昔の茨城弁集
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◆印:『土浦の方言・続土浦の方言』掲載語。■印:『土浦市史・民族編』掲載語。▲印:『茨城方言集覧』掲載語。印:新編常陸国誌掲載語。印:茨城方言民俗語辞典掲載語。印:茨城弁今昔掲載語。印:物類称呼掲載語。●印:『国立国語研究所・日本語情報資料館・電子資料館・日本言語地図・方言文法全国地図』掲載語。▼印:日本方言大辞典掲載語。印:日本方言辞典掲載語。浪花聞書掲載語。印:俚言集覧掲載語。★印:使用例とその標準語訳。黒太文字:標準語。
茨城弁 標準語訳 備考・解説・使用例
(た) 方言理解のための必須用語。(広辞苑)
(1)た【手】:「て」の古形。他の語に冠して複合語にのみ用いる。
(2)た【田】
(3)た【為】:(上代語) 「ため(為)」に同じ。
(4)た【太】
(5)た【他】
(6)た【多】
(7)た【誰】:【代】(不定称) 「たれ」に同じ。
(8)た:【助動】(活用は特殊型) ある時点で、それまでに確認された事態であることを示す。用言および用言と同じ型の活用をする助動詞の連用形につく。サ行以外の五段活用の動詞につく場合には、連用形が「書いた」「立った」「飛んだ」のように音便形になる。撥音便およびガ行がイ音便となる場合には連濁で「だ」となる。室町時代までに、「つ」「ぬ」「り」「き」「けり」が口語で衰え、それらの担っていた表現を受け持った。文語形は「たり」。
1)文末にある場合。
@過去の事態を回想する。
A動作の完了を表す。
B軽い命令を表す(男が無遠慮にいう場合)。
2)文中にある場合。
@動作の完了を表す。
A単純な過去を示す。
B状態性の動詞について状態の存続を表す。或いは動作の結果が今も状態として存続していることを示す(連体形に限る)。
(9)た:【助詞】係助詞「は」が、入声音(ニツシヨウオン)チ・ツで終る字音語の下に来た場合、タと発音されたもので、表記は「は」。能狂言などに見られる。狂、素襖落「明日は(みょうにった)日がらもようござるによつて」
(10)た:【接頭】名詞・動詞・形容詞の上に添えて、語調を整え強める。「―やすい」
(11)だ【打】:(唐音。呉音はチョウ)
(12)だ【兌】:(タイの慣用読み)
1)とりかえること。
2)八卦(ハツケ)の一。自然界では凹の形で沢にかたどり、人身では口であり、またすべての穴ともみる。方位では東南(伏羲八卦)または西(文王八卦)に配する。
(13)だ【妥】
(14)だ【舵】:舟のかじ。
(15)だ【蛇】
(16)だ【堕】
(17)だ【惰】
(18)だ【駄】:(呉音。漢音はタ)
1)馬に荷をのせて送ること。また、のせた荷物。
2)荷物を運ぶための馬。また、乗馬にならないよくない馬。
3)馬一頭に負わすだけの重量。三六貫。わが国の近世では本馬(ホンマ)で四○貫または三六貫を一駄の重さとする。
4)酒三斗五升入の樽二樽の称。醤油や油では八升入の樽八樽。
5)名詞に付けて、つまらないもの、粗悪なものの意を表す。
6)はきもの。
(19)だ【懦】:気の弱いこと。臆病。卑怯。
(20)だ【儺】:追儺(ツイナ)のこと。
(21)だ【攤】:銭を使って行う賭事。ぜにうち。のちには双六(スゴロク)の称。
(22)だ:【助動】
1)(いわゆるナリ活用形容動詞の語尾とされるものは、この助動詞と認めて差支えない) 主に体言に接続する。活用語につく場合には間に「の」を挟むことが多いが、未然形・仮定形ではじかにつくことが多い。(デアルの変化した形で室町時代に生れ、関西の「じゃ」に対して関東で盛んになった。「でも」「だが」「だから」「だって」「なら」等の接続詞を派生する。連体形「な」は多く「の」「ので」「のに」へ続く。未然形は「う」に続く用法のみで、その「だろう」を一助動詞として別に扱う説もある)
@事物を断定し、または解説する。
A体言に連体形「な」のついた形や活用語に、「のだ」(音便「んだ」)の形で接続して、相手の未知のことを解説・教示し、また強く決意を表明する。
B終止形「だ」を間投助詞のように挿入して、強調を表す。
2)(動詞連用形撥音便「ん」・イ音便に連なる場合の、助動詞「た」の形) 「読んだ」。

だー
駄目 かつて、『駄目』なものを『駄(だ)』と言っていたのではないかと思わせる言葉。
だー 急流 『集覧:久』。
茨城では水等が勢いよく流れる様の擬音語は『だーだー』と言う。常陸太田市では『ざー』と言う。標準語の『沢(さわ)』も擬音語から発生した可能性が高い。
ごーつ:神奈川。
だー:山の尾根の撓んだ所:群馬。『たわ【撓】』。
たーっこ:山の尾根の撓んだ所:群馬。『たわ【撓】』。
だー 【代】誰 古語では『た』。近世には『だ』が使われた。茨城では多く『だん』が使われる。古語の流れを受けた峡域方言か。
人を示す『誰』と者を示す『どれ』がどう分化したかは不明。
連体語の『とある』は広辞苑には『(トは助詞。アルは有リの連体形) 或る。さる。ちょっとした。』とある。
だー:千葉。
だー:どれ:鹿児島。
だあかへらう:意味不明:鹿児島。
だーみせんか:意味不明:鹿児島。
〜た 【助動】〜だ 『〜だ』は『〜にてある』が訛ったとされる。そのため、この不思議な茨城方言はむしろ『〜だ』の古形とも言える。祖母が良く使った。
明治頃の古い文献を調べると『だ』はかつては清音で、『たり、にてあり』の流れだったものが次第に濁音化したと見られる。
だめたよ:駄目だ。
〜だ
〜た
【助動】相手の
未知のことを解説・教示し、また強く決意を表明する。〜のだ。
現代語が生まれる過渡的な形とも考えられる。
〜だ:群馬・神奈川・山梨・静岡・愛知。
するだ:するのだ:神奈川。
おれがいくだ・もっとでけーだ:神奈川。
★さあ、買ったあ、買ったあ。
はーねんだ:もう寝なさい・もう寝るんだ。
はーいぐだいぐだ:もう行くぞ行くぞ。
いぐだ:行きなさい・行くよ。
やるだ:遣りなさい・やるよ。
はやぐやんだよ:早く遣るんだよ(早く遣るんだよ)。
あんまりしこたまつぐっちんたんで、うぢらではくいぎんにぇーがら、でもってきただわ:あんまり沢山作っちゃったんで家では食べきれないから、持って来たんだ。
★『土』:俺(お)れ目玉(めだま)の黒(くれ)え内(うち)やさうはえねえぞっちんだから、いや本當(ほんたう)に俺(お)ら聽(き)かねえだから。 ★そーいどぎははいぐやんだ(よ):そういう時は早く遣るんだ(早く遣りなさい)。
〜だ
〜(ー)た
【助動】〜な 指示代名詞の他、形容詞、形容動詞につけて連体詞に変える助詞の流れとも考えられる。標準語では『それだのに』程度しか残されていない。
『だ』と『な』は音通し、今でも『境内』は『けいだい』、『内裏』は『だいり』と言う。
文語の形容動詞に『たり活用・なり活用』がある。形容動詞は、古語には無かったが、形容詞を補う言葉として、名詞や形容詞の連用形と『たり・なり』が複合してできたものである。広辞苑には『形容動詞:事物の性質・状態を表現する形容詞の活用の不備を補うために発達した語をいう。文語では、形容詞連用形に「あり」の結合した「良かり」(第一類)、名詞に「にあり」の結合した「静かなり」(第二類)、名詞に「とあり」の結合した「泰然たり」(第三類)の三種があり、活用はラ行変格活用に同じ。口語では、第一類は未然形「かろ」、連用形「かっ」と活用し、第二類は「だろ・だっ(で・に)・だ・な・なら」と活用し、第三類は連体形だけが用いられる。ある説では、口語の第一類を形容詞の活用と認め、第二類だけを形容動詞とし、第三類を連体詞に含める。また、別説では、文語の第一類は形容詞連用形と「あり」とに還元し、第二類・第三類は名詞と指定の助動詞との結合とみなして形容動詞を認めない。本辞典はこの最後の説に従う。』とある。
広辞苑には『:(いわゆるナリ(タリの間違いか:管理者註)活用形容動詞の語尾とされるものは、この助動詞と認めて差支えない) 主に体言に接続する。活用語につく場合には間に「の」を挟むことが多いが、未然形・仮定形ではじかにつくことが多い。(デアルの変化した形で室町時代に生れ、関西の「じゃ」に対して関東で盛んになった。「でも」「だが」「だから」「だって」「なら」等の接続詞を派生する。連体形「な」は多く「の」「ので」「のに」へ続く。未然形は「う」に続く用法のみで、その「だろう」を一助動詞として別に扱う説もある)』とある。
現代標準語の『〜な』は『〜だ』の連体形だが、文語・古語では『〜だ』に当たるのはで『〜なり』『〜たり』がの2つがあり、標準語のは『〜な』は『〜なり』の流れと考えられる。
ところで現代語の『こんな・そんな・あんな』は、何故か辞書では形容動詞または連体語として扱われている。また同様に『〜ような』は助動詞『ようだ』の連体形、『〜そうな』は助動詞『そうだ』の連体形として分類されている。そのため、単独の『〜な』は定義されていない。
茨城方言で特徴的な、『こーだ・こーた・こった』(こんな)、『そーだ・そーた・そった』(そんな)、『あーだ・あーた・あった』(あんな)は、明らかに『此にてある・此たる・斯くたる』『其にてある・其たる』『彼にてある・彼たる』言い換えれば『こたる・そたる・あたる』意味の言葉と考えられ、茨城方言は『〜たり』の流れで独特に変化したと言える。
視点を変えると、『あり』の変化した『なり』『たり』は、標準語では『たり』の流れで断定の助動詞『た・だ』となり、『なり』の流れで助詞『な』を選択し、助動詞と助詞を分けて変化したことになる。
茨城方言が現代語のルーツの古い言葉の流れを組む言葉の例でもあり、茨城方言は、古い言葉の『にてある』が変化した『たり』一本に絞って変化したといえる。現代語の助詞『な』に相当する『た・だ』だが、ルーツは連体形の『たる』である。合理性の賜物である。
文語や近世語に『かくたるうえは』『かくなるうえは』が良く聞かれる。『こーたごどしたら』は茨城方言の説明的な言葉である。
この言葉は、茨城方言の発生の中でも重要な言葉だが、学術界ではあまり重視されていない。
〜だ:秋田。こんたじょーとーだなより:こんな上等なものより:秋田。こんた:こんな。『な』は格助詞の『の』(〜のもの)に当たる。きれーだなーえー:綺麗なのが良い:青森。
あった・あーた:あんな。
こーたごど:こんなこと。
てーへんだごど:大変なこと。
よげーたもん:余計なもん。
〜だ 【助】〜では、〜じゃ 『〜では』の後方同化の典型例。『じゃ』は、『【助動】(「である」の約「であ」の転)@体言・用言の連体形その他種々の語について断定を表す。A体言と体言とをつなげて、…である、の意を表す。【助詞】(「では」の転) では。じゃあ。【接続】(助詞の転用) それならば。では。それでは。じゃあ。』とある。
ほーだねーんだよ:そうじゃないんだよ。
〜だ
〜た
〜たあ
【助】〜とは、〜は 連母音変形。=『〜ちゃ』
誰もが、現代語を中心に『〜とは』『〜ては』の転じたものと考えるが、近世語に『【助詞】係助詞「は」が、入声音(ニツシヨウオン)チ・ツで終る字音語の下に来た場合、タと発音されたもので、表記は「は」。能狂言などに見られる。狂、素襖落「明日は(みょうにった)日がらもようござるによつて」』がある。『ぞ』が転じて、『〜とは』が現代語の『〜た』につながったことを思わせる。日本語の訛りの流れの一端をしのばせる。
〜たー:鹿児島。
ひとごどばがったどーゆーごったい:人の事を馬鹿とはどういうことだい。
ひとごどぶづったなんだっ:他人を殴るってどういうこと?。
★『土』:わしや、なあに、家(うち)のもんだから面倒(めんだう)見(み)ねえた云(ゆ)はねえね
〜た
〜たん
【接尾】 全国広域にある表現。『髱(たぶ・たぼ)』が変化したと思われる。また『丸太』にも通ずる。
ももた:腿。
たあだ 【副】ただ(唯・只)
たあら
□△だい 小高い場所 『台』。広辞苑には『山や岡などの平たくて台のようになった土地。「高―」「秋吉―」』とある。現代では主に複合語として使われる。
標語では山頂を言う。岩手では平らな土地を『たい』と言う。青森・大分では平地を『て』と言う。
だいかた:農村部:神奈川。
(だい) 代わり 静岡。『代』。標準語では単独で用いることは無い。
(たい) 鹿児島。
(たい・たっ) 鹿児島。
たーい 田植え
〜たい 【助】名詞や動詞につけて形容詞にする助詞 『いたし』が転じたとされる。=『〜てー』
〜だい
〜たい
【助】@ 〜だよ、A〜(し)たよ 濁音形は名詞またはイ音便・撥音便の動詞に付き、清音形は促音形の動詞に付く。
『い』は、命令・疑問・断定など種々の文の終りについて語勢を添える終助詞。『よ』または『や』が変化したとされる。『え』とも言う。現代語ではあまり使われなくなっている。江戸言葉でもある。
@茨城では標準語の『だ、た』の語法に同じだが九州では一律清音化するる。古語に由来する語法である。
〜だい・〜たい:青森・千葉・群馬・埼玉・東京・鹿児島。
〜たい:佐賀・長崎・熊本。本来〜だいとなるべきものも一律に『〜たい』と言う。
こればかりはほーんと途中で開けるわけにいかねーから困っちゃうんだいな
んだい:そうだ。
そーだいな・そーだいね:そうだよね。
〜だぃな・〜だいな:〜だよね。
ほれはいがすだいな:それは大きすぎだよね。
〜だぃに・〜だいに:〜だよね。
〜だぃね・〜だいね:〜だよね。やや丁寧な言い回し。 
そんではけづまるだしだいね:それでは尻丸出しだよね。
A・〜たい:青森・千葉・群馬・埼玉・東京。
どーでしたい:どうでした?。
いぎやしたい:行きました。
どごいやったい:どこにやった?。
くったいよ:食べたよ。
やなこったい:嫌だよ!。
やったい:やったよ。
あそごにいったいな:あそこに行ったよね。
〜たぃな・〜たいな:〜したよな。〜したよね。
〜たぃに、〜たいに:〜したよな。〜したよね。
〜たぃね・〜たいね:〜したよな。〜したよね。やや丁寧な言い回し。
きのーあそごにいったいね:昨日あそこに行ったよね。
〜だい 【助動】〜(し)たい 濁音化。
やりだぐでもやれねー:やりたくてもできない。
〜たい 【接尾】人達 『体』(たい・てい:(接尾語的に) …のようなもの。…ふぜい。狂、苞山伏「まことに、我等―の営みと申すものは」)。
だい @【代】誰、A【形動】駄目 @『誰故』の意味か
:青森。
だい:青森・鹿児島。
だいがいねーが:誰かいないの。
だいきたんだっ:誰が来たんだろう。
そーたのだいやる:そんなの誰がやる?。
A★おらはー、だいだ:俺はもう駄目だ。
(たいえだいえ・たいよたいよ) 【形動】絶え絶え 鹿児島。
だいおさめ @出産祝いに白米一升を贈る代わりに金一封を贈ること、A結いや年中行事等に出席できなかった場合に金一封を納める事 『代納め』の意味。
だいが
だいがか
だいがかいが
だいがかっか
だいがかんか
【代】誰か 『誰か』『誰か彼か』の意味。
だいが:鹿児島。
だいか:鹿児島。
これくれでほしーひとだれがかっかいめーが:これ欲しい人誰かいないだろうか。
だれがかふんのぼってったな:誰かが踏みつけていったな。
〜だいが
〜たいが
〜だえが
〜たえが
【助動】〜だろうか、〜(し)たろうか 『い・え』は、命令・疑問・断定など種々の文の終りについて語勢を添える終助詞。現代では茨城の一部地域でしか使われない『へ』の原型と考えられる表現。
〜だいが:宮城。
だい 他のもので代えること、代わり 『代替』(だいたい、だいかえ、だいがえ)。本来は『だいたい』。
だいいち 代わりの土地 『代替地』(だいたいち、だいがえち)。
たいかぐ 体格 最近はとんと聞かなくなった言葉。
たいかぐ:宮城。
たいかぐいー:太っている。
だいだんだが
だいだんじゃが
【複】誰が誰だか
だいーり 戸主・経営主などのかわること。次の代になること。 『代替り』。
たい 【形動】【古】だるいこと、めんどくさいこと、くたびれること 『大儀』。標準語だが古い言葉。30年代の言葉。
『称呼』によれば江戸時代の常陸国では同じ意味を『ほりない』と言ったと言う。
たい:青森。
たい:静岡。
たい:静岡。
たいでたい:億劫で億劫で。
だいきれ
だいきれー
だえきれー
【形】大嫌い だえきれー:福島。
だっきらい:静岡。
たいぐ
たいく
体育 方言かと思っていたら『たいく』は近年広く使われる誤読の例と言われる。例えば『女王』を『じょうおう』と言うのに似ている。ところがこちらはワープロ変換されてしまう。
たいぐがん
たいくがん
体育館
だいぐばぢ
だいくばち
クマバチ
たい
たい
【副】大概、大抵 『てーー』。『〜にする』の場合は『ほどほど』の意味。
たいが:非常に:熊本。『大概』がルーツという。
たい:群馬・静岡。
だいご
■▲だいこ
大根 『だいこ』なら古い標準語。『集覧:新』。
だいこ:福島・東京・新潟・山梨。
だぇーこ:静岡。
★『土』大根(だいこ)は分(わか)つたのか:大根は切ったのか。
たいご
たいごー
【形動】互角の様、正面から張り合うこと 『てーご』。30年代の言葉。日本方言大辞典では『対互』と当てている。
たいご:同じ・同等:青森・岩手・福島・静岡。
だいごおろし
だいごろし
大根卸し だいこおろし:東京。
だいごらみ 大根卸し 『大根辛み』の意味。
だいこぐまづり 12月8日を言う 『大黒祭り』の意味。
だいこーずい 大好物 『こーずい』は『好事』(こうず:かわった物事を好むこと。風流を好むこと。ものずき。)または、『好き好き』の意味。
だいこずり
だいごすり
下ろし金 『集覧:多』。
だいごっ
だいこば
大根の葉
だいさいにぢ 閻魔様の縁日。正月一六日と七月一六日。 『大斎日』。この日は地域によって様々なことが行われるが、仕事は休む。牛馬の首もゆるむと言われる。妊婦に袋を縫ってもらうとお金がたまるという言い伝えがある。井戸掃除(井戸浚い)をするところもある。
だいさー 大騒ぎ
(だいさん) 財産 静岡。
だいじ 【形動】大丈夫 茨城と栃木に分布。現代では若年層の言葉とされる。
茨城では、断定の助動詞『だ』を『な』と言うことがある。また、助動詞『なり』の連体形が変化して連体語を形成する『な』を『だ』『た』と言うことがある。これは、かつての『ナリ活用』『タリ活用』の名残である。
そのため『大丈夫だよ』を『だいじょうぶなよ』などと言う。詰まって『だいじぶなよ』とも言う。『よ』は『い』にも変化するから『だいじぶない』とも言う。一方、これにあたる『だいじない(大事無し)』がある。この『だいじぶない』『だいじない』は結果として同じ意味である。ここから『だいじぶ』『だいじ』を同じ意味ととらえ、『大丈夫』を『だいじ』と言うようになったと見られる。
『新方言』には『ダイジ 「大丈夫」;群馬や栃木の若者のあいだでは「ダイジ」と言う;転んだ子に「ダイジ?」など;栃木方言で「大丈夫」を「ダイジブ」というので,「大事」と紛れて出きたのだろう。』とある。
群馬では、大丈夫を『だいじない』と言う。古語を受継いでいる。
だいじ:千葉野田・栃木。
だいじない:心配ない・大丈夫:群馬。『大事無し』の意味。
だんない:北陸・中部・中国東部・四国東部。
だいじだ:大丈夫だ。
だいじぶだ:大丈夫だ。
だいじが
だいじがや
【複】大丈夫? 『だいじぶが』が詰まったか、『大事』そのものとも考えられる。
だいじさま
だいじさま
大神宮様(天照大神)、転じて神棚 家々の中心となる神棚で正月には、『天照皇大神』と書かれた掛け軸を掛ける。
だいじさま:埼玉川越市(投稿による)。
(たいじくする) 【複】大事にする 静岡。
だゃーじく:大事に:静岡。
だいじげ
だいじけ
【複】大丈夫? 茨城と栃木に分布。『だいじぶげ』が詰まったか、『大事』そのものとも考えられる。
たいした 【連体】非常な。大変な。おどろくべき。 『大した』。ただし、副詞的に使うことがあり、その場合『たいしたたまげだ』などと言う。明治期に使われた『大して』と同じ意味。
だいじだ
だいじだい
だいじだよ
だいじだいよ
【複】大丈夫だ 茨城と栃木に分布。『大丈夫』がつまって『だいじ』になった可能性がある。
古語の流れを考えれば、『大事かい?』に対して『大事無い』と答えることになる。しかし、茨城弁では、『だ』と『な』、『い』『よ』はしばしば混同されて、『大事ない・大事ないよ』が『だいじだ・だいじだい・だいじだよ・だいじだいよ』に変形して言った可能性もある。
だんない:大丈夫だ・構わない:石川・福井・滋賀・大阪・三重・兵庫・岡山・香川・徳島・愛媛。『大事なし』。
だんね:大丈夫だ・構わない::福井。
たいしたきする
たいしたきーする
たいしたきになる
たいしたきんなる
【複】大きな態度をとる、いい気になる、威張る 『大した気をする』『大した気になる』意味。
たいしたきーしてんだねーよ:威張ってんじゃないよ。
きゃずはたいしたきーしてえばってる:あいつはいい気になって威張っている。
たいしたっ 大きな態度、いい気 『大した振り』の意味。
たいしたつもり
たいしたぶり
たいした
たいしたふり
大きな態度、いい気、大した人物になった様 辞書で調べると『大したつもり』は『大きな意図・大変な考え』の意味で、多くの場合否定形である。
大したつもりはない:この場合は『大した人物になったつもり』の意味。
たいしたつもりでゆーんだわ:大した人物になったつもりで言うんだよね。
『大した振り』も同じ意味だが標準語には舞踊の仕草としての『振り』はあってもそのような表現はない。しかし、『知ったかぶり』の存在を考えるとあってもおかしくない言葉で準標準語のような位置づけの言葉。
たいしたつもりになる
たいしたぶりする
たいしたりする
たいしたふりする
【複】大きな態度をとる、いい気になる、威張る 『大した振りをする』なら標準語にあってもおかしくない表現。
たいしたもんだ 【複】 標準語の口語で使われる。『たいしたもんですねえ』。何故か茨城県人はこれを方言と思っている。『随分頑張りましたねえ』の意味は、標準語にもある。
たいして 【副】@すごく、かなり、A往々にして、大抵、概して @標準語の場合は否定を伴うが、茨城では肯定形で使うのが特徴的。調べると明治期の語法。
Aは不思議に辞書に無い。古い言い方と思われる。
だいじぶ
だいじーぶ
だいじゅぶ
だいじゅーぶ
【形動】大丈夫、【副】きっと だいじぶ:栃木。
だいじょー:長野。
だんない:大丈夫だ・構わない:石川・福井・滋賀・大阪・三重・兵庫・岡山・香川・徳島・愛媛。『大事なし』。
だんね:大丈夫だ・構わない::福井。
だいじぶん 【形動】大丈夫、【副】きっと
だいじぶげ
だいじぶけ
だいじゅぶげ
だいじゅぶけ
【複】大丈夫かい?
だいじない
だいじねー
【複】【古】大事ない、大丈夫 古い言い回し。『だいじ』は『大事』。時代劇などでも聞かれる。『だいじない』なら古い標準語。
だいじゃ 【複】@駄目だ、A誰だ
たいしょ
たいしょー
他人を親しみ、または、からかって呼ぶ称 『大将』。
たいしょー:山梨。
だいじょぶん
だいじょーぶん
【形動】大丈夫 格助詞『に』が隠れている。
だえじょーぶん:山形。
だいじんさま
だいじんさま
大神宮様(天照大神)、転じて神棚 『でーじんさま』
だいじんさま
◎だいじんさん
だいじんど
◎だいじんどの
◎だいじんどん
だえじんどん
金持ちの家 『大尽殿・大尽様』。『だい』は全て『だえ』になり得る。さらに『でー』に変化する。
(耐震スリット) 主に鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造に設けられる壁の三辺に設けられるコンクリートの壁の絶縁スリット 建築専門用語。
姉葉事件に発した一連の構造計算の偽造事件でテレビでも話題になり、一般の人々も関心を持つようになった言葉。
『耐震スリット』とは、解かった様で解からない言葉で本来は『絶縁スリット』と言うべきものである。
法改正される前までは、多くダブル配筋された壁を耐震壁として評価し、シングル配筋の壁でも構造耐力がある程度あり、特に細かく密集する水周りの壁は建物に捩れを生じさせ、破壊に繋がることが度重なる震災で解かっていた。
そこで、耐震壁として評価しない壁には三方に絶縁のためのスリットを設けることが義務付けられた。
今ではあたりまえになっているが、弊害も無いわけではない。接続する梁の両端に過度のせん断応力が働き、外壁にクラックが入る建物が続出している。構造計算優先の設計によって、建物の実質的耐久性に欠陥が生じている例である。だが、法律上は通ってしまうという問題があるのである。
耐震スリットは、バルコニーや外部廊下等であまり雨の掛からないところはともかく、そうでない部分での使用は避けるべきなのである。
設計スケジュールに余裕のある建物であれば、その結果を意匠設計に反映し調整できるがスケジュールに余裕の無い3月引渡しのマンション物件はあぶないと思ったほうが良い。
(だいす) 釜の上に蒸篭を載せるための板 広辞苑に『台子:正式の茶道で用いる風炉(フロ)・杓立・蓋置・建水・水指(ミズサシ)など皆具一式を飾る棚物。及台子(キユウダイス)は中国から渡ったもので、二本柱。桑台子は千宗旦好みで、及台子と同型。桑で作る。真台子(シンノダイス)は黒の真塗で四本角柱。竹台子は珠光好みで、竹の四本柱。』とある。意味するものは異なるがルーツは同じと考えられる。
英語の『ダイス:dies』は『@雌ねじの一部を刃として雄ねじを切る工具。雄螺子切(オネジキリ)。A線材の外径仕上げ用工具。B加工用の型の総称。』の意味で建築業界では、主にサッシュなどに使われるアルミ形材を製造する型材で解けたアルミを押し出して成型する。このときできる型材表面の線形の傷または模様をダイスマークと言う。
じょーろいた・だいす:釜の上に蒸篭を載せるための板:神奈川。
だいす
だえす
座椅子
〜だいす 【助】〜です 現代語の『です』のルーツとも考えられる言葉。
だいずまんど 万灯会の一つ 『民俗』では『大豆万燈』と当てられている。
だいせーにぢ 閻魔様の縁日。正月一六日と七月一六日。 『大斎日』。
たいそ
たいそー
【副・形動】@非常に、甚だしい様、A多く、B立派な様 『大層』。茨城や東北では助詞『に』を付けることが多い。
@・たいそー:困難な様:佐渡島。
たえそに:山形。
たえそーに:山形。
大層お世話になりました:大変お世話になりました。
たいそうだいじにして:すごく大切にして。
A★たいそーにいだだきやした:沢山頂きました。
B★たいそうなもの:(立派な)良い物。
だいしょーおせん 【感】大丈夫です 『大小おわせぬ:大きいとか小さいとかの問題はありません。』。
(体操人形) 昭和30年代に流行ったブリキの鉄棒おもちゃ。ゼンマイの駆動力が最初は大きく次第に小さくなるのを利用して様々な演技が見られる。なかなか優れたおもちゃだった。
思えば、当時のおもちゃはブリキのポンポン船と体操人形、そしてエアポンプで跳ねるカエルのおもちゃだった。またゴム飛行機が全盛の時代でもあった。間もなくおもちゃの世界にゴムが普及し、戦車のゴムキャタピラが栄えた。
たいそばってる
たいそーばってる
【複】偉ぶっている 『大層(たいそう)』はおおげさなことの意味の標準語。茨城では頻繁に使われる。高慢な人物を嫌う傾向が特に強いということか?。
たいそばる
たいそーばる
【動】偉ぶる
たいそぶる
たいそうぶる
【動】偉ぶる 長音形は標準語と言って良い。
たいそぶってる
たいそうぶってる
【複】偉ぶっている 長音形は標準語と言って良い。
たいそもねー
たいそーもねー
【複】とんでもない。とてつもない。 『大層も無い』。近世語。『大した事無い』意味で使われることがある。
たいそらしー
たいそうらしい
【形】偉ぶる様、大仰な様 『大層らしい』。
だいだ 【複】@駄目だ、A誰だ 良く使われた言葉。R音を嫌う茨城方言ではAが訛ることは理解できるが、@が訛る理由は良くわからない。
@=『だんだ』
『駄目』の語源は、@むだめ(虚目)の略、Aあだめ(徒目)の略、Bむなめ(空目)の意味、Cならめ(ならぬ)の略が有力。
『新方言』には『タイダ 「だめだ」;山形県酒田市付近の若い世代に多い;ダエダとも』とある。
広辞苑では『駄:@馬に荷をのせて送ること。また、のせた荷物。A荷物を運ぶための馬。また、乗馬にならないよくない馬。B馬一頭に負わすだけの重量。三六貫。わが国の近世では本馬(ホンマ)で四○貫または三六貫を一駄の重さとする。C酒三斗五升入の樽二樽の称。醤油や油では八升入の樽八樽。D名詞に付けて、つまらないもの、粗悪なものの意を表す。Eはきもの。』とある。古い茨城弁に『だだ・だーだ』があるので、これこそ、『駄だ』の意味だと思われる。
だいだがんな、はー:駄目だよ、もう。
あれはだいだ:あれは駄目だ。
だいだっへ・だいだっ:駄目だろう。
はー、だいだいな:もう駄目だよね。
A=『だんだ』
『誰だ』の場合は、R音を嫌った訛りと思われる。また、『誰』の古形は『た、たれ』である。『誰(た)にてある』が訛ったとも考えられる。
だいた:神奈川。
だいだば:誰だい:青森。
だいでか:誰ですか:八丈島。
あれはだいだ:あれは誰だい?。
だいだっへ・だいだっ:誰だろう。
たいだ
たいた
【複】@耐えた、堪えた、A絶えた @おらはー、こごにきたどぎにはよー、しーとめにいじらいで、たいにたいぬいできたんだどー:私はもう、此処に来たときはねえ、姑に苛められて我慢に我慢して来たんですよ。
A★おらのいーはにさんでーまいにたいっちったがらえまのみょーじは、あだらしー:俺の家は三代前に絶えてしまったので今の苗字は新しい。
たいだい 【形動】絶え絶え
◎たいたい 対等であること。どちらも優劣のないこと。五分五分。 『対対』。
たいたい:静岡・九州。
たいたい 【感】欲しいこと、あげること 幼児語。子供が物を欲しがるとき手を重ねて言うことば。また子供に対して物を与えるように言う場合にも使う。
たいたいしなさい:あげなさい。
だいだいこう 伊勢参りの講の一つ、太々講 太々講とは、伊勢神宮を信仰する人々の団体のことで室町初期より各地に成立。毎月一定の日に集まり飲食する。平生より醵金して交代で或いは総員で伊勢参宮し、太神楽を奉納したもの。伊勢太太講とも言う。江戸時代に盛行した伊勢参りとともに、この神楽によるお祓いを受けると伊勢神宮へ参詣する代わりとなる御利益があることから「代(太)神楽」「太太神楽」と呼ばれたものといわれている。関東の神社では古峯講・榛名・三峯・大山・二荒山・笠間等の講が知られている。この講は昭和30年初頭まで行われており、祖父が残した写真に記録が残されている。
(だいだいとした) 【形】大きい様 宮城。
形容動詞の『大々』の流れ。現代では『大々的』等でしか使われない。
だいだが 【複】@誰か、誰だか、誰なの?、A駄目なの? いまのだいだが:今の誰なの?。
だいだがさん 【複】誰かさん
だいだがわがんね 【複】@誰だか解からない、A駄目だか解らない
だいだって(〜) 【複】@駄目だって、A誰だって
だいだっべ
だいだっ
だいだんべ
【複】@駄目だろう、A誰だろう
たいで 【複】全く、決して、ずっと 『絶えて』。
たえて:青森。
だいでもかんでも
だいでもかんじぇも
【複】@駄目でもなんでも、A誰でも @語呂合わせ言葉。
だいだらぼー
◎だいだらぼっち
伝説の巨人、妖怪 『大太良坊』『大太良法師』。=『でーだらぼっち』
富士山と筑波山の山の重さを天秤で量ろうとしたのが、ダイダラボッチ。筑波山は持ち上がったが富士山は持ち上がらず、つるが切れて筑波山が地上に落ちてしまう。その結果もともと一つの峰だった筑波山は、ニ峰になっったという。子供の時に悪さをすると『だいだらぼっち』にさらわれると脅かされた。
だいぢ 第一 だいち:東京。
(だいつー) 【形動】綺麗 静岡。
たいっがん
たいっかん
体育館
だいった 【複】大丈夫だ 究極の短縮訛。
たいてー
たいてえ
【形動】大抵、普通は、だいだいは 最近は『たいがい』と言う人が多くなった。
だいでん 来年 『集覧:無記載』。
だいねん::八丈島。
たいどぐ 【形動】身体に大変よくないこと 『大毒』(だいどく)。清音化・濁音化。
よく使う表現。『おーどぐ』ということもある。
だいどご
だいどこ
だいどごろ
台所 だいどこ:群馬・東京・神奈川。
だいどご
だいどこ
だいどごろ
土間 昔の台所は土間にあったから、台所がある場所が土間に転じても不思議は無い。
だいどこ:千葉・栃木・埼玉・群馬・東京・神奈川・山梨・長野・長崎。
だいどこ:囲炉裏のある居間:長野。
だいどころ:神奈川。
だいどーこー
だいどーさい
元旦または1月2日に行われる行事。2月に行われる地域もある。 加波山周辺の地域で行われる年中行事で、頭屋に集まり加波山様(加波山神社の祭神)を祀る所、隣組の全員が頭屋に集まって会食する所がある。大同年間に始められたので『大同講』『大同祭』と呼ぶと言われる。
このうち『真壁のひなまつり』(2月4日〜3月3日)で行われる『大同講』は、『大当講』とも当てられ、五穀豊穣・無病息災・子孫繁栄などを祈願する行事である。子孫繁栄の象徴として飾られる男根は、男根は長さ75cmの木製彫刻で、胴部には五穀豊穣の神である大黒天と恵比寿が彫られているという(真壁の大同講(大当講)の男根(桜川市) [2009年2月8日] )。
(たいとばか) 愚か者 神奈川。『てーとばか』とも言う。
〜だいな
〜だいね
【複】〜だよな、〜だよね 日本語では、終助詞『や・よ』が『え』を経て『い』に変化した歴史があり。これもその一環であるが、現代では標準語としては扱われていない。
〜だいね:群馬。
〜たいな
〜たいね
【複】〜(し)たよな、〜(し)たよね
(だいに) 【副】大層 静岡。『大いに』か。
たいね
たいねー
【複】@足りない、A終わらない @・たえなし・たえね:間抜け:秋田。
A『絶えない』。
たーいねー 【形】他愛無い
(だいねん) 来年 佐渡島。
日本語のラ行音とダ行音は舌の位置が同じで、空気を逃すか否かで変わるため生まれた方言と思われる。
だいのま 土間 『台の間』の意味。本来は台所を指したと考えられる。
だいば 馬に取り付く魔物 『民俗』では『提婆』とあてている。群馬でも同様の呼称がある。『ウマアブ・ウマバエ』を指しているものと思われる。
『提婆』とは、広辞苑に『@三世紀頃の南インドの僧。竜樹について仏教を学び、空の理を主張した。アーリヤデーヴァ。A提婆達多(ダイバダツタ)の略。』とある。
『提婆達多』とは『(梵語 Devadatta) 斛飯(コクボン)王の子。釈尊の従弟。阿難の兄弟。出家して釈尊の弟子となったが、後に背いて師に危害を加えようとして事成らず、死後無間地獄に堕ちたという。デーヴァダッタ。天授。調達。』とある。
だいばがり 秤の一種、台の上に量る物を載せるもの 『台秤』。
濁音化。当時の農家の必需品。重量物を測る秤。今のヘルスメーターに似ているが、メーター部分は台から突出した首の部分にあった。今のヘルスメーターはオールマイティだが、当時は重量の階級に応じて複数の分銅(様々な形状があった)を使い、体重を量る際も利用した。最終的な詳細測定は、横長のサブゲージを使った。詳細なシステムの考え方は今よりかなり複雑だったと思われる。
だいばむし ウマアブ・ウマバエ 『おーつむし』。群馬でも同様の呼称がある。
『民俗』では『提婆虫』とあてている。
たいびょう 重い病気 『大病』。
かつては病名を明かすのは避ける傾向があり、重い病気なら全て大病と言ってすませた。今では病名をはっきり言うようになりあまり使われなくなってきている。
だいふぐ
だいふぐもぢ
大福、大福餅
だいぶん @数や量の多いこと、Aかなりの程度、たいしたさま 『大分』。現代では多く『だいぶ』と発音される。
『称呼』によれば、江戸時代には『だいぶ』の発音は記載されていない。
(台風一過、秋晴れの良い天気) 子供のころ、私は秋の台風シーズンのこのテレビの知らせを聞くたびに、《ああ、今度も台風一家が家族でやって来て、皆仲が良いからそれでまた秋晴れの良い天気になったんだな》と思った。『一過』という言葉を知らなかったための誤解であるが、情報不足と教育の行き届かなかった時代(例えば江戸時代)には、識字率も低かったから受け取る側は、少ない知識と耳だけを頼りにして不器用に理解はずである。恐らくその頃の情報伝達はあたかも伝言ゲームのようで、言葉自体が変わったり、解釈を間違えて伝えたりしたであろう。その意味で、文語は極めて貴重な正統派の言葉を伝えていると思われるわけであるが、茨城弁に標準語の文語が少なからず残っているのは興味深い。
(たいべ・たゆべ) 田植え 静岡。
だいへーらぐ
たいへーらぐ
▽たいへーらく
たへーらぐ
@すきほうだいに言うこと、のんきにかまえていること、Aでたらめ、Bでほうだい、遣り放題 『太平楽』。
@・たいへーらく:静岡。
てーへーらく:長野。
たいへん 【副】沢山、いっぱい 『集覧:新』。『非常に。はなはだしく。たいそう。「雪が―降った」「―ありがたい」』の意味が僅かに転じたと考えられる。ほぼ標準語。
たいへん:山梨。
たえへん・たえへんに:山形。
たーへん:静岡。
あーたぐたいへんいだだぎやんして:あんなに沢山いただきまして。
たいへんだなたいへんだねたいへんだねー
たいへんでした
たいへんでしたー
【慣】有難う、大変でした 標準語に近いながら、遠い表現である。
物を貰ったときにお礼の意味で言う言葉でもあり、労苦をねぎらう言葉でもある。『大変有難う』の『有難う』を省略しているものと思われる。また『大変ご苦労をかけました。』の意味ともとれる。
どーもたいへんでしたー:どうも有難う。
たいへんだほど 【副】大変な程 『大変であるほど』の転か。
たいへんでがした
たいへんでやした
たいへんでやんした
【慣】有難う御座いました
たいへんなごどになる 【複】大変なことになる 『大変な事になる』の意味だが、さほど大きなことでなくとも制止の意味でしばしば使う。
『てーへんなごどになる』
▲●だいぼろ
だいぼーろ
カタツムリ、ナメクジ 『集覧:猿』。
まいまいつぶら・まいまいつぶり・まいまいつぶろ→まいぼろだいぼろ
だいほんき 本気
だいまなぐ
だいまなご
大眼、2月8日と12月8日 広辞苑には『だいまなこ【大眼】:東日本で、二月八日・一二月八日をいう。目の粗い籠を竿の先につけて庭先に立てる。』とある。『事八日』とも言う。
茨城では、この日、一つ目の小僧(疫病神)が降りてくるので竹竿に目籠を刺し庭先に立てる。竹の笹で三脚を作りその上にの蕎麦かうどんを載せる地域もある。
群馬では『コト八日(二月八日)に厄神除けとして行う。大魔無くとの説と大まなこ(眼)で睨んで厄神を追い払うとの説がある。笊にひいらぎの枝を刺し木槌をのせて庭に置く。また葱を焼き戸口になすりつける。魔除け・風除けのため鎌を立てる所もある。』とある。
『だいまなぐ』は私の記憶では得体の知れない行事として残っている。茨城でのこの行事は昭和30年代を最後に廃れたと見られる。
だいまなこ・だいまなく・でーまなく・でーまなこ:群馬。
だいまなごか 2月8日と12月8日に軒先にたてる目籠
だいみょーぜん 高足、箱膳、膳箱 =『はんだい』。当時の食事は、『でえどご』で作り、『横座(よござ)』に面した1段下がった板の間でするのが一般的だった。家長以外は正座が当たり前だった。大名膳を使った理由は、農作業の時間を切詰めるために、食器とお膳をそのまま水に浸して出かけることが出来たからといわれる。厳密には『高足』のこと

たいむ 【動】@弛む、A怠ける、怠る、Bタイム、たんま @A『弛む』(たゆむ)の転。現代では多く『弛む』(たるむ)を使う。広辞苑には『@心が倦(ウ)む。おこたる。心がゆるむ。油断する。A張っていたものがゆるむ。B勢いが弱まる。衰弱する。とだえる。Cたゆむようにさせる。おこたるようにさせる。ゆるませる。油断させる。』とある。
B外来語の影響を受けた言葉。
たいめん 世間に対する体裁。面目。 『体面』。農家は世間体をことさら気にするので、日常的によく使われた。
だいも
だえも
【複】誰も
だいもぐ
□だいもく
@本やテレビ番組等の標題、タイトル、A箇条、プログラム、B名目、口実。理由。 だいむく:静岡。
いーんやこんだなうんどーかいはだいもぐがいっーあんなやー:いやあ、今度の運動会は、沢山プログラムがあるねえ。
だいもぐはなんちんだ:タイトルは何て言うんだい。
だいもぐばがりでながみねー:能書きばかりで中身が無い。
だいもぐばがりゆってんだねーよ:口実ばかり言うんじゃないよ。
◎たいや @通夜、A葬式の後、手伝いの人達に酒を振舞うこと 広辞苑に『たいや【逮夜】:忌日の前夜。また、葬儀の前夜。宿忌。』とある。
これに伴う言葉に『だいやょー』を記憶しているが辞書には『たいやぎょう【逮夜経】:逮夜にする読経。』がある。
たいや:葬儀の前夜のことだが死者の出た夜として使われる:群馬。
たいや:祭礼や日待ち講の前に物忌すること:神奈川。
だいやっく
だいやふぐ
だいやふく
正月や恵比寿講にうちわ太鼓を叩きながら門付けする行事 『民俗』では『大夜福』と当てられている。私の記憶には言葉だけで具体的な記憶は無い。
(だいやめ) 晩酌 鹿児島。
〜だいよー 【助動】〜だよ んだいよー:そうだよ。
やだぃよー:嫌だよ。
〜たいよ 【複】〜下さい、〜なさい 動詞『す』の未然形『せ』+助動詞『らる』:『せらる』の変化した『さる』の転じた『はる』の命令形『〜てはいよ』がさらに訛ったもの。
促音化した動詞に付く。千葉でも使われる。
〜てはいよ・〜ちはいよ・〜ちゃいよ・はいよ:下さいよ:熊本。
〜はる:なさる:山形・富山・福井・岐阜・三重・滋賀・京都・大阪・奈良・長崎。
たいらが
たいらか
【形動】@高低のないさま、凹凸のないさま、A安らかなさま。平和なさま、B平穏無事なさま。 『平らか』。『御手柔らかに』は当て字ではないかと思わせる言葉。
まっとたいらがにしねーどはんまがおんのまっちまーど:もっと平らにしないろ車輪がはまってしまうぞ。
たいらんなる 【複】楽にする、足を崩す
たいる 【動】@耐える、A絶える、無くなる、途絶える A絶えることは死ぬことも意味するから、日本語の英語起源説の一つなのだろうか。死んだは『絶えた』となるが、茨城では『たいだ』、英語では『ダイド:died』である。
たいわ 車輪、タイヤ 『大輪(おおわ)』(牛車(ギツシヤ)の名所(ナドコロ)。車輪の外部を構成する曲形の木。)が転じたもの。
たいわ:群馬・山梨。
・たいわんどじょう 雷魚の別称 大型の赤いドジョウを指して言うことがある。
〜だいんす 【助動】〜です 『〜であんす、〜でやんす』。現代語の『です』のルーツの一つとも考えられる言葉。近世語に『でえす』『でえんす』がある。
ちなみに現代語の『です』は広辞苑に『(「で候(ソウ)」の約とか、「でござります」の転とかいう) 体言や体言に準ずるもの、或る種の助詞に付けて、指定の意を表す。@狂言では、おもに大名・山伏などの名乗りなどに使い、尊大な感じを表す。である。A江戸後期に、花柳界の人、医者、職人などの語。→でえす、→でえんす。B幕末近くになると、普通の商家の婦人も使うようになり、明治時代以後、特殊社会の語であることが忘れられて一般に使われ、「だ」に対し、「でございます」よりは軽い丁寧な語になった。』とある。
そーだいんす:そうです。
うそだいんす:嘘です。
ほんとーだいんす:本当です。
いやだいんす:嫌です。
なんだいんす:何です。
たいんだ
たーいんだ
【感】大変だ こんではたーいんだどな:これでは大変だよね。
たうい
たーうい
たーうえ
田植え 当時の田植え時期は、今より遅くちょうどゴールデンウィーク付近がピークだった。田植えは一家総出だったので、30年代後半まで連休は学校が休みだった。
たいべ:静岡。
たゆべ:静岡。
たーういぐみ
たうえぐみ
たーうえぐみ
ナツグミ 果実が美味しい。同じ仲間の『ビックリグミ』は、痩せ地ではびっくりするほどの実は生らなかった。
たういこじろー
たーういっこ
たういむし
たーういむし
アリジゴク いずれも『民俗』掲載語。
アリジゴクが、後ろに進むことにちなんで、同様に後ろ向きに作業する『田植え』を基本にしたもの、転じて農夫に例えて『田子』が基本になっているものが大半である。
(たうちー) 軍鶏 沖縄。
たうぇーねー 【形】とりとめもない。思慮がない。 『たわい無い』。
◎たうない
たうね
たうねー
たーうねー
田を耕うこと 『たうねー』は江戸言葉と考えられる。
たうねー:神奈川。
(たうべ) 【複】食べよう 神奈川。
だうま 雌馬 『駄馬』(だば・だうま)。岩手・宮城・大分。
だえ 【代】誰、【形動】駄目
たえ 【副】大概
だえぐ
だぇーく
大工 『集覧:猿』。
だえご
だえごん
大根 だぇーこ:静岡。
だえごおろし
だえごろし
大根おろし だえごろし:福島。
だえじょぶ 大丈夫 以下の大半は、長塚節の小説『土』に現れる。これは、茨城方言の『い』を長塚節が表現上『え』としたことに由来する。
この場合の解釈は、関東圏では唯一イ段音の口蓋化が起きていない茨城方言や東北方言の一つの表現と見るべきであり『い』でも『え』でも無い発音だったと解釈すべきである。
ここでの『だえ』の発音は『でー・でえ』と同じと見るべきであり、江戸方言の一部と解釈すべきだろう。
★『土』:勘次(かんじ)さん鹽(しほ)見(み)てくんねえか、俺(お)ら大丈夫(だえぢょぶ)有(あ)ると思(おも)つてたっけなよ。
たえそ
たえそー
【副】大層 ★『土』どうしたんだよ大層(たえそ)惡(わり)いのか、朝までしつかりしてろよ:どうしたんだ、随分悪いのか。朝まで頑張りなさいよ。
(だぇーだぇー) 静岡。
たえで
たえて
【複】炊いて ★『土』:米(こめ)ばかり炊(た)えても毎日(まいにち)一升(しよう)づゝは要(え)る位(くれえ)だから。
たえねー
たえーねー
【形動】他愛ない、簡単だ たええーなし:福島。
たえねー:神奈川。
たえーねー:神奈川。
たやねー:神奈川。
たえへん 【形動】大変 ★『土』そうすればええ大變(たえへん)だらええぞ:そうすればいいが、大変ならいいぞ。
(たお) 静岡。
〜だお
〜だおー
〜だおーん
〜(し)たお
〜(し)たおー
〜(し)たおーん
【助】@〜だよ、A〜(し)たよ 親しい仲で使われやや茶化した言い方。
濁音形は名詞またはイ音便・撥音便の動詞に付き、清音形は促音形の動詞に付く。
〜だおん:宮城。宮城では目上の人に使う。
いったおー:行ったよ。
やんだおーん:嫌だよ・遣るんだよ。
たおいちった
たおいちゃった
【複】倒れちゃった r音の脱落。
たおいて:倒れて:島根。
たおごし 田の耕起 『田起こし』の意味。
(たおす) 【動】無駄にする 静岡。
『倒す』には『@殺す。Aくつがえす。滅ぼす。』の意味がある。
(たおす) 【動】借金を返さない、踏み倒す 静岡。
『倒す』には『他人に金銭を借りたまま返さないで損をかける。』の意味がある。
(たおや) 小屋 静岡。
(タオル) 茨城の田舎で日本でタオルが使われるようになったのは、昭和30年代の後半だった。
タオルを作る技術は、ループカーペットを作る技術と同じだという。
たおれる 【動】@休む、A損する @・たおれる:山梨。
いぢんちたおれでいばだいじだっ:1日休んでいけば大丈夫でしょう。
▽た 桶にはめる竹の輪 『箍』。
すっこくり・すっこくりわんな・た・つっこくり・はりねわんな・ひっくり・わんな:針金を利用して兎を取る罠・針金の輪に兎が首を突っ込むと締まる:神奈川。
さま:桶屋:静岡。
っさん:桶屋:静岡。
【接】そうではあるが。しかし。けれども。 標準語では文語でしか使われないが、茨城では口語で使われる。
〜だ
〜た
【助】〜だが、〜たが 標準語では文語でしか使われないが、茨城では口語で使われる。
〜だ:〜だよ:愛知。
〜だ:〜だよ:愛知。
〜だが
〜だがー
〜たが
〜たがー
【助】@〜かい、A〜(し)たかい、〜(し)たか、〜(する)のか 濁音形は名詞またはイ音便・撥音便の動詞に付き、清音形は促音形の動詞に付く。
鼻濁音のため『〜だがん、〜たがん』と聞こえることもある。
茨城弁の基本となる疑問を示す助詞だが、ステレオタイプな関東の田舎言葉とも言える。元、『〜であるか』と考えられる。。
@★おめだが:お前か。
A・〜だか:山梨。いくだか:行くのか。
おわっしゃっだがー:終わったかい。
えらぐっちゃどごにあんだが:イラクってどこにあるの?。
〜だが
〜だか
【助】〜か、〜のか、殻なのか 〜だんか:〜なのか:下半身丈夫だんが知らねんでども(知らないけれども):山形。
どんだがつおいんだがみでみろ:どれだけ強いのか見てみなさい。
ゆぐんだがしんね:行くのかも知れない。
たかー 竹馬 『高足』(たかあし)が転じたと思われる。また『足』は『あ』と言ったので『高足』そのものとも言える。『集覧:新』。
たがあ 【複】【形動】@高くつくこと、A身分不相応、思い上がること 清音なら古い標準語。
@・たがあ:宮城。
たがあし
▲●△▽たかあし
竹馬 『高足』。『集覧:多・水』。
『方言地図』によると栃木・群馬・千葉の大半と埼玉東部が空白になっている。
たがあし:山形。
たかあし:東京多摩・静岡。
たかはし:福島・栃木・埼玉・静岡・鳥取。
たがあしぜん 足の長い膳 『高足』。
たがい
たげー
【形】@高い、A声が大きい Aの意味は、標準語では死語。
(だかい) 【副】沢山 静岡。
だがいる 【動】抱く 『抱きかかえる』が訛ったと思われる。
だがいる:宮城。
だがいごむ 【動】抱く、自分のものとして囲え込む 『抱き込む』。
いす 【動】耕す
たがいたがい 子供を高く掲げる遊び 幼児言葉。濁音化。
いち
ーち
互い違い、ちぐはぐなこと 『いっちくたっちく』
だがいる 【動】抱く、持つ
だがえごむ 【動】抱く、自分のものとして囲え込む 『抱き込む』。=『だがいごむ』
だがえる
だかえる
【動】抱く、持つ 『抱きかかえる』が訛ったと思われる。
たがおに 子供の遊びのひとつ 高鬼。鬼ごっこの一つ。高い所にいれば鬼につかまらない。
たーかぎ 代掻き
だがぐ
だがく
【動】抱く、持つ、携える、持ち上げる 『抱く』が『だがく』となるのは『だかえる』に対する他動詞表現と思われる。
だがう:宮城。
だがきもの:厄介者:秋田・岩手。『抱え者』
だがぐ:福島。
だがく:秋田・山形・宮城・福島・長野。
:持つ:山形。
:山形。
:山形・長野。
たがぐ:宮城。
たがく:東北全部・福島・群馬・新潟・富山・長野。『方言学概論』には『たあく・たがえる・たなく・たんがく・たんく・たんなく・てぇんくとも。「手昇く」といふ説がある。或いは「手上ぐ」か。』とある。たがって:持って。
づぐ・たづぐ:しがみつく:山形。
ただぐ:秋田。
たなぐ:運ぶ:岩手。
たんがきもの:厄介者:秋田。『抱え者』
たんがく:岩手・秋田・宮城・福島。
たんげーる:携える:秋田。
たがぐつぐ 【動】@高くつく、A高い傾向がある、Bお高く止まる 慣用句になっていないのは、正札『しょうふだ』が高く付く意味のためだろうか。標準語と異なり『つ』は有母音でしっかり発音する人も居た。
たがくね 高い垣根 『高久根』の意味。『くね』は生垣のこと。
たが 大声 たが:宮城。
だがさる
だかさる
【動】抱かれる 『おぶさる』に似た表現。『抱かせる』の受動形と見られる。辞書に無いのが不思議な言葉。
だかさる:東北・栃木・東京・神奈川・静岡。
さる:しがみつく:山形。
づぐ・だづぐ:しがみつく:山形。
★『土』:汝(わ)りや姉(ねえ)に抱(だ)かさってんだ。
たがし
◆■●たかし
たがーし
たがしたか
竹馬 『高足』。『たがしたか』は『竹足高』の意味。
『たかし、たかはし』は広域方言。
かかし:神奈川。
さん:神奈川。
さんぎす:鹿児島。
さんげし:鹿児島。
たがあし:山形。
たかあし:東京・神奈川・山梨・静岡。
たかし:神奈川・山梨・静岡。
たかしん:神奈川。
たかんま:埼玉。
たけうんま:神奈川。
たけんま:神奈川。
たがし
たかし
だがーしぜん
たがぜん
足の長い膳 『高足』。
たかじょー 山形町で生産するコウゾを使った和紙、西の内紙 『集覧:水』。
茨城名産の一つ。『高帖・高帳』と当てられる。広辞苑には『茨城県山方町西野内から産し、質はやや粗く強い楮(コウゾ)製の生漉紙(キズキガミ)。』とある。『水戸紙、太田紙』とも呼ばれる。
『茨城のことば』には『江戸時代、(中略)石高を記入した財政重要帳簿を「高帳(たかちょう)」と言い、西の内紙をもっぱら用いたので、高帳→たかじょうが西の内紙の別名になった。(中略)「大日本史」の料紙、各藩の御用紙として用いられ、三行半の去状も西の内紙に書くのが武家の定法とされた。』とある。
たかじょ
たかじょー
地下足袋 県下では鹿島郡の方言。草履は『じょうり』とも言う。地下足袋は足首が長いので『高草履』の意味か。分布地域からは明らかな東国方言である。あるいは『鷹匠』が履いたからなのだろうか。
たかじょ:青森。
たかじょー:秋田・福島・千葉・新潟・山梨。
たかすっ
たかす
竹筒、竹の棒、墓の花立て 『集覧:水』。『竹筒棒』(たけづっぽう)。
たがだがのもん 高価なもの 30年代の言葉。『たかだか』には、『高価な』意味と『せいぜい』の2つの意味があるが現代標準語では殆ど『せいぜい』の意味で使われる。
(たかたかゆび) 中指 佐渡島。近世語。
たがっかい ドブガイ 茨城方言集覧では旧北茨城郡の方言で『ぶど貝』意味とあるが、『どぶ貝』の間違いと思われる。
たがづぐ
たかつく
【動】@高くつく、A高い傾向がある、Bお高く止まる
たがっけ カラスガイ
たがつと 竹筒、竹の棒、墓の花立て たかづつ:焼き米を入れる携帯用の竹筒:神奈川。
たがっ 高下駄 『高歯(たかば)』。30年代前半まではまだまだ使われていた雨の日の必需品。
たがづっ
たがつっ
◎たがづっ
@竹筒、墓の竹製の花立て竹筒、墓の花立て、A竹の棒 @『竹筒ぽう・竹筒棒』(たけづっぽう)。稲の古形は『いな』、『天・雨』の古形は『あま』、『竹』の古形は『たか』である。
たがつっ:山形。
たかづっ:群馬。
A・たかつんぼ:竹竿:山梨。『竹つ棒』。
たがっ
たかっ
■▲たかっ
▲竹筒、竹の棒、墓の竹製の花立て 『集覧:無記載』。『竹棒』の意味。
たがっ
たかっ
高い所 『高つ方』の意味。
たがっなぎ
たかっなき
大声で泣くこと 『集覧:猿』。
たがっなます
たかっなます
小鮒の輪切りなます 『集覧:無記載』。
たがて 高いところ
たがとーもぢ
たかとーもち
擦り大根をからめた餅 『集覧:多』。
たがどーろ 新盆の家が盆に仏様を迎えるために庭や門口に立てる高灯籠、木や竹に杉の葉を刺して作る 標準語の『高灯籠』の意味は『精霊を迎えるための盆灯籠。竿などにつって高く掲げる。』とある。『竹灯篭』の意味もあると思われる。
村によって形が異なり、上大津地区では竹2本を十字架型に縛り、藁を巻いてそれに杉の葉を指した。もともと新盆の家の目印として考え出されたものだとう思われるが、その後軒先に派手な提灯をさげるようになってから、すたれた。
たがどーろたで 新盆の家が盆に仏様を迎えるために庭や門口に高灯籠を立てること
〜だがな
〜だがなー
【助】〜だろうか、〜だか、〜だかね いまのはだいだ:今の人は誰だろうか。
〜だがに 【助】〜かに、〜だかに 清音形なら標準語だが、あまり耳にしなくなった。
□▽ねもぢ もち米にうるち米を混ぜた餅 広辞苑に『飴(たがね)』とは、『(握り堅める意) 「あめ」の古名。一説に、餅。』とある。
ねる 【動】ひとまとめにする。束にする。つかねる。一説に、あてがう。 『綰ねる』。
〜だがの 【助】〜かの、〜だかの 清音形なら標準語だが、あまり耳にしなくなった。
〜たのに
〜たなのに
【助】〜(した)ことなのに せっかぐおれがやったなのにおめはぜーんぶぼっかっしゃーんだがらしょーんめ:せっかく俺がやったものなのにお前は全部壊しちゃうんだからしょうがない。
たがば
たかば
高い場所、台地 標準語の『高場』(@江戸の歌舞伎劇場で、土間の後部の追込場や向桟敷の一隅にあった小高い場所。また、ここにいる劇場従業員。桟敷・土間の観客割当や監視などをした。上方では奥場(オクバ)といった。A株式取引所で市場係が売買取引を記帳する一段高い場所。高台。)の広義使用。
たがば
たかば
高下駄、足駄 『高歯(たかば)』。
たかば:宮城・福島・千葉・埼玉・神奈川。
たかは:静岡。
たがばがり
たかばかり
竹製の物差し 『竹量・尺』。主に裁縫に用いたので『丈はかり』の意味等の説がある。
たがはし 竹馬 『高足』。
たかはし:福島・栃木・埼玉・静岡・鳥取。
たかはらい
たかはれー
@祭りの最後の日。A祭りの最後の日に関係者が飲食すること。 『竹払い』の意味か。新治郡と土浦市だけの呼称。上大津地区では『まち(明神祭り)の最後の日』も指す。
たかぶ 小鴨 『集覧:無記載』。コガモの古名『沈鳧』(たかべ)の転。
たかべー ベエゴマの種類。背の高いものを指す。
たがぼー 竹棒
たがぼー 竹馬
たかぼー 竹筒
たかぼーぎ
たがぼーき
たかぼーき
竹箒 箒草を使ったものは『庭箒にわぼーぎ)』と言い主に土間の清掃に使われる。『たか』は竹の古称。
たかぼーき:神奈川。
(たかぼこ) 高低 神奈川。
たがぼっち 峰の頂上 長野には『高ぼっち高原・高ぼっち山』がある。
たがぼっち 小鳥をとる罠の一種 日立市。
まーし @自転車のリムを廻す遊び、A樽のたがを回してする遊び 当時は運動会の定番の競技種目でもあった。ただし名前は『自転車競走』だった。桶の箍(たが)を廻す遊びが転じてリム回しも同じように呼んだものと考えられる。
@・まわし:千葉。
たんまーし:群馬。
(たかまーみ) メダカ 沖縄。『高目め』の意味と考えられ、『み』は茨城方言の『め』に当たる接尾語か。
まる 【動】(服などが)皺がよってひっかかる 『たまる』の転。
まる:千葉銚子。
たがみ
たかみ
高いところ 『高み』。
たかみ:神奈川。
(たみそ) 小溝 静岡。
〜だがも
〜だかも
【助】〜かも 名詞に付く場合清音形なら標準語だが、あまり耳にしなくなった。
たがめ タカ
たがもり 山盛り 『高盛』。
おだがもり:山形。
おたかもり:神仏に供える高く盛ったご飯:神奈川。
たがもん 高いものばかりを買うこと
◆▲ 桶屋 『集覧:久・多』。『担桶(たご)』(担い桶)が訛ったか、『箍屋』の意味。
:桶:京都。
:岩手・山形・宮城・福島・長野。
たがやぶ
たかやぶ
竹薮 『たか』は竹の古称。
たかやぶ:東京武蔵村山。
堆肥を盛って運ぶ器 『集覧:猿』。
だがら
だから
【接】だから 濁音化。
『〜だけに』の意味とも思われ、もともとは『〜にてありければ』の意味か。
だけん:熊本。
だすけ:新潟。
だっけん:新潟。
だんけ:山形。
〜だがら
〜たがら
〜たから
【複】〜だから、〜(し)たから 〜だんけ:山形。
たがらもの
たがらもん
@子供、宝のように大事なもの、A転じて馬鹿者、厄介者 @・たから:良い子:石川。
A・たがらもの:青森。
たがらもの:知的障害者:宮城。
(だからよー) 【複】相手の意見を受け止めつつ責任から逃れる 沖縄。
たがらんちょ 【慣】あげましょう つくば市。
もともとは『集らっしょ(たからっしょ)』(おごらせなさい)だったと考えられる。同じ名称の子供の遊びもある
たからんちょ:東京・神奈川。
たからんまい:『あげない』という子供の遊びことば:神奈川。
(たからんち・たからんっちょ・たかんばち) 竹の皮で作った笠 鹿児島。
〜たがり
〜たかり
【助】【古】〜集り 何かが付いたり、付きまとわれたりすることが転じて新たな意味の言葉となる。人間の性状を言う。東北で多く使われる。
茨城にも多く残っているが、埼玉にもあることから、元は東国方言であった可能性がある。
しらみたがり:不潔な人:青森。
すんけたがり:精神病・神経質な人:山形・宮城。
〜たかり:埼玉。しらみったかり:シラミが体に付いている人。
ちゅーぶたかり:中風病み:宮城。
びんぼーたかり:貧乏の病気:岩手。
ぶらりたかり:怠け者:宮城。
よぐたがり:欲張り:青森。
よくたかり:欲張り:東北・宮城・福島・新潟。
あがたがり:垢だらけの人。
がしたがり:卑しん坊。食いしん坊。
がすたがり:垢だらけの人。
よぐたがり:欲張り。
たがる
たかる
【動】@(ごみやほこり、虫、垢などが)つく、(悪いものが)取り付く、A寄り集まる、B金品をゆする 清音なら標準語。
@標準語では、今では物が付く意味で使うことは少ない。また、近くに畜産農家でもなければ、ハエが集ることも無くなってしまった。
たがる:岩手・宮城・福島。
たかる:群馬・神奈川・山梨・静岡。
A現代では『寄って集る』程度しか使われない。
たがる:青森。
たかる:集まる:山梨・静岡・奈良。
B現代ではもっぱら恐喝と言う。
たがる 【動】(風呂が)焚いてある 標準語には無い自動詞形。
ふろたがってっか:風呂焚いてあるかい。
たがわらい
たがわれー
大声で笑うこと 『高笑い』。
〜だがん
〜たがん
【複】@〜(し)たかい?、A〜かい、B〜だから 濁音形は名詞またはイ音便・撥音便の動詞に付き、清音形は促音形の動詞に付く。
おんこたれだがん、すっきどした:ウンチしたのですっきりした。
たがんじぎ 田下駄 『田橇』の意味。
たがんど 高台 『高処』の意味。
〜だがんな
〜だかんな
【複】〜だからな 清音形は、今では俗語として使われる。これは茨城方言由来の可能性が高い。
〜(し)たがんな
〜(し)たかんな
【複】〜(し)たからな 清音形は、今では俗語として使われる。これは茨城方言由来の可能性が高い。
〜だがんね
〜だかんね
【複】〜だからね 昔の茨城では主に女言葉だった。清音形は、今では俗語として使われる。これは茨城方言由来の可能性が高い。
〜(し)たがんね
〜(し)たかんね
【複】〜(し)たから 昔の茨城では主に女言葉だった。今では俗語として使われる。これは茨城方言由来の可能性が高い。
たがんば 高下駄 『高歯』。
たがんば
たがんま
竹馬 竹の古形は『たか』であり『たかうま』の意味。
たがんべ 貝に似せて作った鉄製の独楽 『高貝独楽』の意味。背の高いベエゴマを意味する。
たぎ たぎ:千葉。
だきー 江戸時代に水戸の武家の少年達が行った競技。現代で言えば運動会の玉入れ競技。 広辞苑に『打毬(だきゅう):二組の騎馬の一定人数が庭上にある紅白の毬を毬杖(ギツチヨウ)ですくい取り、自分の組の毬門に早く投げ入れた方を勝とする競技。ポロの一種。唐から伝わり、平安時代に宮廷行事となったが中期以降衰退、江戸時代に復活。庶民の間では徒歩で盛んに行われた。』とある。
水戸では、紅白の二組に別れ、高い杭の先に付けた網籠に向かって小さな網のついた杓子を使って投げ入れ、多く入った方が勝ちとなった。
たぎおごわ 炊いて作った赤飯 たきごわめし:群馬。
たぎおどし 熾き 『焚き落とし』。
たきおとし:群馬。
たぎおろし 炊き立て
たぎ
たぎき
たぎっき
焚き木、薪
たぎとり 松林の枝落とし 『焚き木取り』。松林の枯れた下枝は年に1回必ず切り落として焚き木にした。
たぎーし
たぎけーし
たぎっかいし
たぎっけーし
(お風呂やご飯を)炊き返すこと 『げ』は濁音・鼻濁音。
たぎーす
たぎけーす
たぎっかいす
たぎっけーす
【動】(お風呂やご飯を)炊き返す 『げ』は濁音・鼻濁音。
たぎけす:宮城。
たきこわ 炊いて作った赤飯 たきごわめし:群馬。
〜だきしね
〜(し)たきしね
【複】@〜し足りない、〜(し)た気がしない、A〜(し)た記憶が無い。 促音を伴うことも多い。
@・〜だっけすね:宮城。
ねだきしね:寝足りない。
だべだっきしね:食べた気がしない。
だぎづぐ
だぎつぐ
【動】抱き付く
たぎつけ 火をたやすく燃えつかせるために用いる枯柴・こっぱなどの類 『焚付け』。濁音化。
たきつけ::神奈川。
たっつけ:鹿児島。
だぎっつぐ
だぎっつく
【動】抱き付く だきっつく:群馬。
だきっと
だきと
だきんと
【接】だけど だきっと:千葉銚子。
〜だきっと
〜たきっと
〜だきと
〜たきと
〜だきんと
【複】〜だけど、〜(し)たけど 濁音形は名詞またはイ音便・撥音便の動詞に付き、清音形は促音形の動詞に付く。
だきっとも
だきとも
だきんとも
【接】だけども
たぎもの
たぎもん
焚き木、薪 『焚物』。
たきむん:鹿児島。
たきもの:山形・佐渡・富山・石川・愛知・兵庫・鳥取・四国全域・福岡・熊本・鹿児島。
たきもん:鹿児島。
たくぐん:鹿児島。
たくごん:鹿児島。
たくぼん:鹿児島。
たくもん:鹿児島。
たぐん:鹿児島。
たちむん:沖縄。
たっもん:鹿児島。
【動】@お湯が煮え立つ、A血がたぎる 『滾る、激る』。
たぐ 【動】火を燃やす、ご飯を炊く、スイッチを付ける 『焚く』『炊く』。濁音化。
今ではご飯は誰もが炊くものだと思っている。
茨城県下では『煮る』のは単に煮ることで、炊き上がれば『煮えだ・にいだ』と言って、炊くことも煮ることも同じ意味に近かった。
たく:煮る:岩手を中心にした地域、福島と茨城・栃木の北部、千葉北部、群馬・長野・山梨を中心にした地域、中国・九州の山岳地域。
・広辞苑には『焚く:@火を燃やす。火をつける。A火で燃やす。くべる。B香をくゆらす。C火を燃やして沸かす。日葡「フロヲタク」D(「炊く」とも書く) 食物を煮る。かしぐ。』とある。
活用形は『たがない・たがねー、たぎます・たぎやす・てーで、たぐ、たぐどぎ、たいだら・てーだら、たげ』
たぐ:青森。
ひーたぐ:火を燃やす。
ひばぢたぐ:火鉢に火をつける。
風呂たぐ:風呂を焚く。
ご飯たぐ:ご飯を炊く。
こだづたぐ:炬燵に火をつける。
エンジンたぐ:エンジンを掛ける。
エアコンたぐ:エアコンを付ける。
(だく) 長野。
(たく) 妻が他人に対して、夫を呼ぶ称 東京。『宅』。『やど・やどろく』とも言う。
田んぼで使う鍬 『田鍬』の意味。
たぐあん
たぐあんこーご
たくあんこーご
沢庵漬け
(濁音化) 日本語には、方言だけではなく、標準語の中にも濁音化がある。
西欧では清音と濁音は別の文字が与えられているが日本では清音に濁音符をつけて表現されている。西欧の表現では、k→g、s→z、t→d、h→bとなる。
標準語の濁音化表現は繰り返し言葉の後にのみ表れる。特に副詞表現に顕著である。
たぐきる
たぐーきる
【動】自慢する 『卓』(高いこと。すぐれていること。)を切る(目立つようにする。きめこむ。)意味か。
たぐさん
たくさん
たっぐさん
たっくさん
【形動】結構、十分 現代標準語では十分な意味の他『もうたくさん(≒拒否する意味)』の意味になるが辞退する使い方はあまりしない。しかし、明治期の小説や古い映画では確かに使われていた。
たくさん:宮城。
いまっとのんでったらどーだ−おらもーたくさんだ:もっと飲んでいったらどうですか。−もう充分です。
たぐさんに
たくさんに
【形動】沢山 通常このような言い方は標準語で使う事は少ないが、例えば『一杯にする』と言う言い方があるように文法的な間違いはないようである。
たぐしあ
たくしあ
【動】(袖などを)めくりあげる たくしあ:群馬・静岡。
たくしきる 【動】自慢する 『卓識』に由来するか。
(たくしこむ) 【動】@たぐって自分の手もとに入れる。転じて、自分の腹に入れる。A着物のすそをはしょって帯の下に挟み込む。また、シャツなどのすそをズボンやスカートの中に入れ込む。 このような漢字が当てられていない言葉は、死語となることが多い。
A・たくしこむ:東京。
つぐ
つぐ
【動】こんがらかる、ずれる 『たぐまり付く』意味。
たくと 『戯言』。
(だくな) 【形】悪い 長野。
(だくなっこ) 悪い子 長野。
〜だぐね
〜だぐねー
【複】〜(し)たくない 〜だぐね:福島。
ねる 【動】束ねる 『綰ねる(たがねる)』。
たくねる 【動】深酔いする 『集覧:行』。初版の集覧では『熟酔すること』とある。広辞苑に『吐る(たぐる):吐(ハ)く。嘔吐する。』とあり深酔いして吐く意味と思われる。
まさる 【動】@こんがらかる、A着ている衣服がどこかにひっかかってしわが寄る、Bずれる まるの自発表現。自然にそうなってしまう意味を含む。『たませる』の自動詞表現とも言える。
ませる 【動】手繰り寄せる、服を1箇所にまとめる まるの他動詞または使役表現。
まる 【動】@こんがらかる、A着ている衣服がどこかにひっかかってしわが寄る、Bずれる 『たまる』。古語の「たぐまる:しわが寄ったりたるんだりしてしわくちゃになる」が訛ったもの。1961年の石原裕次郎の映画『あいつと私』のシーンで縮こまる意味で『たごまる』が使われていた。
@・らさる:千葉。同源か。
Aはやや古い標準語。『手繰る』の自動詞表現と考えられる。
まる:栃木。
Cその他。
まる:袖の中で下に着てるものがあがる:神奈川。
まる:もつれる:山梨。
まる:身体が硬直して動けなくなる、危険を感じて身を隠す:栃木。
【動】手繰る
める 【動】手繰る、引き寄せる 2008年夏、神奈川生まれの40代の男性が『カーテンを引き寄せる』を『ためる』と言うのを聞いた。
める:神奈川。
ろめる:言いくるめる:東京三鷹。
★『土』:それお内儀(かみ)さん、兩方(りやうはう)へ附(つ)けんだって恁(か)ういに縛(しば)つて中(なか)へためた端(はじ)つ子(こ)赤(あか)くなくっちゃ見(み)っともねえってね
たぐら
たぐらだ
馬鹿、愚か者 『田蔵田(たくらだ)』((麝香鹿ジヤコウジカに似た獣で、人が狩る時、飛び出して来て殺されるという。自分に関係のないことで物好きに死ぬもの) 愚人。ばかもの。うつけもの。)なら古い標準語。
おたから:神奈川。
おたくら:神奈川・長野。
おたーくら:神奈川。
たーくら:長野。
たーくらたー:長野。
たぐらんけ:青森。
たくらんたー:静岡。
(その他)
おたくら:冗談:群馬・長野・新潟。
おたくら:狸寝入り:静岡。
おたくらをあげる:お喋りする:群馬。
たーくら:戯言:群馬。
たーくらたーだ:虚言:長野。
たーくらをいう:虚言を言う:長野。
りごむ 【動】手繰り込む 濁音化。
【動】手繰る、(着物のすそなどを)引きあげる 『たくしあげる』。
『手繰る(たぐる)(@両手を交互に使って手元へ引きよせる。かいぐる。A順にたどって本(モト)をさぐりよせる。)』とある。
たぐる:めくる:青森。
たくる:剥ぐ・捲る:岩手。
(たくる) 【動】@奪い取る。ひったくる。A皮をむく。まくる。たくしあげる。Bむりに頼む。せがむ。(広辞苑) A・たくれる:剥ける:山梨。
Cその他。
たくる:仕事に勢いこむ:静岡。
(たくる) 【動】落ちる 東京多摩。
(たくる) 【動】垂れる、したたる。 神奈川。『垂れ来る』意味か。
〜たぐる
〜た
〜たくる
【動】〜(し)まくる 動詞について連語を形成し意味を強調する。標準語には『打っ手繰る、引っ手繰る』がある。
『たくる』には『@奪い取る。ひったくる。A皮をむく。まくる。たくしあげる。Bむりに頼む。せがむ。』の意味があり、間接的に『〜(し)まくる』意味に使われているものと思われる。
(たぐるう) 【動】もがく 鹿児島。
るま あぐら、とぐろをまくこと 『たるまぐ』の名詞形。
るまぐ 【複】あぐらをかく、とぐろをまく 『塒を巻く(とぐろをまく):その場所に腰を落ち着けてなかなか動こうとしないさまにいう。』。
〜た
〜たくれ
【接尾】 『ぐ』は濁音・鼻濁音。動詞や名詞について連語を形成し意味を強調して名詞を形成する接尾語。
くらいたくれ:のん兵衛。
どんたくれ:愚か者。
(たくれる) 【動】皮がむける、めくれて皺がよる たくれる:まくれる・めくれる:静岡。
〜たれる
〜たくれる
【動】〜(し)まくる 『ぐ』は濁音・鼻濁音。動詞について連語を形成し意味を強調する。『ぐ』は濁音・鼻濁音。る』の自動詞形。
だぐろ
だくろ
ザクロ 当時の高齢者の言葉。
田んぼで使う鍬 『田鍬』の意味。
たぐわん
たぐわんこーご
沢庵漬け 辞書には『たくわん』は『たくあん』の訛りとある。
たっぐわんつけ:鹿児島。
たっばんつけ:鹿児島。
たくをきる 【複】自慢する 『集覧:多・猿』。『卓』(高いこと。すぐれていること。)を切る(目立つようにする。きめこむ。)意味か。
たげ @【名】丈、A【形】高い @は濁音化。
Aは濁音化+短縮化。
たげ 東北系の訛り。関東圏では千葉北部、新潟や福井・長野北部・京都北部でも濁音化する。
たき:鹿児島。
たげ:千葉北部・新潟・福井・長野北部・京都北部。
たきがら:竹焚き木:鹿児島。
たーげ たわけ、馬鹿 たーけ:神奈川・静岡。
たーけめ:山梨。
〜だげ
〜たけ
〜だげー
〜だけー
〜たけー
【複】〜だかい、〜たかい 過去・完了・断定の助動詞『〜だ・〜た』に疑問・反語の終助詞『〜かい』がついた、『〜だかい・〜たかい』が訛ったもの。清濁の使い分けは標準語と同じ。
〜だけー:静岡。
〜だげ
〜たげ
◎〜たけ
【助】〜だけ 濁音化と清音化の共存だが実は清音形は古形。『丈』。接尾語とする辞書もある。
〜だげ:東北。
〜がつ:鹿児島。
〜がと:鹿児島。
おれたけちかしんね:俺だけしか知らない。
〜だーげ 【助】〜だらけ どろだーげ:泥だらけ。
たげー
たっげー
高い だかい:沢山:静岡。
たかぇー:静岡。
たきー:静岡。
たげ:青森。
たけ:福岡・鹿児島。
たけー:神奈川。俗語。
たっか:鹿児島。
たげあし 竹馬 『高足』。『竹足』の意味の可能性もある。
たげくらべ 背比べ 濁音化。『丈比べ』。
たげ
たけ
竹薮 『集覧:久』。『竹叢』の意味と思われる。
たけじょー 西ノ内紙(和紙) 『集覧:久』。今の那珂郡山方町の和紙。
ーす 【動】耕す もともと『田返す』(たがやす)の意味で標準語は当て字。後に『耕す』に変わる。『返す』は近世に『かやす』と言った。その意味では語源を感じさせる方言。
たけーし:田起こし:埼玉。
たげすきー 竹スキー 当時は今のようなスキーは手に入らず竹を使って手作りでスキー板を作った。先端は少し割って、火であぶり曲げて作った。
田下駄、特に泥深い水田で用いた農具 濁音化。農村専用用語。当時の我が家には、土間の壁に数組掛けてあった。米の減反政策に伴い深田から蓮田に少しずつ変わり、やがて100%が蓮田に変貌していく。
ーち 【形動】互い違い、交互
だげっと
だけっと
【接】だけど だけっと:千葉。
たげづづ
たげつつ
たげづっぼ
たげづっ
たげづっ
たけつっ
たけつっ
竹筒、竹の棒、墓の竹製の花立て竹筒、墓の花立て、 『竹筒(たけづつ)』『竹筒棒(たけづっぽう)』。本来は『たけづつぼう』だったと思われる。
たかづつ:焼き米を入れる携帯用の竹筒:神奈川。古語と考えられる。
たけづっ:神奈川。
たけづっ:埼玉・東京・神奈川。
たげっ 竹べら たけっべー:静岡。
だげっがら 竹屑 竹の『端』+『がら』。
たげっぼ
たげっ
たけっ
竹筒、竹の棒、墓の竹製の花立て竹筒、墓の花立て 『竹棒』の意味。
たげっがら 竹の屑
だげど
だげーど
だけーど
【接】だけど 長音形なのは、『だけれど』の名残と考えられる。
だけーど:群馬。
たげどぎ 交尾期 『長け時』の意味。この場合の『長け』は文語の『長く』の連体形と考えられ、単に古い言葉が濁音化したとも考えられる。
たげな @丈が長いこと。A和服を、丈を長めに着付けること。B和紙の丈長を元結にしたもの 『が』は鼻濁音。『丈長』。
@・たけな:神奈川。
B・たけな:厚い和紙:群馬。
たげ:静岡。倒語と見られる。『げ』は鼻濁音か否かは不明。
たげのかー 竹の子の皮 たけっか:神奈川。
たけのかー:神奈川。
たげのご
たげのこ
たけのご
竹の子 『たげのこ・たけのご』のどっちがメジャーかは正直のところ不明である。
たけっこ:静岡。『竹つ子』。
たけんこ:静岡。
(竹の子の皮で包んだ梅干) 竹類は繁殖力が非常に強く、一度繁茂すると他の植物はその中では殆ど繁殖できない。竹林には竹の葉が積もり地面はふかふかである。我が家の裏山には竹林があり、4月になると、その竹の枯葉の絨毯の中なら竹の子がにょきにょきと出て来る。竹林は地下茎が地面をしっかり固めているから、地震があった時は竹林に逃げろと教えられた。
竹の子は、トウモロコシ同様新鮮さが味を決めると言われ、食べる時にその都度竹の子掘りをした。竹の子掘りにはおまけがついた。少し大きく育った竹の子の皮で梅干を三角に包み、角のあたりから少しずつ出て来る梅干を舐めていると、そのうちにその皮が赤く変わっていくのが面白いというだけの子供のおやつだった。
たげのごほり @唐鍬、A竹の子を掘ること
だげがら
たげっがら
たげがら
竹屑 竹の『端』+『がら』。
たきがら:竹焚き木:鹿児島。
たげばさみ 竹挟み、洗濯バサミ
たげやま 竹林、竹薮
(たけり) 獣類が一定の時期に発情すること。盛り。 静岡。『長ける・闌ける(真っ盛りになる。たけなわになる。)』の名詞形と見られる。
たげる 【動】火がつく、ご飯が煮える なーんだおめ、ひーたげでねーべな:なんだお前は、風呂の火が付いていないじゃないか。
(たける) 【動】@草や木に虫や鳥をたからせる、A転嫁する 『集る』の使役形と見られる。
@・たける:汚いものをつける:群馬。
たける:神奈川。
A・たける:神奈川。
たける:(病気を)移す:山梨。
(だーける) 【動】悪ふざけする 神奈川。
現代でも『ふざけんじゃねえ』を『ざけんじゃねえ』と言う。また『戯ける』が濁音化したか。
(たーける) 【動】手繰る 静岡。
だげーる
だけーる
【動】抱える 清音形は江戸言葉。
たげる:交尾する:山形。
たげーる:長野。『げ』は濁音か鼻濁音か不明。
だげれ
だけれ
【接】そうならば 『んだけれ』
だけれおれやっ:そうなら、俺が遣るよ。
〜だげれ
〜たげれ
【複】〜(し)たいなら なにがいーだげれいってみろ:何か言いたいなら言ってみなさい。
〜だげれ
〜たげれ
〜たけれや
〜たっけれ
〜たっけれや
【複】〜(し)たら 〜たきゃ:北海道。
とじーでつぢーらによったっけれ、たなばだでっとめらいっちってよー、けーんのにさんちかんかがったどー:途中で土浦に寄ったら、七夕祭りで動けなくなってね、帰るのに3時間かかったよ。
そーゆったっけれだんもなにもゆわながった:そう言ったら、誰も何も言わなかった。
たげわり
たげわりなだ
竹割鉈 鉈より小型で刃も細い。
たけわり:神奈川。
だげんど
だけんど
だけんと
【接】だけど、だけれど 茨城では『だけんと』がメジャー。だげんど・だけんど』は高齢者言葉。
しゃーけんど:愛媛。
そやけど:関西。
だけんぢょ:福島。
だげんちょ:福島。
だけんど:福島・群馬・埼玉・東京多摩・神奈川・山梨・静岡。
だーけんど:東京青梅・神奈川。古形は『であけんど』と考えられる。
だけんども:そうだけれど:神奈川。
〜だげんど
〜だけんど
〜だけんと
【複】〜だけど、〜だけれど 〜だけんど:福島・群馬・埼玉・東京多摩・神奈川・山梨・静岡。
〜だーけんど:東京青梅。
だげんども
だけんども
だけんとも
【複】〜だけども、〜だけれども
たげんば
たげんま
竹馬
たげんぼ
たけんぼ
たげんぼー
たけんぼー
竹の棒 『集覧:久』。格助詞『の』が『ん』に変化するのは標準語の口語にも見られる。『そこのところ』を『そこんところ』と言うのと同じ。
たけんぼ:竹筒:群馬。
たご
たこ
土木・建築の施工用具のひとつ 『蛸胴突』。『集覧:真』。基礎工事等で地面を突き固めるための道具。太い丸太に数本の足をつけてあるのでタコのように見えるためそう呼ぶ。
たご @凧、Aタコ、B胼胝(たこ) @『称呼』には『凧・紙鳶(いかのぼり):畿内にていかと云。関東にてたこといふ。西国にてたつふうりうと云。唐津にてはたこと云。長崎にてはたと云。。下野及信州にてたかといふ。越路にていかいかといふ。伊勢にてはたと云。奥州にててんばたと云。土州にてたこと云(上方にてはいかをのぼすといふ。江戸にてたこをあくるといふ。東海道にてたこをのぼすといふ。相州にてたこをながすと云。)。』とある。
現代でも関西では『いか・いかのぼり』という。江戸初期には、大阪でも『たこ』と呼んでいたがその後『いか・いかのぼり』に変化した。『いかのぼり』はマイナーで『いか』が主流である。これは、江戸の風流が関西にも伝わり、半ば対抗意識で生まれたのだろうか。
近畿以西に残る『よかんべ・よかんべー』は現代では不思議な言葉である。東日本の『よかんべ・よかんべー』は『良かるべし』を起源とした古い言葉であるが、『いかんべ・いかんべー』とも言い、九州を中心として『良い』意味を『よか』と言う。
八丈島では連体形に限り『よけ』と言う。そうすると、凧上げ遊びは実に楽しいから、『よか遊び』=良い遊びの意味なのだろうか。それが転じて『いかあそび』となり、『いか』に転じたのだろうか。実態は良く解らない。
いか:佐渡島・新潟・富山・石川・岐阜北部・福井・滋賀・京都・三重北部・京都・大阪・奈良・和歌山北部・兵庫・鳥取・岡山・香川・徳島西部・愛媛東部・大分南部。
たく:熊本。
たご:青森。
たこばた:青森・
てんばた:岩手南部・宮城・山形東部。
はた:青森・岩手・秋田。
はたこ:岩手・秋田。
よかんべ・よかんべー:和歌山北部・淡路島・香川西部・愛媛北部・大分南西部・熊本湯島。
よーず:島根西部・広島・山口。
(だご) 団子 鹿児島。
(たこ) 粗末な単衣 静岡。
広辞苑に『たこ:(タクの転か) 木綿・麻などで織った丈夫な仕事着。』とある。
たご
たごやろー
馬鹿野郎 罵倒言葉。清音形の語はもともとは、坊主をののしる言葉。
△◇た
おげ
桶、担い桶 『担桶』。『たごおけ』とも言う。古い標準語。
今では『スズメの小便桶(たご)』(イラガの繭)ぐらいにか使われない。一説には『たご』は近世大阪語。語源は、@田籠、A田子が担う桶であるところから、B肩器(かたけ) が有力とされる。そうなれば、桶は『負い器』の意味なのだろうか。古くから『こ・ご』は『籠』を指すことから、本来は『担籠』の意味なのかもしれない。
京都では桶を、群馬・埼玉・千葉・長野・三重・京都・京都・大阪・奈良では担い桶を『たんと言う。
『称呼』には『桶(をけ):上下総州及武蔵にてといふ(江戸にて四斗樽、京にて四斗をけと云を、総州にて四斗こといふ。すえふろをけすえふろこなどといふ。)。常陸にてとう、豊州及肥前佐賀にてかいといふ。長崎にてそうと云(大いなるをふといそうといひ小なる物をほそいそうといふ。)。畿内にてたご(担桶)といふを江戸にてになひといふ(これになひをけの略也。又になふとはひとふたりにてもつを云。かつくと云ひかたぐると云は意違えり。またたごとはをけの惣称也。上かたにては、なにたこといふ。たごとばかりいふ時は、畿内西国共に水桶也。東国また豊後にてはたごと云は糞器をいう也。「多識」に尿桶(たご)と有この事にや。)。京にてかたてをけと云を江戸にてはかたてをけさるぼう、又くみだしとも云。越前にてかいみずをけと云、加賀にてかいげ、下野にてひづみと云(造酒屋にて用ゆるかたてをけの大なるものを肥前にてたみをけといふ。)。』とある。このうち『さるぼう』は『猿頬』のことで江戸方言である。
江戸時代には、無造作に置いた桶をトイレ代わりに使ったとされるが、ここでもそれが読み取れる。後に地面に埋められるようになる。
:神奈川。
たん:肥え桶:埼玉。
たんご:鹿児島。
てん:手籠:埼玉。 
(たこおだす) 【形動】強情な様 神奈川。
たこ 田の3回目の耕起、代掻き 『田小切り』の意味。
たこ:神奈川。
たごさぐ
たごさぐやろー
馬鹿野郎 罵倒言葉。
たごずる 【動】処置に困る、もてあます 『梃摺る』(てこずる)。
たこつる:いましめる:大阪・和歌山・愛媛。
たこつる・たことる:(海等に落ちて)ずぶ濡れになる:岩手。
たごつき 基礎工事の割栗石をタコで固めること 『たご』を突くこと。
たこむし
たーころ
たっこっこ
たっこむし
アリジゴク アリジゴクが、後ろに進むことにちなんで、同様に後ろ向きに作業する『田植え』を基本にしたもの、転じて農夫に例えて『田子』が基本になっているものが大半である。
たごったでやー
たごったやー
【複】馬鹿な事を言うな、とんでもない 『戯言だ』の意味なのか『とんだこったでやー』が詰まったかは不明。
たごって 【複】そんなことで 『そったごって』の短縮形。


たこと
たー
たーこと
戯言 『集覧:西・猿』。『ご』は濁音のこともある。
古形『たはごと』の発音が残ったと見られる。
たこと:うそ:福島。
たー:群馬・神奈川。群馬では通常は濁音。
たーこと:群馬・神奈川・山梨。そらったーこと:そんな戯言:群馬。
たーことつく:馬鹿なことを言う:神奈川。『戯言を吐く』。
たばごつ:鹿児島。
たごどいってんだねー:戯言を言うんじゃない、この『た』は、強いアクセントをつけるのが普通。
〜だごど 【助】〜だこと 主に女言葉。男は、『〜だなや』
たごはぢ
たごはぢやろ
馬鹿野郎 罵倒言葉。
(たこひき) 刺身包丁 静岡。
『筍刀(たこうながたな):元服の時、理髪に用いた小刀。竹箆(タケベラ)状をなす。たかんながたな。たこうがたな。』由来か。
ませる 【動】手繰り寄せる、服を1箇所にまとめる ましる:宮城。
ませる:埼玉。
まる 【動】@こんがらかる、A着ている衣服等がどこかにひっかかってしわが寄る、弛んで片寄る、ひっかかる、Bずれる 『たまる』。古語の「たぐまる:しわが寄ったりたるんだりしてしわくちゃになる」が訛ったもの。1961年の石原裕次郎の映画『あいつと私』のシーンで縮こまる意味で『たごまる』が使われていた。
@・まる:岩手・宮城・福島・栃木・群馬。
A・まる:宮城・福島・栃木。
める:たわませる:佐渡島。
たごめ 蛸。
りよせる 【動】手繰り寄せる
【動】手繰る :宮城。
たごわん
たこわん
沢庵漬け
たざない
たざねー
【動】立たない、建たない やぐんたざねーやろらだ:役に立たない奴等だ。
たざみ タタミ 『集覧:無記載』。
◎だし 陸から海に吹く風。 広辞苑には『だし:船を海上に出す意味。陸から海に吹く風。主として日本海側で発生する局地風の総称。』とある。
(たじ) 本箱 静岡。
『本立て』が訛って『本立ち』となり約まったか。
だーし 山車
たーし タワシ 当時は藁を何重にも縒って折って作った手製のタワシが主流だった。次第にヤシの実の繊維を使った亀の子タワシが普及する。
日常生活にある材料は何でも使ったからシュロの繊維を使ったタワシも使った。シュロは当時は生活に欠かせない樹木の一つであった。また鍋釜の底にこびりついたものは真竹の筒の先をササラ状に細工したものを使った。
たーし:神奈川・八丈島・山梨。
〜だし
〜たし
【助】@〜だって、〜(し)たって、A〜です、(し)ました 古い言い回し。現代語には訳しにくい。やや古い言葉の〜だす〜たすに当たる。
『し』は、軽い確認の気持ちを表す江戸時代の間投助詞『す』が変化したもの。
八丈島では『ます』の意味で『たす』が使われる。
茨城では伝聞の意味合いがあるのは、『〜しけ・〜ちけ』との混同によると見られる。
やっりんだし:やっぱりそうだろう。
〜だしが、〜たしが:〜だっていうの?。〜(し)たっていうの?。
〜だし、〜たし:〜だっていうが。〜(し)たっていうが。
〜だしげ、〜たしげ:〜だって。〜(し)たって。
〜だしど、〜たしど:〜だってよ。〜(し)たってよ。
〜だしべ、〜だし、〜だしへ、〜たしべ、〜たし、〜たしへ:〜だろう。〜(し)たろう。
〜たし 【助動】状態をしめす助動詞『たり』の変化したもの。 おめやそおたごどゆったしすっからきらーれんだど:お前はそんな事を言ったりするから嫌われるんだぞ。
★『土』:味噌(みそ)でも何(なん)でもさうえ理由(わけ)ぢゃこっちのおとっつあん好(す)きなやうに搗(つ)かせることにしてな、大豆(でえづ)はそれとったしすっから行(や)る積(つもり)にせえなりゃ譯(わけ)ねえ噺(はなし)だな
たしか 【副】おおかた 『集覧:行』。
(だしか) 税金 静岡。
だしがだ
だしかだ
@結婚で嫁や婿を嫁がせる方。A出す方法。 『出し方』の意味。@が茨城らしい言い方。Aは単なる濁音化。『だしがだ』の場合は、『し』が有声音でしっかりと発音される。
だしぎ
だしき
座敷 日本の畳は古くは、板の間に置き敷くものだった。現代のように部屋全体に敷き詰められた畳の形式はさほど古くは無い。
平安時代は座る場所に畳を敷いたのである。畳とはもともと『たたむ』の名詞形であろうから、敷いた畳はたたんで別の場所に収められるものの代名詞だったのだろう。行為が、材料の名称になり、部屋の名称になったと考えられる。
そのことから、納戸に納めた畳を所定の部屋に敷く部屋を『出し敷き』と言ってもおかしくはないから、この方言は、ザ行音がダ行音に変化したとは必ずしも言えないのかもしれない。
だしき:神奈川・山梨・静岡。
〜だしけ
〜たしけ
【助】〜だそうだ、〜(し)たそうだ 〜だしけ:福島。
たしこ たすき 『集覧:久』。
たしき:鹿児島。
たしこ:福島。
たすこ:秋田・宮城。
たすけ:神奈川・鹿児島。
(たしこ) 【副】確かに 鹿児島。
だししー 嫁ぎ側の結婚式 当時の結婚式は嫁・婿側双方で行なわれた。対『もらいしー
だしっこ (お金等を)出し合うこと、割り勘 だしあいこ:飲食会:佐渡島。『出し合い講』の意味という。
だしこ:飲食会:佐渡島。『出し講』の意味という。
だしっこ:山梨。
だしと
だしとー
嫁(婿)を嫁がせる人 『出す人』の意味。対『もらいと』
だしのかぜ
たしのかぜ
沖で吹く西北の風 『集覧:無記載』。広辞苑には『だし:船を海上に出す意味。陸から海に吹く風。主として日本海側で発生する局地風の総称。』とある。
だし:東方または東南へ移動する雲:群馬。
だし
だし
船着場、桟橋 『出し端』の意味。
たじばん 農作業用の上着 『田襦袢』の意味。
たじばん:筒袖の農作業衣:神奈川。
たとーじん:紺木綿の筒袖の農作業衣:神奈川。
(だしばん) 縁台 静岡。
ポルトガル語【banco】、オランダ語【bank】に由来する外来語の『ばんこ』(縁台。床几。腰掛。)があり、現代では方言として残ることから『出しばんこ』の意味か。。
ばんこ:縁台:広島・愛媛・福岡・佐賀・長崎・鹿児島。
ばんこ:踏み台:長崎。腰掛と踏み台を区別して『こしかけばんこ』『たかんばんこ』とも言う。
ばんこや:椅子職人:横浜。
(たじま) 川に突き出した田 静岡。『田島』の意味か。
たしまい 不足を補う金 『足し前』。
たしまい:静岡。
たします
たしまーす
【動】足して増やす 『足し増す』意味。
たしめー 不足を補う金 『足し前』。
たしめー:埼玉。
たちまえ:金・手間:東京。『立前:労働に対する賃銭。給金。また、労働者のその日の生活費。』。
(だしゃ) 羅紗 鹿児島。
だしゃー 【複】出せば 俗語。
このルーツはなかなか特定できない。現代語の『ば』は様々な定義があるが、そのうち、広辞苑に『ば:【形助詞】事物を区別する意の助詞「は」が、「を」または「ときんば」など「ん」の下に来て、連濁を生じたもの。』がある。
現代の俗語の意味は、著名な国語辞典では冷淡である。
何も拗音化傾向の大きな東海方言がもたらしたとは思えない。
だしゃー:静岡。
すりゃー:すれば。
そりゃー:それは。
やりゃー:遣れば。
だじゃぐ 怠惰で弱いこと 『惰弱・懦弱』。
だじゃぐ・だんじゃぐ:秋田。
たーしる @膿み、Aリンパ液 『たは汁』。広辞苑に『腫物などから出るうみ汁。(和訓栞)』とある。
A・たーしる:神奈川・山梨。
(たしろ) 山刀、小刀 青森。アイヌ語でも『タシロ』と言う。小刀を特に『タシ』と言う。
◆●だす 【動】@遣る、Aあげる、B呉れる、呉れてやる 茨城ではかつて『上げる』は使われなかった。
この言葉は、茨城弁の代表語だが、標準語世界で聞くと『隠してある大事なものを取り出してくれてやる』という様なニュアンスで聞こえて、あまり残したくない言葉でもある。
ところが、辞書には『客などに、飲食物や金品を供する。与える。金を支払う。』とあり、やや古い標準語と言える。
方言地図によると『遣る・くれる』意味で『だす』を使うのは、北海道南部、関東圏では茨城県全域と千葉県北部及び福島県の茨城県に接する狭い区域及び秋田県の男鹿半島付近に集中している。ただし茨城県北西部では『遣る』を使う傾向があるようである。
八丈方言でも『殿様んだすと』という言い方がある。敬語が未発達の時代の古い言葉と考えられる。
この言葉は現代では、全国でも茨城だけで使われるものとされているが、土浦市上大津地域では現在でも使われている。
『香取』掲載語。
『米沢言音考』には『だす・でかす・できる・でるの区別無し』とある。
だす:あげる:千葉。
りょごーみやめーのいにだしたが?:旅行の土産は前の家に上げたかい?。
これおめにだすべ:これお前にあげよう。
そーたにだしてほしーのが。はーわがった。いまだす:そんなに、欲しいの?。もう解った。たった今遣ろう。
★『土』:勘次(かんじ)さん、はあおつぎこたあ出しても善かねえけえ:勘次さん、もう『おつぎ』は嫁に出しても良いんじゃないの。
★『土』:ああ、おつ/\少(ちっ)と待(ま)ってゝくろえ、俺(お)れえゝ物(もの)出(だ)すから。
★『土』:そんだっておとっつあは、よき欲(ほ)しいっちから出(だ)して俺(お)れと燒(や)いたんだあ、食(く)へたくなっちゃしゃうあんめえな
(たす) 【動】告げる、知らせる 宮城。
〜だす
〜たす
【複】〜です、(し)ました 現代語の『です』に当たる。濁音形は名詞またはイ音便・撥音便の動詞に付き、清音形は促音形の動詞に付く。現代では大阪弁に残る。
古い言い回し。当時の高齢者でもごく限られた人しか使わなかった言葉。断定の終助詞『だ』または過去を示す助動詞『た』に終助詞『す【候】:サウラフ(候)の略サウのさらに転じたもの。』がついたもの。現代では使われないが、中世には使われた。古い映画で時々耳にする。
『〜であんす・〜でやす・でやんす』の流れか。あるいは、『〜であり候・〜だ候』か。一説に江戸言葉の『〜でやす』が転じたとされる。
〜おす:江戸吉原松葉屋から始まった遊女詞。あります。ございます。
〜だす:です:大阪・兵庫。
〜だす:〜だろう:宮城。
〜だっせ:ですよ:兵庫。『だすえ』。
〜でっせ:ですよ:大阪。『ですえ』。
〜どす:です:京都。元『〜でおす』と見られる。
〜どすえ:ですよ:京都。
〜だすべ・〜だす・〜だすへ・〜たすべ・〜たす・〜たすへ:〜だろう・〜(し)たろう。
〜だすよ・〜たすよ:〜だよ・〜(し)たよ。
〜だす 【複】〜(し)始める 他の動詞について『〜(し)始める』意味になる。現代語ではあまり使われなくなって来ている。
・明け出す:(夜が)明け始める。辞書不掲載。
・聞き出す:聞き始める。
・食い出す・食べ出す:食べ始める。辞書不掲載。
・泣き出す:泣き始める。
・寝出す:寝始める。辞書不掲載。
・見出す:見始める。
・遣り出す:遣り始める。
(だすか) 容積、嵩 静岡。
(たすかってくれ) 【複】助けてくれ 静岡。
これは、明治の静岡方言であるが、現代語が成立する過程を残しているとも思われる。元は『たすけありてくれあれ』か。
日本語の古いルーツは、元品詞の区別が無く、名詞を中心とした言葉に、動詞(助動詞)『ある』がついて、動詞となった歴史が推測される。
たすかれめー 【複】助かるまい 動詞の活用によるものではなく逆行同化による変化と考えられる。さらに訛って『たすかんめー』と言う。
★『土』:俺(お)ら旦那(だんな)に見放(みはな)されちゃ、迚(とって)も助(たす)かれめえ。
だすぎ
だすき
座敷 だすき:埼玉。
たすきとび なわとびの一種、あや跳び
たすく
たすけ
肥料 『集覧:多』。
〜だすけ 【複】@〜だって、A〜だから 『だしけ』
A濁音形は名詞またはイ音便・撥音便の動詞に付き、清音形は促音形の動詞に付く。
この場合の『すけ』は関西方言の『さかい』に通ずる。『け』は過去を表す古語の『き』の流れ。
〜だすけ:福島。
〜だすけ:〜だから:新潟。
〜だっけ:〜だから:新潟。
〜らすけ:〜だから:新潟。
っけ:〜だから:新潟。
〜たすけ 【複】@〜(し)たって、A〜(し)たから
(たすこ) タスキ 宮城。
だすっ
だすべ
だす
【複】@あげよう、Aあげるだろう、B出すだろう 原型は『出すべし』。本来形は『だすべ』
たずろぐ 蝶結びが縦になること
たぜる 【動】戸を閉める、風呂を沸かす、(髭を)生やす、(お茶を)入れる
だだ 駄々、わがままな様 標準語では単独ではあまり使われない。
だだー:神奈川。
だだくせ:秋田。『我侭なくせ』。
なんだそのだだは:なんだいそのわがままな様は。
だだ
だーだ
【複】誰だ 『たにてある』『たれにてある』の流れ。
だだ:青森。
たーた 靴下、足袋 幼児語。もともとは足袋に由来するが、靴下の呼称でもある。
たた:足袋:長野。
たーた:足袋:長野。
たーた:靴下:山梨。
たーたー:足袋:神奈川。
たーだ 【副】ただ、たった、ただし 長音化。
たんだ・たんだー:青森。
たんだでねふてたねはー:ただでなかった・大変でしたね:青森。
たーた 【副】@たった、Aただ @★たーたそったけ:たったそれだけ。
A★たーたやってだんではしゃーんめ:ただやってたんではしょうがないだろう。
だだ
だーだ
【複】駄目だ 古い言い回し。『駄だ』という意味と考えられる。
(だだー) 馬鹿、嘘、途方も無いこと、つまらぬこと 神奈川。
だーだ
だーだー
父親 幼児語。『集覧:新』。『だだ、だだあ』。古くは『たた』とも言い、母親も指したという。現代では長崎津島に『たたさん』、滋賀・香川・兵庫に『たーさん』が残る。山形・福島では拗音化して『ちゃちゃ』と言う。英語の幼児語はDAD。『てて』が訛ったとも考えられるが『まま、まんま』同様、幼児が最初に話す言葉の代表語と思われる。
現代では多く東北に残る。
〜だだ
〜ただ
【助動】断定 この方言は、近世語の『〜(し)たである』に由来すると考えられる。現代語の『〜たのである・〜だのである』に当たるだろう。
過去を示す『たり』に断定を示す『である』がついた言葉が訛ったと見られる。
所在不明の田舎言葉の典型。動詞の終止形または形容詞の終止形等に直接『だ』が付く表現。1958年にに発表された『かあさんの歌』の『せっせと編んだだよ』は誰もが知っている。作詞した窪田聡は東京出身だが、実父が長野に住んでいたので、長野方言を使った可能性があるが定かではない。
土浦ではマイナーな言い方だが僅かに使われた。近年帰省の際も耳にした。
現代標準語の表現を借りれば、『〜(するのの)だ・〜(したの)だ・〜(も)だ。』に置き換えられるから、田舎言葉の表現もまんざらおかしいものではない。
茨城では、動詞を伴う場合、軽い命令や勧誘を表すことが多い。
具体的には『〜だだ』形『〜ただ』形『〜(形容詞・助動詞)だ』形がある。すべで『の』が欠けている表現である。これらの区分は語法が異なるだけで地域別の特徴ではないが、助詞や助動詞の用法によるのか、西の本では特に『〜(形容詞・助動詞)だ』形に偏る傾向が見られる。
この表現は、広域方言で現代で群馬・埼玉・千葉・神奈川・山梨・静岡・愛知・鳥取・徳島等で使われる。勿論茨城にもある。
これに似た言い方に『ちゃ』があるがこれは主に日本海側に分布する。また『じゃ』を使う地域もある。『じゃ』は促音化に伴い『ちゃ』に変化していると考えられる。
これらとは別に『じゃん』の盛んな神奈川には『やんべーじゃー:やろうじゃないか。』があり、『じゃん』の原型と見られる。そのほか『じぇん』という言い方もある。『じゃん』はそのまま関西の『やん』に語法も意味も合致する。
〜じぇー:神奈川。
〜じぇん:神奈川。『じゃないの』『にてあらむ』。
〜じゃ:神奈川。
〜じゃん:神奈川。『じゃないの』『にてあらむ』。
〜じゃんか・〜じゃーんか:神奈川。『じゃないか』『にてかあらめ』。
〜(し)ただ・だだ形/断定:山形・埼玉・神奈川・静岡。
〜(形容詞・助動詞)だ形/断定:千葉・神奈川・山梨・静岡・愛知・鳥取・徳島。
〜だーだい:〜なんですよ、〜だったんですよ:千葉銚子。そーだーだい:そうなんですよ・そうだったんですよ。
やんべーじゃー:やろうじゃないか:神奈川。この場合は終止形に『じゃ』がつく特殊な形。関西の『や』に近い。『遣るべきである。』の意味か。
A★ぜーぶいげーだな:随分大きいね。
だーだー
だーだーだーだー
【副】川や水等が勢い良く流れる様、どうどう だおだお:勢い良く・荒っぽく:青森。
ただいーくれ
ただいーくれー
たーだいーくれ
【複・副】何も考えずにいい加減に
だだいなし 台無し 県北部の方言。=『だでーなし、だってねー』
『大体な・し』の意味か。『大体』は古くは『だたい』とも言った。
他の方言を良く見ると、原型は『【副】転て:(ウタタの転。物事が移り進んでいよいよ甚だしくなってゆくさま。それに対していやだと思いながらあきらめて眺めている意を含む)@ますます甚だしく。A程度が甚だしく進んで普通とちがうさま。異様に。ひどく。B(次に「あり」「侍り」「思ふ」「見ゆ」「言ふ」などの語を伴い、また感嘆文の中に用いて)心に染まない感じを表す。どうしようもない。いやだ。情け無い。あいにくだ。C(「あな―」「―やな」などの形で、軽く詠嘆的に) いやだ。これはしたり。』(広辞苑)と考えられる。
だだづ:不始末:山形。
だってー:千葉。
ただぎ
△▽たたき
ハタキ 『集覧:新』。
たたき:茨城・埼玉。
ちりうち:岩手・大分。
ただぎ
□△たたき
塩辛 『集覧:多』。清音形は江戸末期の大阪言葉でもある。
たたき:宮城・茨城。
ただぎ 玄関や土間等で叩いて突き固めたところ 清音形の『叩き』は建築用語。
たたき:神奈川。
ただぎおぢる 【動】勢い良く落ちる たたきおちる:福島。
ただぎおづる:宮城。
ただぎだいぐ 腕前のわるい大工。たたき。 『敲き大工』。
ただぎつかる 【動】叩き付けられる、勢い良く倒れる、勢い良くぶつかる 『叩きつける』の自動詞形。古い言い回し。
ただぎつける 【動】叩きつける
ただぐ 【動】@(憎まれ口を)叩く、A殴る @・たたく:東京・山梨。
A・ただぐ:山形。
ただ 無駄 この『ぐさ』は、『言い草(種)』の『ぐさ』と同じ。
ただぐりーる
ただくりけーる
【動】叩き付けられる、勢い良く倒れる、ひっくり返る は濁音・鼻濁音。
だだげる 【動】駄々を捏ねる 古い標準語の『駄駄ける』の濁音化。
だだこねる 【動】駄々を捏ねる 短縮化。
(たーたーしー) 【形】たいそうらしい 静岡。
ただだねー 【複】@ただ事ではない、容易ではない、Aただではない @『ただ事ではない』の短縮形と思われる。のちに『ただどだねー』に変わる。
ただでね:青森。
ただぢに 【副】直ちに たっちき・たっつき・たっつけ:鹿児島。
ただっこ ただ、無料 『只、徒』。
だだっこ
だだっ
@甘えてわがままをいう子、Aわがまま 『駄駄っ児』。
ただっころ 【動】勢い良く転がす たたっころ:群馬。
ただっころ
ただっころ
【動】勢い良く転がる たたっころ:群馬。
ただっころす 【動】叩き殺す たたっころす:群馬。
ただっころぶ 【動】勢い良く転ぶ ただっころぶ:福島。
たたっころぶ:群馬。
ただっこわす 【動】叩き壊す たたっこわす:群馬。
ただっだらぎ ただ働き ただったらき:群馬。
だだではいがねー 【複】ただは良く無い、ただでは済まない
だだではいねー
ただではいねー
【複】ただでは行けない、何も持たずには行けない 『が』は濁音・鼻濁音。
だだっ
だだっろー
【形動】ひどく広い様
だだっびろい
だだっろい
だだっびれー
だだっれー
【形】ひどく広い、広すぎる 『徒広い』。
だだっれー:群馬・神奈川。
だだっろい:福島。
だだびろい
だだろい
【形】ひどく広い、広すぎる 『徒広い』。=『だだっぴろい』。『集覧:猿』。
だだぶり
だーだーぶり
雨が勢い良く降ること
ただまね
ただのまね
つまらないまね ex。たーだまねする:ただ真似する。
ただみ たたん:鹿児島。
たたんし:畳師:鹿児島。
ただみかげる 【動】物事をつづけざまにする。相手に余裕を与えずに行う。 『畳み掛ける』。
たたみこむ:東京。『畳み込む』。
(たたみことば) この言い方は辞書には無く専門家の間では『畳語(じょうご)』と呼ばれる。
多くアジア・東南アジア諸国の言葉に使われ、南洋諸島の言葉にも見られる。日本語の起源が南洋諸島の言葉ににあるという根強い説の根拠になっていると見られる。
西欧諸国では使われないとされるが一部の根源的な言葉、例えば『パパ・ママ』で使われる。
ただし、どうやら『パパ・ママ』は幼児語を起源にしている可能性があり、日本でも似た方言がある。
日本を含めたアジアの畳語は、一般に二音を二度繰り返す。さらに日本では倍の表現をして4度繰り返す言い方がある。
日本の方言の中では、この畳語表現の特殊な地域がある。
@まず、茨城方言では、畳語が促音化するのが多いのだが、一回目は促音化し二回目は促音化しないことが多い。
かっちかち:かちかち。
べったべた:べたべた。
よっくよく:よくよく。
A特に九州方言では、3回繰り返す。
だーだーだー:逃げる様:佐賀。
ただみごむ 【動】たたんで中に入れる 『畳み込む』。
ただむ 【動】畳む
(だだむだ・ただむだかー) 【形動】滅茶苦茶 神奈川。
だだむだ:無駄が多い様:東京多摩。
ただめる 【動】重ねる、戸を閉める
だだもれ ひどく漏れる様 この『だだ』は『だだっぴろい』と同じ『むやみに』の意味の接頭語か。
ただり 祟り たたい:鹿児島。
ただれね
ただんね
【複】立てない 『立たれない』。
(たたんぼー) 果実に残っている萼(ガク)。 静岡。『蔕』。
たぢ 性質 『質』(たち)の濁音化。
たづ:宮城。
たて:静岡。
たてー:静岡。
たぢあー 【動】立ち会う たっちょ:鹿児島。
たっちょっ:立っている:鹿児島。
たぢあめ どしゃ降りの雨 広辞苑には『一説に、天から降ることをタツといい、雷神が斎場に降臨することとする。』とある。
◎たぢいだ 裁ち物をする時に台として用いる板。たちものいた。 『裁ち板』。
(たちうす) 餅などをつく臼 『立臼』。『磨臼』の対語。
たちうす:神奈川。
たぢ
たち
草刈鎌の1種 『立ち鎌』の意味。『断ち鎌』ではないと思われる。=『がりがりま・ものま』。柄が長い。
たぢ 鍬の一種。柄が長い。 『立ち鍬』の意味。
たぢ 入道雲 『立ち雲』の意味。
△▽たちらみ
たぢくらみ
たぢっくらみ
立ち眩み 茨城弁では、連語に伴う濁音化は自由度が高い。標準語では、言葉によって使い分けているようである。発音上のルールは良く解らない。
たちらみ:富山・岐阜・広島・山口・愛媛。
〜だちき
〜たちき
〜だちけ
〜たちけ
〜だっちき
〜たっちき
〜だっちけ
〜たっちけ
【助】〜だそうだ、〜(し)たそうだ 『だしけ』
濁音形は名詞またはイ音便・撥音便の動詞に付き、清音形は促音形の動詞に付く。
〜だつけ:宮城。
〜だちけが・〜たちけが:〜だそうだって?。
〜だちけ・〜たちけ:〜だそうだが。
〜だちけがら・〜たちけがら:〜だそうだから。
〜だちけど・〜たちけど:〜だそうだよ。
〜だちけな・〜たちけな:〜だそうだな。
〜だちけべ:〜だそうだろう。
〜だちけよ・〜たちけよ:〜だそうだよ。
★『土』それ今日は早くから来てたんだっちきや:それが今日は早くから来ているんだそうだよ。
たぢ 逆子 『立ち子』の意味。新治郡の方言。
たちっこ:神奈川。
たちこいでる 【複】優れている 『質が肥えている』意味。『目が肥える』『口が肥える』等と同じ言い方。
たぢし 立ち仕事
たぢしょんべ
たぢしょんべん
立小便 男は当然立ち小便をしたが、当時の高齢のお婆さんの中には平気で家の庭で立小便をする人がいた。腰巻を捲って器用に用足しをしていた。神奈川にある川崎民家園には、庭の一角に板が敷かれ四角い穴が開いているトイレがある。江戸時代には、農家に限らず男女共立小便をしたことが記録されている。
たぢちゃ 出かける前のお茶 『発ち茶』。
(たーちじらー) 裏表のある人 沖縄。
たちっこ 逆子 『立ち子』の意味。
たちっこ:神奈川。
たぢっなし 立ちっ放し
たぢな
たでな
たてな
【動】放り投げる、捨てる、無駄にする 『断ち投げる』意味。
★『土』それじゃ稼(かせ)えだ銭(ぜね)それだけ立投(たてな)にしっちゃったな:それじゃあ、稼いだ金はそれだけ無駄にしちゃったな。
たぢばなし 立ち話
たぢび
◎たちび
命日 『立ち日』。
たちび:福島・神奈川。
たづび:宮城。
たちぶ カラタチ 『集覧:多』。
たぢぶるまい
たぢふるまい
たぢぶるめー
@所作、A送別会、嫁が実家を出発するときの宴 『立振舞』。『たちぶるまい・たちふるまい』なら標準語。
A・たちぶるまい:神奈川。
たちぶるめー:神奈川。
B・たちぶるまい:旅立の際にする饗応:佐渡島。
たぢまぢ
たーぢまぢ
【副】たちまち 濁音化・長音化。
(たちゅん) 【動】立つ 沖縄。
たぢわりー
たーぢわりー
【形】性格が悪い、情況が悪い たちんわりー:山梨。
だぢん
だぢんこ
駄賃、小遣い 『だちん』ならば標準語だが死語。もともとは『駄荷の運賃。また、品物を送り届けた賃銭。運び賃。』の意味。
だぢんこ:青森。
だづん:宮城。
(だぢんかぐ) 【複】小遣いを上げる 福島。
広辞苑に『加供:仏にそなえものをしたり、僧に布施したりして供養を行うこと。』がある。
だぢんつけ
だちんつけ
だちんとり
料金をとって馬の背でものを運ぶ運送人 だぢんつけ:青森。
だちんつけ:青森。
たづ
たつ
人の性質・体質。 『質』。東北系の訛り。
たづ
たつ
【動】(大小便を)垂れる 終止形の『たづ』が使われるのは滅多にない。もともとは『垂る』だろう。活用形を思い浮かべても空白ができてしまう。殆ど連用形(たった、たっちゃ、たって、たっち、たっちぇ)か仮定形(たったら、たっちゃら)だった。
『たつ』は体外に出して裁つ意味とも思われ他動詞形に近く、『垂る』は自動詞形を思わせる。
あるいは、単に『垂る』の方言的な他動詞方言とも見られる。
ちなみに広辞苑には『垂る』『垂れる』『垂らす』があるが『垂る』は現代では使われない。。
たづ 【動】沸騰する、風呂が沸く 『立つ』。
たづ:山形。
ふろたったどー:風呂が沸いたよ。
だつ
だっこ
ウナギの稚魚 『集覧:無記載』。
広辞苑に『駄津:ダツ科の海産の硬骨魚。体長約一メートル。体は細長くて側扁し、両顎は突出して嘴となり、鋭い歯がある。体の上方は濃緑色、下方は銀色。わが国の近海に産し、食用。灘ざより。啄長魚。』とある。古くは細長いダツの子として考えられていた可能性がある。
だづ:千葉。
たーづ 二つ たーち:沖縄。
たっ! 【感】ちぇっ! 無母音で発音されることも多い。
たっか @踏み抜き、A竹の切り株 『集覧:久』。福島・新潟では『たっこ』と言う。『竹株』『断ち株』『断ち処』のうち『断ち処』の意味の可能性が高い。福島・新潟では切り株を『たっこ』と言う。
だっか 【代】誰か
だっかさる 【動】抱っこされる
たつかぜ つむじ風 広辞苑には『一説に、天から降ることをタツといい、雷神が斎場に降臨することとする。』とある。
たっかたっか 【副】とことこ
たっかぶ 竹の切り株
たっかふむ 【動】踏み抜きする、竹の切り株を踏む 『集覧:久』。
〜たっから 【複】〜(し)てあるから 『〜てあっから』がさらに訛ったもの。
〜だっき
〜たっき
〜だっきや
〜たっきや
〜だっきわ
〜たっきわ
【助動】〜だった、〜だっけ 『き』は古語。『でありき・たりき』。清濁の使い分けは標準語と同じ。
〜だっき:静岡。
だっくり 【形動】ぐったりと疲れた様 倒語?。
たつくり 田の耕作、または耕作する人 標準語では一般に『たづくり』と言う。しかし江戸時代には、農夫を『たつくり』と呼んだと言われる。
〜だっくれ
〜(し)たっくれ
〜だっくれば
〜(し)たっくれば
〜だっけれ
〜(し)たっけれ
〜だっければ
〜(し)たっければ
【複】〜なら、〜ならば、〜したなら、〜したならば 古語『〜たりければ』の流れ。
ほーたにかれーもんくったっくれけづめどぶんぬげっちまーど:そんなに辛いものを食べたら尻に穴が開いちゃうぞ。
(たっくゎいん) 【動】くっ付く 沖縄。
〜だつけ 【助】〜だって、〜らしい 『〜だしけ』『〜だちけ』
〜だっけ
〜たっけ
【複】〜だったが、〜(し)たが 濁音形は名詞またはイ音便・撥音便の動詞に付き、清音形は促音形の動詞に付く。『〜たりけりが』。
あさだはゆぎだっけあめになっちった:朝方は雪だったが雨になってしまった。
あんとぎゃそーゆったっけかーったんだよ:あの時はそう言ったが気が変わったんだよ。
★『土』おつう、四五日見ねえで居たっけ塒(とや)にも幾らか有ったっけべ:おつう、四五日見ないでいたが、鳥小屋にも(卵が)幾らかあっただろう。
〜だっけは
〜だっけや
【複】〜だけは 〜だっけゃ:青森。
〜だっけや
〜だっけわ
【助動】〜だ、〜だっけ
(たつける) 【動】助ける 神奈川。
たっこ
たっこたっこ
たっこたっこむし
たっこっこ
たっこむし
たったっこ
たーべしこっこ
アリジゴク 『田子』。田植えは後ろに進むことに由来するもの。
だっこっき 脱穀機 木製のドラムに太いループ状の針金がついていて、古くは足踏み(足踏み式脱穀機:がーこん)だったが、電動モーターに変わって間も無く全自動の電動脱穀機に変わった。
だっこさる 【動】抱かれる
たっさい 無駄口、でたらめ、嘘つき 『達才』(広く物事に通じた才。また、その才の持主。)に由来するのは明らか。
たっしゃ @達人、A体の丈夫なこと 『達者』。
広辞苑には『@物事に熟達していること。また、その者。達人。A物事をするのに早くて上手なこと。Bぬけ目のないこと。したたか者。Cからだの丈夫なこと。壮健。D歩くことにすぐれていること。健歩。』とある。
当時は日常的に使われたが、今では『芸達者』『口達者』等の複合語しか使われない。
A・たっしゃ:群馬。
Bその他。
たっしゃ:子供を生むこと:静岡。
たっしゃになる
たっしゃんなる
【複】出産を終えて元気になる 『じょーぶになる』
『民俗』によると北茨城市のみの方言とされるが、もっと広域に使われていると思われる。
たっしゃ:子供を生むこと:静岡。
だった 『集覧:久』。
だった 父親 だーだ、だーだー』『だだ、だだあ』。古くは『たた』とも言い、一見英語の影響とも思われかねない方言だが、「たた」は、鎌倉時代の文献にある言葉で、これはその流れ。新治郡・石岡市・鹿島郡に残る。
たった 幼児が立つこと 『たっち』。幼児語。
たった 足袋 幼児語。
だっだ
だった
だっじゃ
【複】誰だ? だった:千葉銚子。
だったった:誰だった?。
たった 【複】@足りた、A(大小便を)した Aは『垂れた』の促音化。
■▲たった 【副】僅か 『集覧:猿』。茨城弁では異なった語法で使われることがある。
たんだ:石川。
たったしかねー:少ししかない。
〜だった
〜たった
【助】@〜ちゃった、A〜(し)たものだ、〜(し)たのだ 30年代前半の言葉。=『〜ちった』
濁音形は名詞またはイ音便・撥音便の動詞に付き、清音形は促音形の動詞に付く。
現代語の『〜ちゃった』とは、語形からは『であるのである』『たのである』に近く、『〜(し)てやりにてある』が訛ったと考えられ、『為て遣る』(してやる)とは、もともと『騙して成し遂げる』の意味だった。騙す意味が薄れ、成し遂げる意味の『為て遣る』(してやる)『〜しちゃう』に変化したとしても不思議は無い。
やったった:やっちゃった。
いったった:行っちゃった。
A〜(し)たものだ。〜(し)たのだ。
『〜だだ、〜ただ』の促音化した方言。
〜たった:〜た:富山・八丈島。
〜だっちゃ・〜たっちゃ:〜だよ・〜たよ:宮城。
たったが
たったか
【副】さっさと、とっとと 『たった』は、『ひたすら、いちずに』の意味。『たったといきやがれいー』とは時代劇で聞かれる言葉。
たったがたったが
たったかたったか
【副】さっさと、とっとと 早く歩いたり、仕事をさっさと仕上げる場合に使う。=『ちゃっちゃがちゃっちゃが』
たったがみだが
たったかみたかに
たったがみだがのうぢに
【副】直ぐに、あっという間に 語源は良く解らないが、語呂合わせの可能性もある。『たったか』とする様を『立ったか見たか』『発つ鷹三鷹』?。
だった
だった
だったくつ
長靴 だったん【韃靼】:@モンゴル系の一部族タタール(塔塔児)の称。のちモンゴル民族全体の呼称。明代には北方に逃れた元朝の遺裔に対する明人の呼び名。また、南ロシア一帯に居住したトルコ人も、もとモンゴルの治下にあった関係から、その中に含めることもある。』由来か。
たったぐなる 【副】(大小便を)したくなる ★『土』:小便垂ったく成つたからよ
たったたぢまぢ 【副】あっという間に 『立ったらたちまち』の意味か?。
たったたった 【副】さっさと
〜だったって
〜たったって
【複】〜(し)たって、〜だって 動詞の連用形に付き、逆接条件を表す。濁音形は名詞またはイ音便・撥音便の動詞に付き、清音形は促音形の動詞に付く。
標準語では『だとて』『たとて』が転じて『だって』『たって』に変化したとされるが、茨城方言は、『にてありたれとて』の流れと思われる。『〜てったって』。元江戸言葉『〜てーたって』。
〜たったって:〜(しろ)と言われたって:群馬。
たったど @【複】立ったよ、(大小便を)したよ、A【副】さっさと、たったと Aは古い標準語の濁音化。
〜だったど 【複】〜だったぞ、〜だったよ
だっちも
だっぢぇも
だっちぇも
【複】誰でも だっちぇも:誰も:福島。
〜だっち〜
〜だっちー〜
〜(し)たっち〜
〜(し)たっちー〜
【助】〜だという〜、〜(し)たという〜 濁音形は名詞またはイ音便・撥音便の動詞に付き、清音形は促音形の動詞に付く。
標準口語では『〜だって』『〜だってー』に当たる。以下『だ』は『た』の場合もある。『〜だと言へり』の意味。
〜だっちーが・〜だっちが:〜だそうだって?。
〜だっちー、〜だっちが:〜だそうだが。
〜だっちーげ・〜だっちげ・〜だっちけ:〜だそうだ。
〜だっちど・〜だっちーど:〜だそうだよ。
〜だっちーな・〜だっちな:〜だそうだな。〜だっちねーが:〜だそうだ(直訳:〜だというではないか)。
〜だっちねーの:〜だそうだね(直訳:〜だというじゃないの)。
〜だっちーの・〜だっちの:〜だと言っているの。
〜だっちのが:〜だち言うのか?。
〜だっちのに:〜だと言ってるのに。
〜だっちーべ・〜だっちべ:〜だそうだろう。
〜だっちーよ・〜だっちよ:〜だそうだよ。
〜だっちんで:〜だと言うので。
〜だっちぇ 【助】〜だって
だっちが 【複】誰か
〜だっちが
〜たっちが
【複】〜だって?、〜(し)たって? 濁音形は名詞またはイ音便・撥音便の動詞に付き、清音形は促音形の動詞に付く。
『〜だってえかい、〜(し)たってえかい』。『〜だと言へりか』の意味。
(しょんべん)たっちく
(しょんべん)たっちくる
【複】(小便)して来る 『たっち』は『垂りて』の転。古語の流れ。命令の場合は『(しょんべん)たっちこ
たっちくる:してくる:福島。
だっぢゃ
だっちゃ
【複】誰だ 『誰』の古形は『た』である。
たっちゃ 【複】@足りた、A(大小便を)した いずれも古語の流れの言葉。
@『足りてあり・足りたり』の転。
Aは『垂りてあり・垂りたり』の転。
じーぶんたっちゃ:十分足りた。
しょんべんたっちゃが?:小便したかい?。
〜だっちゃ
〜(し)たっちゃ
【助】〜だとは、〜とは 『〜であるというは』が訛ったもの。
濁音形は名詞またはイ音便・撥音便の動詞に付き、清音形は促音形の動詞に付く。
んだっちゃなんだ:そうだとは何だ。
そーたっちゃあんめ:それはないだろう(それってないだろう・そんなことってないだろう)。
〜だっちゃ
〜たっちゃ
【助】〜だ、〜なのだ 北茨城市・東茨城郡・旧新治郡の方言。
名詞(形容動詞)及び動詞に付くので断定の助動詞と見られる。促音化した動詞には『〜たっちゃ』が続く。
一般には、宮城県の方言と思われている表現。『だ』に古い助動詞の『じゃ』がついたものが転じたのだろう。『〜だだ』と同じルーツの言葉。
『〜だでっる・〜たである』の意味の『〜にてありたり』が訛ったと考えられる。
〜だっちゃ:宮城。
そーだっちゃ:そうだ。
だっちゃがねー
だっちゃねー
【複】拉致が開かない、どうしようもない 極端に訛った言葉。『ら』が各地で『だ』に変化するのは興味深い。
『埒も無い』(順序が立たない。乱雑である。つまらない。もとは「らっしもない」。)。
だちあかん:静岡。
だちかん:駄目な様:新潟・石川・岐阜・愛知。拉致が開かない。
だちもない:埒も無い:静岡。
だちゃかん:駄目な様:石川。拉致が開かない。
だっしもない:乱雑な様:岐阜。埒も無い。
だっしもない:つまらない:和歌山。埒も無い。
だっしもない:だらしない:大分。埒も無い。
だっちゃーねー:山梨。埒も無い。
だっちゃん:駄目な様:石川。拉致が開かない。
だっちもない:長野。埒も無い。
だっちもねー:山梨。埒も無い。
だっちょもねー:長野。埒も無い。
〜だっちゃねー
〜(し)たっちゃねー
【助】〜だとはとんでもない、〜(し)たとはとんでもない 濁音形は名詞またはイ音便・撥音便の動詞に付き、清音形は促音形の動詞に付く。
(だっちゃん) 大事なもの。大事にしているもの。 東京。『第一番』の意味の『だいいっちゃん』がさらに訛ったのだろう。
〜だっちゅ〜
〜だっちゅー〜
〜(し)たっちゅ〜
〜(し)たっちゅー〜
【助】〜だと言う〜、〜(し)たと言う〜 濁音形は名詞またはイ音便・撥音便の動詞に付き、清音形は促音形の動詞に付く。
〜だっちゅ・〜だっちゅー:〜だそうだが。〜だそうだって?。
〜だっちゅげ・〜だっちゅーげ:〜だそうだ。
〜だっちゅど・〜だっちゅーど:〜だそうだよ。
〜だっちゅな・〜だっちゅーな:〜だそうだな。
〜だっちゅの・〜だっちゅーの:〜だと言ってるの。
〜だっちゅべ・〜だっちゅーべ:〜だという話だろう。
〜だっちゅよ・〜だっちゅーよ:〜だそうだよ。
〜だっちゅんで・だっちゅーんで:〜だと言ってるので。
〜だっちゅんでー・だっちゅーんでー:〜だと言ってるんの?。
だっちょ 脱腸、ヘルニア 当時は男性の陰嚢に小腸がはみでる病気が結構多かった。広辞苑には『脱腸:腹壁の裂隙を通じて小腸・大腸またはその他の内臓が腹膜に包まれたまま脱出するもの。ヘルニア。』とある。
だっちょ:宮城・埼玉。
(だっちょー) 【動】搗ち合う、ぶつかる 静岡。『搗ち合う』が訛ったと見られる。
〜だっつ〜
〜だっつう〜
〜(し)たっつ〜
〜(し)たっつう〜
【助】〜だと言う〜、〜(し)たと言う〜 濁音形は名詞またはイ音便・撥音便の動詞に付き、清音形は促音形の動詞に付く。
〜だっつが・〜だっつーが:〜だそうだが。〜だそうだって?。
〜だっつげ・〜だっつーげ:〜だそうだ。
〜だっつど・〜だっつーど:〜だそうだよ。
〜だっつな・〜だっつーな:〜だそうだな。
〜だっつの・〜だっつーの:〜だと言ってるの。
〜だっつべ・〜だっつーべ:〜だそうだろう。
〜だっつよ・〜だっつーよ:〜だそうだよ。
〜だっつんで・〜だっつーんで:〜だと言うので。
〜だっつんでー・〜だっつーんでー:〜だと言うの?。
(〜だっつ) 【複】〜であった 静岡。『でありつ』。
(〜たっつ) 【複】〜(し)てあった、〜(し)ちゃった 静岡。『にてありつ・てありつ』。
たっつぁい
たっつぃ
@無駄口、でたらめ、嘘つき、A昔話に出てくる人物。嘘つきの名人。 『達才』の転か。徳島ではつまらないことを『たっすい』と言う。
@は『たっつぁいらぐ』とも言う。
だってねー 台無し 北茨城市。
だってー:千葉。
〜(するっ)たって 【複】〜と言ったって 促音化した動詞に付く。『つったって』『てったって』が訛ったもの。
〜(し)たっても 【複】〜(し)たって 動詞に付く。当時の茨城県では良く使われた言葉。方言と思い勝ちだが、どうやら今や口語として使われている。普通は『しなくても』『しなくとも』『しなくったって』と表現する。『〜たって』にはすでに『も』の意味が含まれているように思えてならない。
そーたごどゆったってもわがんね:そんなこと言ったって解んない。
〜だっても 【複】〜だって 大辞林に掲載されている。『〔係助詞「だって」に係助詞「も」の付いたもの〕体言またはそれに助詞の付いたもの、副詞などに接続する。@特別と思われる場合を取り立てて示し、他も同様であることを言外に言い表す場合に用いられる。「小さくたためば、ポケットに―入るよ」「日曜日―七時には起きる」A不定称の代名詞に付いて、下の語と呼応し、全面的な肯定を表す。「どこに―あるさ」「なん―できます」B不定称の代名詞または数量の最少単位を表す語に付いて、打ち消しの語と呼応して全面的否定を表す。「だれ―知らない」「彼はいつ―うちにいない」「一日―休んだことはありません」「一度―顔を出さない」』とある。
だれだってもでぎねー:誰も出来ない。
〜だってや 【複】〜だって 係助詞『だって』に係助詞『や』の付いたもの。
たっと
たっとー
【副】さっと、すぐに 『集覧:久』。
たっとー 間に合わせ 『ざっと』が転じたと思われる。
だっと 【副】ざっと
たっとぎのま
たっとぎま
【副】あっという間 『発つ時の間』の意味か。
(だっとさん) 当時のトラックの代表の商標。トラック=ダットサンであった。30年代前半に見かける車は冠婚葬祭に使ったハイヤーしかない時代だった。現代のトヨタは『とよだ』と呼ばれていた。
(たつのぼせ) 谷に一度下がり、また上がること、上り下り 神奈川。
(だっ ラッパ、喇叭 静岡。
◎たっ 人の背や建物の高さのこと 『立端・建端』。一般には死語だが建築業界では今でも使われている。
たっ:群馬。
たっぱがたがい:高さが高い。
たっ
たっ
短気 『集覧:新』。たっら』『たんばら』がさらに訛ったもの。また『たっは『短兵急』の流れだろう。
たっ @霜柱、A凍った場所・路面、Bツララ 『集覧:猿』。
『たっ。『立ち氷』の意味と思われる。
たづびがり
たつびかり
稲妻 『立つ光』の意味だろう。広辞苑には『一説に、天から降ることをタツといい、雷神が斎場に降臨することとする。』とある。
(たっらこく) 【連用】ひれ伏して 宮城。
たっ
たっ
田んぼの縁
たっ 【副】たっぷり だっ:宮城。
だっ 【形動】十分でゆとりのあるさま
たっんたっ 【副】飲み物を飲みすぎて胃の中で音がしている様子
たっ @霜柱、A凍った場所・路面、Bツララ 広辞苑に『立ち氷:下から立った氷。氷柱。』とある。
@『立ち氷』の意味と思われる。広辞苑掲載語。土浦では『おりき、おりけ』の方がメジャー。『集覧:猿』。古河市では、『たっぺがた』と言う。
たちーり:静岡・愛知・山口。
たっ:茨城・千葉・栃木・埼玉・群馬・東京多摩・神奈川。
A・たっ:宮城・福島。
たっ:雪すべり:宮城。
たっすべり:スケート・雪すべり:宮城・福島。
B・たっ:栃木・埼玉・千葉。『立ち氷』の意味と思われる。
たろっ:宮城。
たろひ:宮城。『たるひ』。
たっ
たっ
@でまかせ、でまかせを言う人、A▲出るに任せること、出放題の人、Bいきなりの様、大至急 『たー
@A『集覧:新』。『集覧』では『出放題』の意味。『出放題』には『@口にまかせて、勝手なことをいうこと。でまかせ。A出るままにすること。出るばかり。』の意味がある。 北茨城市・東茨城郡ではしっぺ返しを『たっぺげーし』と言う。
B稲敷郡では『大至急』の意味。
『短兵』とは、『刀剣の類、普通の槍を長兵というのに対して手槍のこと』とある。『短兵急に』『短兵直ちに』は、『にわかに。やにわに。』の意味。
だっべ
だっべー
だっ
だっ
だっへ
だっへー
【複】だろう、でしょう 長音形は強調形。
〜だっべ
〜だっべー
〜だっ
〜だっ
〜だっへ
〜だっへー
〜(し)たべ
〜(し)たっべー
〜(し)たっ
〜(し)たっ
〜(し)たっへ
〜(し)たっへー
【助】〜だろう、〜(し)たろう 促音を伴わない言い方もある。
促音を伴う言い方は、古語の『つべし:(完了の助動詞ツに推量の助動詞ベシが接続したもの)@多分に可能性のある意を表す。たしかに…しそうだ。…てしまいそうだ。土佐「腹鼓を打ちて海をさへ驚かして浪立てつべし」A可能性のあることを予想する意を表す。きっと…てしまえるだろう。…できそうだ。土佐「よみつべくは、はやいへかし」B当然の意を確認して強める。…にちがいない。きっと…のはずだ。源帚木「仏もなかなか心ぎたなしと見給ひつべし」C妥当の意を確認して強める。…するとよい。源帚木「臨時のもてあそび物のその物と跡も定まらぬは、そばつきざればみたるもげにかうもしつべかりけりと」D強い意志のある意を表す。…てしまおう。源若紫「かの入道の遺言破りつべき心はあらむかし」』に由来する。
濁音形は名詞またはイ音便・撥音便の動詞に付き、清音形は促音形の動詞に付く。
長音形は強調形。関東圏では『べい・べえ』(可い・可え)が使われる。
『べ』が原型だが次第にに変わる。『へ』は県南部の一部で使われる。
茨城弁の基本中の基本となる助詞。推測と確認依頼が主な用途。単独でも使う。長音化する場合は多く強調表現になる。基本的には名詞や代名詞につく。動詞や形容詞につく場合は、『の』が転じた『ん』を挟んで用いる。
類似表現を含めて解説すると以下のようになる。
『〜だんべ』はかなり古い言い回し、東国特有の古い言い方と考えられる、埼玉や群馬でも聞かれる。特に『〜だんべ』は当時の高齢者言葉。さらに、『〜であすべえ・〜でやんすべえ・〜だすべえ』が原型だった可能性もある。すなわち、『〜であり候べし』の意味である。
さらに終助詞・係助詞の『が・がー・か・かー・げ・げー・け・けー・ど・どー・な・・なー・ね・ねー・や・やー・よ・よー』が付くことがある。
〜だっ:福島。
なんだんべ:何だろう。
・代表語の『〜だべ』『〜だっべ』『〜だっ』『〜だへ、〜だっへ』は前後の音韻によって特に使い分けられることがある。
なんだべ・なんだっべ・なんだっ:何だろう。いぐんだっ:行くんだろう。
『〜だべ』は東北全域や栃木、神奈川や千葉の一部でも使われる広域の訛、やや古い言い回しで使う人は限られる、女性はあまり使わない。
『〜だっべ』『〜だっの前身の訛と考えられる、茨城以外ではあまり聞かない。
『〜だっは最も一般的な言い回しで男女共用いる、茨城弁を象徴する訛であり『〜だっ=茨城弁と世間では見られているが、実際は、福島・栃木・千葉の一部でも使われる。ただし千葉では『やるっという表現があるが茨城ではそうは言わない。『だ』『だー』と言うこともある。微妙に語法が異なるのは面白い。千葉で若い頃6年を過ごした時。『あんしとだったらやるっーよう』『あんではおいねえよう』『あじにもおいねーよー』『あそこにいったっからねー』等を耳にした。同じ『ぺ』でも語法が異なる。
『〜だへ、〜だっへ』は茨城以外ではあまり聞かない訛。どこか抜けたような言い方だが、『〜だっに次いで使われる。
〜だべが・〜だっが・〜たへが・〜だっへが:〜だろうか・〜でしょうか。
〜だべがら・〜だっがら・〜たへがら・〜だっへがら:〜だろうから・〜でしょうから。
〜だべげ・〜だっげ・〜だへげ・〜だっへげ:〜だったろう・〜だったでしょう。
〜だべど・〜だっど・〜だへど・〜だっへど:〜だそうだぞ・〜でしょうと。
〜だべな・〜だっな・〜だへな・〜だっへな:〜だろうな・〜でしょうな。
〜だべね・〜だっね・〜だへね・〜だっへね:〜だろうね・〜でしょうね。
〜だべよ・〜だっよ・〜だへよ・〜だっへよ:〜だろうよ・〜でしょうよ。
以下基本形以外の特殊表現(〜だっを中心に)
〜だっがっちど・だっがっちーど・だっがっちゅーど・:〜だろうと思うと。
〜だっげがら:〜だろうから。
〜だっげど:〜だろうけれど。
〜だっなんちごだねー:〜だろうなんて言うことは無い。
たっぺが 霜柱 古河市。『短兵型』の意味か。
『短兵』とは、『刀剣の類、普通の槍を長兵というのに対して手槍のこと』とある。
たっきゅーに
たっきーに
【副】にわかに、やにわに、だしぬけに 『短兵急』(たんぺいきゅう)。
たっーきらす 【複】出放題、でまかせを言う 『集覧:新』。『短兵』とは、『刀剣の類、普通の槍を長兵というのに対して手槍のこと』とある。
たっぺぐ
たっ
たっぺぐ
@絵空事、戯言、でまかせ、A差し出口、▲出放題 @=『たっー』
A『集覧:無記載』。『短兵口』の意味だろう。『短兵』とは、『刀剣の類。普通の槍を長兵というのに対して手槍のこと』とある。
〜だっ
〜たっ
【複】@〜だっけ?、〜だろう、A〜(し)たっけ?、〜(し)たろう 『だ・た』の区分の語法は標準語に同じ。=『〜だっけべ、〜たっけべ』
@★あっちさとんだっ:あっちに飛んだろう。
A★はやぐぢでゆったっけべや:早口で言っただろうよ。
たっぺげーし しっぺがえし 県北部。
たっ 田の縁 たっ:千葉。
〜だっちか
〜だちか
〜(し)たっちか
〜(し)たちか
【複・助】〜だろうか、〜(し)たろうか 『〜であるべしか、〜(し)たるべしか』の意味。
濁音形は名詞またはイ音便・撥音便の動詞に付き、清音形は促音形の動詞に付く。
〜だっちけ
〜だっちっけ
〜たっちけ
〜たっちっけ
【複・助】〜だろうということだ、〜(し)ただろういうことだ 標準語には適当な言葉が見つからない。
濁音形は名詞またはイ音便・撥音便の動詞に付き、清音形は促音形の動詞に付く。
もともとは『〜であるべしかや、〜(し)たるべしかや』の意味だが意味が転じている。。
『だっ・たっ『ちけ・ちっけ』がついたもの。
究極の茨城弁と言えそうな言い回し。
あいざーとーどよめにいがながったっちけど:あいつは全く嫁に行かなかったろうと言うことだよ。
★『土』五合も飲んだんだっっちけな:五合も飲んだだろうと言うことだ。
〜だっべよ
〜だっ
〜だっへよ
〜(し)たっべよ
〜(し)たっ
〜(し)たっへよ
【助】〜だろう、〜(し)たろう 『だっよ』は代表的な茨城方言。
濁音形は名詞またはイ音便・撥音便の動詞に付き、清音形は促音形の動詞に付く。
『べ』が原型だが次第にに変わる。『へ』は県南部の一部で使われる。
たづぼ
□△☆たつぼ
タニシ 『螺(つぶ)』はタニシの異名。タニシは『田螺』と書く。『集覧:無記載』。『粒』を『つぼ』と呼ぶのは広辞苑に掲載される。
『俚言』には、『たにし:「本草啓蒙」たつぶ(能登)、たつぼ(北国及び安房・上総・駿河・相模・伊勢)、つぶ(越後)、たかひ(土佐)』とある。
たつ:千葉。
たつぼ:茨城・千葉・神奈川・静岡・愛知。
たっ 足袋 県西部。
たっ 蓮の実 『集覧:北』。『田穂』が重複したもの。
たづまぎ
たづまき
たつまぎ
竜巻 たづまき:千葉。
たつまぎ:千葉。
たづみ
たづみかぜ
南東の風 『辰巳』『辰巳風』。
(たつみある) 【複】目が吊り上がる 神奈川。
たっる 【動】垂れる 茨城弁ではかつて極端に『れ』音を嫌った一方、逆に標準語の発音ルールには有り得ない促音便+ラ行音がある。
★『土』それだらだら垂っらあ、柄杓(ひしゃく)そっちへおん出して行(や)るもんだ:ほら!。そうすると下肥が垂れちゃうよ。柄杓をそっちに突き出して注ぐものだ。
たで
たて
乾燥した籾を仮貯蔵するため筵を竹串で刺し立てて作った円筒形の簡易サイロ 『立て』または『館』の意味。四角形のこともある。
たで
□たて
邸宅 『館』。館は古くは『たち・たて』と言った。
だてー 【形】@心に染まない感じである。いやだ。情無い。あいにくだ。A心が痛む。気がかりである。気の毒である。Bわずらわしく厄介だ。悲しい 『転てし(うたてし)』の転。=『うざってー、うだってー』
原型は『【副】転て:(ウタタの転。物事が移り進んでいよいよ甚だしくなってゆくさま。それに対していやだと思いながらあきらめて眺めている意を含む)@ますます甚だしく。A程度が甚だしく進んで普通とちがうさま。異様に。ひどく。B(次に「あり」「侍り」「思ふ」「見ゆ」「言ふ」などの語を伴い、また感嘆文の中に用いて)心に染まない感じを表す。どうしようもない。いやだ。情け無い。あいにくだ。C(「あな―」「―やな」などの形で、軽く詠嘆的に) いやだ。これはしたり。』(広辞苑)と考えられる。
現代若者言葉の『うざい』に当たる。
『国誌』には『うたてきなり。かなしきことをいう』とある。
だでぐなる:悲しくなる。新治郡の方言。
(〜だで) 【複】〜だから 長野・静岡。『であるにて』『だのでありて』。
〜だで
〜たで
【接尾】動詞の連用形に添えて、その動作が終って間のないさまを表す。 濁音化。二重濁音と濁音の用法の違いは、『出来立て』を例にとれば、『でぎだで』『できたで』となる。『でぎだで』の『ぎ』は有母音でしっかり発音するが、『できたで』の『』は無母音で発音する。まれに清音で『できたて』となる場合の『き』は、関西弁と同じく有母音でしっかり発音される。
〜だち:香川。
たであど
たてあと
城や館が建っていたところ 『館跡』の意味。
たでいし
たでかいし
たてかいし
たでえし
たでっかいし
風呂を焚き直して何回も使うこと 『が』は濁音・鼻濁音。
たてかえし:栃木・埼玉。標準語と行っても良い。
たてっかえし:栃木。
たでいし 短時間に風向きが変わる突風 『が』は濁音・鼻濁音。
たでいす
たでかいす
たでっかいす
【動】風呂を焚き直す 『が』は濁音・鼻濁音。
たてがん 屈葬の棺 『立て棺』の意味。=『たちかん』
たできん
たてきん
立(て)替え金、前借り
たでーし
たでけーし
たでっけし
たでっけーし
風呂を焚き直して何回も使うこと 『げ』は濁音・鼻濁音。
たてっけーし:群馬。
たでーし
たでっけーし
短時間に風向きが変わる突風 『げ』は濁音・鼻濁音。
たでーす
たでけーす
たてっかいす
たてっかえす
たでっけす
たでっけーす
【動】風呂を焚き直す 『げ』は濁音・鼻濁音。
たでーる 【動】(お金を)立て替える 『げ』は濁音・鼻濁音。
たで
たて
@▲くつわ、A建具 『集覧:多』。県下全域にある方言。
A・たて:神奈川。
たで
たて
建具屋 たて:神奈川。
たでぞめ 起工式 『建て染め』の意味。古い標準語かと思ったが辞書には無い。
たでなごーど 婚姻が決まった後で斡旋される仲人 『立て仲人』の意味。今なら当たり前だが当時は仲人同士がまず婚姻の話を進めることから始まったのでそう呼ばれる。
たてな 稼いだ金をそっくりそのまま使ってしまう意味と考えられる。 『土』に出て来る言葉。標準語の『横流し』の表現に近い言葉と考えられる。
それぢや稼(かせ)えだ錢(ぜね)それだけ立投(たてな)にしっちゃったな。
だでーなし 台無し 『だだいなし、だってねー』。県北部の方言。
他の方言を良く見ると、原型は『【副】転て:(ウタタの転。物事が移り進んでいよいよ甚だしくなってゆくさま。それに対していやだと思いながらあきらめて眺めている意を含む)@ますます甚だしく。A程度が甚だしく進んで普通とちがうさま。異様に。ひどく。B(次に「あり」「侍り」「思ふ」「見ゆ」「言ふ」などの語を伴い、また感嘆文の中に用いて)心に染まない感じを表す。どうしようもない。いやだ。情け無い。あいにくだ。C(「あな―」「―やな」などの形で、軽く詠嘆的に) いやだ。これはしたり。』(広辞苑)と考えられる。
たでば 馬を繋ぎ止めるところ、馬の休憩所 『んまたてば』
たでびがり
たてびかり
稲妻 県西部。『縦光』の意味か。
たでぶるめー 建物の着工祝いのもてなし 『建て振る舞い』の意味。
たでぼー 竹製の籠にコイなどを追い込む漁法
たでーま @今、たった今、A帰宅の挨拶 『只今・唯今』。
A・たでーま:宮城。明治の宮城では『行って参ります、行ってらっしゃい、ただいま、お帰りなさい』を全て『たでーま』と言ったという。
たでまい
たてまい
たでまえ
上棟式 やや古い標準語の『建て前』の転。
たてまい:神奈川。
たでまいぶるまい 上棟祝いのもてなし
たでむすび 縦結び、死に装束の結び 濁音化。縁起の悪い結び。
たづむすび:宮城。
たでめ
たでめー
上棟式 やや古い標準語の『建て前』の転。当時の上棟式は前もって近郷の人たちに知らされていたので、多い場合は庭先に50人程も集まった。骨組みが出来上がった段階で、頂部に吹流しを立て、矢羽を描いた巨大なウチワのようなもの(魔脅し・矢立て)を小屋裏に供えることから始まる。数人の人が揃って屋根上に上がったあたりから緊張感が走る。
清めの、神様に献上するお神酒を撒いた直後、どどどと地響きのような音がする。四隅の柱(四方柱)方向に大きな四方餅(しほーもぢ:直径20cm内外の餅)が落とされるからである。四方の隅柱は勿論通し柱。地震に耐える要を礼賛する餅でもあるのだろうし、間違いなく『力持ち』と『力餅』をかついだのだろう。このような験かつぎは、地方のあらゆる風習にあり、過去の様々な経験から『恐れ』を払拭する儀式でもある。私は幼い頃その直撃を受けて大きなたんこぶを作っただけでなく泣きじゃくった経験があり、それ以来隅柱には近寄れなくなってしまったが、この四方餅を授かることは殊のほか縁起が良いとされ、最初から夫々の四方柱には数人がたむろすのが普通だった。そこからが本番。ウラジロガシの葉がはみ出して餅がぱんぱんにつまったひね(『鬚籠』(ひげかご、ひげこ))が開けられ、中小の紅白餅があたかも人に当てるように投げられる。小型の餅は繭玉餅(ならせもぢ)と同じ大きさで一口餅だが、ひねには中型の餅(直径10cm内外)も入っている。これは、四方餅についで縁起の良いものとされていた。理由は定かでは無い。また、白より赤が縁起が良いとされた。中には一抱えした餅を豪快に投げる人もいる。小銭の入ったおひねりもある。餅は比較的柔らかいことが多いが、たまに硬いこともある。柔らかいと雨上がりの時は泥餅になってしまうからだろうか。そのうち餅に当たって泣き出す子供が何人かは出て来る。建て主が選ぶのか、菓子袋やインスタントラーメン、中には雑貨品ままであったりする。投げられる餅の量とその他雑品の品揃えの多さがその家の力を象徴するものでもあった。そして最後の極めつけは、餅の入ったひね毎撒かれる儀式。だいたいは10個程度のおまけの餅のことが多いがまれに数十個も入っていることもあり、無視できなかった。中には予め話を付けて『おー、○○ちゃん、こっぢこっぢ』などといってひねをまるごとせしめる輩もいたりする。けが人が出ても勿論文句は言えない。その間僅か数分。
正月の餅と異なり、建て前の餅は泥餅になることもあったが、時期を選ばないので子供達の格好のお八つに早代わりになった。建て前の餅撒きの風習は全国にある風習だが、餅と『(長く)持つ』をかけたのだろうか?。合理性が重んじられる昨今は、このもぢまぎの風習も少なくなって来たという。
未来不安の時代になって、このような『恐れの払拭』は、企業リーダーの必要条件にもなってきた。アメリカ流の合理化だけでは物事決してうまくいかない時代になったことを日本の企業社会は感じ初めている。
たてじ:長野。
たてめー:神奈川。
〜だでや
〜たでや
〜だでやー
〜たでやー
【助】〜だぞ、(し)たよ
たでらがす 【動】戸を閉める、風呂を沸かす、(髭を)生やす、(お茶を)入れる 『閉てる・立てる』の擬似他動詞形。
たでる
たてる
【動】@ 戸を閉める、A風呂を沸かす、B(髭を)生やす、C(お茶を)入れる、D(ノコギリの目などを)尖らせる、E成り立たせる、保つ、F物を保った結果変って無くなって行くようにする。経過させる。過ごさす。 『閉てる・立てる』。
江戸時代には『@薬湯などを煮立て、その湯気で、腫物や病気の箇所を蒸す。A船虫害を防ぐために船底を焼く。』を『たでる』と言ったという。さらに古くは『たづ』
@関西では『閉める』と言う。戸を閉めることを、『立てる』と言うのは、古くは戸を開けることは外すことを意味し、外してまとめて置かれ、戸を閉める場合は外して横にしてまとめておいた戸を縦にしてはめ込んだことに由来する。
たでる:秋田・山形・福島。
たてる:宮城・栃木・群馬・鳥取。
たてる:箕に脱穀した穀物を入れて煽る:神奈川。
A・たてる:埼玉・神奈川・山梨。
D・たてる:群馬。
E・たでる:山形。
F・たてる:覆う:静岡。
Gその他。
たてる:(郵便・電報を)出す:宮城。
たでる:飼う:福島。
(〜)たでる 【動】@その動作の限界まで行なう、やりきる、Aしまくる 動詞について連語を形成する。『立てる』。標準語の濁音化。ただし標準語より使用範囲が広くオールマイティに使われる。標準語との境界がどこにあるかは難しい。最近の標準語ではかなり限定的にしか使われない。
@『飾り立てる』『磨き立てる』。
くいたでる:食べきる。
A『わめき立てる』『書き立てる』。
あすびたでる:遊びまくる。
いいたでる:言いまくる(清音なら標準語)。
かいたでる:買いまくる(清音なら標準語)。
たでる
たてる
【動】(鼾を)かく はなたででうっせーんだよおめは:鼾をかいて煩いんだよお前は。
〜たど 【助】@〜だぞ、〜したぞ、A〜だそうだ、〜たとさ、B〜たと @助詞『た』+強調の終助詞『ぞ』が『ど』に変化したもの。『ど』にアクセントがある。断定の複合終助詞。『ど』にアクセントがある。
おれやったど:俺がやったよ。
〜たどな・〜たどなー:〜だよな。〜したよね。
〜たどもった:〜だと思った。
ちゃんとやったどや:ちゃんとやったぞ。
A助詞『た』+動機・理由などを表す格助詞『と』の後ろの省略形の濁音化。=『〜たとさ』。
あいづやったど:あいつが遣ったって。
〜たどな・〜たどなー:〜だそうだ。
B助詞『た』+接続助詞『〜と』の濁音形。
〜だど
〜だどい
〜だどえ
〜だどや
〜だどよ
【助】@〜だぞ、〜したぞ、A〜だそうだ、〜だとさ、B〜だと 『い・え・や・よ』は終助詞。
@助詞『だ』+強調の終助詞『ぞ』が『ど』に変化したもの。『ど』にアクセントがある。
〜だぞえ:福島。
おれやったんだど:俺がやったんだぞ。
〜だどな・〜だどなー:〜だよな・〜したよね。
A助詞『だ』+動機・理由などを表す格助詞『と』の後ろの省略形の濁音化。清音の場合、標準語の口語でもぞんざいな言い方として使われる。=『〜だとさ』。
〜だどっしゃ:宮城。
〜だどよ:青森。
あいづやったんだど:あいつが遣ったんだって。
〜だどな・〜だどなー:〜だそうだ。
にしのいでいーたでんだどや:西の家で家を建てるそうだ。
〜だどよ・〜たどよ:〜だそうだよ。
B助詞『だ』+接続助詞『〜と』の濁音形。
そったごっだどもったよ:そんな事だと思ったよ。
〜だどめーら・〜だどめら:〜だと見える・〜だと思われる。〜だとみえるよ→〜だとめーるわ〜だとめーら〜だどめら。だと思うよ→だと見えるよ→だとみえるわだとめーるわだとめーらだどめーらだどめら
Cその他。
〜だど:〜だよ・〜よ:山梨。いくだど:行くよ。
(たとい) 稲刈り 鹿児島。
(たーとき) 【副】急に 神奈川。
だども 【接】だけど 『んだども』
『であるども』。
だども:秋田。
だども
だどもや
【複】そうだとも、そうだよ 『んだども』
たども:東京多摩。
たどん 木炭と石炭の粉を混ぜてかためた燃料 『炭団』。
一般には手製のものが炭団、豆炭は商品で販売されていたもの。
◎たな 薪や炭の量の単位 『棚』。生活の中から炭が消えたので今や死語に近い。
〜だな
〜たな
【助動】〜だ、〜た 『〜たるなり』。
ほぼ、『〜だだ、〜ただ』と同じ意味。
〜だな
〜たな
【助】〜な、〜とやら、〜とか、〜ような 『な』は語調を整える完投助詞か、『〜たら』が訛った可能性もある。
・このたな:この様:静岡。
こったなごど:こんな事。
〜だなぁ
〜たなぁ
【助】〜なのは おめみてーたなみだごどね:お前みたいなのは見たこと無い。
▽☆たない
たないど
たないば
たねいげ
稲の種をひたしておくために、苗代の傍に掘る井戸または池。たないけ(広辞苑)。 『種井』。
『種池』のこと。一説に『田な井』とも言われる。茨城南東部では『たないど』と呼ぶ。『種井』の掃除は、『たないばらい・たないどはらい』と呼ぶ。
たない:佐渡島。
たないけ:ため池:長野・石川。
たなや:千葉。
〜だない 【助】〜ではない、〜じゃあない、〜(するん)じゃあない 〜ではない→〜であない〜でぁない〜だない
〜だない 【助】〜だねえ 濁音形は名詞またはイ音便・撥音便の動詞に付き、清音形は促音形の動詞に付く。
『〜だなや、〜たなや』が訛ったもの。標準語の『ね・ねえ』のルーツを思わせる言葉。なや→ない→なえ→ねえ→ね。
〜だない:福島。
たなうぢ のれんわけをした店 『民俗』では『店内』と当てている。
(たな 天井裏 埼玉。
(だなさん) 旦那さん 宮城。
(たなだて) 家主が借家人をその貸家から追い立てること。 東京。『店立て』。
たなばだ 七夕 濁音化。1ヶ月遅れで8月初旬の土日開催される土浦の七夕は規模が大きい。主要な通りが歩行者天国になる。
当時は、各戸でも競うように竹を飾り付け、翌日は川に流した。
たなばださま 七夕 濁音化。
たなしゃ カラスウリ
□△たなぼ
たなぼー
水田 『集覧:久』。田んぼは古くは『田の面』と言った。『田な面』の意味。
たなぼ:茨城・新潟。
〜だなや
〜だなやー
〜だなーや
〜(し)たなや
〜(し)たなやー
〜(し)たなーや
【助】〜だなあ、〜(し)たなあ 濁音形は名詞またはイ音便・撥音便の動詞に付き、清音形は促音形の動詞に付く。
やや感慨の気持ちがはいる。
〜だなやー:宮城。
いーあんべーだなや:いい天気ですねえ。
〜だに 【助】〜すら 名詞について『〜すら』の意味を示す。
広辞苑には『助詞(係助詞) 今置かれている状態においてなしうる最小限のこと、あるいは可能性の考えうる範囲での最小限のことをあげ示して、他の重い事柄について類推させる語。奈良時代には、否定・推量・仮定・反語・命令・意志・願望などの表現に呼応した。室町時代に「さへ」にとって代わられた。(体言・副詞などを受ける。格助詞の下につく)
@否定・反語との呼応。…だけでも。…すら。天智紀「臣の子の八重の紐解く一重―いまだ解かねばみこの紐解く」。万二「玉桙の道―知らず」。天草本平家「胸せきふさがつて、お箸を―も立てられなんだ」
A推量・仮定との呼応。…ですらも。…だって。万一○「恋しけく日長きものを逢ふべかる夕(ヨイ)―君が来まさざるらむ」
B願望・意志・命令との呼応。せめて…だけでも。…なりと。万一○「い向ひ立ちて恋ふらむに言―告げむ妻問ふまでは」。万一二「人の見て言とがめせぬ夢に―やまず見えこそ」。伊勢「馬のはなむけを―せむとて」
C主に平安時代から肯定判断の文にも用いられる。さえも。でも。源帚木「はかなきこと―かくこそ侍れ。まして人の心の時にあたりて気色ばめらん」。天草本平家「出さるる―あるに、座敷をさへ下げらるる事の恨めしさよ」
D仮定条件と呼応。それだけで条件が満たされる意を示す。…さえ。曾我四「あはれ、父―ましまさば、わらはに心は尽くさせじ」』とある。
現代では『未だに』が残る。
なんだおめ、それだにやってめー:なんだいお前は。それすら遣っていないだろう。
〜だに 【複】〜よ、〜ですよ、〜だよ、〜なのだから 長野・静岡。
〜だーに:静岡。
(たにしの味噌煮) 今食一番べてみたい料理のひとつ。戦後の食糧難を気にしてか母親はタニシを料理してくれなかった。しかし幼い時のある日、『谷津田』のタニシは美味いと聞かされて山ほど取って来た。その夜食べたタニシの味噌煮ほど美味しいものは無かった。味噌の味に加えてタニシの歯ざわりは格別だった。
たにしめ タニシ
たにんあつかい 他人同様によそよそしく扱うこと。 『他人扱い』。
『俚言』によれば江戸時代には『他人にする』(疎外する)と言ったという。
たにん 他人同様によそよそしく扱うこと。 たにんぢきぐ:よそよそしい言い方をする。
たにんむぎ 他人同士のような、情愛のないさま。 『他人向き』。
〜だね
〜だねー
【助】〜ではない、〜じゃあない、〜(するん)じゃあない 『〜だねーど』『〜だねーよ』
たぬぎ したたかな人、他人を騙す人、腹黒い人 濁音化。
たぬぎおやじ:したたかな男。
たぬぎめ タヌキ
たぬし
たねし
たのし
タニシ 『集覧:新』。タニシの語源の一つに『田主』があると言う。茨城方言に古い言葉が残っている例である。
たねー
たねい
種籾をひたす小さな池 『種井』。
たねいけ:神奈川。
(たねー) 堪能 静岡。
たねいばらい
たねーはらい
たねーはれー
たねはらい
種籾をひたす小さな池の清掃 『種井払い』の意味。
◎たねあぶら 菜種油 『種油』。
たねいだ @レコード、A写真の原板 『種板』は、『たねいた・たねばん』と言い、写真の原板を指した。レコードはそれが転じたのであろう。
たねおじ 独身の男 広辞苑に『種叔父:関東地方で、相続者の欠けた場合にそなえて、次男・三男の一人を家に留めておくこと。』とある。
独身の女は『たねおば』と言う。
たねかす 油粕 『種粕』。
たね 話の種、物を作る材料 『たね』も『くさ』も種と書き、『@物事を起すたね。もと。A種類。しな。たぐい。B種々。いろいろ。』の意味。
(たねしー) 【形】珍しい 神奈川。
たねせん 財布に必ず入れて置く銭 何も入っていないとお金がたまらないと言われ、種として入れて置く。
標準語の『種銭』は『銭を鋳造するとき、鋳型を作るのに用いる模型。母銭。』の意味。
たねっ
たねばす
たね
レンコンの種となる蓮 《新種のカード?》
たねまぎいわい
たねまぎおごど
苗床の種まきが終わると村落がいっせいにとる休日 たねまきわい:苗床の種まきが終わった時の祝い:神奈川。
◎たねもみひたし 苗床に種籾をまく前に水に浸し発根させること 『種籾浸し』。
たねあてい・たねねかし:神奈川。
〜ーたの 【助】〜んなの、〜なもの どーたのだ?:どんなものだい?。
そーたのいー:そんなのが良い。
あーたのいんね:あんな物いらない。
〜だのが
〜だのがも
【複】〜なのか、
〜なのかも
〜だんか:〜なのか:下半身丈夫だんが知らねんでども(知らないけれども):山形。これは現代語の『だか』に繋がる。
だれがくりっちきーでだけんとおめだのが:誰か来るって聞いてたけれどお前なのか。
〜だの 【複】〜なんかが 『〜だり。標準語では『〜だの〜だの』と並立させて言う。
『である』の流れを今に伝えていると思われる。
どでー、おめだのこごいくんのおがしーんだよ:土台、お前なんかがここに来るのがおかしいんだよ。
たのかみ
たのかみさま
@田の神様、Aお釜様、荒神様 @は標準語。
◎たのき タヌキの別称 広辞苑に『イヌ科の哺乳類。頭胴長五○〜六○センチメートル、尾長一五センチメートル。山地・草原に穴を作って巣とし、家族で生活する。毛色は普通は茶褐色で、四肢は黒。毛皮を防寒用・鞴(フイゴウ)用とし、毛は毛筆に用いる。雑食性。アナグマと混同され両者共にムジナ・マミと言われる。たのき。』とある。
現代の格助詞『の』は古くは『ぬ』だったことを知れば、『たぬき・たのき』は、『田の怪』の意味ではないかと考える。語源説の一つに該当する。
たのき:静岡。
たのくさかぎ 田の草取り
たのくさぎおん 夏の祇園祭 土浦市の方言。
◎たのくさとり 田の草取り 標準語。
たのくさ:埼玉。
たのぐろ
◆●たのくろ
たんくろ
『田の畦(くろ)』。清音なら標準語。農村用語として全国区のことば。
たぬくろ:千葉。上代語の可能性がある。
たのくろ:青森・埼玉。
たんくろ:千葉。
たのぐろまめ
◎たのくろまめ
枝豆 『田の畦(くろ)豆』
たのころ 田の畦(くろ)。
(たのすん) 楽しみ 鹿児島。
〜だのって 【複】〜だとか言って
だのに 【接】なのに 死語となった標準語。
〜だのに 【複】〜なのに 死語となった標準語。『にてあるのに』の転じた『であるのに』の流れ。今では辞書にあるのは『それだのに』位である。
茨城方言では、『そんな』は『そーだ・そーた』と言う。『然にてある』すなわち『そうたる』意味である。
あめだのにでがげんのげー:雨なのに出かけるのかい。
たのばだ 七夕 七夕は別に『棚機・織女』と書く。
語源説は@タ(田)ナツモノ(田から生ずる物、稲など)ハタツモノの略。Aタナはタネ(種)。Bタナはタ(手)ナ とある。また、『たな』は水の上にかけだした棚の意とするのが有力とされる。
たのまー 【複】頼むわ たのまー:東京青梅。
たのまれなごーど 結婚が決まっているカップルに頼まれた仲人 当時の結婚は、嫁・婿双方で仲人を立て最初は仲人慣間で話し合いが行なわれた。
たのみずおどし 田んぼの水の排水
たのむでや
たのむど
たのむや
たのむよ
たのむわ
たのむわや
たのんど
【複】頼むぞ、頼むよ、頼むわ 各々長音形がある。
たのまー:東京青梅。『頼むわい』。
たのまい:東京青梅。『頼むわい』。
たのむじゃ:青森。
(たのもと・たもと) 台所 静岡。
たのものせっく 8月1日の行事。赤飯や栗餅を作る。 たのもは『田の面:田のおも。田のおもて。田。』の意味。『田の面の節句』。
たのんます 【複】頼みます 標準語の俗語も方言の一つではないかと言いたい言葉。
関西では『たのんまっせ。』。
〜だば
〜だーば
〜だらば
〜(し)たば
〜(し)たーば
〜(し)たらば
【助】〜ならば、〜(し)たならば 濁音形は名詞またはイ音便・撥音便の動詞に付き、清音形は促音形の動詞に付く。
〜だば:〜ならば:青森・秋田。『〜は』の意味もある。
〜らば:〜であれば:新潟。
たばがる 【動】@思案する。思いをめぐらす。A謀り欺く。だます。 『謀る』。濁音化。他に『相談する』意味がある。
A・たばかる:怠ける:神奈川。
たばかる:佐渡島。
◎たばき @へど、A猫のへど 広辞苑には『たばき:犬・猫などの吐き出した物。』とある。吐くことは古くは『嘔吐ふ(たまう)』と言った。
@・たばき:鹿児島。
A・たばき:神奈川・鹿児島。
たばけ:千葉・神奈川。
よたけ:神奈川・佐渡島。
(たばける・たばーける) 【動】ふざける、とぼける 静岡。『戯ける』。
たばくらかす:だます・ごまかす:静岡。
たばご
たばこ
@タバコ、A休憩、一服 当時のタバコは、まだキセルを使っていた時代だったが、屋外への持ち出しは面倒なので紙巻タバコも吸われた。代表的なのは、今でも生産されている『ゴールデンバット』で一番安く一番うまいと言われた。その他やや廉価版で横ストライプの入った『新生(SHINSEI)』、『いこい』、夕焼け雲の『光』、『朝日』、『ききょう』、そして今でも代表的な『Peace』、そしてフィルター付きの『hi-lite』が発売されたのをきっかけに『百姓タバコ』と言われるほど誰もが吸うようになって行く。
A・たばこ:午前の間食:神奈川。
たばこ:福島・鳥取・山口。
たばご:宮城。
たばごのみ:岩手。
たばごから
たばこっから
タバコの茎を干して付木としてつかうもの 『タバコ殻』の意味。我が家では当時タバコを栽培していたので、『たばごから』には随分お世話になった。からからに乾いた軽いもので火を付けると独特のにおいがした。
たばごすい
たばごのみ
たばごふぎ
煙草を吸う人・吹かす人 『煙草を飲む』という言い方は、戦後の映画にも見られる。
たばこすい:群馬。
たばごのみ:宮城。
たばごすー
たばごーすー
たばごのむ
たばごふぐ
たばごをふぐ
たばこをふく
【複】煙草を吸う、煙草を吹かす 『煙草を飲む』という言い方は、江戸時代の文献にもあり戦後の映画にも見られる。
たばごぜに
たばごせん
煙草を買えるくらいのわずかな金銭。 『煙草銭』。
たばごぼん 灰皿 標準語の『たばこぼん』は、広辞苑によると喫煙用の火入れ、灰吹(はいふき)などを載せる小さい箱とある。
たーっぼん・たばっぼん:煙草盆
たばごれ
たばこれ
タバコ入れ 『集覧:西』。
たばだげ 田の中にある畑 『田畑』の意味。
【形動】(風呂などが)一杯の状態、水を飲みすぎたお腹の状態、たぶたぶ
だばだば 【形動】だぶだぶの様、物が有り余る状態、水田の水や器の中の水等がが多すぎる状態 だばだば:埼玉。
たばぢ ウシアブの幼虫 『田蜂』の意味。
だばつぐ
だばつく
たばつく
つく
【動】@波立つ、A水田の水や器の中の水等がが多すぎる状態、B物が有り余る状態 全ての語が意味と一対一で対応するわけではないが語源は同じで、擬態語から発生したと考えられる。
Aだぶだぶ。
B『だぶつく』。
たばっつら
たばづら
たばつら
束ねるための藁 『束蔓』の意味が訛ったもの。『集覧:多』。
『つら』は『蔓』(つる)の古語で『蔓』は茨城では紐状のもの一般を意味する。
だばな
だーばな
だらばな
【慣】じゃあね 『んだばな』
『であるらばな』が訛ったもの。他にも別のルーツが考えられる。
であるらばな→であらばな→だらばなだばな
それじゃあな→んだらばな→んだばな→だばな
たび @靴下、Aこと、経験、回数 @『足袋』が転じて靴下にも用いていた。
Aは古い標準語。『度』の意味。
たびーり 出戻り 県北部。
たび
たび
【連語】その都度 『度毎』。
たーびたーび
たーびたび
【副】度々 たったっ:鹿児島。
たったもんね:鹿児島。
(たびのした) 足袋の底 宮城。
たびはだし @足袋のまま土の上を歩くこと、A足袋の一種で直接土の上を歩けるもの @・たびはだし:神奈川。
〜だびゃ
〜だびゃー
〜(し)たびゃ
〜(し)たびゃー
〜(し)た
〜(し)たゃー
【動】〜だろう、〜(し)たろう 原型は『〜したべしや』の意味。
たびる ヒル 東茨城郡・行方郡。
山蛭と区別するために生まれた方言と思われる。
(ひだす) 【動】箕で篩い出す 静岡。『篩い出す』が訛ったか。
たぶ 日本髪の後方に張り出した部分、転じてふっくらした肉のある部分を示す 『髱』(たぶ・たぼ)。『集覧:新』。
たっさ:鹿児島。『髻(たぶさ)』。
だふ
たぶ
定置網につける浮き 『髱』(たぶ・たぼ)から派生した方言と思われる。
だぶ
だぶっかち
だぶはぜ
チチブ 建築用語の『木材や石材をつぐため、両方の材にまたがってはめこんだ小片。建物では太さ三センチメートルほど、家具などでは、より小形。木材では硬木部材、石材では鉄の部材を用いる。だぼそ。』を意味する『だぼ』から生まれた方言と思われる。標準語では『ダボハゼ』。
(たふ・たほ・たほー) 藤の繊維で作った織物 神奈川。
(たぶっ) 鹿児島。
だぶどん
とん
座布団
たーひんだ 【感】大変だ 古い言い回し。
おめどごもたーひんだんべがおんどごはまっとたーひんだ:お前んとこも大変だろうが、俺んとこはもっと大変だ。
たぶご
たぶこ
タバコ たぶこ:神奈川・山梨・静岡。
たぶごれ
たぶこれ
タバコ入れ たぶくり:神奈川。
たぶけり:神奈川。

たったっ
たっんたっ
【形動】(風呂などが)一杯の状態、水を飲みすぎたお腹の状態、たぶたぶ 『たっぷり』が語源かもしれない。実際『たっぷりたっぷり』と繰り返して使うことがある。標準語読みでは『ぷ』は殆ど無母音で発音されるが、茨城では関西弁のようにしっかりと母音を発音する。そのため耳にはむしろ『たぷたぷ』が『たっぷたっぷ』に聞こえる。
:宮城。
しょんべんた:小便が(便器)一杯だ。
たーぶぢ 田を耕すこと 『田を打つ』意味。岩手では『たうち』とも言う。
たー 田の縁
だぶつぐ 【動】@水などがだぶだぶする。A着物が大きすぎて体に合わずぶかぶかする。B金銭や商品がありあまる。 濁音化。
@・たびつく:静岡。
たぶどー レンゲソウ 『集覧:真』。レンゲソウの別称は『紫雲英・翹揺(ゲンゲ)』。『紫雲英』(シウンエイ)
だぶどん
とん
座布団
(だふらだふら) 【形動】だぶだぶ 神奈川。
(たーふる) テーブル オランダ語『tafel』に由来する外来語。現代では方言に残る。
たぶる:広島。フランス語由来か。
たーふる:昔の岩手・長崎。
たーふる:机:大分。
たーふる:西洋料理:長崎。フランス語では定食を『ターブルドート【table d'hote 】』と言う。『hote』は主人のこと。
たぶろ:広島。フランス語由来か。フランス語の『table』の『le』は英語と異なり、日本語の『る』に近い発音で『ターブル』に近い。
(たぶれ) 静岡。
(たーぶれる) 【動】戯れる、ふざける 神奈川・静岡。
名詞の『戯れ』は『たわぶれ』とも言うが何故か動詞形は無い。
たー でたらめ、無駄口 『たっー』がさらに訛ったと考えられる。
『民俗』には行方郡の方言で『でまかせ』とある。
現代語の『戯れ』は幾つかの意味があるがほぼ同じ意味の『たわむれごと【戯れ言】:たわむれて言うことば。じょうだん。たわむれぐち。』がルーツと思われる。『戯れ』の古形は『たわぶれ』だからである。
たわぶれたーぶれたーべたー と変化したと思われる。
(だべー) だらしない事 静岡。
だべ
だべー
だへ
だへっ
だへー
【複】だろう、そうだろう 原型は『であるべし』『ん』が先に付く言い方もある。
だべ:だろう:千葉銚子。
〜だべ
〜だべー
〜だ
〜だ
〜だ
〜だへ
〜だへっ
〜だへー
〜(し)たべ
〜(し)たべー
〜(し)た
〜(し)た
〜(し)た
〜(し)たへ
〜(し)たへっ
〜(し)たへー
【助】〜だろう、〜(し)たろう 原型は『〜であるべし』『〜したるべし』。
動詞に付く場合は多く『〜だっのように促音を伴う方がメジャー。
濁音形は名詞またはイ音便・撥音便の動詞に付き、清音形は促音形の動詞に付く。
長音形は強調形。関東圏では『べい・べえ』(可い・可え)が使われる。
『べ』が原型だが次第にに変わる。『へ』は県南部の一部で使われる。
『〜だっ・〜だへっ』はマイナーな言い方。
〜だべ:青森・宮城・福島・神奈川。
〜だべー:福島・神奈川。
〜だべが:〜だろうか:青森・福島。
〜だべした:福島。
〜だべっちゃ:宮城。
〜だべが・〜だが・〜だへが:〜だろうか。
〜だべど・〜だど・〜だへど:〜だろうって。
〜だべや・〜だべやー・〜だや・〜だやー・〜だへや・〜だへやー:〜でしょ・〜だろう。
〜だべよ・〜だべよー・〜だよ・〜だよー・〜だへよ・〜だへよー:〜でしょ・〜だろう。
たべいい 食べ易い 『食べ』+『良い』。
たーべしこっこ アリジゴク
たべぞめ
たべそめ
生後110日目のお祝い、離乳の儀式 『はしぞめ』。『食べ染め』の意味。
たーべづぎ
たーづき
たーつき
たーなき
でたらめを言うこと、おしゃべり 『今昔』には『たあづき』と表現され『女達のおしゃべり』ある。水郷地方では『たーなき』と言い『でまかせ』の意味。
『戯れ吐き』『戯れ鳴き』の意味
たべっちゃーべ 【複】食べてしまおう、たべちゃおう
たへね 【形】たわいない
たべら 蝶、蛾 『集覧:久』。
たべら:福島・茨城。
たへーらぐ すきほうだいに言うこと、のんきにかまえていること、でたらめ、でほうだい 『太平楽』。
たべらす
たべらせる
【動】食べさせる 『民俗』には意味を 『食べさす』と解説されている。ちなみに『食べさす』(終止形)は、文語表現。『食べらす』をGoogleで調べると2060件、『食べらせる』は、1040件ヒットする。『食べさせる』は100万件ヒットする。このような間違いは茨城方言に限ったものではないようである。
『食べる』は下一段活用の他動詞で『食べ』が語幹で『食べさせる』が正解。『食べらせる』は例えば『食べらない』と言うのと同じである。使役の助動詞『せる』『させる』の混用と考えられる。ただし、『食べさして』は口語でよく使われるが活用表には無い。
ウィキベディアの『食べさす』の項には、『日本語では、助動詞の「せる、させる」を未然形に接続させる。
書かせる、食べさせる、来させる
「せる」は五段動詞の未然形とサ行変格活用の未然形「さ」に接続し、「させる」は上一段活用・下一段活用・カ行変格活用の未然形に接続する。 「〜せる」を「〜す」と表すこともあるもあるが、それは、五段活用のみであって、上一段活用・下一段活用・カ行変格活用・サ行変格活用では表さない。
○書かせる→書かす ×食べさせる→食べさす、来させる→来さす、勉強させる→勉強さす 』とある。どうやら、執筆者自身が『せる』『させる』と文語の『さす』を混乱している。
しかし、標準語を話す人でも文法を意識して放す人はまずいないからこれは方言とは言えないかも知れない。。
たべる 【複】食べなさい 終止形なのに命令形になる表現。
たべる:食べなさい:長野。
たーへん 【形動】大変 やや古い言い回し。
たーへん:沢山:静岡。
(たぼ) 日本髪の後方に張り出た部分。髷(マゲ)・鬢(ビン)・前髪とともに結髪構成の主要部分をなす。形状により種々の名がある。たぼがみ。たぶ。つと。(広辞苑) 『髱』。
たぼどめ:女子の結髪具の一・つとを挟むもの:神奈川。『髱留』。『髱挟み(つとばさみ)』とも言う。
(たぼー) 【動】蓄える 静岡。『貯ふ(たくはふ)』が訛ったか。
(だぼー) 【副】大層 静岡。
(だぼー) 【形動】乱雑 静岡。
(だぼー) 【形動】厄介 静岡。
たぼくれ 煙草入 たぼきれ:神奈川。
たぼご
◆▲たぼこ
@タバコ、A休憩 『集覧:猿』。
@・きざんたぼこ:刻みタバコ:鹿児島。
たぼご:秋田。
たぼこ:福島・神奈川・長野・山梨・静岡・鹿児島。
A・たばごやすみ:主に肉体労働者の10時の休憩:山形。
たぼごれ
たぼこれ
煙草入 たぼけーれ:静岡。
たぼこいれ:神奈川。
たぼこり:静岡。
たぼほーり:静岡。
だぼだぼ 【形動】服などがが大きすぎる状態、だぶだぶ
だぼづぐ
だぼづく
だぼつく
【動】@波立つ、A水田の水や器の中の水等がが多すぎる状態、B物が有り余る状態 A・たびつく:静岡。
Bだぶつく。
だぼら 大げさな嘘 『駄法螺(だぼら):つまらない誇張のことば。誇大な虚言。』。
だぼら:東京多摩。
でぼら:神奈川。
だぼらかだり うそつき
だぼんだぼん 【形動】水を飲みすぎたお腹の状態
◎だま
だまっこ
小麦粉等を水で溶いた時にできる粒状のかたまり 建築業界では、転じて塗装やワックスの塗り方が悪く盛り上がった部分を同様に言う。『玉』の転。岩手では手まりを、秋田・岩手・長野ではお手玉を『だま』と言う。
だま:神奈川。
だまだま:千葉銚子。
だまり:神奈川。
たま 電球、ボール、毬 たま:飴玉:神奈川。
たまっこ:飴玉:神奈川。
たまなげやっか:キャッチボールをやろうか。
たま 魚をすくう大きな網 『たま網・たも・たも網』。
たぶ:鹿児島。
たま 織り糸の単位(一貫目)
たま 玉繭
たま
たん
遊びの一時休止、タイム 児童語。『たんま』が訛ったもの。水戸市ではさらに訛って『たん』と言う。
たま:神奈川。
たーま:神奈川。
たまいかげ 田植え等で使う丈の短い前掛け 『田前掛け』の意味。
たまいだれ:神奈川。
たまが
たまか
倹約、つましいこと 『集覧:行』。
たまか:東京三鷹・東京多摩・山梨。
たまがー:大切に使う:福島。
たたまか:東京三鷹。
だまがさいる
だまがされる
【動】騙される
だまがす 【動】騙す 『だまかす』。今では死語になったらしい。
だまがす:青森。
だまかす:神奈川・鹿児島。
たま 【動】脅かす たま:山形・福島・群馬。
だまかす:鹿児島。
▽たまかに 【副】つましく 最近殆ど耳にしなくなった標準語。
たま 【動】たまげる、驚く 『魂消る』の擬似受身形で『驚かされる』意味を含む。
たまがっ:鹿児島。
たまがる:大分・宮崎・鹿児島。
たま 【動】たまげる、驚く 『魂消る』。古語との偶然の一致と思われる。
まいったたま:参った驚いた。
たま オタマジャクシ 稲敷市。
だまぐらがす 【動】騙す 古い言葉 『だまくらかす』の濁音化。
だまくらかす:群馬・東京・神奈川・山梨・静岡。
だまぐらす 【動】騙す
たま 【複】驚いた たま:東北・青森・岩手。
たまだした:宮城。
たいしたたま:全く驚いた。
たま
たまるほど
【副】驚くほど、甚だしく、非常に、ものすごく たま:宮城。
たま:宮城。
たまはらー
たまはらう
たまけはらう
【動】ひどく驚く 『集覧:無記載』。
たまらがす
たまらす
たまらせる
【動】驚かす たまがらする:鹿児島。
たまがす:驚かす:山形・群馬。
▽○たま
たまーる
たまー
【動】たまげる、驚く 『魂消る』。古語では『たまる』。今では方言臭のする言葉。
広辞苑には『驚く。びっくりする。たまぎる。』とある。実際茨城方言の発音では『たまる』と聞こえることがある。
驚く(たまげる)とちんちんの玉が上に上がってしまうので、ぴょんぴょん跳ねると直ると言われた。茨城県下では『びっくりする』を使うことは少ない。『たまる』『おどろぐ』『びっくらこぐ・びっくらする』『どーでんする』『びっくりどーでんする』。その昔は『たまる』一本だった可能性もある。
『方言地図』によると『たまる』を使う地域は偏在する。『びっくりする』より『たまる』の方が優位にある県は、東日本では北から順に岩手・山形・福島・新潟・茨城・千葉・栃木・群馬・埼玉。西日本では中国西部と四国西部に限られる。九州は『たまる』と言う。似た言葉に『どーでんする』(動転する)がある。秋田では『どてんする』、宮城では『どーてんする』が優位にあるのが面白い。ちなみに岩手は『どーてんする』『たまげる』が半々、青森は『びっくらす』『どってんす』に分かれる。
『称呼』には『物に驚くことを東国にてたまと云。下総にてちめうした(ちみょうした)と云。津軽にて動転したと云。出雲にてをびへると云又肝をつぶすという。びっくりしたなどいふ詞は諸国の通語也。土佐の西境にてはたまといふ。上土佐中土佐には此称なし。薩摩にてはたまと云。案に東国にていふたまは「源氏」に魂消る(たまきゆる)と有。「ける」は消也。』とある。
たまでさむい:非常に寒い:宮城。
たま:岩手・宮城・山形・福島・新潟・茨城・埼玉・千葉・栃木・群馬・埼玉・神奈川・中国西部・四国西部。
たまける:静岡。
たいしたたげだ・まいったたま:すっかりびっくりした。
たまーるほどいがい:驚くほど大きい。
たまやぎ 鶏卵をとき、調味料を加えて焼いた料理。 『卵焼』。
当時は『巨人・大鵬・玉子焼き』と言って子供の好きなものの代表語とされた。
『卵焼』は現代では、『らんやき』と言う地域が東北と高知にだけ残っているという。
たまころ 玉、ボール、ビー球 多く小さな玉を指す。岩手・宮城でカタツムリを『たまくら』と言う。
『ころ』は、『転』の意味で『 小さく丸いものを表す語。』。『石ころ』は『石塊』とも書き、『塊(くれ)』にも通ずる。上代まで遡る『ころ(子等)』にも繋がる言葉。また擬態語の『ころころ、ころっと、ころり、くりくり、くるくる、くるり』にも通ずる。
これらから、『ころ』は『くる』『くれ』『こら』『ころ』等と同源で、擬態語を元に生まれた原始の言葉に繋がるのではないかと思われる。 近世の国語辞典の『俚言集覧』では、このような擬態語・擬音語を蔑視していた。世界の言語記録は、絵文字・象形文字・ヒエログリフ等の表語文字を経て、現代の表音文字に繋がっている。日本語にとっての漢字は、仮名が生まれた後の感覚からすれば結果的に表語文字に近い。
現代日本語は、文字の無かった時代の言葉が漢字に置き換えられ、さらに日本独特の仮名が生まれたことによって、古い時代の言葉が現代に伝わっている。しかし、それらは、歴史上の極めて限られた地域の言葉であることは疑いないし、それが、日本語の語源をさらに曖昧にしている。
日本語のルーツや日本人のルーツは今も様々な方法によって研究・解明されているが、特定の地域に限定されるべきはずはないし、学会では、珍説とされるエジプト語起源説、ラテン語起源説、ヘブライ語起源説、ギリシャ語起源説、レプチャ語起源説等が排除されているのは残念である。総体としてみるか、部分的に見るかの考え方によるものであり、現代日本語はどこかの唯一絶対の言葉を100%受け継いでいると考える方が間違いではなかろうか。日本語の成立のプロセスの中には、様々な影響要因があるのは間違いないし、東南アジアに特有の繰り返し言葉が日本にあるからだとか、南洋諸島例えばハワイ語に似た表現があるのは誰でも知っている時代なのだから、特定の地域の言葉が日本語の起源だとは誰も思わないことを、どうして、学者達は思わないのだろうか。
このことは、当サイトの茨城方言の語源探求の上でも戒めとしなければならないし、結果として、個別の茨城方言のルーツと思われるものを、変則的につなぐことはしていません。@古語であったり、A近世語であったり、B関西方言であったり、C日本の三大方言と言われる本土・八丈・琉球方言のうち、茨城方言が『八丈・琉球方言』にそっくりの部分もあり、今までの検討結果から、琉球方言との密接な関係性は必ずや発見できるはずです。
たまさが
☆たまさか
【形動】めったに無いこと、たまたま 『偶適』(たまさか)。
たまさが:山形。
たまさがに:たまに:山形。
たまさかなえ:久しぶりに・まれに:福島。
だまさった
だまさっちゃ
【複】騙された
◎だまし @罠、Aうそ 広辞苑には『騙し:@だますこと。計略にかけること。Aだます人。かたり。』とある。
標準語では単独で使うことはなく多く複合語となる。
だましすかして
だましだまし
だまーしだまし
【副】なだめながら、様子を見ながら
(たましぬぎた)

【複】びっくりした

沖縄。
◎だます 【動】@(子供を)あやす、Aなだめる @・だます:宮城・福島。
たまーす
たまわす
【動】お与えになる 『賜はす』。
たんせ・たんしぇ・たんひぇ:下さい:秋田。
〜たんせ:〜して下さい・〜たまわせ:岩手。『やったんせ。飲んだんせ。』(遣りたまわせ、飲みたまわせ)。
たますい
たませ
たませー
人魂 『魂(たましい)』の転と思われるが『魂精』の意味も考えられる。
当時はまだ土葬の時代で、人体から出た硫黄や燐が空気の逆転層付近にたまり、夏季の高温の中で低温発火して起きる現象と言われたり、さらに最近は、雷に伴うプラズマ状態の球電または球雷ではないかとも言われるようになってきている。当時は、『たませが出だー』と言って村内が騒然としたものである。
折口信夫は『霊魂の話』で『魂・魄・霊(たま)』と『魂(たましい)』の関係を論じているが明快な結論は出せなかった。
遠く離れた佐渡島に同じ『たませ』が見つかったが意味はやや異なる。
たまし:魂・幽霊・亡魂:佐渡島。
たませ:魂・幽霊・亡魂:佐渡島。
たまたま 睾丸 だまだま:球:千葉銚子。
《たまたま二つあるからたまたまって言うの?!?−いーんや、たまたまだっ。》
たまたま 鶏の卵 幼児語。繰り返し言葉。
たまだま
たまたま
【副】初めて 県内広域方言。
たまだま:久しぶり:千葉銚子。
たまっこ
たまっころ
玉、ボール、ビー球 多く小さな玉を指す。
だまっこ:小銭:青森。
たまっころ:埼玉・群馬。
たまっちろ:群馬。
だまってでも 【複】何もしなくても だまって:勿論・大丈夫:宮城。
◎たまな キャベツの古称 『球菜』。広辞苑に『キャベツ【cabbage】:アブラナ科の一年生または二年生葉菜。ヨーロッパ原産。古来、世界で広く栽培。わが国での栽培は明治初年以降。品種が多い。中央の葉は密に重なって結球し、生食・煮食また漬物用。甘藍(カンラン)。タマナ。』とある。
たまな:青森・岩手・山形・福島・群馬。
たまなー:沖縄。
たまに
たまーに
【副】たまに 長音形は強調語。
たまーに:群馬。
たまにゃ
たまにゃー
【複】たまには 俗語。
たまにゃー:静岡。
たまのやすみ 稀の休み 『適・偶(たま)』。古い標準語。
たまびしゃ
たましゃ
たまぶさ
◆▲たま
カラスウリ 『集覧:真』。カラスウリの核は『玉梓・玉章』(たまあずさ・たまずさ)と呼ばれる。
たままい 二匹以上の繭が一緒になった繭 『玉繭』(たままゆ)。
だまらがす
だまらかす
だまらがせる
【動】@黙らせる、A騙す
(たまり) 醤油 静岡。
広辞苑に『【溜り】:@味噌からしたたった液汁。A醤油の一種。大豆を煮て麹菌を作用させ、これを食塩水に仕込んで発酵させ、その液汁をとったもの。醤油より濃厚で美味であるが、芳香はない。』とある。『溜り醤油』。
たまーり 田んぼの見回り たまーにたまーりしてはだいだ:たまに田んぼの見回りしては駄目だ。
たまりみず 流れずにたまっている水。 『溜り水』。
当時は、大雨や嵐、台風が来るとあちこちに水溜りができた。大小さまざまで、稀に池に近いものもできた。今、『たまり水』という人は少ない。
だまりんぼ しゃべらない事、無口者 だまりんぼー・だんまりんぼー:神奈川。
近世には『だまりん:だまっていること。また、その人。だまりん坊。だんまり。』があった。
たまーる
たまわる
【動】賜る、いただく 『たぶ、たばる、たまる』とも言う。
あんとぎはでーぶいだだぎたまーりやしてあんがとござんした:あの時は随分沢山頂きまして有難うございました。
たまんねえ 【複】たまらない 俗語。江戸言葉。
たまんなく:たまらなく:静岡。
たーみ 撓み だあ:山の尾根の弛んだところ・鞍部:群馬。
たぁー:山の尾根の弛んだところ・鞍部:神奈川。
たあっこ:山の尾根の弛んだところ・鞍部:群馬。
たわ:山の尾根の弛んだところ・鞍部:群馬。
だみあう 【動】重なる、混雑する
『たむ』と『だむ』 【動】 方言研究の際、最初にたちはだかるのは、方言か否かである。
広辞苑には『たむ:@たむ【訛む】:(後には「だむ」「だぶ」とも) 言葉がなまる。発音がにごる。Aたむ【溜む】:ためる。Bたむ【矯む】:1)まがっているのをまっすぐにする。また、まっすぐなのをまげる。2)改めなおす。正しくする。3)いつわる。曲げる。付会する。4)ねらいをつける。ねらいをつけて放さない。ねらいみる。ためる。』『だむ: Cだむ【彩む】:いろどる。彩色する。Dだむ【訛む】:言葉がなまる。発音がにごる。』とある。
いずれも現代語には無い。このうち、『たむ【溜む】』は、『溜める』につながり、『たむ【矯む】』は『たゆむ【弛む】』につながる。
古代語の動詞は終止形が原型として重要だったが、古語の時代から近世に移行して、微妙なニュアンスを表現しなければならなくなり、助動詞と一体になって新たな言葉が生まれたと思われる。
その証が複合語として現代に残っている。その代表語は『入る』である。元は『這い入る』である。
『たむ』と『だむ』が、どのように現代に残るかの検証は十分ではないが、
たむがー
たむがう
【動】手向かう、逆らう
たむげる
たむける
【動】@神仏や死者の霊に供え物をする、A餞別を贈る、Bはなむけをする 『手向ける』。
(田村町) 地名 上大津地域の南中央にある地名。昔は『たむらまぢ』であったが今では『たむらちょう』である。
村と町が共存する地名は不思議だが、国土地理院の古い地図を調べると、村制だった当時は単に『田』で『田村』だったのである。ところが町制になると『田村町』になってしまった。その理由は定かではないが、@町制になってからも、『町』を略して呼ばれ、手野や沖宿はそのまま呼ばれたのに対して、『田』は『田村』と呼ばれていたから、A『田村』を『田町』と呼ぶとあまりにかけ離れた名前に聞こえるから、B『田』の地名の謂れは不明だが、『田』という一音の地名は茨城県人の感覚にあわず、三文字の『田村』を地名として認識してしまったから、C『田町』を『たちょう』と読むと変だから、D『田に行く』という言葉は、場所を示す田圃に行くと言う意味に誤解されるから、地名としての『田』を示す『田』村だけに、昔から『村』をつけて『田村』と呼ぶ習慣があったから、等が考えられる。理屈から言えばDが説得力があるが、様々な要因が複合的に影響したと思われる。
たーむれる 【動】戯れる たーぶれる:神奈川。
◎ため @物をを溜めておくところ、貯留するところ、A糞尿をためておく所、B用水地、C桶、溜桶 『溜め(ため)』とは、物を溜めて置く場所。かつてはオールマイティの言葉だった。『水ため』(水桶)、いもため(芋穴、芋の貯蔵場所)、糞溜め(糞尿の貯蔵場所)、『さいだめ・野菜だめ』(野菜の貯蔵場所)、東京では『溜池』が地名として残っている。今、日常生活で溜めるのは貯蓄とゴミ・そして粗大ゴミ。『溜める』行為は、今や日常生活から殆ど消えてしまった。『ごみため、はきだめ』が死語となるのは必然かもしれない。
茨城では少し具体的な場所を指すことが多く、『用水地、酒造りや醤油造りに使う桶、肥溜め』等を言う。
かつては自己責任で始末するのが当たり前だったのに『家電リサイクル法』『建設リサイクル法』の施行によって様相が一変した。全て法律で仕切られるようになった。為替差益による擬似植民地政策に似た今の国際法によって発展途上国の人件費の過少評価がいつまで続くのだろうか。貨幣価値の問題は、諸国の政策のみならず今や世界的な施策になって、その国の生活基盤になるのに、いまだ解決策が見出されていない。
@・たね:長野。
A・ため:神奈川。
C・ため:山形
ためおげ::山形。
□だめ 駄目 『駄目』は古語にはなく近世に現れた言葉である。
『国誌』では方言扱いされ『不要の事を云ふ。あためなり。あだは徒なり。めはもののあやめのめに同なし。またけぢめ。』とある。
古語では『攤(だ):サイコロを使ってする賭け事』がある。広辞苑には『攤(だ):銭を使って行う賭事。ぜにうち。のちには双六(スゴロク)の称。』とある。
広辞苑には『駄目:@囲碁で、双方の境にあって、どちらの地にもならない空所。Aしても効のないこと。役に立たないこと。むだ。無益。Bしてはいけないこと。不可。』とある。
(ため) 薮睨み、斜視 岩手。
たーまー:沖縄。
だーみ:沖縄。
ためか 赤ん坊を入れておく籠 水海道市。『溜め籠』の意味。『いずめ、いじこ、いちこ、えじこ、えずこ、つぐら』のこと。
(駄目工事) 不具合を是正する工事。手直し工事。 この場合の『駄目』は『してはいけないこと。役に立たないこと。』の意味。建築用語。
ためこ
ためっこ
ためこま
肥溜め 『こが』とは東北地方を中心に使われる『桶』を指す方言。『こま』はそれが訛ったと考えられるが『小間』(小さな部屋)を連想させる言葉でもある。
ためこ 冷やかし
ためこ 【動】試し悩ませる、冷やかす 『ため』は『試し』の意味。『こがす』は焦がす。
ためし 先例、前例 やや古い標準語。『例・様』。今では若い人たちは使わない。
★一度も行ったためしが無い:一度も行った事が無い。
ためせん 貯蓄
ためせん
ためせんかせ
貯蓄を増やすよう稼ぐこと
だめだなやづ 駄目な奴
だめだわ 【慣】駄目だね 頻繁に使う必須用語。
ためっこ @溜め、物をを溜めておくところ、貯留するところ、A水溜り
だめっ 【形】駄目らしい、駄目かもしれないな様子 『新方言』には『ダメッ → 〜ッポイ 伊豆半島。』とある
(駄目直し) 不具合を是正すること。手直し この場合の『駄目』は『してはいけないこと。不可。』の意味。建築用語。
(だめのかー) 【複】駄目な様、しょうがない様 静岡。解説には『駄目のかわ』とあるが意味不明。明治の静岡方言である。
同様の表現が茨城にもある。『じゃまのかー』(邪魔)『せわのかー』(面倒)である。現在までのところこの表現は茨城と静岡にしかない。九州にある形容詞方言『〜か・〜なか』と比べると肯定否定が逆になってしまうので、標準語の形容動詞の『爽やか・鮮やか』等の表現を受けて生まれた言葉と見られる。
ためはらい 種井の清掃
(ためる) 【動】ねらいをつける 『矯める』。近世語。
ためる:群馬・神奈川・長野。
ためる 【動】我慢する、自重する、抑える、鬱憤をためる 『溜める』。多く精神面で使う。方言とも言いがたい言葉。
ためる:自重する:神奈川。
おめー、せーぎんためでんだねーのげ:お前、最近鬱憤がたまってんじゃないの?。
(たも) 神奈川。
だも
だもー
だもの
だもん
【接】だから 『そうだもの』の意味。
そうだもの→だもの→んだものんだもーだもーだも
だもの:東京。
〜だも
〜だもん
〜たも
〜たもん
【複】〜だもの、〜(し)たもの 濁音形は名詞またはイ音便・撥音便の動詞に付き、清音形は促音形の動詞に付く。
〜だもにゃー:〜だものねえ:島根。あげですだもねぁー:あのようだものねえ。
おらやだも:私は嫌だもの。
そーたごどやんだも、はーおらしんね:そんな事を遣るんだもの、もう私は知らない。
はーやったも:もう遣ったよ。
たもぢ 水田で栽培したもち米またはそれで作った餅 『おがもぢ』(対)。
たもっ 農作業用の股引、藍染めで中割れになっている
たもど 手元、袂 現代語の『手元』に該当するものは基本的に『たもど・てもど』と言った。当時の冠婚葬祭の衣装は基本的に和服。さすがに子供服は概ね洋服に変わっていたが、冬の防寒服は綿入れ半纏が主流だった。
たもどくそ 袂にたまったゴミ 『袂糞』。
『俚言』によれば江戸時代には別に『たもと草』とも言った。
たもとくそ:神奈川。
たもとっくす:神奈川。
たもとっくそ:神奈川。
たももしき
たももひき
農作業用の股引、藍染めで中割れになっている たももひき:神奈川。
たもる
たもーる
【動】賜る、いただく 『給る』。
たもる:徳島。
たもっし:下さい:宮崎。
たもんせ:下さい:鹿児島。
〜たもれ 【複】〜(して)下さい 『賜れ・給れ』。現代では、神事などでしか使われないが、当時は日常語の中にまだ残っていた。
〜(し)たもんだがな
〜(し)たもんだかな
【複】〜(し)た方が良いかねえ 標準語でも『どうしたもんかねえ』という言い方がある。
あいづにゆったもんだなよー:彼に言った方が良いものかなあ。
★『土』切干でも切つたもんだかな:切干大根でも切った方が良いかねえ。
それじやちっとも殘(のこ)したものかな:それじゃあ、少しでも残した方が良いかなあ。
〜だもんだ 【複】〜なものだ 青森・秋田・山形・群馬・愛知。
〜だもんで
〜だもんだがら
【助】〜だから でーじだもんだがらなぐすなや:大事なものだから失くすなよ。
んだもんで:それだから、
やだもんだがら:嫌なものだから。
たもん
たもん
たもん
たもん
農作業用の股引、藍染めで中割れになっている 福島・群馬・富山・長野・静岡・三重・奈良ではもんぺを『たっつけ』と言う。
〜だや
〜だやー
【助】〜だい?、〜だよ? 『だや』は『だい』の古形。『〜にてあるや』『〜なりや』。
『い』は、命令・疑問・断定など種々の文の終りについて語勢を添える終助詞。『や』から『え』を経て、または『よ』から変化したとされる。感動その他の語勢を添える(広辞苑)。現代標準語では『〜かい』(軽い疑問・強い反対)を除き死語になってしまった。
〜ならー:岡山・広島。
なにやんだやー:何をするんだい。
なんなんだやー:何なの?。
どーだや:どうだい。
たやいねー 【形】他愛無い たやねー:神奈川。
たやげねー 【形】頼りない 古い言い回し。
たやもね
たやもねー
【形】他愛無い
たやっけねー 【形】@空腹の様、A手ごたえが無い 『頼りがいが無い』の転。また、『他愛ない』にも通ずる。『集覧:猿』。集覧には『腹の減た心持又は手耐なきこと。』とある。
たゆみ たゆむこと。ゆるむこと。おこたり。 『弛み』。
☆たゆむ 【動】@弛む、A怠ける、怠る やや古い標準語、今では、一般に『弛む(たるむ)』が使われる。どうも『絶ゆ』と音形が近いので、『たゆまない・たゆまなし・たゆまぬ』等の言葉と『絶え間なく』が錯綜して使われなくなった言葉のように思える。
今でも『たゆみなく進化する』などと言う。
昭和30年代の茨城では、『おめ、ちっとたゆんでんだねーのが。』などと言われた。勿論『たゆむ』も使われた。
見方を変えて、『たゆむ』とは何かということになる。辞書には『弛む』とある。現代では、『たわむ』に当たる。
自動詞『絶ゆ』とは『絶える』の意味である。他動詞の『絶つ・截つ・断つ』とは、『やめる、たやす、終わらせる、切り離す、さえぎる』の意味である。
日本語の『たつ』には、『さっぱりと事を成す』意味があるらしい。
一方、絶える意味に『絶ゆ』がある、
なぜ『たゆむ』の言葉が生まれたかは定かではない。
だやい:疲れる:富山。
▽たゆらに 【副】動揺して 『たよらに』。『たゆむ』の副詞形。広辞苑に『【副】動揺して定まらないさまに。たよらに。』とある。
万14−3392『筑波嶺の岩もとどろに落つる水世にもたゆらにわが思わなくに』。
だよ
だよー
だーよ
だーよー
【感】そうだよ、そうなんだよ さりげない言い方だが、茨城弁らしい省略形のことば。標準語でも『だろう』などと言う。
たよげねー
たよけねー
たよっけない
たよっけねー
たよりっけねー
たよんねー
【形】頼りない 『たよっけ・たよりっけ』は『頼り甲斐』の意味。『たよりげない』は俗語として使われる『頼り気ない』の意味の可能性もある。
たよりねー
たよりーねー
【形】頼りがいがない 『たよりげない』は俗語として使われる『頼り気ない』の意味の可能性もある。
(たよりする) 【動】宣伝する 福島。
△▽だら 人糞肥料、糞尿 『こいだら』
辞書掲載語。東北・関東・中部地方・熊本県の言葉とある。そうなると方言とも言いがたい。擬態語と思われる。
だら:東北・宮城・山形・福島・関東・中部地方・熊本。
だら:馬鹿:富山・石川。
だらけ:馬鹿:石川。
だらず:馬鹿者:鳥取。
◆▲たーら 『集覧:新』。古形『たはら』の流れ。
たら:秋田。
たーら:神奈川・静岡。
〜だら 【接】それなら 『なら(口語)』。=『〜んだら』
だば:青森。
(〜だら) 【助動】〜です。〜ます。 神奈川。
〜だら:〜だろう:山梨・静岡。。
〜だら
〜たら
【助】〜な 『たり』の連体形『たる』の転。
そーだらごどゆーなよ:そんな事言うなよ。
こんたらごど:こんなこと。
〜だら 【助】(体言について)〜なら 体言(名詞・代名詞・副詞)につく『であるなら』『であらば・であれば』の転。静岡でも使われる。
他県の方言としての『だら』は推量の助動詞として静岡・愛知・長野で使われるがこれは『だろう』の意味である。
古きをたどれば、『〜にてあるらむ』と考えられ、『らむ』には現在の推量を表す用法がある。『らむ』は現代語の『ろう』につながる言葉である。
『〜にてあるらむ』すなわち『〜であるらむ』は、本来ならば双方が『たら、だら』に変化するべきものだったが、『にて』『である』に変化する過程で、現代標準語では促音化した動詞に付く場合は『たら』を選び、撥音化した動詞には『だら』、名詞あるいは動詞の連体形には『なら』を付ける事を選んだことになる。
茨城県人は複雑な言い回しは避ける傾向があるから、促音化した動詞に付く場合は『たら』を選び、撥音化した動詞だけに『たら』を使い他は『だら』に統一しようとしたた知恵が伺われる。
標準語では体言に続く場合は、『なら』が多く使われる。この差異は、『なり』と『たり』に繋がる。
日本語の動詞の起源は、デカルトではないが、『ある』であったろう。『ある』とは『我がここに留まる』の意味だったのではないか。
〜だら:宮城・千葉・栃木・群馬・静岡。そんなすきだらおめにくれべー:そんなに好きならお前にあげよう:千葉。
あれだら:あれなら。
こんだら:これなら。
そんだら:それなら。
あーおめがー。おめだらいーべな:ええ、お前なの。お前なら好いだろう。
あさだらいる:朝なら居る。
いぢだらいーな:イチゴなら良いね。
おめだらばでぎるよ:お前なら出来るよ。
はやぐだらまにあーべ:早いうちなら間に合うだろう。
おめだらいーべ:お前なら良いだろう。
どれだらいいんだ:どれなら良いんだい。
そったいーのあんだらおれにくんにが:そんな良い物があるなら僕に頂戴。
★『土』:俺(お)ら今日見てえだらえゝ、酷(ひど)く行逢(いきや)ひたくなってなあ:私は今日みたいなら良いんだけれど、ひどく会いたくなってねえ。
★『土』:わし等(ら)だらなあに、あゝた野郎(やらう)なんざあ槍(やり)でゝも何(なん)でも突(つ)っ刺()しっちあんでがすね。
★『土』:俺(お)れ卯平(うへい)だら槍(やり)で突(つ)っ刺(ぶ)してやんだ
★『土』:食料(くひもの)措(を)しるなんち業(ごふ)つくばりもねえもんぢやねえか、本當(ほんたう)に罰(ばち)ったかりだから、俺(お)らだら生(い)かしちや置(お)かねえ、いや全(まった)くだよ
〜だら
〜たら
【助】(動詞について)〜(し)たら、〜(する)なら 標準語。完了の助動詞『た』の仮定形。仮定形が撥音便またはイ音便の動詞に付く。かんだら:噛んだら、よんだら:読んだら、んだら:屈んだら、こばんだら:拒んだら、こいだら:漕いだら。
茨城弁の場合『〜(する)のなら』が訛ったか、『〜(する)のだら』『〜(する)のであらば』(最近とんと聞かない)の撥音形と考えられる。これは、『〜にてあるらむ』『〜にてあるらば』がルーツだとすれば、全ての疑問が解ける。
茨城では清音形をを使うのは促音化した動詞だけで他は全て濁音形が使われる。以下標準語との境界が微妙なものもあるが/以下は現代標準語で最も一般的に使われる言い方を示す。
〜だら:青森・千葉・栃木。
たなだらここにあるねー:小刀ならここにあるよ:青森。
そんなすいだらおまえにくれべー:そんなに好きになったらお前にあげよう:千葉。
いぐんだら:行くのなら。/行くなら。
よぶんだら:呼ぶのなら。/呼ぶなら。
むんだら:屈むのなら。/屈むなら。
こばむんだら:拒むのなら。/拒むなら。
やんだらいーべ:やるのなら良いだろう。/遣るなら。
おめやんだらいーべ:お前が遣るならいいだろう。
★『土』:欲(ほ)しいっちんだら出(だ)して遣(や)れえ。
★『土』:にはとりやんなそっちに別(べつ)にして有(あ)んだから撒(ま)いてやんだらそっちのにして呉(く)ろっちったのよ:鶏に遣るのはそっちに別にしてあるんだから、撒いてやるのならそっちのにしてくれって言ったのよ。
〜だら
〜たら
【助】〜とやら、〜だとか、〜とか 『とやら』が訛ったもの。俗語の『なんたらかんたら』の『たら』。
広辞苑に『たら:(「とやら」の転) …とか。狂、止動方角(シドウホウガク)「いや兼日からの約束ぢや―申されます」』とある。
標準語では特定の語や俗語的な言葉としてに残り、茨城では日常的に使われる助詞。
ああたらこうたら
なんだらかんだらゆーがんな:あれこれ言うからね。
これだらそれだらゆってきがねーや:これだとかそれだとか言って(言うことを)聞かないよ。
なんたらいってだなー:何とか言ってたなあ。
〜だら 〜達 取手市。
(だらい) 【形】ずるい 福島。
(だらい) 【形】だらだらと緩んでいる様 神奈川。
〜だらいがっ
〜だらいがっへ
〜たらいがっ
〜たらいがっへ
〜たらよがっ
【複】〜(名詞)ならいいだろう(推測)、〜(し)たらいいだろう(勧誘) 原型は『〜にてあるらばよかるべし』。
『だ』形は名詞またはイ音便・撥音便の動詞に付き、『た』形は促音形の動詞に付く。
やんだらいがっ:やるなら良いだろう。
ほれだらいがっ:それなら良いだろう。
よってったらいがっ:寄ってったら良いでしょう。
あいづだらいがっ:あいつなら良いだろう。
たらいふく 【副】沢山、たらふく 那珂湊市。『民俗』には『大きいこと』とある。
たらえ タライ、盥 『盥(たらい)』とはもともと『手洗い』が転じたとされる。また、『楾・半挿(はんぞう)』『半挿盥(はんぞう)』とも言う。
だらおげ
だらおけ
肥え桶 『集覧:猿』。茨城方言集覧では『だらをけ』とある。
だらおげ:山形。
だらおけ:福島。
たらがす 【動】@(水などを)零す、Aほったらかす @『垂らす』の他動詞形。
からかす:神奈川。
たらかす:神奈川。
A『ほったらかす』の短縮形。
たらがす 【動】騙す 『誑かす(たらかす)』(甘言でだます。人をさそいこむ。誘惑する。子供などをすかしなだめる。)の濁音化。
だらかづ
だらかつ
肥え桶担ぎ
〜だらがっ
〜だらがっへ
〜たらがっ
〜たらがっへ
【複】〜(名詞)ならいいだろう(推測)、〜(し)たらいいだろう(勧誘) 原型は『〜たらよかるべし』。
『だ』形は名詞またはイ音便・撥音便の動詞に付き、『た』形は促音形の動詞に付く。
長音形は強調形。関東圏では『べい・べえ』(可い・可え)が使われる。
『へ』は県南部の一部で使われる。
『〜たらいがっ、〜たらよがっの短縮形。
でーにあってったらがっ:座敷に上がっていったらいいだろう。
よばったらがっ:呼んだら良いだろう。
いぐらがやってったらがっ:少し(酒を)飲んでったらどう。
たーらみさま 俵の神様 茨城では取手市に残る。民俗語。土間に俵を積んで祀る。
たわらがみさま:群馬。正月に祀る。
だらぐ
□▽だらく
@手抜かり、落ち度、無精、A怠け者、だらしが無い様、B落ちぶれること、C品行が悪くなること、だらしがないこと 『堕落』。
@・だらぐ:山形。
A・だらく:宮城。
だらくもの:だらしが無い人:宮城。
BCで清音なら標準語。
広辞苑には『堕落:落ちること。墜落。A品行の修まらないこと。身をもちくずすこと。Bおちぶれること。零落。C〔仏〕道心を失って悪道に落ちること。』とある。
だらぐ
だらく
【副】沢山、はなはだしく 『あらぐ・ずあらぐ』。多い意味を『あらぐ』とも言う。『ずあらぐ』は『図荒く』の意味と考えられる。『だらぐ』はそれが訛ったと考えられる。もともとは『手荒く・乱暴に』の意味。また、『ざらに』には『いくらでも。むやみやたらに。』の意味がありそれが訛った可能性もある。
『称呼』には『多い:京にてせんどと云。相模にてたうどといふ。常陸にてだらくと云。信州上州共にもうにと云。上総にてどんどと云。遠江にてしごくだまと云。東国にてしこたまと云。仙台にてよんこと云。肥州にてよんにゃうと云。是は余饒(よにょう)ある。』とある。
〜だらぐ 【助】〜だらけ
(だらくさ) 皺だらけ 佐渡島。
だらくせー 【形】馬鹿らしい 『糞尿臭い』意味か、『堕落しろ』の意味か。
だらくみ 糞尿を汲み取ること だらくみ:宮城。
だらぐら 【副】だらだら
だらぐらしー 【形】だらしない
だらぐれる
だらくれる
【動】@列が乱れる、A服装や態度が悪くなる、Bなまける、おこたる、たるむ だらくれ:酔いつぶれた様:岩手。
だらくれる:酔いつぶれる:岩手。
(〜だらけ) そのものにまみれ汚れたさま 標準語ではこのほか『〜だく・〜だるま・〜まみれ・まぶれ』等がある。『まぶれ』は今では廃れた言い方で、『だく』は汗に『だるま』は血や火にしか使われない。『だらけ・まみれ』が広く使われるが、以下、文献の揃っている茨城と神奈川の方言をピックアップした。結果的にいずれも『泥』と組み合わされるものである。いずれも語源は不明である。茨城の『ひぢぼ・ぶちけ・へちぼ・へちま』と神奈川の三つの言い方が近似する。茨城には真っ黒を意味する言葉としてまっくろちんぼーまっくろへぢんぼ・まっくろへちんぼー』がある。『ひち』とは甚だしいを示す接頭語であるが、そこから先が解からない。それとも『黒八・
黒八丈』にちなんだ言葉か。『泥だらけ』を意味する茨城方言も泥で真っ黒になった意味か。『でっん・でんびん』となると皆目見当もつかない。
尚、神奈川の三つの言い方が『ばかり』が訛ったとしたら『日向ぼっこ』の語言説は怪しくなる。
つま:神奈川。『ぐちまま』すなわり泥のままか。
つめ:神奈川。『ぐちまま』すなわり泥のままか。
りて:神奈川。『ぐるりと』か。
るた:神奈川。『ぐるりと』か。
〜でっ:茨城。
〜でんびん:茨城。
〜ひぢぼ:茨城。
〜ぶちけ:茨城。
〜へちぼ:茨城。
〜へちま:茨城。
〜ぼちけー:茨城。
〜ぼっかい:神奈川。
〜ぼっけ:神奈川。
〜ぼっこ:神奈川。
だらげる
たらげる
【動】@列が乱れる、A服装や態度が悪くなる、Bなまける、おこたる、たるむ 『だらける』意味か?。『垂れる』の他動詞形?。いずれも言葉のルーツは同じと思われる。
『俚言』には『たらける:出羽にてなまけるをいふ。』とある。
たら:散らかす:神奈川。
だらげる 【動】氷などが解ける
たらし お好み焼き、もんじゃ焼き 『垂らし』の意味。水戸市・那珂湊市。
(〜)たらし @だますこと。また、その人。A垂らすこと。漏らすこと。Bしたたらせること。したたり。たれ。 意味によって異なる漢字が当てられているのは、漢字が伝来した後に当てられたと思われ、もともとは純粋な和語と思われる。『誑し』も『垂らし』同じルーツであることは間違いない。
@『誑し』。標準語。現代では複合語として使われるが古くは単独でも使われた。『女誑し』
A標準語では普通『垂れ』が使われる。
・くそったれ:『しょんべんたらし、しょんべんたれ、おんこたらし、おんこもらし』
B『滴』。垂らすの名詞形。
〜たらしい 【助】〜の傾向がある 形容詞や形容動詞の語幹につけて、その傾向がある新たな形容詞に変える。促音便を伴う。
だらしねー
だらしねー
【形】だらしがない 茨城方言集覧では旧新の方言で『しだらないという意味』とある。本来は『しだらない』が正しい言葉で江戸時代に倒語が流行して現代では逆になってしまった言葉の一つ。
だらしねー:東京多摩。
だらっかい:静岡。
たらしこむ 【動】うまくだましこむ、誘惑して自分のものにする 『誑し込む』。
たらしつける 【動】すかしなだめる 『誑しつける』。
たーらしめき 俵締め機 俵を閉める金属製の道具。
たらしやぎもぢ お好み焼き 那珂郡。
たらしやき:ぼったら焼:東京多摩・神奈川。
なべやき:ぼったら焼:神奈川。
ぼったら:ぼったら焼:茨城。
たらす 【動】@(鼻を)垂らす、A(大小便を)する、漏らす 『垂らす』。標準語。
@現代語の『だれる』には漢字は当てられておらず、『垂る』が変化したとされる。『弛む。』が現代に残る。
A現代語では『くそったれ』ぐらいしか使われない。
おんこたれでくっから:ウンチして来るから。
◎たらす @甘言でだます、Aすかしなだめる 『誑す』(すかす・たらす)。
@現代では『誑し込む』程度しか使われない。
たらされる:だまされる。
A古語では子供などをすかしなだめる意味がある。
(だらすけ) 怠け者 福島。
そのまま標準語で言えば『糞野郎』の意味とも言えるが、人名化した『だら助』か。
たらずめー 不足分 『不足前』(たらずまえ)。
たらたら 【副】(お世辞や嫌味等を)長く言い続ける様、汗や滴が流れる様 標準語。
(だらっかい) 【形】だらしない 静岡。
『だらしない』の古形は『しだらない』であるが、『だらしない』に変化したプロセスを暗示させる方言である。すなわち副詞の『だらだら』の影響を受けた可能性がある。『かい』は形容詞を形成する接尾語であろう。
たらづぐ
たらつぐ
【動】@振りをする、(良く無いことを)言う、文句を言う、A垂れ下がる @『垂らす』+『つく』。この場合の『垂れる』は、よくないことを言う意味。
つおいまねたらつぐんだねー:強い振りするんじゃない。
A『垂れ』+『つく』。
たらづぐ:山形。
だらつぐ 【動】だらだらする 『だらつく』。
(だらっょーし) 【副】たびたび、しばしば 神奈川。
だらっ:群馬。
(だらっる) 種を人糞に混ぜて撒くこと 静岡。
だらつぼ 人糞を落す壷 『だらつぼ』の上に板を二枚渡して便所として利用したので、便所の別名は『にほんばし』(二本橋の意味)とも呼ばれた。
(だらに) 【副】@ざらに、Aむやみやたらに、非常に、しばしば、沢山 @神奈川・静岡。
A群馬・神奈川。
〜だらば
〜たらば
【複】〜ならば、〜(し)たならば 『〜であらば』『〜にてあらば』の意味。
『だ』形は名詞またはイ音便・撥音便の動詞に付き、『た』形は主に促音形の動詞に付く。
完了の助動詞『た』の仮定形。ガ・ナ・バ・マの各行の五段活用の動詞に付く時に限って『だ』になる。仮定形が撥音便になる動詞に付く様である。かんだらば:噛んだら、よんだらば:読んだら、んだらば:屈んだら、こばんだらば:拒んだら。しかし、現代では終止形に『ならば』がつくのが一般的である。古い表現では『〜にてあるらば』か。
本来は『〜だれば、〜たれば』。『〜だれば、〜たれば』と現代語の『〜だら、〜たら』の混合形で『〜ならば』は『にてあらば』が変化したもの。清音形は八丈方言共通語。
この表現は、当時の茨城では日常語だったが、現代では方言の響きがある言葉。『関東べい』を馬鹿にするのを揶揄するように『べえべえことばをやめたらべえ、鍋やつるべはどうするべえ。』があったと言う。この場合最初の『べえ』『ばや』の意味であろう。『関東のべいべい言葉が嫌だらば、鍋やつるべはどうするべえ。』という言い方もあったという。さらに茨城バージョンの『常陸のべーべー言葉がやんだらば、鍋と釣瓶どーすんべ』という言い方もあったという。
おめだらばいーどな:お前なら良いよ。
はいぐゆったらばいーにによー:早く言ったら良かったのにね。
〜だらば 【複】〜ならば 名詞に付く。この形式は標準語には無い。『〜であれば・〜であらば』の転。
おめだらばでぎっ:お前ならばできるだろうよ。
だらびしゃぐ
◆▲だらびしゃく
だらしゃぐ
だらしゃく
だらびや
だらびやぐ
肥え柄杓 『集覧:猿』。人糞肥料を移すひしゃく。
茨城では柄杓を『ひやぐ・ひやく』とも言う。
たらふぐ
たらふく
【副】たらふく 『集覧:久』。
たらぼ
たらぼー
たらんぼ
タラの芽、タラの木 『俚言』には『たらぼう』があり文脈を見る限りタラの木を指しているように思われるが、別に『たらの木』の解説があり、関係については解説されていない。
タラの木は『はぜのき、はじのき、はじ』とも言う。
広辞苑には『ウコギ科の落葉小高木。高さ約五メートル。茎・葉共に大きなとげがあり、葉は二回羽状複葉。初秋、白黄色の小花を球状に集めてつけ、花後紫黒色扁球形の核果を結ぶ。若芽・若葉は山菜として食用。材は小細工用。樹皮は糖尿病に有効という。ウドモドキ。マンシュウダラ。』とある。初夏に収穫できる『太郎の木』の意味もあるのかもしれない。また『はぜのき』の名があるように魚の『タラ』との関係も検証する必要がある。
県北部では『とたらぼー』と言う。猿島郡では『たーらっと言う。
たらっ:栃木・群馬。
たらっ:宮城。
たろっ:群馬。
たらぼっち
たーらぼっち
たーらんぼっち
俵の側面の蓋、さん俵 『ぼっち』は帽子または『ぽっち』の意味か。また、『塞ぎ』すなわち『封じ』の意味も考えられる。
たーらんぼー:静岡。
★『土』それを足の底に踏んで踵(かかと)を中心に手と足とを筆規(ぶんまはし)のようにしてぐるぐると廻りながら丸い俵ぼっちを作つた。
たらまね
たれまね
ただのまね、つまらないまね 『ちゃら』(ごまかしのことば。でたらめ。でまかせ。うそつき。)が訛ったか。
たら:酔った振りをすること:岩手。
たらめぎ 水等が滴る音 『たらめく』の名詞形(辞書不掲載)。
たらめぐ 【動】滴る音がする、たらめく 濁音化。
『たらめく』は辞書にある古い標準語。『めく』とは接尾語で名詞・副詞・形容詞・形容動詞の語幹について『〜のような状態になる、〜らしい』意味を示す。多くは音を示し、垂れる音が響く様。』。現代語では『きらめく』が代表的。
だらめかす:こぼす:岩手。
〜たらや
〜たらやー
〜たらよ
〜たらよー
【助】〜(し)たらどう 30年代の勧誘の言い回し。
はいぐでがげだらやー・はいぐでがげだらよー:早く出かけたらどう?
だらんきょ 成人男性性器
だらんんだらん
たらんたらん
たらんくらん
【副】だらだら、たらたら、ちゃらんぽらん
たり 足袋の大きなものを指す 『集覧:新』。
(たーりー) 父親 沖縄。
たりー 【形】おっくうである。気がすすまない。だるい。たゆし。 『怠し・懈し』の流れ。
〜だり 【助】@〜や、〜だとか、〜だの、、〜なら、〜(する)なり、〜なり、A〜(し)たり、B〜だり 『〜にてあり』『〜であり』が訛ったもの。八丈方言でも『それじゃーだれだりやーてこまろじゃのー』(それでは、誰だって困るだろう。)等ほぼ同じ意味で使われる。
@A名詞や形容詞を並立する場合にも使うところが、標準語と全く異なる。標準語では『〜だの』『なり』が使われる。古い言葉の『なら』に当たる。『なら』は広辞苑に『【助詞】並列の意を表す。でも。なり。…といい。一代女四「大節季に、一門中から寄る餅―肴物―」』とある。
〜だり:青森。すこしだりほしー:少しなりとも欲しい。
おれだり、おめーだりやるほがあんめ:俺とかお前とかがやるしかないだろう。
なんだりかんだり:なんだのかんだの。
ほしーだりほしぐねーだり:欲しいとか欲しくないとか。
Aで促音便を伴った動詞の場合は、多くは標準語同様清音形を使うが、古くは全て濁音形だった。これは、方言というより言い安さが導いた言い方と思われる。
やっだりやんねーだり:やったりやらなかったり。
Bは並立助詞で、ガ・ナ・バ・マ行五(四)段活用の動詞(撥音便に活用した動詞、ex.『遊んだり』)に付く場合の『だり』で標準語と同じ。
あすんだりすっからいぐねんだ:遊んだりするからいけないんだ。
〜たり 【助動】形容詞の連用形に付けて一例をあげて、同様の事があるのを暗示する時用いる 標準語では『(元来は文語完了の助動詞タリの連用形)@動詞の連用形について「…たり…たり」の形で、動作の並行・継起することを表す。撥音(ハツオン)から続くときは「だり」となる。娘節用「力になつ―なられ―するのは」。「飛んだりはねたり」A一例をあげて、同様の事があるのを暗示する時用いる。「泣い―しては駄目」B命令・勧誘の意味を表す。「さあ、どい―、どい―」』だが、茨城では、形容詞の連用形に付けて使う事がある。
くたりすっと:長かったりすると。
〜たり 【接尾】人数を示す接尾語、〜人 『〜てあり』が転じたとされる。茨城では日常語として使われた。『みったり、よったり』。
『俚言』によれば江戸時代にははすでに『ひとあり、ふたあり、いくつあり』と言っていたというから、茨城の呼称はそれより古い言い方である。
(だりどっす) 【複】疲れた 沖縄。
〜だりまったり
〜たりまったり
【助】〜しながら、〜したりして 『まったり』は『待ったり』(その行為を一時中断する意味)ともとれる。
〜だのまったの:あれこれ言って:宮城。
◆▲たる ドジョウを獲る竹製の漁具、筌 『集覧:稲・真』。『樽』の意味。
(たる・たろ) 静岡。
広辞苑に『たる【垂】:(垂水タルミの略) 滝。たろ。』とある。
現代語の感覚では『たれ』だろう。
たる 【動】@垂れ下がる、A水等が垂れる、B大小便や屁をする、Cよくないことを言う 『垂る(自四)』(四段活用は奈良から鎌倉時代頃まで行われ、のち自動詞としても下二段活用が行われた:広辞苑)。
終止形をを使うことはあまり無い。茨城方言ではラ行活用動詞の『る』が促音化する。
・遣るから:やっから
・見ると:みっと
これらから、ラ行音を含まない促音化しない言葉は下二段活用をベースにした方言と考えられる。
/の後は下二段活用をベースにした方言。ただし、ラ行音を含んだ上で、促音化する言い方もある。り
@★ごむたっちる/ごむたれでる:ゴムが垂れ下がっている。
A・たる:東京青梅。
しずかーたる:しずくが垂れる:東京青梅。
みずたってっと/みずたれでっと:水が垂れてるよ。
あめたっから/あめたれっから/雨がたれるから
B★垂れた:たった・たっちゃ/たれだ
★垂れて:たっち・たっちぇ・たって/たれで
しょんべんたっちく・しょんべんたっちぇく・しょんべんたってく/しょんべんたれでくる:小便をしてくる。
C★ちぐたったっ/ちぐたれだっ:嘘を言ったろう。
(〜たる) 【複】〜(し)てやる 大阪・兵庫他。
〜たる 【連体】形容動詞表現の一つ 『〜にてある』意味。現代語でも『何たることか。』などと言う。
たるい 【形】おっくうである。気がすすまない。だるい。たゆし。 『怠し・懈し』の流れ。しかし何故か辞書には無い。
たるくさい:つまらない・くだらない
:長野。
▽たるいれ 結納 古い標準語。婚約した時。婿側の仲人が嫁側に樽酒(柳樽)を入れることからそう呼ばれる。
たるいれ:栃木・群馬・神奈川。
たるぎ 屋根の裏板または木舞(コマイ)を支えるために、棟から軒にわたす材。はえき。 『垂木』。建築専門用語。『はえき【榱】』は現代では使われない。
たれこ:静岡。
だるこい
だるっこい
たるっこい
【形】だるい、緩い
たるぬぎ 柿の渋抜き たるぬぎ:宮城。
(たるひ) ツララ 古語『垂氷』。
『方言学概論』には『たるひ(つらら):東北(青森を除く):新潟・石川・福井・大分・佐賀・長崎・熊本。訛多く二十九に達する。要するに、第二音がラリルレロと変じ、第三音が、シ・ス・キ・ビ・ベ・ペ・ミ・ム・メ等と変ずるのである。』とある。
岩手・秋田・宮城・山形・福島・新潟・石川・福井・大分・佐賀・長崎・熊本。
だるま
たるま
売春婦 『達磨』。正確には『下等な売春婦の異称。じごく。』。
◎だるまや 売春宿 『達磨屋』。正確には『私娼を置いている宿。』。
たるみこし 酒樽を神輿のようにかついで祭に加わるもの。 『樽御輿』。広辞苑に『もとは神酒を神にささげた形と思われる。』とある。
だるむ 【動】弛む。しまりがなくなる。気持などがゆるむ。 単に濁音化とは言えない言葉。
標準語では『だれる』と言う。もともと『だれる』は『垂れる』を語源とする言葉。江戸時代の言葉に『だる』があり疲れる意味を指す。濁音化は茨城弁のトレードマークでもあるが、標準語の流れにもにもあることが解る代表例。
現代語の『たるい』も『怠い(だるい)』も『垂る』に由来すると考えられる。
だるむ:たれる:腰がだるーてしもーとー:徳島。『たれる』は『ふるさと』の解説に従っているが、現代語では『だるくなる』に当たると思われる。
だるる:疲れる:宮崎。
だれやみ:晩酌:宮崎。『疲れが止む』意味。
たるむ 【動】張りつめていたものが、ゆるむ。 『弛む』。
最近は、物理的な意味で使われることが少なくなった。
たるめる 【動】ゆるむようにする。たるませる。 『弛める』。
最近は、物理的な意味で使われることが少なくなった。
たるめる:東京多摩。
〜たれ 【接尾】(名詞の下に付けて) 人を悪く言う意を表す語。 『垂れ』の意味と擬人化した『太郎』が訛った説があるようである。標準語では『洟垂れ、洟垂れ小僧』『糞垂れ、糞っ垂れ』『馬鹿垂れ、阿呆垂れ』等が良く使われる。
『太郎』に該当するのは『阿呆陀羅経』が辞書掲載語。『あほんだら』などとも言う。
しかし、『たらし』と同義で『にてあり』が訛ったと思われる。『垂らし』にも通ずる。現代語の『憎たらしい』にも通じる。
『たれる』には、『@流し落とす。こぼす。また、大小便や屁をする。A(「垂」の訓読として) 目下の者や後世の者に、表し示す。Bよくないことを言う。』意味がある。
ざまたれ:醜い状態・良くない状態。
しこたれ:身なり・したく・醜い状態・良くない状態・だらしがない様。
たれー
たーれー
たらい タライは、『手洗い』が訛ったものである。
たれ:鹿児島。
たれー:福島・神奈川。
:青森・岩手・秋田・山形・福井。『半切』(底の浅い盥(タライ)状の桶。半桶。はんぎりおけ。盤切。)が訛ったものである。
だれー
だーれー
【感】なんだいそれは、どうしてそんな 『なんだーあれー』の短縮形と考えられる。呆れ返りながら否定する言葉。『え』を長く伸ばして語尾を上げる。長いほど感情がこもっていることが解かる。『1141』。
だれー:いいやそうでなくて(相手を否定して) :長野。
だーれえー:宮城。
だれー 【複】嫌だ 『だれーや、だれーやる』
(たれか) 怠け者 宮城・福島。
『だれる』は『垂る』に由来するとされ、この方言も『垂る』にゆかりのある言葉と見られる。『垂れ家』の意味かただし、明治と現代では意味のずれがあり、『たれか』とは『誰か(他の人)』、『たれかこかす』は『誰かを転ばす・騙す』の意味の可能性が高い。
たれか:ずる:福島。
たれかこかす:ずるく立ち回る:宮城。。
たれかこぐ:怠ける:宮城。
たれかしてんでね:さぼってるんじゃない:福島。
たれかびょー:仮病:宮城。
たれかもの:ずるく立ち回る人・怠け者:宮城・福島。。
たれかもん:怠け者:福島。
だれが
だれがが
だれがな
誰か
だれがいないのげ
だれがいねげー
だれがいねーげー
だれがいねーのげ
だれががいねのげー
だれがないめーが
【慣】誰かいませんか
だれがいだがー
だれがいっか
だれがいっけ
だれががいんのげー
だれがおりますか
だれかおりませんか
【慣】誰かいますか
だれがが
だれかが
【複】誰か
だれががは
だれかがは
【複】誰かは
たれかす (液状のものを)垂らした跡、垂らしたもの 『垂れ滓』の意味。
そごのしょーゆのたれかすぞーきんでふーどげよ:そこの醤油を垂らした跡を雑巾で拭いといてよ。
だれ
だれ
だれがん
誰のもの
だれやったがおかだのせじろにきーでみろ 【慣】誰がいたずらをしたか当てるとき、これを一人一語ずつ言って最後になった者を張本人とする。 児童語。土浦市、新治郡。
『誰が遣ったか岡田の清次郎(清十郎)に聞いてみろ。』という意味。何かにかけていると思われるが不明。
だれやんだがなしんねけんと 【複】誰がやるのか知らないけれど
だれゆーごどだってきがねー 【慣】誰が言っても聞かない、誰の言う事も聞かない
だれがれ
だれかれ
だれこれ
【慣】あいつだとかこいつだとか、あれこれ 『誰彼』。
そおただれがれゆったってやったのはおめにきまってっ:そんな誰彼言ったって遣ったのはお前に決まっているだろうが。
だれれでぎる
だれれにできる
だれっくれでぎる
だれっくれーにでぎる
【複】誰と同じくらいにできる? 『どれれでぎる』と同じ語法。かつては、標準語でも同じ語法があった可能性がある。
(たれこ) 垂木(たるき:屋根の裏板または木舞(コマイ)を支えるために、棟から軒にわたす材。はえき。) 静岡。建築用語。
『垂れ木(こ)』の意味と思われる。
だれだーれ 【複】誰だいあれは?
だれだれ 【代】誰か、誰と誰 古い標準語。
やったのはだれだれだ?:やったのは誰だい。
だれだれゆーんだっけよ:誰かが言ってたよ。
だれちゃん 【複】お名前は? 子供に名前を聞くときに用いる言葉。
たれちゃん:福島。明治の方言。
だれちゃんかな
だれちゃんだっ
だれちゃんちーの
だれっか 誰か
たれつぐ 【動】(文句を)言う
たれっこ カイコが繭を造り始めてから死んで黒くなったもの
たれっ 下痢 県北・県西の方言。
〜たれど 【複】〜(し)たけれど 現代では富山に残る。
だれにが
だれにか
【複】誰かに
だれにがは
だれにかは
【複】誰かには
だれのだれべえ 氏名
〜だれば
〜たれば
【複】〜(し)たら 『〜(し)たれば』。文語表現の濁音化。
★土浦の民話:にたにた地蔵:ああ、あん時(とぎ)はよ、雲悪ぐ(うんわりぐ)、俺の竿にひっかがっちゃってよ。あげで見だれば、水ぶぐれの顔にぬれだ散らし髪ひっついでで、俺(おら)思い出すと、夜も眠らんねがったっけよ。
★土浦の民話:原山の狐:暗ぐなった夜道(やみぢ)、ふーらりふーらり歩ぎなら、誰が、連れはいねーがど思ったれば、前(めー)の方(ほ)、誰が、提灯(ちょーぢん)つげで行の見(め)えだっけど
だれーや 【複】誰がやるものか、嫌だ 『集覧:鹿』。『誰がやる』意味の『だれーやる』がさらに転じたものと思われる。
広辞苑に『@たれやしひと【誰やし人】どういう人。たれびと。Aたれやのひと【誰やの人】:どんな人。たれしのひと。Bたれ‐や‐の‐もの【誰やの者】:「たれやのひと」に同じ。』とある。
だーいろ:福島。
だらい:福島。
だれべー:群馬。
だれーん:誰が:静岡。
たーれぁー タライ 『集覧:猿』。名古屋弁に負けない音便。
(たれもの) 【感】あのう、ええと 静岡。
だれら 誰の複数形。標準語には無い言い方。
たれる 【動】@大小便や屁をする、A(良く無いことを)言う、B目下の人に説教する、C滴が落ちる 標準語だがあまり使われない。
@・たる:宮城。
たれる:神奈川。
しょんべんたっちこ:小便して来なさい。この表現は、殆ど幼児言葉で、原型は『しょんべんたれでこー』。この場合の『たっち』は、『垂れて』→『たって』→『たっち』と訛ったものだろう。
★『土』★小便垂ったく成つたからよ:小便したくなったからだよ。
A★もんくたれんだねー:文句を言うんじゃない。
C★てんじょーがらあまみずたれできた:天井から雨水が落ちてきた。
だれる 【動】崩れる 『集覧:新』。
たーれる 【動】仕事に掛かりきる 『捕られる』『捕らわれる』が訛ったもの。
だれん 【複】@誰に、A誰の A俗語。
(だれーん) 【複】誰が 静岡。
(たろ) 長野・静岡。
滝の古形『たる』が『たろ』とも言うことから引きずられたと見られる。
たろー 家を持つ非人
〜たろー 【複】〜だろう 促音便を伴わない場合でも清音で使われることがある。明らかに古語の『たらん』の流れ。
いーたろー:良いだろう。
わるいたろー:悪いだろう。
だめたろー:駄目だろう。
(〜だろう) 【複】〜だろう 丁寧語として『でしょう』がある。
広辞苑には『だろう:(指定の助動詞ダの未然形ダロに推量の助動詞ウのついたもの)@体言および助詞「の」をうけて推量的指定を表す。A動詞・形容詞の終止形をうけて推量を表す。』『ろう:文語の助動詞「らむ」にあたる。推量または想像をあらわす。』『ずら:(助動詞「らむ」が「〜うず」に接続した語「〜うずらむ」の省略された形) 推量・疑問の意を表す。〜だろう。』とある。
:富山・石川・岐阜。
いろ:富山・石川。
〜じゃろ・じゃろー:島根・鳥取。
〜じゃん
〜ずら:神奈川・山梨。
〜ずらー:長野・山梨・静岡・愛知。
〜ずらか:〜だろうか山梨。
〜だべ:岩手・秋田。
〜だべ・だべー:東国語。東北全域・関東全域。
〜だっきゃ:岩手。
〜だっちゃ:宮城。
〜だっべ:茨城・千葉。
〜だっ・だっ:福島・茨城・栃木・千葉。
〜だっへ・だっへー:茨城。
〜だら:神奈川・静岡・愛知。
〜だらー:静岡・愛知。
〜だろ・だろー:首都圏。
〜だろぁ:新潟。
〜だんべ・だんべー:茨城・栃木・埼玉・群馬・神奈川。
〜だんべだら:岩手。
〜つら:過去の推量:神奈川。原型は『たら』と見られる。
〜でろ:秋田。『〜であろう』。
〜ど:鹿児島。いくど:行くだろう。かえるど:帰るだろう。
〜どぅら:山梨。
〜にかーらん:高知。『〜にかあらむ』。
〜のーじゃ:八丈島。
〜やらんさ:富山。
〜やろ・やろー:岐阜・愛知・関西。
〜やろー:大分・福岡・佐賀・長崎・鹿児島。
〜やん:愛知・関西。
〜ら:長野・山梨・静岡。いいら:良いだろう。
〜らー:長野。
〜ろー:新潟・岐阜・和歌山・島根・愛媛・高知。
〜だろ
〜だろ
【複】〜だろうけどさ 新しい言い方。
たろけむし
たろーけむし
たろむし
ヒトリガの幼虫 『太郎毛虫』の意味。中令までは毛が白いので、『ばばけむし』と呼ぶのに対して、終令では毛は黒いでそう呼ぶと考えられる。
たろさぐ
たろさく
たろさぐやろー
たろさくやろー
馬鹿野郎 罵倒言葉。人名化した『太郎作』と思われるが謂れは不明。
たろじ
たろーじ
たろうじ
田植仕事を指揮する人 『太郎二』。広辞苑には『(タアルジ(田主)の転) 諸国の田植歌に出る語で、たあるじのこと。』とある。『たぬし』とも言う。
那珂郡では『田植えの時苗を運んだり配ったりする男』の意味で本来の意味が失われている。
だわ 【複】そうだ、その通りだ 〜だわが:〜だろうか。
〜だわ
〜たわ
【複】@〜だよ、〜たよ、A〜しなさい @標準語では主に女性言葉。
〜だーわ:福島。
きづいごどゆーんだわ:きつい事を言うんだよ。
A軽い命令の意味。
〜だわ:しなさい/すうだわ:吸いなさい:島根。
だわい 【複】そうだぞ、その通りだぞ
〜だわい
〜たわい
【複】〜だよ、〜(し)たよ 〜だわい:福島。
たわいねー
たわぇねぁー
【形】他愛無い 『集覧:猿』。『たわぇねぁー』は名古屋弁に負けない音便だが原型は『たわいねえや』と思われる。
たわえなえ:山形。
たわぇーもねー:山梨。
たわげ 馬鹿者。 たわけらしー:馬鹿らしい:愛知。
たわげねー @【形】他愛無い、A【複】そんなわけない @『他愛』『気』ない。
A『そったわげねー』が約まったもの。
だわな 【複】その通りだ
〜だわな
〜たわな
【複】〜だよな、〜(し)たよな 江戸言葉。
だわや 【複】そうだ、その通りだ 『んだわや』
〜だわや
〜たわや
【複】〜だよ、〜(し)たよ
だん 馬一頭に乗せられる数量の単位 『駄』。
だん:群馬。
(たん) 富山。広辞苑に『たお【撓】:峠。鞍部。たわ。』とある。
たお:静岡。
だん 【代】誰 『誰』の古形は『た・たれ』。
たー:沖縄。
だんどだんきたんだー:誰と誰が来たんだい。
そったのだんでもできら:そんなの誰でもできるよ。
だんやった:誰がやった。
だんじゃー、おれおめー。じざーそったのだんゆったがしんねーど、だんゆったがや。:誰だい。私はあなたねえ、実はそんな事を誰が言ったか知らないぞ。誰が言ったの?。
〜だん
〜たん
【助】〜なに こーたんなっちった:こんなになっちゃった。
〜だん
〜たん
【助動】〜だ、〜である 実質的に上記と同じ。『である』が『だ』に移行する過渡的な言葉と思われる。
〜たん 【助】〜ちゃん 多くは幼児言葉だが古くは、大人も使っていた。発音しにくい『〜つぁん』が訛ったと考えられる。様→つぁま→つぁん→たん
〜だんが
〜だんがも
【複】〜なのか、〜なのかも 〜だんか:〜なのか:下半身丈夫だんが知らねんでども(知らないけれども):山形。これは現代語の『だか』に繋がる。
だん 【形動】段違い 『段外』の意味。
(たんく・たんぐ) 【動】携える 宮城。福島では『持ち上げる・抱き上げる』意味。
たんえる:持っていく・抱えていく:福島。
たん:携える・手で持ち運ぶ:福島。
(だんがさ・らんがさ) 蝙蝠傘、洋傘 宮崎・鹿児島。『蘭傘』の意味か。
らんがさ:沖縄。
だんだんじゃが
だんだんだが
【複】誰が誰だか
(たんがら) 背負子 福島。
(たんかーゆーえー) 生誕一周年のお祝い 沖縄。
(だんかん) 欄干 鹿児島。
たんきはそんき 【慣】気が短いのは損だという意味 『短気は損気(たんきはそんき)』と言って気が短いことが戒められた。
(だんぐら) 洋馬具 鹿児島。
たんけ
◆■たんけー
カラス貝 からス貝(イケチョウガイ)を『淡貝』(たんかい)と呼び、それが転じた。驚くように大きく、こぶし大程もある。煮付けにすると美味しいが、寄生虫が沢山いることがあり、地元ではあまり食べない。
たんこ 子供の遊びで勝負途中の一時休憩、タイム 児童語。=『たんま』
たんこ:埼玉・東京・東京多摩・神奈川。
たんご:群馬。
たんこ 幼児語。
(たんこ) 桶屋 鹿児島。
たんこ 端っこ
だんこ だんこ:群馬。
たんご:群馬。
あそごにいぐみぢにぁだんこあっからきーつげろ:あそこに行く道には段があるから気をつけて。
(だんこ) 悪い子 長野。『駄子』の意味か。
だん
だんのとし
だんぶるまい
男の本厄(42歳) 古くは節分の日に近親や友人が本厄の人を呼んで42個のだんごを振舞ったため、その呼び名が残っている。
県北部では神社で厄落としをしたあと褌に小金または餅を落ちやすいように入れて歩きながら落とすと厄も落ちるといわれる。この金を男の子が拾うと縁起が良いといわれるのでわざわざ男の子を連れて行ったり、落としたら振り返ってはいけないところもあるという(きんたまーろぎ)。
土浦市内の東崎町では『まーがしょ・まーかっしょ』と言って神社参りをした後、手拭いや御ひねりを落すところもある。
当時は逆に、『やぐぶるめー』とも言って厄年に親戚や近所・友人等を招いてご馳走することが多くなった。
だんじる すいとん 『団子』は中国語由来説が有力である。近世以前は『だんし・だんす』が多く、近世以降も使われた。ただし、近世では『だんご』が趨勢であった。
『団子』とは丸い形や塊を意味する。中世までは貴族や僧侶の点心として食されたが、近世になると庶民の軽食になった。
『団子汁』は辞書には無い。農村では古来団子は雑穀や屑米の食べ方のひとつで、昭和の初期までは米飯の代わりに『団子汁』(語源辞典)が食べられていた。
『団』は唐音では『とん』である。『水団』とは『小麦粉を水でこね、団子大にし、汁で煮たもの。』の意味であり、イタリア料理に代表されるパスタとの関係もシルクロードを無視できない。『団子』とはシルクロードを介して東洋に伝えられたパスタの子孫なのかもしれない。
だんまい:団子にする屑米:神奈川。
だん 団子鼻
だんどろぼー 月見の団子を盗むこと 盗んでも盗まれても縁起がよいと言われる。他に『だんつき・だんぬすみ』と言う。
だんばぢ クマバチ ミツバチ科の一種。胸部はオレンジ色の毛、腹部は黒い毛で覆われていて、中にはかなり大きなものもいて見た目は怖そうだが至って大人しく攻撃性はない。
■▲たんこぶ こぶ 『集覧:新』。『こぶたん』とも言う。『玉瘤』が訛ったという説がある。
たんこぶ:静岡。
たんこぶ @結び目、A松の瘤 A・たんこぶ:山形。
たんこぼ こぶ
たんまる 【動】こんがらかる、ずれる
たんころ @口から出す痰(たん)のこと、A単車(バイク)のこと @・たんばき:痰:岩手。
たんざぐづぐり 短冊形の苗代を作ること
だんじ 葬式の相談 『談事』即ち『談ずる事』 の意味だろう。辞書には無くネットにも掛からない不思議な言葉。
だんじぇも
だんじも
【複】誰でも 『だんぢぇも・だんぢも』
だんぜも:福島。
たんしゃ バイク バイクの旧称。
◆▲だんじゃ 【複】@▲誰だ?、A駄目だ? 『だんぢゃ』
@『たじゃ・だじゃ』。
だんじゃ:福島。
だんじゃー:福島。
だんじゃべ:誰だろう:福島。
(たんす) 衣服・小道具などを整理・保管するのに用いる家具の総称。多く木材で造り、引出しや開き戸を付ける。 『箪笥』
かつては、『茶箪笥』とか『洋服箪笥』などと使われた。日本の家具の文化は押入れを除き置き家具文化である。
現代では、『収納』が多く使われる。
今では『茶箪笥』は、システムキッチンの一つの部品として扱われ、『洋服箪笥』はワードローブと呼ばれる。
たんすのこやし:買ったはいいが、殆ど着ることもなく箪笥に仕舞い込まれている衣料。:群馬。これは古い慣用句である。
〜だんす 【助動】です 明治期には『〜だいんす』と言った。=『〜であんす、〜でやんす』。現代語の『です』のルーツの一つとも考えられる言葉。近世語に『でえす』『でえんす』がある。『〜にてある』に終助詞『にてある』がついたものとも考えられる。『〜にてありす』意味か。『す』は『候』の訛ったもの。
〜にてありそうろう→〜にてありす・にてありんす→〜でありす・でありんす→〜であんす・でやんす・だんす→〜でえす・でえんす→〜です の様に変化したと見られる。。
単に『ざんす』『ざいやす』が訛ったとも考えられる。
ちなみに現代語の『です』は広辞苑に『(「で候(ソウ)」の約とか、「でござります」の転とかいう) 体言や体言に準ずるもの、或る種の助詞に付けて、指定の意を表す。@狂言では、おもに大名・山伏などの名乗りなどに使い、尊大な感じを表す。である。A江戸後期に、花柳界の人、医者、職人などの語。→でえす、→でえんす。B幕末近くになると、普通の商家の婦人も使うようになり、明治時代以後、特殊社会の語であることが忘れられて一般に使われ、「だ」に対し、「でございます」よりは軽い丁寧な語になった。』とある。
だんす:鹿児島。
づぁんす:鹿児島。
(だんぞー) 人の悪口を言う事 神奈川。
『讒訴(ざんそ)』(@讒言(ザンゲン)して訴えること。Aかげぐち。かげごと。)だと考えられる。
たんた 幼児言葉。『とっと』(鳥)、『もんも』(果物)、『ちっち』(おしっこ)等の表現と同様。
たんた 【副】たった
たんだ 【副】ただ、たった、ただし たんだ:青森・静岡。
たんだら:静岡。
だんだ 【複】@▲誰だ?、A駄目だ? 『集覧:久・新』。昭和30年代当時、土浦方言の代表語だったのに、茨城弁の他サイトでは見かけない。今ではすっかり廃れてしまったと思われる。=『だいだ』
〜にてある→〜である(であ)→〜じゃ→〜だ。
@『たにてある』『たれにてある』の流れ。
だんだ:青森。だんだとおもったばあなだだったか:誰かと思ったらお前だったか。
だんだや:誰だい。
A『だいだ』がさらに訛ったもの。
だんだが 【複】誰だい? えまのはだんだが:今のは誰だい?。
だんだがわがんね 【複】誰だか解からない
たんたごはん 生卵をかけたご飯 幼児言葉。
だんだって 【複】誰だって 『たれにてありとも』の流れ。
だんだら 【形動】段々、縞模様
だんだらばだげ 段段畑
(だんだれ) 無精者 神奈川。
たんたん 靴下 『足袋』が変形したものと考えられる。
たんたん 幼児語。
たんたん:餅(幼児語):鹿児島。
だんだん 階段 標準語だが最近はめっきり聞かなくなった。
(だんだん) 【感】有難う 京都の遊里語から生まれた言葉という。
だんだん:有難う:鳥取・島根・愛媛・熊本・大分。
だんだんどーも:こんにちは:新潟。
(たんたんちんこ) 【形動】あべこべ 静岡。
だんだんづまり 【形動】病状が次第に悪くなって行く様 だんだんつ:少しずつ:群馬。『つ』は助詞『@(二つの動作・作用が同時に行われる時に、従属的な方の動作・作用につける) …ながら。A…たりなどして。』か。
だんち
だんち
【形動】段違い 『勿論』を『もち』などと言うように『だんち』は江戸言葉か。
だんち:群馬。
たんち 子供の遊びで勝負途中の一時休憩、タイム たんち:東京・神奈川。
だんぢぇも
だんぢも
【複】誰でも 『だんでも』
だんじーも・だんぢーも:福島。この長音形には『故』が隠されているように見える。
だんぢぇもねー
だんぢもねー
【複】誰でもない 『だんでもねー』
◆▲だんぢゃ 【複】@▲誰だ?、A駄目だ? 〜にてある→〜である(であ)→〜じゃ→〜だ。
@『誰じゃ』→『だんじゃ』。『集覧:久・新』。
『誰』の古形は『た、たれ』である。『たにてやあるらめ』の意味。
だんぢゃ:福島。
だんぢゃー:福島。
だんぢゃべ:誰だろう:福島。
やったのはだんじゃ?:やったのは誰だ。
だんじゃがしんね:誰だか知らない。当時の高齢者の言葉。古い茨城弁。
えまのはだんじゃべ:今のは誰だろう。
A駄目だ→駄目じゃ→だいじゃだんじゃ。
(たんちゃー) 短気者 沖縄。『短人』の意味か。
■▲だんつく 妻が旦那をあなどり、または親しんでいう語 『旦つく』。『集覧:新』。近世語。
(断定の表現) 『だ』『た』と『な』は音通するばかりか、同源の可能性が高い。
一方、『じゃ』は、『【助動】(「である」の約「であ」の転)@体言・用言の連体形その他種々の語について断定を表す。…だ。…のだ。狂、鴈盗人「諸侍が何と其様なさもしい事をするもの―」A体言と体言とをつなげて、…である、の意を表す。狂、二千石(ジセンセキ)「親―人によう似て」【助詞】(「では」の転) では。じゃあ。一代男五「泊り―ござらぬか」【接続】(助詞の転用) それならば。では。それでは。じゃあ。』とある。
この流れからすれば、『そうではない』を『そうだない』と言っても良さそうだが、標準語では『そうじゃない』と言う。これは、『である』=『だ』、『であ・では』=『じゃ』≒『だ』の図式があるからだろう。
『国誌』にも西国では『じゃ』と言い東国では『だ』と言ったとある。面白いのは東国には活用形の一部だけが現代でも残る。『では』=『じゃあ』である。不思議である。
現代の関西方言『や』は、『じゃ』が訛ったと見て良かろう。
〜じゃ:京都・福井西部・兵庫北部・島根・岡山・鳥取・広島・山口・宮崎。関西方言の古形。『だや』が訛ったと見られる。茨城でも一部の表現に残る。
〜じゃっど:鹿児島。
〜じゃや:富山・岐阜・石川・福井。
〜だ:北海道・東北・関東・新潟・長野・山梨・静岡・愛知・兵庫北部・島根・鳥取・福岡南部。
〜だけん:福岡南部。
〜だし:福岡南部。
〜だね:福岡南部。
〜だじゃ:青森・岩手・秋田・山形・山口北部・徳島・熊本中央部。
〜だす:大阪。
〜だちゃ:富山。
〜だっちゃ:宮城。
〜だでや・〜たでや・〜だでやー・〜たでやー:茨城。
〜だど・〜たど・〜だどー・〜たどー:茨城。
〜だどや・〜たどや・〜だどやー・〜たどやー:茨城。
〜だむし:群馬。そうだむし:そうだ。
〜だべ・〜たべ:岩手・秋田・山形。
〜だもん:福岡南部。
〜だら:神奈川。
〜だわ:茨城・富山・石川。
〜ちゃ:山口・福岡・佐賀・宮崎。促音化した動詞に伴って『じゃ』が変化したと見られる。茨城でも一部の表現に残る。
〜ちゃー:神奈川足柄下郡。
〜でおす:近世江戸の遊里言葉。
〜どす:滋賀・京都。『〜でおす』が訛ったもの。
〜はや:福岡南部。
〜はやけん:福岡南部。
〜はやし:福岡南部。
〜はやね:福岡南部。
〜はやもん:福岡南部。
〜べ:秋田。
〜や:富山・石川・岐阜・名古屋北部・福井・滋賀・京都・大阪・三重・奈良・和歌山・兵庫・山口・大分・福岡北部・佐賀・長崎・宮崎。
〜やか:〜だろうか:福岡。『〜だか』。
〜やけん:福岡北部・佐賀・長崎。
〜やさ:岐阜。『置いとるうちに白うなったて言わはるんやさ』。
〜やし:福岡北部・佐賀・長崎。
〜やちゃ:富山・石川。
〜やっちゃ:福井東部。
〜やっど:鹿児島。
〜やね:福岡北部・佐賀・長崎。
〜やもん:福岡北部・佐賀・長崎。
〜やよ:富山・石川。
〜やわ:香川。『〜だわ』。
〜やん:〜ではないか:長崎。『じゃん』。
〜ら:新潟・鳥取。『おいし菊らよー』。詠嘆の助動詞『らむ』か。じゃど、やっど
〜たんでー 【助】〜(し)たんだい だれかったんでー:誰が勝ったんだい。
だんでも 【複】誰でも
だんでもね
だんでもねー
【複】誰でもない
たんと
たーんと
【副】【古】沢山 標準語。今ではすっかり耳にしなくなった。『足りにてあらむほど』。
たんと:岩手・山形・福島・群馬・東京多摩・神奈川・静岡・岐阜・京都。
たーんと:神奈川。
とわんほど:島根。『問わぬほど』の意味か。
★『土』:酒(さけ)そっちの方(はう)へたんと掛(か)けねえで貰(も)れえてえな
★『土』:たんと穫(と)れべえなこんぢや、幹(から)ばかしでもたえした出來(でき)だな
だんとび ゴム跳び 古くは縄を使ったと言われる。』。『ごむだん』とも言う。主に女の子の遊びだが男の子も遊んだ。1本又は2本のゴムを二人が持って遊ぶ。高くなると足などで引っ掛けて飛ぶ。1本の場合は1段跳び、22本の場合は2段跳びと呼ぶ。通常手は使えない。低い位置は、くるぶしに始まり、膝、腰、胸、肩、目(耳)、頭、そして上に手を伸ばした時の指先まであった。男跳び、女跳び、名古屋跳び、エックス跳び、逆立ち跳び等の飛び方があった。二人で遊ぶ場合は持ち手が木などに結んでする場合もあった。ゴムは、ゴム紐や模型飛行機のゴム糸、輪ゴムを沢山結びつけて作る場合があった。
だんどり 段取り 『集覧:猿』。集覧には『工夫の出来たること。』とある。何故か矯正対象の言葉になっている。
(だんな) お父さん 静岡。
たんな 手綱
(〜だんなー) 【複】〜(する)けれども 静岡。
(たーんな・たーんみや) タニシ 沖縄。
たびな:宮崎・鹿児島。
たみな:長崎・鹿児島。
たーむーな:沖縄八重山。
たんない 【複】足りない 俗語。『新方言』には『タンナイ 「足らない」;東京都』とある。
(たんない) 【形】汚い 静岡。
たんなえ 【複】足りない 『集覧:新』。
だんなが 【複】誰だい 直訳すると『誰だか?』。
いまのはだんなが:今のは誰だい。
たんなか
◆●たんなが
水田の区画、水田、田の中 方言地図では水田の区画や水田の集合をを指している。茨城・栃木・埼玉で利根川に沿うように分布する。単に『田の中』の意味ならもっと広域にあっていいはずである。
だんなざ
だんなざしき
だんなざすき
だんなせぎ
だんなまっこ
だんなまっこー
囲炉裏の席のうちで主人の座 『まっこ』は囲炉裏のこと。
だんなのお 10月10日の亥の子の日に、藁鉄砲を叩いて回る子供達に配るおひねり
〜たんなる 【助】〜なになる 格助詞の『〜な』が変形した『〜た』+『になる』の撥音化。
あんだげゆっといだのにちゃーんとやんねーがらこーたんなっちゃーんだよ:あれだけ言っといたのにきちんとやらないからこんなになっちゃうんだよ。
そーたんなったが:そんなになったか。
だんに
だんにぇ
【副】誰に
たんに
たんにぇ
たんにぇー
たんにゃい
【複】足りない たんに:福島。
だんにも 【副】誰にも だんにも:山梨。
だんにもいーなや:誰にも言うなよ。
たんね
◆■たんねー
【複】足りない
□たんねる 【動】@尋ねる、A探す 中世以降の古い語。
『称呼』に『たづぬるといふ事を、播磨及出雲邊、又土佐にてとめると云。』とある。
@・たねる:宮城。
たんぬい:鹿児島。
たんぬる:鹿児島。
たんねる:山形。
たんめる:高知。
A・たねる:山形・宮城・福島。
たんねる:福島。
とめーゆん:沖縄。
とめる:兵庫・島根・徳島・高知。古語。
たんのー 十分に満足すること 広辞苑には、『堪能:足リヌの音便足ンヌの転訛。「堪能」は当て字。』とある。
今では日常語として使うのは高齢者だろう。
いーやたんのーしたなやー:いやあ、満足したねえ。
だんの〜 【複】誰の〜 だの:青森。
だんのー:誰のもの:山梨。
だんのせーだがわがんね:誰のせいだかわからない。
だんのせかんのせ
だんのせーだらかんのせーだら
だんのせーだりかんのせーだり
【慣】責任を他人に擦り付ける様
(暖のとりかた) 古くからあった『囲炉裏』は当時すでにせいぜい10件に1件程度になり、多くが『横座(よござ)』に炬燵を設けていた。大半が堀炬燵で、凡そ40cm四方の小型の暖房機(中に炭を入れる)を中央に置く方式と、灰をまぶして炭を置く方法、七輪を置く方法があった。一時期練炭を置いた時期があったが、ネコが中毒になることがしばしばあった。40年代後半になると、置き型の電気炬燵が普及し、間も無く櫓に暖房器具を組み込んだ電気炬燵に変わって行く。
たんば ▲ヤンマ、トンボ 『集覧:久』。トンボの語源とされる『とんば』が訛ったと考えられる。
『日本言語地図』では、『たんば』は県北部の方言で『トンボ』の意味。
◎だんばし 巾の広い梯子、階段 古い標準語。江戸時代後半の言葉。昔は屋根裏で繭を飼っていたところが多く、そこへの階段は、梯子に近い程急だった。明治に入ると『はしごだん(梯子段)』と言った。厳密にはササラ桁に段板と裏板が付いたもので、階段の一形式。
我が屋の段梯子はちょっと特殊で、上が広く下がすぼまっていて、最下段には引き出しがついていた。そこは、靴下入れになっていた。私は、この段梯子で幼い頃数回落ちた。頭から落ちたこともあったが、木とタタミでできていたので、怪我らしい怪我は一度もしなかった。
45度よりはるかにきつい勾配で、今では法律が許してくれないが、当時は当たり前だった。
たんばたいしょー ヤンマ 『トンボの大将』の意味と思われる。
(だんち) 散髪 沖縄。『断髪』の意味か。
(だんばら) 戯言 静岡。
たん 【形動】短気な様 『短腹』の意味。
たんばら:青森・秋田・岩手・宮城・福島。
たん:宮城。
たんらもの:短気者:宮城。
だんばらい
だんばれー
酒席で最後まで残っていること、酒席の後始末、最後 『ざんばらい』。『座払い』の意味で、座が終わるまで居残ること。『座払い』は広辞苑に『劇場の興行主が俳優・道具方、その他の関係者に対してする支払い。芝居興行の仕込み金。』とある。
(だんばん) 縁台 静岡。
(たん 散蓮華、蓮華 静岡。
〜たんび 【助】〜(する)たびに 古い言い回し。これは訛りであるが江戸後期の文献にも見られる。
〜たんび:埼玉・群馬・東京・山梨・静岡。
〜たんびに 【助】〜(する)たびに 〜たんびー:静岡。
〜だんびや
〜だんびゃ
〜だんびゃー
〜(し)たんびや
〜(し)たんびゃ
〜(し)たんびゃー
【助】〜だろう、〜(し)ただろう 『〜だんべや』がさらに訛ったもの。標準語の『これは→こりゃ』と同じ訛り方。
〜だんびゃ:栃木。
(だんん・らんん) ガラス瓶 鹿児島。
だん ランプ 『集覧:無記載』。
だむ:八丈島。
だん:八丈島・鹿児島。
だん:鹿児島。
◎〜たんぶり 【接尾】反分 土地の面積単位の『反』に量に相当を示す接尾語『振り』がついたもの。
『民俗』では『反歩』の訛りとしている。
だんぶぐろ
△だんぶくろ
@布製の大きな荷物袋、A江戸末期から明治に用いられた、幕府兵士調練用の下部を筒形にした袴 『段袋』。
だんぶくろ:鹿児島。
A茨城では■『だんぶくろのよー』の様に慣用句として用い、『大きくてぶかぶかした様』を指す。新潟・栃木・埼玉・千葉では太いズボンを、岩手・福島・群馬ではもんぺを言う。
(だんべ) 肥満 鹿児島。
(たんべ) タバコ 神奈川。
(たんべー) 小船 静岡。解説には『千貫積の小船』とある。
だんべ
だんべー
【複】だろう だんべ:福島・神奈川。
だんべー:福島・東京多摩・神奈川。
〜だんべ
◆△〜だんべー
〜(し)たんべ
〜(し)たんべー
【助動】〜だろう、〜(し)たろう 『〜たるべし』『〜であるべし』の訛り。長音形は強調形。関東圏共通の『べい・べえ』(可い・可え)の変形。『だんべい』は辞書掲載語。『たるべし』が訛ったもので関東方言とある。
濁音形は名詞またはイ音便・撥音便の動詞に付き、清音形は促音形の動詞に付く。
当時の高齢者言葉。関東地域共通の古い言い回し。わずか数キロ離れた母親の実家である出島村戸崎では、当時年齢に関わらず使われていた。
〜だんべ・たんべ:岩手・福島・栃木・埼玉・神奈川。
〜だんべー・たんべー:福島・千葉・栃木・埼玉・群馬・東京多摩・神奈川。
〜だんべな・〜たんべな:〜だろうな・〜たろうな。
〜だんべよ・〜たんべよ:〜だろうよ・〜たろうよ。
だんべや・〜たんべや:〜だろう・〜たろう。
★『土』:汽船(じようき)に乗って来たって餘(よ)つ程(ど)費用(かかり)も掛(かか)ったんべな:汽船に乗って来たって(ことは)、かなり費用も掛かったろう。
★『土』:遠いんだな、其處(そこ)へ行ったらどうすんだんべ:遠いいんだな。そこに行ったらどうするんだろう。
★『土』:そんじゃ、そういとこへ行っちゃひでえな、逃げて来ることも出来ねえんだんべか:それじゃ、そんなところへ行ったらひどいね。逃げて来る事も出来ないんだろうか。
★『土』:爺(ぢい)はどうしたっ、お飯(まんま)たべたんべか
★『土』:そんで、おとっつあ餘計(よけい)仕(し)やう無(な)くなっちゃったんだんべえ
だんべ
だんべー
田舎者、中年婦人を卑下する言葉 『だんべえ』は典型的な関東方言だが、茨城では『だっに進化したのでそう呼ぶのだろう。
だんべ:女性性器:青森。
だんべ:陰茎:新潟・富山・福井。
だんべ:時計の振り子:新潟・岐阜。
だんべー:法外に大きな様:山形。
〜だんべが
〜だんべか
〜だんべがい
〜だんべかい
〜だんべがえ
〜だんべかえ
〜だんべがや
〜だんべかや
〜だんべげ
〜だんべけ
〜(し)たんべが
〜(し)たんべか
〜(し)たんべがい
〜(し)たんべかい
〜(し)たんべがえ
〜(し)たんべかえ
〜(し)たんべがや
〜(し)たんべかや
〜(し)たんべげ
〜(し)たんべけ
【助】〜だろうか、〜(し)たろうか 濁音形は名詞またはイ音便・撥音便の動詞に付き、清音形は促音形の動詞に付く。元は『〜だべえか・〜だべーかや・〜だべえかよ』。係りの意味がある。
★『土』:おおえや、たえしたもんだね、此(こ)れ鹽(しほ)だんべけまあ、見(み)てえたって見(み)らっるもんぢやねえよ:おや大したものだね。これは(それこそ)塩だろうよ、まあ。見たいと言ったって見られるものでは無いよ。
『土』の表現は、明治期の県西部の方言で、昭和30年代の土浦東部方言に変えると次のようになるだろう。『おーいや、てーしたもんだなー。これ塩だっげまー。見でー(つ)ったって見らいるもんだねーどな。』
たんーき 短気 『短兵急』(たんぺいきゅう)。
たんーきに
たんーきーに
【副】にわかに、やにわに、だしぬけに 『短兵急』(たんぺいきゅう)に。
◆●たん
たん
たん
タンポポ 『たんぽ』は綿を丸めて革や布で包んだもので『タンポポ』は『たんぽ穂』の意味とも言われる。この方言は、語源そのものが残っているともいえる。
京都では『たんな』と言う。
たんぼこ:静岡。
たん
たん
椿 鹿島郡。雌しべの部分を『たんぽ』に例えたのだろうか。
たん:千葉。
たんぼ 田んぼ 明治時代の佐渡島では、『田畦』を意味した。現代語の『たんぼ』は『田面』が語源とされる。
たへ:佐渡島。
だんぼー
◆■だん
◆▲だん
旦那、金持ちの家の主人 『集覧:猿』。
標準語の『檀方・旦方』(だん)は『@檀家。檀徒。A仲間。知り合い』(広辞苑)を指す。
だんぼ:矮小・ちび:秋田鹿角郡。元は『若旦那』の意味でそれに由来するか。
だんぼ:福島。
だんぼー:坊ちゃん:山口。
だん:檀家・檀徒:江戸。
だん:30〜50歳位の男:山形。
だん:主人:宮城。
だん:巡査・官吏:岩手・宮城。古くは侍を指した。
だんぽー:巡査・官吏:岩手・宮城。古くは侍を指した。
だんぽー:主人:宮城。
たんぼぐ
たんぼく
@垣根の支柱、A杭 『集覧:猿』。『集覧』の文字は『竹籠の支柱』と読める。
@・たんぼこ:丸太:群馬。
★『太十と其犬』:おっつぁん此のタンボク引っこぬくかんな
たんぼそーじ 田んぼの手入れ
□▽だんぼろ タニシ
たん 県西部・県南部方言。『たんころ』がさらに訛ったもの。
たん:唾:岩手。
たん:茨城・千葉・埼玉。
たんま 子供の遊びで勝負途中の一時休憩、タイム 標準語の中の訛。語源辞典では『待った』の倒語説の他、『ためらう』説があると言う。茨城では『たいもん』と言う地域がある。
『新方言』には『タンマ 「タイム」;子供の遊びを一時止めるときのかけ声;関西の若い人はタンマという;昔は「休み」とか「一服」と言っていたらしい;東日本ではタンマは古くなって、若い人はタイムという;京阪中年以下。』とある。
たーま:神奈川。
たんご:群馬。
たんま:岩手・群馬・埼玉・東京・東京多摩。
だんま 牝馬、駄馬 『集覧:多・新・猿』。『駄馬』(だば・だうま)。
『称呼』によると、江戸時代の上総では雌馬を『だま・だば』と呼んだと言う。『駄』とはさらに古く(和名)は『荷負い馬』であり、当時は一般に『小荷駄(こにだ)』と言ったと言われる。
だんま:山形・岩手・宮城・福島・茨城・栃木・群馬・島根・鳥取・鹿児島。
だんま
だんまさま
達磨
たんま 【動】驚く、たまげる 撥音便。『たまげる』は『魂消る』と当て字されているが、『胆曲げる』だったかもしれない。=『肝を潰す』。
だんます 【動】騙す 当時でも高齢者しか使わなかった言葉。
だんまり
だんまれ
無口者、口を利かない様
たんまり 【副】沢山、一杯
だんまり 思う様に事の運ぶこと 『集覧:猿』。『にんまり』の意味で使っていると思われる。
だんまりや 無口者 標準語では『黙り坊』(だんまりぼう)。
だまりんぼー・だんまりんぼー:神奈川。
だんまる 【動】黙る 撥音化。標準語では撥音形は名詞にしか残っていないが、かつては動詞にも撥音形があったのではないかと推測される。
今でも名詞形で『だんまり』が使われる。
だんまる:静岡。
なんにもいやーねで、はーだんまーってんだいなー:何も言わないで、もう、黙ってるんだよね。
(たーんむ) 田芋 沖縄。
(たんめー) おじさん 沖縄。
だんめ
だんめー
【複】そうじゃないだろう
〜だんめ
〜だんめー
【複】@〜ではあるまい、〜じゃあるまい、〜ではないだろう、A〜(し)たのかい @『〜だあんめ』が詰まったもの。
〜じゃんめ:茨城・栃木。近年の新しい言い方。
おれだんめよ:俺じゃないだろう。
まさがおめなんだんめ:まさかお前なんじゃないだろうね。
おめやったんだんめ:お前がやったんじゃないだろう。
んだんめなー:そうじゃないだろう。
@ やや疑いの気持ちをもって確認する言い方。
おめやったんだんめ:お前がやったのかい。
だんめな
だんめーな
【複】そうじゃないだろうよ
〜だんめや
〜だんめーや
〜だんめよ
〜だんめーよ
【複】〜ではないだろうよ
たんも 長いたもとの着物 幼児語。
たん:筒袖:長野。
たんも:筒袖:長野。
たんものべべ:たもとのある着物で幼児語:神奈川。
たんも
たんもと
たもと たんも::神奈川。
だんも
だーんも
【複】誰も
たんもぢ
たんもち
喘息を病んでる人、痰の出る持病のある人 『痰持ち』。
たんもれ 【慣】下さい、買い物の呼びかけ 『賜れ・給れ』。
たんば:幼児が両手を合わせて物を請うこと:山形。
 本茨城弁集は、昭和40年前後の茨城方言を中心に茨城県全域の江戸時代まで遡る言葉を集めたものです。他県の方言との関係を重視し主要なものについては他県の方言も紹介しています。また、近年使われなくなってきた標準語や語源考察、また昭和30年代の風俗・文化等を紹介するために、合わせて標準語も掲載していますのでご注意下さい。
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