昔の茨城弁集
昭和35年〜45年頃の茨城弁集
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◆印:『土浦の方言・続土浦の方言』掲載語。■印:『土浦市史・民族編』掲載語。▲印:『茨城方言集覧』掲載語。印:新編常陸国誌掲載語。印:茨城方言民俗語辞典掲載語。印:茨城弁今昔掲載語。印:物類称呼掲載語。●印:『国立国語研究所・日本語情報資料館・電子資料館・日本言語地図・方言文法全国地図』掲載語。▼印:日本方言大辞典掲載語。印:日本方言辞典掲載語。浪花聞書掲載語。印:俚言集覧掲載語。★印:使用例とその標準語訳。黒太文字:標準語。
茨城弁 標準語訳 備考・解説・使用例
◎わ
わー
【代】@私、Aお前 1人称・2人称。『我・吾』。当時の高齢者言葉。
日本語の一人称は『あ』である。英語の『i』にも通じ、複数形の『we』にも通ずるのは面白い。
ところで現代語の『わたし・わたくし』の語源は、諸説あり定まっていない。すなわち『我・吾』と『私』には大きな歴史上のギャップがあることになる。
@・:青森・山梨・新潟。
わー:福島。
A・わー:福島・大阪。
〜わ 【接尾】@詠嘆・感動を表す、A 軽い主張・決意・詠嘆を表す(女性語)、B情況を淡々と説明する接尾語 @標準語。軽い詠嘆や驚きなどを表。
★出るわ出るわ。
A標準語。女性言葉として使われる。
大辞林には、『は』は、『(文末にあって終助詞的に用いられ)話し手自身に対して、念を押すような気持ちでの詠嘆を表す。「すはよい―とて追たそ/史記抄 3」「又五十字、百字有る歌もあらう―さて/狂言・萩大名(虎寛本)」』とある。さらに『上代では「はや」「はも」の形をとる。(8)は中世以後の用法。近世では「わ」と表記されることが多くなり、現代語で主として女性が用いる終助詞「わ」の源流となる。』とある。
〜わ:武蔵村山。
B茨城弁では特に詠嘆や驚きの意味は薄れ、むしろ軽く理由を示したりす情況を淡々と説明する接尾語。男女の区別無くよく使われる。多く尻下がりになる。ニュアンスは『〜なのだ。〜だ。』に近い。標準語圏でも時々使う人がいるが、茨城では頻繁に使われる。
〜わ:武蔵村山。
んだわ:そうなんだ。
よーぐやったわな:よく遣ったよね。
ぜーぶんうっせーごどゆーんだわ:随分うるさい事を言うんだ。
おめのねーちゃんびじんだわやな:お前の家のお姉さんは美人だねえ。
★『土』:爺打(ぶ)っとばしたんだわ:爺ちゃんを殴ったんだ。
★『土』:おつに怒られ怒られ行んけわ:おつぎに怒られながら行ったんだ。
▽△わい @私、Aお前 一人称は、かつて『我・吾(あ、わ)』と言った。また『わ』は二人称でもある。
一人称の『わい』は十返舎一九の滑稽本にも出て来るが、現代では主に関西で使われる。
英語の『I』にも通ずるのは面白い。
二人称の『わい』は、主に九州で使われる。
わい:山梨・九州・鹿児島。
わいどん:お前達:鹿児島。
わえ:和歌山。
〜わい 【助】感動・詠嘆の意を表す 江戸時代には『わえ』が使われた。
〜わいし:富山。
〜わいや:広島。
んだわいな:そうだよ・そうだねえ。
(わいか・わっか) 【形】悪い 鹿児島。
(わいとーわいとー) 【形動】わいわい 神奈川。
◎わいら お前達
(わか) 一月 神奈川。
◎わ 【連体】私、私が この場合の『が』は『〜自身』のような意味。体言が一体になったもので辞書にあるが、標準語では死語。古語で『わろ』と言ったり『わらわ』と言うのと同じ。
福島では二人称でも使う。兵庫では一人称の複数を『わら』と言う。
:私:福島・大阪・和歌山・香川。ただし香川では濁音である。
:私が:山梨。
わやー:私・私は:山梨。『わいは』。
上側、俵の外側 『上側』(うわかわ)。
わーが
わーか
【形動】僅か わーが:もう少し:千葉銚子。
わーが:千葉銚子。
(わがい・わがり・わがれ) 我が家 鹿児島。
(わかいかんてぃー) 【形】判りにくい 沖縄。『解かりからぬてあり』の意味か。
わがいし 若者、若い人 『若い衆(わかいしゅ)』。
わかいし:東京・神奈川・山梨。
わがいてー
わがいんて
わがいんてー
わがで
若者、若い人 『若い手合い』。
(わかいん) 【動】解かる 沖縄。『解るよ』の意味か。
日本の方言にはR音を嫌って、あ行音になる地方が多いが、英語のR音を日本語に代えたらア行音になるかもしれない曖昧な音である。また、もともとのラ行音がア行音になることがある。この事例もその典型である。
(わがえ) 自宅、我等 鹿児島。
わが
わがだぢ
年齢より若く見えること(人) 『若形』の意味。
きせ 米俵の外側の俵を巻きつけること 『上側に着せる』意味。
わがさ わかさぎ 濁音化。常陸では本来は『さくらうを』。
『称呼』には『わかさぎ:駿河にてすずめの魚、伯耆にてしらさ、常陸にてさくらうを、若狭にてあまさ、と云。今按にあまさ同物也。(中略)又俳諧季立の中春の部に櫻魚と云有。これは、櫻の花盛のころ出る魚を云。(後略)』とある。
『俚言』には『わかさ:字未考。常陸の川にて生す小魚也。干わかさきとて時々献上になる魚也。二三月中此江戸の魚の店にてもさひぐ二十計つつ串さしにしたるものなり。』とある。
この魚は『櫻魚』の名前こそ相応しいと思われるがなぜ現代『わかさぎ』と呼ぶのだろうか。『語源辞典』には、『魚の体色がアマサギという夏鳥に似ているのであまさぎと呼ばれ、冬ににアマサギがいなくなってもいるのでワカサギと呼ばれるようになった。』とある。
わがさむし ユスリカ、ブヨ(ブユ)
わがさま
わがさまよせ
わかさん
口寄せ 広辞苑に『若様:(福島県や北関東で) 口寄せの歩きみこ。』とある。
わがされ @分かれ目、分岐点、A分家、 『分ける』+『為(す)』+『らる』。
@・わかされ:群馬・神奈川・長野・山梨。
A・わがさり:山形。
わかされ:神奈川・大分・宮崎・鹿児島。
わがさる
わがされる
【動】@分かれる、A分家する 『分ける』+『為(す)』+『らる』。
(わがし) 我々 鹿児島。『我が衆』の意味か。
わがす 【動】沸かす わがす:山形。
わかだち 年齢より若く見えること(人) 新治郡。
(わがたち) 我等、お前達 鹿児島。『我が達』の意味か。
わがっ
わかっ
わがっへ
わかっへ
【複】@解かるだろう、A分けられるだろう
(わでに) 【副】ひとりでに 静岡。
広辞苑に『でに【我がでに】:自分自身に。自分で。われがでに。』とある。
わかでに:静岡。
んでに:自然に:静岡。
わんで:自然に:静岡。
わがとー 成人した長男 『若頭』の意味か、『若党』の流れ。
□わかとう 若い武士。武士の従者。 『若党』。
わー 我儘 わー:静岡。
わがむぎ 若向き 濁音化。
わがもぢ @正月14日につく餅、この餅で繭玉を作る、A繭玉餅 わかもち:神奈川。
わかよ 若い戸主 『若代・若世』。『集覧:稲』。
(わからない) 【複】いけない・出来ない 宮城。=『わかんねー』
二つのルーツが考えられる。@単に『解からない』意味が転じた、A『〜(しては)いけない』が訛った、が考えられる。
わがね:駄目:岩手。
わがねぁ:嫌だ・困る・駄目:岩手・秋田。
わがりー
わがりいー
わかりいー
わがりやすい
【形】解りやすい わがりやすいべが:解かり易いだろうか:青森。−
わがりいー
わかりいー
【形】もの解りが良い わかりいー:群馬。
わがらんじん
わからんちん
物分りの悪い人 わからんじん:山梨。
わがる 【動】解る 解る意味。 解るとは分析できたという意味・即ち分けられた意味。すなわち『分けられる』
意味。
わがる:青森。
わがる
わかる
【動】分かれる、切れる 『分かる・別る・判る』には『きっぱりと離れる。別々になる。』の意味がある。
★『土』:大根(だいこ)は分(わか)ったのか:大根は切れたのかい。
わがれ 分家 『分れ』『分れ家』の略。
わかれ:家:神奈川。分家の意味が転じたのだろう。
わがんない
わかんない
【複】解からない 古くは『分かれない』意味でも使った。
茨城では、主に女言葉。=『わがんね、わがんねー
そんなこどゆったってわかんないでしょーよ(女言葉)。
そおたごどゆったってわがんめよ(男言葉)。
わがんに
わがんにぇ
【複】解からない 古くは『分かれない』意味でも使った。
東北系の訛。
わがんね
わがんねー
【複】解からない 古くは『分かれない』意味でも使った。
『新方言』には『ワカンナイ:わからない。東日本の方言ではよく動詞のラがンになるが、まずワカンナイが標準語の本拠地東京の若者に流入した。西日本の若者にも使われる。ワカランが西日本の本来の言い方だが、同じラ行五段活用の動詞でも、フンナイ、カワンナイ、マモンナイなどの流入は遅れている。よく使われることばから変化が進むことの例。群馬の大学生のほぼ全員が使い、「俗語/流行語」と意識。老人の群馬方言のワカンネーと別のものと意識している(1988)。なお、ワガンネが山形県庄内地方の若い世代で増えているのも同類。老人はワガラネ;大分県ではわずか(1991)。福岡県にも使用者が出ている。』『ワガンネ:わからない。山形県庄内地方の若い世代で増加中。地域差年齢差をみると鶴岡酒田中心にピラミッド型に分布し、最近5,60年内に(山形県内陸地方から)飛び火の形で伝播したと考えられる。』とある。
わがんね:山形。
わかんねー:群馬。
わがんね
わがんねー
【複】いけない、駄目だ、出来ない 二つのルーツが考えられる。@単に『解からない』意味が転じた、A『〜(しては)いけない』が訛った『〜(して)はがんね』の前半の動詞が省かれて使っているものが考えられる。
わがね:青森・岩手。
わがねぁ:嫌だ・困る・駄目:岩手・秋田。
わがんね:福島。
わかんね:北海道・青森・福島。
わがんねー:福島。
わかんねー:いけない・出来ない:宮城。
わかんね:北海道・青森・福島。
んま 我がまま んま:群馬。
わがんめ
わがんめー
【複】解からないでしょう 『解かるまい』。
わがんめー:福島。
(わかんめっちゃー) 【複】駄目ではないか 宮城。
わぎ 家の横にある通路または空間 我が家では、東西にあったので『にしわぎ』『ひしわぎ』と呼んだ。
わーき 『わちき』が訛ったと思われる。『集覧:多・真・筑・久・西・稲・猿・東』。現代では、和歌山で『わき』が使われる。
わぎ
わぎ
わぎか
わぎかー
わぎっか
わぎっかー
横、脇 わきかー:神奈川。
わぎ
わぎっかし
脇の隅の方
わぎかだ
わぎかど
わぎきど
わぎっかだ
わきっかた
わぎっかど
脇の方、家の横にある通路または空間
わぎ
わぎくさ
わきくさ
腋臭(わきが) わき:千葉。
わきくさ:福島・茨城北相馬郡。
わきくさー:沖縄。
わぎげーる 【動】沸き返る、煮え返る
わぎざ
わきざ
囲炉裏の主婦の座
わぎざし 脇差 わきだし:青森。
わぎざしき 囲炉裏の座のうち、主人の座の両側の席
わぎつら
わぎっつら
脇の面
わぎっちょ 清音なら俗語。
わきっちょ:埼玉。
(わきの) 着物の脇の縫い目 神奈川。
わぎ
わぎっ
わぎ
わぎ
わぎっ
わぎまいる
わぎまる
【動】わきまえる
わぎみぢ @家の横にある道、A本道から分れ出た道、横道 『脇路・脇道』の意味。
わぎゃね
わきゃね
わぎゃねー
わきゃねー
わぎゃーね
◆▲わきゃーね
わぎゃーねー
わきゃーねー
【複】直ぐ終わる、たいしたことない、簡単だ 『訳は無い』。標準語の口語でも『わけない』は良く使う。『集覧:真』。県西部では、『問題ない』意味でも使う。
この方言には面白いことが判明する。つまり長音・単音の様々な組み合わせがあるにも関わらず、ひとつのリズムのルールがある。即ち、3拍子のリズムである。
わきゃーない:静岡。
わきゃーねー:群馬・神奈川・山梨・静岡。
わきゃらねー:静岡。
★『土』:ようまづなんち病氣は腹の蟲(むし)から出んだから、なあに譯(わき)あねえだよ:リュウマチなんていう病気は腹の虫から出るんだから大した事ないよ。
★『土』:此處(ここ)らんとこに塊(かたまり)有(あっ)たの、それっきり何處(どこ)さか行(い)っちやったな、それから俺(お)れはあ、ようまづなんざ譯(わき)あねえっちってんだ
わぐ 糸繰り車 広辞苑に『枠:糸をまきつける具。二本または四本の木を対立させて横木で支え、中央に軸を設けて回転するようにしたもの。』とある。
わーぐ
わーく
【副】悪く
わくさ 腋臭(わきが) 『集覧:新・真・久・稲・多』。
広辞苑に『わきくさ【腋草】:腋毛。』『わきくそ【腋臭】:(ワキクサの転か) わきが。』とあり、以下の方言は古語の流れの可能性が高い。
わくさ:カメムシ:群馬。
わくさ:神奈川・八丈島・山梨。
わくせー:神奈川。
わっくさ:神奈川。
わげ わげ:青森。
わけ 入道雲 新治郡。『湧き』の意味。
わー @私の家、Aあなたの家 『わが家』が訛ったもの。
@・:福島。
A・わん:山梨。
わげ
わげー
わーげ
わーげわげ
わげーわげー
【形】若い 長音形と繰り返し形は強調語。
わきゃー:岩手・熊本。
わげ:青森。
わけー:神奈川。江戸言葉。
わーけ:新潟。
わげあんめ 【複】直ぐ終わると思うよ、大したことないでしょう、簡単だろう
わげ ワケギ 『分葱』。『あさ・ふゆき』とも言う。
わげこ
わけこ
分配すること
わげし
わけし
わげーし
わけーし
わげーしー
わげしさま
わげーしゅ
わけーしゅ
若者、若い衆 標準語では『若衆(わかしゅ、わかいしゅ)』。東京の下町で『わかいし・わけーし』と言う。江戸時代には『妻。女房。かかあ。』を『嚊衆(かかしゅ)』と言いさらに訛って『かかし』と言ったことからこの茨城方言も実は江戸時代の言葉の流れを受け継いでいるものである。下記事例を見ると茨城らしい言い方は、濁音化と短縮化しかない。
おわけーし:山梨。
わかーし:神奈川。
わかいし:東京・神奈川。
わかしゅー:神奈川。辞書では『わかしゅ』。
わけーし:東京・埼玉・神奈川・八丈島・山梨。
わけぇーしゅ:栃木・八丈島。
わけーしゅ:神奈川・八丈島。
わけーしょ:群馬。
わげしら
わげーしら
わけーしら
若者達 『若い衆等』。
わげすたづ:宮城。
★『土』:若(わけ)え衆等(しら)だってさうだことばかりするものぢゃねえ。
わげしり 情事の機微や遊里の事情に通じていること。また、その人。粋人。通人。また、一般に、物事の事情に通じている人。 『訳知り・分け知り』。
わげしり 知ったかぶり
わげちょ
わげっちょ
訳、理由
わげちょわがんねー
わげっちょわがんねー
【複】訳が解からない。
わげで
わげでも
【複】とりわけ 『別けて・別けても』。
わげで:山形。
わげて
わげーて
わげーてー
若い人 『若い手合い』。
わげっこ 分配すること
わげなし 【形動】簡単な様、大したことない様、物事の道理を理解しない様 『訳無し』。
てーへんだどもってだらわげなしだ:大変だと思っていたら何てこと無い。
わげね
わげねー
わげーねー
わげもねー
【複】直ぐ終わる、大したことない、簡単だ 『訳無い』『訳も無い』。
としとんのはわげねーっつんだがらわがぐねーってごどが:年をとるっていうことはあっという間だから若くないってこと?。
わげめ
わげめー
分け前
わげめ
わげめー
【複】直ぐ終わると思うよ、大したことないでしょう 『わげあんめ』の短縮形。
わげよ 漁で収穫物の現物の分配 『分け魚』の意味。
わげーもの
わげーもん
若いもの わきもん:鹿児島。
わげもの:青森。
わげもん:宮城。
わけもん:鹿児島。
わけーもん:神奈川。江戸言葉と考えられる。
わげる 【動】@分ける、A配る、B盛る、よそう A『分ける・別ける』には『くばる・分配する』意味がある。
BAの意味が転じたもの。
わける:(ご飯や汁等を)盛る・付ける:宮城・福島。
わこ 男の子 『吾子・和子』の意味だが本来は『@自分の子。わが子。あこ。A子供を親しんで呼ぶ語。』の意味。
わごむとり 輪ゴムを使った子供の遊び それぞれが持ち寄った輪ゴムを置いて、自分の輪ゴムを弾き対戦相手の輪ゴムの上に載せると相手の輪ゴムが自分のものになる。
(わーこわーこ) 【形動】わいわい 神奈川。
わさ
わーさ
『集覧:久・多・稲』。
わさーこく:噂する:山梨。
(わざいか・わざえか・わざれか) 【形】怖い 鹿児島。
わざおが
わざおか
わざが
わざーか
わざさら
わーざさら
わざっか
わざほか
わざやぐ
【副】わざと、わざわざ 『集覧:稲・新・筑』。
『俚言』には『わざおき』が掲載されている。
わざくら:広島・島根・長崎。
わざさら:山形。
わざやく:新潟・香川・大分。
わざと
わざーと
◎わざっと
【副】わざと 広辞苑に『態と:1)ことさらに。わざわざ。2)格別に。きわだって。3)正式であるさま。本格的に。4)故意に。意図的に。5)心ばかり。少しばかり。』とある。現代では1)4)が使われる。2)は『わざとらしい』に残る。
『態っと(わざっと)は近世語。浮世風呂三「顔にはわざっと五粒ばかり」。
ばざっと:静岡。
わざっと:東京三鷹・神奈川。
わざっと:心ばかり:東京三鷹・神奈川。
わざーっと:心ばかり:神奈川。
わざっとけしょー:簡単な化粧。
わざーと:心ばかり・少しばかり:神奈川・静岡。
わんざど:静岡。
わざーと 藁くず 久慈郡。
わざっとめーる 【動】わざとらしく見える 『わざとめく』か単に『わざとらしく見える』の転。
わざっとらしー 【形】【文】わざとらしい
わざとましい 【形】【文】わざとらしい
わざとに 【副】わざと
わざーとやす 【複】故意にする 『わざとする』意味。
『やす』は『する』意味。『集覧:行』。
わざに
わざーに
【副】わざと 現代語の格助詞『と』『に』の成立を見極める必要がある。
例えば『何としても』『何にしても』では意味が全く異なる。
また『業・技(わざ):@神意のこめられた行事。深い意味のある行為。Aすること。しわざ。おこない。行為。Bつとめとしてすること。職としてすること。しごと。職業。Cしかた。方法。技術。芸。D仏事。法事。E子を産むこと。お産。Fこと。ありさま。次第。Gわざわい。たたり。H武道・相撲などで、相手に仕掛ける一定の型の動作。』とある。
広辞苑には『態(わざ)と:@ことさらに。わざわざ。A格別に。きわだって。B正式であるさま。本格的に。C故意に。意図的に。D心ばかり。少しばかり。』とある。
また『業・技:@神意のこめられた行事。深い意味のある行為。Aすること。しわざ。おこない。行為。Bつとめとしてすること。職としてすること。しごと。職業。Cしかた。方法。技術。芸。D仏事。法事。E子を産むこと。お産。Fこと。ありさま。次第。Gわざわい。たたり。H武道・相撲などで、相手に仕掛ける一定の型の動作。』とある。これらから現代語の『意図的に』の意味に近い。
語幹が同じならば、現代語の『わざと』『わざに』となってもおかしくはない。
『と』『に』については、広辞苑に『:@(格助詞) 体言あるいはこれに準ずるもの、および言いきる形につく。Aそれと指示・引用する意を表す。「見る」「聞く」「思う」「言う」「名づく」「替える」などの動詞の内容を示す。記上「越(コシ)の国にさかし女をあり―聞かして」。B動機・理由などを表す。…と言って。…と思って。Cある事物・状態であると認定して資格を与える。指定の助動詞「たり」の連用形に相当する。D…として。E比喩を表す。…と同じように。…のごとくに。F状態を表す。…で。G転化の帰着を表す。H動詞を二つ重ねて、意味を強める。I「すべての」の意を表す。Jどんどん…する。12)共同の意を表す。13)動作・作用の協同者を表す。…と共に。14)動作・作用の敵対者を表す。15)対等の資格の物事を列挙する。ただし、最後の「と」は省くことが多い。(口語文法では並立助詞とする) 16)比較される物を示す。』『:@(中古以後、用いられる) …とも。…ても。A用言の終止形について、動作と動作とが引きつづいて起ること、あるいは習慣的に起ることを表す。(主に江戸時代以後の用法。偶然のことも当然のこともあり、単なる継起の描写にも、仮定条件の提示にも用いられる) B係助詞的に用いられる。(上代東国方言にだけ見られる。係助詞「そ」の転か)』とある。
また『:【助詞】@(格助詞) 存在し、動作し、作用する点を、時間的・空間的・心理的に「そこ」と指定するのが原義で、動作・作用の及び着く物・事・人を指定する。のち、下に来る語が存在など静的な意味の場合に用い、動作・作用など動的な意味の場合には「で」を用いるように分れる。1)時を指定する。允恭紀「常しへ―君も逢へやも」。2)所・方角を指定する。3)貴人・目上を直接主語として立てることを避け、場所として表現して敬意を表す。4)受身・使役の相手を示す。5)目的を指定する。…のために。6)資格を指定する。…として。7)原因・機縁などを示す。8)結果を示す。9)本質・内容・状態を示す。指定の助動詞「なり」「だ」の連用形「に」、いわゆる形容動詞の連用形の「に」も、これに相当する。11)材料・背景を示す。…によって。…の内に。12)比較・対照・組合せ・割合などの基準を示す。13)累増・添加を示す。(口語文法では並立助詞とする) A(接続助詞) 活用語の連体形を受ける。格助詞の時や所を指定する意が条件を示す意に転じ、仮定・予想・当然・添加の意を表す。1)…につけても。2)予想・予期に反する意を示す。…のに。3)仮定を示す。…ならば。4)理由を示す。…から。…ので。5)条件を示す。…の場合。6)添加の意を示す。その上さらに。B(終助詞)(助詞「ね」の転か) 動詞の未然形につき、他に対する願望を表す。』とある。
わざと:形ばかり・ほんのちょっと:群馬。広辞苑の『D心ばかり。少しばかり。』に近い。
わざに:秋田・宮城・山形・神奈川・山梨・島根・広島。
(わさもん) 新しい物好き 熊本。
(わざわざ) 【動】割く 静岡。品詞が動詞なのが不思議である。
☆わさわさ 【副】心が落ちつかないさま。そわそわ。 わさくさ:神奈川。
わさわさ:神奈川・山梨。
わさわさ 【副】わんさわんさ 古河市
わさくさど:山形。
わさわさど:山形。
〜わし 【助】〜(だ)ねえ んだわし:そうだねえ。
わし わし:群馬・長野・奈良。
(わした) 【連体】私たちの 沖縄。
(わじゃ) 仕事 沖縄。
わしゃ
わしゃー
わっしゃ
わっしゃー
【複】私は 『集覧:真・多』。
わしゃ 【動】押しつぶす 久慈郡。『ひしゃぐ』が訛ったか。
(わしゆん) 【動】忘れる 沖縄。
(わじゅん・わじる) 【動】怒る 沖縄。
(わしり) 波の荒い海岸の道 佐渡島。もともとは『走り』の意味と思われる。『走る』は古くは『わしる』とも言った。
(わじわじ) 【連用】いらいら 沖縄。
(わす) 【動】来る 古語『御座す・在す』と『座す(わす)』は同じ意味で尊敬語だが、『御座す・在す』は『座す(わす)』の尊敬語と見立てて生まれた方言と見られる。日葡辞書には『わする』があるが、採取地は不明。
八丈島・山梨・静岡・滋賀・奈良・宮崎・種子島。
わすいる 【動】忘れる わしだ:忘れた:宮城。
わしる:忘れる:宮城。
わすいだ:忘れた。
わすいだらだんじゃど:忘れたら駄目だぞ。
わすっちゃだいだっ:忘れては駄目でしょう。
わすいちった
わすいちゃった
【複】忘れちゃった
わすっちゃ 【複】忘れた
わすっちった
わすっちゃった
【複】忘れちゃった
◆▲わすら @手遊び、Aいたずら 『悪さ』の音位転倒。『集覧:新・真・久・猿・北』。
わさ:新潟。
わしら:山形・宮城。
わすら:岩手・栃木。
わっさもの:おもちゃ:福島。
わっしゃ:宮城。
わんさ:新潟。
わんさこき:いたずらをする人:新潟。
(わずらいづかす) 【動】無遠慮な言を浴びせて相手に不快の感を抱かせる 東京。『わずらいつく【煩い付く・患い付く】病気になる。やみつく。』の他動詞形と見られる。
わすら 悪いこと、いたずら 『悪さ』の音位転倒。
わすりちった 【複】忘れちゃった
わすれっぼ
わすれっ
忘れん坊
わせ 早稲、早く熟すること 標準語。茨城では人間に使うことがある。
『早稲・早生(わせ)』の古形は『わさ』だったとされる。
日本語の『わ』は『は』に通じ、『早稲・早生(わせ)』は、『馳せ』にも通ずる。
わせーっ 【形】忘れっぽい わすれぼってー:神奈川。
わせだ
わせーだ
【複】忘れた
(わせられた) 【複】お出でになった 静岡。『おわせられた』。
(わせる) 【動】お出でなさる 静岡。『おわせる』。
わせる
わせーる
【動】忘れる わせる:福島。
わせわら 早稲米ができたときの休みまたは祝い 十月頃の手野地域限定の行事。早稲が出来たとき神事としてお触れを出し餅をついて1日休んだ。
わだ @腸、A内臓、B●綿 濁音化。
A・わた:魚の内臓・臓物:静岡。
Cその他。
わた:腹:沖縄。
わだあめ 綿飴 濁音化。綿菓子とは言わなかった。
わだい
◎わたい
わたえ
主に女言葉。『わたい』は、辞書には『主として東京下町の女などが、心やすい人との対話などで用いる』とある。大阪では『わて』と言う。この場合の『たい』は、『我手合い』の意味と考えられる。『集覧:多・鹿・真・行・西・稲・猿』。
わだいれ
わだいれじばん
わだいれしょっこ
わだいれしょっ
わだいれちゃんちゃん
わだいれづっ
◆■わだいれつっ
わだいればんこ
わだいればんてん
わだいれはんてん
綿入れ半纏 『綿入れ』『綿入れ筒袖』の意味。
わだいればんこ:福島。
わだいれじばん 綿入れの作業用上着 県内広域。
わだぐれ
わだくれ
轍(わだち) 『輪』+『たくれ』(皮がむける、めくれて皺(しわ)がよる)。
わだ 綿のようにやわらかな毛、うぶげ 『綿毛』。
わだし
わだしいだ
用水路を渡る時や段差のある場所でねこ車を使うときなどに用いる板 『渡し』。古くは、深田の作業に使われたと言う。標準語では『船から他に移り渡るための板。あゆみいた。』の意味。
わだし
わだし
魚を焼くのに用いる鉄製の網 『渡し』は古い言葉。『渡し金』。
わだし:青森・福島。
わたし:宮城。
わだす:宮城。
わだし
わだっし
わたっし
『集覧:新・猿』。丁寧語。
わだしのえー
わだしらい
わだしらえ
私の家 主に女性言葉。
わだど 【副】わざと
わだっ
わだぼろ
綿くず
わだぶぢ 綿を打ち返すこと 古くは、摘み取った綿を弓で打って柔らかくする作業を言った。
わだぶぢや 綿を打ち返す店
(わたぶっくい) 【動】胃がもたれる 沖縄。関東で言えば『腸が壊れる』の意味か。
わだまし
わたまし
わだまーし
わだまーしいわい
わだまわし
わたまわし
家の新築祝い、引っ越し祝い 『移徙・渡座(わたまし)』『渡座の祝(わたましのいわい)』。
茨城に残る古語。家督の譲渡の時にも使われることがある。
元は『神輿の渡御』などを言う神聖な言葉だったようである。
(わたみっちょーいん) 【複】満腹だ 沖縄。
わだわだ 【副】わざわざ
わだり 漁期の時だけ余所から来る船
わだりぼ よそ者
わたんきょ
わだんきょ
はたんきょう、プラム、スモモ
(わち) 静岡。
らち【埒】:馬場の周囲の柵(サク)。』が訛ったもの。
わちき 【代】私 『集覧:多・真・筑・久・西・稲・猿・東』。
女の子の1人称では最も多く使われた言葉。辞書には『江戸の遊女・芸妓などが用いた語。町家の娘が用いることもある。』とある。
わち 【代】私 古い言い回し。『わたし』→『わちし』→『わっし』。『わちし』と『わっし』の間のような発音で僅かに『ち』(無母音)が聞こえる感じ。=『あし』と同様。
わちゃー 【複】私は 『わては』の意味。
(わちゃく) 【動】からかう 沖縄。『横着』が訛ったか。
わっ〜 【接頭】 『割り』の音便。標準語には使用例は無い。
わつか
わっか
【形動】僅か 清音化。東北弁にもある。
わんつか:青森。
わっか @輪、A丸、円 元『輪環』だとされるもの。別に『輪かんじき』(木・竹・蔓などを輪形に曲げてつくったかんじき)がある。
@標準語の俗語。
わっか:北海道・青森・山形・栃木・神奈川・山梨。
わっこ:長野。
わっか @上側、A上皮 『うわっか』がさらに訛ったもの。茨城方言集覧では旧稲敷郡・猿島郡の方言で『上皮』意味とある。
@・わっか:千葉。
わっかぐ
わっかく
【動】割る 『割り』+『欠く』の転。
わっかく:埼玉。
わっかげ 割れたもの、割れたかけら そごのわっかげもってこーや:そこの割れたの持って来い。
わっかげる
わっかける
【動】割れる 『割り欠ける』意味。
わっかさ 上側、上皮 『集覧:那』。『上傘・上嵩』の意味かあるいは、『わっかに』の意味か?。
わっがだ 上の方 岐阜では『わかた』と言う。長野では北の方を『わかた』と言う。
わっかん 割り勘
わっき 『わちき』の転。『集覧:多・真・筑・久・西・稲・猿・東』。
わっぎゃね
わっきゃね
わっぎゃねー
わっきゃねー
わっきゃーね
わっきゃーねー
【複】直ぐ終わる、大した事無い、簡単だ 県西では、意味が少し転じて『構わない』の意味で使う。
わっぎれる
わっきれる
【動】ぷっつり切れる
わっくばる 【動】配分する
わっくりーる 【動】沸きかえる 『げ』は濁音・鼻濁音。
わっけ 深田に使う下駄 『集覧:稲』。
わっけーし 分け前
わっげねー
わっけねー
わっげもねー
【複】直ぐ終わる、、大した事無い、簡単だ
わっける 【動】割る 変則的な訛。割り壊れる→わっこれる→わっけーる→わっけるor単純に『わっかげる』が訛ったか?。
わっこ 薪割り人夫 『集覧:稲』。『割り子』の意味。
わっさ 悪さ、悪戯 『集覧:新』。
わっさ:福島。
わっしゃ:宮城。
(わっさいびーん) 【感】ごめんなさい 沖縄。
(わっざぇしこ) 【副】驚くほど多く 鹿児島。
わっさがわっさが 【副】わいわい
わっざぐ
わっさぐ
わっさく
【動】割る 『割り裂く』。
わっさき:薪:長野・山梨。
わっざげる
わっさげる
【動】割れる
わっさり 【副】植物などが勢い良く沢山生えている様、こんもり 標準語の『わっさり』は、『さわやかなさま、さっぱり、あっさり』の意味。
わっさわっさ 【形動】@植物などが勢い良く沢山生えている様、Aゆさゆさと揺れる様 標準語の『わっさわっさ』は、『掛け声して騒ぐさま、またはその声』の意味。
わったど:思い切り:青森。
わったわった:一生懸命:青森・秋田。
わっつり:力いっぱい:青森。
(わっさん) 【形】悪い 沖縄。沖縄方言を見ると、形容詞の語尾表現が『候』に由来すると思われる。現代語の終助詞『さ』と語源が同じと思われる。
わっし 『集覧:新・猿』。どちらかというと若年層の女の子言葉。
わっしゃ 【複】私は 『集覧:多』。
わっしょ
わっしょら
わっせ
わっせら
【慣】お神輿を担ぐときの掛け声、わっしょい 実際は、これらに『わっしょい』を加えて適当に組み合わせてリズムをとる事が多かった。
わっせぼー 忘れん坊
わっせ 【形】忘れっぽい
わっせる 【動】忘れる わっしぇる:宮城。
わっせる:福島。
(わったー) 自分たち、私たち 沖縄。
わっち
わっちー
『集覧:多・真・筑・久・西・稲・猿・東』。
近世語。
わっちゃぐ
わっちゃく
【動】割る 『割り裂く』。『集覧:新』。
わっちゃげる 【動】割れる
わっちゃす 【動】(茶碗などを)割る 『割りつやす』。『つやす』(潰す)は古語。
わっちゃぶぐ 【動】破く
わっつぁぐ
■▲わっつぁく
【動】割る 『割り裂く』。『集覧:新・稲』。
わっつぁぐ:宮城・福島。
わっつぁげる 【動】割れる 『割り裂ける』。
わっつぁばぐ 【動】割る 『割り捌く』。
わっつぁば:薪:新潟。
わっつぁぶぐ 【動】破く
わっつげる
わっつける
【動】配分する
わって 上手、上の方
わっと
わーっと
【副】一気に 俗語。『わっと』は辞書では『大声を挙げるさま。また、声を出して泣くさま。』の意味。
わっ 『わっか』
標準語では『わっぱ:曲木製の食物容器、めっぱ、めんぱ』のこと。
秋田を中心にした東北の『まげわっは有名である。
『葉』を『はっと言うのは、『葉』は『端』に通じ、『葉つ葉』すなわち『葉の葉』の意味なのだろうか。日本語は環太平洋地域に特徴的な繰り返し言葉が多く単に『葉葉』なのだろうか。
これと同じく、『わっとは『輪つ端』なのだろうか。
『曲げ木の弁当箱』としての『わっは、調べた限り、三重にもあることから、単に
『わっか』が伝わったとも考えられる。
わっ:青森・秋田・千葉銚子・神奈川・山梨。
わっ:曲げ木の弁当箱:東北(宮城・福島以外)・佐渡島・新潟・富山・長野・静岡・三重。
ワッ:曲げ木の弁当箱:アイヌ語。本州から伝わったと見られる。
わっさむ 【動】割って挟む 広辞苑には『割挟み:物を高い所にかけるのに用いるY字形の棒。三股(サンマタ・ミツマタ)』とある。
わっさみ:竹棒の先を二つに割り棒を挟んで柿等をもぎり取る道具:神奈川。
わっ 15〜6歳の男の子 『わっぱ(童)』とは子供のことで『童衆』の意味。『集覧:猿』。
◆■▲わっ 上着 『上っ張り』。『集覧:久』。
わんばり:普段着:青森・岩手・宮城。
わっおる
わっ
わっーる
【動】@羽織る、A被う
わっ
わっ
上蓋、上の蓋 『集覧:猿』。
わっ 【複】割ろう、割るだろう
わっら
わっりゃ
お前達、お前なんか 『集覧:猿』。この場合の『ら』は巻き舌になることもある。
★『土』:汝等(わっら)見てえな餓鬼奴等(がきめら)ごやごや來ちゃ五月蠅(うるさ)くって仕やうねえから:お前みたいな餓鬼どもががやがや来てはうるさくてしょうがないから。
★『土』:汝(わ)っ等(ら)知(し)りもしねえで
わづらー
わつらー
【動】患う
わつらい 病気
わっらどご
わっらどこ
わっらとこ
【複】お前どころ、お前だけ 『わっら』に反意を示す『どころ』。
★『土』:見(み)ろ汝等處(わツらとこ)ぢゃねえ、武州(ぶしう)の方(はう)へなんぞ遣(や)られて泣(な)き拔(ぬ)いてるものせえあら。
わで
わて
わてー
わーで
@上手、A上の方、高いところ 『集覧:稲』。『上手』。
@・わで:山梨。
わて:静岡。
A・あて:静岡。
わで:山梨。
わで
わでー
わてー
辞書では『わて』とは、主に関西で用いられるとある。『わ』は、1人称の呼称。『てー』は茨城弁では『達、手合、人、連中』の意味。『集覧:鹿・真行・西・稲・猿・多』。
『語源辞典』には、わたし→わたい→わたえ・わてえ→わてい(明治期)→わて と変化したとある。
わーでっかー
わでっかー
上の方
〜わな 【助】〜な 終助詞『わ』に『な』がついたもの。近世の滑稽本などに出て来る。
★『四十八癖』:ちょっとなら泊まることもねえわな。
んだわな:そうだな。
わにいる
わにえる
わにーる
▽☆わにる
わにーる
【動】人見知りする、恥ずかしがる、ふてくされる 『集覧:北・稲』。
やや古い標準語の『わにる』は『はにかむ、恥かしがって尻ごみする』意味。『我に入る』『我に帰る』意味か。
『称呼』には『しぐむといふ事を、江戸にてはにかむと云。又びびるとも云。東国にてと云。又と云。房総海辺にてがなづうと云う。がなづうとは寄居虫(がうな)の事を云。己が家より外へ出ることあたはず。内に斗居るにたとへたり。遠江にてやにると云。関西にてわにるといふ。越後にてけすむと云。「万葉集」につののふくれにしぐひあひけんとよめり。しぐひしぐむといふにをなしと有。』とある。
ここで『しぐむ』とは、当て字が無く和語と考えられる。辞書には『しりごみをする。はずかしがる。』とある。
これによると『わにる』は関西言葉であることになる。
わにくにて:人見知りして:山形。
わにくる:ふざける:山梨。
わにっか:ふざけること:山梨。
わにっこ:ふざけっこ:山梨。
わにはてる:ふざけ方がエスカレートしてはてしなくなる:山梨。
わにる:ふざける:山梨。
わにる:山形・群馬・長野。
わにわに:ふざける様:山梨。
わにぐぢ
わにくち
がま口 『鰐口』(わにぐち)。
わに:人の口の横に広いのをあざけっていう語:東京。
わぶだ
上蓋、上の蓋 『うわっだ』
わーほい 正月14日の鳥追いの掛け声、鳥追い、どんど焼き 横瀬夜雨の『田舎の新春』にも出て来る。茨城方言集覧では旧水戸市・稲敷郡の方言で『正月14日の爆竹を言う』とある。
県北部では『はーほい』と言う。
わーまま 我が儘 わーまま:青森。
わーもの 【形動】我が物顔の様
◇わや だめなこと。めちゃくちゃ。 『枉惑(おうわく)』の転じた『わやく』の転。一般に関西方言とされるが、水戸市に残る。
わや:北海道・青森・秋田・静岡・広島。
わやになる:駄目になる:山梨。
〜わや
〜わやな
【連語】〜(だ)ねえ 軽い詠嘆や驚きなどを表す接尾語の『わ』に感動詠嘆をしめす間投助詞の『や』がついたもの。『〜わい』の古形。現代では女性言葉となった『〜わよ』とほぼ同じ意味。
〜わいし:富山。
こりゃいーわや:これは良いねえ。
(わやき) 【副】冗談に 鹿児島。
わやぐ
わやく
わーやぐ
【形動】腕白、いたずら、我がまま、乱暴なこと 『集覧:新』。『枉惑(わうわく・おうわく)』の転じた『わやく』そのもの。
わや:静岡。
わやく:鹿児島。
わやっ:鹿児島。
わやわや 【形動】わいわい、がやがや 古い標準語。『わいわい』の古形。『わやくや』とも言う。
(藁:わら) 稲作の一環で副産物としてできる藁は、米そのものを商品化する包装材としての俵の材料、物を束ねる縄の材料、自家製の納豆容器の材料(納豆菌の供給も含めて)、庭の水たまりの舗装材、根菜類の保存剤としての冬季の埋け物の断熱材、冬季の作物の断熱材、穀類を乾かすムシロ下の緩衝材、畳の下地材、土壁の繋ぎ材、肥料、死んだ土壌回復のための間隙保持材等、ありとあらゆる用途に使われていた。
しかし、その後農林省の施策による合理化、労働集約化の名のもとにいわゆる循環を無視した商品作物栽培政策によって、土浦の農業は一転する。減反政策である。
当時の上大津の農家の生活にとって幸いだったのは、霞ヶ浦に面したふかんぼが実はレンコンに栽培に適した土壌であったことだろう。私の祖父は初代の組合長を勤め、今も農協に写真が掲げられている。これは特殊な事例で、日本の全国的なレベルで、広く長い目で見たときの、日本の農業政策はこのままで本当に良いのだろうかと考えるのは、私だけでは無いと思います。
わら
わーら
わんら
お前等 わら:私:福井。
(わーらー・あいすわらー) 沖縄コザ方言。米国語の影響を受けたもの。横浜言葉の『わだ』に当たる。米国語の『water』の『t』音は『r』に近い。
わらいげーる 【動】笑いこける 『笑い返る』意味。
わらい 笑い事
わらいころ 【動】体をかがめるなどして大いに笑う。 『笑い転げる』。
わらいころ:群馬。
わらいる
わらえる
わらーいる
【動】@笑われる、A笑える、B割られる
わらがす
わらかす
【動】笑わせる 古い標準語の『笑かす』の濁音化。広辞苑には『わらかす【笑かす】:他五(ワラワカスの約)@わらわせる。A冷淡にあつかう。馬鹿にする。』とある。
わらかす:新潟。
わら 藁で作った紙
わら @藁で編んで作った草履。わらじ。A藁で作ったスリッパ風の草履。 『藁履・藁沓』。
わらくら 【副】疾走する様
わらし 子供 『童衆』と当てられる。本来『わらわしゅう』と思われるが辞書には無い。
県北から県西にかけての方言。私の記憶では使った事は無い。
わらし:東北・青森・岩手・宮城・福島・栃木・茨城。
わらしこ:宮城。
わらす:宮城。
わらすこ:宮城。
(わらじ) 草鞋 わらんじょ:長野・静岡。
わろーじ:静岡。
わらじ @地下足袋、A地下足袋を履くこと、B草鞋を履くこと 『草鞋掛け』の意味。古くは、農作業用の足袋のひとつで底を刺し底にしたもの。
わらじ:山梨。
Cその他。
わらじ:草鞋をつけるときにはく足袋で底に厚いあて布をしたもの:神奈川。
(わらじくい) 草鞋の緒にすれて足が痛むこと。わらじずれ。 『草鞋食い』。
わらじくい:草履の紐に擦れて出来た擦り傷:東京。
わらじぬ よそ者が土地の有力者の働きで土着すること
わらじぬ 土着するものが世話になる家 わらじのぬど・わらじのぬ:神奈川。
わらしび 藁しべ、藁屑 わらしっ:藁しべ:静岡。
わらしび:埼玉。
わらじょーり 藁草履 広辞苑に『藁草履:藁を編んで作った草履。わらのげげ。』『藁の下下:藁草履。げげ。』『下下:(下々の者の草履の意) 藁草履。芥下(ゲゲ)。』とある。
わらぞーり:足半:神奈川。
わらんじょ:藁靴:佐渡島。
わらす 藁のはかまをすき取って縄等の材料にする作業及び道具 『藁選り』の意味。
わらすっ
わらす
藁づと
わらぞうり 藁で作った草履 『藁草履』。『足半・足中』を指す場合もある。
わらだ 藁座、藁製の円座 『藁座』。『集覧:多』。
『俚言』には『わらうだ:「貞丈雑記」わらうだとは円座の事也。枕草子に御わらうだなと聞へ給へど云々。』『わらだ:「著聞集」むしろだたみしとねわらだ』とある。『わろうだ』は『藁蓋・円座』と書く。
わらざ:山形。
わらだ:山形。
わるんだ:長野。
わらちび
わらっちび
藁しべ、藁のゴミ
わらちかげ 地下足袋、地下足袋を履くこと、草鞋を履くこと
わらづが
わらづみ
稲叢 『藁塚』。
わらつこ
わらづづ
わらづっこ
わらつっこ
わらづっと
わらつと
わらづっ
藁づと 『釈名』によれば『苞・苞苴(つと)』は『包むの略転。』とあり、『大言海』では、『包(つつ)の転。』とある。その意味で『わらづづ』はまさに語源に近い言葉であるが、『民俗』には掲載されていない。本来は『藁包』(わらづつみ)。
わらづつ:巻き藁:長野。
わらぢと:神奈川。
わらっと:神奈川。
わらなー 藁縄 :東京多摩。
◆▲わらのー 稲叢、藁塚 『集覧:新』。
(わらばー) 子供、童 沖縄。
わらばんし 藁半紙、ざら紙、藁の繊維に小量のミツマタやコウゾの繊維をまぜてすいた半紙 標準語。
当時の学校のテスト用紙は『プリント』(印刷したもの)と言い、藁半紙にガリ版と決まっていた。
わら ワラビ
(わらび) 子供、童 わらべ:鹿児島。
わらとり ワラビ採り
わらふ 藁製(畳等)のものをばらばらにすること
わらぶぢ
わらぶち
@縄作り用の藁を打つこと、A農家の仕事初め、またはその行為 A1月4日、早朝に起きて藁を木槌でたたき代掻き用の縄を作る。
わらぶぢしょー
わらぶちしょー
農家の仕事初め 1月4日
わらふーでん
わらほーでー
わらほーでん
藁で作った氏神様のほこら 『藁宝殿』の意味。
わらぼっち @稲叢、A屑藁を山状にしたもの、稲塚、B藁捨て場、C藁の一束を藁すぐり、きれいにしごいた後、頭の方を縄で結び、反対側を広げて立てると円錐型になり庭等に干したもの、Dさん俵 全国的には、稲叢や庭木等の冬の保温のため、藁で囲うものを指す。藁の一束を藁すぐり、きれいにしごいた後、頭の方を縄で結び、反対側を広げて立てると円錐型になり庭等に干す。これは、むしろや縄、俵などの材料になる。また俵の両側の放射状の部分(桟俵)は『ぼっち』と言う。『ぼっち』はもともと帽子が訛ったもので、『藁ぼっち』は『藁帽子』の意味もある。
@・わらぼっち:福島・神奈川・静岡。
わらみよ:宮城。
D久慈郡では『わらばっち』と言う。
◎わらみ 稲の穂の芯。わらしべ。
(わらゆん) 【動】笑う 沖縄。
わられっちまーど
わられっちまーよ
わられっちゃーど
わられっちゃーよ
【複】(世間の人に)笑われてしまうよ、世間の)笑いものになってしまうよ しばしば使われる慣用句のようなもの。外聞を気にし世間の笑いものになってはならないという県民性によると思われる。都心部ではこのような感覚は全く無くなてしまった。
わられっちゃうよ:栃木。
わられっと
わらーれっと
【複】(世間の人に)笑われるよ、世間の)笑いものになるよ そーたいぐねーあすびしたらわられっと:そんな良くない遊びをしたら(世間の人に)笑われるよ。
わられる
◆▲わらーれる
【動】@笑われる、A割られる 『集覧:新・筑』。
わらわがす 【動】笑わせる 『笑はかす』。
◆▲わらわら
わーらわら
【形動】@大勢の人がばらばらに走る様、ばらばら、A勢い良く走る様 『集覧:新・稲』。
古い標準語の『わらわら』は『(髪)等がばらばらの様、ばらばらな様。散りみだれるさま。ばらばら。』を意味する。元『はらはら』か。
@・わらわら:宮城・静岡。
A・わらわら:青森・秋田・山形・宮城・茨城・神奈川・静岡。
わらわらど:宮城。
Bその他。
わらわら:@ぼろぼろ・A今にも崩れそうな状態:千葉銚子。ほぼ古い標準語に近い。
わり
◆▲わりー
わーり
わーりー
わりわり
わーりわり
わーりわりー
【形】悪い、【慣】悪い、ごめん 『集覧:新・筑』。『わりい』は俗語。逆行同化の例。古語では『わろし』
長音形と繰り返し形は強調語。
@・わり:青森・福島。
わーり:新潟。
わりー:青森・福島・埼玉・神奈川・山梨・静岡・鹿児島。
わるえ:いけない:山形。
わんるい:静岡。
A・わーり:新潟。
わりーがったなー:悪いことをしたなあ。
わり
わーり
終わり 調べると東北で『割捗』(わりはか):仕事の割り当ての意味が転じて『仕事の終わり』の意味の訛があり、その短縮形の可能性もある。
こんでわり:これで終わり。
・わり 道理、理(ことわり)、訳、 やや古い標準語。
▽わり 割り前、分け前 『割』。
〜わり
〜わりー
【複】〜(し)にくい ぜーぶんあるぎわりーくづだな:随分歩きにくい靴だな。
わりあすび 悪い遊び 『わりーあすび』
わりあ
わりや
わりゃ
【複】お前は 『集覧:』。『われは』が訛ったもの。もともとの『わ』(我・吾)は1人称・2人称ともに使われたと言う。
★長塚節『芋掘り』の一節:太一、わりや默つてろ:太一、お前は黙っていろ。
わりいー 【形】@割が合う、A割合良い 『割が良い』意味。
あすこのみせはわりいーど:あそこの店は割合良いよ。
わりいんね 【複】@弁解はいらない。A割り入らない @『理(理屈・弁解)はいらない』意味。
わりえー @【副】割合、A物と物との比。ぶあい。比率。B割当て。 @・わりえー:神奈川・長野。
B★『土』:どうしたっけ、昨日(きのふ)の豆(まめ)はそんでもたんと收穫(と)れた割合(わりええ)だっけ
わりがし
わりかし
わりがだ
わりかた
【副】割り方(わりかた)、わりあい、わりに 『わりかし』は『割り方』の俗語。ただ、『割り方』と言う言い方は、古い映画などでは聞かれるが、最近の日常生活では使われない。
わりかし:山梨。
わりかた:神奈川。
わりぎ 細くした薪 『割木』。
わりっき:静岡。
わり 悪気(わるぎ)
わりぐ 【副】悪く
わりくー 【複】割を食う、損をこうむる、酷い目に会う 『割を食う』なら標準語だがあまり使われない。
わりょーをくー:神奈川。
つじゅーらさあるいでったらはらへって・たがいべんとかってわりくったよ:土浦に歩いて行ったら、腹がへって高い弁当を買って損したよ。
わり
わりくぢ
◆■▲わりくち
悪口 『集覧:行』。
わりくづ:宮城。
わりぢきぐ
わりくぢきぐ
わりくちきぐ
【複】悪口を言う
わりげど
わりけど
わりーげど
わりーけど
わりーけと
わりーけっと
わりーけんど
【複】悪いけれど わりーけんど:東京青梅。
わりーごど
わりーごどー
わりーごどやー
わりーごどわりーごど
【慣】悪いねえ、済みません、有難う わりーこと:すみません:山形。
わりーごどしたなやー
わりーごどしっちゃってー
わりーごどしちゃってはー
わりーごどやっちゃってー
【慣】悪い事をしちゃったねえ、申し訳無い、有難う
わりごはん 割りご飯、麦を混ぜたご飯 『むぎわりごはん』・『むぎわりめし』
わりごむ 【動】割り込む
(わりーし) 悪い人達 山梨。『悪い衆』。『し』は現代の『師・士』に通ずる。
わりしってる 【複】道理を知ってる 『理を知っている』。
わりっかし
わりっかだ
【副】わりかた、わりあい、わりに
わりーっけ 【複】悪かった、ごめんなさい
わりーっけ 【複】悪いが、悪かったが
わりーっけ 【複】悪いけどさ、悪いことをしてしまったけどさ
わりな
わりーな
わりーなやー
【複】悪いね、御免なさい いんやわりなー。わりごどしちったよ。かんべんしてくいや。そーたごどいぢいぢかんーでながったもんなー。いやわりがった。ふんとにわりがった。おらあやまっと、いづでも、ふんとに:いやあ、御免なさい。悪いことをしてしまったねえ。許してください。そんなことはいちいち考えていませんでした。本当に申し訳ありません。私は心から謝ります。
わりはが
わりはか
【名】@さほどきつくない仕事、A分担仕事、B【副】わりかた、わりに、わりと 『割捗』(わりはか)の意味と思われる。
A・わっ:岩手。
わっ:仕事の終わり:岩手。『終わり捗』。

わっ:岩手・秋田・宮城・新潟。
B・わっ:素早く・早々に・さっさと:宮城。
まっとてーへんだがどおもったけんとわりはがだったいね:もっと大変かと思ったけれど、割に楽だったよね。
わりはがいーどな:割と良いね。
わりばさみ 割った竹を束ねたもの。大豆の脱穀に用いる。
わりはん
▽△わりめし
麦を混ぜたご飯 『割飯』。麦を混ぜた場合は『むわりめし』とも言う。
わりめし:栃木・神奈川・岐阜。
わりーべ 【複】悪いだろう わりべー:山形。
そんであだいだ、めーのしとにわりーべよ:それでは駄目だ:前の担当の人に悪いだろうよ。
わりめ 割れ目
わりめー 割前
わりーもん @悪者、A悪いもの @・わりもん:鹿児島。
◆▲わりゃ
わりゃー
わりらー
お前、お前は 『我は、吾は』(お前は)。広域方言。
わりゃ:長野。
★『土』:それでも汝(わ)りや氣(き)にったか、おっか物(もの)はみんな汝(われ)もんだかんな。
★『土』:おつう、そんな姿(なり)で汝(わり)ゃ寒(さむ)かねえか:おつう、そんな格好でお前は寒くないか。
わりわがる 【動】道理が解る 『理が解る』。
わりわりー 【形】割にあわない 『割が悪い』。
わる わるい者。悪党。 『悪』。
(わる・わるー) 【動】笑う 鹿児島。
わるあすび 悪い遊び 『悪遊び』。
〜わるい 【複】〜(し)にくい 『〜にくい』は漢字で『難い・悪い』と書くことから、不完全な教育が残した置き土産のような訛りと思われる。
〜わるい:東京都大島・静岡。
あるぎわるい:歩きにくい。
こーたぐじゃぐじゃみぢではあるぎわるぐてしゃーねー:こんなぬかるんだ道では歩きにくくてしょうがない。
■▲わるいっちば 【複】悪いってば 『集覧:新』。
わるがんべ
わるかんべ
わるかんべー
【複】悪いだろう ★『土』:思(おも)ひの外(ほか)土地(とち)は嫌(きら)あねえもんだよ、此(こ)んなもんでも作(つく)つちや桑(くは)にや惡(わる)かんべ
わるぎれねー 【形】割り切れない、納得できない
わるぐする 【複】@まずいことになる、A迷惑をかける 『悪くする』。
わる
わるくち
悪口 清音形は標準語だが、一般には鼻濁音形が使われる。
わるぐぢいー
わるくちいい
悪口ばかり言う人 『悪口言い』。
わるぢきぐ
わるくちきぐ
【複】悪口を言う
わるくって 【複】悪くて 典型的な関東方言。今では俗語とも言える。
★『土』:少(すこ)し惡(わる)くって仕(し)ゃうねえのよ。
わるぐなる 【動】腐る、病気になる、悪くなる 濁音化。『悪くなる』。
わる 【形動】悪そうな様、悪しげ 『悪げ』。あまり聞かなくなった標準語。
ぜーぶんわるにゆーどなー:随分悪そうに言うよねえ。
わる 悪い事、いたずら
わるさ 悪い事、いたずら 『悪さ』。
わるさ:埼玉。
わるさー 周囲の人に迷惑をかけるほど騒ぐこと 『悪騒ぎ』。
(わるし) 悪戯者 神奈川。『悪衆』の意味という。
わるずい
わるずいりょー
悪い方に推量すること。邪推。 『悪推量』。死語となった標準語。
わるずい:東京。
(わるすっと) 【複】ひょっとすると 鹿児島。『悪くすると』。
わるたれ
わるったれ
悪口、悪態、乱暴者 『悪たれ』。
わるっくぢ 悪口
(わるっこすい) ひどくずるい 神奈川。『悪くこすい』意味。
わるみぢ 泥道、泥でぬかるむ道
わるもん 悪者、悪い人、悪玉 わるもん:山梨。
(わるわーき) すぐ悪戯をする者(子供) 神奈川。『悪足掻き』が訛ったか。
■▲われ @私、Aお前 標準語。
現代では一人称であるが、古代ではそうではなく、指差した対象を指した言葉ではないかと思われる。
@現代語の『俺』に繋がる言葉でもある。
A・われ:神奈川・長野。
★『土』:俺(お)ら今朝(けさ)はたべたかねえかんな、汝(われ)構(かま)あねえで出來(でき)たらたべた方(はう)がええぞ
★『土』:どうでも汝(われ)もんだから汝(われ)好きにしろな:どうせお前のものだからお前の好きにしなさい。
われー 【形】悪い 『わりい』の転。古語では『わろし』
われ:宮城。
われげんとも:悪いけれども:宮城。
われごどづわねがら:悪いことは言わないから:宮城。
われかだ 【副】割り方(わりかた)、わりあい、わりに
われぢに 【複】人に負けまいとするさま、先を争うさま 『我勝ちに』。
われちと:山形。
われ
われ
お前の家 『われが家』の意味。
われーーる 【動】笑い転げる 『げ』は濁音・鼻濁音。
われーけーる:神奈川。
われっけーる:神奈川。『大騒ぎする』意味でも使われる。
われー 笑い事 われー:群馬。
われーどだあんめ:笑い事ではないだろう。
(われせっ 割った木っ端 長野。
わればーり 【副】自分だけを考える様
われーもの
われもん
われーもん
笑いもの
われら お前達 わんだれ:長野。
(わろ) 野郎 鹿児島。
(わん) 私、俺 沖縄。
わん 日常語では『おわん』と言うことが多い。
わんか
わーんか
【副】僅か 『集覧:久・多・那・新・西・稲・鹿・行』。
わんか・あんか:青森。
わんつか:福島。
(わんから・わんからわんから) 【形動】自己中心的な様 沖縄。
(わんぐ) がま口 鹿児島。
『鰐口』。
(わんりする) 【動】湾状になる 神奈川。
わんこ わんこ:東北・岩手・福島・埼玉・神奈川。
わんこ
わんこめ
幼児語。
わんここ
わんこっこ
わんこのこ
わんころ
子犬 幼児語。『わんころ』は古い俗語と見られる。
わんさが
わんさか
わんさがわんさが
わんさど
わんさと
わんすが
わんすか
【副】わんさわんさ、大勢の人が一ヵ所に押しかける様、沢山 清音形なら、辞書には無いが結構使われる。多く『どんどん』の意味である。『わんさ』に状態を表現する言葉を形成する接尾語『か』が付いたものと考えられる。
わんさもんさ:東京多摩。
わんずが
わんずか
【副】僅か 『集覧:多・行・久・西』。
わんつか:青森。
(わんで) 【副】自然に、ひとりでに 静岡。
わんどー 崖下などにある小さい入り江 『湾処(わんど)』。岡山・愛媛・大分・長崎ではほら穴を『わんど』と言う。
わんな 『罠』とは『輪の穴』の意味か。
わんな:神奈川。
すっこくり・すっこくりわんな・た・つっこくり・はりねわんな・ひっくり・わんな:針金を利用して兎を取る罠・針金の輪に兎が首を突っ込むと締まる:神奈川。
(わんなりに・わんなれ) 【副】生憎 静岡。
(わんなれ) 【接】その上に、、そればかりでなく 長野。=『さるけち』
(わんにん) 【複】私も 沖縄。
(わんねー) 【複】私は 沖縄。
(わんね 私の家 福島。『わがなる家』の意味。
わんら お前等 現代では『われ』は1人称だが、古くは2人称でもあった。日本語の歴史では、古くは1・2人称が同一だったが、向かい合った人は、指差して区別したのであろうか。
わんらー:千葉銚子。
わんらい:お前の家:千葉銚子。
(わんるい) 【形】悪い 静岡。
わんわ
わんわん
【副】わんさと わんわん:宮城。
わんわ
わんわん
幼児語
わわ:山形。
わわこ:山形。
わんわ:長野。
わんわん 【形動】やかましくわめくさま、わあわあ
わんわん 【副】泣き叫ぶ様 『おいおい』。古語では『をうをう』。
 本茨城弁集は、昭和40年前後の茨城方言を中心に茨城県全域の江戸時代まで遡る言葉を集めたものです。他県の方言との関係を重視し主要なものについては他県の方言も紹介しています。また、近年使われなくなってきた標準語や語源考察、また昭和30年代の風俗・文化等を紹介するために、合わせて標準語も掲載していますのでご注意下さい。
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