昔の茨城弁集
昭和35年〜45年頃の茨城弁集
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◆印:『土浦の方言・続土浦の方言』掲載語。■印:『土浦市史・民族編』掲載語。▲印:『茨城方言集覧』掲載語。印:新編常陸国誌掲載語。印:茨城方言民俗語辞典掲載語。印:茨城弁今昔掲載語。印:物類称呼掲載語。●印:『国立国語研究所・日本語情報資料館・電子資料館・日本言語地図・方言文法全国地図』掲載語。▼印:日本方言大辞典掲載語。印:日本方言辞典掲載語。浪花聞書掲載語。印:俚言集覧掲載語。★印:使用例とその標準語訳。黒太文字:標準語。
茨城弁 標準語訳 備考・解説・使用例
(ほ) 火の古形。日本語には古くは『ふぃ』の発音があったとされるが、もしかしたらその古くは『ほひ』だったかもしれない。この場合の『ひ』は『日・陽』に代表される『光』の意味である。
ちなみに、英語の『fire』の『fi』と関係があると考えるのは間違いだろうか。
ぼー 長男
◎ぼー 男の幼児を親しんで呼ぶ称。男の幼児の自称。 『坊』。標準語では単独で用いられることは無い。
ぼー:女の子:岩手・石川。
ぼん:息子さん:京都。

ほっ
【感】意外なことに気づいた時などに発する声。 現代語の『ほう』は、『感嘆し、または驚いた時に発する語。』である。
また、茨城では『へ』と同じく『あなどる時に発する声。へん。』の意味でも使われる。
ぼー
ぼう
【動】追う 古い言葉に『追う(ぼう)』がある。近世語。『お』と『ぼ』は音通することを示している。この言葉は、近世語が多く地方に残ることを立証している。茨城では本来は『ぼー』
ぶくる:宮城。
ぼー:静岡。
ぼいだす:投げ出す:新潟・長野。
ぼいだす:追い出す:静岡。
ぼう:青森・岩手・宮城・山形・静岡・愛知・京都・鳥取。
ぼくる:岩手・宮城・福島・岐阜。
ぼこぐる:追い出す:秋田。
ぼたぐる:追い出す:岩手・秋田。
ぼたくる:追い払う:青森。
ぼっかける:追いかける:岩手・秋田・宮城・福井・広島。井原西鶴の作品にも出て来る古い言葉。また同作品には『追い出す』を『ぼいだす』と言う表現がある。
ぼっこくる:追いかける:新潟。
ぼったぐる:茨城。
ぼったくる:新潟・広島。
ぼふ:青森。
ぼる:青森。
ほー 【感】@そう、Aもう、ほら、さあ 標準語の『ほう』は、『はー』『ふー』等驚きの言葉だが、茨城では様々に使い分けられる。方言ともいえない言葉。
一般に指示代名詞の『それ』や副詞・感嘆詞の『そう』『ほれ』『ほう』と言うのは関西方言に顕著であるが、標準語の一部の表現で感嘆詞の『ほら』等が使われる。ちなみに調布生まれの義母は感嘆詞として『ほれ』を使う。
指示代名詞の『そう』が英語と日本語が同じなのは誰もが知っているが、感嘆詞としての『おお』『ああ』は、万国共通で、『ああ痛い』は、感極まれば日本語では『あっち、おっち』などと言い、英語では『ouch』である『auch』とも聞こえる。ミスタービーンの2008年の最新作の『MR.BEANS HOLIDAY』で、フランスの田舎で、戦車に潰された自転車の中から大事なビデオカメラが無傷で出てきた時、『HOU,HO,HO,HO,HO』と言うシーンがある。『ほっと』した場面表現である。
橘正一は、『方言学概論』で、この指示代名詞に言及していないが、これも江戸初期の上方語が、江戸に伝わり、それが東日本全体に伝わった後、江戸は新たな進化をとげ、東日本の地方に残ったと推測できる。
@・ほー:神奈川・山梨。ほーちゅんこんけ:そういう事ですか:山梨。
あーほー:ああそう。また、茨城弁は語順がしばしば反転するため、異なる方言圏の方や標準語圏から誤解されることがある。
あーほーが:ああそうかい。
やっかんなほー:そう遣るからね。
A・:長野。
ほー:熊本。『ほー、普通のとこから買うた餅とゆーとはほー、やっぱほー』(ふるさと)。
やっかな、ほー:やるぞ、ほら・そう遣るぞ。
ほー、よぐみろ:ほら、良く見なさい・ふーん、良く見なさい。
ほー、やれよ:さあやれよ・そうやれよ。
〜ぼ
〜ぼう

〜坊 標準語の『〜ぼう(坊)』に当たる。『〜・〜ー』が多用される。地名につけてけてその土地の出身者をさげすむ意味で使うこともある。
『坊』は坊主や男児の意味も伴うが、『坊』は当て字と考えられ、もともとは『者・物
』だと考えられる。『も』と『ぼ』は音通するからである。『者・物』と『坊』がからみあって、現代に至っていると思われる。こう解釈すると数々の方言の説明がつく。
もの→もん→ぼんぼう
@主として人を卑下し罵る言葉。
おごりっ:怒りんぼう。
ねごぼー:朝寝坊。
やしんぼー・やしっ:卑しん坊。
しわんぼう:けち。
てんぼう:指や手首のない人。
かわぼー:穢多(えた)。
ぶっきらぼう
くいしんぼう
なりぼー・なりんぼー:癩病患者。
かったいぼー:らい病患者、転じてののしる言葉。
ぐわんにんぼう・がんにんぼう:乞食僧・乞食。
いしゃぼー:医者。
ぞさいぼー:いい加減な人。
かすっ:駄目な人。
うらぼー:不詳。
かためっ:片目の人。
かわっ:穢多(えた)。
くさぼー:生臭な人。
のっ:のっぽ。
A生まれを卑下して言う言葉。
はまっ:浜の人。
えちぼー:越後の人。
ざい:田舎人。
みとっ:水戸の人。
B昆虫等の名前につける。
けんざっ:トンボ。
〜ほ
〜ほー
〜ほう
〜の方、〜のところ 〜ほ:宮城。
おらほ:家の方、私の側。
〜ぼ
〜ぼー

【接尾】棒状のものの末尾につける まきたんぼーふりまーしたけれあぶねーど:薪の棒を振り回したら危ないよ。
【助】〜だろうよ 『〜よ』の逆行同化。
ほあほあ
ほあんほあん
【形動】ふわふわ、ほやほや
ほい @梢、A若い小枝、B接ぎ穂 古語の『ほえ』(@木の枝。運歩色葉「木枝、ホエ」A柴。)の転。
(ほい) 鹿児島。
(ぼい) 【副】@はからず。思わず。Aすぐに。じきに。 長野。『つい』。
稲敷郡の方言。擬態表現と考えられる。『よ・』が訛ったと考えられる。
【接尾】(名詞・形容詞・動詞等につけて)その傾向がある 広辞苑には『体言、動詞の連用形に付いて形容詞を作る。…の傾きがある。…しやすい。「男っ―・い」「忘れっ―・い」など、上の語が促音化する。』とある。
『新方言』には『〜ッポイ 「〜のようだ,〜みたいだ」;首都圏の若い世代で盛んに使われる;「バカッポイ」「遊んでるっぽい」「間に合わないっぽい」など,文につくようになり,助動詞と見なされる;伊豆半島ではわずか→行クッポイ,ダメッポイ』とあり、近年の若年層の言葉に茨城弁が大きく影響していると考えられるものの一つである。
『俚言』には『ぽい:ほねっぽい、しめっぽい、はしかっぽい、いやっぽい、腹立ぽい』とある。
もともとは『重い』の可能性もある。
茨城弁では多用し、大らかに使われる。駒澤大学・駒澤短期大学国文科 情報言語学研究室の『文学作品における派生形容詞「〜っぽい」』に今なら方言ではないかと思われるものが数多く紹介されている。
しろ:白っぽい:岩手。
ばかっ
だめっ
きつっ
ふとっ
ほそっ
無理っ
酔ってるっ
こうなると、標準語と方言の境界は曖昧になってくる。
以下辞書に無い『国誌』掲載語。
ぬれっ:湿っぽい。
まじらっ:眩しい。
ぼーい
ーい
人をさげすむ言葉、ざまみろ 稲敷郡の方言。半濁音形は祖母が良く使ったもの。
ほいがら 【接】それから 『そ』が『ほ』になるのは東北弁のうち特に津軽弁の『せ』が『へ』になるのと酷似している。『サ行』が何故『ハ行』になるかは、詳しく調べないと解らないが、標準語でも『それ!』を『ほれ』、『そら!』を『ほら!』と言うのがあるのを考えると、歴史的な経緯があるとしか思えない。
東京でも『ほいから』は良く使われる。これは東京方言ともいえるだろう。
神奈川では『へーから』と言う地域がある。
ほいきた 【感】応答語
ほい
ほえ
【動】吠え声
ほいさがほいさが
ほいさがさっさ
ほいすかほいすか
【副】さっさと、とっとと 『ほいすかほいすか』は、長野県生まれの国会議員が、昭和36年の議員運営委員会の発言で使っている。『ほいさかさっさ』は、どうやら古い掛け声の一つのようである。
いしん) 袖無し 中国語由来の言葉。北京語では『poi hsin』である。『大言海』に『僧侶の服の一種。』とある。『背心』の宋音ともされる。
はいちん:長崎。
いしん:佐賀・長崎。
んしん:静岡・愛媛・大分。
んちん:佐渡・静岡。
んと:熊本。
ほいずりなぐ 【動】大声で泣く
ほいずりわめぐ
ほいずる
【動】怒鳴る ぐすつく:泣く:長野。
ほいずる:泣く:長野。
ほえずる:泣く:長野。
めーらめらつく:泣く:長野。
ほいた
ほいたこる
【動】泣きわめく 『ぐ』は濁音・鼻濁音。
ほいたでる
◆■□▽ほいたれる
【動】泣きわめく 『吠えたてる』『吠え垂れる』。泣くことを『吠える』というのは古い言葉。現代でも『吠え面をかく』が残る。
ほいだら 【接】それなら
ほいぢょ
ほいちょ
包丁 そもそも何故『ほうちょう』と言うかが不思議である。
広辞苑には『包丁:@庖厨(台所)にあって料理する人。料理人。A料理すること。割烹(カツポウ)。B料理用に使用する薄刃の刃物。』とあり、『包丁』とは当て字で、もともとは料理する場所であったものが、料理する人に代わり、さらに料理する行為や料理する道具に変化したことが解かる。また『庖厨(ほうちゅう):くりや。だいどころ。』とあり、さらに『庖』(ほう。くりや)自体に台所の意味がある。
そうなれば、『ほふ』という動詞があって、その連用形の『ほひ』する道具の意味の『ほひちょう』があっても良いと思われるが、文献には無い。
ほいぎょ:福島。
ほいぢょ:青森・山形・宮城・福島。
ほいちょ:福島。
ほいちょー:佐渡島。
ほいぢょー:福島。
ほいちょー:宮城。
ほいづ 【代】それ、そいつ 『それ』を『ほれ』と言うのは現代では上方語である。
ほいづ:宮城・福島。
ほいづだあんめ:それじゃないでしょ。
ほいつぐ
ほいつく
【動】@吠えて追ってくる、A食って掛かる、B泣き付く 『吠えつく』意味。
ほいづら そいつら ほいづら:宮城。
ぼいづら 吠え面、泣き顔
ほいづらかぐ 【複】泣きっ面をする 『吠え面をかく』。
(ほいてある) 【複】干してある 静岡。
ほいでぎ 出来上がりがまずい様 稲敷郡の方言。
ほいでくう 【動】味付け無しで食べる 『集覧:無記載』。茨城方言集覧では『味なくして食ふ』とある。音韻からは『吠えて食う』と聞こえる。『ほいと』との関係を思わせる。語源不詳。
ほいど
◎ほいと
△☆ほいとう
乞食 『陪堂・乞児・乞食(ほいと・ほいとう)』。
私の記憶では、昭和30年代の土浦ではすでに廃語だった。
『陪堂』を『ほいとう』と読むのは宋音とされ中国伝来語である。
広辞苑には『ほいと:(ホイトウ(陪堂)の転。一説に、ホギヒト(祝人)の転)』とある。『@陪堂(ほいとう)』とは『(ホイは唐音)@禅宗などで、僧堂の外で陪食(バイシヨク)を受けること。A飯米や食事を施すこと。また、その飯米や食事。Bものもらい。乞食。ほいと。』とある。『祝人(はふりびと)』は『(「はふりびと」の意) 「はふり」に同じ。』とある。『はふりびと・はふり』は『神に仕えるのを職とする者。普通には禰宜(ネギ)の次位で祭祀などに従った人。はふりこ。はふりと。神代紀上「熱田の―の掌りまつる神」』とある。
『布衣(ほうい・ほい)』は、『@庶民が着用する布製の衣服。平安時代以後は広く狩衣(カリギヌ)の総称。納言以下の常服。また、庶民。宇津保祭使「しばし―になりてその装束この学生にとらせよ」A江戸時代、無位無官の幕臣や諸大名の家士が着用した無紋の狩衣。また、その身分の者。』とあり、身分の低い人を連想させる。
『方言学概論』では『乞食のホイタウを、ホガヒヒト・ホガヒト・ホギトで解かろうとする人があるが、仮名づかいが違う。日葡辞書でホイタウとある。この頃まで開口のタウと閉口のトウは発音上区別があって、混同することは絶対無かったのである。』とある。
ほいど:青森・宮城・山形・福島。福島では罵倒語としても使われる。
ほいど:浮浪者:福島。
ほいど:欲張り:青森。
ほいと:山形・宮城・福島・神奈川。
ほいと:特殊部落民:佐渡・愛知・宮崎。
ホイト:アイヌ語。日本語由来である。
ほいとー:東北全県・新潟・富山・京都・兵庫・岡山・山口・香川・愛媛・高知・大分・長崎。
ほえど:山形。
ほえとー:山形。
ほいと
ほいとー
やつれた人 久慈郡の方言。乞食に例えたものだろう。
(ほいとまき) 笹巻 福島。
広辞苑に『笹巻:道明寺糒(ホシイ)を蒸し、中に餡を包んで笹で巻いた食品。』とある。
ほいとめ @乞食、A罵倒語 東茨城郡の方言。
ほいな
ほーいな
【複】そんな、そういうような この方言を茨城方言に置き換えると、バリエーションは限りなくある。
ほいな:宮城。
ほいなぐ:そんなに:宮城。茨城では『ほーたぐ』に当たる。
ほいなごど:そういうこと:宮城。
ほいなの:そんななの:宮城。
ほいなんだっちゃ:そんなふうだった。:宮城。茨城弁で表現すれば『ほいなだった・ほいなんだった・ほーいなだった』
ほいなんだよわ:そんなふうだよ:宮城。
ほーいなしこたれではせげんさまにわられっちまーよ:そういう格好では世間様に笑われてしまうよ。
ぼいぬげ
いぬげ
仲間はずれ 幼児語。『放り退ける』意味か。
ほいほい どんど焼き 土浦市の方言。
ほいほい 【副】自ら進んで、どんどん 『おいおい』(了解または承諾した時に発する声。)が変化したかも『ほい』(軽く応答する時の声。)の繰り返し。
ほいほいほい:ご飯を食べる時などの形容:熊本。畳語だが九州では3回になることが多い。
みでろ、ほいほいくっかんな:見てなさい、嬉しがって来るからね。
稲敷郡の方言。擬態表現と考えられる。『よ・』が訛ったと考えられる。
ほーいほい
ほーいほーい
囃し言葉 民謡等にもある。『土』にも出て来る。『ほうい/\
広辞苑には『ほうい【感】遠く隔たった人に呼びかける声。また、物を追う時のかけ声。狂、薩摩守「むかひに見ゆ
る程に呼ばふ。―、―」』とある。
ーい
ーい
【慣】ざまを見ろ 多くは人差し指で円を描きながらそう言う。祖母が良く使ったもの。囃し言葉とも言える。
ほいほい 嬉しそうな顔
ほいほい どんど焼きの際に作る火種用の藁小屋 標準語に言い換えれば『どんどん小屋』。
(ほいぼん) 餅箱 静岡。『布衣盆』の意味か。
ほいめし おかずの無い食事
(ほいやほいや) 【形動】湯気が立つ様、ほやほや 鹿児島。
ほいやれ 【感】おやまあ、やれやれ 『おいや』。
ほいよ 【感】@物を渡す時の掛け声、そらよ、A応答語 『ほい』は広辞苑に『@失敗に気づいた時、または意外な事に驚いた時の声。A軽く応答する時の声。「―来た」B物をかつぎ、または押し、引きなどする時の掛声。「えっさ―」』とある。
ぼいり
ぼいれ
ぼーいり
ぼーいれ
入学 『坊入り』の意味で寺子屋時代の名残と思われる。『集覧:多・新・稲』。
九州では僧侶の妻を『ぼーもり』(坊守)と言う。
ほいる 【動】@吠える、A喚く、大声を上げる、B泣き喚く B・ほえる:神奈川・静岡。
ほいる
ほいろ
製茶に用いる乾燥炉 『焙炉』。
おちゃほいろ:神奈川。
へろ:鹿児島。
ほいろば 茶を作る場所や部屋 『焙炉場』の意味。
ぼーいん ヤブカ   真壁郡の方言。
『民俗』には『Boing』と当てられている。この種の方言は茨城で茨城ではきわめて珍しい。人を刺すことをアメリカのボーイング社の飛行機に例えたのだろう。
ぼーうぢぼー からさお 西茨城郡の方言。
広辞苑に『ぼうちぼう【穂打棒】:@稲の屑穂(クズホ)を打って残穀を取るのに用いる棒。A関東地方で、八月十五夜に、子供らが巻藁などで地面を叩いて村内を回る行事。』とある。
ぼーち・ぼーちぇ:唐竿で脱穀する作業:神奈川。
ほえずる 【動】泣き喚く 新潟・長野・山口。『吠え面』から生まれた動詞形か。
ほえろ お茶を焙じる台 『焙炉』(ほいろ)。
(ほーえん) 法印 静岡。
ほお 頬骨 濁音化。『頬桁』。
ぼーおし 馬せんぼうを押し合う力比べ 新治郡の方言。
ぼか ごみ、ほこり ぼか:長野。
ぼか:熟れ過ぎたスイカ:神奈川。
(ほか) 鹿児島。
ほーか 刻みタバコの包み紙 『包裹(ほうか)』(つつむこと。くるむこと。)の意味だろう。
(ほーか) 軽業・手品 沖縄。古語『放下:(「放家」とも書く) 中世・近世に行われた巷間芸能の一。手品や曲芸を演じ、小切子(コキリコ)を操り、小歌を歌い、八桴(ヤツバチ)を打ちなどした。その演者を放下師または単に放下ともいい、僧形の者が多かったので放下僧とも呼んだ。僧形でも烏帽子を被り笹を背負うなど、異形の姿だった。』(広辞苑)。
ほが
ほか
ほがー
ほかー
ほーが
ほーか
ほーがー
ほーかー
ほーがい
ほーかい
ほーがや
ほーがよ
ほーがん
ほーかん
【複】そうか、そうかい 淡々とした言い方。『そう』を『ほう』と言うのは一般に関西言葉である。強調する場合、『ほおが・ほおがー・ほおか・ほおかー』とも言う。その場合、『お』にアクセントが来る。
茨城にこのような上方言葉が多いのは、古い言葉が残っているためである。近世江戸語の大半は上方語を基本に成立したが、その後独自に変化して現代の東京方言が形成されたと考えられる。
『あーほがほが』のように二度繰り返して言う事もある。
ほが:宮城。
ほーか:青森・千葉・山梨。
ほーかい:静岡。
ほーかや:東京多摩・神奈川。
ほーかーや:東京多摩。
ほーがん:福島。ほーがんそら:へえそうなの。
あーほが・あーほーがー・あーほーがん:ああそう。
あーほおかー:ああそうですか。
〜ほが
〜ほか
【助】〜しか 『〜ほか』は標準語だが、あまり使われなくなってきている。
〜ほっきゃ:静岡。
〜ほんか:宮城。
〜ほんて:宮城。
それほがねーんだっがなーや:それしか無いのだろうか。
やるほがね:やるしかない。
〜ほがあんめ 【複】〜しかない 正しくは『〜(より)ほかはあるまい』。

◆▲▼ほかい
いか
@食べ物を入れて持ち歩くための容器、A▼不幸の時に使う重箱を入れる容器、B▲▼米びつの一種 古い標準語。『外居・行器(ほかい)』(食物を盛って他所へ運ぶのに用いる容納具。)。古くは討ち取った首を入れるものであったと言う。
茨城方言集覧では旧行方郡の訛りとして『米びつ』の意味で紹介されている。
出掛けに酒や茶を飲むこと 新治郡に残る。『寿・祝(ほがい)』(いわい。ことほぎ。)。平安時代まで『ほかい』と発音されたと言う。
『外居・行器』(ほかい)と『寿・祝(ほがい)』は同源の可能性が高い。動詞形に『寿ふ・祝ふ』(ほがふ・ほかふ)『祝ぐ』(ほぐ・ほく)がある。
(〜ほーかい) 放題 神奈川。『法界』の意味と言う。
ほーがい
ほーかい
【慣】そうかい あーほおかい:ああそうかい。
ほかいしんせき 葬式付き合いをする親戚
ほがいつきあい 祝い事等の時に、行器に餅を入れて贈りあう親戚 水海道市に残る。
ほーいねー
ほーいもねー
【複】途方も無い、量が過分であること 『法外もない』意味。
(ほくもない) 【複】考えが無い 神奈川。『方角も無い』の意味と言う。
ほがしょーりょー 無縁仏 『他精霊』の意味。
ぼーしら 人足の頭 『棒頭』。別に『かごかきのかしら』の意味もある。
長塚節の『土』には『棒組』が出て来る。『棒組:@駕籠舁(カゴカキ)の相棒(アイボウ)。A転じて一般に、相棒。なかま。』の意味である。
ぼーしら:山形・神奈川。
ぼー:仲間:神奈川。
ほがす
△ほかす
【動】捨てる、別の場所に置く、放置する 『放す(ほかす)』。清音なら標準語。ただし、一般には上方語とされる。分布域は全国にあり、上方後が一度全国に行き渡った後、西日本に良く残り、一部が東日本に残ったと見られる。
『称呼』には『すてると云事を東国にてうっちゃると云。関西にてほかすといふ。東国にてほうるといひ、越州にてと云は投(なげ)やる事なり。「伊勢物語」に、「ぬきすを打やりて」と有。此ぬきすは女の手洗ふ所の竹にてあみたる簾のこを云。打やりてを東国にてうちゃるとつめて云也。又ほかすは渤海捨(ぼっかいにすてる)といふ三字の頭文字を一字づつ取ていふとぞ。又放下すにて、禅家の語也ともいう。』とある。
橘正一の『方言学概論』では『ほうる』は元禄時代の京都語であったとし、江戸では『うっちゃる』が主で『ほかす』は珍しかっただろうとしている。
ほがす:投げつける:山形。
ほかす:山形・東京・群馬・神奈川・長野・山梨・静岡・福井・近畿全域・岡山・高知・福岡。
ほかす:投げる:静岡。
ほーかす:石川。
ほかる:投げる・捨てる:岐阜・愛知・香川・愛媛・大分・福岡。
ほーかる:佐渡島・愛知・山口。
ほくる:投げる:京都・愛媛。
ほーくる:広島・山口。
ほーける:鳥取。
ほたくる:投げ出す:高知・長崎・熊本。
ほたる:投げる:高知・九州。この場合の『たる』は『てやる』意味か。
ぼっくはあっちゃにほがっとげ:杭はあっちに置いておけ。
ほがす
ほかす
【動】(火を)起こす 『ほごす』
ほがす
ほかす
【動】芽を出させる、植物を大きくさせる 『ほきる』の他動詞形。もともとは、『吹き出す』(草木の芽が勢いよく出る)が転じたものだろう。あるいは『生ふ』の使役形とも考えられる。
おがす:山形・岩手・宮城。宮城では人間にも使われる。
ほかす:埼玉。
ほがす
ほかす
【動】綿を打ち直してふっかりさせる ほかす:ご飯をかきまぜる:長野。
★『土』:綿打弓でびんびんとほかした綿は箸のやうな棒を心にして蝋燭位の大きさにくるくると丸める。
(ほがす) 【動】穴を開ける 九州・鹿児島。辞書掲載語。『穿つ』が訛ったか『掘り穿つ』意味か。
ほぐる:穴が開く:鹿児島。
ほがす
ほかす
【動】蒸かす
ほかつく 【動】ほかほかする 『俚言』には『ほかほか:ほかつくとも。暖気のさま。』とある。
『岡本弥太』の詩集『青葉 埋火もきゆやなみだの烹るおと』に『掌ほどな汝の骨灰に 風信子ほどの花をさかせやうと まだ竈いきれのほかつく白い陶を擁いて花崗の峠 礫轆とくだる 青葉に烹る杜鵑のひとときを 蒼い蒼い木霊にわかたうと わたしはこんな花の過ぎた奥の淵まで来たのであつた 』がある。
かつち
かつち
ふかふかした軽い土 『ぶかつち』
ほーねー 【複】遣り方が無い、遣りようが無い 『方無し』。
〜ほがね
〜ほがねー
【複】〜しかない、外は無い 多く『より』を伴う。『〜より外は無い』。
えほがねー:絵しか無い:青森。
さんじょーよりほがねー:三升より外は無い:青森。
ほーかはり 刻みタバコを包む筒を作る作業
ぼがぼが
ぼかぼか
【形動】暖かい様 この言葉は、肝心の茨城県人はあまり方言意識がない。『ぽかぽか』は標準語では『@暖かく感ずるさま。A頭などをつづけざまに叩くさま。』の意味であるが茨城では。Aは『ぼぐぼぐ』だが映画等では『ぼこぼこ』が使われる。
『俚言集覧』ではしばしば、このような擬音語・擬態語を軽視する下りがあるが、言葉の原型は擬音語・擬態語から発生したと思われ、むしろ重要視すべきであると思われる。すなわち、根源的な言葉語源は動詞と形容詞にこそ現れると思われる。
(ほかほか) 【形動】大事にされるさま 神奈川。
ほがみ
ほがみっつら
よそ見 古い標準語では『外目(ほかめ)』に当たる。
ほがみる
ほがみする
【動】よそ見する
ほーがや 【複】@そうかい、Aそうではない @・ほーかや:東京青梅・神奈川。
ほーかーや:東京青梅。
【形動】朗らか 古い標準語。
◎ほからかす 【動】うち捨てておく。ほったらかす。 『放らかす』。近世語。
ほからかす:福岡。
ほーからかす:福岡。
ほー
ほーかん
ほーんさま
ほーんさん
ほーがんどの
念仏衆の長、大師参りの先達 『判官』『法眼』に由来すると考えられる。
ほー:百万遍念仏で輪の中央に居て音頭をとる人:神奈川。
ほぎ
ほき
芽の発育 『ほぎる・ほきる』の名詞形。『吹き』の意味と思われる。
ほぎ
ほーぎ
ほき:青森・鹿児島。
ほーきん:静岡。
ほく:鹿児島。
(ほき) 鹿児島。古語では崖を指す。
ぼー 棒切れ
ほぎあ 【動】植物などが育つ、繁茂する、
ほーぎ コウヤボウキ
ほぎーしょ
ほきーしょー
補給処、補給廠 かつて予科練があった阿見町の補給処。現在では自衛隊の関東補給処と航空学校霞ヶ浦校が置かれている。
□ほーきたけ ホウキタケ 『箒茸』。
広辞苑には『担子菌類のきのこ。下部は一個の太い幹をなし、上部は分岐して末端細裂、樹枝状をなす。白色・淡紫色など。高さ・幅ともに約二○センチメートル。多くは、秋、広葉樹林中に発生。食用。ネズミタケ。』とある。
ほぎだす
ほきだす
【動】芽生える 『吹き出す』。
ほぎだす:宮城。
ほぎだす
ぎだす
きだす
ほきだす
げだす
【動】吐き出す 『吐き出す(ほきだす)』は死語になった標準語。単体の『ほく』は辞書に無い。
ほぎだす:宮城。
ぎだす:吹き飛ばす:千葉銚子。
ほきだす:宮城・茨城・栃木・埼玉・群馬・東京・神奈川・山梨・静岡。
ぼぎっと
ぽぎっと
ぼぎんと
ぎんと
【副】ぽきりと、(物が)折れる様
ぼぎぼぎ
【副】【形動】棒などが折れてばらばらになる様子 こわくてほねがぼぎぼぎだ:疲れて骨が折れてしまったみたいだ。
ほぎほぎ
ほきほき
【形動】元気の良い様、生き生きとした様、(作物などの)成長の早い様 『ほぎる』の形容動詞形。
:宮城。
ほきほぎ 【形動】柔らかくて暖かい様 『ほかほか、ふかふか』。
ゃほ 【副】赤ん坊が泣く様、ほぎゃあ
(ほーぎょー) 屋根の形式の一。 建築専門用語。
広辞苑に『方形造:(「宝形造」とも書く) 屋根の形式の一。隅棟(スミムネ)が屋根中央に集まるものをいう。地方によっては大棟のある寄棟造を指すこともある。』とある。
ほー:寄棟造り:神奈川。
◆▼ほぎる
■▲△▽ほきる
【動】@△□植物などが育つ、繁茂する、A▲▼植物が芽を吹く、生える、萌える 東国方言と思われる。
『穂起きる』『穂吹き出ず』が変化したと考えられる。
@植物などが育つ。繁茂する。茨城では人間に使うこともある。
『炎』の最も有力な語源説は『火の穂(ほのほ)』である。また、『上枝(ほつえ)』という言葉がある。広辞苑には『(「秀(ホ)つ枝(エ)」の意) 上の枝。はつえ。』とあり、『語源辞典』には『@ホツエ(秀つ枝)、穂枝の義』とある。る。『穂』は『秀』と同源と言われ、『秀』はものの立ち上る様を示す語とも言う。『穂起きる』『穂吹き出ず』の可能性が有る。実際山形では『ほーぎる』と言う。『国誌』では『穂吹き出る』の意味ではないかと解説されている。
伊藤左千夫の『野菊の墓』に『この秋、民子と二人で茄子(なす)をとった畑が今は青々と菜がほきている。』とある。伊藤左千夫は千葉県山武郡の生まれだが、明治の文壇の代表的人物であるし、会話文中でもないので、安易に方言を使ったとは考えがたい。だとすると、この言葉は明治期には一般に使われていたが、その後消えてしまった言葉とも考えられる。
『俚言』には『ほきる:枸杞(くこ)ほきて昔かたりや尼か垣(孤雄)』がある。
『現代日本方言大辞典』には、『ほきる:@草などが大きく伸びること(群馬)。A草が茂る(埼玉)。B芽が伸びる。ほぎるとも言う(茨城)。C葉が茂る。芽が伸び出してくる。(八丈)。D植物が生長する(神奈川)』『ほぎる:草が茂る。芽ばえる。大木の場合はイガクナルと言うのが普通。(千葉)』とある。
:成長する:北海道・岩手・宮城・福島。辞書掲載語。
:叫ぶ:西日本。辞書掲載語。
りこじける:成長しそこなう:宮城。『こじける』は『くじける』意味。
おかる:青森。
ほぎる:草が茂る:千葉。
ほぎる:植物が芽を出す:宮城。
ほきる:岩手・宮城・福島・茨城・栃木・千葉・埼玉・群馬・東京多摩・神奈川・長野。
ほきる:薹が立つ:神奈川。
ほーぎる:山形。
ほける:秋田・千葉・長野・愛知。
ほこえる:京都・高知。
ほこる:宮崎。
A『芽吹く』意味。『集覧:新』。
ぼえ:芽:山形。『萌え』。
ほぎる:芽ばえる:千葉。
ほきる:葉が茂る・芽が伸び出してくる:神奈川・八丈島。
ほこる:香川県。
◆▼ほぎる
ほきる
【動】▼(火が)起きる、燃える 『火(ほ)起きる』意味と考えられる。
ぼーきれ 棒の切れ端、棒切れ 標準語ではあるが、棒切れが今の日常生活では必要がなくなったため、死語と言って良いだろう。
あよおめ、そごのぼーきれくんねがや:ねえお前、そこの棒切れをくれないかい。
ぼぎんと 【副】ぽきりと、(物が)折れる様
ぼぐ
ぼく
@葬式、忌、喪に服する事、A▲さしさわり 『服』の転。
A『集覧:猿』。茨城方言集覧では『故障』と書かれているが、『さしさわり』の意味である。大分・宮崎・鹿児島では失敗を言うが『差障り』の意味が転じたと思われる。
ぼぐ
ぼく
ぼぐー
ぼくー
(男の子に対して)僕ちゃん 2人称。比較的新しい言い方。
茨城県の男子が一人称で『僕』などと言うのはほとんど無かった時代だったが、私の同級生の一人だけがそう言った。彼は、当時には珍しく幼稚園に行っていた人物だった。教育が為した業なのだろう。しかし、テレビの影響を受けて次第に違和感がなくなり浸透していく。私自身は違和感なく『僕』を使えるようになったのは、高校時代の後半だっだ。
ぼぐ
▲▼△▽ぼく
@▼朽木、枯れ木、A▲木の切り株 木(ぼく)が転じたものだろう。木(ぼく)にはその他『ふしくれだち、または曲った樹木のふるい根または幹』とある。
『集覧:多・新』。
茨城方言集覧では『木の根の殆ど朽ちたるもの』とある。
また、『反故・反古:@書画などを書き損じた不用の紙。ほぐ。ほうご。A転じて、役に立たない物事。』は現代では多く『ほご』と発音されるが、もしかしたら関係があるかもしれない。
@・ぼく:東京多摩・東京武蔵村山・静岡・愛知・奈良。
ほく 谷津田に面して作られた枝状に分岐した小さな田、掘田 『ほっく』。『集覧:真』。
『堀処』の意味と考えられる。『処』は古くは『く』と読んだ。
(ほ 【動】穴を開ける。 山口・大分で使われる。『掘る』が訛ったか。九州では一般に『ほす』とも言う。福岡・長崎では『ほる』とも言う。佐賀・熊本・鹿児島では穴を『ほと言う。福岡・長崎・熊本では自動詞形で穴が開くを『ほげる』という。
ほーぐ
ほーく
@フォーク、A堆肥類を掻き出す農具、刃の先が鋭く尖っている、畜産業では干草などを扱う、フォーク
ぼぐじ
ぼぐじー
ぼぐじる
ぼぐぢゆ
墨汁
ぼくそ
ほくそ
@生糸の屑、A糸をとった後の繭 @は埼玉でも使われる。『ぼっくそ』とも言う。
ぼくた
ぼくたん
棒きれ 『木』+『芥』。
ぼくたー:丸太・役にたたない丸太:静岡。
ぼぐどー
ぼくどー
▲▼ぼくと
ぼくとー
@◆▲木の切り株、A▼朽木 古い言葉と考えられる。『木胴』の意味か。『丸太』は『皮をはいだだけの丸い木材』の意味。『太』は『と』とも読み『木太』の意味か。木で作った刀は『木刀』と呼ぶが、当て字の可能性があり、もともとはもっと広い意味で使われていたのではないだろうか。
また、花茎は『薹』(とう)と当てられるが、『塔』の説がある。今では『塔』とは巨大な建造物を意味するが、『刀』を『とう』と言い、木製の刀を『木刀』と言う呼ぶように『とう』は、『胴』に通じ寸胴の細長いものの意味であった可能性がある。
@『集覧:久』。
▲▼ぼくと
▼△ぼくとー
@棒切れ、A太目の木の棒、B▼テコの棒、C丸太 現代語の『木刀』の語源は木の刀ではないのかもしれない。
@・ぶぐど:青森。
ぼくとー:静岡・奈良・和歌山・愛媛・高松。
C・ぼくとー:福島。
ぼぐどー
ぼくやろー
役に立たない人 『ぼく』はもともと『木』の意味で役に立たない人を指す。『朴念仁』(ぼくねんじん)に由来する『朴人』『朴野郎』の意味だろうか。『惚け』との関係も無視できない言葉。
(ぼくとー) 【形動】素朴 神奈川。『朴訥』。『朴人』の意味か。
ぼぐねんじん
ぼくねんちん
朴念仁、物分りの悪い人、無愛想な人 『ぼくねんじん』なら標準語。
もくねんじん:山梨。形容動詞として『黙然(もくねん・もくぜん)』(だまって考え込むこと。)がある。
ぼぐぶぢ
ぼぐほり
木の切り株の掘り起し作業
ほぐほぐ
【形動】(作物等が沢山とれて)喜ぶ様、ほくほく、【副】沢山 『ほくほく』の転。
ぼぐぼぐ 【状態語】徹底的に殴る様、ぼかぼか 映画『ダイハード』では『ぼこぼこ』が使われる。茨城弁の感覚では、『でこぼこになるほど殴る』感覚だが、どうやら間違いでは無いらしい。
この手の言葉は谷川俊太郎の詩では自由奔放である。
いっちょぼぐぼぐにしてやっ:一度は徹底的に殴ってやろう。
【形動】もろい様 稲敷郡の方言。『ぽきぽき』。
ぐらんと 【副】膨れた様、ぷっくり ごらんと』
ぼくりゅー 出過ぎ者、我がまま 『茯苓((ぶくりょう))』(サルノコシカケ科のきのこの菌核)と関係がありそうだ。=『ぶくりゅー』
ぼぐり
ぼくり
ぼぐりー
ぼくりょー
サルノコシカケ科のきのこの菌核 『茯苓((ぶくりょう))』。

れる
【動】しそこなう 『逸る(はぐる)』が一般的だが『解る(ほぐる)』『解れる(ほぐれる)』も使われた。古い標準語。
(ぼくる) 【動】追う 宮城。
ほぐろ 黒子 福島と茨城県に顕著。宮城・山形・栃木・千葉の一部に分布。
ぼげ ぼけ、馬鹿 濁音化。ただし、『ぼけ』は一般に上方語とされる。
ぼっこ:香川。
ほっこ:香川。
ぼげ
ぼけ

朽木 ほげ:太くて長い棒:青森。
(ほけ) @火の気。また、煙。A湯気(ユゲ)。蒸気。 『火気』。
A・ほけ:湯気:鹿児島。
:湯気:静岡。
ほげ
ほけ
ほげー
ほーげ
ほーけ
ほーげー
ほーけー
ほーげん
ほーけん
【複】そうですか、そうなんだ 茨城の丁寧語。『げ』は鼻濁音のこともある。『ほーけ』は金沢方言でもある。
『そう』を『ほう』と言い、『〜かい』『〜かえ、〜けえ』と言う地方の言葉である。
茨城では『あーほげほげ』などと繰り返して言う場合がある。
感嘆詞の『ほう』『そう』とほぼ同じ意味である。むしろ『ほう』の方が簡単の度合いが優れている気がすう。
ほーけ:山梨・石川。
ほーけー:神奈川・山梨。
あーほげ・あーほーげー:ああそう。
ほげー
ほけー
ほーげ
@食べ物を入れて持ち歩くための容器、A不幸の時に使う重箱を入れる容器 『外居、行器』(ほかい)。
ぼー カツオ漁の餌にするイワシをとる網 『集覧:無記載』。『棒受け網』のこと。
ほー
ほー
【形動】法外 ほー:随分:神奈川。
ほー:神奈川・山梨。
(〜ほーけ) 〜放題 神奈川。『惚ける』の名詞形と考えられる。
ほげー 【複】他へ、他に ほきゃー:熊本。

ーた
【連体】そんな 古い標準語の『頬桁(ほげた)』には、『物を言うことやその言葉、口』の意味があり、そのものの可能性もある。
たごどゆーなや:そんなことゆーなよ。
ほげだす 【動】吐き出す
(ほげたん) 鹿児島。
ぼげっと
げっと
ぼげーっと
げーっと
【副】ぼんやりと、ぼけっと

ーな
【連体】そんな 『げ』は濁音・鼻濁音。古い標準語『そがいな』の転。

ーに
ほー
【形動】@そんなに、Aそんなにたくさん 『げ』は濁音・鼻濁音。
@は古い標準語『そがいに』の転。
Aは『法外に』が訛った可能性もある。
ぼげなす
げなす
人を中傷する言葉 濁音化・半濁音化。もともとは、艶の無くなった茄子のことだが、それが転じて使われるようになったという。
ほでなし:わからずや:岩手。『放題な・し』の意味か。
ほでなす:宮城。
ほーでなし:考えの浅い人:福島。
ほげほげ
【形動】@(作物等が沢山とれて)喜ぶ様、思う存分の様、ほくほく、A腹いっぱい、
【副】B沢山、存分に
『集覧:無記載』。
ほくほく→ほぐほぐ
『ほげほげ』をネットで検索すると10万件以上ヒットするのは流行語の『ほげほげ』と重複しているようである。『ほげほげ』とはドラえもんが困った時などに言う言葉だったと思う。
また標準語には『寿・祝(ほげ)』(ほがうこと、いわい、ことほぎ)があり、その繰り返し言葉の可能性もある。現在ではものを食べる時に多く使われるが、『集覧』では『嬉しそうな様』とある。『朗ら朗ら(ほがらほがら)』(うち開けて明るいさま)が訛った可能性もある。
方言としての『ほと流行語としての『ほげほげ』には、時代や背景としてのギャップがあるだろう。ドラえもんの『ほげほげ』は背水の陣の言葉だが、茨城の『ほは前向きで良い意味である。
は茨城県内でも現在ではかなり限られた地域でしか使われない言葉であるが、宮城の類似語の存在やや東京多摩でも使われる事から、古い言葉であることは間違いない。
@・:宮城。
A・:東京三鷹・東京多摩。
B・:@たくさん・たんと・Aお客様などにお料理をたくさん食べて下さいという時に使用:千葉銚子。
ほげほげ 【慣】そうかい 『そうかい』の意味の『ほげ』を繰り返す言い方。茨城弁にはこのような言い回しが多い。
ぼげぼげ
ぼけぼけ
【形動】ぼんやり、ぼけっと 『ぼやぼや』。
ほーもねー
ほーもねー
ほーーもねー
【複】途方も無い、量が過分であること 『法外も無い』。『げ』は濁音・鼻濁音。=『あでごどもねー』
ほーもねー:神奈川。
ほげーら 【代】そこら ふけいら:静岡。
ぼげーら
ぼげらっと
ぼげーり
【副】ぼんやり、ぼけっと
ほげる
ほーげる
【動】@耽る、夢中になる、A惚ける 類似語を列挙すると以下のとおりになる。『滅びる』『放る』『惚く・呆く』等、日本語における『ふ』『ほ』の音には、散る・放る・ぼける・にぶくなるイメージを伴うようである。
惚ける(ぼける、ほうける・ほおける):@(老衰などのために)知覚がにぶくなる。もうろくする。A髪などがほつれて乱れる。そそける。)
惚ける・耄ける(ほうける):(ホウクはホホクの転)@知覚がにぶくなる。ぼんやりする。ぼける。A極度に心を奪われる。夢中になる。
:@崩れる、A穴が開く。
惚ける・呆ける・暈ける(ぼける):@頭の働きや感覚などがにぶくなる。ぼんやりする。もうろくする。A(「暈ける」と書く) 色が薄れてはっきりしなくなる。色がさめる。また、物の輪郭がぼやける。
恍れる・惚れる・耄れる(ほれる):@ぼんやりする。放心する。A年とってぼんやりする。ぼける。B心を奪われるまでに相手を慕う。恋慕する。C人物などに感心して心をひかれる。D(他の動詞に接続して) 夢中になる。うっとりする。
更ける・深ける(ふける):@夜がふかくなる。深更(シンコウ)になる。A季節が深まる。B(「老ける」と書く) 年がたける。年とる。
耽る(ふける):@心を注ぐ。没頭する。専心する。A心を奪われ、自制心をなくす。おぼれる。B囀(サエズ)る。特に鶉(ウズラ)が鳴く。
蒸ける(ふける):蒸されてやわらかくなる。
@・ほける:東京。
ほーげる:山形。
ほーける:宮城・静岡。
ほごる・ほこる:ふざける・はしゃぐ:福島。
そーたにあそびほげっていーわげねーべな:そんなに遊び呆けて良い訳ないでしょ。
A・ほーける:盛りを過ぎる:東京多摩。『惚ける』。
ほーげる 【動】綿の実やキノコなどが開く、はじける ほーける・ほー:ワラビなどが伸びすぎて食べられなくなる:神奈川。『げ』は鼻濁音かどうかは不明。
(ほーける) 【動】騒ぐ 神奈川。
ほーける:騒がしく遊ぶ:宮城。
ほーけまわる:遊びまわる:宮城。
(ほーける) 【動】蕨などが食べられなくなるほど伸びる 神奈川。

ーる
【動】解れる 単に『解れる』が訛ったか。古い標準語の『ほげる』(崩れる、穴が開く)の転か?。
ほける・ほ:欠ける・はがれる:静岡。
ほげる:穴が開く:九州。
ぼげる
げる
ーげる
■▲ける
【動】@(木などが)腐る、風化する、A■◆ぼける 『集覧:猿』。
@祖母がしばしば使った言葉。『化ける』(ふける)かあるいは古い標準語の『ほげる』(崩れる、穴が開く)の転か、あるいは単に茨城弁に多い『ぼける』の半濁音化したものか。
とこげる:栃木。
ぼける:林檎が軟らかくなって歯ごたえがなくなる:長野。
はしらがげっちゃってっ:柱が腐ってるでしょうが。
A『暈ける(ぼける)』。
(ぼける) 【動】落ちる 静岡。
げん
けん
げーん
けーん
【形動】ぽかんとした様 『あっけらかん』の古い類似語(あけらぽん。あけらほん。)を見ると、標準語の古形を思わせる言葉で『ぼけっと』にも通ずる言葉。
けんと:岩手。
(ぼこ) 小児。子供。また、赤ん坊。 長野・山梨。
元『産子』と考えられ、『おぼこ』とも言う。
ほご
ほこ
【代】そこ 『集覧:猿』。
ふこ:静岡。
ほこ:山梨・福井。
ほごなしたー:そこどうしたの。
仲間はずれ 『反故・反古』(@書画などを書き損じた不用の紙。ほぐ。ほうご。A転じて、役に立たない物事。)。
(ほこ・ほこだけ) 草葺屋根の葺草を押えるために用いる竹または木 神奈川。
広辞苑に『矛竹:(神奈川・長野県などで) 草葺屋根の葺草を押えるために用いる竹または木。押矛(オシボコ)。うしほこ。』とある。
ほごいら 【代】そこいら
ほごこご 【代】そこここ、あちこち
ぼごじゃす 【動】壊す 『ぼ』は強調の接頭語。
ぼごじゃれ 壊れたもの
ぼごじゃれる 【動】壊れる
ぼごじょる 【動】たたき折る 『打ち抉り(くじり)折る』意味。
ぼごじる 【動】たたき折る 『ぼごぢょる』の転。
ぼごじれる 【動】たたき折れる 『ぼごぢょる』の転。
ほごす
■▲ほこす
【動】@(火を)起こす、A物を起こす 『集覧:新・稲』。
@『火(ほ)を起こす』意味。
:(植物を)育てる・生かす、(ひげを)はやす:宮城。
◎ほ 【動】@ほどく、A解体する、B固まったものをばらばらにする、Cこり固まったものをやわらげる 『解す』。
:長野・静岡。
:宮城・静岡。
ほん:宮城。
ぼごちょる
ぼこちょる
【動】たたき折る 『打ち抉り(くじり)折る』意味。
ぼごっと
ごっと
こっと
【副】@ぽっかり、穴が開く様、Aちょこんと、B膨れた様、ぷっくり
▼▽ほことり
▲▼ほことりけ
睫毛(まつげ) 『集覧:稲』。
『弄槍・矛取(ほことり)』とは、『槍をさまざまに取り扱いもてあそぶ散楽の雑芸、武技で、槍をしごくこと』とあり、槍の刃の形と関係があるように思われる。
また『埃』の語源は『火』に関る説が多いが良く解っておらず、この場合の『ほこ』はもしかすると『埃』の意味の可能性もある。『ほこ』はすなわち『火粉』で『り』は接尾語なのではないか。
(ほにする) 【動】切り捨てる 『はにする』。今でも政治言葉として使われる。
ほごびる 【動】綻びる(ほころびる)

駄目なこと、話にならないこと 中国語が原語と言われる。
このんやろー
ぼごぼご 【形動】@水などが泡立つ音。A中空のものを叩く音。Bでこぼこしているさま。また、穴がたくさんあいているさま。 『ぼこぼこ』
ほごら 【代】そこら
ほごらへん 【代】そのあたり、そのへん
ごらんと
こらんと
ほこらんと
こんと
【副】膨れた様、ぷっくり、ふっくら 『集覧:新』。
(ぼこり) 女児用の下駄。台の底をえぐり、後側を円くし、前部を前のめりにしたもの。多く黒または朱の漆を塗る。 長野。
『木履』(ぼくり・ぼっくり・ぽっくり)。
ほごる 【動】(火が)起きる、燃える 『火(ほ)起こる』意味と考えられる。
ほこらす:火をおこす:静岡。
ほこる:神奈川・静岡。
(ぼこる) 【動】相手を痛めつける(ぼこぼこにする) 東京。新語と見られる。
れる 【動】ほぐれる 『解れる(ほごれる)』。
れる:山形・東京。
れる:ごちゃごちゃになる:静岡。
ほごろ
ほころ
黒子(ほくろ) 『ほころ』は関東に広く分布する。
ほころ:東京。
ほごんそば 【複】そこの傍 ふこんすば:ここ:静岡。
◆■▲ぼさ @◆藪、A▲ごみ、ほこり @擬態語『ぼさぼさ』『がさがさ』から生まれた言葉か。
がさ:奈良。
ごそ:高知。
ぼさ:茨城・千葉・栃木・埼玉・群馬・神奈川・山梨・静岡・愛知・岡山。神奈川では草叢も言う。
ぼさぶち:夜、密会している男女のじゃまをすること・草叢を叩いて中に居る生物を追い出すこと:神奈川。
ぼしゃ:静岡。
ぼそ・ぼそろ:大分。
A『集覧:久・新』。
Bその他。
ぼさ:粗朶:神奈川・静岡。
ほーさい 幼児が暴れ歩くこと、いたずら、乱暴 『泡斎念仏』(踊念仏の一種。慶長(15961615)の頃、常陸の僧泡斎が寺の修理の勧進のために始めたが、後には物乞いが行なった。)が転じたと思われる。泡斎念仏は狂ったように踊り回る特徴がある。
『俚言』には『ほうさい:字未考。狂人を云。気違ひよほうさいと云訛有り。熱海の温泉にほうさい湯という温泉あり。』とある。
ほーさいする 【複・動】遊びほうける、遊びまわる
(ほうさいねんぶつ) 踊念仏の一種。慶長(15961615)の頃、常陸の僧泡斎が寺の修理の勧進のために始めたが、後には物乞いが行なった。
ほさ 【動】塞がる
◆▲ぼさか
ぼさっか
◆▲ぼさかぶ
ぼさっかぶ
ぼさっけ
ぼさっこ
『集覧:久・新』。この『か』は『処』で場所を表す。
当時の道路舗装率は確か40%内外。農道には2本の轍以外は草ぼうぼう。その轍を挟んで草を縛ると即席の転び罠ができたので子供達はそれで良く遊んだ。しかし、どこかで高齢者が大怪我をしたというのを聞きそれからは止めた。
この方言で面白いのは、他県では草叢も同様に言うのに対して茨城では藪に限定されていることである。
@藪。
ぼさ:千葉・神奈川。
ぼさっか:神奈川。
ぼさっかぶ:千葉・神奈川。
ぼさっかぶら:神奈川。
ぼさっこ:栃木。
ぼさやぶ:千葉・神奈川。
ぼさやま:藪山:神奈川。
ぼしゃ:静岡。
ぼそ・ぼそろ:大分。
A草叢。
ぼさ:千葉・神奈川。
ぼさかぶ:神奈川。
ぼさっか:埼玉・栃木・神奈川。
ぼさっかち:静岡。
ぼさっかぶ:神奈川。
ぼさっかぶら:神奈川。
ぼさっこ:栃木。
ぼさやぶ:千葉・神奈川。
ぼさっかぶ:千葉。
Bその他。
ぼたっかじゅー:荊棘のある小さな丘:静岡。
ぼたっくね:荊棘のある小さな丘:静岡。
ほざぐ 【動】言う、ほざく 相手が言うことをののしって言う語。
ほざぐ:山形。
ほだく:静岡。
ぼさぐれる
さくれる
【動】ぼうっとして何もしないでいる
△ほーざし 目刺 『頬刺』。
◎ぼさっと
ぼさーっと
【副】@ぼんやりと、A重くて大きなものが落ちる様
さっと 【副】@ぽつんと、ぽつりと、Aぼんやりと
ぼさげる 【動】@(髪の毛が)ばらばらになる、Aぼうっとして何もしないでいる
(ぼさつ) 近世語。『菩薩』。
ごくぼさつ:岩手。
菩薩:佐渡・飛騨。『清良記』『毛吹草』。
菩薩様:江戸。『浮世風呂』。
文殊菩薩:種の時。『清良記』。
地蔵菩薩:苗の時。『清良記』。
ぼさぼさ ぼんやりしているさま
ぼさぼさ 【形動】藪等で草木が繁茂する様、ぼうぼう 名詞形で藪を示す地域がある。
【形動】@ぱさぱさ、A惚けた様、ぼんやり A『ぼさぼさ』。
★『土』:酷(ひど)くおめえ近頃(ちかろ)さしっちゃってんだな、ああだ婆(ばばあ)でも焦(こ)れてる所爲(せゐ)ぢやあんめえ、頭髮(あたま)まで拔(ぬけ)た樣(やう)だな
ぼさやぶ
ぼーさやぶ
ぼさやぶ:神奈川。関東方言と考えられる。
ぼさやま 手入れの悪い林 ・:神奈川でも使われ関東方言と考えられる。
(ぼさゆー・ぼさをゆー) 【複】無理解なことを言う 神奈川。
ぼさり
さり
ぼさーり
【副】ぼんやりと 『集覧:久』。『ぼさっと、ぼさぼさ』。
ほさる 【動】干してある、干すことができる、乾く 古語の表現。『乾す・干す』+『らる』。
ほさってる:干してある:山梨。
(ぼーさる) 【動】負さる 静岡。
(ぼさをいれる) 【複】言葉を挟む、茶々を入れる 神奈川。
(ぼし・ぼす) 坊主 鹿児島。『法師』。
(ぼーし) 御高祖頭巾 宮城。
広辞苑に『御高祖頭巾:(ふつうには、形状が日蓮の像の頭巾に似るからとするが、おくそ頭巾に似ているところからなまったとする説、大明の高祖に関係づける説もある) 頭巾の一。四角な切地に紐をつけたもの。目の部分だけ出し、頭部・面部を包む。主に婦人が防寒用に着ける。袖頭巾。』とある。
ほしー 【古】ほしいい(糒、乾飯、干飯)のことでご飯を干して乾燥したもの 今で言えば即席ご飯。当時は炊飯器も無く、残ったご飯は直ぐに饐えてしまうので干して保存食にした。高校の古語の時間でも耳にした言葉。
ほしー:静岡。
《あの時代にそんな即席ご飯があったの?欲しい?》
ほーじ 稲の間に出たヒエを取ること 『集覧:久』。
『封じる』(ふうじる)は古くは『ほうじる』とも読み、ヒエを封ずる意味だろう。
ほしー
ほっしー
【形】惜しい、慕わしい 勿論『欲しい』意味でも使う。
『惜しい』には『欲しい』意味があり、『欲しい』と『惜しい』は同源ではないかと思わせる言葉。
ほしー:静岡・愛知・和歌山・広島・山口。
ほしか モズのはやにえ 『乾鰯・干鰮』の意味。
□ほしか 脂をしぼったイワシを乾したもの、イワシを干して作った肥料、ごまめ 『乾鰯・干鰮』。
ほしか:神奈川。
ほしこ:福島・新潟。
ほしりぼ
ほしりんぼ
ほしんぼ
けちんぼう
ほーしき 形式、一定のやり方、手続き、方法 口語では死語に近くなってしまった『方式』。当時は日常会話の中で頻繁に使われた言葉。『図式』に近いがそれも今やあまり使われない。現代語で言えば『手法』が一番近いかも知れない。
(ほじく) 【動】解く 静岡。
□▽ほしくそ
ほしっくそ
流れ星、隕石 江戸時代に出版された日本初の図入り百科事典である『和漢三才図会』に、『陸奥(青森)、出羽(山形・秋田)に星が落ちて、(中略)星屎(ほしくそ)と名づけた。』と書かれている。
星の語源は、@『火(ほ)』+詞助『し』、A『火石』(ほいし)の義、B『火気』(ほし・ほいき)の義、C『火白・日白』(ほしろ)の義、D『日子』(ほし)の義、他がある。
ほしくそ:千葉。
ほじぐりいす
ほじぐりーす
【動】掘り返す 『が・げ』は濁音・鼻濁音。
ほじぐる 【動】ほじくる、ほじる、掘る ほじぐる:山形。
ほじくる:埼玉・東京・静岡。
ほんつくる:青森。
ほじぐれる 【動】ほじって穴が開く ほじぐれる:山形。
ほしける 【動】乾く 岩手では植物の実が入らない意味。
ほししょー 薄切りにしたショウガに砂糖をまぶしたもの 土浦市の料理。
ほしたどご
ほしたどごろ
ほしたとごろ
ほーしたどごろ
ほーしたとごろ
【複】そうしたところが
ほしたどもったら
ほーしたどもったら
【複】そうしたと思ったら
ほしたぶら 『髱(たぶ・たぼ)』は、『みみたぶ』『しりたぶ』と同じ『たぶ』で、『髱』と書く。もともとは、日本髪の後ろに張り出した部分を指したが、肉付きの良い部分を示すようになった。古い標準語に『〜こぶら、〜たぶら、〜たぼ、〜たむら、〜むた』があるがいずれも今では死語である。
茨城弁には『ほーたぶ』(頬)があり、その流れの言葉と思われる。一方『頬』を何故『ほし』と呼ぶのかは解らない。
土浦市の方言だが記憶が無い。
ほしたら
ほーしたら
【接】そしたら、そうしたら 『新方言』には『ホシタラ 「そしたら」;徳島県でホタラなどに代わってホシタラが普及中(友定1994)』とある。茨城弁と関係があるわけではなく、もともとあった方言が標準語の影響を受けて変化したものだろう。
ほすたら:宮城。
ほしたらよ
ほしたらよー
ほーしたらよー
【接】そしたらね
ほして
ほーして
【接】そうして ほして:福島・高知。
ほーして:福島。
ほすてや:そしたら::宮城。
ほしなっと
ほしなっとー
干し納豆 納豆を天日で干したもの。表面は白い。
当時、納豆は、味噌・醤油と同じようにめいめいの家で作った。我が家の納豆は、稲藁を貯蔵した『までや』で作られた。『までや』には沢山の藁づとが重ねてあって、藁に天然に付いている納豆菌を利用したためか市販品に比べてねばりは少なかったが、食べる時には、その藁づとを『までや』から持ち出して、食膳に添え、めいめいが掻き出して食べた。藁はよく選ってあったがしばしば藁屑が一緒にご飯の上に一緒に入ったが、時には藁屑も一緒に食べた。
酒が大好きだった明治35年生まれの祖父は、その自家製の納豆に片栗粉をまぶして筵で干して沢山の『ほしなっと』を作り、作ったものは、一升瓶に一杯に詰めて戸棚の奥にしまってあった。
『ほしなっと』は、ご飯にかければ振り掛け代わりになり、お茶を加えればお茶漬けになり、おにぎりにまぶしても美味しい食材である。徒然草の時代の味噌と同じである。しかもかも冷蔵庫がいらない保存食でもある。
2008年夏、最近土浦市内の地元系スーパー『たいよう』で、商品名『つくば納豆』を見つけた。袋には一般名称らしい『乾燥納豆』とあり、原材料には『大豆・納豆菌・片栗粉』のほか、『食塩・醤油・山椒』が添加されている。
ネットを調べると今やフリーズドライの製品もあり、どうして、都心のスーパーでは見かけないのかが理解できない。
今、100円ショップが流行りだが、大よそ『ほしなっと』100グラムは100円だが、100円でふりかけにもなり、おかずにもなり、酒の肴になるものは『ほしなっと』か、子女子の類しかない。さらに、海産物ではとうてい『ほしなっと』勝つことはできないだろう。
納豆の歴史には、@糸引き納豆と、A乾燥した塩から納豆=寺納豆・大徳寺 であった。茨城の干し納豆は、この塩から納豆を引き継いでいると考えられる。
ほしまぎ 種を撒くとき転々と撒くこと 『すじまぎ』:筋状に撒くこと(対)。
(ほしみせ) 道路の側に出す臨時のみせ。露店。大道みせ。 東京。『乾店・干店』。近世語。
ほしもぢ @欠餅、A焼いた餅 @=『かぎもぢ』。清音形は、青森・岩手・奈良でも使われる。
A常陸太田市・那珂湊市・可島郡では、正月三日間これに塩引き鮭をつかて食べる。
ほしもの 日にほしてかわかすこと。また、その物。 『乾し物・干し物』。当時は洗濯物を指すほか庭で干す穀物も指した。神奈川でも使われる。
ほしものぼ 籾や豆等の穀類を干すときそれを均す道具。柄振(えぶり)。 『干し物棒』の意味。
ほじゃあんめ
ほーじゃあんめ
【複】そうじゃないでしょ 古くは『ほだあんめ』
ほーじゃあんめー:神奈川。
ぼしゃぼしゃ 【形動】びしょびしょ
しゃる 【動】だめになる 『しゃっぽを脱ぐ』の倒語とされる。
(ほーじょー) 寺の住職 広辞苑に『方丈:(天竺の維摩ユイマ居士の居室が方一丈であったという故事から) 寺院の長老・住持の居所。転じて、住持。住職。また、師の敬称としても用いる。』とある。
ほーじょー:山梨。
(ほしょんかん) 楮紙(コウゾガミ)の一種 鹿児島。『奉書紙』。
ほーじる 【動】奉じる。封じる。崩じる。報じる。焙じる。
ほじれる 【動】穴が開く 『穿る』の自動詞形・可能形。広島・山口ではへこたれる、長野では病み疲れる意味。
ほーしろば 【複】そうすれば ほーしろば:山梨。
ほーじろめ ホオジロ
ぼーしん 人足の頭、土方の親方、棒頭  『傍臣』(主君のそば近く仕える臣)意味が転じたと思われる。
(ほず) 蔕(へた) 静岡。
(ほーず) 【副】非常に 神奈川。『方図・方頭:さだめ。かぎり。範囲。際限。』は名詞。
(ほーず) 方図、方途 解説では『方図・方頭:さだめ。かぎり。範囲。際限。』『方途:進むべき道。方法。しかた。』とある。
ほーず:東京・静岡。
ほーずない:きりが無い:東京。
ほすがら 【接】そうしてから、だから ★長塚節『芋掘り』の一節:おすがら内の土藏ん所(と)け置いたの今朝盜まったんだか何んだかねえんだ:そうしてから家の土蔵のところへ置いたのが今朝盗まれたのかどうか無いんだ。
(ほすせ) 【複】欲しさに 鹿児島。
ほすっと
ほーすっと
ほーすっとー
ほすと
ほすとー
ほーすと
ほーすとー
【接】そうすると
ほーずもねー 【形】途方もない、きりが無い 『方図がない』。=『ほーげもねー』
ほーじもねー:とんでもない:山梨。
ほーずもねー:山梨。
ほーともねー:神奈川。誤読か。
ほーずやろー @暴れ者、A遊び人 『野方図・野放途』に由来すると思われる。
ほせー 【形】細い ほすか:鹿児島。
ほせ:青森・鹿児島。
ほせー:東京・神奈川。江戸言葉。俗語。
ほーぜー
ほーせぇー
子供が暴れ歩くこと 『集覧:久』。
『泡斎念仏』(踊念仏の一種。慶長(15961615)の頃、常陸の僧泡斎が寺の修理の勧進のために始めたが、後に
は物乞いが行なった。)が転じたと思われる。泡斎念仏は狂ったように踊り回る特徴がある。
『俚言』には『ほうさい:字未考。狂人を云。気違ひよほうさいと云訛有り。熱海の温泉にほうさい湯という温泉あり。』とある。
ほーせー ぶらぶらすること
ぼーせぎ
ぼーせぎいど
木綿糸、織り糸 『紡績』『紡績糸』。
ほせ
◎ほせく
【動】【古】防ぐ
ほーせーする 【複・動】遊びほうける、遊びまわる 『泡斎念仏』が転じたと思われる。泡斎念仏は狂ったように踊り回る特徴がある。
ほーせーぼー 遊び人、狂人 『泡斎坊』。
ぼーせーぼー 新治郡の方言。『棒割き棒』の意味。
ほせみぢ
ほせーみぢ
細道 ほせみち:千葉。
ほせり 台所 稲敷郡・竜ヶ崎市・北相馬郡。
『せせらぐ』の古形『せせなぎ』の流れか。昔、小川を炊事場にしたいた時代の言葉と考えられる。神奈川では炊事場から出た排水をためておくところを『せしな、せせな、せせなと言う。
次項の意味が転じて台所を指すようになったとも考えられる。
ほせり:食事の支度:静岡。
ほせりば:炊事場:静岡。
ほせる:食事の支度:静岡。
ほせり 【形】細い 稲敷郡。形容動詞とも副詞とも考えられる。神奈川では、細かい薪を『ほせほせ』と言う。
もともとは『細い』が変化した『ほせー』とも考えられる。
ほせる 【動】乾く 『ほさる』が訛ったと考えられる。
ほせる:青森。
(■墓前祭) 死者の霊が帰って来るのを防ぐ儀式 『土浦市史・民俗編』では、墓前または寺で行なわれるのが紹介されているが、わが家でかつて行なわれた葬儀の時は、出棺に伴い自宅の庭で行なわれたと記憶している。棺は大八車に載せられ、六道役が、4本の笹竹を立てた(ししだけ・じゃばら)周りを左周りに七周り半回る風習である。
(ほぞ) 木材や石材の面材を平らに繋ぐための突起やつなぎ材 建築用語の一つ、継ぎ材を示すほか、その方法を『ほぞ継ぎ』と言う。古くは『ほそ』と呼ばれる。身近にはフローリングのジョイントで使われる。臍を意味する古い言葉でもある。
『ほぞ』は他に『蔕:(古くは清音。臍ホゾと同源) 瓜や果実のへた。』、『臍:(古くは清音)@へそ。神代紀上「裳帯(モヒモ)を―の下に抑(オシタ)れて」。〈和名抄三〉。日葡「ホソ。カミ(上)ではヘソ」A櫓・石臼などについている突起物。B(「たくみのほぞ」の略) 計画。計略。C決心。本心。』がありいずれも同源の可能性が高い。
長野では栓を指す。
ほそー 保障
ほーそー 包装紙
ほーそーきょぐ おしゃべり 神奈川。比喩による方言の典型例。
△▽ほそっこ 細い紐、細帯 ほそこ:山形。
ほそっこ:福島・栃木・埼玉・神奈川。
ほそっこ 【形動】痩せていること(物、人)
ほそっこい
ほそっけー
【形】@細い、A痩せている様 @・ほそこい:岩手。
ほそっこい:神奈川。
ほそっこおび 細帯 『集覧:久』。
そっと 【副】ぼそっと
ほそっ
ほそっ
痩せている人 ほそっ:千葉。
ほそっ 細いこと
ほそっらい 【形】細い
ほそっ 痩せている人
ほそっ 【形】やや細い
(ほそつむき) 平織薄手の精良な紬 鹿児島。『奉書紬』。
ほそな 【形】細長い 俗語。
ほそな:青森。
(ほそば) 静岡。
ほぞび
◆▲●△▽☆ほそび
黒子(ほくろ) 『集覧:多』。
『贅(ふすべ)』(黒子(ホクロ)。転じて、無用の物。)が訛ったものか『ほぞ・ほそ』(臍:櫓・石臼などについている突起物。)の流れと考えられる。
くすび:静岡。
くすべ:東京大島・山梨・長野・愛知。
ほそび:宮城・山形・福島・茨城・栃木・千葉北東部。
ほそびぎ
ほそびき
細い麻縄 『細引』。現代では細縄を言う。
ほそびぎ:山形。
ほそべらい 【形】細い
ぼそぼそ 【形動】水気がなく乾いている様
△▽ぼそぼそ 【形動】ぼんやり、ぐずぐず 『ぼさぼさ』。
ぼそぼそ:長崎。
ほそぼったい
ほそぼってー
【形】やや細い
ほそみぢ 細道
ほそらす
ほそらせる
【動】細くする、痩せさせる 『細る』の使役形。
ほそらめる 【動】細める、細くする 『めえほそめでみろ』。動詞『細る』の使役形の『細らす』の擬似他動詞形あるいは『細める』の擬似他動詞形と考えられる。
めえほそらめでみろ:目を細めてみなさい。
ほだ
◆▲ほーだ
【複】そうだ 『集覧:真』。
ほーえ:山梨。『え』は元『や・よ』。
ほだ:宮城・福島。ほだでば:そうなんだよ。『そうだってば』の意味。
ほーだ:山梨。
ほだほだ:そうそう。
ほーだよな・ほーだいな:そうだよな。
(ほた、ほだ、ぼたの謎) 『ほた』とは榾と書き、『榾木』(ほだぎ)のことで、椎茸(シイタケ)を栽培するために伐った椎・栗・櫟(クヌギ)などの木を言い、比較的細く、建築材料には適さない木である。

『ぼた』とは、炭鉱で、選炭した後に残る岩石や粗悪な石炭を言い、それを盛り上げた山を『ぼた山』と言う。
『ばた屋』とは、『ごみ箱や道路上の紙屑・ぼろ・金物などを回収して生活する人。屑拾い。』のことである。辞書には漢字が当てられていないがが明らかに端材の『端』だろう。
 一方茨城ではヒキガエルをほだかいる、ほだかえる』と言う。『@ぼろ布、Aぼろきれを作って剥ぎ合せた漁師の服』を『ぼった』と言う。茨城方言では促音化した『ばった』にはどうやら『価値が無いもの』意味がありそうである。さらに集めれば多くの類似・関連語がある。
『ぼたもち』は、広辞苑に『@(赤小豆をまぶしたところが牡丹の花に似るからいう) 「はぎのもち」に同じ。A女の顔の円く大きく醜いもの。B円くて大きなもののたとえ。』とある。漢字では『牡丹餅』と当てられているが、単に当て字としか思えない。
『ぼて』は、『@「はりぼて」の略。A「ぼてふり」の略。B「ぼてれん」の略。Cタナゴの俗称。(琵琶湖)Dモツゴの俗称。(新潟地方)Eメダカの俗称。(兵庫県飾磨郡地方)』とある。
 仮に、言語の源泉は擬音語や擬態語から生まれたとすれば、日本人は『バ行音』にはことさら悪い印象を抱いていたことになる。
◎ほだ 榾(ほた)、椎茸を栽培するための木 『榾木』(ほだぎ)。『ぼた山』の『ぼた』にも通ずる。
ぼた:椎茸を栽培する木:静岡。
ぼたやま:椎茸を栽培している山:静岡。
ぼだ
ほだ
@荒引きした材木、A6尺角の松材、B端材、C木の株 『俗語』によると江戸時代には粗朶を指したという。
ぼた:丸太:福島。
ほだ (きざみ)タバコの燃えかす、灰 『ほだ』はもともと『@囲炉裡にくべたり焚火などにしたりする木の切れ端、ほたぐい、A大きな材木、地面に倒れている朽木』(広辞苑)の意味で、木の粕の意味が大きい。
ほく:山梨。『火粉』の意味か。
ほだたる:埃がたつ:東京多摩。
(ぼた) 水気のある土地 佐渡島。
『保田』と書くという。
(ぼた) 土手 静岡。
(ほだ) 足の卑語 日葡辞書にある京都の言葉。足を『榾(ほだ・ほた)』(大きな材木。また、地面に倒れている朽木。)に例えたと見られる。
ほだ:新潟・長野・和歌山・淡路島・四国。
ぼた:石川。
ほた:長野・奈良。
ほだかし:大分。
ぼち:八丈島。
ほど:愛媛。
ほだあんめ
ほだあんめー
ほだんめ
ほだんめー
ほーだんめ
ほーだあんめー
【複】そうじゃないだろう 近年では『ほじゃんめー』と言うらしい。
ぼだい
ほたい
@本家、A嫁の生家 『集覧:無記載』。『菩提寺』に由来すると考えられる。
ぼだいぎ ぼたん雪 広辞苑に『ぼたゆき(ぼた雪):(新潟県・福井県・石川県・山形県庄内地方・大分県などで) 湿気のある大粒の雪。ぼたん雪。』とある。
ほだ:雪が積もって道が無いところ:山形。
ぼだゆぎ:青森。
ほだ〜
ほーだ〜
ほーた〜
【代】そんな〜 『た・だ』は、『〜にてある・〜たる』が転じたもの。
ほーたにおめ、かれーもんばっかし食ってだらやーはー、けづめどぶんぬげっちまーがんなやー。きょーつげろ。なんだーおめは、おがしなごどゆーなやなー。おらなけづのめどこだらはー、うまれだどぎがらあなこあいでっと。ぶんぬげでながったらおめ、おんこもでぎめよなー。:お前は、そんなに辛いものばかり食べていると、尻に穴が開いてしまうぞ。−なんだい、お前は。おかしな事を言うなあ。俺の尻の穴なら生まれた時から開いているよ。穴が開いていなかったらウンチも出来ないだろう。
ほだあんめ
ほーだあんめ
【複】そうじゃないでしょ ほーじゃあんめー:神奈川。
ほだいが
ほーだいが
ほーだえが
【複】そうだろうか ほだいが:宮城。
(ほたいくむ) 【動】陥る 鹿児島。
(ほたいこくる) 【動】打ち倒れる 鹿児島。
ほだいた 【動】燃え尽きる 『集覧:無記載』。『火(ほ)が絶えた』意味。
(ほたいとかす・ほたっとかす) 【動】倒れる 鹿児島。
ほだいな
ほーだいな
ほだいね
ほーだいね
【複】そうだね
(ほーだいなし) 【形動】考えの無い様、うっかりした様 宮城。
『放題』は広辞苑に『自由勝手なさま。ぶしつけ。無礼。放埒。』とある。
ほだいる 【動】燃え尽きる 『火(ほ)が絶える』意味。
ぼろおび 裂いた布で作った農作業用の帯 ぼろおび:神奈川。民俗語。
ほだが
ほーだが
【複】そうか ほだが:福島。
ほだかいる
ほだかえる
ヒキガエル 『集覧:久』。
他に『ばったえる』などとも呼ばれ価値の無い蛙とされてきた歴史があるようだ。
『ほだ』はもともと『@囲炉裡にくべたり焚火などにしたりする木の切れ端、ほたぐい、A大きな材木、地面に倒れている朽木』(広辞苑)の意味で、あまり良い意味はない。
『ぼた山』の『ぼた』にも通ずる。
ほだがや
ほーだがや
【複】@そうかい、Aそうではない
ほだがら
ほーだがら
【接】そうだから、だから ほやでー:福井。
ほだ 榾木(ほたぎ)、椎茸を栽培するための木 『榾』(ほだ・ほた)とは、『@囲炉裡にくべたり焚火などにしたりする木の切れ端。ほたぐい。A大きな材木。また、地面に倒れている朽木。』(広辞苑)とある。
ほだ:神奈川。
ほだぐ
◆■ほだく
【動】@ほざく、しゃべる、A大きな声で言う、わめく 『語源辞典』には、『ほざく:@火裂。心火の裂け出るを言う、Aほさく(祝)またはほたく(自慢そうに言う)の変化したものか』とあり、この方言は『ほたく』(自慢そうにいう)が濁音化したとも考えられる。自動詞形の『ほたえる』(@ふざける。おどける。A甘える。つけあがる。)は、@の意味で長野と京都以西で今でも使われる。
A・ほだく:神奈川。
ほたく:佐渡島。
Bその他。
ほだく:ふざける:東京多摩。
ほたく:ふざける:新潟・岐阜。
ほだ 【動】火が燃え尽きる
ほだぐ
ほーだぐ
ほーたぐ
ほーたく
【連用】そんなに 『そーたぐ』
ほだ 木の燃え残り
(ほたくりあるく・ほたりあるく) 【動】あちこち歩き回る 神奈川。
ほだげど
ほだけど
ほーだげど
ほーだけど
ほだけんど
ほだけんと
ほーだけんど
ほーだけんと
【複】そうだけれど ほだげんちょも:福島。
ほなけんど:徳島。
ほやけど:大阪。
ほだ 【動】火が燃え尽きる 『火床』『消える』意味だろう。
ほだごど
ほーだごど
ほーたごど
【複】そんなこと ほだごど:宮城・福島。
ほだごどあんめ:福島。
ほだしけ
ほーだしけ
【複】そうなんだって、そうだって
ほだしけが
ほーだしけが
【複】そうなの?
ほだしけな
ほだしけなー
【複】そうなんだってな、そうだってな
(ぼたず) 脳味噌 神奈川。
『ぼた』はぼた山に代表される『炭鉱で、選炭した後に残る岩石や粗悪な石炭。』の意味だとすれば、これは『ぼた頭』でもとは罵倒語だったのかもしれない。
ほだす 【動】繋ぎ止める、制止する 『絆す』。標準語では受身形で『情にほだされる』等で使う事が多い。
ぼだぞーり 使い古した藁草履、藁草履 この『ぼた』は『榾(ほだ・ほた)』と思われる。『ぼた山』の『ぼた』にも通ずる。また『ばた屋』の『ばた』にも通ずる。
ぼたぞーり:神奈川。
(ほだたる) 【動】埃が立つ 東京多摩。
ほだちけ
ほーだちけ
ほーだちっけ
ほーだっちけ
【複】そうなんだって、そうだって 『ほだしけ』が変化したもの。
ほだちけが・ほーだちけが?:そうなんだって?。
ほだちけな・ほーだちけなー:そうなんだってねえ。     
ほだちけな
ほーだちけな
ほーだちっけな
ほーだちっけなー
ほーだっちけな
【複】そうなんだってな、そうだってな
ほだちけや
ほーだちけや
ほーだちっけや
ほーだっちけや
ほだちけよ
ほーだちけよ
ほーだちっけよ
ほーだっちけよ
【複】そうなんだってよ、そうだってよ
ぼだづぐ
ぼだつく
【複】ぼたぼたと漏れる 『ぼた吐く』の意味か。
ぼだっと
ぼたっと
【副】ぽたりと
ぼだっ 青っ洟 『ぶどっな』
ほだっ
ほーだっ
ほだへ
ほだっへ
ほーだっへ
【複】そうだろう
ほだでる
ほだてる
【動】かき混ぜる 『攪てる』(ほだてる)。清音ならやや古い標準語。
ほだてる:神奈川。
ほだてる:弱くなった火に息などを吹きかけて強くする・手をつけてはいけないものに手を付ける:神奈川。『火立てる』意味か。
ほだどや
ほーだどやー
【複】そうだよ
ほだな
ほーだな
ほだない
ほーだない
ほだなえ
ほーだなえ
ほだなや
ほーだなや
ほだなよ
ほーだなよ
【複】そうだねえ ほだない:福島。
ほだなっす:福島。
ほだなん:福島。
ほだな
ほーだな
ほーたな
【連体】そんな ほだな:山形。
ほだなごど:そんな事。
ほーだなごどやんだねーど:そんな事遣るんじゃないぞ。
ほだに
ほーだに
ほーたに
【連用】そんなに ほだに:宮城・福島。
ほだい:山形。
ほだね
ほーだね
ほーだねー
【複】そうではない ほんでね:青森。
ほだはだぎ
ほだはだき
灰皿 『ほだ』は『ぼた山』の『ぼた』に通ずるか。
ほくはれー:山梨。
ほたぶ
ほーたぶ
▲●ほーたぶら
ほーたぶろ
ほーたま
この『たぶ』は『みみたぶ』『しりたぶ』と同じ『たぶ』で、『髱』と書く。もともとは、日本髪の後ろに張り出した部分を指したが、肉付きの良い部分を示すようになった。
古い標準語にはこのほか『〜こぶら、〜たぶら、〜たぼ、〜たむら、〜むた』があるがいずれも今では死語である。『集覧:西・真』。
ほったぶろ:栃木。
ほたぼ:秋田。
ほーたあがむぐりのほーたぶしてだれがにぶんなられだんだあんめ?:そんな赤く腫れた頬して誰かに殴られたのかい?。
ほだべ
ほーだべ
ほだへ
ほーだへ
【複】そうだろう
ほだほだ
ほーだほだ
【感】そうだそうだ ほやほや:福井・滋賀。
ぼだぼだ 【副】@ぼたぼた(落ちる、垂らす)様、A雨がざーざー降って来る様、B太っている様、【形動】Cずぶ濡れの様 @・ぼだぼだ:千葉銚子。
ぼだめし
ぼためし
ぼだもぢ
牡丹餅(ぼたもち)、おはぎ 県南部ではお盆にもち米を焚きご飯の上に餡を載せて食べる風習があり、それを指す場合もある。
ぼだもづ:青森。
ほだもの
ほーだもの
ほーたもの
ほだもん
ほーだもん
ほーたもん
【複】そんなもの
ほーだや
ほーだよ
【複】そうだよ ほーえ:山梨。『え』は元『や・よ』。
ぼだゆぎ ぼたん雪 広辞苑に『ぼた雪((新潟県・福井県・石川県・山形県庄内地方・大分県などで) 湿気のある大粒の雪。ぼたん雪。)』とある。。
ぼだゆぎ:青森。
ぼたゆき:山形・佐渡島・新潟・大分。
ぼだら ぼろきれ、ぼろぼろになった着物 ほたら:稲穂のまざった屑:静岡。
ぼーだら
ぼーたらめめず
雨の日などに道路に横たわっている巨大ミミズ 千葉県北部の方から『棒太郎』の意味ではないかとの助言をいただいた。
県下の他方言を考えると、『棒鱈(役に立たない者。でくのぼう。あほう。)の意味とも思われる。
おーたらめめず:神奈川。
ぼーだら:千葉。
ぼーたろ:千葉。
ほだら
ほーだら
@【連体】そんな、A【接】そうなら 『ほーなら』。サ行音がハ行音に変化するのは東北方言と関西方言にある。
@★ほだらごっていーわげあんめ:そんなことで良い別けないでしょう。
A・ほな:関西。
ほなら:関西。
ほないきまひょか:それでは行きましょうか。
B・ほーたら:沢山:山梨。
〜ぼだら
〜ぼったら
【助】〜だらけ 茨城では事例は少ない。
〜ほだら:山梨。つちほだら::土だらけ。
ほーたらがし ほったらかし
ほだらもの
ほーだらもの
ほーたらもの
ほだらもん
ほーだらもん
ほーたらもん
【複】そんなもの
ほたる ツユクサ
ほだるのけづ その土地の地理に明るいこと 濁音化。死語。
ほたるのけつ:神奈川。
ほたるのけつ:ほんのわずかな火:神奈川。
ほだるのす
アワフキ、アワフキの泡
ほだるのたま アワフキの泡
ぼーたる
ほーたる
ほたるめ
ほたろ
ほーたろ
ホタル 『集覧:猿』。
『ほうたろ・ほうたろう』は、一説に近世大阪語とされる。大阪ではさらにうち』とも言った(聞書)。
『語源辞典』には『ほたる:@ホタリ(火垂)の転、Aホテリ(火照)の転、Bヒタル(火足)の義、Cホタロウ(火太郎)の義、D星垂の意か、Eひかる意の語、ホトロから』とある。
ほたーる:神奈川。
ほーたる:青森・神奈川。
ほたろ:秋田・神奈川。
ほーたろ:福島。
ほだれ 耳たぶ
(ほだれ) ぼろぼろになること 神奈川。『穂垂:正月の削掛(ケズリカケ)』に由来するか。
ぼーたろ
ぼーたろー
雨の日などに道路に横たわっている巨大ミミズ 千葉県北部の方から『棒太郎』の意味ではないかとの助言をいただいた。
県下の他方言を考えると、『棒鱈(役に立たない者。でくのぼう。あほう。)の意味とも思われる。
おーたらめめず:神奈川。
ぼうだら:千葉。
ぼうたろ:千葉。
ぼだん ボタン 濁音化。
ぼだん:青森。
ぼだん
ぼたん
イノシシの肉 『集覧:多』。
ほだんべ
ほーだんべ
ほーだんべー
【複】そうだろう
ほーたん
▲●ほーたんぼ
『集覧:多・水』。
ほーたんぼ:長野。
ぼだんいぎ
ぼだんゆぎ
ボタン雪
ぼぢ
◆▲□▽○ぼち
@容器、A▲壺類、B肝心なこと、C▲餅、D 『壺』も『櫃』(おひつ)も『ぼぢ』または『ばぢ』と言う言い方をする。『集覧:新・行』。『ぼち』『香取』にも掲載。
『称呼』には『とくり:下総にてぼちといふ。この国にて酢ぼち、酒ぼちなとと云。江戸にてゑだる(とくりの家也)といふを、京及北越にてたじといふ。江戸にて云ぬりだるを遠江にてやなと云。又此国にて酒を嗜む人の女子を生む時は其名をやなとつくる人多し(柳樽の略語なるへし。)。』とある。
(ほち・ぼち・ほちろく) 穢多 静岡。
広辞苑に『えた:(「下学集」など中世以降、侮蔑の意をこめて「穢多」の二字を当てた) 中世・近世の賤民身分の一。牛馬の死体処理などに従事し、罪人の逮捕・処刑にも使役された。江戸幕藩体制下では、非人とともに士農工商より下位の身分に固定、一般に居住地や職業を制限され、皮革業に関与する者が多かった。一八七一年(明治四)太政官布告により平民の籍に編入された後も社会的差別が存続し、現在なお根絶されていない。』とある。
ぼーぢ 豆類等を棒を使って脱穀すること。 『棒打ち』の意味。神奈川では『ぼーち・ぼーちぇ』と言う。
ぼちか 竹で編んだ背負い籠 東茨城郡。
ぼーぢ 豆類等を棒を使って脱穀する杵 『棒打ち杵』の意味。
ほちくりけーす
ほちくる
【動】ほじくる、ほじる 『穿る』。
ほちこち 【副】そちこち ほちぇかちぇ:間食:山形。
ほつこつ:宮城。
ぢっと
ちっと
【副】ちょっと、少し、ぽっちり
ぼーぢぶぢ 脱穀 『棒打ち打ち』の意味。
ぼぢーぶっちゃす 【慣】自滅する
ぼーぢぼ
ぼーぢぼー
@豆類等を脱穀する棒。A藁鉄砲。 『棒打ち棒』の意味。
ぼぢぼぢ 【副】ぼちぼち、
ぼつぼつ
ぼちっか:山梨。
ぼちらぼちら:群馬。
ぼつっか:山梨。
【形動】点の散らばるさま。ちょぼちょぼ。 聞かなくなった標準語。
ぼぢぼぢ:@点・A湿疹:千葉銚子。
★『土』:雀斑(そばかす)がちしてっ處(とこ)までなあ。
ちむ
ほちむ
【動】芽を吹く 『集覧:西』。『ほぎる』がさらに訛ったものだろう。
(ほちゃ 【動】自慢する 神奈川。
(ほーちゃける) 【動】物足りない振りをする 神奈川。
(ほちゃほちゃする) 【動】おだてながらあれこれ言う 神奈川。
ぼちゃぼちゃ
ちゃちゃ
【形動】@水をかきまぜるさま。A水の浅いさま。B水の浅い場所を歩く様、Cふっくりと愛らしいさま。
ほーぢょ 包丁 ほぢょ:青森・秋田。
ほちょ:鹿児島。
ほーちょん:静岡。
(ほつ) 静岡。
広辞苑に『はつ【発】:(呉音はホツ):出立すること。送り出すこと。』『とうげ【峠】:(タムケ(手向)の転。通行者が道祖神に手向けをするからいう。「峠」は国字)山の坂路を登りつめた所。山の上りから下りにかかる境。』とある。
ほっ〜
ぼっ〜
【接頭】 強調の接頭語または『掘り』の促音。
ぼっか @ウナギ、A棒 『棒状のもの』の意味だろう。千葉では大ウナギを指すという。
(ぼっか) 強力 『歩荷』。
広辞苑には『山を越えて荷を運んだり、山小屋へ物資を運んだりするのを仕事とする人。』とある。主に登山用語と言える。
ぼっか:長野。
ほっか
ほっかー
【複】そうですか、そうか
〜ほっか 【助】〜ほか、〜しか
ほーっかい ほっぺた 『集覧:猿』。
もともと『ほっぺ』とは、『頬端』『頬辺』の意味。しかきこの場合『頬塊』の意味と思われる。あるいは『ほーっけ』の逆音便か。
ほっかいし 掘り返すこと ほっかえし:神奈川。
ほっかいす 【動】掘り返す
ほっかげぶね 帆掛舟、帆曳船 当時、帆曳船は霞ヶ浦の代表的な漁船で霞が浦を眺めれば(自宅の2階から良く見えた)必ず数艘から重数艘の帆曳船を目にすることができた。昭和40年頃からトロール船に変わり、今は観光用しかなくなってしまった。
ほっかげる 【動】@(ビニールシートなどを)掛ける、A畔を作る、土を寄せる @『(ビニールシートなどを)掛ける』場合は、『幌』+『掛ける』が転じたのであろう。
A『畔を作る』場合は、『堀』+『掛ける』の転。
ぼっかげる
△ぼっかける
【動】追い駆ける ぼっかけるは中世の古い言葉。井原西鶴の作品にも出て来る。
ぼいだす:投げ出す:新潟・長野。井原西鶴の作品には『追い出す』を『ぼいだす』と言う表現がある。
ぼう:青森・岩手・愛知・京都・鳥取。
ぼくる:岩手・宮城・福島・岐阜。
ぼこぐる:追い出す:秋田。
ぼたぐる:追い出す:岩手・秋田。
ぼたくる:追い払う:青森。
ぼっかける:追いかける:岩手・秋田・宮城・静岡・福井・広島。
ぼっこくる:追いかける:新潟。
ぼったぐる:茨城。
ぼったくる:新潟・広島。
ぼる:青森。
ぼっかす
ぼっかーす
【動】壊す 『ぶっこわす』がさらに訛ったもの。古い標準語の『崩す』(くやす)が転じた可能性もある。
ぼっかす:神奈川。
ほっかぶり
ほーっかぶり
ほっかむり
頬被り 『ほおかぶり・ほおかむり』
すっこっかぶり:静岡。
ほかぶい:鹿児島。
ほっかぶり:神奈川。
ほーっかぶり:神奈川。
ほっかむり:東京・神奈川。
ほっこかぶり・ほっこねじり:山形。
ぼっかり 【副・形動】@大きく口を開くさま、穴があいている様、Aぼんやり、Bうっかり @標準語では『ぽっかり』。
A標準語では『ぼんやり』。
ぼっかり:静岡。
B標準語では『ぽっかり』だが今ではあまり使われない。
ぼっかり:うっかり者:神奈川・静岡。
ぼっかり:静岡。
ほっかり:うっかり者:静岡。
っかり 【副・形動】@ぼんやり、Aうっかり っかり:神奈川。
ぼっかれ 壊れたもの
ぼっかれる 【動】壊れる 『打ち壊れる(ぶっこわれる)』の転。
ほっかる 【動】放っておく かまねがらほっかどげ:構わないからほっといて。
ほーつき ホオズキ ほずき:秋田。
ほーづぎあるぐ
ほーつきあるく
【動】ほっつき歩く 北茨城市。
ほーつれる:遊び歩く:山梨。
★『土』:其處(そこ)らほうつき歩いちや小遣銭位(こづけえぜねれえ)はとってんだな塩梅(あんべえ)しき:そこらをほっつき歩いては小遣い銭程度は取っているんだな、様子が。
ぼっきら
ぽっきら
【副】@ぽつり(と言う)、Aぽっきり(折れる)、【形動】短い様、尖ってない様
◆■▲ぼっきらぼー
ぼっくらぼー
【形動】@ぶっきらぼー、A(杭先等が)尖っていない様 『集覧:真』。
@・むっきらぼー:山形。
ぼづ ぶつ切り
ぼっきり 【形動】ぽっきり、丁度、【副】ぽっきりと折れる様
ぼっきる 【動】叩き切る 『打っ切る』。
ぼっきれ
ぼーっきれ
棒の切れ端、棒切れ 『集覧:猿』。
ぼーっきれ:群馬。
◆■▲▼ぼっく @▼朽木、枯れ木、A◆■▲▼木の切り株 木(ぼく)が転じたものだろう。木(ぼく)にはその他『ふしくれだち、または曲った樹木のふるい根または幹』とある。ただし、『焼け棒杭に火がつく』という慣用句があるように『棒杭(ぼっくい)』が訛った可能性もある。
『集覧:多・新』。
茨城方言集覧では『木の根の殆ど朽ちたるもの』とある。
@・ぼく:愛知・奈良。
ぼく:枯れた木の幹:東京武蔵村山。
◆▲ほっく
ほっくだ
ほっこ
ほった
@谷津田に面して作られた枝状に分岐した小さな田、A▲掘田、掘り下げて作った田 『集覧:真』。
『続土浦の方言』(H16)では、上大津地区の北部にある神立地区に残った方言として紹介されている。『堀処(ほりく)』『堀処田(ほりくた)』『堀田』の意味。
ほっか:用水路:千葉。
・ほっく 洋服の鉤(カギ)状または丸型の留金 オランダ語起源の言葉。英語ではフック。
ぼっくい 棒ぐい 標準語では慣用句の『焼け棒杭(焼け木杭)に火が付く』がある。『焼け棒杭』は『焼けた杭。燃えさしの切株。』の意味である。単体では辞書には無いが古い言葉と考えられる。
ほっくじる 【動】こじる、ほじる、掘り起こす
ぼっくす 【動】壊す 《箱をぼっくす?!?》。
ほっくび 穂首 ほっくび:群馬。
ぼっくぶぢ
ぼっくほり
@木の切り株を掘り起こすこと、A木の切り株を掘り起こす斧
ほっくら 【形動】あたたかなさま。ほかほか。 『俚言』によると江戸時代には『ほっこり、ほこやか』が使われたとある。
ぼっくら
◆■っくら
ぼっくらに
ぼっくり
ほっくり
【副】急に死ぬさま。ぽっくり 『ぽっくり』。『集覧:稲』。
ぼっくら
ぼっくり
【副】@大きく口を開くさま。また、穴のあいているさま。A物が折れる様 @『ぽっかり』。
A『ぽっきり』。
ぼっくら:岩手。
ほっくりいす
ほっくりえす
ほっくりかえす
ほっくりーす
ほっくりけーす
ほっくるーす
【動】掘り返す 『が・げ』は濁音・鼻濁音。『掘り繰り返す』意味か。
ほっくりかえす:宮城・神奈川・静岡。
ほっくり:宮城。
ほっくりけーす:群馬・神奈川・山梨。
(ぼっくりだし) 【形動】出し抜けの様、突然の様 神奈川。
ぼっくれ @壊れたもの、A棒の切れ端、B◆木の切り株 @『ぶっくれ』が訛ったもの。
A『棒切れ』。
B『木切れ』の意味。
ぼっくれる 【動】(機械が)壊れる
ほっけ
ほーっけ
『ほっぺ』が訛ったと思われる。長野では頬被りを『ほっこ』と言う。山形・群馬では頬被りを『ほっこかぶり』と言う。
ほっけ
ほっけー
【複】そうですか、そうか あーほっけー:ああそうか。
ほっげす
ほっけす
ほっげーす
ほっけーす
【動】掘り返す ほっけす:宮城。
(ほっけたいこ) 良いときだけちやほやされる事 神奈川。
(ぼっけもん) 強情者、向こう見ず 鹿児島。
『すぼっけもん』とも言う。『す』は強調語と思われる。『ぼっけ』は『物怪、勿怪』の意味か。
ぼっこ
ぼーっこ
@棒、A切り株 @・ぼっこ:青森・神奈川。
Bその他。
ぼっけもん:向こう見ず・豪胆な人:鹿児島。
ぼっこ:下駄に固まりつく雪:福島。
(ぼっこ) ぼろ、古いもの 神奈川・山梨・静岡。
この方言は、茨城方言の『ぼっこれる』(壊れる)の成立の過程にあった言葉の可能性がある。
ぼっこい:古くて壊れている様:山梨。
(ぼっこ) 履物 神奈川。
(ぼっこ・ぼっこー) 朴訥名人、言葉遣いや動作が乱暴なこと、むき出しに怒る性質、角の立つ人 神奈川。
ほっこ 【代】そこ 『集覧:猿』。
っこ
っこ
っこり
女児用の下駄、ぽっくり 『称呼』には『あしだ:関西及西国にてくりぶくりといふ。中国にてくりぶくりと云物は江戸にて云げたのこと也。』とある。
っくり:静岡。
っこり:鹿児島。
ぼっこぐる 【動】@殴る、A追い払う @=『ぶっこぐる』
A『追いまくる』意味。
ぼっこぐる:山形。
ぼっこくる:追いかける:新潟。
Bその他。
ぼっこぐる:押し付ける:山形。『こくる』には『括る』意味がある。
ぼっこじゃす 【動】(機械を)壊す 『ぶっこじゃす』がさらに訛ったもの。
ぼっこじゃれ 【形動】故障していること
ぼっこじゃれる 【動】故障する
◆■▲△▽ほっこじる 【動】こじる、ほじる、掘り起こす 『集覧:新』。『掘り』『抉る(こじる)』の転。
ほっこじる:掘る・引っこ抜く:福島。
◆▲ぼっこす 【動】壊す、打ち破る 『打ち壊す(ぶっこわす)』の転。『集覧:猿』。
『俚言』には『ぼっこす:岩代にて破毀をいふ。』とある。
ぼっこす:山形・福島・栃木。
ぼっこっちゃ:壊れた:福島。
(ぼっこちー) 【形】ぼろい・ぼろっちい 神奈川。
『ぼっこ』の形容詞形。
(ぼっこつない) 【形】頑固な様 神奈川。『朴訥(ぼくとつ)なりや』の意味か。
(ぼっこのひと) 短気な人 神奈川。
△☆ぼっこむ 【動】投げ込む、ぶち込む 『打ち込む』意味か。
井原西鶴の作品にも出て来る。この場合のぼっは『追う』の意味。
ぼっこむ:青森・岩手。
ぼっこむ:追い込む:神奈川。
ほっこら
ほっこり
【形動】ふっくら、ほかほか ほっこり:もてあまして疲れたさま:滋賀・京都。
ぼっこり
っこり
【副】@盛り上がっている様(凸)、A穴の開いた様 『もっこり』の意味だがこの『もっこり』は辞書不掲載。この『ぼっこり』も標準語世界で使われる。
ぼっこら:急に:宮城。
ほっこりいす
ほっこりーす
【動】掘り返す 濁音・鼻濁音。
ぼっこれ @壊れたもの、A棒の切れ端、B木の切り株 @『ぶっくれ』が訛ったもの。
ぼっこれ:福島。
ぼっこい:古くて壊れている様:山梨。
A『棒切れ』。
B『木切れ』の意味。
ぼっこれる 【動】壊れる ぼこえる:秋田。
ぼっこれる:宮城・福島・栃木・群馬・新潟。
ぼじょこれる:福島。
ぼっこる 【動】落ちてくる 『ぶっこる』
(ぼーっころし) 【形動】寝て棒を転がしたような状態 神奈川。
ぼっころす 【動】殺す ぼっころす:埼玉。
ぼっこわす 【動】壊す ぼっこわす:福島・栃木・群馬・東京多摩。
ぼっこわれる 【動】壊れる 『新方言』には『ボッコワレタ:こわれた。栃木県南部で。』とある。
ぼっこわれる:神奈川。
ぼっざら
ぼっさら
@藁の混じった籾や落穂、A▲穂の付いた稲や麦の藁 『集覧:久』。
@『穂』に屑を意味する『ざら』がついたものか。ゴミや塵を『ぼさ』と言うので『ぼさ藁』の意味か。神奈川では『ぼさら・ぼっちゃら』と言う。
A『ぼっちわら』の転。
ぼっさら
ぼっさり
【形動】@(頭などが)ぼさぼさの様、A草などが繁茂している様、Bぼんやり
っさり 【形動】ぼんやり 『土』『太十と其犬』の文中に出て来る。
◆■ぼっしゃ 【形動】びっしょり
ぼっしゃぼっしゃ
ぼっしゃぼしゃ
【形動】びしょびしょ
ぼっしゃら
ぼっしゃり
【副】【形動】びっしょり ぼっしょり:栃木。
っしり・っちり) 【副】【形動】虫などを潰す様 『俚言』掲載語。
ほづす 【動】解く、解す やや古い標準語の濁音化。『解す(ほつす)』。
ほづす:山梨。
(ほっそ) 罠、落とし穴 山梨。
ぼっそり 【形動】@寂しい様、ひっそり、A一言言う様、ぼそっと
ほった〜 【接頭】そんな〜
◆▲ぼった
ぼったぼた
ぼったぼった
【形動】びっしょり 『集覧:無記載』。
ぼった @ぼろ布、Aぼろきれを作って剥ぎ合せた漁師の服 『集覧:無記載』。
@『ぼろの反物』の意味か。
A『ぼろの反物』の意味か。以下の神奈川方言は、茨城の『ぼった』と同源と考えられる。
あたりぼった:潜水する漁夫が船中で暖をとるための刺し子の衣服:神奈川。
いかぼった:イカの夜釣りの時に着る刺し子の着物:神奈川。
いそぼった:磯のものをとりに行くときに着る刺し子の着物:神奈川。
おきぼた・おきぼった:沖で漁をするときに着る刺し子の着物。『おきっきもの』とも言う。
さしっこぼーた:刺し子の着物:神奈川。
どんだ:漁師が沖着にするぼろの着物:神奈川。
ぼた:潜水漁夫がかぶる刺し子のかぶりもの:神奈川。
ぼだ・ぼた:漁師が着る着物で刺し子のものやぼろ布をを当ててつぎはぎしたもの:神奈川。
ぼーた:ぼろの着物・刺し子の着物:神奈川。
ぼたきもの・ぼたっきもの:漁師が着る着物で刺し子のものやぼろ布をを当ててつぎはぎしたもの:神奈川。
ぼたばんてん:漁師が着る着物で刺し子のものやぼろ布をを当ててつぎはぎしたもの:神奈川。
ぼーたれ:ぼろ着物:栃木。
ほだれっきもの:漁師が着る着物で刺し子のものやぼろ布をを当ててつぎはぎしたもの:神奈川。
ぼったきもの:漁師が着る着物で刺し子のものやぼろ布をを当ててつぎはぎしたもの:神奈川。
ぼっつぁ:漁師が着る着物で刺し子のものやぼろ布をを当ててつぎはぎしたもの:神奈川。
りばんてん:漁師が着る綿入れの半纏:神奈川。
りぼった:潜水する漁夫が船中で暖をとるための刺し子の衣服:神奈川。
もじり:三角形の袖・巻き袖・巻き袖の衣類:神奈川。
もじりっ:三角形の袖・巻き袖・巻き袖の衣類:神奈川。
もじりばんてん:巻き袖の半纏。
りょーしぼっこ:漁師が着る着物で刺し子のものやぼろ布をを当ててつぎはぎしたもの:神奈川。
Bその他。
以下県下の関連方言を示す。
ぼった:大型のウナギ:新治郡。
ぼった:イトミミズ:猿島郡。
ぼったかもめ:年老いたカモメ:北茨城市。
ぼったくづ:足に合わない大きな靴:県北部。
〜ぼったい
〜ぼってー
【助】(形容詞の語幹や名詞につけてその)傾向がある 標準語でも使うが茨城弁では多用する。『厚ぼったい・安ぼったい・腫れぼったい』。もともとは『重い』意味とされる。
あおぼったい:青っぽい。
あせぼったい:汗ぐんだ様子。
ほそぼったい:細い。
ぬるぼったい:温い。
やせぼったい:やせている。
ぼったい 【形】重たい
ぼったぐる 【動】高く売る、ぶったくる 清音なら標準語世界でもしばしば使われる言葉だが辞書不掲載。『ぶったくる』が正しい。
ぼったぐる 【動】追い払う、追い回す 『追う』は『ぼう』とも言う。
ぼいだす:投げ出す:新潟・長野。
ぼう:青森・岩手・愛知・京都・鳥取。
ぼくる:岩手・宮城・福島・岐阜。
ぼこぐる:追い出す:秋田。
ぼたぐる:追い出す・追い払う:岩手・秋田・山形。
ぼたくる:追い払う:青森。
ぼっかける:追いかける:岩手・秋田・宮城・福井・広島。井原西鶴の作品にも出て来る古い言葉。また同作品には『追い出す』を『ぼいだす』と言う表現がある。
ぼっこくる:追いかける:新潟。
ぼったぐる:山形。
ぼったくる:新潟・広島。
ほったぐる
ほった
【動】@堀り回す、堀まくる、A放りっぱなしにする @・ほったぐる:千葉銚子。
ほったごど 【複】そんなこと ほったごどあんめ:そんな事無いでしょ。
ぼったじょーり
ぼったぞーり
ほったぞーり
使い古した藁草履、藁草履 『集覧:西』。=『ぼだぞーり』
『粗末な草履』の意味。『ぼた山』の『ぼた』にも通ずる。『ぼた』とは『炭鉱で、選炭した後に残る岩石や粗悪な石炭。』の意味。また『ばた屋』の『ばた』にも通ずる。
(ぼったつ) 【動】立つ 静岡。強調語。
ぼったでる 【動】藁混じりの籾を摘み上げ風で選り分ける 『打ち立てる』または『穂を立てる』意味か。
ほったに 【副】そんなに
ほったな 【連体】そんな
ほったの 【複】そんなの
ほったぶ この『たぶ』は『みみたぶ』『しりたぶ』と同じ『たぶ』で、『髱』と書く。もともとは、日本髪の後ろに張り出した部分を指したが、肉付きの良い部分を示すようになった。
古い標準語にはこのほか『〜こぶら、〜たぶら、〜たぼ、〜たむら、〜むた』があるがいずれも今では死語である。
ほったぶ:宮城・山形。
ほったぶろ:栃木。
ぼったぼった
ぼったぼだ
ぼったぼた
@【副】ぼたぼた、A【形動】びしょ濡れの状態、ぼたぼた落ちる状態
ほったまり 水溜り
ほったら @【接】そしたら、A【連体】そんな A『そんなな』の転。
ぼったら
ぼったらやぎ
ぼったらやき
お好み焼き・もんじゃ焼きの前身 『ぼったら焼(小麦粉を水でとき砂糖をまぜ、これを金属板にたらして焼いた駄菓子。)』(広辞苑)。
当時は駄菓子屋の一角に鉄板のついたテーブルが置いてあり、そこで自分で作って食べることができた。特にぎょおんの時はかなりの小遣いを稼いだので、駄菓子屋でも待ってましたとばかりであった。小麦粉だけの場合と、卵を入れる場合もあった。具は無いことが多く、あっても紅ショウガの千切りか乾しエビ程度で質素なものだった。調べると東京、埼玉、神奈川にも分布していて、清音なら方言ではなく明治期に流行った子供用のおやつの名称のようである。鉄板の上に『ぼったら』と落とす意味があった。勿論焼きそばも定番であった。
『ぼったら』にはこのほか@【副】わずか、A藁の混じった籾や落穂 の意味がある。
おたらし:小麦粉を練って作った焼餅:神奈川。
おべったやき:川崎駅周辺の一部地区での子供向けもんじゃ焼き:神奈川。
たらしやき:神奈川。
どんどんやき:東京。
なべやき:小麦粉を練って作った焼餅:神奈川。
ぼった:千葉浦安市。
ぼったら:埼玉川口市。
ぼったら
ったら
藁の混じった籾や落穂 『ぼっちわら』
ぼったら 猟師が着る木綿の綿入れ 『香取』にも掲載。
ぼったら 【形動】びっしょり、【副】(重いものが)落ちる様
ぼったらがし
ほったらがし
ほったらがし
ほったらかし
ぼったらがす
ほったらがす
【動】ほったらかす ほったらがす:福島。
ほったらかす:群馬。
ほったらごど 【複】そんなこと ほったらごど:福島。
ぼったらじょーり
ぼったらぞーり
ぼったらぞーり
藁草履、大きな藁草履
ぼったらたで
ぼっちゃらたで
ぼっちらたで
藁混じりの籾を摘み上げ風で選り分けること
ほったらよ 【接】そうしたらさ
◆■ぼったり 【副】【形動】@びっしょり、滴り落ちる様、A(重いものが)落ちる様、ぼたり
ほったれ 呆然とした人、気力の失せた老人 『呆垂れ』の意味。
ぼーたれ:ぼろ着物:栃木。
ほったれ:産卵を終わって精気を失った魚:栃木。
ほったれる 【動】呆然とする 『呆け垂れる』意味。
ぼったん 【形動】びっしょり 『ぼった』+『に』が転じたもの。
ぼったんなる 【動】びっしょりになる 『ぼったになる』がさらに訛ったもの。
◆■▲ぼっち @帽子、A稲叢、B桟俵、C■山の形に盛り上げたひとかたまりの草や藁、丸く盛り上がった土、品物のかたまりの単位(ひとやま)、▲土や堆肥を盛り上げたもの、D▲蔕(へた) 『帽子』の意味。中央が尖った形状のものを指す。長野には『高ぼっち高原、高ぼっち山』がある。
@幼児語。
鹿島郡では頂部の尖った農作業用の帽子を指す。
ぼっち:頭巾:青森・岩手。
ぼっつ:青森・秋田。
A東茨城郡では『稲叢』に載せる藁を束ねたものを指す。
ぼっち:東京。
のーぼっち:稲叢。
B俵の両端の塞ぎ(桟俵)も『ぼっち』という。『集覧:猿』。
C『集覧:猿』。
ひとぼっち:脱穀した籾などを筵に広げたひとかたまりの単位:神奈川。
ぼっち:神奈川。
ぼっちうない:畦を盛り上げること:神奈川。
ぼっちゃ:タバコの葉を束にしたもの:神奈川。
D『集覧:真』。どんぐりの蔕を見るとまさしく帽子である。新潟・静岡でも使われる。
その他、久慈郡では嶺の頂を指す。
ぼっち:新潟・静岡。
ほっち:静岡。
ぼっち
っち
@小さく突き出たもの、A引き手、つまみ A・ぼっち:山梨。
ぼっちょ:山梨。
Bその他。
ほし:栓・樽の飲み口:東京・神奈川。
ぼっち:栓:静岡。
ほっち:樽の飲み口:神奈川。
ほっち:栓:埼玉・神奈川・山梨。
ぼっちょ:山梨。
(ほっち) 静岡。
(ぼっち) 静岡。『墓つ地』の意味か。
〜ぼっち
っち
【接尾】たかが〜 標準語の『〜ぽっち』(たった〜)の拡大利用しているのであろう。
なんであいづぼっちにやられっちったんだ:どうしてたかがあいつなんかに遣られちゃったの。
ほっぢ
ほっち
【代】そっち ほっち:山梨。
ほっちゃ:福島。
ぼっち 頂部の尖った農作業用の帽子 麦藁帽子が普及する前の農作業用の帽子。『帽子笠』の意味。
ほっちぐる 【動】穿る =『ほじくる』。
ほっちこっち 【副】そちこち、あっちこっち
ほっちのげ
ほっちぬげ
【形動】そっちのけ、仲間外れ
ほっちのほ
ほっちのほー
【複】そっちの方
ぼっちゃ
ぼっちゃぼちゃ
ぼっちゃぼっちゃ
【形動】びっしょ
ほっちゃぐる 【動】掘る、ほじくる 『掘りさくる』意味。
ほっちゃぐる:福島。
ほっちゃぐれる 【動】ほじくれる、穴が開く
ほっちゃこっちゃ 【副】そちこち、あっちこっち ほっちゃこっちゃ:宮城。
ほっちゃす 【動】掘る
(ほっちゃつけーもねー) 【形】とんでもない、もったいない 神奈川。
▽△ぼっちゃら
ぼっちゃーら
@藁の混じった籾や落穂、A▲穂の付いた稲や麦の藁 『集覧:稲』。=『ぼっちわら・ぼっざら』
@・ぼっちゃら:神奈川。
ぼっちゃら 脱穀した藁を選ったあと束ねて円錐形に広げて乾かしたもの。俵や筵の材料にする。 『ぼっちわら』がさらに訛ったもの。
っちゃら) 餅つきの仕上げ用の大きな杵 神奈川。
ぼっちゃら
ぼっちゃり
【形動】びっしょ
ほっちゃらがし ほったらかし
ほっちゃらがす 【動】ほったらかす
ぼっちゃらぶぢ 殻竿等で麦を脱穀すること、麦打ち
ぼっちゃん 【形動】物が水に落ちる様や音、ぽちゃん ぼっちゃん:群馬。
ぼっちょる 【動】叩き折る 『打ち折る』意味。
ぼっちょる:宮城。
ぼっちら
っちら
ぼっちり
っちり
【形動】僅かな様 『俚言』によると『一人でさびしい様』の意味で使ったという。
ほっちらがす 【動】@散らかしたままにする、A掘りっぱなしのままにする @『放り散らかす』。
A『掘り散らかす』。
ぼっちわら 脱穀した藁を選ったあと束ねて円錐形に広げて乾かしたもの。俵や筵の材料にする。
っちん 帯止め 『集覧:稲』。『ぽっち』の意味と思われる。
ほっつぁぐる 【動】穴を掘る 『堀り』+『さくる』。
ほっつぁぐれ
ほっつぁくれ
@大きな穴、A大水・大雨などの後にできた穴
ほっつぁぐれる 【動】穴が開く
ほっつぎあいぐ
ほっつぎありぐ
ほっつぎあるぐ
ほっつぎまーる
【動】ほっつき歩く もともとは『ほつく・ほっつく』だけで『歩き回る』意味があった。漢字は当てられていない。『惚ける』と同源と思われる。
『俚言』には『ほつき廻』があるが解説が無い。
ほづぎあるぐ:山形。ほっつきあるった:群馬。
ほっつきあいく:長野。
ほっつきあるく:群馬・東京・神奈川。
ほっつきまーる:群馬。
ほっつきまわる:東京・静岡。
ほっつぎやろー 遊び人 『ほーづぎやろー』とも言う。
ほっつぐ 【動】ほっつく、うろつく 『ほつく・ほっつく』。濁音化。
ほーつく:静岡。
ほっつく:ついばむ:秋田・富山。『掘りつつく』意味か。
ほっつく:土をよせる:東京多摩。
ほっつく:東京・神奈川。
ぼづっと
ぼっつら
ぼっつり
【形動】@ところどころにしか無い様、A鉛筆などが尖っていない様
ぼっつらぼっつら
ぼっつりぼっつり
【副】ところどころ、点々と、ぽつんぽつんと
っつり 【副】ぽつり
っつりめし ご飯だけの食事
ほって それで 『集覧:北』。
ぼってー 【形】重たい
ってかすー) 馬鹿、馬鹿な人 沖縄。
ぼってーねー 【複】【形】もったいない
ほってぎぼり 置いてきぼり 『おってぎぼり』
ぼってぐ 【動】追って行く 古い言葉に『追ひ出す(ぼいだす)』(追い出す。たたき出す。)がある。
ほっても 【複】どうしても、それでも ほっても:青森・新潟・富山。
ぼってり 【副】ずんぐり
(ホッテントット) 土浦では訛って『おってんとっと』と言っていた。h音を省略するのはフランス語が有名だが、日本にも古くから各地の方言にあり、茨城もその例に漏れない実例でもある。耳にはちゃんと『ほってんとっと』と聞こえているのについつい『おってんとっと』と言ってしまう。
当時からテレビ番組で話題になったアフリカの土人。『土人』とは『未開の土着人。軽侮の意を含んで使われた。(広辞苑)』のこと。現在ではコイ族またはコイコイ族のこと。女性の体型がいわゆる出っ尻で、特異な体型を持つ。ホッテントットのエプロンなる不可思議な風習もあるそうなのだが、あまり話題にならないのはテレビ放送には向かないのだろう。
ーっと
ーんと
【擬】物を放り投げる様
っと 【副】突然現れるさま、急に 死語となった標準語。英語の『pop up』に音韻が似ているのが面白い。
ぼっと:山形。ぼっとゆわっじぇもこまる:急に言われても困る。
△▽ぼっと 【副】万一、もしや、ふと、つい 『集覧:真』。『ふと』。
ぶっと:群馬。
ぶっとかすると:ひょっとすると:群馬。
ぼい:長野。
ぼっと:栃木・埼玉・群馬。私の記憶では、多く『ぼっとすっと』が使われた。『ふと』が単純に訛ったか。
っと:福島。
ぼっと:わざとではない・意図しない:福島。
ぼっと:意識せずに・悪意なしに:群馬。
ぼーっと:不意に:静岡。
ぼっときぬけた:うっかりして忘れていた:宮城。
(ほっと) 【副】十分に 中世語の影響か。
広辞苑に『ほっと【副】@ためいきをつくさま。A胸をなでおろしてやっと安心するさま。Bもてあまして疲れたさま。』とある。現代では、『ほっとする』という言い方しかないが『十分に』の意味は、現代では長野と京都に残る。
ほっとすいみんをとる:十分睡眠をとる:長野・京都。
ほっとする:うんざりする:兵庫・徳島・鹿児島。
(ほっとかす) 【動】倒れる 鹿児島。
(ぼっときぬけた) 【複】うっかりして忘れていた 宮城。
ほっと 【複】放って置く 『ぐ』は濁音・鼻濁音。
ほっとぐ:千葉銚子。『ぐ』は濁音か鼻濁音か不明。
はーほっと:もうほっとけよ。
ぼっとしたら
ぼっとして
ぼっとすっと
【副】ひょっとしたら、ひょっとして、ひょっとすると 『ぼっとすると』は、『ぼんやりしていると』の意味で、『うっかりすると』の意味に転じたのではないかと思われる。あるいは、単に『ふと』が訛ったか?
『俚言』には『ぼっとする:下野にてひょっとするをいふ。』とある。
ぶっとかすると:群馬。
ぶっとすると:群馬。
ぶっとにも:間違っても:群馬。
ぼっとかすると:群馬。
ぼっとすっと:栃木。
ぼっとすると:群馬。
ぼっとにも:間違っても:群馬。
(ほっとする) 【動】疲れる、飽きる 鹿児島。近世語。
ぼっとや 【副】万一、もしや 『集覧:猿』。
ぼっとり
っとり
【副】ぽとりと 物を落す様。
(ぼっとる) 鉛筆 静岡。
オランダ語『potlood』由来の言葉。
ほっとれ 老人 『ほったれ』がさらに訛ったもの。『集覧:猿』。
ぼっとんべんじょ
っとんべんじょ
汲み取り式トイレ 新しい方言、流行語の可能性もある。浄化槽を備えた水洗便所は40年代半ばに普及し始めた。
ばぐだん:千葉銚子。
ぼっとん:千葉銚子。
づねんと 【副】ひとりだけで寂しそうに居るさま つねんと:東京。
ほっば
ほっ
谷津田に面して作られた枝状に分岐した小さな田、掘田 『ほっく』。『掘った場所』の意味。『集覧:行』。
ほーっ ホオの葉 『朴つ葉』の意味。群馬でも使われる。
ぼーっぱぎ
ぼーぱぎ
足が棒のようになる病気 県北から県西にかけての方言。『棒脛』の意味。
つっころばし・ぼーころし・ぼーっころ:全身がつっぱって体の自由がきかない病気:神奈川。
ほっだげ
ほったけ
深く耕した畑 『集覧:猿』。
ぼっ
ぼーっ
棒切れ
ぼーっ 青っ洟 ぼっ:宮城。
ぼーっなたらし 青っ洟を垂らすこと
ほーっ
ほっれかぜ
ほー
おたふく風邪 『頬脹れ』。
ほっ たからびき 広辞苑に『宝引(ほうびき):福引の一種。幾本もの綱を束ねてそれを人に引かせ、胴ふぐり(木槌)または橙(ダイダイ)の果実のついている綱を引き当てた者が勝で、賞を得る。また、直接、綱の端に金銭や品物を結びつけた。正月の遊戯や賭博として行われた。』とある。
ほっ:山形。
ほっ:群馬。
ほっ 【複】掘ろう、掘るだろう
ほーっ
ほっ
ほーっ
ほーっ
頬、ほっぺた 『頬っぺた(ほっぺた)・頬べた(ほおべた・ほほべた)』。
ほっ:青森・宮城。
:青森・秋田。
ん) 江戸時代からあるガラス製の子供のおもちゃ。ビードロ。細長いガラスの筒の先に底が平らになった球があり、平らな部分が薄いので吹くと『ぽっぺん』に似た愛嬌のある音がする。ビードロの事。 浮世絵の『ビードロを吹く女』が有名。当時のお祭りでたまに見かけたが高くて買ってなかなかもらえなかった。一説には、ぽっぺんの他『ちゃんぽん、ぽぺん、ぽこぺん、ぱっぺん、ぽこぽこ』等があるようだが、土浦ではん』だったような気がするが定かでは無い。無理に吹いていると薄い底のガラスが割れてしまい使い物にならなくなった。
『聞書』によれば江戸ではかんちゃらん』、浪花ではぽぺん』と言ったという。
『俚言』には『ぽんぴん:江戸にてぽこんぽこんと云。』とある。
ほっ ほっ:千葉・埼玉。
@お新香、A餅 幼児語。『集覧:西・行』。
@お腹、A懐、B裸、Cハト、D汽車 幼児語。
A『懐』の意味なら標準語。『ほっぽ』とも言う。
:東京・東京多摩・長野・静岡。『中心』の意味もある。
にいれる:横領する・横取りする・くすねる:東京。
C標準語。
D・ぼっ:静岡。
Eその他。
『俚言』によると江戸時代には頬を指したと言う。
:服:青森。
ほっがす
ほっかす
【動】ほっぽらかす ふっかす:静岡。
ほっかす:静岡。
ほっ 【動】ほうっておく
ほっじる 【動】掘る、ほじる ほっじる:神奈川。
ぼづぼづ 【形動】【形】ぼつぼつ、ぶつぶつ、吹き出物が出来た様
ぼづぼづ 【副】そろそろ、ぼちぼち、ぼつぼつ
(ほっほっ・ほっついほっつい) 【副】そろそろ、ぼちぼち 鹿児島。
標準語では『ぼつぼつ』とも言う。古形『ほつほつ』
ほっっとぐ 【動】放っておく 濁音化。
ほっらがす 【動】ほっぽらかす 濁音化。
ほっらがす:福島。
ほっりだす 【動】放り出す
ほっりな 【動】放り投げる 辞書不掲載だが標準語の俗語と考えて良いだろう。
ほっりな:東京。
ほっ 【動】放る 標準語の俗語。
ぼっ:群馬。
ほっ:群馬・神奈川。
ほっぽっとげ:ほっとけ。
ほーづら 馬鹿面(ばかづら) 『呆面』の意味と思われる。
ほーづらさでのごのごきだどー:馬鹿面下げてのこのこ来たよ
つーら
つらつら
つーり
つーりつり
【副】@(雨などが)ぽつぽつ、A(物が)点々と @・ちりちり:山形。
Bその他。
つりつり:少しずつ:神奈川。
ぼづらぼづら 【副】ぶつぶつ(言う)
ほつーれ
ほっーれ
老人 『ほっとれ』がさらに訛ったものと思われる。『呆垂れ』の意味。『集覧:久』。
ほづれる 【動】ほつれる、ほどける 濁音化。『解れる』。
昔は衣服の型紙がどこの家にもあった。丁寧に衣服を手作業で縫ったのに時々失敗して解けてしまうことがあった。それはまさしく『ほつれる』と言った。
『ほつれる』とは、例えば鮭の肉を解くことも意味し、まさに『ほどける』の意味である。
はづれる:山形。
ほづれる:神奈川・静岡。
ぽづんと 【副】ひとりだけで寂しそうに居るさま
ぼで
ぼて
@籠、魚を背負う背負い籠、ニワトリを運ぶのに使う竹製の籠、A笊、B行商、行商人 @Aやや古い標準語の濁音化。『ぼて』。『張りぼて』の『ぼて』は笊・籠のこと。姿形がずんぐりとしているからだろう。音韻から七福神の『布袋』(ほてい)の腹になぞらえたのかもしれない。妊婦を『ぼてれん』と呼ぶのもうなずける。
ぼで:山形。
ぼて:千葉。
B『棒手振り』(ぼうてふり・ぼてふり)の短縮した『ぼて』。
ぼてー:静岡。
(ほて) 横、側方 長野。
〜ほーでー 放題 〜ほーかい:神奈川。『神奈川』では『ほーかい』を『法界』と当てている。『法界』には『縁故のないこと』の意味があるが、閉ざされた世界を例えた意味かもしれない。
〜ほーでー:群馬。
ほーだいなし:考え無し・うっかり:宮城。
ほーてー 包帯 ほーてー:神奈川。江戸言葉。
ぼでか
ぼでーか
ぼてーか
ぼてー
ぼでざる
ぼでーざる
ぼてざる
魚篭(びく)、籠、笊 『集覧:新』。
この場合の『ぼて』は『棒手振り』(ぼうてふり・ぼてふり)の短縮した『ぼて』とは異なると考えられるが、棒手が当て字なら同じルーツと考えられる。古い言葉の『ほで』は腕のこと。
長塚節の『土』『ぼて笊』が出てくる。『ぼて籠』ともに辞書には無いが、笊と籠を区別するために用いているものと思われる。ただしぼてーこ』は変則的な発音であり、本来は『ぼでーが、ぼでーか・ぼてーかだと考えられる。
ぼでか:福島。
ぼでか:@背負い籠・A野菜売り・魚売りのおばちゃんが背中にしょっている籠の名前:千葉銚子。
ほーでがす 【複】そうでございます ほでがす:宮城。
ほでがいん:そうではありません:宮城。
(ほてきさま) 仏様 静岡。
(ほてり) 【副】沢山 静岡。
(ほてるー) 【複】とちぐるう 静岡。
(ほてけさん) 仏様 静岡。
(ほてた) 【複】死んだ 静岡。
ぼでっと 【副】@ぼんやり、Aずんぐりと太った様、お腹が膨らんだ様 Aは笊や籠の姿になぞったものだろう。
ぼてりと:山形。
ぼでっ 腹を指してさげすむ語 『ほてっ腹』『布袋腹』。=『どでっら』。第一音が濁音化した珍しい茨城方言。形容動詞の『ぼでぼで』の変形した言葉と見られる。
辞書には『ほてっ腹:@腹。また、肥って張り出した腹。ほて。A馬子が馬をののしり叱る語。B腹筋のよじれるほどおかしいこと。笑止なこと。C(副詞的に) 腹いっぱいに。十分に。たらふく。』とある。
『称呼』には『腹(はら):畿内近国及中国四国にてほてといふ。東国にては腹とのみ唱へてほてとはいはず。然ともほてくろしほてっなどいふ詞有。ほてくろしと云は、「枕双子」に腹黒(はらきたなし)とあるにをなじ。又東国にて臍黒といふ詞もをなし心ばえなり。』とある。
ほて:腹:愛知・香川・愛媛。
ほていっ:腹いっぱい:静岡。辞書には無いが『ほてっ腹』の原型と見られる。
ほでっ:満腹になった腹:神奈川。
ほてっ:太っ腹:長野。
ほてっ:多く・たくさん:山梨。
ほてっ:腹いっぱい:静岡。
ほでなす 馬鹿たれ 福島。『ぼけなす』が訛ったか。
ほーでねー 【複】そうじゃない 『そうでない』意味。
ほでね:宮城・福島。
ぼでふり
ぼてや
魚の行商、魚の行商人 『棒手振り』(ぼうてふり・ぼてふり)。
『俚言』には、『ぼていふり』がある。
ぼでふり:山形。
ぼでかぎ:山形。
ぼでぼで 【形動】【副】@太った様、A重ったるい様、Bごてごて A標準語の『ぼてぼて』の濁音化。
ぼてぼて:神奈川。
ほーでやあんめ
ほーでやあんめー
【複】そうじゃないだろう ほーじゃあんめー:神奈川。
ほでらす 【動】暖める、顔を赤くする
ほでり 熱り、熱 『火照り』。濁音化。
(ほでり) 稲妻 『俚言』によると『ほでり:颶母(ばいぼ)を云。火光の義也。俗に婦女の怒意有て気ままなるをほでると云。颶母より出たりやかて波風立へきをもてなりと云り。愚按、今云夕やけをほでりと云。』とある。
ここで『颶母』とは『嶺表録』に『秋夏の間に暈 虹の如き有り。之を颶母と謂う』とあり、彩雲を指していると思われる。
広辞苑には『火照命(ほでりのみこと):瓊瓊杵尊(ニニギノミコト)の子。母は木花之開耶姫(コノハナノサクヤビメ)。弟の山幸彦(彦火火出見尊)と幸(サチ)をかえ、屈服して俳人(ワザヒト)として宮門を守護。隼人(ハヤト)の始祖と称される。火明命(ホアカリノミコト・ホノアカリノミコト)。火闌降命(ホスソリノミコト・ホノスソリノミコト)。海幸彦(ウミサチビコ)。』がある。さらに『ほてり【火照り・熱り】:@のぼせて顔が赤くなること。怒りまたは恥じて顔が熱くなること。A夕焼がすること。B風が吹こうとする時、海面が赤く光ること。』とある。
いずれも『火照』の意味と思われ光や色が鮮やかに照る様子や、赤く染まるものを言っていると思われる。ここから、『火』と『日・陽』は同源と思われ漢字の伝来に伴い、別の字を当てたと考えられる。
ほでり:岩手。
ふでー:沖縄。
ほでる 【動】暖まる、(体の一部が)熱くなる(ほてる) やや古くなった標準語の『火照る』。
ぼでる
ぼてる
【動】餅などがふやけでどろどろになる 『ぶでる』。『集覧:新』。岡山・広島では膨らむを『ぼてる』と言う。古い言葉に、ふやかす意味の『潤(ほと)ばす』、ふやける意味の『潤(ほと)びる』がある。
ほでーる 【動】火が消える 『火絶える』意味と考えられる。
ぼてれん
てれん
妊娠 辞書には『(妊娠して)腹のふくれていること。また、妊娠。ぼて。』とある。
はらぼっけ:妊婦:青森。
(ほてろ) 【複】寝なさい 長野。『温まる』意味の『火照る』が寝る意味に転じたか。
ぼーでんき
ぼーでんち
懐中電灯 ぼーてん:棒・木の棒:長野。『棒手木』の意味か。
□△ほど @囲炉裏の窪んだところ、囲炉裏、Aかまど 標準語。『火床』。
@標準語では、『いろりの中心部、火をたくくぼんだところ。』を指す。
ほど:山形。
A標準語では、『鍛冶用の簡単な炉。煉瓦またはコンクリートで作り、一方の羽口から送風し、上に覆いを置き、煙突を設ける。煙突を用いず、煙を排風機で下方に送るものを下向吹込火床という。』を指す。
ほど 残り火の灰 『火床』の意味が転じたか。
ほど @だいたいの時間、頃、A程、自分のありよう、B程度 『程』。標準語。
@
A★みのほどもしんねがらしゃーんねわ:自分の程度も知らないので仕方が無い。
みのほどしらず:自分知らず。
◎ほど 【古】時間 『程』には大まかに『@時間的な度合を示す、A空間的な度合を示す、B物事の程度や数量などの度合を示す、C様子。調子。恰好。、D例示する意をあらわす。…のような。E理由。故。Fあることに比例する意をあらわす。…につれてますます。』の意味があるが、現代日常語では@DEはあまり使われない。またABCの一部は使われない。
この場合の『程』は@の一部の意味で広辞苑には『時日。時間。源桐壺「―へば少しまぎるることもや」。日葡「ホドヘテ」』とある。
ほど:東京。
(ほど) 丈、背 鹿児島。『程』の意味か。『身の程』と『身の丈』から混用したか。
〜ほと 【名・助】程 奈良時代までは清音で、茨城に伝えられる古い言葉。江戸時代の仮名表記の影響を残したとも考えられる。
それほとてもない:それ程でもない。
ほーとー 相当 ほーと:非常に・たくさん・大変 :長野。
(ほーとー) 山梨の郷土料理 広辞苑には『(ハクタクの音便) うどんとカボチャなどの野菜を味噌で煮込んだ料理。山梨県の名物。古くは唐菓子の一種。能因本枕草子前の木立高う庭広き家の「ほうち―まゐらせむなどとどむるを」』とある。
広辞林には『〔「はくたく」の転〕小麦粉を水で練って紐(ひも)状または団子状に切ったもの。味噌仕立ての汁物として煮こみ、カボチャなどの野菜を具に加えたものが、山梨県の郷土料理として有名。ほうちょう。はっとう。』とある。
ウィキペディアには『ほうとうは、山梨県(甲斐国)を中心とした地域で作られる郷土料理。2007年農林水産省が、各地に伝わるふるさとの味の中から決める「農山漁村の郷土料理百選」の中の一つに選ばれている。小麦粉を練った平打ちの麺を野菜と共に味噌仕立ての汁で煮込んだ料理の一種である。 一部地域では小麦粉以外の穀物の場合もあり、また形状は麺でない場合もある。県外からは、ほうとうは「うどんの一種」と認識される場合が多いが、山梨県内では、ほうとうはうどんと同一のものと認識されていない。一説には現在一部地域においてすいとん的な小塊の状態で供される例が見られることから、うどんには必要な「麺」という記号がほうとうには必ずしも必須ではないためとも考えられる。 また、同様に「鍋料理」との認識される場合があるが、山梨県内では鍋料理との認識は薄くあくまで固有の料理ないし食事と捉えられている。呼称は「ほうとう」が一般的である。一部地域では異称として「おほうとう」や「ニコミ(ニゴミ)」(山梨県内郡内地方の一部)、「ノシコミ(ノシイレ)」(山梨県内河内地方)と呼ぶ場合もある。』とある。
ほーとー:水団:神奈川。
ほどぐ
ほど
【動】解く ほじく:静岡。
ほどぐ:山形。
ほどげ ほどげ:青森。
ほどげ
ほとけ
ほどげさま
瞳、▲瞳孔 『集覧:真』。
『俚言』には『目仏:瞳子をいふ。』とある。長く課題にしていた言葉。ついに近世語の流れである事が判明した。
おほとけ:宮城。
かみさま:大分。
ほどげおぐり
ほどげさまおぐり
ほどげさまのおがいり
盆の送り火
ほどげさま @仏様、A仏壇 茨城では丁寧語としての接頭語の『お』は極端に少ない。
広辞苑には『ほとけ【仏】:(「仏(ブツ)」の転「ほと」に「け」を付したもの、また、「浮屠(フト)家」「熱気(ホトオリケ)」「缶(ホトギ)」など、語源に諸説がある)@悟りを得た者。仏陀(ブツダ)。A釈迦牟尼仏(シヤカムニブツ)。B仏像。また、仏の名号。C仏法(ブツポウ)。D死者またはその霊。E仏事を営むこと。Fほとけのように慈悲心の厚い人。転じて、お人よし。G大切に思う人。』とある。また『ぶっきょう【仏教】:仏陀の説いた教え。世界三大宗教の一。前五世紀頃インドのガンジス川中流地方に興った。仏陀釈迦牟尼の説法に基づき、人間の苦悩の解決の道を教える。修行に専心する出家教団のほかに在家信者たちも多かった。阿育(アシヨーカ)王の入信によってインド全土から国外へも広まり、一世紀ごろから東アジアの諸方に及んで現在に至り、欧米にも知られている。インドにおいて大乗・小乗の区分が生じたが、中国や日本では風土的特色を加味した種々の宗派が発生・発展した。』とある。
おほどげさま:山形。
おほどげさん:宮城。
ほてきさま:静岡。
ほてけさん:静岡。
ほどげづぎ
ほとげづき
8月
ほどげづら 死期が迫っておだやかになった顔 死期を迎えると、心肺能力が衰え、皮膚の張りがなくなる。そのような顔がおだやかに見えると表現したものと思われる。
ほどげばな 彼岸花
ほどげさまのおむがい
ほどげさまのむがい
ほどげむがい
盆の迎え火 『仏迎え』の意味。
ほどげる
ほとける
【動】解ける
ほところ 八丈方言共通語。近世語。『火処』の意味か。
『俚言』には『ほところ:俗に懐をほところと云。』とある
ほーどし 目刺し、頬刺し 『頬通し』が訛ったもの。
ほーどし:福島・栃木。
(ほどす) 【動】解く 神奈川。
ほどごす:解く・家を取り壊す:静岡。『』は濁音か鼻濁音か不明。
ほとだ 日陰の田 『陰』(ほと)は凹所の意味で、『山間のくぼんだところ。』を指す。女陰も意味する。『陰(ほと)田』。
(ぼとつく) 【動】ぼとぼとする 神奈川。
解説の『ぼとぼと』とは『@水などの続いて滴り落ちるさま。Aものを打ちたたいて発する濁った太い音。B肥えているさま。』の意味だがいずれの意味かは不明。
ほどってる 【動】熱がある
ぼどっと
とっと
【副】ぽとりと 物を落すさま。
どっがにぼどっとつこどっしゃって、どごにあんだがわがんねーやはー:どこかにぽとりと落としちゃって、もうどこに有るのか解らない。
ほどばす
ほとばす
【動】ほとびるようにする。ふやかす。ほとぼす。 ほとばしとけ:水につけておけ:群馬。
ほどびる
ほとびる
【動】ふやける 『潤びる』(@水分を含んでふくれる。ふやける。A永く湯などにひたる。B大きな顔をする。増長する。)。
ほとびる:長野。
ほとびらかす:ふやかす:山形。
ほーとぶら 『ほーたぶら』がさらに訛ったもの。
□ほどへくばる 竃に配る、囲炉裏に配る
ほどほど
□ほとほと
【副】非常に。本当に。 広辞苑に『殆・幾(ほとほと):@今少しで。すんでのことで。A大体。ほとんど。B非常に。本当に。』とある。@Aは古語。
ほとほとする:困りきる:東京。広辞苑に形容詞の『ほとほとし【殆し・幾し】:@ほとんど…しそうだ。すんでのところで…である。Aもう少しで死にそうである。Bきわめて危うい。』がある。
ぼどぼど 【副】しずくが落ちる様、ぼたぼた(落ちる)様
ほどぼり ほとぼり ほどぼり:青森。
ほどむし 卵やキノコ・サツマイモ等を塗れた紙に包み熱い灰の中に入れて蒸す料理 県北部方言。
(ほーともねー) 【複】@もったいない、惜しい、A途方も無い 神奈川。『方図がない』。
(『ぼ』と『も』) 『お、ぼ、も』は音通し、目下以下の言葉が集まっている。
ぼっこー:沢山:奈良・兵庫・岡山・広島・愛媛。東日本では『もーに』に当たる。
ぼーい:大きい:八丈島。
ぼう:追う。
ぼぢ:餅:茨城。
ぼっけー:沢山・非常に:岡山。
ぼっけもん:大物・怖いもの知らず:鹿児島。
ぼなる:うなる:山形・福島・茨城。
ほどやぎ 餅・残飯やうどん粉に味噌を加え囲炉裏の火で焼いたもの 県北部方言。
ほどやき:小麦粉に重曹と味噌を入れて捏ね焙烙で焼いた物:群馬。
ほどらがす
ほどらす
【動】暖める
ほどり @熱り、熱、A辺(ほとり) @古い標準語の囲炉裏の中央の意味の『ほど(火床)』をベースにした『熱り』(ほとり)の濁音化または『熱り』(ほとおり)の短縮化・濁音化。
ほとーり:静岡。
A単なる濁音化。
ふづり:山形。
(ほとり) 広辞苑には『ほとり:@ほど近い所。あたり。そば。A水ぎわ。岸。B都から遠く離れたところ。かたいなか。Bきわみ。際限。C近親・側近など、身近な縁故のある者。』とある。
しかし、原始社会の風景を考えると、火は生活の根源である。『ほとり』とは現代語で言えば『火取り』(ほとり)の意味で火のエネルギーを受けられる場所を指す言葉ではないだろうか。
現代語の『炎』は『火の尾』ではあるまいか。広辞苑には『火の穂』と解説されている。しかし、『尾』も『穂』も同源だとしたら、『火の尾』も捨てられない。
ここで、古い標準語の囲炉裏の中央の意味の『ほど(火床)』をベースにした『熱り』(ほとり)(ほとおり)と結びつく。
一方『澱(おり)』とは、物が重なって滞る意味で、『織る、折る』にも通ずる。
ほどりくせー 【形】食べ物が腐り始めている臭いがする 『熱り』(ほとり)の発展した言葉だろう。
ほどる
△▽ほとる
【動】@暑くなる、A暖まる、B(体の一部が)熱くなる(ほてる) 『熱る』(ほとる)。
さらに遡れば囲炉裏の中央を『ほど(火床)』の動詞形とも考えられる。広辞苑には『【自五】(ホトホルの約) 熱気が発する。あつくなる。ほてる。』とある。岩手では温まるを『ほどまる』と言う。
ほどる:宮城。
ほとーる:静岡。
ほどんど
ほどんと
ほとんと
【副】ほとんど 『ほどんと』は茨城弁の代表的訛り形で、清音化と濁音化が同時にある例として理解していた。ところが偶然東京生まれの東京育ち八王寺在住の60代の知人が『ほどんと』を使っているのを耳にした。2回聞いたので間違い無い。八王寺は多摩の方言の圏域で実は関東圏の古い方言が残っているのではないかと推測される。ネットを調べると21000件をヒットし、どうも茨城だけの現象では無いようである。
ただし『ほとんと』のように全て清音化するのは茨城弁の特徴であるが、実は、『古今著聞集』にある言葉である。調べるとかつては東京でも使われていた。
ところで現代語の『ほとんど』の古形は『ほとおと・ほとほど・ほとほと』である。万葉集・枕草子・源氏物語に『ほとほと』がある。類似の現象に現代語の『程』は濁るが奈良時代までは清音だったとされる。
ほどんと:青森・岩手・秋田・宮城・福島・栃木。
ほとんと:東京。
ぼどんと 【副】(重いものを)落す様
とんと 【副】(水の中に)ぽちゃんと落す様
〜ほーな 【助動】〜そうだ、〜そうな
ほーなら 【複】そうなら、それなら ほな・ほなら:滋賀・大阪・岡山。
ぼなる 【動】@煽りたてる、怒鳴る、うなる、A泣く 『吠え鳴る』。『集覧:真』。
現代語の類似語に『鳴る(なる)』『唸る(うなる)』がある。一方、『打つ』を『ぶつ』という言い方がある。同義の古い言葉に『がなる』がある。
@・ぼなる:うなる:山形・福島。
A県北方言。
ぼなかす:泣かす:神奈川。
ぼなく:神奈川。
ぼなく:大泣きする:山梨。
ほなく:神奈川・静岡。
(ほなる) 【動】火が熾きる 静岡。
ぼーにっき
ぼーねっき
ねっき
(ほぬく) 【動】解く 静岡。
ほね 骨が折れること 標準語。
そりゃーほねだ:それは大変だ。
ほーねー 【複】@遣り方が無い、遣りようが無い、A(する)必要は無い @『方無し』。
ほねおしみ 骨惜しみ、労苦をいやがること 標準語。
ほねおしみ:静岡。
ほねおりし 骨の折れる仕事 ほねおりわざ:東京。
ほねおりぞんのくたびれもうけ 【慣】骨折り損のくたびれ儲け 標準語。
ほねおれる
ほねおれる
【動】骨が折れる、苦労する ほねおれる:青森。
ほねらみ @持病、A不治の病 『骨絡み』の意味。辞書には『@梅毒が全身に蔓延し骨に入ってうずき痛むこと。A手の打ちようがないほど情況などが悪化すること。』とある。
ほねかわすじえもん 【慣】骨皮筋右衛門、痩せている人をからかって言うことば 標準語
ほねかわすじえもん:東京。
ほねしょー 正月二十日を言う。 『骨正月』。
広辞苑には『骨正月:西日本で、二十日(ハツカ)正月のこと。骨しゃぶり。骨降(オロ)し。頭正月。』とある。
ほねつ 骨の折れたのや関節のはずれたのをなおすこと。また、それを職業とする人。接骨。 『骨接ぎ』。
今なら整形外科。当時の整形外科の看板はそのまま『ほねつと書かれていることが多かった。
★『土』:俺(お)ら、爺樣(ぢいさま)に鐵火箸(かなひばし)で打(ぶ)っ飛(と)ばさって、骨接(ほねつ)へ行(い)って來(き)た處(とこ)だ、忙(いそ)し處(ところ)酷(ひで)え目(め)に逢(あ)っちやった
ほねっ @骨の関節。A気骨。気概。 標準語。『骨つ節』。
A・ほねっ:東京。
ほねみ 骨と肉。転じて、全身。 『骨身』。最近あまり耳にしない言葉。
慣用句として、『骨身にこたえる・骨身に沁みる・骨身を惜しまない・骨身を削る』等がある。
ほねやすみ
ほねやすめ
休暇、休憩 標準語だが、都市では死語。農村言葉とも言えるかもしれない
ほねやすみ:東京多摩。
ほの 【代】その ほのいちら:そのまま:山梨。『その位置の辺りに』の意味だろう。
(ほのお) 元は『ほのほ』。語源は『火の穂(ほのほ)』。『炎・焔』は漢語の当て字。
(ほのく) 【動】解く 神奈川・静岡。
ほの
ほの
ほのくれ
ほのくれー
ほの
ほの
ほのけー
ほのけん
その位 『ぐ・げ』は濁音・鼻濁音。
ほのけー:山梨。
ほのっけ:宮城。
ほのけし
ほのけーし
ほのけち
ほのけーち
その代わり
◎ぼば 牡馬
ほはい ほくろ 『集覧:無記載』。
ぼーばがり 棹ばかり
ほーはねー 【複】@遣り方が無い、遣りようが無い、A(する)必要は無い @『方無し』。
ほーはねー:山梨。
ほー おたふく風邪 『頬脹れ』。
ほーっれかぜ:神奈川。
ほっくれ:神奈川。
ほーばれ:静岡。
(ほびきせん) 帆引き船 霞ヶ浦特有の船で、大型の帆を1枚付けて、帆引網でワカサギを捕獲する船。現在では観光用でしか運行されていないが、当時は霞ヶ浦中に点々と見ることが出来た。
ぼーぶぢ ねっき 『棒打ち』の意味。
ぼーふり ボウフラ ボウフラの語源を思わせる。
ぼーふり:青森・秋田。
(ほべ) 同僚、仲間、友達 鹿児島。『朋輩・傍輩』。
ほーへた ほっぺた 『集覧:真』。標準語の語源を思わせる訛り。『頬端・頬辺』。『端・辺』(へた)は、『はし。へり。特に、波うちぎわ。』の意味。
ほーべた
ほー
ほー
ほっぺた ほーびんた:静岡。
:青森・秋田。
ほー:静岡。
ほほべた:長野。
ぼぼ 陰門 東茨城郡の方言。現代では九州方言である。
広辞苑には、単に『女陰の異称』とある。茨城では木の実を『ぼんぼ』と言も言うことから、『豆』に変わる言葉とも考えられる。
『俚言』には『さけ:因て女陰をさけと云。』とある。『因』とはは因州で鳥取のこと。『裂け』現代の『割れ目』の意味だろう。
『呼称』によると『陰(へへ・つび):奥羽及越後又尾張邊にてべべといふ(関西関東ともにべべといふは小児の衣服のことなり)。上総下総にてそそといふ。此外男女の陰名国々異名多し。略す。(江戸にて物のそそけたつなどいふ詞有。和泉及遠江邊にてはぼぼけたつと云。江戸にてはさはいはれぬことばなり。)』とある。
ぼぼ 物類称呼掲載語。江戸時代の常陸言葉。
ほーぼ
ほーぼー
【副】あちこち、ほうぼう ほーぼさいったっけこったのみだごどね:あちこち行ったけれどこんなの見たこと無い。
ほーほー

ほーほめ
ほーほーめ
フクロウ
鼻の穴が膨らんだ様 土浦市生まれ埼玉県川越市在住の方からの投稿。『茫茫』(ひろくはるかなさま)が訛ったか。
まなめどどしている:鼻の穴が膨らんでいる。鼻が『まな』というのは音通現象と考えられる。
筒袖、つつっぽ 鹿島郡・真壁郡。
:着物:岩手。
:東京多摩・神奈川。
ーそで:神奈川。
そで:神奈川。
ーばんてん:筒袖の半纏。
ぼーぼー 焚き火 幼児語。火の燃え盛る様に例えたもの。
ほーほーやき:タイヤキの類:栃木。
ぼーぼーあだま 床屋に行かないで伸び放題の髪の毛、ぼさぼさの髪型 濁音化。
い) 【形】暖かい 福島。
(ほぼける) 【動】毛羽立つ 静岡。
ぼーぼ
ぼーぼー
太くて低い声 『轟轟』(ごうごう)が訛ったか擬音語と思われる。
(ほほったね) 頬骨 長野。明治の長野方言。
◆●△▽ほーほーどり
ほーほーどりめ
ほーほめ
フクロウ ほーほーどり:埼玉・静岡・香川・大分。
(ぼほら・ぼら) 役に立たない人 鹿児島。
ほまぢ
△▽ほまち
へそくり、余分な儲け 広辞苑に『ほまち:(「外持」「帆待」は当て字) 主人に内密で家族・使用人が開墾した田畑、また、たくわえた金。個人の所有となる臨時収入。役得。へそくり。』とある。
「帆待」と当てられているのは、『茨城のことば』によると『運賃積舟の船乗りがひそかに運送契約外の私の荷物や他人から依頼された荷物を運送して内密の収入を得ることを言う。』とある。
『役得』の意味があるのは、昔は横領行為が認められていたことを示しているだろう。
しん:長野。
ほまぢ:福島・千葉銚子。
ほまち:宮城・群馬・東京。
ほまち:蚕を予定より余計に飼うこと:群馬。
ほまち:長野。
ほまぢっこ:青森。
ほまづ:宮城。
ほんまぢ:山形。
ほんまち:長野。
ほまぢ:個人の蓄財のためにニワトリなどを飼う等特別なことをすること。
ほまぢうり へそくりを作るために家財を売ること
ほまち
ほまちっこ
私生児 『ほまち子』。
辞書掲載語で『(関東・東北地方で) 私生児。ほまちわらし。』とある。へそくり同様内緒で作った子供という意味になる。
ほまぢだ @へそくりにあてる田、A隠居した親の生活にあてる田。 @『ほまち田』。
A耕作は息子がする。
ほまぢどり 内職、内職で金を稼ぐこと 『ほまち商い』と同じ意味。
ほめた
ほめちらかす
【動】誉めちぎる 『ぐ』は濁音・鼻濁音。
ほめたくる:静岡。
(ほまっせん) 帆前船 静岡。
『帆前船:洋式帆船の称。帆に受ける風力を利用して航走する船。帆の張り方によってシップ・バーク・スクーナー・スループなど各種の形式がある。ほぶね。はんせん。』
(ほめっこ) 多くの人から褒められる子供 神奈川。
ほめらっちゃ
ほめらった
【複】褒められた 『ほめらいだ、ほめられだ』
『新方言』には『ホメラッタ:ほめられた。最上。』とある。
ほめらっちゃ:福島。
(ほーめる) 【動】口に含める 神奈川。『含む(ふふむ)』。
ほーもる 【動】葬る
(ほめく) 【動】ほてる。熱気をおびる。 鹿児島。『熱く:(「火(ホ)めく」の意) 』。
ほーや 【感】あら、まあ 『集覧:多』。
驚いた時の『ほう』に強調の『や』がついたもので、古い標準語とも言える。
ほやかす 【動】発酵させる 『ふやかす』の意味と段が転じたものだろう。『集覧:西』。
やげる 【動】ぼやける、なまける 変則的な訛。
ぼやげる 【動】@ほてる、Aだるくなる、B耄碌する、ぼける @『俚言』には『ほやける:火焼歟』とある。岩手では焦げるを『ほやける』と言う。
(ぼやっき) 火付けにに使う乾いた小枝 群馬。
ぼやぼや 【副】@蒸し暑いさま、Aのんびりする様 @は古い意味の『火気または熱気などのゆるやかに立ち上るさま。』。現代語では大事に至らなかった火事の『ぼや』と同じルーツと思われる。茨城に残る古い言葉。
『俚言』には『ぼやぼや:火災の小なるを云。』とある。
Aは現代標準語。
ぼやぼやする 【動】@蒸し暑くなる、Aのんびりする、怠ける @古い標準語。
Aは現代標準語。
やする 【動】@蒸し暑くなる、Aのんびりする、怠ける 『ぼやぼや』が転じたもの。
ほーゆーこったい
ほーゆーこった
ほーゆーこっちゃ
ほーゆーこっちゃい
【複】そういう事だ ほーゆーこんえ:山梨。
ほーゆーどご 【複】そういうところ ほーゆーとこ:山梨。
ほーよ 【感】そうだよ、そうよ ほーよ:神奈川。
ほーよー 保養、遊山
ぼよーっと
ぼよーんと
【副】(水ぶくれなどで)ふくらむさま。 『ぶよぶよと』。
【形動】柔らかな様
ほら 『集覧:真・行』。
ぼら:神奈川。
□ほら 山間の土地、谷 『洞』。 『洞』には、洞穴の意味もある。
ほら:静岡。
ぼら・ぼらっけ・ぼらっこ:崖:千葉。洞穴は谷等に面した斜面に多いから、『洞穴処』の意味か。
ほらっこみ:自然の窪み:神奈川。
ぼら
ぼらか
『集覧:西』。
(ぼら) 神奈川。
ぼらをやる:子供が聞き分けもなく暴れたり泣きわめく:静岡。
(ぼーら) 静岡。『ぼ』は半濁音の可能性有り。
ぼーらっ:魚屋:静岡。行商の魚屋を指したと見られる。
(「ほら」と「そら」) 【感】 現代標準語では、『ほら』『そら』も感嘆詞として認知されている。
ところが、感嘆詞としての『それ・そうれ』はあっても『ほれ・ほうれ』は方言として扱われる。不思議である。
ほれ:東京。調布生まれの義母が使う。
ほーれ:青森。
ほらあな 洞窟 標準語の中の連母音変形。
ぼらあな・ほらっこ・ぼらっけ:千葉。
ぼらーな:神奈川。
ほらかい うち開けて明るく広々としたさま 『国誌』には『隔て遮るものなく、いとほがらに開きたるをいふ。』とある。『朗らか』の意味。
ほらがす
ほーらがす
【動】放って置く ほーらかす:捨てる:石川。
ほーらぐ 気まま、楽しみ、なぐさみ 『放楽・法楽』。古河市では甘やかすことを『ほらげる』と言う。
ほーらく:静岡。
(ほらくる) 【動】放る 神奈川。
ほらつぎ
ほらつき
ほらふぎ
ほらぬぎ
嘘つき ほらっこき:山梨。
ほらふき:岩手・埼玉。
ほらつぐ
ほらふぐ
【動】嘘を言う
ほらった 【複】無くした、紛失した 『集覧:北』。『ほーろった』がさらに訛ったもの。
ほらくる:放る:神奈川。
ほらほら 【形動】@すかすか、Aおおきな穴が開いている様 『洞洞』の意味。
ほらみろ 【複】そら見なさい、それ見たことか 方言に聞こえるが、紛れも無く標準語である。
ほらみろ:福島。
ほらや
ほらやろ
嘘つき 『法螺屋』『法螺野郎』の意味。
ほり コメムシ、コクゾウムシ 『掘り虫』の意味。
(ほり) 静岡。
〜ぼり 【接尾】〜ぶり
ほりいど 掘抜き井戸
ほりげす
ほりげーす
【動】掘り返す ずりがえす:山形。
:掘る。山形。
ほりげす:青森。
ほりこ
ほりっこ
小さな掘、用水路 単に関東・東北にかけて多い接尾語の『こ』が付いた可能性が高い。
ただし、『き』には『柵・城』の意味があり、『塹』(ほりき)が訛った可能性もある。また、『処』は『く』とも読み、『掘った場所』の意味も考えられる。
ほっか:千葉。
ほりこ:宮城・福島・千葉。『香取』にも掲載され『堀小溝』と当てている。
ほりっこ:千葉・神奈川・静岡。
ほらっこみ:自然にできた窪み:神奈川。
★『土』:堀(ほり)っ子(こ)ん處(とこ)へ辷(すべ)ったんですが、其(そ)ん時(とき)かうえに汚(よ)したんでせうよ。
ほりさぐる 【動】掘り決る 濁音化。
ほりざっこ 小さな堀 『集覧:猿』。『堀さくった場所』または『堀雑魚』の意味。
ほりさらい
ほりされー
ほりばらい
ほりぶしん
ほりしん
用水路の清掃 ほりさらい:群馬。
ほりされー:神奈川。
ほーりつげる 【動】放り投げる、放り出す
ほりない 【動】つらい、苦労する、難儀する、疲れる 現代では消えてしまった方言。
『称呼』には『大儀なといふ事を、薩摩にて、だりていと云。常陸にて、ほりないと云。上総下総にて、こわいと云。仙台にて、うざねはくと云。』とある。
ほりない:恥ずかしい:埼玉。
ほりむし
ほりめ
コメムシ、コクゾウムシ 『掘り虫』の意味。
ほりゃ 【複】それは、そりゃ 標準口語でも用いることがある。
ほりゃほーだ 【複】それはそうだ
ぼる 【動】不当な利益を得る。 広辞苑によると、『米騒動(一九一八年(大正七)七〜九月、米価の暴騰のため生活難に苦しんでいた大衆が米の廉売を要求して米屋・富豪邸・警察などを襲撃した事件。富山県魚津に起って全国に波及し、労働者・農民を主力とする未曾有の全国民運動に発展、軍隊が鎮圧に出動した。この事件で寺内内閣が倒れた。)のの際の暴利取締令に出た語で「暴利」を活用させたもの) 法外な代価・賃銭をむさぼる。不当な利益を占める。』とあり比較的新しい言葉で、名詞が動詞化したものである。
わが子は、東京の私立中学に通っているが、2007年『ゆびる』なる言葉を連発した。どうやら、『指をぶつける、突き指する』意味らしい。『ぼる』よりまだこの新語の方が自然である。
この言葉との前後関係は不明だが『ぶったくる』がある。俗語的に『ぼったくる』も使われる。
ぼーるきー ゴールキーパー
ほーるぐ 【動】無くす、落す
ほれ 【代】それ 英語の『where』を思わせる言葉。
ほれ:山梨・静岡。
んだなーほれや、けづめどやろーだはー:そうだな、それは。けちな野郎だな、もう。
ほれ 【感】それ!、ほら! 急に注意を喚起するときの言葉。俗語。
ほれ:静岡。
そーたごどあんめーほれ、はーけーってきた:そんなこと無いだろう、ほら。もう帰ってきた。
土浦の民話:どんころりん:茂平さんはよ、ほれ、はあ、大喜び(おおよろごび)で、明日の振舞え(ふるめえ)の御馳走(ごっつぉー)けー(買い)に、土浦(つぢーら)さ出掛げでったど:茂平さんはね、それはもう大喜びで、もてなしのご馳走を買いに土浦に出かけて行ったそうだ。
ほーれ 【感】それ!、ほら! ほーれみれ・ほーれみろ:それ見ろ。
ほれいー 【慣】それが良い
ほれがら 【接】それから
ほれごさ 【複】それこそは、それこさ ほれこさ:山梨。
ほれだ 【慣】それだ
ほれだがら 【複】それだから
ほれだがらだめなんだよ 【慣】それだから駄目なんだよ
ほれで 【接】それで 辞書では関西地方の言い方とあるが、何故か茨城でも使われている。
ほれでいがっ 【慣】それで良いだろう
ほればっか
ほればっこ
【複】それだけ、そればかり ほればっこ:福島。
ほれみよ! 【感】ほら見ろ、ほら見たことか 一見方言に思われるが古い標準語である。この場合の『ほれ』は、『ほら』に当たる。
ほれみよ 【形動】それみよがし やや古い標準語か関東圏の方言の可能性がある。
ほれみろ! 【感】ほら見ろ、ほら見たことか 標準俗語。
ほれみろ:群馬。
ほれよが
ほれよか
【複】それより
ぼれる
れる
@(木などが)腐る、風化する、Aぼける 『集覧:多』。『恍れる・惚れる・耄れる』(ほれる)の転。
A・ぼれる:宮城。
(ほーれる) 【動】放浪する、当てもなく歩く 神奈川。
ほろ @石油ランプ・ガス灯の火をおおい包むガラス製の筒、A作物等の保温材として使うビニールシート等 『幌』の意味を転じて使っているものと思われる。
@『集覧:多』。標準語では『火屋・舎(ほや)』。
A標準語では『幌:風・雨・日光などを防ぐために車につけるおおい』の意味。
(ぼろ) 草木の繁った所、茂み 静岡。
【助】破片のこと きっ:木の切れ端。
ほろー 【動】(ごみなどを)たたき払う、篩い落す、無くす 『振るう、篩う』。=『ほろぐ』と同じ。終止形が異なるだけと考えられる。
ほろー:福島。
ほろー:拾う:静岡。ほろった:拾った:静岡。
ぼろい 【形】ぼろな様 標準語では、『ぼろ儲け』にもあるように資本に比べて儲けが大きい=簡単に儲かる意味だが俗語として使われる。
ろい 【助】〜の傾向がある
ろいろい) 【副】ぽろぽろ 鹿児島。原型は『ぽろりぽろり』か。
ぼろかす ぼろなもの 『襤褸滓』。
ぼと:ぼろ:青森。
ほろがす
ろがす
ろかす
ーろかす
【動】@揺り動かす、A無くす、ぽろりと落す ろげる』の他動詞形。
ほーろぎ 篩い 『称呼』によれば『ふるひ:常陸にてほうろぎと云。』とある。
ほーろぎおどす 【動】ふるい落とす、揺さぶり落す
ほろぎだす
ほーろぎだす
【動】ふるいで選り分ける、放り出す 茨城方言集覧では旧久慈郡の方言で『いちいち手にとり選り出す』意味とある。『篩い出す』意味。
ほろぎつける
ほろきつける
【動】放り出す
ほろぎな
ほろきな
【動】放り投げる
ほーろぎもの 落し物
ぼろぎれ
ぼろ
ぼろきれ、襤褸のきれっぱし
ほろぐ
ほろく
ほーろぐ
ほーろく
【動】@篩う、A(ごみなどを)たたき払う、振るい落す、払い落とす、B揺らす、揺する 『集覧:行』。
『払う』『振るう』が訛ったと考えられる。古い標準語の『ほろく』(くずれる、ぼろぼろ砕ける)との関係も無視できない。
A・ほろぐ:青森・岩手・秋田・宮城・山形・福島。
ほろく:東北全県・茨城・栃木・新潟。『方言学概論』によると、『ほーろく・ーろく・ほーらくとも。』とある。
ほろごる:青森。
ほろぎおどす:払い落とす。
Cその他。
ほろく:散らす:青森。『ほろろぐ』(塊を崩しわける。ばらばらにする。)。
ほーろく
ろぐ
ーろぐ
【動】無くす、落す 『集覧:行・北』。
『放る』の自動詞形と考えられるが、古い標準語の『ほろく』(くずれる、ぼろぼろ砕ける)との関係も無視できない。
『俚言』には『ほうろく:岩代にて遺失をいふ。』とある。
ほろぐ:福島。
ほろく:宮城・福島。
ほーろく:福島。
ーろぐ 赤土、関東ローム層 『あがっーろぐ』。古い標準語の『ほろく』(くずれる、ぼろぼろ砕ける)が転じたか。山形・福島では粗末な様を『ぼーろく』と言うことから、粗末な土を意味していると考えられる。粗末な焼き物としての『焙烙』(ほうろく)に由来するのではないか。
おっろげ:出来損ない:福島。
ぼーろぐ:出来損ない:福島。
ほーろぐ 素焼きの浅い土鍋、炒鍋 『焙烙』(ほうろく)。今では日常生活から姿を消してしまったが、柄の変わりに弦の付いた土焼きのフライパンと思えば良い。
ほーろく:小麦粉を練って平たく延ばし焙烙で焼いたもの:神奈川。
ほーろく:静岡。
ほーろくやき:小麦粉を練って平たく延ばし焙烙で焼いたもの:神奈川。
(ほろくれる) 【動】さまよう 神奈川。
ぼろけー
ぼろっけー
@廃品回収業者。A古物商。B【形】ぼろな様
ろげおぢる 【動】ぽろりと落ちる
ぼろげる 【動】古くなる、ぼろになる、擦れて穴が開く寸前になる 『襤褸(ぼろ)ける』の他、古い標準語の『ほろく』(くずれる、ぼろぼろ砕ける)が転じたものと考えられる。
ほーろげる 【動】耄碌する
ほろげる
ろげる
ほーろげる
ーろげる
ーろける
【動】@▲無くす、落す、ぽろりと落ちる、転がる、A解ける、Bばらばらになる @『集覧:行』。
ほろげる:宮城。
ぼろける:落ちる:島根・隠岐・山口。
ほろける:落ちる:島根・広島・山口。
Bは古い標準語の『ほろく』(くずれる、ぼろぼろ砕ける)が転じたものと考えられる。
おっろげ:出来損ない:福島。
〜ぼろげる
〜ほろげる
【動】〜惚ける あそびほろける:遊びほうける:山形。
まぢぼろげる:待ちほうける。
ぼろこい
ぼろっこい
【形】少しぼろな様 ぼっこい:古くて壊れている様:山梨。
◎ほろし
ほろせ
蕁麻疹、湿疹 古い標準語。広辞苑には『皮膚に小さいつぶつぶのできる瘡。ほろせ。』とある。茨城ではイラガやチャドクガの幼虫を指すこともある。
ろし 【助】〜程度、〜ばかり それっろしもらったってなんのやぐにもたざね:そればかりの物を貰っても何の役にも立たない。
ぼろすけ
ほろすけ
馬鹿 罵倒語。『ぼろ』を人名化して人を指してののしる時に使う。『襤褸助』の意味、物を指していう場合は『ぼろかす』
ほろすけ:福島。
□△▽ほろすけ
ほろすけどり
ほろすけめ
フクロウ 茨城北部・栃木北部・群馬北部・三重に分布する。このうち『ほろすけめ』は茨城にしかない。鳴き声を人名に例えたのだろうろ思われるが、『ほろ』とは『けんもほろろ』の『ほろ』で『ばらばらなさま。ちりぢり。万一九「天雲を―に踏みあだし鳴る神も今日にまさりて畏けめやも」涙の落ちるさま』を思わせる。ところが、『ほろ』には『雉(キジ)や山鳥の鳴き声』を指し擬音語であり、単に古い言葉の流れのようだ。
ほろすけやろー 馬鹿野郎
ぼろたれ ぼろなもの ぼーた:ぼろの着物・刺し子の着物:神奈川。
ぼだ・ぼた:漁師が着る着物で刺し子のものやぼろ布をを当ててつぎはぎしたもの:神奈川。
ぼたきもの・ぼたっきもの:漁師が着る着物で刺し子のものやぼろ布をを当ててつぎはぎしたもの:神奈川。
ぼたばんてん:漁師が着る着物で刺し子のものやぼろ布をを当ててつぎはぎしたもの:神奈川。
ぼーたれ:ぼろ着物:栃木。
ほだれっきもの:漁師が着る着物で刺し子のものやぼろ布をを当ててつぎはぎしたもの:神奈川。
ぼろっこ 【形動】ぼろなもの 神奈川ではを『ぼろぼっけ』と言う。
ぼーこ:ぼろの着物:神奈川。
ぼこきもの:ぼろな着物:神奈川。
ぼっこ:ぼろな着物・ぼろ:神奈川・静岡・山梨・愛知・三重。
ぼっこきもの:ぼろな着物:神奈川。
ぼら:ぼろの着物:神奈川。
ぼろぼっけ:つぎはぎだらけ:神奈川。『ぼっけ』は『だらけ』の意味。
ぼろぼんざ:ぼろぼろの着物:神奈川。
ぼんざ:ぼろぼろの着物・ぼろになった着物を刺し子にした漁師の仕事着:神奈川。
ぼんぼろ:ぼろの着物:神奈川。
ぼろっこい
ぼろっけー
【形】ぼろい 『ぼっこい』と言う地域がある。
ほろった
ほーろった
【複】落とした ほろった:福島。
ぼろっち 【形動】ぼろなもの
◎ぼろっちー 【形】ぼろい 俗語。
ぼろっちー:千葉・群馬。
ろっと 【副】僅かな様 古い言葉に『ほろし:皮膚に小さいつぶつぶのできる瘡。ほろせ。』がある。
標準語では『ぽろり:@小さなものがはなれて落ちるさま。A涙の落ちるさま。』の意味である。
ぼろっと
ろっと
【副】(涙が)ぼろぼろ、ぽろりと
ほろに 【形】ほろ苦い ほろこに:山形。
ほろびる
ほーろびる
【動】綻びる、ほころびる 『綻びる』の転。K音の脱落。千葉方言の影響か。
ほろびる:青森。
ぼーろりた 【複】笑った 『集覧:無記載』。
ぼろをひろ 【動】失敗する
ろんろん 【副】【形動】@いい加減、ちゃらんぽらん、Aまばらな様、ぱらぱら、B物がぼろぼろと砕ける様 擬態語。
ほわっと 【副】ふわっと
ほわほわ
ほわんほわん
【形動】ふわふわ なーんだがほわほわすっとおもったらねごめのしっ:何だかふわふわすると思ったら猫のしっぽだ。
ほんきにする
ほんきんする
【動】本当だと思う、本気にする 標準語では普通『本気だと思う』と言う。
ほんぎおん
ほんぎょおん
ほんぎょん
ほんぎょーん
夏祭り(祇園祭り)の二日目 『本祇園』の意味。
ぼん
ほん
棒ぐい 『集覧:新』。
ぼん:群馬。
ぼんいぶぢ ねっき
ぼんくら 盆暗、ぼんやりしている人 標準語。博打用語。『集覧:真・新』。
広辞苑には『(もと、ばくちの語で、采を伏せた盆の中に眼光がとおらないで常にまけるという意) ぼんやりしている人。うつけもの。』とある。
ぼんくらそだぢ 暢気に育った人
ぼん 水戸市・笠間市・西茨城郡の方言。現代建築用語の成立に関わる方言と思われる。『ぼん』は間違いなく棒である。重要なのは『ぐり・くり』である。
現代建築用語に残る言葉として基礎等に撒いて打ち固める石を『割栗石(わりぐりいし)』と言う。明快な語源は得られない。栗を割るように割った石すなわち砕石を指すようである。
単に『棒杭』が訛った可能性もある。
ほんくれ
ほんくれー
【副】そのくらい
ほんけいり
ほんけえり
還暦。 『本卦帰り・本卦還り:本卦になること。すなわち数え年で六一歳になること。』。
ほんけいり:東京。江戸言葉の流れ。江戸落語を良く聴くと、『え』が『い』と発音されることが多い。
ほんけえり:東京多摩。
(ぼんこ) 文庫 静岡。
◆■▲ほんこ
ほんこー
【形動】@本番、A(ゲームなどで)賭けること、B真剣勝負、C▲本当、本気 東日本方言と見られる。
@・ほんこ:宮城・福島・群馬。
A・ほんこ:埼玉・群馬・東京。
B・ほんか:宮城。
ほんこ:本当の勝負:福島・神奈川。
ほんこー:本当の勝負:静岡。
Cの意味も当時はしばしば使われた。『集覧:真・猿』。類似の方言は広域に存在する。
辞書にある言葉では『本子』(実子)・『本甲』(本物の鼈甲)が最も近い。漠然とした意味では『本物』の意味が最も近い。
『浮世』には、『未だ未だ本快(ほんこう)ぢゃあねへ。』とある。
ほんこに:山梨。
ほんまこ・ほんまっきん:本気:山梨。
おめほんこんなってやってんのがー:お前は本気になって遣ってるの?。
おらほんこだ:俺は本気だ。
(ほんこ) 【副】非常に 神奈川。
(ほんく) 【動】解す 静岡。
ぼんござかぶり 宴会等で遅くまで居座ること・人 『盆茣蓙被り』の意味。酔って最後は寝込んでししまい、茣蓙を掛けられるからかも知れない。土浦市と行方方郡玉造町の方言だから、上大津地域はその中心地域と言っても良い。
んこづ 洗濯でお湯につけた布を洗濯板に叩きつけ水を切る作業 擬音語と思われる。
ほんじ 【接】それで ほんじも:それでも。
ほんじはだいだ:それではだめだ。
ほんしき @本気、A本降り、B本格的 『正式』。『本格的』な意味なら標準語。やや意味が転じているがほぼ標準語。
@・ほんしゅく:栃木。
こんだはほんしきでやっかんな:今度は本気でやるからね。
A★あめほんしきになってきたでや:雨が本降りになって来たよ。
B・ほんしこ:本格的・まじ:福島。
ほんしこ 正装 『本四股』『本趣向』『本式』。
ほんしこ:本格的・まじ:福島。
ほんじぇ
ほんじぇー
【接】それで ほんじぇも:それでも。
ほんじは 【慣】それでは、それじゃあ 別れの挨拶言葉としてつかう。
◆▲ほんじゃ
ほんじゃあ
ほんじゃな
ほんじゃーな
ほんじゃね
ほんじゃーねー
【慣】それでは、それじゃあ 別れの挨拶言葉としても使う。『集覧:猿』。標準語圏でも『ほいじゃあ』が使われることがある。
ひんじゃ:静岡。
ほんじゃ:福島。
ほんじゃー:山梨。
ほんじゃがら 【接】そうだから
ほんじゃけんど
ほんじゃけんと
【接】そうだけれど
ほんじゃら
ほんじゃらば
【接】それなら、そうなら ほんじゃらばまず:それじゃあさよなら:福島。
ほんしょ
ほんしょー
本心、本来の性質 『本性』。
ほんしょなぐ
ほんしょなぐして
ほんしょなしに
【複】ぐっすりと眠る様 『本性をなくして』の意味。
ほんしょーぶ 本気の勝負
んしん) 袖無し半纏 静岡。
ぼんすか
ぼんすかぼんすか
【副】@どんどん、A続けて出る音、B低音が鳴り響く様 @この表現は、辞書には無いが結構使われる。多く『どんどん』の意味である。『す』は無声音。似た表現に『わんさか』がある。『わんさ』に『か』が付いたものと考えられる。しばしば使われる標準語に『じゃかすか』がある。『すか』は『さか』の転じたものと考えられる。かつて歌謡曲に歌われた『じゃがじゃが』の表現に似ている。『じゃかじゃか』とも言う。現代語では『じゃんじゃん』である。遡れば『であるである』すなわち『そうだよそうだよ』の意味とも言える。
『おだやか』『かすか』等の状態を表現する言葉を形成する接尾語『やか』『か』の類似語とすれば、方言とも言いがたいし、咄嗟に誰もが造語してしまう言葉の一つと言える。
AB擬音語の『ぼん』に状態を表現する言葉を形成する接尾語。
ほんすじ 本来のすじみち 『本筋』。
ほんすじ:東京。
ほんぜっく 5月5日
んた まぬけ。ぼんやり者。 『ぽん太郎』『ぽんすけ』などとも言う。
ぼんた:顔に似合わず能力が十分で無い人:神奈川。
ほんだ 【慣】そうだ ほんだ:青森。『本当だ』を思わせる。
ほんだ〜
ほんた〜
そんな〜 ほんたな:そんな。
ほんたに:そんなに。
ほんたらごど・ほんたなごど:そんな事。
ほんだ
ほんだー
ほんだーな
【複】それでは、それじゃあ 近年では『ほんじゃ』と言うそうである。
ほんだー:香川。
ほんたぐ 本宅、本家 『本宅』の転。分家を新宅という。
ほんだがら 【接】そうだから 『ほんだから』は全国に散在する。主に西日本の方言である。
『そうだ』を『ほーだ・ほんだ』と言うのは単に標準語にならなかった全国的な言葉の可能性もある。
ほんだから:山梨。
ほんだ
ほんだげど
ほんだけんど
ほんだけんと
【接】そうだけれど ほんだけんど:山梨。
ほんな:そうなのよ:石川。
ほんたな 【連体】そんな〜
◎ぼんだな
ぼんだなかざり
盆に仏壇位牌をおき魂を祭る棚 『盆棚』。本来は『閼伽棚』。
おしょーだな:神奈川。
◎ぼんだなな
ぼんな
供え物を茣蓙にまとめて川に流す行事 『盆棚流し・盆流し』。
ほんだや
ほんだよ
【複】そうだよ ほんな:そうなのよ:石川。
ほんだら
ほんなら
@【連体】そんな〜、A◆【接】それなら、そうなら、それでは @『ほーたる』意味。『そうにてある・そうなりにてある』。
A『ほなら、ほな』は誰でも知っている関西弁。標準語だけが特殊な言葉に思えてしまう。
ほんだら:岡山・香川。
これは偶然の一致ではなく上方語が茨城に残っているものである。
ほんだらなー:それじゃあねえ。
ほんだらごど そんなこと
◎ほんぢ(ほんじ) 【古】本性、正気 『本地』。広辞苑には『@〔仏〕仏・菩薩が衆生済度のために仮の姿をとってあらわれた垂迹身(スイジヤクシン)に対し、その本源たる仏・菩薩をいう。例えば、熊野権現の本地は阿弥陀如来とする。本地仏。A本来の姿。ものの本源。堤中納言「―たづねたるこそ、心ばへをかしけれ」B本性。正気。伽、酒呑童子「酔ひても―忘れずとて」Cもっとも堅牢な漆下地の方法。』とある。
ほじけね:だらしない:秋田。
ほじなし:だらしない:秋田。
ほじね:だらしない:秋田。
ほんぢなし(ほんじなし) 並外れていること 東北弁の同じ言葉の意味とは異なるが、古語が残ったもの。鹿島郡に残る。
ほんぢなし:常識はずれ・馬鹿:青森。
ほがね:考えがない・頭が悪い:鹿児島。
ぼんぢなし 気絶すること 行方郡・鹿島郡。
ほでなし:訳が解からなくなること:岩手。
ほんぢおどす:訳が解からなくなる:青森。
ほんぢもねー(ほんじもねー) 【複・形】下らない、ねごとのような様、たわごとの様 古語の『本地なし』の流れと思われる。東北弁の『ほじなし・ほんじなし』はまさに古い言葉そのもの。
ほんづなし:青森。
ぼんちょる
んちょる
【動】打ち折る 『集覧:稲』。『ぶっちょる』がさらに訛ったもの。
ほんぢは
ほんぢゃ
【慣】それでは、それじゃあ 別れの挨拶言葉としても使う。。標準語圏でも『ほいじゃあ』が使われることがある。
んちん) 袖無し半纏 静岡。
(ぼんづき) 盆に当たる月 神奈川。
んつこ) 馬鹿、アホ 福島。
『うんつく・どんつく(鈍付)・ぽんたろう(ぽん太郎)・ぽんつく』のうち『ぽんつく』が訛ったもの。
千葉の知人がしばしばんすけ』(ぽん助)と言っていたが同源か。
ぼんづな
◎ぼんづなひき
盆の行事のひとつ 当時すでにすたれた行事。方言ではなく民族語。『盆綱』『盆綱曳き』
藁で竜の形をした綱や綱引きの縄を作り、精霊の送迎をする。子供達はこの縄を13日の夕方墓地に持っていき精霊を迎え、家に連れて来る。墓地では『仏様のらっせー、のらっせー』と唱える。帰りの途中では『仏さまごーざった、ごーざった』と唱える。家に着くと、『仏様下りらっせ、おりらっせ』と言う。帰る途中、子供達は家々で小遣い銭がもらえる。
ほんで
ほんでー
【接】それで、そして 『ほんで』は関西でも使う言葉。標準語だけが特殊な言葉に思えてしまう。
『新方言』には『ホンデ:そして。大阪徳島間でホシテなどに代わってホンデが普及。今は大多数。』とある。
ほいで:三重。
ほいて:高知。
ほんで:宮城・福島。
ほんて 【名・形動】(勝負事等で)本来の方法、A正式、本式、B本当 @Aは古い標準語。『本手』。
Bはそれらが転じたもの。
ほんて〜 そんな〜 『その手』が訛ったと思われる。
ほんてな:そんな。
ほんてに:そんなに。
ほんて
ほんてー
その人 『その手合』が訛ったと思われる。
ほんでぁ
ほんでぃは
ほんでは
【複】それでは、それじゃあ ほんでは:宮城。
ほんでぁーな
ほんでぁーなー
ほんでぃはな
ほんではな
ほんではなー
【複】それではねえ、それじゃあね 別れの挨拶言葉としても使う。。標準語圏でも『ほいじゃあ』が使われることがある。
ほんではなー、どーしたもんだなよー:それではねえ、どうしたら良い物だろうねえ−
ほんてで 【副】正式に、本式で 『本手で』の意味。
ほんでな 【接】それでね
ほんてに 【副】正式に、本式に、本当に 『本手に』の意味。
ほんてん:山形。
ほんでも 【接】それでも
ほんでもって 【接】それで
ほんでやー
ほんでよ
ほんでよー
【接】それでね 『んでよ』
ほんでやー:宮城。
ほんてら
ほんてーら
その人達
ぼんでん
◎ぼんてん
梵天 広辞苑には『幣束(ヘイソク)。祭礼や修験道の祈祷に用い、また、劇場の矢倉の左右に立てた。竿の先につけた大きな幣束をかつぐ祭を梵天祭といい、正月一七日の秋田のものなどが有名。』とある。また類似の『ほて』は『@腹。また、肥った腹。A竿の先に藁・幣束などを結びつけたもの。祭の日に立てる。入会地や草刈場の占有標ともする。藁で作った低いのをいう「ほうでん」(「宝殿」と書く)も「ほて」と同じ系統の言葉と見られる。ほで。梵天。』とある。
ぼんぜん:群馬。
ぼんでん:群馬。
ぼんてん:神奈川。
ーんと 【副】物を投げる様 『ぽんと』。
★『土』:ぽうんとしたか、そらそっちへ行(い)っちゃった。
(ほんとかさー) 【複】本当ですか 神奈川。現代語で言えば『本当か候』すなわち、『本当ですか』の意味である。
ほんとぎ 【複】その時
ほんとぎはほんとぎ 【複】その時はその時 ほんとぎはほんとぎ:宮城。
(ほんどく) 【動】解く 静岡。
ぼんどり 盆踊り
ほんな 【代】そんな
ぼんなが お盆の最中
ほんな
◆▲ほんな
【動】放り投げる 『集覧:久』。
ぼんな:追い払う:岩手・宮城。
ほんな:千葉・群馬・静岡。
ほんなら 【接】それなら、それでは ほな:では:滋賀・大阪・岡山。
ほんなら:静岡・岡山。
△ほんに 【副】本当に やや古い標準語。女性言葉。当時は日常的に使われていた。『本に』『本なりにて』。
ふんに:神奈川。
ほに:青森。
ほにほに:青森・岩手。
ほん:岡山。
ほんなこち:長崎。
ほんなこつ:福岡。
ほんなごて:佐賀。『本なる事にて』。
ほんに:福島・静岡。
ほんによ:本当にね:青森。
ほんのこて:長崎。
ほんま:本当:大阪・関西・徳島。関東の一部にも残るとされる。
ほんになー・ほんによなー:本当にそうだね。
★『土』ほんにそうだっけなまあ、後れっちゃったっけなあ、俺(お)ら忘れてたっけが大丈夫(だえじょぶ)だんべかなあ:本当にそうだったねえ。遅れちゃったなあ。私は忘れてたけれど大丈夫だろうか。
ほんにする 【動】鵜呑みにする、真に受ける、信じ込む 『本気にする』。『本にする』。
ぼんねっと 自動車の機関部のおおい もともとは、『婦人・子供用の帽子の一。額を出し、頭頂部から後頭部を被い、リボンで顎下に結ぶ型のもの。』に由来し、『ボネット』とも言われた。『bonnet』。
調べるともともとはスコットランド語で『(女性・子供の)あごひも帽 男子帽』を指し、英語では『(金属製の)おおい, カバー』で、米語では自動車のボンネットの意味で『hood』とも言う。
ぼんねっとるま
ぼんねっとしゃ
客席の前にエンジンボックスがある車
ぼんねっとばす 客席の前にエンジンボックスがあるバスで、現代とは異なり、前面が昔のトラックのように凹んでいた。 当時のバスは、全てボンネットバスで、方向指示器は、莢に納まった赤いなライトの鞘が開いて、横に倒れて方向を示した。床は木製のフローンググンで、ワックはス揮発性の高く、乗り物酔いを誘発した。

方向指示器はしばしば物に当たり、壊れていることが多かった。
(ほんのく) 【動】解く 静岡。
(ほんのくて) 【動】解く 神奈川。不思議な方言。品詞を間違えている可能性がある。
ぼんのご
ぼんのこ
ぼんのごぶ
ぼんのこぶ
ぼんのごぼ
ぼんのくぼ 当時、大人たちが様々な言い方をしていたので混乱したことを覚えている。
そもそも『盆の窪』とはどういう意味なのだろう。『ぼんのくど。ぼのくぼ。』とも呼ぶのは何故なのだろう。
『俗語』のよると『ぼんのこ』はうなじを指したという。
どんのぐぼ:山形。
ぶんのくど:神奈川。
ぶんのごど:宮城。
ぶんのこど:襟首:神奈川。
ほのくど:鹿児島。
ぼろくたん:鹿児島。
ぼーろくぼ:鹿児島。
ぼのこ:青森。
ぼろっづ:鹿児島。
ぼんくど:神奈川。
ぼんのくど:東京・神奈川。。
ぼんのくと:宮城。
ぼんのくどー:岩手・神奈川。
ぼんのご:青森。
ぼんのこど:神奈川。
(ほんのこっ) 【形動】本当 鹿児島。現代では『ほんのこつ』と聞こえる。
(盆の設え) 盆棚:盆棚は、仏壇の前かまたは神棚近く等で来客者に良く見えるところに設える。通常はテーブルを置いて盆ござを敷き、掛軸を掛け、仏壇から取り出した阿弥陀仏を中央奥に手前に線香建てと鉦、両側に位牌と一対の花瓶を並べる。新盆の家の場合、葬儀で利用したぼんぼりや祭壇をそのまま使って3段構えだったりすることがある。
高灯篭:新盆の家で設置する。古くは木や竹に杉の葉を刺して作った2m以上もある『たかどーろ』を設けたが、その後軒先に派手な提灯をさげることで代用されるようになる。
墓の構え:墓は綺麗に掃除した後、野棚と呼ばれる盆棚を主な個所に設ける。都会の墓と異なり江戸時代からの墓が残っている家が多く、墓石は小さいながらも15〜20に及びその各々に窪んだ線香立てが付いている。また、今でも土葬したものが残っていて墓標や馬酔木の木が盛り上がった地面に立っている。そのため、野棚は5〜6個作って主要な個所に立てた。野棚は、竹とマコモで作り、その上に蓮の葉を敷いて米やナス、キュウリ、小豆等をまぶす。また野棚毎に竹で作った花立を立てて花を供えた。
野棚の形:野棚は20cm程度に切ったマコモの茎を二本の竹で串刺しにしたものや、二本の竹を十字型にした上でマコモの葉で編んだもの、3本足のもの、棚の上部が水平になるよう工夫して編んだものなど、村や家によって異なっているのが面白い。
野棚と線香立て:当時は、野棚は墓だけでなく仏さまの通る道端の主要な個所にも設けられた。墓用を合わせると10個程度作るのが普通だった。しかし、道路の舗装が進んで立てることができなくなった。また、道々の主要な個所に『まさが』から取って来た赤土を小さく盛り上げて線香が刺せるようにし、さらにそこにはナス等を用いて仏様を乗せる馬型にした供えものを置いたが、今では線香をただ置くだけになってしまった。
(盆の墓参り) 土浦の盆の墓参りは、何故か仏様が家に帰っているのに中日に行なわれる。
調べるとお盆の期間中はいつでもよい良いらしい。
(ほんのり) 【副】十分に 静岡。
ほん タバコの葉で天葉と中葉の間にある葉 タバコ栽培専門用語。
ほんばだげ 土質の良い畑 『本畑』の意味。我が家の畑は、『ちゃばだげ・くあばだげ・おおばだげ・ほんばだげ・なばだげ・くぼたみ・たばだげ』等があった。
◎ぼんばな 盂蘭盆に山からとって来て精霊棚に飾る花(広辞苑) 『盆花』。旧盆では7月12日に野山に取りに行った。
広辞苑の解説の通り、昭和30年代当時は山野に行って花を摘んだものを盆だなに備えた。その仕事は土浦では子供の役割だった。
『盆花』は桔梗の異名であるが、茨城では様々な草花を『盆花』と呼ぶ。これは古くからの風習をそのまま残していたためだろう。
以下、茨城で盆花と呼ぶ草花を示す。栃木では、百日紅も盆花と呼ぶ。
・オミナエシ
・カワラナデシコ
・ミソハギ:北茨城市では娘に供えてもらうと仏が喜ぶと言われる。
・ヒヨドリバナ
・キキョウ:盆花の異名。
・ツリガネニンジン
・ワレモコウ
・ニチニチソウ
・シキミ
・クサキョウチクトウ(フロックス)
・秋の七草(萩・薄(ススキ)(尾花)・葛(クズ)・撫子(ナデシコ)・女郎花(オミナエシ)・藤袴(フジバカマ)・桔梗(キキヨウ)。万葉集では桔梗のかわりに朝顔を入れるが、この朝顔も桔梗のこと。:広辞苑)。
ぼんばな:オミナエシ:栃木・静岡・鹿児島。
ほん 当日 ほんび:群馬。
ほんぶな フナ
▲木の実 『集覧:稲』。
広辞苑に『ポンポン【pompon フランス】:帽子や洋服などにつけて飾りとする、毛糸や羽毛で作った丸い玉。』とある。

幼児言葉。標準語。
:静岡。

幼児言葉。単にお腹が出ている様を指しているもの。
ポンプ
ぼんぼ
ぼんぼん
@丸い玉、A▲木の実、丸い木の実、Bつぼみ、花のつぼみ、ツバキのつぼみ、C頭 当時の土浦の幼児語。『集覧:行・鹿』。
『ぼんぼん』は京阪地方で『良家の若い息子、若旦那』を指し、古い時代にはつながりがある言葉と思われる。
広辞苑に『ポンポン【pompon フランス】:帽子や洋服などにつけて飾りとする、毛糸や羽毛で作った丸い玉。』とある。
A大きさに従って、果物は『もんも』、小さな木の実類を『ぼんぼ』と区別した。
ぼぼ:岩手。
B・ぼんぼ:千葉。
Dその他。
ぼんぼ:鉛筆の先が尖っておらず丸いこと:岩手。
ぼんぼ:柳の花穂:山形。『穂尾』とされる。
ぼんぼくちゃ @丸い木の実、A丸い木のコブ
ぼんぼすっこ @頭、A脳みそ
ぼんぼち @丸い木の実、A丸い木のコブ 古い言葉に『ぽんぽちごめ【ぽんぽち米】:貯えて置いたため、ふるくなって赤黄色になった米。陳倉米(チンソウマイ)。』がある。
◆■▲ぼんぼちこ
ぼんぼちっこ
@◆■▲小さな玉、A◆小さく丸い木の実、B丸い木のコブ、Cつぼみ、D玉房、E毛玉 幼児言葉。『集覧:新』。
@・ぼんつこ:宮城。
ぼんぼったま 小さい玉
□ぼんぼり @絹または紙張りのおおいをつけた手燭(テシヨク)。A柄と台座をつけた小さな行灯(アンドン)。 現代標準語では一般にAの意味。
ぼんぼれ こわれ物 訛りに訛った言葉。もともとは『おんぼろ』と思われる。
おんぼろ→ぼんぼろぼんぼれ
ばんばごばえ:滅茶苦茶・ばらばら:山形。
ぼんぼろ:ぼろの着物:神奈川。
ぼんぼん 【副】火が勢い良く燃える様 大辞林に『@繰り返して破裂したり、当たったりして出る音を表す語。また、柱時計の鳴る音を表す語。Aその動作を激しく行うさま。活動が盛んなさま。 』とある。
ぼんぼん:静岡。
△▽ぼんぼん 【形動】ぼんやり、うっとり、恍惚とした様 『惘惘』(ぼうぼう・もうもう)が訛ったもの。
【形動】ぼんやり、うっとり、恍惚とした様 『集覧:多・稲』。『惘惘』(ぼうぼう・もうもう)が訛ったもの。
ん) 【形動】根からのもの、生まれつきの素性 神奈川。
んせん) ブリキの船に蝋燭を乗せ、取り込んだを水加熱した時に発生する水蒸気で内部の水が噴射し、その反動で前進することを利用した昔のブリキのおもちゃ。昭和30年代に流行ったが、今でも一部で生産されている。アニメ『崖の上のポニョ』にも出て来る。宮崎駿が幼年期に遊んだおもちゃをあえてアニメに取り込んだとされる。
ぼんぼんどげー 時刻に『ぼんぼん』となる時計、柱時計 濁音化。
(ほんま) 【形動】まこと。ほんとう。 『本真』。辞書掲載語。埼玉・愛知・近畿の大半・広島・四国全部。
今では誰もが知っている関西方言。『浮世風呂』にあるため、江戸でも使われたことになる。埼玉でも使われ山梨に類義語があるのが頷ける。
ほんく:大阪。
ほんま:埼玉。
ほんまく:山梨。『本真』と『ほんく』が複合した言葉とされる。
ほんまこ・ほんまっきん:本気:山梨。
ほんまぢ
ほんまち
ほんまづり
まち(明神祭り)の二日目 秋祭りの二日目。
『まち』は辞書には『ある定まった日に人々が集まり、忌みごもりして夜を明かすこと。また、その行事。まつり。』とあり、清音なら古い標準語。その場合『待・祭』と当てられる。『本祭り』とも『本待ち』とも考えられる。
通常3日間行なわれ、順番に『よいまぢ・ほんまぢ・あがりまぢ(たがはらい)』と呼ばれる。
ほんもど
ほんもと
最も根源的なもと。 標準語では単独で用いることは少ない。ex.『本家本元』。
ほんやぐ 本厄 男42歳、女33歳の厄年。
まいやぐ:前厄。
あどやぐ:後厄。
ほんわが
ほんわがほんわが
【副】のんびり、ふわふわ、ほんわか
 本茨城弁集は、昭和40年前後の茨城方言を中心に茨城県全域の江戸時代まで遡る言葉を集めたものです。他県の方言との関係を重視し主要なものについては他県の方言も紹介しています。
 お気づきの点やご指摘等がありましたら、『茨城弁投稿』と書いてお気軽にここにメール下さい。他地域・他県との関係情報もお知らせください。訛の変遷が解かるような投稿は積極的に掲載致します。