事をかひこと言うた。蚕にも此意味があるのかも知れぬが、此は姑く、昔からの「飼ひこ」として預けて置かう。ものを包んで居るのが、かひである。米のことをかひと言うたのは、籾に包まれて居るから言うたので、即、籾がかひなのだが、延いてお米の事にもなつたのである。ちかひ・もゝかひ・しるにもかひにもなどの、用語例で見ると、昔は籾のまゝ食べたのかとも思はれる。籾は吐き出したのであらう。さうでないと、かひの使ひ方が不自然である。
かひは、もなかの皮の様に、ものを包んで居るものを言うたので、此から、蛤貝・蜆貝などの貝も考へられる様になつたのである(下略)』とある。
@・かいこ:宮城・福島。
かいごっちょ:群馬。
かいんこ:宮城。
貝を『かいこ』と言うのは東北方言の影響とも考えられるが、貝の中で古くから尊重された宝貝は漢語では『貝子』(ばいし)と言う。これを誤読して『かいこ』と言っても不思議は無い。
A・かいごっちょ:群馬。
かいこ 標準語。
『俚言』には『かいこ:蚕。東国にておこと云。越後にてうすまと云。同国長田にてはぼこと云。信濃にてぼぼうと云。奥州津軽にて大なるものをとうどこと云。小さきものをきんこと云。出羽にてととこと云。房州にてひめこと云。』とある。
がいこー 他人との付き合い 『外交』の意味。
がいこー 小道 『集覧:西』。
建築専門用語に『外構』(がいこう)がある。『外構え』を音読みしたと考えられ、敷地内の建物を除く、門・塀・垣根・道路・舗装・植栽など、家の外部の構えを言う。敷地内の道路を『外構道路』というためそれが訛ったのだろうか?
かいこさま
かいこさん
かいことり 潮干狩り
かいごむ 【動】@買い込む、A(お湯等を)汲み入れる
かいこめ
かいころ
かいさま 逆様、裏返し やや古い標準語の『反様、返様』(かえさま)の転。30年代の言葉。
かいさま:北陸・近畿・中国・四国。
かえさ:宮城・山形。
かえしま:石川・福井。
かーちま:静岡。
かやっさー:静岡。
かやった:静岡。
かいし @お返し、Aおつり、B連作、C鳥の糞 『返し』。
B・かえし:神奈川。
C・かやし:静岡。
かいし 代わり 『為替(かわし)』。為替は当て字としか考えられない。また、ひっくり返した『替為』は『かえし・かえち』読める。
そんかいしやってくれっよな:その代わり遣ってくれるだろうよ。
(がいし) 軽石 鹿児島。
■▲かいしき @皿等の器に盛る食べ物の下に敷く木の葉等、A■▲小皿 やや古い標準語。『掻敷、皆敷、苴』。『集覧:多』。
『俚言』によれば江戸時代には『かへしき(かえしき)』と言ったという。
かえしき:福島。
かいしぎ 【副】(多く打消の語を伴う) 全く、すべて、少しも 『皆式・皆色』。
かえしぎ:山形。
かいしだい
かいしでー
おつり、返し代金 辞書には無いが、近世語と思われる。当時は買い手が品物に換えて支払う金を『代金』と言った。まだまだ物々交換の時代の感覚が残っていた時代と言えよう。物は金で買う時代の過渡期の言葉である。また約めて『お代・代』とも言った。近世語そのものである。
そのお釣りは『返し代金』である。約まって『かえしだい』と言った
かえしだい:宮城。
がいしづ
がいしつ
外出 がいしつ:千葉。
△かいしょ かいがいしい性質。けなげな性質。物事を立派にやりとげていく能力。 短縮形。『甲斐性』。
かいしょ:滋賀・三重・鳥取・高知。
かいしょー:東京。
◎かいじょー 回覧板 『回状:宛名を連記し、次から次へまわして用を達する書状。回書。』。
△かいしょなし 【形動】甲斐性のないこと。意気地のないこと。また、その人。 短縮形。『甲斐性なし』。
かいしょない:神奈川。
かいしょーない:いくじがない・ふがいない:静岡。
かいしょなし:静岡・和歌山・大阪・京都・鳥取・島根・風呂島・山口・香川・愛媛。
かいしょーなし:いくじがない:静岡。
かいじょーまーし 回覧板を回すこと 『回状回し』。
かいす 【動】@返す、Aひっくり返す、倒す、B吐く @江戸言葉。
かいす:八丈島。
かーいーす 子供の遊びでタイムした後、それを解除する言葉 『返す』。
かいすい 水着 『海水着』。やや古い標準語。
(かいせー) 税金 静岡。
(かいそ) 縦糸 静岡。
かいそ
かいそー
かーいそ
かーいそー
【形動】可哀想 かーいそーな:可愛い:徳島。
かうゃーそー:静岡。
めーじょー:新潟。
めどつれ・めどつね:秋田。
:可愛そうだ:長野。惨いのを哀れんでいる意味で哀れむ人の心を表している。
むつこさい:かわいそう:山形。
かいそだなー:可哀想だなあ。
がいだ 【複】多すぎる、沢山だ、余計だ、あんまりだ、無理だ 『がい』の断定終止形。しばしば名詞またはまたは形容動詞のように使われる。以下のこの語法は江戸時代からある田舎言葉でもある。本来は『がいな』で連体詞であるが、形容動詞のナリ活用・タリ活用が現代語に至る過渡的な言葉を残しているとも言える。
現代語なら『がいなんだ・がいなのだ』となろう。
もーがいだ:もう沢山だ:青森。
がいだなことはしないでください:余計なことはしないで下さい:福島・栃木。
そんなことはがいだ:そんなことは無理だ:岩手。
あんなことをするなんてがいだ:あんなことをするなんてあんまりだ:青森。
かいたぐ
かいたぐぶらぐ
上大津地区の北東部に隣接する戸崎原地区の北側の別称。その昔は山林で、そこを農耕に適するように開拓したところからその名が残っている。地図上の地名には無い。
がいだっ 【複】沢山だろう、十分だろう 『集覧:久・稲』。古い標準語の『我意』は『がいな』『がいに』(大層な、はなはだしい)と同じルーツの言葉。
かいたで 買い立て、買って間もないこと、新品 かいたて:群馬。
△かいだるい
かいたるい
【形】@手足がだるい、かったるい、Aものたりない、歯がゆい 『集覧:行』。
現代語の『かったるい』の古形。『かいなだゆし・かいだるし』の流れ。
『俚言』には『けったるいかったるひの転なり。東国の語かひだるしと同志。』とある。
@・かいだるい:静岡・三重・和歌山。
けーなたるい:新治郡・つくば市・行方郡。『腕(かいな)だるい』意味で鎌倉時代の言葉である『腕弛し』の流れ。
A・かいだるい:福井・徳島。
かんだるい:佐渡島。
かいだん 廃品回収業者 那珂郡。
かいぢ
かいち
代わり 『為替(かわし)』。為替は漢語か。ひっくり返した『替為』こそ『かえし・かえち』と読める。
かいち:静岡。
かえち:静岡。
かーち:長野・山梨・静岡。
そんかいちだ:その代わりだ。
かいち
□△かいちゃ
かいちょ
かいちょっけ
かいっちょ
【形動】裏返し、返様(かえさま)、反対、あべこべ 『集覧:多』。那珂郡では『かいち』と言う。標準語圏では『返様』が死語となり地方にその変形語が残る例。
かえさ:山形。
かいちゃ:岩手・宮城・福島・茨城・千葉。
かいっちゃ:静岡。
かえちゃ:山形。そんじぇあかえちゃだ
かえちゃまぐれ・かえちゃまくれ:山形。
かえっちゃ:静岡。
かーちま:静岡。
かっちゃ:青森・秋田・山形・東京三宅島。
かっちゃえ:山形。
かっちゃめ:秋田。
かやっさー:静岡。
かやった:静岡。
きゃーっちゃ:静岡。
きゃんちゃ:宮城。
かいちーでんき
かいちーでんち
かいちゅーでんき
かいちゅーでんち
懐中電灯 全国的には『かいちゅうでんき』
かいちゅーでんき:神奈川。
かいっか 【複】帰ろうか、替えようか
かいつ 仲買、仲買人 やや古い標準語。『買い継ぎ』。
かいって
かいってや
かいってやー
【複】 反対に。逆に。あべこべに。 『却って・反って』。『て』の発音は『てぃ』に近い。
『や』は『【終助】状態を表現する語に付いて感動を表す。』。
かいっちや:鹿児島。
いんや、かいってや:いいえ、かえって(有難う御座いました)。
かいってやてーへんでしたよー:お礼の言葉。かえって有難う御座いました。
かいってどーも
かえってどーも
【慣】 挨拶代わりの『どーも』に対する受け答え、良く使われる。『どーもかいって』『どーもかいってどーも』等その場の環境や言い回しの関係で様々に使い分ける。
(かいっら) 【副】辛うじて 静岡。
かいっ
かいんべ
【複】帰ろう
かいで カエデ
△▽かいど
かいどー
@街道、A▲門、門口、B門から玄関までの途 『けえど』
屋敷の形状によって微妙に意味が変化していると思われる。辞書には『垣内(かいと)』(@居所の垣の内。垣根の中。A宅地・田畑にすることを予定して囲った一区画の土地。中世の豪族屋敷や小部落を意味することが多い。かいち。(カキツの転))とありそれが転じたものと思われる。『かきうち』とも言う。
@『国誌』には『門外の地』とある。
A『集覧:稲』。
茨城方言集覧では『門』の意味で解説されている。
かいど:茨城・千葉・静岡・三重。
かいど:外・戸外:北陸。
Cその他。
かいと:畑。
かいど:乞食:大阪。
かいと 買う人
がいとー 防寒・防雨のため洋服の上に着る衣類。オーバー。 『外套』。
かいどなり @直ぐ隣、A敷地成り @『垣内(かいと)隣』または『界隣』の意味。
A『垣内(かいと)成り』。
がいな 【連体】甚だしい、過分な 古い標準語。『我意な』。
茨城では通常は『げーな』と発音する。全国にある『がいな』という方言は、意味が様々に変わっている。『沢山・大きな・甚だしい』に準じた意味で使われる。
がいな:強い・丈夫な:富山・奈良・京都・兵庫・中国・四国。
がいな:粗暴な:新潟・和歌山・高知・大分・長崎。
がいな:大した:三重・高知・愛媛・山口。
がいな:大きな:富山・三重・和歌山・鳥取・島根。
がいな:たくさんな:和歌山・宮崎・大分。
(かいな) 青森・岩手・秋田・宮城・静岡・愛知・滋賀・大阪・三重・兵庫・島根・沖縄。
・かいな:肩甲骨:島根。
きゃーな:八丈島。
かいない 【形動】@(体が)弱い、病身な、A足りない、不十分 @『俚言』には『かひない:軟弱なる物をかひないと云。又卵をかひとよめば、本(も)と卵の軟弱なるより出たる言なるべし。ないは詞也。』とあり、江戸言葉が源の言葉であることが解る。
かいない:東北全県・千葉・栃木・群馬・新潟・長野。『香取』には『身体の虚弱其甲斐なし』とある。
かえなえ:山形。
A@の意味が転じたか、単に『足りない』が訛ったか。
かいない:山形。
かえなえ:山形。
〜かいない 【助】〜甲斐がない 格助詞が助詞の省略・清音化。全国にある『かいない』という方言は、意味が様々に変わっている。
○△☆がいに 【副】甚だしく、過分に、あまりに(害になるほど) 古い標準語。『我意に』。『がい』参照。
広辞苑には『(「がい」は「我意」の意か) 甚だ。非常に。ひどく。大層。げいに。』とある。全国的に使われるが、『沢山・甚だしく』に準じた意味で使われる。茨城では通常は『げーに』と発音する。
『称呼』には、『南部の方言にてよめる歌に(中略)大いなる事を(中略)がいとも云(関東すべていふか)。』とある。
がいに:東北・千葉・栃木・埼玉・東京大島・山梨・静岡・愛知・三重・和歌山・兵庫・岡山・鳥取・島根・香川・愛媛・大分。
がいに:沢山:大分。
ぎゃーに:山梨。
ぐゎいに:島根隠岐。
かいねん 木を尖らせて地面に刺す子供の遊び、ねっき 『集覧:真』。=『げんこぶち・ねんこ』。子供の遊びは、かなり近い地域でも異なること多いのは面白い。『支い根』の意味と思われる。
(かいばさらできねー) 【複】買うことなんてとんでもない 神奈川。『買うをばさらできない』(買う事は全く出来ない)の意味と思われる。
(かいり) 水路などに誤ってズボンや靴をぬらしてしまうこと 福島。
『川干し』『掻い掘り』『川狩り』のうち『掻い掘り』の意味が転じ訛ったか。あるいは『川入り』の意味か。
かい 海水パンツ 『海水パンツ』の略語だが辞書にはない。しかし全国的に使われる短縮形の俗語。
かい カツオを釣る時餌に水を掛ける道具 『櫂ぺら』の意味。『集覧:無記載』。
かいぶん 生涯 『国誌』では『涯分』(@身分に相応したこと。自分の身の程。相応。A(副詞的に用いる) 自分の力の及ぶ限り。精一杯。)(広辞苑)としている。
がいぶんわるい
がいぶんわりー
【複】世間体が悪い、体裁が悪い、印象が悪い 『外聞が悪い』。風評を気にする茨城では好んで使われる言葉。
かいまぎ かいまき 清音なら標準語。『掻巻』。
『俚言』には、江戸では夜具の小さなものを指したとあるので、どてらを指した可能性がある。
かいまき:神奈川。
かいもぐ 【副】皆目 かいも:神奈川。『皆なるも』の意味か。
がいもない
がいもしねー
がいもねー
がいーもねー
【複】@大したことが無い、つまらない、A益が無い 『我意』は広辞苑には『自分の考えをおし通そうとする気持。わがまま。我(ガ)。』とある。『げーもねー』と言うことが多い。
がいもない:茨城・神奈川。
☆かいもの 物の支えとしたり隙間を埋めるもの 『支いもの』の意味。辞書不掲載。建築専門用語。江戸時代には一般に使われていたようである。『俚言』掲載語。
(かいもち) ぼた餅、おはぎ 古い言葉の『掻餅』((カキモチイの音便) 飯の餅。牡丹餅(ボタモチ)の類。一説、そばがき。)。現代では福島・新潟・富山・岐阜に残る。
〜かいよ 【助】〜かい 『〜かー、あよー』と同じ意味。
かいよーし 絶えた家を継いだ人 『買い養子』。
旧戸籍制度では、家が絶えても、その姓を名乗り家財産から墓まで引き継ぐことができた。現代で当時の家の首長は『戸主』であり、その中に複数の世帯があるのが普通だったが、現在では戸籍は世帯毎に分かれる。言わば物理的な家が戸籍の単位となっていた時代の言葉で方言ではない。
かいよーし:戦前は長男は徴兵されなかったので徴兵逃れの為に不人になった屋敷を買いとりそこの長男になった。:群馬。
(かいらざー) 【複】帰ろう 静岡。
かいらしー
かーいらしー
【形】可愛らしい 関西弁にも似た言い方がある。
かーいらしー:立派な:徳島。
かーいらしー:子供が亡くなった時にいたむ言葉・可哀そうに:滋賀。
むじー:宮崎。
やーらしか:可愛らしい:佐賀。
にしのいのおどめはかいらしーらしーな:西の家の赤ん坊は可愛らしいらしいな。
かいり @帰り、お返し、A代わり、B回数 @は江戸言葉。八丈方言共通語。
B回数を示す古語の『かえり』が訛ったもの。
かえり:宮城。
かーり:静岡・徳島。
かいりしなに 【副】帰りがけに 『帰りしなに』。
かえりしま:青森。
かいりみぢ 帰り道
かいる 【動】@帰る、A替える、B買える @上代東国方言。広辞苑に『かいる:【自四】(上代東国方言) 「かえる」の訛。万二○「行きめぐり―・り来までに」』とある。『え』を『い』と言うのは江戸言葉にも多く見られる。・かいろ:神奈川。
かよる:静岡。
がいる
☆かいる
かいるどん
かいるめ
カエル 『かいる』は江戸の俗語でもある。辞書掲載語。
かーいる 【動】@加える、A銜える
かいるこんぶ
かいるこん
かいるこんぼ
かいるこんぼぢ
かいるこん
オタマジャクシ 江戸の『かいるこ』がさらに訛った『カエルの子坊』『カエルの子法師』の意味だろう。
『俚言』には『かいるこかいら(南部)、たな(播磨)、夕やくし(江戸)、ぎやるこ(越前)。』とある。また当時は『おたましゃくし』(幼児語)と清音だったとされる。
かえろんご:群馬。
かいるっば
かいるっ
かいる
オオバコ 『蛙葉』。
『俚言』には『かいるば:仙台及び南部の方言にて延喜式おほばこ本草車前草をいふ。又南部にてはまるこばといふ。』とある。
かいるのとむらい 11月30日の行事。ぼたもちを作る。 土浦市・新治郡の民俗行事。
かえるのぼたもち・いのこのぼたもち・いのこぼたもち:十または十一月の初亥の日に供えるぼた餅:神奈川。
かいるのほっかぶり 【慣】@うまくやったという意味、A知らないふりをすること 標準語では『蛙の頬冠:(蛙の目は背後にあるので頬冠すれば前方が見えないことから) 目先の利かないことにたとえる。』(広辞苑)と言う。
標準語でも慣用句が間違って使われている事例は多い。この場合、『頬被りをすると前が見えなくなる。』という基点の意味までは同じだが、解釈が異なっている。
(かいろ) 【動】帰る 神奈川。
かいろ 【複】帰ろう 標準語の影響を受けた方言か。
がいろ
かいろ
かいろめ
カエル
かいろこんぼ
かいろこん
オタマジャクシ かえるんご:群馬。
かえろんご:群馬。
かいろっ オオバコ 『蛙葉』。
がいろっ:群馬。
がえろっ:宮城。
かいれ
かーいれ
財布 『皮入れ』の意味。
かいれ
かーいれ
正月11日の行事。 『鍬入れ』。
『カラス、カラス』と大声でカラスを呼ぶので『からすよばーり・からすよばい・からすよばり』とも言う。
(かいわざ) 軽業 鹿児島。
(かいわり) カイワレ 江戸語。『卵割り・貝割り・穎割り』。このような動詞の名詞化した言葉は古くはイ段で現代ではエ段になったものが多い。
がいん 粗雑な性格、無頼漢 『臥煙(がえん)』(江戸時代の火消し人足、とびのもの)の意味か。『強引(がういん)』か。
がいんす:ならず者:愛媛。
がやま:頑固者・解からずや:神奈川。
かいんしょ 【複】@買おう、A買い物の掛け言葉 『かいやしょ』がさらに訛ったと思われる。『集覧:久』。
かいんべ
かいんべー
【複】@帰ろう、A帰るだろう @・かいんべ:神奈川。
かう
かう 【動】(鍵を)かける 『支う(かう)』。30年代の言葉、標準語だが死語。その後『かける』に変わって行く。
かう:長野。
かう 【動】(パテを)塗る 建築専門用語。塗装の下地を平滑にするためにパテ(粘土状の下地調整剤)を塗ること。実際の作業は平滑になるようにヘラで様々な方向に塗るので当てられる漢字は『交う』ではないかと思われるが、一方『飼う』には『投与する。盛る。』の意味がある。。パテ(粘土状の下地調整剤)を塗ることは名詞形で『パテがい』と言う。
かういー @【形】可愛い、A【複】顔がいい
かうぇー
かうぇーらしー
【形】可愛い 『うぇ』は『we』と発音する。
かうぇーらしー:八丈島。
かうぇーそー 【複】かわいそう 『うぇ』は『we』と発音する。
かうえそー:神奈川。
かうゃーそー:静岡。
かうぇーだ 【複】乾いた
かうねおに かくれんぼ 『隠れ鬼』が訛ったもの。
かうのけ 眉毛 『顔の毛』を思わせる言葉。北茨城市。
かえー 【形】可愛い
(かえ) 萱、カヤ 広辞苑に『(上代東国方言) 「かや」に同じ。万二○「―がむた寝む」』とある。
(がえ) 弁当箱 鹿児島。
(がえ・がーえ) 【複】来なさい、来い 宮城。
がえまず:まあいらっしゃい。

えー
【複】〜の家 単音形は八丈方言共通語。
(〜ぇーに) 【複】〜(する)ように 静岡。
〜がえ
〜かえ
【助】〜かい、〜ない 『え』は現代語の『い』の古形。命令・疑問・断定など種々の文の終りについて語勢を添える終助詞。『や』から『え』を経て、または『よ』から変化したとされる。感動その他の語勢を添える(広辞苑)。
前々項の『カヤ』が『かえ』に訛る図式と同じ。
〜かえ:徳島。
★『土』:俺(おれ)も飯(めし)でも食(く)はうかえ:俺も飯でも食べようかな。
(〜え) 【助】反語の助詞) 「かは」に同じ。なんで〜ものか。 万葉集にある上代東国方言。『が』は鼻濁音かどうかは不明。本来は『〜かや』と考えられる。
現代では、反語の意味は薄れ、強調の終助詞として名古屋で『〜や』が使われる。
かえし @お返し、Aおつり、B連作、C▲鳥の糞 『返し』。『集覧:行』。
Aつり銭はかいし・かえし・けーしかいり・かえり・けーり・もどし・もどり』などと言った記憶がある。
かえしだい:宮城。
かえり:山形。
かえりしぇん:山形。
Cその他。
かえし:草鞋のかかとについている紐:かかと。
かえし:兎・鼠等の乾燥した糞:山形。
(かえーしー) 【形】かわいらしい 神奈川。
かえす 【動】堕胎する 堕胎するを『返す』とする表現は、仏教の輪廻の感覚によるものだろう。
(かえす) 【動】成長させる 神奈川。
かえーそー 【形】可愛そう かえーそー:神奈川・長野。
かえったそー:神奈川。『可愛いたり候』の意味か。
▲▼△▽かえち 代わり 『為替(かわし)』。『集覧:新』。
かえち:茨城・静岡。
かーち:山梨・静岡・長野。
かえっか 【複】帰ろうか 東国の俗語とも言える。
(帰ってきた酔っ払い) 当時一世を風靡したフォーククルーセーダーズのヒット曲。何故か最後はお経とビートルズでくくった。録音再生技術を応用して声をディズニーの動物の声のようにしたてたもの。内閣を継いだ池田内閣に続いて佐藤内閣の時代で、戦後やっと安定した時代だった。
死んだ当人はどこぞともつかない田舎方言で神様は何故か関西弁なのが面白い。意外性で世間をあっと言わせたのはその後『黒猫のタンゴ』『泳げたいやきくん』で、そのあとはこの種の曲は不毛の時代が続いている。

おらは死んじまっただ おらは死んじまっただ
おらは死んじまっただ 天国に行っただ
長い階段を 雲の階段を おらは登っただ ふらふらと
おらはヨタヨタと 登り続けただ やっと天国の門についただ
天国よいとこ一度はおいで 酒はうまいし ねえちゃんはきれいだ
おらが死んだのは 酔っぱらい運転で (効果音)
おらは死んじまっただ おらは死んじまっただ
おらは死んじまっただ 天国に行っただ
だけど天国にゃ こわい神様が 酒を取り上げて いつもどなるんだ
「なーおまえ 天国ちゅうとこは そんな甘いもんやおまへんや もっとまじめにやれ」
天国よいとこ一度はおいで 酒はうまいし ねえちゃんはきれいだ
毎日酒を おらは飲みつづけ 神様の事を おらはわすれただ
「なーおまえ まだそんな事ばかりやってんのでっか ほなら出てゆけ」
そんなわけで おらは追い出され 雲の階段を 降りて行っただ
長い階段を おらは降りただ ちょっとふみはずして (効果音)
おらの目がさめた 畑のど真ん中
おらは生きかえっただ おらは生きかえっただ
かえっべ
かえっ
かえんべ
【複】帰ろう 『帰るべし』。
かえっ:福島。
かえんべ:神奈川。
(〜かぇな) 【助】 岩手。『〜かな』の意味か。
終助詞か。頭に疑問副詞を伴い、動詞の終止・連体形に付く。
がぇーもない 【形】@芸がない、つまらない、▲無益だ、A必要以上に多い 『げーもない』。『集覧:新』。
A『がえ』とは『我意』の意味で、思い通りにならない意味か。
かえーらしー 【形】可愛らしい かえーしー:神奈川。『かはゆし』。
(かえらず) 【複】帰ろう 静岡。
かえらんばん 回覧番 かえらんばんまーしたらけーってきめーな:回覧板回したら返って来ないよ。
《『返らぬ板』だと思ってはいけません。》
かえりしな 帰りがけ かえりしな:埼玉。
がえる
かえるめ
▲●がえろ
かえろ
カエル 『集覧:猿・稲』。『がえる』は広域方言。『がえろ』『かえろ』も数は少ないが広域方言。ただし『かえろ』は静岡県に顕著。
がえろ:青森・秋田・山形・宮城・千葉。
がえろこ:山形。
(かえるえんざ) トチカガミ 『俚言』には『かえるえんざ「本草啓蒙」:すっぽんのかがみ)』とある。
かえるこちょ
かえるこんぼ
かえるこんぼー
●かえるのこ
オタマジャクシ 『集覧:那』。『蛙小坊主』の意味と思われる。茨城県特有の訛り。『かえるこちょ』は県下1箇所のマイナー方言だが、茨城訛りらしい『カエルの子供』を意味する言葉。かえるのこは方言とは言えないが、関東では栃木県に集中しているのが面白い。
がえら:宮城。
かえるっば
かえるっ
■▲かえろっ
オオバコ 『集覧:久・稲』。『蛙葉』の転。=『けーるっ。『蛙つ葉』
かえるっ:青森・栃木・新潟・徳島。
がえろっ:宮城。
がえん 【形動】粗雑な性格、無頼漢 『集覧:新』。
日本方言大辞典には『臥煙(がえん)』(江戸時代の火消し人足、とびのもの)に乱暴な者が多かったことに由来するとある。『強引』(がふいん)が訛った可能性もあろう。
がえん:茨城・静岡・新潟。
がえん:お転婆:静岡。
(〜がえん) 【助動】〜ない、〜ございません 宮城。
近世語『がんす』(御座いません)が訛った『がす』のの否定形『がせん』が訛ったもの。中間に『がへん』を介していると考えられる。
がえん:無いだろうよ。
がえんわ:ありませんよ。
かえんべ
かえんべー
【複】帰ろう 古い言い方。
かえんべ:神奈川。
かえんべー:東京。
かおいろさし 顔色 『顔の色差し』。
かお 顔、顔の作り 『顔柄』の意味。辞書には『声柄』は掲載されている。
いいかおらだ:いい顔だ。
かおす カジカガエル 『集覧:久』。
『かはづ』は、万葉集の時代は『カジカガエル』を指した。
かおす カワウソ 川は古くは『か』『かは』と言った。
かおす:神奈川。
かーおそ:東京。
かおすり 顔を剃ること 標準語と言って良い。
がおった 【複】感心した 『集覧:猿』。茨城方言集覧では『感心する』意味とされていることから、もともとは慣用句の『我を折る(意地を張ることを止め他人の意見・指示に従うこと)』が転じたと思われる。標準語にはこの他『我折る:閉口する、あきれる』がある。
かおっつら
かおつら
『顔面』。標準語。
かおでもねーかお 怒り満面の顔
かおばし
かおばせ
顔の状態、器量 古い標準語。『顔馳せ』。
いーかおばせだがんな:言い顔してるからね。
□○かおばな カキツバタ 『顔佳花(かおよばな)』とも言いその略とされる。
『国誌』には『燕子花ヲ云フ。貌花の意ナルベシ。又之ヲカホヨバナとも云フ。』とある。
『称呼』には『かきつばた:常陸にてかほばなと云。これは、かほよばなの略語也。』とある。
広辞苑によると『顔花・貌花:ヒルガオのことという。また、美しい花とも。かおがはな。万八「高円(タカマト)の野辺の―面影に見えつつ妹は忘れかねつも」』とあり美しい花の代名詞でもあったようである。
かお
かおっ
顔、頬 半濁音は濁音で発音されることがある。
(かおやける) 【動】高慢になる、有頂天になる 神奈川。
がおら 【副】【古】すっかり、全く、がらりと、(不意に)、うっかり 古語の『がら』(がらりと、がらっとの語幹)。
がおる 【動】@横になる、寝込む、A弱る、衰える、疲れる、病気になる、しょげる、B困る、閉口する、降参する、C▲感心する 日本方言大辞典では『我折る』としている。『我を折る』意味である。『臥し居る』意味も考えられる。
ちなみに『頑張る』は当て字で『我に張る』が正しいという。
@・がおる:寝込む:福島。
A・がおる:弱る:岩手・秋田・山形・宮城・福島・茨城・群馬・新潟。宮城では『萎れる』意味がある。
がおる:疲れる:北海道。
がおる:やつれる:山形。
がおる:病気になる:福島。
B・がおる:降参する・参る:宮城。
がおる:困る・しょんぼりする:山形。
がおる:自信を失い弱る・困る・がっかりする:栃木。
がーる:山形。
がをおる:負ける・参る・妥協する:静岡。
C『集覧:猿島郡・結城郡』。
これは異質な意味だが、相手が敢えて我を折る様子に感心する意味と考えられる。
がおる:茨城・千葉・滋賀。
Dその他。
がが
かが
かがー
■かかー
@お母さん、A妻、B(他人の)奥さん 『集覧:稲』。=『かか』
第一音が濁音化する珍しい例。
@・がが:青森・山形・宮城・福島・新潟。
かが:青森・山形。
かがー:山形。
かかー:東京・鹿児島。
かがさ:山形。
ががさま:秋田。
かかさま:神奈川。
A・がか:宮城。
かが:山形。
かかー:東京・神奈川。
B・がが:宮城。
がか:宮城。
がかさま:宮城。
ががさん:宮城。
がが
(かーか) 菓子 静岡。幼児語か。
(かーかー) 静岡。幼児語か。


がー
かー
【助】〜側 『〜が』は古い標準語で『の』に当たる。
こっち:こっち側。
ひがしかー:東側。


〜かが
【助】@〜あたり、〜あたりに、A〜のか @名詞につく。
あさってがうんどーかいだど:明日あたり運動会だぞ。
あしたかまでおわっしゃーねどだいだ:明日あたりまで終わらせないといけない。
A動詞につく。
だれいったかなー:誰が行ったのかなあ。
かーが
かーがー
【複】@買うかい?、A(鍵を)かけるかい? @★そおたのだれかーがや:そんなの誰が買うかい。
てっだまかーがーあよ:飴玉買うかい、ねえ。
かーかー
かーかーめ
カラス 主に幼児語。
かかあし 案山子
ある 【複】@自分の考え方がある、A意地がある 『我』とは、広辞苑に『@われ。おのれ。自分自身。「彼―」「没―」A思う所を言いはって、人の言に従わないこと。ひとりよがり。きまま。「―が強い」「―流」B自我の根底にある実体的・霊魂的存在。アートマン。また、一般的に事物の根底にある永遠不変の実体。仏教ではこのような我を否定し、無我を主張した。』とある。
現代用語では、『アイデンティティ』に当たると考えられる。
日本では古来からの仏教思想によって無我が望まれている。
ががい
△がかい
@外観、見かけ、A図体、体格 古い標準語。辞書には漢字は当てられていない。=『がたい』
@・がかい:青森・秋田・宮城・福島・静岡。
A・がかい:岩手・栃木・新潟。
・か 歌垣。上代、男女が山や市(イチ)などに集まって互いに歌を詠みかわし舞踏して遊んだ行事。一種の求婚方式で性的解放が行われた(広辞苑)。 『歌垣』とは、上代の風土記が完全に残る常陸国ならではの古い言葉である。歌い合いの意味である。
現代語の『〜会』は、間違いなく『交い』の意味である。
広辞苑には『@上代、男女が山や市(イチ)などに集まって互いに歌を詠みかわし舞踏して遊んだ行事。一種の求婚方式で性的解放が行われた。かがい。記下「―に立ちて…美人の手を取りき」A男女相唱和する一種の歌舞。宮廷に入り踏歌を合流して儀式化する。続紀三○「男女二百三十人―に供奉す。…男女相並び、行を分ちて徐ろに進む。歌ひて曰く」(一説に、男女が互いに歌を「懸け合う」ことが語源という) 上代、東国で「うたがき(歌垣)」のこと。』とある。筑波が最も有名である。『歌垣』は現代語感覚では当て字と思われ、『歌を交う』意味が理解し易い。また、『交し合う会』や、『歌の会』の意味ともとれる。
『俚言』によると、難波にもあったと言う。
かがいち 所有地 『抱地』。
かかえち:宮城。
かがいる
かかいる
【動】妊娠する 『抱える』意味。『妊娠している』を『かがいでる』と言う。
かがえる:福島。
かかえる:岩手・宮城・新潟・福島。


〜かが
【助】@〜あたりが、A〜のかが 『が』は濁音・鼻濁音。『〜か彼か』の意味。
多重方言に見えるが八丈方言にも似た言い方がある。解説は『言語調査』の内容をそのまま掲載した。
あによかくゎーかとりまぜるとそのくらいにはなりたすのーわ:何かかかとりまぜたらその位にはなりませう。
@名詞につく。
あしたえーにつぐひだ:明日あたりが家に着く日だ。
こんだはおめばんだど:今度はお前当たりが当番だぞ。
A動詞につく。
だれゆったわがんね:誰が言ったのかが解らない。
【動】嗅ぐ マイナー方言。活用形は、『かがねえ、かって・かいで・かんで・かぎやす、かぐ、かぐどぎ、かったら・かぐんだら、かげ、かぐべ・かんべ(〜べ形)、かっちゃう・かんちゃう(〜してしまう形)』
にょいかったら(かいだら)はながひんまっちった:臭いを嗅いだら鼻が曲がるほど臭かった。
かがざ
かかざ
@囲炉裏の主婦の席、A家庭の食事の末席 『嬶座』(かかざ)。
@『鍋座・鍋代』とも言われた。女家族にも当てられる。その他県下では、『しもざ・おふくろざ・おんなざ・しゅふのざ・こしもと』とも呼ばれる。本来は、横座の脇で台所に近い位置を言うが、下男・下女の席である横座の正面の場合があったようである。
横座の脇で嬶座の正面を『きゃくざ・しょうざ・わきざ』と言い、客人や男家族に当てられ、横座の正面の土間に近い席は、きじり(木尻)・したざ・げざ』と呼ばれ、下男・下女の席である。
かかざ:神奈川。
A@が転じたもので、囲炉裏の席の呼称が囲炉裏が無くなっても残ったもの。
かがさっか 【複】書けるかい 自発・可能の意味がある。
かがさりあー 【動】関わる 『かかずらう』の転。
かがさる 【動】@関わる、A書ける、書いてある、B掛かっている @『かかずらう』の転。
Cその他。
かがさる:少し勝る:山形。『費用が掛かっている』意味か。
かがされね
かがさんね
【複】書けない かかさらない:岩手。
かがし
●か
かーかし
かがしんぼー
案山子 もともとは『かがし(嗅がし)』・『やきかがし(焼き嗅がし)』・『たちかがし(立ち鹿驚)』でそれらが転じたものとされる。『かがせ』とも言う。広辞苑に『案山子:(カガシとも。「嗅がし」の意か)獣肉などを焼いて串に貫き、田畑に刺し、その臭をかがせて鳥獣を退散させたもの。焼串(ヤイグシ)。焼釣(ヤイヅリ)。』とある。
そめ:長野・静岡。

しじの
しだげ
しぼー
しんぼ
苗代に立てる篠竹やヨシの棒 一般に、苗代の目印とされるが、カラスやツバメの止まり木とか、雷避けともされる(民俗)。案山子の原型を思わせる。広辞苑の案山子の意味とも合致する。
かがし 竹馬 『高足』の転とするにはやや無理がある。『懸け足』の意味か。
かかし 反対 行方郡の方言。案山子には『みかけばかりもっともらしくて役に立たない人。みかけだおし。』の意味がある。
(かーかーしー) 【形】遠慮なくものものを言う様 山梨。『けいげいしい:ぎょうぎょうしい。ことごとしい。たいそうらしい。』か。
(かーかーしー) 【形】 静岡。解説には『けちらしい』とある。
このんなものはかーかーしーからんに出せない。
【動】(臭いを)嗅がせる
船を引く綱、苧綱(おづな)、麻でつくった綱 『集覧:無記載』。
『加賀苧(かがす・かがそ)』。
かーがす 乾かす
かがずらー
かかずらー
かがずらう
かがずりあー
かがずる
かかずる
【動】関りあう、構う 『かかずらう』は上代からある古い言葉。『かかづらふ』。
かしらう:群馬。
かかしろー:長野・新潟・山梨。
かかでる:かばい守る:山梨。
おめがどごまでもかがずらんだらおらしんねーど:お前がどこまでも関わるなら、俺は知らないよ。
かぢ 【助】〜の価値
〜がかっか
〜かかっか
〜がかにか
〜かかにか
【助】〜か何か せんべんがかっかねーが:煎餅か何か無いかい。
おばげがかにかでできそーだなや:お化けか何かが出て来そうだね。
(かかって) 【複】関して 宮城。『関りて』。
かがってい
かがって
【複】(飛び)掛かって行く 『ぐ』は濁音・鼻濁音。
かがってい:宮城。
(かー) 【形】まぶしい 長野。『輝やかし』から派生した言葉か。
しー:富山・長野。
:長野。
:長野。
:佐渡島。
しー:新潟・富山・長野。
がぺ:秋田。
がぽしー:山形。
ゆい:佐渡島。
かがど
かがと

かかと 『かと』なら使われなくなった標準語。
江戸時代には『きびす・くびす』といい、『俚言』では『かかと』は関東方言としている。
『聞書』では『かかど』が掲載されている。
かがど:茨城県全域及び福島南部・千葉北部。
かがと:県北部及び福島南部・栃木東部の限られた地域及び新潟の広域・その他全国に散在。
:鹿島郡・稲敷郡と千葉北部の狭い地域及び東北の限られた地域。
:宮城。
なぐよーなこい
なぐよーなこえ
【慣】聞こえるか聞こえないか位の小さな声 『蚊が鳴くような声』か。古語の『かかなく・かがなく』(鷲などが、声高く鳴く。)の意味が転じたものと考えられる。
なぐ:小さな声でもぐもぐ言う:山形。
なく:小さな声でもぐもぐ言う:山形・福島。
なく:ぐちを言う・くよくよする:岩手・宮城。
かがなし 【形動】貧しい格好 『かがあなし』(母親なし)なら面白い表現だが、『関わりなし』(気にしない)意味だろうか。『びんぼーかがーりなし』とも言ったのを思い出した。『集覧:那』。
ない
ねー
【慣】@独りよがりで無い、A自己主張が無い
かーがない
かーがねー
【複】乾かない
がぽ 『影法師』。稲敷郡。
がが 土地の高低 稲敷郡。原型は『がだぼご地』か、崖を意味する『がげっち』かと考えられる。
かかましー 【形】うるさい 『集覧:稲』。古い言葉の『かからめく』(騒々しいさまである。)の流れと考えられる。
かがらし:福島。
かがらしー:山形。
かからしー:東北・福島。
かっからすい:福島。
まる 【動】屈む 標準語だが、一般には『かがむ』を使う。
なる:静岡。
:隠れる:山形。
かかまる 捕まる、逮捕される 『囲まれる』が訛った『かこまる』が転じたものだろう。霞ヶ浦の漁師言葉。
みし かがんでする仕事
△かみっちょ
みちょろ
みっちょろ
トカゲ(カナヘビ) 『集覧:北』。
みっちょ:関東・埼玉・東京・東京多摩・東京都大島・静岡・山梨・長野。
みっちょ カマキリ みっちょ:茨城・埼玉・東京・神奈川・山梨・静岡。
◎かみど 框(かまち:枠)の中に一枚板をはめ込んだ戸 『鏡戸』。建築専門用語。この場合の一枚板は『鏡板』と言う。
かがーめ
がーがめ
がーがーめ
かーかーめ
カラス 『集覧:多』。

かー
鍬の柄 『鍬柄』の意味。『集覧:多』。
かがらいる 【動】からまれる、言い掛かりをつけられる、文句を言われる 『掛かる』の受身形。『関られる』イメージにも近い。
かかられる:宮城。

かかり
不良品の木炭、木炭の生焼きの部分 何かの作用によって普通で無い状態を指していると考えられる。『掛かり』の意味の限定使用。
かがり @費用、A構え、作り、B始め、最初、C関係、D係、役目、E頼ること 濁音化。『掛かり』。
@・かがり:宮城。
かがりはいぐらかがんだ:費用はいくらだ。
A現代では使われることは少ない。
かがり:山形。
B現代では使われることは少ない。今では『取っ掛り』と言うことが多い。
C現代では使われることは少ない。今では『関わり』と言うことが多い。
D・かがり:宮城。
かがーり 関係 『掛かり』『関わり』。
△☆が
▽☆か
たて引きノコギリ、大鋸 『集覧:多』。
『大鋸』(おが)は別名『かがり・ががり』と言い、いずれもたて引きノコギリである。標準語では第2音が鼻濁音かどうかは不明。
おーが:神奈川。
:岩手・福島・茨城。
がん:山形。
クモの巣 『縢る(かがる)』(糸をからげるようにして編み、または縫う。)の名詞形と考えられる。
かいぼり 『川狩り』の転。ただし、『川』の古称は『か』なので古い言葉が残った可能性もある。
かーかり 用水路の草刈り 『川刈り』の意味。
かー:神奈川。
かがりあい
かがーりあい
関係 現代語では『関わり合い』だが古くは『掛り合い』とも言った。
かかーりあい:静岡。
かがりあー
かがーりあー
かがーりあう
【動】関係する 現代語では『関わり合う』だが古くは『掛り合う』とも言った。
かがりかがる
かがりっかがる
【複】掛かりがかかる、金がかかる 都会人には何のことだか解らない言葉の典型だと思うが、濁音でなければ標準語。『掛かり』は若い人の間では死語になっているのではないか。
かかりする:群馬。
★『土』:汽船(じようき)に乘って來たって餘(よ)っ程(ど)費用(かゝり)も掛(かゝ)ったんべな:汽船に乗って来たって(いうことは)、余程費用もかかっただろうね。
かがり
かがりくち
@手がかり。A仕事にかかる場所。B苗代の水口。 『掛り口』。Bは水口から仕事にかかるのでそう呼ばれる。
かがり
かかり
かがりっこ
@他人の世話になっている子供、A■長男、あととり 古い標準語。『掛り子』。『かかりっこ』。
大辞林では『他人の世話になっている子供、親が老後に扶養してもらう子供、あととり』。
広辞苑では『人に養われる子、親が老後に頼りとする子』。
@・かかりっと:人の世話になっている人・居候・独立していない者:神奈川・山梨。『掛り人』。
かがりと:厄介人・食客・居候:山形。『掛り人』。
A・かかり:山形・福島・新潟・富山・和歌山・大阪・島根・徳島・大分・長崎・熊本。茨城県では土浦市に残る言葉。
かがりまげ 費用が掛かりすぎて赤字になること 『掛かり負け』。
かがる 【動】書く、書ける、書いてある 東関東から東北にかけて残る自発・可能表現。
かかってる:書いてある:宮城。
かがる 【動】@掛かる、要する、A飛び掛る、B(医者に)見てもらう、C面倒を見る、D関わる 濁音化。
何気なく使っている標準語の『掛かる』には、驚くほどのバリエーションがある。広辞苑で当てられた漢字は『掛かる・懸かる・架かる・繋かる・係る』とある。広辞苑により大きく分類すると(1)ある物、ある場所などに事物がささえられる。(2)事物が曲った物・とがった物・張った物・仕組んだ物などにひっかかってとらえられる。(3)事物がある一ヵ所を基点として他にひろがる。おおいかぶさる。(4)事物が、ある所から他へわたされる。また作用が一方から他方へ向かう。(5)物事が関係してくる。(6)物事に手をつける。とりかかる。(7)(他の動詞の連用形について) ある情況に移り及ぶ意を表すとある。日本語は難しい。ここまで意味が多岐にわたると見かけ方言・擬似方言がでてきてもおかしくはない。つまり現代標準語ではあまり使われなくなってしまった言葉が方言扱いされる現象である。
A・かがる:宮城・福島。
C・かがる:宮城・福島。
D『掛かる』には、『かかわる。かかずらう。関係する。』意味がある。
かかる:宮城・鹿児島。
あのこにかかってこまる:あの子に関って困る:宮城。
おめにかがってはまげっちゃーよ:お前に関わると負けるよ。
Eその他。
かがる:抗議する・苦情を言う:福島。
かかる:文句を言う:宮城。
かかる:触る:鹿児島。
これらを整理すると『掛かる』と『関わる』は同源の可能性が高い。
【動】糸をからげるようにして編み、または縫う 標準語。『縢る』。
かがる
かかる
【動】動物の生殖行為がうまくいくこと 『掛かる』には『交配される』意味がある。
ぶだめかがったが?:豚の交配はうまくいったかい?。
《豚吊りをしているわけではない。》
【動】匂いをかぐ
かがる
かがーる
【動】関る、構う 『掛かる』が転じた可能性もある。
かがーんだねーよ:関るんじゃないよ。
おめにかがってはくろーするよ:お前に関わると苦労するよ。
かがれない
かがれね
【動】書けない 『書かれぬ』。
〜かかんか
〜がかんか
〜かがかんか
〜ががかんか
【助】〜か何か そごになにがかんかいねーが:そこに何かが居ないかい。
いぬめかがかんかかいでーな:犬か何かを飼いたいな。
かがんです 【複】掛かるんです 丁寧語。
かがんね 【複】書けない、掛からない、要しない他
◎ががんぼ
かがんぼ
蚊の形をした大型の昆虫、カトンボ 『かんめのおやじ』
広辞苑には『大蚊:(カガンボとも。「蚊が姥(ウバ)」の転か) ハエ目(双翅類)ガガンボ科の昆虫。種類が多い。カに似るがはるかに大きく、血を吸わない。脚は長くもげ易い。幼虫は多く泥の中にすむ。カノウバ。カノオバ。カトンボ。』とある。第2音が鼻濁音かどうかは不明。茨城では濁音である。
『俚言』によれば江戸時代には清音で『かかんぼ』と呼んでいた。
(ががんもー) 子どもを脅す言葉(おばけ) 静岡。
かぎ @柿、A牡蠣 濁音化。
平板型アクセントで標準語のような区別はない。
『鍵』の場合は鼻濁音で標準語と同じだが、発音は微妙に異なる。『かんに近い。
@・かぎ:青森。
かっきー:静岡。
◎か
がき
かん
鉤、金属製の細長い棒で先が曲がったもの、自在鉤 今ならフック。
:青森。
辞書掲載語。上代東国語。万葉集の時代からあることば。
がぎ
■▲▽がき
子供をののしる言葉 『餓鬼』。『集覧:猿・久』。
濁音化の代表語。もともとは江戸言葉だったという。
がぎ:岩手・宮城・福島。
がき:女の子:福島。
がきゃ:男の子:静岡。
@石段、A雁木 茨城方言集覧では旧新治郡の方言で『石段』の意味で紹介されている。
『雁木』には、『きつい坂道に木等を埋めて作った階段』の意味があり『雁木坂』のこと。広辞苑には『雁木:(雁の行列のように、ぎざぎざの形をしたもの)@橋の上の桟。雁歯。A船着場の階段のある桟橋。B雪深い地方(主として新潟県)で、町屋の軒から庇(ヒサシ)を長く張り出し、その下を通路としたもの。雁木造。C木挽(コビキ)の用いる大きな鋸(ノコギリ)。おが。D雁木鑢(ガンギヤスリ)の略。雁木鑢は押しても引いてもものを削るところから、両方で損すること。E人の気づかない所に出ていて邪魔になる棒。』とある。
@・・がっき:秋田。
がー:三重。
がん:山梨・静岡・大分・長崎。
だん:静岡。
たんじ:静岡。
石燈 新治郡。
虎刈り 今では虎刈り自体が死語になりつつある。『雁木』の意味が転じたと思われる。
(かーぎ) 容姿、容貌 沖縄。
かぎいし 舗装道路等に書く事ができる石 当時、駄菓子屋で売っていた。
がぎがぎ
【形動】ジグザグ、ぎざぎざ 『雁木』に由来すると考えられる。
(かぎぐげご) 当時、もし『かきくけこ』と言ってみなさいと言われたら、きっとかなりの人が『かぎぐげご』『かぎくげご』『かぎくげこ』と言っただろうと思う。第一音は濁らないのが茨城方言のルールだが、『き』『け』が最も濁音化する傾向がある。理由は不明である。
(かーこ) 鉤成りに曲がっている様子 神奈川。
(かき 覚悟 静岡。
(かーこ・かどー) 静岡。
かきこーせん 柿の皮を干して粉にしたもの かきっこ:麦焦がしを熟柿で練り上げたもの:神奈川。
かき 祝い事で仕事を休むこと 『集覧:久』。
かぎごむ 【動】@書き込む、A掻き込む A・かいこむ:群馬。『掻い込む』。

ざか
がきさ
がきさか
石段 『集覧:新』。
『雁木』には、『きつい坂道に木等を埋めて作った階段』の意味があり『雁木坂』のこと。幼い頃、じぐざぐの坂だとばかり思っていた言葉。実際『雁木』はもともと『雁の行列のように、ぎざぎざの形をしたもの』であり、単に石段だけでなく木馬道や平面的にぎざぎざした坂を指してもおかしくはない。
かぎさぐる 【動】手で探る、さわって様子をみる、払いのけて探る 『掻き探る』。
かぎす
かきす
カケス 『集覧:久』。
かぎそざし
かぎそじゃし
書き損じ 『書き損じ』擬似他動詞の名詞形。
かぎそざし:宮城。
(かきーた) 【複】隠した 静岡。
かきだし 彼岸に墓地に立てる竹に張る紙 標準語の『垣出』は『海面に突き出した竹の棚。漁網・魚介類などを干す。矢棚。垣棚。網垣。魚棚(ナダナ)。』の意味。
かぎだす 【動】掻き出す 濁音化。
かぎだれ
かきだれ
注連縄(しめなわ)に下げる幣束 広辞苑には『掻垂(かいだれ)(カキタレの音便) 祭事に用いる削掛(ケズリカケ)もしくは紙幣(カミシデ)。ぐんだれ。本垂(ホンダレ)。門穂垂(カドホダレ)。』とあり、古い言葉の流れであることが解る。『幣(ぬさ)』(麻・木綿・帛または紙などでつくって、神に祈る時に供え、または祓(ハラエ)にささげ持つもの。みてぐら。にぎて。幣束。)とも言う。『幣(ぬさ)』の古形は『削り掛け』であり、広辞苑に『正月一五日の小正月に神仏などに供える飾り棒。楊(ヤナギ)・ニワトコなどの枝を薄く削(ソ)いで渦状に残しておく。幣(ヌサ)の古い形といわれる。アイヌにも同様のものがある。削り花。穂垂(ホタレ)。掻垂(カイタレ)。』とある。
かきだれ:群馬。
かぎだん
かきだん
うどん粉を練って作った団子 『掻き団子』の意味。
ちょ 虎刈り 『雁木』の意味が転じたと思われる。
っちょ @矩形に曲がったもの、自在鉤、Aこそ泥 @『鉤』。
ーこ:神奈川。
かぎっちょ・かぎんこ:群馬。
A『鍵・鑰』は錠前を開く意味から盗賊の俗称。当時は泥棒することを手まねで人差し指を鉤型に曲げて表現した。
がぎっちょ 子供 東京の下町あたりでは『がきんちょ』を耳にする。東京方言は、茨城よりやや撥音化傾向がある。
っつぁぎ 鉤裂き っつぁき:群馬。
かぎつけ 書類、請求書 清音ならやや古い標準語。『書き付け』。
かぎっと
かきっと
【副】はっきりと、くっきりと、かっきりと かきっと:山形。
っつるし
づるし
自在鉤 囲炉裏やカマドでで鍋を吊るす金物。『鉤吊るし』の意味。『かつるし』が典型的な関東方言のようである。
スギナを呼ぶ北関東・東北南部方言に『じくのかつるし』がある。地獄で釜茹でにしている巨大な大鍋を吊るしているのが、スギナのようなか細い鉤吊るしであるという、シュールな例えの方言でもある。
おかさま・おかさん・おかさん:神奈川。
おかま・おかまさま・おかまさん・かま・こーじんさま:神奈川。竃の神様の名前を借りているようである。
っつるし:栃木・埼玉。
っつるし:群馬。
つるし:神奈川。
:神奈川。
つっか・つっかけ・つつっか:神奈川。
(かぎなる) 【動】かじかむ 静岡。『ぎ』は濁音か鼻濁音か不明。
かぎね 垣根 かくね:神奈川。
かび:鹿児島。
かべ:鹿児島。
(かのー) 【複】頼む 静岡。
のて @直角に曲がった様、A曲尺の曲がった部分 やや古い標準語。『鉤の手』。『かぎ』は現代では『鍵』に特化し、『鉤』が消えてしまった。現代語ではフックに当たる。
っこ:泥棒:神奈川。
かぎまし
かきまし
かぎまーし
かきまわし
炊事 『集覧:久』。
茨城県の炊事は鍋をかき回すことに代表されることになる方言。言い換えれば煮物が料理の主流だったことを意味する。やや卑下した意味合いがある。
あらいまし・あらいまわし:長野・山梨・岐阜。
かぎまし:福島。
かぎまーし:栃木。
かぎます
かぎまーす
【動】掻きまわす
(かきまぜ) 五目飯 静岡。
かぎまぜぼー お風呂をかき混ぜる棒 『かき混ぜ棒』の意味。船の『櫂(かい)』の小型のようなもの。
かぎまぜる 【動】掻き混ぜる
かぎまーる 【動】駆け回る
がぎめ
がきめ
子供の蔑称 『餓鬼奴』。
がぎめ:東北。
がぎめら
がきめら
がぎめーら
がぎめろ
子供達の蔑称 『餓鬼奴等』。
単に廃れた古い言葉とも言える。ただし、人を示す名詞に添えて、複数、またはその人の階層・境涯の範囲を表す接尾語『輩・原・儕』(ばら:。敬意に欠けた表現に使うことが多い)もある。また、『がぎめろ』の『ろ』は上代東国方言の『子ろ』(子等)の接尾語の流れ。『がぎめろ』は特殊な言い方としても、秋田には『がきべら』があり、『奴等』と『輩』の二つのルートがあるとも考えられる。
がきべら:秋田。
がぎめら:東北。
がきめろ:女の子:福島。『女郎』(めろう)は女の子の意味。
がぎめらごど、そーだにおっでーでばがりでやー、そだづもんもひんにぐれべ
★『土』:資本(もとで)の二兩(りやう)二分(ぶ)位(れえ)でこんで餓鬼奴等(がきめら)までにや四五人(にん)も命(いのち)繋(つな)いで行(い)くのにや赤(あけ)え手拭(てね)でも被(かぶ)つてる樣(やう)な放心(うっかり)した料簡(れうけん)ぢや居(ゐ)らんねえかんな
かぎもぢ @欠餅、堅くなってひびの入った鏡餅を、手で欠いて小さくしたもの、A丸餅を薄く切って干したもの 濁音化。
広辞苑には『欠餅:@正月一一日に取り下げた鏡餅を、刃物で切ることを忌み、手で欠いて小さくしたもの。A餅を薄く切って乾燥したもの。あぶり焼いて食う。Bあられもち。』とある。
@実際は手で欠けるようなしろものではなく、金槌も併用した。
A大きさがまちまちで、乾燥状態の違いで様々な味わいの違いがあった。乾燥の度合いの進んだものは煎餅に似る。
Bその他。
かきもち:小麦粉またはもろこし粉に皮のままの柿を熱湯で練り混み延ばして焼いたもの:群馬。『柿餅』の意味。
がぎら
がきら
子供達 『餓鬼等』。
かーぎり
かーきり
物事のしはじめ。てはじめ。初手(シヨテ)。 『皮切り』。『かはきり』の名残。
かわきり:@最初にすえる灸(キユウ)。A転じて物事のしはじめ。てはじめ。初手(シヨテ)。:東京。東京に、語源が残っている稀な例。
わげる 【動】臭い違いを識別する、豊富な経験によって道理をわきまえる 『嗅ぎ分ける』の濁音化。
んぼー 鍵のついた棒 『集覧:久』。『民俗』では『鍵のついた編棒』と変わっている。
(かく) 船頭 沖縄。古語『水夫・水手(かこ):船をこぐ者。ふなのり。すいふ。』。
(か 静岡。
かぐ 【動】書く かぐ:青森。
かぐ

かく
【動】嗅ぐ 『かむ・すう・みる』
かぐ:全国に遍在。群馬県に顕著。栃木・埼玉・千葉の一部。
かく:全国に遍在。埼玉県に顕著。
終止形は標準語と同じ。活用形は、『かね』、『かんで』、『か』、『かどぎ』、『かんだら』、『か』、『かんべ・かべ』(〜べ形)、『かんちゃう・かんちゃー』(〜してしまう形)。
かぐ 【動】暇をつぶす。時間を費やす。 『隙を欠く』という成句で現在も使われる。ただし、文語動詞を使った『隙を掛く』の場合は時間を掛ける意味になる。
そーたひまかいでなにやってんだおめ:そんなに時間をかけて何をしているの、お前は。
かぐ 【動】巻く 『繋く・構く』意味か。
ろかぐ:とぐろを巻く。
かく:山梨。ろをかいてる:とぐろを巻いてる。
かーぐ 【動】乾く 『わ』が変化して平坦な長音形になるのは茨城だけの特徴ではなく、江戸言葉に発する可能性がある。多くは『わ』の古形『は』に由来するが『かはく』は何故か辞書には無い。
構わない→かまあねえ
かーかねー:乾かない:東京青梅。
かーきゃーしねー:乾きはしない:東京青梅。
かーく:東京青梅・静岡。
かーがね・かーがねー:乾かない。
かーぎやしねー:乾きはしない。
がぐいん 『学園都市』の略称
がぐがぐ
かぐかぐ
かくかく
【副】【擬】がたがたしている様子、がくがく、ぐらぐら がぐがぐ:山形。
(かくー) 【副】よほど 神奈川。もともとは『かくが』『かくがに』と思われる。
かぐし
かくし
ポケット 『隠し』と書く。魅力あることば。清音なら標準語だが死語。もともとは『隠して人にみせないようにすること。人目につかない所。守る事。守護。』の意味。
古事記には大便を指したことが書かれている。
かぐし:青森・宮城・福島。
かくし:千葉・群馬・埼玉・山梨。
かぐす:宮城。
(かくし) ふみぬきのけが 東京多摩。
『踏貫・踏抜き』は広辞苑に『くぎ・とげなどを踏んで足に突き刺すこと。また、その傷。ふみぬぎ。』とあるので、見えれば踏み抜く事は無いから『隠し』と呼んだか。
かぐし
かぐしくそ
ポケットにたまったゴミ
かくしばばー 妖怪の一つ 夕方かくれんぼをすると、『隠し婆』に連れて行かれると言う。
かくしもぢ 1月11日の農作業の始めに、田畑に刺した松の枝に供える餅。 この餅は、暮れについたものを臼に入れておき、これを砕いて用いる。暮れに搗いた餅を、直ぐには食べず、しばらく隠し隠し置いたものを言うと思われる。世界中にある呪術的な儀式と思われる。言い換えれば、自然に対する尊敬の念がこめられているのだろう。
かくしもち:1月15日に搗く餅:群馬。
かぐす 【動】隠す 濁音化。
かぐす:宮城。
がーくた がらくた 県北では『がーたぐ』と順序が変わる。『がら』+『芥』か。
がくたりがくたり 【形動】がくがく、ぐらぐら ★『土』:石坂(いしざか)だから畜生等(ちきしやうら)がくたりがくたりはあ、なんぼにも歩(ある)かねえな:石坂だから、家畜はがくがくして、もうどうにも歩かないね。
(かくち) 家の裏 東北。
がぐ
くぢ
くち
【助】〜の分、〜の口 おめくぢはあっ:お前の食べる分はあるだろうよ。
がぐづぐ
がぐつく
【動】@ぎくしゃくする、Aがたつく、B震える
かぐっちぇる
かぐっちる
かぐってぃる
かぐってる
【複】隠れている かぐっちる:福島。
かぐなす
かくなす
【動】隠す 『隠す』+『為す』。関東方言。
かくなす:群馬・東京三鷹・神奈川。
(かくね) 垣根 静岡。
かぐねる
かくねる
【動】隠れる 『集覧:猿』。清音形は辞書掲載語で『隠れるの訛り』とある。
かくねる:群馬・神奈川・長野・静岡。
かくねこ
かぐねっこ
かぐねっくぢ
かぐねっこ
かくねっこ
かくねもっこ
かぐねんぼ
かくねんぼ
かくれんぼ 関東方言か。
『隠す』を『かくなす・かくねると言う地域に分布すると推測される。
『かく』は原始の和語を連想させる。本来あった、またはあるべきものがなくなる意味で『欠く』がある。古語では隠れることを『かくる』という。
かくねこ:茨城西部・栃木・埼玉・群馬・東京・神奈川・千葉の一部・長野。
かくねっこ:現神栖市付近と千葉県中央部
かくねっこ:栃木・群馬・長野。
かくねっこと:埼玉。
かくねんぼ:群馬・東京・静岡。
(かくぼし・たたみぼし) タタミイワシ タタミイワシは東海地方の特産品で、『角干し』あるいは『たたみ干し』という名でも販売されている。
かくぼし:神奈川・静岡。
たたみぼし:神奈川・静岡。
(かくまう) 【動】養う 神奈川。
(かくまき) ショール 東北・宮城。
まる 【動】屈む 『かがまる』の転
かぐもの 角材 濁音化。
かぐら
かぐらん
日射病、暑気あたり 主として江戸時代に使われた『霍乱』の転。
慣用句で『鬼の霍乱』(普段丈夫な人が珍しく病気にかかること)が残っている。また、江戸時代には訛って『はくらん』と言い、むしろこの方が多く使われたという。
かくらん:群馬・神奈川。
かくらんよけ:暑気当たりをしないため菅笠などを被ること:群馬。
はくらん:青森。
獅子舞、■獅子頭 『神楽』の意味の転。
:獅子頭:青森。
:祭り:新潟。
らとらし
らとーらし
ピーマン
らむし コハンミョウの幼虫、ニラムシ
がぐりがぐり 【形動】がくがく、ぐらぐら がぐらがぐら:山形。
かーりくみ 水田の用水路(みいこ)の土管等に小魚が集まっているので、上下を泥でせき止め、水をかき出しながら小魚をとる漁法 『川干し』『掻い掘り』『川狩り』。『川ごと汲み』『川刳り汲み』の意味か。『刳る』は、広辞苑に『(刃物などで)えぐって穴をあける。彫(エ)る。延慶本平家「大刀を左右へ指しちがへて、うつほに―・りなしてければ」』とあり『掘る』に近い言葉。
かくれ
かぐれおに
かくれおに
かくれんぼ 『隠れ鬼』はなら古い標準語だが死語。方言地図では、茨城県下では、鹿行地域に、他県では、新潟県とさらにらに遠く離れた山陰と九州の一部に残っているのが面白い。古い言葉と考えられる。
かぐれ
かぐれか
ものかげ、後ろ、見えないところ 『隠れ処』(かくれが)。
かぐれかっ
かぐれかんぼ
かくれんぼ 『隠れ子』(かくれご)を受けた『隠れ家坊』の意味か。
かぐれかんこ:福島。
かくれか:岩手・宮城・山形。
かぐれこ
かぐれっこ
かくれっこ
かぐれこんこ
かぐれっこ
かくれっこ
かぐれっ
かぐれぼ
かぐれ
かぐれんこ
かくんぼ
かくれんぼ、かくれんぼう 別称『隠れ子』(かくれご)は別称で、『かくれんぼう』は『隠れん坊』と書く。
『俚言』には『かしやませ:児戯也。江戸にてかくれんぼうと云。仙台にてかくれと云。出雲にてかくれんと云。相模にてかくれがんしょうと云。』とある。
この言葉に関する限り現代語の『かくれんぼ』は訛りで、『隠れ比べ』を起点にしたかくれっこ』こそが『かくれんぼ』の本流に相応しいと思われる。
かくれおっこ:青森。
かぐれっこ:福島。
かくれっこ:福島・茨城・千葉・新潟・佐渡の一部。
かぐれっこ:青森。
かくれっこ:茨城県南部と北部・関東圏・東北北部・山梨。
かくれぼっち:秋田・山形。
かくれもち:新潟。
かくれもーも:長崎。
かくれん:新潟・高知。
かごみかごみ:長崎。
かぐれざど
かぐれざと
かぐれづか
隠れ里、隠れ家、逃げ場所 広辞苑には『隠れ里:@世のわずらわしさを避け、世間を離れてかくれ住む所。特に、貴人が山奥にかくれ住んで作った部落をいい、伝説化している所が多い。A山中や地下にあるといわれる人に知られぬ別世界。多くは椀(ワン)貸し伝説に結びつく。B公認されていない遊里。岡場所(オカバシヨ)。』とある。
次項の『神隠し』の意味とは別に茨城では『隠れ家、逃げ場所』の意味で使われたから、ほぼ間違いなく『隠れ里』意味だろう。
以下は、『隠れ里』が発展した何でもかなう日常版のSF世界を描いたものとも思われるが、いましめとして残された物語ともとれる。
かぐれざと:真壁郡開城町船玉にある古墳の名前。昔、この塚に頼むと何でも貸してくれたが、あるとき返さないものがいたので貸してくれなくなった。
かぐれざと:下妻市高道祖にある塚の名前。昔その塚にたのむと膳椀を貸してくれたが、あるとき返さないものがいたので貸してくれなくなった。『ずこーづか・かくれづか・おぜんづか・じゅうにぜん』とも言う。
かぐれざと:猿島郡五霞村川妻の地名。昔ここに山姥が住んでいて、たのむと膳椀を貸してくれたが、あるとき返さないものがいたので貸してくれなくなった。
かぐれざど
かぐれざと
かぐれざとー
神隠し 茨城では子供が夕方遅くまで遊んでいると『かぐれざとに隠される』と言ったり、『かくれざとの餅を拾えば長者になる』とも言うことから神隠しの妖怪だけでなく『隠れ里』の意味ともとれる。これは日本語の表現の限界を示すものであり主格と目的格が混用された結果の混乱により生まれた方言と見られる。
一般には『隠れ座頭』の意味とされ北海道・秋田・関東地方に伝わる妖怪の一種で、子供を攫うといわれる。
尚、ウィキペディアに『隠れ座頭』の項がある。
かくれざとー:神隠しにあってひとがいなくなることを『かくれざとーに隠された』と言う:神奈川。
かぐれっくら
かぐれっころ
かくれんぼ 30年代の言葉。『かぐれっこ』の古形と考えられる。
かぐれまーる 【動】逃げ回る
(かくろく) 互角 山梨。
標準語では『角ろく:物事の似通っていること。俗に「かけろく」とも。』に当たる。
(かくわ) 沢庵漬けを細く切ったもの 静岡。
広辞苑に『かくや【覚弥】:(江戸時代初、岩下覚弥の始めたものといい、また、高野山で隔夜堂を守る老僧のために始めたものともいう。「隔夜」とも書く) 種々の香の物の古漬を塩出しして細かく刻んで醤油をさしたもの。』とある。
かげ 欠片(かけら) 『欠け・闕け』。
ひとかげくわしてくろ:一欠片(一口)食べさせてちょうだい。
がげ
がけ
かげとり
がっけ
お手玉 『おがっげ』とも言う。『かっけ』という貝に由来すると思われる。
がいき:宮城。
がっき:山形。
ざっき:埼玉。
がげ がげ:千葉。
かげ
かけ
卸値の定価に対する割合。 『掛け』。現代なら『何掛け』。
鍵、鉤 :静岡。
◎か 物の背面・後方 『陰・蔭』。『民俗』では『家の裏』の意味を方言として扱っている。確かに近年は物の後ろを『かげ』と言う人は少なくなった。
広辞苑には『(「陰」「蔭」と書く) 物の後の、暗いまたは隠れた所。@物にさえぎられ、またはおおわれた、背面・後方の場所。A他の者をおおうように及ぶ、その恩恵・庇護。人目の届かない、隠れた所。B人目に隠れた暗い面。かげり。正式のものに対して、略式に行う方。』とある。
もともと『かげ』は『影・陰・蔭・翳』と書き、大きく『@日・月・灯火などの光。A光によって、その物のほかにできる、その物の姿。A物の姿。B物の後の、暗いまたは隠れた所。』の意味がある。Bだけが、使用漢字が限定され、他はどれを使っても良いようである。@は『月影』が比較的使われる。Aは『影が薄れる』『人影』がある。Bは『陰に隠れる』がある。今では、光を発するものの姿を『影・陰・蔭・翳』と呼ぶのは不合理で、Aなら経験的に理解できたとしても、例えば日本語を学ぶ外国人にとっては不可思議な言葉の代表例になるだろう。
語源辞典によると、『影・陰・蔭・翳』の語源は、@カガ(耀、赤々)(または火偏に赤二つの造り)の転、Aカケ(日気)の義、Bカカケ(火偏に玄の字+気)の義、Cカは鏡、ケは気の義 とある。この中で現代語をイメージできるのはCだけである。この語言説には『欠け』を感じてしまう。日本語は、遡るほど清音だったことは、すこし勉強すると解る。『かげ』は古代『かけ』であったとすると、何故光を表す言葉が影を表す言葉を生み、それが並存した謎が解けていなない。
がげー
がけー
図体 『がかい』は死語となった標準語。
がけー:山梨。
がげー 支柱 『架け枝』の意味か。

△〜
【助】@〜しかけ、A〜したて 『が』は濁音・鼻濁音。
@『〜かけ・〜がけ』。標準語では進行中の意味。
A『〜かけ・〜がけ』。茨城弁等では、完了して間もない状態も指す。
:宮城。
:岩手・宮城・福島・新潟。
つぎげのもぢ:突き立ての餅。
【助】@たった〜、A〜の分、〜だけ 『〜掛け』(割合を示す)。
こんげしかねえのが?:これだけしか無いのかい?。

【助】〜側 『〜か』がさらに訛ったと考えられる。
もごー:向こう側。
かげあい
かけあい
かけあえ
蔵物の処理や代金の出納に当たり、また金銭の融通や両替をした御用商人。 『掛屋・懸屋』。
かげあーせ 交配、交配したもの 『掛合せ』。
かげあーせ:千葉。
かげあーせる 【動】交配する 『掛け合せる』。
かげありぐ
かげあるぐ
【動】走り回る
(かけうち) 駆け落ち 静岡。標準語を中心に考えると単に訛ったと考えてしまうが、『駆け打ち』の意味だとしたら寧ろ力強い言葉である。
おに 子供の遊びのひとつ 『影鬼』。影を踏んでいれば鬼につかまることはない。茨城以外にもあるかなり広域の遊びのようである。
かげ 掛川 かけ:静岡。
静岡の地名。茨城では長音を平坦に発音する事が多いがこれは旧仮名遣いの『かけは』の名残であろう。

っこ
影、陰、物の背面・後方
@魚籠、A大型の魚籠やぼてふり笊の蓋、B漁師が船で使う道具や衣類を入れる箱の内箱。釣具等を入れる。 『捌籠・佩籠(はけご)』(竹や藁で編んだ籠で腰に着けて用いるもの)に通じる言葉。
標準語の『懸子・掛子』は、『他の箱の縁にかけて、その中にはまるように作った箱。』とあり、いずれも同じルーツの言葉と思われる。
@Aは『掛け籠』の意味か。
Bは『懸子・掛子』の転と思われる。
C・かけ:竹でつくった弁当箱:静岡。
かげざお 物干し竿 『掛竿』。清音なら標準語だが死語。
『掛竿』は広辞苑に『@衣服・手拭などをかけるため横に渡した竿。A掛軸をかけるのに用いる竿。』とある。
『称呼』には『かけざほ(かけさほ)俗称:下野にてみせざほ、下総猿島郡にてみぞぞと云。筑紫にてならしと云。今按にみぞぞは御衣(みを)なり。そ は さほ(さを)の反(かへし) そ なれば、みぞぞと称するは古き詞なるべし。疑らくは、平将門の時代の遺風にてやあらんか。又世に衣桁をみぞかけといふも同し也。』とある。ここで『均し・平し(ならし)』は広辞苑に『衣類を掛けるために、土間の壁にそって、また寝室などにつるして置く竿。みせ竿。かけ竿。そぞ。ならし竹。』とある。
かけざお:静岡。
かげじ 掛軸 『掛字』の濁音化。『掛字』と『掛軸』は同じ。
かけえ:鹿児島。『掛絵』。
かげじ:山形。『掛字』。
かけじ:静岡。
かけむん:鹿児島。『掛物』。
かけもん:鹿児島。『掛物』。
かげんじ:山形。『掛字』。
かげずる 【動】駆け回る 清音なら標準語。『駆けずる』。江戸時代は『かけつる』だった。
かけずる:静岡。
◆■かげずりまーる 【動】駆けずり回る 『駆けずり回る』。
かけずりまーる:群馬。
(かけせん) @頼母子(タノモシ)講の掛金(カケキン)のこと。日掛・月掛の貯金の掛金。A中世、領民に課した金銭。B勝負ごとに賭ける金銭。 『掛銭』。
かけぜん:頼母子講:鹿児島。
(かけそく) 安心してたよりにできるもの。あて。 近世語。
かげそぐ:山形。
かけそくなし:人手が足りないこと・留守番等がいないこと:宮城。
かげぞめ 2月1日から8日まで子供の背中に背守りというお守りをかける行事。 隣組はもち米一升を届ける。土浦市内の別の形の転ばせ餅。
◎か 日陰の田
かげっくら かけっこ 『くら』は『競べ(くらべ)』の転で『〜こ』の語源。30年代の言葉。『駆けっ競』(かけっくら)。
『俚言』には『こくら鬼こくら駆こくらなど云。又こくとばかりも云。又ここうとも云。』とある。
これにより、最初に『駆けこくら』があって『こ』が促音化して『駆けっ競』となった事が解る。また、『こくら』は『ごっこ』の起源とも考えられる。ただし現代語の『駆けっこ』は、『駆けこくら』の『くら』そのものが省かれた可能性も出て来る。
『聞書』『はしりこくら、かけくら』が掲載されている。
かけくらべ→かけくら・かけっくら・かけこくら・かけこく→(かけこら・かけこら・かけころ・かけっころ)→かけっこ
かけっくら:神奈川。
かげっこ @かけっこ、A指きり、B子供の遊びの勝負事、賭け事 @『かけっこ』は30年代後半から使うようになった。
ABは『賭けっこ』の意味。
かげころ
かげっこら
かげっころ
かけっころ
かけっこ 『駆けっ競』。『集覧:北』。
『ころ』は『くら』の訛り。この方言は、現代語の『かけっこ』に至る中間形とも考えられる。
『俚言』には『かけくら:むかしははしりくらべと云。「枕草子」にははしりくらべ、「古今夷曲集」にははしりこくら、「望一后千句」にははしりくら。』(文略)とある。
かけくらご:鹿児島。
がげっちょ 『崖処』の意味。
がげっさ・がけっさ:千葉。
がけっちょ:神奈川。
っちょ 陰、日陰 『陰処』の意味。
っこ:日陰地:千葉。
かげって 【複】走って行く 『ぐ』は濁音・鼻濁音。
ってくる 【複】曇になる、日陰になる 『陰る』+『来る』。『陰りて来る』。
かげっばし
かげっ
破片、かけら 『欠け端』の意味。
かけっ:東京。
がげっ 崖の縁、追い詰められたぎりぎりの状態
影、影法師
がげっぶぢ
がげっ
がげっ
崖の縁、追い詰められたぎりぎりの状態 『崖っ縁』。
がげっぼ
がげっ
がげっ:千葉。
がけっ:神奈川。
日陰の場所・農地
影法師。
:山形。
:山形。
づるし 鉤吊るし 囲炉裏で鍋を吊るす金物。『集覧:猿』。
〜(し)げで〜(する)
〜(し)かげで〜(する)
〜(し)けて〜(する)
【複】〜(し)始めたが途中で止めて〜(する) 『が』は濁音・鼻濁音。
べんきょーやりがげであそんだ:勉強を始めたが途中で止めて遊んだ。
かげでありぐ
かげであるぐ
【動】走り回る
かけなはめ 【複】口に出さないだろうが 『口にかけなさるまいが』。
かけのうお
かけのー
かけのよ
神前に供える魚類 『懸魚』(かけざかな)。
古代には枝などにかけて供えたからいう(広辞苑)。
かけのいお【懸の魚】:正月の幸木に吊り下げられる魚。二尾一懸けで、鯛・鰤・鮭・鱒・鱈など。正月の船祝いに船に吊す地方もある。かけのうお。』もある。
かけうお・かけお・かけご・かけざかな・かけねご・かけのうお:神奈川。
かけお:自在鉤をとめる魚型の木:群馬。
かみいお:船霊様に供える鰹・鮪の心臓:神奈川。
かげはしる 【動】勢いよく走る 『駆ける』と『走る』をあわせた造語のような訛。=『はしりかげる』
ばだげ 影の畑
ひなし 【形動】陰日なたの無い様、裏表の無いこと 『集覧:稲』。
がげぶぢ
がげ
がけ
崖っぷち、追い詰められたぎりぎりの状態
かげぶどん
かげとん
掛け布団 泉鏡花の『紫障子』第一章に『掛けぷとん』が出てくる。泉鏡花は金沢生まれなので金沢訛りなのか、当時の俗語なのかは解らない。しかし、半濁音化は現代標準語にも残っており、当時の茨城弁が明治期の言葉を良く残している例と思われる。
ぼし
ぼーし
影法師。
日に当たった人の影は、昔は自分の影を映していると思ったのだろう。
日本語の『かが意味する言葉は奥深い。
その後、丁寧の接頭語にもつながる。
かげぼし:鹿児島。
んぼち:静岡。
がげ 『崖地』の意味。
げぽ 影法師。
かげまぐる 【動】@駆け回る、A(電話を)掛け捲る かげまぐる:千葉。
かげまーる 【動】駆け回る かいまる・かえまる:千葉。
かげむがい
かげむげー
かけむけー
@差し向かい、A夫婦二人の生活 『掛け向い』。
かげや
かけやい
カシ等で作った大形の槌(つち) 『掛矢』。『集覧:多』。
かけや:藁打ちの道具・槌・掛矢:神奈川。
かげやし
かげやーし
駆け足
かげら 欠片、かけら
かげらがす 【動】早く走る 馬を走らせる意味が転じたと考えられる。
かけらかす:神奈川。
かげらもない
かげらもね
かげらもねー
【複】断片すらない、何も無い けけらもない:静岡。
かげりあい
かげりやい
かけっこ
かげりっくら かけっこ
かげりっこ かけっこ かけりっこ:群馬。
かげりはしる 【動】勢いよく走る 『駆ける』と『走る』をあわせた造語のような訛。
【動】影になって日が当たらなくなる、夕方になって陽射しが弱くなる やや古い標準語。茨城弁だけでなく標準語世界の言葉の中ですたれつつある典型例。
かげる 【動】@(動物などを)掛け合わせる、交配する、A掛ける 濁音化。
A『手袋を掛ける』。
けける:山梨。
B・かける:酒の燗をする:宮城。『(鍋などを上からつるして火にあてたところから) 火の上に置く。』意味に順ずるもの。
かげる 【動】駆ける、走る 当時『走る』より『駆ける』の方がメジャーだった。
かーける:静岡。
かげる 【動】@成功したときのことを約束する、A指きりする 『賭ける』。
Aは@の意味拡大。
そおたごどゆーんだらかげっかー:そんな事言うなら約束するかい。
加減、物の状態や調子、具合 今では『いい加減』しか使われないが、かつては、物の状態や調子を示す幅広い言葉だった。『ご加減はいかがですか?−今日は加減がいいんですよ』。当時は、『機嫌』と同じ意味でも使われた。
わりー
わるい
【複】体の調子が良く無い 『加減が悪い』。調子が悪い意味。
がけんとー 『集覧:久』。『崖処』の意味だろう。

かー
カモメ
(かー 静岡。茨城でも長音化する事がある。
かごー 【動】囲う 古語『かこふ』の流れ。
かこー:静岡。
(かこくさい・かこーくさい 【形】きな臭い 静岡。
かごぢょー 寺院で檀家・信徒の死者の法名・俗名・死亡年月日などを記し置く帳簿。鬼籍(キセキ)。鬼簿。霊簿。点鬼簿。冥帳。 『過去帳』。
現代の戸籍制度が成立(明治4年)する前の戸籍台帳。1909年(明治42年)2月11日、上大津地区は折からの大西風で西端で発生した火事が瞬く間に全村に広がり、殆どの家が全焼した。その時、多くの寺も焼き出され、過去帳も消失した。
しゅーもん:静岡。『宗門』。
ごど
こと
【複】〜の事 ★長塚節『芋掘り』の一節:どうしたもんだいまあ、おすこと貰あも出來ねえ、兼次足も自分の持物ぢゃねえから止める譯にゃ行かねえって伊作男斷ったっちいんだそれも隨分酷え噺ぢゃえねか:どうしたものかなあ。おすがの事を貰うのも出来ない、兼次の足も自分の持物じゃないから止める訳にはいかないって伊作男に断ったというんだが、それも随分ひどい話じゃないか。
かごまる 【動】囲まれる ぐるぐるかごまっちゃった:ぐるりと囲まれちゃった。
まる 【動】屈む 『かむ』の擬似自動詞形。
かごみ 『囲み』には『@周囲。めぐり。まわり。Aまわりを取り囲むこと。包囲。また、とりかこんだもの。B新聞・雑誌などの紙面の一部を枠で囲んだ部分。』の意味がある。
かごみべー 『囲み塀』の意味。
【動】屈む 『かがむ』と『こごむ』の中間形。
わらべ歌の『かめかめ』の最も古い文献記録(江戸中期)には、『めか かごの中の鳥は いついつ出やる 夜明けの晩に つるつるつっいた なべのなべの底抜け』だったとされる。
『俚言』には『めか かごの中の鳥は いついつでやる 明けの晩に つるつるつっへぇった なべのなべの底ぬけ 一升鍋の底ぬけ 底をいれてたもれ』とある。
現代では『めかご かごの中の鳥は いついつでやる 明けの晩に つるとかめが滑った。後ろの正面 だあれ。』である。
当時の土浦の記憶は曖昧である。また、当時この歌を使って遊んだ記憶が曖昧である。私の記憶では『かーめかー かーごのなーかのとーりーは いーつーいーつーでやーう 夜明けの晩に つーるーつーるーつっったー なーべのなーべの底(そーご)ぬげ。』だった。『後ろの正面 だあれ。』は遊びのルールがかなり定型化された後と思われる。
@まず、『かめ』とは何かということになるが実際良く解らない。籠の目なのか、カモメなのかも解っていない。
Aカモメは音位転倒して『かめ』と変化している可能性がある。
B『すべる』は、古くは『つっはいる』で『へ』が半濁音化して『つっいる』、逆行同化で『つっへぇる』、さらに『つっぇる』に変化したと考えられる。
C鍋の存在ががどのような意味を持つかが重要である。
かごむ:鹿児島。
かごん:鹿児島。
@カモメ、Aウミネコ @音位転倒。
:青森・秋田・神奈川・佐渡島・新潟・静岡・高知。
目籠 古河市の方言。音位転倒したとしか考えられない言葉。
がーこん
がーこんがーこん
足踏み式脱穀機 幼児語。作業時の音が『がーこん』と聞こえるのでそう呼ばれる。那珂郡では『がらこん』『がらんこん』と言う。
(かさ) 上の方 山梨。
(かさ) 肩、粕 神奈川。
(かさ) 静岡。椀の蓋は『笠』と言うからか。
〜がさ
〜がさー
【助】〜ございますよ、〜ございますわ 『〜がすわ・〜がすあ』の転。
ございますわ→ござんすわ→〜がすあ〜がさ
★『土』:わし一つ寄(よ)せて見(み)ておくんなせえ、死口(しにち)でがさ:私(の所)に一つ呼んで見ておくれなさい、死霊でございますよ。
〜がさ

ーさ
〜かさ
〜かーさ
【助】〜に、〜の方へ、〜側に 〜かさ:東京多磨。
がさ 嵩、量 茨城弁では珍しい第1音の濁音化。
がさ:宮城・群馬・山梨・静岡。
(かーざー) 【複】食べよう 静岡。
かさい 丙午に生まれた子供 『火災子』の意味。『丙午』は広辞苑に『干支の一。五行説によって、丙は火の兄、午は正南であるので、この年には火災が多いとする。また、この年生れの女は夫を殺すという迷信がある。』とある。
かさいしら ウニ
がさおぎ 乱暴なこと、我を張ること、がむしゃらなこと(人) がしょうぎ・がしょうきん・がっしょうきん(合食禁)』(近世後期の東国語、強引な様、程度の甚だしい様)。広辞苑には『がしょうきん(合食禁)』が掲載されている。
がさぎ:おてんば:秋田。
(かさー) 竹の皮 静岡。
かざか
かざをか
【動】(臭いを)嗅ぐ 方言地図では、主に岐阜以西から関西にかけて分布しているがなぜか、茨城県南部にもある。臭いの意味の『香(かざ)』は古い言葉である。
かざか:石川・京都・奈良。
がさかぶ 竹薮 真壁郡・岩井市・筑波郡・稲敷郡の方言。
かさかぶる 【動】@傘をさす、A月に暈がかかる @古い時代の蓑がさを被る言い方が残ったのだろう。
かさかぶる:宮城。
かざかむ 【動】臭いをかぐ 臭いのことを古くは『香(かざ)』と言った。『香(かざ)を嗅ぐ』意味。臭いがすることを『かざがする』とも言う。
かざかむ:千葉。
(かさぎとーん) 【複】身ごもっている 沖縄。
(かざぐい) 沖縄。
かざけ 【形動】@風邪ぎみ、A風のある様 『風気』。
かざした 風下 死語となった標準語。
がさづ 【形動】言動が粗暴で、ぞんざいなさま。 濁音化。
がさっか
がさっかぶ
竹薮、藪、雑木林 『がさがさ音がする処』の意味。
がさっかぶ:藪・草叢:群馬。
がさつぎ 落ち着きのない人、がさつ者 『がさつく』の名詞形。
がさつぐ 【動】@がさがさと音がする。Aおちつかない態度・挙動をする。 濁音化。
かざっけ 【形動】@風邪ぎみ、A風のある様 『風気』。@『風邪気』。
かさっこ @かさぶた、A▲椀の蓋 『集覧:北・猿』。
@・かさこ:宮城。
かさっこ:宮城。
がさっば
がさっ
落ち葉、枯れ葉 がさがさした葉の直接的状態表現。
がさらっ:千葉。
かざっばな
かざっ
風邪の時に出る鼻水
かさっぶだ
かさっ
かさぶた 半濁音は濁音で発音されることがある。『瘡つ蓋』。
がさっ:吹き出物のできた者:静岡。
かさっ:群馬。
かさっ:群馬。
かさっぼ
◆■▲かさっ
かさっ
幼児などの頭にできる膿痂疹。頭瘡。瘡鉢。 『集覧:稲・新』。
がさっぼ
がさっ
がさっぼい
がさっ
【形】(皮膚が)かさかさする
かざっぼい
◆▲かざっ
【形】風邪気味、風の吹き始め 『集覧:久』。
かさどめ 農休日
かさにきせる 【慣】権勢あるものをたのんで威張る 『嵩にかかる。笠に着る。』。
かさにかかる:静岡。
かさにきせる:静岡。
かざな
かざな
さざなみ、波浪 『波座(なぐら)』は広辞苑に『(宮城・茨城・静岡・和歌山県で) 波のうねり。また、沖の高波。』とある。
(重ね箪笥) 二つ以上重なるようにした箪笥。 古くからある伝統の箪笥。
当時の嫁入り道具の一つ。総桐製で、2段または3段あり、上下は雄雌の金物が嵌合するようになっていて、
かさねもぢ 鏡餅 濁音化。『重ね餅』。
かざはな みぞれ 『俚言』掲載の常陸方言。
標準語の『風花』は普通『晴天にちらつく雪。風上(カザカミ)の降雪地から風に送られてまばらに飛来する雪。』の意味。ただし『初冬の風が立って雪または雨のちらちらと降ること。』の古い意味もありそれが転じたのだろう。
かざはな:埼玉。
かざはな:雹・霰:千葉。
かざはな:寒風のとき細かく流れてくる雪:静岡。
がさばる 【動】かさばる 『嵩』+『張る』。茨城弁では珍しい第1音の濁音化。
おかさ:神奈川。『お嵩がある』か。
がさばる:福島・栃木・群馬・静岡。
ずがばる:山形。
かざひぎ
かざひき
風邪をひくこと 『風邪引き』。
かさびだ
かさびた
かさ
かさぶだ
かさ
かさぶた かさっ:群馬。
かさびた:山形・宮城・千葉。
かさ:山形。
かさ:栃木。
かだ:山形。
かざふさ
かざふた
◆■かざまづり
風除けの祭り 『風祭』(かざまつり)。二百十日前に行う。地域によって風習が異なる。土浦では若い衆がお囃子をしたり、念仏衆が念仏を唱える。『塞ぐ(ふたぐ)』は古語。
かぜのかみおくり:流感が流行ると御輿を担ぎ空鉄砲を打ち鳴しながら隣村との境から風邪の神を送り出す:群馬。
かぜまつり:風害よけの祭り・長い竿の先に草刈鎌を結びつけ山の上や庭に立てる:群馬。
かさ 幼児などの頭にできる膿痂疹。頭瘡。 『瘡鉢』。
かさぼっち 菅笠 『笠帽子』の意味。
(かざま) 暴風雨で出漁のできない時。しけ。 静岡。『風間』。
かざまづりねんぶづ 風除けの祭りの念仏 二百十日前に念仏衆が念仏を唱えること。
かざみぢ 風の吹き抜ける道 『風道』(かざみち)。
がさもぐ ごみ、がらくた がさがさした『芥・塵』(ごもく、くた)。
△▽がさやぶ 『木障藪』(こさやぶ)が転じた可能性もある。県下広域方言。
がさっ:草むら:奈良。
がさやぶ:福島・埼玉・千葉。
かーさらい
かーされー
用水路の清掃 『川浚い』の意味。
かーざれー:神奈川。
かざん 築山 『仮山』。当時、花壇が訛っていると思った言葉。
がーさん お母さん
かし 痘痕、あばた 『集覧:新』。『瑕疵(かし)』(きず、欠点)か?あるいは『滓』か。『瘡』が訛ったか。
かし:茨城・千葉。
がす:新潟。
(がし) 弱い者、いくじなし、ばか、気がきかない 静岡。
がし:気が強い・意気地なし:神奈川。
がし:強情な人・体格も根性も頑強でたくましいこと:山梨。
がし:悪い・弱い・非理屈:静岡。
がしー:弱い:静岡。
がしもん:悪者・根性の悪い人:山梨・静岡。
がしったくれ:悪者・根性の悪い人:山梨。
(かじ) 沖縄。
かし
かーし
代わり 『為替(かわし)』(ひきかえ・交換)。
かーし:群馬・山梨。
そんかーしこいづおやっ:その代わりこれをあげよう。
そのかしはーやんだねーがんな:その代わりもう遣るんじゃないぞ。

〜かし
【助】〜の端、〜の方 『〜のはし(端)』→『〜がはし(端)』→『〜がし・〜かし』となったと考えられる。『〜かし』は神奈川でも使われる。
かずま:角・すみ:宮城。本来は『かどま』と思われる。
あっちし・あっちかし:あっちの方。
〜かし 【助】(金銭に対して)たった〜 『それっぽっち』の意味の『それかし』の『かし』か『〜切り』の転と思われる。
〜がし

〜かし
【助】〜ですか、〜かい 古語の『かし』の名残。『かし:(詠嘆の助詞カと強めの助詞シとの複合した終助詞) 文の普通の終止、または命令の終止について、念を押し意味を強める。〜よ。〜ね。』(広辞苑)。現代では形骸化して『さぞかし』『これ見よがし』などに残る。
この場合の『し』は現代語の『さ』に当たるが、延長上の現代語はなく、『よ』に近い。
『し』はもともとは『候』に発し形骸化して廃れたものと見られる。
〜がし:山形・福島。目上に言う。そーがし:そうですか。『〜か候』。
〜かし:福島。目上に言う。『〜か候』。
〜がなし:山形
そーがし:そうかい?。

〜かし
【接尾】方向を示す接尾語 この言葉のルーツには三つが考えられる。@風を指す『し』が方向を指す接尾語となった。A『〜が端』が訛った。B『河岸』の意味が転じた。
『そっちし、そっちかし』などと言う。清音形は神奈川で見も使われる。『あっちし、こっちし』などとも言う。
語順は異なるものの奈良・和歌山方言の『〜しか』(〜のほうが、〜が一番)に通ずるもの。奈良・和歌山方言の『か』は係助詞と考えられ、『〜こそ』の意味であろう。ただし『ふるさと』には『〜しか:(〜のほうが;〜が一番)《「〜ほかない」「〜しかない」(限定)の対応から類推して「〜ほか(〜ほうが)えー」に「〜しかえー」(比較)を当てた》』と言う解釈もある。
『「何しかしたって、もーお前よ、向こ先近うなってきたのら(ねえ)」〈十津川村〉【奈良】。「カニやったらこっちしか(こっちの方が)えーわ。よー、近所よりこっちしか安いんやでー。おとーさんタイしか(タイが一番)好きなんかなー」〈和歌山市〉【和歌山】』とある。
がしおぎ 乱暴なこと、我を張ること、がむしゃらなこと(人) 『がしょうぎ・がしょうきん・がっしょうきん(合食禁)』(近世後期の東国語、強引な様、程度の甚だしい様)。
『俚言』には『がしよぎ:上総にて大なること又つよきこと』とある。
がし:気が強い・意気地なし:神奈川。
がし:強情な人・体格も根性も頑強でたくましいこと:山梨。
がし:悪い:静岡。
がしー:弱い:静岡。
がしもん:悪者・根性の悪い人:山梨・静岡。
がしったくれ:悪者・根性の悪い人:山梨。
かじか 浅い根茎から出た細くて小さい竹の子
かし 【動】傾ける 『傾ぐ』の他動詞形。何故か辞書には無い。
かし:群馬。
かじがまる
かじかまる
【動】かじかむ かじかまり:寒がりや:神奈川。
かじかまる:神奈川・静岡。
かじかまる:糸がもつれる:神奈川。
かじかんぼー:寒がりや:神奈川。
かんじかなる:静岡。
かんじくなる:静岡。
かし 【動】傾く 『傾ぐ』の擬似自動詞形。
かし:群馬。
かす:青森。
△▽かしき 【古】炊事 『かし(炊ぐ)』の名詞形。『かしとも言う。死語となった標準語。台所を指して言う場合もある。
かしき:茨城・神奈川・長野・愛知・和歌山・島根・愛媛。
かしき:炊事当番:神奈川。
かっくさ:刈草:山梨。
かっしき:刈草:山梨。
かじぐ
かじく
【動】@噛む、齧る、A引っ掻かく @・かじく:長野・静岡。
A・かじく:長野。
かし 【動】傾く 建築業界では今も現役で使われる。
かし:東京・山梨・静岡。
かじぐれる 【動】かじかむ、かじける 古い標準語の『悴く』(かじく)+『くれる』。
かじぐる
かじくる
【動】@噛む、齧る、A引っ掻く @『齧りまくる』意味。『穿る(ほじる)』に対して『穿る(ほじくる)』と言うのと同じ。
かじくる:山梨・静岡。
A・かじくる:神奈川・山梨・静岡。
かしけー 【形】賢い かしっけー:神奈川。
かし 【動】傾く、傾ける、(家などが)傾く、(首を)傾ける 標準語。『傾げる』。現代では『首を傾げる』しか使われない。
かじげる
■△▽かじける
【動】@かじかむ、(Aやつれる、生気を失う、やせ衰える) やや古い標準語の『悴ける(かじける)』。古形は『かじく、かしく』
@・かぎなる:静岡。
かじけ・かじけんぼー:寒がりや:神奈川。
かじける:栃木・佐渡島・福井・和歌山。
かんじかなる:静岡。
かんじくなる:静岡。
A・かじける:長野。
Bその他。
かじける:すくむ:福島。
かすけ:寒がりや:宮城。
かすける:寒がる:宮城。
(かしける) 【動】欠け傷つく 神奈川。
かじげっちゃー
かじげっちゃう
【複】かじかんでしまう
かしこばる 【動】畏まる かしこばる:栃木。
かしずく 【動】人につかえて世話をする、後見する 『傅く』。古い標準語。
かじし 炊事
〜がした 【助動】〜(で)した、〜(し)ました 丁寧語。ございました→ござんした→がーんした→がんした→がした。
〜がした:静岡。きがした:来ました:静岡。
そーでがしたねー:そうでしたねえ。
がしたがり 卑しん坊、食いしん坊 日本方言大辞典では『がし』を『餓死』と当てている。
がしたがる 【動】がっつく、がつがつする、むやみに欲しがる 『がしづく』と同義語。
かじっかげ 齧りかけ
がしづぐ
がしつぐ
がしつく
【動】がっつく、がつがつする、むやみに欲しがる がし:ききん・凶年:宮城・滋賀・京都。
がしどし:ききんの年:宮城・福島。
がし:虚弱な人:静岡。
がしい:虚弱な:静岡。
がしんたれ:意気地なし。甲斐性なし。やくざ者。けち:大阪。
がすどし:飢饉の年:神奈川。
かしっけー
かしっこい
【形】賢い
かしっこまる 【動】畏まる かしっこまる:群馬。
かっちくまる:東京三鷹。
かじっつぐ 【動】齧り付く
(かしっち) 川の縁 東京。『河岸つ縁』の意味か。二重表現。
かしっ
かしっ
痘痕、あばた
がしっ
かしっ
卑しん坊、食いしん坊 『集覧:北』。『がし・かし』とは『餓死』の意味。
かして 【複】どいて、貸して 『どいて』というより随分柔らかな表現。場所を借りる意味。席を空けてもらう場合や道を空けてもらうもらうときに使う。
現代標準語の感覚からすれば、意外な表現だが、『すみませんがそこを貸していただけませんか』と言われれば、意味は理解できるだろう。
調べると広辞苑に『かす【仮す】:@仮に与える。Aゆるす。寛恕する。』とある。これは、正しく『仮す』の意味ではないか。茨城弁は凄い。
かして:福島。
そごかして!:そこどいて!。
がしどし 凶作の年、飢饉 『餓死年』の意味。辞書には無いが江戸時代の大飢饉の呼称が残ったと考えられる。
がし:岩手・宮城・滋賀・島根。
がしどし:宮城・福島・沖縄。
がしのとし:宮城。
がしん:山形・福島・京都・三重・兵庫・鳥取・島根・岡山・広島。餓死を『がしん』と言うのは慶長時代の京言葉という(片言)。
がしんどし:富山・岐阜・鳥取。
がすのとすうまれ:飢饉の年生まれ:宮城。
〜してやしないか
〜してやしねーが
【複】〜してはいまいか 古い言い回し。きつい言い方のためか現代語では消えつつある。多く『何か・どうか』に付く。
かじとり 運転 勿論船の舵取りの意味もある。会社の舵取り、女房の
かし
かし
痘痕、あばた 『集覧:北』。
『瑕疵凹』の意味だろう。
かしかしば:福島。
かしっ:埼玉。
かし:千葉。
かしんぼく:千葉・埼玉。
(かじふち) 台風 沖縄。『風吹き』の意味か。
(鹿島街道) 鹿島街道は地元では水戸街道真鍋下を基点に木田余・手野・菅谷・出島を経て柏崎から玉造に渡り、麻生・潮来から鹿島神宮に至る信仰の街道でもある。このうち手野下部分は県道沿いを指しているが、実は、古くはお寺沿いにあって、東西に長い手野の村落の間を縫うように走っていた。
がしまぐる
がしまける
【動】@がっつく、がつがつする、むやみに欲しがるA焦る 『餓死』に由来すると思われるが漢字の渡来以前からあった言葉とも考えられる。
@『餓しまくる』意味。現代語の『がっつく』には漢字は当てられていない。
A茨城方言集覧では旧猿島郡で『焦る』意味とある。
がしまげ
がしまけ
@がっつくこと、がつがつすること、むやみに欲しがること、A罵倒語 『まけ』は一族の意味。
@『集覧:稲』。集覧では『食を選ばず食うこと』とある。
がしまけ:茨城・千葉。『香取』に『貧食』とある。貪り食う意味である。
がすまげ:食いしん坊:宮城。
がち:食いしん坊:香川。
A・がしまけ:茨城・栃木。
『辞典』では『餓鬼』の意味としている。
かじまーし (車の)方向転換、運転、操作
□かしましい 【形】やかましい 江戸時代末期の常陸国では方言と認識されたことが面白い。
(鹿島明神祭) 11月25日の手野地域のお祭り。
(かしみやどすきん) 当時の電柱の看板によくあったトレードマーク 今になって調べると、サテン生地を指して言った商標らしい。当時は電柱の多くに『カシミヤドスキン』の標語が掲げられていた。
かじむ 【動】かじかむ 古形の『悴く(かじく)』が変化したと考えられる。
(かしむる) 【動】むさぼる 鹿児島。
(かじめる) 【動】取り過ぎる 静岡。
かしめる 【動】(ネジなどを)締める 建築業界での常用語。接合部分の爪や金具を工具で打ったり締めたりして接合部を固くとめる意味。もともとは名詞形の『かしめ』(ボイラー・水槽・ガス溜などのリベット継手の部分からの漏出を防ぐために、板金の縁を、たがねの一種を当てて叩き、隙間をなくすること。コーキング。)から来ているようである。
おっかじめる:精神的に押さえつける・押しつぶす:群馬。。
かしめる:栃木。
かしもん @貸す品物、A損料を取って貸す夜具 『貸物』。
かーしもん
かしもん
@食わせ者、A悪者 A『枷』(かせ)は古くは『かし』とも呼び、『枷者』には囚人の意味があり、それが転じたか。
(かじゃ) 匂い 沖縄。『香(かざ)』
がしゃおぎ
がしゃおき
乱暴なこと、我を張ること、がむしゃらなこと(人) がしょうぎ(合食禁)』(近世後期の東国語、強引な様、程度の甚だしい様)。広辞苑には『がしょうきん・がっしょうきん(合食禁)』が掲載されている。当時は、『がしゃっと置くようなぞんざいな人』と理解していた。
がしゃきないー:頑丈ではない:神奈川。
がしゃがしゃ
がしゃがしゃむし
クツワムシ 『集覧:北』。単に鳴き声が名前になったもの。標準語では『がちゃがちゃ』
がしゃがしゃ:埼玉。
がじゃがじゃ 【副】【形動】@堅く細かい物の触れ合う音。がさがさ。A物事をさわがしく言い立てるさま。がたがた、ごちゃごちゃ。 死語となった標準語。
がしゃづぐ
がしゃつく
【動】がさつく、おちつかない態度・挙動をする、取り乱す
かしゃっ 柏等の大型の葉 原型は『柏葉』と考えられる。
かしゃーば:柏の葉:静岡。
◆■▲がしゃっ
かしゃっ
がしゃ
がしゃー
がしゃらっ
クヌギやナラ等の広葉樹の落ち葉 『集覧:北・稲』。『がさがさする葉』の意味か『柏葉』が転じたと考えられる。
かんばかき・かんばき:落ち葉掻き:神奈川。
がしゃっ 目の荒い大籠 『おーか。半濁音は濁音で発音されることがある。
かしやもぢ
かしゃーもぢ
柏餅 かしゃんばもち:静岡。
(がじゃん) 沖縄。
(がーじゅー) 【形動】強情 沖縄。
〜がしょ
〜がしょー
【助】@〜でしょう、A〜ですか、B〜下さい 『〜ござんしょ』が訛ったもの。丁寧語。近世江戸語の『ごす・ごっす』の流れ。
〜がしょー:〜ましょう:静岡。いきがしょー:行きましょう。
★『土』他人(ひと)の處(とこ)なんぞよりやええと思(おも)ったんでがしょうね
★『土』どうだね、一燻(ひとく)べあたったらようがしょう、今直に明(あ)くから
かしょー
かしょー
【動】誘う かしょー:群馬・埼玉。
(かしょー) 【複】貸してください 山梨・静岡。『貸せよ』が訛ったと考えられる。
かじょーひく:風邪を引く:山梨。
かじょー あれこれの『これ』に相当することば。このように。 『彼てふ・かでふ』の意味。『なじょう』(何てふ・なでふ)の対語。
がしょ
がしよ
がしよき
がしょう
がしょお
がしょーき
がしょーけ
乱暴なこと、我を張ること、がむしゃらなこと(人) 『集覧:北』。
がしょうぎ・がしょうきん(合食禁)』(近世後期の東国語、強引な様、程度の甚だしい様)。『合食禁(がっしょうきん・がっしょくきん)』とは本来『@いっしょに食べると害になる食物の取合せ。A比喩的に、人と人との間がうまくいかないこと。そりが合わないこと。』の意味。
辞書には当て字とは書かれていないが『我精気』(我精:勝気なこと)とした方がぴったりである。
『俚言』には『がしよ:上総にて大なること又つよきこと』とある。近世の上総言葉の『つよきこと』の意味は、なぜか神奈川にだけ受け継がれている。
どうやらこれは、かつての日本の民族的な感覚では強いことと乱暴なことは同一視されていたことを思わせる。現代でも力を得た権力者はしばしば法を犯す。
がしょーき:茨城・千葉・埼玉・群馬・東京。
がしょーき:体が丈夫な様:神奈川。
がしょーけ:千葉。
がしょーけ:沢山:千葉。『香取』掲載語。
がしょっき:体が丈夫な様:神奈川。
がとー:大丈夫・頑丈な様:神奈川。
がとーき:頑丈な様:神奈川。
★『土』:俺(お)らなんざこんで隨分(ずゐぶん)無鐵砲(がしよき)なこたあしたが、こんで女にや煎(え)れねえっちゃったから:俺なんか随分乱暴なことはしたが、これで女には興味が無かった(入れ込まないでしまった)から。
かじらいる 【動】噛まれる、引っ掻かれる かじらいる:群馬。
(かじりっこーし) 痒くて掻きすぎて傷つけてしまったところ 山梨。
『掻きまくった跡』の意味か。
かじる 【動】@噛む、A引っ掻かく、掻く @『齧る』。
A標準語には『引っ掻く』意味は無い。しかし、広辞苑には『(もと、操り・浄瑠璃社会の隠語) 三味線をひく。』とある。『掻き擦る』意味か。
かじる:神奈川・静岡・福岡。
かしわっ カシワの葉
かしわっのき カシワ
かしわまんじ 柏饅頭
◆■▲△かじわら
かじわらむし
@嫌われ者、Aゲジゲジ 梶原景時の故事から、『景時』の名が『下知(げち・げぢ)』に通じ、虫の名にも通ずることから嫌われ者を指し、ゲジゲジの別称になったと言われる。『集覧:新・稲』。茨城・千葉。
(がしん) 餓死 『餓死』が訛った古い言葉。古くは飢え死にを『がしに』と言ったと考えられる。
濁音形の『がじん』は飢饉を意味し、山形・和歌山・福井・京都・鳥取・島根・岡山まで分布することから、飢え死にを意味する言葉が飢饉を指すようになったと考えられる。香川では『けち』を意味する。
(がしん) 丹精、まことのこころ、まごころ、丹心、まごころをこめて物事をすること 静岡。
かしんさい
かしんしゃい
【複】貸しなさい かしんせぁい:福島。
(がしんたれ) 意気地なし。甲斐性なし。やくざ者。けち。 大阪方言。『餓死にてあれ』すなわち『死んでしまえ』の意味を思わせる。
かす 滓(かす)、屑(くず)、不要物 清音形は標準語だが、茨城弁では他の言葉につけて様々な言葉に化ける。
かす:つまらないこと:神奈川。
かす:しゃらくさい事:静岡。
かすおこく:つまらない事を言う:静岡。
かすら:静岡。
かす フケ 全国でも珍しい方言で、茨城では鹿行地区に、宮城の一部にしかない。しかし、皮膚の滓の意味なら誰でも理解できる。広辞苑には『雲脂・頭垢:皮脂腺の分泌物が乾燥し、皮膚に灰白色の鱗状となって付着するもの。頭部に多く生じる。いろこ。うろこ。』とある。実態は、その他の頭皮病が生む瘡蓋を指しているのではないかと思われるが、鱗のように剥がれることから例えた言葉と考えられる。
この言葉は日本の南北の端にあり『方言周囲論』を証明するものである。
『語源』には『@フケ(浮垢)の義。Aフケ(陳化)の義か。Bフルアカムケ(古垢剥け)の義。Cフコ(鮒甲)の義。Dコケ(苔)の転。』とある。
あが:青森・岩手・秋田・宮城・山形・福島・新潟。
あか:新潟。
あたまのかす:宮城。
いこ:鹿児島。
いら:大分。
いらこ:鹿児島。
いりき:沖縄。
いりけ:奄美大島。
いりこ:宮崎北部・種子島。
いりね:沖縄。
いれこ:宮崎。
いろこ:岩手・秋田・宮城・福島。
うるこ:秋田・種子島。
うろこ:青森・岩手・秋田・宮城・茨城・島根県隠岐・宮崎・鹿児島。
うろご:宮城・山形。
おろこ:宮城。
かす:宮城。
きい:宮崎北部。
くけ:山形・神奈川の一部・佐渡の一部・岐阜の一部・高知の半分・鳥取西部・島根東部。
こけ:高知・鹿児島・宮崎の一部。
ねむし:熊本。
ふげ:青森・岩手・秋田・宮城・山形・福島・千葉・栃木。
がず 麻屑や竹の皮などで作った草履、竹皮草履 『集覧:猿』。古い言葉。もともとは『屑』の意味。
(がす) @屁、A霧 @は俗語、Aは登山用語と思っていたら、いずれもオランダ語由来の言葉とされる。
がす @食意地が張っていること(人)、A垢、B滓(かす)、屑(くず)、不要物 『瓦斯』(有害なもの)とのとの深い関係を思わせる。『がす』は全国に様々な意味の方言がある。いずれもよい意味は無い。
@・がす:山形。
A・がす:あばた:新潟。
B・がす:ちりやごみ:新潟。
がす:海中のゴミ:山形。
Cその他。
がし:目上のいう事をきかない人:神奈川。
がし:意気地なし:神奈川。
がしんたれ:意気地なし。甲斐性なし。やくざ者。けち。:大阪。
がす:おてんば:広島。
がす:おしゃべり:富山。
かすかだる:生意気を言う:福島。
がす 【動】画す 『かくす』が正。方言ではなく誤読の例。
かす
かーす
【動】食らわせる、食わせる、食わす げんこかしてやれー:拳骨を食らわせてやれ。
かーす 【動】@(臭いを)嗅ぐ、A(臭いが)移る、B交換する @『かがす』がさらに訛ったもの。
AB『交わす』が訛ったもの。
(かーす) 【動】返す、裏返す 静岡。『反す・返す』。
(かーず) 【複】食べよう 静岡。『ず』『ずら』が変化したもの。
〜がす 【助動】〜ございます ございます→ござんす→ごわんす→ごわす→ごんす・がんす→ごす・がす→ごっす
『有難う御座いました』を岩手では『ありとがした』、福井では『ありとごいした』と言う。鹿児島では『〜ですよ:ござるぞ』を『ごあんど・ごわんど』と言う。
〜がえん:ございません:宮城。
〜がす:秋田・岩手・宮城・福島・茨城・群馬・埼玉・静岡。よがす:宜しゅう御座います:宮城。うめがす:美味しいです:宮城。きがした:来ました:静岡。
〜がーす:静岡。
〜がっしゃる:〜ていらっしゃる:福岡。『ござらっしゃる』。
〜がすと:〜ございますぞ:宮城。
〜がんす:岩手・秋田・山形・茨城・群馬・広島。
〜ごあす:鹿児島。
〜ごあんど:〜ございますぞ:鹿児島。
〜ごいす:山梨・福井。
〜ごわす:岩手・長野・大阪・鹿児島。
〜ごゎんす:徳島。
〜ごわんど:〜ございますぞ:鹿児島。
いーおしめりでがすねー:いいおしめりでございますねえ。
そーでがす:そうでございます。
★『土』:おやこっちのおとっつあん、暫(しばら)くでがしたねどうも、御機嫌(ごきん)よろしがすね
★『土』:稲っ束擔(かつ)んだって、わし等(ら)口へ出しちゃ云(ゆ)はねえ、ちやんと知ってんでがすから:稲束を担ぐんだって、私達は口に出しては言えないが、ちゃんと知っているんでございますから。
★『土』:どうでもわしはようがすからえゝ鹽梅(あんべい)に極(き)めておくんなせえ。殆ど江戸言葉。
★『栗毛虫』:ヘエーかう二つに裂いて酢で引き出すんでがす。ヘエー背中ンとこに糸あるんでがす。なんでも釣糸にすると強えなんて、せんの頃は言ひ言ひしっけなあに誰だって取れあんすともせ
〜がす
〜かす
【助動】使役または他動詞を形成する助動詞 標準語ではカ行活用形の動詞にのみある表現で、『退かす』『溶かす』『散らかす』『脅かす』等がある。これは、文語の使役の助動詞『す:使役を表す。…させる。…せる。万七「白玉を手には纏(マ)かずに箱のみに置けりし人そ玉なげかする」。古今夏「夏山に鳴くほととぎす心あらば物思ふ我に声な聞かせそ」。伊勢「そこなる人にみな滝の歌よます」』がついたものとも考えられるが、『散らかす』は該当せずいずれも一つの動詞として扱われている。『可能動詞』という定義はあるが『使役動詞』は無い。
茨城では、主に『らがす・らかす』形をとり、使役または他動詞を形成する助動詞ように使われる。
ならかす:鳴らせる。
あまえらかす・あまやらがす:甘やかす。
いしゃらがす:退かす。
こじらがす:拗らせる。
こりらかす:懲りさせる。『土』にもある。
はしらがす:走らせる。
はならがす:離す。
標準語には類似表現に『遣らかす(やらかす)』があり遣るのぞんざいな言い方。この場合『する・食う・飲む』の意味が当てられている。その他『出来す(でかす):@出てこさせる。また、出来るようにする。こしらえる。Aしとげる。はたす。うまくやる。』、『為出かす(しでかす):してしまう。やってのける。しいだす。多く、その行為がよくない時に使う。』等がある。
〜がすあ
〜がすぁ
【助】〜ございます ございますわ→ござんすわ→〜がすあ〜がさ
かすう
かすー
【動】誘う 30年代の言葉。茨城方言集覧では『かーよー・かそーう』とある。『掠ふ(かそう)』(@盗む・奪い取る。A人目をくらます・あざむく。)の意味が転じたか?、あるいは『誘う』には『物を持ち去る・人をさらう』意味があるので、その影響か?。
かすがー 【複】貸そうか かすかー:福島。
〜がすか 【助】〜ございますか
がーすかがーすか 【副】がやがや
かすかす 【形動】ぎりぎり やや古い標準語。
(かすかだり) 生意気 福島。『かす』には『こごと。叱言。』の意味がある。
かすかだる 【動】馬鹿なことを言う かすかだる:福島。
〜がす
〜がす
【助】〜ございますが
〜がす 【助】〜ございますがね
かずぐ 【動】@被る(かぶる)、A肩に掛ける 『被く(かずく)』(@頭にのせる。頭にかぶる。A貴人から賞として賜った衣類を肩にかける。B損失・責任などを引き受ける。しょいこむ。)なら古い標準語。古くは『かづく』と書く。
かずく:かつぐ・肩にのせる:静岡。
かずく:潜る:三重。水を被る意味で使っていのだろう。
かすくず
かすっくず
@ゴミ、不要物、A役に立たない人 『滓(かす)屑(くず)』の意味。
かずげ
かずけ
@擦り付けること、A口実、言い逃れ、かこつけ 『託け言(かずけごと)』。
A・かずけ:神奈川・山梨。
かすけ:賢い・ずる賢い:宮城。
(かすけ) 寒がり、寒がりや 宮城。
かす 建材の合せ目をつなぎとめるために打ち込む両端の曲った大釘 『鎹』。
かしげ:鹿児島。
かすげ:鹿児島。
かすける 【動】霞んで見えなくなる、かすれる 霞の他『幽か』と関係がありそうだ。
かすける:宮城。
(かすける) 【動】寒がる 宮城。
かずげる
△かずける
かすける
【動】@かこつける、A他人のせいにする 『被ける』(かずける)。
@・かじける:静岡。
かずける:群馬・東京多摩・山梨・静岡。
A・かじける:静岡。
かずげる:秋田・山形・福島。
かずける:福島・群馬。
(かすこう) 霞ヶ浦高校のこと。
かずさにーどー
かずさにゅーどー
南方に出る入道雲 『かずさ』は『上総』のこと。『集覧:新』。
がすたがり
かすたがり
【形動】@垢だらけの様子、不精者、Aがつがつする人、B罵倒語 二つのルーツを持つ言葉と考えられる。
@『滓集り』の意味。=『あがたがり』
A『餓死集り』の意味。=『がしたがり』
Bもともとの意味を失っていると考えられる。
かすったかり:馬鹿・意気地なし:静岡。
まがりちんごがすたがり:子供の罵倒語。
がすたれ
◆▲かすたれ
@▲弱虫、A出来の悪い人、Bけちんぼ、C罵倒語 『集覧:稲』。
@『粕垂れ』の意味。『垂れ』には標準語でも『(名詞の下に付けて) 人を悪く言う意を表す語。』の用法がある。
かすたれ:岐阜県飛騨地方。
A・がすやろ:知能の低い子供:山形。
がすつぐ 【動】がっつく、がつがつする、むやみに欲しがる 『駕す』『つく』意味?。『駕す』には『他をしのいで上に出る』意味がある。
(かすったかい) 【形動】傲慢 静岡。
かすっ 【複】貸すだろう、貸そう 『かすべ・かす
かすっ 駄目な人。 かすっくち:程度の悪い言葉・くだらないことば・根性の悪い人・悪者 :山梨。
かすてー 【形】@ぼろなこと、Aかすのようなもの 『かす』+『体(たい)』。30年代の言葉。
〜がすな 【助】〜ございますな
〜がすね 【助】〜ございますね
(数の数え方) 当時は和語の数え方をまだ使っていた。『ひー、ふー、みー、よー、いづ・いーづ、むー、なな・なーな、やー、こごの・こーの、とー・そー』。かすかな記憶だが、『そ』はthの発音もあったと思う。漢語(一部和語が混在)では『いぢ・いぢー・いーぢ、にー、さん・さんー・さーん、し・しー、ご・ごー、ろぐ・ろぐー・ろーぐ、なな・ななー・なーな・ひぢ・ひぢー・ひーぢ・しぢ・しぢー・しーぢ、はぢ・はぢー・はーぢ、く・くー・きー・きゅー、とー・じー・じゅー』、11:じーいぢ、91:きーじいぢ、100:しゃぐ、1000:(せん、しん、しぇん)。
田畑の面積の『畝』(せ)の場合は、『ひとせ、ふたせ、さんせ、よせ、ごせ、ろぐせ・ろくせ、ななせ、やづせ・やつせ、こごのせ・ここのせ』と言った。
かすびだ
かす
(傷などの)かさぶた
かすべ
かす
【複】貸すだろう、貸そう
〜がす 【助】〜でしょう、〜でございましょう まだまだ高齢者が使う、古い表現。
ういよがす:上(=座敷に上がる)が良いでしょう。
(かすべんこー) 【形動】生意気 静岡。
(かすみや) 当時の土浦で『小網屋』と対抗したデパート兼スーパー。当時中央の著名デパートの買収話があった中で『霞屋』は独自性を残し、今は『スーパー霞』として存続している。
かすむ 【動】@ぼんやりとしている様、霞がかかる、A視力が衰える、Bぼやける 『霞む・翳む』。
かすむ:水が少しにごる:神奈川。
かすむ:ぼーっとなる。
(かすむ) 【動】@こっそりと奪いとる。掠奪する。A人目をくらます。ごまかす。Bわずかに触れる。触れるか触れないかの所を通り過ぎる。Cほのめかす。一端をかすかに知らせる。D歌舞伎で、下座(ゲザ)音楽を弱く静かに奏する。 『掠む』。現代語では『掠る』と言う。
かすめる 【動】@▲馬鹿にする、A人に迷惑をかける 標準語の『掠める』には、@盗む、A騙す、B人のすきをねらってちょっとした悪事をする 意味がありそれが転じたのだろう。『集覧:久』。
かすめる:いじめる:福島。
がすもぐ ゴミ屑
かすやろー 【感】罵倒語 『滓野郎・粕野郎』の意味。
かすゆー
かすみてなごどゆー
【動】馬鹿なことを言う、小言を言う 『かす』は近世語で『こごと。叱言。』の意味がある。
かすゆー:神奈川。
かすかたる:生意気を言う:福島。
かすをゆー:神奈川。
〜がすよ 【助】〜ございますよ
かずら 鎌や鍬の刃先を柄に固定する部分の口金(鉄製の輪) 『かずら、かつら』(鬘)は、一般には薄い頭髪を補うものだが、『蔓草(つるくさ)・花・羽などを頭に巻き付け、飾りとしたもの』も指し、それが転じたものと考えられる。
かずら 蔓草の総称 『葛・蔓』。『かつら』とも言い『つら』は蔓の古形である。
□かする 【動】@上前をはねる、Aかすめとる 『掠る』。本来は『上前をはねる』意味だが転じて『かすめとる』意味に使われる。土浦では良く使われた。
その他江戸時代の田舎では『掠ふ(かそう)』『勾引ふ(かどう)』『かすう』が使われたという。
古くは『掠む』と言った。
近世の田舎では、動詞の語幹が様々だったことが現代の方言に受け継がれている明かしでもある。言い換えれば、近世には方言の定義が一般化されておらず、奥に言葉はそのまま大らかに受け入れられていたことが解る。
『国誌』では『掠めるの略』としている。
A・かする:静岡。
かする 【動】霞む、ぼんやりする 登山用語では雲が出たり、雲の中に入ることを『がする』と言う。
『掠る』と『霞む』は同源であることを思わせる言葉。
かすれて:霞んで:神奈川。
かすれる:霞む:神奈川。
かすっちってめーねー::ぼんやりして見えない。
きょーはあさがらかすってる:今日は朝から霞んでる。
かすれきず かすり傷
△がぜ
◎かせ
ウニ ウニの古称。
がぜ:岩手・宮城・新潟・三重・島根・長崎。
がぜみそ:岩手・宮城。卵巣を指していると考えられる。
がぜやき:ウニの貝殻焼き:茨城。
かせ @つむいだ糸をかけて巻きとる道具。A糸を巻いてから枠を取りはずした束。B女の髻(モトドリ)をくくる厚紙または布。 @『かせぎ綛』。
A『綛』。昔は裁縫箱に必ず木綿の『かせ糸』が入っていた。
かしぇ:山形。
B『枷』。
かしぇ:山形。
かせ:宮城。
かーぜ 風、風邪 二文字言葉はしばしば長音化する。
かじ:鹿児島。
△がせー
がせっこ
体力、やる気 標準語の『我精・我勢』(@身を惜しまず働くこと。A気が利いてはきはきしていること。元気のよいさま。また、勝気なさま。)に当たると考えられる。今ならモチベーション。
がしぇ:山形。
がせー:青森・山形・静岡。
がせない・がせない:体力が無い:宮城。
がせーこねー:元気が無い:宮城。
がせっこねー:体力がない・仕事が出来ない・元気がない:宮城。
がへ:体格:青森。
〜がせ
〜がせー
【助】〜でございますか 『がすえ・がんすえ』が訛ったもの。
あーそーがせ:ああそうですか。

せー
っせ
〜(いって)下さい 『いっせ』が訛ったもの。『が』は濁音・鼻濁音。口語表現すれば『〜(し)てって』。
あがって:上がっていって下さい。
おぢゃやってせー:お茶を飲んでいって下さい。
かせあ 【複】食わせなさい 『集覧:猿・新』。集覧では『食わせる意』とあるが『民俗』では消えている。=『くわせや・かせや・かーせや』(食わせなさい)の意味と考えられる。原型は『食わっせや』。
かせい 加勢 標準語。『かぜい』と発音する人が多い。『多勢に無勢』という言葉のせいか。
かせ 働き手 『稼ぎ人』の意味。
かせ:下男:山形。
かせ:日雇い人夫:奈良・和歌山。
かせもの:神奈川。
かせぐ
かせく
かっせぐ
【動】急ぐ 『集覧:稲』。
茨城方言書の多くが『稼ぐ』の意味が転じたとしている。しかし私は、『急く』に接頭語を付けた強調語か『駆け急く』意味だろうと考えている。何故なら、もし『稼ぐ』の意味が転じたなら鼻濁音形の言葉があってしかるべきであるからだ。
かせぐ:神奈川。
かせく:長野・山梨。かせいで:急いで:山梨。
かせーでい・かせーていく:急いで行く。
★『土』:急(かせ)えて、それ、衣物(きもの):急いで、そら!、着物(着て)!。
★『土』:勘次(かんじ)もかせえて知(し)らせやればえゝのに。
かぜるま 風車
かぜごぢ 【形動】風邪ぎみ 『風邪心地』の濁音化。
(〜がせずに) 【複】〜ましょうに 静岡。原型は『〜がせうずらむに・〜がせずらに』か。とめがせずに:止めましょうに:静岡。
かぜっけ 【形動】@風邪ぎみ、A風のある様 『風気』。
@『風邪気』。
かぜっ
かぜひぎ
かぜ
風邪を引くこと 『風邪引き』。半濁音は濁音で発音されることがある。
かぜっ:風邪を引いた人:神奈川。
かぜふき:鹿児島。
かぜっぼい
かぜっ
【形】風邪気味、風の吹き始め 半濁音形は辞書不掲載だが口語では使われる。
△▽かせーで
かせーて
【複】急いで 『集覧:稲』。
かせーで:関東・神奈川・長野・山梨。
(かせて) 【複】貸して 静岡。
かせーでこい 【複】急いで来い 『集覧:北・那・筑』。
かぜねー 【複】勝てない
かぜひぐ
かぜふぐ
かぜしぐ
【動】風邪を引く 『かぜふぐ』は古い言い回し。
かぜふた
かぜふさ
@風避け、A風祭り A大正時代まであった台風対策の神事。
かぜまつり:群馬。
かーせもん
かせもん
@食わせ者、A悪者
かせや
かせやー
【複】貸せよ かせぇー:福島。
かっせぇー:福島。
かせらいる
かせられる
【動】食わされる、騙される いっーかせらいだ:一杯食わされた。
◆■かせる
かーせる
【動】食わせる、食べさせる 『土浦市史・民俗編』では『食べらせる』と訛って解説されているのが面白い。
古語の『か』は『くゎ』と発音したから、そのの名残の可能性がある。
かしぇる:秋田・山形。
かしる:宮城。かしろ:食わせろ。
かせる:岩手・福島・千葉。
かせる:ご馳走する:宮城。
ぶだめにえさかせどげや:豚に餌を食わせなさい。
するめねごめにかしたらこしぬげっちった:スルメを猫に食わせたら腰が抜けちゃった。
かーせる 【動】買わせる かーせる:山梨。
かせる 【動】@(漆などに)かぶれる、Aやせ衰える、ひからびる 『集覧:猿』。『茨城方言集覧』では『感染する』とある。現代では『感染する』場合の感染源はウィルス等に限られるが、昔は、ウィルスの概念は無かったから、『感染』の意味を『かぶれる』意味で言ったと思われる。
古い標準語。辞書によっては方言扱いされているものもある。広辞苑には『@やせおとろえる。また、貧しくなる。Aひからびる。瘡(カサ)や傷の表面が乾く。Bかぶれる。』とある。
『感染する』『かせる』の関係は良く解らない。もともとあった雅語の『かせる』が漢語の『感染』と似ていたためなのだろうか。
@・かせる:福島・千葉・栃木・群馬・埼玉・神奈川・山梨。
かせる:東京三鷹。ほぼ『かぶれる』の意味。『変な宗教にかせてら』『毛ん虫にかせる』。
B・かせる:赤くなる・発火する:東京三鷹。標準語には『赤くなる・発火する』意味は無いが『かぶれる』の意味が拡大解釈されたのだろう。
かぜる
かぜーる
【動】@数える、A仲間に入れる、B混ぜる、C▲不満を言う、ふてくされる、すねる、D勝てる @万葉集の時代には『読む』には『数をかぞえる。』の意味があった。数を数える行為は声に出して行ったことが、『読む』に繋がったと考えられる。
かぜーる:千葉。
かでーる:山梨。
かどいる:山梨。
かんずる:鹿児島。
ゆぬん:沖縄。
ゆみゅり:奄美大島。
ゆみゅん:沖縄。
ゆむ:沖縄宮古島。
ゆむん:沖縄八重山諸島。
よむ:富山・香川・高知。
よむん:沖縄。
Aは仲間に数える意味か。
かぜる:山形。
Bは『かでる』がさらに訛ったものか。『かてる(糅てる)』(混ぜる)。
Cは(悪口や欠点を)数えるような意味。『集覧:猿』。茨城方言集覧では『くずぐず言う』と記載されている。
(かせる) 【動】貸す 静岡。
かせる オオバコ 『集覧:西』。この場合『蛙葉』のほか、『食べさせる葉』(ウサギの絶好の餌だった)の意味も考えられる。さらに『飢える・餓える』(かつえる)があり、その昔飢饉のときに食料にした名残とも考えられる。
〜がーせん 【助】〜ございません 『〜がす』『〜がんす』の否定形。
★『土』:わし居(ゐ)なくでも成(な)つちゃ子奴等(こめら)仕(し)やうがあせんから、助(たす)かれるもんならわしもはあ。居(ゐ)なく』を名詞的に使っている可能性もある。
★『土』:其(そ)れ處(どこ)ぢゃがあせんお内儀(かみ)さん。
かせんじぎ
かせんじき
河川敷 本来は『かせんしき』であるという。ワープロ変換されてしまう言葉。今では多くの人が『かせんじき』と発音する言葉。ところが『桟敷』は『さしき』とは言わない。調べると古くは漢字のまま『さんじき』と言った。
かそー 【動】誘う 『集覧:行』。千葉・埼玉・群馬。
『掠ふ(かそう)』(@盗む・奪い取る。A人目をくらます・あざむく。)の意味が転じたか?、あるいは『誘う』には『物を持ち去る・人をさらう』意味があるので、その影響か?。また、『介して添う』意味か。
(かそう) 火葬 火葬の歴史は古く、『死体を焼き、残った骨を葬ること。また、その葬法。日本では、700年に僧道昭が遺言により火葬に付されたのが文献(「続日本紀」)上の初例。荼毘(だび)。』とある。埋葬のルールは墓埋法により規定されているが、条例の規定がなければ今でも土葬ができないわけではない。
(かぞえ、かぞえどし) 今は満年齢がすっかり定着したが、当時の日常生活では生まれた年を1歳とする『数え年齢』で表すのが一般的だった。学校では満年齢なのでいちいち『数え〜』『満〜』をつけて言うことが多くなった。聞く側でも最初からいずれかを付けて聞くことも多かった。
『数え歳』の習慣は、戦前まで公式なものであったという。正月に全ての人が一斉に歳を取るわけだから特別な感慨があったはずだ。就学年齢は満年齢で4月2日を境に決めるので、正月元旦から4月1日の子供は『早生まれ』として1歳下でも就学することになったが、古くからの習慣に伴う年齢算定は今でも『数え歳』が定着している。
『数え歳』の考え方は、医学が未熟な字御代では子供の成長に伴う表現上必用であったのであろう。また、正月の起源にも関り、昔は誰もが一斉に正月または節分に年を増したのである。
そごら
〜かそごら
【複】【助】@〜位、〜分A〜も(沢山) @『其処等』。『が』には『〜分』の意味がある。
A古語の『そこら』(沢山、非常に)が残ったと考えられる。
かそーて 【複】誘って 『集覧:行』。茨城には珍しいウ音便。
□かそり ジガバチ 古語。『さそり』とも言う。
かーぞーり 竹の皮で作った草履
かだ
かだ 形、大きさ 『形・型』。
かた:衣服のデザイン・衣服を着た姿・着物地の模様:神奈川。
かだー
かだーもん
片輪 『片端』の流れ。
かたー:静岡。
かたーもん:静岡。
(かた) わずか 『片』。現代では『片時』『片言』にしか残っていない。
かたばっかしかなかった:少ししかなかった:神奈川。
かっちり:神奈川。
かーだ 【慣】駄菓子屋を訪問するときの言葉。下さいな。
〜かだ
〜かた
【接尾】@方位、方向、〜側、A時分、B場所、C方法 『方』。
@昭和初め生まれの調布育ちの義母は、今でも『こっちかた、そっちかた、あっちかた、どっちかた』を使う。
こっちのかだではこー、あっちのかだではあーではしゃーんめ:こっちの方ではこれ、あっちの方ではあれではしょうがないだろう。
めえかた・めえっかだ:前側、以前。
かだ・みっかだ:右側。
A★ばんかだ:晩方。『か』が清音なのは、上代語の特徴。
B★そんかだにいだのに:その場所に居たのに。
C★やるかだあんめ:遣りようが無いだろう。
〜かだ
〜かた
【接尾】大よその程度、分 『方』。
〜がた:壱岐・宮崎。
いぐぶんかだ:少し。
【接尾】@敬意を含んで複数を示す、A〜の事、所属を示す。B時分 『方(がた)』。
@★おめらだはどごもんでー:あなた方はどこの人ですか。
A幕府方の『方』と同じ。
★『土』:俺(お)ら汝(わ)ツ等(ら)だとなりや幾(いく)ら困(こま)つたつて、はあ決(けつ)して質(しち)になんざ置(お)かねえから。
かだあ 子供の着物の肩上げ やや古い標準語の『肩揚げ、肩上げ』。当時の着物の裄(ゆき)の長さを調整するタックのようなもの。
かだあし
かたあし
片足とび
かだあしけんけん
かたあしけんけん
かだあしとび
片足とび
かだい 【形】硬い、堅い、堅実、けち 濁音化。稲敷郡では転じて『質素』の意味で使う。
かったい:静岡。
かだいうぢ:質素な家、倹約家の家。
かだいひと・かだいもの:倹約家の人、けちんぼう。
がだい
◎がたい
【古】体格、外見の大きさ、図体 辞書には漢字が当てられていない。『架体』『架台』の意味か。
『がかい』と『図体』の混生語説、『図体』の誤読説がある。明治の文豪達が見落とした言葉と考えられる。
(かたいぐち・かたいごつ) 【副】相互に、互いに 鹿児島。
古語の『互に(かたみに)』の流れか。
かだいじ 頑固に自分の考えを立てとおすこと。また、その性質。 『片意地』。
かだうじ:怠け者:静岡。
かだいっ
かだいっ
片一方 『片一方』。半濁音は濁音で発音されることがある。
かだいど より合せる前の片方の細糸。片緒。 『片糸』。『より合せる前の、片方の細糸。片緒。』。
(かたいに・かてえに) 【副】無理に 山梨。
『過怠』(あやまち・てぬかり)の連用語か。
かだいれ 味方すること、ひいきにすること 濁音化。『肩入れ』。
かだいれする
かだいれる
【動】力を添える。ひいきをする。肩入れする。 『肩を入れる』。
かだいわい お祝いの贈り物に対してお返しをしないことで忌み嫌われる 『片祝い』の意味。
かだうま
かたうま
肩車 『肩馬』。清音なら辞書掲載語。
かたうま:山梨・三重・兵庫。
かだお より合せる前の片方の細糸。 『片緒』。多く片方がかけているる意味で使った。この場合の『片』は『整わないこと。不完全』の意味。
かだおし 一方から順番に行なうこと 標準語の『片押し』の意味がやや転じている。
かだおびや
かだおぼや
出産11日目 この場合の『かだ』は『片』で産後21日目の『産屋明き』に対して不完全な意味。
かだか @【名】堅い人、強情者、A【形動】硬い様、堅い様、強情な様 @『堅家』の意味。
A強調語としてっかだか』がある。この表現は形容詞表現の九州方言である『かたか』にも通ずる。
かだ
かだ
かだかー
かだか
@片側、片方、A傍 @は現代では『かたがわ』と発音するが、江戸時代には清音だったとされる。
A古語では『かたはら』。『片処』『片側』の意味。
かだいっ
かだかいっ
片方 『片一方・片方』。
がだくる 【複】調子が悪くなる 『がたが来る』。
かだ
かだかし
片端 『片が端』の意味と思われる。
かだ 方方
かだがだ
かだかだ
片方 古い標準語では片方を『かたかた』と言う。
かだかだ 【名】堅い人、強情者、【形動】硬い様、堅い様、強情な様 本来は副詞『堅堅』で『堅い上にも堅く。極めてたしかに。』の意味。
かたかた:【形動】丈夫そうな・健康そうな:宮城。
がだがだ 【形動】@堅い物が触れて発する騒がしい音、A恐怖や寒さで震える様、B体調が振るわない様 A・かたがたぶるい:寒がりや:神奈川。
B・がだがだ:千葉銚子。
かだつぐ
かだつく
【動】片がつく、片付く 濁音化。
かだかど
かだっかど
一方の角 『片角』。
かだわりー 【慣】体勢が悪い
かだから
かだっから
【複】最初から、そもそも、全く この『かた』は『かたきし』の『かた』と同じか、もしくは『全く』を意味する『から』+『から』が訛ったと思われる。『端(はな)から』と同じ意味でもある。
かたから:福島・静岡・鳥取・山口・香川・徳島・愛媛。
かだ 【動】傾く 『傾げる』の擬似自動詞形的訛。本来は『傾ぐ』。
かた:秋田・佐渡島・北陸。
かだ
かた
@1食のことを指す、A一つにまとまったもの 『片食(かたき・かたけ)』。『ぎ』は濁音・鼻濁音。
かたき・かたきに:一つに専念すること:神奈川。
ひとっかだ終わったらしどやっ:ひと飯(1食)食べたら仕事をしよう。
かだ 堅気、まじめなこと、まっとうなこと 『ぎ』は鼻濁音。
かだきし
かだきり
【副】からきし、少しも、全く 『かたきし』
かたきる:福島。
かたっきし:東京・静岡。
かだぎとる 【動】仕返しをする 今では『敵をとる』と言うことはまず無いが、昭和30年代は江戸時代の言葉がそのまま使われていた。
かだぎとる:宮城。
かだぎり @畑に種を撒く時、鍬で畝を作ること、A麦畑などで除草等のために列毎に浅く耕起すること 『片切り』の意味。この場合の『片』は不完全の意味。
かだ 【動】@耕す、A発芽する @県西部方言。
かた:栃木・埼玉。
A県南部方言。
かだきれ 【形動】片方
かだ 【動】【文】@肩に担ぐ、A傾く @やや古い標準語の『担ぐ、肩ぐ』の濁音化。
かと:山梨。
たなぐ:青森。たなげね:持てない。 
たなく:青森・岩手・秋田・宮城。音位転倒語と思われる。
A清音ならやや古い標準語の『傾ぐ』。
かだでっと:傾いているぞ。
がーたぐ @ガラクタ、ごみ、役に立たないもの、Aササバモ、Bエビモ ほとんど県北部に集中し、南部では新治郡・稲敷郡・行方郡のみに分布。『がーくた』の音位転倒したもの。
@・ごーた:がらくた:神奈川。
Cその他。
がーたく:乱暴者:長野・山梨。
かだくそ @堅物、Aけちん坊 A・かたくそ:福島。
かた:山梨。
かだくぢ
かだくち
かだっくち
@片一方、A片方の言い分 『片口』。
A清音なら古い標準語。
かだ 肩の付け根 『肩口』の濁音化。
かだくな
かだくら
【形動】頑な、頑固 『かだくら』は人名化した『硬九郎』の意味。
かだくび 手袋や靴下の片方
がーたぐもぐ ヒルムシロ
がーたぐもぢ 雑穀を入れた粗末な餅
かたぐり がらくた 『片塊』の意味。
がだぐりがだぐり 【形動】がたがた がたくり:神奈川。
がだくる 【動】調子が悪くなる 『がたが来る』。
かだるま
かだーま
肩車 『肩駒』の説もある。『肩くま』は辞書掲載語。方言地図では近畿地方に分布している。
がだぐれ
がだくれ
がらくた 『片塊』の意味。
かだ
かだけ
かた
かたけ
@1食のことを指す、A一つにまとまったもの 『げ』は濁音・鼻濁音。
@『片食(かたけ)』。清音なら古い標準語。もともと『片』とは対になったものの一方を指し、かつて1日2食の時代の1食を指した。1日3食の習慣は江戸時代の農村から発生したと言われる。
かたけ:群馬。
A『片食(かたけ)』が転じたと思われる。=『かだ
かだけー
かだっけー
【形】硬い 硬い→かだこい→かだけえ。
かだ 【動】@抱えて行く、A持って行く、B担いで行く 『かだでい
かだ
◎かた
【動】【文】@肩に担ぐ、A傾ける 清音ならやや古い標準語。
@『担げる・肩げる』。ただし、『かたげる』は一般に上方語とされる。
てんのさまおもくてかだ:お神輿が重くて担げない。
A標準語の『傾げる』。
かだこい
かだっこい
【形】硬い かだこい:宮城。
かだこぐ
かだっこぐ
【副】硬く かだこぐ:宮城。
かだこぶ 上腕の筋肉に力を入れた時のこぶ、力こぶ 『堅い瘤』の意味だろう。
かだし @収納、A片足、片方 @『片す』の名詞形。
A古い標準語では『片方』を『かたし』と言う。『片足』が詰まったものと言われる。
かたし:片足:東京。
かだじがん 僅かな時間、所定の時間 古語には『わずか』の意味がある。現代では『かたとき』が残る。
かだした @片方、A相棒、B部下、若輩者、C片腕 @=『かだっ
かだした:宮城。
おらなたびのかだしたどごさにいったんだっ:俺の靴下の片方はどこにいったんだろう。
B★かだしたのうぢは、すなおにやんねどな:若輩の頃は素直に働かないとね。
かだす
■▲△▽かたす
【動】@▲片付ける、A収納に入れる、B移し変える、片寄せる、C移植する、D引越しする 『片す』。『集覧:猿・久・稲』。
『かたす』と発音すれば@ABの意味なら標準語だが標準語圏では今や若い人は使わない。
『新方言』には『カタス 「片付ける」;関東に広く分布し,東京下町でも使う。』とある。
どうやらこの言葉は東国方言だったものが東京でも使われるために標準語として扱われているようである。分布域は東日本が中心だが、濁音化するのは、茨城の土浦だけである。
@AB・かたす:青森・福島・茨城・千葉・栃木・埼玉・東京・神奈川・静岡。
かだすかし
かたすかし
@相撲の手の一。相手が出て来る所を、差し手で相手の腋の下を抱えこむようにして体を開くと同時に、他方の手を相手の肩にかけ、手前に引き倒すこと。A転じて、相手の勢いをうまくそらすこと。 『肩透かし』。
今では、日常語で『肩透かし』を使うことは少ない。当時は、力を入れて頑張ったのにその功が無く終わることを言った。
語源の『肩透かし』は、今ではかなり異なる意味で使われる。
かだすぐ
かたすく
【動】片付く
かだずっ
かだずっ
片方 半濁音は濁音で発音されることがある。
かたずっ・かたずっ:神奈川。
かたずっ:神奈川。
かだずみ カシやナラで作った炭 濁音化。『堅炭』。
かだすみ 片隅 かたすん:鹿児島。
かだする 【動】@肩を持つ、味方する、荷担する、A加わる、仲間に入れる
かたせ
かだせ
隅の方 『片瀬』の意味。
かだぞっべ
かだぞっ
傾斜地 『そっ
かだそべり:靴底などが偏って磨り減ること:山形。
かだそで 片袖 濁音化。
□△かだち
かたち
かだちあめ
雷、夕立、雷模様 『かんだち』。『集覧:稲』。
水戸では雷獣も指す。『国誌』では『かたち』と表現されている。
かだぢ:山形。
かだち:岩手・山形・福島。
かだぢあめ:山形。
かだち 【形】@左右が違うこと、不揃い【形動】Aけた違い @『片違い』。清音なら古い標準語。=『方違い』。
かだち
かだちーる
【動】左右を間違えること
かだちんば
かだちん
かたちん
不揃いなこと、びっこ 『かたちんば』なら古い標準語。
かだちん:千葉銚子。
かだつら:山形。
かだらしぇ:片方しかないこと:山形。
かぢ:青森。
かだっか
かだっかだ
【名】堅い人、強情者、【形動】硬い様、堅い様、強情な様 本来は副詞『堅堅』で『堅い上にも堅く。極めてたしかに。』の意味。
かだっか
かだっかー
かだっかわ
片側 『片つ側』。
かたっかわ:群馬。
かだっかい
かたっかい
がだっけ
かたっけー
淡貝、カラスガイ
かだっかし 片端 『片が端』が訛ったと思われる。
かだっかだ 片方 古い標準語の『片方(かたかた)・片つ方』の転。
かだっきし
かだっきり
【副】からきし、少しも 『かたきし』
かたっきし:東京・静岡。
かたっきり:静岡。
かだつきみ 十三夜と十五夜の月を一方しか祭らなかったり、別のところで見たりすること 『片月見』の意味で忌みごととされる。
かだっきれ 【形動】片方
かだづがってる
かだつかってる
【動】片付いている
かだづがる
かだつかる
【動】片付いている 『片付く』の転。
かだづぐ
かだつく
かたつく
【動】片付く、嫁に行く 本来は『片が付く』意味。
がだつぐ 【動】@がたがた音がする、A寒さや恐れのため体が震える、B組織が不安定になる 濁音化。
かだっくび 手袋や靴下の片方
かだっけー 【形】硬い
かだづげる(かだずげる)
かだつける
【動】@片付ける、A結婚させる 典型的な濁音化と清音化。
A・かたずける・かたずけるー:神奈川。
☆かたつける 【動】@片付ける、A方をつける 『俚言』掲載語。本来は『片をつける』意味。
かだっこ 片一方
かだっこい 【形】硬い
かだっこった 【複】話すことだ、話すべきだした
かだっこど
かだっこどや
かだっこどよ
【複】話すねえ、言うねえ
かだっせー
がたっせい
淡貝、カラスガイ 『集覧:北・稲』。
かだったごど
かだったこどや
かだったこどよ
【複】言うねえ、言ったねえ
かだっつぶり
かだっつむり
@カタツムリ、A片方の目を閉じること
かだっつら
かたっつら
@端、片っ端、A片面、片方 『つら』は『面』と思われる。
@★やってるかだっつらがらおっくしてはなんにもなんめ:やってる傍から壊したんでは何にもならないでしょう。
ねごめじゃまだがらかだっつらによせど:猫が邪魔だから、端の寄せておいてよ。
A・かたっつら:山梨。
かだって 【複】話して、言って
がだっと 【副】@物が落ち、また、打ち当って立てる音。A順位・成績などが急に下落するさま。
かだっばし
かだっ
かだっ
かだっ
【連用】片っ端、片方 かだっらがら:片端から:青森。
かだっ 片方の腹。わきばら。 『片腹』。
かたっ:青森。
かだっらいでー 【複】身のほど知らずな相手の態度を笑いとばす意。笑止である。ちゃんちゃらおかしい。 『片腹痛い』。
がだっ
がだっ
かたっ
【副】がたがた言って騒ぐ様、うるさい様、雨戸などの開け閉めの音、がたぴし 『集覧:猿』。
かだっ
かだっ
かだっ
かだっ
【連用】片端、片方の端 半濁音は濁音で発音されることがある。
かだつぶり
●かたつぶり
かだつむり
かたつんぶり
@カタツムリ、A片方の目を閉じること
かだっべだ
かだっ
端、片っ端、片面
かだっべら
かだっ
かたっ
片方、片方の片、かたへら、かたっぺら 『傍っ片』。『集覧:多』。
かたっ:山梨。
かたっ:群馬。
かたひら:島根。
かだっ
かだっ
片方 『片っ方』(かたっぽう)。半濁音は濁音で発音されることがある。
かだっ:青森・宮城・千葉銚子。
かたっ:群馬・東京。
かたっ:東京・静岡。
かだづまる 【動】集まる、固まる 小さな場所に集まるニュアンスがある。『片詰まる』・『片集まる』。
かだつら 片側 『片面』。
まったぐやったかだつらがらおっくっしゃーんだがらしゃーんねよな:全く、遣ったそばから、壊しちゃうんだからしょうがないよね。
がだで
△かたで
【副】全く、そもそも、かたきし、てんで この『かた』は『かたきし』の『かた』と同じか。辞書には漢字は当てられていないが『片』(@揃えば対(ツイ)となるものの一方。A整わないこと。不完全。Bわずか。C一方に偏し、中心部から離れていること。)の意味か。もしくは『全く』を意味する『から』+『で』が訛ったと思われる。『てんで』と同じ意味。
古い言葉に『高で(たかで)』(大したことでなく。せいぜい。ざっと。たかが。Aつまるところ。結局。)がある。
かだで:山形。
かったで:長野・岐阜・石川・近畿・鳥取・山口。福井・京都。
たかで:全く:栃木・高知・徳島。
茨城方言集覧で旧猿島郡の方言として紹介されていて、同時期に発表された長塚節の次の一節と一致する。
★『土』:裏の垣根外(くねそと)さ、土はかたで赤っうろくだが、掃溜(はきだめ)みっしら掘つ込んで置いた處(ところ)だから、其(そ)れが出たと見えんのさ:裏の垣根の外に、土は全くの赤土だが、堆肥をしっかり掘って入れて置いたところだから、それが生えて来たらしいのさ。
★『土』:おつ嵌()めんなもんぢゃねえ、それ厭(や)だら錢(ぜに)出(だ)せよ錢(ぜに)、なあ、錢(ぜに)出(だ)さねえ積(つもり)すんの泥棒(どろぼう)より太(ふて)えんだな、西(にし)のおとっつぁ等(ら)躊躇逡巡(しっつくむっつく)だから、かたで
★『土』:俺(お)ら一日(いちんち)に十六度(ど)手水場(てうづば)へ行(い)ったの一等(とう)だっけ、なあに病氣(びゃうき)なんぞにゃ負(ま)けらっるもんかつちんだから、其(そ)ん時(とき)にゃ村落中(むらぢう)かたではあ、みんなごろごろしてんで俺(お)ればかり藥箱(くすりばこ)持(も)って醫者(いしゃ)の送迎(おくりむけ)えしたな
かだでうぢ 片手落ち 『片手打ち』。
かだて 片手でできること、簡単なこと 『片手』+『腰』の意味と思われる。この場合の『腰』は、構え・姿勢・腰つき等状態を示す。標準語では『片手間』が最も近い。
かだでま
かだてま
片手間 濁音化。
かだどる 【動】あやかる 意味の変化。
かだな 濁音化。
かっな:鹿児島。
かんな:鹿児島。
かだないっ
かだないっ
@刀に頼る人。A人を刺す人、B意地の悪い人
かだなし 【形動】無駄なこと、台無し 清音なら標準語。『形無し』。
かたなし 不漁のこと 『集覧:無記載』。『形無し』。標準語の意味は『@あとかたのないこと。形跡が残っていないこと。Aさんざんなこと。面目を失うこと。また、そのさま。』。Aの意味が転じた漁師言葉と考えられる。
(かたなめし) 【副】残らず 静岡。
かだはし 片端 濁音化。現代では『片隅』ということが多い。
かたばりっか
かだばりっる
頑固もの 『集覧:猿』。『偏張る』。音通現象。『かだばりっる』は『偏張り居る』意味だろう。
かだっ:宮城。
かたばりっか:茨城・埼玉・群馬。
かだはる 【動】@肩がこる、A形式ばる、B緊張する、かしこまる、硬くなる。C頑なになる @『肩が張る』。
かだーはる:山形。
C『偏張る』。
かだばる
かたばる
【動】@形式ばる、A緊張する、かしこまる、硬くなる、固まる、B頑なになる @『型』『張る』。
かたばる:静岡。
A『固まる』意味だろう。音通現象。
B・かたばる:宮城でも使われる。『偏張る』意味だろう。
かだひく
かたひく
【複】一方だけをひいきにする。えこひいきをする。 『片引く・方引く』。
がだ
がだびしゃ
がだしゃ
【形動】】@がたがた言って騒ぐ様、うるさい様、A人と人との関係などが円滑にゆかないさま、B雨戸などの開け閉めの音、がたぴし B・がだひし:山形。
がだらしったら:宮城。
かだ 片面、片方 かだびた:東北。
かだびっこ
△▽かたびっこ
かだびんこ
かたーびんこ
びっこ、ちんば (靴下などが)左右ちぐはぐな場合も用いる。『かたちんば』。
がた:不揃いな様:宮城。
かだびっこ:岩手・宮城。
かたびっこ:宮城・山形・千葉・群馬・静岡。
かたびっけー:神奈川。
かたびっちょこ:静岡。
(かたぶい) 通り雨(天気雨) 沖縄。『片降り』の意味。
かだぶぐ
かたぶく
【動】傾く
かだぶげる
かたぶける
【動】傾ける
かだぶづ きまじめで、融通のきかない人 『堅物』。
かたぶつ:正直者:神奈川。
かだべだ
かだ
片面、片方
かだ 片方、片方の片 『傍片(かたへら)』。標準語では『半ぺら』はあるが、『片ぺら』が無いのは不思議だ。
『俚言』には『片べら』が掲載されている。
かた:山梨。
がだぼごみぢ でこぼこ道 がだぼごみぢ:千葉銚子。
かだまりか
かだむりか
頑固もの 『固まり家』の意味。
がたみつ 刃の悪いもの 『集覧:新』。
(かたみっこに) 【副】代わる代わる 静岡。
(かたむる) 【動】担ぐ 鹿児島。
『担ぐ(かたぐ)』の流れか。
かだめ 固い約束、ちぎり 『固め』。
かため:結納:神奈川。
かためぇー 塩マグロ 『集覧:稲』。『片目(かため)』は女房言葉でヒラメのこと。
かだめきぎ
かだめっこ
かだめっちょ
■▲かためっちょ
かだめっ
かためっ
斜視、片目 『集覧:行』。『めっかち』。
かためっかち:静岡。
かためっきー:静岡。
かだめし 赤飯、硬飯(こわめし) 『おごわ』
(かためる) 【動】戸障子などをしっかりと閉めること 山梨。
標準語の意味拡大か。『固める』には『たしかにする。しっかりしたものにする。』の意味がある。
がーたもぐ エビモ
かだもぢ 鏡餅や繭玉餅が乾いて硬くなったもの 広辞苑には『堅餅:乾し固めた餅。鏡餅をくだいて乾したもの。』とある。
かだもづ 【動】味方する、ひいきする 『肩を持つ』。
かたーひく:山梨。
かたーもつ:山梨。
かだよせ 片付け 『片寄せ』。
かだよせる
かたよせる
片付ける、片方に寄せる 清音ならやや古い標準語。『片寄せる』。
かだら 調べると主に西日本に分布する方言。
かだら:静岡。
からど:静岡。
からどー:静岡。
がだら
がだーら
がだり
がだーり
【副】@物が落ち、また、打ち当って立てる音。A順位・成績などが急に下落するさま。 『がたんと』。
@・がたりくり:岩手。
(かたり) 辺り 静岡。
〜かだり 〜を言う人 特に東北地方で顕著に使われる。
りぐづかだり:理屈っぽい人:岩手。
いんびんかだり:屁理屈をこねる人:宮城。
かだらる 【動】語る、話す、言う 『語らう』。『かだる』よりこのほうが古い。
かだられる 【動】話しかけられる、噂をされる かたられる:縁談を申し込まれる:宮城。
かだりあー
かだりあう
かだりやー
【動】語り合う
かだりあがす 【動】語り明かす
かだる
かたる
【動】【文】語る、話す、言う 現代標準語ではでは日常語では使われない。
かだる:青森・宮城・福島。かだってんでねー:ばかなこというな・冗談はやめろ:福島。かだるもんだ:よく言うよ:宮城。
かたる:宮城・福島。
むがしがらかだらいでっと:昔から言われてるよ。
ばーちゃんむがしからかだってゆってだど。いんねもんはかーなって:おばあさんが昔から言ってたよ。要らない物は買うなって。
かだる
かたる
【動】加わる、仲間に入る 『語る・語らう』には『親しくする。うちとけて付き合う。』の意味がある。あるいは、『糅てる:まぜ合せる。』の擬似自動詞形か。
かたらせる:神奈川。
かだる:青森・岩手・秋田。
かだる:混ざる:岩手。
かたる:青森・岩手・秋田・山形・群馬・八丈島・長野・山梨・静岡・愛知・福井・滋賀・京都・大分・長崎・宮崎・熊本・鹿児島。かたっていく:付いていく:山梨。かちょー:仲間にしてくれ:静岡。『糅てよ』の意味か。
かだるい
かだりー
【動】だるい、面倒くさい 『けだるい』『かったるい』(類)。
中世・近世語の『腕弛い』(かいだるい)が訛った可能性もある。中学生のときいくら辞書を引いても見付からなかった言葉。『か細い』という言葉があるように『か』は『接頭語:形容詞などに冠して語調を整える』ものである。
かだるっこい
かだるっけー
【動】だるい、面倒くさい
(がーたれる) 【動】壊れる、朽ちてくずれる 静岡。
かだわ
かだわもん
不具者、障害者 『片輪』。濁音化。
かたーもん:静岡。
(かだをやむ) 【動】ずるける 静岡。
がだんがだん 【形動】@堅い物が触れて発する騒がしい音、A恐怖や寒さで震える様 『がたがた』。
かたんかたん 【形動】堅い物が触れて発する軽い音 『かたかた』。
かたんかたん:山形。
〜がだんじゃが 【複】〜か誰か おめがだんじゃがしんね:お前か誰かかはわからない。
かだんする 【動】@荷物を背負う、A仲間に加わり助力する 『荷担する』。
A・かーちむ:千葉。
Bその他。
かだんする:ふざける・冗談を言う:宮城。
がだんと 【副】【擬】がったり(落ちる様)、かたんと
かだんま 肩車 『かだうま』。『肩馬』。馬が『んま』と発音される理由は古語では『むま』だからである。『かたむま』は『かたんま』となるだろう。
かだんま:千葉銚子。
かたんま:静岡。
かたんま:埼玉。
【助】〜勝ち、〜が勝っていること、〜をし勝ち 『〜がち』なら標準語。
おめはそーたごどおやりぢだがんなーきょーつげろや:お前はそんなことをやり勝ちだから、気をを付けよう。
かーち 代わり 『為替(かわし)』(ひきかえ・交換)。
かーち:群馬・静岡。
かわち:静岡。
かぢあー
かぢあう
【動】@物と物とがつきあたる。ぶつかる。A偶然いっしょになる。 『搗ち合う』。
『搗つ:@棒などでたたく。また、たたいて落す。A後、「かてに」の形で、「堪えずに」の意となり「難(ガテ)に」と混同して消滅した。(広辞苑)』とある。
いきおー:山梨。
かっちおー:山梨。 
かぢあだる 【動】ぶつかる、偶然一緒になる 『搗ち合う』という言葉がある。
こちあう:愛媛・高知。
こちあたる:広島・徳島。
どっしゃげる:島根。
のっきる:岩手。
やりつく:愛知。
〜がち 【複・形】〜が変わる 『〜もちー』。最近の『違う』は『異なる』意味に重点がおかれ、『変わって来る』意味の『励みが違う』『頑張りが違う』『気力が違う』『やる気が違う』『張り合いが違う』等の多くの言い方を耳にしないようになった。
がぢがぢ 【形動】硬い様、硬く凍った様 『かちかち』『こちこち』。
がぢがぢ:ネズミ等がかじった様:神奈川。
(かちきばり) 勝気な人 宮城。
(家畜) 当時の家畜は、馬はすでに少なくなっていたが、牛、豚(ぶだ)、鶏(にやどり)、兎はどこの農家でも定番の家畜だった。牛は勿論農耕のために必要で、耕運機が普及する前は、耕作労働力の主役だった。兎は田畑に繁茂した雑草を餌として有効利用できるからであった。我が家は、その他アンゴラを飼育していてアンゴラバサミという特殊なハサミで毛を刈ってそれを売った。山羊(やぎ)を飼育している農家もあった。山羊の絞りたての乳は濃く甘く美味しかった。農家が家畜を飼育することは単に肉や卵を得るためではなく、捨てるものがない循環型農法のための一要素だった。
かちくれる 【動】かじかむ 『かじく』+『くれる』。
かぢぎ
かぢげ
かちけ
勝気 かちき:勝気な人・片意地な人:宮城。
かちける 【動】かじかむ やや古い標準語の『悴ける(かじける)』の清音化。古形は『かじく、かしく』。
かちける:縮まる:青森。
かちぶ 役夫、人足 『徒夫』の意味か。
がぢめ 斜視 俗語の『がちゃめ』。江戸言葉の『がんち』(片目)の流れ。
がぢゃがぢゃ
がぢゃがぢゃむし
がぢゃがぢゃめ
◆▲がちゃがちゃ
がちゃがちゃむし
がちゃがちゃめ
クツワムシ 『集覧:水』。
がちゃがちゃ:群馬・東京。
がちゃこん
がちゃ
機械が動く音 がしゃこら・がちゃこら:群馬。
がちゃこん
がちゃ
がちゃこん
手押しポンプ かつては何処の家にもあった鋳物製の手押しポンプ。
がちゃんこ:神奈川。
がちゃこん:神奈川。
がちゃつく 【動】@がたがた音がする、Aもめる、Bがさつく @A標準語。
B拗音化。
がぢゃつぐ 【動】@がたがた音がする、Aもめる、Bがさつく @A『がちゃつく』の濁音化。
かぢゃーねー 【複】価値が無い かちゃーねー:神奈川。
(かちゃ 【形】みすぼらしい、品格が無い 『がさつ』ともまた茨城方言の『ごじゃっとも関係があるか。
かちゃ:秋田。
かちゃない:青森・秋田。
がぢゃめ 斜視、左右で視力が異なること、がちゃめ。 清音形なら俗語。
かーぢゃん
■かーちゃん
お母さん かーたれ:神奈川。
かーちゃん:神奈川。
がぢゃんこ
がちゃんこ
@押し切り、飼葉切り、Aホチキス 標準語ではピストルの隠語。
@牛馬の餌として藁を切る道具で一定の長さで切ることができる。呼び名は音から来ている。一般には『藁切り機』。30年代の訛。
A一般のホチキスの他、ダンボール箱を閉じる大型のホチキスも意味する。
(かちゅーぶし) かつおぶし 沖縄。
かぢわる 【動】叩き割る 標準語にはない。辞書には『搗ち割り(かちわり)』とは、主に関西地方で『細かく割った氷』とある。テレビによる影響か。
かちわる:群馬。
どだまかぢわってやっか:頭を叩き割ってやるかい。
□かっ〜 【接頭】 主として動詞に用い、強調する意味がある。標準語にも多く存在する。本来『掻く』の促音であるが、茨城方言ではもともとの意味が薄れて単なる強調の接頭語のこともある。
『掻く』は、広辞苑に大見出しで『@爪またはそれに形の似た道具類で物の面をこする。A手その他のもので物をおしのける。B手その他の物を、すりまわすようにして動かす。』の意味がある。
また、茨城では『書く』『駆ける』の意味の場合もある。
がっ!
かっ!
【感】ちぇっ!、けっ! 独り言の場合は無母音で発音されることもある。
『民俗』では『か』と表現している。
かづ
かづー
■▲かつー
カツオ 『集覧:多』。
広辞苑には『カタウオの約』とある。魚の古形は『を、お、いを、いお』と言い、現代では『うお』である。鰹は古くは『かつを』と表記された。
かつ:宮城・千葉。
かつー:福島・神奈川・八丈島。
かーつぁ
かーつぁん
お母さん 2人称・3人称、本人がそう発音しているつもりでも『かんつぁん』に聞こえることもある。
がっが
◆▽がっか
かっか
お母さん 幼児語。『集覧:新』。茨城方言では珍しい第1音の濁音化。『じっち・ばっの音の影響を受けたか。
かっか:神奈川。
かっかー:神奈川。
かっかかっか 【形動】頭に血が上って怒る様 標準口語では使われる。『かっかっ』。
かっかする
かっかどする
かっかどなる
【動】腹を立てる、かっとなる すーかっかすんだがらしゃーねーな:直ぐ腹を立てるんだからしょうがないな。
かつかつ 【形動】【副】ぎりぎり、かすかす やや古い標準語。『かすかす』。日本語の『す』と『つ』は音通する。茨城ではサ行音がしばしばタ行音になるのは自然な現象である。
『かっつかつ』
つくつく:愛媛。
がづがづ 【副】がつがつ、むさぼり食う様、食い意地が張っていること がづがづ:神奈川。神奈川でも一部の言葉でタ行音が濁音化する。
かっかぶり
かーっかぶり
かっかむり
かーっかむり
【複】【形動】皮かぶり、本性を押し隠している人
かーっかぶる
かーっかむる
【複】【動】本性を押し隠す
(かっかべーる) 【動】がつがつして食べる 山梨。
ほんねんかっかべーってくっちょ:そんなにがつがつして食べるな。
(かつ 水中にもぐること 静岡。
広辞苑に『かつぎ【潜】:(カヅキの訛) 海人(アマ)の異称。』とある。
かづあぎねー
かづうり
行商人、ぼてふり 『担ぎ商い』。
かづおげ 担い桶、肥桶 『担ぎ桶』の意味。
かっきし @丁度、ぴったり、Aはっきり、きっぱり @・かっきし:東京。
かづ 『担ぎ担桶』の意味で二重表現。
かづぼー 担い棒 『担ぎ棒』の意味。
かつんぼー:静岡。
かづもっこ かづっか:千葉。
かづ @人を騙す人、ペテン師、A野菜・米・魚などを生産地から担いで来て売る人。特に、第二次大戦中や戦後、闇(ヤミ)物資を
運んできて売った人。
『担ぎ屋』。濁音化。
A当時の常磐線には背負子に竹の行李を三つぐらいも積んで都心に出かけるおばちゃん達をよく見かけたものである。茨城県人は総じて声が大きい。田畑での農作業の時、声が小さくては勤まらないからだろう。このおばちゃんたちの声は電車の反対側の端まで届くほど大きく眠い人には迷惑だったに違いない。=『しょいあぎねー』
かっきり @丁度、ぴったり、Aはっきり、きっぱり 標準語だがあまり使われなくなって来ている。辞書には漢字は当てられていないが、『掻っ切り』の意味と思われる。=『きっかり』
@・がっきら:静岡。
がっきり:静岡。
かっきり:静岡。
がっつい:鹿児島。
かっきり @桝等に入れた穀を平らに均すこと、Aおはじき遊びの一つ A竹ひごを使って遊ぶ。『掻っ切り』の意味。
かっきりぼー 桝等に入れた穀を平らに均す棒、斗掻き棒 『斗掻・概』。『掻き切り棒』または『ぴったり棒』の意味。
かっきる 【動】掻っ切る 標準語。
かづ 【動】担ぐ かづ:山形。
かづねる:山形。
かと:山梨。
かっくい 篠・稲等の切り株 『刈杙・刈杭』(かりくい)。
かくし:踏み抜きのけが:東京多摩。
かくし:神奈川。
かっくい:木や竹の切り株:静岡。
かっくえ:山形。
かっくし:山形。
かっくち:神奈川。
がっくし 【副】がっかり、がっくり 茨城弁の俗語のようなもの。
がっくしくる 【複】【動】がっかりする
かっくす 【動】掻き壊す、掻きむしる、壊す 『掻き崩す』・『掻き壊す』。古い標準語の『崩す』(くやす)が転じて使われていると考えられる。
かっくずす 【動】掻き崩す、掻きむしる、壊す
かっくだばる 【動】死ぬ
かっくべる 【動】火に入れて燃やす 『掻き焼べる』意味。
かっくべる:神奈川。
かっくみだす 【動】水等をくみ出す
がっくら 【副】がっかり
かっくらー
かっくらう
【動】@勢い良く食べる、A浴びる様に酒を飲む、B(拳骨などを)食らう @A『掻き食らう』意味。
かっくらー:千葉。
かっくらう:千葉・埼玉・東京。
かっくろう:山梨。
かっくら
かっくらーす
【動】@ひっくり返す、Aかき回す
かっくらーる 【動】ひっくりかえる 『ひっくりかえる』→『かっくりかえる』→『かっくりけーる』→『かっくりーる』『かっくらーる』
かっくらしつげる
かっくらっつげる
【動】殴りつける かっくら:スナップを効かせたげんこつ:福島。
かっくらすける:福島。
かっくらつける:福島。
かっくらす
かっくらーす
【動】殴る、拳骨などを)食らわせる 『かっ』+『食らわす』。
かっくらかす:神奈川。
かっくらす:千葉・群馬。
かっくらわす:神奈川。
◆■▲かっくらせる
かっくらーせる
【動】殴る、拳骨などを)食らわせる 『集覧:稲』。『かっ』+『食らわせる』。
かっくらーせる:山梨。
かっくらってる 【複】頭がおかしくなっている、馬鹿なことを言う 本来は『かっくるってる』か。
がっくり 【形動】@疲れた様、Aがっかり @標準語の力が抜けて、膝などが急に折れ曲がったりする様を表す意味が転じたものだろう。
A標準語。
『聞書』によれば江戸では『げっくり』と言ったという。
かっくりーる
かっくるーる
【動】ひっくり返る 『げ』は濁音・鼻濁音。
かっくり
かっくりーす
かっくる
かっくるーす
【動】@ひっくり返す、Aかき回す 『げ』は濁音・鼻濁音。
かっくるー 【動】頭がおかしくなる
◆■かっくるむ @包む、A(黄な粉等を)まぶす @・かっくるむ:群馬。
A・かっくるむ:群馬。
がっくんがっくん
かっくんかっくん
【副】【擬】がたがたしている様子、がくがく、ぐらぐら
がっけ 『集覧:猿』。『岸険』をにおわせる言葉。
がっけ:岩手・茨城・神奈川・三重。
〜がっけ 【助】〜かい 稲敷郡。二重方言に見える。『だっけ』が訛ったと見られる。
かっけー 【形】格好良い
かっけーす 【動】ひっくり返す、干し物を掻き返す 『掻き返す』。『集覧:西』。
かっけす 【動】消す 『掻き消す』。
かっけす:東京。
かっけずる 【動】削る
◆■▲かっけなす 【動】けなす 『集覧:猿・新』。
かっけなす:群馬。
かつけにする 【動】かこつける、責任を押し付ける 標準語に『託け言(かずけごと):かこつけごと。口実。』がある。
かずけ:神奈川。
かつけにする:神奈川。
かつける
かっける
【動】かこつける、責任を押し付ける 『集覧:東』。『被ける(かずける)』の清音化・促音便。文語では『託く(かづく)』。
かづける:福島。
かつける:岩手・山形・宮城・佐渡島・八丈島・和歌山。
かっこ 格好 標準口語でも使う。
かっこ:宮城。
◆▲かっこ 下駄 幼児語。『集覧:西・稲』。
標準語では『かんかん』とも言うがいずれも今は使われない。下駄そのものが日常生活から消えてしまったからである。
かっこ:群馬・東京・神奈川・長野。
かっこん:静岡。
がっこ 学校 短縮化。『集覧:無記載』。
がっこ:青森・秋田・鹿児島。
★『土』:汝(わ)りや梅(うめ)噛(かじ)ったんべ、學校(がっこ)の先生(せんせい)姉(ねえ)訴(えつ)けてやっから、腹(はら)痛(いた)くったって我慢(がまん)してるもんだ。
かっこー 適当なこと。似合わしいこと。ころあいであること。特に、価格が手頃なこと。 『恰好』。
かっこえ:安い:山形。
かっこい 【形】格好良い
がっこいぎ 学校に行くこと、小学校に入ること、(間接的に)生徒 らいねんはがっこいぎが、はやいなや:来年は学校に入るんだな、早いね。
かっこげる 【動】転ぶ
かっこす 【動】@掻き壊す、掻きむしる、A壊す 『かっこわす』がさらに訛ったもの。
かっこする 【動】擦る、擦り込む かっこす:山形。
がっこっこ 学校に行ってる子供 がっこっこ:群馬。
かっこでる 【動】落ちる、転ぶ
かっこどす 【動】落す
■▲かっこなす 【動】けなす、悪口を言う、叱る やや古い標準語の『熟す』(こなす)に接頭語がついたもの。『集覧:久』。
かっこなす:山形・長野。
◆■かっこぼす 【動】零す
かっこみあし 内股の歩き方
かっこみだす 【動】水等をくみ出す
◆■▲かっこむ 【動】ご飯を流すように食べる、急いで食べる、掻き込む 標準語。『掻っ込む』。『集覧:稲』。もともとは関東方言。
かっこむ:群馬・山梨・静岡。
かっ:青森。
★『土』:先刻(さっき)おつうに米(こめ)のお粥(けえ)炊(た)いて貰(もら)ってそれでもやっと掻(か)っ込(こ)んだところだよ。
★『土』:お汁(つけ)も何(なに)も要(い)らねえから一杯(え)掻(か)っ込(こ)んべ
がっこゆぎ 学校に行くこと、小学校に入ること、(間接的に)生徒・学生 ○○のあんちゃんまーだがっこゆぎなんだっけが:○○の息子さんはまだ学生なんだっけ?。
かっころ 【動】転がす
かっころ 【動】転がる
かっころ 【動】転げる
かっころばす 【動】転がす
かっころばる 【動】転がる
かっころぶ 【動】転ぶ
かっこわす 【動】@掻き壊す、掻きむしる、A壊す 『掻き壊す』意味。
かっこわりー 【形】恥ずかしい 『おがしー』
かっこんばな ホタルブクロ、ツリガネニンジン、チョウセンアサガオ
かっさ
がっさい 【副】何でもかでも。のこらず。全部。 『合切』。
がっさい:鹿児島。
ごっそい:鹿児島。
がっさいか 船の諸道具を入れる箱 『集覧:無記載』。『合切籠』の意味。
がっさいぶぐろ
がっさいぶくろ
何でも入れて持ち運ぶ袋 『合切袋』。清音なら古い標準語。
かっさーしー 【形】騒がしい
かっさぎ 竹等を尖らせた先端、竹等の切り株の先端 『突先』。
かっさぐ
かっさく
【動】引っ掻く、掻く、裂く、割く
かっさー 【動】騒ぐ
かっさぐる
かっさくる
【動】溝状に掘る、すくうようにして上げる 『掻き決る』。
かっさばぐ
かっさばく
【動】@切り裂く。たちわる。A掻き集める。 @『掻っ捌く』。
かっさばく:東京多摩。
A土浦では散らばった落ち葉や稲藁などを『掻き集める』意味で使われたが、単純に『捌く(さばく)』の意味のうち『錯雑した物事をきちんと処理する。』が転じたと考えられる。
かっつぁばぎ:掻きさらって取ること・油断無く働くこと:山形。
かっさらー
かっさらう
【動】@(カキサラウの音便) 横合いからすばやく奪いとる。ひっさらう。Aさらう、さらい集める 『かっつぁらー』。『掻っ攫う』。
@の意味で『掻っ攫う』なら標準語。
かっさろー:山梨。
かっさわ
かっさわく
【動】煩いほどに騒ぐ 『集覧:稲』。清音形の存在はやや疑わしい。
がっさり 【副】@鷲づかみにする様、ざっくり、A重いものが落ちるさま、どさり、B沢山ある様 B・がっさり:山形。
かっさーる 【動】触る かさる:群馬。
かっしゃっ 柏の葉
かっしゃまんじ かしわ饅頭
〜がっしょ
〜がっしょー
【助動】〜ございましょう 丁寧語。近世江戸語の『ごす・ごっす』の流れ。=『がしょー』
っしょ
っしょー
【複】〜(いって)下さい 原型は『いっしょ、いっしょー』。『が』は濁音・鼻濁音。
〜がっせ 【助動】〜ございますよ 丁寧語。近世江戸語の『ごす・ごっす』の流れ。『〜がす』の変形。『〜ございますえ』→『〜がすえ』『〜がせ』。30年代前半の言葉。
あーそーでがっせ:ああそうですよ。
っせ 【複】〜(いって)下さい 原型は『いっせ。『が』は濁音・鼻濁音。
〜かんせ:滋賀。
ってっせよ:上がってらっしゃいよ。
かっぜわしー
かっせわしー
【形】忙しい、せわしい
△がっそー 前髪の伸びた山伏風の髪、総髪・惣髪 『集覧:新』。古い標準語。
『兀僧(がっそう)』とは、江戸時代の男の髪形で月代(さかやき)を剃らず、のばした髪を頭上で束ねたもの。鞍馬天狗の髪型である。
がっさぶろー:乱れた髪の毛:神奈川。
がっそ・がっそー:散髪:静岡。
がっそー:神奈川・山梨・静岡。
がづぞーり
がつぞーり
竹皮草履 『皮つ草履』の意味ならスマートだが、濁音を考えると『合草履』の意味か。
『称呼』には『草履(ざうり):江戸にてこんがうのりものざうり(うらおもて共に藺の殻をもって織たる物)、畿内西国にてこんがう(こんかう)と云(乗物ざうりの名はなし。)。江戸にていふかはざうり(竹の皮にてつくりたる物)を九州にてうらなしと云。東国にてがづざうりと云。江戸にてなかぬきざうりを、京にてすべざうりと云(江戸にてわらのしべといふ物を京大阪にてわらすべといふ。)。因幡にてわらみざうりと云。江戸にて云わらざうりを奥州仙台にてちりざうりと云。江戸にてごんずわらぢを関西にてあとづけざうりという。九州にてむしゃわらぢむしゃざうりといふ(小児のはく物也)。』とあり、この方言は古い東国方言であることが解る。
かった
かっちゃ
【複】食われた、噛まれた
〜がった 【助】〜かった 濁音化。
いがった:良かった。
あんとぎのこいいががったなー:あの時の鯉は大きかったなあ。
◎かったい らい病 『癩・乞丐』(かたい・かったい)。広辞苑に『かたい【乞丐】:(傍カタ居の意)@道路の傍らなどにいて人に金品を乞い求めるもの。乞食(コジキ)。A癩病(ライビヨウ)。また、その人。かったい。B人をののしっていう語。ばか者。』とある。
かたい:らい病・乞食:山形。
かったいぼー @らい病患者、A転じて人をののしる言葉 『乞丐坊』の意味。
@・かったいぼー:神奈川。
こっさいぼー:静岡。
A・かったい:子供をののしる言葉・しくじったり残念がる時に使う:静岡。
かったおす
かったす
かったーす
【動】倒す
かった @畑に種を撒く時、鍬で畝を作ること、A麦畑などで除草等のために列毎に浅く耕起すること
◆▲かった 【動】勢い良く切る 『集覧:稲』。
かった:茨城・新潟。
かったす 【動】汲み出す 『掻い出す』。
かったぐる 【動】かき回す 『掻きたくる』。
かったくる:勝ちまくる:埼玉。
(がったっこ) 悪い子 長野。
かったでる
かったてる
【動】@勢いよくかきまわしてまぜる、A耕す @『掻き立てる』。
かったでる:宮城・千葉。
かったてる:宮城。
〜がったら
〜かったら
【助】〜なら、〜かったら 標準語では形容詞の語幹について、『高かったら、遠かったら』のように使うが、当時の茨城では終止形について使われることがあった。
たがいがったら
とおいがったら
『新方言』には『ヤスイガッタラ:安いなら。最上。』とある。
かったらがす 【動】放って置く
(がったらさんぼ ) 【副】急いで、気をもんで 福島。
◎がったり がっくり(と力を落す様) がったり:急に・がくっと:神奈川。
かっだりー
かったりー
かっだるい
かったるい
【形】@やる気が無い、乗り気でない、A▲だるい、B疲れる 『集覧:猿』。『かいなだゆし・かいだるし』。=『かだるい・けったりー』。中世・近世語の『腕弛い』。
『新方言』には『カッタルイ:カッタルイは、関東方言では、仕事のあと「疲れた」の意味で使うが,若者は仕事にかかる前に「乗り気でない」意味で使う;なお会社で「あの仕事はあいつにはカッタルイ」などのようにも使う。』とある。「あの仕事はあいつにはカッタルイ」とは、「乗り気でない」すなわち、「興味が湧かない・つまらない」意味である。単独で「たるい」も使われる。
@の意味は新しい意味で、私の記憶では、1970年代頃から流行り出したと記憶する。『だるい』は古くは『たるし』で『@疲れたような、おっくうな感じである。Aのろい。にぶい。Bしまりがない。また、あまったるい。』の意味。古形は『たゆし』
かったるい:群馬・東京・神奈川。
A・かったるい:群馬・静岡。
かったりー:静岡。
B・かったりー:東京三鷹・神奈川・山梨。
かったりしらず:疲れを知らない者・働き者:神奈川。
かったるい:群馬・埼玉・東京。
Cその他。
かったりー:つらい:神奈川。
がったんがったん 【副】【擬】がたがたしている様子、がくがく、ぐらぐら
がったんこ シーソー 『ぎっこんばったん』
がっち 片目 『集覧:猿』。江戸言葉の『がんち』の流れ。一説に『眼一』(げんいち)が訛ったとされる。
『本朝俚言』では片目を『獨眼(かんだ)』と読ませている。
かんぢ:和歌山・徳島・高知。
かんぢ:びっこ:高知。
(がっち) 忘れん坊 静岡。
かっち @稲刈りの最後の束を2つに割って交差させかまどの神様に供える稲束、A稲束を交互に束ねること、B稲刈りの終わり 『刈り違い』の意味。この場合の『違い』は交差させる意味。
がっぢがぢ
がっちがち
がっぢがっぢ
がっちがっち
がっちんがっちん
【形動】硬い様、硬く凍った様、かちかち
かっち
かっちき
かっち
稲刈りの終わり 原型は『かっちい』と考えられる。
かっちぎ
かっち
稲刈りの時に稲を束ねる台 『加敷・梶木』。
広辞苑に『かじき(加敷・梶木):和船で、船体の最下部をなす板。敷(シキ)すなわちかわら(カワラ)の両側に取り付け、かわらとともに箱型の強い構造物をなす。ねだな。そばがわら。』とある。
その昔、稲を船で運んだ名残と考えられる。
かっち:木の枝で作った稲を運ぶ道具:神奈川。神奈川ではそのほか『いかだ、うしんぼ、うま、かじき、かちき、かっちき、かり、かりした、かりだい、かりでー、きのでー、ひきずりもっこ』等とも言う。
かっちき・かりしき:植物肥料・木の枝葉を刈り取って田に敷き入れるもの:長野。これは『刈り敷き』の意味だろう。
かっちき @深田の稲刈りの時に稲を束ねる台、A▲肥料などにする草、B▲肥料用の草を田に敷きこむこと 『集覧:久』。
@『加敷・梶木』。
AB『刈り敷き』の意味か。
かっちきいわい 稲刈りが終わった祝い 赤飯やぼた餅・おはぎ等を作る。
かっち 【動】@千切る、切る、A引っ掻く @『千切る』の強調形。
A『掻き千切る』。
かっち:山形。
かっち 稲刈りの最後の束を2つに割って交差させかまどの神様に供える稲束。軒下に下げる地域もある。 かっち:稲刈りの終わった日:千葉。
かっちーる 【動】@間違う、A勘違いする、B交差させる 『かっちる』
かっち
かっち
【動】勢い良くしごく かっち:八丈島。
かっちごばる
かっちょごばる
【動】緊張する、堅くなる 『畏まる』。『鯱張る』にも通ずる。
かっちくまる:東京三鷹。
かっちねる 【動】つねる
かっちばる 【動】縛る(しばる)
かっちまる 【動】@締まる、A倹約している
かっちめる 【動】@締める、懲らしめる、A独り占めにする、B倹約する
がっちゃ べーゴマのテクニックの一つ 特に背の高い『タカベエ』や『ラッパ』を使って相手のコマの上から落として、相手を外に弾き出す方法。
かっちゃがす 【動】掻き散らかす
かっちゃ 【動】しゃがむ
かっちゃがれる 【動】引っ掻かれる 『掻かれる』。『掻き裂かれる』。多くは猫などに掻かれること。
がんどめにかっちゃがれちったがらずだぶぐろさせーでだいでやったどー:野良猫に引っ掻かれたから、頭陀袋に入れて引っ叩いてやったよ。
かっちゃがる 【動】引っ掻かれる、散らかっている 古い言い回し。
かっちゃぎ 草取り鎌
かっちゃぎきず 掻き傷 がっちゃぎ:切れ痔:青森。
かっちゃぎまーす
かっちゃぎまわす
【動】引っ掻き回す
かっちゃ 【動】千切る、切る 『かっちる』・『かったぎる』の再転訛。
かっちゃぐ
■▲かっちゃく
【動】@引っ掻く、掻く、A裂く、割く @『掻き裂く』。『集覧:新』。東国方言と考えられる。
かちゃぐ:青森・秋田。
かちゃく:青森。
かっちゃぐ:岩手・宮城・千葉。
かっちゃく:青森・秋田・岩手・八丈島。
かっちゃく:引く:神奈川。
かっちゃぐる
かっちゃくる
【動】@畝ををさくる、A船を漕ぐ(水をさくる) 『掻き決る』意味。
かちゃくる:鈎状のもので魚を引っかけて釣る:神奈川。
かっちゃくる:引っ張る・掬い取る:神奈川・静岡。
かっちゃげる 【動】@掻いて傷になる、A裂ける、割ける 『掻き裂ける』。
かっちゃす 【動】@掻きむしる、掻き潰す、A散らかす、B混乱させる @は『掻きつやす』の転。『つやす』は古い標準語で『潰す』意味。現代語では自動詞形の『費える・弊える・潰える』(ついえる)が残る。
A『掻き散らす』の転。
B・かっちゃする:一緒にする・一緒になる:神奈川。
かっちゃっきず 掻き傷 『かっちゃぎきず』の転。
かっちゃばぐ 【動】引き裂く、引っ掻く、掃く かちゃばく:引っ掻く:山形。
かっちゃばぐ:引っ掻く:山形。
かっちゃばく:破る・裁く:静岡。
かっちゃぶぐ 【動】破く
かっちゃぶげる 【動】破ける
かっちゃぶす 【動】潰す
かっちゃべり おしゃべり
かっちゃべる 【動】喋る
かっちゃらがす 【動】掻き散らす、散らかす 『かっちらがす』
かっちゃぬげる・かっちゃらぬげる:押しのける:山形。『掻き散らし退ける』。
かっちゃる 【動】捨てる、うっちゃる 『おっちゃる』・『ぶっちゃる』
がっぢゃんご
がっちゃんこ
@押し切り、飼葉切り、Aホチキス @牛馬の餌として藁を切る道具で一定の長さで切ることができる。呼び名は音から来ている。既に進化した道具で一般には『藁切り機』。30年代の訛。
Aは一般のホチキスの他、ダンボール箱を閉じる大型のホチキスも意味する。
がっちゃんこ:青森。
がっちゃん 手押しポンプ がちゃこん:神奈川。
かっちょいー 【形】格好良い 流行語。
かっちょ 【動】千切る、切る
(がっちょーぶ) 【形動】堅固 静岡。『頑丈』と『丈夫』の合成語か。
かっちらがす
かっちらかす
【動】散らかす、めちゃめちゃに散らかす 『掻き散らかす』『掻っ散らかす』。=『しっちらかす』
かっちらかす:群馬・山梨・静岡。
かっちらす 【動】散らす 『掻き散らす』意味。
かっちり 【副】たった〜、僅かな様、〜こっきり、ぽっちり 『集覧:北』。
かっつぁ
かっつぁま
かっつぁん
お母さん
かっつぁーしー 【形】騒がしい
かっつぁぎ 竹等を尖らせた先端、竹等の切り株の先端
かっづぁぐ
かっつぁぐ
【動】@掻きむしる、A割る、裂く @『掻き裂く』。
かつぁぐ:(髪の毛を)梳かす:山形。
かっづぁく:福島。
かっつぁぐ:宮城・山形・福島。
かっつぁく:宮城・福島・栃木。
かっつぁっきず:掻き傷。
A『かっ割く』。
★『土』:汝(わ)りゃ、さうだこと云(い)ふんぢゃねえ、先刻(さっき)ああだに何(なにっ)か貰(もら)って要(い)るもんか、まっと欲(ほ)しいなんちへば俺(お)れ腹(はら)掻裂(かっつ)えて小豆飯(あづきめし)掻出(かんだ)してやっから、汝(わ)りや口(くち)ばかし動(い)かしてっから見(み)ろうそれ、鴉(からす)に灸(きう)据(す)ゑらってら
かっつぁー 【動】騒ぐ
かっつぁぐる 【動】@溝状に掘る。ほりうがつ。Aすくうようにして上げる。しゃくる。 『決る・刳る』の強調形。
@・かっつぁぐり:堀うがつこと:熊手:秋田。
かっつぁぐる:宮城。
A★きんょめしこだまかっつぁぐっちぇよ:金魚を沢山掬ってよ。
かっつぁばぐ 【動】@引き裂く、A引っ掻く A・かっつぁばぐ:山形。
かっつぁらー
かっつぁらう
【動】@(カキサラウの音便) 横合いからすばやく奪いとる。ひっさらう。Aさらう、さらい集める 『掻っ攫う』。
@・かっつぁらう:群馬・東京。
A・かっつぁらう:東京。
かっつぁらい 泥棒 かっつぁらい:宮城。
かっつぁれーごむ 【動】掻きさらって入れる、掻き込む そーたぐおまんまかっつぁれーごんでくってだらやー、ぶだでもあんめー
かっつぁわ 【動】騒ぐ
かっつぁーる
かっつぁわる
【動】@触る、A関わる
(がっつい・かんめつ) 【副】きっと、確かに、とんと 鹿児島。
『がっちり』が訛ったか。
かっつぇわしー 【形】忙しい、せわしい
がっつぉー 前髪の伸びた山伏風の髪 『兀僧(がっそう)』とは、江戸時代の男の髪形で月代(さかやき)を剃らず、のばした髪を頭上で束ねたもの。
かっつぐ
かっつく
【動】追いつく、届く 『駆け付く』。
かつぐ:青森・秋田・山形・長野。
かっつぐ:青森・宮城。
かっつく:北海道・青森・岩手・秋田・山形・宮城・群馬・神奈川・静岡。
かっつく:匹敵する・張り合う:静岡。
がっつぐ
がっつく
【動】がっつく 濁音化。
がーっつく:山梨。
がっつき:食いしん坊:神奈川。
がっつれる:山梨。
がーつれる:山梨。
かっつげる
かっつける
【動】かこつける、責任をなすりつける、片付ける かんつける:青森。
かっつづぐ 【動】突付く
(かっつぶす) 【動】噛み潰す 山梨。
かっつる 【名】鍬の柄、【動】吊る、釣る
(かって) 分家 福島。
かって 【複】貸して 幼児語。関西では一般的な方言。
って 【助】〜のついでに、〜がてら 接続助詞。八丈方言共通語。
いぎってによったんだわー:行きがてら寄ったんだよ。
かって
かってんべー
【複】買って行こう、刈って行こう 『ぐ』は濁音・鼻濁音。
かっでば
かってば
台所 『勝手場』の意味。
かって:神奈川。
かってば:神奈川。
かでば:岩手。
かってぼー
かってーぼー
@らい病患者、A転じてののしる言葉、Bわからずや @『乞丐坊』の意味。
かってー:神奈川。
かってーぼー:神奈川・静岡。
かてんぼ:神奈川。
B・かってーぼー:八丈島。
がってんしねー 【複】承知しない、納得しない 促音化しない場合は『がでん』となる。
がってんしなえ:山形。
がってんでぎねー 【複】承知できない、納得できない がってあなえ:山形。
がってもなし:山形。
がっと
がーっと
【副】@力を入れる様、手粗い様、Aはるかに、ずっと、一段と、B心に強い衝撃を受けるさま。 『ぐっと』。
@・がっと:新潟。
げっと:長野。
A・がっと:神奈川。
がーと:埼玉・神奈川・愛知・大分。
B俗語に強い衝撃を受けた感嘆詞としての『がん・がーん』がある。
がーった:驚いたときの感嘆詞:神奈川。
Cその他。
がっと:沢山・多く・非常に:神奈川。
がっともねー:多大なことに驚いたときの感嘆詞:神奈川。
がーと:沢山・多く:神奈川。
がーともない:多大なことに驚いたときの感嘆詞:神奈川。
がとー:沢山・多く:神奈川。
かっどぐ
かっとぐ
かっと
【動】買っておく まっとかっと:もっと買っときなさい。
かっとぶ 【動】(ボールなどが)勢い良く飛ぶ
かっとばす 【動】(ボールなどを)勢い良く飛ばす 標準語。『かっ飛ばす』。
かっとまり まとまっていること、整理されていること 通常否定を伴う。
◆■かっとまりねー
かっとまりわりー
【形】【複】まとまりが悪い、整理されていない様 この場合の『かっ』は強調の接頭語であることは間違いないが、『とまり』は『止まる・留まる・停まる』しか考えられない。『きちんととまっていない』意味だろう。
かっとまる 【動】@まとまる、整理されている、A(虫などが)止まる
かっとめる 【動】@まとめる、整理する、A(ボタンなどを)止める
かっとる 【動】奪い取る 『掻き取る』意味。
かっとる:山形。
かっ 合羽、雨合羽、雨具 今ではレインコート。ポルトガル語の『capa』に由来する。元は防寒具だったとされる。
◆▲かっ 切り株 『集覧:久』。
『今昔』では『刈ばね』が訛ったとしている。『刈り端』の意味か。『刈ばね』は『語源辞典』では『刈り端根』と当てている。
かつど:長崎。
かっ:群馬・神奈川。
かっ:短く切った頭:神奈川。
かっ ゲンゴロウ 『かっぱむし』はタガメの異称である。
かーっいり
かーっいりついだぢ
かーっいりもぢ
かーっりもぢ
かったしもち
かーっーり
かーっーりついだぢ
かーっーりのついだぢ
かーっーりのぼだもぢ
かっりもぢ
かっりもち
かーっーりもぢ
水難予防の行事 『川びたり』『川びたり朔日(ついたち)』『川びたり餅』。
原型は『川入り餅』だと考えられる。岩手でも『川に落ちる』を『かっとる・きゃっれする』と言う。
辞書では『漁家または船を使う業の家で水神をまつる行事。餅をついて親しい人々に配ったりする。』とある。
『民俗』には『川へ行き尻を浸すと河童に引かれないという。』とある。
かーっーり:水死者:千葉。
かっぱが 剥がす形式の駄菓子屋の当て物くじ
かっば
かっぱが
【動】剥がす 『掻き剥がす』。
がっばがっば
がっがっ
【形動】がばがば、ゆるゆる、大きすぎて緩い様、お金が沢山手に入る様
かっぱが 油紙 当時の雨合羽は今と違って薄く破れやすかった。ビニールやゴムが普及する前の時代に油紙で雨合羽を作った名残。方言とは言い難い。
普通の雨なら良いが台風の時などはずたずたに破けたしろものである。
現在でも油紙は生産されているが、当時の油紙は和紙に油を染ましたものでぺらぺらのものだった。
かっぱが:群馬。
かっぱぎ 【動】切る
かっばぐ
かっ
かっ
【動】@掃く、A(ゴミや落ち葉、土などを)掻き払う、掻き退ける、取り除く、掻き集める、B(バケツ等で)水を掻き出す、穴を掘る、C地面を均す 『掻き掃く』意味。『かっく』は関東方言。
A・かっ:栃木。
かっ:群馬・埼玉・東京多摩。
そーたもんかっぎまーしてなにやってんでー:そんな物を掃き回して何遣ってんの?。
★『土』煙草入(たぶこれ)は焼けたって銭(ぜね)だら灰(へえ)掻掃(かっ)けば有る筈(はず)だ:タバコ入れは焼けたって金なら灰を掻き払えばあるはずだ。
B・かっ:栃木。
かっば
かっぱぐ
【動】@剥がす、A掻き取る、刈り取る @・かっぱぐ:栃木。
A・かっぱぎ:篠や潅木をざっと鎌で切る事また切ったもの:神奈川。
かっぱぐ:潅木や雑草を刈り払う:神奈川。
かっげる 【動】@掃く、A(ゴミや落ち葉、土などを)掻き払う、取り除く、掻き集める、B(バケツ等で)水を掻き出す、C地面を均す 『かっぐ』の自動詞形。可能の意味もある。
かっばさす
かっさす
【動】(竹等の切り株が足の裏等に)刺さる
かっばさまる
かっさまる
【動】挟まる
かっばさむ
かっさむ
【動】挟む
かっじく 【動】弾く 相撲用語。『掻き弾く』。
かっじく:引き除く:群馬。
かっじく:ひっぱたく・思い切り叩く:神奈川。
かっばしる
かっしる
【動】勢いよく走る 『集覧:稲』。『かげはしる』がさらに訛ったもの。『つっしる』に近い。
かっばずがしー
かっずがしー
【形】恥ずかしい 本来は『こっずがしー』
かっばずす
かっずす
【動】外す 『掻き外す』。
かっばずぼん
かっずぼん
雨具のズボン 合羽(かっぱ)は、古くは上衣だけだったのが、ズボン形式の下衣の商品が流通するようになりそう呼んだものと考えられる。辞書に無いのはあまり定着しなかったからだろう。
かっずぼん:巾着網があった頃出稼ぎに来ていた青森県の人たちがはいていたズボン:神奈川。
かっばずれる
かっずれる
かっずる
【動】外れる 『掻き外れる』。
かーっばだ
かーっ
川岸、川縁 『川ばた』。『川つ端』。
かわっ:群馬。
かっばだぎ
かっだぎ
叩いて捨てること、器の中の食べ物を捨てること 『掻き叩き』。
かっばだぐ
かっだぐ
かったく
【動】@叩く、A叩いて捨てる、B器の中の食べ物を捨てる 『掻き叩く』。
@・かったく:神奈川。
Cその他。
かったく:遣り損なう:静岡。
かっづる
かっつる
【動】削る(はつる) 『掻き削る』。
かっばねる
かっねる
【動】@取り除く、A別にする 『掻き撥ねる(はねる)』。
A・かっねる:東京多摩。
こいづぁちっとばがしちんちーがらかっねっちぇ:こいつはちょっと小さいから別にしといて。
かっふむ 【動】竹等の切り株を踏み抜く
かっばむし
◆▲かっむし
かっ
@ゲンゴロウ、A▲タガメ、Bアメンボウ 茨城方言集覧では旧新治郡の方言で『タガメ』の意味で紹介されている。『かっぱむし』はタガメの異称である。
(がっやー) おでこの大きい人 沖縄。
かっらー
◆▲かっらう
【動】@▲盗む、A払い落す、B払い捨てる、Cご飯などを残さず払い落とす、 『掻っ払う』。
@は標準語のなかの汚い言葉。半濁音は濁音で発音されることがある。『集覧:無記載』。
かっらう:福島。
AB『掻き払う』。
かっらー
かっらう
【動】刈り取る 『刈り払う』。
かっらい:山林の下草を刈り払うこと:群馬。
かっ:神奈川。
かっらう:静岡。
かっらー
かっらう
【動】馬が走る 『駆け払う』意味。
かっらって:急いで:神奈川。
かっばらい
かっらい
かっれー
泥棒 標準語のなかの汚い言葉。
かっれー:山梨。
かっらい @容器に残った最後のもの、A容器の中をさらうこと、Bかいぼり、C山林の下草を払うこと @AB『掻き払い』の意味。
C『刈り払い』の意味。
かっらった 【動】@馬が走った、A泥棒した @『集覧:西』。『駆け払う』意味
がっばり
がっ
【副】一度に沢山 ≒がっぽり。金銭以外の物にも使われる。
がっ:青森・岩手。
がっ 意地っ張り 『我を張る』意味。
かっ 【動】打つ、殴る 『集覧:北』。『掻き張る』。
かっ:千葉・長野・静岡。
がっんがっ 【形動】@波などが押し寄せる様、A風呂等の大量の水が揺れる様、B腹が水で一杯の様 がっんこ:船を動かす様:神奈川。
かっ 稲の切り株
かつーかり 稲光 常陸大宮市にしかない方言。カツオの肌に例えたとしか思えない言葉。
(かっき) 【形動】相応 静岡。
がーっびょ
かーっ
【擬】痰を吐く時の音(行為) たっ:唾:山形・宮城・福島。
かっ 【動】広げる 『掻き広げる』。
かっ 肩幅や肉づきの具合 『恰幅』。
かづぶし
かっぶし
かつぶし
かづぼし
かつお節、かつ節 『集覧:猿』。
『語源辞典』には『@カツヲボシ(鰹乾)の転か、Aフシはムシ(蒸)、またはボシ(干)の義か、Bフシはヘ(隔)しの義。四つに切り、節とすることから。または干しの義か。』とある。
かづぶし:千葉銚子。
かつぶし:群馬・東京・神奈川・山梨。
かづぶす:宮城。
かっぼし:鹿児島。
かづんふし:鹿児島。
かっぶし
かっ
かーっ
水田の用水路(みいこ)の土管等に小魚が集まっているので、上下を泥でせき止め、水をかき出しながら小魚をとる漁法 半濁音は濁音で発音されることがある。『川干し』。
かっ:千葉。
かづぶしけずり
かづぶしとぎ
鰹箱 かつお節を削っていると必ず猫が寄って来た。
かーっぶぢ
かーっ
川の縁、川岸 かしっ:東京。
かっ::川原:千葉。
かーっ:千葉。
かーっ:神奈川。
かっらいも ジャガイモ 日本古来のイモはサトイモであるが、その後サツマイモが入りジャガイモが入ったのは新しい。ジャガイモを蕪に例えて『かぶらいも』が転じたと考えられる。高萩市・東茨城郡の方言。蕪を『かぶら』と言うのは今では関西方言と思われているが実は古い言葉である。かんら、かんらいも、かんかんらいもとも言う。
『俚言』には『かぶら:「東雅」今俗には蕪菁の根のみかふらといひぬれと古にはしかはあらず。蕪菁の根をも×の根をも又海藻根のごときをもかぶらとはいひけり。(中略)脚腓をこむらといふも、かふらといふが如し。かぶらといひこむらといふは転語なり。愚按、かぶら一にかぶといふ。 は助辞也。(中略)「色道大鑑名目」蕪、初心なるものをさして云也。瓦智に比していへり。物を食するに味なき物を蕪を喰う様等云詞にて知るべし。』とある。実に鋭い見方である。『こむら:腓を訓り。「東雅」和名抄に釈名を引て、箭(や)の足を鏑(かぶら)といふと見えたり。腓をこむらという、かふらといふがごとし。かふらといひこむらといふは転語也。愚按。こむらかぶらも助語也。箭の足をかぶらといふは、箭の根といふがごとし。木の根を木の株ともいふ。』とある。
『称呼』には『こむら:東国にてふくらといふ。信濃にてたはらっと云。中国にてひるますぼといふ。讃岐にてすぼきといふ。伊予にてふくらと云。』とある。
ここで、日本語にはしばしばある助詞としての『ら』に注目する必要がある。辞書には『口調を整え、また親愛の意を表すために添える語。』とある。代表語は現代語の『そら』、『其ら』の意味。名詞の『ツララ』『ケラ』の『ら』、『とろろ』の『ろ』も同じと考えられる。ツララの方言として茨城にある『つろろ』があることが頷ける。。ちなみに『ろ』は広辞苑に『【接尾】名詞につけて口調を整え、また、親愛の意を表す。上代東国方言に多い。万一四「かの子―と寝ずやなりなむ」「筑波嶺(ツクハネ)の嶺―に霞ゐ」』とある。上代東国方言語の子を意味する『ころ』((上代東国方言。ロは接尾語) 「子ら」に同じ。)は今でも通ずるものである。茨城では今でも『ぶだころ』『いぬころ』と言う。『いぬころ』は辞書にあるが今では標準語圏で使う人は少ない。不思議なことだが、猫の子は『ねこころ』とは言わない。せいぜい『ねごっこ』である。猫はもしかしたら特別扱いされていたのかもしれない。『かぶらいも』の意味と考えられる。この方言から、東北方言の謎が解ける。ただし、オランダ語の『aardappel』に由来するとする説がある。
『民俗』では那珂郡那珂町、茨城方言集覧では旧多賀郡の言葉として紹介されている。
ジャガイモを初めて栽培したのは昭和40年代。蒸かしたジャガイモを食べると天国にいるような気がするほど美味かった。
『茨城のことば』では、『茨城方言であっらいもと言い、那珂川を上がって栃木では「かんら・かんら」、佐竹氏のの移封で秋田「あんら・あふら」、さらに宮城「あっら」に伝わった。天保七年丙申(1836)の大飢饉の年に出版の「救荒二物考」(高野長英)に「アップラ奥地の方言なり。按ずるに此アールドアップルの略言なり。」とあるようにオランダ語 aard apple(土リンゴのことでジャガイモの意)の略転。(中略)尚、あっかんと、語勢を強めてののしり言葉、悪口言葉として使ったりする。「かんは、発芽しはじめてシワのよったジャガイモ」というが、食用にならぬ腹立たしさはののしる意味に通じるからでもある。』とある。
あっ:岩手・秋田・宮城。
あっらいも:宮城・茨城。
あふら:秋田・宮城。
らいも:秋田。
あん:秋田。
あんらいも:秋田。
かっらいも:茨城。
かん:福島・茨城・栃木。
かんらいも:茨城。
かんらえも:福島。
かん:茨城・栃木。
かんらいも:茨城・栃木。
がっ 【複】しっかり組み合う様、しっかり 相撲用語。『合い振るう』意味と思われる。
かっりまーす 【動】振り回す 『掻き振り回す』意味。
かっるー 【動】振り回す 『掻き振るう』意味。
かっるー:千葉銚子。
かっ
かーっ
(果物などの)皮 『皮片』の意味。
かっ いなかっぺえ 『田舎兵衛』。
かっ 【複】@刈ろう、A刈るだろう
〜がっべ
〜かっべ
〜がっ
〜かっ
〜がっへ
〜かっへ
【助】@〜(したら)いいでしょう、A(形容詞のかり活用につけて)〜だろう、〜かろう @『よかるべし』。『〜いがっ・〜いかっ・〜いがっへ・〜いかっへ・〜よがっ・〜よかっ、〜よかっへ』の短縮形。。
やったらがっ・やったらいがっ:やったらいいでしょう。
A原則的に形容詞につく。例えば『たががっは古語のかり活用『〜くあるべし・〜かるべし』に、へ』をつける場合に使われる。
本来形は、『べ・べー』であり、促音化した『〜がっべ、〜かっべ』が言いにくかったので、、へ』に移行したと考えられる。
〜かんべ:群馬。
いががっ:大きいだろう。
あががっ:赤いだろう。
つらがっ:辛いだろう。
ながっ:無いだろう。
く活用等の場合は、
たがいべ:高いだろう。
いーべ:良いだろう。
つえーべ:強いだろう。
のように、『べ・べー』に付く。
かっぺが 剥がす形式の駄菓子屋の当て物くじ かっがし:群馬。
かっぺが 【動】剥がす かっがす:群馬。
□かっ 壁ひとつへだてた隣り同士。また、その家。 『合壁』。死語。
かっずる
かっする
【動】@削る、A擦れる、B擦り傷ができる 『集覧:久』。
@A『掻き削る』意味。
かっずる:福島。
B『皮を摺る』意味の可能性がある。
かっずる:福島。
かーっ (果物などの)皮の表面、皮膚
かーっ 川岸、川縁 かわっ:群馬。
かっなす 【動】非難する、けなす 『貶す(けなす)』。『集覧:猿』。『かっ』は強調の接頭語。原型は『へなす』とも考えられ、その場合は『圧し成す』意味か。
かっなす:茨城・栃木。
かーっ (果物などの)皮 『皮片』の意味。
かっらづぐ 【動】おしゃべりする、無駄話をする
かーっべり
かーっ
川の縁、川岸 『川縁(かわべり・かわっぺり)』。
かーっ:神奈川。
かわっ:群馬。
かーっぶぢ
かーっ
川べり 『川縁』の意味。俗語の『かわっぷち』。
かっ カッコウ 広辞苑には『郭公:(古来、和歌などで「郭公」を「ほととぎす」と訓む) カッコウ目カッコウ科の鳥。ハトよりやや小形。ほぼ灰褐色で腹には白地にタカに似た細く密な横斑がある。夏、日本に渡来し、モズ・ホオジロ・オオヨシキリ、最近オナガの巣中に托卵し、これらの鳥を仮親として哺育される。鳴声は「かっこう」と響く。なお、カッコウ科(旧称ホトトギス科)は、世界に約一六○種。閑古鳥(カンコドリ)。呼子鳥(ヨブコドリ)。ふふどり。がっぽうどり。』とある。
かつ 身分の低い人 『穢多(えた)』のこと。江戸時代には『かわた』と言ったとされる。『集覧:猿』。
『称呼』によれば、『東国でかわだ、上総・下総でかわぼう』とある。
『俚言』によれば駿河で『かあぼう』と言うとある。
かーっ:静岡。
かっぽが ヒトデ 『集覧:無記載』。穢多(えた)のような価値の無い貝の意味だろう。
かっがす 【動】放り出す 『掻きほかす』意味か。
かっかす:静岡。
がっがっ 【形動】がばがば、ゆるゆる、大きすぎて緩い様、お金が沢山手に入る様
(かっげる) 【動】水溜りにはまる 宮城。
『掻き放り返る』『駆け放りこける』意味か。
かっ
かーっ
水田の用水路(みいこ)の土管等に小魚が集まっているので、上下を泥でせき止め、水をかき出しながら小魚をとる漁法 半濁音は濁音で発音されることがある。『集覧:北』。『川干し』。別称『川狩り』。
かっじぐる 【動】穿る
かっじる 【動】穿る 標準語。『掻っ穿じる』。
かっじく:東京。
かっじる:福島。
かっでない:気にしない・関係ない:山形。
みみめどかっじってよぐきけよ:耳の穴を穿って良く聞きなさい。
かっ 【動】干す 『刈り干す』か。
かっ:農作物を刈って干すこと:神奈川。『刈り干し』。
かっ:稲、麦を刈ってそのまま広げて干すこと:静岡。『刈り干し』。
かっ:刈った稲を干す:神奈川。『刈り干す』。
かっちる 【動】ほじる 『穿る』。
かっっちぇー 【副】捨ててしまえ こおたもんかっっちぇー:こんな物捨ててしまえ。
かっっとぐ 【動】放っておく
かっーばな ホタルブクロ かっーばな:福島。
かっどぐ 【動】解く
かっらがす 【動】放っておく かっらかす:投げ出す:静岡。
かっらがる 【動】放置されている
かっらばな ホタルブクロ
がっ 【副】沢山、しこたま 標準語。
かっりごむ 【動】放り込む
かっりっなし
かっなし
放りっぱなし 半濁音は濁音で発音されることがある。
かっりな 【動】放り投げる
かっりほーでー 放りっ放しのし放題
かっりまーす 【動】振り回す 『かっりまーす』がさらに訛ったもの。
◆■かっ
かっーる
【動】@放る、投げる、A捨てる 半濁音は濁音で発音されることがある。『かっ放る』意味。『集覧:猿・那』。県北ではさらに訛って『かっる』と言う。
この場合の『かっ』は『かっ飛ばす』の『かっ』と同じ。
@・かっ:神奈川。投げやりにする意味もある。
かっーる:神奈川。
かっってやれ:放り投げろ:神奈川。
かっっとぐ:放っておく。
A・かっ:福島・茨城・栃木・神奈川。
そーたのかっっちぇ:そんなの捨てなさい。
かっ 【動】掘る 『集覧:猿』。
かっ:東京。
かっろがす 【動】放っておく
かっろがる 【動】放置されている
かっーろぐ
かっーろく
【動】@(ごみなどを)たたき払う、振り払う、失う、A震える、振動する 複雑に訛った言葉。『かっ』は単なる強調の接頭語。
@『ほーろぐ』は『振るい落とす』意味。『振う』の活用の変化。
A『震ふ』の活用の変化。茨城方言集覧では旧稲敷郡の訛りで『振動する』と解説されている。
がっーろぐ 【動】@震える、振動する、A悪口を言う 『がっ』は単なる強調の接頭語。
@『震ふ』の活用の変化。
A語源不詳。
かっんばな ホタルブクロ 『集覧:多』。別名『チョウチンバナ・トウロウバナ・アンドンバナ・ポンポンバナ・トックリバナ』と言う。
常陸太田市では『かんんばな』と言う。
ホタルブクロの語源はネット公開されている『石川の植物』によると、@小兒其花ヲ以て蛍を包む故に蛍嚢の和名アリ(牧野富太郎 牧野日本植物圖鑑 北隆館)、A火垂る(ほたる)は”火を垂れさげる”意である。昆虫のホタルの名もこの語源からでている。昆虫のホタルは、尾部の発光器から発する冷光が火をさげたように見えるので、”火垂る”といわれ、ホタルとなったものである。ホタルという言葉は、つまり”火垂る”であり、虫名としてはホタル(蛍)となったが、日常語としては”提燈”のことをいったものである。今日でも仙台あるいはその周辺で、提燈のことを”火垂る袋”あるいは”火袋”とよんでいる。ホタルブクロの花の形が提燈に似ているので、”火垂る袋”とよんだのだと思う(中村浩 植物名の由来 東書選書)が紹介されている。すなわち、@子供がホタルを入れて遊ぶ花、Aホタルとは提灯の意味である、という2説である。@は夢があって楽しいし、Aは『チョウチンバナ・トウロウバナ・アンドンバナ』の異名を裏付けている。
茨城弁を基本にすると『かっこんばな』も無視できなくなる。古代からの日本語の成立を考えれば、唯一の語源に定義するのは危険である事例の一つに思える。
かっこ:奈良。
かっ:ホタル:愛知。
がんこばな:青森。
かんぼんばな:レンゲソウ:群馬。
かづら 釜、鍬等の農具で刃先を木の柄に固定する鉄の輪 『鍬つる』の意味か、あるいは昔は『鬘(かずら・かづら)』(蔓草)を巻いた名残か。『金蔓』の可能性もある。
『民俗』では、『万能につける竹を編んだ泥除け』(新治郡の方言)となっている。
【助】〜分で :宮城。
ひゃぐいんでどーだっ:百円分でどうだい。
かで @風、A風邪 @・かで:静岡。
A・かで:神奈川。
かで ご飯に炊き込むもの 『糅』。
かて:神奈川。
かでもの:おかず:青森。
かで
かでー
△かてー
【形】硬い、堅い、堅実、けち かで:宮城。
かてー:福島。
かでー 【形動】@無理な様、A課題 @『過大・過度』の意味か。
かてー:栃木。
かでぁっ
かてえーっ
かでっ
かでっ
かでーっ
かてーっ
【形動】片一方 半濁音は濁音で発音されることがある。『集覧:猿』。
かでっ:福島。
かてっ:山梨。
かてっ:群馬。
かでごはん
かでめし
△かてめし
米に他のものをまぜてたいた飯、五目飯、混ぜご飯 『糅飯』。動詞形のは意味。『糅』は広辞苑に『米を炊くのに他のものを混ぜ加えること。また、その加えるもの。混ぜ加えて炊いたもの。』とある。
かちきめし:神奈川。
かてなし:仲間はずれ:神奈川。
かてむん:副食物:鹿児島・沖縄。
かてめし:埼玉・神奈川。
かてもの:副食物・おかず:岩手・静岡。
かてもん:副食物・おかず:岩手・宮崎・熊本・鹿児島・沖縄。
(かでしー) 【形】ずるい 静岡。
でら 【助】〜のついでに、〜かたがた 濁音化。
つら:静岡。
(かてる) 【動】混ぜる、混ぜ合わせる 古語『糅てる』(混ぜる・混ぜ合わせる)。
かたる:山梨。
かって:糅てて(連用形):山梨。
かでる:加える・仲間に入れる:青森・秋田。
かてる:加える・混ぜる:青森・神奈川・山梨・静岡・大分・熊本。
かてる:加える・仲間に入れる:群馬・神奈川・山梨・静岡・愛知。
かてる:子供を機嫌よく遊ばせる・子供の相手になって遊ぶ:静岡。
でら 【接助】〜のついでに、〜を兼ねて 濁音化。てら』
つら:静岡。
いぎでらよってがら:出かけるついでに寄っていくから。
がでんねー
がでんでぎねー
【複】納得できない、合点できない がってあなえ:山形。
▽かど
かと
家(屋敷)の出入り口、門、門口 『門』。都会ではイメージしにくい言葉。八丈方言共通語。
かど:母屋の入り口:神奈川。
かど:東南:静岡。
いーのかど:(自分の)屋敷の出入り口。
めーのいのかど:前の家の屋敷の出入り口。
かと 家(屋敷)の出入り口、門、門口 清音化。
かど
かどいわし
ニシン 県北部の方言。『かど』とは、広辞苑には『(東北地方で) ニシンの称。』とある。
かど:秋田。
かんど:秋田。
がとー 【形動】手荒い様、乱暴な様 『集覧:猿』。『合食禁』とほぼ同じ意味。『がんど』に近い。
がと:たいした・それほど:山梨。がとのこたあない:たいしたことではない。
がと:欲:静岡。
がとー:茨城・群馬・新潟。
がとー:甚だしい・大きい:長野。
がとー:甚だしい様・十分:山梨。
がとー:大して・それ程:山梨。
がとー:沢山:静岡。
がとー:大丈夫・頑丈な様:神奈川。
がとーき:頑丈な様:神奈川。
がとーに:大変に・甚だしく:静岡。
がーど
がーと
【副】ぐいぐい、どんどん、ずっと もともとは『がい』だと思われる。
がと:良く:静岡。
がーと:非常に・大変:埼玉・神奈川・愛知。
がーともない:意外に・思いのほか:愛知。
(かどい) 【形】賢い 静岡。
がとーねこ 野良猫、泥棒猫 『強盗猫』の意味か。
かどおぐり @家から送り出すこと、A転じて盆の送り火、B葬式の時出棺を見送ること 『門送り』の意味。広辞苑には『@門口まで見送ること。A葬送の時、喪家に行かず、自分の家の門に立って見送ること。』とある。昔は、は客を見送る際は門まで送る習慣があった。
@・かどぐり:山形。
かど 門の出入口。家の出入口。 『門口』。濁音化。
かど:群馬。
どご
とこ
【助】@〜分、〜ぐらい、A〜のところ この場合の『が』は『の』の意味。清音形はやや古い標準語。『〜ところ』
@・〜がち:長崎。
〜がつ:大分・壱岐・宮崎・熊本。
〜がっ:長崎・鹿児島。
〜がつばっかり:長崎。
〜がて:福岡。
〜がと:佐賀・壱岐・種子島。
〜がところ:島根。
〜がとばっかい:熊本。
せーんどごもらーべ:千円分もらおう。
A★『土』よきは利口だから姉(ねえ)が處(とこ)に居るんだぞ:よきは利口だからお姉さんのところに居るんだぞ。
かどち 家を間違えること 標準語の『お門違い』の本来の意味の可能性もある。
かどっくぢ 門の出入口。家の出入口。
かどっこ @端、A隅、B入口、C門、門口 『角』。『門』。
かどっこ:角:青森・埼玉・東京武蔵村山。
ほれだらいーのかどっこにあっと:それなら家の門口にあるよ。
かどっつぁぎ 門先 ★『土』:博勞節(ばくらうぶし)門(かど)っ先(つぁき)でやったっ位(くれえ)厩(まや)ん中(なか)で畜生(ちきしやう)身體(からだ)ゆさぶって大騷(おほさわ)ぎだな。
かどっ 端、隅 『角』。
かどば 門の周り、道路から屋敷に入る通路 『門』+『場』。
かどばる 【動】角が突き出ている、堅苦しくなる、四角張る 『角張る』。
かどま 肩車 『肩馬』。
かどまづ 門松 広辞苑には『新年に、歳神を迎える依代(ヨリシロ)として家々の門口に立てて飾る松。松飾り。飾り松。立て松。季・新年。堀河百首冬「―をいとなみたつるその程に春明けがたに夜やなりぬらん」』とある。
当時の土浦市上大津地域では門に松の枝をからめたり、盛り土に刺したりする程度の質素なものだった。その習慣も間もなくなくなってしまう。
かどみぢ 大きな屋敷をかまえた家の門から家までの敷地内通路。 『門道』の意味。方言とは言い切れない言葉。都会にはない屋敷の構造による。=『かいど』
かどむがい 来る人を門に立って迎えること。 『門迎え』。昔は、客を迎える時は門に立って客を迎える習慣があった。
かどゆわし イワシ。ニシン。 県北部の方言。
(かどり) 土を取ってモッコに入れる役 静岡。
かどわかれ 葬式の時出棺を見送ること 古河市。
かどわすれ:葬式のとき道の辻にたてる蝋燭:神奈川。
かどわれる
▲▼かとわれる
【動】盗み取られる、かどわかされる 『集覧:猿』。現代語の『かどわかす』は、かつて『勾引す(かどわす)』と言った。さらに、古い標準語に『勾引ふ(かどう)』(@あざむきさそう、誘惑する、Aかどわかす、誘拐する)があり、受身形と考えられる。
かどわれる:宮城・茨城。
◎かとんぼ ガガンボの異名 標準語。ユスリカを指して言う場合がある。
かどんぼ:蚊:埼玉・新潟。
かな @動物の雄、A鮭のオス かな:魚の雄:栃木。
かな:鮭の雄:新潟。
かな:鉋:鹿児島。
物、者 :福島。
その:そのもの、それ。
【助】@〜の、▲〜のもの、A(ある単位)に値する数値、〜の分、〜ほど、B〜の(〜)、体言の省略形 『が』は鼻濁音・濁音。茨城弁の中で最も用法の難しい言葉の一つ。さらに転じて『〜ん』とも言う。単純に『のの倒語とも言えるがそれほど単純ではなさそう。
茨城方言集覧では、旧新治郡の方言で『所有』の意味のみ紹介している。
現代語には無い表現。以下概ね解明できている。当時の茨城弁は、古語がほぼ忠実に残っていたことになる。
@『が』は古い標準語と同じ所属・所有を表す格助詞。『な』は上代からある格助詞で『の』の意味。さらに転じて『〜にあるもの』の意味もある。
:福島。
しゅりてんなし:琉球国王。沖縄では『首里天加那志』と言う。主利天とは琉球国王でありその『志』はさらに王を言う。この場合の『加那』は現代格助詞の『が』にあたり『がな』とは古代語であろう。
〜のな:〜のもの:静岡。だれのなだ:誰のものだ:静岡。
おれぐづどごいいったっ:俺の靴はどこにあるんだろう。
こりゃだれんつだ、おんこつぇーでっと:これは誰のパンツだ?、ウンチが付いてるよ。
いーや、さっきのな地震いががったな:いやあ、さっきの地震は大きかったなあ。
おれのくづしたねー。けさのなどごいやった:俺の靴下が無い。今朝履いた靴下はどこに遣った。
★『土』俺(お)ら家(ぢ)にやねえ、爺(ぢい)な有つたつけな:うちには無いがおじいちゃんのがあったっけ。
そごなくれ:そこにある物頂戴。
あすこなはいげー:あそこにある物は大きい。
おめないづもびんぼうぶるやってんだがらしゃあねえなーはー:お前はいつも貧乏揺すりするんだから困ったなあもう。
おめなくそのやぐにもたざねー:お前ときたら全く役に立たない。
みんななでおれをいじってはーおらやだ:みんなで俺を苛めて、もう俺は嫌だ。
A『〜なとこ』(〜分、〜ぐらい)は古い標準語。
:山形・宮城・福島・奈良・和歌山・大分。
:大阪。
じーいんなかぢ:十円分の価値。
じっかんめなあんな:十貫目分はあるな。ごしゃぐがなある:五尺の長さはある。
こんではひゃぐいんなしかねー:これでは100円分しか無い。
ひゃぐいんなかってこおや:百円分買ってこいよ。
あるなもってこおや:ある分だけ持って来いよ。
B★だれのためっつんだら、ほれはおめなだど:誰のためと言うなら、それはお前のためだぞ。
★『土』:さうだこと云(や)あねえで、そら來(き)たっとかう手(てえ)つんだすもんだ、倦怠(まだるっこ)くって仕(し)ゃうねえ此等(こっら):そんな事言わないでそら来たぞとこう手を出すものだ。まだるっこくてしょうがない、こいつ等では。
【助】@〜ってやつには、〜は、〜では、〜には、〜にとっては、A〜のためには 『〜には』がさらに訛ったものと考えられる。
@★おめなむりだ:お前には無理だ。
★『土』彼等(あっら)な此(こ)んなに出來つこねえんですから:あいつにはこんなに出来っこないですから。
〜がな
【副助】〜か 古い標準語の『がな』そのもので『疑問の係助詞「か」に詠嘆の終助詞「な」が付いてできたもの。中世から近世へかけての語〕文中の種々の語に付いて、漠然とさし示すのに用いる。』(大辞林)。
現代語の『か』に当たる。
広辞苑には『がな:【副助詞】疑問詞と共に用いて、不定のままでおく意を表す。…か。今昔一六「何を―形見に嫗に取らせむ」。狂、宗論「何と―してあの坊を浮かしたいと存じまする」』とある。
:〜だろう・〜じゃあないか:群馬。
:〜だろう・〜じゃあないか:群馬。
だれにきーだなあいざーぜんぶしってんだ:誰に聞いたのかあいつは全部知ってるんだ。
なになあんだっがな:何かあるんだろうか。
なになはあっと:何かはあるよ。
なになもってきたが:何か持って来たかい。
なんとなしてやりでーどおもーんだけんとなよー:何とかしてやりたいと思うんだけどさあ。
だれだなきたわ:誰かが来たよ。
なんとなでぎねーべ:何とかできないだろうか。
なんだなおがしーんだよ:なんだかおかしいんだよ。
【助】〜よ 終助詞。
感動や強く念を押す気持を表す終助詞『が』に詠嘆の終助詞『な』がついたもの。
現代では関西でよく使われる。関東ではな』は使わなくなり、一部で『〜が使われる。『〜は『がなや・がなよ』が原型と考えられ、『がない・がなえ』を経て生まれたと考えられる。
:福島・群馬。
:群馬・岐阜・愛知・高知。
:岐阜。
〜だん:〜だよ:石川他。
〜でん:〜だよ:関西。
〜や:〜だよ:関西。
おめなはやぐやれ:お前早くやってよ。
そごにあっぺが:そこにあるだろうよ。
だれもやりでーなよー:皆が遣りたいんだよ。
★『土』:一貫目(いつくわんめ)もねえな。

なあ
【終助】〜けどね 終助詞。標準語。
あまり期待できない事柄を実現させたい気持ちを詠嘆的に言い表す。
やった方がいいんだっぺが:やった方が良いんだろうけどね。
〜がな
【助】〜かな 『が』は古くは鼻濁音で濁音に変わって行く。『〜なや』『〜なよ』等の語法がある。動詞を伴う場合は、標準語の場合は例えば『行く』をベースにすると『行くのかな』『行こうかな』等の用法が一般的。このうち、暫定意志を示す『行こうかな』に該当する茨城弁は『いがな』という言い方になる。ただし『いんかな』という言い方もある。『私がやろうか』は、『おれやっかな』と言う。
現代の標準語に比較すると不思議な言い方だが、文法的には間違いはなく、古い言い方が残っているのではないかと思われる。
〜がに:秋田。
★土浦の民話:河童に食われた狸:河童っち魚(さがな)は、どごにいんのがな
(〜かーな) 【助】〜のに、〜ものを、〜から 静岡。
おもいかーな:重いのに。
おもたいかーな:重たい。
〜がない
〜かない
〜がね
〜がねー
〜かね
〜かねー
【助】〜くない、〜くはない 形容詞につけてその状態でないことを示す、単に訛っていることも考えられるが、標準語と同じ言い方もあるので『〜くはない』の連母音変形と考えられる。
かないじー
かないじゅー
@家の中。屋敷の中。A家の全員。 『家内中』の意味。
かなえ:家族:静岡。
かないど 木綿糸 古い言葉に『縢』(かな)がある。糸のことである。古い時代の糸の主流は木綿だったであろうから、その他の糸と識別するためにそう言ったと推測されるが、『かないと』は辞書には無い。類似のアイヌ語『カー』は、糸のことで総称を言う。
別に中国から伝来した糸を『唐糸』と言う。絹糸のことで、山形では『からえど』と言う。
かな:北海道・青森・岩手・山形・福島・富山・石川・岐阜。アイヌ語でも『カナ』と言う。日本語起源とされる。
かないと:青森・岩手・福島・石川。
かないと:針金:山梨。
かんな:山形。アイヌ語でも『カンナ』と言う。日本語起源とされる。
かんないと:宮城。
(かなえ) 【副】かなり 静岡。
なかぢ
なかぢぶん
【助】〜分の価値 このぼぢはじーまーいんなかぢはあっ:この壺は10万円分の価値はあるだろうな。
かなかな
かなかなぜみ
かなかなめ
ヒグラシ 私の耳には正直『かかかか・きききき・けけけけ』にしか聞こえない。
かなかな:山形・東京。
かな 【副】かろうじて、やっと 『辛辛(からがら)』。
かな:山形・栃木・東京三鷹。
かなかな:静岡。
(かなら) 【副】大方、大体 神奈川。
かな:ほぼ・凡そのところ:山梨。
かーな 水死者 『川流れ(かはながれ)』。
かな:秋田。
かーな:福島・埼玉・神奈川・長野・静岡。
かーな:人を罵って言う言葉・「ばかやろう」の意:静岡。
なま:神奈川。
かな
かなぼら
かなぎぽ
@木の細い枝、A痩せた人 『民俗』では、『かなろ・かなぼら・かなぎぽろ』があり、いずれも『木の細い枝』の意味である。
硬い木のことを古くは『鉗・鉄木・金木』(かなき・かなぎ)と言った。元は『金なる木』だったろう。
ろ』とは万葉集にもある言葉の『ほろ』(ばらばらなさま。ちりぢり。)が訛ったもので破片の意味。
『俗語』にも、かなは春日部付近で使われていたとある。
@・かな:薪用の木:埼玉・長野・静岡・三重。
かなやま:雑木林:静岡・和歌山。
かんな::群馬。
Aは@に例えたものだろう。しかしカマキリやトカゲに例えた可能性もある。
きりりすのさんばん:千葉。
かなくそ 胎便。かにばば。かに。 『蟹屎』(かにくそ)。
かなばば:栃木・神奈川。
くろばば:神奈川。

なくぢ
【助】@〜の分、A〜の口 おめなくぢのばんめしはとっといであっと:お前の分の晩御飯はとっといてあるよ。
かな 蹄鉄 『鉄沓』。古い標準語の濁音化。
かなけ
かなっけ
水に含まれる鉄分 やや古い標準語の『金気、鉄気』。
(がなけ) 【副】大層に 静岡。
かな 金具 この言葉には助詞の『を』が隠れている。『かなぐを』が逆行同化により『かなご』に変化し、それが名詞に取り込まれたと考えられる。
かな:静岡。
かな 買った肥料 『金肥(きんぴ・かなごえ)』。
かな
かな
歯の部分が鉄製の稲扱、千把扱き 『金扱(かなこき)』。千把扱きは金扱の一種。
かなこ・かな:神奈川。
かな 金具師
かなーり
かなっこーり
非常に冷たいこと、氷のように冷たい様 『金氷』(かなこおり)。
かなこーり:山形・東京。
かなっこーり:群馬・神奈川・山梨。神奈川では『凍りついた金属』を言う地域がある。
かんこーり:氷:静岡。
(かなさん) 【形】愛しい 沖縄。
(かなし) 愛人 鹿児島。『愛しい人』の略か。
かなしー 【形】苦しい、つらい 北茨城市。
『悲しい・哀しい・愛しい』は広辞苑に『自分の力ではとても及ばないと感じる切なさをいう語。悲哀にも愛憐にも感情の切ないことをいう。@《悲・哀》 泣きたくなるほどつらい。心がいたんでたえられない。いたましい。A《哀・愛》1)身にしみていとしい。かわいくてたまらない。2)興味深くて強く心をひかれる。心にしみておもしろい。3)(主として連用形を副詞的に使って)ア)見事だ。あっぱれだ。イ)残念だ。しゃくだ。ウ)貧苦である。貧しく、同情される。エ)どうしようもなくおそろしい。』とある。
現代標準語では@の意味に特化しているが、『哀しい・愛しい』と当てられているように、
この言葉は古くは現代よりはるかに意味の広い言葉だった。この茨城方言はAウ)に当たる。
かなさーん:可愛らしい:奄美大島。
かなし:いとおしい・可愛らしい:北海道・青森・沖縄宮古島。A1)に当たる。古語そのもの。
かなしー:八丈島・愛知・香川。Aウ)に近い。
かなしー:わずらっている:宮城・島根。
かなしー:可愛らしい:青森。A1)に当たる。Aイ)に近い。
かなし:可愛がる:青森・岩手・秋田。『愛しがる』意味で近世語と思われる。
かなし:ふびんがる・いとしがる:岩手。
かなじむ:可愛がる・恋しがる:宮城。
かなしゃ:可愛らしい:沖縄。『愛しや』。現代語の『かなしい』は、『愛しや』が変化したと見られる。他の形容詞の語尾『い』も『や』だったと考えられ、この方言は、古語・近世語から現代語に至る過渡的な言葉を残していると考えられる。
かなしゃむ:可愛らしい:奄美諸島加計呂麻島
かなしゃん:可愛らしい:沖縄。『愛しやのう』『愛しやにてあらむ』か。
かなじゅむ:恋しがる:山形・新潟・佐渡。
かなし 横着者 高萩市・東茨城郡。
かなし 【動】横着する 県北部・真壁郡・結城郡。この言葉は、『哀しい・愛しい』の意味を受けて変化したと思われる。
◎△かなじむ 【動】惜しむ 古語の『愛しむ(かなしむ)』(いとしいと思う)の流れと考えられる。
かなじむ:群馬・東京三鷹。
かなじむ:同情する:神奈川。
かなすじ 筋金 きんすじ:頑固者:神奈川。
かなっけくせー 【形】鉄分の臭いがする様
かなだらい
かなだれー
金属製のたらい 盥(たらい)は、30年代前半頃は木製だったが、銅製や真鍮製を経て亜鉛メッキ鋼板製になったのでそう呼んだ。標準語だが死語。
かなだれ:鹿児島。
かなだれー:福島・神奈川・山梨。
かなびんだれ:鹿児島。
かなちょろ トカゲ 『かなちょろ』は『カナヘビ』の別称。
かなちょろ:山形・福島・新潟・長野。
かなつんぼ 耳が全く聞えないこと(人) 『鉄聾、金聾』。
がんぼ:山形。
きんか:つんぼ:岩手・山形・新潟。
みみきんか:つんぼ:秋田。
なでは 【助】〜ときたら、〜って おめなではしょーねーやづだ:お前ときたらしょうがない奴だ。
なに 【助】@〜に、A〜のために、〜のもとへ きのーおめなにゆった:昨日お前に言っただろうが。
〜がなにがが
〜がなんがが
【複】〜かなにか
なには 【助】@〜には、A〜のためには
かなね
かなーね
かなーねー
【形】敵わない、困ってしまう かなーなー:山梨。『敵わねえや』が訛ったか。
かなーねー:群馬・東京。江戸言葉。
かなばん 馬療治の世話役 『集覧:無記載』。
かな
かなべ
胎便。かにばば。かに。 『蟹屎』(かにくそ)。
かなばば:神奈川。
◎かなぶんぶん
かねぶんぶん
@カナブン、Aコガネムシ @カなブンは、別名カナブンブンと言う。
A地域によってはコガネムシを指すところもある。
なぶん 【複】〜の分 佐賀では『〜とがしこ』と言う。
いぢまーいんなぶんあっ:一万円分ある?。
これはおれなぶん、それはおめなぶん:これは俺の分、それはお前の分。
△▽かなへび トカゲ 『集覧:多・水』。トカゲにはトカゲ科とカナヘビ科がある。茨城県で見かけるのは、トカゲ科ニホントカゲ、カナヘビ科ニホンカナヘビである。
方言地図によればトカゲを総称して『かなへび』と呼ぶのは関東では茨城と栃木の一部だけである。
かなへび:東北(宮城以外)・茨城・栃木・新潟。
(かなぼーひき) 些細な事をおおげさに触れまわる人、隣近所の噂をして歩く人 東京。
広辞苑には『鉄棒曳き:@鉄棒を突き鳴らして警固、夜番をすること。また、その人。A些細な事をおおげさに触れまわる人。隣近所の噂をして歩く人。』とある。
かなぼーひき:おしゃべり・芸者の先導をする人神奈川。
かなも カナムグラ 藪でよく見かける蔓性の刺のある植物。
なもん 【助】〜のもの
〜がなや
〜がなーや
【助】〜かな やってくんねがなや:やってくれないかなあ。
なや 【助】〜かなあ あまり期待できない事柄を実現させたい気持ちを詠嘆的に言い表す『がな』に詠嘆の助詞『や』の付いたもの。
かなやまとんぼ オニヤンマ
なよ
なーよ
【助】〜がなあ このような表現は標準語ではあまり聞かない。あまり期待できない事柄を実現させたい気持ちを詠嘆的に言い表す『がな』に詠嘆の助詞『よ』の付いたもの。
★『土』:大目(おほめ)に見(み)てくれべえから心配(しんえ)はあんめえなよ。
がーなり 怒鳴ること、喧騒
がなりごむ 【動】怒鳴り込む 『がなりこむ』と発音すれば古語。良く使われた。
がなりたでる
がなりたてる
【動】怒鳴りたてる 『がなりたてる』なら古語。
◆■▲△▽がなる
がーなる
【動】【古】怒鳴る 古い言葉。擬声語の『が』に『鳴る』が付いたとされる。広辞苑には『やかましくいう。どなる。』、goo辞書には『大きな声で騒々しく言う。わめく。どなる。』意味とある。『集覧:猿・新』。
『俗語』によれば、江戸時代でも一部地域(埼玉・葛飾郡)にしか残っていなかった言葉であるがその後復活したようである。2013年大阪の1万人の第九で歌った私の家内から『がなる』を聞かされた。驚きである。
がなく:泣き言を言う:山梨。
がなる:山形・福島・茨城・栃木・埼玉・群馬・東京・八丈島・新潟・富山・石川・長野・山梨・静岡・岐阜・愛知・福岡。関東都市圏でも高齢者は今でも使う。
がーなる:千葉・神奈川・山梨・静岡。
ぎゃなる:山形。
しゃなる:山形。
〜がなんでー 【複】〜か何かかい 『〜かそれともなんだい』の意味。
★『土』:こりゃ芋(いも)か何(なん)でえ:これは芋か何かかい。
がに
がにめ
カニ 『集覧:久』。『がに』は茨城弁の中で第1音が濁音化する珍しい例だが、全国的に分布する方言で辞書掲載語。
蜂を指す『ばぢ』同様、個別の種類を示す場合、『カ』が『ガ』に変化する日本語の原則に引きずられたと見られる。
良く使われる標準語に『がにまた【蟹股】:両脚がO字形に曲っていること。』がある。
『がにめ』は茨城らしい。
がに:青森・秋田・岩手・福島・群馬・長野・山梨・静岡。
(かに) 堪忍 静岡。
かにしょ:堪忍しなさい:静岡。『堪忍せよ』。
【助】@〜の許に、A助詞と一体になって代名詞の一部になる助詞『が』に格助詞『に』がついたもの。〜のものに。〜にとって。〜に。B助詞と一体になって代名詞の一部になる助詞『が』に格助詞『には』がついたものの『は』が省かれたもの。〜のものには。〜にとっては。〜には。 古語の『許(がり)』((カアリ(処在)の約カリの連濁。一説に、リは方向の意) 人を表す名詞や代名詞について、または助詞「の」を介して、その人のいる所へ、の意を表す。万一四「妹―やりて」。源若菜上「小侍従―、例の文やり給ひて」。栄華浦々別「夜ばかりこそ女君の―おはすれ、ただ宮にのみおはす」)の流れか。
古い格助詞『が』に格助詞『に』がついたとも考えられる。
@★おめにやるわ:お前にあげるよ。
おめにやっから:お前のためにやるよ。
A★これはからだにいーな:これは体のためにいーな。
B解説では省略形としたが、日本語の助詞は時代が経つにつれ論理性が増した傾向があり、むしろこれが原型かもしれない。
:〜に・〜のために:長崎。
これはおめにむりだな:これはお前には無理だ。
【助】〜ように 接続助詞。動詞・助動詞の終止形に付く。=『〜やに』
【助】よ 関西方言の『がな』と同じ。石川県でも使われる。実質的に現代語の接続助詞で後を省いた『のに』に近い。
〜かに 【助】〜ので 『集覧:北』。『〜からにて』。
かにこ 『称呼』にも紹介されている方言。皿の代わりに蟹の甲羅を使っていた時代の名残りの可能性もあるだろう。
がになんこ ヤドカリ 北茨城市の方言。『なんこ』はおはじきの古称で、おはじきには細螺・喜佐古・扁螺(きさご、きしゃご)が使われた。その意味でこれは、『蟹キサゴ』の意味と考えられる。あるいは単に『蟹の子』か。
には
にや
にゃ
【助】〜ってやつには、〜は、〜では、〜には、〜にとっては おめにゃいがい:お前には大きい。
これはおめにゃいげーな:これはお前には大きいな。
やづにはまいった:あいつには参った。
おらにはわがんね:俺には解らない。
★『土』:爺(じい)にや佳味(うま)かあんめえ:お爺さんには美味しく無いだろう。
★『大菩薩峠(中里介山)』:おらところへそっと持って来た、どうも、あの女おらには解(げ)せねえ女だ。
★『土』:餘(あんま)りあまくって俺(おら)にや胸が惡(わる)くなるようだな:あまりに甘くて俺には気持ちが悪くなりそうだ。
★『土』:俺(おら)にや此(こ)んぢゃ引(ひ)きじるやうぢやあんめえか。
★『土』:わしにゃ、とっても持(も)ち切(き)れあんせん:私にはとても持ち堪えられません。
★『土』:おとっつあ等(ら)にや分(わか)るもんかよ、そんなこと
★『土』:それからこつちの桶(をけ)の糠(ぬか)えゝんだよ、そつちのにや房州砂(ばうしうずな)交(まじ)つてんだから。
(かにはんでぃーん) 【複】もうろくする 沖縄。
がにめ
かにめ
かりめ
カニ
(がにも) 【副】いかにも 静岡。静岡でもかつてはカ行音の濁音化があった事を示している言葉。
にも 【複】〜にも 古い格助詞『が』に『にも』がついたと考えられる。
おめにもやっから:お前にも遣るから。
★『土』:そんでも、俺(おれ)にも困(こま)んべな。
かね ▲曲尺、直角 大工さんの業界用語。『集覧:多』。
かね 金属 漢語に押されてすたれてしまった標準語。
かねつく:稲穂に赤褐色の結実しない粒ができる:神奈川。
かねでできてる:金属で出来ている。
アイヌ語でも金属や金銭を示す言葉として『カニ・カネ』がある。アイヌ語由来の日本語が多くある一方、日本語由来のアイヌ語も多くあるらしい。以下は、『方言学概論』に記された金属関連のアイヌ語である。アイヌ語では清濁の区別が無いと言う。アイヌでは金属精錬の技術が無かったので、金属製品は日本から輸入するしかなかったので、日本の呼称が伝わったとされる。
ここで、『方言と標準語 日本語方言学概説:昭和50年(1975):大石初太郎編・上村幸雄編:筑摩書房』では、東北地方では『イとエを区別せずエに統合』した地域としているが、アイヌは明らかに東北方言を介して日本語を受け入れたはずだから、『金』が『カニ』になるのは筋が通らない。

・カナ:鉋。鉋の古語は『かな』。
・カニキクグル:鍛冶屋。『金打人』の意味。
・カニツチ:金槌。
・カニボンカサ:兜。『金属の小笠』の意味。
・カマナタ:大鉈。
・コンガネ:黄金。
・シロカニ:銀。
・シロカネワッカ:水銀。『白金水』の意味。
・シャクント:赤銅。
・セッパ:刀の鍔。
・チョ:錠。
・ナタ:鉈。
・ニンカリ:耳輪。『耳金』の意味とされる。
・フレカニ:銅。『赤金』の意味。
・マキリ:小刀。同じ言葉が青森・岩手・秋田・石川・島根に残る。
・ヤイカネ:鉛。
かねー 家内 かねー:八丈島。江戸言葉か。
かねー
かーね
かーねー
【複】食べない 『集覧:那・北・西』。
かなえお:食わないよ:宮城。
かね:青森。
かーねー:食べないと:山梨。
かーねーか:食べないか:山梨。
かーれ:召し上がれ:福井。『食われい』。
かーね
かーねー
【複】買わない かーねーか:買わないか:山梨。
〜がね
〜がねー
〜かね
〜かねえ
【助】(形容詞につけて)〜ない 江戸下町言葉の『〜かあねえ』・『〜くはない』が訛ったもの。清音形なら、やや汚い言い方の俗語。
いががねー:大きくない。
いきたかねえだとー:行きたくないだとー。
かなおや
◎かねおや
かねつけおや
嫁入り後初めてお歯黒をつけてくれた婦人 江戸時代の言葉。
『鉄漿親(かねおや)』『御歯黒親(おはぐろおや)』。
かねおや:神奈川。
かねけ
かねっけ
@水の中に溶けて含まれる鉄分、A金銭に関すること 『金気・鉄気』。
かねこ 貨幣
かねっくい 【形動】金食い、費用がかかる物(人) 『金食い(かねくい)』なら標準語。
かねっくい:群馬。
かねっくいむし 金食い虫、費用がかかる物(人)
かねんて 【形動】くの字に曲がっている様 『矩の手』。
かねんてー:群馬。
【助】@〜の、〜のもの、A(ある単位)に値する数値、〜の分、〜ほど、B〜の(〜)、体言の省略形 @の場合は上方落語にも出てくる古い標準語。転じた『〜ん』も同様。
:八丈島。
ほいづはおめのが:それはお前のかい・そいつはお前のせいかい?。
A・〜がの:岡山。
(可能動詞) 広辞苑に『四段(五段)活用の動詞が下一段活用に転じて、可能の意味を表すようになったもの。「読める」「書ける」の類。命令形を欠く。」とある。
古くは、自発・可能・尊敬・受身の助動詞の「れる・られる」が使われたが、現代語では「れ・られ」が省略されて、便宜的に定義されたものと考えられる。
茨城方言では古形が残り、今では奇異に聞こえるが由緒有る言葉である。
のかぢ
のかぢぶん
【助】〜の価値
のくぢ
のくぢぶん
【助】〜の分
のくぢ 【助】〜の口
かのぼせる
かんのぼせる
【動】思い上がる、調子に乗る 『か・かん』は【助】@相手の注意を促す。A感動や強く念を押す気持を表す接頭語。
(かば) 香、匂い 沖縄。
(〜はー) 【複】〜しょう 静岡。『が』は@相手の注意を促す・A感動や強く念を押す気持を表す助詞と見られ、主に関西で使われる。『はー』は山形・福島・茨城・栃木・埼玉・群馬・八丈島等で使われる感嘆詞と考えられる。
それならやめはー:それなら止めましょう:静岡。正しくは『それなら止めな、もう。』の意味。
【助】〜は、〜分は 『が』は@〜分(古語)、A〜のための意味で使われ、本来それに続く体言の省略形。多くは名前や代名詞につく。
:八丈島。
おめはなーにやってんだ:お前は何やってるんだい。
(がばい) 【副】非常に、すごく 佐賀。
(かばう) 【動】節約する 神奈川。
近世語に『庇う:@他から害を受けないように、いたわり守る。庇護する。A大事にしてしまっておく。』がある。
がばがば 【形動】@お金がどんどん入る様、A大きすぎる様、B水にすっかり濡れた様 @は標準語。
(かばし・かばしか) 【形】香ばしい 鹿児島。
古形は『かうばし』『かぐはし』の音便。『かんばし』とも言う。
かばしら ユスリカの群れ 標準語の『蚊柱』は『夕暮、多くの蚊が群れて軒端などに上下して飛びちがうこと。』の意味。蚊柱がたつと天気が変わると言われる。
夏の蒸し蒸しする日、霞ヶ浦周辺にはあちこちに蚊柱が現れる。柱とはむしろ控えめな表現で、直径2M、高さは10Mを軽く超すようなものもある。これに車で遭遇するとフロントガラスがユスリカで覆われ、ワイパーで拭うとおびただしい数のユスリカがガラスの縁に集まる。
(かばた) 用水路の上に設けた水屋 宮城県苅田郡七ケ宿町横川。『かわばた』とも言う。
『川端』の意味。『川』の古形は『か』である。
蔵王に近い宮城県南西部の山村独特の風俗。用水路の上にに住戸毎に四畳半程度の小屋を設け、水屋として利用しているもの。野菜や穀物の洗い場であり、漬物小屋としても使っている。夏季は漬物の腐敗を防ぐための冷蔵庫役ともなる。仕上げ洗いは近くの山から引いた湧き水を使う。昔は竃もあったので実質的に離れの台所である。
2009年5月15日にNHKの番組で紹介された。横川という字名から群馬だとばかり思って見ていたため、最初は群馬でもカ行・ダ行音の濁音化があるのかと思い違いしてしまった。イントネーションは、茨城よりやや抑揚が大きいものの極めてよく似ている。米搗きの水車を『ばったん』、他人の家を訪問した時に言う挨拶言葉は『いだの・いだのがい』、無くなるは『なぐなる』、その時は『そんどぎ』と言う。茨城方言とほとんど同じである。
かーばだ 川岸、川縁 『川ばた』。
かばた:秋田。
かーばた:千葉。
がばづぐ
がばつく
【動】@だぶつく、無用に多い、A大きすぎる、B水ががぶがぶする
がばっと 【複】【擬】がばと、勢い良く跳ね起きたり伏せる様 標準口語でも使われる。
◎かばね 人物、家柄 『姓(かばね)』(氏(ウジ)。姓氏。)。稲敷郡に残る。
『屍・尸(かばね)』は古代の死骸を表す代表語で遺骨も指した。中世には『からだ・むくろ・しかばね』が現れ、近世には『しにがら・しにからだ』が加わったとされる。
『屍・尸(かばね)』の語源はは諸説あるが『姓(かばね)』と同源とする説もあり、東北で体を『かばね』と言う理由が裏付けられる。
かばね:体:宮城。
かばねやみ:怠け者:岩手・宮城・福島。
かばねひきずり:怠け者・怠けてだらだらと行動する様子:宮城。
からだやみ:怠け者:宮城。
かーらいもぢ
かーりもぢ
かーれもぢ
水難予防の行事 『川びたり』『川びたり朔日(ついたち)』『川びたり餅』。
辞書では『漁家または船を使う業の家で水神をまつる行事。餅をついて親しい人々に配ったりする。』とある。
『川びたり餅』が訛ったとは考えにくく、原型は『川入り餅』だと考えられる。岩手でも『川に落ちる』を『きゃっれする』と言う。
『民俗』には『川へ行き尻を浸すと河童に引かれないという。』とある。
かーばる 【動】強張る、硬くなる、乾いてこびりつく かばる:群馬。
かーばる:乾く:東京多摩。
かーばる:表皮が乾いて硬くなる:山梨。
かーばる:乾き付く:静岡。
かーびっつく:表皮が乾いて硬くなる:山梨。
かわばりつく:乾いて張り付く:山梨。
がーはる 【複】我を張る
がばん 画板ではなくカバンのこと。茨城弁では珍しく第1音が濁音になっている例。神奈川の一部や東北地方でもそう呼ぶところがある。歴史的な経緯がありそうな訛だが、まだ詳細は不明である。あるいは、現代標準語では、『心配勝ち』『日本猿』『友達』『スズメバチ』のように名詞や数詞を修飾する言葉が先に付いた場合、一般にそれに続くカ行音・サ行音・タ行音・ハ行音が濁音化または鼻濁音化するから、その結果生まれた言葉の影響を受けて、単独でも濁音化したのであろうか。茨城では、蜂を『ばぢ・ばち』と言うのが具体的事例である。
『鞄』は広辞苑に『(中国語「夾板(キヤバン)」(櫃ヒツの意)、または「夾まん(キヤマン)」(「文挟み」の意)の転。明治期に、なめし皮の意の「鞄」を用いて表すようになった) 革またはズックなどで作り、中に物を入れる携帯用具。』とある。
がばん:青森・秋田・宮城・神奈川。
かび ・鹿児島。
カビ かぶ:鹿児島。
【形動】ぱさぱさした様
かびげる
ける
【動】カビが生える 古い言葉に『黴ぶ(かぶ)』がある。『かびける』は辞書には無いが俗語として広く使われる。
かぶげる:秋田。
かぶける:青森・岩手・秋田・宮城・山形。
かもじれる:千葉。
かんける:青森。
◆▲かびた
@春先に稲の株が残った田、A稲田の一番耕起、1番うない 『集覧:稲』。『株』の意味。
@・かびた:千葉。
:千葉。
かびたうない
たうない
かびたうねー
たうねー
かびたおごし
かびたおこし
たおごし
たおこし
稲田の一番耕起、1番うない 濁音形や連母音変形を含めるとさらにバリエーションが増える。『株起こし』『株うない』の意味。『かびた・かぴた』は『蕪・蕪菁(かぶら)』に通ずる。
かびたうない:千葉。
いし
えし
ーし
稲田の二番耕起、2番うない 『株返し』の意味。『かぴた』は『蕪・蕪菁(かぶら)』に通ずる。
かーたし
かーたり
たり
かーだり
たりもぢ
かーたりもぢ
たれ
たれもぢ
かびたれもぢ
かーべたりもぢ
かーーり
かーーりもぢ
かーーりもぢのひ
かーわだり
かわひたしもち
水難予防の行事 『川びたり』『川びたり朔日(ついたち)』『川びたり餅』
辞書では『漁家または船を使う業の家で水神をまつる行事。餅をついて親しい人々に配ったりする。』とある。
一部の言葉は『川びたり餅』が訛ったとは考えにくく、原型は『川入り餅』だと考えられる。岩手でも『川に落ちる』を『きゃっれする』と言う。
居浸り餅:「かわびたりもち」に同じ。「濁酒だアの、―だアの、あんでもハア、三日正月で祝ツけヱ」(浮世風呂前)』とも言う。
12月1日の行事。手野では橋に二つ重ねの餅に餡を載せて供えた。沖宿や田村では水神様へ餅をあげ、神立では橋から餅を流し下流で竹でつついて食べたと言われる。手野では昔は境川に行き川に入ったと聞く。
『民俗』には『川へ行き尻を浸すと河童に引かれないという。』とある。
真壁郡の呼称で10月10日の夜を『かーたり』という。
かーびたり:川遊び:山梨。
かびたりもち:群馬。
かーびたりもち:川びたりの日に作る黄な粉でくるんだぼた餅:神奈川。
きゃっりとる:川の中で転ぶ:宮城。
きゃっ:水たまりなどに足をつっこんでしまうこと:宮城。
きゃっ:浅い水たまりにはまる:宮城。
かわったりもち:群馬。
かわびたりだん:川びたりの日に作る団子:神奈川。
かわたりもち:群馬。
かびたまんのー
たまんのー
主として春先に稲の株が残っ稲田を耕う万能、備中鍬 三本刃の鍬。耕運機の導入で殆ど使われなくなる。『株万能』の意味。
かぶきり:神奈川。
たれ 情けない男
かびつぐ
かびつく
【動】こびりつく
かびでる
てる
【動】カビが生えてる 『黴びている』。
かびらがす 【動】カビを生えさせる 『黴びる』の他動詞形。
かびらかす:栃木。
かびる 【動】カビが生える 『黴びる』。
ありゃー、ほどげさまにあだけーぎー、かびっちゃったどやー:あら、仏壇に供えたケーキにカビが生えちゃったぞ。
花瓶 『俚言』によれば江戸時代には『くわひん(かひん)』と言ったとされる。
かぶ 財産
かぶおごし
かぶおこし
稲田の一番耕起、1番うない 『株起こし』。
がぶくー
がぶぐる
【複】靴に水が入る
がぶがぶ
がふがふ
【形動】ぶかぶか 倒語か。
がふがふ:岩手・宮城。
がぶがぶ 【副】@腹が水でひたひたになった様子、A酒等を勢い良く飲む様、B物が水等で溢れる様 @Aは標準語。
はら水でがぶがぶだ:お腹が水で一杯だ。
くづあめでがぶがぶだ:靴が雨でびしょ濡れだ。
かーぶぎやね 杉皮葺き屋根 かわぶき:静岡。
かぶきり 稲田の一番耕起、1番うない 稲敷郡・行方郡。
かぶげる 【動】(漆などに)かぶれる 『かぶれかえる』意味か。
かぶける:かぶれる・腐れる・カビが生える:宮城。
かんぶける:青森。
がぶげる 【動】ずぶ濡れになる かぼだれ:靴などの中に水が入る事:宮城。
ずっくがぶげっちゃった:靴がびしょ濡れになっちゃった。
かぶさ 乱れた髪 『集覧:新』。中世以前の言葉の『禿(かぶろ)』(子供の髪型でおかっぱのようなもの)の流れと思われる。
さる 【動】かぶさる
せる 【動】被せる 茨城弁らしい半濁音化の事例。
かっ:千葉。
《東京人はカセルのことだと思うだろう。》
かーぶし
かわぶし
水田の用水路(みいこ)の土管等に小魚が集まっているので、上下を泥でせき止め、水をかき出しながら小魚をとる漁法 『川干し』『掻い掘り』『川狩り』。
昭和30年代は、小魚が有り余るほどいて、時には30cm大の鯉や雷魚などもとれた。ヘリコプターによる空中農薬散布が始まったあたりから魚が少なくなって行く。
祖父の茂は『かーぶし』の名人と言われ、私は幼い頃から小魚捕りの教育を受けた。
何故かこの言葉は『民俗』にも『土浦の方言』にも無い。県西部では『かいり』、古河市では『かいぼし』と言う。『かいり』は『掻い狩り』、『かいぼし』は『掻い干し』の意味だろう。
かー:福島。『川狩り』。
かわぼせり:静岡。
(かふーしどー) 【感】(あなたによくしてもらって)どうもありがとう 沖縄。
かーぶしん 川普請 かーぶしん:神奈川。
かぶそぐ
かぶそく
そく
過不足 『かふそく』が正。『かぶそぐ・かそく』は典型的茨城方言。『かぶそく』はワープロ変換されてしまう誤読語。
■▼かぶた
かぶった
@春先に稲の株が残った田、A稲田の一番耕起、1番うない @『株田』の意味か。
かぶた:千葉。
かぶった:千葉。
Bその他。
かぶった:稲株:神奈川。
かぶったまき:株蒔き:神奈川。
かぶたうない
かぶったうない
かぶたおごし
かぶたおこし
稲田の一番耕起、1番うない 『株うない』『株起こし』の意味。『かぶた』は『蕪・蕪菁(かぶら)』に通ずる。ただし、『株田』の意味も捨てられない。
(かぶだり) 靴に水が入ること 宮城。
◆▲かぶち
かぶづ
かぶっち
かぶっちょ
草や木の株 『集覧:稲』。
県内では『かぶづ』という地域が多い。『かぶた』は『蕪・蕪菁(かぶら)』に通ずる。上方語である。『た・ち・つ』は物を表す接尾語と考えられる。
かぶた:秋田・岐阜・三重・奈良・和歌山・大阪・兵庫。
かぶたっこ:草むら:神奈川。
かぶて:切り株:福井。
かぶち:神奈川。
かぶづ:山形。
かぶつ:山形・新潟・群馬・埼玉・千葉・東京多摩・神奈川・山梨・長野・岐阜・愛知。
かぶつ:草むら:神奈川。
かぶった:神奈川。
かぶった:稲の株:神奈川。
かぶっち:神奈川。
かぶら:草むら:神奈川。
かぶちゃ 南瓜(カボチャ) 全国に散在する方言。当時の南瓜は『日本南瓜』という品種で、現在の南瓜の大半は西洋南瓜だそうである。南瓜の美味しさは収穫後の保存期間が決め手になるそうだが、熟した繊維質の南瓜が一番美味しかった。
かぶちゃ:鹿児島。
かぶづぐ
かぶつぐ
かぶつく
【動】@かぶりつく、噛み付く、食いつく、噛み付く、Aかぶりつく 『む』と『ぶ』は音通し、『噛む』の古称は『齧る(かぶる):他四』と言った。
@・かぶづぐ:宮城・山形・福島。
かぶづく:福島。
かぶつく:山形・宮城・新潟。
がぶづぐ
がぶつく
【動】@だぶつく、無用に多い、大きすぎる、A(靴などが)水で一杯になる @・かぶづぐ:山形。
A『がぶつく』。今では使われない標準語。
▲▼かぶっちろ 乱れた髪 『集覧:北』。中世以前の言葉の『禿(かぶろ)』(子供の髪型でおかっぱのようなもの)の流れと思われる。株と同源。
かぶと カブトムシ
かぶら 草や木の株、特に一つの株から草木が群生しているもの 『俚言』には『かぶら:「東雅」今俗には蕪菁の根のみかふらといひぬれと古にはしかはあらず。蕪菁の根をも×の根をも又海藻根のごときをもかぶらとはいひけり。(中略)脚腓をこむらといふも、かふらといふが如し。かぶらといひこむらといふは転語なり。愚按、かぶら一にかぶといふ。 は助辞也。(中略)「色道大鑑名目」蕪、初心なるものをさして云也。瓦智に比していへり。物を食するに味なき物を蕪を喰う様等云詞にて知るべし。』とある。実に鋭い見方である。『こむら:腓を訓り。「東雅」和名抄に釈名を引て、箭(や)の足を鏑(かぶら)といふと見えたり。腓をこむらという、かふらといふがごとし。かふらといひこむらといふは転語也。愚按。こむらかぶらも助語也。箭の足をかぶらといふは、箭の根といふがごとし。木の根を木の株ともいふ。』とある。
また、一般に『蕪』は関西で『かぶら』と言う。『かぶら』の方が古く、関東で末尾が無くなった。八丈島でも『かぶら』と言う。『なすび』が関東で『なす』になるのと似ている。
(かーぶらかす) 【動】揺する 神奈川。
かぶらむし テントウムシ、ワラジムシ、オカダンゴムシ かぶれむし:ワラジムシ:宮城。
(かぶり) 漁師が被る頭巾 神奈川。
がぶりづぐ
がぶりつぐ
かぶりつぐ
【動】@食いつく、噛み付く、Aかぶりつく 『かぶりつく』。
@・かぶりづく:山形。
がぶりつく:静岡。
かぶる 【動】(布団を)掛ける 布団を被ることはありえないことでは無いが、掛ける意味と被る意味は異なる。
かぶる:栃木。
かぶる:傘をさす:北海道。蓑笠をかぶっていた時代の言葉が残ったと見られる。
(かぶる) 【動】齧る 静岡。標準語。
(かーぶる) 【動】傾く 静岡。広辞苑に『がぶる:舟などが揺れる。揺り動かす。』とある。
▲▼かぶれる 【動】カビが生える 『集覧:久』。『かびげる』がさらに訛ったと思われる。県下でも比較的広域で使われる。
かぶれ:カビ:岩手・宮城・新潟。
かぶれる:岩手・宮城・福島・茨城。
かぶる:青森。
かぶろ 乱れた髪 『集覧:稲』。中世以前の言葉の『禿(かぶろ)』(子供の髪型でおかっぱのようなもの)の流れと思われる。禿の意味もある。
ぶん
【助】〜の分 『が』は古い標準語の所属を表す助詞。
がぶんがぶん 【副】@水等を勢い良く飲む様、A服等が大きすぎる様 @『がぶがぶ』。
A『だぶだぶ』『ぶかぶか』。
【助】@〜に、〜のもとへ、A〜側に
〜がへ
〜かへ
【助】@〜(したら)いいでしょう、A(助動詞の無いにつけて)〜(し)ないでしょう、B(形容詞につけて)〜だろう @★いったらがへな:行ったら良いだろう。A★どごにもながへ:どこにも無いだろう。B★うまがへ:美味いだろう。
かーべ
◆▲△▽かー
『集覧:新・稲・那』。茨城方言集覧では『木の皮』の意味に限定されている。『皮辺』の意味か。
かーべ:福島・茨城・栃木。
かわべ:皮膚:東京都大島。
かーべ
◆▲かーべー
かーべよ
【複】@▲買おう、A△◎買い物をする時の掛け声 『集覧:新・稲』。
@・かうべー:青森。
かーべー:群馬
A・かーべー:千葉。
かべかす
かべっかす
かべくそ
垢、(子供が)鼻を拭いて固まったところ この場合の『かべ』とは、こびり付くに通ずると思われる。当時の壁は、泥が固まったものである。また、土壁に使われる泥土にも通じる。また、『鼻を噛んだ滓・糞』の意味も捨てられない。
◆▼かべた
▲▼かべった
@春先に稲の株が残った田、A稲田の一番耕起、1番うない 『集覧:稲』。『株田』の意味。
@・かべた:千葉・佐渡島。
かーべだ
かー
(果物などの)皮の表面、皮膚
かべたおごし
かべたおこし
かべたうない
かべたうねー
かべったうない
稲田の一番耕起、1番うない 『株起こし』『株うない』の意味。
かべちぢ
かべつち
かべっと
かべど
かべと
かべとぢ
かへとち
かべとちぢ
粘土、へなつち 堅く固まったものを『かべ』と呼ぶ言い方があるので、その流れか?。真壁郡・下館市では『かばちち』と呼ぶ地域がある。『壁土』の意味か。
ただし、粘土は『へな・へなつち』とも言うのでその関係も無視できない。
かべ:崖:富山。
かべつぢ:山形。
かべつち:山形・群馬・新潟・香川。
かべっと:栃木。
かまつち:長野・富山・岐阜・大分・熊本・鹿児島。
べと:泥:北陸・長野・福井・愛知。
べと:土:長野。
かべばだげ 粘土質の畑 土浦市の方言。
かべなり 【形動】いい加減な様、良い具合 『集覧:猿』。『壁塗り』(壁をぬること。また、その職人。左官。泥工。)が転じたと考えられる。大工と異なり寸法を測ることもせずにどんどん泥を塗ったからだと思われる。
かべなり:他人の言いなり:群馬。
かべや 屋号の一つ 昔、左官を『壁屋』と呼んだことに由来する。左官を『壁屋』と呼ぶのは、山形・長野・富山・石川・福井がある。
かーべよ 【複】買おうよ、買うだろうよ
(かーへる) ストーブ オランダ語の『kachel』(ストーブ。暖炉。カッヘル。)に由来する外来語。
かーへる:長崎・維新頃の岩手。
がぼがぼ
がほがほ
【副】【形動】がばがば、緩すぎること がぼがぼ:兵庫県但馬地方。
がほがほ:宮城。
がほら:内部が空洞になっていること:青森・秋田・岩手・宮城。
がほらん:内部が空洞になっていること:宮城。
かーぼし
かーぼり
かわぼし
水田の用水路(みいこ)の土管等に小魚が集まっているので、上下を泥でせき止め、水をかき出しながら小魚をとる漁法 『川干し』『掻い掘り』『川狩り』。
『かーっらい・かんり』という地域がある。
かー:福島。『川狩り』。
かわっ:静岡。
かわぼせり:静岡。
かぼせー
かぼっせー
【形】か細い かぼっせー:群馬。
かぼぢゃ
かぼっちゃ
カボチャ 方言地図では茨城と宮城・岩手に顕著。『カンボジア』が語源なので由緒ある言葉である。
(かぼちゃ) カボチャ 『南瓜』。
広辞苑には『(一六世紀頃カンボジアから伝来したからいう) ウリ科の一年生果菜。蔓性で雌雄異花。夏、黄色の花をつけ、その後結実。原産地はアメリカ大陸。世界各地で栽培される重要な野菜。チリメン・キクザ(菊座)などの日本カボチャ、クリカボチャなどの西洋カボチャ、ソウメンカボチャなどのペポカボチャの三系統がある。ほかに観賞用・飼料用品種もある。種子も食用。唐茄子(トウナス)。』とある。また『ぼうぶら』((abobora ポルトガル の転) 秋田県・北陸・中国・四国・九州地方で、ニホンカボチャの称。「蓮芋・水瓜・ボブラ」)も掲載されている。
『称呼』には江戸時代の代表語を『ぼうふら』としている。『西国にてぼうふら、備前にてさつまゆふ、津国にてなんきん、東上総にてとうはん、大阪にてなんきんうりぼうぶら、江戸にて先年はぼうふらといひ、今はかぼちやと云。』とある。
これらから、最初はポルトガルから日本カボチャが伝わり、カンボジアから、西洋カボチャが伝わったことが考えられる。
かぼぢゃやろー
■▲かぼちゃやろー
男に対する罵倒言葉 『集覧:新』。『南瓜野郎』。
がほっと 【副】がらりと、全く
がぼらん
がほらん
がらんとした様、がらんどう がほらん:宮城。
かま 竃(かまど) 『集覧:久』。『かまど』の『ど』は場所を表す接尾語か。
現代語の『鎌』と『釜』は同源の可能性が出て来る。
一方、『釜』は『火間』ではないかと思うが語源辞典ではそのような説は無い。
おかま:佐渡。
おかまさま:山口。
おかまさん:佐渡。
かま:山形・茨城・八丈島・静岡・愛知・大分・長崎・宮崎・鹿児島・沖縄。
かま:鉄瓶:岩手・宮城。
かまんど:静岡。
かまんぼ:静岡。
かまんぼー:静岡。
かまんぼら:竈際:静岡。
かま 用水池 『集覧:猿』。『竈・釜・窯・缶(かま)』(渓流の小さな淵)の流れと思われる。噴火口を『お釜』と言うのとおなじ。
かま 淵の深いところ、池の中心で水の沸いているところ 『集覧:久』。『竈・釜・窯・缶(かま)』(渓流の小さな淵)の流れと思われる。
かま:穴:静岡。
かま @地名のひとつ。製塩用の竈が多数あるところ、A柱上変圧器 『民俗』には興味深い解説がある。辞書に無い意味として、@地名のひとつ。製塩用の竈が多数あるところ、A柱上変圧器 とある。Aの意味は投稿により、千葉の冨里町でも使われていることが解っている。
一方、『竈・釜・窯・缶』は、広辞苑には、『B《竈》 「かまど」に同じ。顕宗紀「―傍(ワキ)に居(ス)ゑて」、C《釜》 飯を炊いたり湯を沸かしたりする金属製の器。鍋よりも深く造り、胴に鍔(ツバ)をつける。はがま。まろがなえ。宇治拾遺一八「五石なはの―を五、六舁(カ)きもてきて」、D茶道で湯を沸かすのに用いる器。E蝸牛(カタツムリ)の殻。狂、蝸牛「―打割らう」、F味方。仲間。傾城買四十八手「こつちの―にすると、又よき事あり」E渓流の小さな淵。G滝壺。Hおかま(御釜)、I《窯》 物を高温度に熱し、または溶かすのに用いる装置。多くは煉瓦で築造。「陶器の―」、J《缶》ボイラーに同じ。』とある。この中で、EFは死語である。Jは今でも『風呂釜』として使われる。
ここで、電柱にある変圧器を何故『かま』と呼ぶのかが注目される。医学用語は、もとはドイツに発し、欧米の言葉に支配されているが、建築及び建築関連用語には古い言葉が今でも受け継がれている。これは建築技術は、今でも文化的な要素が残っているからと言える。熱エネルギーを起こすものをは、『かま』と言ってもおかしくはない。もしかすると電力会社の専門用語の可能性があるがまだ確認できていない。
かま:鉄瓶:宮城。
がま @ヒキガエル、ガマガエル、Aガマ(植物) @『蝦蟇・蝦蟆』。筑波山の四六のガマが有名だが、江戸時代はカマと言った。別名『ヒキ。イボガエル。』。
A『蒲』。古くはカマ。別名『みすくさ』。筵の材料。熟したガマの穂は、解すととてつもなく嵩が大きくなり風に飛ばしてよく遊んだ。
(かま) 静岡。
かまー
◆■▲かまう
【動】@構う、A▲からかう、▲責める、Bお節介を焼く、世話をやく 広辞苑に『かまう【構う】【自五】@(多く打消の語を伴う) 気にする。かかわる。関与する。Aつかえる。さしつかえる。B(他動詞的にも使われ) 気を使って相手をする。世話をやく。C獣や鳥が交尾する。D強く干渉して、一定の場所での居住などを禁止する。追放する。E相手にしてふざける。からかう。F【他下二】かまえる(下一)』とある。
@・かもー:山形。東日本では珍しいウ音便。
おれのごどはかまねでくれよ:俺のことはほっといてくれよ。
A▲『集覧:久』。▲『集覧:無記載』。
江戸後期の『風来六部集』に『構ふ:強く干渉して、一定の場所での居住などを禁止する。追放する。』がある。
がまー:なぶる:静岡。静岡でもカ行音の濁音がある一例。
かまー:神奈川・静岡。
かまう:長野。
かまーれる:苛められる:山梨。
かめぇーずら:からかうこと:東京多摩。
かめずら・かめーずら:からかうこと:神奈川。
かめずらする・かめーずらする:からかう:神奈川。
かもー:からかう:静岡。東日本では珍しいウ音便。
〜がま
〜がまー
〜がまや
〜がまーや
〜がまよ
〜がまーよ
【助】〜かい、〜ですか、〜だろうか(自己疑問) 『ま』は、標準語の感嘆符である『まあ』に近いが強調の終助詞とも考えられる。自己疑問の意味の場合もある。さらにそれに『やよ』が付く事も多い。
そーやんのがま:そうやるのかい。
なんだがま:なんだろう。
やんだっがま:やるんだろうか。
かまあうどん ゆでたうどんを釜から揚げ、熱湯と共に器に入れ汁をつけて食べる料理。かまあげ。 『釜揚げ饂飩』。何故か方言扱いされている。=『ずるびき』
(がまい) 贋物 静岡。
かまいだぢ
かまえだぢ
@旋風、A鎌鼬 A・かまえだぢ:千葉。
かまいび
かまいびつる
かまえび
かまぶどー
山葡萄 茨城方言集覧では『かまえび』は旧稲敷郡、『かまぶどー』は旧新治郡の方言として紹介されている。
現代に言う『カマエビ』は『エビズル』のこと。
◎かまいり 釜茹で 『釜煎り・釜熬り』。戦国時代の『釜茹での刑』は正しくは『かまいり』と言った。
がまいる
がまいろ
ガマガエル、ヒキガエル 『がま』とも言い江戸時代には『かま』と清音だった。
かまがい
かまーがい
【複】構いやしない、構わない、構うかい かむかい:香川。
かまかけ かりそめ 那珂湊市・稲敷郡の方言。『鎌をかける』は『相手に本音(ホンネ)を吐かせるため、たくみにさそいをかける。』の意味。
かまかっきり
かまっちょー
かま
かまかり
かまりむし
かまりめ
カマキリ 『集覧:新』。
かまがや
かまーがや
かまーがやー
【複】構いやしない、構わない、構うかい 古語の反語の『や』のニュアンスを残した方言。
かま 【動】構う
がま
がまくち
がま口、財布 清音化・濁音化。
◆●▽かまっちょ
かまっちょー
かまきっちょ
かまぎり

かまきりじーさん
かまきりむし
かまっちょ
かまっきり
かまむし
カマキリ 『集覧:新』。
『新方言』には『カマギッチョ 「かまきり」;埼玉県東部で戦前には「かまきり」を老人がトカケと呼んでいたが少年層がカマギッチョに変えた時期があった(1967);老人は「とかげ」をカマギッチョと言っていたから,「とかげ」と「かまきり」の区別を保ちつつ,完全な共通語形を採用しなかったわけ』とある。
『称呼』には『 かまきり(別名いほじり):江戸にてかまぎってう、江戸田舎にてはいとりむし、信濃にてかわみそ、相模にていぼしりいぼくひ、奥州にていぼむし、津軽にていぼさし、肥前にてかまきりてうらい、と云。』とある。
トカゲをカマキリと呼ぶのは、埼玉・千葉・静岡である。
かまっちょ:茨城・千葉・栃木・埼玉・群馬・江戸時代の江戸・静岡・大分・福岡。
かまっちょう:関東地方・静岡・大分・福岡。
◆●▽かまっちょ
かまきっちょ
かまっちょう
かまきり
かまっちょ
トカゲ 『称呼』には『とかけ:畿内にてとかけ、東国にてかなへびかまぎってう、相模にてかまきり、西国にてとか、大和にてとかき、江戸にて:とかとけの字を濁りてよぶ。』とある。江戸時代からカマキリとトカゲの名称は混乱していたことになる。これは、トカゲとカマキリの共通名称としてのかまっちょ・かまっちょうの存在による。
かなっちょ:宮城・山形。
かんなっちょ:宮城。
かまっちょ:群馬。
かまっちょう:栃木・群馬・埼玉・千葉・静岡。
かんなっちょ:宮城。
かまっちょ やせた人をからかう言葉 東茨城郡。硬い木のことを古くは『鉗・鉄木・金木』(かなき・かなぎ)と言ったことから、それに由来し、『かなろ』が訛ったと考えられるが、カマキリに例えた可能性もある。
かまきり
かまきり
金切り声
かまきりめ カマキリ 『新方言』には『カマキリメ 「かまきり」;共通語形に方言の接辞をつけたもの;八丈島(1985)』とある。
かまくっくど
△▽かまくど
かまこど
かまど 『竈』。
『くど(曲突)』は、カマドの後方の煙抜きの穴または煙突の穴を指し、カマドも意味する。他に『かまっくど』がある。『かまつくど』(釜つくど:釜の曲突)が促音化したと見られる。『かまくっくど』『かまつくど』が促音化した名残と思われる。
『かまくど』は遠く離れた奈良でも使われることから相当古くから使われた言葉と考えられる。
近畿・中国地方では古くは『ろくだい(炉火台、広辞苑では(「土公台(ドクダイ)」の訛か) )』と言った。『くど(曲突)』と『どく(土公)』の存在は倒語を思わせる。
もともと『かま』は『釜』と『かまど』の双方を意味するが、本来は『かま』は『釜』だったのではないかと言う仮説が成り立てば、『かまど』とは『釜処』の意味が成立するが、語源辞典でも尤も有力な語言説になっている。茨城方言の『かまくど・かまこど・かまっくど』の『くど』は、その意味で、『かまどの後ろにある煙出しの穴』ではなく部分としての竃の釜を載せる穴を指して、『くど』と言い、それが総称になった可能性もある。
一方、物等を指す接尾語の『こ』が『釜』について、それに場所を表す『処』がついた可能性もあるが、県下にある『かまこ・かまっこ』は『ままごと』を指す。
『竈』は古くは家をも意味し、民家の戸数を聞く場合『幾竈』と言い、家が絶えることを『竈が絶る』と言った。さらに『幾煙』(いくけぶり)のように煙の数を家の数に代えていう言い方もあったという(俗語考)。
東北では『かまどをおこす』(一家を起す)『かまどけす』(家系が絶える・財産を亡くす)が残る。
かまくど:宮城・茨城・栃木・奈良。
がま 意気地なし 『が』は濁音化鼻濁音か不明。
かまぐれる 【動】@あることにとらわれて他のことができなくなる、Aずるをする、仕事をさぼる 『感け(かまけ)呉れる』意味か。
がまーる
がまーろ
ガマ蛙、食用蛙、牛蛙、ヒキガエル 昔は屋敷内に良く泉が湧き出ていて小さな池があり、鯉を飼っているところが多かった。知らず知らずのうちにガマ蛙が住み着き、天気が下り坂になると牛の様に鳴いた。
かまげる
かまける
【動】@あることにとらわれて他のことができなくなる、Aずるをする、仕事をさぼる 『集覧:猿』。
『感ける(かまける)』には、何かに気をとらわれる意味があり、それが転じてA(仕事以外の何かに)気をとらわれてさぼっている事に使われるようになったのであろう。
B・かまける:働く:長野。
かまける:嘆く・愚痴をこぼす:長野。
かま 【動】あわてる 結城郡・猿島郡。『民俗』にある言葉。『集覧』の初版には清音形しか無いので改訂版で追加されたと見られる。
かまごだね
かまーごだねー
かまこったねー
かまこっちゃね
かまーこっちゃねー
【複】構うことはない やや開き直った時にも使う。
かもうこっちゃねー:群馬。
かーまし 増水、洪水 『川増し』の意味。
かーまし:栃木・長野。
(かまじさー) 愛想の無い人 神奈川。
かまーしねー
かまーやしねー
【複】構いやしない、構わない かまわしねー:群馬。
かまじめ
かまじめおろし
幣束(へいそく) 『釜締め』の意味。
かまじめさま 竃の神様
△かます @穀物を入れるのに用いたむしろで作った袋、A刻みタバコを入れる袋 『叺』『蒲簀』。『蒲笥』とも言う。
@・かます:石炭を入れる袋:青森。
かまげ:鹿児島。
A・かます:山形・愛知・福井。
かます 【動】(屁)を食らわす 標準語かどうか判断に困る言葉。
かます 【動】@物の間に差し込む、噛ませる、Aくらわす、食わせる 『噛ます・嚼ます・咬ます』。
(かますおい) 体の弱い人 佐渡島。
かませもの
かませもん
食わせ者、油断のならない者 『食わせ物、食わせ者』、標準語にあって良い言葉だと思うが辞書には無い。
◆■かませる 【動】@(げんこつ等を)食わせる、A隙間を埋める
かまだぎ
かまだき
かまたき
柴木、粗朶、焚き木 『釜焚き』の意味。『集覧:多』。
かまだん 竈(かまど) 『集覧:猿』。
かまだん:茨城・埼玉。
かまち 上ということ。主として川の水等に使う。上流。川上。 『集覧:久・稲』。『上地』の意味。『上』は上代東国では『神』同様『かむ』と言った。
かさ:神奈川。
かっち:秋田・山形・宮城。
かまち:福島・茨城。
かまて:富山。
かっち:山奥:秋田・山形。
かまちょ
かまちょろ
トカゲ 『かなちょろ』が訛ったもの。
かまちこ:千葉。
かまっくど
かまっこど
竈(かまど) 『集覧:猿』。
『くど(曲突)』は、カマドの後方の煙突の穴を指す。転じて『くど』がカマドを指すようになる。この例は、『カマド』の『かま』と『くど』を合わせて使ったものと考えられる。『かまつくど』(釜のくど)の意味。
写真は、横浜市内の旧家のカマドであるが、通常囲炉裏にある『鉤つるし』がカマドにある例で我が家も同じだった。茶釜を外して鉤つるしに鍋をかければ囲炉裏と同じ機能を持つ炊事具として使ったものである。
当時の多くのカマドは、横座に近い方から風呂の水焚き用の大釜、米焚き用の中釜、小釜または茶釜の3〜4連のカマド構成になっていた。味噌や醤油を作る時や豚に食わせる芋などは、大釜を使って煮た。風呂焚きは古くは大釜で湯を沸かし、そのお湯を風呂桶に移して使ったと聞いているが、我が家は、1909年(明治42年)の上大津地区の大火の後に、風呂を改装していわゆる当時の最新の水から風呂を沸かす『水風呂・据え風呂』になっていたので大釜を使う頻度は激減していた。
また、大釜を中釜や小釜の変わりに使うアジャスターとしての金輪が数個用意してあって、用途に応じて釜を使い分けた。
 冠婚葬祭等で釜が足りない時は、有り余る敷地をフル活用して井戸端が臨時の釜場になった。
最近は、自宅が冠婚葬祭の場に使われることは少なくなってきたが、今でも葬式だけは自宅で行なう家が多い。
かまんど:静岡。
かまんぼ:静岡。
かまんぼー:静岡。
かまんぼら:竈際:静岡。
かまっこだねー
かまーっこだねー
かまっこたねー
かまーこったねー
【複】構うことはない、構わない 江戸言葉なら『かまあこたあねえ』。
かまった
かまっちゃ
【複】咬まれた
かまっ 釜の蓋
(かまど) 果物の芯 釜の中身は食えるが『竃』は食えないことからうまれた言葉か。
かまど:宮城。
かまどむし コオロギ、カマドウマ
かまない 田植えが終わったときにかまどに供える苗 『釜苗』の意味。
かまない 【複】かまわない、構わない 抑揚は一直線に発音する。
かまないあ 田植えを終えた祝い 苗をカマドにあげることから来ている。『釜苗上げ』の意味。
かまね
かまねー
かまーねー
【複】構わない、それで良い 『構う』は古くは『構ふ、構ゆ』。江戸言葉なら『かまあねえ』
かまね:宮城・福島。
かまーねー:静岡。
★『土』:俺(お)ら自分(じぶん)でやっから汝(わ)りゃ構(かま)あねえで行(い)けよ
かまねなかまね
かまねにはかまね
かまねのはかまね
かまーのはかまーね
【複】構わない、それで良い 茨城方言の老舗のサイト『茨城王』によると『かまなかまね・ふんなふんね・わぎゃなわぎゃね』等の表現が県西部あるという。肯定形の『いぐにはいぐ・やるにはやるもある。特定の行動や事象にやや疑いがあるもののその通りであるというニュアンスを含む。現代語には適当な言葉が見つからないが『構わないのは構わない。構わないと言えば構わない。』意味。
原型は古語の反語としての系助詞『や』を含んだ表現と思われる。反語の隠れた言葉をそのまま表していると考えられる。この場合は『構わぬにや(あらめ)。』であろう。
あるいは、単に『構わぬは構わぬ。』意味か。
かまなかまね:構わないと言えば構わない
ふんなふんね:(雨が)降る事に関しては降らない(降るには降らない)。『降るなる(事)にては降らぬ。』か。
わぎゃなわぎゃね:大丈夫と言えば大丈夫。
がまのこしかげ サルノコシカケ 『おがまのこしかげ』とも。『がま』は『ガマガエル』のこと
△▽かまば @土間、A台所(釜のあるところ) 『釜場』の意味。その当時の台所は、大半が室内にあったが中には別棟の家もあった。当時は、鎌場の一角に流し(台所)があるのが普通だった。かまどは料理の内容によって3っつや4っつあるのが普通だった。煮込み用、ご飯用、お茶用等。30年代当時は油で煮込む料理は無く、茨城料理の『あぶらみそ』はキッチンセットが出て来てからだったと思う。
建築用語では、地下の湧水を集めて排水する場所を指す。
A・かまば:島根・広島・香川・高知。
かまひばし
かまひばぢ
カマドで使う大型の火箸、火バサミ
かまぶだ
かま
かまふた
釜の蓋
かまぶだあぎ
かまたあぎ
かまふたあげ
かまぶだついたぢ
かまぶたついたち
かまたついたち
8月1日 『釜蓋開き』『釜蓋上げ』『釜蓋1日』の意味。
8月1日(旧暦7月1日)にあの世(地獄)の釜の蓋が開き、お盆に先祖が戻って来る。戦前は、地域により行事があったそうだが、当時すでにすたれていた。
県内の地域では『じぐのかまのふた・じぐのかまのふたあぎ・じぐのかまたあぎ』がある。
かまったもち・かまのくちあけもち:八月一日に作る小麦粉の焼き餅、またその行事:群馬。
かまのくちあけけ:八月一日は地獄の釜の蓋が開いて仏様が出てくる日
かまのくちあけもち:八月一日に作る小麦粉の焼き餅、またその行事:群馬。
かまぶたついたち:栃木。
かまたもち:八月一日に作る小麦粉の焼き餅、またその行事:群馬。
かまふだい 家に仕える男が別家したもの 『竈譜代』(下男と下女とが夫婦となって生んだ子の、代々その主家に仕えるもの。)。
かまぼご 蒲鉾 かなぼこ:鹿児島。
かまぶく:静岡。
かもぼこ:静岡。
かまむし カマキリ
かまめ
かまめー
かまーめー
かまんめ
かまんめ
【複】構わないでしょう、良いでしょう 少し語尾を上げるので相手に確認するニュアンスがある。『構うまい』、『かまんめ』は鼻に抜ける発音のためそう聞こえることがある。
かまんめはー:良いだろ、もう。
かまめかまね:構わないでしょう−構わない。
★『土』:房州砂(ばうしうずな)でも何(なん)でも構(かま)あめえ。
かまめし ご飯を釜から直接茶碗に盛ること 標準語の『釜飯』は『魚介類・鶏肉・野菜などを米と共に小釜に入れ、醤油・酒などで味付けして炊き込んだ料理。釜のまま供する。』の意味。
かまや 台所 『釜屋』、標準語では独立した建物の台所を指す。
かまや:山梨・兵庫・四国・大分・長崎・熊本。
かまや:かまど:埼玉・香川・長崎。
かまや:土間:長崎。
かまやしねー
かまーやしねー
【複】構いやしない、構わない ★『土』どうで俺(お)ら餘計者(よけいもの)だ、居やしねえからええや、幾ら持ってたって構やしねえ:どうせ、俺は余計者だ。。居ないから良いや。いくらくら持ってったって構いやしない。
かまらいる
かまーらいる
かまられる
かまーられる
かまれる
かまーれる
【動】虐められる 『構われる』の転。
かまる 【動】臭いがする 30年代の言葉。
臭いを嗅ぐは『によいかむ』と言う。『醸す(かもす)』の古形は『醸む(かむ)』で、『かまる』は『醸む(かむ)』の擬似自動詞形と見られる。
あるいは『香り』は古くは『かほり』であるから『香放り』で、この場合は『香放る(かまる)』意味か。
かまってかまって:臭い様:八丈島。『臭くて臭くて』の意味だろう。
かまり:臭い:青森・秋田。
かまりこ:臭い:青森。
かまる:臭いを嗅ぐ:青森・岩手・八丈島。
かまる 【動】構う、お節介を焼く かまる:青森。触る意味もある。
かまる 【複】咬まれる、噛める 可能・受身形。『かまらる』の転。
かまっか:噛めるか。
かまった:噛まれた。
かまわしね
かまわしねー
かまーわしねー
【複】構いやしない、構わない
かまわね
かまわねー
【複】構いやしない、構わない 『構わない』。歴史をたどれば、『構わぬえ』の意味。
かまわめ
かまわめー
【複】構うまい これはやや特殊な言葉である。変化の図式は、構うまい→かまうめえ→かまあめえ→かまわめえ である。
がまんなんね
がまんなんねー
【動】我慢が出来ない 『我慢がならない』。
かまんに
かまんに
かまんにぇー
かまんにぇー
かまんねー
【複】@噛めない、A構えない @『噛まれぬ』。
こんでぁかだくてかまんによ:これでは硬くて噛めないよ。
★『土』:俺(お)ら要らねえや、齒悪くなっちゃって噛まんねえから:おれは要らないよ、歯が悪くなっちゃって噛めないから。
A『構はれぬ』。
かみいわい カイコが上族したときの祝い。
かみおぎ
◎かみおき
七五三の儀式の一種 『髪置き』。
辞書には『幼児が頭髪を初めてのばす儀式。すが糸で作った白髪をかぶせ、頂におしろいをつけて祝う。近世、公家は二歳、武家三歳、あるいは男子三歳・女子二歳、庶民は男女三歳の時、多く陰暦一一月一五日に行なった。かみたて。櫛置き。』とある。
『民俗』によると、茨城では、男子三歳(常陸太田市、勝田市、水戸市)または女子三歳の祝い(土浦市)の儀式で、この日から剃っていた髪を伸ばし始める(常陸太田市、勝田市)。
かみおーづ
かみおーつ
上大津 奈良・平安時代の土浦の地名は、荘園時代であったので、北は村田荘で、南は信太荘であった。
この時点で『かみおおつ』の名はまだない。
(「茨城の」上方語) 江戸時代、京都・大坂を中心に使われた言語。上方言葉。 江戸中期の江戸の言葉は、江戸初期の上方語が残っていたと言われるが、現代茨城方言には上方語が残っていると言われる言葉がある。遠藤忠男『茨城のことば』に列挙されている。
遠藤忠男は静岡県出身のNHKアナウンサーであるが、茨城放送の設立に深くかかわったとされている。
『茨城のことば』には、『大胆な推理かもしれないが、常陸国が遠流の地であったことも京言葉を茨城に伝えた一因ではなかろうか。大昔の刑法(大宝律)・養老律では死罪に次ぐ重罪は、遠流で、以下中流・近流があり、京を中心に罪状により遠近が定められた。』とある。
『続日本紀』によれば、『常陸は、伊豆・安房・佐渡・隠岐・土佐』とともに流刑地であったとされる。
あじこい:綺麗。
あったらもの:惜しいもの。
いかい:大きい。
いきれる::蒸し暑い。
いしこい:悪い。
いしなご:お手玉。
いてる:凍る。
いんきょ:分家。
えむ:果実が熟して割れる。
ほえる:泣き喚く。
なんばん:唐辛子。
にわ:台所の土間。
:「べし」に由来する言葉はかつての京言葉でもあった。
まよう:償う。
むさい:汚い。
やっと:沢山・大層。
よき:斧。
がみがみ 【副】憚らない様 『集覧:新』。集覧には『憚る所なきをいふ』とある。
『民俗』では消えてしまっている。類義語に『がんがん』(@小言などをやかましく言うさま。A勢いの盛んなさま。どんどん。)があり、Aの意味で『がみがみ』を使った可能性がある。または、現代語の『がんがん』のルーツである可能性がある。ただし、@の意味だとしたら標準語の『がみがみ』そのものである。『民俗』で消えたのは、『集覧』の改訂版で削除されたものと見られる。
かみきり カミキリムシ
かみげーし
かみーし
何度も良く噛むこと
かみげーす
かみーす
【動】何度も良く噛む
かみ
△▽かみ
@休日、A祭日、B年中行事 『神事』。辞書掲載語。
広辞苑に『@神を祭る行事。祭事。神事(シンジ)。A物忌みの日。部落が共同で農作業を休む日。福島・茨城・栃木県などでいう。』とある。もともとは祭り等で農作業を休む日。
@・かみ:福島・栃木・茨城。
(かみーさん) 髪結い 東京。
かみっ 紙っぺら 『ぽろ』は『ほろ』(ばらばらなさま、ちりぢり)の訛ったもの。
かみすり 剃刀、カミソリ 辞書には『髪そりと同じ』とある。
『髪すり』と『髪そり』は同じ意味で使われたが現代では『髪そり』が一般的であり、『髪そり』が『髪すり』に訛ったとされている。
かみすり:東京・神奈川・山梨・静岡。
かんず:神奈川。
かみすりのき
かみそり
かみそり
かみそりのき
ニシキギ 枝や幹に薄いカミソリのような『翼』があるのでそう呼ぶ。
かみづづみ
かみつづみ
紙で包んだもの 『紙包み』。
かみっ
かみ
紙、紙1枚、紙切れ 辞書に無いのが不思議な言葉。
(かみどこ) 髪結い床屋 東京。
広辞苑に『髪床・髪結床:@江戸時代に、鬢(ビン)・月代(サカヤキ)を剃り、または髪を結うことを業とした家。かみどこ。床。A理髪店。』とある。
かみなさま
◆●かみなっさま
かみなっさん
かみなっしゃま
かみなりさま
かみなりさん
『集覧:久』。雷に『様、さん』を付けるのは
方言というより農家の民族語と言える。恵みの雨をもたらすからである。
かみなりさ:雷が落ちる:千葉。
かみべんじょ 屋内の便所 これは訛とは言いがたい。民族語であろう。室内にある便所を『上の便所』と言い、屋外の便所を『下便所』と言ってもなんら不思議は無い。
うえべんじょ:神奈川。
かみおか:神奈川。
かみおーか:神奈川。
かみーおか:神奈川。
かみごーか:神奈川。
かみべんじょ:神奈川。
かみろーか:神奈川。
かみ 紙っぺら 『ぽろ』は『ほろ』(ばらばらなさま、ちりぢり)の訛ったもの。
かみまーる 【動】嗅ぎ回る
かみわげる 【動】@味の違いを識別する、A豊富な経験によって道理をわきまえる やや古い標準語の『噛み分ける』の濁音化
◆▲●かむ 【動】(臭いを)嗅ぐ 『集覧:猿・行』。東関東方言。
オナラを一発食わせる、すなわち『かませる』を『嗅がせる』意味に解釈してその自動詞形として『かむ』と言う言い方になったのだろうか。
『醸す』(かもす)という言葉がある。原型は『醸む』(かむ)である。『醸す』(かもす)とは『@穀類をこうじにし、水を加えて発酵させ、酒・醤油などをつくる。醸造する。かむ。Aある状態や雰囲気などをつくり出す。次第につくり出す。』意味だが、『臭いを醸す』という言い方がある。その自動詞形として『臭いを醸む』と言う言い方が生まれたと考えられる。ちなみに『醸む』は、広辞苑には『(カモスの古語。実際に米などを噛んで作ったところからいう) 酒などをつくる。応神紀「横臼(ヨクス)に―・める大御酒(オオミキ)」』とある。物を『噛む』ことと『臭いを嗅ぐ』ことは、古代は同じだった可能性がある。『香』は現代語では香りの意味だが、近世語では味噌をも指す。時代に臭いを嗅ぐことを『香む』と言ってもおかしくはない。『噛む』とは現代では『歯で押しつぶす』意味だが、古語には『食む』(はむ)もある。即ち『噛む(はむ)』『醸む(かむ)』『食む(かむ・はむ)』も同源の可能性が高い。つまり噛んで味や臭いを確認する意味である。『か(香)』とは、ほのかなものである。『仄か・側か』(ほのか)とは、今では『その香』なのかも知れない。
かずむ:鹿児島。
かまる:岩手。
かむ:青森・秋田・宮城・福島・茨城・千葉・栃木。
かむ 【動】構う 30年代の言葉。
かむ:山形・宮城。
(かむ・かむん) 【動】食べる 沖縄。『食む』に通じ『噛む』と『食む』は同源の可能性がある。
かめー:食べなさい。
〜がむ
〜かむ
【助】〜かも 『〜かむ』は終助詞としての『〜かも』に当たる辞書掲載の上代東国の方言とある。標準語の『〜かも』同様終助詞を助詞として使ってもおかしくはない。
かーむぎ 皮むき
かーむご
かーむごー
川向こう かわむごー:千葉銚子。
かむごだねー 【複】構うことはない 30年代の言葉。
(かーむし) 甲虫の総称 静岡。
がむしゃら がっつくこと、がつがつすること、むやみに欲しがること 『集覧:稲』。
(がんむし) ガムシ 宮城。
『牙虫』はゲンゴロウと混同され一般にはあまり知られていない。
がんむしかける:下駄の裏が欠ける。『牙虫』には鋭い牙状の突起があり、下駄の歯が欠けることに例えたと考えられる。
1・2がむしゃら
がむしゃり
@▲1・2手荒い人、向こう見ず、我武者羅、A▲食を選ばず食う 1・2『集覧:北』。▲『集覧:稲』。
現代語では『我武者羅』だが、古くは『我武者』で、『がむしゃり』は『我武者』+『り』(副詞を形成する助詞)。
かむる 【動】被る 『冠る』。やや古い標準語。
(かめ) 瓶、水瓶 今や漬物程度にしか使われなくなった生活用品。当時は、つるべ井戸から手押しポンプ、そして自家用電気ポンプに目まぐるしく変わった時代で、つるべ井戸の時代や手押しポンプの時代は流し付近に木の蓋のついた茶色の大きな水瓶が置いてあった。勿論漬物にも使われて、一家に最低四つや五つあった時代だった。
かめんぼ:神奈川。
かめ
かーめ
『土浦の方言』では市の北部では『かんめ』南部では『かーめ』と言う人が多いとされているが、ネットで調べた限りでは『かんめ』が圧倒的に多く『かーめ』は少ない。実際上大津地区ではほとんど聞かれなかった。ちなみに新治村(現かすみがうら市)の方から『かーめ』の投稿があった。『か+め』→『かーめ』『かんめ』
(かめ) 鴨居 鹿児島。
茨城にあってもおかしくない訛。
がめ @がめつい人、A盗み、横取り、B万引き
(がめ) 痘瘡、天然痘 佐渡島。
かめ
かめー
(物や人の)構え、格好 かめ:秋田。
これがらじゃーぼだっちゅのにそったかめーでいーのが:これから葬式だっていうのにそんな格好で良いのかい
かーめ
かーめー
【複】@買わないだろう、A買わない 『買うまい』。
(かめー) 【複】食べろ 沖縄。
(かめずら・かめーずら・かめーずらをする) 【複】からかう 神奈川。
かめぇーずら:東京多摩。
がめつい 【形】利得に抜け目なく押しが強い様 標準語、もともとは大阪方言でTVにより全国的に拡がったが最近はあまり使われない。当時『がめついやつら』というアニメが流行った。
かーめーね 【動】顔が見えない
かめのー
かめのお
尾てい骨 『亀の尾』。古い標準語。
かめの:千葉。
かめのご @亀、A亀の子タワシ、B亀の子半纏、C亀の子笊、D亀の子 『亀の子』。
@・かめのご:山形。
かめのこ:東京・神奈川。
B・かめのこ:神奈川。
かめのござーる 亀の子笊
かめのごだーし
かめのごたーし
タワシ、亀の子ダワシ
かめのぞぎ 便所を見て品定めすること(人)
(かめのぞきてのい) 一体にごく薄く染めた浅黄の手拭(「ちょっと覗かせただけ」の意味) 東京。
ウィキペディアには『瓶覗き(かめのぞき)とは、白に近いごく薄い藍色。英語色名のペールアクア(ごくごく薄い水色)に近い。藍色系統に属するが殆ど色味が無いため、オフホワイト(日本語の染色用語なら「白殺し」)に属すると考える場合も有る。留紺>黒紺>紺(勝色)>藍>花色>浅葱>水浅葱>瓶覗きと藍色系統ではもっとも薄い色で、染色の際も藍瓶に漬けてすぐに引き上げてしまうことから「瓶覗き」と呼ばれる。また、水瓶に映りこんだ青空の色を表現したので瓶覗きと呼ぶという説もあるが、江戸時代、瓶覗きと空色はどちらも同時期使われており、染色指南などを見るに空色のほうが濃い色で派生の色も数多く存在する。』とある。
かめばぢ
かめぼぢ
瓶、壷
かめめ
かめめー
【複】@噛めまい、A嗅げまい
かーめーめ 【複】川は見えないだろう
かめめ がめ:秋田。
かめめ:八丈島。
◎がめる
がめーる
【動】強引に取る、万引きする、ちょろまかす やや古い標準語。『強(がん)める』か。
がめる:盗む:青森・宮城・埼玉・群馬・東京。
がめる:疲れる・弱る:東京・神奈川。
がめる:落胆する:静岡。
がんめる:千葉銚子。
かめーる 【動】身構える、すねる、人見知りする 『構える』。
かめる:人見知りする:福島。
かめる:くたびれる:東京三鷹。
かーめーる 【複】川が見える
かーもぐ 川藻 かー:流木:神奈川。
がーもく:長野。
かーもく:流木・川藻:神奈川。
かわ:流木:神奈川。
かわむく:静岡。
かもちん 雷魚 =『タイワンドジョウ』。
茨城・千葉限定の方言。原産国朝鮮語の『カムルーチ』が訛ったとされる。鹿島郡では『しつこい人』の意味がある。
かもじんかん 当時、土浦駅〜手野坂下〜沖宿〜加茂〜戸崎原〜手野坂下〜土浦駅またはその反対のルートを走ったバスの呼称。 『加茂循環』、ネットで調べたら当時はループ状(方向によって『ういまーり』(上回り)、『したまーり』(下回り)と区別した)だが今は当時の『したまーり』(下回り)だけの往復ルートに変わっている。上大津地区、出島地区限定の方言。同名で高浜発のルートがあるという。今は、これらがネットで簡単に調べられる時代になった。
がもづ 嫁入り道具 『賀物』の意味。
がもつ:嵩張る物:静岡。
がもづおぐり
がもづはごび
嫁入り道具を婿方に運ぶこと 東茨城郡では『がんもづおぐり』と言う。
かもめ
かもんめ
カモの総称
(かもや) 巻き袖の半纏 神奈川。
もん 【助】〜のもの 古い標準語。
(蚊帳) 当時はまだアルミサッシュが普及する前の時代。夏場は暑いので雨戸や障子は開け放ったまま寝た。まだ、香取線香もまともに使われていなかったから蚊帳は夏の必需品だった。
40年代後半アルミサッシュに伴った網戸と蚊取線香の普及により次第に使われなくなっていく。
◎かや ススキ 『茅・萱』。
辞書には『屋根を葺(フ)くのに用いる草本の総称。チガヤ・スゲ・ススキなど。小萱。』とあり方言ではない。
がや:茅:静岡。
がや
がやがや
アブラゼミ 『集覧:多』。鳴き声に由来するのかうるさいからなのかは不明。植物や昆虫の名前は狭い地域毎に独特の呼び方がある一例である。
がーや
かーや
かーやー
かーやん
お母さん 『集覧:新・真』。『婆や』に対する『母や』の意味。
かーや:埼玉・神奈川。
かーや 便所 『厠(かわや)』((川の上に掛けて作った屋の意。また、家の側の屋の意ともいう) 大小便をする所。便所。)。
おがわ:宮城。
かーや:あずまや:島根。
かわらや:神奈川。
〜がや
〜がやー
〜かや
【助】@詠嘆を表す。A疑問を表す。〜かな?、〜かい?、A反語。〜だろうか・〜ではない 終助詞。古くは『歟』の字を当てた。
標準語世界では完全に死語となった言葉。@は上代語。『や』はやがて『え』を経て『い』に変わる。ABは平安時代以降の古語。地方に残る言葉。=『〜がよ・〜かよ・〜かい
@詠嘆を表す。
〜がや:宮城。
〜かや:長野。
はーいったがや:もう行ったかなあ。
おれほんとにいったっけがや:俺本当に行ったかなあ。
A疑問を表す
はーいんかや:もう行くかい。
B反語。
はーにどどいぐがや:もう二度と行かない!。
んだがやー:そうではない!。
ゆったがや:言って無いよ!。
かやおり 5月5日の嫁の里帰り 土浦市。『帰り寄り』の意味。
かやぐ 鍋物・五目飯・うどんなどに入れるもろもろの野菜・乾物・薬味の類。 『加薬』。
清音形は現代では主に関西で使われる。もともとは、『加え薬』だったろうと思われる。
かやぐ:薬味:青森。
かや
かやくさ
カヤツリグサ
かやぐでっ (紙)火薬鉄砲 紙のリボンに等間隔で火薬の詰まった音だけの鉄砲。当時の男の子の代表的なおもちゃ。たまにずれて鳴らない場合は、それだけ単独で鳴らすことができた。
かやこ
かやっこ
かやんこ
ウナギの稚魚
(かやーされねー) 【複】買うことなんてとんでもない 神奈川。
反語を含んだ『買いやできない』の意味か。『されねー』は、文語の受身・可能・可能・尊敬(辞書では尊敬のみ)の助動詞『す』の未然形『さ』を受けて、文語のサ変動詞『為(す)』と混乱して使い、それに可能の助動詞『れる』の否定形がついた、『されぬ』『されない』の表現をしているか、
茨城でも、自発・可能・受動使役・尊敬の助動詞『さる』があり、多くは可能形で使われるのと同じで、関東または東国の古い表現と考えられる。
☆◇かやす 【動】@返す、A羽化させる 標準語の中の訛。
江戸時代に『かえす』と合わせて使われていた言葉。『ゑ:いぇ』の名残とも考えられる。
@・いやす:和歌山。
かやす:静岡。
A・かやす:静岡。
Bその他。
かやす:言う:鹿児島。
かやすい 【形】た易い 古い標準語の『かやすし』の転。この場合の『か』は広辞苑に『【接頭】容詞などに冠して語調を整える。』とある。現代語では『か細い』に残る。
かやで もみじ 『楓』(かえで)が訛ったもの。
かやで
□△かやて
茅屋根を葺くこと、茅ぶき職人 『集覧:稲』。『茅手』の意味。
かやで:秋田。
かやて:秋田・新潟・茨城。
かやでさま 茅ぶき職人
かやでにんそぐ
かやでにんそく
茅葺き作業を手伝う人。
◆▲かやぶし 蚊燻し、蚊遣火 『集覧:稲』。
かえむし:山形。
(がやま) 頑固者、解からずや 神奈川。
かやまぎ
かやまき
かいまき、どてら 『集覧:猿』。『い』と『や』は音通する。
かやまき:かいまき:神奈川。
かやも セッカ かやも:八丈島。
かよ
かような
がよこ
□▽かよこ
かよこめ
かよっこ
かよっこめ
かりんこ
ウナギの稚魚 『集覧:西・新』。
『称呼』には『うなぎ:(中略)此魚の小なる物を京にてめめぞううなと云。是はみみずうなぎの誤也。江戸にてめそと云。上総にてかようと云。又くわんよっこともいう。常陸にてがよこと云。信濃にてすべらと云。土佐にてはりうなと云。』とある。
ウナギは遥か南のマリアナの深海で生まれて、日本にやってくる『通い子』の意味だとしたら茨城の先祖の底知れない知恵を思わせる。
かーよ
かーよー
【複】@買うよ、A買い物をする時の掛け声 『集覧:稲』。
かーよー 【動】誘う 『集覧:猿』。『交い合う』意味と思われる。現代語の『通う』にも通ずる。
かよー 【動】臭いがする、臭いが漂う 『通う』意味。現代語では、人や物が行き来する意味だが、古語には『鳥・雲・風が通る・流れなどが続く』意味がある。臭いが通ってきてもおかしくない。当時は良く使った言葉。『民俗』には何故か掲載されていない。
〜がよ
よー
【複】〜の様 ぇー:静岡。
〜がよ
〜かよ
【連語】@〜かな?、〜かい?、A転じて『〜ではない、〜(し)ない』 『〜がや、〜かや
@軽い感動を込めた疑問・勧誘の意味を示す。今では方言的な響がある。
お前がやんのかよ
おめやっかよ:お前やるかい。
A標準語の『〜かよ』と同じ反語の意味。
だれがやっかよ:誰が遣るかい(誰も遣らない)。
かよい @塾、A雇い人、Bサラリーマン @当時は塾を『通い』と言っていた。『通い塾』の意味である。
AB雇われ人=サラリーマンも『通い』と呼ばれた。当時の仕事は、殆ど自宅が中心であって他所に通うことは無かったからだ。標準語では『通勤』を意味する。これは方言と言うより古い言葉。
C・かえ:通帳:鹿児島。
かよいしごど
かよいづどめ
自宅から通ってする仕事 『通い勤め』。
かよいにん @雇い人、Aサラリーマン
(歌謡バラエティ) 当時放送された午後3時の文化放送の番組 文化放送とは、当時の民法がなりものいりで立ち上げた放送局だったと記憶する。『ザ・ピーナッツ』が『文化放送、文化放送、ジェイオウキュウアール』と叫んだ放送が懐かしい。
かーよし 川辺に生える葦
〜がよた
〜がよーた
〜がよな
よーな
【複】〜の様な
〜がよに
よーに
【複】〜の様に ぇーに:静岡。
(かよっか) 【形動】ふらふらよろよろする様 神奈川。
▽から @作物の幹や茎、A器物の柄 『幹・柄』。幹も殻も柄も同源で後から漢字が当てられたと見られる。英語の『skeleton』に近い。
@農村専門用語。
から:神奈川。
からとり:芋づる:宮城。
★『土』:夏馬鹿(ばか)に降(ふ)つてばかし居(ゐ)た所爲(せゐ)か幹(から)ばかし延(の)びっちやって、そんだとれねえ方(はう)でもあんめえ、夏蕎麥(なつそば)とれる樣(やう)ぢや世柄(よら)よくねえっちから、恁(こ)んなもなどうでもええやうなもんだ
A・くわがら:鍬の柄:山形。
がら 体格、品位 『柄』のこと。標準語。
がらいがい:体格が良い。
がらわりい:印象が良く無い。
がら 残材、コンクリート片等 標準語では、品質の劣った粗製のコークスや肉を取った後の鳥の骨を指すので方言とも言いがたい。東京でも建設現場等で使われる。現場の職人が地方出身者が多いためか。『がらくた』の『がら』と同じと思われるが、広辞苑には『がらくた:(ガラは物の触れて鳴る音。クタはアクタの約) ねうちのない、雑多な品物。』とある。
がら:静岡。
◆■▲かーら @▲瓦、A河原 『かはら』の名残。
@『集覧:久・西』。
かーら:福島・群馬・静岡。
A・かーら:群馬・神奈川・長野・静岡。
かっ:千葉。
かーら:川:静岡。
かわんふち:千葉。
かわんふぢ:千葉。
すなっかーら:千葉。
はらっ:千葉。
やっかーら:千葉。
かーら 粘土質の畑 かーらつち:粘土:長野・香川・高知。
(かーら) 【動】痩せ衰える 静岡。
(かーら) 口縁の赤くなる病
がら
がらー
がーら
【副】すっかり。全く。一向に。 近世語の『がら』。現代語の『がらり』に当たる。
広辞苑には『がら:すっかり。全く。がらりと。膝栗毛二「がら、おまに喰はせべいもなあなし」。浮世風呂前「この事を、がら打つ知つて」』とある。また『がらら』は広辞苑では東国方言としている。
『俚言』には『がらわすれた:上総にてはたと失念したるをいふ。』とある。
がらぐじゅー:粗大にして妨げになる様:山形。
がらっと:ずらりと:青森。
がーり:甚だしく・沢山:山形。
▲から
かーら
【副】すっかり。全く。一向に。 『集覧:猿・真・北』。近世語の『から』。現代語の『からり』に当たる。
前項と同じか。
広辞苑には『から:からきし。まるで。娘節用「から手に負へねえから、親父はおほおこりで」』とある。
から:群馬・神奈川・静岡。
かーら:神奈川。
からうそ:真っ赤な嘘:神奈川。
からかんたん:全くた易いこと。
からきし・からきり:まるで。
からだめ:まるで駄目。
かーらだいだ:全く駄目だ。
からおがしー:全くおかしい。
からばが:全くの馬鹿。
からはーだいだ:全くもうだめだ。
★『土』:ごろり轉(ころ)った處(ところ)爪先(つまさき)と踵(くびす)持(も)ってかうぐるぐる引(ひ)ん廻(まあ)すとどうだ大(えけ)え野郎(やらう)でも起(お)きらんねえだよ、から笑止(をか)しくって仕(し)ゃうねえな、ええか、斯(か)う、かうやんだよ
がら
がらー
▲△がーら
から
【副】うっかり、つい、ふと 『集覧:猿』。関東方言。
前項と同源なのか別物なのかがわからない言葉。
『空・虚(真実のないこと。実質のないこと。空疎。「―元気」「―約束」)』は、もともとは『殻』だったとされ『殻』は『柄』にも通じ、『空・虚』を副詞として使っているものが濁音化したと思われる。
県内の一部では『がーらだよ』を『間違いだよ』の意味で使う地域でもあるらしい。『うっかり=間違い』と解釈して使っているのだろうか。
がら:埼玉・群馬・千葉。
がーら:千葉。
がらい:神奈川・静岡。
がらに:神奈川。『悪気なく』の意味もある。
がらり:福島・群馬・埼玉・神奈川・静岡。
かれ:静岡。
がれー:神奈川。
がれーに:神奈川。
かんさい:静岡。
がーらやっかんだよ:うっかり遣るからだよ。
かーら 【副】@遂に、とうとう、Aいまだに 『集覧:新・稲』。『集覧』には『かあら』と表現され、意味は『遂に』とある。現代ではあまり使われなくなった『遂に:(下に否定を伴って) いまもって。いまだに。ついぞ。』の意味で解説していると考えられる。近世語の『から』の長音化。
@・がらんに・がれー・がれーに:神奈川。
かーら 【感】驚きの感嘆詞、けっ! 『か』はかなり強く発音する。
〜がら
〜(っ)から
【助】@〜から、A〜からして @古語と断絶のある言葉。
以下は各地の方言を試験的に分類したものである。
(さかい系)
『さかい』は『境』から生じた説がある。もともとは次の『けに』であったとされる。『さ、し、す』は『候』の流れの言葉と見られる。
〜さか:和歌山。
〜さかい:山形・富山・石川・福井・滋賀・京都・大阪・三重・奈良・淡路島・香川・徳島。近世上方語。辞書掲載語。
〜さがえ:山形・茨城。
〜さかえ:茨城。
〜さけ:山形・佐渡島・長野・石川・福井・滋賀・京都・三重・奈良・和歌山・兵庫。辞書掲載語。
〜さけー:山形・長野・京都・和歌山・兵庫。
〜しけ:青森・山形・新潟・兵庫。
〜しけー:兵庫。
〜じゃけー:広島。
〜すか:新潟。
〜すかい:岩手・新潟。
〜すかに:奈良。『さかいに』。
〜すがら:茨城。
〜すきゃー:青森。
〜すけ:北海道・青森・岩手・新潟・長野。
〜すけー:新潟・広島。
〜すけぁー:岐阜。
〜たがすて:宮城。『〜(し)たるからして』。としょったがすて:年をとったから。
〜だすけ:青森。
〜だはんで:青森。『〜だからして』。
〜っけ:新潟。
〜はかい:兵庫。
〜はげ:秋田・山形。
〜はけ:山形。
〜はけー:山形・京都。
〜はで:青森。
〜はんで:青森・岩手。
〜やさかい:三重。『や』+『さかい』。『〜だから』。
(けに系)
『けに』『さかい』の古形とされる。古語の『けり』から発生したことばと見られる。
〜きー:高知・大分・福岡・熊本。
〜けー:鳥取・島根・岡山・山口・大分・福岡。
〜けに:島根・香川。
〜けん:新潟・愛知・鳥取・島根・広島・徳島・香川・愛媛・高知・福岡・大分・佐賀・長崎・熊本。
〜じゃけー:島根。『〜だから』。
〜だけー:島根。『〜だから』。
〜だけん:島根・福岡・熊本。『〜だから』。
〜だんけ:山形。 『〜だから』。
〜のっき:山梨。『の』は詠嘆の終助詞。
〜やきー:大分・福岡。『〜だから』。
〜やけー:福岡。『〜だから』。
〜やけん:福岡。『〜だから』。
(から系)
『から』の語源は明確には解かっていない。
〜かい・かり:宮崎。
〜がら:山形。
〜だーら:山梨・長野。『〜だから』。
〜やかい・やかり:宮崎。『〜だから』。
〜やから:福井・三重。『〜だから』。
(に・にて・ので・もので系)/によりて・なりて・にて。
〜だで:長野・静岡・愛知・兵庫。近世語の名残。
〜だもんで:長野。『〜だから』。
〜で:静岡・長野・岐阜・愛知・滋賀。『なりにて』。
〜て:石川。『にて』。
〜に:静岡・愛知。古語の格助詞『に』にはそれ自体に理由を表す用法がある。『〜によりて』が『にて』を経て変化したと見られる。
〜やで:福井・京都・三重。『〜だから』。
〜やでー:福井。『〜だから』。
〜やもんで:福井・三重。『〜だから』。
〜もんで:静岡・岐阜・愛知。
(よりて・よし系)
〜よって:近畿・三重・兵庫。
〜よってに:近畿・大阪。
〜よんて:青森。
〜やし:岐阜・石川。
(とて形)体言に付く。『…だけあって。…なので。…であるから。』の意味。
〜どで:山梨。
〜ろれ:山梨。
いまだすがらまっちぇろ:今あげるから待ってろ。
おめにやっから:お前にあげるから。
A『〜からして』の短縮形と考えられる。
だいたいおめーがらおがしーな:だいたいお前からしておかしいな。
からあすび
からあそび
ただの遊び、無駄な遊び 『空・虚』で『真実のないこと。実質のないこと。空疎。「―元気」「―約束」』の意味。
からあそび:仕事をしないこと:群馬。
(からいー) 悪口、悪口を言う人 静岡。『辛言い』の意味か。
からいじはる 【複】無駄な意地を張る 『から』は『空・虚』で『真実のないこと。実質のないこと。空疎。「―元気」「―約束」』の意味。『からいばり』と同様。
からいそしー 【形】非常に忙しい
かーらいーや 【感】全く驚いた、随分ですねえ 驚き呆れたときに使う。
からいん 板の間、畳を上げた部屋、土間 『空縁』『唐縁』?。
からいたのま:神奈川。
からうす 唐臼:臼を地に埋め、横木にのせた杵(キネ)の一端をふみ、放すと他の端が落ちて臼の中の穀類などをつく装置。ふみうす。 関東圏の農村専門用語。
からうす:静岡。
(からうそ) 全くのうそ。あかうそ。 神奈川・静岡。『空嘘』。
(からえど) 絹糸 山形。
『唐糸』。中国から伝来したためそう呼ばれる。
からえばり 空威張り からえばり:神奈川。
からおがしー 【形】ちゃんちゃらおかしい、全くおかしい
がらが
からが
【感】だからか 標準語で『それでどうした』を『でどうした』と言うのと同じ語法。
〜がらが
〜からが
【複】〜からか
〜がら
〜から
【助】〜からして、〜を始めとして、〜自身 おめがらいげれば、おらかまね:お前自身が良ければ俺はかまわない。
からがー
からかー
からがあ
からがう
▲からかう
【動】からかう 濁音化・平坦化。『集覧:稲』。
『からかう』は鎌倉時代は『決めかねて迷う。葛藤する。』意味で使われ、近世までは『言い争う。』の意味で使われた。『集覧』の時代には新語だった可能性がある。
からかう:手間をかける・試す:山梨。
からがる:青森。
あんまりからがあんだねえよ:あまりからかうんじゃないよ。
(からかいて) 【複】無理に連れて 静岡。
からかぎ 作物の幹や茎等を掻きとること 『殻掻き・柄掻き』。
かるかき:春の草刈:静岡。
からがさ 傘、コウモリ傘 『唐傘』。
からがす 【動】枯れさせる、枯らす
(からかす) 【動】垂らす 神奈川。原型は『たらかす』か。
(〜からかす) 【動】一心にする 静岡。やりからかす:一心にする。
かーらがす 【動】乾かす かーらがす:広島。
から 空の釜
(からかみとふすま) 唐紙と襖 『唐紙』はもともとは襖用の紙で正しくは『唐紙障子』。いずれも標準語だが、方言地図によると、どちらかを使う地域が大半なのが面白い。関東・近畿・九州・東北北部が『襖』と呼ぶ。
◎がらがら 【副】【形動】遠慮の無い様、言いたい事を言う様 あまり使われなくなった標準語。
がらがら:山形。
がらがら:急ぐ様:山形・宮城。
(がらがら) 手で振ってがらがらと音を立てさせる乳児用の玩具 現代の『ガラガラ』は『がらがら』などという音はしない。
明治35年(1902)に出版された『米沢言音考』には当時のガラガラの製法が詳しく描かれている。『他の地方では菓子製の玩弄物を云ふ。我郷これと異なりて、付け木を撓めて円形とし、又は六角に作り、之に小石数粒を入れて、紙を張り、膠にて固め、長さ三寸許りなる竹の柄を付けて笛としたる玩具なり。之を振れば、小石、紙または木に触れてがらがらと音するなり。』とある。
もともと、コケシのような地方のみやげ物は、特にめぐまれない農家の冬の副業として作られたものだらしいから、明治の米沢の農家の冬の副業の産物だったのだろう。
私の記憶する『ガラガラ』は現代の電子音を用いた『ガラガラ』に繋がるが、あの当時の日本のおもちゃはアメリカへの輸出産業の主要品目で、きっと、電気を使わない『がらがら』は米国を驚かせたのではないか。
からから
からっから
【形動】何も無い様、空っぽの様
からかり 作物の幹や茎等を刈りとること 『柄刈り』の意味。辞書には無いので農村専門用語と見られる。
から 【動】ひっかかる、こんがらかる、からまる 標準語。『絡がる』。
から:神奈川。
からかんたん
かーらかんたん
【形動】全く簡単なさま
からぎ
からき
▽からきし
からきに
からぎり
からきり
@【副】少しも、全然、全く、A【形動】駄目な様 標準語の類義語は『まったく。全然。まるで。からきり。からっきり。からっきし。』である。
からきじ:わがまま:青森・秋田・岩手。
からきず:わがまま:青森。
からきずい:わがまま:宮城。
からきり:山形。
からきしきづい・からきづい:腕白だ・わがままだ。
からくだ つむいだ糸を巻きつける細い篠棒
から
からくぢ
無駄話、冗談 『空口』の意味。
からくち:おしゃべり:神奈川。
からぢきく:冗談を言う。
からぐぢ
からくぢ
厳しい言い方、減らず口 『辛口』の意味。
からぐぢ・からくぢ:青森。
からくづ:青森。
からぢただぐ:減らず口を言う。
からぐる 【動】画策する、仕掛ける 『からくる(絡繰る)』。
からくる:山梨。
から 【動】縛る、くくる 『からげる(絡げる、紮げる)』。
から
かーら
無毛症、頭に毛が無いこと 『空毛』の意味。
かーらけ:千葉・山梨・静岡。
かーらけ:擂鉢:岩手・宮城。『土器』。
からやかん:東京多摩。
から 手桶 静岡。
かーらとんぼ シオカラトンボ
からげー からかうの連用形を名詞的に使っているもの 『からかい』。
あんまりからげーからげーすっといまにばぐはづすっかんな:あまり何度もからかうとそのうち爆発するからね。
から 【動】@着物の裾を上げてとめる、A縛る 『からげる(絡げる、紮げる)』。
@・から:東京・静岡。
合羽からげて三度笠
A・から:東京・山梨・静岡。
から:青森・山形。
から
からーる
【動】ひっかかる、こんがらかる 『絡がる』。
からげんき 空元気、元気に見せかけること 標準語。
(がらさー) カラス 沖縄。
〜がらして
〜からして
【助】@〜から、〜により、A〜をはじめとして、〜が率先して 今でも『自らして』が使われる。
おめがらしてやんなげなんめ:お前を始めとしてやらないといけないだろう。
ほんたーやづがらしてやんねげなんねのに、あいざーあんではだいだな:本来ならあいつが自ら遣らなければならないのに、あいつはあれでは駄目だね。
★『土』:俺(お)らだってこんで一人(ひとり)殖(ふ)えちゃ殖(ふ)えた丈(だけ)に麥米(むぎこめ)の心配(しんえ)からして掛(かゝ)んなくっちやなんねえんだから、其(そ)の積(つもり)で居(ゐ)てくんなくっちゃ、此(こ)んで心持(こゝろもち)ぢゃ餘(あんま)り面白(おもしろ)かねえかんな
からしょんべん 架空のことを平気ですること
(がらす) 塩辛、塩漬け 沖縄。
(からす) 高利貸しの貸し金 東京。
広辞苑に『烏・烏金:(一夜を経て、夜明けに烏の鳴く頃、返済すべき金銭の意) 日歩で借りる高利の金銭で、貸した翌日その元利を返済するもの。』とある。
(からす) 忘れん坊 静岡。
からす ネズミサシ 『唐杉』の意味だろう。
(からすっん) 何もない様、空虚な様 静岡。『すっぽんぽん』の強調語か。
からすねご
からすねこ
雷、雷模様 『集覧:稲』。
古い標準語では、『烏猫』すなわち黒猫を言う。雷模様を黒猫に例えたと考えられる。
からすねこ:黒猫:神奈川。
からすのおきー 子供の口角炎 長野でも『からすのおきゅう』と言う。標準語では『烏の灸』。
からすのきんたま @カマキリの卵、A【慣】気にかかる @確かにずばり似たものに例えたと言ってもいいのかもしれない。皺の具合など芋よりずっと似ている。
カラスウリを指して言う地域もある。県南東地域では『たぬぎのきんたま』、真壁郡では『さるのきんたま』と言う。
『俚言』には『かまきりのすおおぢのふ(京)、うしのふ(佐渡)』とある。
★『土』:鴉(からす)のきんたまから出(で)んだぞこら:カマキリの卵から出るんだぞ、これは。
A『蝉の小便』と類似表現ででカマキリの卵が木にかかっているからだろう。
からすのいやいひ 子供の口角炎 稲敷郡・北相馬郡の。標準語では『烏の灸』。『やいひ』はお灸の古形。
からすめ カラス 八丈方言共通語。
からすもんも カラスウリ 『カラスの果物』の意味。
からすよばり
からすよばーり
1月11日の仕事始めの行事。 『カラス呼び』の意味。『カラス勧請』。動詞形の『呼ばる』は近世語。
からせじ
からせーじ
口さきだけで誠意のないお世辞 『空世辞』。
からせじ:お世辞を言う人:神奈川。
からせーじ:お世辞を言う人:神奈川。
からっせじ:お世辞を言う人:神奈川。
〜がらだが
からだか
【複】〜(した)からなのか
からだぎ 空焚き 五右衛門風呂や鍋・釜など、へたをすると底が抜けることがあった。
(からだやみ) 怠け者 宮城。
からぢゃ
からちゃ
お茶菓子なして茶を出すこと 『空茶』。今では高齢者でないと使わない言葉。
からっちゃ:群馬。
からっかみなり 空雷、雨が降らない雷 雨を伴う雷は、雷の到来を予測できるが、空雷は突然落ちるので危険とされる。
からっかみなり:群馬。
からっから 【形動】乾いた様、からから 俗語か。
からっき 【副】全然、全く 『集覧:猿』。
からっきし
からっきり
【副】全然、全く 標準語。『集覧:猿・稲』。=『からきし』『からきり』。
からっきし:群馬・東京・山梨・静岡。
からっきす:神奈川。
からっきり:山形・静岡。
からっきし
からっきり
【形動】馬鹿、駄目 『から』は『全く』の意味の接頭語。『きり』は『ぴんからきりまで』の『きり』で『全く駄目なもの、一番最低のもの』の意味であり、標準語の本来の意味と言える。
からっけづ 【形動】金が全く無いこと、全くからの様 『からけつ、からっけつ(空穴)』。
からっつぁー 馬鹿 『集覧:猿』。全くを意味する『から』に『者:ちょ』がついた『から者』か。
からっつね 【形動】下着を着ないで脛を出していること 『空脛』の意味。
からっつね:神奈川。
からって
からってんぼー
手ぶらの様 『空手』。
(がらっと) 【副】全く、さっぱり 宮城。僅かにニュアンスが異なる。
がらっ 落ち葉
からっばが
からっ
(全くの)馬鹿
がらっ 【形動】【名】ぞんざいな人 『がらっち』
がらっ:東京。
からっ:好き嫌い:青森。
からっこぎ:我が儘:青森。
から:好き嫌いの激しい人:青森。
(からっー) 干潮 静岡。『から』は強調の接頭語で『から干』の意味だろう。
からで 【副】全く、まるで
からでっ
からてっ
でたらめ、うそ 『空鉄砲』。
・からっぱち:大嘘:静岡。
まーだからでっぶってんのが:また、嘘をついてるのか。
◆▲からてんぼ
からてんぼー
何も持っていないこと、手ぶら、▲素手 『集覧:西』。『空手』。
『集覧』の解説には『赤手(せきしゅ)のこと』とある。
からてぶり:山形。
からっ 【形動】空っぽ 『集覧:猿・那』。
(からど・からどー) 静岡。
『体』の古形は『から』だったとされる。現代でも『なき‐がら【亡骸・亡躯】』が残る。一方、『胴』は『きもだま。こころ。度胸。』を指したことから、『殻』と『胴』を合わせた『殻胴』の意味とも考えられる。ちなみに『日葡辞書』では、『体』は『死体』の意味だったとされる。、
(からねっあーあー・からねつあーね) 【複】熱意がない 神奈川。『からねつ』は『空熱』で、『空熱ったらない』意味か。
(からはい) 磁石 鹿児島。
(からはーい) 羅針盤 沖縄。
からばが
からばか
からばがやろう
からばかやろう
(全くの)馬鹿 からばか:神奈川・静岡。
◎からびる 【動】干からびる 『乾びる』。
からびる:山形・宮城。
からへんじ 相手の言うことを聞かず、いいかげんに返事だけすること。うわべだけの返事。生返事。そらへんじ。 『空返事』。
から 【形動】空っぽ 『集覧:行』。
がらぼしか 煮ないで干したイワシ 『集覧:新』。『柄』『乾鰯・干鰮(ほしか)』
〜から〜まで 【助】〜だけでなく〜まで、〜のみならず〜まで、〜と〜、〜から〜へ 標準語にはない独特の言い回し、標準語ではある巾を持った対象を指すが茨城弁では、二つの対象を指す(〜のみならず〜まで)の意味で使うのが特徴的である。『まで』は略されることもある。
〜から〜:〜やら:愛知。実質的に茨城方言と同じである。
おどごがらおんなまであづまんなげなんねんだどよ:男だけでなく女まで集まらなければいけないんだって。
からまさる 【動】絡まる 擬似自動詞形。
からまさる:山梨。
〜からまり 【接尾】@〜頃、〜位、A〜付近 @時間や年齢に関して使われる。『〜がらみ』。
らまり:神奈川。
〜からまり:宮城・福島・群馬・神奈川。
A・〜からまり:福島。
(からまんー・からまんち) 嘘つき 静岡。『から』は『全くの』の意味、『万八』は嘘のことで、本来は『大嘘』の意味。
▽からみ @空身、手ぶら、A関係、B大根おろし、ワサビ、薬味 標準語。
@登山用語ではザックを背負わないで歩くことを指す。
B『辛み・辛味』の代表の香辛料。
からみ:埼玉・神奈川・山梨。
C・おからみ:香辛料:山梨。
からみもち:大根おろしでくるんだ餅:栃木。
らみ 【接尾】@〜頃、A〜位 時間や年齢に関して使われる。
A・らみ:神奈川。
(〜らみ) 【接尾】〜ごと、〜ぐるみ 宮城・静岡。
△▽がらみせ おもちゃを売る露店、おもちゃ屋 がらがらみせ:栃木。
がらみせ:茨城・栃木。
〜がらみっと 【複】@〜から判断すると、A〜よりも A・〜がらみるど:山形。
〜がらみろ
〜からみろ
【複】〜(する)から見なさい 標準語でも『きっとそうなるから見なさい』等と言う。口語では『〜から見な』等と言う。動詞の促音形に付く場合は清音となる。
そーたごどやってっとそのうぢつこでっからみろ:そんな事しているとそのうち落ちるから見なさい。
★『土』:まださうだこと、そんだから汝(われ)は見(み)せらんねえっちんだ、爺(ぢい)に怒(おこ)られっから見(み)ろ:またそんなこと。だからお前には見せられないって言うんだよ。お爺さんに怒られるから見なさい。
〜がらみでろ
〜からみでろ
【複】〜(する)から見ていなさい 動詞の促音形に付く場合は清音となる。
〜がらや
〜からや
〜がらよ
〜からよ
【複】〜(する)からさ 『か』の場合は多く促音化・撥音化した動詞につく。
★『土』:どうした寄(よ)せて見(み)んのか、そんだら俺(お)れかんぜん捻(より)拵(こせ)えてやっかれえ。この場合の最後の『え』は『や・よ』が変化したもので本来は『からえ』だが、逆行同化によりさらに変化したもの。このようなちょっとした拍子に末尾の発音が変化することは茨城方言にはしばしばある。
(からやかん) 禿げ頭 東京多摩。
『全くの薬缶』の意味か。標準語では『やかんあたま【薬缶頭】:毛が抜けきって薬缶の尻のように滑らかな頭。はげあたま。禿薬缶。』とも言う。
かーらやね 瓦屋根 『かはらやね』の名残。
かーらやね:神奈川。
かららい
かららいさま
音だけの雷
◎がらり
がらーり
からり
からーり
がらりしょっと
【副】全く、すっかり 『がら』『から』+『り』。『集覧:真』。
広辞苑に『がらり:【副】(古くは「ぐゎらり」とも書く)@急に戸などをひきあける音。また、積んだ物の崩れるさま。A即座に。すぐに。B(時に「に」を伴って) そっくりそのまま。また、すっかり変るさま。【名】C(「そっくり」の意から) 給金を前払いで渡すこと。』とある。
がらら:東国方言。
がらり:直ぐに:福島・群馬。
がらり:意外に:福島。
がらり 【副】うっかり、つい がら:埼玉・群馬・千葉。
がーら:千葉。
がらい:神奈川・静岡。
がらいか:静岡。
がらぇー:静岡。
がらに:神奈川。
がらり:福島・群馬・埼玉・神奈川・静岡。
がらん:静岡。
がりゃー:静岡。
がりーゃか:静岡。
かれー:静岡。
かんさい:静岡。
がんじゃなし:静岡。名詞。
(がらんつ) 魚の干物 鹿児島。
(からんつー) 内部にものがないこと、空 静岡。
がらんど 【形動】空っぽなこと 『がらんどう』
がらんしゃん:神奈川。
からんつー:静岡。
がらんど:群馬。
がらんぼ:宮城。
がらんと 【副】【形動】人も物も見えない様、何もない様 標準語。『集覧:真』。
(かりー) 縁起 沖縄。
(〜かり) 【複】【助動】 広辞苑に『@かり:文語で形容詞(または形容詞と同活用の助動詞ベシなど)の連用形語尾クに動詞アリを付属させてできた形。例えば悪シカルは悪シクアルの約。これをその語の一活用と認める説もある。なお悪シカリを一語としてカリ活用の形容動詞と呼ぶ説があるが、この場合にはカリは形容動詞の語尾。万五「いよよますます悲しかりけり」。万一五「思ひつつ行けばかもとな行きあしかるらむ」
Aかり:【助動】(上代東国方言) 「けり」の訛。万二○「旅とへど真旅(マタビ)になりぬ家の母(モ)が着せし衣に垢つきにかり」』とある。
(〜り) 【複】〜の許に 『〜に』
万葉集にある言葉だが、これは東国方言である。
広辞苑には『許(り):(カアリ(処在)の約カリの連濁。一説に、リは方向の意) 人を表す名詞や代名詞について、または助詞「の」を介して、その人のいる所へ、の意を表す。万一四「妹―やりて」。源若菜上「小侍従―、例の文やり給ひて」。栄華浦々別「夜ばかりこそ女君の―おはすれ、ただ宮にのみおはす」』とある。
『俚言』には『:「万葉集」許。所を訓り。愚案、カは所なりは助語也。濁るは音便也。』とある。
かーり 代わり かーり:山梨。
かーりまし:余計に:東京三鷹。『代わりに増して』。
かりー
かーりー
【形】@軽い、A痒い @・かい:鹿児島。
かいー:静岡。
かいか:鹿児島。
かり:鹿児島。
かりー:千葉銚子。
かんるい:静岡。
A『ゆ』が転じた『い』がさらに『り』に訛ったもの。
かりー:青森・千葉。
かりくてかりくてしゃーんめよ:痒くて痒くてしょうがないよ。
かりあ
かりあいわい
かりあぼだもぢ
稲刈りが終わった祝い 10月10日、ぼた餅またはきな粉のおにぎりを一升桝・重箱に入れて『おかまさま』にそなえた。古くは、下げると馬に食べさせたという。手野地域では『稲刈り祝い』とも言った。
この日の夜、子供達による『いのごぶぢ』の行事がある。
かりあ:神奈川。
かーりかっこー
かーりーり
【複】代わる代わる 『代り代り』。
がりがり
がりがりおろし
下ろし金
がりがり 柄が長く刃が半円形の鍬、主として草取りに使った、万能 普通の草刈り鎌と異なり、柄が長く両手を使う。土と一緒に『がりがり』刈る。
かりきり 稲刈りの終わり 土浦市。『切る』には終える意味がある。
かーりっこ かわりばんこ
かりごみ @作物や草を刈ること、A青草を水田に施肥として入れること。 A・かりこみ:青草を水田に施肥として入れること。
■◆かりじまい
かりじめー
稲刈りが終わること、またはその祝い 土浦市。
かりぜに 借金 『借銭』(しゃくせん)。
さっせん:鹿児島。
かりだ 『集覧:無記載』。
かりだ:埼玉。
かりね 短時間寝ること、仮眠 広辞苑に『仮寝:仮に寝ること。うたたね。かりぶし。また、旅寝をさすことが多い。かりまくら。かりのやどり。』とある。
かーりばっこ
かーりばんこ
かーりばんて
【複】代り代り、代わる代わる、かわりばんこ 『番手』には『かわりばんこ』の意味がある。
かーりばんこ:福島・群馬・山梨。
かーりばんて:静岡。
かわりばんて:山梨。
かりぼし 刈り取った稲を干すこと 『刈り干し』。
(かーりまし) 【副】余計に 東京三鷹。『代わりに増して』の意味か。
かりむね
かりもん
葬儀の出棺の際に簡単に作る門 『仮棟』『仮門』の意味。
かりかど・かりもん:神奈川。
らしょーもん:神奈川。
かりめ カニ がり・がりば・がりまめ・がりめ:八丈島。
(かりゆし) 【形】縁起がいい、めでたい 沖縄。『縁(ゆかり)良し』の意味か。
かりる 【動】枯れる
(がりんこ) 盗むこと 宮城。幼児語。
かりんと 花林糖(かりんとう)
かる 【動】@(鍵を)かける、A髪の毛を切る @『支う(かう)』。
かる:北海道・宮城。
A『刈る』。標準語だが今では死語に近い。昔はよく『虎刈り』などと言った。
あだまかる:床屋に行く。
(がる) 【動】叱る 鹿児島。『がっ』とも言う。
がゆん:沖縄。
がらるる:叱られる:福岡・佐賀・宮崎・鹿児島。
がる:福岡・佐賀・宮崎・鹿児島。
かーる 【動】@刺される、A食われる、B関わる、C変わる、代わる @『食はる』の流れ。
A『食はる』の流れ。
B★おめにかーってはめーっちゃーよ:お前に関わると参っちゃうよ。
C『変はる』の流れ。
かーる:東京武蔵村山・静岡。
すーかーっちゃーんだがら:直ぐ気が変わっちゃうんだから。
Dその他。
かーる:横になる・横たわる:山梨。
(かーる) 【動】追いかける 静岡。『駆る・駈る』の長音化と見られる。
(かるー) 【動】負う 鹿児島。
かーるい 【形】軽い 強調語。古語では『かるし・かろし』
かーるい:佐渡島・静岡。
かんるい:静岡。
かーるいかるい:軽い軽い。
(かるか) さくじょう【さく杖】:小銃の腔内を掃除するのに用いる細長い鉄棒。 静岡。
かるかや ワレモコウ 標準語のカルカヤは、稲科の植物で屋根葺き用の茅類のこと。
かるかんたん
かーるかんたん
【形動】簡単 『からかんたん』
かるこい
かーるこい
かるっこい
かーるっこい
かるけー
かるっけー
【形】軽い 典型的な東北系方言。
かるこい:宮城。
かるこえ:山形。
ぜーぶんかるっこがっ:随分軽いだろう。
かーるーる 【副】交代に、代わるがわる かーるーる:群馬。
(〜かるべし) 【複】〜にてあるべし 形容動詞のカリ活用を受けた、関東方言の原型で、後に東関東方言を発生させる。
〜がんべー
〜かんべー
〜がっべー
〜がっ
〜かっ
(がれ) 静岡。
(かれ) 渓流に添う細道 静岡。
かれ
かれー
【形】軽い 原型は『軽いえ』と思われる。
かれー:青森。
かれ
かれー
【形】辛い 連母音変形は、江戸言葉の代表である。原型は『辛いえ』と思われる。
かれ:青森・岩手・秋田・宮城・山形。
かれー:福島。関東圏では千葉・神奈川が最も顕著。群馬・茨城・埼玉・埼玉・栃木の一部。中国東部・九州東部。
かんらい:静岡。
(かーれ・かーれろ) 【複】寝なさい 神奈川。
〜がれ
〜がれー
〜がーれ
【助】〜かい、〜ですか 当時は『〜かい、あれは』に近い意味でも使っていたが、『れ』は強調の接尾語である可能性もある。『かしら』の意味が最も近い。
〜がれ:宮城。
んだっけがれ:そうだっけ?。
・かれい その家のしきたり 『家例』。死語となった標準語。今では、『家例』をのたまう人は皆無であろう。
かれい:栽培しないことに決めている作物・タブー:福島。意味が特化した方言。
かれい:群馬。
あすごではまいしーにぢよーびにかれーくーのかれーなんだど、いーなーはー、あーにょーってきだ:あそこの家では毎週日曜日にカレーを食べるのが家例なんだって、良いなあ、ああ匂って来た。
かれいだおどし
かれいだとり
松林の枯れ枝取り、枯枝落とし
かれこ
かれっこ
枯れ枝、松や杉の下枝の枯れたもの、特に松の枯れ枝 『こ』は『木』の古形なので『枯れ木』の意味か接尾語。
かれこ:千葉。
かれっこ:群馬・東京武蔵村山・神奈川。
かれし・かれ・かれ:千葉。
かれことり
かれっことり
松の木の枯れ枝切り
◆■▲△▽がれる 【動】@やせる、A衰弱する 『がりがり』が動詞化しと思われる。『集覧:北』。
別に『がれ(岩がごつごつしていること)』の転か?。『がれ』とは、岩肌が崩れて岩がごろごろしているところで、その場所を『がれ場』と言い登山用語(もともとは山梨・静岡の方言)でもある。
がどれる:宮城。
かーら:静岡。
がれ・がーれん:やせっぽち:富山。
がれる:茨城・千葉・埼玉。
がれる:疲れる:千葉。
かれる
かーれる
【動】@刺される、食われる、A食える、B食べられる(受身) @・かれる:青森・宮城。
★子:かにかーれだ。親:なづだがらしゃーんめ。ムシでもつけろな。子:むしにかーれだどごにまだムシつげでどーすんだよー。んだなくてかにかーれだんだよ。親:あんだー?。あんちゃんにかにかーれだのがー。:子:かに食われた。親:夏だからしょうがないだろ。ムヒでもつけなさい。子:虫に食われたところにまた虫をつけてどうしろっていうの。そうじゃなくて蟹を食われたんだよ。親:何だって!。兄さんに蟹を食われたのかい。
A・かーれる:山梨。
かーれん:食べられない:山梨。
Cその他。
かれる:壊れる:青森。
(かれる) 【動】借りる 静岡。
(ガロ) 1964年から2002年頃まで青林堂が刊行していた漫画雑誌。月刊漫画雑誌。 2010年NHKで放送の『ゲゲゲの女房』で登場した漫画雑誌のモデル。番組中では『ゼタ』という名前になっているので、もしかしたらと思いネットで調べたら、雑誌『ガロ』であった。
私が子供の頃から学生の頃まで、漫画雑誌と言えば、少年サンデーと少年マガジンだったが学生の頃、『ガロ』は月刊誌なので、金銭的な負担が少なくて済むこともあり、広く読まれた。
私にとっての『ガロ』の存在は、過去の思い出であるが、稚拙な絵がむしろ新鮮だった。
がわ
かわ
@周り、傍、周辺の人、Aその物の外面・周囲。道具などの本体や底を除いた部分。枠。。型。 標準語。『側』。
@・がわ:群馬。
がーた:長野。
がわり:青森。
A・がわ:・宮城・群馬・静岡。
がーた:外側:長野・山梨・長崎。
がわた:長野。
Bその他。
がいぐり:周辺:岩手・秋田。
がーたー:酷く痩せた人:鹿児島。
かわ 皮膚、肌 広辞苑に『皮:動植物の外表を覆う膜など。新撰六帖五「身をすてて後さへ人を恋ひをればさこそは骨と―となるらん」。「蜜柑の―」「面(ツラ)の―」』とある。『面の皮』は使われるが、『皮膚、肌』の意味では使われない。ex.『骨皮筋右衛門』。八丈方言共通語。
かわ 霞ヶ浦 霞ヶ浦の漁師言葉。
2008年1月、投稿者の方から石毛の豊田城に展示してあったという1000年前の霞ヶ浦の地図の写真を頂いた。それによると当時の霞ヶ浦は、浮島付近から南西に伸び、印旛沼・手賀沼と一体となり、西は古河付近に至る長大な細長い湖であった。面積は現在3倍はあったようである。その形はスケールオーバーした川のようでもあり、それがこの方言に残っていると見て間違いないと思われる。
かわ:海:静岡。
かわ:井戸・用水池・水溜・流し元:八丈島。
かわ:井戸:九州・沖縄。『かあ・いかわ』とも言う。
かわい 【形】可愛い 古い標準語。『かわいかわいは憎いの裏』。
かわえー:静岡。
かわいくて
かわくて
【複】可愛らしくて 多くは『かわくてかわくて』と繰り返して使う
かわがせる
かわかせる
【動】乾かす かわかせる:神奈川。
(かわき) 飢えている事 神奈川。
かわ
かわくぢ
かわっくぢ
河口 かわ:千葉。
かわし ひきかえ、交換 『為替』。為替は『しかえ』としか読めず漢語か。また、ひっくり返した『替為』こそ『かえし・かえち』読める。
かわち:静岡。
そんかわし:その代わり。俗語と言える。
かわす カジカガエル 『集覧:多』。『かはづ』は、万葉集の時代は『カジカガエル』を指した。
かわず カエル、カジカガエル 県下では現水戸市付近の言葉として記録されている。万葉集の時代は『カジカガエル』を指し、平安期以降は『カエル』を指す。県北部では今でもカジカガエルを指すところがある。
□かわた 身分の低い人、穢多(えた) 『称呼』によれば、『東国でかわだ、上総・下総でかわぼう』とある。
『俚言』によれば駿河で『かあぼう』と言うとある。
かーだ:静岡。
かーっ:静岡。
かぼ:山形。
かーぼー:静岡。
かぼまぢ:穢多の町:山形。
かわだ:静岡。
かわぼー:岩手・宮城・山形・福島・茨城・栃木・埼玉・神奈川・静岡・愛知。
げない:福島。
(皮付きのカツオの刺身) カツオやサバの類は寄生虫のアナサキスが怖い。だからカツオの刺身は火であぶる。けれども当時はそんな学術的な知識は無く、皮つきのカツオの美味さは絶品だった。アナサキスが胃袋を破ってさらにどこかに行ってしまうかもしれないことより、カツオの味の方が美味かったのである。私の父親はいつも皮付きを要求した。まぐろは基本的に大味である。カツオの美味さには皮の美味さが欠かせない。マグロの皮は厚くてとても食えないからだ。猫の気持ちになると、あの生臭い臭いと食感に私たちはそそられるのだろう。
地元では今でも需要があり、スーパーで売られている。
かわっ 川岸、川端 『川つ端』。
かわっ (果物などの)皮 『皮つ辺』。
かわっ 川べり 『川つ縁』。
かわっ 川岸、川ばた 『川縁』。『川つ縁』。
かわっ:千葉。
かわんふち:川原:千葉。
かわんふぢ:川原:千葉。
かわっ 身分の低い人、穢多(えた) 『称呼』によれば、『東国でかわだ、上総・下総でかわぼう』とある。
『俚言』によれば駿河で『かあぼう』と言うとある。
かーだ:静岡。
かーっ:静岡。
かぼ:山形。
かーぼー:静岡。
かぼまぢ:穢多の町:山形。
かわだ:静岡。
かわぼー:岩手・宮城・山形・福島・茨城・栃木・埼玉・神奈川・静岡・愛知。
げない:福島。
かわばる 【動】強張る、硬くなる、乾いてこびりつく
□○かわぼー 身分の低い人、穢多(えた) 『集覧:稲』。江戸時代には『かわた』と言ったとされる。
『称呼』によれば、『東国でかわだ、上総・下総でかわぼう』とある。
『俚言』によれば駿河で『かあぼう』と言うとある。
『方言学概論』によると、『かわぼー』に『皮坊』と当てている。また『実際の発音は「かあっ・かあぼ・かっ・かっー・かぼ・かーぼー・かんぼー」等、色々である。』とある。
かーだ:静岡。
かーっ:静岡。
かぼ:山形。
かーぼー:静岡。
かぼまぢ:穢多の町:山形。
かわだ:静岡。
かわぼー:岩手・宮城・山形・福島・茨城・栃木・埼玉・神奈川・静岡・愛知。
げない:福島。
かーよげ 堤防 『川除』。
かーよけ:福島・静岡。
がわまーり 物の表面、周辺、周りの人 繰り返し言葉。
かわゆい 【形】可愛い 古い標準語。
かわめ
かわめー
【複】買わないだろう
▽かわらけ @素焼きの陶器、、A無毛症の女性 『土器』。
かわりわり 【形動】入れ替わりに、互いにかわりあって 標準語だが多くは『代わるがわる』を使う。『代わり代わり』は枕草子の時代から使われていた言葉と言う。
かわりかっこー 【形動】交代に、かわるかわる、かわりがわり
かわりっこ
かわりばんこ
▼△かわりばんて
【形動】交代に、かわるかわる、かわりがわり 『集覧:新・猿』。▲『集覧:多』。
かわりばんて:長野・静岡・大阪。
ばんてわりに:山形。
ばんてに:かわるがわる:新潟・長野・山梨。近世語。
かわんめ
かわんめー
【複】変わらないだろう 『変わるまい』。
かん @愛児、可愛い子、A筒袖 @稲敷郡・北相馬郡の方言。『堪』(すぐれること)の意味か?。=『かんちゃん』。古い標準語の『かんかん』には、『かわいいこと。かわいいもの。』の意味がある。
A常陸言葉。
がん 古い標準語。『集覧:新』。『おかん』『おがん』ともいう。
かん〜 【接頭】 主として動詞に用い、強調する意味がある。標準語には殆ど見られない。本来『掻く、書く』等の撥音であるが、茨城方言ではもともとの意味が薄れて単なる強調の接頭語のこともある。下記の事例にもあるように江戸時代にはかなり広く使われていた表現と考えられる。
『俚言』には『ひっ:「奴俳諧」ひっぴけさ音を三味線の糸櫻又ひっぴいてはかんなさむべいなと云。』とある。
【助】@〜の、〜のもの、A(ある単位)に値する数値、〜の分、〜ほど、B〜の(〜)、体言の省略形 『が』は鼻濁音・濁音。鼻濁音のことが多い。『〜の』がさらに訛ったもの。古形はな』。茨城弁の中で最も用法の難しい言葉の一つ。格助詞『の』が先に付く語法もある。
@・:栃木。
〜がん:群馬。
おめんぶんはこいだげだ:お前の分はこれだけだ。
あーたんではだいだ:あんな物では駄目だ、
これはおれんだねーな:これは俺のものじゃないな。
Aこの言葉は大阪起源の言葉とされる。
〜がん:岡山・山口・香川・愛媛・長崎。
:大阪・和歌山・兵庫。
んの:京都。
これでひゃぐえんんだ:これで100円分だ。
B・〜のがん・〜がん:〜のこと:新潟。
ほんつはおれんだ:その次は俺から(俺の番)だ。
おめんそーだごどやっていーのが:お前(ってやつ)はそんなことして良いのかい。
おめんではまいった:お前(ってやつ)には参った。
それんどーした:それが(如き事)どうした。
それはおめんだど:それはお前のせいだぞ。
ん〜 【助】@〜の許に、A助詞と一体になって代名詞の一部になる助詞『が』に格助詞『に』がついたもの。〜ものに、〜にとって 『〜に』が訛ったもの。
〜がん
〜かん
【助】〜から 〜かん:東京。
おらやだがんね:私は嫌だからね。
★『土』:先刻(さっき)俺に打(ぶ)っばされたかんでもあんべえ:さっき俺に殴られたからだろう。
かん
かんめ
貫(貫目:尺貫法の重量単位) おめなんかんめあんだ:お前何貫目あるんだい。
かんいー 【形・形動】勘が良い、利口だ
かんいんさま
かんいんさん
公務員 『官員』。広辞苑には『(明治時代の語) 官吏。役人。』とある。
この手の古い言葉は今と違ってなかなか変えられなかったはずである。また都市部では変えられても田舎にはなかなか浸透しなかったに違いない。『官吏』も今では使われず、『役人』も今では『公務員』にとって代わろうとしている。『役人』とは本来は役の無い人に対して『役のある人』の意味であり、昔の自治組織の中で選ばれて権力を持つ人間のことである。
◆▲▼かんか @【名】頭、髪の毛、A【形動】▼利口なこと、良い子、愛児 @標準語でも『かんかん』は幼児語で髪を指すがほぼ死語。
かんかんいでーが:頭が痛いの?。
A幼児等をほめることば。標準語の幼児語(死語)である『かんかん』は、『かわいいこと、かわいいもの』。茨城方言集覧では旧新治郡・行方郡の訛りで『愛児』としている。猫の頭を撫でる場合も使われる。古い歌に『かんかん娘』がある。
かんかん:千葉銚子。
あんちゃんはかんかだなー:お兄ちゃんは利口だねえ
かんか
かんかめ
かんかんめ
幼児言葉。
がんが
がんがめ
がんが お母さん 笠間市・西茨城郡の方言。
かんいつぐ
かんいつく
【動】考えが頭に浮かぶ、思いつく 『考え付く』、今の多くの若い人たちは、『思うんだけど、思ったんだけど、思いついたんだけど』と言う。どうやら、『考え付く』という言葉には『発明する』意味合いに近い強いイメージがあり、避けられているようである。
かんいる 【動】@考える、A(古くは)占う 新治郡・取手市・鹿島郡では今でも『占う』意味があるという。
かんかかんか 【形動】利口なこと 幼児等をほめることば。標準語の幼児語(死語)である『かんかん』は、『かわいいこと、かわいいもの』。猫の頭を撫でる場合も使われる。
かん
▲▼かん
看護 『集覧:猿』。古い標準語。
広辞苑には『かんがく:一説に、「看護」の「護」を「穫」などと見誤って生じた語かという) 看護。みとること。面倒をみること。』とある。
かん:岩手・宮城・茨城・千葉・埼玉・島根。
がんがく:準備・用意:山形。
(かんがた) 上方 鹿児島。
かんかちぼー 曲がった棒 『集覧:猿』。
標準語の『かんかち』は、『@固くて小さい物が触れて発する音。Aものが固く凍るさま、かんかちこ、かちかち』。しかし、今や使う人はいない。硬い木のことを古くは『鉗・鉄木・金木』(かなき・かなぎ)と言ったのでその流れの言葉と思われる。
かん 寒中にひいた米粉。 常陸太田市の方言。当時は米粉を水に入れてミルク代わりしした。
(かんかね) 掛金 宮城。
かんかやん 【形動】利口なこと、愛児、可愛い子、お利口様 『かんかん様』。
かんまる 【動】かがむ
かんかない 【形】か弱い 稲敷郡の方言。『かんかんだね』(可愛いね)ルーツと思われる『かんかんなりや』が訛って『かんかなや』を経た言葉か。
がんがに 【副】もともと 真壁郡の方言。
かんむしー 【形】恐ろしい、恐ろしい顔つきだ、神々しい 茨城と千葉の方言。『かみがみし』。
かんかむすこ 可愛い息子 『かんかん息子』。
かんめる 【動】かがめる
かんから
かんかん
空き缶、一斗缶 『缶空』。俗語。
かんから:群馬・神奈川。
がんから:山梨。
かんからかん:群馬・静岡。
かんからちん:群馬。
かんからん:静岡。
かんかん:群馬。
がんがら
がんがん
灯油缶などの空き缶 広域方言。大きな缶の殻は何故か濁音化する。棺桶を『かん・がん』と発音するのは古い標準語。
がんがん:青森・千葉。
かんかん:群馬。
かんから
かんからかん
【動】すっかり乾いた様、からから 『すっからかん』に似た表現。
かんからかん:神奈川。
かんからかんから:山形。
かん 水田の用水路(みいこ)の土管等に小魚が集まっているので、上下を泥でせき止め、水をかき出しながら小魚をとる漁法 『川狩り』。
◎かんかん @頭、A利口なこと、良い子 幼児語。
標準語では、@かわいいこと、かわいいもの、A髪 なのでほぼ同じ意味。
かん:上流の子供を指して下流の子供が言う呼称:佐渡島。
かんかん:髪:東京。
かんかん:上流の子供を指して下流の子供が言う呼称:佐渡島。
◎かんかん 重量測定 『看貫』。古い標準語。カウントするという英語が転じた横浜言葉に由来するとされる。
かんかん:目方:群馬・山梨。
かんかん:秤:静岡。『看貫秤』。
かんかん 筒袖 『集覧:北』。
かんかん:長野。
がんがん 【副】どんどん 『俚言』には『ぐわんぐわん:出羽にてはさっさと』とある。今では、普通に使われる言葉である。
かんかんでり 【形動】【名】かんかん照り 標準語。
がんがんばこ 新治郡・行方郡の方言。棺は古くは『がん』とも言う。一斗缶を『がんがん』と言うのに加えて繰り返し言葉になっている。
かんかんま 可愛い孫
(かんかんめし) 麦飯 栃木の方言。
がんがんやさぶろー 幼児語。人名化。『雁々弥三郎』。江戸では『がんがんみつくち』と言った。新治郡・鹿島郡の方言。
がんがん 【形動】ジグザグ、ぎざぎざ
がんさか
かんざか
石段、長い石段 『集覧:新』。
『雁木』には、『きつい坂道に木等を埋めて作った階段』の意味があり『雁木坂』のこと。幼い頃、じぐざぐの坂だとばかり思っていた言葉。実際『雁木』はもともと『雁の行列のように、ぎざぎざの形をしたもの』であり、単に石段だけでなく木馬道や平面的にぎざぎざした坂を指してもおかしくはない。
『俚言』には、ジグザグの図形まで描かれている。
がん:山梨・静岡。
がん:山梨・静岡・大分・長崎。
がんけ:静岡。
かん:石段・石垣:神奈川。
だん:静岡。
たんじ:静岡。
(かんら) 貝殻 静岡。
かんきり 子供の遊びの一つ、缶蹴り
かんきり 金切り声
(かんく) 巡査 静岡。
がんくび 首、人の頭 『雁首』。
がんこ・がんた:首:岩手。
(かんくり) 手順、手立て 神奈川。
かんくわれる 【複】蚊に刺される 『蚊に食われる』。
がんげ
がんけ
@▲崖、断崖、A▲海岸 崖を示す『がっけ』が海岸の意味に転じたと思われる。『集覧:無記載』。
貝原益軒は崖の語源は岸険の音読みとしているが、『がんげ・がんけ』は岸険をにおわせる。古称は『はけ』。
@・がんけ:青森。
かんーごど 考え事 かんーごと:山梨。江戸言葉。
かんなし
かんーなし
【複】熟慮しないこと 『考え無し』。
かんーなし:群馬。
かんーしゃ
かんんしゃ
易者 『考え者』の意味。『考える』には、『占う』意味がある。
かん:占い:千葉・熊本。
かん:占い師:三重・熊本。
かんえしゃ・かんえどん・かんえさん:占い師:熊本。
かん
かんーる
【動】考える かんゃーる:静岡。
かんーる:静岡。江戸言葉。
かん 『集覧:猿』。
かん:埼玉・神奈川・静岡。
◆■▲かんこ 下駄 幼児語。『集覧:西・稲』。
標準語では『かっこ・かんかん』だが今では使う人はいない。
かんこ:東京。
かんこ 寒中に米をといでから凍らせて干し粉にしたものでつくる団子 かんこ:団子:神奈川。『寒粉』の意味か。
(がんこ・がんー) 丈夫 静岡。
(かんく) 看護 静岡。
かん 刑務所、牢屋 『監獄』。
かんぐいり 刑務所入り
かんぐおぐり 刑務所送り
かんこする 【動】考える 『勘考する』。
かんこー:思案:神奈川・岐阜。
かんこーする:愛知。
かんこちゃん 女の子の愛称。 北茨城市の方言。
かんこどり
かんこーどり
カッコウ 広辞苑には『(カッコウドリの訛か。「閑古鳥」と当て字) カッコウ。』とある。
かんこのり 糊の一種
かんころ 丁度良い頃 『勘頃』または『肝頃』の意味。
かんくり:手順・手立て:神奈川。『勘繰り』か。
かんくり:具合:長崎。
かんくれー:程度:福島。『貫位』か。
かんころ:山梨。
がんざ
がんざいし
風化した花崗岩 『がんだ』と明らかに同じルーツの言葉。石の産地の方言。
がんさい 【形動】言動が軽率な様、おっちょこちょい 『集覧:無記載』。古い言葉に『頑子(がんす):頑愚な人。ばかもの。』がある。
がんさい:いたずらっ子:愛知。
がんさい:いたずら:山梨。
がんせ:無作法:長野。
がんせー:いたずらっ子:神奈川。
がんぜねー:子供っぽい:神奈川。
がんし 禁酒 古い言葉の『願酒』。広辞苑には『神仏に願かけして禁酒すること。』とある。
がんし:茨城・埼玉。
かんし とっくり、銚子 『燗酒』の意味。新治郡の方言。方言というより読み間違いか。
がんしき 見識 古い言葉の『眼識』。当時は日常語。
かんじぎ
かんずぎ
浅田用の田下駄 今では一般に『橇(かんじき)』は雪用だとされている。
深田の多い岩井市・稲敷郡・行方郡の方言。『川の敷き』を思わせる。 川は『河(が)』とも言い、湿地を歩く際の敷物の意味で『川の敷き』を思わせる。『川』はもともとは『か』で『川』は『川端』とも思われる。
炊事を古くは『かしき』と言ったのは川のほとりにあったから『川敷き』ではないだろうか。そうなれば、便所を意味する『厠』は『川端屋』の意味の可能性が高い。
『称呼』には『かんじき(かじき):畿内にてなんばといふ。今按にかじきはくろもじの木をたはめて輪となし縄にてあみ革の紐をつけ大さ壱尺ばかりあるもの也。北越及奥羽なとにて雪靴をはき、かじきを結ひ付て、道路を踏みかたむるのに用ゆ。畿内にて なんばといふは 深田の泥の上を行ものにて 是則かじき也。』とある。
かんじこより
かんじより
かんじんこより
◎かんじんより
縒り(こより) 『観世こより』『かんじん縒り』が訛ったもの、こよりはその他『こうより、かんぜより、こうひねり』と呼ばれる。もともとは『紙縒り』(かみより)だったという。
『縒る(こよる)』とは現代ではほとんど使われず、せいぜい『よじる』しか使われない。『縒る(こよる)』とは『繰り寄る、繰り織る』意味ではないかと思われ、現代語と古語にはギャップがある。
『挙る(こぞる)』とは単に『越しぞ居る』意味ではないか。
かんじより:神奈川。
かんじんより:群馬・神奈川。
★『土』:かんぜん撚(より)拵(こせ)えて水(みづ)掻(か)ん廻(まあ)せば、えゝんだよ。
かんじや 鍛冶屋 『集覧:多』。『鍛冶』は広辞苑には『(カヌチ(金打)の約転。「鍛冶」は当て字) 金属を打ちきたえて種々の器物を作ること。また、それを業とする人。』とある。古い呼称の流れと考えられる
かっちや:福島。
〜がんじゃ
〜かんじゃ
【助】〜だからだ 古い言い回し。『〜からじゃ』。
(がんじゅー) 川蟹 静岡。
(がんじゅー) 元気、頑丈 沖縄。沖縄方言の段の変化を表す解かり易い方言。
◎かんしょ サツマイモ 『甘藷・甘薯』。現在でも稀に使われる。サトウキビは『砂糖黍・甘蔗』と書く。
かんじょ
かんじょー
給料、給金、労賃、代金 『勘定』の意味拡大。
かんじょ 便所 『閑所、閑処、灌所』当時の高齢者の言葉。古い標準語。『集覧:稲』。便所の呼称はこのほか『ご不浄・雪隠・手水場』等があるが、『閑所』を含め、現代でも使っている人がいるとすればかなりの高齢者だろう。
かんじゃ:鹿児島。
かんじゅ:奄美諸島沖永良部島。
かんじゅー:宮崎。
かんじょ:岩手・仙台・宮城・山形・千葉・八丈島・山梨・静岡・愛知・石川・広島・高知。
かんじょー:八丈島。
かんしょ:富山・石川。
かんしょば:富山・石川。
かんぜ:宮崎・鹿児島中瓶島・種子島。
かんじょ
かんにょ
宮中に奉仕する女。宮仕えの女房。女官。 当時童謡に歌われた呼称。『官人』に対して『官女』の意味。
〜がんしょ 【複】〜でございましょう 『〜ござんしょ』がさらに訛ったもの。
〜がんしょ:福島。
〜がんしょ 【複】@(〜して)いいでしょう、(〜すれば)いいでしょう、A(〜して)行ってください @『ようございましょう』が訛った『いがんしょ・よがんしょ』がさらに訛ったもの。
〜がんしょ:福島。
やったらがんしょ:遣ったら良いでしょう。
よってったらがんしょ:寄って行ったら良いでしょう。
A『(〜して)いがんしょ』がさらに訛ったもの。
〜がんしょ:福島。
よってがんしょ:寄って行って下さい。
がんじょ
がんじょー
【動】堅固で丈夫なこと 『集覧:久・稲』。『頑丈』。
がんこ:神奈川。
がんじゅい:頑丈に:鹿児島。
がんじゅーに:頑丈に:鹿児島。
がんじょ:神奈川。
がんじょーぶ:神奈川。
がんちょー:山形。『頑強』か。
がんじょー
かんじょめ
馬の特にすぐれて強健なもの。 『岩乗』。
(かんしょー) 子供の意地の強いこと 神奈川。『癇症』の意味という。『疳の虫・癇の虫』。
かんじょしる
かんじょーしる
かんじょする
かんじょーする
【動】数える、計算する 東北南部から近畿まで分布する。
かんじゅーする:埼玉。
かんじょーしる:山梨。
かんじょーする:群馬。
よむ:能登半島付近・大阪を中心とした近畿・四国。
かんじょーだげー 【形】金銭の勘定が細かく、けちである。また、利害に敏感で、打算的である。 『勘定高い』。勘定高いことはかつて誹謗の対象になったが、今では勘定高いことが社会人の必須条件となった。
かんじょーだけー:神奈川。
かんじょーび 祭りの翌日 『勘定日』の意味。
(かんじる) 【動】寒くなる 神奈川。
かんじんこより 縒り(こより) 『観世こより』。
かんじょ:鹿児島。
かんじんより:群馬。
かんのこえ:鹿児島。
▲▼△◇かんす 茶釜 『集覧:新・稲』。『鑵子』(湯釜、茶釜)のこと。広辞苑には『@湯を沸かすのに用いる青銅製または真鍮(シンチユウ)製の器。茶鐺(チヤトウ)。A茶の湯に用いる茶釜。真形(シンナリ)の釜を指す場合と弦のある手取釜を指す場合とがある。』とある。
『呼称』によれば、歯のある茶釜は江戸では『茶釜』、畿内及び西国で『鑵子』と呼んだとある。東国で言う『鑵子』は歯がない弦のある釜を言ったとある。
『聞書』には、江戸で言う薬缶を浪花で『かんす』と言ったとある。現代でも大阪で使われる。
かんす:茨城・神奈川・三重・奈良・和歌山・京都・岡山・広島・愛媛・高知・大分・佐賀・熊本。
〜がんす 【助】〜ございます ございます→ござんす→ごわんす→ごわす→ごんす・がんす→ごす・がす→ごっす
『有難う御座いました』を岩手では『ありとがした』、福井では『ありとごいした』と言う。鹿児島では『〜ですよ:ござるぞ』を『ごあんど・ごわんど』と言う。
〜がす:秋田・岩手・茨城。
〜がーん:〜です・ございます:静岡。
〜がーんした:〜ございました:静岡。
〜がんす:岩手・秋田・山形・茨城・群馬・静岡・広島。よーがんした:ようございました:群馬。
〜がーんだ:〜です:静岡。
〜がんはー:静岡。西日本方言に近い。元『〜ござんすは・〜ござんすわ・〜ござんさー』か。
〜ごあす:鹿児島。
〜ごあんど:〜ございますぞ:鹿児島。
〜ごいす:山梨・福井。
〜ごわす:岩手・長野・大阪・鹿児島。
〜ごゎんす:徳島。
〜ごわんど:〜ございますぞ:鹿児島。
〜がんすか:〜ございますか。
〜かんせー・〜がんしょー:〜ございましょう。
〜がんすね:〜ございますね。
〜がんすよ:〜ございますよ。     
(かんずか・がんずら) 髪の毛 静岡。
かんずぎ 田下駄 『橇(かんじき)』(雪の中に足を踏み込まぬため靴・藁靴などの下にはく、木の枝または蔓などを輪にしたもの。木の爪をつけたものや鉄製のものもある。)の転。稲敷郡の方言。『たかんじぎ』とも言った。
▲▼かんすず 徳利 『錫』は単独で『錫で作った徳利に似た口の細い酒器。』の意味がある。『集覧:多』。
『日本方言大辞典』では『燗錫』と当てている。
かんつぼ:静岡・愛知・岐阜。
(がんせー) いたずらっ子 神奈川。
(がんぜねー) 【形】幼くてまだ是非・善悪のわきまえがない。ききわけがない。転じて、無邪気である。 神奈川。『頑是無い』。
がんぜにゃー:静岡。
かんぞ
かんぞー
@可愛がること、寵愛すること、A大切な子供、可愛い子供、良い子、ひぞっこ、B子供をほめるときに使う言葉、良い子、利口な子 『集覧:猿・稲』。
古い標準語の『かんかん』を受けて人名化した『かん蔵』の意味だろうか。『家蔵』が訛ったか。
『日本方言大辞典』では『甘草』と当てている。甘く育つからとの説である。
かんぞー:福島・茨城・千葉・栃木。
かんぞー:可愛がること:栃木。
かんぞー:上流の子供を指して下流の子供が言う呼称:佐渡島。
かんぞー:最愛児:佐渡島。
かんぞかんぞ:良い子良い子:栃木。
かんちょ:息子:新潟。
かんぞーむすこ:可愛い息子。
かんぞーむすめ:可愛い娘。
かんぞーま:可愛い孫。
かんそー 罪人をおりに入れて送ること 『檻送』。現代では最終刑が確定するまでは罪人ではないので、すっかり聞かなくなった。
かんそいも
かんそーいも
干し芋 『乾燥したイモ』。
干し芋になるのは『タマユタカ』という品種で、皮が白くずんぐり太ったものである。煮ても焼いても食えたものではなく、豚の餌にしかならないシロモノである。
似て干してやっと食用になる。茨城の冬の炬燵の上には、ミカンとピーナッツと共に欠かせないものである。
いもんぼし:長野。
かんそー:群馬。
きっ:山梨。『切り干し』の意味である。
かんそーいり
かんそーおぐり
牢屋入り、逮捕されること 『かんそー』とは『檻倉・監倉』のこと。『監獄』と同じ。
がんぞねこ @野良猫、A泥棒猫 『強盗猫』。
かんそば (たばこの)乾燥場
かんぞーま 可愛い孫
◆▼かんぞむすこ
かんぞーむすこ
大切な息子、可愛い息子、良い息子 『日本方言大辞典』では『甘草』と当てている。甘く育つからとの説である。
古い標準語の『かんかん』を受けて人名化した『かん蔵息子』の意味だろうか。『家蔵』が訛ったか。遠藤忠男氏は、『愛し』を擬人化した『愛蔵』だとする説を唱えている。
かんぞーむすめ 可愛い娘。
かんだ
がんた
片方の目が見えないこと、その人 江戸言葉。一説に『眼一』(げんいち)が訛ったとされる。
『本朝俚言』では片目を『獨眼(かんだ)』と読ませている。
かだめっこ:茨城。
がんた:茨城。
がんた:役立たず:静岡。
かんだ:岐阜・兵庫・徳島。近世語。
かんぢ:和歌山・徳島・高知。
がんち:近世語。
がんちょ:茨城。
かんちょ:茨城。
めっこ:茨城。
めっこ:目脂・目の悪い人:宮城。
がんだ @生煮えのご飯、A焦げたご飯 『かんだめし』
@・がんだ:千葉・神奈川。
かんだ:神奈川。
がんだめし:福島・茨城・千葉・三宅島。
がんためし:神奈川・静岡。
がんどー:静岡。
がんどめし:茨城(東茨城郡・鹿島郡)。・めっこめし:秋田・宮城・福島・栃木・新潟。
めっこごはん:宮城。
〜がんだ
〜かんだ
【助】@〜(の)せいだ、〜(した)からだ、A〜(する)かだ 古い言い回し。
@多くは促音便に接続する。撥音便の場合も有る。『〜からだ』の撥音便・濁音化。
おめやったがんだよ:お前がやったからだよ。
ぼげっとしてっかんだよ:ぼけっとしているからだよ。
A★あいづやってもでぎねんではおめやるがんだな:彼がやっても出来ないならお前がやるかだな。
がんだいぼー @らい病患者、Aわからずや @A『乞丐坊』の意味。
B『勝手坊』の意味かあるいは単に罵倒語か。。
かんたぐ 上大津地区の東南部にある干拓地の呼称。地図上の地名にはなっていない。霞ヶ浦に面した所謂『谷和原』(柔ら:やわら)地帯で湿地であった場所を農耕に適するように仕立てた場所。
(かんだくさ) 【副】山盛りに 鹿児島。
(かんだし) かんざし 神奈川・静岡。
かんだしぼー 掻い出し棒、竈の灰を掻い出す棒 かんだし:群馬。
かんだしぼー:群馬。
◆▲かんだす 【動】@◆▲掻き出す、Aおいだす @『集覧:猿』。『掻い出す』。
★『土』:おつに掻(か)ん出(だ)して貰(もら)あんでなくっちっ厭(や)だっちから俺(お)ら管(かま)あねえんだな、そんでなけりや幾(いく)らでも出(だ)して遣(や)らざらによ。ここで『遣(や)らざら』は『やらざらむ』の意味。
かんだぢ
□△▽かんだち
@雷、A夕立、雷雨 『集覧:多』。『神立』。
『神立』とは、『神が怒り立つ』意味で、洪水を恐れたことから、農耕の民は恐れたが、それは恵みの雨にもなるため、二律背反
@・かんだち:秋田・福島・茨城・千葉・静岡・長野。
A・かんだち:青森・岩手・千葉・神奈川・東京大島・長野・山梨・三重。
かんだちあめ:夕立:青森・神奈川・山梨。
かんだち:入道雲:長野。
かんだづ 上大津地区の北西にある町の名称。『神立町』(かんだつちょう)。当時は『かんだづまぢ』とも呼んだ。
かんだまし ごまかし、偽り
◆▲かんだます 【動】騙す、偽る 『集覧:西』。
がんだめし
▲▼かんだめし
がんためし
がんたんめし
生煮えのご飯 『集覧:無記載』。
清音形を含めれば東関東から静岡県あたりまで分布する。
『がんどう(強盗)』、『ごんた(権太)』(ごろつき、腕白小僧、手に負えない少年)、『がんどう(頑童)』(頑なで愚かな少年)が考えられる。類似方言を含めると全国的なもの。出来損ないの意味であることは間違いない。そうなると偽物を意味する『贋』も無視できなくなる。
一方、茨城では片目を『めっこ』とも言うが、秋田・宮城・福島・新潟では『めっこめし』と言う。これは不思議な一致で、江戸言葉の『かんだ』(片目)が発展した『かんだめし』も、『めっこ』が発展した『めっこめし』『片目の飯』の意味となる。生煮えのご飯を言い換えればすなわち『硬めの飯』である。片目は『片盲』(かためしい)とも言う。つまり、『硬めの飯』と『片盲』(かためしい)が繋ぐ言葉遊びの図式ではないか。
かだめっこ:片目:茨城。
がんだ:生煮えのご飯:千葉・神奈川。
がんた:片目:茨城。
がんた:頭:岩手・宮城・長野・静岡。
がんた:首:秋田・岩手。
がんた:頭髪:長野。
がんた:軟弱な様:新潟・長野。
かんだ:片目:岐阜・兵庫・徳島。江戸時代の言葉が残ったものである。
かんだ:生煮えのご飯:神奈川。
がんだめし:生煮えのご飯:福島・茨城・千葉・三宅島。
がんためし:生煮えのご飯:神奈川。
かんぢ:片目:和歌山・徳島・高知。
がんち:片目:近世語。
がんちょ:片目:茨城。
かんちょ:片目:茨城。
がんつ:粗悪なもの:宮崎。
がんどー:生煮えのご飯:静岡。
がんどめし:生煮えのご飯:茨城(東茨城郡・鹿島郡)。
ねっこめし:生煮えのご飯:福島。
ままっこ:生煮えのご飯:静岡。
ままっこめし:生煮えのご飯:神奈川。
めっこ:目脂・目の悪い人:宮城。
めっこ:片目:青森・宮城・山形・福島・群馬・佐渡島。
めっこごはん:生煮えのご飯:宮城。
めっこのめばたき:素早い/両目の瞬きより片目の瞬きのほうが半分の早さであるこから:群馬。
めっこめし:生煮えのご飯:秋田・宮城・福島・栃木・佐渡島・新潟。
めっこめし:柔らかすぎに炊けたご飯:宮城。
めっこまま:生煮えのご飯:山形。
がんだや 廃品回収業者 『がんどう(強盗)』、『ごんた(権太)』(ごろつき、腕白小僧、手に負えない少年)、『がんどう(頑童)』(頑なで愚かな少年)が考えられる。
がんだや:千葉銚子。
かんだるい 【形】だるい 『かいだるし・かいだるい』。
『俚言』には『かんだるい:伊豆にら山にて草臥たこと、郡内にて疲労のこと。』とある。ここで郡内とは山梨県都留郡を指す。
がんだりー:静岡。
かんだりー:神奈川・静岡。
かんだるい:神奈川・静岡。
がんだれる:疲れきる:埼玉。
がんたれ @悪者、A腐りかけたもの @『頑たり・頑垂れ』の意味か。
がんたれ:利かん坊・暴れん坊:鹿児島。
がんたく:おてんば:山形。『権太』か。
がんたく:腕白な子供:滋賀。『権太』か。
がんば:いたずら者:長野・静岡。
がんたれぼーず:糞坊主。
A『癌たり・癌垂れ』の意味か。
がんたれ:役立たず:鹿児島。
がんたれ:粗末なもの:宮崎・鹿児島。
がんつ:粗末なもの:宮崎。
んたれえ:あばら家:鹿児島。
んたれもん:くずれもの:鹿児島。
がんたれる 【動】挑戦的な視線を送る、睨む
(感嘆を示す終助詞) 茨城方言には、ど、どい、どや、どよ、どよな、な、ない、なな、なに、なや、なよ、なよな、に、にな、にや、によ、や、やい、やな、よ、よい、よな、よに、よや等がある。
がんち 片目 江戸言葉。=『かんだ』
一説に『眼一』(げんいち)が訛ったとされる。
がんち:佐渡島。
かんぢ:和歌山・徳島・高知。
かんぢ:びっこ:高知。
がんちゃ:不揃いな様・かたちんば:千葉銚子。
がんちー 十文銭(寛永通宝)を2枚合わせて投げ表裏の出方で丁半を決める遊びで半を言う。 『かだめがんちー』
(がんちきー) 【動】にらみ付ける 沖縄。『眼』を『付ける』。
かんち 勘違い かんち:青森。
がんちめっこ
かんちょめっこ
十文銭(寛永通宝)を2枚合わせて投げ表裏の出方で丁半を決める遊び 北茨城市の方言。十文銭そのものも指すことがある。『がんち』は片目を言う。片目の人が十文銭を目に当てたことことから十文銭を『がんち』と言うようになり、その表裏の目を合わせることを『めっこ』と呼んだものと思われる。半を『がんちー』『かだめがんちー』と呼ぶことがそれを裏付ける。
かんぢゃす
かんちゃす
【動】噛み潰す 『噛み潰す(つやす)』意味。
べろかんちゃっしゃった:舌を噛んじゃった。
▲▼かんちゃん 愛児 茨城方言集覧では、旧那珂郡の方言として紹介されている。茨城方言では『可愛い子・利口な子』を『かんか』と言うがその流れと考えられる。
かんちょ:息子:福島。
がんちょ 片目 『眼一』(げんいち)、『がんた、がんち』。北茨城市のの方言。
(がんちょー) 眼鏡 沖縄。『眼鏡』の訓読みが訛ったものか。
◎がんちょうまいり
がんちょーめーり
初詣 『元朝参り』。茨城では『初詣』とは言わない。
『広辞林』には『元朝』はあるが連語では載っていない。ワープロソフトも漢字変換できない。
初詣は村毎にある八坂神社のほか、真鍋の八坂神社まで足を運ぶことが多い。
がんちょうまいり:宮城。
かんちょりん
がんちょろりん
かんちょろりん
◆▲かんちろりん
@◆育ちの悪い作物、A痩せて細い人、B▲サツマイモを細く切って油で揚げたもの 『銚釐』(ちろり)とは『〔「ちろり」と短時間に暖まるところからという〕酒の燗(かん)をする道具。銅・スズまたは真鍮(しんちゆう)製で下の方がややすぼんだ筒形をしており、取っ手と注ぎ口がついている。湯婆(たんぽ)。』(大辞林)とある。すなわち『燗ちろり』の意味である。
『かんちょろ』は、全国に散在する。最も近い福島に『神長老林節』(かんちょろりん)という民謡があることが解った。また関西圏では、カンテラを『かんちょろ』と言う地域がある。
@・かんちょー:病弱なこと:岐阜・長崎。
かんちょろ:弱くもろいこと:鳥取。
かんちょろい:か弱い:長野・京都。
A『集覧:無記載』。
かんちょろ:大阪。
B▲『集覧:新』。他に『かんちょりん』がある。
かんつぁん お母さん 2人称・3人称。話している当人は『かーつぁ』と言っている場合がある。
かんづがねー
かんつかねー
【複】気が付かない、考えることができない 濁音化・清音化。
かんづぐ
かんつく
【動】感づく、気が付く 濁音化・清音化。新治郡では『がんつく』という。
がんづく:群馬。
がんつける 【動】挑戦的な視線を送る、睨む 『眼』を『付ける』。青少年共通俗語だが死語。
かんづげる 【動】かこつける 『間を付ける』意味か。
かんつける:青森。
かんつり 気の短い人、かんしゃくもち 『奸攣り』の意味。
《ちょーだ(千代田)のかんつりーくらぶっちゃ、短気なしとが行どごがー。》
かんでー 棺を置く台。 『棺台』の意味。
〜がんで
〜かんで
【助】〜(した)からで
んでは 【助】〜ときたら、〜って 『〜なでは』がさらに訛ったもの。
・(匂いを)かんで〜 【複】(匂い)を嗅いで 『嗅いで』の撥音形。
かんてら
かんてらあだま
禿げ頭 かんてら:神奈川。
かんど
がんど
がんどー
がんどめ
がんどーめ
【形動】【名】@遊び人、Aしたたかな人、B泥棒 『がんどう(強盗)』は近世以前の呼称である。
茨城では強盗の意味は残らなかったが、間接的な意味だけが残った。『がんどう(強盗)』の関連方言があるのは関東では茨城だけである。
がんどー:強盗:青森・秋田・岩手・長野新潟・香川・徳島・福岡・長崎壱岐島・熊本。
がんどー:おいはぎ:秋田・熊本。
がんどー:悪い者:岩手・長崎。
がんどきらして:不良っぽいことをして:茨城。
がんどくち:悪口:長崎。
がんど
がんどー
がんどねご
がんどーねご
がんどーねこ
がんどめ
がんどーめ
@野良猫、どら猫、A泥棒猫、B老齢で悪さをする猫 『強盗』『強盗猫』『強盗奴』。那珂湊市では『がんぞねご』と言う。
がどねご・がんどねご:秋田。
がんどめまーだきたもんだがらー、とっつがめでずだぶぐろさいれでー、とっちめでやったよ、いーやぎゃんぎゃんやっこどやっこど、これがらはまっさがきめはー:野良猫がまた来たから捕まえてかますに入れて懲らしめてやったよ。いやあ随分ぎゃあぎゃあ騒いでたなあ。まさかこれからはもう来ないだろう。
がんどいぬ 野良犬
んどご
んとこ
【助】@〜分、〜ぐらい、A〜のところ 『〜とこ』『〜ところ』
@・んとこ:京都・兵庫。
がんとばす 【動】挑戦的な視線を送る、睨む 『眼』を『飛ばす』、青少年共通俗語だが死語になりつつある。
がんどめし 生煮えのご飯
(かんどられる) 【複】気を取られる 静岡。
〜がんな
〜がんね
〜かんな
〜かんね
【助】〜(した、だ)からな、〜(した、だ)からね 『が』は多く濁音だが、鼻濁音のこともある。清音の『〜かんな・〜かんね場合は、関東から東北にかけての訛。俗語と言って良いかもしれない。『〜からな』の撥音便。関西弁の『〜さかいな・〜な』に当たる。西国方言の『けんな・けんのう』に相当する。
『から』は広辞苑に『から:(一説に、「うから」「やから」「はらから」などの「から」と同源。自然の血のつながった一族という意味から筋・素性・自然のつながりという意味を派生し、更に自然な成行きの意から「おのずと」という使い方が生れ、一方では出発点を表すように広がり、そこから原因・理由を表す使い方ができたという。』とある。
しかし、関西方言の『さかい』は『然りあるから故』の意味とも思える。
おめーらいづまでもづまでもちょーしんのってんじゃねーがんな。ご存知『赤いプルトニウム』の決まり文句。これは新しい言い方で古くは『おめらいづまでもづまでもちょーしんのってんだ(でや)ねーがんな』
おれはやったがんな:私はやったぞ。
おらやだがんな・やだがんなおら:私は嫌だからね。
あんちゃんいんかんな:兄さんが行くからな。
いまみでろ。すぐででくっかんな、じゃらじゃら:今見てろよ。すぐに出て来るからな、じゃらじゃらと。
★『土』:俺(お)ら今朝(けさ)はたべたかねえかんな
★『土』:おつう、せかねえでもえゝぞ、俺(お)ら今朝(けさ)少(すこ)し工合(ぐえゝ)が惡(わり)いから緩(ゆつ)くりすっかんなよ:おつう(人名)、急がなくても良いぞ。俺は少し具合が悪いからゆっくりするからね。
★『土』:いや桑の根っ子の遠くへ踏ん出すんぢゃ魂消(たま)たもんだから、目も有りもしねえのに肥料(こやし)の方へ真直ぐにずうっと来っかんな:いやあ、桑の根っこが遠くに張り出すのは驚いたもので、目も有りもしないのに肥しの方へ真直ぐずんずん(伸びて)来るからな。
★『土』:わし等(ら)姉(あね)はお内儀(かみ)さん、碌(ろく)でなしですかんね
★『利根川の一夜』:引き波えら來るかんな下手にすっと波くふかんな
〜がんない
〜かんない
〜がんない

〜かんないや
【助】〜(した、だ)からな、〜(した、だ)からね 『〜がんなや』がさらに訛ったもの。
んない
んねー
【複】@〜がらない、A〜がることはできない(〜がれない) 標準語では普通Aのような言い方をすることはない。茨城弁の表現の豊かさを示す言葉。
@『がんない』なら俗語。
なんだっ、やんねーなー:何だろう、嫌がらないなあ。
A★『土』:おっかあ乳房(ちっこ)欲(ほ)しんねえんだぞ:お母さんのお乳は欲しがることは(もう)できないんだぞ。
がんないぼー 気の弱い人 『頑なし坊』または『我なし坊』の意味か。
がんない:脆弱・軟弱:岩手。
かんながら
かんなっから
かんなくず かんながら:宮城。
かんなぐ
かんなく
【動】泣きわめく 『集覧:稲』。
はんなかす:ひどく泣かす:神奈川。
かんな 【動】@書き殴る、ぞんざいに書く、A▲殴る、打つ、Bざっと刈る @『書きなぐる』。標準語には『かなぐり捨てる』がある。また『かなぐる』は『荒々しくひきむしる。激しく動作する。』意味で竹取物語にある古い言葉である。
かんな:八丈島。
A『集覧:西』。合成語を形成する『かなぐる』の転。
かんな:神奈川。
B『刈りなぐる』。
(かんなっちょ) トカゲ 宮城。
がんなし
がーんなし
がんねー
がーんねー
【複】我慢が出来ない様(人) 『我なし』が転じたか。
(かんなじ) 【副】必ず 沖縄。
かんなする 【動】なする、塗りつける、擦り付ける 『かんなびる』匿名投稿:茨城県南部在住の方。良く使われた言葉。
はやぐなおるようにめんたむかんなすっとげ:早く治るようにメンタムを塗っておきなさい。
かんなぜる
かんなでる
【動】平らにする 『掻き撫でる』。
かんなびる 【動】@塗る、Aなすりつける 『かんなする』
かんなめる 【動】舐める
〜がんなや
〜かんなや
〜がんなよ
〜かんなよ
【助】〜(した、だ)からな、〜(した、だ)からね ★『土』:そんぢや惡(わる)かったっけな爺(ぢい)そんぢや俺(お)れ今(いま)入(せ)えてやっかんなよ
かんならす 【動】掻き均す、平らにする
かんなり
かんなりさま
◎かんなりさん
『雷鳴』(かんなり)。
おかんだち:山梨。
おかんなり:山梨。
からなり:雨が降らずに鳴る雷鳴:埼玉。
かんだれ:鹿児島。
かんなさま・かんなっさま:千葉。
かんなりさま:千葉。
かんなれ:鹿児島。
かんなりもしない
かんなりもしねー
【複】出来もしない 『集覧:猿』。『かないもしない』意味
かんに
かんにー
かーんに
かーんにぇ
【複】食べられない 『食えない』の転、くえない→くえね・くいねーくわんねんねかーんねかーんにぇかーんにかんに
このきのごはどぐあってかんにがんな:このキノコは毒があって食べられないよ。
かーんに
かーんにぇ
【複】変わらない
〜がんに
〜がんにぇ
【助】〜(した、だ)からね
んに 【助】@〜に、A〜のために、B〜の分に 『〜なに』がさらに訛ったもの。
おめのがんにつぐったんだがんな:お前のために作ったんだからね。
んに 【助】〜ので 『集覧:北』。『〜かに』とも言う。『集覧』の解説では『故に』とある。『〜のに』の意味で新潟でも使われる。
この場合のん』は『がな』の変化したの』が訛ったもので、体言が省かれ、『〜の故』の意味。
んには
んにや
んにゃ
【助】@〜には、A〜のためには、B〜の分には 『がには』。現代語に直訳すれば、『〜の物には』の意味。
このばんみはこどもんにはちっといっちだな:この番組は子供のためにはちょっとエッチだね。
かんにゃえー 【複】食べられない 『集覧:稲』。『食われぬえ』。
がんにん @▲坊主頭、A乞食、乞食僧 『がんにん(願人)』は『願人坊、願人坊主』(乞食僧)のこと。
@『願人頭』の意味。『集覧:新』。
がんにんあだま 坊主頭 『願人頭』の意味。
かんにんする 【動】諦める 『観念する』。
かんにんする 【動】許す 『堪忍する』。
かにする:静岡。
かにんな:御免なさい:静岡。
がんにんぼー 乞食僧 『願人坊』。
かんね
かんねー
かーんね
【複】食べられない 『食えない』の転。
かんねー:宮城。
かーんね
かーんねー
【複】変わらない かわんない:静岡。
かんねー 【形動・名】気の弱いこと、臆病者 『奸佞・姦佞(かんねい)』(心がねじけて人にへつらうこと。また、その人。)の意味の変化。
〜がんね
〜かんね
【助】〜(した、だ)からね 主として女性言葉または丁寧語。
かいったらやだかんね:帰ったら嫌だからね。
〜がんね
んね
【助】〜(しなければ)いけない 『いがねえ』が訛った『いがんね』が詰まったもの。
おめやんねげがんね:お前がしなくちゃいけないからね。
(かんねこ) 寒がり 神奈川。
がんねーぼー 【形動・名】気の弱いこと、臆病者 『我なし坊』の意味で、自分が無いことと考えられる。東茨城郡の方言。那珂郡・笠間市・西茨城郡・新治郡の方言。
かんねんする 【動】諦める、観念する 使う人が少なくなりつつある標準語。
かんのげる
かんのける
【動】掻き退ける 標準語では一般にイ音便化して『掻い退ける』と言う。
かんのける:山梨。
かんのげろ
かんのけろ
【複】掻き退けなさい、掻き避けなさい 『集覧:猿』。
◎かんのし 神主 『主(ぬし)』(おぬし・お前)を『のし』と発音するのは近世語。
おかんのし:山梨。
かんのし:東京。
かんのすろ 【複】お燗をしなさい 『集覧:猿』。『燗をしろ』。
この『の』は広辞苑に『撥音ンで終る体言に助詞「を」がつき連声(レンジヨウ)によってノとなったもの。目的格を示す。狂、烏帽子折「油断―させまいといふ事ぢや」。浄、凱陣八島「哀憐―垂れ、通さんこそ本意ならめ」。膝栗毛二「しからば六十二文―つかはそうか」。伎、小堀政談「却つて迷惑―仕りまする」』とあり、近世語が残ったもの。
似た表現に『かんべのすろ』(勘弁しろ)がある。
かんのぼせ 思い上がる人、お調子者 『かん』は強調の接頭語または『癇』。
かんのぼせる 【動】思い上がる、調子に乗る
かんば
かん
@火傷、A火傷のあとのケロイド、B禿、部分的な禿げ 『集覧:久』。
@A『火の破(@やぶること。こわすこと。こわれること。Aだめになること。形をくずすこと。』の意味か。
かん:千葉。
B『看坊(かんぼう)』(禅寺で、留守居の僧。また、寺を守る僧)が転じたか。『かんばふ』。あるいは『髪の破』の意味か。
かん:長野。
かん:沖縄。
かんば 頭にできた吹き出物 『髪の破』の意味か。
がんば:あばた:長野。
かん:頭の出来物:静岡。
(がんば) 子供の乱暴な行為 神奈川。
(がん・かん いたずらもの、強情、いじわる 静岡。
がんばご
がんばこ
『集覧:新』。
辞書では『がん』そのものが棺を指す。棺桶(かんおけ)はその昔、桶のような形状であったとされる。屈葬の時代の棺桶である。当時は『おがん』『おかん』とも言った。
棺の意味の『棺箱(かんばこ)』は広辞苑に掲載されているのが見つかった。
がんおけ:秋田・静岡。
がんばご:山形・宮城・福島。
がんばこ:山形・宮城・福島・茨城・群馬・埼玉・奈良・和歌山。
(かんち) 暴力的な人 長野。
(かんばち・かんち) 静岡。
(かんち) 傷跡、部分的なはげ 沖縄。
かんばづ 旱魃 かんばづ:千葉。
がん
がんばらぼね
がんらぼね
あばら骨 『強張、甲張、勾張』の意味か。
かんはる 【複】感情が激しく怒りやすい、癇が強い 『癇が張る』意味。
がんばる 【動】@頑張る、A我を張る 標準語そのものだが、当時は『我を張る』意味で多く使われた。『集覧:猿』。
ちなみに『頑張る』は当て字で『我に張る』が正しいという。
かんばんたおし 見掛け倒し 標準語では『看板倒れ』。
(かんーな) 痩せて貧相な人 静岡。
かんょー @ユウガオ、Aヒョウタン ユウガオからとれる『干瓢・乾瓢』をユウガオやヒョウタンの総称(フクベ)にしているもの。
かんぶぐろ
◎かんぶくろ
紙ぶくろ 清音なら古い標準語。童謡にも歌われる。
かん:鹿児島。
かんかぶい・かんくびい:女性の髪飾り:鹿児島。
かんすき・かんすっ:紙漉き:鹿児島。
かんぶくろ:神奈川。
かんぶぢゃ
かんぼちゃ
カボチャ 『南瓜』。語源は一六世紀頃カンボジアから伝来したからと言われ、語源が残ったとも考えられる。東茨城郡・土浦市の方言。
かん
かんらいも
かん
かんらいも
ジャガイモ 『かんら』は広辞苑掲載語。
『(福島・茨城・栃木県などで) じゃがいも。かんらいも。』とある。半濁音は濁音で発音されることがある。『かぶらいも』(カブのような丸いイモまた株状にできるイモ)が訛ったものと考えられる。茨城県北部や東北地方では今も使われているという。『集覧:多』。=『あっらいも』『かっらいも』
『茨城のことば』では、『茨城方言であっらいもと言い、那珂川を上がって栃木では「かんら・かんら」、佐竹氏のの移封で秋田「あんら・あふら」、さらに宮城「あっら」に伝わった。天保七年丙申(1836)の大飢饉の年に出版の「救荒二物考」(高野長英)に「アップラ奥地の方言なり。按ずるに此アールドアップルの略言なり。」とあるようにオランダ語 aard apple(土リンゴのことでジャガイモの意)の略転。(中略)尚、あっかんと、語勢を強めてののしり言葉、悪口言葉として使ったりする。「かんは、発芽しはじめてシワのよったジャガイモ」というが、食用にならぬ腹立たしさはののしる意味に通じるからでもある。』とある。
しかし関東の『蕪(かぶ)』を関西では『かぶら』と言い、根茎は『かぶら』とも言われる。日本古来の芋は『サトイモ』であり、その後『サツマイモ』(戦国時代末期に伝来)が伝わり、遅れて『ジャガイモ』(江戸時代)が伝来した。これらの事からもともとは『かぶらいも』に由来するとも考えられる。
あっ:岩手・秋田・宮城。
あっらいも:宮城・茨城。
あふら:秋田・宮城。
らいも:秋田。
あん:秋田。
あんらいも:秋田。
かっらいも:茨城。
かん:福島・茨城・栃木。
かんらいも:福島・茨城。
かんらえも:福島。
かん:茨城・栃木。
かんらいも:茨城・栃木。
(かんぶらかす) 【動】動揺させる、かきまわす、船や木などを揺する 静岡。
かんぶり 『頭』(かぶり)。
『冠』の上代語は『かがふり』。転じて『かうぶり・こうぶり』となり、『かんむり・こうむり・かむり・かんぶり・かぶり』になった。また日本語では『ぶ』と『む』がしばしば音通する。
かーぶり:静岡。
かんぶりかんぶり 赤ん坊が頭を振ること、またはその様、いやいや 幼児語。『頭頭』(かぶりかぶり)。撥音化。
かんぶりふる 【動】@嫌と言う、否定する、頭を振る、Aサトイモの葉等が風で揺れる 『頭(かぶり)を振る』。
@・かーぶりふる:静岡。
かぶりをふる:群馬。
かんぶりをふる:群馬。
かんべ
かんべー
【慣】御免なさい 『勘弁』。子供が謝る時の言い回し。
かんべー
かん
かんべさん
かんーさん
かんーむし
ジグモ、ハラキリグモ 捕まえると自分で腹を切ることから、『早野勘平』を指していると思われる。『仮名手本忠臣蔵中の人物。赤穂浪士の一人萱野三平に擬す。お軽の夫で、誤って舅を殺したと思い、自害する。』とある。
標準語の別称には『アナグモ・勘平(カンペイ)・サムライグモ・ツチグモ・ツナグモ・ズボズボ・ネヌケ・ハラキリグモ・フクログモ』がある。
(かんべー) この位 神奈川。
かんべのすろ 【複】御免なさい 『集覧:猿』。『勘弁をしろ』。
この『の』は広辞苑に『撥音ンで終る体言に助詞「を」がつき連声(レンジヨウ)によってノとなったもの。目的格を示す。狂、烏帽子折「油断―させまいといふ事ぢや」。浄、凱陣八島「哀憐―垂れ、通さんこそ本意ならめ」。膝栗毛二「しからば六十二文―つかはそうか」。伎、小堀政談「却つて迷惑―仕りまする」』とあり、近世語が残ったもの。
かんべん
かんべんな
【慣】御免なさい 子供が謝る時の言い回し。標準語と言ってもよい。
かんな:長野。
かんべん:群馬。
かんべんかんべん:群馬。
かんべんする 【動】勘弁する、許す 標準語。茨城弁では『許す』は使わなかた。最近の標準語ではほとんど肯定形だけが使われ代表的なのは『勘弁してくださいよ』。
かんべんしねーがんな:許さないからね。
(かんべんかりる) 【複】知恵を借りる、相談に乗ってもらう 神奈川。
かんべんなんね
かんべんなんねー
【複】許せない、勘弁ならない ★土浦の民話:河童に食われた狸:全ぐ、娘っ子引きずりごむなんつぉ、どおだ河童だが、勘弁なんねえ:全く、女の子を引きずり込むなぞ、どんな河童だかねえ。勘弁ならない。
かん
かんあだま
剥げ頭 『集覧:猿』。『看坊(かんぼう)』(禅寺で、留守居の僧。また、寺を守る僧)が転じたと思われる。
がんぼりがんぼり 【副】どんぶりこどんぶりこ
かんまー
かんまう
【動】@世話する、Aからかう、Bいじめる 『構う』。
かんまー:いじる:千葉銚子。
かんまえる:構える:神奈川。
かんまい 小作米 『集覧:無記載』。『欠米(かんまい)』(近世、租税米の運搬中に生ずる腐化・濡米などによる不足米を補う名目で賦課された付加税:広辞苑)とある。また別に『寒米(かんまい)』(寒のうちに精白して貯蔵する自家用米。寒搗(カンツキ)。)がある。
かんまがす 【動】かき回す 『かんまぐ』の他動詞形。
かんまがす:宮城・福島。
かんま 【動】曲がる、構う 『かん』は強調の接頭語。
かんまぐ 【動】@かき回す、かき混ぜる、A撒く 『掻く』も『撒く』も『混ぜる』も茨城県人にとっては同じ言葉に聞こえる。
@掻き回す→かんまーすかんますかんまぐ
かんまいだがらはーおわりだ:掻き回したからもう終わりだ。
A掻き撒く。
たねかんまいだど:種を撒いたよ。
がんまぐ
がんまく
がんまぐれ
無鉄砲、頑固者、強情っ張り 『集覧:北』。
本来は『まんち』(@人をさしおいて、われ勝ちに事をするさま。自分勝手なさま。気まま。A気みじかなさま。急ぐさま。)で、音位転倒して『がんまく』に変化したとされ、近松門左衛門の作品にも出て来ることば。佐藤鶴吉「近松の国語学的研究」(岩波講座日本文学)にも解説がある言葉である、。
ちなみに似た構成語の『けんまく(剣幕・見幕・権幕)』は広辞苑に『(一説に、ケンアク(険悪)の連声から) 怒った恐ろしい顔つき・態度。険相。』とある。
しかし、『まんち』『がんまく』に変化したことは言語説の一つであって、『まんち』は素直に『慢勝ち』で、『がんまく』は別に『我を撒く』意味とも思われ、佐藤鶴吉の説を全面肯定するのは危険かもしれない。
『がんまぐれ』は2006年4月にも耳にした。『がん』は『頑』(自説を主張して譲らないさま、他に従おうとしないさま)の意味と考えられ、『頑』を『まぐれる』(しまくる)ほどの様と考えられる。あるいは、『駕し(がし)』『まくれ』の意味も考えられる。『駕す』には『他をしのいで上に出る』意味がある。『がまぐれる』の名詞形だとすると、意味が変化している。実際県北では『がまぐれ』を意気地なしの意味で使う。これは『がまれ』の可能性もありの『我紛れ』の意味かもしれない。
がんたくれ:わんぱく者・頑固者:山梨。
がんまく:神奈川・山梨。
大正生まれのがんまぐれ:大正生まれの頑固者。
かんまげる 【動】@かき回す、かき混ぜる、A撒く、Bこぼす
かんまし かき混ぜること 『掻き回し』の意味。
かんましぼー お風呂等をかき混ぜる棒 『掻き回し棒』の意味。今ならマドラーのこと。
かんます
◆■▲かんまーす
【動】かき回す、かき混ぜる、混乱させる 『掻き回す』の撥音化。関東・東北方言。『集覧:真・稲・那』。
かます:青森・秋田・山形・宮城。
かもす・けます:秋田。
かんます:宮城・福島・千葉野田・栃木・埼玉・群馬・東京西部・長野。
かんまーす:群馬・東京。
かんまぜぼー
かんまでぼー
お風呂等をかき混ぜる棒 『かき混ぜ棒』の意味。船の『櫂(かい)』の小型のようなもの。今ならマドラーのこと。
かんまぜる
かんまでる
【動】かき混ぜる 『掻き混ぜる』。
かんまぜる:宮城・栃木・群馬。
かんまない 【複】構わない 『集覧:多』。
がんまめ ソラマメ 『雁豆』。江戸時代の言葉。『集覧:北』。
かんまわす 【動】掻き回す 関東・東北方言。
かんまわす:山形。
(がんまり) いたずら、悪ふざけ 沖縄。
がんまん 我慢 『がんま』と短縮形となる場合もある。
がんまなえ:我慢できない:山形。
がんまんする 【動】我慢する
◆▲かんめ 『集覧:久・新』。茨城の代表的な訛り、『め』をつける方言は他の地域にもわずかにあるが『か(蚊)』につけるのは珍しい。原型を留めない訛り。『噛みめ』の意味と思われる。
『釈名』には『蚊:かむ也。人のはだへをかむ蟲也。むを略す。』とある。『かむめ』または『かみめ』の意味だとすれば納得できる。
『俚言』には『かんめ:下野にて蚊をいふ。』とある。
かの:埼玉。
たんめ:蚤:八丈島。『食ぶめ』の意味だろう。
(かんめ) 能の舞事の一。若い男体の神が天下祝福の心で舞うきわめてはやい舞。 鹿児島。『神舞』。
紙や神を『かん』と言うのは古い標準語にもあるし、全国各地の方言にも残る。女の古形が『おみな』であるのにも似ている。
かんめ
かーんめ
かーんめー
【複】構わないでしょう、良いでしょう なにやったってかーんめな:何やったって構わないだろうよ。
かーんめ
かーんめー
【複】変わらないだろう なにやったってかーんめな:何やったって変わらないよ。
かんめのおやじ
かんめのおどっつぁま
ガガンボ
かんめのご
かんめのこ
『集覧:猿』。亀の語源説の一つに『神』がある。上代には亀は神獣とされたからである。これに、古代語とも言われる接尾語『め』がついて訛ったものがたものが『かんめ』となった可能性がある。
かんむ
かんも
【動】無理やり取る、むしり取る 『かんもる』
(がんもー) 【複】煮ても焼いても食えない 静岡。
がんもぐ 物事の肝心なところ。主眼。要点。 『眼目』。
がんもどぎ がんもどき 濁音化。
がもどき:宮城。
▲▼かんや
かんやん
【形動】利口なこと、愛児、可愛い子 30年代の言葉。『集覧:新』。
がんやぐ 薬物を練り合せて小さな球状とした薬。丸剤。 『丸薬』。
ぐんにゃっ:鹿児島。
(勧誘・依頼の表現) (作業中)
〜う:標準語。
〜うか:標準語。婉曲的な勧誘。
〜か:標準語。動詞の終止形につき軽い疑問の意味を持ちながら勧誘を表す。
〜ばい:宮城・佐賀・長崎・熊本。『ばや』。
〜っ:茨城。促音を伴う。『ばや』。
〜っべ〜っの原型。『つべし』。
〜っ:東北南部・東関東。『つべし』。
〜っ:東北南部・東関東。『つべし』。
〜べ:東北・関東。『べし』。
〜べい・べえ:近世東国語。
〜べー:東国語。東北・関東。『べし』。
〜へ:茨城。
〜へー:茨城。
〜んべ:東北・関東。『〜(す)るべし』。
〜んべー:東北・関東。『〜(す)るべし』。
(丁寧な勧誘)
〜まい:愛知。動詞の未然形に付く。意志・決意を表す助動詞『む』に詠嘆の終助詞『え』がついたもの。
〜まい:山口・香川。動詞の未然形に付く。勧誘・誂えを表す助動詞『む』に詠嘆の終助詞『え』がついたもの。
〜まいか:標準語。動詞の未然形に付く。やや古い言い方。『』。
〜ましょう:標準語。
〜めぁー:愛知。動詞の未然形に付く。意志・決意を表す助動詞『む』に詠嘆の終助詞『え』がついたもの。
〜やしょう:近世語。
◎かんらい
かんらいさま
かんれー
かんれーさま
寒中に鳴る雷 『寒雷』。
《寒冷前線があっからかんれーさまだどなきっと。》
(かんらい) 【形】辛い 静岡。
(かんらん) キャベツ 静岡。『甘藍』。
かんりーしゃ
かんりんしゃ
目の粗い極めて薄い綿布 『寒冷紗』。
今では、服飾業界や建築業界の専門用語として残っている。広辞苑には『目の粗い極めて薄い綿布、または麻布。装飾・造花・カーテン・蚊帳および裏打ちなどに用いる。唐布(トウヌノ)。』とある。建築業界では、塗装や左官材の下地のボードのジョイント部分の割れ防止のためのつなぎ材として使われる。
かんりゃぐ
かんりゃく
倹約、節約 『集覧:多』。標準語の『簡略』は、『こまかい所を略して簡単にすること。簡約。』の意味だが、言い換えて、手間を掛けない意味が倹約につながったのだろう。
かんじゃく:宮城・鹿児島。
(かんろくがない) 【複】重みが無い 静岡。
 本茨城弁集は、昭和40年前後の茨城方言を中心に茨城県全域の江戸時代まで遡る言葉を集めたものです。他県の方言との関係を重視し主要なものについては他県の方言も紹介しています。
 お気づきの点やご指摘等がありましたら、『茨城弁投稿』と書いてお気軽にここにメール下さい。他地域・他県との関係情報もお知らせください。訛の変遷が解かるような投稿は積極的に掲載致します。