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◆本ページは、茨城の風俗・文化・建築・生活・日常 に関する茨城方言をまとめたものです。他県の方言の収集も合わせて開始しました。
 風俗や民俗に関る方言は、一般的な訛により生まれたものとは別に、供給側のブランド名の名残もあるようで、風俗・文化によって生まれた方言も多い。
標準語 茨城弁 解説・他県の方言
上がり端、上り口、畳に上がる時の式台やあがりがまち りぐぢ
あがりくぢ
りくち
りっくぢ
りっくち

りっ
りっ
りどころ
りっ

りばな
あかんぼうをいれるかご、赤ん坊を入れる籠、いずめ、いじこ、えじこ、えずこ いずみ:藁製飯櫃。
いちこ
いちっこ
ゆさ
いさ:九州。
いずみ:長野・愛知。
ゆさ:九州。
あげざる、揚げ笊、うどん等を掬う柄のついた竹製の道具 さで
ざる
しょ
しょー
あげだま
そばあ:神奈川。
そばあざる:神奈川。
あめ、飴 あみ あめ:鳥取・島根・九州。
あめだか:長崎。
いちりだま:飴玉:愛媛・松山・長崎・佐賀。『一厘玉』の意味か。
いえ、家
いー

えー
うえ:高知。
家の解体 いーふ
いーほ
やふ
やほ
いちぞく、いっか、どうぞく、一族、一家、同属 いぢまぎ
いぢまげ
『一巻』。『まけ(一族、血統、すじ)』(類)とも言う。茨城の方言はこの言葉に関する限り、どうやら濁音化していることが茨城方言たる所以であるらしい。
国立言語研究所では、1970年に『社会構造と言語に関する基礎的研究(2)』を著し、『マキ・マケと親族呼称』と副題をつけて調査結果が出ている。それを加えた類似語は以下の通りである。
いちぞく:一族。
いちまき:一巻:神奈川。
いちまく
いちまけ:群馬・神奈川。
いちみょー:神奈川。
いちもん:一門。
いちもんいっとー
いっきょ
いっか:一家。
いっけ:一家:神奈川。
いっけん
いっと:一党・一統:神奈川。
いっとー:一党・一統:神奈川。
いっとーうち
いっぱ:一派。
とっけかぶ
いっけうち
うちうら
うちま
えっけまつい
えんか:縁家:神奈川。
えんかうち:神奈川。
えんじゃ:縁者。
えんじゃまつい
おまっしゃ:神奈川。
おやく:秋田・神奈川。
おやこ:青森・岩手・山形・千葉・群馬・埼玉・神奈川・八丈島・石川・福井・山梨・長野・愛知・滋賀・京都・三重・兵庫・島根・広島・鹿児島。現代では普通に考えれば単に『親子』と考えてしまうが辞書にもあるように、結びつきの大きな代表語として使われ、それが親類の意味に発展したと思われる。
おやこし・おやごし:福岡。
かうち
かぶ
かぶうち
かぶち
かぶない
しまぎ:青森。
しんぞく:親族。
しんどく
しんるい:親類。
しんるいまき
つる
つるい
どーけ:同家。
ばっけ:末家。
ひっ
ひっ
ひとまき:神奈川。
まく:群馬。
まき:神奈川。
まけ:福島・栃木・神奈川。
まつい
:神奈川。
みうち:身内。
やうち
るい:類。
いど、井戸 いどば
えど:井戸。
つーりー:釣瓶(つるべ)井戸、深い井戸:『釣井(つるい・つりい)』(ふかい竪(タテ)井戸。吊井(ツリイ)。釣川。坪川(ツボカワ)。)。
ほりいど:掘り抜き井戸。
(手押しポンプ)
がちゃこん
がちゃこん
がちゃ
昭和30年代の土浦市の井戸は、@釣瓶井戸、A車井・車井戸、B一般の井戸で手押しポンプを供えたもの、C掘りぬき井戸(噴き井戸)で溜めがある井戸に分けられる。昭和40年前から、鋳物の手押しポンプが普及し始め、間もなく電動モーターのポンプに代わる。昭和40年頃の我が母の実家は、まだ釣瓶井戸で喉が渇くたびにいちいちバケツで水をくみ上げた。掘りぬき井戸(噴き井戸)で溜めがあるところでは、いつも新鮮な水が流れ、そこにコイやフナを活けているところがあった。それを『井戸の主』と言う。『鯉が生きていりゃあ人間にげーはあんめー』というような発想だろう。実際今でも大手のメーカーで工場の排水側溝に鯉を放流している会社があるが、それだけで安全性の指標になるものではない。
我が家では、最初は井戸に手押しポンプがあり、その頃は、風呂の水は『風呂汲み』をしないと風呂には入れなかった。この作業が大変なことは誰でも想像がつく。
間もなく流し脇に手押しポンプが移されたが、巨大な水瓶はその脇に置いたままだった、何故かと言えば、長時間使っていないとポンプの封水が切れてしまい、呼び水が必要になることがしばしばあったからである。呼び水は柄杓(ひしゃく:ひやぐ)を使って手押しポンプの上から注いで『がちゃこんがちゃこん』と柄を押し下げる。そのため手押しポンプは『がちゃこん・がちゃん・がちゃこんと呼ばれた。
昭和42年、我が家に電動ポンプがやって来た。米びつ程度の大きさなのに、『きゅいーん』というような音を出しながらけなげに働いてくれた。茨城なので当然日立製である。上半分がオレンジ色で下がアイボリーだった。それを境に我が家の生活は文化生活時代を迎える。
いがわ:鹿児島。
いつい:井戸:島根。
うちぬき:掘り抜き井戸:愛媛。
くいまき:車井戸:鹿児島。
:井戸:広島・宮崎。『井側』の意味。
ゆつ:井戸:兵庫・島根。井筒が訛ったか。
(手押しポンプ)
がちゃこん:神奈川。
浅井戸の場合はそばに鯉や金魚を飼育する池を合わせて水質チェックをしている家もあった。
深井戸の場合下から汲み出す必要がある。『つるべ井戸』は代表的で私の母の実家では当時でもつるべ井戸だった。
幸い私の記憶には手押しポンプがすでに登場していた。鋳鉄製の手押しポンプは、しばらく使わないでいるとパッキン部分が乾いてポンプの機能が無くなるため、そばに用意してあるバケツの予備水を柄杓(ひしゃく:ひやぐ
そんなことを真剣に考える人がいて、風呂までホースを繋げることを考えた人は偉い(実際は手押しポンプとホースのジョイントを考えただけ)と思っていたら、いよいよ40年代に電動水道ポンプが導入された。米びつ程度の大きさなのに、『きゅいーん』というような音を出しながらけなげに働いてくれた。茨城なので当然日立製。
いふく・はきもの・かみがた・かざり、衣服・履物・髪型・飾り おかたび:職人がはく足袋。
おがほだれ:漁師の仕事着。
おこそで:外出着・ちりめんの着物
おごま:@女の子の髪型の一つ、A祭りの花笠につける飾り
おだて:茣蓙を使った女子用の雨具。『苧経(おだて)』(茣蓙)。
かく:男用下駄の一種。角ばったもの。
かっさん:農作業用の股引。かるさん。
かます:刻み煙草入れ
たかじょ・たかじょー:地下足袋。
たしこ:たすき:極端な訛り。
たげな:丈長を元結にしたもの:丈長。
ちかたび:地下足袋。
ちゃら:板ぞうり。
どでら:かいまき。
ぼったぐづ:足に合わない大きな靴。
ぼっち:頂部の尖った農作業用の帽子、麦藁帽子が普及する前の農作業用の帽子、『帽子笠』の意味。
いろり、囲炉裏 いり
いりり
いるり
ひじる
ひじろ
まくこー
まっこ:囲炉裏の縁。
まっこぶぢ:囲炉裏の縁。囲炉裏端。
ゆるり
囲炉裏は当て字で、中世から『いろり、いるり、ゆるり』が文献に現れる。
いるり
いれし:福井。
うくらぶち:囲炉裏の回り:長野。
しぶと:青森。
じろ:岩手・秋田・山形・新潟・石川・八丈島・宮崎・熊本・種子島。 『地炉』。これは方言ではないが『方言周囲論』の好例となる古い言葉でもある。
じろばた:埼玉。『地炉端』の意味で方言とも言いがたい。
すぶと:岩手。
ひじろ:埼玉・神奈川・長野・山梨・静岡。広辞苑掲載語。『火代:(「しろ」は一定の区画のこと) 関東・中部地方で、囲炉裏・炉をいう。火焚じろ。』とあるが分布地域から『地炉』より新しい言葉と考えられ『地炉』から生まれた『火地炉』の可能性もあるだろう。
ひなた:囲炉裏ばた:岐阜。火の端の意味か。
ひほど:東北。
ゆりばた:囲炉裏端:山形。
ゆるい:神奈川。
ゆるき:神奈川。
ゆる:青森・山形・福島・神奈川・静岡。
隠居先の建物 いんきょ
えんきょ
うら
うしろ
うじがみ、うじがみさま、氏神・氏神様 いわいでん:長野。
うしごや、牛小屋、牛屋 うっしゃ:徳島。
うす、臼 いすす:石臼。
うすす:石臼。
うすくぼ:奈良。
うちわ、団扇 あお
うぢわ
おぢわ
おちわ
あうち:島根。
あおち:岐阜・奈良・島根。
あぶち:愛知・奈良。
うどん、ウドン、饂飩 おめん
おめんずる:煮込みうどん・うどん
おめんち
おめんめ:(幼児語)
おめんめん:(幼児語)
うばぐるま、乳母車 おばるま
うぶぎ、産着 おぶ うぶきん:山口・長崎。
うぶやあき、産屋明き うぶあぎ
うぶやあぎ
うぶやぎ
おびああぎ
おびあぎ
おびあげ
おびやあぎ
おびやあげ
おびやいわい
おびやぎ
おぼやあぎ
おぼやあき
おーぼーやあーき
おぼやあけ
おぼやぎ
おぼやき
おぼやけ
広辞苑に『産屋明き:生児や産婦の忌が明けること。初めて宮参りをする習慣がある。』とある。
うびやまい:神奈川。
うぶあけ:神奈川。
おびあけ:神奈川。
おびやあけ:神奈川。
おびやく:神奈川。
おびやけ:神奈川。
おぶやき:群馬。
おぼやき:千葉。
えびすばしら、恵比寿柱 いびす
いびすばしら
広辞苑に『民家で、大黒柱と並んで重要な柱。位置は一定しない。』とある。
えぼしおや、烏帽子親 いびさいとっつぁま
いびしおや
いびすおや
いぶしおや
いぼしおや
えぶしおや
広辞苑に『武家社会で元服の時、烏帽子をかぶらせ、烏帽子名をつける人。元服親。』とある。
えぼしご、烏帽子児 いびし
いぶし
いぼし
いぼし
えぶし
広辞苑に『烏帽子親から烏帽子名をつけられた者。元服子。養子のことにもいう。』とある。
えんがわ、縁側 いんー・いん
とーりいん・とーりえん・とーれん:縁側、土間にある縁側。
おいなりさま、お稲荷様・ いなっさま
いらっさま
おくざしき、奥座敷 いり
いりのま
いりのま:宮城。
おけ、桶、担い桶 @桶、樽、A箍(たが)、B井戸の枠。
@辞書には東北地方で用いられるとある。
『称呼』には『桶(をけ):上下総州及武蔵にてといふ(江戸にて四斗樽、京にて四斗をけと云を、総州にて四斗こといふ。すえふろをけすえふろこなどといふ。)。常陸にてとうご、豊州及肥前佐賀にてかいといふ。長崎にてそうと云(大いなるをふといそうといひ小なる物をほそいそうといふ。)。畿内にてたご(担桶)といふを江戸にてになひといふ(これになひをけの略也。又になふとはひとふたりにてもつを云。かつくと云ひかたぐると云は意違えり。またたごとはをけの惣称也。上かたにては、なにたこかたごといふ。たごとばかりいふ時は、畿内西国共に水桶也。東国また豊後にてはたごと云は糞器をいう也。「多識」に尿桶(たご)と有この事にや。)。京にてかたてをけと云を江戸にてはかたてをけさるぼう、又くみだしとも云。越前にてかいみずをけと云、加賀にてかいげ、下野にてひづみと云(造酒屋にて用ゆるかたてをけの大なるものを肥前にてたみをけといふ。)。』とある。このうち『さるぼう』は『猿頬』のことで江戸方言である。
『俚言』には『:常陸国にて樽をいふ。「和訓栞」こが:下学集に楹(はしら)をよみ桶也と注せり。今四国辺にて酒桶をいへり。伊勢鈴鹿郡に久我村ありと呼、平資盛の配所也。』とある。
オッカイ:アイヌ語。『外居』が訛ったとされる。
:大桶:宮城。
:桶:東北全県・茨城・千葉・栃木・東京・神奈川・新潟・長野・山梨・石川・三重・淡路島・徳島。
:据風呂桶:関東。
:肥桶:石川。
こがい・こがえ:桶:九州。
コンカ:桶:アイヌ語。アイヌ語では酒を入れる大桶を『トノトコンカ』と言う。『トノト』はアイヌ語で酒を言う。
みずこ:水桶・水瓶:神奈川。
Cその他。
:据え風呂:神奈川。
おちゃがし、お茶菓子 おぢゃ うちゃまし:岩手。段の変化。
おひまちこう、お日待ち講 おひまぢ 大日様の祭り。本来は太陽の祭りで辞書には『前夜から潔斎して翌朝の日の出を拝むこと。待つ間の退屈しのぎに皆で集まって飲食を共にし、歌舞音曲を楽しむことも多く、次第に遊興化した。』とある。『土浦市史・民俗編』では、市内全域の調査結果が掲載されているが、実施日や場所開催単位もまちまちで、他の講と一緒に行なうところもあるという。今では女の新年会のようなものになっていると言われる。ちなみに実施日は、手野上郷:1月24日、手野中郷:2月2日、手野下郷:1月2日、石田:1月7日、田村:1月24日(愛宕の日)、沖宿:開催単位で異なる、白鳥:1月9日か10日、菅谷:1月24日か27日、神立:12月1日か10月1日。
おぶいひも、負ぶい紐 うすこび
ゆすくび
ゆすこび
ゆつけおび
ゆつこび
ゆつこおび
ゆっこび
ゆっつげおび
ゆつけおび
りつけおび
りつこび
りつこおび
りっこおび
りっつげおび
広辞苑には『子供を背負う時に用いる紐。おんぶひも。』とある。最近は、旧式の『負ぶい紐』が隠れたブームになっているという。
おろしがね、下ろし金 おにおろし
がぐがぐおろし
かいすいよく、海水浴 うみとーじ:新潟。
かいば、飼い葉 うまんはみ:長崎。
かかざ、嬶座、囲炉裏の主婦の席 おふくろざ
おんなざ
かがざ
かかざ
こしもと
しもざ
しゅふのざ
『鍋座・鍋代』とも言う。茨城では、転じて家庭の食事の末席をも言う。女家族にも当てられる。本来は、横座の脇で台所に近い位置を言うが、下男・下女の席である横座の正面の場合があったようである。
横座の脇で嬶座の正面を『きゃくざ・しょうざ・わきざ』と言い、客人や男家族に当てられ、横座の正面の土間に近い席は、きじり(木尻)・したざ・げざ』と呼ばれ、下男・下女の席である。
かがみもち、鏡餅 みもぢ
かさねもぢ
そないもぢ
『広辞苑』に『平たく円形の鏡のように作った餅。大小二個を重ね、正月に神仏に供え、または吉例の時などに用いる。古くは「餅鏡」。かがみ。おそなえ。おかざり。円餅。』とある。別に『座り餅』とも言う。
『物類称呼』に『ふくで(福手):鏡餅(カガミモチ)のこと。』とある。
あたたき:石川・滋賀。
いわい:島根・広島:お供え・餅。
おすわり:山梨。
おそんねー:山梨。
ふくで:宮城・新潟・長野。
かきもち、欠餅 かぎもぢ
ほしもぢ
ほしもち:青森・岩手・奈良。
じざいかぎ、自在鉤 っつるし
づるし
たげづるし
囲炉裏やカマドでで鍋を吊るす金物。『鉤吊るし』の意味。『かつるし』が典型的な関東方言のようである。
スギナを呼ぶ北関東・東北南部方言に『じくのかつるし』がある。地獄で釜茹でにしている巨大な大鍋を吊るしているのが、スギナのようなか細い鉤吊るしであるという、シュールな例えの方言でもある。
おかさま・おかさん・おかさん:神奈川。
おかま・おかまさま・おかまさん・かま・こーじんさま:神奈川。竃の神様の名前を借りているようである。
っつるし:栃木・埼玉・群馬。
つるし:神奈川。
:神奈川。
つっか・つっかけ・つつっか:神奈川。
かねじゃく、曲尺 かねじゃぐ ばんじょーがに:沖縄。
ばんじょーがね:島根・宮崎・鹿児島。
かまど、竃 かま
かまくど
かまこど
かまだん
かまっくど
くど
:土で作ったかまど・かまど。
へっつい
『竈突・竈(くど)』は『かまどの後ろにある煙出しの穴』を言い、竹取物語にもある古い言葉。竃をも指す。
『へっつい』は古くは『へつひ』と言い、もともとは竃の神様を指す『竈(へ)つ霊(ひ)』だったとされる。
『御釜様』は広辞苑に『東日本で、竈(カマド)の神。火の神・荒神ともされ、台所に祀る。』とある。西日本では竃そのものを指す地域がある。茨城では、訛って『おがまさま・おかまさん』とも言う。橘正一の『方言学概論』では、『竃に「さん」を付ける慣わしは関東・東北には無い。ただしもし「かまだん」(常陸・下総)がカマドノの訛りであり、「かまや」(上総・埼玉・相模等)がカマヤンの訛りであるとすれば関東にもあることになる。』とある。
『かまくど・かまこど・かまっくど』は重複表現にも見えるが、『かまつくど』(竃のくど)の意味にも思われ、その場合の『くど』とは、『口戸』の意味とも考えられる。もともと『かま』は『釜』と『かまど』の双方を意味するが、本来は『かま』は『釜』だったのではないかと言う仮説が成り立てば、『かまど』とは『釜処』の意味が成立するが、語源辞典でも尤も有力な語言説になっている。茨城方言の『かまくど・かまこど・かまっくど』の『くど』は、その意味で、『かまどの後ろにある煙出しの穴』ではなく部分としての竃の釜を載せる穴を指して、『くど』と言い、それが総称になった可能性もある。
一方、物を等を指す接尾語の『こ』が『釜』について、それに場所を表す『処』がついた可能性もあるが、県下にある『かまこ・かまっこ』は『ままごと』を指す。
いなか:富山。
おかまさま:広島・山口。
おかまさん:佐渡。
おくだはん:大阪。
おくどさん:兵庫・香川・愛媛。
おくどはん:京都・大阪・香川・徳島・愛媛。
おへっついさん:大阪。
おこーじんさま:大分。
かまだん:千葉・埼玉。
かまのん:鹿児島。
くどはん:新潟・愛媛。
こーじんさん:奈良・兵庫。
さんぼーさん:兵庫。
ぴなかん:沖縄伊江島。『火の神』の意味。
へっついさん:大阪・香川・高知。
へっつりさん:岡山。
かもい、鴨居 建築用語。
うえじき:大阪。
うわじき:岐阜・三重。
きゃくま、客間 うい
きゃぐま
でー
 単に座敷の意味もある。土間に対して『上』の意味である。客が来た時『ういにあがっておくんなせーよ』などと言う。
 当時の農家の大半は大学の建築の歴史の教科書に出て来る『田の字型』『三室広間型』が一般的で、我が家は『田の字型』の典型的なものだった。玄関を入るとそこは土間で左右どちらかが居室空間になっている。
 典型的な『田の字型』平面の各室の呼び名は、概ね一致している。
 『うい』は茨城流に訛った『上(うえ)』の意味であり、家屋では土間に対して一段上がったタタミの間(主として客間)をさす。畳の間を一般に意味する座敷の意味もある。
 東北・京都・岡山・広島等では『おえ』とも言う。『おえ』は、その他各地で、表の間・大広間・客間・居間・茶の間・本家等を意味する。『上』は上代には単に『え』である。『お上』が訛ったと考えられる。上代語には同時に『うへ』の記録がある。奈良では座敷を『うえ』という。
 また客間を『でえ』と呼ぶ場合もある。茨城では多く単に『でー』と発音する。その場合は、寝殿造りの接待用の部屋に当たり後に座敷の意味を表した『出居』(でい・いでい)の転。『でー』は、神奈川県・愛知県でも使われる。『でい』は筑波郡では『奥座敷』を指す。奥座敷・客間を示す場合は広域方言。
きぬた、砧・碪 広辞苑には『砧・碪:(キヌイタ(衣板)の約) 槌(ツチ)で布を打ちやわらげ、つやを出すのに用いる木または石の台。また、それを打つこと。女の秋・冬の夜なべ仕事とされた。』とある。
うちばん:和歌山・香川・愛媛。
きゃはん、伽半 けはん:鹿児島。
きゅうす、急須 おぢゃつ
きーす
きびしょ
きびちょ
ちょ
きびっちょ
やや古い標準語。辞書には『(「急焼」の唐音の転) 急須(キユウス)に同じ。』とある。『きゅうしゃ』。さらに『きぶしょう』が訛ったものである。
『俚言』には長音形で掲載されている。辞書には『(「急焼」の唐音の転) 急須(キユウス)に同じ。』とある。『きゅうしゃ』。さらに『きぶしょう』が訛ったものである。中国語由来の言葉である。
昭和初期には、群馬・滋賀・島根・広島・愛媛・高知を除くほぼ全国に残っていた。
昭和30年代の茨城県土浦市の急須は、大家族が多かったこともあって、かなり大きなものであった。冠婚葬祭等の場合はアルミの薬缶が使われることもあった。
きしゆ:鹿児島。
きびきょ:宮城・福島。
きびきょ:宮城・福島。
きびし:神奈川。
きびしょ:全国(群馬・滋賀・島根・広島・愛媛・高知を除く)。
きびしょ:客用の小さい茶次土瓶:三重。
きびしょ:燗徳利:広島・高知。
きびしょー:埼玉。
きびす:静岡。
きびそ:鹿児島。
きびちょ:青森・宮城・山形・福島。
きびっちょ:青森。
ちびちょ:宮城。
ちびちょ:宮城。
ちゃぢょか:鹿児島。
ちゃびしょ:神奈川。
ちょ:宮城。東北のカ行音は、タ行音に変化することがある。特に『き』が『ち』や『つ』に変化することが多く、茨城方言にも僅かに見られる。これは、茨城方言を含めた東北方言の『き』音は、『け』に近いため、舌の位置が『ち』や『つ』の発音の位置に近いためと見られる。
きり、錐 きり いい:宮崎。
いぎい:熊本。
いぎり:長崎。
いり:種子島・沖縄。
くさもち、草餅 くさもぢ いろとり:和歌山。
げた、下駄 げだ げっこ:静岡。幼児語。
げんげ:静岡。幼児語。
げんげー:静岡。幼児語。
けっこんしき、結婚式 けっこんしぎ
しー:祝儀。
しー:祝言。
当時の仲人は古くは新郎新婦双方に居て、最初は仲人同士の話し合いから始まった。また当時の結婚式は自宅で行なわれるのが普通だった。式は古くは新郎新婦双方の家で執り行われたと母親から聞いてていたが、『土浦市史・民俗編』に詳細が紹介されている。新婦宅での式は、花婿がいないため三々九度が執り行われないこと・別れの挨拶を行なうこと等以外は、実質的な嫁送りの酒宴だったことが確認できた。そのため花嫁への負担は今と違って随分大きかっただろうと思われる。当時のお嫁さんは、定番の角隠し姿で黒塗りの『ハイヤー』に乗って新郎宅にやって来た。お嫁さんが来ると近所から人々が集まって人山の黒集りを作った。
結婚式は、古くは@婿方からから嫁方に迎えの一行が行くことから始まった。A嫁を引き渡す儀式(お茶・落ち着きうどん・嫁迎え一行へのお引き合わせ・酒宴・酒宴の間の花嫁衣裳への着替え・氏神様・仏壇参拝・別れの冷酒と挨拶・お引渡し)が執り行われ、B帰りは嫁送り一行によって途中中宿(なかやど)に立ち寄って休憩した。C婿方に到着すると、送り提灯と迎え提灯を交換して履物の履き替えを行なう。D嫁は、は勝手口から家に入る。Eその間嫁送り一行と仲人、両家の親族が座敷に座り、お茶(桜茶)をいただく。次に『おぢつきうどん』(落ち着きうどん)が振舞われる。F『お引き合わせ』と言って嫁送り一行に対して婿方の両親・親族の紹介がある。Gその間奥座敷では、三々九度が行なわれる。新郎新婦の前に『雄蝶雌蝶』の折り紙の付いた盃を持った男女の子供が、少年が花嫁に、少女が花婿に酒を三度注ぐ。さらに花婿から花嫁に、花嫁から花婿に酒を三度注ぐ。そして最後に花婿で締める。Hその後、『鯉の腹合わせ』の儀式が行なわれる。その間、座敷では宴たけなわで、三々九度が終わった新郎新婦が座につく。Iこの時仲人から正式に『名披露目』という新婦の披露が行なわれる。披露宴の始まりである。J披露宴の間、花嫁は3回程度お色直しをする。お色直しは、嫁ぎ先の家風に馴染み代わったことを示す手続きの象徴とも言われる。K親子盃に代えて、仲人の司会によって両親と親族が、銚子に冷酒を2回ずつ注いで回し、最後に仲人が納める。L饗媒の進行により、親族固めの盃も取り交わされる。嫁送りの一行も手厚くもてなされ、『高砂や』の唄や踊りなどが披露される。M仲人は、程よい時刻を見計らって納盃とし、新郎新婦は嫁送りの一行を門まで見送る(門送りという)。
以上は、『土浦市史・民俗編』に書かれた戦前までの土浦市内の結婚式の典型的な流れである。昭和40年前後の結婚式がこの通りだったかどうかは定かではない。しかし三々九度の子供役は私自身やったことがありその時の記憶は鮮明に覚えているので、多少簡略化されてはいても基本的な流れは同じだったと思う。その後、昭和45〜50年頃からホテルで行なわれるようになって行く。
このほか、以下の言葉がある。
おみまえ・おみやわせ・よめさんひろめ:結婚式が終わった後(当日)、親戚や近所の人に連れられて花嫁を組(組講で定められた近隣の単位)内の各戸に紹介する風習。
あとふき・くみよび:結婚式の後、隣組を招いて行う披露。
げんざん・けんざん(見参):@結婚式当日、嫁の到着前に嫁の家に婿が挨拶に行くこと(前見参)、A結婚式数日後、舅が嫁を連れて嫁の実家に挨拶に行くこと(後見参)がある。

おかたよび:山梨。
むかさり:宮城・山形・福島・長野・山梨。
ごしゅうぎ:山梨。
けんせつ・ふしん・じぎょう・かくしゅざいりょう・どうぐ、建設・普請・地業・各種材料・道具 けんちいし:石垣や擁壁に使う日本独特の石材、間知石
たごどご:地固めに使う石。石臼を使うこともある。石製のタコ。
どーじぎ・どーづぎ・どーつき:基礎工事の割栗石をタコで固めること。
どぶぎ:瓦の下地に泥を使って葺くこと。
どがだもっこ:むしろや縄であんだ四角いシートの四隅に縄をかけて作ったもっこ。
建築・普請・地業関係の方言を列挙する。
こしまき、腰巻 こしまぎ 広辞苑には『@女性の装束の一。小袖の上に打掛(ウチカケ)を着て帯を締め、肩を脱いで、腰のあたりに巻きつけたもの。室町時代、宮中の女房が、夏の祝儀に着用、武家では形式化されて、上臈女房が礼装に用い、江戸時代には将軍および三家・大名夫人の夏の礼装となった。能楽の女装束、また、その着装法として現代でも行われる。A婦人が和服の下に腰から脚部にかけてまとう布。ゆもじ。けだし。おこし。』とある。
『湯文字・湯巻・脚布』とも言う。
昭和30年代までは、女たちは赤い腰巻を身に付けるのが一般的だった。
きゃく:鹿児島。
きゃふ:鹿児島。
こめ、米 うちまき:奈良。
こまいぬ、狛犬 いんこま:石川。
こまげた、駒下駄 あいほーちー:女物の高下駄の一種。
あいほまれ:女物の駒下駄のうち歯が中程度の程度の高さのもの。
あいまる:女物の駒下駄の一種。丸い形をしている。
ばっか:駒下駄の一種。
っこ:駒げたの一種。ぽっこり。
っこ:駒げたの一種。ぽっこり。
っこり:駒げたの一種。ぽっこり。
んくり:駒げたの一種。ぽっこり。
あつはま:広島。
ひらっか:長野・静岡・広島。
ころばしもち、転ばし餅 いっしょーもぢ
いっしょもぢ
いんだらもぢ:歩いたら餅の意味。
おっころばしもぢ
ころばせもぢ
ころばせもち
広辞苑に『ころばしもち(転ばし餅):誕生日前に歩けるようになった子に、初誕生の日に餅を背負わせて転ばす、東日本の習俗。』とある。『一升餅』とも言う。
『むがんづぎ』の前に子供が歩いた時餅を搗き、子供に背負わせる儀式。最初は半枚餅を背負わせ、ころばない時は1枚餅を、それでも転ばない時はわざわざ突き転ばせたと言う。随分残酷な儀式だが、『生後1年以内に歩く子は、成人すると間も無く家を出る。』という迷信にがあるためである。
この風習は、話には聞いたが当時すでに廃れていた。戦前は土浦市内の全域でやっていたと言われる。今でも行う家がある。
『俚言』には『ぶっすゑ餅:嬰児の誕生月以前にたちたるに腰へぶっつけてすわらするなり。』とある。江戸時代はさらに過激に行われていたことが解る。
江戸では『尻餅』と言った。
ころもがえ、衣替え ころも
ころも
むげついたぢ
むげのついたぢ
うつり:静岡。『移り替え』。
ざしき、座敷 うい
ざしぎ

でー
でい
でえ
典型的田の字型(四間型)平面の家では、客間を『でえ』と呼ぶ場合もある。その場合は、寝殿造りの接待用の部屋に当たり後に座敷の意味を表した『出居』(でい・いでい)の転。奥座敷』を指すことがある。方言というより民族語。
うえ:奈良。
でー:神奈川・愛知。
ざる、笊 しょ:うどん等を掬う柄のついた竹製の道具。
しょー:うどん等を掬う柄のついた竹製の道具
かいき
ざーる
しょ:平笊。
しょー:平笊。
しょーざる:平笊。
すまほぐ
すまぼこ
すまほご
すまほこ
広辞苑には『@竹の薄片やプラスチックなどで編んで円くくぼんだ形に造った器。A笊碁(ザルゴ)の略。B笊蕎麦(ザルソバ)の略。C漏れの多いことのたとえ。』とある。
広辞苑に『いざる:竹を編んでつくった器。ざる。』がある。
アイヌ語では『イチャリ』と言う。
埼玉でも小笊(こざる)を『しょうと呼ぶ。
中国から九州にかけて笊を『笊笥(そうけ)』と呼び、その他『しょうき、しょき、しょけ、じょけ、しょうけ』等と呼ばれている。
標準語では『床几・牀机・将几』(野外使用の腰掛)または、『鬘桶』(かずらおけ)を指す。『笊笥』(そうけ)は広辞苑に『(西日本で) ざる。』とある。『笊』は音読みで『そう』と読む。『笥』は器の意味。となれば『笊器』であり『笊』が拗音化し『器』が濁ったのだろうか。。『いざる』とも言う。現代語の笊は『いざる』が約まったという説が有力である(大言海)。それでは『いざる』の語源は何かというと明快ではない。
『称呼』には『笊籬(いかき):いかき:畿内及奥州にていかき、江戸にてざる、西国及出雲石見加賀越前越後にてせうけと云。武州岩附邊にてせう、安芸にてしたみ、丹波丹後にていどこ、遠江にてゆかけ、越後信濃上野にてぼてといふ。又江戸にてかめのこざるを畿内にてどんめいかき、芸州にてどうがめしたみ、下野にてひらざると云。又江戸にて御膳籠といふ物を備前にてしまふぐ又小き物をこしをりと云。又関西にてめかと云を東国にてめかいと云。或 ふご びくこめあげざる、又其大なるをかまたきと云。』『いかき:畿内及奥州にていかき、江戸にてざる、西国及出雲石見加賀越前越後にてせうけと云。武州岩附邊にてせう、安芸にてしたみ、丹波丹後にていどこ、遠江にてゆかけ、越後信濃上野にてぼてといふ。』とある。とある。どうやら笊といかき以外は形状や用途による笊の名称を指しているようである。
『称呼』によれば、江戸時代の関東の狭い地域で竹で編んだものを『ざる』と呼んだことが解る。このことから、関東の『ざる』とは、もともとは編んだものではなく桶のようなもので、そこで竹で編んだ『ざる』『いざる』と言ったものがやがて、略されて『ざる』と言った可能性が高い。
いかき:岩手・西日本。
いざる:長野・山梨・静岡。
いざーる:山梨。
いざろ:米・麦などを磨ぐ笊:静岡。
いじゃる:長野・山梨。
いじゃる:米・麦などを磨ぐ笊:静岡。
いじゃろ:長野・山梨。
いじゃろ:米・麦などを磨ぐ笊:静岡。
いじゃーる:長野・山梨。
イチャリ:アイヌ語。
うす:高知。
えざろ:長野。
えじゃろ:長野。
えじゃーろ:長野。
えぼ:鹿児島。
じゃる:東北。
しょー:平笊:埼玉・栃木・群馬・長野。
しょけ:岐阜・福井・滋賀・京都・兵庫・鳥取・島根・岡山・広島・山口・大分・福岡・佐賀・長崎・宮崎・熊本・鹿児島。
しょーけ:岐阜・福井・滋賀・京都・兵庫・鳥取・島根・岡山・広島・山口・大分・福岡・佐賀・長崎・宮崎・熊本・鹿児島。
そーき:沖縄。
そけ:鹿児島。
そーけ:富山・石川・福井・京都・兵庫・鳥取・島根・岡山・山口・高知佐賀・長崎・鹿児島。『笊笥』。
ばーき:沖縄。
ゆかけ:静岡。
さんぷ、産婦、妊婦 ぼてれん
てれん
うぶやめ:三重。
じざいかぎ、自在鉤 たげづるし おかぎさま:神奈川。
おかぎさん:神奈川。
おかげさん:神奈川。
おかま:神奈川。
おかまさま:神奈川。
おかまさん:神奈川。
かぎつるし:神奈川。
かぎど:神奈川。
かま:神奈川。
こーじんさま:神奈川。
じぜかき:鹿児島。
ずぜかき:鹿児島。
つっかぎ:神奈川。
つっかけ:神奈川。
つつっかぎ:神奈川。
しーつ、シーツ ういしぎ
しぎふ
しきふ
うわ:新潟。
ものさし、物差し さし
しゃぐ
しゃく
すし、寿司 すぃすぃ すす:福島。
すぃすぃ:福島。
出産明け、お産明け、産後3週間目の祝い うぶあぎ
うぶやあぎ
うぶやぎ
おびああぎ
おびやあぎ
おびあぎ
おびあげ
おびやあげ
おびやいわい
おびやぎ
『産屋明き』。
うびやまい:神奈川。
うぶあけ:神奈川。
おびあけ:神奈川。
おびやあけ:神奈川。
おびやく:神奈川。
おびやけ:神奈川。
出産見舞い うぶやみまい
さんみまい
さんみめー
うぶやしない:長野・愛知。広辞苑に『産養い:出産後、三夜・五夜・七夜・九夜に行う祝。各夜ごとに祝宴を催し、親戚・知人から衣服・調度・食物などを贈る。特に平安時代、貴族の家で盛んに行われた。』とある。
すみつかり・すむつかり、酢憤 しみすかり:真壁郡・下妻市。
しみつかれ:水戸市・笠間市・真壁郡。
しもつかれ:水戸市・笠間市・西茨城郡・真壁郡・結城郡。
しもつかれい:結城郡。
すみすかり:真壁郡・筑波郡。
すみずかり:東茨城郡・真壁郡・北相馬郡。
すむずかり:東茨城郡。
すみすかれ:笠間市・西茨城郡・真壁郡・筑波郡。
すみつかり:土浦市・新治郡他県全域。
すみつかれ:県広域。語源に近い言葉。
すむしかい:新治郡。
すむじかいり:那珂郡。
すむじかえり:那珂郡。
すむじかり:西茨城郡。
すむすかいり:西茨城郡。
すもちかい:東茨城郡。
すもちかゆ:東茨城郡。
すもっかい:東茨城郡。
すもつかり:結城市。
せんつき:東茨城郡・西茨城郡・真壁郡。
つむじかい:西茨城郡。
つむじかいり:笠間市。
つむじかり:県広域。
つむじがり:久慈郡。
つむじっけ:笠間市・西茨城郡。
つむちかいり:東茨城郡・新治郡。
つむちかり:西茨城郡。
つむちけーり:東茨城郡・西茨城郡。
つむちけれ:新治郡。
2月の初午の日に作る。
もともとは、『すみつかり、すむつかり』と呼ばれたとされ、『すむつかり』は一説には『酢憤』と当てられるが真偽は不明。語源は『酢味つ餉(かれい)』(酢の味の食べ物)ともされる。
広辞苑には『すむつかり:おろし大根に炒大豆を加え、酢醤油をかけた郷土料理の一種。今では、栃木県地方などに「しもつかれ」の名で遺され、さらに、塩鮭の頭・大根・人参・酒粕などを加えて煮た料理。初午(ハツウマ)の嘉例に道祖神に捧げ、また自家の食用とする。』とされる。
『むつかり』は『憤る』(むずかる・むつかる)の名詞形で、『@機嫌をわるくする。ぶつぶつ文句を言う。A子供がじれて泣く。すねてさからう。』の意味である。どうやら、広辞苑が参照した学者の説は音韻だけに頼ったと思われる。
茨城では一般には『すみつかれ』『しもつかれ』だが、長塚節『十日間』では、『すみつかり』と書かれている。『分類食物習俗語彙』(角川書店)でも、『すみつかり』は関東から東北地方の一部にかけて初午の日に作る食物と解説されている。
土浦では田宿の稲荷が初の午の日に行なうのでこれに遠慮して二の午の日にしたとされ、稲荷神社の祭礼に伴って作られる。赤飯も作られ、神社に奉納する。
土浦では、『しみ出る、雨漏りする』を『しもる』とも言い、『しもつかれ』は『滲み浸かる』の名詞形の意味が近い。また、『染み着く・沁み着く』の自動詞形を『しみづがる・しみつかる』とも言う。そこで、良く酢や味の滲み渡った料理の意味の『染み浸かり』の意味の可能性もあるのではないかと思われる。また『酸味の粥』の意味もあり得る。
一方、茨城では急性胃炎や胸焼けを『つむし』と言う。ヒメマルカツオブシムシの幼虫を『すむし』とも言うことから、『唾(つ)』に関わる病気を虫に例えて『つむし』と呼んだ経緯が推測される。『つ』は『酢』に通じ、胃液とも繋がる。
本来、酢を使った料理のはずが、『つむし』『すむし』とが混乱し、野菜の不足する冬季に胃炎を防ぐための粥の意味で『すむしかい』『つむし』が転じた『すむし』を駆逐して返す『つむじかいり・つむちかいり』意味や『すむし』を刈る意味の『すむじかり、すむずかり』の意味とも考えられる。『つむちけし』の存在も重要である。整理すると『胃腸炎を消す』意味ともとれる。すなわち、胃液が多くなり過ぎた状態を『酢虫』と言い、その『酢虫』を『返す・変える・刈る・消す』意味である。
また異色の言葉として『せんつき』も重要である。この料理の数ある呼称のなかで異色の方言で、『せん』とは『疝』であり『疝気』でもある。『疝気』とは『漢方で、大小腸・生殖器などの下腹部内臓が痛む病気。殊に下腹部に発作的に劇痛を来し反復する状態。あたはら。しらたみ。疝病』とある。
言葉のルーツは、時代とともに次々に変わっていくので、決め手は無いが様々な語源が考えられ、謎は深まるばかりだが、本サイトの検証は正しくなくとも語源にはより近いはずである。
群馬では、徳川時代の中頃から伝えられた料理で、『下野家例』と当てられて、下野の国で初午の日に作るの家例であったとされている。これは、当て字以外には考えられない。
じゅうくやこう、十九夜講 じーくや
月待ち講のひとつで、毎月当番の家に女達が集まり、円座を組んで長い数珠をぐるりと回しながら念仏を唱えた。終わると歓談の時間が持たれ、女たちの憩いの場になっていた。子安信仰が主だったらしいが、念仏信仰と一緒になっていたようである。記憶では、その後男達も集まって部落の報告会等の後大宴会になり、いつもの民謡合戦が執り行われた。『ちゃんちきおけさ』になると普段は禁忌である茶碗叩きが堂々と行なわれた。30年代には、子供の私はなにかというと酔っ払い集団の中に呼ばれて、『ひゃっんがいし』を聞かされたが、大人たちばかりが楽しかったばかりではなく普段口にできない刺身のおこぼれにあずかれるので、『じーくや』の晩は楽しみだった。
土浦には『じーくたぢまぢ、はづがよいやみ』(十九忽ち、二十日宵闇)と言う慣用句がある。
月待ち講は、ほかに二十三日講、観音講がある。
じゅうのう、十能 じーの
じーのー
ひかぎ
ひーかぎ
広辞苑に『十能:炭火を盛って運ぶ道具。金属製で、木の柄がついている。火掻き。』『火掻:@かまどなどの火を掻き出す道具。おきかき。A十能(ジユウノウ)のこと。』とある。
ひかき:鹿児島。
ひすき:鹿児島。
ひすくい:鹿児島。
じゅうばこ、重箱 じーのい:4つ重ねの重箱・それを入れる容器(行器)。
じーばご
じーばぢ
しんしつ、寝室 へや 『へや』は民族語。民家の寝室は『へや』と言い、建築の専門用語でもある。広間型の民家の寝室は『へや』と言う。閉ざされた屋の意味と考えられる。
広辞苑には『へや(部屋)@家の内で定まった人の用にあてる室。曹司。曲房。A座敷。間(マ)。室。B民家の寝室。ねま。B物を入れる所。なんど。物置。C殿中の女中の居間。つぼね。D江戸時代、諸大名の江戸屋敷で、小者(コモノ)・人足などの詰所。E召使女が妾となって室を賜ったもの。F相撲で、年寄(親方)が弟子を養成する所。力士はいずれかの部屋に分属する。』とある。
『部(へ・べ)』は英語のdepartmenntとほぼ同じ意味がある。
現代語の『部屋』とは、閉ざされた空間を意味し、英語の『room』とほぼ同じである。
うちま:親戚:兵庫・香川・大分。
うちま:新潟・鹿児島。
すいとん、水団 とっちゃなもぢ いびだん:神奈川。
りだん:神奈川。
つみいれだん:神奈川。
とっちゃなげ:群馬。
とっちゃなだん:神奈川。
とってな:青森。
りだん:神奈川。
にだん:特に煮て食べる場合:神奈川。
ひっつみ:青森・岩手。
ひっつみだん:岩手。
へらへらだん:神奈川。
すずり、硯 いわ:大阪・奈良。
うみ:大阪。
すりこぎ、擂粉木 うらこわし
うらまし
うらまーし
うらまーしぼー
うらまわし
おめりぼー
まーしぼー

りぼー
擦るを嫌った忌み言葉に『当り木』がある。
標準語に当てられた漢字の『擂粉木・摺子木』とはそのまま『擦って粉にする木』なのだろうが、別に『@僧侶をののしっていう語。転じて、一般に人をののしっていう語。傾城買二筋道「この―めら」A(使用するに従って短くなることから) 進歩せずにかえって退歩する人を嘲っていう語。』の意味がある。『擂粉木・摺子木』はどう考えても当て字で、もともとは、『擦り扱く(すりこぐ)』または『擦り漕ぐ』の名詞形としか思えない。
『うらこわし』は稲敷郡の方言だが、稲敷郡はしばしば訛りの度合いが大きいものが多いので『末交わし』の意味だろう。うらましうらまーしうらまーしぼー・うらまわし』は、そのまま『末回し」・末回し棒』の意味である。『回り(めぐり)』は女房詞で普通は『御回り(おめぐり)』と言われた。ちなみに同じ言い方の『おめぐり』は『@宮中で夏の土用中に供えた味噌煮の団子の類。疫病よけのまじないに食すという。御輪。A(女房詞) 飯の菜(サイ)。おかず。おまわり。B月のもの。月経。』の意味がある。
『語源辞典』では@擦り砕き木、Aコギは小杵の意 とある。
ちなみに慣用句に『擂粉木で芋を盛る・擂粉木で腹を切る(不可能なことのたとえ。)』がある。また『擂粉木頭』は『すりこぎの先のように円い頭。』の意味である。『擂粉木隠し』は『陰暦一一月、大師講の日。また、その日に降る雪。弘法大師を宿泊させた家の老婆は、足に指が無く擂粉木のようであったが、食物がないので他人の畑の物を盗んだ。大師は老婆の信心に免じて、その足跡を隠すために呪法で雪を降らせたという伝説。また、大師の足が擂粉木のようであったためともいう。あとかくし雪。』の意味である。
でん:八丈島。『連木』+『杵』。
れん:宮城・近畿全県・島根・兵庫・岡山・広島・山口・四国全県・大分・福岡・佐賀。『連木』。
れん:八丈島。『連木』+『杵』。
ねんぼー:静岡。
:静岡。
すりばち、すり鉢、擂鉢 しなはぢ
しなはち:中国から伝わったので『支那鉢』説もある。
しのばち:久慈郡・那珂郡。
しのはぢ
しのはち:汁盤(しるのはち)の意味か。
しらか:稲敷郡・北相馬郡。
しらぐ:古語の『精ぐ・白ぐ(しらぐ)』に由来すると考えられる。
しらげ:『白笥』の意味か。『笥』(け)は『食物を盛るうつわ。また、物を入れるうつわ。』のこと。
しらじ:辞書には白地とある。『白笥』も考えられる。県広域。
しゅらじ
すなばぢ
すなはぢ
すなはち:砂鉢(すなばち)の意味か。多賀郡。
すりはち
するはち
なすばち:西茨城郡。
みそすりばぢ:味噌擂り鉢の意味。当時の味噌は自家製で、麦と大豆がまるのまま入っていた。濾していないからである。そのため、すり鉢で一旦すり潰してから使ったため、みそすりばぢとも呼んだ。
広辞苑には『擂鉢:味噌・胡麻などを入れて擂粉木(スリコギ)で擂り砕くのに用いる鉢。漏斗状の土焼製で、内面に縦のきざみ目がある。摺粉鉢。塩尻。御回し。』とある。古くは女房言葉で『白地(しらじ)』とも言った。『擂盆』(らいぼん)とも言う。
『国誌』の解説では『汁盤(しるのはち)』の意味とある。東北では『汁』と『する』と言う。
『称呼』には『擂鉢:江戸にてすりばち、大阪にてすりこばち、山陽道及四国にてかがつ、西国にてすりこのばち共いふ。東国の女言にてしらぢと云。上総及出羽にていせばち、奥州にてらいばん(擂盆か)、同三ノ戸にてかはらけばちといふ。』とある。
すいばち:鹿児島。
だいば:沖縄八重山諸島黒島。
だいばー:沖縄石垣島。
でぇはー:沖縄。
でーば:沖縄八重山諸島波照間島。
れーわー:沖縄糸満。
せいかつ・せいかつようぐ・せいかつざいりょう、生活・生活用具・生活材料 あげしょ:麺類を揚げる柄のついた笊
あらいおげ:洗い桶。芋類を洗う木製の少し深い桶、里芋等の場合はX型の洗い棒を使ってごろごろ音をたてて洗う。
おかさね:供え物
おーがま:大釜。
おがもぢ:箱の一つ
醤油しぼり・醤油しぼりぶね:木製の箱の上に万力の付いた絞り機
しろなわ・しろなー:シュロの皮で作った縄
味噌:味噌を保存する瓶
むいむい:糸を紡ぐ道具。糸車のこと。
らっきょびん:ラッキョウを保存する大型の焼き物の瓶、入口が極端に小さい。
わらなー:藁縄
たがぜん:高足。
たがっ:ランプのほや。
たげっ:竹べら。
たげんぼー:竹の棒。

せきはん、赤飯 あがいおまま:小豆飯。
あがいおまんま:小豆飯。
あがいごんこ
あがごはん:小豆飯。
あがまま
あがまんま
あかまんま
あがめし:小豆飯。
せぎはん
ふかこ:東北・新潟。
そうしき、葬式 おちゃんぼ:那珂郡・東茨城郡。
おどむらい
おとむらい
おどむれー
おとむれー
ざざんぼ
ざざんぼー:茨城・福島
・ざーぼー:行方郡
ざんぼ:東茨城郡・西茨城郡
じーぼこ:稲敷郡
じゃっちんじゃんぶぐ:鹿島郡
じゃーぼ
しゃーぼー:行方郡
じゃーぼー
じゃーぼん:東茨城郡
じゃぼ
じゃぼー
しゃぼー:高萩市
じゃらんぼ:鹿島郡
じゃん:稲敷郡
じゃんじゃんぼ
じゃんじゃんぼん・じゃんじんー・じゃんじん:稲敷郡
じゃんぼ
じゃん
じゃんぼー
じゃんぼこ・じゃんぼご:稲敷郡・新治郡・行方郡
じゃん:稲敷郡
じゃんぼん
しんだぼー:鹿島郡・行方郡
しんだんぼ:鹿島郡
ちゃんぼ:新治郡。
ちゃん:新治郡。
ちゃん:那珂郡。
ちゃんぼーん:稲敷郡
ちんじーぼー:行方郡
ちんじゃーぼ:行方郡
ちんじゃーぼー:行方郡
ちんじゃんぼん:行方郡
ちんだーぼー:行方郡・鹿島郡
ちんちゃぼー:行方郡
ふこー
ぼでー:北茨城市。
基本形は『じゃんぼん』で、東北では『じ』が『ざ』に変わり、近畿以西では『ち』に変わるはっきりした傾向があるのは面白い。
広辞苑には『じゃらんぼん:(児童語・隠語) 葬儀の行列。仏僧が葬列の先頭で打ちならすにょうはちの擬音から出た語。じゃらんぽん。』とある。
葬式に使う楽器の『鐃はち(にょうはち)』(銅製の皿状の物を二枚打ち合わせて音を出す法会や葬儀で用いる楽器)は古くは『じゃんぼん・じゃらんぼん』と呼ばれたというから、鐃はちの呼称そのものが葬式や葬列の名称になったと考えて良いだろう。  
土浦の葬式の鐃はちと太鼓の音は、私の耳には『じゃんぼごじゃんぼごじゃんじゃんぼごぼご』と聞こえたが、聞き方によっては『ちんどんちんどんちんちんどんどん』とも聞こえた。楽器やリズムが全国一律のはずはないので、それらが、各地域の方言に現れているのではないかと思われる。
葬式の名称はさらに死ぬことや棺の意味でも使われる地方がある。標準語の俗語に駄目になることを『おじゃん』と言うが、一般には、火事の鎮火の時に打つ半鐘の音に由来すると言われているが、葬式の意味が転じたことも十分に有りうると思われる。
おとぶれえ:山梨。『おとぶらい』。
おとぼれえ:山梨。『おとぶらい』。
おとむらい:茨城・千葉・栃木・埼玉・群馬・東京・神奈川・長野・山梨・静岡・愛知・福井・鳥取・山口・高知・大分。
おんぼ:宮崎・鹿児島。
がんこ:岩手。
くに:愛媛。
ざざぼ:福島
ざざんぼ:福島。
ざらえんぼ:山形
ざらふ:山形
ざらぶ:山形。
ざらぼ:山形。
ざらぼん:岩手・山形
ざらんばい:福島
ざらんぶ:山形
ざらんべ:福島
ざらん:山形・福島
ざらんぼ:福島。
ざらんぼー:福島
ざらんぼん:山形・福島
ざらん:岩手・山形
ざらんぼんぼ:福島
ざれんぼ:山形
ざんぼ:山形・栃木・
じゃれん:島根(幼児語)
じゃじゃんぼ:静岡。
じゃぶ:栃木。
じゃぼ:栃木・新潟
じゃぼー:栃木・三重
じゃーぼ:福島・茨城・千葉・栃木。
じゃらぼ:山形
じゃらぼん:山形
じゃらぼん:葬列:神奈川
じゃらんじゃらん:岩手
じゃらんぼ:青森(幼児語)・福島・群馬
じゃらん:山形
じゃらんぼー:千葉
じゃらんぼん:山形・群馬
じゃらんぼん:葬列:神奈川
じゃらん:静岡
じゃりんどん:新潟
じゃんじゃんぼ:福島・静岡
じゃんび:三重
じゃんぼ:福島・栃木・千葉・新潟(幼児語)・静岡
じゃんぼー:栃木。
じゃん:千葉
じゃんぼこ・じゃんぼご:福島・千葉
じゃんぼん:秋田・福島・茨城・千葉・栃木・埼玉・群馬・新潟・長野・山梨。
じゃん:秋田(幼児語)・福島・栃木・長野・静岡
じゃんぼん:死ぬこと:新潟。幼児語。
じんがん:長野
じんぼん:新潟。
だび:沖縄。近世に葬式を『荼毘』と言った名残。
だみ:青森・秋田・山形・千葉・長野。『荼毘』。広辞苑に『(東北地方、千葉・長野県で) 葬式。だび。』とある。
だんび:愛知。
だんべ:愛知。
ちゃがらん:島根
ちゃんちゃん:静岡
ちんかん:三重(幼児語)
ちんかん:三重(幼児語)
ちんかんぼー:三重
ちんかんぼん:鳥取
ちんどんがん・ちんどんがん:宮崎
ちんどんじゃらん:静岡
ちんどんじゃん:島根(幼児語)
ちんどんばー:島根(幼児語)
ちんぼんじゃらん:長野
ちんんじゃらん:岐阜。
ばんばん:福島。
みおくり:香川。
そうしきのぎしきとそうぐ・そのたかんれんご、葬式の儀式と葬具・その他関連語 いぎつきだげ・いぎつきたげ・いぎつきだけ・いきつきたけ:棺の土葬の際、頭部の上に備える竹
おーじょーなわ:左縄にない棺に入れる。
おかまのこしかげ:盆棚。
おっしあんどん:提灯(称呼)
かりむね:割り竹を結んで葬式の出棺の際の門としたもの。
かんさし:棺作りの職人。
かんずな:葬式で、棺を担ぐ棒を刺す棺を包んださらしの布。
かんだい:棺を埋めて土盛りした上に載せる屋根型の台。
がんばり:棺張り:江戸時代に棺として使われた樽に撒いた布。貧民の埋葬方法で、樽は四斗樽で寺からもらった寺から一丈ほどの布を借り樽に巻いたと言われる。樽をを用いたということはいわゆる屈葬に近い埋葬方法である。棺にさらしの布を巻くのはその後棺に代わってからも受け継がれた。
かんまぎ:棺巻き:棺にさらしの布や衣服をかぶせること。
たげばし:葬式で使う竹製の箸。
たげのもん:竹製の門。
ふこーぐみ:葬式を手伝いあう組講。
ふこーつかい:死亡通知をする使い。
ふこーつけ:死亡通知をする使い。
ふこーのこめ:葬式に使う米。
まきせん:葬式の出棺の際、死者の会葬者に対する施しの意味で撒くお金
死者を棺に納めるときに棺に入れるものは、かつては『手甲、脚半、白足袋、草鞋、ウツギの杖』だったが、今は、『頭陀袋、数珠、草履、六道銭』に変わったと言う。このうち六道銭は昔は六文で今は5円の穴明き銭を6枚を用意すると言う。ちなみに全国的には『杖、草履、笠、頭巾、数珠、白足袋、頭陀袋と六文銭、手甲、脚袢』である。
出棺に際しては、棺の蓋を開けて遺族による最後の分かれを行い、蓋を閉じる。軽く打った釘を遺族が石で銘々叩いた後、六道が最後に釘を打ち込む。棺は六道の手により必ず表座敷から外に運ばれる。出棺したら座敷に塩を撒き箒で掃き出す。
そうぞくにん、相続人、家督を継ぐ人 あどいせぎ
あどつぎ
あどとり
あととり
あどっとり
あどなめ
あどめ
あとめ
いせぎ
いせき
いはいもぢ
いはいもち
いへーもぢ
かがりご
かかり
多く、長男の呼称と一致する。『遺跡、跡目、跡取り、掛かり子』。
ぞうり、草履 いぼきりぞーり:山仕事用の草履。
いぼぞーり:山仕事用の草履。
いぼっきり:山仕事用の草履。
じょうり
『称呼』には『草履(ざうり):江戸にてこんがうのりものざうり(うらおもて共に藺の殻をもって織たる物)、畿内西国にてこんがう(こんかう)と云(乗物ざうりの名はなし。)。江戸にていふかはざうり(竹の皮にてつくりたる物)を九州にてうらなしと云。東国にてがづざうりと云。江戸にてなかぬきざうりを、京にてすべざうりと云(江戸にてわらのしべといふ物を京大阪にてわらすべといふ。)。因幡にてわらみざうりと云。江戸にて云わらざうりを奥州仙台にてちりざうりと云。江戸にてごんずわらぢを関西にてあとづけざうりという。九州にてむしゃわらぢむしゃざうりといふ(小児のはく物也)。』とある。・
だいこくばしら、大黒柱 でーこぐばしら うしもちばらし:宮城。『うし』は『牛梁』の意味。『ばらし』は音位転倒か。
だいどころ・ながし、台所・流し せえな・せーな:炊事場。
だいどご
だいどごろ
でーどご
でーどこ
でーどごろ
でーどころ
平安時代には『台盤所』と言った。中世以降『台所』と略すようになったのが有力とされる。
『台盤』や『台』は、現代のまな板や調理台を指していると思われる。
昭和30年代の茨城の田舎の典型的な台所は、今では考えられないほどスペースが広く、竃と流しは、分かれていた。竃は基本的に土間に有ったが、流しは土間にある場合と板の間の食堂に面して作られる場合があった。我が家は、竃に面して流しがあったが、巾80cm、奥行き60cmのスペースに、テラゾー(人造石)の流しが置いてあり、隣接して手押しポンプと巨大な水瓶が置いてあった。
 まないたは、その流しに渡すように置いて使ったが、別に、土間で作業をする場合のまな板は、下に足が付いていた。
 その後、かつてのまないたに流しの機能が合わさったと思われる『流し台』とも呼ばれるものが現れた。
 さらにその後、竃の機能が組み込まれ、ガスコンロ・IHコンロやガスオーブン、電子レンジが組み込まれ、システムキッチンと呼ばれるようになってから久しい。
うち:徳島。
すえ:鹿児島。
たなもと:山梨。
みじゃ:秋田。
みずけどこい:鹿児島。
みずや:山形・新潟・岐阜。限りなく標準語に近い方言。水屋の意味。
みんじゃ:青森・秋田・山形・新潟・富山・長野。水屋が訛ったもの。
よま:石川・香川・高知。
わんのま:長野。
たかげた・あしだ・あしば、高下駄・足駄・高歯 あしだ
あんま
たがげだ
たがば
たがんば
さいげた:鹿児島。
さしげた:鹿児島。『差下駄:差歯(サシバ)の下駄。差歯下駄。』。
ぶくり:岐阜・愛知・近畿・高知。『木履(ぼっくり・ぽっくり)』は『(ボクリの促音化) 女児用の下駄。台の底をえぐり、後側を円くし、前部を前のめりにしたもの。多く黒または朱の漆を塗る。ぽっくり。』のこと。
竹皮草履 がづぞーり
がつぞーり
古い東国方言。『皮つ草履』の意味ならスマートだが、濁音を考えると『合草履』の意味か。
たたみ、タタミ、畳 あづどご:『厚床』。
あづべり・あつべり:『薄縁』の対語。
たざみ
ただみ
あつどこ:山形・新潟。『厚床』。
たべもの・りょうり、食べ物・料理 あがづげ:シソで赤くした梅酢でダイコンを漬けたもの。
おがぼもぢ:陸稲の餅米を使ってついた餅
おがもぢ・おかもち:陸稲
おなめ:なめ味噌の一つ。大麦と大豆と麦麹で作る。
がーたぐもぢ:キビやモロコシ等の雑穀を入れた粗末な餅
ごぜんもぢ:大豆を入れた餅。
じゃっきもぢ:餅のあられ。
しょぼろ・しょぼろなっとー:そぼろ納豆。
とーふかす:おから。
よももぢ:草餅。
当時の農家の食生活は、今思い返すと驚くほど貧しいものだった。まず四足のタンパク質は、殆どなく、たまに卵を生まなくなった鶏を潰してカレーライスに入って来る位だった。魚はさすがに霞が浦に面しているので時々鮒の甘露煮が出て来る程度、残るは常備食として雑魚が沢山入ったワカサギの煮干が置かれている程度だった。ご飯と漬物とカツオブシがいつものメニューだった。そのため小学校で給食が開始されたときは、本当に美味いと思ったほどである。
いろめし:混ぜご飯・五目飯:奈良・大阪。
たわし、タワシ、束子 たーし
もだら
もったし
もったーし
もったら
もったーら
広辞苑には『わら・棕梠(シユロ)の毛などをたばねて造り器物をこすり洗うのに使うもの。』とある。
おからみ:長野。
もだら:秋田・山形・宮城・福島。
ちすじ、けっとう、血筋、血統 まい 国立言語研究所では、1970年に『社会構造と言語に関する基礎的研究(2)』を著し、『マキ・マケと親族呼称』と副題をつけて調査結果が出ている。それを加えた類似語は以下の通りである。
いえすじ:家筋。
いっとー:一統・一党。
えすじ
けっとー:血統。
すー
すーき
すじ:筋。
すじめ:筋目
すず
すじのけ
すじみち
そん:孫。
ちすじ:血筋。
つる:蔓:神奈川。
とー:党・統。
まき
まつい
もっとー
ちちんぷいぷい、子供が怪我をしたりぶつけた時痛みを和らげる呪文 ちちんかんんほい:那珂郡。
ちぢらんかんかん:土浦市。
ちちらんかん:県広域。
ちちらんかん:東茨城郡。
ちぢらんかん:県西・県南部・土浦市。
ちぢらんかんん いでーのいでーの (あっちのやーまに) とんでっちぇ(ちちんぷいぷい痛いの痛いの(あっちの山に)飛んでってしまえ):土浦市。
ちちらんかん:筑波郡。
ちちらんかんん かへいのまじない あっちのやまにとんでけほい:東茨城郡・土浦市。
ちぢらんかんん きちかへい のろいで っとなおれ:新治郡。『きちかへいのろい』とは『気違いの呪い』の意味か。
ちぢらんかん:土浦市。
ちぢらんかん:土浦市。
ちぢらんかん:矢田部郡。
ちぢらん:取手市。
ちんらんやんん あっちのやまさ いっちまい:西茨城郡。
つちんかん:行方郡。
『ちちんぷいぷい』は、『ちちんぷいぷい御代(ごよ)の御宝(おんたから)、。一説に「智仁武勇は御世のお宝」という。』とある。
県北には、昔吹いたと言う強風を『千々乱風』(ちちらんう・ちぢらんー)と呼ぶ。勝田市から那珂湊にかけてあった三つの村が砂で埋まったと言う言い伝えがある。この強い風で痛みを吹き飛ばす意味だろう。このことから、この方言は、標準語の『ちちんぷいぷい』が訛ったのではなく、『千々乱風・千々乱寒風』の意味と考えられる。
また、那珂湊市では、目にゴミが入った時のまじない言葉として『いどさへーれ、かーさへーれ、ちちらんん』がある。
ちょうずばち、手水鉢 ちょーずばぢ ちゅいばち:鹿児島。
ちゅっばち:鹿児島。
つっばち:鹿児島。
ちりとり、塵取り いぼ:新潟。
つくえ、机 つぐい
つぐえ
しょく
しょぐい
しょくい
しょぐえ
しょくえ
『しょく』とは古い言葉で『卓』のこと。『卓』の唐音という。もと仏教用語。
しく:沖縄沖永良部島。
しゅく:沖縄・与論島。
しゅくだい:宮古島
しゅくで:奄美大島。
しょき:鹿児島。
しょく:千葉・神奈川・佐渡・山梨・静岡・愛知・和歌山・岡山・大分・長崎・宮崎・鹿児島。
じょーく:熊本。
しょくい:長野。
しょくえ:茨城・佐渡。
しょくけい:滋賀。
しょくでゃー:広島。『卓台』の意味。
しょくば:教室:栃木。『卓場』の意味か。
すく:沖縄。
すくー:沖縄。
すぐだい:与那国島。
すくだい:鹿児島黒島。
すくで:鹿児島奄美大島喜界島。
そく:鹿児島。
そくで:奄美大島。
つくだに、佃煮 つぐだに いろつけ:佃煮:熊本。
つけもの、漬物 おごご
おごーご
こご
こーご
こーこ
こーこー
『おこうこ・こうこ・こうこう』なら標準語。『香香』。
当時は、家の裏には必ず薪が積んであって、その脇に素焼きで黒い釉薬が上の方に施され、垂れたような模様のひとかかえもあるような漬物樽が2〜3置いてあった。
がっこ:秋田。
つつそで、筒袖、つつっぽ つづっ
つつっ
つつっ
つづっ
つつっそで
つっ
つーっ
つっそで
とーじん:筒袖・肌襦袢。
戸棚 とざな  当時の農家の大半は大学の建築の歴史の教科書に出て来る『田の字型』『三室広間型』が一般的で、我が家は『田の字型』の典型的なものだった。建坪は40坪で当時の農家の平均的なものである。2階は、八畳間が二部屋あったがかつては、養蚕部屋であった。さらに合計20畳もありそうな屋根裏部屋があり、そこはかつて、収穫・乾燥し葉分け(タバコの葉の区分等級に応じた仕分け作業)が終わったタバコを収納した部屋でもあった。そこへは、土間から直接上がれるようにもなっていた。
 収納は、まずへや(寝間:ねま)にもぢ(長持)を納める2間巾のふすま・おしこみ(押し入れ)があった。嫁入りの時、長持の数で嫁の家の品定めがされたと言う。その他にはいだのま・えだのま(板の間:食堂)に食器を納める引き違いの板戸(鏡戸)のある上下2段棚があるのが一般的だった。我が家は珍しく板の間に面した土間に半間の板戸付きの棚があったので、区別するために板の間にあるものをういなとだな(上の戸棚)、土間にあるものをしたなとだな(下の戸棚)と呼んだ。日常の衣服は、『ふぐいれ』(服入れ)と呼ぶ半間巾の上下二段のオープンな棚で玄関脇の雨戸のとぶぐろ・とくろ(戸袋)裏にあった。風呂は五右衛門風呂だったし大中小の竃があったから焚き木は必需品である。そのため、五右衛門風呂の炊き口は広く作ってありその一部に半間巾のたぎだな(焚き木棚)があった。でーどご(台所)その他の作り付け収納は、せいぜい台所の簡単なオープン棚程度しか無い。戸棚は訛って『とざな』とも言った。

あとは置き型の婚礼桐タンスで、晴れ着を納めていた。食器棚は『食器ダンス』とも呼んだ。今思い起こせばよくその程度の収納で済んでいたなと思う。だが、良く考えてみると、蔵、『までや』物置、木小屋、『へえや』(人糞を一次貯留し発酵させて肥やしにする小屋)、『ぶだや』(豚小屋)、鳥小屋等が200〜500坪、大きい場合は1000坪もの敷地に配置されていたので収納スペースには事欠かなかったと言えるだろう。
時代が変わり、農家の家の構成はかなり様変わりした。馬も牛も居なくなり『んまや』の多くが『でえどご』に代わり、耕運機の全盛時代を経てトラクターと軽自動車の時代になった。移動手段と耕作機械が分離したのである。竈(かまど)も姿を消しシステムキッチンになった。『ごいもんぶろ』(五右衛門風呂)は、FRP浴槽を経てユニットバス全盛の時代を迎えつつある。
収納も都会とほとんど変らない。いよいよ食器戸棚も食器棚と言うようになった。
とっくり、徳利 かんぢょか:鹿児島。文献には『燗瓶』の意味とある。
かんつぼ:静岡。
どびん、土瓶 どひん
『称呼』には『どびん:薩摩にてちょかと云。同国ちょか村にてこれをやく。ちょかはもと琉球国の地名なり。其所人薩摩に来りてはしめて制るゆへにちょかと名づく。又常陸及出雲或い四国にてどひんと ひ の字を清て唱う。出雲常陸などにてはどびんとなづくるは牛馬の睾丸(きんたま)也。四国にては人の睾丸の大なるをいふとぞ。武蔵の国にて春のたはむれにすなる実曳の親縄といふ物のしるしにつくる物を胴ぷぐりどっぐり)又どっなどといふも意なるべし。』とある。
『聞書』によれば、『どん』とも言ったという。
ちゅか:奄美大島。
ちゅーか:沖縄。
ちゅーかー:沖縄。
ちゅっかー:沖縄八重山諸島。
ちょか:宮崎・鹿児島。『茶壺』(tya hu)の唐音だとの説もある。
ちょこ:長崎。
どしん:福島。
どひん:福島。
:大阪。
どま、土間 にやば
にゃーば
にわば
うしにわ:島根・鹿児島。
うす:愛知。『臼処』の意味か。
うすにわ:三重・島根・熊本・鹿児島。『臼庭』の意味か。
うすや:静岡・三重。
うちにわ:愛知・徳島・愛媛・長崎。
うっしゃ::三重・奈良。
にわば:千葉。
みじゃ:八丈島。『水屋』が訛ったとされる。『水屋』は現代でも茶室の流しをそう呼ぶ。
つちみざ・つちみだ・つちめざ:長野。
とりおい、鳥追い(1月14日) おか

りたぎ
りび
とりおい
とり
とりほい
とりまぢ
とりまぜ
とりまで
とりまでのとしこし
とりまとい
とりまどめ
とりまどめしょー
とりまどめどし
とーりんぼ
とーれんぼ
とーろんぼ
とんど
どんと
どんとび
どんどび
どんどや
どんどやぎ
どんどやま
どんどんやぎ
どんどんやき
はーほい
ほいほい
ほいほい
やーほい
やんどり:常陸太田市。
まつひき
わーほい:横瀬夜雨の『田舎の新春』にも出て来る。茨城方言集覧では旧水戸市・稲敷郡の方言で『正月14日の爆竹を言う』とある。
(火祭りに作る小屋)
どんど
どんどん
はーほい
ほいほい
わーほい
古くは『左義長・三毬杖』(さぎちょう)
大辞林には『左義長:毬杖を三つ立てたところから小正月に行われる火祭り。宮中では正月一五・一八日に清涼殿南庭で、青竹を立て扇・短冊などを結びつけて焼いた。民間では竹を立てて門松・注連縄(しめなわ)・書き初めなどを焼き、その火で餅を焼いて食べて無病息災を祈る。どんど。どんど焼き。さいと焼き。さんくろう焼き。ほちょじ。ほっけんぎょう。』とある。
また『さいとやき【道祖土焼】:小正月に行う道祖神の火祭。関東・中部・北陸地方でいう。さいのちょう。さいとうばらい。せえとんび。どんど焼。』ともある。
手野の大火以来取りやめになったところが多かったが、一部で細々と行なわれた。『ほいほい・わーほい』とも呼ばれた他、土浦市内では『とりおい・とりまでとりほいほいほい小屋どんどん焼き』と呼ぶ地域もあったという。昭和54年に田村で一度本格的な祭りが行なわれた。
さいとさま:神奈川。
さいとばらい:神奈川。
さいとやき:神奈川。
さいのかみまつり:神奈川。
せーと:神奈川。
せーとばらい:神奈川。
せーとばれー:神奈川。
せーとやき:神奈川。
せーのかみ:神奈川。
だんやき:神奈川。
どんどろやき:野火:福島。
どんどんやき:東京・神奈川。
どんとまつり:宮城。
(その他)
やへやへほー:どんどやきの掛け声:宮城。
とりうちぼう、鳥打帽 いっじゃっ
とりうぢぼー
いんらぼーし:愛媛。
なつまつり、夏祭り ぎょおん
ぎょん
ぎょーん
『祇園』が訛ったもの。
にないおけ、担い桶
たごおげ
『担桶』。『たごおけ』とも言う。古い標準語。茨城では単に桶を言うことがある。
今では『スズメの小便桶(たご)』(イラガの繭)ぐらいにか使われない。一説には『たご』は近世大阪語。語源は、@田籠、A田子が担う桶であるところから、B肩器(かたけ) が有力とされる。そうなれば、桶は『負い器』の意味なのだろうか。古くから『こ・ご』は『籠』を指すことから、本来は『担籠』の意味なのかもしれない。
『称呼』には『桶(をけ):上下総州及武蔵にてといふ(江戸にて四斗樽、京にて四斗をけと云を、総州にて四斗こといふ。すえふろをけすえふろこなどといふ。)。常陸にてとう、豊州及肥前佐賀にてかいといふ。長崎にてそうと云(大いなるをふといそうといひ小なる物をほそいそうといふ。)。畿内にてたご(担桶)といふを江戸にてになひといふ(これになひをけの略也。又になふとはひとふたりにてもつを云。かつくと云ひかたぐると云は意違えり。またたごとはをけの惣称也。上かたにては、なにたこといふ。たごとばかりいふ時は、畿内西国共に水桶也。東国また豊後にてはと云は糞器をいう也。「多識」に尿桶(たご)と有この事にや。)。京にてかたてをけと云を江戸にてはかたてをけさるぼう、又くみだしとも云。越前にてかいみずをけと云、加賀にてかいげ、下野にてひづみと云(造酒屋にて用ゆるかたてをけの大なるものを肥前にてたみをけといふ。)。』とある。このうち『さるぼう』は『猿頬』のことで江戸方言である。
江戸時代には、無造作に置いた桶をトイレ代わりに使ったとされるが、ここでもそれが読み取れる。後に地面に埋められるようになる。
たが:島根・岡山。
たぐ・たーぐ:手桶:沖縄。
:岩手・山形・宮城・千葉・神奈川・長野・福井・滋賀・京都・大阪・奈良・三重・兵庫。
たご:愛知・鳥取・島根・山口・香川・高知・九州全域。
たんが:埼玉。
たん:桶:京都。
たん:岩手・山形・宮城・千葉・神奈川・福井・滋賀・京都・大阪・兵庫。
たんご:埼玉・群馬・愛知・鳥取・島根・山口・香川・高知・九州全域。 
人形 おそめ:人形・人形につける名前。
おまん:人形・人形につける名前。
じょろめさま:人形・人形遊び。紙等で自分で作る。
じょろめっこ:紙の人形で遊ぶこと。
できのぼー:北相馬郡。
でぐ
でく
でくるぼー
でご
でごさま
でこさま
でごさん
でこちゃん
ねんょー
ねんょぼ
人形に関する民俗学的な文献は折口信夫『人形について』がある。
方言学の世界でもっとも有名なのは、橘正一の『人形の方言』である。
『称呼』には『人偶(にんぎゃうてくぐつ):京江戸共ににんぎゃうと云。豊後にてでこんぼうと云。中国にてできのぼうと云。四国にてでこでく共云。豊前及武蔵相模安房上総下総にてもでくのぼうと云(これいにしへでぐるぼうと云し詞の変したる也。京大阪のいなかにてもでこといふ。)。又京大阪にていふそろまと云人形は、東国にてのろまといふもの也。また京にてつくね人形といふ物を江戸にてねりにんぎゃうと云。又起上小法師(をきあがりこぼうし)といふ物を、勢州久居にてうてかへりこぼしといふ(この所にてはかたなの鞘のかへり角といふものをうてかへりづのと云。其外もこの類にてをして知るべし)。』とある。
橘正一の『人形の全国方言』には、人形の古語には『くぐつ、ひひな、てくぐつ、でくぐつ、でくのぼう、でくるぼう、でこ、でこのぼう』があると紹介されている。
広辞苑には『でこ:(西日本、福島・栃木県でいう) 「でく」に同じ。』とある。
あいや:淡路島。
あか:埼玉。
あかちゃん:埼玉。
あねさま:岩手・静岡。
いちま:大阪・奈良・和歌山・香川・愛媛・高知。
いちまー・いちまさん:岡山・広島・小豆島。
いちまでこ
おでく:山梨。
くぐつ:古語。からくりの意味。
じんじょ:青森。
ちょーま:静岡。
でく:近世語。
でくぐつ:古語。
てくぐつ:古語。
でくのぼう:近世語。
でくるぼー:近世語。
でこ:近世語。
でこのぼー:近世語。
でころぼー:静岡。
でに:静岡。
にんにょ:青森・秋田・熊本。
ねね:青森・群馬・埼玉・山梨・静岡・岐阜・愛知・奈良。
ねんょー:埼玉。
ひとかた:古語。
ひとがた:古語。
ひな
ひひな:古語。
ひーな:山形・静岡・兵庫。
へーなさん:神奈川。
べんた:九州。
へんな:巫女の持つ人形。
ほーこーさん:静岡。
はか・はかば、墓・墓場 はがば
らんと
らんとー
らんとば
らんとーば
なんとー:千葉。
やんとら・やんとれ:秋田・青森
らんとー・らんとーば・らんとーやま:神奈川。
らんとー:千葉。
らんとーば:栃木・千葉・群馬・新潟・長野・愛知・島根。
らんば:岩手・山形・宮城・福島・新潟。
はかり、秤 はがり 以下いずれも『斤量』が訛ったとされる。
きんじゅー:佐賀。
きんじょ:鹿児島。
きんじょー:兵庫・広島・長崎。
きんちょー:和歌山。
きんりゅー:佐賀。
きんりょ:鳥取。
きんりょー:新潟・奈良・兵庫・島根・山口・愛媛・大分・福岡。
ちんろー:沖縄。
はし、箸 うみす:沖縄。
はた・はたおりき、機・機織機 いざりぎ:躄機・居座機。
いざりばた:躄機・居座機。
はだあし
はだし
はだーし
調べると『機織機』は辞書には無く『織機』である。足の無い原始的な地機は『躄機・居座機(いざりばた)』と言い、足のあるものをはだあしはだし・はだーし』と呼んだと考えられる。
『裸足』の語源は、『肌足』の説が有力である。『機足』が『はだあし・はだし・はだーし』となっても何ら不思議は無い。
はたあし:神奈川。
はたーし:神奈川。
はだし:栃木。
はたき、ハタキ、叩き ただぎ
はだぎ
うちはらい:富山・三重・和歌山・広島・島根。
うちぼーき:岩手・島根。
ぶっらい:長野・静岡。
はんてん、半纏 とーじんこ:綿入れ半纏。
とーじんぼ
はんこ
はんこ:福島・栃木・千葉・静岡・愛知・滋賀・徳島。
ひしゃく、柄杓 あっかー
ひしゃぐ
ひっこし、引越し やうづり
ふきん、布巾 ふぎん 『巾』とはきれのこと。『布巾』は中国語由来で宋音である。現代北京語では『ホユチン』。
ほゆきん→ほいきん→ふいきん→ふっきん→ふきん
ふいきん:山梨・島根・広島・山口・大分・福岡・長崎・熊本。
ふきの:青森・岐阜・熊本・鹿児島。中国語伝来でなければ『拭き布』の意味か。
ふっきん:福井・大阪・兵庫・小豆島。
ふゆきん:山梨。
ふみだい、踏み台 あしつ 今なら脚立。『あしつぎ。ふみつぎ。』とも言う。
ふみつ:福島・岐阜・奈良・広島・大分。
あしつ
うま:新潟・島根・山口・香川。
ふようのもの、不要のもの ひねくさい:古臭い。
ひねくせー:古臭い。
広辞苑に『ひね(陳・老成):@晩稲。おくての稲。A前年以前にとった穀物。旧穀。B古びたこと。また、そのもの。Cおとなびていること。老成していること。』とある。また、『陳ねる:ふるびる。年を経る。老成する。ませる。』とある。
ひね:和歌山・岡山。
ふるい、篩 ふーるぎ
ほーろぎ
いとゆり:長崎。
たかゆる:長崎。
たけゆり:長崎。
ゆい:沖縄。
ゆり:奄美大島。
ゆる:長崎。
ふろ、風呂 すいしろ:据風呂。
すいしろこ:風呂桶。
すいひろ:『水風呂』(すいふろ)。
すいふろ:『水風呂』(すいふろ)。正確には『桶の下部が釜になった、水から沸かす形式の風呂』を言う。
すいひろこ:風呂桶。
すえふろ:据え風呂。
:@湯沸し釜、A据え風呂に付属する湯を沸かす釜、B据え風呂
ゆご・ゆこ:風呂桶。
すいしろ:福島。
すしろ:福島。
すーしろ:福島。
すいふろ:東京武蔵村山。
すいほろ:神奈川。
すーしろ:福島。
すっしょ:宮城・福島。
ゆこ:風呂桶:埼玉。
ふろしき、風呂敷 ふるしぎ
ふるしき
ふるしこ
ふろしぎ
ひろしき:鹿児島。
ふるしき:秋田・福島・群馬・東京・神奈川。
ふるすぎ:青森。茨城にあってもおかしくない方言。
ふろすぎ:宮城。
ぶんけ・しんたく、分家・新宅 いんきょ
しんや
にーや
広辞苑には『にいや(新屋・新家)@(関東地方で) 新築の家。しんや。しんけ。A(関東・東海地方で) 分家(ブンケ)。新宅(シンタク)。』とある。
あじち:富山・石川・福井・岐阜。奈良では寺子屋を『あじちゃ』と言う。
あたらしや:新潟・長野。
あらえ:富山・福井。
いえもち:山形・新潟・長野。
いっこ:青森・秋田。
いんきょ:神奈川・静岡・京都・三重・奈良・和歌山・大分。
ふんどし、褌 たんな:鹿児島。
へい、塀 へー へーおい:中国。
へーかべ:長野・島根。
べんじょ、便所 いだばし:屋外の便所。
うら
おであらい
おであれー
おんこば
かわや
かんじょ
ごふじょ
しょんべんため:屋外の溜めになっている小用便所。
しょんべば:小用便所。
しょんべんば:小用便所。・
せっちん
ちょーず
ちょずば
ちょーずっ
ちょつ
ちょーつば
ちょーつ
ちょーっ
にほんばし
べんじごば
べんじょ
べんじょごば
べんじょば
(その他の呼称)
かみべんじょ:室内の便所。
しもべんじょ:室外の便所。
フランスのベルサイユ宮殿は17世紀の建物であるが、便所は無かったと言う。用足しはもっぱら宮殿の周辺の林を利用したとされる。日本のトイレは、かなり古い時代から整備されていた。その大きな理由は『かわや(厠)』に代表されるように縦横に小川があり、小川の上に小屋を作った便所が発達したためと考えられる。また、平安時代の宮中では室内の簡易便所があった。
江戸時代の小用は男女とも置き型の桶を利用した記録がある。田舎では、庭の片隅の地面に桶を埋めたものを『小便溜』と呼んだ。
昭和30年代の土浦の便所は、汲み取り式で、内外の便所を問わず地面に大型の壺を埋め込み、そこに床を組んで四角い穴を開け、木製の金隠しがついていた。我が家の室外の小便所は、物置小屋の一角に大便所に並んで設けられていた。うっかりすると『つっったり』することがあり私の兄は、私が知るその先例者である。
便所を『にほんばし』と呼ぶのは庭に埋めた壺の上に二枚の板を渡した便所の名残だろう。『はし』とは『橋』『階』(はし:階段)『梯子』の意味があり、橋渡す意味がある。
また当時の農家には『へーや』(灰小屋または肥小屋)と呼ばれる肥料小屋が必ずあって、我が家では、地上部は藁置き場になっていて、地下部分が人糞の貯蔵タンクになっていた。人糞はその小屋下に一度貯留し発酵させてから肥料として使った。最近は浄化槽が普及して無くなってしまった。
江戸時代は、農家が市街地に出て人糞を求め野菜類と交換したと言う。究極のリサイクルである。
便所の別称には『うら、かわや、かんじょ、ごふじょう、せっちん、ちょうず、ちょうずば』がある。便所とはそのまま、便をする場所の意味だが、物の名称は、その形状や作り方や、行為あるいは環境、はたまた故事に由来したりする。
いしどこい:鹿児島。
いどの:三重・岡山・徳島。
うっしゃ:長崎。
うら:東北・静岡。
ちっどこい:鹿児島。
ちゅっどこい:鹿児島。
ちょーじ:鹿児島。
つっどこい:鹿児島。
まなか:鹿児島。辞書掲載語。
ほとけ、ほとけさま、仏、仏様 のの:幼児語。
ののさま:幼児語。
ののさん:幼児語。
のーのさん:幼児語。
のんの:幼児語。
のんのー:幼児語。
のんのさま:幼児語。
のんのさん:幼児語。
のんのん:幼児語。
にょにょさん:幼児語:鹿児島。
のーのさん:幼児語:神奈川。
のんのさま:幼児語:福島・千葉・埼玉。
ぼん、盆 しんぼん:新盆。
あがだな:墓と仏様が家まで帰る道筋に設ける棚。マコモと竹で作る。最近は墓だけになった。『閼伽棚』。
あがだなかざり:迎え盆に仏壇に供える棚。仏壇に供える。稲敷郡。『閼伽棚飾り』。
盆には墓から家に至る道筋に土を盛って仏様迎え火や送り火の際に線香をを立てる土壇にした。これを茨城で何と言っていたか記憶に無いが、神奈川ではかなり広い地域で『すなもり』と言い『せんこたて・つか・つじ・ぼんづか・もりづか』と言う地域もある。これに合わせてキュウリやナスに棒を差して供えたが、全国的には4本の棒を刺して馬型にするところが多い。
ほんけ、本家、本宅 おもで いや:山形。
いやね:山形。
まえかけ、前掛け、エプロン まいかげ
まいだれ
めー
めー
めーかげ
めーだれ
まえあて:奈良・宮崎・鹿児島。
まえぶり:岩手・秋田・鳥取。『まえぶり(前振り)』とは『まえそ(前苧):魚網を打ちまたは曳く際に着ける、藁・萱・棕梠などでつくった前垂れまたは腰蓑。前振り。』のこと。
まっち、マッチ、燐寸 つけ
つけ
『摺付木』。
『付木』。もともとは、端部に硫黄のついた剥ぎ板(5〜6cm×10cm)を言い、火を他に移すためのもの。
あめりか:秋田・岩手。
だんつけぎ:鹿児島。
つけ:神奈川。
つけ:神奈川。
つけだき:山口・愛媛・高知。
つけだけ:鹿児島。
らんつけぎ:鹿児島。
まないた、まな板、俎板、俎 きりばん:『切盤』。
さいばん:『菜板』。
せーばん
まないだ
まないた
まねーだ
まねーた
広辞苑には『俎板・俎・真魚板(まないた) 食物を庖丁で切る時にのせる板、または台。』『菜板(さいばん):(東北・関東地方などで) まないた。きりばん。』『切盤(きりばん):俎板(マナイタ)に同じ。』『当て盤(あてばん):俎板。切盤。』とある。
現代ではほとんど樹脂製に変わったが、当時は木製で、しかも下に足があり、土間などでの作業にも使われた。
あて:京都・福井・大分。『当て』。
あてばん:福井・大分。『当て盤』。
きーばん:宮崎西部・鹿児島。
きりばん:宮城・福島・茨城北部・栃木・群馬・埼玉・東京西部・千葉南部・山梨・静岡・石川・福井・岐阜・愛知・滋賀・三重・和歌山・兵庫北部・島根・鳥取・岡山・広島・山口・福岡・大分・佐賀・長崎・熊本・宮崎。
さいばん:北海道・青森・岩手・秋田・宮城・茨城・千葉・栃木・石川・五島列島。
せーばん:・宮城北部・茨城南部・千葉北部。
せばん:青森・岩手・秋田。
ちりばん:宮城。
なきり:京都北部・兵庫北部。
ばん:福島南西部・群馬北部・静岡南西部・岐阜北部・愛知西部・大分北部。
まないた:近畿・四国。
まねーた:山形西部・茨城の一部・群馬西部・埼玉の一部・東京の一部・神奈川の一部・新潟・長野・山梨の一部・愛知の一部・兵庫の一部・岡山南部・宮崎南部。
まねた:山形・新潟・長野・鹿児島。
まんないた:宮城。
まゆだま、繭玉 (総称)
あーほひーほ:北茨城市:粟穂稗穂の意味。
いなほ:日立市・岩井市・行方郡。『』のは掲載されていないが、『いなほもぢ』とも言った。
うすおごし:土浦市他県広域。
おーばんこばんまゆかざり:猿島郡。
かざり:東茨城郡。
こしきそめ:土浦市。
こめのはな:水海道市。
じーろぐだん:北茨城市。
だんごおし:久慈郡。
だんごさし:久慈郡・東茨城郡・行方郡。
なさせもぢ:土浦市。
なしもぢ:結城市。梨の豊作を祈る。
ならしもぢ:土浦市他県広域。
ならせもぢ:土浦市他県広域。
なりき:多賀郡。
なりきのもぢ:北茨城市・稲敷郡。
なりきもぢ:県広域。
なりだま:東茨城郡。
なりもーせ:鹿島郡。
なりもぢ:北茨城市・真壁郡・結城市。
なるきもぢ:稲敷郡・行方郡。
はづもぢ:土浦市。
はなかざり:久慈郡・行方郡。
はなふきもぢ:那珂郡。
はなもぢ:県北部。
ふくのたーら:古河市。
ぼぐ・ぼぐかざり:北茨城市。
ほーさぐもぢ:稲敷郡。
まいだま:県広域。
まいだまだん:那珂郡・東茨城郡。
まいだまもぢ:土浦市他県広域。
まいだん:東茨城郡・結城郡・水海道市猿島郡。
まゆだまだん:那珂郡・東茨城郡。
まゆだまかざり:那珂湊市・東茨城郡。
まゆだまもぢ:土浦市他県広域。
まゆもぢ:東茨城郡・稲敷郡。
みずはなさま:北茨城市。
めーだま:県広域。
めだまもぢ:東茨城郡・筑波郡。
めやまだん:猿島郡:だんごをケヤキの枝につける。
めーだまもぢ:県広域。
もぢだん:高萩市・東茨城郡。
もぢならせ:真壁郡・水海道市・新治郡・筑波郡・稲敷郡。
もぢばな:土浦市他県広域。
わがもぢ:土浦市他県広域。
わだのはな:西茨城郡・結城市。
わだもぢ:真壁郡・結城市・北相馬郡。
・わがのもぢ:稲敷郡。
わだのはな:西茨城郡・結城市。
わだもぢ:真壁郡・結城郡・北相馬郡。
(その他)
だんぼぐ:繭玉に使う木。
ならし:繭玉に使う木。
なわしもぢのき:繭玉に使う木。
ならせ:繭玉に使う木。
なりき:繭玉に使う木。
まいだまのき:繭玉に使う木。
まゆだまかぎ:1月19日または20日に繭玉の餅をもぐこと。
めーだまくずし:繭玉をもぐこと。
めーだまも:繭玉をもぐこと。
もぢならしのき:繭玉に使う木。
もぢのき:繭玉に使う木。
わがむがい:繭玉に使う木をとりに行くこと。
わだみさま:繭玉に使う木。
『繭玉』は広辞苑に『小正月の飾り物。柳・榎・山桑・アカメガシワなどの枝に餅・団子などを沢山つけたもの。繭の豊かにできることの予祝。のちには柳などの枝に菓子種で作った球を数多くつけ、七宝・宝船・骰子(サイ)・鯛・千両箱・小判・稲穂・当矢(アタリヤ)・大福帳など縁起物の飾りを吊し、神社などで売るものとなった。まいだま。まゆだんご。なりわいぎ。』とある。
1月15日(14日)の風習。カマドか、土間に伏せた臼を置き、2m程度のクヌギやナラなどを縛り付け、その枝に紅白の餅を付ける行事。その他、仏壇や神棚、大黒柱、牛馬の小屋等の要所に小型のものを用意した。本来はカイコが豊かに育つことを願う行事だが、稲や綿等その地域の産物の豊作を願うものに変化しているところもある。
『ドンど焼き』も『粟穂稗穂』も『繭玉』も良い収穫を願うことを目的とした行事で、『ドンど焼き』は米、『粟穂稗穂』は粟・稗、『繭玉』は蚕の多産を願ったのだろう。
えんだま:宮城。
かいこみさま:神奈川。
にわだん:正月14日に土間に立てた柳の枝に刺す団子:神奈川。
まいだま:群馬。
まいだましょーがつ:群馬。
まゆだん:神奈川。
みずこし、水濾し 広辞苑に『水嚢:底を馬尾毛(バス)または針金の網で張った篩(フルイ)。また、竹を編んだものにもいい、食品をすくって水を切るのに用いる。みずふるい。みずこし。羅斗(ラト)。』とある。
しーの:佐賀。
すいの・すいのー:愛知・兵庫・島根・岡山・広島・徳島・愛媛・福岡・長崎。
すいのー:味噌漉し:埼玉。
すの:青森・山形。
すーのー:沖縄。
みみふたぎ、耳塞ぎ いーごどきかせ
いーごどきかせのもぢ
いいみみきげ
みみふさだん
みみふさもぢ
みみふたもぢ
広辞苑には『耳塞ぎ:同齢者が死んだ際、災いが身に及ぶことを怖れ、鍋の蓋や草鞋・餅・団子などで耳を塞ぐまじない。耳塞ぎ餅・耳団子は、その餅や団子。』とある。
県下では地域によって微妙に異なる。正月14日の儀式として行うところや、訃報があったとき行うところもある。土浦では、訃報があったとき、死者が男のときは左耳、女の時は右耳に当てる。『いしけーみみきぐな。いーみみきげ。(悪い耳聞かない。良い耳聞け。)』などと言う。同齢が死んだときんだとき藁草履の鼻緒を切って十字路に捨てて来るところもある。餅ではなく団子だったりおにぎりのところもある。
以上の情報は全て文献によっており、当時すでに昔そんな儀式があったと聞かされた記憶がある。以上の情報は全て文献によっており、当時すでに昔そんな儀式があったと聞かされた記憶がある。
やかん、薬缶 やがん いん:富山。
やなぎだる、柳樽 あがだる
やな
めかご、目籠 はんめーけ:浅い目籠。
はんめー:浅い目籠。
はんめ:浅い目籠。
みいき
みいけ
みかい

みけ


ざる
めかい
めーかい

いか
めかい
めーか
めけー

めーげ
めーけ
めけぇー
めん
めん
めんざい
めんざいる
広辞苑に『めかご【目籠】:目の粗い竹籠。目ざる。』とある。
『めご』とも言う。
『称呼』には『又関西にてめかごと云を東国にてめかいと云。或 ふご びくこめあげざる、又其大なるをかまたきと云。』とある。
みかい:静岡。
みか:静岡。
めかい:山形・福島・茨城・栃木・群馬・東京・神奈川。
めしびつ、飯櫃
いー
『飯籠』(めしかご)の意味。類似語に『飯行李(いいごり)』がある。
『いは、辞書には無いが江戸時代の京・上総・下総・常陸で使われた古い言葉である。
当時の飯びつは、夏は痛み易かったので竹籠でできていた。『集覧:新・真稲・鹿』。
『称呼』に『飯櫃(めしびつ):京にて、上総・下総・常陸これにおなじ。安房にてあま、伊勢にてさうなといふ。』とある。
餅つきの相手役 あいどり
あいどー
もっこ、モッコ、畚 広辞苑に『(モチコ(持籠)の音便) 藁筵(ワラムシロ)または藁縄を網状に編んだものの四隅に吊紐(ツリヒモ)をつけ、土芥・肥料・農産物などを盛って運ぶ用具。あじか。ふご。もっこう。』とある。
ふこ:長野。
ものおきごや、物置小屋 あまや
まで
までや
までーや
まてや
まといごや
ものおぎ
ものーぎ
いなべや:新潟。
いなや:静岡・奈良・福岡。
ももひき、股引 ももしぎ
ももしき
もん
もん
もん
もん
いんりまた:島根。
やなぎだる、柳樽 あがだる:柳樽。
ゆいのう、結納 いーの
いーのー
しめだる
たるいれ
広辞苑に『結納:(「言納(イイイレ)」を「結納(ユイイレ)」と訛り、さらに「納(イレ)」をノウと音読したもの) 婚約の証として、婿・嫁双方から金銭や織物・酒肴などの品物を取りかわすこと。また、その金品。納采。ゆいれ。』とある。
いーの:神奈川。
いーのー:神奈川。
いーれ:鳥取・大分。『結入れ』。
しめだる:長野・福井。
さけいれ:山梨。
ろうそく、ロウソク、蝋燭 『らっそく』とも言う。
どうそく:八丈島・鹿児島。
ラッチャク・ラッチャコ:アイヌ語。実際はロウソクではなく、帆立貝の燭台にアザラシなどの油をどを入れぼろきれを灯心にして火をつけたようなものだったとされる。
らっちょく:松脂ロウソク:宮城。
わらぞうり、藁草履 ぼったじょーり:大型の藁草履。
ったぞーり
ぼったぞーり
わだぞーり:草履の一種。
わらじょーり
わらでっぽう、藁鉄砲 いもただぎ
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