昔の茨城弁集
昭和35年〜45年頃の茨城弁集
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◆印:『土浦の方言・続土浦の方言』掲載語。■印:『土浦市史・民族編』掲載語。▲印:『茨城方言集覧』掲載語。印:新編常陸国誌掲載語。印:茨城方言民俗語辞典掲載語。印:茨城弁今昔掲載語。印:物類称呼掲載語。●印:『国立国語研究所・日本語情報資料館・電子資料館・日本言語地図・方言文法全国地図』掲載語。▼印:日本方言大辞典掲載語。印:日本方言辞典掲載語。浪花聞書掲載語。印:俚言集覧掲載語。★印:使用例とその標準語訳。黒太文字:標準語。
茨城弁 標準語訳 備考・解説・使用例
ゆー @竜、A湯、B風呂 『集覧:新』。

ゆー
【動】言う 『行く』は『ゆく』と言ったのと同じく、『言う』も活用形に関係なく『ゆう』と言った。今でも使われる。
面白いのは現代標準語での言い方を整理すると、
・未然形:いわない・いおう
・連用形:いいます
・終止形:ゆう
・連体形:ゆうとき
・仮定形:いえば
・命令:いえ
のように、『言う』の場合のみ『ゆう』を使っている。言い換えれば現代口語ではワ行5段活用の他に語幹も変化していることになる。つまり、『いう』も『ゆう』もどちらも使えるから、逆行同化によって『う』に続く場合のみ『ゆ』を使うということを無意識にやっていることになる。
:鹿児島。
ゆー:埼玉・群馬・静岡。
★『土』:さうだとよ、大(え)けえ聲(こゑ)ぢゃゆはんねえが、五十錢(ごくわん)とか八十錢(はちくわん)とか取(と)って他人(ひと)のも行(や)ったんだとよ。
(ゆ・ゆー) 【副】善く・良く・能く 鹿児島。
関西のウ音便化した言葉の段の変化。
ゆあ
ゆあー 【動】祝う
ゆあない 【複】言わない そったごどゆあないでくださいよー:そんなこと言わないで下さいよ。
・ゆあみ 入浴、湯治 同じ意味で『湯浴び』があるが、こちらはほとんど使われない。マ行音とバ行音の音通現象の典型的な例である。
ゆわび:静岡。
▽△ゆい 結い 江戸時代からある農作業を助け合う相互援助組織。冠婚葬祭も助け合った。=『いい』『よい』
てまっかり・てまっかーり:群馬。
ゆい:宮城・福島・群馬・神奈川・山梨・静岡。
ゆいまーる:沖縄。
(ゆい) 百合 鹿児島。
ゆいいし
ゆいーし
@結いで仕事のお返しをすること、A反論 @『結い返し』。
てまがえし・てまげーし:群馬。
A『言い返し』。
ゆい
ゆいかし
結いで仕事を手伝うこと 『結い貸し』の意味。
ゆい 言い草 ゆい:山梨。
ゆいこ
ゆいっこ
ゆいっつぉ
ゆいとり
結い 『結い講』の意味か。
ゆいさんな 【慣】言いなさるな 目上の人に言う言葉。『〜さるな』の訛り。『言ひ放くな』の可能性もある。
ゆいし
ゆいし
結いに伴う仕事
ゆいしばらぐ 【副】しばらく、随分時間が経っている様 少し期間が長くなった時に使う。『あいしばらぐ』とも言う。『ゆい』は強調の接頭語で、『相』または『合』の転。
ゆいしょ 親戚 『由緒』。『集覧:多』。
ゆいずれ
ゆいずれー
【複】言いづらい
ゆいする 【動】互いに助け合う 『集覧:久』。『結いする』意味か。上代語。
『呼称』には『互いに人を雇ひつやとはれする事を武州及上総にてえいにすると云。下総邊にていひにするといふ。今案にこれはいにしへゆひするといへる詞の転したる成べし。』とある。夫木和歌抄(1310)の俊頼朝臣の歌にもある言葉。
ゆいそごね 言い損ない ゆそこね:鹿児島。
ゆいそごねる 【動】言い損ねる
◎ゆいだ 労力を出し合って共同で田を耕すこと。 『結田』。
ゆいだす 【動】言い出す ゆだす:鹿児島。
ゆいちらがす
ゆいちらす
【動】言い散らす ゆちらす:鹿児島。
ゆいづ 唯一 『唯一(ゆいいち・ゆいいつ・ゆいつ)』。
ゆいっか 【複】言えるかい?
ゆいつ 伝言、言い伝え 『言い継ぎ』。
ゆいつ 【動】言い伝える 『言い継ぐ』。
ゆいつげる
ゆいつける
【動】@言いつける、A縛り付ける A『結い付ける』。
ゆいつける:宮城。
ゆいっつける:山梨。
ゆいっ 言い方、言葉遣い 『言い節』の意味。
(ゆーいと) 【副】とりわけ 静岡。解説には『なかんずく』とある。
ゆいなー 物を結ぶ藁紐 『結い縄』の意味。
ゆいな 【複】言いながら 『ゆひながら』の流れ。
ゆいなさんな 【慣】言いなさるな 目上の人に言う言葉。『ゆひなさるな』の訛り。
ゆいなづげ
ゆいなつけ
許婚 ゆなつけ:鹿児島。
ゆいね
ゆいねー
【複】言えない
ゆいのーおさめ 結納 重複言葉。
ゆいはやす 【動】言いはやす ゆはやす:鹿児島。
(ゆいまーる・ゆいまーるー) 助け合い 沖縄。『結い』から派生したか。
ゆいもーす
ゆいもーしやす
【複】申し上げます へりくだって自分の名前を言う場合にも使われた。
ゆいる
ゆーいる
【動】言い得る、言える
ゆーいんち 遊園地
(ゆえ) 静岡。
ゆえー 祝い ゆえ:鹿児島。
ゆえー:群馬。
ゆえー 祝い事 ゆぇごつ:鹿児島。
ゆえっか 【複】言えるかい
ゆえね
ゆえねー
【複】言えない
(ゆえる) 【動】植える 静岡。
ゆお 『魚(いお)』。古語では『いを』。
ゆお:静岡。
ゆおー:静岡。
ゆおー 硫黄 ゆおー:千葉・静岡。
ゆを:千葉。
よー:千葉。
(ゆおき) 遺言 鹿児島。『言い置き』の意味か。
ゆおのめ 魚の目 『魚(いお)の目』。
ゆーが 【複】言うかい?
ゆかあ 洪水で濡れた畳や家具を2階等に移すこと
ゆー 地勢がけわしく、敵を防ぎ味方を守るのに便利な地。古城。 『要害』。
『りゅーい』
ゆーがい
ゆーかい
愉快 このような長音化は茨城弁では茶飯事。
ゆーかいねー 【複】言ってもかいがない。言うだけの価値がない。 『言ひ甲斐無し』。=『いーいねー』。『ふがいない。意気地ない。』意味もあり。
ゆーきょーなし:静岡。本来は『ゆーきゃーなし』ではないかと思われる。
ゆー @オオマツヨイグサ、Aヒルガオ 『ツキミソウ』『ヨイマチグサ』のこと。
ゆか 風呂桶 下館市の方言。『ゆこがさらに訛ったと考えられる。
(ゆかざー) 【複】行きましょう 静岡。元『ゆかずら』か。
(ゆかしー) 【形】不思議で合点のゆかぬさま、怪訝な様 宮城。
『床しい・懐しい』には『何となく知りたい、見たい、聞きたい。好奇心がもたれる。』の意味がある。
【動】湯がく
(ゆかず) 【複】行きましょう 静岡。元『ゆかずら』か。
(ゆかすか) 【複】行きましょうか 静岡。『ゆかずらか』『ゆきやすか』が混じったか。
ゆがだ 浴衣 ゆがだ:青森・山形。
ゆかた:単衣:宮城。
(ゆかだ) 鹿児島。
ゆーがだ
ゆー
ゆーかだ
夕方 あこーくろ:熊本・宮崎・沖縄。
あこくろもと:鹿児島。
ゆーるし:福岡。
@湯沸し釜、A据え風呂に付属する湯を沸かす釜、B▲据え風呂 『湯釜』。『集覧:猿』。
@大釜。
B茨城・埼玉。
ゆがめーが 【複】行かないだろうか ゆかまいか:行かないか:静岡。本来は終始・連体形に接続するので『ゆくまいか』
ーりまめ
ゆかーりまめ
ソラマメ 『雪割豆』。
(ゆがわ) 井戸 鹿児島。『井側』。
ゆぎ 『裄(ゆき)』。類似『丈(たげ)』
ゆぎ:青森。
ゆぎ ゆぎ:青森・千葉。
ゆず:山形。
ゆぎ
ゆき
『集覧:無記載』。
つぢーらゆぎゆぎのばすは いっちったはー:土浦駅行きのバスはもう行っちゃった。
湯気 『ぎ』は鼻濁音。
ゆぎあー
ゆぎあう
【動】@出会う、行き会う、A会う 『ぎ』は濁音・鼻濁音。単に『会う』意味でも使われた。標準語世界では、『行き会う』を使う人は高齢者で、普通は『偶然会う』を使う。
『俗語』には『ゆきあう(行き合う・行き逢う)』が田舎言葉として紹介されている。
【動】@かんかんに怒る、A風呂でのぼせる @『湯気を上げる』意味。
A『湯気に上がる』の転。
ゆぎあし @竹馬、A出かける時、B行く途中 @方言地図には『ゆきあし』も掲載されている。
AB『いぎあし』
ゆきあだり 行き当り、行き詰まり 濁音化。
ゆぎかぎ 雪掻き ゆきはき・ゆきはね・ゆきよけ・:北海道。
(ゆきたしれず) 行方知れず 神奈川。
ゆぎしな
ゆきしな
行く時。行く時のついで。行きがけ。 『行きしな』。『いきしな』とも発音する。
ゆぎしろ 雪どけ水 古河市の方言。古河市の民話には『種籾を浸す種井の掃除をする時に雪が降る事を「ゆぎしろ」と言う。「雪代は悪い」と言ってもう一度掃除をやり直す』とある。
広辞苑に『雪代:(ユキシルの転) 雪どけの水。雪代水。』とある。
ゆぎた 行き違い 『行き違い(ゆきたがい)』の濁音化。
ゆぎだるま 雪だるま カ行音が濁音化するのは東北弁の大きな特徴であるが、大橋勝男『関東地方域方言事象分布地図』によると、茨城県下ではほぼ全域(南西の一部地域では清音)で濁音化し、栃木では北部・東部(全県の半分)、千葉では北部のみ、群馬・埼玉・東京・神奈川では、僅かな地域でしか濁音化しないことが報告されている。
これは、今では茨城だけが特別扱いされているが、かつては、東国一帯のカ行音は濁音で、西国の影響を受けて次第に清音化した可能性を示唆するものと思われるがまだ、それを裏付けるデータはこれしか無い。
ゆぎち
ゆきち
行き違い ★『土』:南(みなみ)のおとつゝぁは行(ゆ)き違(ちえ)にでもならなかったんべかな。:南(の家)のお父さんは行き違いにでもならなかったのかなあ。
ゆぎっ 雪が降ること、雪が降る日 ゆきっ:山梨。
ゆぎどまり 【複】行き止まり 『行き止り(ゆきどまり)』の濁音化。
ゆぎなり 成り行きに任せること、成り行き 『行き成り』。
(ゆきひら) 土鍋 静岡。
広辞苑に『ゆきひらなべ【行平鍋・雪平鍋】:(在原行平が海女に潮を汲ませて塩を焼いた故事に因み、塩を焼く器から起った名) 薄い褐色の陶製の平鍋。把手(トツテ)・蓋・注口(ツギグチ)のあるもの。ゆきひら。』とある。
ゆぎみぢ @行く道、A雪道 @『かいりみぢ』の反対語。
ゆぎむし ユキムシ、ワタムシ 県下には他に『ゆぎじるし・ゆぎふり・ゆぎぶり・ゆぎふりむし』がある。
(ゆきもんめん・ゆっもんめん) 結城木綿 鹿児島。
ゆーきょー 畳表
ゆーょー チカラシバ
(ゆーきょーなし) 【複】言う甲斐が無い 静岡。
【動】(湯を)したむ 広辞苑に『したむ:@液をしたたらす。しずくを残りなくたらす。A水などを布にしみこませる。B漉(コ)す。』。とある。
ゆぎわり
ゆぎわりまめ
ソラマメ 『雪割豆』。『ゆきわり』『香取』掲載語。
ゆぎんま 竹馬
ゆぐ

ゆく
【動】往く、行く 広辞苑には『ゆく:(奈良・平安時代からイクと併存。平安・鎌倉時代の漢文訓読ではほとんどユクを使い、イクの例はきわめて稀)』とある。ただし万葉集には『いく』が多く見られる。これによれば、東国言葉が多く掲載された万葉集には『いく』が多く見られ、その後『ゆく』が長く使われたが、現代では、東京方言が標準語になったことから、『いく』の方が多く使われる図式が見えて来る。
当時の茨城では概ね併用されたが、『ゆく』の方が丁寧な言い方の印象があった。『言う』と似た関係にある。現代語では、『行く』は『いく』が多用され、何故か『行く年』の場合は『ゆく』が多く使われる。『集覧』で、『いく』が方言扱いされているのは、明治時代には『ゆく』が望ましい言葉として考えられていたのだろう。
:青森。
★『土』:そんだよ、餘(あんま)り欲(ほ)しられっと遂(しめえ)にゃ迎(むけえ)に來(き)て連(つ)れ行(ゆ)かれっとよ。
ゆぐ
ゆーぐ
【副】良く 段の変化。
ゆくさおじゃったもんした・ゆくさーおさいじゃした:いらっしゃいませ:鹿児島。
おめはゆーぐがんばったなー:お前は良く頑張ったねえ
〜ゆぐ 【複】〜いうように、〜いう風に 〜ゆく:宮城。そーゆく:そういう風に。こーゆく:こういう風に。
あーゆぐなってはだいだ:ああいうようになっては駄目だ。
(ゆくいかやす) 【動】言い返す 鹿児島。
ゆぐいふめー 行方不明 県下の広域で女の髪型の一種を指す。
(ゆくいん) 【動】休む 沖縄。『息う』が訛ったと思われる。
がす 【動】揺さぶる 『ゆがす』がさらに訛ったもの。
(ゆくかれ) 【複】行くか 静岡。


ゆん
ゆん
【動】動く、揺れる
(ゆくさ) 【複】ようこそ 鹿児島。
ゆくさゆちくれた:ようこそ言ってくれた:鹿児島。
(ゆくさ) 長野・静岡・鹿児島。
(ゆくさー) 嘘、嘘つき 沖縄。古語『よこし』
(ゆくし) 嘘、冗談 沖縄。古語『よこし』

ゆー
魚串 『集覧:猿』。古い標準語の『いおし』が訛ったもの。
ゆぐじ 意気地
■▲ゆくじなし 【形動】意気地なし 『集覧:多』。典型的な『い』と『ゆ』の混乱。
ゆぐじねー 【複】意気地が無い ゆくちない:卑しい・食い意地が張っている様:岩手。
ゆぐじねー:福島。
ゆーーじょー 竜宮城
ゆぐづ 幾つ
(ゆくっつー) 【複】行くそうだ 静岡。
『行くと言う』が訛ったと見られる。
茨城では、『ゆくっつー』とは言わず、必ず終助詞を伴い『ゆぐっつーど・ゆぐっつーよ』などと言う。
ゆぐねー 【複】良く無い ゆぐでね:悪い:青森。
ゆぐでねわらし:悪がき:青森。
ゆぐね:岩手。
ゆぐーのし 柔らかいアラレ 土浦に隣接する稲敷郡阿見町の方言。『ぐ』は濁音か鼻濁音か不明。降るアラレか食べるアラレかも不明。
『竜宮の使い』を思わせる言葉。
ゆぐゆぐ 【副】@よくよく、程度の甚だしいさま、Aうんざり、散々、B台なし、目茶目茶の様、B行く行く(ゆくゆく) 頻繁に使われた言葉。=『いぐいぐ・よぐよぐ』
『よくよく』は辞書には、『@よくよく【翌翌】:年月日などに冠して、次のまた次の意を表す語。』、『よくよく【翼翼】:Aさかんなさま。多いさま。B整っているさま。C敬いつつしむさま。また、びくびくするさま。』、『よくよく【善く善く・能く能く】:D念には念を入れて。十分に手おちなく。Eきわめてはなはだしいさまを表す。極度に。F万(バン)やむを得ない時にいう語。よっぽど。よくせき。』とある。
『郁郁(いくいく)』は、『G文物の盛んなさま。文章の格調の高いさま。H香気の盛んなさま。』とある。
『幾幾(いくいく)』は、『Iいくつもいくつも。』とある。
『行く行く(ゆくゆく)』は『J行く末。やがて。将来。K(副詞的に) 行きながら。』とある。
茨城方言は、これらをほとんど混同していると思われる一方、古代には識別されていなかった言葉が残った可能性がある。
ゆぐゆぐんなる:ひどい事になる。
ゆぐゆぐにされちった:滅茶苦茶にされた。
(ゆくる) 休む 沖縄。
【動】揺れる
ゆーくれ
ゆー
ゆーくれがだ
ゆーくれ
ゆーくれかだ
夕暮れ、夕暮れ方 竹久夢路の『青い小径』に『ゆうくれがた』の一説が出て来るので『ゆうくれ』を単独に使うのが茨城弁的か?
れる 【動】揺れる
ゆー 夕方 『晩げ』と同じ意味。標準語の『夕食・夕餉(ゆうげ)』は夕食を指す。八丈島でも夕食を『ゆうけ』と言う。
『笥』(け)とは、万葉集の時代からある言葉で『食物を盛るうつわ。また、物を入れるうつわ。』の意味である。それが転じて『食』((「け(笥)」から転じて) 食物。食事。)とも言う。夕食を示す言葉が夕方を指すようになったことは明らかだろう。
八丈島では夕飯を『ゆふけ』と言い、夕方を『ゆふけどき』と言う。
日本語が未発達の時代を推測すると、食うも食えも同じ表現だったとすれば、東北方言の『け』即ち『食え』は古代語が残った可能性がある。
ゆー:三時の間食:静岡。
たでる 【動】かんかんに怒る
にあたる 【慣】長湯してのぼせる 標準語。『ゆげにあがる』。
◎ゆうしょう オオマツヨイグサ 『夕化粧』はマツヨイグサの別称。
ゆご
ゆごー
利口
ゆご
ゆこ
風呂桶、据え風呂 辞書に『ことは東北地方の方言で『桶』を意味するとある。『風呂桶』の意味。『集覧:稲』。
茨城方言便覧では『水風呂(すいふろ)のこと』とあり、明治期は、大釜で沸かしたお湯を風呂に入れるのと水を沸かした風呂が共存する時代だったことを伺わせる。
がす
かす
【動】動かす

【動】動く 『りく、
動くは古語には無い。
『揺る(いぶる、ゆぶる)』(ゆり動かす。ゆする。ゆさぶる。)があるように、『い』と『ゆ』は音通する。
『居動く(いうごく)』が語源ではあるまいか。上代では濁音は無かったから『うこく・いこく』だった可能性がある。『こく』は『転く・倒く』で現代では、『転ける・倒ける』(たおれる。ころぶ。すべり落ちる。ころげ落ちる。)と言うが、『居ながら転ける』即ち『居転く』とは、一定の場所に居てずれる意味とも思われ、それこそ現代語で表現すれば『居動く』意味ではないかと思われる。。
(ゆこーじゃ) 【複】行きましょう 静岡。
『じゃ』は現代では西日本に残るが、元『である』と考えられる他、現代語の『じゃん』にも繋がりそうな言葉。
ゆー 手押しポンプによる消火器具、竜吐水(りゅうどすい) 音韻から『りゅうこし【竜骨車】:リュウコツシャの転。』『竜骨車(りゅうこっしゃ・りゅうこつしゃ・りゅうこし):水をすくいあげて田に注ぐ揚水機』のが転じて訛ったものだろう。『竜骨』とは『古代に棲息した巨大な動物の骨が地中から出たもの。』。
本来は『竜吐水:消火用具。大きな箱の中に押上げポンプの装置を備え、横木を上下して、箱の中の水を吹き出すようにしたもの。』。
りゅーこし:神奈川。
りゅーどすい:神奈川。
(ゆこーじゃ) 【複】行きましょう 静岡。  
ゆごす 【動】寄越す
ゆーごどきぐ
ゆーごどきく
【複】言う事を聞く 濁音化。
(ゆこぼし) 飲みあました湯茶を入れ捨てる器。こぼし。 東京。『湯零し』。
【動】濁る
ゆさ 赤ん坊を入れる籠 鹿島郡。広辞苑には『ゆさ:九州で、わらで編んだ揺り籠をいう。いさ』とある。
ゆさおはいなさい 【複】風呂にお入りなさい 『俚言』掲載語。水戸の方言とある。
ゆさ:銭湯に行くところです:青森。
ゆざぶる
ゆさぶる
【動】揺すぶる、揺する 『集覧:猿』。『揺す振る』は動詞起源、『揺さ振る』は状態語起源なのかもしれない。
ゆさぐる:鹿児島。
ゆさぶる:東京多摩。
ゆぶる:佐渡島。『揺る』。
ゆさゆさ 【形動】重そうにゆれ動くさま ゆさらゆさら・ゆさりゆさり:山形。
ゆさん
ゆさんこ
ゆさんこー
娯楽のための若い人の集まり 『遊山』『遊山講』の意味。
(ゆし・ゆじ) 用事 鹿児島。
ゆーし
ゆーひ
夕方 『今し方』と同じ語法。
ゆーるし:福岡。
(U字工事)  関東の漫才師では、今や絶大な人気を誇るカップル。
 福田と益子の組み合わせで、右側の益子がいわゆる『つっこみ役』であるが、関西の図式とは異なり、双方に『つっこみ』の感覚が
が見られる。一般のテレビ放送では、最新のネタしか見られないが、ネットでは you-tubeを見ると過去の演技が見られる。骨子となるネタをベースに、公開ごとに少しずつ、話の内容を変えていることが解る。
茨城との対抗意識も主要なネタの一つで、同じ言語圏でありながら、特に益子の話の作りには、過去に関東漫才には無かった、関西落語の間の置き方や展開に新鮮さを感じる。
いずれ、茨城出身の漫才カップルとの対戦があると面白いと思うのだが−−−−。
 『U字工事』の東関東方言は、昭和30年代の茨城方言とは、かなり異なっているが、概ね、現代の茨城・栃木の方言を表現していると考えられる。
ゆしつ 輸出 標準語圏でも正しく『ゆしゅつ』と発音する人は少ない。『しゅ』は一般に無声音化するためだろう。
(ゆーしったい) 【複】そらみたことか 沖縄。『言いましたよ』の意味か。
(ゆしどこい) 便所 鹿児島。『用事所』の意味か。
(ゆじん) 用心 鹿児島。
◆▲ゆすい 留守番 『集覧:猿』。『留守居』の意味。
■▲▽ゆす 【動】すすぐ 標準語。『集覧:猿』。『すすぐ』『ゆすぐ』は基本的に同じものであるが、本来『ゆすぐ』は『揺らしすすぐ』意味と考えれば解り易いし自然に識別して使っているのだと考えられる。『揺する』と『すすぐ』が混交した言葉とも言える。
ゆす:山形・福島・山梨・鹿児島。
ゆすくび
ゆすこび
負ぶい紐 『結いつけ帯』の意味。
ゆすぐる
ゆすらがす
ゆすらす
【動】揺らす 『ぐ』は鼻濁音のこともある。
ゆすぐる:福島・鹿児島。
ゆすくる:静岡。
ゆす 【動】すすぐ
(ゆすて) 言い捨てること 鹿児島。
ゆすぶ 【動】結う、結ぶ 辞書掲載されている万葉集の時代の東国方言に『まゆすひ』(真結び)がある。
ゆすぶ:宮城・静岡。
□ゆすぶる 【動】揺さぶる、揺する 『揺すぶる』。もともとは『揺すり振る』か。この他『ゆだぶる』がある。現代標準語では多く『揺らす』を使う。
ゆすぶる:群馬・東京多摩・神奈川。
ゆずり
ゆずりもの
形見、形見分け 『譲り』。
ゆずりだげ 茅葺屋根の下地の上に渡す竹。節をとらずに竹を細かく割り、節を上にして取り付けるもので茅や藁がずれ落ちるのを防ぐ
▲ゆする 【動】揺さぶる、揺する あまり使われなくなった標準語の『揺する』。『集覧:猿』。今では『揺すり集り』に残っている。
ゆする:山梨。
ゆるる:静岡。
ゆすれる 【動】揺れ動く 古い標準語。
ゆすれる:山梨。
ゆぜる 【動】茹でる
ゆぜまめ 茹でた豆 ゆぜまめ:福島。
(ゆーせんほーそー) 有線放送 『ゆーしんほーそー』『ゆーしぇんほーそー』とも聞こえる。
当時は、有線放送(今のシステムとは異なる)を利用した電話だった。今でシステムで近いのはインターホンである。各戸に与えられた番号を交換手が音声で呼び出した。全戸がオンラインで、3人以上での会話もできたが混乱するのでめったにしなかった。今では考えられないことだが、会話の内容が筒抜けだった。
決まった時間にラジオ放送も流された。午後3時は何故か文化放送の『歌謡バラエティ』だった。
現代の方式の電話に変わったは1970年のことである。
ゆーそぞみ 夕涼み
(ゆた) あの世と会話できる人、霊媒師 沖縄。巫女の古語は『いた』『いたこ』のことか。『いたこ』はもと青森・岩手の方言。
(ゆーだ) 静岡。解説では名詞とされているが、『悠だ』の意味か。
ゆーたぐ ぐうたら 北茨城市・石岡市・稲敷郡の方言。『流謫(りゅうたく・るたく)』(罪によって遠方に流されること。)が転じたか。
ゆうだ:楽:静岡。品詞は名詞とある。
ゆーたぐにん ぐうたらな人 石岡市の方言。
(ゆたしく) 【副】よろしく 沖縄。
ゆだち 夕立 新治郡の方言。
ゆだづ 【動】煮立つ、お風呂が沸く
ゆだでる 【動】お湯を沸かす、風呂を沸かす 『お湯を立てる』。
ゆーたでる 【動】お風呂を沸かす 『お湯を立てる』。
ゆをたてる:山梨。
ゆーたび 毎夕 古い標準語と考えられる。
ゆだぶる 【動】揺さぶる 北茨城市。
(ゆたゆた) 【形動】緩い様、ゆるゆる 静岡。『悠たり悠たり』の意味か。
『ゆう【悠】』から生まれた言葉の一つと見られる。
ゆだる 【動】@茹で上がる、A風呂が煮立つ、B(魚などが)あったまってしまう、Cのぼせる、暑さに参る 『うだる』。@C標準語。『茹だる』。
ゆだれ よだれ 『集覧:久』。広域方言。『方言地図』では、関東・東北・九州に顕著で、関東圏では、神奈川県と千葉県南部が欠落地域である。茨城では『いだれ』とも言う。
ゆだれ:福島・群馬・神奈川・鹿児島。
ゆだれかげ よだれかけ
ゆだん
▽☆ゆたん
風呂敷、箪笥などに掛ける布 『油単』。広辞苑には『ひとえの布・紙などに油をひいたもの。唐櫃(カラビツ)・長持などの覆い、灯台などの敷物として用い、水気や油の汚れなどを防ぐ。のち旅行用の雨具、風呂敷としても用いた。』とある。
ゆだん 湯たんぽ
(ゆーち) 【副】とりわけ 静岡。
『唯一(ゆいいち・ゆいいつ・ゆいつ)』の意味か。
ゆーちぐ 【副】沢山 久慈郡の方言。『由々しく』が訛ったか。
(ゆつ) 湯桶 鹿児島。『湯次』と『湯桶』が混ざったような方言。
ゆーづ 幾つ 幾つ→いぐづ→ゆぐづ→ゆーづ
ゆーつ:千葉。
ゆっかだ 夕方
ゆーつ 伝言、言い伝え 『言い継ぎ』。
(ゆっきゃめ) 鹿児島。『雪雨』の意味か。
ゆっくら
ゆっくらこっくら
ゆっこら
ゆったら
【副】ゆっくり、ゆったり 『ゆう【悠】』から生まれた言葉の一つと見られる。
ゆっくら:佐渡島・山梨・静岡。
ゆっくらしてばいーべよ:ゆっくりしていけば良いでしょう。
ゆっくらゆっくら:ゆっくりゆっくり。
ゆっくれ
ゆっくれ
夕方
ゆっけ
ゆーっけ
【複】言ったっけ、言ってたっけ 『言いけり』。
ゆっけー:静岡。
★『土』:何(なん)だって云(ゆ)っけ:何だって言ってた?・何て言ってたの。
ゆつけおび
ゆつこび
ゆつこおび
ゆっこび
負ぶい紐 『結いつけ帯』の意味。
ゆつけおび:群馬。
ゆづげる
ゆつける
【動】結びつける ゆつける:岩手・宮城・山形。
ゆづげる
ゆーつげる
ゆーつける
【動】言いつける ゆつける:山形。
ゆっさ
ゆっさもんも
ユスラウメ
ゆっさゆっさ 【副】ゆれる様、ゆさゆさ よっさら・よっさりよっさり:岩手。
ゆっさゆっさ:なよなよ:鹿児島。
ゆんなゆんな:なよなよ:鹿児島。
ゆっそ
ゆっそー
稲を束ねる藁 『結い蔓』の意味。
ゆったっ
ゆったっへな
ゆったべな
ゆったへな
ゆったんべな
【複】言っただろうよ、言ったよ ゆったんべ:東京青梅。
ゆったゆった 【副】よたよた 『揺揺』(ゆたゆた)。
ゆっちばる 【動】縛る 『結い』+『縛る』。
ゆきばる:青森。
ゆっつばる:福島。
ゆっちゃごっちゃねー 【慣】言ったこっちゃない、それみたことか ゆっちゃこっちゃねー:群馬。
ゆっちゃっちゃ
ゆっちゃっちゃー
【複】言っちゃっては
ゆーっちゃーゆー 【複】言うと言えば言う たしがにゆーっちゃーゆーな:確かに言うと言えば言うね・確かに言うには言うね。
ゆっちゃる 【動】捨てる 『集覧:猿』。『うっちゃる』が訛ったもの。
ゆっちょ
ゆっつ
◆■ゆっつぉ
稲を束ねる藁 りっつぉ』『ゆっつら』がさらに訛ったもの。『結い蔓』の意味。
ゆっつげおび
ゆつけおび
負ぶい紐
ゆっつげる
ゆっつける
【動】@子供を背負う、▲結い付ける、A命令する、B▲告げ口する、言いつける 『集覧:多・鹿』。
@・ゆっつける:山梨。
■▲ゆっつら 稲を束ねる藁 辞書掲載語。茨城方言とある。『つら』は『蔓』(つる)の古語。『集覧:無記載』。『結い蔓』の意味。
ゆってね
ゆってねー
【複】言って無い
ゆってやる 【複】言いつける 方言かどうか解らない言葉。
ゆってやる:東京多摩。
せんせにゆってやっかんなー
ゆってる 【複】言ってる ゆーてる:新潟。
ゆっと
ゆつと
稲を束ねる藁縄 『ゆっつぉ』がさらに訛ったもの。『集覧:稲』。『結い蔓』の意味。
ゆつら
ゆづわ
稲を束ねる藁縄 『ゆっつら』がさらに訛ったもの。『集覧:無記載』。『結い蔓』の意味。
ゆっ 【形動】立派
◆■▲▽ゆで
ゆでー
風呂用の手ぬぐい、湯手 標準語だが死語。『集覧:北・稲』。
その他『ゆて・いで・おて』とも言う。
ゆで:山形・新潟。
ゆて:山形・佐渡島・静岡。
ゆーて:福井・三重・広島。
(〜ゆーて) 【助】〜と 〜ゆーて:京都・広島。『『おいでやす』ゆーて言いましたら』(京都)。
この場合の『ゆー』は標準語にもある『〜というと』と同じでもともとの『言う』意味が薄れて、『〜のことばで表示されるものである、〜である』の意味。
ゆでぬ
ゆでぬ
ゆでての
風呂用の手ぬぐい、湯手 《ゆでてのいっちゃー、飲み屋で出で来るホットタオルのごどげー?。なーにヘーカラだごどゆってんだおめー。ゆでてのいっちゃー、風呂場で使ーてのいだっよ。飲み屋で出で来るありゃ茹でタオルにきまってっなー。おめ、標準語喋れねみてだなやー。》
ゆでふく
ゆでふくべ
見識の無い人
ゆーど 【複】言うぞ
(ゆーと) 【副】よくよく 鹿児島。
ゆとで 夕焼け 東茨城郡・行方郡の方言。『夕途絶え』の意味と思われる。夕焼けがあると、昼が終わり途絶える意味だと思われる。
ゆどの 風呂 『湯殿』。
ゆどの:埼玉。
(ゆとーり) 料理の下ごしらえとして、材料を熱湯にさっと通すこと。臭みや油気を抜く。(広辞苑) 静岡。
解説には『ゆかけ』とある。『ゆどおし【湯通し】』か。
ゆどり 麦飯の炊き方の方法 辞書には『湯取飯(ゆとりめし)』(水を多く入れて炊いた後、その湯汁を取り去り、再び蒸した飯。ゆとり。)がある。
ゆどん うどん 東茨城郡・真壁郡。ウドンは中国語が語源であるが、地場語同化説も無視できない方言である。
ゆーない 【複】@言うなよ、A言わない @は古い言葉。
ゆーないな:言うなよな・言わないな。
ゆーないよ:言うなよ。
Aは『言わない』がそのまま転じたもの。
ゆーないよ:言わないよ。   
(ゆなか) 【複】良くない 鹿児島。
ゆーなぐなんね 【複】言わなければいけない
(ゆなちよ) 【複】言わないでよ 鹿児島。
(ゆなつけ) 許婚 鹿児島。
ゆーなりしだい
ゆーなりしでー
ゆーなりほーでーゆっさゆっさ
【複】言いなり次第、言われた通りにやること 『言い成り次第』『言い成り放題』。
ゆーなりこどー:山梨。
ゆーなりしだい:東京。
ゆーなりすだい:東京。
(ゆなる) 【動】癒える、良くなる 鹿児島。
ゆぬぎ
ゆぬき
ゆのぎ
ゆのき
エノキ 『集覧:新』。
ゆーねー 【複】言わない、言えない 『ゆわねー・ゆいねー』がさらに訛ったもの。
ゆーねーど:言わないぞ。
そーたごどゆーねーど:そんなこと言わないぞ。
◎ゆーねん 9の倍数に1を足した年齢。10歳・19歳・28歳などを言う。家族に遊年年の者がいる歳は家の普請などを忌む。 新治郡・稲敷郡。家族に『ゆーねん』の人がいる家は普請等をすることを忌む。
広辞苑には『遊年:陰陽道(オンヨウドウ)で、生れ年によってその人が造作・出行・移転・嫁取りなどを忌み避けなくてはならないとする方角。』とある。
ゆのぎたげ
ゆのきたげ
エノキタケ
(ゆのす) 鹿児島。柚はもともと『ゆう。ゆ。』と言うから、柚とは、『柚の酢』の意味か。
ゆのひ
ゆーのひ
リュウノヒゲ、ジャノヒゲ ゆーのみ:リュウノヒゲの実。濃青色の小さな実。
ゆーのみでっ:リュウノヒゲの実を用いた突き鉄砲。篠竹と小刀で誰でも器用に作った。『ポン』という音に加えて煙に似た水蒸気まで出て当時の子供の遊びの代表格だった。冬の遊び。
『称呼』には江戸時代の代表的呼称は『ぜうがひげ(ジョウガヒゲ)』だったことが解る。『関西及四国共にぜうがひげと云。東国にてりうのひげと云。奥州にてたつのひげと云。尾州にて蛇(じゃ)のひげといふ。』とある。
ゆーのめー
ゆーめー
夕方前
ゆば 風呂場 『湯場』。30年代の言葉。標準語では温泉地を指す。
ゆはい 位牌 八丈方言共通語。
ゆばし 風呂場 鹿島郡。
ゆーばど 夕方鳴くキジバト 『夕鳩』の意味。
ゆばまーり 風呂覗き
ゆばる 【動】縛る 『結い縛る』意味。=『ゆっちばる』
ゆーはん 夕飯、夕ご飯 標準語。
およーはん:静岡。
ゆびー 【形】煙い 『燻す』の形容詞形の『いぶい』がさらに訛ったもの。
ゆーひ 夕方の東風
ゆび ザリガニ(エビガニ)
ゆび
ゆびかね
指輪、指貫 『指金』。
ゆびぎ いびき
ゆびぎ ニワトリを調理するとき最初に熱湯に浸して羽をむしりとること 『湯引き』。
ゆびきりでんまん 指きりの掛け声 児童語。
ゆびすこ 恵比寿講
ゆびづ 『佐渡方言集』(1909年(明治42年))では方言としての『いびつ』の解説に『ゆびつなり』とあるのは興味深い。
これは、現代五十音で欠落しているヤ行音とワ行音のイ段・エ段音の欠落を補う発音があった可能性を示唆している。
現代では、『ゐ・ゑ』はワ行音に格付けされているが、ヤ行音のイ段・エ段音もあったのではあるまいか。
実際、札幌ビールの『恵比寿』は『Yebisu』と表記していることから、『yi・wi』『ye・we』の識別が日本人には難しかったために、一緒に扱ったのかも知れない。
実際、古語に『ゑびつ』(飯櫃型の曲げ物で桃・柳・菊などの絵を書いた物。陰暦の3月と9月の節句に草餅・赤飯などを入れた。)がある。
ゆびつ:佐渡島。
ゆびっさま 恵比寿様
ゆびつめる 【慣】指を挟む 『指を詰める』意味だが、標準語では指を切る意味になってしまう。
てー 一晩中
ゆびぬぎ 裁縫の時針の頭を押すため指にはめる輪 『指貫』。
ゆびわ:宮城。
ゆびぬぎ あやとりの一種
ゆびはめ 指輪 『指嵌め』。
ゆびはめ:指輪・指貫:神奈川。
ゆびや 指輪 ゆびや:東京。
ゆぶい
ゆぶたい
ゆぶったい
ゆぶってー
【形】煙い 『集覧:猿』。『燻す』から生まれた方言と考えられる。
ゆぶい:青森・神奈川。
ゆぶぐる 【動】怪しく思う、敬遠する 『訝る』(いぶかる)の転。
ゆぶしおや 烏帽子親
ゆぶす 【動】燻す ゆぶす:神奈川。
(ゆーふちゃー) 大ぼらふき、うそつき 沖縄。
ゆぶね 風呂 『湯船・湯槽』。語源は、江戸時代、浴槽を設備し、港に入ってきた船にこぎよせ、料金を取って入浴させた船に由来する。
ゆーべ
ゆーべー
【複】@言おう、A言うだろう さらに終助詞『な・や・よ』等を伴う。
@・ゆーべー:東京青梅。
ゆんべ:神奈川。
A★ゆーべが:言うだろうか。
ゆーべがだ
ゆーべかだ
ゆーべかた
ゆーべっかだ
昨晩、昨日の晩 『夕べ方』の意味。
時間を示す『方』に『夕べ』がついた言葉。夕方を指す『夕べ』は古くは清音の『ゆうへ』だったとされる。
私の記憶では、単に夕方すなわち今夕を指す場合もあった。混乱するようだが前後関係で必ず解かる言い方をした。
ゆーべし:群馬。
ゆーべし:神奈川。
ゆぼ 疣、イボ
ゆぼく 風呂上がりの酒 稲敷郡。
ゆぼくたま 結び目 『結わく』+『玉』の転。=『いぼくたま』
ゆぼしおや 烏帽子親
ゆーま 夕方 『夕間』の意味。古い言葉と思われる。(対)『朝間』。
ゆーまい 夕方前 『夕前』。
ゆーまい
ゆーまえ
夕方前 『夕前方』の意味。
ゆーまがだ
ゆーま
ゆーまかだ
夕方 『夕間方』の意味。
ゆまぎ
ゆまき
@入浴するときに腰に巻いた布、A女の腰巻、下帯 『湯巻』。『集覧:多』。
公衆浴場では江戸時代中頃まで男女とも裸で入浴することはなかったという。
いまき:佐渡島・長野。『今木・湯巻』。
いまき:褌:静岡。
ゆまぎ:福島。
ゆもじ:長野。『湯文字』。
ゆーま 夕暮れ やや古い標準語。『夕間暮れ(夕目暗れ)』。
ゆーまれにはけーってこーよ:夕方には帰って来いよ。
ゆーまずみ
ゆーまずめ
たそがれ時 北茨城市。『ずめ』は『詰め』か。
古語に『夕間暮れ』((「まぐれ」は目暗れの意) 夕方うす暗くてよく見えないこと。また、その頃。夕ぐれ。)がある。
広辞苑に『まじめ・まずめ:(沈静の意。漁村語) 黎明と朝、夕方と黄昏との境目をそれぞれ朝まじめ・夕まじめという。この時刻は深海の魚類も水面に近く浮くので、好漁の潮時。まずめ。まずみ。まさめ。』とあり、方言ではなく漁師言葉と言える。
類義語に『ひれまれ』がある。
まじみ:三重・和歌山・鹿児島。
ますめ:静岡。
ゆーまずみ:静岡。
ゆーまずめ:神奈川。
よーまずめ:神奈川。
▽ゆまり 小便 『尿:ゆばり、いばり、ゆまり』。単に『ばり』とも言う。
馬の小便の勢いは見た人でないと解らない。
『尿(ばり)』とは、広辞苑に『(「ゆばり」の略。室町時代から江戸時代にかけての語) 動物の小便。また、下賤な用語として人の小便も指した。』とある。また寝小便を『夜つ尿(よつばり)』とも呼んだ。
いばり:広島。
しばい:沖縄。
しーばい:沖縄。
しばり:奄美大島。
ばり:茨城・栃木・佐渡・石川・淡路島・島根・広島・山口・高知。
ゆすばい:沖縄。
よっばり:八丈島。
(ゆみ) 忌み 静岡。
ゆみとり 家長 江戸時代の茨城方言。
『弓取』(相撲で、勝者が賞として与えられる弓を受ける儀式。現在は、結びの取組の勝力士に代って一定の力士が行う。)の意味。家長を弓取に例えたと考えられる。
(ゆみやけ) 忌明け 静岡。
(ゆみょーみる) 【複】夢を見る 静岡。逆行同化の典型例。
ゆーめ
ゆーめー
夕方前
ゆーめでねー 【複】願いどおりにならない、希望したとおりにならない 『言う目が出る』の否定形『言う目が出ない』。
ゆーめでねー:東京。
ゆめくそ @【名】夢見たいなはかないもの、A【副】夢にも @・いんめー:わずかばかり:山梨。
ゆんめー:わずかばかり:山梨。
ゆんめっくそ:わずかばかり:山梨。
A『夢こそ』が転じたと思われる。
ゆーめし 夕食 『夕飯』。
ゆめすらない
ゆめすらもない
ゆめすらもねー
全くない、夢にもない 標準語の『夢更』(ゆめさら)の転訛。
ゆめさら: 夢にも・いささかも・少しも・露ほども:東京。
ゆもみ 浴用手ぬぐい 30年代後半までは、浴用タオルは手ぬぐいだった。今や手ぬぐいは『日本手ぬぐい』と呼んで区別される。
ゆもみ:福島・千葉。
(ゆーや) 料金を取って諸人に入浴させる家。銭湯。風呂屋。公衆浴場。 東京。『湯屋』。
ゆーやげ 夕焼け ゆーやげ:千葉。
ゆーやげとんぼ アカトンボ、アキアカネ
(ゆよ) 【動】言い合う 鹿児島。
ゆーよねー 【形】時間が無い 『猶予がない』。
ゆーら 【副】幾ら
ゆーら 【副】ゆっくりと、ゆったりと、ゆるり 『集覧:久』。
『緩り』(ゆるり)の転。現代語で言えば『悠と』の意味。現代語で『やおら』と謂う表現があるように、副詞表現の古い形式を残した言葉と思われる。現代語の『ゆらゆら』は『ゆるらゆるら』の意味であることは確かだろう。
ゆー:暇:広島。そのまま『裕』の意味か。
ゆうだ:楽:静岡。品詞は名詞とある。
ゆらがす 【動】揺り動かす 『ゆらかす』は古語。
ゆつがす:青森。
ゆら:埼玉。
ゆらづぐ 【動】揺れる 『揺らつく』。
△ゆり 揺れ、地震 『揺れる』の古形『揺る』の名詞形。転じて地震の揺れや地震そのものを指してもおかしくは無い。
いり:静岡。
ゆり:八丈島・長崎。
ゆりー
ゆれー
【形】簡単な様、楽な様、緩い ゆり:鹿児島。
ゆるか:鹿児島。
(ゆりー) 囲炉裏 静岡。
ゆるい:静岡。
東京方言の『ゆろり』がさらに訛ったか。
ゆーりき 首のリンパ線 行方郡。
広辞苑に『リンパ【lymph・淋巴】:高等動物の組織間隙を満たす体液。液体成分をリンパ漿といい血漿と類似。細胞成分として少数のリンパ球を含む。組織からリンパ管に入り血液に合する。小腸からのリンパは乳糜(ニユウビ)といい、消化吸収された微細な脂肪滴を容れて白濁する。リンパ液。』とあり、『乳糜』(にゅうび)が訛ったと思われる。
ゆりーし
ゆりっけーし
余震 『揺り返し』の意味。
ゆりっけーし:神奈川。
(ゆる) 沖縄。茨城でもかつては似た発音をしていた。
ゆるい 【形】簡単な様、楽な様 『緩い』。標準語とはやや意味が異なる。
ゆるえ:愚か:山形。
(ゆるいと) 【副】ゆるりと 鹿児島。
(ゆるか) イルカ 静岡。
ゆるかに 【副】【文】緩かに、緩やかに 標準語だが古い言葉。文語。
茨城では良く使われた。『俗語』にも掲載されている。
ゆるぐ
ゆるーぐ
【副】ゆるく
ゆるぐない
ゆるぐねー
【形】簡単ではない、楽ではない ゆるぐない:岩手。
ゆるくない:北海道。
ゆるぐね:青森・岩手・秋田。
ゆるこい
ゆるけー
【形】緩い、簡単な様、楽な様 ゆるこい:山形。
ゆるこえ:山形。
ゆるこぐ
ゆるっく
【副】緩く
ゆるすけ しまりが無い人 『緩助』の意味で人名化したもの
ゆるすけ:宮城。
(ゆるせくない) 【形】遣る瀬無い 静岡。
ゆるた
ゆるった
【形動】桶のタガが緩むこと、転じて気が緩む様
ゆるっぐ
ゆるっく
【副】緩く
ゆるっけ
ゆるっけー
ゆるっこい
【形】緩い、簡単な様、楽な様 ゆるっけー:群馬。
ゆるっけ 【形動】緩い様
ゆるっと 【副】ゆっくり、くつろいで 『緩りと』。
ゆるっと:福島。
ゆるふん @気がゆるんでいること、A下痢気味なこと 『緩褌』。もともとは『ふんどしの締め方がゆるいこと。また、締めたふんどしがゆるむこと。』の意味。
@は標準語。
A・ゆるふん:腹がしっかりしないこと:神奈川。
ゆるり 囲炉裏 『地炉(ゆるり)』。
囲炉裏は当て字で、中世から『いろり、いるり、ゆるり』が文献に現れる。『地炉(ゆるり)』の存在は『緩り居』『緩居』を思わせる。柳田国男は『居る居』説を唱え、その他『ヒイホリ(火庵)』説、『イロリ(居呂里)で呂も里も火を置き覆い包むこと。』説等がある。
したゆる:土間に設けた自在鉤のある場所:神奈川。
ゆるい:神奈川・静岡・鹿児島。
ゆるき:神奈川。
ゆる:秋田・神奈川・静岡。
ゆるり:秋田・山形・東京多摩・神奈川。
ゆろり:東京。
(ゆれ) 幽霊 鹿児島。
ゆれー 【形】緩い、簡単な様、楽な様 ゆれ:青森。
ゆーれ:新潟。
ゆーれー ギンリョウソウ 『俚言』には『ゆうれいだけぎんりょうそうやまつくずくしつゆざえもんすいしょうらんゆうれいそう、などとも云へり。』とある。
ゆーれー ザトウムシ
ゆーれーとんぼ ウスバカゲロウ
ゆーれーばな 彼岸花
◆■▲ゆわ 『集覧:多』。
ゆわ:青森・秋田・千葉・神奈川・山梨・・静岡・鹿児島。
ゆわー 【動】祝う ゆわう:青森。
◆▲ゆわい
ゆわえ
祝い 『集覧:西』。
ゆわい:福島・八丈島・静岡。
ゆわえ:福島。
ゆわい 【形】弱い ゆわい:静岡。
ゆわいる 【動】結ぶ
ゆわいる 【接頭】いわゆる
ゆわえる 【動】【文】結ぶ 標準語。『結わえる』。
ゆわえる:東京・静岡。
(ゆわき) 【動】植木 静岡。
ゆわぐ
ゆわく
【動】結ぶ 『結わく(ゆわく)』の濁音化。=『いわぐ』・『りわぐ』
ゆわく:東京。
くづひもゆわいだらはいぐかげっこやーっ:靴紐を結んだら早くかけっこしよう。
◆■▲ゆわし イワシ 『集覧:多・鹿』。イワシの語源は『弱し』が有力だから、語源に近い言い方と言える。
ゆわし:秋田・福島・八丈島・静岡・鹿児島。
ゆわさんな 【複】言いなさんな ゆわっさんな:群馬。
ゆわしなべ 遠い親戚、古い親戚 『いわしなべ』。本来は、江戸時代に使われた『鰯煮た鍋』でそれが形を変えて茨城に残っているもの。
『民俗』には、『イワシを煮た鍋は何度洗っても臭いが残る。』と補足がある。臭いを薄くなった血の意味に例えたとしたら随分詩情ある表現である。
ゆわたい 忍び草、思い慕うたねとなるもの 『集覧:久』。茨城方言集覧では『ゆはたひ』とある。『岩田帯』の意味が転じたか?。
ゆわっかげ
ゆわっころ
岩片 『集覧:久』。
ゆわっちゃ
ゆわった
【複】言われた ゆわっちゃ:福島。
ゆわなぐなんね
ゆわなげなんね
【複】言わなければいけない、言わなきゃいけない ほーたごどゆーんだらおれもゆわなぐなんね:そんあ事を言うなら俺も言わなきゃいけない。
ゆわね
ゆわねー
【複】言わない
ゆわねーで 【複】言わないで ゆわんで:新潟。
ゆわへび 小型のヘビ、ヒバカリ
ゆわまづ 岩松 氏名(うじな)の場合も同じ。
ゆーわり 夜業、夜なべ 『よわり』。 『集覧:行』。茨城方言集覧では『ゆーはり』とある。
オ段音がウ段音に変わるのは沖縄方言で最も顕著であるが、古代にはオ段音とウ段音が未分化で、後にオ段音が確立した可能性を思わせる。
ゆーわり:山形・宮城・福島・茨城。
ゆわれねー
ゆわんねー
ゆわんに
ゆわんにー
ゆわんにぇ
ゆわんにぇー
【複】言えない
(ゆを) 鹿児島。
(ゆん) 鹿児島。
(ゆんたかー・ゆんたく) おしゃべり 沖縄。
ゆんどー 加減 『良きほど』『よほど』。
ゆんどーする 【動】@▲加減する、平均にする、A取り替える @『集覧:那』。『良きほどにする』『よほどにする』。
Aは『移動する』意味か。あるいは『引導を渡す』意味か。
ゆんのめー @夕方前、Aお風呂に入る前
ゆんぶ 昨夜、昨晩
◆■▲□▽△☆ゆんべ 昨夜、昨晩 やや古い標準語。『集覧:多』。
ゆんべ:山形・福島・千葉・群馬・埼玉・東京・神奈川・長野・静岡。
ゆんべ:夕方:神奈川・山梨。
ゆーんべ:東京多摩。
ゆんべし:群馬。
ゆんべし:神奈川。
ゆんべしま:静岡。
ゆんべな:青森・宮城・福島。もともとは連体形で『ゆんべなる』だったのではないかと推測される。
ゆんべがだ
ゆんべかだ
ゆんべかた
ゆんべかち
ゆんべっかだ
昨夜、昨晩 『集覧:行』。
ゆんべし:神奈川。
ゆんべかち 夕方 『集覧:行』。
ゆんべら 昨夜辺り、昨夜頃
ゆんめー
ゆーんめー
夕方前 『ゆーのめー』がさらに訛ったもの。
 本茨城弁集は、昭和40年前後の茨城方言を中心に茨城県全域の江戸時代まで遡る言葉を集めたものです。他県の方言との関係を重視し主要なものについては他県の方言も紹介しています。また、近年使われなくなってきた標準語や語源考察、また昭和30年代の風俗・文化等を紹介するために、合わせて標準語も掲載していますのでご注意下さい。
 お気づきの点やご指摘等がありましたら、『茨城弁投稿』と書いてお気軽にここにメール下さい。他地域・他県との関係情報もお知らせください。訛の変遷が解かるような投稿は積極的に掲載致します。