昔の茨城弁集
昭和35年〜45年頃の茨城弁集
茨城弁・土浦弁掲示板/新規に開設しました。どなたでもお気軽に書き込みください。
  茨城方言大辞典/
 昔の茨城弁集 TOP
 茨城方言の特徴
 茨城方言入門
 茨城方言大辞典
 動物・両生類
 魚・水産物・海産物
 虫・昆虫・軟体動物 
 樹木
 草花・キノコ 
 地理・自然
 
 
 特殊な形容詞
 人体用語
 代名詞
 風俗文化・建築・生活
 子供の遊び 
 農業・養蚕・漁業
 茨城の迷信
 年中行事
 挨拶言葉
 
 
 茨城方言の分布
 茨城方言の文法
 小説の中の茨城方言
 茨城方言の発音練習 
 茨城の日常会話
 幼児語に学ぶ
 投稿文紹介
 当時のテレビ番組
 相互リンク集
 八丈方言との関係
BACK NEXT
◆印:『土浦の方言・続土浦の方言』掲載語。■印:『土浦市史・民族編』掲載語。▲印:『茨城方言集覧』掲載語。印:新編常陸国誌掲載語。印:茨城方言民俗語辞典掲載語。印:茨城弁今昔掲載語。印:物類称呼掲載語。●印:『国立国語研究所・日本語情報資料館・電子資料館・日本言語地図・方言文法全国地図』掲載語。▼印:日本方言大辞典掲載語。印:日本方言辞典掲載語。浪花聞書掲載語。印:俚言集覧掲載語。★印:使用例とその標準語訳。黒太文字:標準語。
茨城弁 標準語訳 備考・解説・使用例
(こ) 方言解読のための必須用語。(広辞苑)
1)子・児。【接尾】。
・古くは男女ともに、今は女の名の下に添える語。大和「右馬允藤原千兼といふ人の妻(メ)には、とし―といふ人なむありける」。「花―」。
・小さなもの、劣ったものの意で添える語。「娘っ―」。
・人の意を表す語。多く、仕事をする人の意。「売れっ―」。
・ものを表すのに添える語。「鳴る―」。
2)木。(「き(木)」の古形。他の語に冠して複合語を作る)
3)格。
・障子の骨。
・梯子(ハシゴ)の足をかける横木。著聞一四「階の―を斜におり下りて」
・格天井(ゴウテンジヨウ)の竿材。
・碁盤・将棋盤の面に引いた縦横の線。め。
4)粉。
・砕けてこまかくなったもの。すりつぶしてこまかくしたもの。こな。
・薬味(ヤクミ)。
・汁の実(ミ)。
5)蚕。
6)濃(接頭語的に用いて) 色や液のこいこと。
7)籠。
・「かご」のこと。
・伏籠(フセゴ)に同じ。
8)海鼠。ナマコの異称。
9)己
10)戸
11)去
12)呼
13)固
14)姑
15)拠
17)股
18)孤
19)弧。木の弓。弓。また、弓なりの形。
20)故。
21)枯
22)胡
23)個・箇
24)庫
25)。縒(ヨ)って練り染めた糸すじ。この糸すじを数える語。
26)虚
27)。はかま。もと陸軍で、ズボンのこと。
28)。酒・水などを入れる器。つぼ
29)湖
30)雇
31)誇
32)。あきない。あきんど。
33)鈷。(「股」の借字) 仏具の一。銛(モリ)の変化したもので、密教でその形を象徴化し、悟りを妨げるものを払う意味を持つ。
34)。巻き上げた簾(ミス)をつるし懸けるかぎ。
35)鼓
36)滬。(Hu) 中国上海(シヤンハイ)市の略称。市内を流れる蘇州河の下流部を古く滬涜(コトク)と呼んだことに因む。
37)糊
38)瞽。目の見えないこと。
39)顧
40)是・此。【代】(空間的・時間的または心理的に) 話し手の近くにあり、話し手に属すると認めたものを指し示す語。これ。ここ。
41)来。カ変動詞「く」の未然形・命令形。命令形は後世、「こよ」とも。
42)小。【接頭】体言・形容詞などの上に付く。
・物の形の小さい意を表す。
・事物の程度の少ない意を表す。
・年が若い。幼い。
・数量が足りないが、ややそれに近い意を表す。
・半分の意を表す。「―半斤」「―なから」(五合の半分すなわち二合半)
・いうにいわれない、何となく、の意を表す。また、その状態を憎む意を表す。浄、氷朔日「定めしゆふべ平様と手を引き合うてでござんせう。―にくいことや」。「―ぎれい」「―ざっぱり」「―ぎたない」「―うるさい」
・軽んじあなどる意を表す。日葡「コセガレ」。伎、三十石〓始「―ざかしい青蠅めら」。浮、御前義経記「―童(ワツパ)なみの草履をつかみ」。「―利口」
・(体の部分を表す語に付いて) その動作を軽く行う意を表す。「―耳にはさむ」「―腰を屈める」
・語調を整える。「夕焼け―焼け」「おお寒―寒」。
43)こ。【接尾】
・「こと(事)」の下略。
・互いにすること。相競うこと。くら。くらべ。
・さま。そういう状態。「どんぶら―」「ぺちゃん―」。
・特に意味を持たず種々の語につく。東北地方の方言などに多い。「牛(ベコ)―の子っ―」「ちゃわん―」「ぜに―」。
44)処。【接尾】場所の意を表す。「そ―」「かし―」「あそ―」。
45)乎。【接尾】形容する語(多く漢語)につけて語調を強める語。「洋々―」「断々―」。
46)ご。松の枯落葉。多くはかき集めて焚物とするのをいう。こくば。こくぼ。落松葉を掻き寄せる熊手を「ごかき」という。近世は伊賀・尾張・三河地方に方言として残った。宇津保菊宴「紅葉折りしきて松の―、果(クダモノ)盛りて」。「―をたいて手拭あぶる寒さかな」(芭蕉)
47)ご。【豆汁・豆油】。大豆を水にひたし、すりつぶした汁。豆腐の原料や染物または油絵の彩料に用いる。
48)五。
49)互。
50)午。
51)伍。
52)后。
53)呉。
54)後。
55)娯。
56)悟。
57)御。
58)期。
59)碁・棊。
60)語。
61)誤。
62)護。
やや古い標準語。
万能鍬の刃の本数の単位 『股』。
大豆をすったもの 『豆汁・豆油』。
ごー 業の果報、因果、悪運 『業』。
ごーやける:腹が立つ:神奈川。普通は『業を煮やす・業が煮える・業が湧く』と言う。

こー
こお
【動】【古】来い 命令形。単音形は古語そのもの。
大辞林によると、『「旅にても喪なくはや〈こ〉と我妹子が結びし紐はなれにけるかも/万葉 3717」「こち〈こ〉、と言ひて/大和 103」〔平安中期以降には、「かしこに物して整へむ、装束(そうずく)して〈こよ〉/蜻蛉(中)」「こち〈こよ〉、と呼びよせて/宇治拾遺 5」のように間投助詞「よ」を添えた「こよ」の形も用いられるようになり、以後「こよ」が次第に優勢になってゆく〕』とある。
関東圏でこのような古語の特徴を今も受け継いでいる地域は茨城以外に無いだろう。それにしても国語の文法で『こ・き・く・くる・くれ・こよ』などど今でも日本語の文法がまかり通っているのは不思議だ。
ちなみに上代東国方言では連用形が『け』((上代東国方言) 動詞「き(来)」(連用形)に同じ。万二○「父母に物言(モノワ)ず―にて今ぞくやしき」:広辞苑)だった。
がえ・がーえ:宮城。『往ぬ』が転じた『い(行く・来る・帰る)の流れか。
がえまず:まあいらっしゃい:宮城。
:宮城・福島・栃木。
こー:青森・福島・埼玉・群馬・神奈川・山梨。
こいえれ:静岡。元『来いあれ』か。
こお:群馬・神奈川・長野。。
こっちこ・こっちこー・こっちこーよ・こっちいこー・こっちいこーよ:こっちに来い。
こー 【感】@このう、A斯う(こう) @『あのう、このう』の『このう』に当たる言葉、言葉が見当たらず持て余したときに使う、この言葉は標準語でも使われることがあるが、特に茨城県人の中に多用する人がいるので直ぐそれと解ってしまう。
Aは標準語。
こー 【感】おい!、さあ、ほら 『是・此』(こ)の意味。ちょっとこづいて注意を喚起する時の言葉。=『くー』
こ〜
こっ〜
【接頭】ちょっと〜、何となく〜 『小〜』。本来は形容詞につけちょっとその傾向があることを示す標準語。茨城弁では多用される一方、本来の意味が薄れ強調語や語調を整える接頭語としても使われ始めている。
こうるさい・こうるせー:何となくうるさい。
こきたない:小汚い。こぎたない。
れい:小綺麗。
こざかしい:小賢しい。『賢しい』は死語に近い標準語。
こざっ:小綺麗。
こさむい・こっつぁむい:小寒い。
こずるい:少しずるい。狡猾な様。辞書不掲載。
こせわやげる:ちょっと面倒だ。
こっずかしい:小恥ずかしい。
こにくらしい・こにぐらしー:小憎らしい。
こりごー:小利口。
〜こ 事、相互の約束 動詞に付く。『事』の短縮形で転じて約束の意味を示す。『事』の短縮形は古語にもある。
やんねーこにすっ:やらない事にしよう。
しんねこだ:内緒だ(知らない事だ)。
〜こ 【接尾】 指小辞の一つ。標準語にもある用法。茨城ではオールマイティな接尾語。有名なのは童謡に歌われた『どじょっこ・ふなっこ』がある。
広辞苑には、『(1)古くは男女ともに、今は女の名の下に添える語。(2)小さなもの、劣ったものの意で添える語。(3)人の意を表す語。多く、仕事をする人の意。(4)ものを表すのに添える語。(5)「こと(事)」の下略。(6)互いにすること。相競うこと。くら。くらべ。(7)さま。そういう状態。「ぺちゃん―」。(8)特に意味を持たず種々の語につく。東北地方の方言などに多い。
ここでは、以下に分類したが、区分の難しいものもある。
@小さなもの、劣ったものの意で添える語。子供を示す事もある。
いっせんこ:一銭:宮城。
ねここ:猫:宮城。
ぼんこ:盆:宮城。
めろこ:女の子:福島。
あまっこ・おんなこ・おんなっこ・むすめっこ:女の子。
おどごこ・おどごっこ・やろっこ:男の子。
ねごっこ:子猫。
むすめこ:娘っ子。
A親しみを込めた愛称として使われる。
よめこ:嫁:福島。
ちんこ・ちん・ちんぼ・ちんぼー:もともとは『珍宝』(ちんぼう・ちんぽう)とする説がある。鎌倉時代には『ちうぼう』(古今著聞集)と言ったという。
どじょっこ:ドジョウ。
ふなっこ:フナ。
めそっこ:小さなウナギ。単に『めそ』とも言う。
よめっこ:嫁。
B標準語。『競(くら)べ』の転じたもので一緒に競い遊ぶ意味。競べ→くら→こらころ→こ と変化したと考えられる。
かぐれっこ:かくれんぼ(ごっこの転か)。
かげこ・かげっこ・かげっころ:かけっこ。
ちんこ:本気ではない勝負。『うそっこ』とも言うことから『ちぐ』+『こ』→『ちぐっこ』『ちんこ』と思われる。『正式ではない競べ』の意味か。ただし、『ちんこ芝居』(江戸時代から明治初年まで行われた子供芝居)があり、子供の芝居のように正式ではないものの意味か。
ほんこ:正式な勝負。『本競べ』の意味と考えられる。
はしりっくら:かけっこ。
C場所を表す。『処』の意味と考えられる。
すみっこ・すまっこ:隅。
端っこ
D体言等が約されているもの。
ひなたぼっこ:『日向ぼこり』が詰まったものとされるが、『ごっこ』が変化したとも考えられる。
ひざっこ:膝っ小僧。
E意味を持たない接尾語。
有名な秋田弁の童謡『どじょっこふなっこ』にも歌われる。


春になれば もとけて
どじょっこだの ふなっこだの
夜が明けたと 思うべな

夏になれば わらしこ泳ぎ
どじょっこだの ふなっこだ
鬼っこ来たなと 思うべな

秋になれば 木の葉こ落ちて
どじょっこだの ふなっこだの
船っこ来たなと 思うべな

冬になれば もはって
どじょっこだの ふなっこだの
てんじょこはったと 思うべな

:氷。茨城では『しに当たりつららや川を流れる薄氷を言う。
わらしこ:子供。
鬼っこ:鬼。
木の葉こ:木の葉。
船っこ:船。
てんじょこ:天井。

あめこ:雨・飴:岩手。
うたこ:歌:宮城。
えけこ:池:秋田。
おちゃっこ:お茶:秋田・宮城。
おどりこ:踊り:宮城。
おどりっこ:踊り:秋田。
おにこ:鬼:秋田。
かみこ:紙:秋田。
かわっこ:皮:秋田。
こりこ:氷:秋田。
さげっこ:酒:青森。
ざとこ:座頭:秋田。
ざるこ:笊:秋田。
じぇんこ:銭:秋田。
たなこ:棚:秋田。
たばごっこ:タバコ:青森。
ちゃわんこ:茶碗:青森・福島。
なべこ:鍋:青森。
のまこ:沼:秋田。
ばがっこ:馬鹿:青森。
はごっこ:箱:青森。
はだっこ:旗:青森。
はなっこ:花:岩手。
ひるこ:蒜:秋田。
びーるっこ:ビール:青森。
ぼたんこ:ボタン:神奈川。
みそこ:味噌:秋田。
ゆっこ:湯:秋田。
わらしこ:子供:秋田。
茨城では東北方言ほど顕著では無いがしばしば使われる。
きれっこ:布切れ。
ぜにっこ:銭。
あなこ・あなっこ:穴。
はっこ:葉。
ひぼっこ・ひもっこ:紐。
めどこ:穴。
わんこ:椀。
Fその他。
〜こ:〜を:宮城。目的格の助詞に代わるもの。おどりこおどる:踊りを踊る。うたこうたう:歌を歌う。
あしこ・あしっこ:足跡。『俚言』には『足粉:関東邊板敷の上などに足跡のつきたるを云。』とあり、足が残した粉としている。ただし、『あしと』と言う言い方があるのを見ると『と』は『跡』の意味で『こ』に変化したとも考えられる。『常磐沿線』では『足が生んだ子すなわち足の子』か、と推察している。
〜こ 【接尾】 硬貨や玉の説もあるようだが、『こっきり』の短縮形かまたはもともとは意味を持たない接尾語の可能性もある。
〜こ:山形。
じーえんこしかねー:十円しかない。
【助】〜が
こあまい 【形】お人善しの様、少し頭が弱いこと
小網屋(こあみや) 土浦を代表する当時のデパート。トイレの紙にならなかったつるつるの広告紙を配した代表。霞屋(かすみや)の好敵手。当時アドバルーンを上げた代表的な会社。
こあめ 小雨 こあめ:千葉。
ごあん ご飯 h音の脱落。
おー、ごあんだどー:さあ、ご飯だよ。
こい 肥え、堆肥、糞 農村言葉。次第に『こえ』に変わって行く。
『俚言』には『こい:(上略)糞をこいと云。』とある。
こいっ:焚き火:神奈川。
こえま:堆肥:東京武蔵村山。
こっ:焚き火:神奈川。
:田肥:田に撒く肥料
こい @声、A音 いつしか『こえ』になる。物の音を『声』と呼ぶ言い方は、古い標準語にもある。
こい 小屋
ごい 座敷 『御居』または『御上』の意味と思われる。『集覧:真』。県下では多く『うい』と言う。
こい
こえ
【指代】これ 俗語で『こいで、そいで』が使われる。
こい:山形・鹿児島。
こいー 【形】疲れる 『こわい』がさらに訛ったものと。
(こいー) 【形】親しい 神奈川。
こい
こーい
こーいー
こえ
こーえ
こーえー
【複】こういう、こんな こいごってはいがんめな:こんな事では良く無いだろうな。
★『土』:蕎麥(なつそば)でもとれんな、かうい鹽梅(あんべえ)ぢや、粒(つぶ)も大(えけ)え樣(やう)だな
★『土』:俺(お)らまたこっちの家(うち)なんぞぢやどうえ鹽梅(あんべえ)だと思(おも)って暫(しばら)く外(ほか)へも出(で)たことねえもんだから出(で)ても見(み)てえし、かうえ物(もの)自分(じぶん)でばかし口(くち)開(あ)けっちやあのも何(なん)だと思(おも)って持(もつ)て來(き)て見(み)たのよ
□〜こい 【接尾】その傾向のある状態、甚だしい状態 名詞・形容詞につける。古くは『こし』で『濃し』意味。『まるこい・まるっこい』という標準語にもある語法でこのほか『油っこい、ひゃっこい、まだるっこい、しつこい、ねばっこい、ひとなつっこい』(広辞苑)等がある。
茨城弁では、『やっこい』(柔らかい)や、ふとっこい』(太い)、転じて『すっかい』(すっぱい)、『やっかい』(柔らかい)のほか、『まるっい』(丸い)、『ふとっい』(太い)等があるほか、その音便形を含めると膨大な表現になる。四角っぽい・角がとがっている意味は、『かぐっい・かくっい』と言ったりする。ちょっととがりすぎているものは『とんりっい』と言ったりする。
たとえば、『柔らか・柔らかい』を例にとって良く使われる語に限定しても、『やっか、やっかい、やっかやっか、やっけー、やっこい、やっこやっこ、やっこっい』などど言う。これらは、『こい』は『濃し』の他に形容動詞を形成する接尾語『か』に『い・え』がついて『かい、かえ』となり、『けー』に転じたことも考えられる。
柔らか→やわらかい・やわらかえやわらけー。さらに原型は『柔らかや』だった可能性がある。
面白いのは、九州では太いことを『ふとかー』、強いことを『つよかー』というのも、形容詞の語法を標準語より柔軟に広く使った事例である。
『〜こい』『〜かい』『〜い』『〜ぼったい』は、形容詞や形容動詞の語幹を含めた現代標準語の語尾の語である。茨城弁でも、語幹の制約を無視するがごとくオールマイティに使われる傾向があることが面白い。
『国誌』には以下が掲載されている。(辞書不掲載語のみ)
あまっこい
やっこい
ひやっこい
しつーこい
ところで、関東の古代語を残すとされる八丈島の方言に、形容詞の連体形は『〜き』とは言わず、『〜け』と言うという。高い山は『たかけやま』と言う。
一般に関東では、形容詞や形容動詞の語幹を含めた現代標準語の語尾の語として『〜こい』『〜かい』が使われる。
江戸方言を含めて、茨城方言の形容詞の逆行同化や練母音変形の言葉は、実は八丈島に残された言葉によって、逆音便の言葉であることを示唆している。言い換えれば、もともとは『き』で、『冷たし』は『ひやこし』で、今でも『ひゃっけー』などと言う。
つまり、関東の古代語の終止形は『し』で、連体形は『け』だったのではないかという論理が成り立つ。それが現代では、活用の範囲が広がったともいえるだろう。
〜ごい 【助】 『〜こい』の濁音形。
こいあ @根を上げた様、A意見をする様
こいあ 【動】@根を上げる、諦める、A意見をする
こいうげ 鯉をとる筌 民俗語。
(こいえ・こえ・こえー) 物置小屋 神奈川。広辞苑に『小家:小さいそまつな家。』とある。
『家』と『屋』は同源ではないかと思わせる言葉。
こえー:静岡。
(こいえれ) 【複】お出でなさい 静岡。
こいおぎば 肥え置き場
こいおげ 肥え桶、肥えたご、振り桶 農家の必需品。30年代まで使っていた。実際私も背負わされたが臭くて重いのはしょうがないとしても零れないようにバランスを取るのが非常に難しいものだった。畑に撒く時はたまに広告の紙などがそのまま残っていたりして生々しいものだった。
こいおだ 鯉をとる漁法の一つ 民俗族語。霞ヶ浦や沼にに粗朶を沈めておき、鯉が棲み付いたところで網で周りを囲み捕まえる。
こいがら これから
こい 声の様子。こわいろ。 『声柄』。(類似語)『顔柄(かおがら)』。
こえ:東京。
こいーり 声変わり
こいぎ ちょっと粋なこと 『小粋』。
こいけ:群馬。
こいぎば 肥え置き場
こいぐ
こーいぐ
【複】こんなに、このように、こういう風に あんじゃげがんばったのになー。こーいぐなってはなぐねーがもしんね:あれだけ頑張ったのになあ。こう言うふうになっては、もう長くないかも知れない。
こい
▽こい
こいぐはんてん
筒袖 やや古い標準語の『鯉口』(こいぐち)。『集覧:無記載』。
こいちそで:巻き袖:神奈川。
こいの:麻布製の半纏:長野。
こいくみ 肥え汲み、便所から肥えをくみ出すこと
ごいごい 【形動】勢いよく物事をする様、ぐいぐい ごいと:ぐいと:東京。
ごいごいごい:自転車をこぐ時などの形容:佐賀。
ごえごえ:風の吹く音:山形。
ごえっと:山形。
ごんごっ:速く:鹿児島。
こい
こい
こえ
声の音 『声色』(こわいろ)が転じた『こわえ』がさらに訛ったものと考えられる。@最初の『こえ』は『声』だが、え』は声の『色合い』のような意味があった。
なーんだー。おめのこいいはへんだどー。かぜでもしーたんだねーのがー。:なんだい。お前の声は変だぞ。風邪でも引いたんじゃないの?。
いーこいいだな。さすにいだりやのろーまだ。:良い声だな。さすがにイタリアのローマだ。
ごいさら
ごいそら
【副】沢山、ごっそり、どっさり ごいと:鹿児島。
ごいされ 【複】お出でなさい 広辞苑に『さる:【助動】(室町時代から江戸時代にかけて用いられた。活用は四段型) 四段・ナ変以外の動詞の連用形について、軽い尊敬・親愛の意、または、転じて軽蔑の意を添える。狂、武悪「天の網が来(キ)さつた」。浄、関取千両幟「出さらにや爰(ココ)へ引きずり出す」』とある。
ごいす:ございます:山梨。近世語の『ごっす』『ごす』『ごわす』の流れと思われる。
こいざる
こいざーる
施肥に使う笊
ごいせい
こいせー
威勢、勢い 標準語。『ご威勢』。『集覧:猿』。集覧では『元気よきこと』とある。
『土佐のいごっそ、水戸のごいせい』などとも言われる。
ごいせー:面倒:静岡。
こいた〜
こーいた〜
こいった〜
こーいった〜
【代】こういうような〜、こういった〜、こんな こーいたふーでいいのが:こんな感じで良いのかい。
こいた 肥桶、振り桶 『肥担桶』(こえたご)。
こえた:肥桶:東京・神奈川。
こえたん:埼玉。
こいだし 牛馬小屋や豚小屋から肥のついた敷き藁を持ち出す作業 『肥出し』の意味。
こえだし:神奈川。
こいだめ 肥え溜 肥えは、人糞を一時貯留し発酵させてから畑で利用する。
こいだめ:群馬。
こいだら
こいだれ
人糞肥料 『だら』((東北・関東・中部地方、熊本県で) 人糞肥料。)は辞書掲載語。
こいだら これなら こいだらよがっ:これなら良いだろう。
こいぢちかん
こいちちかん
こ一時間 濁音化・清音化。
こいづ 【代】これ、こいつ 濁音化。元は『此奴』(こやつ)。
けづ:岩手。
こいづ:宮城。
こいづが
こいつが
こいつか
こいぼっち
堆肥等を塚(山)状にしたもの 『肥え塚』『肥塚』は辞書不掲載。人名や地名にはある。
こえま:堆肥:東京武蔵村山。『肥山』の意味か。
こぢげ:秋田。
こいっ
こいっ
【形動】一杯、沢山
こいつぼ 糞尿落す壷 『肥え壷』の意味。当時の汲み取り便所は、大型の壷を地面に埋めたものが主流だった。中には木製の大型の桶の場合もあった。
こいでい
こいで
【動】@自転車に乗って進む、Aかき分けて進む 『漕いで行く・漕いでく』。
A・こいでい:宮城。
こいでら 【複】太っているねえ 『肥えているわ』の意味。
こいてら
こいてーら
こーいてら
こーいてーら
こういう人達 こいてらばがしだあんめ:こういう人たちばかりじゃあないだろう。
こいな
こーいな
【複】こんな、このような、こういう風な 古い言葉に『其のいな』(そのような)がある。このことから『このいな』もあったと考えられる。関西には『こないな』が残る。
この言葉は格助詞の無い形と考えられる。
こいな:宮城。
うぢのやりがだはこーいなもんだ:家のやり方はこんなもんだ。
こーいなごってはいがんめ:こんな事では良く無いだろう。
こいなぐ 【副】こよなく
こいに
こーいに
こーえに
【複】こんなに、このように、こういう風に 『斯く様に』。
こーいに:静岡。
★『土』:能(よ)くまあかういに作(つく)ったっけな、俺(お)らもはあ、好(す)きは好(す)きだ自分(じぶん)ぢやそっちだこっちだで作(つく)れねえもんだ、此(こ)れまあ朝(あさ)っら凉(すず)しい内(うち)に見(み)たらどら程(ほど)ええこったかよ
★『土』:そんだおめえもたえした働(はたら)きだと見(め)えんな、かうえに俵(たわら)までちゃんとして、大概(てええ)な百姓(ひゃくしゃう)ぢやおめえ此(この)手(て)にや行(い)かねえぞ、俺(お)ら世辭(つや)いふわけぢやねえ
こいの
こーいの
こーいーの
【複】こんなの、このようなもの(人)、こういう風なもの(人)
(こいの) 【形】濃い 神奈川。東海方言の影響か。
こいのはらあわせ
こいのはらあーせ
三々九度の後、生きた二匹の鯉を水の無いたらいに入れ仲人が箸を使って腹と腹を合わせる風習 『鯉の腹合わせ』の意味。男女の交わりを象徴し早く子宝に恵まれることを願う儀式だと言われる。
ごいばご ゴミ箱
こいはごび 人糞肥料の運搬、動物の敷き藁に糞尿の混じった肥料の運搬
こいび
こえび
小指 こいび:広域方言。八丈島。
こえび:関東・長野に散在し、新潟に顕著。
こいび ヌカエビ 『小海老』。
こいびしゃぐ
こいしゃぐ
人糞を掬うヒシャク、肥柄杓 『だらしゃぐ』
こいふ
こーいーふ
こーいーふー
【複】こういう風
こいぶな こいふな:岩手・福島。
(こいま) 合間 神奈川。『小間』『小合間』。
こいみ 暦、カレンダー
こいむし
こいむしめ
カブトムシの幼虫 『肥え虫』の意味。
こいむしのこども コガネムシの幼虫
こいめ
ごいもんぶろ
ごいもんぼろ
五右衛門風呂 釜茹での刑になった石川五右衛門にあやかってその名がある。鋳鉄製の釜を下から薪で炊く。底はかなり高温になるので丸い木製のスノコ(ふろいだ)を入れて、そっと底まで下ろし、浮いて来る前に入る。スノコは、そのうちしっかりお湯を含んで、2〜3人入る頃には中間あたりに浮くようになる。
風呂蓋は『ぶろぶだ・ふろた』と言う。炊きたての時にうっかり釜に触ると『あちち』ということになる。遠赤外線の効果により温まることと、茹でているので殺菌される。当時の風呂炊きは子供の仕事(業)だったので、親の目を盗んでは焼き栗や焼きニンニクを作って食べた。うっかり水を入れるのを忘れて空茹でにして底が真っ赤になってスノコが焦げると父親の鉄拳が待っていた。我が家の風呂は完全に室内型の風呂で釜の回りは貝殻と大理石の砂利が入った人研ぎ(じんとぎ)/現場磨きテラゾー(現テラ)で固められたハイカラな風呂だった。その他当時の一般的な風呂は、檜の木風呂が大半で加熱部分は鉄製だった。
室内が外気に通じているところは冬はとんでもない寒さだった。母の実家がまさにそうだったので冬に泊まりに行くのが厭だった。その後昭和45年前後にFRP風呂にとって変わった。五右衛門風呂は、今でも一部で生産されているという。
こいよ
こーいーよ
こーいーよー
【複】こういうよう(に、な) こいよたもんにはなりだぐね:こう言うような人間には成りたくない。
こいよではしゃーんめ:こう言うようではしょうがないだろう。
こーいーよにやればいーんだよ。:こう言うようにやればいいんだよ。
ごいら
ごいらごいら
ごいりごいり
【副】@勢いよく物事をする様、惜しみなく使う様、ぐいぐい、Aいきなり、急に 『集覧:久』。
A・ごいら:福島。
ごえら:山形・福島。
こいら これ等 こいら:福島・静岡。
こいる 【動】@引越しする、A肥える、太る @『越える』意味。
こえる:宮城。
きのーこいだきたんだわ:昨日引っ越して来たんだ。
A『肥える』。
こいでる:肥えている・太っている。
(こいる) 【動】懐に入れる、懐にしまう 神奈川。
こいん
こーいん
式台、上がり端 『小縁』(こえん)。当時の式台の多くは、下が下駄箱になっていた。
こーいん 公園
こうぇー 【形】疲れる 『うぇ』は『we』と発音する。
こうっせー 【形】うるさい 『小煩い』。
こうっとしー
こうっとせー
【形】うるさい、鬱陶しい 『小』+『鬱陶しい』。
こうるさい
こうるせー
【形】煩い 『小煩い』。
こうるさい:東京。
こうるせー:群馬・東京。
こえ 恋、鯉、故意
こえ
こえー
【形】@疲れた、A硬い、B怖い、C濃い 『こわい』
@・こうぇ:宮城。
こえ:青森・岩手・秋田・福島。
こえー:宮城・千葉。
こえー:大儀である・骨が折れる・体の調子が良くない:群馬。
★『土』:大儀(こえ)えにもよそら、そんでも汝(わ)りゃ能(よ)くやんな、以前(めえかた)は女(をんな)に三年(ねん)作(つく)らせちゃ畑(はたけ)は出來(でき)なくなるっちった位(くれえ)だ
A・こえー:群馬・神奈川。
B『おっかねー』の方がメジャー。口語でも使われる。
こえー:群馬・神奈川。
こえあ 【慣】音を上げる 『声を上げる』の格助詞の省略。
こえだれ 人糞肥料 肥えのうち液体(たれ)を指したものだろう。
こえでる 【複】太っている 『肥えてる』。
こえび 小指
こえみ 暦、カレンダー 『集覧:無記載』。
こえる 【動】@引越しする、A肥える、太る Aは標準語。
こおどご @小柄な男、Aつまらない男 『小男』。
こおどり 喜んでおどり上がること 『小躍り・雀躍』。
氷(こおり) 冷蔵庫が普及する前は、氷の入手は大変だった。駄菓子屋でおすそ分けしてもらうほかに、熱冷ましや村の集まりなどで大量に必要になった場合は、土浦駅前のバスターミナルの南側にある氷屋まで足を運ぶことになる。当時1回だけ耕運機に乗ってその氷屋に行った事があった。巨大な氷をこれまた巨大なノコギリで切り出す作業は驚きだったし、見ていて飽きなかった。
こおんな 小柄な女 『小男』。
□○☆ @桶、樽、A箍(たが)、B井戸の枠 @辞書には東北地方で用いられるとある。
『称呼』には『桶(をけ):上下総州及武蔵にてといふ(江戸にて四斗樽、京にて四斗をけと云を、総州にて四斗こといふ。すえふろをけすえふろこなどといふ。)。常陸にてとうご、豊州及肥前佐賀にてかいといふ。長崎にてそうと云(大いなるをふといそうといひ小なる物をほそいそうといふ。)。畿内にてたご(担桶)といふを江戸にてになひといふ(これになひをけの略也。又になふとはひとふたりにてもつを云。かつくと云ひかたぐると云は意違えり。またたごとはをけの惣称也。上かたにては、なにたこかたごといふ。たごとばかりいふ時は、畿内西国共に水桶也。東国また豊後にてはたごと云は糞器をいう也。「多識」に尿桶(たご)と有この事にや。)。京にてかたてをけと云を江戸にてはかたてをけさるぼう、又くみだしとも云。越前にてかいみずをけと云、加賀にてかいげ、下野にてひづみと云(造酒屋にて用ゆるかたてをけの大なるものを肥前にてたみをけといふ。)。』とある。このうち『さるぼう』は『猿頬』のことで江戸方言である。
『俚言』には『:常陸国にて樽をいふ。「和訓栞」こが:下学集に楹(はしら)をよみ桶也と注せり。今四国辺にて酒桶をいへり。伊勢鈴鹿郡に久我村ありと呼、平資盛の配所也。』とある。
:大桶:宮城。
:桶:東北全県・茨城・千葉・栃木・東京・神奈川・新潟・長野・山梨・石川・三重・淡路島・徳島。
:据風呂桶:関東。
:肥桶:石川。
こがい・こがえ:桶:九州。
のき:シロダモ:静岡。『桶の木』の意味か。
コンカ:桶:アイヌ語。アイヌ語では酒を入れる大桶を『トノトコンカ』と言う。『トノト』はアイヌ語で酒を言う。
みずこ:水桶・水瓶:神奈川。
Cその他。
:据え風呂:神奈川。
(こーか) 便所 『後架』(禅寺で、僧堂の後ろにかけ渡して設けた洗面所。その側に便所があり、転じて便所の意になる。ごか。)。
(こい) 幼い時 神奈川。『子飼い:@動物を子のときから飼い育てること。A子供の時から引き取って養育すること。また、そのように養われた人。特に、商家・職人の雇い人・徒弟などにいう。B一般に、初歩の段階から教育・指導すること。また、そのように育てられた人。』の意味が転じたか、『子が日』の意味か。
こかか 木陰 『木が陰』がの意味。
こがぎめら
こがきめら
子供達
◎こ 焦がし 広辞苑には『大麦・米などを炒(イ)って粉としたもの。焦粉。香煎(コウセン)。』とある。当時は、おやつの定番だった。
:神奈川。
こがす
こかす
【動】中絶する、堕胎する 『転かす・倒かす』のうち『たおす、他の場所にうつす、かくす』意味が転じたと考えるのが妥当だと思われる。◆印は『土浦の方言』、▲印は明治末期に編纂された『茨城方言集覧』に掲載されている。
ちなみにこけしについて調べると、古くから『こけし』は中絶した子供または水子供養の偶像であるとされてきた。そのため『こけし』は『子消し』の意味ではないかという説があるが過去の歴史の中に一切無い言葉なので一般には認知されていない。
しかし、中絶する動詞の名詞形を仮に『こかし』としたら、『こけし』との関係を誰でも考えるだろう。なぞはさらに深まる。
こがす:木を抜かせる・野菜を間引きする:静岡。『が』は濁音か鼻濁音か不明。
こがす
◎こかす
【動】@たおす、ころばす、A他の場所にうつす、ずらす、かくす、ずりおとす、Bだます、くすねる、Cさんざんに〜する 『転かす・倒かす』。近世語。
@・こかす:静岡。
A・こかす:ずりおとす・投げ落とす:神奈川。
すっこかす:ずり落とす:神奈川。
ずりこかす:神奈川。
B・すっこかす:こっそり抜き取る:神奈川。
こがす
◎こかす
【動】言う、ぬかす 『放く』の他動詞形。辞書には無い。
こかす:神奈川・佐渡島。
だな
だん
たん
小刀 当時の少年必須の遊び道具。大小2枚の刃とノコギリが付いているのが普通だった。『集覧:猿』。
こがっな・こがんな:鹿児島。
〜こがない
〜こがねー
〜こかねー
〜こっかない
〜こっがねー
〜こっかねえ
【複】〜個しかない、〜個っきゃない
【複】こんなに 『此がに』の意味。
ごがにぢ
ごかにぢ
正月の元旦からの5日間 標準語には『三箇日』はあるが『五箇日』は無い。
こかにち:1月5日:群馬。
こーかのき ネムノキの別称
はずす 【動】箍(たが)を外す 標準語同様『こががはずれる』『こががゆるむ』とも言う用法がある。
はえる
こーはえる
【複】【動】甘柿の実の中に褐色の色素が多くなって熟した状態を指す。
ふぐ
ふく
【複】【動】甘柿の実の中に褐色の色素が多くなって熟した状態を指す。 『粉がふく』。本来は『干し柿等の表面ににじみ出た糖分が結晶して粉状となって付着すること』を言う。
ふく:埼玉。
こふく:カビが生える:長野。
(ごうやける) 【複】腹立たしさに苛立(いらだ)つ。じれったくなる。 神奈川。普通は『業を煮やす・業が煮える・業が湧く』と言う。
ごーにえる:佐渡島・静岡。
ごーねーる:静岡。
ごーもえる:佐渡島。
ごーやかせ:世話焼かせ:静岡。
ごーをいらせる:気をもませる:静岡。
ごーをやく:憤る:静岡。
れる 【動】憧れる、慕う 『焦がれる』。単体では使われなくなった標準語。『恋焦がれる』ならまだ健在。
こがれる 【複】避難される 『放く』(ものを言うことを卑しめていう語。ぬかす。)が転じたもの。
(ごーれる・ごーわく) 【動】腹立たしさに苛立(いらだ)つ。じれったくなる。 長野。『業が煎れる』『業が沸く』の意味か。
ごーをいらせる:静岡。『業が煎れる』
こーがんぼ
こーかんぼ
こーかんぼー
ネムノキ 漢字の『合歓木』により別名『コーカン、コーカンボク、コーカノキ』とも呼ぶ。
こーか:島根・大分。
ごーくわんぼく:宮城。
ごぎ 拳骨 擬音語に由来すると考えられる。
□ごき 食物を盛る蓋つき椀。合器。五器。 『御器』。茨城では江戸時代までは使われていた。
岩手・秋田・八丈島・佐渡・富山・岐阜・愛知・和歌山・島根・兵庫・岡山・広島・山口・高知・大分・宮崎・種子島。
八丈島では『こぎ』とも言う。
ごうき
ごう
剛勇な気性。強くて屈しない意気。 『剛気・豪気(ごうき)』『豪儀・豪気・強気(ごうぎ)』。
ごう:静岡。
こぎおどす 【動】強く叱る 『扱き脅す』の濁音化。
こきおどす:群馬。
こぎおろす
こきおろす
【動】扱き下ろす、けなす 『扱き下ろす』の濁音化。『集覧:新』。
こきおろす:群馬。
(こききかねー) 【形】気が利かない 神奈川。
ごききく 【複】疲れる 『五気』(@五臓の気。A喜・怒・欲・懼・憂の五種の感情。)が利く意味と考えられる。
(こきわるい) 【形】いまいましい、悔しい 静岡。
くさい 【形】焦げ臭い
こきしゃわるい 【形】気色が悪い 『きしゃわるい』
たない
こきたない
だね
たね
こきたね
たねー
こきたねー
【形】汚い、薄汚い 『こたない』は、標準語で辞書掲載されているが、俗な印象があり使う人は少ない。
たない:東京。
こきたね:青森・福島。
たねー:群馬・東京。
こちたね:宮城。
ごきたらきく 【複】疲れる 『五気』(@五臓の気。A喜・怒・欲・懼・憂の五種の感情。)が利く意味と考えられる。『たら』は接尾語。
ごきたれ 馬鹿野郎 『五気』(@五臓の気。A喜・怒・欲・懼・憂の五種の感情。)が『垂れる』意味。
(ごきたん・ごくたん・ごったん) 板三味線 鹿児島。
こぎぢ
こきち
こきち
物分りの悪い人、特に短気な人、おかしな人 日常的に使われる言葉。『こ気違い』。
こきつかい 扱き使うこと。 そおたこぎつかいすんだねー:そんなにこき使うんじゃない。
こぎつかー
こきつかー
こぎつかう
【動】扱き使う、酷使する 濁音化。
こぎつかる 【動】@こき使われる、A責められる @東北弁的言い回し。
A古語の流れ。
つき 焦げ付き
ごぎつける
こぎつげる
こぎつける
こきつける
【動】責める、叱り付ける 『扱く(こく)』には『しごく』意味がある。
ごぎっと
ごきっと
【副】@ごつんと、A挫く様、捻挫する様 @拳骨で殴った時の様。
ごぎっとする
ごきっとする
【動】挫く、捻挫する
ごきとー @1月10日の行事。青年達が般若経を入れた箱を担いで家々を回る。A赤ん坊が生まれた時の祝い歌。 @稲敷郡。
A古河市。
ごきとーきいてる 【複】@疲れて勢いが無い、A頭が足りない人 ごきとー:悪い行為やつまらぬやり方をせめる(それは何のごきとーだ):静岡。
どく 【形動】気の毒 『こ気毒』の意味。『集覧:多』。
こぎのめす
こきのめす
【動】叱りつける 『放く』+『のめす』。『集覧:稲・久』。
こぎや 【動】ぬかしやがるす 『扱きやがる』。濁音化。
(こきらっこ) 額と額をぶつけること 神奈川。
◆■ 【動】@小さく切る、A値切る @『小切る』。
:田のうない返し:神奈川。
:荒うないの後田の土を細かくくだく:神奈川。
:田土を細かく砕く:静岡。
A近世語。『小切る』。
:山形・福島・群馬・東京・静岡。
こぎる:佐賀。
れー 【形動】きちんと整っていて気持のいい感じのする様子。こざっぱり。 『小綺麗』。
【動】焦げる
(こーきん 室内の水がかかる部分や屋外の建材や建築部品の取り合い部分や目地に柔軟で防水性の高い材料を設けること 『コーキング:caulking』。建築専門用語。『シーリング:sealing』とも言う。
一時代前は『コーチング』とも言った。
(ごぎんてー) 風采、見かけの人柄 東京。
(ごく) 内容が充実していること 神奈川。『玉』か『極』かは不明。
ごく:米などが質・量ともにある状態:静岡。
こぐ 穀物
こぐ
こく
【動】@▲放く(放言する、体外に出す)、A扱く、かき落とす、Bしごいて引き抜く、C脱穀する 『扱く』と『扱ぐ』は同じ意味である。
@清音形の『放く』は今や下卑たイメージがあり使う人は少ない。『集覧:真』。
こぐ:宮城・福島。
こく:岩手・群馬・東京多摩・長野・山梨・静岡。
うそこけ:嘘を言うな。
A『扱く』。現代標準語では消えつつある。
こぐ:宮城。
B『扱く』。現代標準語では消えつつある。
こぐ:宮城。
こぐ:掘り取る:東京多摩。
:静岡。
こく:(木や草を)引き抜く:長野・静岡。
C『扱く』。現代標準語では消えつつある。
こぐ:宮城。
こく:静岡。
Dその他。
・神奈川津久井町では『仕事こかねーわ:仕事をしないわ』(ふるさと)と言う。
こく:殴る:長野。
こく:打つ:静岡。
【動】かき分けて進む 『漕ぐ』。『漕ぐ』と『扱く』は同源とも思われる。
都会の生活の中では消えてしまった言葉。藪や雪等を押し分けて行く時にも使う。東京都多摩では『掘り取る』意味で使う。
登山用語では、道の無いところを行く行為を『藪漕ぎ』と言う。
:宮城。
こぐいれ
こくいれ
米びつ こくか:竹で細かく編んだ米・麦・蕎麦など穀物を入れる籠:群馬。
(こくえ) 【副】すっかり 静岡。
こぐ
こく
@定めた時刻。定刻。
A時刻。時。
『刻限』。近世語。現代ではほぼ死語。
こくさいみんきょ
こぐさいめんきょ
こくさいめんきょ
無免許
こくさい
こくせー
せー
【形】ちょっと臭い
(ごくず) ゴミ 静岡。
(こぐせな・こさくな) 【形】小癪な様 鹿児島。

◎こくそ
蚕の糞 『蚕糞』。養蚕農家専門用語。
:群馬。
こくそ:東京多摩・神奈川。
こくだにする 【動】次にする 『こんだにする』が訛ったものか。土浦市の方言。
こぐたれる
こくたれる
【動】叱る、文句を言う、厳しいことを言う 『酷なことを垂れる』意味。
家の入り口 『戸口』。
:神奈川。
(ごーぐち) 文句、愚痴 沖縄。
(ごくつけ・ごくつく・ごっつけ) 【動】無理強いする、おどす 鹿児島。
ごぐっと 【副】(拳骨を)ごつんと
ごーくっといってこー 【複】早く行って来い 『集覧:無記載』。東北では『早く』を『ごくと』と言う。
ごぐつぶし 穀潰し、食べるだけで何の役にも立たない者 濁音化。
ごくつぶし:神奈川・静岡。
こぐどり 収穫量 『石取り』の意味。
こくどり:群馬。
(こくーに) 【副】一生懸命 静岡。
こぐばん 黒板 濁音化。
こぐばん:青森。
こぐばんけし 黒板消し 濁音化。
こぐびづ
こくびつ
米びつ こくびつ:神奈川。
こくびや:穀物を貯蔵する部屋で倉や物置に設けられた部屋:神奈川。
こぐゆー 【動】叱る、文句を言う、厳しいことを言う 『酷を言う』意味。
(こーみ) 講組 冠婚葬祭のお付き合いや手伝いをする隣近所で作った組織。代表的な行事には庚申講・十九夜講等がある。その当時は冠婚葬祭も自宅で行った。家の建前等も含めて井戸端に臨時のカマドや七輪をいくつも設け、女たちの井戸端会議が繰り広げられた。いつも笑いが絶えなかった。一つの部落で概ね4〜5つの講組があり、『〜番組』と呼んでいた。
(〜こくら) 【接尾】〜ごっこ、〜っこ 古語。古くは『こぐら』。一般に現代語の『かけっこ』の『こ』は『競べ』『くら』となり『こ』となったとされるが、これは『ごっこ』の古形と考えられる。
『俚言』には『こくら鬼こくら駆こくらなど云。又こくとばかりも云。又ここうとも云。』とある。
これにより、最初に『駆けこくら』があって『こ』が促音化して『駆けっ競』となった事が解る。『こくら』は『ごっこ』の起源とも考えられる。ただし現代語の『駆けっこ』は、『駆けこくら』の『くら』そのものが省かれた可能性も出て来る。
らい 【形】薄暗い 『小暗い』。
こぐら 薄暗がり 『小暗がり』。
こくら:岩手。
らがる 【動】こんがらかる 『こぐらかる』ならやや古い標準語。
『俚言』によれば、江戸時代には『こくらかる』であったことが解る。
:神奈川。
:神奈川。
っちゃわ:こんがらかってしまう:神奈川。
こぐりこぐり 【副】居眠りして、またはうなずいて首を前に傾けるさま。こっくり。 濁音化。
こかりこかり:長野。
(こくりもくり) 【副】ほうほうの態で逃げる様 『高句麗蒙古』。
【動】潜る(くぐる) :もぐる・くぐる:東京・神奈川・長野・山梨・静岡。
ごぐる
ごくる
【動】雑談して時間を浪費する 『集覧:新』。『語句』の動詞形と考えられる。
【動】もつれる
(こくる) 【動】押しやる 神奈川。
こくる:いじめる・小突く:静岡。
(こくる) 【動】喉につかえる 長野。
(こくる) 【動】擦る 静岡。近世語。
〜こぐる
〜こくる
【助動】〜(し)まくる 動詞について強調したり、動作の激しさを示す。
広辞苑には『@(動詞の連用形について) 激しいさまで、または完全にその動作をする意をあらわす。浄、日本振袖始「叩かぬばかりに叱り―・つて」。「黙り―・る」』とある。
また他に、古くは『Aこする。〈日葡〉Bくくる。「木で鼻を―・つたやうな西隣」(一茶)』がある。
れー 【形】薄暗い 『小暗い』。
こくろくなし 【形】@▲迂闊な様、A怠け者 @『集覧:猿』。
こころくなし:意気地なし:栃木。
A・ごくろーなし:のんき者:神奈川。
ごくん(と) 【副】こつんと 拳骨をかませる時の擬音。
ごげ
こげ
白痴、本物でないこと、駄目なこと 『虚仮』。濁音化。
こけなこと:無駄なこと:神奈川。
ごげ @後家、A対ではなくなること 濁音化。
A・ごげ:福島。

【形動】このよう 『此が様』。
こげ:島根・大分・熊本。
こげ

△こけ
うろこ 『鱗』(こけ)の濁音化・鼻濁音化。
『鱗』(こけ)は近世江戸語。一般に関東方言とされる。現代では、ウロコをコケと言う人は少ない。
こけ:岩手・秋田・宮城・山形・茨城・千葉県北東部・静岡。
(こけ) フケの古語は『いろこ』と言い、『鱗』と書くことから生まれたのではないか。慣用句でも『目から鱗(ウロコ)が落ちる』が残る。
フケの語源は、『語源』に『@フケ(浮垢)の義。Aフケ(陳化)の義か。Bフルアカムケ(古垢剥け)の義。Cフコ(鮒甲)の義。Dコケ(苔)の転。』とある。
こけ:秋田・広島・愛媛・大分・福岡・壱岐・種子島。
こけつ:山口。
こげー 【複】ここへ ここへ→こごへこげー。逆行同化の典型例。
こけ:鹿児島。
こけー:神奈川・静岡。
ごー
ごーけ
剛勇な気性。強くて屈しない意気。 『剛気・豪気(ごうき)』『豪儀・豪気・強気(ごうぎ)』。
ごーけー 【形動】豪快
こーけー 後悔 くけ:鹿児島。
くくぇ:鹿児島。
(ごけいり) 後家の家へ婿入りすること。 佐渡島。『後家入り』。
(こけおじゃたもんせ) 【複】此方においで下さい 鹿児島。
(こけけ) 【複】買いに来い 鹿児島。
こげーこー 【複】ここに来なさい こきーこ・こけーこ・こけいこ:八丈島。
こけこー:神奈川。
こげずる 【動】ころぶ、滑り落ちる こけずる:滑る:神奈川。


ーた

ーな
【連体】こんな、このような 『此が様な』の意味。茨城では類似の言葉で文献にあるのは、ー・そーに・そーに』だけである。この方言は間違いなく上方言葉のいな』を受けた言葉である。上方にはもう一つの言い方として『こないな』がある。また、『な』を『た』と言うのは西日本の一部地域にも見られる。これは『なり』と『たり』の流れである。
いな:此が様な:京都。
こがん:このような・このように:佐賀。
こぎゃん:このような・このように:佐賀・長崎・熊本。
たま・こたま:甚だしい・大きい:長野。
こやん:このような・このように:佐賀。『斯様(かよう)な・に』が訛ったか。
つきくさい
つきくせー
【形】こげ臭い 標準語にはない言い方だが意味は解る。『焦げ付いた匂いがする』意味。
こけつく 【複】嘘をつく 『虚仮』(〔仏〕内心と外相とがちがうこと。真実でないこと。)をつく意味。

ーに
【副】こんなに 『此気に』(こげに)または『此が様』の意味。
こげん:鹿児島。
こない:福井・京都・大阪・徳島。『此な様』。
こないに:大阪・徳島・愛媛。
こにゅん:鹿児島。
こねー:岡山。
こげにする
こけにする
【複】虚仮にする、馬鹿にする 濁音化。
こけぬぐ 【複】嘘をつく 『虚仮』(〔仏〕内心と外相とがちがうこと。真実でないこと。)を抜く(抜かす)意味。
こげひぐ
こげをひく
【複】魚の鱗を掻き落す 『鱗』(こけ)を『引く』意味。
こげら

△▽こけら
うろこ 『鱗』。
清音なら標準語。『方言地図』によると濁音化・鼻濁音化するのは東北(青森を除く)に集中する。関東圏では茨城以外では千葉県北東部と栃木県東部しかない。『集覧:那・新・稲』。
関西で『うろこ』、東日本で『こけ・こけら』と言う。東西対立語。
同音異語に『柿・木屑』がある。広辞苑には『@木材を削るときできる木の細片。また、木材を細長く削りとった板。〈和名抄一五〉A柿板(コケライタ)の略。』とある。このうち@は『こけら落とし』に残り、Aは『こけら葺き』に残る。『鱗』も『柿』ももとは同義だったとされる。
こげら:宮城・千葉県北東部・栃木県東部。
こけら:茨城・千葉・埼玉・東京・神奈川・静岡。
こげら コケ
らがす 【複】焦げつかせる らがす:宮城。
こげら ウロコ雲
こげらしー 【形】馬鹿らしい 『虚仮らしい』意味。
こげーら
こげーらへん
この辺り 『ここら・ここいら・ここいらへん・ここらへん』。
こけら:埼玉。
こけーら:埼玉・神奈川・静岡。
こけーらへん:埼玉・東京青梅。
ふけいら:静岡。
こげる
こける
【動】@痩せる、A(植物の)先が痩せる、B倒れる、ころぶ、滑り落ちる @『痩ける』。清音形は標準語。
A名詞形の『うらこけ』がある。
B『転ける・倒ける』。近世語。
『聞書』によれば、江戸で『ころぶ』、浪花で『こける』とある。
こくる:長崎。古形の『転く・倒く』の流れ。
こけずる:すべる・ずり落ちる:神奈川。
こける:倒れる:静岡。
ーる 【動】凍える :秋田。
ーる:八丈島。
あよおめ、あきたではてーへんだでやー、ゆぎふってんのにこっちゃーんだどよ、そーたどごにいだら、こあぎだなんてな:あのさあ、秋田では大変だよね。雪が降ってるのに焦げちゃうんだって。そんなところに居たら、焦げ飽きた(秋田)なんてね。
(ごーる) 【動】いじめる ごー:東京多摩。
ごーる・ごーーる:乱暴に扱う・いじる・大きなものを動かす:神奈川。
こげろぐ
こげろぐやろー
馬鹿者 『虚仮』(こけ)『六』『野郎』。人名化した訛。
こーこーこーここ 鶏を追いまわして集める時の掛け言葉。=『とーとーとーとと』
こご 【代】此処、ここ 濁音化。
ふこ:静岡。
こご
こーご
こーこ
こーこー
漬物、お新香 『おこうこ』『こうこ』なら標準語。『集覧:新』。
当時は、家の裏には必ず薪が積んであって、その脇に素焼きで黒い釉薬が上の方に施され、垂れたような模様のひとかかえもあるような漬物樽が2〜3置いてあった。漬物板の上に漬物石が載っていて、近づくと米ぬかが発酵した『すっかい』臭いがした。
がっくらづけ:大根の漬物:青森。
がっこ:秋田。
こーこ:埼玉・東京・東京多摩・神奈川。
こーこー:神奈川・静岡。
こーこべや:漬物を貯蔵する部屋や建物:神奈川。

ごこ
ご飯 女房詞の『供御』(くご・ぐご)。奈良では供え物を『ごく』と言うがこれは『御供』のこと。
『称呼』には『いい(めし):加賀及越中又は武蔵の国南の海辺にておだいといふ。薩摩にてだいばんと云。出羽にてやはらといふ。小児の詞に関西関東共にままといふ。又東国にて共いふ(これは供御なるべし。いせ流の女詞にもといふ)。上総下総の小児といふ(余国にてはたばこの事をぱっぱといふ。総州及び常州にてままといふは水のことなり。)。』とある。
『俚言』には『:下総常陸邊にて食をくへといふ時にをくへといふ。』とある。
近松門左衛門の作品では『おくご』を『おこと言っている。
おごっく・ごっく:神仏への供え物:神奈川。
:飯ばかり食べて仕事をしない人・ごくつぶし:群馬。
こーこー 【形動・副】@すやすやと、Aかくかくと @・こーと:宮城。こーとする・こーとねる:すやすや寝る。
ごーごー 【副】いびきをかいている様子 『轟轟』。=『がーがー』
こごいこー 【複】ここに来なさい
こーごいし 漬物石
こごいら
こごいらあだり
こごいらへん
【代】この辺り 『此処いら』。本来は『ここやら』と考えられる。
こごいら:宮城。
ここいら:群馬・神奈川。
ここいらきんじょ:この近所:東京。
ここいらへん:群馬。
ごごいらじー
こごいらじゅー
この辺り一面
いる 【動】凍える 文語の『凍ゆ』の流れをくみ現代語の文法にあわせた言葉と考えられる。
こごかしこ 【副】あちこち 『此所彼所』。現代でも使われる古語。
こごきし
こごっきし
【複】ここだけ ここきし:静岡。
こーこぐ
こーこぐびら
新聞ちらし 『広告紙』。
こーこーこーここ 【感】ニワトリを呼び寄せる掛け声。 『とーとーとーとと』とも言う。
いずれも、鶏が発する声を真似たと考えられる。
鶏の声は『こけこっこー』に代表されるがそれは朝の第一声であって、普段は『こーこーこーここ』『とーとーとーとと』の様に鳴く。『くーくーくーくく』とも聞こえる。
実際にはそれほど正確なリズムではなく『こーこー』『こーこーこー』『こーこーこー』のように鳴く。中には、震わせて『ぐるーぐるーぐるー』と思えるような個体も居る。
ところが、調布の農家生まれの私の義母は、『こーこーこーここ』は『来い』を繰り返して言っているのだと言う。なるほどそうなのかも知れない。
こごたれる 【動】叱る、文句を言う、厳しいことを言う 茨城方言集覧では旧猿島郡の方言で『叱られる』意味とある。『こぐたれる』がさらに訛ったもの。
とかたり:小言を言う人:宮城。
ごーごっと 【副】勢いよく物事をする様、ぐいぐい
(こてに) 【複】家毎に 静岡。『戸毎たるに・戸毎にてあるに』か。
(ことかたり) 小言を言う人 宮城。『小言語り』か。濁音形もあると思われる。
どつぐ 【動】小言を言う、文句を言う 『小言を吐く(つく)』意味。『吐く(つく)』には、『嘘をつく』にもあるように『言い放つ』意味がある。
こごなに 【複】ここらに、このあたりに 古語の『ここなる、ここな』の流れ。
こーこーゆう 【複】あれこれ言う、つべこべ言う 古い標準語の『斯う斯う』(こうこう):かくかく・これこれ・このように。
きーだはなしではぜーぶんこーこーゆったらしーな:聞いた話では随分あれこれ言ったらしいな。
こごなづのはーい
こごなづのはわい
常夏のハワイ 《んー、確かにハワイにはココナッツがあるけれど−−?。》。
こごなもん ここの物(者)
こごなる 【複】ここにある 古語のながれ。
こごなるもんでいがっ:ここにある物でいいだろう。
こごぬが
ここぬか
九日 『ここぬか』は九日の古形。
こごのづ 九つ ふこのつ:静岡。
◎こまる 【動】かがむ 古い標準語。広辞苑には『まる:背中を丸めてしゃがむ。かがまる。くぐまる。』意味とある。『かがまる。くぐまる。こごまる。』は現代では殆ど使われない。段の交替は日本語の過去に度重なって起きていたことが解かる。明治政府の教育政策の成果であろう。
名詞形の『こみ』はクサソテツの別称として残る。
以下は東日本の言葉だが、ア・ウ・オ段のほか、ガ(鼻濁音)行・ナ行・マ行の交替が起きている珍しい例である。
なる:群馬・神奈川。
なる:静岡。
まる:宮城・神奈川。
ここまる:青森。
この:長野・山梨・静岡。
こーなむ:神奈川。
こーなる:神奈川・静岡。
こまる:宮城。
こーまる:神奈川。
まる 【動】固まる こごなる:群馬。

@かがむこと、Aクサソテツ @ゴマノハグサ科の植物に『コゴメグサ・ミヤマコゴメグサ』がある。一般的な花は上に向かって開くが、横向きに咲くためそう呼ばれるのであろう。
めーこ:前かがみ。
A新芽があたかも『かがんでいる』かのように見えるからだろう。
かがみ勝ち
みし かがんでする仕事
【動】かがむ、しゃがむ 茨城に残る古い標準語。『こごめる』の文語。当時は『屈む(かがむ)』は使われなかった。『集覧:真』。
:埼玉・神奈川。
こまる:青森東北では『かがむ』意味で使われる。
(こめ) 精米したときに出来る裂け米 『粉米・小米』。小さな花を咲かせる植物の名に多く残る。
うら:神奈川。
:神奈川
さな:神奈川。『俚言』に『核子:米の粉をふるう時に篩(フルイ)に残るかす』とある。砕けた米に対して、米子のなかにある粗い粒を指していると考えられる。
める 【動】屈める、かがむ 茨城に残る古い標準語。
めでろ:屈んでいなさい。
こごら 【代】この辺り 濁音化。しかし、今や『ここら』を使う人は少ない。『ここいら』『ここいらへん』『ここらへん』。
ふこら:静岡。
こごらあだり 【代】この辺り
こごらうぢ 【代】この辺り(の家)
こごらきんじょ 【代】この辺の近所
らげる
らける
【動】こんがらかる、ややこしくなる 『こぐらかる』ならやや古い標準語なので『こぐらける』もあったはずである。
:糸がもつれる:神奈川。
らかる:神奈川。
らげる:山形。
★長塚節『芋掘り』の一節:初めは兵隊が濟めば嫁を世話しても苦情はねえことに念はついたんでしたが今ぢや餘ンまりこらけたんで云ひ出すことも出來ねえんです:初めは、徴兵が終わったら嫁を貰っても文句は無いと腹を決めたんですが、今ではあんまりややこしくなってしてしまったんで言い出すこともできないんです。
こごらへん 【代】この辺 ここらへん:東京青梅。
こごらんとご
こごらんとごら
こごらんとごろ
こごらんとし
ごごらんとぢ
【代】この辺り 『こごらんとし』は『ここらの土地』の意味か、時間的な意味の『ここらの年』が訛ったか。
△▽こ 凝り、固まり 標準語。固まったものを『凝り(こごり)』と言うのは今では『煮凝り』ぐらいしかない。『集覧:真・水』。
:山形。
:土塊:東京多摩・神奈川。
:ご飯の塊:神奈川。
りっこ:宮城。
:土塊・ご飯の塊:神奈川。
どもり 『語凝り』『言凝り』の意味。
(これる) 【動】糸がもつれる 神奈川。
【動】@かたまって堅くなる、A凍って固くなる 『凝る(こる・こごる)』。標準語だが死語。茨城では良く使われる言葉。長塚節は『凝結る』と当てている。転じて、『集まる』意味にも使われる。まれに『痙攣する』意味にも使われる。
:こんがらかる・もつれる:神奈川。
:山形・静岡。
★『土』:どうで糠(ぬか)喰(く)ふんぢゃあんめえし、それにこっちなちっと凝結(こ)ってら:どうせ、糠を食べるんじゃああるまいし、それにこっちのはかたまっているわ。
【動】どもる 『語凝る』・『言凝る』・『籠る・隠る』意味。
こごろあさい 【形】思慮が浅い 『心浅し』。
こごろあだり 心当たり 濁音化。
こごろあで 心だのみ、心構え 『心当て』。
こごろいだい 【形】心が痛い、心苦しい 濁音化・短縮化。
こごろい 得意顔 『心得顔』。
こごろいれ @心構え、A心遣い 『心入れ』。清音ならやや古い標準語。
A・こころいれ:東京。
こごろお 思い上がり 『心驕り』。
こごろおしー 【形】残念に思う 古語の『心惜し』。
こごろおぢ 落胆、気落ち 『心落ち』。
こごろおどり 予想したよりも劣って感じられること 『心劣り』。
こごろおぼい 心当たり、忘れないよう覚えておくこと 『心覚え』。
こごろおもい 気が思い Aは古語の『心重し』。
こごろわり 気変わり 『心変り』。
こごろくばり 気配り 『心配り』。
こごろさー 胸騒ぎ 『心騒ぎ』。
ごごろさー
こごろさーする
むなさわぎがする 『心騒ぐ』。
こごろさびしー 【形】何となくさびしい 『心淋しい』。
こごろさむい 【形】心にさむざむと感じる 古い言葉の『心寒し』。
こごろざーり 気がかり 『心障り』。
こごろじょーぶ 気丈夫 『心丈夫』。
こごろしんてー 【形動】心底から 『心心底』の意味。
こごろだづ 【動】思い立つ 『心起つ』。
こごろだで 心構え 『心立て』。
こごろだましー 精神のはたらき。心性。思慮才覚。 『心魂』。
こごろづぐろい 心構え 『心繕ろい』。
こごろづげー 心遣い おっころづがえ:山形。
こごろね 本性 『心根』。
こごろばい 気立て 『心延え』。
こごろばし
こごろばせ
心の状態、気持ち 『心馳せ』なら古い標準語。
いーこごろばしだなや:良い気立てだねえ。
こごろまがせ 思うが侭 『心任せ』。
こごろもどない 【形】安心できない、おぼつかない 『心許無い』。
こごろもどなえ:山形。
こごろもでなえ:山形。
こごろもぢ
こころもち
@気立て、A気持ち、気分、Bちょっと、幾分 『心持ち』。良い言葉だと思うのだが、標準語ではBを除き殆ど使われなくなった。
きょーはおでんきでこごろもぢいーなー:今日は天気が良くて気分が良いなあ。
こっちのほこごろもぢいがい:こっちの方がちょっと大きい。
こごろやぐ 【動】気をもむ 『心を焼く』意味。何故か辞書には無い。万葉集にある。
こごろやさしー 【形】気が置けない 鉄腕アトムの主題歌にあるが、辞書には無い。
こごろやましー 【形】@不快である。いらいらする。Aねたましい。 『心疾し』。
こごろやむ 【動】気に病む 『心病む』。
(ここんすば・ここんそば) 【複】ここの傍 静岡。
ふこんすば:静岡。
こごんどご
こごんとご
ここんとこ
このところ、最近 『集覧:行』。
ここんどこ:福島。
ここんところ:東京。
こごんどご
こごんとご
ここんとこ
このあたり、ここ ここんどこ・ここんどごろ:宮城。
こごんとし 近年
こごんとぢ この土地、この辺り
◆▲△▽○こさ @▲木陰、A木陰のため耕作に不利な土地、B陰を作る木 『木陰・木障』。
@『集覧:久・稲』。
『呼称』には『日南(ひなた):野州栃木にててるみといふ。日陰をてるくみといふ(中略)。東国にて樹陰をこさといふは木(こ)さはりの略語にや。又為家卿の歌に「こさふかはくもりもぞするみちのくのゑぞには見せし秋の夜の月」と詠し給いしは 蝦夷人の術に胡沙吹といふ事の有よし也。』とある。
東日本限定の方言としている辞書と、標準語扱いしている辞書がある。
こさ:福島・茨城・千葉・栃木・埼玉・群馬・東京多摩・神奈川・長野・山梨・静岡。
A日陰のためそう言うのだろう。
こさ:不毛の地:静岡。
こさっ:神奈川。
B方言。
うと:静岡。
ごさ
△▽○こざ
婚礼の際の花嫁の控え部屋 『集覧:久・稲・行』。『小座』。全国に類似語があるが意味は少しずる異なる。
広辞苑には『小座:@小座敷の略。A寝室や納戸(ナンド)など、正式でない、また、中心部でない部屋。』とある。
『呼称』によると『閨房(ねや):遠州にてほそをりと云。下総にてこざといふ。武蔵にてをかたといふ。』とある。
くちゃ:寝室:沖縄。
ござ:座敷:群馬。『御座』か。
ごさ:奥座敷の脇の部屋:山形。
こざ:小さな座敷:宮城・千葉。
こざ:隠居部屋:千葉・宮崎。
こざ:居間:埼玉。
こざ:奥の間:群馬・鹿児島。
こざ:寝室:千葉・長野・鹿児島。
こざ:台所:香川。
ごぜん:土間の脇の茶の間:宮崎。
ごんぜん:畳の上:佐賀・熊本。
〜ごさ
〜ごさー
〜こさ
〜こさー
【助】〜こそ、〜こそは 『〜ごっさ』。『〜こそ・〜こそは』の連母音変形。
おめごさやんねげなんめ:お前こそやらなきゃいけないだろう。
◎こさい 詳細 『巨細』(大きいことも小さいこともすべて。委細。一部始終。)。室町時代からある言葉。
(ござい) 【複】お出でなさい 静岡。『ござれ』。
◎こーざい 弁舌の巧みなこと。話しぶりのうまいこと。 『口才(こうさい・こうざい)』。
こーざい:おせっかい:神奈川。
こさいかだ 作り方 『拵え方』。
ごさいづけ
ごさいつけ
大根にイワシを加えた漬物 『集覧:無記載』。『ごさい』とは、『五才・御菜』『五菜』か。
こさいる
こさえる
【動】作る 『こしらえる』が転じた『こさえる』。若い人は『こさえる』とは言わない。
こさう:群馬。
こさいる:静岡。
こさえる:東京・神奈川。
こさぇーる:静岡。
こさる:群馬。
こしゃう:群馬。
こしゃえる:長野。
こしゃぇーる:静岡。
こしゃーる:群馬。
〜ございんす 【複】〜ございます 近世江戸語の遊里語『ござりんす』または『ございやす』が訛ったと考えられる。
茨城でも古くは、『いらっしゃる』を『ござる』と言った。鹿児島では『〜でございますね』を『〜ござんでやな』と言う。
〜ぐざんもす:熊本。
ござい:来てください。『ござれ』。
ございん・ござりすた:いらっしゃいませ:宮城。
ござぇーす:静岡。
〜ござりす:宮城。
ござる:ある:愛知。
ござる:いらっしゃる:富山・岐阜。
〜ごだりゃんす:〜ことです:岩手。『事でありやんす』。
よーございんす
わるーございんす
いかでございんす
なにとでございんす
こさ
こさかり
道路や田畑の周りの邪魔な枝を払うこと 『木障刈り』の意味。広辞苑に『こさ【木障】:(東日本で) 木陰のため耕作に不利な田畑地。またはその木や叢。こせ。』とある。
こさか 日陰 『木障陰』の意味。
こさ 家捜し(やさがし) 『戸捜し』または『小探し』。
こざき 小米・粉米、くだけ米 『集覧:新』。
こざき・こだき:千葉。
こざぐ:水や水中を漕ぐ:山形。
こさきり 道路や田畑の周りの邪魔な枝を払うこと 『木障切り』。広辞苑に『こさ【木障】:(東日本で) 木陰のため耕作に不利な田畑地。またはその木や叢。こせ。』とある。
うと:静岡。
こさ:神奈川。
こさきり:千葉。
こーざ 馬耕用の鞍 『耕座鞍』の意味か。
こさ 【動】ちょっと探す 『小探る』意味。
ござござ 物の乱雑に入りまじったさま。こざこざ。 今では聞かなくなった標準語。『ごちゃごちゃ』。
ござござ:静岡。
こざさらあめ 霧雨、小ぬか雨 『ささら』は古い言葉で細かく切り刻まれたものを意味する。すなわち『小雨』よりさらに細かい雨の意味。
こさした 日陰 直訳すると『日陰の下』。『木障下』の意味。
こさだ
こさたんぼ
日影の田 『木障田』。
ごさっか こかげ 那珂郡の方言。重複表現。『木障陰』の意味。
こざっかしー 【形】利口ぶって生意気な様、悪賢い 『小賢しい』。『小賢しい』は最近の日常生活では聞かなくなった。
ごさっかぶ @藪、A草むら 『集覧:猿』。『ぼさっかぶ』の転か、『日陰の場所』の意味か。訛り形としてはあり得る表現だが当時の土浦では聞かなかった。『集覧:猿』。
A・ごさっかぶ:神奈川。
ござっしょ
ござっしょー
【複】おいでなさい、いらっしゃい 『集覧:那』。
ござぁい:福島。
ございん:宮城。
ござえん:宮城。
ござっしゃるかい:おいでなさいますか:静岡。
こさっさい:群馬。
ござったござったほどげさまござった 盆に仏様を迎える時の言葉 『茨城の民俗』に紹介されている土浦市の言葉だが、記憶が無い。
ござってる
ござっている
ごさってる
【動】@いつまでも居残ること、A▲体が弱っている様、Bご飯などが腐っている 広辞苑に『ござる:(俗語で、「いかれる」「まいっている」「だめになる」の意)@惚れる。浮、夫婦気質「内儀は―・つたふりしてしなだれかかれば」A腐る。わるくなる。膝栗毛初「―・つたと見ゆる目もとのおさかなはさてはむすめがやきくさつたか」B腹がへる。空腹になる。膝栗毛四「なんと腹が少し―・つたぢやあねえか」C老いぼれる。もうろくする。』とある。
A『集覧:北』。
ござっている 【動】間が抜けている、間抜け 『ごじゃ』の語源を感じさせることば。
こざっと 【副】ざっと 接頭語『こ』+『ざっと』。不思議に標準語には無い。
ござっだぎ @宴会の終わり、A宴席で最後まで残っている人
こざっ 華美でなく、さっぱりしているさま。さわやかな清潔感のあるさま。こぎれい。
(ござはえ) 老人の内妾 佐渡島。
こさばだげ 木陰になっている畑 『木障畑』。
ござはだぐ
ござをはだぐ
【動】宴会を終わりにする
こさばらい
こさばれー
道路や田畑の周りの邪魔な枝を払うこと 『木障払い』の意味。
ござまぜ
ごさまぜ
ごちゃ混ぜ
ござみの 茣蓙で作った蓑、雨具や夏の暑さ除けにに使う。 『茣蓙蓑』の意味。
こさむい 【形】薄ら寒い 死語となった標準語。
こさむいですねー・こさむいでがすねー:ちょっと寒いですねえ。
こさやぶ 日陰の藪 『木障藪』。
ござらっしょ
ござらっしょー
ござらっせー
【複】おいでなさい 丁寧語。『集覧:久・那』。
ござらっしぇー:静岡。
ごだらっしやぇー:静岡。
〜ござりやす
□〜ござりやんす
〜ござりゃんす
【複】〜ございます 広辞苑には『ござりんす:(ゴザリマスの転)(近世の遊里語。後期では江戸新吉原で専ら用いられた) いらっしゃる。…でございます。遊子方言「あいさつがしにくう―」』とある。
ござりえん・ござりまえん:ございません:宮城。
ござりがす:静岡。
〜ござりす:宮城。
〜ござりしてござりす:宮城。
・〜ござりもーす:山形。
〜ごだりゃんす:福島。
ござる 【動】@いらっしゃる、Aいつまでも居やがる、B体が弱る 『ござる』はもともと『居る、ある、来る、行く』の敬語だが、転じて『かれる、まいっている、だめになる、老いぼれる、腹が減る、腐る、惚れる』といった皮肉を含めた意味もある。
@標準語。
ごだる:静岡。
A方言。
B標準語。
ござる:病気で弱る・老朽化する:神奈川。
(こさる) 【動】(湯に)入る 静岡。
こざーる 小笊
ござん
こーざん
後産(のちざん・あとざん)
こさんざ
こさんざん
【形動】ひどくみじめなさま
〜(で)ござんした 【助動】〜ございました
こさんじんち 30日近く 『小(こ)一時間』の『こ』と同じ。
〜(で)ござんす 【助動】〜ございます 丁寧語。古い標準語(近世語)。辞書には遊女言葉から来たとある。『〜ござります・ございます』の転。茨城では概ね大正から昭和一桁生まれの人が今でも良く使っている。
ございます→ござんす→ごわんす→ごわす→ごんす・がんす→ごす・がす→ごっす
〜(で)ござんした:〜ございました。
よーござんしたねー
〜(で)ござんしょ:〜ございましょう?・〜でございますか?。
〜(で)ござんすか:〜ございますか?。★あげましておめでとーござんす。    
(〜ござんすら) 【複】〜ございましょう 静岡。『ら』『らむ』の変化したもの。
(〜ござんへん) 【複】〜ございません 静岡。関西方言の影響を受けた言葉。
(こじ) 静岡。
(こじ) 芋の子 静岡。
(こし) カビ 鹿児島。
(こーしー) コーヒー 東京。調布生まれの叔母も使う。

しら
【助】〜ごと 『〜。上代上方語の『ぐち』(〜ごと)が訛ったものと思われる。
:大阪・和歌山・愛媛・高知。
じら:福島。
:八丈島。
□ごーし 地士。山士。郷侍。山侍。 『郷士』。広辞苑には『江戸時代、武士でありながら城下町に移らず、農村に居住して農業をいとなみ、若干の武士的特権を認められたもの。諸藩によりその制度・呼称に差がある。』とある。
(こーじ) (コミチの音便) 幅の狭い路。しょうじ。 静岡。『小路』。
こしあ 子供の着物の縫い上げ こっしゃ:宮城。
こしいる
こしえる
こしぇーる
【動】こさえる こしぇる:山形。
こしる:宮城。
ごじーいん
ごじーえん
五十円
こしおび @帯。A当帯(アテオビ)の別称。B石帯(セキタイ)の別称。C婦人の帯の下にからげ結ぶ幅の狭いひも。こしひも。D「かかえおび」に同じ。 『腰帯』。
こせおっ:鹿児島。
こじおる 【動】腰砕けになる。 『腰を折る』意味。
こしおろす 【動】座る 短縮形。
(こしきれない) 【複】大成の域に達してない 東京。
こしかげ
こしかけ
椅子 濁音化。清音なら標準語。死語になりつつある。ex.サルノコシカケ
こすかげ:宮城。
こしかげる
こしかける
【動】椅子に座る 濁音化。死語になりつつある。
こーじかび 麹菌 『麹黴』。
こしき せいろ(蒸籠) 『甑』。死語。
こじぎ
こじき
乞食 濁音化。長野・大分・宮崎では『らい病患者』を言う。『辞典』に書かれた方言がいつの時代を指しているかは不明だが、明らかにらい病が蔓延した時代の言葉と思われる。
乞食は漢字のままの意味のほか、『骨肉』(こつじく)の語源説がある。『乞食く(こつじく)』(こじきをする。ものもらいをする。こじく。)と言う動詞もある。
ごしー ご祝儀、結婚式 ごしに:宮城。
ごしゅー:群馬・東京。
(ごしーき) 御贔屓(ごひいき) 東京。典型的な江戸方言。
こしきそめ 年の初めに始めてつく餅 『甑初め』の意味。
餅米は、蒸籠(せいろ)を使って蒸したが、蒸籠の古称は『甑(こしき)』(米などを蒸すのに用いる器。瓦製で、形円く、底に蒸気を通ずる穴がある。のちの蒸籠(セイロウ)にあたる。)である。
(こじきばしら) 玄関に面した座敷の柱で軒げたを支える柱 神奈川。
こじぎばぢ 木製の弁当箱 『めんぱ』(木製の曲げものの弁当箱。破(わ)り子。)のこと。まげわっぱの俗称で『めっぱ』とも言う。今なら貴重な工芸品だが、当時は乞食が使う古い弁当箱とされた。
こじぎぼ
こじきぼー
こじぎめ
こじきめ
乞食 『乞食坊』の意味。『集覧:新』。
こしきり
こしきりじばん
男用の作業用上着、半襦袢 『腰きり襦袢』。死語。
こし:岩手・島根。
こしきりばんてん:丈の短い半纏:神奈川。
こしるま:腰:群馬。
こしきり 【形動】腰のあたり
(こじく) 【動】成長が遅く固まってしまう 神奈川。
こじくりまーす 【動】弄り(いじり)回す こじくりまわす:埼玉。
こじぐる
こじくる
【動】@弄る(いじる)、A虐める(いじめる)、Bほじくる、Cこじあける A・こしく:叱る:山形。
B・こじくる:山梨。
こじぐれる 【動】@ひねくれる、すねる、Aぐちゃぐちゃになる、Bこじれる 『拗ける』+『暮れる』。
@・こじくれる:千葉。
B・こじくれる:山梨。
こじけ
こじけー
コジュケイ
(こじけ) 【複】行け 静岡。
こじげる
こじける
【動】@もつれる、A駄目になる、B病気が悪くなる、Cひねくれる、すねる、Dくじける、果たせずに終わる 『拗れる』(こじれる)が転じた『拗ける』の訛か『挫ける』の転。
C・こじける:すねる:青森・秋田。
こんつける:青森。
D・こじける:機会を逃す:岩手。『くじける』。
こじける:挫折する:滋賀・徳島・愛媛。『くじける』。
にえこじける:煮え切らない:岩手。
でこじける:出来損なう:岩手。
Eその他。
こじく:植物などの成長が止まる:神奈川。
こじける:かじかむ:滋賀・和歌山京都・鳥取・岡山・香川・高知。『かじける』。
こじける:寒がる:宮崎・長崎。『かじける』。
ごしこ 『集覧:鹿・久・水』。
こしこ 腰にさげる魚籠 『腰籠』の意味。
ごしごし 洗濯
ごじごじ 【副】ごしごし 濁音化。
ごしじゅん
ごしじん
ごしじんさま
ごしじんさん
ご主人 ごしじん:東京。
ごしーしょさまです
ごしーしょさんです
【複】御愁傷様で御座います おしょしさんでございます:お気の毒でございます・痛み入ります:宮城。
こしすいる 【動】どっしり構える。おちついて事をする。 『腰を据える』。
こじたげで:しっかりと:秋田。
こしせーる 【動】本気になる。覚悟をきめてやる。 『腰を入れる』。
(ごしたい ) 【形】腰が痛い、疲れた、大変だ 長野。
こしたごだねー
こしたごどねー
【複】越したこと無い
(こしっくじけ) 意気地が無いこと 神奈川。
こじっけ
こじっけー
コジュケイ
ごーじっ 強情っ張り
ごじっ 道理の解らない人、駄目な人(物)、未熟者、馬鹿、どじ、間抜け、でたらめ、できそこない、いい加減 那珂郡。=『ごじゃっ
ひょっとしたら『ごじっの方が古い可能性がある。その場合、茨城方言の『ごじゃっは漢字を書くのを間違える『誤字兵衛』の説も捨てられない。
こしつら
こしつり
こしっつる
腰の筋肉 『つら』は『蔓』(つる)の古形で筋状のものを示すことから、筋肉を意味していると思われる。
こしっ 腰骨 こしっ:栃木。
(こしてくんな) 【複】削ってくれ 神奈川。
こじーど
◆▲こじーと
小姑、夫の姉妹 『集覧:新』。姑は古くは『しひと』と言いその後『しいと』に変化した。現代形は『しゅうと』。古い言葉を受け継いでいる茨城言葉の一つ。
(こしどけ) 小桶 静岡。
こじはん
こじーはん
こーじはん
こじめし
こじゅーはん
午後の間食 辞書掲載語。『小昼飯』(こじゅうはん)の意味。『小昼』(こひる)と同じ。当て字が正しければ『じ』は『ぢ』が正しい。
対語として茨城には『まいぢはん』(午前の間食)がある。『前昼飯』の意味である。『小昼飯』(こじゅうはん)『小昼』(こひる)は、昼食はしっかりと十分な量をとるのに対して軽い意味で『小』を当てたと思われるが、『まいぢはん』の存在から『後昼飯』の意味も捨てられない。
農作業は重労働なのでこれが無いと力が出ない。当時は、子供の『お八つ』に該当するものは無かったので、テレビ放送の中で『お八つ』を貰う子供が羨ましかった。
おこじはん:間食・午後の間食:神奈川。
おこじゃ:午後の間食:静岡。
おこーじゃ:午前の間食:神奈川。
おこじゅ:間食:神奈川。
おこじゅー:間食:東京多摩。
おこじゅー:間食・午後の間食:神奈川。
おこじゅはん:神奈川。
おこじょ:午後の間食:神奈川。
おこじょー:午後の間食:神奈川。
おこじょはん:午後の間食:神奈川。
おこびれ:おやつ:長野。
おちはん:午後の間食:神奈川。
おぢゃ:午前の間食:神奈川。
おちゃ:午前の間食:神奈川。
おちゃおけ:間食・午後の間食:神奈川。
おちゃ:午後の間食:神奈川。
おちゃけ:間食:神奈川。
おちゃはん:午前の間食・午後の間食:神奈川。
おちゃやすみ:間食:神奈川。
おちゅーはん:間食・午後の間食:神奈川。
おちょーはん:間食・午後の間食:神奈川。
おなけーれ:午後の間食:神奈川。
おやつ:午前の間食・間食:神奈川。
およーぢゃ:午後の間食:神奈川・静岡。
こじはん:福島・栃木・群馬・神奈川。
こじはん:朝食と夕食の中間に取る軽い食事:群馬。
こじはん:間食:神奈川。
こじゃ:午後の間食:静岡。
こーじゃ:午後の間食:神奈川。
こじゃはん:神奈川。
こじゅはん:朝食と夕食の中間に取る軽い食事:群馬。
こじゅーはん:東北・関東・埼玉・群馬・神奈川・信越地方。
こじゅーはん:朝食と夕食の中間に取る軽い食事:群馬。
こじょーはん:埼玉・群馬・神奈川。
こじょーはん:朝食と夕食の中間に取る軽い食事:群馬。
こじょはん:3時のおやつ・間食:群馬。
こじょーはん:神奈川。
こしょーはん:神奈川。
じゅーじっちゃ:午前の間食:神奈川。
そさび:おやつ:長野。
ちゃづけ:午後の間食:静岡。
ちゃづけ:午前の間食:静岡。
ちゅーはん:午後の間食:神奈川。
はやっこじはん:早めのこじはん:群馬。
ひるぢゃ:午前の間食:神奈川。
ひるぢゃ:午後の間食:静岡。
ひんなかのこじょはん:午後の間食:神奈川。
ゆー:午後の間食:静岡。
ゆーぢゃ:午後の間食:静岡。
よーぢゃ:間食:神奈川。
よーぢゃ:おやつ時:静岡。
よーぢゃ:午後の間食:静岡。解説には『夕茶』とある。
よっこじゅはん:午前の間食:神奈川。
よつめし:午前の間食:神奈川。
わかびる:午前の間食・早めの昼食:神奈川。
こしひも 腰紐
こしぼね 腰の骨 『腰骨』。
こしまぎ 腰巻、昔の女性の下着、女の下帯 『赤い腰巻』は当時の女の下着の代表。私の母は野良仕事の際も必ず腰巻を付けていた。腰巻の上にもんぺを履いたらいったいどんなことになるんだろうと思ってしまう。実際試してみないと解らないが、腰は温かいが足は冷たいはずである。
古い因習に従ったものと思われるが、今になると解らない。必ず何か効用があったと思いたい。
(こじみたま) 【副】いっぱい、たくさん 福島。
こしみの 腰蓑 昭和30年代までは使われていた。
こしもど @手元、身の回り、A囲炉裏の周りの主婦の座 @『腰元』。濁音化。
こしもと:結婚式で嫁の身の回りの世話をする若い女性:神奈川。
そいよめ・そんよめ・つきおんな・つきそい:結婚式で嫁の身の回りの世話をする若い女性:神奈川。
Aは@の意味が転じたもの。
こしもと:神奈川。
こーじもろ 麹室 甘酒を作るために、村々には必ず大谷石で作った麹室があった。
麹菌とは稲科の穀物にもともとついている菌類で、ブドウが取り残されたまま、貴腐ワインになるのと同じように、日本酒が生まれた起源に似ている。納豆は煮た大豆を稲藁に入れればできたわけだが、日本酒の起源はどのようなものだったのであろう。
◆▲▼ごじゃ 【形動・名】@訳のわからないこと、筋の通らないこと、未熟な様、ごちゃごちゃした様、ごっちゃ、無理、A道理の解らない人、駄目な人、未熟者、 Bたわいのないこと、とりとめもないこと、馬鹿な事、Cうそ、でたらめ、D▲間違い、Eだめなもの、仕損じたもの、駄目なこと、出来そこない、F解約
『集覧:久・西・稲・▲鹿』。茨城方言の代表語。『ごちゃっの濁音形。標準語では『ごじゃごじゃ』(非常に混雑しているさま。)が辞書掲載されているが、普通は、『ごちゃごちゃ』(種々のものが乱雑に入りまじっているさま。秩序のないさま。)が使われる。
『ちぐ』同様、『ごじゃ』も様々な意味合いで使われる。
『ごじゃ』の語源はいったい何だろう。未熟なのに偉そうにする意味の1)『こしゃく(小癪)』、2)『抉らす(こじらす)』、3)『愚者』、4)『ござる』の短縮形、5)『ごちゃごちゃ・ごっちゃ・ごった』、6)雑魚の倒語が訛ったもの、7)『おじゃん』(物事が途中で駄目になる)、8)御託 等が考えられる。動詞形含めると『抉らす(こじらす)』が転じたと考えるのがスマートなように思えるが、案外単に『ごじゃごじゃ』が転じたとも考えられる。茨城弁にはそのような事例が多くある。
明治期の茨城弁を集めた茨城方言集覧では『間違い』としているので、『ごじゃす』(@間違って作る、出来損なう、A駄目にする)の名詞形とも考えられる。
また『こだごねる、ごだこねる』(駄々を捏ねる、御託を並べる、愚痴を言う)の存在も無視できない。御託は『ごた』とも言うからである。
『俚言』では『ごたをいふ:松本にて馬鹿を云なとといふこと。』とある。
ちなみに『茨城の方言』(遠藤蛮太郎)では、釈迦の従兄弟のダイバ(提婆)が主唱した『五邪の法』を釈迦が認めなかったことから、それが転じたとしている。
『ごじゃっを含め、今では東関東方言の代表語とされるが、『日本方言大辞典』によると、全国各地に分布するが、関東圏では茨城と栃木・千葉にしかないため、東関東方言のように誤解されている。この方言は類似の意味を含めると兵庫・岡山・徳島・香川にもあり、『五邪の法』説は、有力な説であろう。
『民俗』では、かなり割り切った解釈をしていて@わからずや、Aだだ、すねること、B誤り、間違い、C解約・中止 としている。
稲敷郡・行方郡では清音化して『こちゃ』と言う。
@訳のわからないこと、筋の通らないこと、未熟な様、ごちゃごちゃした様、無理。
ごじゃ:兵庫・岡山・徳島・香川。
ごじゃばこ:千葉。
A道理の解らない人、駄目な人、未熟者。
ぐしゃんぼ:山梨。
ごじゃ:千葉・兵庫・香川。
ごた:わがまま:群馬・長野。
ごた:弱虫:新潟。
Bたわいのないこと、とりとめもないこと、馬鹿な事。
ごじゃ:栃木・新潟・兵庫・岡山・香川。
ごた:ごみ:奈良・和歌山。
ごた:泥:岩手・宮城・山形。
ごた:ヒキガエル:山梨・愛知。
Cうそ、でたらめ。
ごじゃ:栃木・岡山・徳島・香川・愛媛。
D間違い。
ごじゃ:岡山・徳島
Eだめなもの、仕損じたもの、駄目なこと、出来そこない。
F解約。『おじゃん』と同義か。文献にあるのは『ごちゃ』の方である。
Gその他。
おこしゃ:物心がついて生意気になった幼児:神奈川。『神奈川』では『お巧者』と当てている。
くじゃくをいう:幼児が我儘を言う・小言を言う:長野。
ぐしゃん:入り混じること:山梨。
ごじゃ:おしゃべり:秋田。
ごじゃらし:恥さらし:青森。
ごじゃ:いい加減、滅茶苦茶:徳島。
ごた:ばかげた状態:長野。
ごた:愚痴:兵庫・高知。
ごた:迷信:愛媛・高知。
ごーた:がらくた:神奈川。
ごたー:山梨。
ごったく:いたずら坊主・悪ガキ:長野。
ごっと:冗談・嘘:新潟。
ごんじゃ・ごんじょ:幼児の我儘・小言:長野。
ごんじゃこねる:幼児が我儘を言う・小言を言う:長野。
ごじゃっこ:出来の悪い子供。
ごじゃむすこ:出来の悪い息子。
ごじゃむすめ:出来の悪い娘。
ごーしゃ 【形動】豪奢、贅沢な様 日常語として使われた。
(こーしゃ) 技芸にたくみなこと。事に熟練していること。また、その人。上手。 『功者・巧者』。
おこーしゃ:生意気・でしゃばり:山梨。
こーしゃ:神奈川。
こしゃっ:こましゃくれた子ども:福島。
こーしゃっ:おしゃれな様:山梨。
こっーこーしゃ:いらぬお世話・生意気:山梨。
こしゃー 【動】こさえる、作る こしゃう:山形。
しゃ 【助】〜ごと、〜も一緒に
こしゃいる
△こしゃえる
【動】こさえる、作る 『鮭』を『サケ』と言うように、日本語ではサ行音のうち特に『さ』と『しゃ』の交代が起きるらしい。
こさう:群馬。
こさいる:静岡。
こさえる:東京・神奈川。
こさぇーる:静岡。
こさる:群馬。
こしゃう:群馬。
こしゃえる:長野。
こしゃぇーる:静岡。
こしゃーる:群馬。
ごじゃがす 【動】@駄目にする、A目茶目茶にする 『こじらかす』意味。
こしゃぐ
こーしゃぐ
@生意気を言うこと、Aもっともらしく言うこと 『講釈』。
@・こーしゃく:和歌山・高知。
こーじゃく:あれやこれやの文句:岐阜。
A・こーしゃく:群馬。
こーしゃく:理屈をいうこと:静岡。
ごしゃがれる:叱られる:宮城。
ごしゃぐ・ごしゃく:怒る:秋田・岩手・山形・宮城。ごしゃがれる:怒られる:宮城。
こーしゃぐこぐ
こーしゃぐばる
こーしゃくばる
こーしゃぐぶづ
こーしゃぐたれる
【動】@生意気を言う、Aもっともらしく言う @『小癪』が転じた可能性もある。
こしゃっ:こましゃくれた子ども:福島。
A『講釈』を『扱く』『張る』『打つ』『垂れる』。
こーこーどこーしゃぐぶって:こうこうと生意気言って。
こしゃくする 【複】おせっかいを焼く 『小癪をする』意味か。
こじやげる 【動】こじ開ける
ごじゃげる
ごじゃける
【動】駄目になる、目茶目茶になる こしゃげる:つむじを曲げる・怒る:秋田。
こしゃ
こしゃー
子供の着物の腰上げ 『腰上げ』。子供の着物の腰には折って縫い上げた部分(言わば水平タック)があり、成長に合わせて腰上げをした。
ごじゃごじゃ
ごしゃごしゃ
こじゃこじゃ
【形動】@ごちゃごちゃ、ぐちゃぐちゃ、Aぐずぐず文句を言う様 一般に標準語では『ごちゃごちゃ』を使うが、二つ共標準語である。
ごじゃこねる
こじゃこねる
【動】@馬鹿なことをする、駄目にする、A邪魔する ごんじゃこねる:幼児が我儘を言う・小言を言う:長野。
ごじゃす
こじやす
こじゃす
【動】@間違って作る、出来損なう、A駄目にする、B破る、砕く 『集覧:新』。
真壁郡・稲敷郡ではさらに清音化して『こちゃす』と言う。『五邪の法』『五邪』が動詞化したと考えるのが素直であろうが、清音形のこじゃす、直音形の『こじやす』の存在は大きい。これは、『抉らす』が訛った可能性を示唆しており、また『じゃす・じやす・ちゃす』は古語の『潰す(つやす)』との繋がりを連想させ、『五邪の法』が万能ではない証でもある。
@★こどしはごじゃっしゃっていぐらにもなんね:今年は出来損なってしまって大した金にもならない。
A・こじゃす:秋田・宮城。
B県内広域。
Cその他。
ごじゃす:潰す・壊す:栃木。
こじゃす:潰す・壊す:栃木。
ごじゃすけ ばか、どじ、間抜け 人名化した『ごじゃ助』の意味。
ごじゃっしゃー 【動】@間違って作ってしまう、出来損なってしまう、A駄目にしてしまう
ごじゃっべ
◆▲▼ごじゃっ
ごじゃっ
ごじゃ
@道理の解らない人、分からず屋、駄目な人(物)、A未熟者、B馬鹿、どじ、間抜け、でたらめ、できそこない、Cいい加減、うまくまとまらない様、でたらめ、Dいたずら(主に子供の行為を指して言う)、Eだめなもの、仕損じたもの、駄目なこと、出来そこない 『集覧:久・西・稲』。
意味が非常に広い。一言で言えば『良くない』意味。人の行為や人そのもの、物の形や出来上がりでよくないものを言う。また、誹謗中傷語ではあるものの、ニュアンスとしては愛称に近い意味があるので、婉曲表現として使っている物と見られる。
県内では『ごちゃごちゃ』の意味で使う地域がある。『ごちゃっの濁音形。
清音化して『ごちゃっ(女性言葉)と発音する人もいた。原型は人名化した『ごじゃ平・ごじゃ兵衛』の意味と考えられる。ただし『ごじゃ』に対して『ごじゃっは人を示すはずだが必ずしもそうではなく混乱して使われる。
この言葉は茨城弁の代表語扱いされているが、もっと慎重に扱われるべきである。熊本の民謡『おてもやん』で歌われる『ご亭どんぐしゃっだるけんまあだ盃ゃせんだった』『ぐじゃっはもともと『あばた顔』を指し、転じて不細工の意味だが、もしかしたら同じルーツの言葉だとすると実に面白い。類似方言に『ごだっがある。北海道ではウキゴリ・ハゼを指し、静岡ではタラの一番小さなものを言う。そうなれば『ごちゃまぜ・ごたまぜ』の語幹である『ごた・ごちゃ・ごった・ごっちゃ』との関係も無視できない。
研究者による語源説もここで検証した結果とさほど変わりが無い。『ごたごた・ごちゃごちゃ・ごっちゃごっちゃ』等が転じたと考えている人が多い。
一方、遠藤忠男氏は『茨城の方言』で、仏教の『五邪の法』に由来する説を唱えている。『五邪の法』とは、釈迦の従兄弟の提婆達多(だいばたった)が唱えた戒律のことで、『生涯森林樹下に住し、乞食して坐食せず、糞掃衣を着し、無蓋の場所に居て、魚獣の肉を食さない。』との禁欲の過ぎるものであったために、釈迦が許さなかったというものである。そこれに由来して、道理の解らない人やでたらめを『五邪の法』に例え、それが、『ごたごた・ごちゃごちゃ・ごっちゃごっちゃ』という言葉を生み、それが茨城方言の『ごじゃ』『ごじゃっに繋がったというものである。この『五邪の法』説は極めてスマートで最も有力な説だが、断定できるものではなく、さらに夢を広げることも茨城方言をひもとく面白さになるだろう。
土浦ではもっぱら、@の意味で使われた。
そこで、初心に帰って著名文献の言葉の解釈内容を以下にまとめてみる。
茨城方言集覧:道理の解らぬ人を言う。
茨城方言民族語辞典:わからずや・でたらめ。
土浦の方言:わからずや・すねること・一人前でないこと。
河内郡方言集:多言又ハ取リ留リナキ言:多言の意味を当てているのは『ごじゃごじゃ言う』意味なのだろう。
様々な解釈を総合すれば、『まとまらず混乱しているもの』または『小さくてまだ成長していないもの』あるいは『あるべき状態に無いもの』という意味になる。
意味を総合するとかえって解らなくなるが、『ごちゃつく・ごたつく』(ごちゃごちゃする。ごたつく。)という言葉もあることから、万人に解り易い語源となれば、『ごじゃごじゃ・ごちゃごちゃ』であろう。さらにその語源はといえば『五邪の法』に行き着くのかもしれない。
おこしゃ:差し出がましい人:神奈川。『巧者』。
おこしゃっ:こましゃくれた子供。『巧者』。
かちゃ:下品・品格がない:秋田。秋田は江戸初期に佐竹氏が茨城から移封されたところである。同源と思われる。
ぐしゃんぼ:道理のわからない人:山梨。
ぐしょー:馬鹿:群馬。
ごじっ:おしゃべり:栃木塩谷市。
ごじゃっ:栃木・千葉。
ごじゃっ:嘘・おしゃべり:栃木。2007年夏、那須ハイランドパークの女性係員と雑談する機会があり、『ごじゃっの意味を尋ねたところ、『嘘』の意味で使うとの答えがあった。茨城とはニュアンスが異なる。
こしゃっ:こましゃくれた子ども:福島。
こじゃみ:細かいもの:山梨。
ごだっ:ウキゴリ・ハゼ:北海道。
ごだっ:タラの一番小さなもの:静岡。
あすこのがぎはだいだ、はーごじゃっでごじゃっ:あそこの子供は駄目だ。もう馬鹿で馬鹿で。
ほーたごじゃっやってーつまんにもんしっちゃもんだっ:そんなでたらめな事をして、もしかしたら駄目になっちゃったかもしれないだろう。
ごじゃっこぎ
ごじゃっゆい
馬鹿なことを言う人、でたらめを言う人
ごじゃっこぐ 【複】いい加減な事を言う、でたらめを言う ごじゃっこく:嘘をつく:栃木。2007年夏、那須ハイランドパークの女性係員と雑談する機会があり、『ごじゃっの意味を尋ねたところ、『嘘』の意味で使うとの答えがあった。
ごじゃっやろ
ごじゃっやろー
馬鹿、間抜け、出来そこない 半濁音は濁音で発音されることがある。
ごじゃっゆー 【複】いい加減な事を言う、でたらめを言う くじゃくをいう:我儘を言う・小言を言う:長野。幼児語。
ごじゃにする 【動】駄目にする
ごじゃにする 【動】白紙にする 『土浦市史・民俗編』に掲載されているもの。『おじゃんにする』が訛ったとすると、茨城弁の『ごじゃ』のルーツに関わる言葉となる。しかし、『駄目にする』の別の解釈であろう。
こしゃばる 【動】でしゃばる、のさばる 『こーしゃぐばる』。『小癪』を『張る』意味?。
ごじゃべ
ごじゃべー
ばか、どじ、間抜け、出来損ない、でたらめ、いい加減、滅茶苦茶、道理の解らない人 人名化した『ごじゃ兵衛』の意味で、『ごじゃっの原型と考えられる。
ごじゃ 離婚 勝田市。
ごじゃまがす
ごじゃまかす
【動】ごまかす、でたらめを言う 稲敷郡。
ごじゃまぐ
ごじゃまく
【動】ごまかす、でたらめを言う
ごじゃまぐ
ごじゃまぐれ
馬鹿、間抜け、出来そこない
ごじゃまんかい 馬鹿丸出し、支離滅裂 『ごじゃ満開』=馬鹿丸出しの意味。
ごじゃまんかい:千葉。
ごじゃまん
ごじゃまんと
【副】沢山 標準語の俗語『ごちゃまん』の濁音形と考えられる。
ごじゃまん でたらめ 『ごじゃ』(でたらめ)+『まんち』(嘘)。
ごじゃやろ
ごじゃやろー
【慣】駄目男 罵倒言葉、『ごじゃ野郎』の意味。
ごじゃらがす 【動】@間違って作る、出来損なう、A駄目にする
ごじゃら
ごじゃらぐ
ごじゃらく
いい加減なこと、嘘、御託、文句 『ごじゃ』『ちぐ』の合成語かあるいは『御託』との混同。≒『ごだらぐ』
ごじゃらくせー 【形】なまいきである。利いた風である。
ごじゃらす 【動】壊れる、出来損なう、駄目にする せんしゃのもけーごじゃらっしゃった:戦車の模型を壊しちゃった。
ごじゃらっべ
ごじゃらっ
ごじゃらべー
ごじゃらんべー
ばか、どじ、間抜け、出来損ない、でたらめ、いい加減 人名化した『ごじゃ郎兵衛』の意味か。
こしゃる 【動】作り上げる 『拵える』。
こしゃる 【動】騙す 筑波郡。
こじゃれ
こしゃれ
ちょっと洒落ていること
こじゃれでる
こしゃれでる
【動】@ちょっと洒落ている、Aふざけている A標準語では『小じゃれた』(ふざけた)が現代に残る。
こじゃれたまねしやって
ごじゃれる
こじゃれる
こーじゃれる
【動】壊れる、出来損なう、駄目になる 『拗れる(こじれる)』が訛ったもの。
こじゃれる:栃木。
こだれる:服の裾などがはみ出す・だらしなく垂れる:岩手。『しだれる』に似た表現で『木垂れる』意味という。
こじゃれる
こしゃれる
【動】@ちょっと洒落る、Aふざける A標準語では『小じゃれた』(ふざけた)が現代に残る。
こーじゃれる 【動】叱られる 『講じられる』意味。
ごじゃろべ ばか、どじ、間抜け、出来損ない、でたらめ、いい加減 人名化した『ごじゃ郎兵衛』の意味。
ごじゃをおがす
ごじゃをおかす
【動】間違う
こじゃんと(こちゃんと) 【副】ちゃんと、しっかりと かつて、茨城でも使われた言葉。
『ちゃんと』に接頭語『こ』がついたもの。
こじゃんと:徳島・愛媛・高知。
こじゃんと:沢山:高知。現代語の『ごたごた』『ごちゃごちゃ』『ごてごて』等に通ずる。
(ごじゅうおん) 茨城訛で『五十音』を発音した場合にどうきこえるかを考えてみました。
茨城方言の基本的発音形式は、以下が全てと言って良いでしょう。
@いとえの混同/この訛りは茨城に限らない。
『あいういお、かきくきこ、さしすしそ、たちつちと、なにぬにの、はひふひほ、まみむみも、やいゆいよ、らりるりろ、わ、お、ん』
A強調のための長音化やリズム感の表現/強調表現を大事にする茨城弁は、冒頭で長音化する。
『あーいういお、かーきくきこ、さーしすしそ、たーちつちと、なーにぬにの、はーひふひほ、まーみむみも、やーいゆいよ、らりるりろ、わー、おー、んー』
B標準語にはない『ti、tu』の発音がある。イ段とウ段は全く区別できない人とそうでない人がいた。実態に合った表現をすると、
『あーいぃうぅえぃお、かーきぃくぅけぃこ、さーしぃすぅせぃそ、たーてぃとぅてぃと、なーにぃぬぅねぃの、はーひぃふぅへぃほ、まーみぃむぅめぃも、やーいぃゆぅいぇぃよ、らーりぃるぅれぃろ、わー、おー、んー』
C次に『か行』の濁音化を加味すると、
『あーいぃうぅえぃお、かーぎぃぐぅげぃご、さーしぃすぅせぃそ、たーでぃとぅでぃと、なーにぃぬぅねぃの、はーひぃふぅへぃほ、まーみぃむぅめぃも、やーいぃゆぅいぇぃよ、らーりぃるぅれぃろ、わー、おー、んー』
D前後の関係で発音が変わってしまう茨城弁であるが当時の最も典型的な発音を再現すれば、、以下のようになる。
『あーいぃうぅえぃお、かーぎぃぐぅげぃご、さーしぃすぅせぃそ、たーぢぃつぅでぃど、なーにぃぬぅねぃの、はーひぃふぅへぃほ、まーみぃむぅめぃも、やーいぃゆぅいぇぃよ、らーりぃるぅれぃろ、わー、おー、んー』
こじゅーはん 午後の間食 『小昼飯』。辞書掲載語。東北・関東・信越地方の方言。
おこじゅー:おやつ:神奈川。
こじゅーはん:山形。
こじょーはん:埼玉・群馬・神奈川。
やつめし:群馬。
(ごじゅんけ・ごぜんけ) 嫁入り 鹿児島。
ごーじょ 強情
ごしょう 人に折り入ってたのむ時にいう語 『後生』。もともとは『後生を願う意から』と言われる。
ごしよう:東京多摩。
ごじょう 手紙 『御状』。
こーじょー 口のきき方、喋ること、弁舌 『口上』。最近はめったに聞かない言葉だが茨城では現役だった。
こしょーできる 【複】故障する 方言かと思っていたら明治期の小説にも使われていた。
こしょー 小正月、1月15日 濁音化。
ごじょごじょ 【副】うじゃうじゃ 『ごじゃごじゃ』が訛ったもの。
ごしょーし 気の毒な様、御愁傷様 『笑止』には『気の毒なこと』の意味がある。辞書には『(「笑止」は当て字。「勝事」の転で、本来、普通でないことの意という)』とある。
ごしょーし:静岡。
(ごしょーする) 【複】不満ながらも承知する 東京。解説には『不承する』とある。
こしょーする 【複】文句をつける 『故障』だけで『故障があると申し立てること。』の意味がある。
(こしょーづけ) 嫁入りのときについていく老女 静岡。
ごーじょっ 強情を張るさま。意地っぱり。 『強情っ張り』。茨城では方言だと思われている言葉。『強情張り』と言う人がいたためだろう。
ごーじょっ:静岡。
ごーじょーばる
ごーじょーはる
【動】自分の意見を通そうとする 『強情を張る』。
こじばる:三宅島。
こじよる 【動】抉る 『抉り折る』の意味。
こじよる:身を擦り付けて近寄る:神奈川。
ごしょらぐ
ごしょーらぐ
@後生は安楽であると思って安心すること、A何事も苦にせずのんきなこと 『後生楽』。仏教用語。
ごしょーいー:呑気な・気がいい:山梨。
ごしょーよし:神奈川。『後生良し』の意味。
ごしようらく:のんき者:東京多摩。
ごしょーらく:のんき者:東京・神奈川。
ごしょーらぐもん:気楽者。
こしらい ものの出来栄え、作り 『拵え(こしらえ)』には、『@あれこれとはかりめぐらすこと。はからい。A物の出来上りの様子。構造。つくり。B用意。準備。C嫁入りしたく。D身じたく。身なり。』の意味がある。
こしらえ:服装・仕度:東京。
こしらいる 【動】拵える こそわえる:静岡。
(こしらう) 【動】拵える 『拵ふ』。
ごじらがす
こじらかす
【動】拗らせる、めちゃめちゃにする 『集覧:北』。『拗らせる』。
こじらかす:病気を拗らせる:佐渡島・静岡。
こじる 【動】えぐる、くじる 『抉る』。現代では単独で使うことは少なく『抉じ開ける』等という。さらに古くは『異議を挟む。抗議をする。』の意味があったという。
こじる:静岡。
こしる 【動】擦る 『集覧:鹿』。
ごじる 水に浸して柔らかくした大豆をひいた「ご」(豆汁)を入れた味噌汁。 『呉汁・醐汁』。
当時良く母親が作ってくれた。最後のひとすすりに大豆の旨みを味わえる逸品だった。
あめ:神奈川。『味噌・醤油の製造に用いる大豆を煮る時に出る汁』。
ごじる:サトイモを入れた味噌汁:神奈川。
ごーじる:神奈川。
こーじる
こーずる
【動】@程度が甚だしくなる、A困る、病気が悪くなる、B講ずる @『高じる・昂じる』。
A『困じる』(こうじる)。
B『講じる』
こしーる 【動】作る、こさえる こしぇる:山形。
こしれーる:群馬。
こしる:宮城。
こじれったい
こじれってー
【形】じれったい 『小焦れたい』が辞書にあるが室町時代の文献(閑吟集)に残る。促音形は辞書にはないが文献に無いだけと見られる。
こじれったい:東京。
こじれる @事柄に複雑な事情がからんで、すらすら運ばなくなる。A病気がなおりそこねて長びく。 広辞苑に『こじれる【拗れる】:@考え方がねじける。ひねくれる。A事柄に複雑な事情がからんで、すらすら運ばなくなる。B病気がなおりそこねて長びく。C(動詞の連用形について) その動作がうまくいかないことを表す。…かねる。うまく…できない。』とある。
@・こじれる:静岡。
こじろい 【形】肌が白い こじろい:東京。
ごしん 幣束 『御神』の意味か。
こーじんさま 荒神様 カマドの神様。今では日常生活から消えてしまった神様。
こーじんさま:神奈川。
こーじんばしら:台所と座敷との間にある柱で北側にあるもの:神奈川。
ひげんぼーず:群馬。
こーしんさま 庚申様 上大津地区では手野町の東のはずれの台地の突端にあり、2〜300年は経つような二本の大きな椎の木の根本に社がある。庚申塔を祭った庚申塚に植えた椎の木が大きくなったものだが、当時の子供達にとっては社には興味が無く、秋になると2本の椎の木が実らせた椎の実が絶好のお八つ代わりになった。今でも霞ヶ浦のメルセデス製遊覧船からその雄姿を見ることができる。

庚申様の椎の木の雄姿

庚申様の根本/庚申塔がある。
(ごしんさん) 武家や上層町人など身分ある人の新婦の尊敬語 東京。本来訛りであるが東京で使われるから標準語扱いになっているものと見られる。
広辞苑に『ごしんさま【御新様】:御新造(ゴシンゾウ)様の略。「ごしんさん」とも。』とある。
こしんたぐ
こしんたく
分家の分家、孫分家 『小新宅』の意味。
(こしんねー) 【形】意気地が無い 神奈川。『腰が無い』意味。
こーしんぶるまい 庚申講の夜に振舞われるご馳走 『庚申振舞い』の意味。
こーしんまぢ 庚申講 『おごしん・おごしんこー』。この場合の『まぢ』は『待』とも『祭』とも考えられる。辞書にも『庚申待・庚申祭』双方がある。
本来『講』とは、『神仏を祭り、または参詣する同行者で組織する団体。』の意味だが、『庚申講』は行事そのものを指すことがある。
△▽こす 【動】よこす、分ける 『遣す・致す』。古い標準語。
広辞苑には『こす:遣す:(「おこす」の略) よこす。』とある。
こす:宮城・茨城・栃木・静岡。
ごす:鳥取。
こしてくれ・こしてけれ:分けてちょうだい。
こされる:譲られる。
こす 【動】移転する、引っ越す 『越す』。
こす:静岡。
こすと:来るのは:静岡。ここへこすとおよし:ここに来るのは止めなさい。
こす 【動】交わす 『集覧:真』。『素人仲間にて売買すること』意味とある。かわす→かーすこーすこすと変化したか単に『遣す』の意味か。
□△〜ごす 【助動】〜ございます ございます→ござんす→ごわんす→ごわす→ごんす・がんす→ごす・がす→ごっす
『有難う御座いました』を岩手では『ありとがした』、福井では『ありとごいした』と言う。鹿児島では『〜ですよ:ござるぞ』を『ごあんど・ごわんど』と言う。
がす:秋田・岩手・茨城。
〜がんす:岩手・秋田・山形・茨城・群馬・広島。
〜ごあす:岩手・鹿児島。
〜ごあんど:〜ございますぞ:鹿児島。
〜ごいす:青森・山梨・福井。
〜ごす:青森・福島・群馬。
〜ごわす:岩手・長野・大阪・鹿児島。もうしわけごわしね:申し訳ない:長野。
〜ごわんす:福島。
〜ごゎんす:徳島。
〜ごわんど:〜ございますぞ:鹿児島。
『浮世』(P20)に『難治の症でごっす。』とある。
以下『国誌』掲載語。
さよーでごす:そうで御座います。
よーごす:よう御座います。
わるーごす:悪う御座います。
それでごす:それで御座います。
これでごす:それで御座います。
いやでごす:嫌で御座います。
うそでごす:嘘で御座います。
ひどごす:酷う御座います。
なんでごす:何でございます。
△▽こすい 【形】@狡い、ずるい、Aせこい、けちである 標準語だが死語になりつつある。関東・中部・近畿地方などでは@を『すこい』とも言う。
こしー:神奈川。
こすい:栃木・埼玉・群馬・東京・神奈川・長野・山梨・静岡。神奈川では『少ない』意味でも使われる。
こすい:小さい:静岡。
こずい:けち:静岡。
こすく:少なめに:神奈川。
こすっかき:けちな人:神奈川。
こっすい:群馬。
@・ずこい:群馬。
すこい:福島・山梨・静岡・福井・奈良・和歌山・大阪・兵庫・岡山。
すこえ:すばしっこい:山形。
すけー:静岡。
どすこい:奈良。
ごすい 墨を解かす水の容器、文房具の水入れ 『集覧:新・鹿』。『御水』の意味か、または『墨水』の意味か。
ごす:屑炭:東京多摩。
こーずい 好物 『好事』(こうず:かわった物事を好むこと。風流を好むこと。ものずき。)または、『好き好き』の意味。『大好物』は『だいこーずい』
こーすいば
こーすば
こーすりば
【複】こうすれば
(個数の数え方) 古い個数の数え方は、ひとつ、ふたつ、みつ、よつ、いつつ、むつ、ななつ、やつ、ここの(ここのつ)とを、茨城弁では『ひとづ・ふとづ・ひとっづ・とーづ・とーつ・とっつ、ふたづ・ふたっづ・たーづ、たーつ・たっつ、みっづ、よっづ、いづづ・いづっづ、むっづ、ななづ・ななっづ、やっづ、こごのづ、とー』
こすからい 【形】狡い、ずるい、せこい 標準語だがあまり使われないようになってきている。『狡辛い』。・
(ごーずき) この上なく好むこと 神奈川。
こすくせー 【形】狡い、ずるい、せこい 『こすい』+『臭い』。
こすったい
こすってー
【形】くすぐったい 良く使われた言葉。
こす 【動】くすぐる 東北系の訛。
こしくる:こする:山梨。
こす:山形。
こしる:こする:山梨。
こす 【形】ちょっと凄い ★『土』:そんでもまあ到頭(たうとう)遁(に)もしねえで居(ゐ)らったんだから、家(うち)でも持(も)ってかれたものからぢや運(うん)ええのせえ、まあ晝間(ひるま)はなんちっても方々(はうばう)見(め)えてええ、夜(よる)なんぼにも小凄(こす)くってねえ
こすたれ
こすったれ
弱虫、出来の悪い人、けちんぼ 『かすたれ』
『釈名』には『糟:こす也。さけをこしたる後は、かすとなる。』とある。
こすったれや:ずるい人:神奈川。
こすっ:けちでずるい人:山梨。
こずっかい
こずっけー
こずっ
こすっ
【形】少し酸っぱい
こすっからい
こすっかれー
【形】狡い、ずるい、せこい 『こすからい(狡辛い)』。『こすい』の同義語。
こすっかき:けちな人:神奈川。
こすっからし:ずるい人:神奈川。
こすっかれー:東京三鷹・東京武蔵村山・神奈川。
こすったれや:ずるい人:神奈川。
こすっけ
こすっけー
こすっこい
【形】狡い、ずるい、せこい 『こすい』の転。『こすっこい』が転じて『こすっけー』に変化したと考えられるが、こすっけは八丈方言の形容詞の連体形と同形であり、これは、古代関東方言の流れで、茨城ではやがて終止形にも使われるようになったとも考えられる。
こしっけー:神奈川。
こすっけー:群馬。
こすっぼ
こすっ
こすぼ
こすぼー
こすんぼー
けちんぼ、狡い人 こしごろ:鹿児島。
こすぼ:鹿児島。
ごすてー 『ご肢体』。
ごすてー:風采:神奈川。
ごすてー 【形】体が大きい、ごつい 『ごつけー』がさらに訛ったものか。
(ごすとおきい) 【副】起き掛けに 鹿児島。
こすねる 【動】くすねる、かすめる
こずみ 砕けて粉状になった炭 『粉炭』。
ごす:東京多摩。
ごず:神奈川・長野。
ごずずみ:神奈川。
ごずみ:神奈川。
こずみ:底の方に溜まった屑・かす:山梨。
こずみ:積む:静岡
(こずむ) 【動】偏む 死語となった標準語。茨城では消えてしまった。
辞書には『@かたよる。傾く。特に、馬がつまずいて倒れかかる。A一つ所にかたよって集まる。ぎっしりと詰まる。混む。B筋肉が凝(コ)る。C気持が暗くなる。心持ちがねじれてくる。』とある。
こずなる:一箇所に群れ集まる:山梨。
@愛知では『沈む』意味で使われる。
A・こずむ:新潟。
こずむ:沈殿する:長野。
こずむ:雪が積もる:福岡。
こずむ:積む:大分・宮崎・佐賀・長崎。
(こすら) 【副】凡そ 神奈川。
△こする 【動】当てこする、かこつけて皮肉を言う 『擦る』。やや古い標準語。
こする:群馬・静岡。
こずるい 【形】少しずるい 良く使われる言葉。
こずるい:栃木。
こずるけー
こずるこい
こずるっけー
こずるっこい
【形】狡い、ずるい
こせ
こせー
ものの出来栄え、作り こりゃいーこせーだ:こりゃあ良い出来だ。
このうぢはこせいがい:この家は造りが大きい。
ごーせ 【形動】@豪勢、A強勢 『ごうせい』なら標準語。『豪勢』(@すぐれた勢い。すぐれた威勢。Aぜいたくで立派なさま。費用が多くかかっているさま。)、『強勢』(@勢いの強いこと。強い威勢。A甚だしいこと。はげしいこと。)。
県内には『乱暴』の意味で使う地域がある。
こぜい 少人数 『小勢』。
(こぜいの・ごぜんのー) 瞽女 静岡。
こせーかだ
こせーっかだ
作り方
ごせーでやんすね
ごせーでやすね
【慣】御精がでますね 野良仕事をしている人にかける挨拶言葉。親しい場合は『せーでんね』
ごせーでる:神奈川。
こせ 若い人を罵って言う言葉 標準語。
こーせぎ 後ろの席 『前席』に対する語。『前後席』という言葉はあるから、『後席』という言葉もあるだろうと思うのだが、辞書には無い。ネットを調べると『後席』はかなりヒットする。読みは『ごせき・こうせき』の二つがある。何故このようなことになっているかは不明である。
土浦では今でも『こうせき』が訛った『こーせぎ』が使われる。
こせこせ つまらないことにとらわれて、落ち着きのないさま。 ・こせっか:山梨。
こせ
こせー
@物を作る作業、A裏工作、B作り話、嘘 B古語の『こせ言』は、『巧みな言いかけ。洒落。』。
こせつぐ
こせつく
【動】こせこせする こしぇる:作物の成長が遅れる:山形。
こせつく:静岡。
こせーつける 【動】擦り付ける 『こしらえ付ける』(作って押し付ける)意味か。
こせつける:神奈川。
ごせっ 非常に腹の立つこと、業腹 『俚言』には『ごせやく:南部及ひ北越後にて立腹のこと。』とある。
『大言海』には『仙台にて腹の立つことを後世がやける、後世腹がやけるといふ。後世の業を焼く意なり』とある。
ごせっらやげる 【動】腹が立つ 『大言海』には『仙台にて腹の立つことを後世がやける、後世腹がやけるといふ。後世の業を焼く意なり』とある。
ごしぇっらやける:宮城。
ごしっらやげる:宮城。
ごしっらける:宮城。
ごしゃぐ・ごしゃく:怒る:秋田・岩手・宮城。『後世焼く』意味とされる。
ごしゃっらげる:岩手・山形・宮城。
ごしょっらげる:宮城。
ごすらやげる:宮城。
ごせっらたつ:栃木。
ごせっらやく:宮城。
ごせっらやげる:宮城・福島。
ごせっらやける:宮城・福島。
ごせはらやける:山形・宮城。
(ごせっー・ごせっ 【形】心安い、すがすがしい、せいせいする様 静岡。
(ごせっくない) 【複】せいせいしない、うるさい 静岡。
ごーせに
◎ごーせーに
【副】@遣りすぎなほど派手に、A豪勢に、B手荒く、勢い良く 豪勢の意味が転じて悪い意味でも使う。
ごぜのぼ
ごぜのぼー
@瞽女(ごぜ)、Aめくらごぜのおっかけをする人 『瞽女(ごぜ)』とは『盲目の三味線引き』のことで『盲御前(めくらごぜ)』の意味。『おっかけ』の呼称。『ごぜの坊』の意味だろう。『ごぜさま』とも言う。茨城方言集覧では旧久慈郡の方言で『瞽女』そのものの意味で紹介されている。岩手では瞽女(ごぜ)を『いたこ』と言う。
『俚言』によると江戸時代には『瞽女(ごせ)』と呼んだという。
@・ごぜ:佐渡島・静岡。
ごぜのぼー:神奈川。
ごぜんさん:神奈川。
ごぜんのー:神奈川・静岡。
ごぜんぼー:神奈川。
こーせば
こーせーば
【接】こうすれば 若い人は殆ど使わないことば。
ごぜーます 【助】〜ございます 典型的田舎言葉。テレビドラマ水戸黄門で光圀が田舎爺に扮したとき使われた方言。
ごぜーます:神奈川。
ごぜいます:静岡。
ごせやぐ
ごせやく
ごせやげる
ごせやける
ごせーやける
【動】腹が立つ、いらいらする、むかつく 県西から県北の訛り。土浦地域では意味は解るがあまり使わなかった。『せーやげる』『せーやげる』とも言ったから『世話が焼ける』との関係も深いと思われる。
『俚言』には『ごせやく:南部及ひ北越後にて立腹のこと。』とある。
『大言海』には『仙台にて腹の立つことを後世がやける、後世腹がやけるといふ。後世の業を焼く意なり』とある。
広辞苑に『後世(ごせ):@三世の一。死後に生れ変る世界。あの世。来世。ごせい。A後生善処(ゴシヨウゼンジヨ)に同じ。』とある。
『大言海』は権威ある古い語源辞典だがいくら眺めても『後世、後世腹』のイメージが湧かない。『後世』とは極楽浄土のことであるから、もし『後世』が焼けたら、それは落胆の意味にしかならない。ちなみに『ごせはら』は辞書には無い。
キーワードは『ご』である。『ごせ』とは『五性・五姓(ごしょう)』(悟りに対する能力から衆生を五種類に分けたもの。菩薩定性・縁覚定性・声聞定性・不定性・無(種)性。)ではないのだろうか。『はら』とはそのまま『腹』で、『五性・五姓(ごしょう)』が座る場所の意味ではないだろうか。昔は心は腹にあったと思わせる言葉が沢山ある。あるいは、『せ』を単に『背』と解釈し『背から腹から体中が』の意味なのかもしれない。
ごさえやく:山形。
ごしぇやぐ:山形。
ごしゃぐ・ごしゃく:怒る:秋田・岩手・宮城。『後世焼く』意味とされる。
ごせーやける:群馬。
ごせーする:福島。
ごせはらやける:山形・宮城。
ごせやぐ:福島。
ごせやく:東北全県・福島・茨城・栃木・新潟。
ごせーやく:栃木。
ごせやげる:福島。
ごせやける:宮城・福島・栃木。
ごせをやく:岩手・新潟・福岡。
ごっしゃかれる:叱られる:宮城。
ごっしゃける:宮城。
ごーやく:新潟。『業を煮やす』。
静岡では『すっきりした・せいせいした(子どもたちが留守の時など)』を『ごせっい』と言う。この場合の『ごせ』は『後生(ごしょう):来世の安楽。極楽往生。』だろう。『後世(ごせい)』とほぼ同じ意味。
〜ごぜーやした 【助】〜ございました 丁寧語。
〜ごぜーやす 【助】〜ございます 丁寧語。『ごぜえす』は近世語だがこちらのほうが訛っている。
ござぇーす:静岡。
ごぜあーす:静岡。
こせる
◆■●こせーる
【動】作る こしらえる→こさえる→こせーるこせるこせーる』は江戸言葉。
『浮世』(P26)に『もの金を蓄(こせ)ゑべい云(て)って、山事は悪い事(こん)だね。』とある。
こさう:栃木・群馬。
こさる:群馬。
こしぇる:山形。
こしゃう:栃木・群馬。
こしゃーる:山梨。
こしる:宮城。
こせる:青森・福島。
こせーる:群馬・埼玉・群馬・神奈川・山梨。
こそわえる:静岡。
こへる:青森。
★『土』:それから雜炊(おぢや)でも拵(こせ)えべと思(おも)ってたのよ:それから雑炊でも作ろうと思ってたのよ。
★『土』:よき汝(われ)はおとつゝあが側(そば)に居(ゐ)るんだぞ、えゝか、姉(ねえ)は此(これ)から汝(われ)が衣物(きもの)拵(こせ)えんでお針(はり)に行(え)くんだかんな、聽(き)かねえと酷(ひで)えぞ。拵(こせ)えんで』は『こせえるんで』の撥音。
(こぜーる・こでーる) 【動】萎縮する、出来損なう 神奈川。原型は『応える・報える』か。
こぜわ
こせわ
ちょっとした世話、厄介
こせわやげる
こせわやける
【複】手間がかかる ★長塚節の『芋掘り』の一節:此忙しいのにあんまりのさくさして居やって小世話燒けたからよ:この忙しいのにあんまりのんびりしやがって、手間がかかるからよ。
こぜわしー 【形】なんとなくせわしい 標準語。
・こちゃわしー:やかましい:青森。
◎ごぜん @食膳・食事または飯の尊敬語、A仏壇 @『御膳』。AB『御前』。
こーぜん 香典、香料 『香銭』の意味。
こーぜん:神奈川。
▽こーせん 麦焦がし、焦がし、炒り麦の粉でできたお菓子 標準語。『香煎』。『集覧:新・西』。
こーせん:佐渡島・静岡。
★『土』:香煎(かうせん)嘗(な)めんのにゃ、笑(わら)っちゃいかねえっちけぞ、おめえ等(ら)。
こーせんか ホウセンカ 『俚言』には『こうせんか:南部の方言にてホウセンカを云。』とある。
こーせんか:岩手・埼玉・千葉・岐阜。
こーせんこ:秋田。
ごぜんさま
ごぜんさん
住職、お坊さん 『御前様』(貴人の呼称)の意味。寅さんの映画でも使われていた。一般に『午前様』は言わずと知れた酔っ払いが12時より遅く帰ること。
ごぜんちー
ごでんちー
午前中 ごじぇんちゅー:島根隠岐島。
ごぜんばし 手で食べ物をとること 『御前箸』。標準語。
ごぜんばし:神奈川・山梨。
ごでんばし:山梨。
こせんぼー カレイの稚魚 『集覧:無記載』。
こぞー 年少の男の子 『小僧』。
こぞー:静岡。
こどー:静岡。
こそー 【動】こさえる 『集覧:真』。音便形。
〜ごそ
【助】〜ごと し』の影響を受けて『ごと』が訛ったと考えられる。
まるごそもってこー:丸ごと持って来い。
〜ごそ 【助】〜こそ 〜ごそ:東北。
こそい 狡い、ずるい、せこい 『狡い』が訛ったもの。
こそったい 【形】くすぐったい 『俚言』には『こそたい』が掲載されている。江戸言葉と言える。
こじぇ:秋田。
こそ くすぐること 『俚言』掲載語。現代辞典には無いが江戸言葉。
こそ 【動】くすぐる 『擽る(こそぐる・こそくる)』。古語辞典掲載語。平安時代からの古い言葉。現代語の古形とされる。茨城ではもっぱら『こそる』と言った。近世関西語とする説もある。また、『こちょこちょ』は古くは『こそこそ』とも言った。
『浮世』(14P)に『小さい子の顎の下を擽(こそぐ)る。』とある。
『俚言』には『こそ:く文字濁、擽也。』とある。
こそ:東京・徳島。
こそくる:鹿児島。
こそぐる 【動】手直しする、修繕する 古語『こそくる』の転。
こそくり:修理:神奈川。
こそくりだいく:一人前で無い大工:神奈川。
こぞくる:東京多摩。
こそくる:神奈川・山梨・鹿児島。
こそ:一時しのぎの仕事をする:静岡。
こそこそ 【形動】@こそこそ、こっそり、A聞こえないほど小さな音のする様、Bそろそろ 『集覧:水・新』。集覧では『器等の中身が少ししか入っていない様。』とある。
B埼玉でも使われる。
こそこそ 【副】くすぐる様
こそこそばなし 内緒話、ひそひそばなし 最近はあまり聞かない言葉。
そそくそばなし:山形。
(ごぞーさ) 【感】有難う 静岡。『ごぞうさ【御造作】:饗応の尊敬語。ごちそう。おもてなし。』の意味が転じたか。
ごそつき 悪口を言う人、獄丁。 『がさつ:言動が粗暴で、ぞんざいなさま。』『がさつく:@がさがさと音がする。Aおちつかない態度・挙動をする。』の流れか。
こそつぐ
こそつく
【動】こせこせする、内緒で物事をする、こそつく
ごそつく @【動】悪口を言う、A【名】獄囚を取り扱う下級の役人。獄丁。 『集覧:新』。茨城方言集覧では、旧新治郡の訛りで、『悪しきこと又獄卒を言ふ』(名詞)とある。
A音位転倒か。
ごそつぐ
ごそつく
【動】ごそごそする、何かが動いている
こぞっこ 小僧・丁稚・年少の男子をののしっていう語。こわっぱ。青二才。 『小僧子』。
こぞっこ:東京・神奈川。
こそっと 【副】こっそり
ごそっと 【副】ごっそり ごそっと:神奈川。
ごそっともっていれちった:ごっそり持って行かれちゃった。
こそっばい
こぞっ
◆▲△▽☆こそっ
こそっべー
◆■こそっ
こそっ
【形】@こそばゆい、くすぐったい、A照れくさい、B■粗い、ざらざらしている 『こそばゆい』。東関東を中心に使われる。『こそぐる』の存在が重要である。
@・くつばいい::岐阜・京都・愛媛。
くつばかす:くすぐる:岐阜・兵庫・鳥取。
こそっ:神奈川・山梨。
こそっゃー:神奈川。
こそっ:山形。
A『集覧:那・新』。
こそっ:関東・山梨。最近調布生まれの84歳の叔母が使っているのを耳にした。『くすぐったい』と同源と考えられる。
★『土』:勘次のいい方はこそっかった
『こそばゆい』が『こそっい』に変化するのは、『しょっぱい』が『しわはゆい・しおはゆい』から生まれたのに似ている。類『かかはゆし』『面映ゆい』。
B『俚言』には『こそっ:駿河にてざらつくこと、甲斐にて肌の粗なること。』とある。
こそっばい:東京多摩。
こそっ:神奈川・山梨・静岡。
こそっ:福島・神奈川。
こそぼってー:山梨。
Cその他。
こそっ:気詰まり・気まずい:群馬。
こそっ:気詰まり・気まずい:群馬・神奈川。
こそっ:円滑でない:神奈川。
こそばい
こそばいー
【形】こそばゆい、くすぐったい こそばい:主に西日本。
こそばったい
こそべー
こそぼったい
こそぼってー
【形】こそばゆい、くすぐったい こそぼったい:ざらざらしている:山梨。
こそぼったい:いまいましい:福島。
こそぼる:くすぐる:奈良・京都。
こそぼろたい:苦々しい:宮城。
こそもそ 【副】こそこそ
◎こぞる 【動】残らず集まる 『挙る』。日常から消えた標準語。
ごだ
◎ごた
@雑魚、Aごった煮、B御託、くどくど言うこと、ごた 県内には『淡水のエビやハゼが混ざったもの。その干物。』を『ごだ』と言う地域がある。
B濁音化。茨城弁の『ごじゃ』の語源とも考えられる。
ごた:ばかげた状態:長野。
ごた:でたらめ:静岡。
ごた:愚痴:兵庫・高知。
ごた:迷信:愛媛・高知。
ごたー:山梨。
ごっと:冗談・嘘:新潟。
Cその他。
ごた:泥:佐渡島。
ごーた:がらくた:神奈川。
(こーた) 足の甲 神奈川。
こだ
こーだ
こーた
【連体】こんな 『此たる』『此にてある』。
古語の『たり』『あり』が原型で『にてある』意味である。
この場合終止形は『こなり・これなり』であり、連体形が『こなる・これなる・こんな』となる。
『あり』の別の表現として『たり』があるが、いずれも、特殊形である。
現代の標準語は、総体としての日本語の歴史からすると、極めて特殊な言葉である。
単音形は東北方言と同じ。使用頻度が少ないながら使われる。
ゎんだ:八丈島。
こだ:青森・福島。
こた:青森。
こーだ:青森。
こーた:福島。
こーと:この様:静岡。
おめこだごどはーやんだねーど:お前はこんな事をもう遣るんじゃないぞ。
こーたごどやってはいがんめ:こんなことをやっては良くない。
こーだがんな:これだもんな・こうだからな。
こーだぐ・こーたぐ・こーたく:こんなに。
こだごど・こーだごど・こーたごど:こんな事。
こーだごだ・こーたごだ:こんな事は。★こだごった・こーだごった・こーたごった:こんなもんだ。
こーだどぎ・こーたどぎ:こんな時。
はーおらこーたどごやだ:もう俺はこんなとこ嫌だ。
こーだな・こーたな:こんな。
こーだに・こーたに:こんなに。
こーだの・こーたの:こんな物・こんなの。
なんだこーたの:なにこれ!。
なんだこーたのふてっちぇ:こんなもの捨ててしまえ。
こーたなどぎ:こんな時。
こーだもの・こーだもん・こーたもの・こーたもん:こんな物。
こーだら・こーたら:こんな。
こーたらごど:こんなこと。
こーたになる・こーだんなる・こーたんなる:こんなになる。
★『土』:汝(わ)りや、爺(ぢい)が膳(ぜん)さかうだに滾(こぼ)して:お前は爺さんの膳をこんなにこぼして。
★『土』:婿(むこ)も心底(しんてい)善(よ)くってね、爺婆(ぢゝばゝあ)って、わし等(ら)斯(か)うた物(もの)遣(よこ)しあんしたよ。
★『土』:俺(お)ら先刻(さっき)見(み)た時(とき)や肥料小屋(こやしや)だとばかし思(おも)ってたな、本當(ほんと)にかうだ處(とこ)へ醉狂(すゐきゃう)な噺(はなし)よな。 
〜ごだ
〜こた
【助】〜こと(は) 『〜ごどは』
格助詞『は』により逆行同化が起き、さらに格助詞がなくなっている。『こたあ』は江戸言葉。
ことは→こたあこた・ごだ
こーたごだすんだねーど:こんな事はするんじゃ無いよ。
あんまりへんなごだゆーんだねー:あまり変なことを言うんじゃない。
いーやよぐくーごだ:いやあ、良く食べるねえ(食べること)。
そおたごだあんめー:そんな事はあるまい。
やなごだねー:嫌なことは無い。
★『土』:連れてってくろっちったっておめえ等こた迎(むけえ)に来るものもあんめえな:連れてってって言ったってお前のことを迎えに来る者も無いだろうな。
〜ごだい
〜こだいな
【助】〜事だよ 『〜ごどだや・〜ごどだやな・〜ごったや・〜ごったやな』がさらに訛ったもの。
〜ごだ:宮城。ほんどぬいがったごだ:本当に良かったねえ。宮城方言のルーツは茨城方言にあると言ってもおかしくはない言葉。
おしょすいごだ:恥ずかしいことだよ:宮城。
こだい 答え、回答 いーこだいでぎっといーこだいよ:良い答えが出来ると良い子だよ。
(こーだい) 汁椀 静岡。
(こだいか) 【複】こうだろうか 宮城。
ごだいぶるまい
ごたいぶるまい
ごでーぶるめー
葬式の手伝い衆を葬式後に慰労する振る舞い 『たいぎ』は『大儀』で『手間のかかる面倒なこと・疲れた様』を指し、転じて苦労をねぎらう言葉の『ご苦労』の意味を示す古い言葉。
おたいぶるまい:結婚式のあと花嫁が仲人や手伝いの人にお茶を出し労をねぎらうこと:群馬。
(ごたいさま) 【複】ご苦労様 静岡。
ごたいそう 【形動】大げさな様 『御大層』。
こーたいに
こーたゆに
こーたよに
【複】このように 『い、ゆ、よ』の発音は曖昧である。
ごだいぶし 足、手足
こだいる 【動】@答える、A我慢する、こらえる、B刺激等を受け痛手として強く感じる、応える、報える A『堪える』(こたえる)。
(こだえがらす) 【動】うまい事をする、大きな獲物を取る 神奈川。
鎌倉で聴取されされた方言だが、東北方言と見間違う言葉でもある。北関東以外にも東北にもありそうな方言である。『答える』の他動詞の意味でもある。
(こたえて) 【副】ひどく、大いに 神奈川。
(こた 小桶 静岡。
こだぐ
こーだぐ
こーたぐ
こーたく
【連用】こんなに、こんなに沢山 古語に『幾許(ここだ・ここた・ここだく・ここたく)』(こんなに多く)がある。万葉集の時代の言葉である。現代でも『こんなに・あんなに(沢山)頂きまして有難う御座います。』などと言う。
単音形は東北方言と同じ。使用頻度が少ないながら使われる。
こーたぐもらっちってやー:こんなに沢山貰っちゃって。
おめこーたぐしたのはなんだっなや:お前がこんなにしたのは何なんだろう。
だいだってこーたぐはしめ:誰だってこんなことにはすまい。
ごだぐ
ごたぐ
くどくどと言うこと。また、傲慢な言い分。 濁音化。『御託』。略して「ごた」ともいう。
ごたー:山梨。
(ごたくさ) ごたごた、どさくさ 東京。
こだくさん 【形動】沢山 『小沢山』。辞書には近世語とある。
こだくさん:島根。
ごだくた 【形動・名】争いごと、ごたごた 『ごたくた』
(こだくる) 【動】捏ねる 静岡。
ごだごだ 【形動・名】争いごと、ごたごた 濁音化。
こだごど
こーだごど
こたごど
こーたごど
【複】こんな事 濁音の単音形は東北方言と同じ。使用頻度が少ないながら使われる。
こだごど:宮城・福島。
こだごねる
ごだこねる
【動】駄々を捏ねる、御託を並べる、愚痴を言う 御託は『ごた』とも言う。
ごた:我儘:群馬。
ごだ:愚痴:兵庫・高知。
こだちいう:長野。
ごたちこねる:長野。
ごたまし:無骨な様:鹿児島。
ごたむく:ほざく:富山・石川。
ごだすた 【副】ごたごた
こだづ 炬燵、コタツ 濁音化。
当時の炬燵は掘り炬燵が標準。縁は置き型の縁甲板で、中央が囲炉裏のようになっていて、言わば深型の囲炉裏の上に炬燵やぐらが載っているようなもので、夏は炬燵やぐらをひっくり返して板を載せた後、畳を嵌めると畳敷きになる便利なものだった。
火種は、炭や豆炭・穴開きの練炭などが使われ、それに浅型の笊状の金網を逆さにして載せた。豆炭・穴開きの練炭は高火力だったが炬燵に使うと猫が一酸化炭素中毒になった。
こだっつ:青森。
ごだつぐ
ごたづく
【動】混雑する、ごたつく、混乱する、もめ事が起こる 濁音化。『ごたつく』。=『ごちゃつぐ』。『土浦市史・民俗編』では、『わけもなくもたつく』としている。
ごたつく:静岡。
こだっこい
こたっこい
【形】(味が)しつこい、濃い 『くどっこい』がさらに訛ったもの。『集覧:猿』。
こだっけ:明治の栃木。
こだっこい:茨城・栃木。
こたっこい:東京武蔵村山。
ごだっ 青い色をした鼻汁、あおっぱな 『ぶだっな、ぶだな、ふだっな』
こたづや 炬燵の熱源の上に置く卓 『こたつやぐら』なら標準語。
こだどご
こーだどご
こたどご
こーたどご
【複】こんなとこ 単音形は東北方言と同じ。使用頻度が少ないながら使われる。
こだどご:宮城。
こだどごおらやだ:こんなとこは俺は嫌だ。
こーだな
こーたな
【連体】こんな 『かくにてある、かくたる』。
こだな:山形。
ごだに ごった煮 『ごた煮』。
こだに
こーだに
こたに
■▲△▽こーたに
【連用】こんなに、このように 『集覧:久・鹿』。
『かくにてあるに』『かくたるに』の意味。濁音の単音形は東北方言と同じ。使用頻度が少ないながら使われる。
この方言は興味深い。ここでの『だ・た』は『たり』が変化したもので、関西は『なり』が発達し、首都圏を除く東日本は『たり』が発達したと見ることもできる。さらに、山形は関西の影響が大きい北奥羽方言に分類され、茨城同様宮城は南奥羽方言に分類される。
現代語の助詞としての『い』は『や・よ』が『え』を経て成立されたとされるから、関西の『こない』の『い』は感嘆詞から生まれた可能性もあるとも言える。また如くの意味の『様』を受けて『こな様』の意味とも取れる。別に『故』(ゆえ)の意味ともとれる。現代語の格助詞『に』はこれらの様々な意味を受け継いでいる。
茨城方言では、『様』『故』『由』に当たる助詞として『い・ゆ・よ』が使われる。
こだい:山形。関西の『こない』に当たる。
こーだえ:山形。
こーだえに:山形。
こだに:宮城・福島。
こーたに:福島。
こーとに:このように:静岡。
こない:関西。
こんなあたに:山梨。
こんねん:山梨。
★『土』:汝(わ)りゃ、爺が膳さかうだに滾(こぼ)して
ごだばなし 無駄話、雑談 『御託話』の意味。
こだま
こだま
ハマグリ漁 鹿島郡の方言。
ごだまぜ
ごだまで
【形動】ごちゃ混ぜ 『ごたまぜ』の濁音化。しかし一般には『ごちゃまぜ』が使われる。
こーだよこー 【感】こうだよ、こうして!
こーだよーに
こーたよーに
【複】このように 『かくにてあるように』『かくたるように』の意味。『こうであるように』ともいえる。
関西では主格を示す格助詞は『な』が発達した傾向が見られる。一方茨城では、主格を示す格助詞としては『は』『な』『が』は同等に受け入れられたと見られる。
こーだえに:山形。
こない:福井・京都・大阪・徳島。
こねー:岡山。
こだら
こーだら
こーたら
【連体】こんな 、『斯く(かく)にてある』『斯く(かく)たる』『斯うたる(こうたる)』意味。
ごだらぐ @愚痴、御託、Aいい加減なこと、嘘、B動作が鈍いこと、不器用 ごじゃらぐ、ごじゃらく』
こだらし 川用の小船 『集覧:那・水』。『小晒し網』が訛ったか。
ごだる 【動】雑談する 状態表現が動詞になったか『御託』の動詞形と考えられる。『駄弁』が『だべる』になったのに似ている。
ごだる 【動】体が弱る 古語の濁音化。
ごだる:粘る:岩手。
ごだっちゃう:疲れちゃう。
△▽ごーたれ 暴れん坊、業突く張り 『剛たれ』あるいは『業垂れ』か。
ごーたら:山梨。
ごーたれ:長野・和歌山。
ごーたれ:非常に多く・たくさん:長野。
ごーたれ:因果な人:徳島。
ごーったれ:東京多摩。
ごーたれる 【動】暴れる、威張る 『剛たれる』あるいは『業垂れる』か。
ごーたれる:駄々をこねる:神奈川。
ごーたれる:鳴き騒ぐ:静岡。
ごーらゆー:神奈川。
(ごだる) 【動】御座る 静岡。
こーたれる 【動】叱られる 『講じられる』意味。
こーたん @【連用】こんなに、Aこんなの、こんなもの 『かくにてあるに』『かくたるに』の意味。
@『こーたに』がさらに訛ったもの。
おめのせーでこーたんなっちったんだど:お前のせいでこんなになってしまったんだぞ。
A『こーたの』がさらに訛ったもの。
こーたんではいんね:こんなものなら要らない
こだんな 若旦那 標準語。
こだんな:静岡。
こぢ
□こち
こぢかぜ
こちかぜ
こち
こぢけ
東の風 『東風』。
くちぶち:沖縄。
こち・こちかぜ:青森・岩手・秋田・宮城・福島・茨城・千葉・神奈川・愛知・近畿の大部分:中国(広島を除く)・四国全域・九州全域。
しもうさ:江戸。
こーぢ 耕地 こーぢ:千葉。
こーぢ
こーち
低湿地、低地の田 『河内・川内』が転じたか。類似方言に『こーと・こーど・ごーど』があることを考えると『荒地』の意味と考えられる。
ごちー 【形】ごつい ごちー:神奈川。
ごぢーいんください 【慣】ご注意ください 茨城人が無理して標準語を話すとこのようなことが起きることがある。
《50円をせんでいるわけではない。》。
ごぢーかだ 五十肩
こちぎ
こちき
こちきめ
こちきやろ
こちきやろーめ
乞食、罵倒言葉 濁音化・清音化。
★『土』:乞食野郎奴(こちきやらうめ)、汝(わ)っ等(ら)親爺(おやぢ)は見(み)やれ、汝(われ)こた醫者(いしや)さ連(つ)れてく錢(ぜに)持(も)ってけつかって、此處(ここ)さは一度(ど)でも來(き)やんねえ畜生(ちきしゃう)だから、見(み)ろう。其(そ)のっ位(くれえ)だから罰(ばち)當(あた)って丸燒(まるやけ)に成(な)っちゃあんだ
こちくらっ
こちくらっ
『集覧:猿』。県西部限定の方言。土浦地域では意味は解るが殆ど使われない言葉。
こちけ 【複】退け、あっちに行け 『こっちへ行け』の意味。
こちこち 頑固な様 こちこち:栄養がある様:神奈川。
こつんこつん:神奈川。
こちこち 【副】洗濯する音、ごしごし 清音化。『集覧:新』。千葉ではサルスベリを指す。
こぢしけ 東風のしけ 『東風しけ』の意味。那珂湊市の方言。
(こうちせいり) 耕地整理 土浦市北東部の広大な田園地帯は、当時を境に日本一のレンコン産地に少しずつ変わった。その頃から耕地整理の話があった。40年を経過した2006年、ついに念願の耕地整理が完了して、上大津地区の長年の念願がかなった。トラクターで効率よく耕す田んぼになった。
ところが、昨年まであった、草が茂っ用水路(みいこ)の草はなくなったが、掬い網を用水路に入れてもザリガニすら入って来ない。コンクリート製の用水路(みいこ)に変わったためである。昔は霞ヶ浦と田んぼは一直線につながっていたのに、ついに水の管理と耕地の管理によって断絶されてしまった。
ごぢぞーさま
ごぢそーさん
ごぢぞーさんでした
【慣感】ご馳走様
こぢど
こちと
こぢどら
▽こちとら
こっぢど
こっちと
俺、我々 『此方人』『此方人等』。清音なら近世(江戸時代)からある古い標準語。当時は日常的に使われた。『集覧:新』。
こぢどほー
こっぢどほー
こぢどらほー
家の方、こっちの方 『ぢど』は清音の場合もある。『此方人方』『此方人等方』の意味。
こぢはん
こぢーはん
こーぢはん
こぢめし
こぢゅはん
□▽こぢゅーはん
3時の間食 辞書掲載語。『小昼飯』(こぢゅうはん)の意味。『小昼』(こひる)と同じ。東北・関東・信越地方の方言。
農作業は重労働なのでこれが無いと力が出ない。当時は、子供の『お八つ』に該当するものは無かったので、テレビ放送の中で『お八つ』を貰う子供が羨ましかった。
昼飯を『ちゅうはん』と言うのは標準語だが死語。
こぢはん:福島・神奈川県広域。
こぢゃ:千葉・静岡。
こぢゅはん:福島・茨城・千葉・栃木・埼玉・群馬・長野・愛知・鹿児島。
こぢゅーはん:埼玉。
こぢょーはん:群馬・埼玉・神奈川。
こづはん:福島。
ゆー:静岡。
ごちゃ
こちゃ
【形動・名】@訳のわからないこと、筋の通らないこと、未熟な様、ごちゃごちゃした様、12無理、A道理の解らない人、駄目な人、未熟者、 Bたわいのないこと、とりとめもないこと、馬鹿な事、Cうそ、でたらめ、D間違い、Eだめなもの、仕損じたもの、駄目なこと、出来そこない、F12解約 『ごじゃ』の清音形。主に女性言葉。
稲敷郡・行方郡ではさらに清音化して『こちゃ』と言う。標準語では『ごちゃごちゃ』(種々のものが乱雑に入りまじっているさま。秩序のないさま。)がある。
『ごじゃ』『ごちゃ』がどちらが原型かは不明。
(こーちゃ) 【複】この頃 静岡。
こちゃこちゃ 【形動】こじんまり こちゃんびー:小さい:神奈川。
ごちゃこねる
ごちゃーこねる
【動】@馬鹿なことをする(言う)、A馬鹿なことをして(言って)邪魔する、ぐずる 『集覧:行』。茨城方言集覧では旧の方言で『殊更に妨をすること』の意味で紹介されている。
こちゃす 【動】破る、壊す 『ごじゃす』の清音形。真壁郡・稲敷郡の方言。『ちゃす』は『潰す(つやす)』が転じたもの。
ごぢゃつぐ 【動】ごちゃつく、ごちゃごちゃになる、ごたつく、混乱する、もめ事が起こる 『ごだつぐ』
■▼ごちゃっ
ごちゃっ
『ごじゃっの清音形。主に女性言葉。
ごちゃまかす 【動】ごまかす、でたらめを言う
ごぢゃまぜ
ごぢゃまで
ごちゃまぜ ぐしゃん:山梨。
ごちゃまん
ごちゃまんと
【副】沢山 標準語の俗語。高知では『こぢゃんと』と言う。
ごちゃらく いい加減なこと、嘘、御託、文句 『集覧:稲』。
茨城方言集覧では『真偽分からぬということ。』とある。
ごちゃらっ 道理の解らない人、駄目な人、未熟者、馬鹿、どじ、間抜け、でたらめ、できそこない 人名化した『ごちゃ郎兵衛』の意味。『ごじゃらっの清音化。戦後間も無い頃土浦に住まわれた方の投稿による。
こーちやれる
こーちゃれる
【動】叱られる 『集覧:北・稲』。=『こんたれる』
こぢゅはん
□▽こぢゅーはん
3時の間食 『小昼飯』の意味。『小昼』(こひる)と同じ。
こぢはん:福島・神奈川県広域。
こぢゃ:千葉・静岡。
こぢゅはん:福島・茨城・千葉・栃木・埼玉・群馬・長野・愛知・鹿児島。
こぢゅーはん:埼玉。
こぢょーはん:群馬・埼玉・神奈川。
(こちょす) 【動】くすぐる 青森・岩手・宮城。
こちょばす:山形。
こぢょったい
こちょったい
こちょってー
【形動】くすぐったい
こぢょ
こちょ
【動】くすぐる 全国的に散在する方言。
こちょくる:山梨・鹿児島。
ちょこ:大分・宮崎。
ももす:山梨。
こぢょこぢょ
こちょこちょ
【形動】くすぐること(様)
こちょろ 第五の櫓(ろ) 『集覧:無記載』。『五梃櫓』(ごちょうろ)の意味。『梃』は櫂の本数の単位。
ここでの櫓は和船用の櫂(かい)のこと。
こぢらもごめんなせー 【慣】こちらこそ失礼しました
(ごちる) 【動】うどんなどがのびる 長野。
(こぢんちぇ) 【形】とても小さい 福島。
茨城でもあり得る方言だが聞いたことが無い。
(ごっ) 茶碗 鹿児島。
(こっ) 昆布 鹿児島。
こっ〜 【接頭】 形容詞の頭に付ける接頭語。本来は『小』で『少し』の意味のはずだが、中には強調されているものもあり、その場合は『酷』の意味か?。『小っ恥ずかしい』。標準語にもある表現だが、茨城弁では多用される。
『こっ』は、本来は『ちょっと』の意味の接頭語だが、近年では強調語の意味が強くなっている。
こっつぁむい:少し寒い。
こっ〜 【接頭】 強調語、『こん〜』の転。
(〜ごつある) 【複】〜ようだ 『如くあり』。
〜ごたる:長崎・宮崎。
〜ごっ:〜ように:宮崎。
〜ごつある:大分。
〜ごと:〜ように:佐賀・長崎。『如し』。
〜ごとある:熊本。
ごづい
ごっつい
【形】@角がとれていない。武張っている。やぼである。Aがんじょうそうである。角張ってごつごつしている。B手ごわい。荒い。C程度が甚だしい。 『ごつい』。各地で微妙に異なった意味で使われる。
本来は形容詞だがCの場合副詞としても使われる。
(こつい) 【形】小さい 静岡。
広辞苑に『こつい:こまかい。けちだ。』とある。どうやら『狡い(こすい)』と同源のようである。
こづがい
こつかい
こつけー
@小遣い、A小使 濁音化・清音化。
A・こつかい:青森・八丈島。
こっかいぎえん 国会議員
こづがいさん
こづかいさん
こつかいさん
当時の学校で雑用を担当した職能の呼称、用務員さん 辞書不掲載だが古い標準語だろう。
こっかせ 【動】急ぐ 『かせがさらに訛ったもの。
こっから 【複】ここから 辞書不掲載だが標準語の俗語として使われる。『そっから』(類)。
こっきし @【副】これきり、A【接尾】かぎり、きり
こっきたねー 【形】汚い、薄汚い
こっきち 物分りの悪い人、特に短気な人
こづぎまーす 【動】小突き回す、こき使う
こっきし
こっきり
@【副】これきり、A【接尾】かぎり、きり @『きっかり』。
A『こっきり』は標準語。
こっきり:群馬・静岡。
じーんこっきり:十円こっきり。
(こっきらっこ・こっけらっこ・こんきらこ) 出会い頭にぶつかる事、鉢合わせ 神奈川。
こづぐ
■▲△▽こづく
こつく
【動】@つつく。げんこつで打ったり、おさえてゆすぶったりする。Aいじめ苦しめる。 『小突く・小衝く』。『集覧:稲・鹿』。行方郡では『こすく』とも言う。
こつく:八丈島。
こづく:細かくする:神奈川。
こづく:山梨。
こつぐったい
こつぐってー
【形】くすぐったい こっつたい:岩手。
▽ごーつくばり 強情で人に従わないこと。ひどく欲張りでがんこなこと。また、そういう人。ごうさらし。(広辞苑) 『強突張り・業突張り』。『集覧:新』。
何故方言扱いされているかは不明。
ごー:いじめる:東京多摩。『げ』が濁音か鼻濁音かは不明。
ごーつくばかり:東京多摩。
ごーつくばり:神奈川。
こっくり しゃっくり
(こっくり) 【副】すっかり 静岡。
こっくり
こっくりと
【副】硬いものがぶつかる様、ごつんと 『集覧:新』。
こっくりやる
こっくりこっくりやる
【動】居眠りする、こっくりする 準標準語。
ごつけー 【形】ごつい 『ごつこい』
こっけ
こっけー
この位
こづげー
こつけー
小遣い こっけ:鹿児島。
こづげぁ:秋田。
こつけぁ:秋田。
こっけぜん:鹿児島。
こづげー
こつけー
小使 こづけい:長野。
こっけし このくらい、これだけ、こっきり 『集覧:稲』。=『これかし・こんけし』
こっけしか
こっけーしか
この位しか
こづげーせん
こつけーせん
小遣い銭
こっけーばし
こっけーばっかし
これだけ、こればかり 二重表現。『この位ばかり』の意味。
こっけん この位、これしか 『集覧:稲』。
こっこ @鶏、A鳥、B子供や卵の総称 幼児言葉。
@・こっこ:神奈川。
A・ここ:佐渡島。
B・こっこ:子供・赤ん坊:福島
ごっご
ごっこ
汽車 幼児言葉。擬音語。
ごっご
ごっこ
ごっごめ
ごっこめ
お化け 幼児言葉。語源不詳。『集覧:新』。
東茨城郡・真壁郡・稲敷郡では『ごんごん・ごんごんめ』と言う。
ごっご
□△ごっこ
『集覧:鹿・久・水・那』。
おし→おしこごしこごっこ
『方言学概論』に『こっこ(どもり):東北全県・茨城・千葉・東京。ここ・こっこー・ごこ・ごっこ・ごっこー等とも。』とある。
ごこ:どもり:青森。
ごっこ:どもり:北海道・青森・岩手・秋田・宮城・福島・千葉。
ごっこ:茨城・栃木。
ごっこ:お手玉:愛知。
こっこめぐ:どもる:秋田。
こっこ 【代】ここ
っこ 【接尾】『競(くら)べ』の転じたもので一緒に競い遊ぶ意味 ex.『鬼ごっこ』『電車ごっこ』。ただし標準語の方が使用範囲が狭い傾向がある。
はしりっこ:かけっこ。
ままっこ
ごつこい 【形】ごつい
こっこおげ
こっこげ
こっこけ
小桶 『集覧:久』。『こっこけ』は栃木でも使われる。
『小桶』が訛ったとは考えにくい。不思議な言葉だと思っていたら、桶は古くは曲げ物で『麻小笥・苧桶(おごけ)』と呼ばれたという。『小おごけ』ならこの方言に訛りそうである。
ごっこごっこ
ごっごど
ごっこど
ごっこと
【副】どんどん、早く、さっさと、ぐいぐい ぐっぐぐっぐ、ぐっくぐっく、ぐっぐど
、ぐっくと』
ごっこぜみ
ごっこめ
メスの蝉 『唖蝉』。
ごっさ
ごっさー
【助動】ございますわ 『集覧:新』。
ございますわ→ございまさあ→ござんさあ→ごっさーと転じたと考えられ、近世江戸語の『ごっす』に『』がついた形。
こっざいる
こっさいる
こっさえる
【動】こさえる 『集覧:新』。
こっさむい
こっさみ
こっさみー
【形】薄ら寒い 『小寒い』。
こっさむい:すごく寒い:東京青梅。
ごっさら 【副】沢山、ごっそり、どっさり
〜ごっさら 【複】ございますか 『集覧:新』。近世語の『ごっす』(ございます)が母体になった言葉。
★『土』:勘次(かんじ)さんこと欲(ほ)しくつて後(あと)へ残(のこ)してくの辛(つれ)えんだごっさら。
★『土』:さうだごっさらよなあ、そりゃさうとおめえさん何處(どこ)だね
〜ごっされ 【複】〜なさい 近世語の『ごっす』(ございます)が母体になった言葉。『〜ござれ』。
〜ごぜ:宮城。
こっざーる 小笊 『集覧:久』。
こっし 丁寧語。こちらの子供さん。
こっしぇーる 【動】こさえる
っしゃ 【助】〜ごと、〜も一緒に しら。近世語の『〜ぐち』と同源。
ぐち→ぐし・ごし→ぐしら・ごしら→ごっしゃ。
ごっしゃ 【形動】混ざっている様、ごっちゃ
こっしゃいる
こっしゃえる
【動】こさえる
(ごっしゃかれる) 【動】叱られる 宮城。
こっしゃ 丈(タケ)を調節するため、子供の着物などの腰の部分に縫い上げをすること。(広辞苑) 『腰揚げ』。
(ごっしゃける) 【動】腹が立つ 宮城。
ごっしゃにする 【動】一緒にするする、ごっちゃにする
ごっしゃまぜ 【形動】ごちゃ混ぜ
こっじょー 根性 千葉方言に特徴的な、撥音の促音化。稲敷郡の方言。
ごっしょー 【慣】御座いましょう 『集覧:新・水』。=『がしょー』『ごわしょー』。『ごっす』は近世語。
〜ごっす 【助動】〜ございます 近世語。
ごっすき 【形動】病気全快 『御すっかり』『御すっきり』の意味。
ごっすきとしやしたか 【慣】病気は治りましたか 『集覧:多』。
『御すっきりしましたか』の意味。
こっすり 【副】こっそり
(ごっせー) 【複】御覧なさい 静岡。
こっせー 作り事
こっせる
こっせーる
【動】こさえる
ごっぞ
ごっぞー
ごっそ
ごっそー
ご馳走 『集覧:久』。
『民俗』には『集覧』出典で『ごっぢ』が掲載されている。古い俗語の『ごち』が訛ったものだろう。
『馳走』は上代は、もともと『かけはしること。奔走。』の意味で近世に『@あれこれ走りまわって世話をすること。A(その用意に奔走する意から) ふるまい。饗応。』となり、今では『立派な料理。おいしい食物。』になった。
ごっそ:埼玉・神奈川。
ごっそー:青森・静岡。
ごっとー:静岡。
ごっそさま
ごっそーさま
ごっそさん
ごっそーさん
【慣】ご馳走様
ごっそさんでがした
ごっそさんでやした
【慣】ご馳走様でした
ごっそさん
ごっそさんでした
【慣】ご馳走様でした
ごっそする
ごっそーする
【動】ご馳走する、おごる
ごっそになりやした
ごっそになりやんした
【慣】ご馳走になりました
ごっそら 【副】沢山、ごっそり、どっさり 『こっそら』が濁音化しただけで意味が全く変わるのは、標準語と全く同じ関係である。
こっそら 【副】こっそり
(こっそら) 【副】凡そ、殆ど 神奈川。
ごった 【形動】乱雑なさま。ごたごた。ごっちゃ。 やや古い標準語。近年では『ごっちゃ』の方が多く使われる。動詞形では『ごったがえす』が残り『ごっちゃがえす』とは言わない。ただし『ごたごた、ごちゃごちゃ』はある。
ごった:東京多摩・静岡。
ごった:ごった煮:神奈川。
ごった:ぬかるみ:東京多摩。
ごった・ごったぐ:寝て騒ぐこと:山形。ごったかえす・ごったぐかえす:寝て騒ぐ。
こった 【複】大変だ。 『事だ』。
こっだ
こった
こーっだ
こーった
【連体】こんな 『斯く(かく)にてある』『斯く(かく)たる』『斯うたる(こうたる)』意味。
こった:青森。こったどご:こんな所。こったでった:こんなだった。
こったなごっていーのが?:こんな事で良いの?。
こったに・こっだに:こんなに。
こったにもらってこしぬげちった:こんなに貰って腰が抜けてしまった。
こったげたぐさんいだだいでいーのげ:こんなに沢山頂いて良いのですか。
こったどご:こんなとこ。   
こっだ
こった
【複】ここだ 『こっだ』。古い言い回し。
〜ごっだ
〜ごった
〜ごったー
〜こった
【複】〜ことだ ゆったってごった:言ったということだ。
やなごった:厭だ。清音なら標準口語。
やなこった:嫌だ。
それはいーごったな:それは良い事だね。
っだ
った
【複】〜(な)ような、〜(な)ことで 『如くにてある』。
『事』『如』は、もともと同じ言葉と思わせる言葉。
っだ
った
【複】〜のようだ、〜らしい、〜だろう 『如くにてある』。
った:岩手・秋田。
〜ごったい
〜こったい
〜ごったや
〜ごったよ
【複】〜事だよ やなこったい:嫌だ。
(こったい) 【形】大きい 新潟。
こったい
こってー
【副】たいてい、大概 『こっ』は接頭語。
〜ごったが
〜ごったか
【助】〜ことだろう、〜ことやら 『ことだか』が訛ったもの。
どーなるごったが:どうなることやら・どうなることだろう。
〜ごったがら
〜こったがら
【複】〜事だから
(ごったく) 御託 神奈川。
こったぐ 【複】こんなに こんまく:沢山・多く:神奈川。
だいだー、こったぐちんくせーのすぎなのは:誰だ、こんな小さいのを好きなのは。
こったげ
こった
こったけ
【複】こんなに、これだけ 『集覧:真』。ラ行音が嫌われ促音化する代表例。また、『〜丈(だけ)』は古くは清音だった。
こったげ:千葉。
こったけ:茨城・千葉。
こったげいーこめだらばいーねになっ:これだけ良い米なら良い値段がつくだろう。
ごったーす 【動】ごった返す ごっちゃーかえす:静岡。
ごったすった 【副】@ごたごた、A混んでいる様 ごったくさ:乱雑な様:神奈川。
こっだな
こったな
【連体】こんな こただに:こんなに:青森。
こったに 【複】こんなに こただに:こんなに:青森。
ごったまぜ 【形動】ごちゃまぜ 標準語だがまず聞かない。
こっだら
こったら
こーったら
【連体】こんな 『此にてありたる』『斯くたる』意味。
『こったら』はテレビドラマ水戸黄門で光圀が田舎爺に扮したとき使われた茨城方言。
もともとは『こーたる』。
こったら:山形。
こったらに:こんなに:青森。
〜ごったら
〜こったら
@〜ことなら、A〜(する)なら、〜(する)ようでは、B【助】〜(ことだ)ろう @・〜ごったら:〜ことなら:秋田・宮城。
そったごったらやんねほいー:そんな事ならしない方が良い。
A・〜こったら:〜(する)なら:宮城。いくこったらえかえわ:行くなら行きなさいよ。
〜こって:〜(する)なら:宮城。
B『事にてあるらむ』意味。
そーたごったらどおもってだよ:そんなことだろうと思っていたよ。
ごったり 【副】沢山、大勢
こったりない
こったりねー
こったんにぇー
こっだんねー
こったんねー
【形】少し足りない、少し頭が足りない
こったんにー
こったんねー
馬鹿、のうたりん
こっぢ 【代】こっち 『此方』。濁音化。
こっぢー
こっちー
【複】こっちへ こっちー:静岡。
こーっちいやれる
こーっちいわれる
【複】@叱られる、A来いと言われる @『こうだって言われる』意味。
こっぢ
こっち
こっちか
こっちかー
こっちっか
こっちっかー
こっぢっがー
こっちっかわ
こちらの端、こちら側、こちらの方 こっち:東京青梅市。
こっちっかー:東京青梅市。
こっち
こっちかし
【形動】こっちの端、こっち側 『がし・かし』は、『岸』あるいは『〜が端』の意味か? それとも『こっち側の端』の意味か? 『こっちかし』は、最近神奈川在住の60代前半の男性から2回に渡って聞いた言葉。関東方言か?。ちなみに伊豆では『こっちし』と言う。上方落語にも残る言葉なので、近世語と考えられる。 
こっち:静岡。
こっちかし:神奈川静岡。
つこでっとちゃぶれっちまーがらこっちしもってで!:落ちると潰れてしまうからこっち側を持ってて!。
こっちがだ
こっち
こっちかだ
こっちかた
【形動】こちらの方 清音形は標準語と考えられる。
こっちかた:群馬。
こっちぐぢ
こっちくち
こちらの方
こっちぐらっ 土浦ではマイナーな言葉。
こっちーる
こっぢーる
こっち
【動】ちょっと間違う 『こ』『違える』。
こっぢこ
こっちこ
こっぢいこ
こっちいこ
こっちーこ
こっちーこー
【複】こっちに来い こっちーこー:山梨。
こっちこよ
こっちこーよ
こっちいこーよ
こっちーこーよ
こっちにこー
【複】こっちに来いよ こっちにこー:神奈川。
こっちし 【形動】こちらの端、こちら側、こちらの方 『こっちし』の短縮形。
こっちと 『此方人』。江戸言葉の代表。
こっちとー:山梨。
こっちとら 私達 『此方人等』。
こっぢな
こっちな
【代】こっちの こっちのなを:こっちのを:静岡。
こっぢなてー
こっちなてー
こっぢのてー
こっちのてー
こっちの人 複数形は括弧がつく。
こっちばだ
こっち
こっち
こっぢべだ
こっち
【形】こっちの端、こっち側 『こっちだ』は標準語を話す人には発音が難しいだろう。
(こっちまー) 【動】食らう 静岡。
こっちむぎ
こっちむげ
こっちの方を向いていること、こっちに相応しいこと
ごっちゃ ごちゃまぜ 標準語
ごっちゃかえす・ごっちゃぐかえす:事を掻き立て面倒にする:山形。
ごっちゃーかえす:ごった返す:静岡。
こっぢゃ
◎こっちゃ
こっち 清音形は近世語。現代では関西方言。本来は『こっちに』の意味。
『聞書』によれば、江戸では『こっち』、浪花では『こっちゃ』とある。
宮城でも茨城でも使われることから、江戸以前は全国的な言葉だったとも考えられる。また民謡でも『こちゃこい』は有名で、『こちをや』が残ったと考えられる。
こちゃ:こっちへ:青森。
こーちゃ:此の頃:静岡。
こっちぇん:こっちに:鹿児島。
こっちさめ:鹿児島。
こっちゃ:青森・秋田・宮城・福島。
こっちゃん:こっちに:鹿児島。
こっちゃ 【複】@懲りた、A(肩が)凝った @・こっちゃ:福島。
(ごっちゃー) 【形】重々しい 静岡。『ごつい』が訛ったか。
(こっちゃく) 生意気 静岡。『小癪』が訛ったか。
こっぢゃこ
こっちゃこ
こっちゃこー
こっちゃーこー
【複】こっちに来い 『集覧:多』。
こっちゃこー:岩手。
ごっちゃす 【動】壊す、潰す 古い標準語の『潰す(つやす)』の転。
(こっちゃつけーな) 【連体】生意気な 神奈川。
ごっちゃっしゃー 【動】壊してしまう、潰してしまう 『潰(つや)してしまう』の転。
ごっちゃにする 【動】ごちゃまぜにする、混乱する ごっちゃにする:神奈川。
こっぢゃべる
こっちゃべる
【動】無駄口を言う 『くっちゃべる』がさらに訛った。接頭語『こっ』+『喋る』か?。
ごっちゃまぜ
ごっぢゃまで
【形動】ごちゃまぜ
(こっちゅー) 【複】来い 神奈川。
(ごっちょ・ごっちょー) 【形動】【副】楽でない、厄介な様、骨を折る様 ごっちょ:面倒・ご苦労:山梨。
ごっちょー:面倒なこと:東京多摩。
ごっちょー:面倒・ご苦労:山梨。『ごっちょーなこんで・ごっちょーさん』などと言う。
ごっちょー
こっちょー
【形動】この上ないこと。最上。 『骨張・骨頂』。『愚の骨頂』などという。
(ごっちょきる・ごっちょーきる・ごっちょーする・ごっちょにする) 【複】@骨を折る、疲れる、A厄介になる、世話をかける 神奈川。
@・こっちょーきる:静岡。
ごっちょーし 混雑していること、ごったがえし 単に『ごったがえし』が訛った『ごっちゃーし』とも考えられる。
ごっちょけーす:混雑する:神奈川。
(こっちらねー) 【複】全く知らない 神奈川。
こっちらばぐれる 【動】しらばくれる こっちらばくれる:神奈川。
こっぢんて
こっちんて
こっぢんてー
こっちんてー
この家の人、この辺りの人
こっつぁがしー 【形】利口ぶって生意気な様、悪賢い 『小賢しい』。
(こっつぁがなし) 【複】ふざけるんじゃない 福島。
(こっつぁがね) 【形】下らない、つまらない 福島。
『小賢しくもない』意味か。
こっつぁびしー
こっつぁみしー
こっつぁむしー
【形】ものさびしい 『小寂し』。
こちゃびしね:ものさびしい・ものすごい:青森。
こっつぁみー
こっづぁむい
こっつぁむい
【形】薄ら寒い 『小寒い』。
こっつぁみー::すごく寒い:東京青梅。
こっつぁむい:栃木。
こっつぁこー 【複】こっちに来い 『こっちさこー』『こっちゃこー』がさらに訛ったもの。
ごっづぉ
ごっつぉ
ごっづぉー
ごっつぉー
ご馳走 全国的な訛り。
ごっちょ:青森・秋田。
ごっつぉ:山形・福島・千葉・東京。
ごっつぉー:秋田・宮城・山形・福島・群馬・新潟・静岡。
おーごっつぉになりやした:大変ご馳走になりました。
ごっづぉさま
ごっつおさま
ごっつぉさま
ごっつぉーさま
ごっづぉさん
ごっつぉさん
ごっつぉーさん
【慣】ご馳走様 土浦の日常会話の代表語。『ごっつぁん』は相撲言葉でもある。
奈良では『きっちりと正座する』を『ごっつぉーさんにすわる』と言い『ごっつぉーさんに座っとらんと、おたびらかきーな』(正座していないで胡坐をかきなさい:ふるさと)などと言う。
ごっつぉさん:宮城・栃木。
ごっとーさん:静岡。
ごっそさま・ごっそさんでした・ごっつぉーになりやした(男)。
ごぢそうさまでした(女)。
★『土』:どうも御馳走樣(ごっつぉさま)でがした:どうもご馳走様でございました。
ごっつぉーになりやした 【慣】ご馳走になりました
こっづぐ
こっつぐ
【動】小突く
ごづっこい
こつっこい
ごつっけー
【形】ごつい
(ごっづち) 金槌 鹿児島。
(ごって・こってうし) 牡牛 長野。『うなめ・おなめ』の対語。
近世語に『特牛;こってい・こといのうし・こというし・こっていうし・こっていうじ(重荷を負う牡牛。強健な牡牛。)』がある。
こってい:佐渡島。
こって これで 『集覧:北』。『此にて』の意味。
こってだいじぶだ:これで大丈夫だ。
って
〜こって
【複】@〜(な)ことで、〜(した)ことで、A〜()ようで、〜(した)ようで 『ご』は濁音・鼻濁音。
標準語の『其見たことか。』は、『それ見ろ。』の意味だが『其見たことにかあらん。』の略なのか、『其れを予め予測した事のようだ。』の意味とも思われる。広辞苑には、『如し』は『同一を意味する「こと」という体言の語頭の濁音化した「ごと」を形容詞的に活用させた語。従って、助詞「の」「が」および活用語の連体形を受ける。古くは「ごと」が単独に使われた。活用形の変則的用法として、副詞法には「ごとく」の他に時に「ごとくに」「ごとき」も用いられ、指定の助動詞「なり」には「ごとき」の他に「ごとく」「ごとし」からも続く。平安時代には「ごとし」は漢文訓読文に用いられ、かな文学系では「やうなり」が一般であった。現代の口語では「ごとく」「ごとき」が文章語的な固い言い方として「ように」の所に用いられる。』とある。これによれば、『事』も『言』も『如』も『毎』も同源であった可能性がある。
@・〜ごで:秋田。
そーたっていーのがや:そんなことでいいのかなあ。
A・ってー:佐渡島。
〜こって:〜事では・〜ようでは:宮城。
こっでー
こってー
【副】たいがい、大抵
〜ごっては
〜ごってや
@〜ことなら、A〜(する)なら、〜(する)ようでは A・〜こっで・こって:〜(する)なら:宮城。すっこってしさえわ:するならしなさいよ。そういうこっでしようないねえ:そういうことならしょうがないねえ。
こっでまーし
こってまーし
こっでまわし
こってまわし
@てまわしのよいこと。A気転のきくこと。 『小手回し』。
〜こっても 【複】〜(する)事でも ★『土』はあ此丈(これだけ)じゃ、また出る程のこってもあんめえよ:もう、これだけじゃあ、また出かける事(程)でもないだろうよ。
ごっでり
ごってり
【副】沢山、大勢 標準語の『ごってり』(@濃厚なさま。しつこいさま。Aいやというほど。ひどく。)とはニュアンスが異なる。
こっそく:神奈川。
ごっとい:極まる様:鹿児島。
こっとり:神奈川。
(こうっと) 【感】何かをしようとする時に発する語、さて 鹿児島。
(こっとー) 下駄の歯に付いた雪 佐渡島。
こっとせー 【形】鬱陶しい、うるさい 『小』+『鬱陶しい』。
▽こっ @木っ端、木切れ、A取るに足りないつまらないもの 近世語。現代では『木端微塵』しか使われない。
@・こっ:岩手・埼玉・群馬・東京・鹿児島。
A・こっ:岩手。
こっげんか:くだらない喧嘩:東京。『木っ端喧嘩』。近世語。
こっいめ つらい経験 『骨灰目』の意味。広辞苑に『骨灰・粉灰:@こまかにくだけること。A散り散りめちゃめちゃになること。ひどい目にあうこと。』とある。
こっ:めちゃくちゃ:東京。
こっ:難儀・骨折り:静岡。
こっ
こっ
木っ端、木切れ
こっじかぐ
こっじかく
こっちかく
【動】ちょっとした恥をかく 標準語には『大恥・赤恥』はあるが『小恥』は無い。茨城放送の『茨城弁よかっぺ教室』36回の放送で『こっずるい』が紹介された。県北の方言で概ね『小っ恥ずかしい』の意味と言う。私も聞いたことはない。しかし良く考えてみると『小恥じらい』の意味で名詞であれば理解できる。こはじらい→こっじらいこっずらいこっずるいと変化したか。そうであれば、『こっじれー・こっずれー』があっても良いはずだが、聞いたことは無い。
こっばずがしー
こっずがしー
こっずかしー
こっつかしー
【形】小っ恥ずかしい、きまりが悪い、恥ずかしい 濁音化・清音化。
『小っ恥かしい』は、辞書掲載されている言葉。『小恥かしい』が古形。標準語世界ではあまり聞かない言葉。茨城ではものすごく恥ずかしいという意味で使われることがある。標準語圏では俗っぽい響きのためか敬遠されているものと思われる。
一方、『ず』を『つ』と発音するのは、『難しい』を『むつかしい』と言うのと同じである。古語表記は『はづかし』。茨城では『はすかしー』とも言うことがあり、『ず』『づ』『す』『つ』の発音には、過去の歴史と教育や日本語の表記とも関係がありそうである。
こっずかし:福島。
こっずかしー:群馬・東京・山梨。
こっずるい:北茨城市。『よかっぺ教室』で紹介された珍しい方言。原型は『こづらい』(ちょっと辛い:文献には無い)と思われ、もともと『こっぱ(木っ端・木片)』には、『取るに足りないつまらないもの。』の意味があり、『小っ恥かしい』に対して『木っ端辛い』意味が転じたと思われる。
こっやい 【形】やや早い。少し急ぐさまである。 『小早い』。
こっ 木っ端、木切れ 『集覧:久』。『ら』は接尾語。
(こっる) 【動】殴る 神奈川・静岡。
こったれる 【動】困苦する、困り果てる 『集覧:猿』。
こっびでー
こっでー
こっどい
【形】ひどい 終止形より連用形で使われることが多い。
こっでー:神奈川。
こっどい:東京。
こっびどぐ
こっどぐ
こっどく
【副】ひどく、徹底的に 『こっ』は、本来は『ちょっと』の意味の接頭語だが、近年では強調語の意味が強くなっている。
★『土』:見(み)せしめに行(や)っ時(とき)にゃ、こつどく行(や)んなくっちゃえかねえよ。
こっ
こっ
@でしゃばり、小生意気、Aおしゃま、おませ、Bひょうきん 主として子供を相手に用いる。広域方言なので『骨灰、粉灰(こっぱい)』(@さんざんな目にあうこと。強くたしなめられること。また、そのさま。 A面倒で骨が折れること)の訛りと思われる。
田井信之氏は、『こうへる(功経)の下略こうへの転』としている。
江戸時代の方言書『片言』にも『こっー』が出てくるが、『坂東ことば』とあり、江戸時代には広く東国や関東で使われたものと考えられる。
遠藤忠男は『茨城のことば』で『小童』が訛ったらしいとしている。こわらは→こわっぱ→こわっこっ。ただしこの場合の中間形は文献には存在しない。
@・おこっ:お転婆:神奈川。
こっ:なまいき・こまっしゃくれ・出過ぎ者:静岡。
こっーこーしゃ:いらぬお世話・生意気:山梨。
こっのしんだ:生意気な:長崎。
こっやろー:なまいきもの:静岡。
A・おこっ:神奈川。
おこっ:おませ:神奈川・山梨。
こっ:山形・福島・新潟・千葉・神奈川・山梨・静岡・三重・福井・岡山・愛媛・長崎。半濁音は濁音で発音されることがある。
こっちょる:ませている:岐阜・愛知。
しゃらこっ:神奈川。
Cその他。
こっ:子供:茨城石岡。
こっ:子供が可愛い様:千葉。
こっこぎ:おしゃれな人:秋田。
(こっー) 【形】ひどい 神奈川。
こっかだる
こっきらす
こっーきらす
【動】小生意気な口を利く 『きらす』は不足する意味ではなく、『強く言う』意味で『切る』が訛ったもの。半濁音は濁音で発音されることがある。
こっきる:長野。
こっーたたく:千葉。
こっくさい
こっくせー
こっーくさい
こっーくせー
【形】@でしゃばり、小生意気、Aおしゃま、おませ、Bひょうきん 半濁音は濁音で発音されることがある。『集覧:久・新・稲』。
くっーくさい:福井。
こっくさい:栃木。
こっただぐ
こっただく
こっーただぐ
こったたく
【動】小生意気な口を利く 半濁音は濁音で発音されることがある。
(こっぺぱん) コッペパン 標準語。当時の学校給食のパン。もともとはフランス語の『クーペ』(切った)から来ている。
こづまんねー 【形】つまらない こつまねー:群馬。
こつまんねー:群馬。
こづまんない:栃木。
こづら 顔卑しめていう語 『小面』。
石川では憎らしいを『小面憎い』と言うがこれは古い言葉である。。
こっら 【代】これら、こいつら 『此等・是等』。
★『土』:わし行(い)って來(き)あんすから、此等(こっら)こと見(み)てゝおくんなせえ。
★『土』:此(こ)っ等(ら)もそん時(とき)やったから知(し)ってらな
(こつんこつん) 【形動】融通が利かない様 神奈川。『こちんこちん』。
こで
こて
【代】これ こでくれーにしねーど:これくらいにしないと。
(こて) 襦袢 鹿児島。
ごてー ご主人 『御亭』。近世語。
『俚言』には『ごて:「倭訓栞」伊勢の南方にて父のことをごてと云り。御亭主の略にや。愚按、処により人の夫を指てこてさんと云。江戸新吉原町でもさいふ。』とある。
ごで:長男:青森。
ごで:宮城。
ごて:宮城・福島・栃木・千葉・長野・岐阜・新潟・石川・福井・大分・宮崎・熊本・長崎。
ごてー:青森・岩手・宮城・山形・福島・千葉・栃木・佐渡・新潟・富山・石川・福井・長野・山梨・静岡・岐阜・大分・長崎・宮崎・熊本。
ごてさま:宮城。
ごてー 体、五体 ごて:鹿児島。
ごて:足:鹿児島。
こでー
こてー
答え こてー:福島。
こーで @腕、腕先、A腱鞘炎 『小腕』。
Aは意味が転じたものだろう。
こうで:群馬。
こーで:神奈川。
こでがら
こてから
これから 教育が行き届かなかった時代の訛り。『集覧:新』。私の祖母も時々言っていた。
(こてきたい) 鼓笛隊 当時の小中学校の運動会の生徒達の入場をリードする音楽隊。白い手袋をはめた旗手を先頭にした音楽隊の呼称。当時は管弦楽はまったく普及しておらず、旗手の次は、笛(リコーダー)、当時流行ったピアノとハーモニカをミックスしたハミニカ・ハーモニア、アコーディオン、小太鼓、大太鼓が定番だった。
ごでーぶるめー 葬式の手伝い衆を葬式後に慰労する振る舞い
こで 【連用】こんなに
こでこで
▽ごてごて
こてこて
【副】濃厚でくどいさま、沢山あるさま 『こてこて』『ごてごて』。
こでさぎ 小手先、手の先
こでさんねー
こでーさんねー
【複】うれしくてしょうがない、美味くてしょうがない 古い言い回し。『答えする』の活用形の一つで『答えされない』(答えられない)意味。
こてーされん:山梨。
こてさんね:長野。
こてさんねー:長野。
こてーさんねー:埼玉・東京青梅。
(こてじばん) 筒袖の半纏 神奈川。
こて:襦袢:鹿児島。
ごてっ:羽織の形をした木綿の綿入れ:神奈川。
ごでっしゃり
こでっちり
【副】沢山、どっさり、ごってり こってさら:山梨。
ごで:千葉。
こでーさま:山梨。
こてっさら:山梨。
ごでっしり:福島。
こでっしり:福島。
ほてーさら:山梨。
こでっちゃー
こてっちゃう
【複】(体等に)答える 『答えてしまう』意味。
ごでっと
ごでっど
【副】どすんと座る様子
こでっやい 【形】素早い、手早い こてっ:速く・すぐに:長野。
こでっ
こてっ
わき腹 『集覧:猿』。
こてっ:茨城・埼玉。
こでなわ
こでなー
こてなー
手でなった細縄 『小手縄』の意味。
こぜなー・こぜなわ:神奈川。
こーてな こんな 『こーたな』がさらになまったもの。現代語の『こんな』は『これなる』が転じたと考えられるが、これは『これにてありなる』の流れと思われる。
こーてなごど こんなこと 『こーたなごど』がさらになまったもの
ごでーぶじ
ごでーぶし
足、手足 標準語の『手節』(てぶし)は手や腕のことなので『五体』『節』の意味か?。
こでまーし
こでまわし
@てまわしのよいこと。A気転のきくこと。 『小手回し』。
こでーられねー
こでらんに
こでらんにー
こでらんにぇ
こでらんにぇー
こでらんね
こてらんね
こでらんねー
こでーらんねー
【複】うれしくてしょうがない、美味くてしょうがない、たまらない、我慢できない 『答えられない・堪えられない』。江戸言葉では『こてえられねえ』
こでらんに:福島。
こでらんね:宮城。
こでらんねー:宮城。
こてらんねー:栃木。
こてーらんねー:東京青梅。
(ごてる) 【動】ぐずぐずと文句や不平を言う。ごてつく。ごねる。 東京。
(こでる) 【動】掻き回す 静岡。
こでーる
こてーる
【動】@答える、A我慢する、こらえる、A刺激等を受け痛手として強く感じる @・こてーる:山梨。
A『堪える』(こたえる)。
まちっとこでーでろ:もう少し我慢しろ。B『応える・報える』。
『土浦市史・民俗編』では、『閉口する』としている。
こでーる:神奈川。
こてーる:神奈川。
(ごてれつ) こねくる事 神奈川。
(ごでん) 午前 静岡。
こでんこでん 【形動】こてんこてん
ごでんと 【副】どすんと座る様子
こでんのさま 夏祭りに使う小学生用の神輿 『小天王様』の意味。
こでん
こでん
こてん
こでん
【形動】こてんぱん
ごど
ごどー
塵芥、落ち葉 『集覧:久・稲』。
古い時代のゴミといえば落ち葉しかない。生ゴミは地面に埋めれば肥やしになったし、藁は貴重なリサイクル商品だった。調べると『ご』とは古い言葉で『枯れて落ちた松葉』を指したと言う。
標準語の『埃所(ごんど)』は『(ゴミドコロの約転) 掃溜(ハキダメ)。ごしずい場。ごんずい場。こんずり場。』のこと。
『俚言』には『:(上略)此は、松葉の落ちたるをかき集めて焚物にするをいふなるべし。鄙人の語なり。』とある。
ごくも:塵芥:山梨。
ごぞ:山形。
ごど:山形・茨城・千葉。
・ごどお:塵芥:
ごんずり:塵芥:愛知。
ごんぞ:塵芥:富山。
ごんぞーまんぞー:塵芥:長崎。
こーと 低湿地、低地の田 『河土・河処』『耕土・耕処』の意味と思われる。
こーと:耕田:千葉。
こーど @低地の田、A■砂質の畑 上記の濁音形。
こーど:場所・区域:山形。『耕土』(土壌の最上部で、耕作され、作物の根が延びひろがる部分。)。地名に残る。
こーど:耕田・耕土:千葉。
ごーど 浅田 上記の濁音形。
〜ごど
〜ごと
〜こど
〜こと
@〜のことを、〜を、【終助】A軽い感動を示す @『事』の意味。単に『〜のことを』が訛ったとも考えられるが、『(体言に続けて) 「それについて言えば」の意。「私―一身上の都合により」』が転じた可能性もある。
『事』は『言』と同源とされる。
『〜が事を』の格助詞が略されたと考えられる。
〜ごど:栃木。
〜どご:東北。
おらおめごどきれーだ:俺はお前が嫌いだ。
あんつぁんどそったないーがだをしてはだいだ:兄さんのことをそんな言い方をしては駄目だ。
あそごのねーちゃんごどすぎになったんだっ:あそこの娘を好きになったんだろう。
あのやろおれごどぶっくらした:あいつが俺を殴った。
★『土』おつう、よきこと起(おこ)せ:おつう、よきを起こしなさい。
★土浦の民話:河童に食われた狸:なあんて可哀相なごどしたもんだ
A『事』の意味。
広辞苑には『(主に女性語で、活用語の終止形または連体形について) 感嘆・疑問を表す。「まあ御苦労な―」「それでいい―」』とある。茨城では男女共使う。
あらやだごどー:あら、嫌だこと。
よぐきたごど:良く来たねえ。
ぜーぶんたべだごど:随分食べたことねえ。
【助】@〜毎、A〜ごと、〜ぐるみ、B〜ような、〜ように、如くの、如く @三重ではっと』と言う。『ご』は濁音・鼻濁音。
A★ねっこどもってこ:根っこごと持ってこい。
B『事』と『如』は同源。佐賀・長崎では『〜ごと』、宮崎では『〜ごっ』、熊本では『〜ようだ』を『〜ごとある』と言う。大分では『〜ようだ』を『〜ごつある』と言い、
おめどにはできね:お前見たいにはできない。
こどい 【形】しつこい、濃い 『くどい』(しつこい。長々しくてうるさい。)が訛ったもの。
ごどいしょー ツクツクボウシ 稲敷郡。
ごどいも
ごといも
ジャガイモ 新潟・茨城。山口ではサツマイモを指す。
こどおさめ
こどじまい
@仕事納め、A12月8日 『事納』『御事納』。広辞苑には『古く東国で農事終了の日。陰暦一二月八日。』とある。
こどかぐ 【動】@ないために不自由する。事を欠く。Aよりによって〜する。大事なことを無視して別のことをする。 目的を達成するための手段を欠く意味。
@★するにこどかいでどーすんだやー:(道具が無いのに)どうするの。
A★ゆぐにこどかいで、こーんきおっちゃっしゃった:行くのが目的なのに、大事な耕運機を壊しちゃった。
こどぎょー 小心者 小さい度胸の意味。
こどきょー:山梨・静岡。
ごどぐ
ごとぐ
五徳 『ごとく』なら標準語。当時の台所のかまどの補助器具の定番。今のIHコンロには五徳自体が無くなってしまった。
江戸時代には『てつきう(てつきゅう)』と言った。『鉄灸』とは『(テッキョウともいい、「鉄橋」「鉄弓」とも書く) 細い鉄条を格子のようにつくり、火の上にかけ、魚などをのせてあぶるのに用いるもの。鉄架。浄、夏祭浪花鑑「火鉢にかけし―の火に成つたを追つ取つて」』のこと。
『称呼』には『鉄灸(てつきう):上総及信濃越後にててつき(てっき)と云。仙台にてごとくといふ。』とある。どうやら、生産地の南部の呼び名だったのではないか。
語源辞典には@くとこ(火所)の頭語、Aくとこ(火所)の語がありそれに戯れに『五徳』の字を当てたものか、B服飾器用の類に「徳」の字をあてることは衣服を十徳に命名したことにならうか。ごとくは五つの用がある意味。C頼朝の富士の巻狩りの折、鉄輪が砂に入って傾き、これを逆さまに据えよとの命に対して君の温情のごとくといった故事から生じた語とある。回りくどい説が多い。
ごどぐ:青森。
ごとくなり:五徳の足のように三角形に並んだ形:神奈川。
(こーどく) 【動】はびこる 静岡。
こどこい
こどっこい
【形】@(問題などが)難しい、A(味が)しつこい、B長くて鬱陶しい 『くどこい・くどっこい』がさらに訛ったもの。現在では、久慈郡で使われている。原型は『くどい』。
こど @多くのこと、A【副】全く、ことごとく 『事々』。
@以前は良く使った言葉だが、最近では重ねて使う事が少なくなった。
ごどごどいっしょ
ごどごどいんし
ごどごどいんす
ことことごいし
ごどごどごいし
ごどごどごいす
ごとごとごいん
ごとごとにーす
ツクツクボウシ 『おーしんつくつく』。擬音語。標準語とは全く別の言葉。視点を変えれば地場語同化現象とも言える。かつて私の耳にも『ちーよごどごどごいし、ごどごどごいし、ごどごどごいし、−−おこいよーちー、おこいよーちー、おこいよーちー』と聞こえた。横浜育ちの我が息子は『おーしつくつく』と聞こえると言う。
ことことのき サルスベリ 『集覧:猿』。『こちょこちょのき』の意味と考えられる。古くは『こそぐったいの木』とも呼ばれた。
ことしり 物知り 『事知り』。
こどし 今年 くんど:沖縄。
こどし:千葉。
こんど:八丈島。
こどし 正月14日・15日 『子年』の意味。
こどしゃ
こどしゃー
【複】今年は こどしゃほーねんだ:今年は豊年だ。
ごどすら
こどすら
【副】ことさら
こどする
ことする
こどーする
【複】@傷が悪化する、A大事になる 『大事になる』『大事を為す』意味。
@・こどしる:千葉。
こどだ 【複】大変だ。 『事だ』。
こどだ:岩手。
〜ごどだい
〜ごどだや
〜ごどだよ
【助】〜事だよ こまったごどだいなー:困った事だねえ。
こまったごどだや・こまったごどだよ:困った事だよ。
ことたる 【動】十分である 『事足る』。
こどづげ
こどつげ
◇ことづけ
ことつけ
こどづで
こどつで
◇ことづて
ことつて
言付け、言伝 清音形は古語。現代標準語では『言伝』が多く用いられる。歴史をたどると関東では『ことづけ』、関西では『ことづて』だったと言われる。
茨城方言の清音化は実は清音化ではなく、古い言葉を残している例。
こどっ〜 【副】とりわけ、特に 『殊に』。
こどに 【副】とりわけ、特に 『殊に』。清音なら日常標準語会話から消えつつある言葉。
こどの
こどのさま
カイコ 『集覧:久・多・鹿』。『蚕殿』『蚕殿様』の意味。
こどのさま:福島。
(言葉の成立プロセス) 哺乳類の中には、言葉に近い声を発する者がいるという。ゾウや鯨がその例である。
また、チンパンジーは、学習すれば文字(記号)を理解できると言われる。
それでは、人類の言葉の発生はいかなるものだったかは、実際は解かっていない。
しかし、全く異なる言語を話す人同士がどのように意思疎通するかを考えると、まず、代名詞から始まり、名詞が続き、動詞が加わると推測される。これに、意志・完了・勧誘・断定・推測・進行等の補助表現が加わったと見られる。
名詞が原型ではないかと考える理由は、現代でも名詞起源の動詞が続々と生まれているからである。
こどばっじり
こどばっちり
言葉尻 ことばっちり:群馬。
こどび 休日、斎日 『御事(おこと)の日』。斎日と祭日は同じ意味である。
ことび:群馬。
ことぶれ @事を世間に言いふらしてあるくこと。また、その人。A「鹿島(カシマ)の事触」のこと。 『事触れ・言触れ』(ことふれ)。
こどむ 【動】凝結する 『凝る』(こごる)。=『澱む』(おどむ・よどむ)。
こどむ:茨城・新潟・静岡・宮崎。
ことも 子供 こど:鹿児島。
こどん:鹿児島。
こどもしー 主に行事等で12〜16歳の子供達を指す 『子供衆』。『民俗』では水戸市の方言で商店等に勤める奉公人を指す。
こどもし:子供達:山梨。
(子供服と髪型) 昭和20年〜30年代は、かすり生地の布の間に綿を入れた防寒具、すなわち、ちゃんちゃんここそが主流だった。それにしてもこの写真は象徴的である。左端の子は袖がぼろぼろなだけでなく、社会の窓に至ってはあたりまえのようにぱっくり開いている。後ろ端には、理解できない布の破片がぶらぶらしている。綿がはみ出しているのである。中央の子は一見しっかり着こなしているが、いったい幾重の服を着ているのだろう。右端の子は、古臭さはないが、腰周りのだらしなさは、一流である。
髪型は皆いわゆる『ぼっちゃん刈り』でその後流行るビートルズカットとは似ても似つかない。
現代の子供達の髪型は自由を得て中にはこれにちかいこともある一方、総じて美容カットをベースにしたざんばら頭が多い。
子供たちの姿は当時の方が可愛かったのか、今の方が良いのか実際は解らない。けれども可愛さはかたちではないから、さまざまな要因の中で感じられる印象を基本に、親がよりり愛らしい子にするのが常流だろう。

昭和30年代の子供達
こどもめ 子供 子供をののしって言う言葉。
こどもらめ 子供達 子供達をののしって言う言葉。
こどり
ことり
ことりばーさま
ことりばーさん
◎ことりばば
ことりばばさま
産婆 『子取婆』の短縮形。=『とりあばーさん』
乳母・祖母・老女はかつて『ばば』と言ったが、『くそばば』や『ばばあ』と言う言葉のためか今では罵倒語に近い印象がある。
こどりまーし:小規模:山梨。『小取回し』。
こなさせがか:宮城。
□△ことる 【動】凝結する 『集覧:多』。『凝る』(こごる)。=『澱む』(おどむ・よどむ)。
『俚言』には『ことる:越後にて凝固まることをいふ。』とある。
こどる:どろどろになる:山形。
こどわげ 事柄のわけ。事柄の理由。 『事訳』。『こどのわげ』とも言う。
こぐわげ:山形。
こどわる 【動】@あらかじめ了解を求める、A言いわけをする。釈明する。謝る。 『断る・判る』。
こどん 【副】とりわけ、特に 『殊に』。
ことろし:大変:鹿児島。
ことほし:大変:鹿児島。
(こな) 静岡。
△こないだ
こないた
【副】先日。さき頃。この間。あの時。 『この間』の逆行同化とも言えるし、『是・此(こ)』『な』(格助詞のが転じたもの)『間』とも言える。
こないた:岩手。
こないだ:東京。
こんじょな:長野。『此の頃中』の転とされる。
こないだ 【副】近頃。この頃。 近世語。俗語。『こなあいだ』。
実質的に前項と同じだが、『この間』と『近頃。この頃。』には今では語法の差がある。『近頃。この頃。』はそのままの意味だが、現代の『この間』は回想の意味を伴い過去のある時を言う。『近頃は遣っていません。』は『こないだは遣っていません』とは言わない。ところが『つい最近です』は『ついこないだです』と言う。これは、過去のある時を指しているからである。また『この間』と言った途端に『近頃』の意味がよみがえり、『近いうち、そのうち』の意味が生まれる。
近世では『近頃』を『こないだ』と言った。英語では『these days、recent days』でそのままの意味である。現代の『こないだ』は『that time』である。『近いうち、そのうち』は『this time』である。
こないだ:茨城・群馬・東京・神奈川・佐渡島・山梨・静岡・新潟。
こないだ
こないた
【副】近いうち。そのうち。 『この間』。
こないだうぢ
こないだじー
【副】先日。さき頃。 『この間内』『この間中』の意味。
こないだうち:東京。
こないだに
こないたに
【副】@先日。さき頃。A近いうち。そのうち。
こないたにおめにかかりやんしょ 【複】そのうち会いましょう 『集覧:多』。
(こなから) @半分の半分。四半分。A米または酒の一升の四半分、すなわち二合五勺の称。 『小半・二合半』。近世語。『半ら(なから)』は『@半分、A真ん中・中心』の意味。山梨では『なから・こなから』が使われるが枡の単位が異なるため量が異なるという。四分の三に当たる。
こなから:二合半:東京・静岡・京都・大阪兵庫。古くは宮城でも使われたという。
こなから:三升の十六分の一:山梨。
こな
こなれー
こなくれ
こんなくれー
このぐらい、これくらい 『是・此』『な』『位』。
こな
こな
これくらい、そんな 単にこなれ』が訛ったともいえるが、『此なが様』(そんな様)の意味とも言える。
福井・京都・大阪・徳島等では『こない』と言う。
こな
◎こーな
小魚の佃煮や煮干しなどを指して言う『小女子』。
広辞苑には『イカナゴの別称。またその佃煮などの加工品』と解説されている。
(こなな) 【副】しみじみ 神奈川。
(こなさせがか) 産婆 宮城。『子成させ嬶』の意味。
こなされる 【動】思うが侭にされる、叱られる
こなしし 遣りなれた仕事 清音形はなぜか辞書には無い。
こなしつげる
こなしつける
【動】けなす 『熟しつける』意味。
ちなみに『熟す(こなす)』とは広辞苑に『@砕いてこまかにする。土などを砕いてやわらかにする。A食物を消化する。B思うままに扱う。自由に扱う。B動詞について、その動作を要領よくうまくする意を添える。C思うままに処分する。征服する。D仕事をすませる。処理する。E見くだす。軽蔑する。』とあるから、『粉を成す』意味であろう。Eは『潰す』意味に転じたのだろうか。あるいは、『こなす』は『けなす』や『くだす』に通じるからだろうか。
こなす 【動】@思うままに処分する。征服する。A仕事をすませる。処理する。 『熟す(こなす)』。
A・こなす:東京多摩。
◆■▲こなす 【動】人をけなす。軽くあしらう。 やや古い標準語。『熟す(こなす)』。『集覧:猿』。さらに『いじめる、叱る』意味で使われることがある。
『俚言』には『こなす:駿河にて悪言をいふ。』とある。ちなみに『熟す(こなす)』とは広辞苑に『@砕いてこまかにする。土などを砕いてやわらかにする。A食物を消化する。B思うままに扱う。自由に扱う。B動詞について、その動作を要領よくうまくする意を添える。C思うままに処分する。征服する。D仕事をすませる。処理する。E見くだす。軽蔑する。』とあるから、『粉を成す』意味であろう。Eは『潰す』意味に転じたのだろうか。あるいは、『こなす』は『けなす』や『くだす』に通じるからだろうか。
うなす・うなしっつける:怒鳴りつけておどす:神奈川。
こなし:けなすこと:神奈川。
こなす:山形・福島・佐渡島・新潟・山梨・静岡・鹿児島。
こなーす:静岡。
こなす 【動】@砕いてこまかにする。土などを砕いてやわらかにする。A食物を消化する。 『熟す(こなす)』。
@・こなしっこと:脱穀:群馬。
こなす:山形・神奈川。
こなす:脱穀する:群馬・東京多摩・神奈川。
なす
〜こなす
【動】動詞について、その動作を要領よくうまくする意を添える。 『ご』は濁音・鼻濁音。
やりごなせんのがー:遣りこなせるのかい。
こーなす 【複】子供を生む 『子を生す』。
こなっさま
こなっさん
【代】こちらの方、この人、 『こなた様』。
こなひと 【代】お前、この人 『此な人』。
こなべだで
こなべだて
こなべたて
一家とは別に小さな鍋で自分の食事を作ること 『俚言』には『小鍋だて』があるが解説がない。
『小鍋だて』は広辞苑に『小鍋を火鉢にかけ、手軽に料理をつくり、つつき合うこと。』とある。
こなま
こなーま
女を罵る言葉 『この、あま(尼)』。
こなみじん 細かく砕けること 『粉微塵』。何故か日常生活の中で使う事が少なくなった。
こなもぢ うるち米の粉で作った餅 こなもち:群馬。
(こーなむ・こーなる) 【動】うつむく 神奈川全県にある方言。『頭萎ゆ』『顔頭萎ゆ』意味か。『こごまる』が訛ったか。
こなれない
こなれね
こなんね
こなんねー
【複】@これ以上やれない。A我慢できない。 『遣り切れない』『こなせない』『こなれない』の意味。似た語呂の訛に『かなーね』があり、混同して使われることがある。『集覧:北・稲』。茨城・千葉。
A『致し方ない』意味で使う地域もある。
こーに @こんなに、Aこんなふうに 『斯くに・斯うに』。
A『こーいに・こーふに』が訛ったとも言える。
こーにしる:こうする・こういうふうにする:神奈川。
こにぐい 【形】憎たらしい 『小憎い』。
こにぐったらしー
こにぐっだらしー
【形】憎たらしい
こにぐらしー 【形】小憎らしい 濁音化。
(こにゃーか) 【複】来ないか 静岡。
こにゃにゃちは 【感】こんにちは 昭和40年代に流行った言葉。今でも使われているらしい。
ごにょごにょ 【副】小声でつぶやく様、不平を言う様 『ぶつぶつ』。疑いなく茨城弁と思っていたが、ハリーポッターの第6巻343ページにまぎれもなく書かれている。
(ごーにん) 意地の悪い人 神奈川。
広辞苑に『業人:悪業(アクゴウ)のために悪い果報を受ける人間。極悪人。人をののしるのにもいう。』とある。
こぬが 米ぬか、糠 濁音化。『小糠・粉糠』。
さくず:岩手。
こぬがあめ こまかい雨。ぬかあめ。 『小糠雨・粉糠雨』。
こぬがいわい 迷信家 広辞苑には『小糠祝:「ぬかよろこび」に同じ。あてがはずれて、よろこびが無駄になること。また、そのようなつかの間の喜び。小糠祝い。』とある。
こぬがづげ 漬物 濁音化。
こぬし 戸主(こしゅ) 旧戸籍法で定義された法律用語。かつては、未成年であっても後見人を置くことで戸主になることもあった。家という物理的な概念に基づく制度であったからである。1947年に廃止された。今でも古い戸籍に見ることができる。
現在では世帯主に代わり、都市部では同居していてもその生計の実態に応じて、1世帯にしたり、別世帯にすることになるが、土浦では今でも戸主の考え方が残り、1住居1世帯主が原則になっている。
こね 猫、子猫 幼児語。『集覧:西』。江戸時代に流行った倒語の名残かもしれない。
こねー 【複】来ない 『集覧:真』。明治時代の末期にこの言い方があったとすれば随分斬新だったと思う。本来は『きねー』
こねぐりあすぶ
こねぐりあそぶ
【動】いじくる、もてあそぶ 『弄ぶ』(もてあそぶ)。
こねぐりまーす
こねぐりまわす
【動】@粉等を捏ねる。Aあれこれとやってみる。B無理を言って困らせる。すねる。 『こねくる(捏ねくる)』+『まわす(回す)』の連語。清音ならば標準語と考えてよい。標準語では『捏ね返す』。
こねぐる 【動】@粉等を捏ねる。Aあれこれとやってみる。B無理を言って困らせる。すねる。 清音ならば標準語。『捏ねくる』。
こねぐる:千葉。
ごねぐる
ごねくる
【動】ごねまくる
こねだ
こねーだ
【形動】こないだ 長音形は典型的な江戸言葉。
『俚言』には『こねえだ:安達郡邊 先達てといふこと。』とある。江戸の田舎言葉である。
こねだ:青森・宮城・鹿児島。
こねーだ:福島・神奈川・山梨。
こねーば 納屋 こないべや:納屋:神奈川。
こなし:脱穀や粉引き作業をする部屋・小屋:神奈川。
こなしべや:脱穀や粉引き作業をする部屋・小屋:神奈川。
こなしや:台所の脇にある部屋で穀類の精製・製粉をする部屋:神奈川。
こなじや:台所の脇にある部屋で穀類の精製・製粉をする部屋:神奈川。
こなしりや:日常的に使用しない農機具」や芋類などを保管する物置:神奈川。−
こねまーす 【動】@粉等を捏ねる。Aあれこれとやってみる。B無理を言って困らせる。すねる。 『捏ね回す』。
こねやづら 【代】この奴ら、こいつら 逆行同化。
★『土』此奴等(こねやつら)、汝(わ)っ等(ら)呉(く)れはつたこた有りやしねえ、それにさうだに騷(さわ)ぎやつて、五月繩(うるせ)え奴等(やつら)だ待(ま)つてるもんだ:こいつら、お前等にあげ損なったことは(一度も)有りはしない(のに)。それにそんなに騒ぎやがって、うるせえ奴等だ。待ってるもんだ。
こねやろ
こねやるー
このやろ、この野郎 逆行同化。
▽☆ごねる 【動】@死ぬ、A文句をつける。不平を並べる。つ
むじを曲げる。
@近世語。『集覧:久』。
広辞苑には『ごねる:(「御涅槃(ゴネハン)」を活用させた語かという) 「死ぬ」の俗語。浄、ひらかな盛衰記「こいつ―・ねたか、しやちばりかへつて」』とある。
『俚言』には『御ねる:死ぬ事を云。御涅槃より転していふ也。』とある。
ごねる:長野・鹿児島。
ごねる 【動】捏ねる ごねる:宮城。
こねる 【動】死ぬ 近世語の清音化。
こねーる 【動】@収穫する、A木を薪にする 『こなす』と同源。『こなし遣る』意味か。
こねる 【動】@粉等を捏ねる。Aあれこれとやってみる。B無理を言って困らせる。すねる。理屈をこねる。駄々をこねる。 『捏ねる』。多く複合語として使われる。
(ごねんざん) 余計なお世話、いらぬ世話 宮城。
この
このー
【感】この(野郎)、こいつ!、こら! 『此の』の転。強調語として用いられる。標準語と考えて良いが使い方に特徴がある。語尾に使う場合はやや侮蔑の意味を持っていて具体的対象は省かれてしまう。
このー:この:静岡。
なーにやってんだこのー:何やってんのこの(人は)。
なんだこのー:なんだいこの(やろう)。
でれすけこのー・ばがこのー:馬鹿野郎。
このえねー 【形】この上ない
(このか・このー) 【複】これ、この物 静岡。
(ごーのーかなーねー・ごのーきかねー) 【複】体が利かない 神奈川。『ごーのー』とは、『五体の能』か。
このかだ 以来 『此の方』。
このかだ この人、此の方
こーのき シキミの別称 『集覧:多』。
(このくに) 【複】こんなに 長野・山梨。
(このら) 【副】この頃、この当時 神奈川。もともとは『この頃は』で格助詞が隠れているか。
この
このれー
このくれ
このくれー
【複】このくらい
こーのけ 眉毛 北茨城市の方言。顔は古くは『かほ』といったから、古典文献を見て『かほ』『こー』といってもおかしくは無い。また『上』は『こう』と音便する。『顔の毛』又は『上の毛』の意味か。
かおのけ:青森・岩手。
この:青森・秋田・宮城・山形。
このけ:東北。
こーの:宮城。
こーのけ:岩手・山形・宮城・福島・新潟。
この
この
このけー
このけん
この程度、この位 このかん:長野。
このけー:神奈川。
ごのごの 【副】小声でつぶやく様、不平を言う様 『四の五の』が訛った可能性もある。
この 【副】この頃、この当時 『ご』は濁音・鼻濁音。
この
このろぁ
【複】この頃は、この当時は 『ご』は濁音・鼻濁音。
この:この頃:神奈川。
このーら:東京青梅。
この
このろぁ
【複】最近は 『ご』は濁音・鼻濁音。
(このし) この人達 山梨。『この衆』。
このつぎ
このつき
今月 『此の月』。
このつき:千葉。
このぢー
□このぢゅー
この間、近頃 『此の中』。近世語。
このぢゅー:山形・佐渡島。
こんぢゅー:静岡。
このせづ
このせつ
【副】今回、この頃 古い標準語の『この節』。
このっけ
このっけー
このっけん
この程度、この位 このっけ:宮城。
このっころ 【副】この頃、この当時
このはいし
このはえし
シロハラ、アカハラ
このぶんこ このくらい、この分、この程度 このぶっつ:青森。
◆■このぼせ
このぼせやろー
お調子者、子馬鹿
このぼせる 【動】調子に乗る
このめー この間、前回 『この前』。『このめえ』なら江戸言葉。
このやづ 【代】こいつ
このやづら 【代】こいつら
このやろ
このやろめ
【代】この野郎 当時は、喧嘩腰になると『ろ』の発音は巻き舌だった。巻き舌は江戸っ子の物言いだったとされる。
このやろめら
このやろら
【代】こいつら 当時は、喧嘩腰になると『ろ』の発音は巻き舌だった。巻き舌は江戸っ子の物言いだったとされる。
こば @(角・隅)、小口、小端、Aこけら板 『角・隅』以外は現代では建築専門用語。『木羽・木端』。
@・こば:角・隅・端:群馬・神奈川・長野・山梨・静岡。
こば:囲炉裏の縁:神奈川。
こばとれている:如才ない:神奈川。
こばまわる:気が利く:神奈川。
こばっちょ:神奈川・山梨。
こびら:神奈川。
Bその他。
こば:山肌で突き出ている部分:神奈川。
こば 蚕の初眠 『蚕端』の意味と思われる。
こーば 工場 標準語
こーば 【動】来れば 仮定形。『来らば』。
こーば:神奈川。
おらさこーばよがっ:家に来れば良いでしょう
△▽こーばい
こーべー
@頃合、具合、A動作 @・あきこーばい・あきこべー・あきこーべー・あきっこーべ・あきっこーべー:飽き気味:神奈川。
こーばい:格好:福島。
A『勾配』が転じたもの。
こーばい:様子・要領・仕事のとりまわし:静岡。
こーべぁい:格好:福島。
こーばいのろい
こーべーのれー
【複】動作が遅い 標準語の『勾配がのろい』(判断がにぶい、機転がきかない)が転じたもの。通常は『勾配がぬるい』と言う。逆に『勾配が速い』という言い方もある。
『俚言』には『こうばへ』が記載されている。
△こーばいはやい 【複】動作が早い 『勾配が速い』。
こばいはやい:青森。
こーばいはやい:岩手・茨城・三宅島・長野。
こべはえ:秋田。
こばいだ
□こばいた
屋根を葺くのに用いるヒノキ・マキなどの薄板。柿板。 『木羽板・小羽板』。
ごばうぢ
ごばうち
小鳥を捕る罠 『木羽打ち』。
こば
こば
稚蚕の飼育 『木羽飼い』。
こばがくさい
こばがくせー
【形】馬鹿馬鹿しい 『こ』+『馬鹿臭い』。
こばかくさい:宮城。
こばくさい:山形・宮城。
こばがくせ:宮城。
こばがにする 【動】愚弄する 『小馬鹿にする』(慣)。
こばかにする:宮城。
(こーばこ) 曲げ物 静岡。
こばこば 【形動】転々、あちこち 『細細』が転じたもの。音通現象。
こはぜ @金属屋根の葺き方の一種、A足袋等の合わせ目を留める金物 『小鉤・鞐』。
A・こはじ:千葉。
こはち:ボタン:鹿児島。
こはつ:ボタン:鹿児島。
こはで:神奈川。
はしぇ:止め金物の総称:山形。
(こばた) 当時のタバコ屋の四角い看板に書かれていたもの。 白地に赤文字で右から左下に書いてあった。
こばたない 苗代で特に伸びた苗 『小旗苗』。『小旗』とは、『指小旗(サシコバタ)(当世具足(トウセイグソク)の指物(サシモノ)にする小旗。)』(鎧(ヨロイ)の一種。室町末期以来行われたもので、歩兵用の胴丸(ドウマル)の形を受けて胴を鉄板製とし、兵器の変化に応じて身体をおおうため各部の小具足を増加すると共に、戦国時代の個人意識の発達につれて、その形は非常に複雑になった。古来の鎧に既に「具足」の名があるので、区別するため「当世」の字が冠せられたが、後には当世具足だけを具足と呼ぶようになった。)のことで、戦(いくさ)に通じ死人を連想さしたのか、『不幸米が』(葬式で使う米)ができると言って忌み嫌われた。
こばぢ 小さな鉢 『小鉢』。
こはぢ:千葉。
こばぶぎ
こばぶき
こけら板で屋根を葺くこと。また、その屋根。笹屋根。小田原葺。柿葺き。 『木羽葺き・小羽葺き』の意味。
こばみ 木のくさび 木を食むように挟むものの意味か、木の『馬銜・喰(はみ)』(轡:くつわ)の意味か。現代建築用語では、楔等を間に挟むことを『噛ませる・嚼ませる・咬ませる』と言う。『食む』とは現代語の『噛む』にあたるようである。
こばや 少し早いこと。やや急ぐこと。また、少し早めなこと。 『小早』。
こばやい 【形】やや早い。少し急ぐさまである。 『小早い』。
こんばやぐ:早々と:青森。
こーばよい 【複】来ればいい 『集覧:稲・猿』。
こばら 腹に関わるちょっとした動作・状態 『小腹』。
ごーはら 非常に腹の立つこと。怒りに堪えないこと。しゃくにさわること。いまいましいこと。 『業腹』。標準語だが高齢者でもないと使わない。『集覧:稲』。
ごーはら:埼玉・神奈川。
ごーはら:残念だ・残念:神奈川。
◎ごーはらくさい 【複】忌々しい
◎ごーばり 【形動】強情 『強張り・剛張り』。
(こばる) 【動】配る 神奈川。
(ごはん) ご飯 『俚諺』には『いひ:飯也。めし、ぐご、ごご、おだい、だいばん、ごぜん、おぜん、ごりょう、やはら、まま、まんま、ぱっぱ、おなか、おだいくご。稲米の蒸したるものをいふ。後世は米を煮る也。』とある。
ごはん 飯釜
ごはんかす @残り物のご飯で僅かにこびり付いて残ったもの、Aご飯の残り 『ご飯滓』の意味。
ねごめにごはんかすかせどげ:猫にご飯の残りを食べさせておきなさい。
〜ごはんす 【複】〜ございます 類似語に『ごわす:(「ござんす」の変化した「ごわんす」の約)@「有る」を丁寧にいう語。ございます。A「(で)ある」を丁寧にいう語。…でございます。』がある。
ごはんつぼ ご飯粒
こび
こびすけ
【形動・名】小さな様、ちび 『集覧:新』。
『こびっちょ』が転じたと考えられる。
こび:女の子:茨城・岐阜。福井・三重。
こび:子猫:三重。
こびっちー:小さい:東京。
こび お焦げ こび:青森・秋田・岩手・長野。
こび:垢:青森。
こんび:垢:岩手。
△こびき 木こり、木挽き 厳密には木挽きは、『木材を大鋸(オガ)で挽くこと。また、それを業とする人。』の意味で限定された意味を持つ。
こびき:群馬・静岡・福井・岡山・熊本。
こびきぬか:大鋸屑:山梨。
こびくさい 【動】焦げ臭い
こひざ 膝に関わるちょっとした動作や状態 『小膝』。
こびしゃ
こびしゃぐ
◎こびしゃく
しゃぐ
しゃく
小さな柄杓 『小柄杓』。
(こびた) 【形】小さい 静岡。
こびたい 額に関するちょっとした動作や状態 『小額』。
こびつき 焦げ付き しょ:茶渋:千葉。
こびつぐ
△こびつく
【動】【古】こびり付く、焦げ付く 清音形は近世語。
こびづく:山形。こびづえでとんにゃえ
こびつく:栃木・静岡。
はなっこび:鼻くそが固くこびりついたもの:神奈川。
こびっこ 【形動・名】小さな様、ちび
▲△こびっちょ 【形動・名】小さな様、ちび 『集覧:新』。
『こびっちょ』は江戸時代の言葉。辞書には『小柄な人。また、小女(こおんな)や幼少の者をあざけっていう言葉。』とある。
こびた:静岡。形容詞。
こびっちー:小さい・細かい:東京多摩。
こびっちぇー:神奈川。
こびんちょ:長野・岐阜・和歌山・兵庫・愛媛・長崎。
こびんちょ:宮城・香川。
こびんちょ:子供:岐阜・徳島。
こびっづぐ
こびっつぐ
【動】こびり付く、焦げ付く こびっつく:神奈川・山梨・静岡。
こびっつけ:ご飯のおこげ:山梨。
(ごひとつ) 七合五勺 鹿児島。
こびどわるい
とわりー
【形】人が悪い、意地悪 『人が悪い』に『こ』がついて訛ったもの。
(こびら) 広辞苑には『小平:〔建〕長方形のこと。ごひら。』とあるが現代では死語である。
こびら:屋根の斜面:神奈川。
こべら:藁葺きまたは茅葺き屋根の裏側:群馬。
こべら:破風屋根の斜面:神奈川。
◎こびる
こひる
@正午に近い時間、A間食、おやつ やや古い標準語。『小昼』。
『新方言』には『コビル 「おやつ,午後の間食」;以前はコズーハン;福島県北部の若年層』とある。
この言葉の起源がどこにあったかは不明であるが、東北から近畿まで分布していることから、古くか古くから広く使われていた言葉が、標準語圏では『おやつ』に押されて早くに消滅したと考えられる。
ちなみに広辞苑には『御八つ:(八つ時に食べることから) 午後の間食。お三時。』とあるが、現代では多く子供の間食の意味で使われる。
A・あい:おやつ:富山。
あいさ:おやつ:富山。
あいま:おやつ:福井。
あさっこ:午前の間食:福島。
おこびれ:おやつ:長野。
おてま:おやつ:石川。
こーびり:間食:石川・滋賀。
こびり:間食:青森。
こびり:おやつ:富山。
こびり:午後の間食:神奈川。
こびる:午前の間食:福島・神奈川。
こびる:おやつ:福井。
こびれ:おやつ:長野。
こべり:おやつ:石川。
こべれ:おやつ:富山。
こぼれ:おやつ:富山。
こま:おやつ:石川。
こんびり:間食:岩手。
なんぞ・なんぞー:おやつ:福井。
こびる 【動】(ご飯などが)焦げつく 『集覧:猿』。
『こびつく』(こびりつく)という言葉があるように、『こびる』の意味のうち『古(フル)びる。年を経る。また、成熟する。』意味が転じたか。
分布範囲の広さを考えると東国語の可能性がある。
こびる:青森・岩手・茨城・長野・山梨。
こびる:焼ける:静岡。
★『土』先刻(さっき)のより餘計(よけい)なっ位(くれえ)注(つ)せえすりゃ大丈夫なんだが、それさうでねえと周圍(まあり)がそれ焦びっから:さっきのものより余計な位注ぎさえすれば大丈夫なんだが、そうしないと周りがほら焦げ付くから。
(こびる) 【動】成長が止まる 神奈川。『こびる』の意味のうち『古(フル)びる。年を経る。また、成熟する。』意味が転じたか。
(こびる・こべーる) 【動】はにかむ 神奈川。
こーびーんちょ 『集覧:稲』。『小鬢』(鬢。鬢に関するちょっとした動作にいう語。)。
こびんた:長野。
(こんとする) 【複】【動】しゃんとする 山梨。
こぶ 昆布 標準語。標準語は不思議で『こぶまき』とは言うが『こんぶまき』とはあまり言わない。
昆布の語源は『@昆布の音から、A瘤を治すところから、Bアイヌ語Kombu、C海中に広げる姿が布に似ていることから、ヒタルヌノ、即ち昆布と書く、Dコモ(海藻)の転。』とある。
こぶ:埼玉・群馬・東京・神奈川・山梨。
こーふ
こーふー
【複】こういう風
ごぶごぶ 【副】水等を音をたてて飲み込む様、がぶがぶ 古語では『ぶくぶく沈む様』の意味。
ごぶさだ ご無沙汰 ごぶざた:東京。
ごふじょ
ごふじょー
便所 『ご不浄』。
ごふじょ:婦人用トイレ:千葉。
ごふじょー:東京。
こぶた
こぶたん
こぼたん
瘤、たんこぶ 『俚言』には『かぶら:「東雅」今俗には蕪菁の根のみかふらといひぬれと古にはしかはあらず。蕪菁の根をも?の根をも又海藻根のごときをもかぶらとはいひけり。(中略)脚腓をこむらといふも、かふらといふが如し。かぶらといひこむらといふは転語なり。愚按、かぶら一にかぶといふ。 は助辞也。(中略)「色道大鑑名目」蕪、初心なるものをさして云也。瓦智に比していへり。物を食するに味なき物を蕪を喰う様等云詞にて知るべし。』とある。これに尻を指す『しりこぶた、しりたぶ、しりたぶら、しりたむら、しりべた、しりむた』を合わせると、『かぶ・かぶら・かぶろ・こぶ・こぶた・こぶら・こむら・たぶ・たぶら・たむら』等は同源の可能性が高い事が分かる。
こぶたん:群馬・山梨・静岡。
こんたぶ:神奈川。
こぶち
こぶっち
小鳥を取る道具の一種 『木羽打ち』。
ごてっじき:群馬。
こぶづ 【動】軽く打つ
こぶってー
こぶっとい
こぶてー
こぶとい
【形】少し太い ごぶってー:すごく太い:群馬。
ごぶてー:すごく太い:群馬。
こぶてー:すごく太い:群馬。
こぶなひと 頑固な人 『瘤』の意味のうち『邪魔なもの』が転じたか?。
こーふに 【複】こういう風に 『斯く風に』の意味。
『新方言』には『コーフニ 「こういう風に」:関東方言から東京に。』とある。
こーふに:静岡。
こぶら 腓(こむら)、ふくらはぎ
こーぶる 【動】被る
ごへー
ごへい
フクロウ 『集覧:無記載』。
ごーへーどり:埼玉。
(こべー) 内気な人 神奈川。
(こべー) 【複】来るだろう 神奈川。
こーべー 頃合、具合 『勾配』が訛ったものか?。
こべ:勾配:鹿児島。
こーべ:気配・傾向:神奈川。
こーべー:身のさばき・気配・勾配:神奈川。
(こべーた) 【複】零した 静岡。
(こべっちゃく) 青二才 佐渡島。『小兵児』の意味という。
こべりづぐ
こべりつく
【動】こびり付く 『俚言』には『こべりつく:コは詞にてへりつくは縁着の義に歟。「古事記神代」(中略)今もこび付こべりつくといふはこれなるべし。』とある。現代辞書にはない言葉だが、古事記では『媚附』と当てた古い言葉だった。
これらから現代語の『こびり付く』は『こびつく』と『こべりつく』が混じって成立した言葉と言えるのかもしれない。また現代語の『こびる』『媚びる』は別の言葉であるが同源の可能性があるだろう。
(こーべる) 【動】こまごまとしゃべる 神奈川。
こーべる:言葉を飾る:佐渡島。
(こうへる) 【複】経験・仕事などの蓄積を重ねる、老練する 佐渡島。『功を経る』の意味か。方言とも言えない言葉。
こぼ 瘤(こぶ)
ごぼ ゴボウ ごぼ:鹿児島。
こぼー 小坊主、少年 こんぶ:赤ん坊:鹿児島。
こぼうち 小鳥を捕る道具の一種 『木羽打ち』。
こほー 【形動】手荒い様 『集覧:新』。
こぼげ 馬鹿 罵倒語。『小呆け』の意味。
こぼげる 【動】とぼける
ごほごほ
こほこほ
こほんこほん
ごほんごほん
【擬音】咳をする様、ごほん、ごほごほ このような擬音語は無理に方言か否かを考える必要は無いのかもしれない。
こぼす 【動】愚痴を言う 標準語。しばしば使われた言葉。
こぼぢ
こぼち
こぼーぢ
こぼーち
こぼっち
小鳥を取る道具の一種 『木羽打ち』。
こぼちかげ
こぼっちかけ
小鳥を取る罠を仕掛けること 『木羽打ち掛け』。
こーぼーね やぐら葱 『弘法葱』。
ごぼほり ゴボウ掘り 今でこそチェーソーで地面を切る様に掘る時代になったが、かつてゴボウ掘りはヤマイモ(ナガイモ)掘りと並んで大変骨の折れる手間のかかる仕事だった。
ごぼほり:だだをこねること:北海道。
ごぼほり:我がまま・頑固者・だだをこねる子供:津軽・秋田。
ごぼほり:酔って管を巻く人:南部(青森)。
ごぼほり:泣き言を言う人・くどい言い方・泣き虫:岩手。
ごぼほる:だだをこねる:青森。
(ごぼる) 【動】雪の中に足がはまる 石川。『ずぼる』とも言う。擬態語が動詞化した例。
(こぼる) 【動】配る 静岡。
(こぼれもの) 臨月近くなった腹 近世語。
こぼれもの:妊娠:東京。近世語が意味を転じて残ったと見られる。
(こぼろ) 子煩悩 宮城。
ごま 『ごまかし』が転じたものだろう。
こま 牡馬 広辞苑に『駒:@馬の子。小さい馬。和名抄一一「駒、和名、古万、馬子也」A転じて、馬。特に乗用の馬。馬と同義になってからは、歌語として使われることが多い。万一四「足(ア)の音せずゆかむ―もが」』とある。
万葉集の時代の馬は『ま』であり、『駒』はもともと『子馬』だったことが推察される。
こま:長野。
こまうま:長野。
◎こま 表側にある小さな部屋 広辞苑に『小間:小さい室。茶道で四畳半以下の茶室。』とある。
こま:台所:神奈川。
こまや:物置小屋:神奈川。
こま 少しのあいだ。あいま。ひま。 『小間』。
△▽こまい @【形】細かい、小さい、A木舞・小舞、B軒先の垂木の先端に渡す細長い材、汚だれ、鼻隠し @『細い』。標準語(文語)。もともとは、『小間い』。
こまい:青森・静岡・徳島。
こまか:佐賀。
こみゃー:広島。
こんまい:香川。
こんめー:大分。
A土壁の壁の下地材となる竹や木。建築専門用語。
B建築専門用語。
こまえ:宮城。
ごまい 胡麻和え 『胡麻汚し』。
ごまかす 小型のフナでまだらのあるもの 『胡麻滓』の意味。
こまけー
こまこい
【形】細かい、小さい 『細い』+『こい』。
こまか:九州・鹿児島。
こまけ:連体形;八丈島。
こまこい:宮城。
こましー:神奈川。
こまんか:鹿児島。
こまんちか:鹿児島。
こまこぐてよぐみーねー:細かくてよく見えない。
こまけぐする
こまこぐする
【複】お金を細かくする、くずす、くだく、こわす
こまけーの @小さいもの、A人を卑下する言葉、B小銭 江戸言葉。
A★おー、そごのこまけーの
B・こまか:福島。
こまこま 【形動】こまごま、こまやかに、ちまちま 『細細』(こまごま)。清音化。
こまこま:静岡。
こまこまに 【副】ばらばらに、細かく
こまざぐ 【動】細かく切り刻む 『細裂く』意味。『きりこまざぐ』(切り細裂く)とも言う。
こまざく:神奈川。
こまさ 馬耕用の鞍 『駒座鞍』の意味か。
(こまし) 消耗 神奈川。
こまじきる
こまじしきる
【動】成長が止まる、萎縮する 『集覧:稲』。語源不詳。
こましゃぐれ
こまっしゃぐれ
こましゃくれた子供、大人びた子供 『こましゃくれる』→『こまっちゃくれる』の名詞形で濁音が無ければ標準語。
こまっしゃぐれ:宮城。
こましゃぐれる 【動】こましゃくれる 濁音化。
ごましょー ごま塩
(こます) 【動】遣りぬく 静岡。
広辞苑に『こます:(近世から上方で用いた):@やる。与える。A(動詞の連用形に「て」をそえた形について) …てやる。』がある。
こませ こませ醤蝦(あみ) 一般に標準語では『魚を寄せるための撒餌』の意味。ただしアミの一種を『こませ醤蝦』と言い釣り餌に使う。
ちなみに広辞苑に動詞形で『こます:(近世から上方で用いた)@やる。与える。A(動詞の連用形に「て」をそえた形について) …てやる。』とある。隠語には『すけこまし』がある。
こまぜ 熊手 『集覧:新』。くまで→くまぜこまぜ
こまんざらい:静岡。
こまちゃぐれ
こまっちゃぐれ
こましゃくれた子供、大人びた子供 『こまっちゃくれる』の名詞形。
おこしゃ:差し出がましい人:神奈川。
おこしゃっ:こましゃくれた子供。
こまちゃぐれ:山形。
こまっちゃぐれ:山形。
こまっちゃくれ:静岡。
こまちゃぐれる
こまちゃくれる
こまっちゃぐれる
【動】こまっちゃくれる 『こましゃくれる』。
こまづがい
こまづげー
雑用役、下働き 『小間使』。
おこま:東京。
こまづがえ:山形。
こまっかい 【形】細かい、小さい
こまっかぐする
こまっけぐする
【複】お金を細かくする、くずす、くだく、こわす
ごまっかす
ごまっくそ
子供 『胡麻滓』の意味。
ごまつく 【複】嘘をつく
こまっけ
こまっけー
【形】細かい、小さい 『集覧:北』。
こまっけー:福島・東京多摩・山梨。
こまつこ 小さな松の林 『小松拠』の意味。
こまっこい 【形】細かい、小さい 『こまっかい』
こまっこぐ 【複】細かく こまっこく:山梨。
こまっこぐする 【複】お金を細かくする、くずす、くだく、こわす いまっとこまっこぐしろな:もっと細かくしてよ。
こまっしゃぐれ
こまっちゃぐれ
こまっちゃくれ
こましゃくれた子供、大人びた子供 『集覧:北』。
こまっしゃくれ:山梨。
こまっしゃぐれる
こまっちゃぐれる
こまっちゃくれる
【動】こましゃくれる、こまっちゃくれる こまっしゃくれる:長野。
こまっちゃくれる:東京。
◎ごまむし スズメガの幼虫 『胡麻虫』。辞書に無いのが不思議な言葉。
こまめ 【形動】ちょこちょことよくからだを動かして使うさま。まめまめしいこと。 『小まめ』。
こまめ:神奈川。
こまめ 【形】細かい
(こまものやをはじめる) 【複】へどを吐く 長野。
近世語では『へど』を『小間物店』と言う。熟語に『小間物店を開く』(へどを吐く)がある。
(こまや) 物置小屋 広辞苑に『小間:@少しのあいだ。あいま。ひま。A小さい室。茶道で四畳半以下の茶室。』とある。
ごまよ ごまあえ セリやほうれん草を用いて胡麻で合えた料理。『胡麻』+『汚し』の連語。『汚し』には合える意味がある
こまりーる
こまりけーる
【動】困り果てる 『げ』は濁音・鼻濁音。
こまりけーる:山梨。
(こまものみせ) へど 『小間物店』。
こまものや:東京。
こまりもん 困り者 こまりもん:山梨。
◆▲こまる 【動】@▲ひどく疲れる、A病気になる、B(木などが)弱る、Cはまり込む 『おっこまる』。『集覧:真』。
『困る』、『被る・蒙る(こうむる)』(良く無い結果がもたらされる)、『込まる』(中に入ったままになる)意味が考えられる。広辞苑には『困る』『(近世以後使われるようになった語。「込まる」からか)』とある。
茨城には『取り込む』意味の『こむ』がある。この場合の『こまる』『こむ』の他動詞の受動形の意味合いで使われた。
くまむ:老ける:山形。
(こーまる) 【動】うつむく、屈む 神奈川。『こごまる』。
こまをする 【動】騙す 清音化。『胡麻を擦る』。『集覧:新』。
(こみ) 鹿児島。
茨城にあってもおかしくない方言。
ごみかす ゴミ 『かす』は『屑』(がず・くず)が訛ったもの。
こみいる 【動】@複雑に入りくむ、A大勢が入って混雑する 『込み入る』『込み居る』。Aはあまり聞かなくなった言葉。
◎ごみくず ゴミ 同義語の繰り返し。何故か辞書不掲載。
◆■ごみくそ
△ごみくた
ゴミ 『くた』は『朽・腐・芥』。
ごみくた:愛知・三重。
ごん:鹿児島。
ごみくそにゆう 【複】徹底的に貶す、非難する
こみじみじしろ 【複】しっかりしろ 『こ』は接頭語。『みじみじ』は『みしみし』の濁音化。
ごみため ゴミ捨て場 『塵溜』。標準語だが死語。『掃溜め』とも言う。
ごみため:東京。
こみぢ 小道 こみぢ:千葉。
こみっちり
こみっちら
【副】しっかり、みっしり、みっちり、十分に 『こ』は接頭語。
こみっちり:福島・栃木。
こみどもねー 【形】みっともない 『こ』は接頭語。
(ごみむし) ゴミムシ 『芥虫・歩行虫』。広辞苑には『オサムシ科のうち、オサムシ類以外の甲虫の総称。体は長楕円形で、多くは黒褐色、光沢がある。石やごみなどの下に多く、肉食性。ゴミムシ・キベリアオゴミムシ・ミズギワゴミムシなど種類が多く、わが国に千種以上が分布。その一種のゴミムシは、体長約一三ミリメートル、黒色で光沢がにぶい。草むらの中、石の下などに多く、夜行性。』とある。
この中で、『ミイデラゴミムシ』が発する悪臭は、体は小さいながらもカメムシのそれとは比較にならないほど強烈である。『ウィキペディア(Wikipedia)フリー百科事典』によれば、『オサムシ上科・ホソクビゴミムシ科の昆虫である。成虫の体は黄色で褐色の斑紋があり、鞘翅に縦の筋が9条ある。ほとんどのゴミムシ類が黒を基調とする単色系の体色である中で、数少ない派手な色を持ち、また、比較的大柄(1.6cmほど)であるため、かなり目立つ存在である。捕まえようとすると腹部後端より派手な音を立ててガスを噴出する。日本列島内の分布は北海道から奄美大島まで。大陸では中国と朝鮮半島に分布する。』とある。さらに、『他のホソクビゴミムシ科のゴミムシ類と同様、外敵からの攻撃を受けると、過酸化水素とヒドロキノンの反応によって生成した、主として水蒸気とベンゾキノンから成る100℃以上の気体を爆発的に噴射する。この高温の気体は尾端の方向を変えることで様々な方向に噴射でき、自在に攻撃を受けた方向に吹きかけることができる。このガスは高温で外敵の、例えばカエルの口の内部に火傷を負わせるのみならず、キノン類はタンパク質と化学反応を起こし、これと結合する性質があるため、外敵の粘膜や皮膚の組織を化学的にも侵す。人間が指でつまんでこの高温のガスを皮膚に浴びせられると、さすがに火傷まではいかないが、皮膚の角質のタンパク質とベンゾキノンが反応して褐色の染みができ、悪臭が染み付く。』とある。ゴミムシと言えばこの『ミイデラゴミムシ』のガスを食らったことを忘れるわけにはいかない。こいつを触った瞬間にそんなとんでもないことをあの虫はしでかしていたのかと思うと恐れ多い気もするが、触った後に指の臭いを嗅ごうかとするあたりから強烈に鼻を突く臭いがする。たんぱく質を犯すぐらいだから、洗ったって簡単には臭いは消えない。茨城方言で、これをスカンクと称しているのは当然である。
『民俗』には以下の方言が掲載されている。
おしゃがむし:ミイデラゴミムシ。
すかんく:ミイデラゴミムシ。
◆■▲△▽こみやる 【動】ごまかす 『込め』+『遣る』意味で、もともと『込む』の意味の一つの『煙に巻く・包み隠す・秘密にする』と似た意味だろう。『遣り込める』(論じつめて相手をだまらせる。言いこめる。言いふせる。)ともとは同義か。『集覧:筑・鹿』。
古い類義語言葉に『込み付く』(手強くやっつける。やりこめる。きめつける。)がある。
こみやう:静岡。
こみやる:千葉・群馬・神奈川・山梨・愛知。
こみやる:やり込める:愛知。
★■こみやられた:誤魔化された。
こむ 【動】@(洗濯物を)取り込む、A外にあるものを家の中に入れる 古語の『込む』は『中に入れる、詰め込む』意味。
こむ:栃木。
けーこむ:軽(軽自動車)を車庫に入れる。
こむ 【動】混む 何故か方言として扱われている。
こんでる
ごむかん パチンコ 『ゴム管』。
これは商品名か、ゴム管で作ってあるからそう呼ぶものと思われる。
当時テレビで『パチンコ』という名前を聞いて違和感があったのを覚えている。パチンコは危険玩具として扱われているのか近年見掛けないが、その魅力は根強い。
ごむかん:埼玉・東京多摩・山梨。
ごむ:群馬。
こむぎになる 【動】むきになる 《小麦(こむぎ)になってどうすんの?。》。
ごむくそ
ごむくた
ゴミ 『ごみくそ・ごみくた』がさらに訛ったもの。
ごむぐごはん
ごむく
ごむぐめし
ごむくめし
五目飯
ごむけし 消しゴム 倒語。
ごむけし:埼玉・群馬。
ごむけす:青森。
ごむじー
ごむちー
ゴムのパチンコ 『ゴム銃』の意味。
ごむしゃ リヤカー 『ゴムタイヤの付いた車』の意味。対語は『木車』(きぐるま)。
(ごむしん・ごもしん) 遠慮なく物をねだること。 『ご無心』。普通は『金を無心する・無心だから〜』などと言う。
山梨。
こむずかしー
こむつかしー
【形】難しい、厄介
こむすこ 若い息子 『小息子』。
ごむぞご 地下足袋
ごむて ゴム手袋 短縮化。
ごむとび ゴムを使った子供の遊び 『ゴム跳び』。『ごむだん』とも言う。主に女の子の遊びだが男の子も遊んだ。1本又は2本のゴムを二人が持って遊ぶ。高くなると足などで引っ掛けて飛ぶ。1本の場合は1段跳び、22本の場合は2段跳びと呼ぶ。通常手は使えない。低い位置は、くるぶしに始まり、膝、腰、胸、肩、目(耳)、頭、そして上に手を伸ばした時の指先まであった。男跳び、女跳び、名古屋跳び、エックス跳び、逆立ち跳び等の飛び方があった。二人で遊ぶ場合は持ち手が木などに結んでする場合もあった。ゴムは、ゴム紐や模型飛行機のゴム糸、輪ゴムを沢山結びつけて作る場合があった。
ごむな ゴム製の長靴 革やビニール製の長靴と区別して言ったものだが、今や長靴と言えばゴム製のものを指すようになった。
こむねわりー
こむねわるい
【形】胸糞が悪い 『こ』は接頭語。『こ胸が悪い』意味。
(ごむひこうき) 昭和30年代の男の子のカリスマ商品 当時の駄菓子屋のトップメニューの商品。組み立ての接着剤は、セメダインである。
飛行機の名前は大半が戦時中の戦闘機の名前だった。
こむべ
こんべ
【複】混むだろう ゆーかだんなっとこんべがら、はいぐでがげだほーいーどよ:夕方になると混むだろうから、早く出かけたほうが良いそうだよ。
こむらいり
こむらーり
こむら返り、脛の痙攣 『俚言』には『こむら:腓を訓り。「東雅」和名抄に釈名を引て、箭(や)の足を鏑(かぶら)といふと見えたり。腓をこむらという、かふらといふがごとし。かふらといひこむらといふは転語也。愚按。こむらかぶらも助語也。箭の足をかぶらといふは、箭の根といふがごとし。木の根を木の株ともいふ。』とある。
『称呼』には『こむら:東国にてふくらといふ。信濃にてたはらっと云。中国にてひるますぼといふ。讃岐にてすぼきといふ。伊予にてふくらと云。』とある。
らかえし:足首の捻挫:神奈川。
こむらーり:群馬。
こもろづまり:千葉。
こむらっぱぎ ふくらはぎ 『こむら』と『ふくらはぎ』の合成語。
ごむわ 輪ゴム
(こめ) 映画『米』  当時の田舎には、情報を得る手段は、新聞とラジオ位しか無かった。昭和30年代になってもまれに祖父が買って来る週刊誌は、便所の尻拭き紙として重宝された。
 この写真が撮影された理由が映画撮影の記念であったのか何だったか定かではない。明らかなのは上大津西小学校で撮影された事、祖父が写っている事、そしてアNHKの有名ナウンサーが来て紹介されるほど記念すべきものである事。可能性があるのは映画『米』のロケ。映画『米』の製作は1957年だったのでそれが正しいような気がする。写っている祖父を見ても年齢的に間違いないような気がする。
 一説には今も続いているNHKののど自慢の上大津大会とも言われている。
 最後列左より7番目には、NHKから民法に移った名アナウンサー『高橋圭三』の若き日の顔がある。高橋圭三は1918年生まれであるから、この時39歳だった事になる。NHKの新進気鋭の時期だったのだろうか。祖父は、この時マネージャー役をしたと言われる。右端にいる。この時私の祖父は55歳、油が乗った頂点にあった。

めら
【接尾】毎 古語『籠め・込め』(もろともにの意。…ぐるみ。…ごと。)。『ら』は単なる接尾語。
:〜と共に・一緒に・ごと:静岡。
:一軒毎。
いっけん:一軒毎。
★『土』:水浸(みづびたし)に成(な)った家(いへ)さは役場(やくば)から一軒毎(えつけんめら)に下(さ)渡(わた)しになったんだよ。『下げ渡し』とは『官府から民間に下付するもの』のことでここでは食料品を指す。
★『土』:隣近所(となりきんじよ)一軒毎(えっけんめら)役(やく)にや立(た)たねえだから、いや本當(ほんたう)だよ、俺(お)ら十五日(んち)下痢(くだ)って癒(なほ)った俺(お)ら強(つよ)かったかんな、いや強(つえ)えとも全(まった)く。酔った卯平の自慢話を語った一節。農民はデリケートである。ガラスの心臓を持ってるようなところがある。愚痴と慢心が共存する。もっともこれは都会の病めるサラリーマンの酒の場の日常風景にも見られる。
こめ
こめー
【動】来るまい 推量形。=『きめー』
こめーよ:来ないだろう。
こめ
こめー
【形】細かい、小さい 『細い』(こまい)。
こめ:青森。
◎こめあざる といだ米を揚げて水をきるのに用いる笊。こめかしざる。 『米揚げ笊』。
(こめかしおけ) 米とぎ用の桶 『米浙桶』。
こめかしおけ:東京。
◎こめつきばった @ショウリョウバッタ、Aやたらに頭をさげて媚びへつらう人 A・こめつきばった:東京。
こめぬが
こめのが
米糠
こめばこ
こめびづ
こめひつ
こめ
米びつ 当時は木製の箱だった。
こめむし コクゾウムシ コクゾウムシの俗称。
こめら 子供等、子供達 時代劇でも耳にする古い言葉。『集覧:北』。『子奴等』の意味。
『俚言』には『こめら:下野にて子供等をいふ。』とある。
こめら:福島。
こめらっこ:福島。
★『土』:子奴等(こめら)こと云(ゆ)つて、手洟(てばな)なんぞかんだ手ぢゃ引かねえで呉ろえ、おめえ等も勿體(もってえ)ねえから:(婆さん達に)子供達の事を言って、手鼻をかんだ手では引かないでくれよ。お前達にも勿体無いんだから。
△こめろ
こめろう
小娘、少女 『小女郎(こめろ・こめろう)』(主に遊里で年少の下女、少女)。『集覧:多』。
こめろ:茨城・石川・兵庫。
めろ・めろっこ:神奈川。
ごめんくださいよ 【慣】@ごめんください、Aごめんなさい、B失礼します、さようなら 主として女性言葉。
ごめんくだせー 【慣】@ごめんください、Aごめんなさい、B失礼します、さようなら 江戸言葉と考えられる。『ごめんくだせえ・ごめんくだせえやし・ごめんくだせえやす。』などは時代劇で聞かれる。
ごめんくだはい
ごめんくっさい
ごめんくっつぁい
【慣】@ごめんください、Aごめんなさい、B失礼します @・ごめんくだはえせ:宮城。
ごめんしゃめんする 【慣】謝る ごめんもしゃめんもねー:義理も人情も無い:山梨。
ごめんちょ 御免なさい 当時の新しい言葉。『ごめんちゃい』とも言った。
こめんど
こめんどー
【形動】面倒な様 こめんどー:山形。
ごめんどーこーむる:面倒なことになる。
ごめんなごって
ごめんなこって
【慣】面倒をかけまして
ごめんなごど 面倒なこと、迷惑なこと、失礼な事
ごめんなさっか 【慣】@あやまりますか、A帰りますか
ごめんなさっせ
ごめんなさって
ごめんなすって
ごめんなさんせ
【慣】@ごめんください、Aごめんなさい、B失礼します、さようなら 『ごめんなすって』は時代劇で良く耳にする言葉。さらに接尾の『よ、よー』を伴う事も多い。以下は現代の関西言葉である。
ごめさんです:ありがとう:福井。
ごめやーす:ごめんください:岐阜。
ごめんくだはえせ:ごめんください:宮城。
ごめんくだんもしー:ごめんください:熊本。
ごめんなはんせ:さようなら:広島。
ごめんなんせ:ごめんくださいませ:鹿児島。
ごめんやす:ごめんください:福井。
こらえてよー:ごめんなさい:和歌山。
ごめんなせー
ごめんなせーよ
【慣】失礼します。
ごめんなんしょ 【慣】@ごめんください、Aごめんなさい、B失礼します 『集覧:多』。
長音形なら熊本でも使われることから近世語と思われる。
@・ごめんなんしょ:群馬。
Aテレビドラマ水戸黄門で光圀が田舎爺に扮したとき使われた茨城方言。
ごめんなんし:群馬。
ごめんなんしょ:群馬。
こも 薦(こも)、藁で編んだ目の荒い筵 作物の保温や炭俵用の筵。
ごも 【形動】人が悪い様 『芥』(ごもく)が訛ったか?。『集覧:無記載』。青森では海藻を指す。
こもあみ
こも
薦を編む台
こもかぶり 乞食 『薦被り』。
ごもぐ
ごもくた
ごもくそ
ごちゃまぜになったゴミ、ゴミ 『芥・塵』(ごもく、くた)が訛ったもの。
ごもくた:山形・福島・新潟・千葉・愛知・福井・三重・奈良・和歌山・大阪・京都・岡山・香川・山口。
ごんもく:宮城・福島。
ごもくぞ ゴミ、海岸に寄せる藻屑
(こもげっくさい) 【形】むんむんするほど臭い 神奈川。
◆▲こも 【動】服等が痛んですぐ破けてしまうようになる、朽ちる 『集覧:久・多』。『芥・塵』(ごもく)+『返る』?。
こも:しめって駄目になる:静岡。
こも 【副】代わる代わる、各々 『交・交交・相・更』。
ごもごも 【副】@小声でつぶやく様、A不平を言う様、Bもたつく様、ごたごた、混雑の様 @=『もごもご』
ごもごも:宮城。
Aぶつぶつ。
B・ごんもごんも:鹿児島。
ごもごもする 【動】混雑する 標準語の『もごもご』(うごめくさま、もぞもぞ)が転じたか?。『集覧:新』。
(こもじょろー) 無免許の娼婦 佐渡島。
方言ではなく民俗語。『菰女郎』の意味。役人の眼を盗んで菰で隠した事に由来するという。
こもそ 虚無僧 『薦僧・菰僧』(こもそう)。
こもぞ:鹿児島。
こもだず
こもたず
子供のいない夫婦 『子持たず』の意味。
ごもつく 【動】混雑する 『集覧:新』。
□こもまくら マコモを束ねて枕とすること。旅寝。 古語。『薦枕』。
こもり 観音講や二十三日講のこと 本来の月待ち講の意味は薄れて、婦人衆だけが夜集まって会食できるお楽しみの行事で『お篭り』する意味。
こもり 『こごり』が訛ったもの。
こもり:秋田・茨城。
こーもり こうもり傘 標準語だが死語。余程の高齢者でないと使わない。和傘に比べ動物のコウモリに似ているため名づけられたとされる。
『かさ』は被るばあいは『笠』(かぶりがさ)と書き、差すばあいは『傘』(さしがさ:からかさ・こうもりがさ・ひがさ)と書く。昭和30年代には被り笠も唐傘もまだ使われていた。私の小学校には当時学校が用意した置き傘があったが、それは油紙張りの唐傘で大半が破れていたので使うのが嫌だった。
こーぶり:静岡。
こーぶり:静岡。
こーもり:宮城・東京。
(コモリグモ) 今のところ該当する方言が無い。地面を徘徊するクモである。
メスはと糸で編んだ卵嚢に卵を産み、腹に卵嚢をつけたまま移動する。卵嚢は親グモの腹より二周りぐらい大きく白いので、卵嚢を付けた時期はかなり目立つ。卵は透けて見える。コグモが孵ってからも卵嚢はしばらくコグモの住処となる。
コグモが成長したものは、親グモの背中にコグモが群がったように見える。コモリグモはかなり素早い動きをするから、慣れないと捕獲は難しい。そのような時、このクモを捕まえると、一斉にコグモが逃げ出す。『蜘蛛の子を散らす』とは、まさにこのコモリグモの習性がが語源になったと思われる。
私は、幼い時の一時期にこのコモリグモ遊びに熱中したことがある。捕まえて卵が孵っているかどうかチェックして、孵っていれば、卵嚢を破ってコグモを外に出すのである。縁側などにそのコグモ達を散らして様子を見るという他愛ない遊びである。卵が孵っていない場合は、そのまま逃がしてやるが、時々卵嚢を腹にかがった糸が切れて親グモが逃げてしまうことがあった。かがりが半分切れ掛かって、卵嚢をごろごろ引きずりながら、親グモが逃げていくこともあった。
このクモの習性は、実に面白いのでNHKの番組等で紹介してほしいものである。一方、私はと言えば、短い期間だったとしても、当時の土浦市上大津地区に住んでいたコモリグモの家族を離散させてしまったことを反省しなければならない。
こーもりめ コウモリ 広辞苑には『蝙蝠:(カワホリの転)コウモリ目(翼手類)の哺乳類の総称。前肢の指が長くのび、その間に飛膜があって翼に変形していて、哺乳類で唯一よく飛ぶ。昼は暗い所に潜み、日暮に活動する。アブラコウモリ・キクガシラコウモリなど。蚊食い鳥。へんぷく。天鼠。』とある。
古形は『かはほり・かほふり・かはぼり』である。その後中古から中世にかけてハ行転呼によって『かわぼり』、オ段とウ段の交替による『かわぶり』、バ行からマ行への変化による『かわもり』、かわ→かうの変化による『かうぼり・かうぶり・かうもり』に変化した。中世から近世にかけて『かうもり』から『こうもり』に変化した。
かもり:青森。
こもい:鹿児島。
こもり:青森。
よたか:岩手。
こや 穢多、江戸時代まであった最下級の身分 『集覧:久』。
◎こーや 藍屋、染物屋 『紺屋』。
くや:鹿児島。
こーや;神奈川。
こーや 【動】来なさい 『来いや』。『来よ』と同源。関西では『きーや』
(ごーやかせ) 世話焼かせ 静岡。『業焼かせ』の意味。
ごやとり 早朝六時 『後夜の酉』。
★『土』:本當(ほんたう)におめえ見(み)てえなもなねえよ、若(わ)けえ時(とき)から毎晩(まいばん)酩酊(よつら)っちゃ後夜(ごや)鷄(とり)でも構(かま)あねえ馬(うま)曳(ひい)て歸(けえ)っちゃ戸(と)の割(わ)れる程(ほど)叩(たゝ)いて、さうしちゃ馬(うま)の裾湯(すそゆ)沸(わ)えてねえって云(ゆ)っちゃ家族(うち)の者(もの)こと追(お)ひ出(だ)してなあ、百姓(ひゃくしゃう)はおめえ夜中(よなか)まで眠(ねむ)んねえで待(ま)っちゃ居(ゐ)らんねえな、そんだおめえも相續人(さうぞくにん)善(よ)く出來(でき)て仕合(しあはせ)だよなあ
こやがましー 【形】くちやかましい 『小喧しい』。
(ごうやくがん) 衰退した体・人 佐渡島。
こやげる
こやける
【動】ご飯がよく蒸れること 『ふやける』意味か?。
◆▲ごやごや 【副】混雑する様、がやがや 『集覧:久』。
ごやごや:宮城・山形。宮城では人間以外にも使う。
★『土』:汝等(わっら)見てえな餓鬼奴等(がきめら)ごやごや來ちゃ五月蠅(うるさ)くって仕やうねえから:お前みたいな餓鬼どもががやがや来てはうるさくてしょうがないから。
こやしおげ 肥桶
こやしたげ マグソタケ
こやしぶぢ 肥料を散布すること
こやしぼっち 堆肥を積み上げたもの
こやしむし @カブトムシの幼虫、Aヒメコガネムシの幼虫
こやす 【動】崩す =『くやす』。
こやす:引き抜く:鹿児島。
ごやっけ
ごやっけー
御厄介 ごやっけ:鹿児島。
ごやっけんなる:厄介になる。
ごやっけさんでした
ごやっけーさんでした
【感】ご厄介をおかけしました、お手数をかけました、ご苦労様でした、お世話様でした ごやっけさんでした:山梨。
こやって 【複】こうやって、こうして 『是(こ)やって』。『あやって、こやって、そやって』と言う。
こやて:青森。
こーやまいり トイレに行くこと 『日本橋に行く』表現と同じで『厠』(かわや)と『高野』(こうや)をかけたのだろう。
こゆ
こーゆ
【複】こういう 佐賀では、『このような、このように』を『こやん』と言い『松原がこやーん虹のごてなっちょろーが』などと言う。
こゆな・こーゆな:こんな。
こゆに・こーゆに・こーゆーに・こゆいに・こゆふに:こういうふうに・こんなに。
こゆの・こーゆの:こういうの。
こゆふ・こーゆふ:こういう風。
こゆよ・こーゆよ:こういう様。    
こゆぐ
こーゆぐ
【複】こういう風に、こんなに こーゆく:宮城。
◆▲こゆみ 『集覧:行』。
こゆみ:秋田・福島・八丈島。
こーよ
こーよー
【複】来なさい 命令形。『来いよ』『来よ』。『こおよ』と発音することもある。『集覧:久・新』。
大辞林によると、『「旅にても喪なくはや〈こ〉と我妹子が結びし紐はなれにけるかも/万葉 3717」「こち〈こ〉、と言ひて/大和 103」〔平安中期以降には、「かしこに物して整へむ、装束(そうずく)して〈こよ〉/蜻蛉(中)」「こち〈こよ〉、と呼びよせて/宇治拾遺 5」のように間投助詞「よ」を添えた「こよ」の形も用いられるようになり、以後「こよ」が次第に優勢になってゆく〕』とある。
こおよ:神奈川。
こーよ:東京青梅・神奈川。
こーよー:神奈川。
やってこーよ:やって来いよ。
はやぐこーよ:早く来いよ。
(ごよー) 御用 ごゆ:鹿児島。
ごよー @新芽、A稲の切り株から出た芽、ひこばえ、ひつじ @・ごよー:千葉。『香取』掲載語。
A・ごよー:後から出た枝:東京多摩。
(こよー) 小便 静岡。『小用』。
こよーば:便所:静岡。
こーよに 【複】このように 古語の『かうやう(斯う様)』の流れ。
こよのが(に) 【副】特別に、この上なく、こよなく 『こよなし』が転じた『こよなく』の訛。古い言い回し。土浦では、『世話』に『のか』を付けて『世話がかかる』意味の『せわなか』がある。
この場合は、『今』『世』+『のか』と考えると、『この世のことだから返って特別に』と言う意味だろうか。
こよみ カレンダー、時を示す体系 古くからあったものだが時代とともに変遷している。現在では一般にカレンダーを指すが、古来の易学等を含めると範囲が広まる。もっとも日常生活で『カレンダー』を『こよみ』と呼ぶのは今や高齢者しかいない。
こら 子供達 『子等』。
こら @【指代】これ、A【感】おい @『其(そら)』(それ)に対して『是・此(こら)』の意味だが何故か辞書には無い。
A・こら:鹿児島。
こらい:鹿児島。
こら
こらー
こらぁ
こーら
【複】これは、こいつは ★『土』:俺(おら)とこちっともこら離(はな)んねえんだよ仕(し)やうねえやうだよ本當(ほんたう)に:俺のところをちっともこいつは離れないんだよ、何もできないようだよ本当に。

らー
【複】〜頃は 『ご』は濁音・鼻濁音。
こーら (手の)甲、(足の)、背中 『甲羅』。標準語では手足の甲は『こうら』とは呼ばない。
こーら
こーり
【副】このように、安易にする様 『ら・り』は副詞を形成する助詞『と』と同じ。
こーらやればいーのが:こう言うふうにやればいいのかい。
なんだおめ。こーりやればいーっつわげだねーど:なんだいお前は。安易にこうやれば良いわけじゃないよ。
(こらい) 【複】来てください 福島。
『来られよ』が転じたもの。
こらいしょ
こらいしょー
がまんのできる性分 『堪え性』。
こらいーや
こらーいーや
【感】これは驚いた、随分ですねえ 驚き呆れたときに使う。直訳すると『これはいいや』。
こらいる 【動】@たえしのぶ。がまんする。Aもちこたえる。B来れる @A『堪える・怺える』。
(こらく) 【動】乾く 鹿児島。
こらこんで
こらーこんで
【複】これはこれで
こらさって 4日後(明明明後日)、やのあさって 那珂郡限定の方言。那珂郡は港町のため、西日本の『ごあさって』の影響を受けた言葉と考えられる。
こらす 【動】懲りるようにさせる。苦しめる。 『懲らす』。
こらされる:叱られる。
(こらっかい) 大層 静岡。
(こーらっしぇ) 【複】いらっしゃい 神奈川。
こらっしゃー:静岡。
こらっしゃい:静岡。
こらった 【複】@いらっしゃった、A来ることができた @『きらった』とも言う。
こらった:福島。
こーらへん このあたり 標準語の俗語の『ここらへん』の転。ここらへん→こごらへん→こーらへん。
こらほが 【副】これしか、この他には
◆▲こらほど 【副】これほど 『集覧:多』。
(ごーらむし) やかましい子供 神奈川。
(ごーらゆー) 【動】暴れる 神奈川。
ごらんまぐ 【形動】@収集のつかない状態、A怒りに乱れた様 『ごらんまく』『らんまく』に該当する標準語は辞書には無い。『乱脈』(乱れてすじみちの立たないこと)か。
@・ごらんまく:ごたごた:神奈川。
ごらんまく:大変にものを散らかした様、収拾がつかない様:山梨。
ごらんまくけえた・ごらんまくたけた:大暴れした:山梨。
こり 【指代】これ こりがー、おめすぎだっちのは:これかい、お前が好きだって言うのは。
こーり 竹・柳などで編んだ衣類・荷物などを入れるのに用いた蓋付きの箱 『行李、梱』。行商人が使うこともあった。古くは葛で編んだので『つづら』(葛、葛籠)とも呼ばれた。今では日常生活から姿を消してしまった。
こり:神奈川。
(こーりー) 【動】凝る、肩が凝る 長野。
こーり
こーりー
【複】こういう 『斯く言えり』が訛った『こうえり』の流れ。
こりあ 【複】これは
こーりかぎ カキ氷 30年代の言葉。
こりぐづ 屁理屈 こりくつ:山形。辞書には無いが俗語だろう。
こりごー 【形動】馬鹿ではないが不十分な様、目先だけしか考えない人 『小利口』。目先のことは抜け目なくうまくやってのけるが、大局を見通す判断力に欠けているさま。
こりごまる
こりこまる
【動】こもる、隠れる 『こり』は『凝り』の意味か?。
こりごもる
こりこもる
【動】こもる、隠れる 『こり』は『凝り』の意味か?。
こりげーる 【動】すっかり懲りる
こーりざど
こーりざどー
氷砂糖 食糧事情の良くなかった当時は、茶菓子としても振舞われた。現代では食卓から姿を消してしまった。
こいざと:鹿児島。
ころざと:鹿児島。
(ごりせー) 難儀(@むずかしいこと。容易ならないこと。Aくるしむこと。なやむこと。Bわずらわしいこと。) 静岡。
こりっと
こりーっと
【副】@あっけなく、ころっと、A残らず、全て 『集覧:行』。『ころっと』が訛ったものだろう。
こりっちゃった 【複】懲りちゃった 促音化は関東方言の特徴だが、このように二重に促音化することはない。茨城方言では促音化は、全て許容する。アクセントルールのある江戸方言では起こりえない現象である。
平板イントネーションの茨城であるからこそ生まれた表現と言える。似た言い方に『食べっちゃった、書いっちゃった』がある。
★『土』:おとつゝあ、俺(お)らえゝ所(ところ)なもんぢやねえ、やつとのことで逃(に)げるやうにして來(き)たんだ、あんな所(ところ)へなんざあ決(けつ)して行(い)くもんぢやねえ、とつても駄目(だめ)なこつた、俺(おら)も懲(こ)りつちやつ
◎こーりどーふ 高野豆腐 『凍り豆腐』。
こーりみず @冷たい水、A氷を入れた水、Bかき氷 こーりすい:群馬。
こーりみず:埼玉。
こりや
こりゃ
こりゃー
こりは
@【連語】これは、【感】Aこれは、Bこら! @A『これは』が訛ったもの。
こりゃこまった・こりやこまった
なんだいこりゃ・なんだこりゃ・なんだこりや
こりゃまたどうしたの
こりやおがしー:これはおかしい。
こりやなんだっ:これはなんだろう。
Bは時代劇でしか聞かれない。
こりらがす
こりらす
【動】こらしめる ★『土』癖になっから、みっしら懲(こ)りらかした方がええ:癖になるからみっしり懲らしめた方が良い。
こーりん 煎餅、軽焼、軽焼煎餅 鹿島郡。東北にある『紅蓮煎餅』(こうれんせんべい)が略されて残ったものと思われる。
ごりんぼどげ 五輪塔 多く無縁仏の供養塔。
こる 【動】@凍る、氷結する、A寄り集まる 『凝る』。古語。
こーりこった:氷が張った。
しもこった:霜が付いた。
こーるた
こーるたー
こーるたん
コールタール こーるたん:神奈川。
こーるてん コール天(corded velveteen)、コーデュロイ 畝織りのビロード。コール天をいつからコーデュロイと言うようになったかは不明だが、昭和40年代まではまだそう呼んでいた。植毛によって生地が厚手なので主に冬の衣服に使われるのは今も同じ。最近は、植毛地自体をコーデュロイと呼ぶ場合もあるようである。
唐傘がいつから『こうもり・こうもり傘』と呼ぶようになり、今や単に『傘』と呼ぶようになったのに似ている。
これ
こーれ
【感】人に注意を与え、また、呼びかける時に発する語。おい。こら。 古い標準語の感嘆詞。調布生まれのの義母が、感極まったときに出てしまう言葉。当時は『こら!』は使わなかった。
★『土』:汝(われ)何處(どこ)さ行(え)くんだ。こうれ。
★『土』:こうれ、うめえ物(もの)見(み)ろえまあ:ほら、好い物(があるから)見なよ、ちょっと。
これかれ 【代】@あれこれ、Aあの人この人
これきし
これきん
【複】この程度、これだけ
これ 【複】これだけ 熊本では『こしこ』と言う。
(こーれーぐしゅ・こーれーぐーす) トウガラシ 沖縄。古語『高麗胡椒』。
これくそ 【複】これだけ これっきばっか:山梨。
これっくそばか:山梨。
これけー
これけん
【複】この程度、これだけ
これしぎ
これしき
【形動】この程度 時代劇でも聞かれる言葉。『なんのこれしき』
こしこ:鹿児島。
こしこどき:これ位は:鹿児島。
これたけ 【複】これだけ 清音化。また、『〜丈(だけ)』は古くは清音だった。古語と言っても良いだろう。
これたけいがいのはみだごどねー:これだけ大きいのは見たこと無い。
これだら 【複】これなら これにてあらば→これたるらば→これたらば→これたら→これだら と変化したと思われる。
現代語は、これにてあらば→これなるらば→これならば→これなら と変化したと思われる。
すなわち、『あり』の変化した『なり』『たり』は、標準語では『たり』の流れで断定の助動詞『た・だ』となり、『なり』の流れで助詞『な』を選択し、助動詞と助詞を分けて変化させたことになる。
茨城方言が現代語のルーツの古い言葉の流れを組む言葉の例でもあり、茨城方言は、『たり』一本に絞って変化したといえる。合理化の賜物である。
これだらいがっ:これならいいでしょう。
これちか 【複】これしか
これちんべー 【複】これだけ 『これちょっきりばかり』の意味。
こいちんべ:群馬。
これちんべ:群馬。
これっきし 【複】この程度、これだけ これっきし:群馬・静岡。
これっきり 【複】この程度、これだけ 明治時代の茨城方言集覧では、形式的に教育上望ましく無い言葉として位置付けられている。
これっきばっか:山梨。
これっくそ:山梨。
これっくそばか:山梨。
これったげ
これったけ
【複】これだけ こいしこ:鹿児島。
こしこ:鹿児島。
(これっちゃこれっちゃ) 【複】物を見せびらかす時の言葉 宮城。幼児語。
これっちょ
これっちょんべー
【複】これだけ 『これちょっきり』『これちょっきりばかり』の意味か。
これっちんべー
これっちんべぁー
【複】これだけ 『集覧:猿』。『これちょっきりばかり』の意味。
これちんべ:群馬。
これっちんべー:茨城・東京多摩・神奈川。
これっがし
これっかし
これっかり
◆▲これっ
これっーし
これっ
これっっち
【複】この程度、こればかり、これっぱかり 『集覧:新』。半濁音は濁音で発音されることがある。『これっぱかり』のみ真壁郡にあることば。
この言葉の関連語は圧倒的に旧新治郡の言葉であるから土浦を核とした明治時代からの言葉であると言える。バ行音の半濁音化は、促音化によって生まれたのは間違いないが、その中心地は旧新治郡のかも知れない。
関東では『ばかり』は多く『べえ』と言う。
現代語の『ぽっち』のルーツは『ばかり』にあり、これらの方言はその中間形とも言える。
『新方言』には『コレッカシ 「こればかり」;千葉県市原市。』とある。
これっかし:福島。
これっがしではあさめしだいにもなんね:この程度では朝飯代にもならない。
これっ
これっごり
これっこり
これっ
◆▲これっ
これっっけ
これっろし
【複】これっぽっち 『集覧:新』。
この言葉の関連語は圧倒的に旧新治郡の言葉である。
『ぺ』は『片』を思わせる。
これっ:群馬。
これはこれは 【感】 近年の日常語では消えてしまった感嘆詞。客人を迎えたり贈答品をいただいた時の冒頭の感嘆詞。
こればがし
これかし
こればがり
これかり
こればーし
こればっかし
こればーり
これべー
【複】この程度、こればかり、これっぱかり 『集覧:新』。
この言葉の関連語は圧倒的に旧新治郡の言葉である。
広辞苑には『許(ばかし):バカリの訛。浮世風呂三「うぬらばかし買切居る湯ぢやああんめへし」』とある。
関東では『ばかり』は多く『べえ』と言う。
現代語の『ぽっち』のルーツは『ばかり』にあり、これらの方言はその中間形とも言える。
こっくそばか:山梨。
・こればっかい:静岡。
こればっこ:宮城・福島。
これっちょ:福島。
これべっこ:青森。
これっち 【複】この程度、こればかり、これっぱかり、これっぽっち
これほが 【複】これしか 『これほか』『これよりほか』。
これや
これやー
【複】これは 『こりゃ』の原型と考えられる。
これやー:静岡。
これら 【代】こいつら 『此等・是等』。標準語ではやがて人と物を指す言葉が分離する。
こーれん 煎餅、軽焼、軽焼煎餅 『集覧:稲・新・鹿』。集覧では『米の煎餅』とある。『香取』にも掲載。
東北にある『紅蓮煎餅』(こうれんせんべい)が略されて残ったものと思われる。
こーりん:茨城鹿島郡。
こーれん:千葉。
(これん) 【複】来られない、来れない、来ることができない 山梨。
明らかに『来れぬ』が訛ったもので、古語・文語に由来する言葉だが、東日本ではあまり使われない。東日本ではさらに訛って『きねえ・こねえ』などと言う。
西日本では、『来られ(は)せぬ』が訛った『来られへん』などと言うのは典型的な関西方言だが、どちらが由緒ある言葉かは定かではない。
東西を分ける中央構造線が位置する山梨は東西の干渉する領域だが、むしろ、その双方の文化を受け継いだ地域と言える。
一方、茨城では、『きね・きねー』が代表的である。
これんかり
これんばし
これんぼち
これんっち
これんべー
これん
これんっち
【複】この程度、こればかり、これっぱかり 『集覧:新』。
この言葉の関連語は圧倒的に旧新治郡の言葉である。
撥音化しているのは『これにある、これなる、これの』が変化したと思われる。
関東では『ばかり』は多く『べえ』と言う。
現代語の『ぽっち』のルーツは『ばかり』にあり、これらの方言はその中間形とも言える。
ころ〜 【接頭】全く、まるで 『ころっと』の意味か『から』が訛ったと思われる。
ごろ
ごろめ
ごろん
ダボハゼ(チチブ)
(ごろー・ごろーじ・ごろじょー・ごろんじょい) 【複】御覧なさい 静岡。『ごろうじろ』なら年配の人なら良く知っている言葉である。
広辞苑に『ごろうじる【御覧じる】:(サ変動詞「ごろうず(御覧ず)」が上一段活用に転じたもの) 「見る」の尊敬語。ごらんになる。』『ごろうず【御覧ず】:(ゴランズの音便) 「見る」の尊敬語。御覧になる。』とある。
(ころとや) 一戸建ての家 宮城。
◆▲△▽ころ
ころめ
家畜の子、犬の子 辞書によると『子ろ(ころ)』は上代東国方言とあり、『子等』が訛ったと言う。『集覧:新』。
『俚言』には『ころ:(中略)万葉集東歌には子等をころといへり。』とある。
ころ:茨城・埼玉・長野・岐阜・三重・奈良。
ころ:子豚:東京多摩。
(ごろ・ごろー) 聾唖者 佐渡島。『うしごろ』とも言う。
(ごろ) 山梨。
〜ころ
〜こら
主に家畜の名について子供を表す。 家畜全般の子供を指し、『ぶだころ・ぶだっこら』『いぬころ・いぬっこら・わんころ』『ねごころ・ねごっこら』『うまっころ』『うしっころ』とも言う。『こら』を使う場合は多く複数形である。
『こら』も『ころ』も『子供達』を示す上代東国方言。茨城方言が上代語を良く残している典型例。
ころ:豚の子:東京多摩。
ころ 重いものを移動するときに下に敷く細い丸太 『転』。
ごろ:神奈川。
ころきり:コロを打ち込むときに使う木槌:神奈川。専門用語か。
こーろ
◎こーろー
長い年月。年功。劫量。 『劫臈』。
こーろへる:年をとって経験をつんでいる:神奈川。
ころあい
ころえー
@程度。そのぐらい。A適当な程度。てごろ。B適当な時機。好機。 『頃合』。最近あまり耳にしなくなった。『頃・比』。『ころおい』とも言う。
@ ★いーころえーだな:いい時間だな。
A・ころあい:東京。
B★ころあいみでばいーべな:好機を見て行けば良いだろう。
ころいー 【慣】程度が手頃な様、時期が適当な様 『頃合が良い』。標準語と言っても良い。
(ころき) 干し柿 『転柿・枯露柿』。『白柿』とも言う。
『ころ』とは広辞苑に『@塊状のものを数えるのにいう語、A(接尾語的に) 小さく丸いものを表す語』とある。
ころ:東京。
ころか タイミング、時間の加減
(ころかす) 【動】転がす 神奈川。清音化現象は茨城だけではない証の言葉。
ころふく 【動】加齢によって賢くなること、また狡賢くなること 『ころがふく』とは、@『頃』(程度・加減)が『老く』(ふく)、あるいはA『自』(ころ)が『老く』(ふく)が考えられるが、Aは老いることそのものなので、@の意味が転じたのだろうか?。
ころぐに
ころくに
【副】(否定形を伴って)十分に〜ない、ろくに 『こ』は単に語調を整える接頭語で『小』の意味。
こーろ
こーろ
こーろ
コオロギ
ころおぢる 【動】転がり落ちる、転げ落ちる
ころでぐ
ころ
【動】@転がって行く、A急いで行く、B転がり込む おめそーゆんだらいづでもおめにころでぐどはー:お前がそう言うならいつでも転がり込むよ、もう。
ころまーる 【動】転がり回る、転がりまくる、転げまわる
ころける 【動】加齢によって賢くなること、また狡賢くなること 『頃が老ける』意味か。
ころ 【動】転がる、転ぶ 死語となった標準語。何故『転がる』『転げる』と言うのかは不明。
動詞で『〜げる』を使うのは、『〜ぐ』の使役形で『和らげる』『平らげる』『繋げる』等であり、『〜がる』は、『繋がる』等のほか、一般に『【接尾】形容詞の語幹・名詞などについて五段活用の動詞をつくる。』(広辞苑)とあり、『やりたがる・いきたがる・いきがる』等がある。明らかに『〜にてありたしにてやあるらめ』
『転がる』は『転がりてある』意味だろう。
この場合の『ころ』は現代語の『ころぶ』と同じ『ころ』(@(投げられてころがるからいう) さいころ。A重い物を動かす時、下に敷いてころがすのに用いる堅く丸い棒。ある種の軸受をもいう。また、細くて短い薪材。小端(コワシ)。木呂。くれ。五郎太(ゴロタ)。Bころ銭(ゼニ)の略。C尺八を吹く手。他の穴を開き、一穴と二穴を指で交互にうって吹き鳴らす。D(接尾語的に) 小さく丸いものを表す語。)で『くる』にも通ずる。
この『ころげる』は単に『転ける』意味なのかもしれないし、そうでもないかも知れない。
ころける:神奈川。
ころ:山梨。
ころ 【動】@急いで行く、A転がり込む @は『はしりころる』の短縮形と思われる。『集覧:那』。集覧では『行けよの意』とある。
ころ:急いで行きなさい。
ころ 【複】急いで行け 『集覧:那』。
◆●□▽ごろこ
◆●ごろっこ
オタマジャクシ 『集覧:新』。茨城と千葉に分布。ごろごろと転がっている様に見える様を呼んだのだろう。
ハゼ類を『ごろ』と言うのと同じ。『転(ころ)』にも通じる言葉。
ごろこ ハゼ類、雑魚
(ころころ) 【副】大いに喜ぶ様 東京。
(ころころ) @【副】すっかり、A【形動】良く働く様 神奈川。
ころころむし ダンゴムシ
ごろごろ
ごろごろさま
ごろさま
主として幼児言葉として使われる。
ごろごろさま:青森・福島・千葉・埼玉。
ごろごろさん:群馬。
ごろさま:栃木・千葉。
まだごろごろきたでやー:また雷がごろごろと来たぞ。
ころす 【動】@叱る、懲らす、A値切る、B痛める、傷める、C炒める @『懲らす』と同じ意味の『懲ろす』。
A@の意味の拡大。
B★かかりにころされる:掛かり負けする。
C★すてころす:瓜揉みを作る。
にっころす:煮転がし(煮転ばし)を作る。
ころす 【動】死に別れる 『おっころす』。『殺す』ことに例えた言い方。
ころす:親族が亡くなる:山形。
おらきょねんかーちゃんごどころっしゃったどはー:俺は、去年女房に死に別れたよ。
ごろだ
◆▲●ごろた
ごろった
@丸太、A▲オタマジャクシ、B▲固まり、団塊、C小石、石ころ @標準語。『五郎太(ごろた)』(擬人化)だろう。『転(ころ)』にも通じる言葉。
A『集覧:稲』。県下では足の生えたオタマジャクシを指す地域もある。ごろごろと転がっている様が『五郎太(ごろた)』に例えられたのだろう。茨城と千葉のみに分布。
B『集覧:新』。『五郎太(ごろた)』の意味の一つである『道に転がっている小さな丸い石』が転じたと考えられる。
ごろた:茨城・富山・岡山・鹿児島。
C『五郎太(ごろた)』。標準語。
『俚言』には『五郎太:小石のことをいふ是也。』とある。
『称呼』によれば『石(いし):畿内にてごろたといふは石の小なる物を云。東国にて石ころといふ。山陰道にてはくりと云(細小なるものか)。越中にていしなといふ。江戸にてじゃりと云う。』とある。
登山用語に、『ゴーロ』がある。主に沢筋等で大小の丸い石(頭ほどの大きさから直径50〜60cm程度)丸い石がごろごろろごろ転がっているところを言う。
ごろたいし:頭ほどの大きさの石:神奈川。
ごろつぐ 【動】ぶらぶらして怠ける 濁音化。
ごろっさり ぶらぶらして怠ける様 『ごろごろ』に接尾語の『さり』がついたもの。
『ぶらちゃら』
■▲ころっと
ころーっと
こりっと
【副】簡単に、残らず全部、すっかり 『ころりと』。『集覧:稲・行』。
ごろいと:鹿児島。
ごろっと:鹿児島。
ころっと:神奈川・静岡。
ごろっと
◆■ころっと
【副】ごろりと 濁音形は俗語。
(ごろっと・ごろり) 【副】肌に直に 宮城。
ころばい 頃合 『頃合』『勾配』が訛ったと思われる。
ころばし 回復 『集覧:久』。
ころばす 【動】転がす、(自転車を)漕ぐ、倒す 『ころばかす』とも言う。
ころばす:山形・山梨。
ころばせもぢ
ころばせもち
生後1年目の儀式 一般には『一升餅』『ころばし餅』と呼び、東日本の風習とされる。
『むがんづぎ』の前に子供が歩いた時餅を搗き、子供に背負わせる儀式。最初は半枚餅を背負わせ、ころばない時は1枚餅を、それでも転ばない時はわざわざ突き転ばせたと言う。随分残酷な儀式だが、『生後1年以内に歩く子は、成人すると間も無く家を出る。』という迷信にがあるためである。
この風習は、話には聞いたが当時すでに廃れていた。戦前は市内の全域でやっていたと言われる。
『俚言』には『ぶっすゑ餅:嬰児の誕生月以前にたちたるに腰へぶっつけてすわらするなり。』とある。
たったらもぢ:山形。
ぶっさりぼたもち・ぶっさりもち・ぼたんもち:初誕生日に歩くのは良く無いと言われ負わせる一升:神奈川。
ころばる 【動】転ぶ、転がる 『転ぶ』。擬似自動詞形。
ごろひき 雑魚を掬うこと 『ごろ』は、霞ヶ浦に生息するハゼ科の魚の総称。
ころひく
ころふぐ
ころふく
【動】年功を積んで老練になる 『ころ』とは、『劫臈』(こうろう:長い年月。年功。劫量。)。『劫臈を経る』。『甲羅をへる』(成熟して大きくなり、または変形する。)という言い方もある。
ころへーる:年月がたつ:神奈川。
(ころへーる・こーろへる) 【複】年をとってへまをしない、年月がたつ 神奈川。
ごろまげ
ころまげ
完敗、ぼろ負け 『ころり負け』の意味か。
ごろまけ:山梨・愛知・福井。
ころめ 豚の子 『ぶだころめ』が詰まったもの。
こーろめ コオロギ 『集覧:新』。別名『いとど・ちちろむし』。古名『きりぎりす』。
ころやげ 丸焼け 『転焼け』の意味。
ころりん 小さいものが落ちてころがるさま 『ころり』。昔話に『おむすびころりん』がある。
ごろんごろん 大きなものが転がる様 ごろらごろら:宮城。
ごろんごろんと:山形。
ころんころん 小さなものが転がる様 ころんころんと:山形。
ごろんと 【副】ごろりと 俗語。
ごろんとねる:ごろりと寝る。
◆■▲□△▽○こわい
こわえ
【形】@硬い、A強い、B疲れる、骨が折れる、辛い 『集覧:久・水・那・筑・稲』。
現代標準語では『怖い』意味でしか使われない。
『硬い・強い』意味は『おこわ・こわめし』に残る。
『こはし』は上代からある和語で、『硬い・怖い・強い』は後から厳密な意味に応じて相応の漢字を当てたと考えられる。もともとは、硬くて歯が立たない意味が転じたものである。
『疲れる』意味で使うのは方言と思われているが、実は古い言葉。文献上は全国に分布するが現代でも使われているのは、東北と北海道のほか関東圏では茨城と千葉北部だけで使われる。
尚、厳密には、『疲れた』意味ではなく、『疲れている状態』を言い、今現在が『疲れている』のである。体や筋肉が強張って動けなくなっている状態を言い、過去の場合は『こわがった』と言う。標準語の『疲れた』は、現在進行形と過去形・完了形かが曖昧である。
『強い(こわい)』は、広辞苑に『@ごわごわしている。かたい。Aけわしい。B相手の思い通りにならない。強情だ。執念深い。Cつよい。てごわい。D生硬である。E骨が折れる。疲れる。「日葡辞書」』とある。正しくは、疲れている状態を言う。ここで『日葡辞書』とは江戸時代(1603)に刊行された日本−ポルトガル辞書のこと。茨城方言は400年前の言葉をかたくなに今に伝えている。
筋肉が疲れて強張った意味。一方『疲れる』も『草臥れる』も使われる。
『方言地図』によると、『こわい』を県内で恐ろしい意味で使うのは県北・県南部で、その他の地域では使わない。県外では、関東から・山陰・四国に分布し、残りは使わないとされる。『こわい』を疲れた意味で使う地域と裏返しの関係が見える。
ちなみに古語の『強し(こはし)』は、『@強い。勇猛だ。A強情である。頑固だ。B堅い感じだ。ごわごわしている。Cけわしい。D手ごわい。堅くしっかりしている。』意味。『疲る』(つかる)は『@心身への過剰な負担があって、それ以上の活動がしにくくなる。A腹が減る。飢える』とあり、近世に生まれた言葉と思われる。となれば、体の状態を示す『こわい』とは、疲れて体のあちこちが強張った状態を言ったことは間違いないだろう。言い換えれば、現代語の『怖い』は当て字で受け手の側が恐れおののく意味を表すが、『手ごわい』という言葉があるようにもともとは対象を指して表現した言葉である。近世語には『こはらしい:恐ろしい』がある。ちなみに、古語には『怖し』は無い。
『称呼』には『大儀なといふ事を、薩摩にて、だりていと云。常陸にて、ほりないと云。上総下総にて、こわいと云。仙台にて、うざねはくと云。』とある。
『俚言』には『こわい:下野にて疲労をいふ。上総にて草臥れること。』とある。
@硬い。
こわい:福島・東京・長野・山梨・静岡。
こわばしー:宮城。
こわばすい:山形。
A強い。
B疲れる・骨が折れる。筋肉が疲れて硬くなった意味と考えられる。筋肉が硬直することを『強る(こわる)』と言う。
分布地域の広さから言えば方言とは言いがたいが東京に無いことから方言扱いされるようになったと見られる。
こわい:北海道・青森・岩手・秋田・宮城・山形・福島・茨城・千葉・栃木・埼玉西部・群馬北東部・新潟・石川南部・富山南部・長野北西部・山梨西部・静岡東部・奈良南部・三重南部・和歌山南部・島根・広島・山口・愛媛・宮崎南部・鹿児島・奄美大島。
こわい:息苦しい:静岡・島根。
こわい:気持ちが悪い:埼玉。
こわい:痛い:神奈川・和歌山。
こわい:切ない:静岡。
こわい:不安な様:静岡。
こわい:恥ずかしい:静岡・岐阜。
こわい:申し訳ない:岐阜。
こわい:嫌だ:岐阜。
こわい:暑苦しい:島根。
こわい:生活が苦しい:鹿児島。
こわえ:山形。
こわえ:辛い・難しい:福島。
こわぇー:切ない:静岡。
こわかったべ:疲れたでしょう・大変だったでしょう:福島。
★長塚節『芋掘り』:つぁ、獨で太儀(こは)かっ。−こはえな:父ちゃん、一人では疲れるだろう。疲れるな。
こわいろ
こわえろ
声の調子や感じ 『声色』。
こわがいし
こわげし
こわげーし
子供達、未成年者 『小若衆(こわかしゅ)』。中学生から高校生程度までの未成年を指す。
こわかいし:群馬・神奈川。
こわかいしゅ:神奈川。
こわかいしゅー:神奈川。
こわけーし:神奈川。
こわぎ 脇に関するちょっとした動作・状態 『小脇』。
ごーわぐ 【複】腹が立っていらいらする 『業が沸く』。=『業が煮える』。
こわ 【形動】恐ろしげ 『怖げ・恐げ』。
(こわける) 【動】破れる 静岡。
こわ
こわ
声の感じ、声色
(こわし) 流木 静岡。
こわす 【動】(お金を)くずす 標準語だが使われなくなりつつある。広辞苑には『壊す・毀す:高額の貨幣を少額の貨幣にする。くずす。』とある。
こわす:群馬・山梨。
こわだが 【形動】声の大きな様 『声高』。
こわづがい
こわつき
声の様子 『声遣い』『声つき』。
こわっちー 【形】硬い 『よわっちー』と同様茨城の新方言と思われる。
こわっ 子供、若造 罵倒語。『小童』。
こわっ:神奈川。
こわばりつぐ 【動】こわばる、こびり付く、へばりつく こわしー:硬い:宮城。
こわむし コガネムシ 『硬虫』の意味。
こわめ 粘土質の畑
こわめし おこわ、赤飯 標準語。
こわめし:福島。
(こわらしー) 【形】恐ろしい 東京。
こわり 広辞苑に『こわり【小割】:@材木を小さく挽きわること。また、その物。A木材の形状・寸法を示す規格の一。幅一寸前後の角材。Bまきを小さく割るための、なた。』とある。
こわり:草葺屋根の棟に貼る下地材としての板:神奈川。
□こをなす 【複】子供を生む
(こん) 【複】来ない。 山梨・関西。
明らかに『来ぬ』の名残である。
山梨は大半が中央構造線の東側にあるが、戦国時代の中央との交流が豊富であったことを思わせる。
東日本では普通『こねえ』と言うがこれも『来ぬえ』が訛ったとしか思われない。
一方、『来(く)』と『来る』は、現代語に移行する過程で、混乱したことが伺える。
また、『来ぬ』の用法が、『こぬ』が正しいのか『きぬ』が正しいのかは、『ぬ』の用法のどれが正しいかは、日本語の成立の中では特定できない。
言い換えれば、『来ぬ』は自然に『こん』となる一方、終助詞の『や・よ・い・え』がこれに付けば、自然に『来ぬえ』となる。
東西の言葉の違和感はここに起因するかも知れない。
こん〜 【代】この〜、これ〜 『是・此』。標準語。古くは『こ』である。『この』『こな』の撥音化したものである。江戸言葉でもある。
現代標準語の定義は怪しいものがある。これはその代表語でもある。
現代語の『こん〜』は元は『こなる』意味だろう。
こん〜:鹿児島。
こんくれー:この位。
こんな
こんなんで:こんなので、
こんで:これで。
こんど:今度。
こんた:こんな。『こなにてある』の意味だろう。
★『浮世』こんといでえじょぶだあ:この通り大丈夫だ。
〜ごん

〜こん
【助】@〜事、A〜頃 @は濁音のことが多く、ABは鼻濁音のことが多い。
@が清音の場合は、江戸時代からの東国方言でもある。
『称呼』には『東国にては、何(な)んの事(こん)だとはねて云。』とある。
『浮世』(P26)に『もの金を蓄(こせ)ゑべい云(て)って、山事は悪い事(こん)だね。』とある。
〜ごん:山形。
〜こん:群馬・山梨・静岡。そまつなこんで:粗末な事で:群馬。そんなこんで:そんな事で:静岡。
あったごんではやぐにただねー(たざねー):あんな事では役に立たない。
おめごってはくろーしたい:お前の事では苦労したよ。
A単に『頃』が訛ったもの。
いますずしぐでいーなやー:今ごろが涼しくて良いねえ。
(婚姻) 1909年(明治42年)2月11日、上大津地区は折からの大西風で西端で発生した火事が瞬く間に全村に広がり、殆どの家が全焼した。そのため寺の過去帳も焼けてしまい、我が家の正確な家計を示すものが無くなってしまったが、昭和46年に父親が火葬に対応した墓石を作った時に過去の戸籍を調べ上げた謄本が手元にある。それによると6代前まで記載されており、江戸時代の1824年(文政7年)生れの『志ん』婆さんの記録が残っている。その連れ添いが我が家の屋号にもなっている『茂右衛門』である。家紋は一見武田菱に見えるが四つ目紋で『角立四つ目』で近江源氏の家紋の流れである。我が家は伝承で、室町時代に土着武士になったとと聞いているが、概ねそうなのだろう。
ところで、古い時代の戸籍は、旧民法の性格にもよるのだろうが、今とは異なり一家の主としての『戸主』が全てを支配し、今には無い『廃戸主』の言葉があるとおり、独特の管理感があった。『隠居制度』はその代表である。成人になる前に隠居した記録がのこされている。また『後見人制度』の存在も面白い。
さらに、もっと面白いのは、先祖のほとんどが20歳で結婚していることである。現代とことなり、年齢が来たら結婚するのが、親の主導で行なわれた最後の時代であったと言える。
ごんか 【形動】量が多い様、豪華な様 『豪華』。
こんかい 【複】このくらい こんかい:これだけ:静岡。
こんらがす
こんらかす
【動】こんがらかせる、、混乱させる 他動詞・使役的意味合いがある。
こんらかす:山梨。
こんがる
こんがが
こんかる
【動】こんがらかる
こんか 【副】全力で、恨気の続く限り やや古い標準語。『根限り』。
こんかりでおわっやー:今回限りで終わろう。
はーおめどつぎやーのはこんかりだどな:もう、お前と付き合うのは今回限りだよね。
こんか 【複】今回限り 『この限り』の意味。
(こんない) 【形】意気地が無い 神奈川。『こん』は『根・魂』か。
こん
こんらかる
【動】こんがらかる 標準語。広辞苑には『こんらかる』しかないが、『こんる』も良く使われる。古くは『こらかる』
現代標準語ではよく使われる言葉だが漢字が当てられていない珍しい言葉でもある。『凝る(こごる)』や『焦る(こがる)』とも音通するが、古語にも近世語にも目下見当たらず、かなり新しい言葉らしい。
こん:千葉・東京多摩。
こんらかる:神奈川。
こん
こんらける
こん
こん
【動】こんがらかる、こんがらがる 『げ』は濁音・鼻濁音
ぐんらける:紛糾する:千葉。
くまらける:岩手。
こんき 物事をあきずに辛抱強く続ける気力。精根。 『根気』。近年あまり聴かなくなった言葉。
こんき:静岡。
こーんき 耕運機 農作業の足と耕作作業が牛馬から耕運機に変わった時代だった。その後、足は車になり、耕作はトラクターへと変わって行く。
こんきいー 【形】根気強い こんき:静岡。
こんきー:苦しい:静岡。
こんきしょ
こんきしょめ
【感】この畜生!
こんきたねー 【形】汚い、こ汚い
こん 今夜 『集覧:新』。
こんゃぐ
こんゃく
コンニャク 『集覧:真』。
(こんきらこ) 出会い頭にぶつかる事、鉢合わせ 神奈川。
こんきり 【副】@これきり、これだけ、Aこれきりにして、一切、全く はーこんきりやんなよ:もう一切遣るなよ。
こんきりにすんべな:これで最後にしよう・これっきりにしよう
こんきりいっ 【副】全力で、恨気の続く限り
(こんさる) 【動】腹が立つ 静岡。
こんらい
こんくらい
【複】このくらい 俗語と考えられる。
こんくらい:東京青梅。
こんくり コンクリート 標準語の俗語。
こんくり:群馬。
こん
こんくれ
こんれー
こんくれー
【複】このくらい こんれー:千葉。
こんつれー:山梨。
こんくれだらいがっ:この位なら良いでしょう。
こんれーた
こんくれーた
こんれーな
こんくれーな
こんれーの
こんくれーの
【連体】このくらいの 単音形もある。『た』は濁音形もある。
こんれに
こんくれに
こんれーに
こんくれーに
【連用】このくらいに :山形。
こん
こん
【複】こんなに、このように こん:秋田。
こん
こん
こんけ
こんけー
こんけん
【複】このくらい こんけ:青森。
こんけー:神奈川・山梨。
こんけん:東京青梅。
こんたいがさではちーせーよ:この位の大きさでは小さいよ。
おれつったなこんけんあったど:俺が釣ったのはこれ位あったよ。
こん 今月 こん:千葉。
(こんん) 【副】一向に、一切、決して 神奈川・静岡。これは和語ではなく漢語と思われ、『今限』の意味と思われる。
◆▲△▽ごんこ ご飯 『集覧:稲・西』。幼児言葉。
『供御』(くご・ぐご)。また『こご【供御】:(クゴの転) 食事の丁寧な言い方。』もある。もと女房詞。
群馬・新潟では神仏に供えたものを『おみごく』と言うがこれは『御供』の流れ。。
『称呼』には『いい(めし):加賀及越中又は武蔵の国南の海辺にておだいといふ。薩摩にてだいばんと云。出羽にてやはらといふ。小児の詞に関西関東共にままといふ。又東国にて共いふ(これは供御なるべし。いせ流の女詞にもぐごといふ)。上総下総の小児ぱっぱといふ(余国にてはたばこの事をぱっぱといふ。総州及び常州にてままといふは水のことなり。)。』とある。
ごご・ごんご:水:鹿児島。
ごんこ:茨城・栃木。
こんこ
こんこめ
キツネ 幼児語。
ごん 午後
ごん 五合 『集覧:久』。
ごん:宮城。
ごんこかせろ 【複】ご飯を食わせろ 『集覧:西』。
(混交語) 二つの言葉が交じり合って一つの言葉になったもの。 『混交語』は辞書には無いがウィキペディアには、見出しだけがある状態になっている。
茨城方言の動詞に極端に多い接頭語の付いた動詞は混交語の一種とも言える。
スモッグ:【smog】(smoke (煙)と fog (霧)を合成した語) 煙霧に同じ。
へずる:少し削ってへらす:『減らす』+『削る』。
破く(やぶく):『破る』+『裂く』。
濯ぐ(ゆすぐ):『揺する』+『濯ぐ・洒ぐ・滌ぐ・漱ぐ』(すすぐ)。
よそる:『装う』と『盛る』が混じってできたという。
(ごんごかれ) せむし 鹿児島。
(ごんごばをり) ねんねこ半纏 鹿児島。
こんまる 【動】かがむ 『こごめる(屈める)』の転。
こん
こんらー
この頃は、最近は 格助詞が一体化したもの。
こん:東京青梅。
こんこら
こんこらー
この頃は、その頃は 過去のある時期を言う。格助詞が一体化したもの。
こんらげる 【動】こんがらかる
こん 凝り、固まり こん:東京都大島・八丈島・静岡。
こん この頃、最近
こんころ この頃、その頃 過去のある時期を言う。
ごんごん 水が勢い良く出たり流れたりする様、ごうごう ごーつ:急流:神奈川。
ごんごんせ:流水量の多い急な瀬:神奈川。
ごんごん
ごんごんめ
化け物、怪物 幼児語。
◎こんこん
こんこんつね
こんこんさま
キツネ 幼児語。
こんこん:千葉。
こんこんさま:福島・埼玉。
こんこんさん:稲荷神社:群馬。
こんこんちき:東京。
こんこんちき 他の語の後に付ける強調言葉、罵倒語 狐の異称でもある。
こんこんちきねー:融通が利かずばかまじめだ:神奈川。『(そんな)こんこんちきはない』のようなニュアンスか。
こんざげ 【複】これだけ
こんざづ
こんさづ
こんさつ
混雑
こんざる 目籠
こんし この人、貴方、貴女 『この衆』の意味と思われる。『集覧:久・那』。
こんじー この間。先日。 『此ん中』。近世語が訛ったもの。稲敷郡の方言。
こんじゅー:静岡。
こんじ
こんじぇ
【複】これで 30年代の古い言葉。
こんじはだいだ:これでは駄目だ。
こんじぎ
こんじき
乞食
こんじは
こんじぇは
【複】これでは 30年代の古い言葉。
こんじゃげ 【複】これだけ 30年代の古い言葉。
〜(した)ごんじゃら
〜(した)こんじゃら
【複】〜したら〜、〜したなら〜 いまいっかいやったごんじゃらきかねーど:もう一回やったら承知しないよ。
(こんじゃろ) 味噌漉し 静岡。『(味噌)漉し笊』が訛ったもの。
(こんじゅー) この頃 静岡。『このじゅう【此の中】:このごろ。近ごろ。この数日間。』が訛ったもの。
こんじょ
こんじょっ
こんじょぼね
根性、根性骨 こんじょーっ:東京。
こんじょなし 【複】意気地なし
こんじょま 意地悪 こんじょま:東京。
こんじょーやくざ 精神力に乏しいこと ★『土』:卯平等(うへいら)も仕事(しと)ぢゃ強(つを)かった、そりや強(つえ)えとも、そんだ此(こ)ら根性(こんじやう)やくざだから、疫病(やくびゃう)くっついて太儀(こは)くって仕(し)ゃうねえなんて、それから俺(お)れ、確乎(しっかり)しろっちへばどうも下痢(くだ)っちゃ力(ちから)拔(ぬ)けて仕(し)ゃうねえ、うんうんなんて唸(うな)って
こんじょよし 【複】人が良い、お人好し
こんじょわりー 【複】【形】人が悪い、ひねくれている
こんじょわる 意地悪 こんじょわる:東京多摩。
(こんじんさま) 気難しい人 神奈川。『金神様』の意味という。
広辞苑に『金神:陰陽道(オンヨウドウ)でまつる方位の神。その神の方角に対して土木を起し、出行・移転・嫁取りなどをするのをきびしく忌む。これを犯せば金神七殺といって、家族七人が殺されるという。』とある。
▽〜ごんす 【助動】〜ございます ございます→ござんす→ごわんす→ごわす→ごんす・がんす→ごす・がす→ごっす
『有難う御座いました』を岩手では『ありとがした』、福井では『ありとごいした』と言う。鹿児島では『〜ですよ:ござるぞ』を『ごあんど・ごわんど』と言う。
がえん:ございません:宮城。がえん:ございませんでしょうよ。がえんわ:ございませんよ。
〜がす:秋田・岩手・茨城。
〜がんす:岩手・秋田・山形・茨城・群馬・広島。
〜ごあす:鹿児島。
〜ごあんど:〜ございますぞ:鹿児島。
〜ごいす:山梨・福井。
〜ごわす:岩手・長野・大阪・鹿児島。
〜ごゎんす:徳島。
〜ごわんど:〜ございますぞ:鹿児島。
〜ごんし:〜ございますね:山形。『〜かし』と同じ念を押す表現。
〜ごんす:佐渡島。
〜ごーんす:青森。
〜ごあーす:青森。
ごんぜつ ものいい。言い方。弁舌。 『言舌』。
ごんぞ 子供の草履、布で作った草履、ごんぞう、ごんず、ごんぞうぞうり 茨城方言集覧では旧新治郡の訛りとして紹介されている。布で作った草履。『権蔵』『権蔵草履』。
『称呼』には『草履(ざうり):江戸にてこんがうのりものざうり(うらおもて共に藺の殻をもって織たる物)、畿内西国にてこんがう(こんかう)と云(乗物ざうりの名はなし。)。江戸にていふかはざうり(竹の皮にてつくりたる物)を九州にてうらなしと云。東国にてがづざうりと云。江戸にてなかぬきざうりを、京にてすべざうりと云(江戸にてわらのしべといふ物を京大阪にてわらすべといふ。)。因幡にてわらみざうりと云。江戸にて云わらざうりを奥州仙台にてちりざうりと云。江戸にてごんずわらぢを関西にてあとづけざうりという。九州にてむしゃわらぢむしゃざうりといふ(小児のはく物也)。』とある。
『俚言』には『こんざう:即こんすわらぢ也。今江戸の俗小児の草履をごんざうと濁呼す。』とある。『こんず』とも言う。
ごんぞー:静岡。
ごんぞー:浮浪の土方:静岡。
ごんぞー 共有、共同 稲敷郡の方言。『合同』が訛ったか。
ごんど:長野。
(ごんぞー) 浮浪の土方 静岡。
『ごんぞう【勤操】:平安初期の三論宗の学僧。大和の人。七九六年(延暦一五)石淵(イワブチ)寺で初めて法華八講を行う。のち弘福寺(グフクジ)・西寺(サイジ)の別当。石淵僧正。』に関係があるか。
ごんぞーり
◎ごんぞーわらじ
乳(チ)と紐とを布でつくった草鞋(ワラジ)。武者わらじ。ごんずわらじ。 『権蔵(ごんぞう)』。『ごんず、ごんぞうぞうり』。『ごんぞうわらじ』は辞書には無いが、類義語で古い言葉と思われる。
ごんぞーわらじ:神奈川。
ごんた ごろつき、ならずもの、腕白小僧 『権太』。辞書によると『浄瑠璃「義経千本桜」鮓スシ屋の段の人物いがみの権太の名に基づく』(広辞苑)とある。
がんたく:おてんば:山形。
がんたく:腕白な子供:山梨。
がんたく:ならずもの・節の多い木:滋賀。
ごんた:奈良。
(こんた) この方、こなた 佐渡島。
こんだ
こんた
【連体】こんな 汽車が走る様を『なんださかこんださか』と言ったが、あれは茨城弁だったのだろうか。
こんだ:神奈川。
こんた:秋田・山形。
こんたな:こんな・こんなな。
こんたに:こんなに。
こんたにはりごんだらこわぐなっちまーべ:こんなに精を出したら疲れてしまうでしょ。
こんたら:こんな。
こんたらごどしてせげんさまにわられっ:こんな事をしたら世間の人達に笑われてしまうでしょう。       
◆■▲こんだ 【副】今度、次回 格助詞の一体化。辞書不掲載だが標準口語で使うことがある。標準語の中の訛り。『集覧:新』。『こんだは』などという言い方もある。
こだ:青森。
こんだ:福島・群馬・東京多摩・神奈川・新潟・長野・山梨・静岡。こんだにする:群馬。
こんた:神奈川・静岡。
こんだどーすんだ:次はどうするの?。
こんだりょこーにはいだぐねーんだ。なんでだっ?。んだがらこんだのやなんだってゆってな。んだがらこんだのりょこーなんでやなんだ。んだがらこんでんのやだってさいしょがらゆってっな。うーーー。
こんだー 【複】今度は 『集覧:無記載』。格助詞の一体化にともなう擬似長音化。
こんだー:福島・神奈川・山梨。
〜ごんだ
んだ
【助】@〜ようだ、A〜ような、〜如くの @八丈島でも『ごんだ』が使われる。
A★すったごんだゆーもんだねー:そんなようなことは言うものじゃない。
〜ごんだ
〜こんだ
【助】〜ことだ 『称呼』には『何事じやといふ事を(中略)東国にては何んの事(こん)だ とはねて云。』とある。これは江戸の奴詞でもある。
〜こんだ:群馬・静岡。
こんだがら
こんだっから
【複】@これだから、A今度から
(ごんたくもの) ごちゃまぜ物 静岡。
元『御託物』か。
『御託』は『(御託宣の略) くどくどと言うこと。また、傲慢な言い分。略して「ごた」ともいう。』であり、『ごた』は『ごたごた』(種々の物が乱雑に入り混じったさま。ごちゃごちゃ。)であり、『ごちゃまぜ』『ごた混ぜ』とも言う。ちなみに『御託宣』とは『@託宣の尊敬語。Aくどくどと言うこと。もったいぶって言うこと。ごたく。』、『託宣』とは『神が人にのりうつり、または夢などにあらわれて、その意思を告げ知らせること。神に祈って受けたおつげ。神託。』の事である。
こんだげ
■こんだけ
こんたけ
【複】これだけ、こんなに 俗語『こんだけ』の清音化・濁音化。
こんだごさ
こんだこさ
こんだごそ
こんだこそ
【複】今度こそは 『今度は』が訛った『こんだ』と『こそは』が訛った『こさ』の連語。
★『土』:こんだこさ大丈夫(だいぢょうぶ)だ、先(せん)にゃどうして罅(ひゞ)なんぞいったけかよ。
こんだな
こんたな
【連体】こんな このたな:静岡。
こんだに
こんたに
【連用】こんなに こんたに:宮崎。
こんでに:こういう風に:静岡。
こんなたに:このように:静岡。
こんに:静岡。
ごんだまぜ 乱雑に入り乱れているさま 『ごた混ぜ、ごった混ぜ、ごちゃ混ぜ』。
こんだもんなー 【感】これだもんなあ
◆▲こんだら
こんたら
@【接】これなら、A【連体】こんな、B▲この人たち @『こんなら』。
こんだら:宮城。
こんでから:宮城。
こんでから:宮城。
こんだらいがっ:これなら良いよ。
Aは『こんなな』の転。
B『集覧:那』。『こなた等』。
〜(した)ごんだら〜
〜(した)こんだら〜
【複】〜したら〜、〜したなら〜 『〜したら、今度は』の意味。茨城ではあくまで仮定形の意味しかない。『ことにてあらむ』。
〜こんだら:〜ことだろう:神奈川。おなじこんだら:同じことだろう。
さぐきりやったごんだらたねまぎだ:畝造りが終わったら今度は種まきだよ。
こんたれる 【動】叱られる 『集覧:猿』。=『こーちゃれる・こんちゃれる』
『こん』は『恨』、『おん』は『怨』と見られる。『たれる』は『垂らる・垂れられる』と考えられる。
国立国語研究所の研究報告では、叔父を指す『おんつぁま』に由来するとしている。
『俚言』には『をんつぁれる:下野にてしかられるなり。』とある。
おんかれる:香川・徳島・愛媛。
おんされる:新潟。
おっちゃれる:群馬。
おっつあれる:福島・栃木・埼玉・群馬。
おっつぁれる:群馬・千葉。
おんつぁれる:東北・福島・栃木。
こんたれる:千葉北西部。
こんちゃれる:茨城・千葉。
こんたん @心、心構え、A事情、B策略、考え 『魂胆』。広辞苑には『@きもったま。たましい。Aいりくんだ事情。また、こみ入ったわけのある人。情人。Bたくらみ。策略。』とある。最近の日常語からは姿を消しつつある。あまり響きのよくない言葉。
こんたんにー 【形】少し足りない、少し頭が足りない 『こったんにー』がさらに訛ったもの。
ごんち 〜五日
こんち 今日 こんち:東京。
こんちきしょ
こんちきしょめ
◆▲こんちきしょー
こんちきしょーめ
【感】この畜生! 長音形なら標準語の俗語。『集覧:真』。
こんちきしょー:静岡。
こんつくしょー:静岡。
★『土』:へへえ、此(こ)ん畜生奴(ちきしょめ)こんでも怒(おこ)ってらあ
こんちゃ
こんちゃー
こんちやー
こんちゃーす
【感】こんにちは 『は』を正しく発音すると『こんちは』。『に』も正確に発音すると『こんにちは』になる。全国共通の訛。『集覧:新』。
『す』は、広辞苑に『す【候】:サウラフ(候)の略サウのさらに転じたもの。閑吟集「嵐では無げに―よの」』とある。
こんちは:群馬。
こんちゃげ
こんちゃけ
【複】これだけ、こんなに
こんちゃって
こんちゃってこんちゃって
【複】(道路や電車などが)混んでしまって 清音化。
こんちゃれる
こんちやれる
【複】叱られる 『集覧:北 』。=『こんたれる』
『魂を潰される(つやされる)』(心をつぶされる)意味か。
こんちは
こんちはーす
【慣】こんにちは 『集覧:筑』。『す』は、広辞苑に『す【候】:サウラフ(候)の略サウのさらに転じたもの。閑吟集「嵐では無げに―よの」』とある。
こんつ 【複】この次、後回し 俗語。
こんつぎ
こんつき
今月 『此の月』。
こんつぎ:千葉。
こんつき:千葉。
(ごんつく) 酒の五合分 東京。
こんつめる 【複】精神・肉体の疲労に耐えつつ一つの物事を行う。 『根を詰める』。
(こんつん) 米などを入れる布袋 鹿児島。
◆■▲こんで
こんて
【複】これで 辞書不掲載。ビジネス用語では使えないが、標準語の日常会話ではしばしば使われる。清音形は『これにて』の流れと思われる。
★『土』自分の餓鬼(がき)のことおめえ全然(まるっきり)どうなつても管(かま)あねえたあ思えねえよこんで:自分の子供のことをあなた、まるっきりどうなっても構わないとは思えないよ、これでは。
『集覧:北』。
〜ごんで
〜こんで
【助】〜事で そーゆーごんであ:そういう事なら:山形。
そったごんでなんでないでんだー
とんだこんでしたねー:とんだ事でしたねえ。
こんて 【複】これほど
こんてに:こんなに。
こんて
こんてー
この人 『この手合い』が訛ったものと思われる。
こんでがっべ
こんでがっ
【複】これで良いよ 『こんでいがっの『い』が省略されたもの。
こんでだっべ
こんでだっ
【複】混んでいたでしょう
こんてな 【連体】こんな
こんてに 【複】こんなに 『集覧:久』。
こんでに:こういう風に:静岡。
こんでは 【複】これでは 俗語。
こんではだいだ:これでは駄目だ。
こんでよー 【複】これでさあ
こんてら
こんてーら
この人達
ごんど 混同 岩井市の方言。
ごんど
ごんどー
ごみ、ちり 久慈郡・稲敷郡の方言。『ご』とは古い言葉で『枯れて落ちた松葉』を指したと言う。
古い標準語の『埃所(ごんど)』は『掃き溜め・ゴミ捨て場』のこと。
ごくず:静岡。
ごんど:岩手・宮城。
ごんど:脱穀のときにできる藁くず:宮城。
ごんとー:山梨。
ごんどわだ:魚の内臓:宮城。
ごんもく:宮城。
すいど:ごみため:鹿児島。
ずっど:ごみため:鹿児島。
すど:ごみため:鹿児島。
(こんど) 今年 八丈島。
くんど:沖縄。
こんどぎ
こんとぎ
こんとき
【複】この時 こんどき:宮城。
こんとき:群馬。
こんどぐ
こんどく
(洗濯物を)取り込む
こんどご
こんどこ
こんとご
【複】このところ こんとこ:静岡。
こんなが
こんなか
【複】この中
こんなげ 【複】これだけ、こんなに、この程度 『こんだけ』。
いっーもらえんのがどおもったらこんなげだ:一杯貰えるのかと思ったらこれだけだ。
こんなら 【接】これなら 俗語。
こんなん @こんな物、Aこんな人 標準語の中の訛り。『こんなの』。
こんなんでいいの
(ごんにく) 握り拳 佐渡島。
こんにぢ 今日 こんち:千葉。
こんにちさま
こんにちさん
太陽 『今日様』。
広辞苑には『(その日を守る神の意) 太陽のこと。天道さま。日輪さま。』とある。太陽は『日輪』とも言い古くから祭られている。『天日。日。』。
太陽を神とあがめる文化は、エジプトを始めとして全世界にある。
その中でも日本の太陽神信仰は国旗が太陽の象徴でもあるように、とりわけ強いものだったようである。
こんにちさま:東京・神奈川。
□▽こんにゃ
こんにや
今夜 『集覧:新』。ローマ字で書けば『konya』。必然性のある訛り。
こんにゃ:山形・福島・千葉・神奈川・佐渡島・鹿児島。
こんにゃぐだまし
こんにゃくだまし
ウラシマソウ、マムシグサ 土浦地区の山林にはよく『ウラシマソウ』や『マムシグサ』が自生していた。こんにゃくよりやや小ぶりだが葉も花も殆ど同じように見えた。標準語にしたいほどの言葉。『ウラシマソウ』と『マムシグサ』の違いは、『ウラシマソウ』の方が小ぶりなのと、『マムシグサ』の茎にはマムシのような斑紋がある。『マムシグサ』は別名『ヤマコンニャク』とも呼ばれコンニャクにより似ている。
こんにゃろ この野郎 全国的な俗語だが一般には長音形。
こんにゃろめ この野郎奴 親しい関係で使われるじゃれあいの言葉。辞書には掲載されていないがもはや方言とは言いがたい全国的な俗語。ニャロメの影響か?。
こんにゃろーめ:群馬。
(こんねーに) 【複】こんなに 神奈川。
ごんばご ゴミ箱 標準語では『はきだめ』(ゴミ捨て場)のことを『埃所(ごんど)』とも言うがまず使う人はいない。ゴミは古くは『ご』と言った。
ごんばじぎ ゴムのパチンコ
(こんばつ) コンパス 神奈川。
こんばる 【動】転ぶ
こんばんちょーぢん ぶら提灯 墨で『こんばん』と書いてあるためそう呼ばれる。
街灯の無かった昔は、夜間の外出の必需品だった。今では盆の仏の送り迎えにしか使われない。
こんばんは 【感】 いわずと知れた夜の挨拶言葉だが、当時は深夜にしか使わず、宵の内は『おばんかたです』を用いた。
(こんびきさい・こんべー・こんぼーい) 【形】小さい 静岡。『細い』が訛ったか。
こん ベンケイガニ 『集覧:無記載』。八丈島ではタイワンガザミを言う。
こんぶぐろ 米袋
こんべ
こん
【複】混むだろう この場合の半濁音形は変則的な訛り。
ごんべ
ごんべー
百姓、田舎者 『権兵衛』。
ごんべ
ごんべ
ごんべー
スベリヒユ 畑に良く生える雑草。乾燥に強い。『田舎の草』の意味だろう。昔はハエ除けに使われたという。
ごんべたろべ
ごんべたろべー
ごんべーたろべー
【慣】優劣のつかない様、五分五分、似たり寄ったり 『権兵衛太郎兵衛』の意味。『権兵衛』は田舎者の意味。
『太郎兵衛』は寛政末から文化年間にかけて流行した語で『太郎兵衛駕籠(たろべえかご)』『太郎兵衛(駕籠)歩びやれ』(一見違っているようだが、結局は同じこと、もと通りの意。)のこと。
ごんべー:静岡。
ごんべーごんべー:富山。
ごんべたろべー:栃木。
ごんべたろべー:差し引きゼロ:新潟。
こん コンペイトウ
こん
こんとー
こんーとー
こん
キツネノボタン 田の畔に特に自生する黄色い花を咲かせる草。キンポウゲ科。実の形がまさにコウペイトウ型をしているため。『コンペイトウグサ』とも呼ばれる。
こんとー:キンポウゲ:静岡。
ごんぼ
ごんぼー
ゴボウ 30年代の言葉。
ごんぼ:青森・秋田・山形・宮城・福島・群馬。
ごんぼ:ツバキ:群馬。
ごんぼー:福島・群馬・静岡。
(ごんぼ) 筆・棒・尻尾等の太くて短いもの 神奈川。
(こんぼけ) 小桶 静岡。
(ごんぼねご) 尻尾の短い猫 福島。
ごんぼほり ゴボウ掘り ゴボウを掘ることは厄介で手間が掛かるためとの説がある。
ごんぼほり:酒によって管を巻く人・駄々をこねること:青森。
ごんぼほる:ねだる:青森・秋田・岩手・岐阜・三重。
ごんぼほる:子供がだだをこねる:岩手。
(ごんぼやき) 小鳥や虫などの羽毛や足などを取り除かないでまるごと焼くこと 神奈川。
こんま 子馬、馬 神奈川県内でも広域で使われる。関東方言か。
こんもり 子守り こんもり:宮城。
こんもり
こんもりめ
▲コウモリ 『集覧:新』。
こんもり
こんもり
傘、こうもり傘 こんもり:宮城。
(こんや) 肥料小屋 静岡。『肥え屋』が訛ったとされる。
(こんやく) コンニャク 静岡。
コンニャクの異名に『砂払い』があり、体内の砂を排出できるという俗言があった。それから、『根薬』の意味だった可能性があるが語源書には無い。
(こんやし) 今夜 群馬。
『し』は間投助詞の『し:上の語を強く指示してその意味を強め、また、語調を整える。主語または連用修飾格に立つ語句の下に直接つく。』か。『今し頃』の『し』と同じか。
こんりんざい 【副】絶対に、決して 『金輪際』。
こんりんならく:東京。『金輪奈落』。
こんろ 七輪 死語となった標準語。当時はカマド付近に必ず置いてあった必需品。焼き物は殆ど七厘を使った。電気コンロ、ガスコンロを経て今やIHの時代になった。
 本茨城弁集は、昭和40年前後の茨城方言を中心に茨城県全域の江戸時代まで遡る言葉を集めたものです。他県の方言との関係を重視し主要なものについては他県の方言も紹介しています。
 お気づきの点やご指摘等がありましたら、『茨城弁投稿』と書いてお気軽にここにメール下さい。他地域・他県との関係情報もお知らせください。訛の変遷が解かるような投稿は積極的に掲載致します。