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◆本ページは、樹木等に関する茨城方言をまとめたものです。他県の方言の収集も合わせて開始しました。

標準語 茨城弁 解説・他県の方言
あおき、アオキ、青木 あおきっ:アオキ・アオキの葉。
あおきっ:アオキ・アオキの葉。
あおきば:アオキ・アオキの葉。
あおぎば:アオキ・アオキの葉。
がーば
がーのき
あおぎり、アオギリ ふなあし
やま
あおはだ、アオハダ、青膚 あおつき
べらべら
広辞苑に『青膚:モチノキ科の落葉高木。山地に自生。高さ約一○メートル、木の肌は灰白色を帯びた緑色。雌雄異株。初夏、葉腋に緑白色の花をつけ、果実は球形、熟すと赤色。材は細工物・薪炭用。マルバウメモドキ。』とある。
『俚言』によれば、江戸時代には物が良く燃える様を『べらべら』と言ったという。このことから、炭にすると良く燃える木の意味と考えられる。
あかしあ、アカシア あかしや:ニセアカシア:神奈川。
あかしで、アカシデ あかぞろ:神奈川。
あかまつ、赤松 おんなまづ:アカマツ
あかめがしわ、アカメガシワ あかめ:神奈川。
あけび、アケビ木通、通草 あぎび
あき
あきび
あぐび
あっくり:鹿島郡。『あんぐり』が訛ったものかあるいは『開き栗』の意味か。
広辞苑には『木通・通草:「開け実」の意) アケビ科の蔓性落葉低木。山地に生え、葉は五小葉から成る複葉。四月頃淡
紅紫色の花をつける。果実は淡紫色で長さ約一○センチメートル、秋、熟して縦に割れる。果肉は厚く白色半透明で多数の黒色の種子を含み甘く美味。つるで椅子・かごなどを作り、茎の木部は生薬の木通(モクツウ)で、利尿剤・頭痛薬とする。これに似て三小葉から成る葉を持つミツバアケビがある。アケビカズラ。ヤマヒメ。』とある。
『啓蒙』に『あけびづるたたば(近江)、たとば(越前)、ぎうすいそう(遠江)、はだつかづら(熊野)、てんたてこんぼう(甲斐)、をどりばな(若狭)、ちよちよび(近江)』とある。
あぐび:秋田。
あくび:神奈川・佐渡島・山梨。
あーくび:神奈川。
あーくびねっそ:地上に這っているアケビの根:神奈川。
あっくり:千葉。
うんべ:鹿児島。
あさだ、アサダ あかざ:神奈川。
あじさい、アジサイ、紫陽花 あじせー
やまあじさい:ガクアジサイ。
やまたばこ:タマアジサイ。
ほーぎ:コアジサイ
あいのきしば:八丈島。
おばけばな:千葉。
あせび、アセビ あしび
あせび
あまっちゃ
さるっ
さるっ
さるっさがぎ
さるぼさがぎ
よめおこす
この樹木名も大人たちが様々な言い方をしていたので混乱した記憶がある。
広辞苑に『あせび【馬酔木】:ツツジ科の常緑低木。山地に自生、また庭木として栽培。高さ約三メートルに達する。春、壺形の小白花を総状に下垂。全株が有毒、牛馬が食うと麻痺するというので「馬酔木」と書く。葉の煎汁は殺虫剤・皮膚病薬。材は堅く、薪炭材・細工物とする。あしみ。あしび。あせぼ。あせみ。毒柴。ひささき。』とある。
『啓蒙』には『あせぼ:古今通名なり。あせみ(仙台)、いはもち(薩摩)、あせび(土佐)、あせも(江戸)、あせぶ(播磨・豊前)、ゑせび(伊勢)、よしみ(筑前)、よねば(筑後)、あしぶ(出雲)、ひささぎ(大和本草三河)、どく志ば(伊予)、かすくい(備前)、をなざかもり(丹後)、てやき志ば(長門)、あせぼしば(越前)、よせぶ(豊前)、ごまやき志ば(安芸)、志やり志やり(上加茂)』とある。ここで『しば』とは『柴』である。
あせみ・あぜみ:神奈川。
あぶらちゃん、アブラチャン やんじゃもんざ 『なんじゃもんじゃ:(関東地方で、その地方には見られない種類の大木を指していう称。千葉県香取郡神崎(コウサキ)町神崎神社境内のもの(くすのき)、東京都明治神宮外苑のもの(ひとつばたご)が名高く、その他筑波山のもの(アブラチャン)、山梨県鶯宿峠のもの(りょうめんひのき)などが知名。あんにゃもんにゃ。)』。
あわぶき、アワブキ あわぶく:神奈川。
あんぶく:神奈川。
あんぶくだし:神奈川。
あんぶくたらし:神奈川。
あんず、アンズ、杏、杏子 あじうめ:北海道・青森・秋田。
いが、毬 いがいが いんがら:青森。
いちじく、イチジク いぢじぐ
いぢちく
いちちく
あま:イチジク:愛知・岡山。
うしほーずき:イチジク:大分。
いぬがや、イヌガヤ ひったま
へったま
へったまのき
実に樹脂分が多く、油を取って灯明にしたので『火玉』と呼びそれが訛ったのだろう。
へだま:静岡。
いぬつげ、イヌツゲ いんきもも 広辞苑に『犬黄楊:モチノキ科の常緑低木。高さ二〜三メートル。葉は小形革質で、互生。雌雄異株。夏、帯白色の小花を開く。実は紫黒色の小核果。ツゲ(葉は対生)に似るが、分類学上は全くの別種で、材はツゲに劣る。庭木・盆栽とし、また、細工物に用いる。』とある。
びんか:静岡。
いぼたのき、イボタノキ いぼた
うこぎ、ウコギ くんしょー:神奈川。
うつぎ、ウツギ あけほのき:ハコネウツギ:神奈川。
あぼ:ハコネウツギ:神奈川。
うど、ウド、独活 どっか
やまうど:シシウド。
やまどっか:野生のウド。
うめ、ウメ、梅 うんみ:鹿児島。
えごのき、エゴノキ あーぶぐぼんぼん
あーぶぐ
いこ

ぬき
のみ:エゴノキの実。
しざのき
じしゃ
しゃぼんだま
しゃぼんだまのき
シゃぼんのき
ぢさ
ぢしゃ
ぢしゃのき
まいだま
やまらのみ:実。ヤマガラの餌にする。
広辞苑には『 エゴノキ科の落葉小高木。高さは通常三〜五メートル。樹皮はやや赤みのある黒色で平滑。夏、短い総状花序の白色五弁花を下垂する。果実は小卵状球形、熟すと殻が裂けて褐色の種子を現す。種子から油を採り、材を床柱、天井の材とし、挽物細工・玩具・杖などに造る。果皮中にはエゴサポニンをふくみ、新鮮な果実を洗濯用に用いた。ロクロギ。チシャノキ。』とある。
じしゃがら:エゴノキの実:福島。
えのき、エノキ いぬぎ
さどのき
さどのみのき
さどのみ:実。
よのき:静岡。
よのみ:実:静岡。
おじぎそう、オジギソウ いねむり 別称『ネムリグサ』。
かき、カキ、柿 かぎ
しなのがき:マメガキ・シナノガキ。
やま:シナノガキ。
かっ:鹿児島。
かし、カシ、樫
かしのみ、カシノミ、樫の実 てんころみ:静岡。
かなめもち、カナメモチ いぼた
いぼたのき
からすざんしょう、カラスザンショウ あおばら:神奈川。
かりん、カリン、花梨 類似種に『マルメロ』があるが、混同して『カリン』とも呼ばれる。
あんらく:佐渡島。
がまずみ、ガマズミ ゆっつぉ
よしぐみ
よしずみ
よしどみ
よずずみ
よずずめ
よずどめ
よすらぐみ
よそぐみ
よそずみ
よそぞみ
よそぞめ
よそどめ
よそどーろ
よっつぐみ
よっづぐみ
よっつずぐみ
よっつずみ
よつつずみ
よっつどめ
よっとどめ
よつどめ
広辞苑には『スイカズラ科の落葉低木。各地の山地に自生。高さ二メートル。葉はアジサイに似て小形で、対生。・葉に毛が多い。夏、五弁の小白花を散房花序に密生。秋、小豆ほどの紅色の果実を結ぶ。若葉・果実は食用。コバノガマズミ・ミヤマガマズミなど近縁種、また園芸品種がある。』とある。
また、別称として『ヨソゾメ・ヨーゾメ・ヨツズミ』がある。
ガマズミの語源は、噛むと酸っぱい実の意味と言われる。
よいどめ:静岡。
よーじぎ:高知。
よしず:山梨。
よしど:神奈川。
よーじのみ:高知。
よじ:高知。
よーじみ:高知。
よーじ:愛媛・高知。
よーすず:静岡。
よすず:長野。
よそぞ:東京都多摩・神奈川・山梨。
よそぞめ:別称。
よそどめ:千葉・静岡。
よぞみ:静岡。
よぞめ:岩手・静岡。
よーぞめ:別称。
よそーめ:三宅島。
よぞーめ:三宅島・御蔵島。
よぞーめん:三宅島。
よちよそどめ:静岡。
よつぐみ:山形。
よつつずみ:宮城。
よっつずみ:福島。
よっつどみ:栃木。
よっづみ:群馬。
よつとぞめ:埼玉。
よつどぞめ:埼玉。
よつとど:埼玉。
よつどどめ:栃木・埼玉。
よーどめ:神奈川・伊豆大島・長野・静岡・愛知。
よつどめ:栃木・埼玉・神奈川・新潟。
よとずみ:神奈川。
よとずめ:神奈川。
よとどめ:神奈川。
よどめ:静岡。
ろっそ:静岡。
きょうちくとう、キョウチクトウ、夾竹桃 おいらんばな:栃木。
きり、キリ、桐 きんのぎ
きんぬぎ
きんぬき
広辞苑には『ゴマノハグサ科の落葉高木(この科唯一の木本)。原産は中国大陸、わが国各地に栽培。幹は高さ約一○メートルに達する。葉は大形掌状、三浅裂。晩春、芳香ある淡紫色の五弁の筒状花を開く。材は軽軟で色白く、くるいが少なく、耐火性があり吸湿性も少ないので、琴・箪笥(タンス)・家具材・下駄・箱などとし、また屑を焼いて懐炉灰に用いる。樹皮は染料、葉は除虫用になる。』とある。
きーのき:鹿児島。
きのき:鹿児島。
きんのき:鹿児島。
くさいちご、クサイチゴ きいぢ
くさぎ、クサギ、臭木 とーのき
くさぼけ、ぼけ、クサボケ・ボケ ぼくしどみ:ボケ。
ぼけしだみ:ボケ。
ぼけしどみ:ボケ。
やましどみ:クサボケ。
やまぼけ:クサボケ。
くちなし、クチナシ、梔子 くぢなし くんなし:鹿児島。
くぬぎ、クヌギ くに
くにぼんぼ:実。
くぬだま:実。
くの
じーだっ:実・どんぐり。
じだんぼ:実。
じだんぼのき
じったん:どんぐり。
どんりぼんぼ:実。
くの:東京多摩。
ほーちょー:静岡。
くねんぼ、九年母 広辞苑に『ミカン科ミカン類の常緑低木。タイ・インドシナ原産。高さ約三メートル。葉はミカンに似て大形。初夏、香気の高い白色五弁花をつける。果実は秋熟し、大きさはユズに似る。皮が厚く、佳香と甘味とを有する。香橘(コウキツ)。香橙。くねぶ。』とある。
くねく:鹿児島。
くねつ:鹿児島。
くねぶ:鹿児島。
ぐみ、グミ ぐみ:ナツグミ。
さいづぢぐみ:ナツグミ。
しびとぐみ:アキグミ・ナツグミ。
しぶぐみ:アキグミ・ナツグミ。
やまぐみ:アキグミ。
やまのぐみ:ナツグミ。
やまほーずき:アキグミ。
るすいばん:ナツグミ。
広辞苑には『茱萸・胡頽子:グミ科の落葉または常緑低木の総称。高さ一〜二メートル。葉は楕円形、枝にとげがある。春または秋、白色の小さな四弁筒形の花を開く。葉・花・果実に独特の星状毛や鱗毛を密生。実は熟すと赤くなり、食用。材は強く、農具・工具の柄とする。山地にはナツグミ・アキグミ・ツルグミ、海岸にはマルバグミなど種類が多い。また果樹として特にトウグミが栽培される。』とある。
当時はどの家にもグミの木がが植わっていた。『ナツグミ・アキグミ・ツルグミ・マルバグミ・マルバグミ』等の詳しい識別は私にはできないが、様々な種類のグミが植わっていたのは間違いなく、美味しいもの、実が小さくて渋いもの等があった。グミは当時の子供達の空腹を癒したユスラウメと並ぶ数少ない果樹の一つだった。ユスラウメは、口の中でぷちっとはじけたが、グミの実はざらついた表皮がつぶれると中からら甘苦いどろどろした果実が口の中一杯に広がる。頬が膨れるほど頬張って食べたことが昨日の様である。
古語では『くみ』。語源は諸説ある。
ぐん:鹿児島。
ごみ:長野。
くり、クリ、栗 しゃくし:中身の無い薄い栗。 くい:鹿児島。
ひょひょー:栗の真ん中にある栗。
くろまつ、クロマツ おまづ
おどごまづ
くろまづ
くわのみ、クワの実 くあぐみ:県全域。
ぐみ:県北県西部。
くわぐみ:推定県全域。
どどのみ:県北部と筑波郡。
どーどのみ:久慈郡。
どどみ:土浦市。
どどめ:那珂郡・猿島郡。
とどめ:猿島郡。
『どどめ』は広辞林に、関東地方の方言として掲載されている。また大辞林にも(関東地方で)『熟した桑の実』とある。
いち:島根・大分。
うずら:静岡。
うずらみ:静岡。
かばら:千葉。
かみず:山梨。
かめんど・かめんどー:神奈川。県西部。
かん:新潟。
ぐぬみ:神奈川。マイナー方言。
くろんぼ:大分。
くわいち:神奈川。県西部。
くわご:福島。
くわさ:愛媛。
くわどどめ:神奈川。
くわふ:徳島・大分。
くわのめど:静岡。
くわめど:神奈川県西部。
さし:沖縄。
つなみ:長野・岐阜。
つばみ:富山・福井・石川。
つまめ:福井・岐阜。
どどめ:東京多摩・神奈川。県央部。
みず:長野。
めぞ:長野。
福井・石川では葡萄を『ぐど』と言う。
けやき、ケヤキ あおやぎ:ケヤキの一種。
けーぎ
きやぎ
きやき
けやぎ
きやき:福島。
こうぞ、コウゾ、楮 広辞苑には『(カミソ(紙麻)の音便) クワ科の落葉低木。西日本の山地に自生し、繊維作物として各地で栽培。高さ約三メートルに達する。葉形は桑に似て質はやや薄く粗い。雌雄同株。六月頃、淡黄緑色の単性花を開く。果実は赤熟、桑の実に似る。樹皮は日本紙製造の原料。かぞ。かんず。』とある。
かず:静岡。
かぢ:鹿児島。
がっず:静岡。
かんず:静岡。
かんぞ:静岡。
かんぞー:静岡。
こうやぼうき、コウヤボウキ 落葉小低木。
うさかくし:神奈川。
こぶし、コブシ いもういばな:セキレイを『むぎまきどり』と言うのと同様、農作業の指標とした言葉と思われる。
おにこぼし
こぶのき:種の房が瘤だらけの不思議な形状になるためだろう。
むんけや
やまこぶし
やまもぐれん
『俚言』には『こぶし:「異名分類補」やまあららきこぶしくじかみひきさくら、又志たなが。(中略)「本草啓蒙」こぼうし(越前)、こぼし(丹波)、本草の辛夷、和名抄のやまあららぎ也。奥の南部にてひきざくらと云(一名木筆、迎春花といふ)。』とある。
ごようまつ、ゴヨウマツ、五葉松 ひめこ
ひめこまづ
『姫小松』。
さかき、サカキ、榊・賢木 さがぎ
ざくろ、ザクロ、石榴 ざぐろ
じゃぐろ
じゃくろ
じゃくろ:福島・群馬・東京・神奈川。
ささるい、ササ類、笹類 おにざさ:クマザサ
さざんか、サザンカ、山茶花 さんざが
さんざか
うめがたし:鹿児島。
さねかずら、サネカズラ 広辞苑に『真葛:モクレン科の常緑蔓性低木。山地に自生、また観賞用にも栽植。葉は平滑で厚く、光沢を有し、長楕円形。夏の初め、葉腋に淡黄色の花を開く。秋、美しい紅色の実を多数球状につけ、生薬とする。茎の粘液は製紙用または鬢付油の材料。ビナンカズラ。サナカズラ。』とある。
ひねかずら:鹿児島。
ざぼん、ザボン うちむらさき:奈良・四国。
さるすべり、サルスベリ、猿滑り、百日紅、紫薇花 おどりこばな
かりかり
かりかりのき
ことことのき
さるしこ
さるしっこー
はだが
はだがぬき
はだがのき
はだかのき
ひやしっこー
わらい
わらいのき
わらいばな
広辞苑には『猿滑り・百日紅・紫薇花(幹の皮が滑らかなので猿もすべるの意)ミソハギ科の落葉高木。中国南部の原産。幹は高さ数メートル。平滑でこぶが多く、淡褐色。葉は楕円形で四稜のある枝に対生。秋に紅葉する。夏から秋に鮮紅色または白色の小花が群がり咲く。庭木としてわが国で古くから栽培。材は緻密で細工用。ヒャクジツコウ。サルナメリ。』とある。
おぼんばな:滋賀。
はだかのき:佐渡島。
はだか:佐渡島。
ぼんばな:栃木。『盆花』とは昔はお盆には山野草の花を取ってきて供えたために、盆に供える花をそう呼ぶ。百日紅は豪華な花でしかも長く割き続けるため、『盆花』として相応しい存在だったのだろう。
さるとりいばら、サルトリイバラ いばら
さんきらい
さんきらいばら
さんきらばら
さんきりばら
さんきればら
ばら
ばらっ
もちばら
やぎもぢばら
やきもちばら
やまばら
『俚言』には『さるとり茨:「本草啓蒙」さるとりいばら(京)、かめいばら(筑前)、がんだちいばら(伊勢)、からたちいばら(讃岐)、からたち(土佐)、さるとりいぎ(周防)、みみづくいばら(和泉)、うまかたぐい(備前)、ぼてぐい(備後)、かんないばら(土佐)、かたら(石見)、もかきばら(仙台)、もかくばら(南部)、しやうがくばら(信濃)、さるかけいばら(越前)、さるかけいげ(肥後)、かたらぐい(安芸)、いぬばら(伊予)、いぎんどう(長門)、かごばら(上総)、五郎四郎志ば(西国)』とある。サルトリイバラは別名『山帰来・山奇量』(さんきらい)と言う。 広辞苑に『ユリ科の落葉小低木。高さ二〜三メートル。茎は細く他物にもたれて伸び、節ごとに曲り、強い角質
のとげをもつ。葉は円形ないし楕円形で基部に二本の巻鬚(マキヒゲ)がある。初夏、黄緑色の小花を球状に多数つけ、雌雄異株。エンドウ大の赤い液果を結び、それを花材とする。山帰来。カカラ。』とある。
:鹿児島。
たまばら:神奈川。
たまんばら:神奈川。
だんごっ:神奈川。
だんごばら:神奈川。
ふくだんばら:神奈川。
まんじゅっ:神奈川。
さるなし、サルナシ あかっ:神奈川。
さわら、サワラ、椹 ぬがい
ぬかっ
さんしょう、サンショウ、山椒 さんしょ さんしゅ:鹿児島。
しいのみ、椎の実 こじ:鹿児島。
しきび、シキビ、シキミ、樒 こうのき
しきび
しきみ
ぼんばな
広辞苑には『モクレン科の常緑小高木。山地に自生し、また墓地などに植える。高さ約三メートル。葉は平滑。春、葉のつけねに黄白色の花を開く。花弁は細く多数。全体に香気があり、仏前に供え、また葉と樹皮を乾かして粉末とし抹香または線香を作り、材は器具用。実は甘いが猛毒で、「悪しき実」が名の由来という。シキビ。コウシバ。コウノキ。木密。仏前草。』とある。
あくしば:静岡。
あこしば:静岡。
こうのき:東京・神奈川・八丈島・静岡・三重・岡山・徳島・愛媛・長崎・熊本・鹿児島。
しきび:埼玉。
しだれやなぎ、垂れ柳 すだれやなぎ:鹿児島。
しなのがき、シナノガキ、信濃柿 まめ 広辞苑に『信濃柿:カキノキ科の落葉小高木。野生の柿の一種で高さ約六メートル。果実は小さく、球形・楕円形などで、熟せば食用となるが、主に未熟のものから渋をとるために栽培する。材は建築用・器具用。東北・信越地方に多く栽培。マメガキ。ブドウガキ。千生(センナリ)柿。』とある。
あまんどー:山梨。
あまんぼ:神奈川。
:長野。
まめ:長野。
しゅろ、シュロ、棕櫚 しょろ
しろ
しろだも、シロダモ、白だも 広辞苑に『しろだも【白だも】:クスノキ科の常緑高木。関東以南の山地に自生。葉は楕円形で裏面が白く、車輪状につく。木全体に精油を含み芳香がある。晩秋に黄褐色の小花を多数つけ、翌年の秋冬に赤色の球果が熟する。種子から採油し、蝋燭の材料とする。シロタブ。タマガヤ。』とある。
のき:静岡。『桶の木』の意味か。
じんちょうげ、ちんちょうげ、ジンチョウゲ、チンチョウゲ ぎんちょー
ぎんちょー
きんちょー
きんちょー
じんちょー
じんちょ
じんちょき
じんちょーき
めしばな
すいかずら、スイカズラ、忍冬 あまちゃ
あまちゃのき
あまっちょ
あまっちょのき
さねかずら
広辞苑には『忍冬:スイカズラ科の常緑蔓性木本。山野に自生。葉は楕円形、全株に褐色の細軟毛を密生。初夏、芳香のある白色または淡紅色の唇形花を開き、のち黄色に変る。花筒の底部にある蜜腺から蜜を出す。二個相接してやや瓢箪形をした黒色の液果を結ぶ。茎・葉を乾したものは生薬の忍冬(ニンドウ)で、利尿・健胃・解熱薬、花を乾して瘡腫の洗浄用とする。葉が冬でもしぼまないので、忍冬の名がある。金銀花。』とある。
すぎ、杉 のぎ すんのき:鹿児島。
すもも、李 ばだんきょ
ばたんきょ
はだんきょ
わだんきょ
わたんきょ
正しくは、『トガリスモモ』(はたんきょう【巴旦杏】)のこと。
ばたんきょー:宮城。
そてつ、ソテツ そでづ しょてつ:静岡。『鉄蕉』の倒語か。
そのたのこうようじゅ、その他の広葉樹 あおのき:ウリカエデ。
いものき:コシアブラ。タカノツメ。
いんじ:エンジュ。
うらじろ:シロダモ。
おにさいがぢ:サイカチ
おのおれ:オノオレカンバ
かーるみ:サワグルミ
かーら:キササゲ。
こーっ:ハシバミ
さぐみ:ナワシロイチゴ
さらそーじ:ヒメシャラ:夏椿は別名シャラの木と言う。
しゃくし・しゃくしり・しゃくしけー・しゃくしっ:実のない薄いクリ。
じゃぐろ:ザクロ。
てっ:イガの中に実が一つだけの栗。
とぢねんぼー・とちねんぼー:トチの実。
においばな:モクセイ:水戸市。
ぬかなら:ミズナラ。
ひょーひょー:実が一つしかない栗。これを盛っていると迷子にならないと言われる。
へーいぢ:ナワシロイチゴ。這いイチゴの意味。
ほーぎ:コウヤボウキ。
またのき:シナノキ。
かい:サワシバ。花穂が麦の穂に似る。
むぐれんじ:ムクロジ。
むんけや:アカメガシ・カンコノキ・コシアブラ・タカノツメ。
もんも・もんものき:桃。
やすのき:サワグルミ。
やまいんじ:カラスザンショウ。
やまうるし:ハゼノキ。
やまきり:アカメガシワ・カンコノキ。
やま:イイギリ・カラスザンショウ。
やま:ヤマボウシ。
やまつつじ:アケヤシオ。
やまなし:オオウラジロノキ・オオズミ。
やまん:トネリコ。
やんじゃもんじゃ:マンサク。
らいでんぼく:チャンチン。
んまのは:タニウツギ。
あーがらへーた:ミツデカエデ:神奈川。
そのたのしんようじゅ、その他の針葉樹 へったま:ツガ・トベラノキ。
やすなろ:アスナロ・ヒバ:アスナロの転。
やます:ネズ。
そのたのていぼく、かんぼく、その他の低木・潅木 かーらうづ:ドクウツギ・タニウツギ。
しゃくな:シャクナゲ。
へびぐみ:クマイチゴ。
むらさぎぼんぼ:ムラサキシキブ。
やまこんめ:ムラサキシキブ。
あがざ:イワヒゲ。
もやし:ヤドリギ。
やまいぢ:クサイチゴ・クマイチゴ・ナワシロイチゴ。
やまばら:ノイバラ。
だいだい、橙 広辞苑に『(ダイは「橙」の中国音の転訛)ミカン科の常緑低木。幹は高さ三メートルほどで、葉は卵形、透明な小油点を有し葉柄に翼を持つ。初夏、葉のつけ根に白色五弁の小花をつける。果実は冬に黄熟するが、翌年の夏に再び緑色にもどるので回青橙の名がある。暖地に栽培、皮は苦味健胃薬。また正月の飾りにも使用。オレンジ・サンボウカン・ナツミカン・ナルトミカンは同類、また臭橙(カブス)はこの一種。』とある。
現代では一般に『臭橙』は『かぼす』とも言う。『醸す』意味か。
以下の言葉は大半が『香』をベースにした言葉と見られる。
かぶす:愛媛。
かぶち:和歌山。
かぶつ:八丈島。
こうぶつ:佐賀・長崎。
だぇーだぇー:静岡。
たけ、タケ、竹 たげ たき:鹿児島。
でみょだけ:ダイミョウダケ:鹿児島。
でめだけ:ダイミョウダケ:鹿児島。
こだけ:メダケ:静岡。
:メダケ:静岡。
だけかんば、ダケカンバ がん
たけのこ、タケノコ、竹の子 だげのご
たげのこ
へぼ:宮崎。
たけるい、タケ類、竹類 おかだけ:マダケ
らっきょーだけ:竹の一種。
たらのき、タラノキ あくだら
おにたらぼ:大きなタラノキ。
おにのつい
たらぼー
ちどりのき、チドリノキ あらは:神奈川。
つげ、ツゲ ぜねのき:栃木。
つた、つたるいツタ、ツタ類、蔦類 おにづた:キズタ。
おばこぐみ:ウグイスカズラ。
さねかずら:ノウゼンカズラ。
んまふじ:ヤマフジ
いしらみ:ツタ類:長野。
つつじ、ツツジ つづ
つつ
つづじ
ちづじ:静岡。
つづらふじ、ツヅラフジ あおねっつ:神奈川。
あおふじ:神奈川。
あかねっそ:神奈川。
つばき・つばきるい、ツバキ・ツバキ類、椿・椿類 つばきぼんぼ:ツバキの実。
やいたんぼ・やいつばぎ:八重ツバキ・オトメツバキ。
やいぼんぼ:八重ツバキの実・オトメツバキの蕾。
かたし:鹿児島。
かたしあぶら:椿油:鹿児島。
かてし:鹿児島。
たん:千葉。
つるうめもどき、ツルウメモドキ あかえ:神奈川。
とう、籐 :鹿児島。
どんぐり、団栗 じだっ
じーだっ
じったん
じだっ
じーだっ
じんだっ
じんだん
じんなんぼ
じんなんぼー
じんだっ
じんだん
じんなんぼ
じんなんぼー
広辞苑には『どんぐり:(トチグリ(橡栗)の転か) カシやクヌギ・ナラなどの果実の俗称。椀状の殻斗(カクト)があり、果実の下半を包む。』とある。
『称呼』には『どんぐり:信州にてぢだんぐりと云。又どんぐりの蔕を江戸にてよめのごきといふ。伊勢にてこめのごきといふ。越後にてならがまと云。上野にてよめのごうしと云。今按にははそと云ひ、つるばみといふは古名なり。今、くぬぎ。又こなら、又いしならなどいふ。西国にてならこうといふ。東国にてこならと云。越前にてほうさといふ。どんぐりは則くぬぎの実なり。池田炭は、此木をもってやく。摂州一倉といふところにてやくといへとも池田炭と称す。』とある。
県下には以下の呼称がある。
広辞苑では『じだん:信州で、どんぐりをいう。』、大辞林では『じだんぐり:クヌギの異名』とある。
ちなみに『耳朶』(じだ)とは『みみたぶ。みみ。』の意味である。現代辞書には耳たぶとの関係を解説したものは無いが、通常の栗に対して『耳たぶほどの大きさの栗』の意味ではないかと思われる。『じだん』とは『じだの』の撥音便であろう。
いっちかっち:静岡。
ぎたんぼ:長野。『じ』が『ぎ』に変化したと思われる。
じだん:長野。
じだんぼ:栃木。
じーだんぼ:東京多摩。
じんだんぼ:埼玉。
ずんだ:福島。
どんるみ:静岡。
なし、ナシ、梨 なし
なすぃ
なす:青森・福島。
なすぃ:福島。
なつつばき、ナツツバキ はだかっ
はだがのき
なつめ、ネツメ、棗 広辞苑に『なつめ【棗】:クロウメモドキ科の落葉小高木。原産は中国とされる。高さ約六メートル、多く枝分れしてこんも
りした樹形。葉は卵形で三条の肋脈が明瞭。夏、葉腋に黄白色の花をつけ、花後、核果を結び、暗赤色に熟す。食用・強壮剤。材は細工物。』とある。
なつうめ:静岡。
なわしろいちご、ナワシロイチゴ つるいち:神奈川。
ばらいち:神奈川。
なんてん、ナンテン、南天 南天の漢名は『南天竹』と言う。
なりてん:長野。
なんでんぢく:鹿児島。
にっけい、ニッケイ、肉桂 にっき
にっけ
クスノキ科の樹木。当時は駄菓子屋に乾燥したニッキがいつも売っていた。類似種のシナモンは、セイロンニッケイの樹皮でニッキの方が刺激が強い。近所にニッキの木があって生の樹皮をかじったら舌が痺れる程刺激が強くてとても食べられなかった。
広辞苑には『クスノキ科の常緑高木。インドシナ原産の香辛料植物。享保(17161736)年間に中国から輸入。高さ約一○メートル。樹皮は緑黒色で芳香と辛味とを有する。古来、香料として有名。葉は革質で厚く、長楕円形。六月頃葉腋に淡黄緑色の小花をつけ、楕円形黒色の核果を結ぶ。』とある。大辞林に『肉桂の根皮を乾燥したもの。香辛料・健胃薬とする。にっき。にっけ。 』とある。
けせん:鹿児島。
にっき:鹿児島。
ねっき:静岡。
にっけ:静岡。
にわとこ、ニワトコ あーぼ:神奈川。
あーぼのき:神奈川。
ぬるで、ヌルデ、白膠木 (総称)
しおのき
しょっしょっ
しょっしょっのき
しょっのき
しょーのみのき
ぬいでのき
ぬでんぼ
ぬりで
ぬりでんぼー
ぬるでんぼー
ぬんで
ぬんでんぼー
ので
のでっ
のでっ
のでぶし
のでぼ
のでぼー
のでぼし
のてんぼ
のでんぼ
のでんぼー
のんでっ
のんでんぼー
みんぼし:久慈郡。
みんぼしめき
もぢばしのき
(関連語)
かいばし:1月14日にヌルデで作る棒。
さいのかみ:塞の神・道祖神「障の神(サエノカミ)」の意味。
へんきた:1月14日にヌルデで作った杵。子供に与える。
もぢばし:1月14日にヌルデで作る箸。
:1月14日にヌルデで作る削り掛け。
農村生活の様々場面で利用される木の代表。繁殖力が旺盛なので、手に入りやすいたためだろう。
広辞苑には『白膠木:ウルシ科の落葉小高木。山地に普通。東南アジアに広く分布。高さ約六メートル。葉は三〜六対の羽状複葉で、中肋上にひれがある。秋に紅葉。八月頃、小形白色の花を多数円錐花序につけ、花後、核果を結ぶ。果実は扁平で毛があり、成熟後白粉をつけ、鹹味(カンミ)を有する。かちのき。ふしのき。ぬりで。』とある。『ぬで』とも言う。  
県内各地で様々な風習があるが、1月14日にヌルデで作る削り掛けを指すところが多い。『削り掛け』とは広辞苑に『正月一五日の小正月に神仏などに供える飾り棒。楊(ヤナギ)・ニワトコなどの枝を薄く削(ソ)いで渦状に残しておく。幣(ヌサ)の古い形といわれる。アイヌにも同様のものがある。削り花。穂垂(ホタレ)。掻垂(カイタレ)。』とある。『俚言』には『けつり』とある。
(総称)
かちのき:群馬。
しょっしょっ:神奈川。2008年1月横浜市内の造園業者の社長から聞いた。
だいのこん:神奈川。
ぬでんぼー:群馬。
のでんぼ:栃木。
のでんぼー・のーでんぼー:群馬。
ふしのき:群馬。
(関連語)
だいのこ:ヌルデで作る削り掛け:神奈川。広辞苑に『だいのこ【大の子】:小正月の祝棒(イワイボウ)。削りかけの一種。東海地方で豊産のまじないに用いる。「だいのほこ」と呼ぶ地方もある。』とある。
ねこやなぎ、ネコヤナギ、猫柳 ねごやな いっこ:福島。
いぬころ:和歌山。
いんこーこー:柳の花:福岡。
いんころ:石川。
えんまる:山梨。
ちんころ:栃木。
ねむのき、ネムノキ、合歓木 こーか:鹿島郡。
こーかのき:新治郡・鹿島郡。
こーかんぶ:常陸太田市。
こーがんぼ:県全域。
こーかんぼー:県全域。
ごーかんぼ:東茨城郡。
こーかんぼぐ:多賀郡・真壁郡・水海道市。
ねぶた:筑波郡・稲敷郡。
ねぶたのき
ねぶった:東茨城郡・稲敷郡・北相馬郡。
ねむた:県広域。
ねむた:行方郡・鹿島郡。
ねむたのき:県広域。
ねむった:主に県北。
ねむったき:−。
ねむったのき:県北・東茨城郡・笠間市。
ねむり:下妻市。
ねむり:東茨城郡・新治郡・行方郡・鹿島郡。
ねむりっ:東茨城郡・西茨城郡・新治郡・筑波郡。
ねむりっのき:新治郡。
ねむりのき:県広域。
ねむりば:真壁郡・新治郡。
ねむり:土浦市。
ねむりばな:東茨城郡
ねむりんき:岩井市。
ねむりんぼさま:西茨城郡。
ねむれ:下妻市。
ねもったのき:久慈郡・東茨城郡。
ねんむりのき:岩井市。
:水戸市。
ほーかんば:下妻市・筑波郡。
広辞苑には『合歓木:マメ科の落葉小高木。山地や川原に自生。葉は細かい羽状複葉、小葉は刀身状で、一○〜二○対。葉は夜、閉じて垂れる。六〜七月頃、紅色の花を球状に集めて咲く。花弁は目立たず、雄蕊(オシベ)は多数に割れ紅色。莢(サヤ)は扁長楕円形。材は胴丸火鉢・下駄歯に、樹皮は打撲傷・駆虫に用いる。ねむ。ねぶ。ごうかん。』とある。別名『合歓の木(ごうかのき)、コーカン、コーカンボク、コーカノキ』。
『俚言』には『ねぶた、ねぶのき、ねぶりのき』が掲載されている。さらに『ねむの木:「本草啓蒙」(京)、かうかの木(古歌近江讃岐)、かうかい(美作)、ねぶぎ(伊予)、ねぶのき(陸奥中国四国)、ねぶた(江戸)、ひぐらし(周防)、本草の合歓和名抄のねぶりの木なり。』とある。
うし:岡山。
かーかのき:兵庫・島根の一部。
こーかのき:佐渡島。
ねふか:静岡。
ねぶた:東京多摩。
ねぶりのき:岐阜・京都・長崎。
ねむった:栃木。
ねんぶりつき:静岡。『眠りつ木』。
のぶどう、ノブドウ、野葡萄 広辞苑に『ブドウ科の落葉蔓性低木。巻きひげは二叉。葉は円い心臓形で深く三〜五裂。夏、淡黄緑色五弁
の小花をつけ、花後、球形の液果を結び、熟すと白・紫・碧など混交し、濃色の斑点を有する。食べられない。ザトウエビ。ヘビブドウ。』とある。
うまのめだま:静岡。
いび:東京多摩。
はぎ、ハギ、萩 うさかくし:ハギの一種:神奈川。
はぎのこ:鹿児島。
はぜのき、黄櫨・櫨・梔 『黄櫨漆』とも言う。
はし:鹿児島。
はちく、ハチク、淡竹 広辞苑に『竹の一種。中国原産で、わが国各地に栽培。高さ一○メートルに達する。稈は淡緑色で白蝋粉に覆われ、節は二輪状。竹の皮は紫色。筍は食用、材は硬靱・緻密で諸器具を作る。クレタケ。カラタケ。』とある。
はちこ:静岡。
はりぎり、ハリギリ あくだら『俚言』には『常陸の方言、ハリギリを云。』とある。
あくたらぼ
あくだらぼー
あくたらぼー
あくだら:神奈川。
せんのき:神奈川。
はんのき、ハンノキ おは
おはろぼんぼ:実。
おはろぼんぼん
こばん:栃木。
ひいらぎ、ヒイラギ おんなひーらぎ:棘のないヒイラギ。
しーら
とびら
ひららき
語源は諸説あり@棘のある疼木、A葉いらぎの意味、Bははりありき(葉刺在木)とある。
おにさし:ヒイラギ:愛知。
おにのめっき:ヒイラギ:奈良・和歌山・徳島。
ひのき、ヒノキ ひのぎ 広辞苑には『檜・檜木:ヒノキ科の常緑高木。日本特産種。高さ三○〜四○メートルに達する。樹皮は赤褐色、葉は小鱗片状で、枝に密生。雌雄同株。春、枝の上に小花を開き、のちに球果を結ぶ。材は帯黄白色、緻密で光沢・芳香があり、耐水力が強いため諸材中最も用途が広く、建築材として最良。チャボヒバ・
クジャクヒバなど葉の美しい園芸品種もある。古称、ひ。』とある。
また、通常『ヒバ』と呼ばれる木は『翌檜(アスナロ)』であり、建材としての性能はヒノキとほぼ同じだが、肌合いや色が異なり、建物の隠れ役として使われる。そのため、アスナロ・ヒバをヒノキと呼ぶ地域も少なくない。
ひば、ヒバ いしび
いし
いしび:栃木。
ぶどう、葡萄 ぶと:鹿児島。
ぶな、ブナ あおぶな:イヌブナ:長野・山梨・神奈川。
やしゃ:静岡。
ほていちく、ホテイチク、 広辞苑に『布袋竹:マダケの変種。稈(カン)の下部は節間が短く、膨れ出して奇形を呈する。上部は節の直下が少し膨
れる。観賞用に栽植。稈は釣竿・杖に用いる。五三竹(ゴサンチク)。人面竹。』とある。
こさんだけ:鹿児島。
まき、マキ、槙 まきのき
まぎべ
まぎべのき
まぎぼんぼ:マキの実。
ひとつば:鹿児島。
やんぞー:槙の実:静岡。
やんぞーこんぞー:槙の実:静岡。
まつ、松 あまちち:松の瘤から出る樹液。
あまちょ:松の瘤から出る樹液。
あまっちょ:松の瘤から出る樹液。
あめあめ:松の瘤から出る樹液。
おんばちち:松の白い樹液。
こぶあめ:松の瘤から出る樹液。
ざーさら:松の落ち葉。
ざら:松の落ち葉。
ざーら:松の落ち葉。
さーら:松の落ち葉。
ざらびき:松の落ち葉。
さるのうば:松の瘤から出る樹液。
ちち:松のこぶから出る樹液:乳の意味。
ちちおんば:松のこぶから出る樹液:乳母の意味。
ちぢこんべ:松のこぶから出る樹液:乳瘤の意味。
まづごく:松の落ち葉。
まづこぶ:松のコブ。
まづたっこぶ:松のコブ。
まづだらさらい:松の落ち葉攫い。
まづったんこぶ:松のコブ。
まづぬぎ:松ノ木。
まづのあめ:松の樹液。
まづのきっこぶ:松のコブ。
まづのこぼし:松のコブ。
まづのたんこぶ:松のコブ。
まづのちち:松の樹液。
まづのはっ:松の落ち葉。
まっこぶ:松のコブ。
まつったんこぶ:松のコブ。
まづば:松の葉・松の落ち葉。
まっ:松の葉。
まつんば:松の葉。
まづば:松の葉・松の落ち葉。
まっ:松の葉。
まつんば:松の葉。
こぼれ:松の落ち葉:福島。
まんのき:鹿児島。
まつのわかば、松の若葉 まつご:千葉・岐阜・愛知・岡山。
まつぼっくり、まつかさ、松ぼっくり、松かさ がん
きだん:県内散在。
きだん:東茨城郡。
ちんちり:鹿島郡。
ちんちろ:鹿島郡。
まづかさ
まづかさぼんぼ
まづこ
まっこ
まつころ
まづだん
まつだん
まづっかさ
まづったんこぶ
まつったんこぶ
まづのぎのぼんぼ
まつの
まづのぼんぼ
まづのぼんぼん
まつのぼんぼん
まづのみ
まつぐり
まづぽぐ
まづぼくり
まづぼ
まづぼ
まづぼっくり
まづっくり
まつぼっくり
まつぼぼ
まつ
まつぼん
まづぼんぼ
まつぼんぼん
まづもんも
まつもんも:下館市。
まつもんもん
『松陰嚢(まつぼくり)』は広辞苑には『(ボクリはフグリの転か) 「まつかさ」の別称。「まつぼっくり」とも。』とある。また『松毬・松笠』は『松の果実。まつぼっくり。まつふぐり。まつだんご。ちちり。ちちりん。ちんちら。ちんちろりん。』とある。
かーか:静岡。
かーかー:広島。
かんこ:長野。
かんころ:京都・大阪。
ちちりこ:和歌山。
ちっちり:奈良・和歌山。
ちん:広島。『ちんのふぐり』を思わせる方言。
ちんちり:大阪・兵庫。
つま:香川。
まつ:神奈川。
まつだんご:神奈川。
まつっかさ:神奈川。
まつっこぞー:神奈川。
まつっこぼれ・まつのほん:神奈川。
まつ:香川・愛媛・大分。
まつのふん:三重。
まてばしい、マテバシイ 『マテバカシ』とも言う。
まちのき:鹿児島。
みかん、蜜柑 いどみかん:温州蜜柑。
みがん
みずき、ミズキ、水木 っこのき:栃木。
みつまた、ミツマタ、三椏 みづまだ かぞ:静岡。
むくげ、ムクゲ ぶっそー。仏桑華(ブッソウゲ)はムクゲに似ている。
もぐ
もっき
もっきん
もっけ
もっき:千葉。
むくのき、ムクノキ いのき
むくいのき
むぐずぎ
広辞苑に『むく(椋):ニレ科の落葉高木。本州中部以南の山野に自生。高さ二○メートルに達する。葉は長卵形で左右対称でない。葉面はざらざらしていて物を磨くのに用いる。春、新葉とともに淡緑色の単性花をつける。ふつう雌雄同株。花後、球形の核果を結ぶ。秋熟して紫黒色となり、食用。材は器具用。樸樹(ムクノキ)。むく。むくえのき。もく。』とある。
めだけ、メダケ、女竹、篠、篠竹 しの 広辞苑に『めだけ【女竹・雌竹】:竹類ササ群の一種。高さ六メートル。節は平らかで節間の長いものは五○センチメートル、初生の新幹には白粉が着生、竹の皮は年を経ても脱落しない。春、淡紫色の花を開くことがある。稈は垣・笛・竿・かご・煙管(キセル)などの材料。カワタケ。オナゴダケ。アキタケ。シノダケ。ニガタケ。シノベダケ。』とある。さらに『:(しの)細くて群がり生える小さい竹。ヤダケ・メダケの類。』『しのだけ【篠竹】:全体に細く、葉も細かな竹・笹の類の俗称。スズタケ・アズマネササなど。しのざさ。』。
こだけ:静岡。
:静岡。
もくせい、モクセイ、木犀 もくせん:鹿児島。
もくれん、モクレン はなむぐれん
むぐれん
むぐれん
むぐれんじ
んまべろ
うんまべろ
うばざくら:岩手。
もみじ、紅葉、楓 あーらへーた:ミツデカエデ:神奈川。
もみじいちご、モミジイチゴ きいぢ
あーいぢ
あーぐみ
やまぐみ
あわきいち:神奈川。
やしゃぶし、ヤシャブシ おは
おはろき
おはろのみ:実。
おはろぶし
おはろぼんさま:実。
おはろぼんぼ:実。
おはろぼんぼん:実。
おはろぼんぼんのき
やさぶさ
やさぶし
やさぶしぼんぼ:実。
やしゃ:実。
やしゃのき:実。
あずま:神奈川。
あつま:神奈川。
やつで、ヤツデ てん
やつっ
よつで
てん:神奈川。
てん:神奈川。
てんーば:神奈川。
てんーっ:神奈川。
てん:神奈川。
てんんば:神奈川。
やすで:神奈川。
やっぢぇん:鹿児島。
やどりぎ、ヤドリギ いぬのばげもの:濁音の『いぬぎ』はエノキのことだが、ヤドリギはエノキだけに生えるものではないので、『いぬすなわちカビの化け物の意味と思われる。 やどかい:鹿児島。
やなぎ・やなぎるい、ヤナギ・ヤナギ類、柳・柳類 ねこじゃ:ネコヤナギ・カワヤナギ。
ねごじゃのき:ネコヤナギ・カワヤナギ。
ねこじゃら:カワヤナギ。
やまならし:ハコヤナギ。
やまねこやな:ヤマネコジャ。
いんこーこー:柳の花:福岡。
えんのころ:柳の花:静岡。
やぶにっけい、ヤブニッケイ おきろみのき
やまにっけー
ゆうがお、ユウガオ かんょー:加工品が植物名になっている。
かんょーふくべ
広辞苑に『夕顔(夕に花を開いて朝しぼむからいう) ウリ科の蔓性一年草。ヒョウタンと同種。熱帯原産。茎・葉に粗毛を有し、葉のつけ根に巻鬚(マキヒゲ)があり、葉は腎臓形。夏の夜に五浅裂した白色の合弁花を開き、花後、長楕円形・球形の大きな果実を生ずる。果実は食用とし、また、干瓢(カンピヨウ)に製する。火鉢・置物などにも用いる。』とある。
ゆず、ユズ、柚子 広辞苑には『ミカン科の常緑低木。高さ約三メートル。耐寒性がある。枝幹、葉のつけ根に刺(トゲ)が多く、葉は長卵形で有翼。夏、白色の小花を開き、花後、球形黄色のミカンに似た果実を結ぶ。果皮にはいぼ状突起があり、香気と酸味とを有する。果実・蕾(ツボミ)は香味料用。スダチは同類。ゆう。ゆ。』とある。
語源辞典には『@酸っぱいものであることから、「柚酸」の義か、Aヨス(弥酢)の義、B果実から酢がとれるところから、C中国語「柚子」(yu-tzsu)』とある。
いのす:愛媛・高知・鹿児島。
えぬす:鹿児島。
ゆすらうめ、ユスラウメ うずらんめ
にわんめ
ゆすら
ゆっさ
ゆっさもんも
よしらんめ
りっさもんも
ゆすらんこ:群馬。
よそらんご:群馬。
ゆずりは、ユズリハ、譲葉・交譲木 つんのは:鹿児島。
ゆずいは:鹿児島。
りょうぶ、リョウブ おんなさんなめし
やまさるすべり
りょーぼー
んまつつじ
さるなめし:栃木。
りんご、リンゴ、林檎 りんこ:長野。
れんげつつじ、レンゲツツジ おにつつじ
じゃんぼんつつじ
らいさまつつじ
んまつつじ
 本茨城弁集は、昭和40年前後の茨城方言を中心に茨城県全域の江戸時代まで遡る言葉を集めたものです。他県の方言との関係を重視し主要なものについては他県の方言も紹介しています。また、近年使われなくなってきた標準語や語源考察、また昭和30年代の風俗・文化等を紹介するために、合わせて標準語も掲載していますのでご注意下さい。
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