昔の茨城弁集
昭和35年〜45年頃の茨城弁集
茨城弁・土浦弁掲示板/新規に開設しました。どなたでもお気軽に書き込みください。
  茨城の農業・養蚕・漁業
 昔の茨城弁集 TOP
 茨城方言の特徴
 茨城方言入門
 茨城方言大辞典
 動物・両生類
 魚・水産物・海産物
 虫・昆虫・軟体動物 
 樹木
 草花・キノコ 
 地理・自然
 
 
 特殊な形容詞
 人体用語
 代名詞
 風俗文化・建築・生活
 子供の遊び 
 農業・養蚕・漁業
 茨城の迷信
 年中行事
 挨拶言葉
 
 
 茨城方言の分布
 茨城方言の文法
 小説の中の茨城方言
 茨城方言の発音練習 
 茨城の日常会話
 幼児語に学ぶ
 投稿文紹介
 当時のテレビ番組
 相互リンク集
 八丈方言との関係
茨城方言大辞典五十音検索

◆本ページは、茨城の農業・養蚕・漁業に関する茨城方言をまとめたものです。他県の方言の収集も合わせて開始しました。

標準語 茨城弁 解説・他県の方言
あさばたけ、麻畑 うちぼ:青森。田圃のルーツを混乱させる方言。『圃』とは『@はたけ。田園。A農夫。』の意味。
あぜ、畦、畦道 あぜみぢ:あぜ道。
くろ
たのくろ
たのぐろ
あじ:静岡。
あな:あぜ道:神奈川。千葉では畑の回りを言う。
ぼた:長野・岐阜。
:静岡。
いとぐるま、糸車 いどっける
むいむい
いなむら、稲叢、稲塚、稲掛け いなかけ
いなぶら:−。
いなぼっち:東茨城郡・行方郡・土浦市。
いなっち:久慈郡。
いねのー:県広域。
いねぼっち:土浦市。
かげわら:真壁郡。
こぼっち:久慈郡・東茨城郡。
じのー:高萩市。
すずめのー:久慈郡・勝田市。
つみたてのー:鹿島郡。
ぬー:土浦市他県南部。
ぬーぼっけ:土浦市・稲敷郡・行方郡。
ぬーぼっち:土浦市・新治郡・結城市。
:土浦市・取手市。
のー:県広域。
のー:水海道市。
のー:水海道市。
のーでっ:水海道市。
のづみ・のーづみ:東茨城郡・西茨城郡・結城市・竜ヶ崎市・水海道市・行方郡。
のーとり:日立市・那珂郡。
のーば:久慈郡・高萩市・那珂郡。
のーぼっけ:行方郡。
のーぼっち:県広域。
のづみ:結城市・水海道市・行方郡。
のぼち:新治郡・石岡市・筑波郡。
のぼっち:県広域。
のほを『国誌』掲載語。
のろぼっち:真壁郡・結城市。
ふんじめ:久慈郡。
まるのー:東茨城郡・下妻市。
まるぼっち:猿島郡。
わらづが:東茨城郡・筑波郡。
わらづみ:東茨城郡・西茨城郡・岩井市。
わらのー:県広域。
わらぼっち:県広域。
(関連語)
ののぼ:麦の稲叢。
のろしぼ:稲架の横に渡す竹の棒。
のー:麦の稲叢。
むぎわらぼっち:麦の稲叢。
広辞苑には『刈った稲または稲藁(ワラ)を積み重ねたもの。』『稲掛け(いねかけ:刈った稲穂を束ね、穂を下にしてかけておくもの。いなぎ。いなばた。いなかけ。はさ。』とある。この場合は、一般に稲塚を指す言葉である。『いなぶら』とも言う。
東北・中部では『にお・にゅう』と呼ぶ。『ぼっち』は『@帽子、A稲叢、B桟俵、C山の形に盛り上げたひとかたまりの草や藁、丸く盛り上がった土、品物のかたまりの単位(ひとやま)、土や堆肥を盛り上げたもの、D蔕(へた)』などを言う。『ぬーぼっち』は、『ぬーを盛り上げたもの』の意味とも思われ、『野』を『ぬ』というのは上代の東国方言であり、説明がつくが単独の『のー』『にお、にゅう』も無視できない。
一方、米俵の桟俵は『さんだらぼうし。さんだらぼっち。』と言い、『桟俵法師』と当てられる。茨城では農作業用の先の尖った帽子を『ぼっちさ』と言う。長野には『高ぼっち高原・高ぼっち山』がある。
広辞苑掲載語の『ぐろ』は『(クロの転) 物を積み重ねた所。また草木の密生した所をもいう。草むら。』とある。この言葉は、稲叢を指す言葉として四国に残り、なるほど稲叢は稲を積み上げたものである。そういえば『畔(くろ)』も泥を積み上げたものである。
さらに『ぐろ・くろは蔵・倉を思わせる。ちなみに『蔵・倉』の語源は、語源辞典によると、@物を納め置くことを言うクラ(座)の義、A置くの意、Bオクラ(置坐)の義、Cオクムロタナ(置室棚)の義、D岩窟の義 とある。これより、『ぐろ・くろとは『ぼっち』に当たる。
『国誌』には『のほを:津軽にてはニホと云う。ノホ・ニホ共にホの音ヲの如し。盖(けだし)新穂の意なり。江戸にて稲村と云ふ。節用集に稼をニホ訓せり、これなり。』とある。
一般に全国の方言は『のう』係と『ぼっち』系、『いなぶら』系があるとされる。
現代標準語の『稲叢』は当て字の可能性もある。『のー』は『稲穂』の変化したものか。『稲叢』の語源として稲穂の複数形『稲穂ら』も捨てきれない。『ほ』と『ぼ』は音通するからである。また単語の初音は省かれることが多いからでもある。『いなぶら』の存在もある。『のーぼっち』は『稲穂帽子』の意味とも思われる。

いなか:神奈川。『稲架』の訓読みか。
いなばらぼっち:神奈川。
いなぶら:神奈川・静岡。
いなぶらぼっち:神奈川・静岡。
いねこづみ::大分・佐賀・宮崎。辞書掲載語
うし:神奈川・山梨。
すずめぼっち:神奈川。
ちょんこ:静岡。 見出しでは『ちんょこ』と書かれているが誤植と見られる。
つぼけ:愛知。
にお:東北・中部地方。
にほ:青森・佐渡島。
にゅう:群馬・長野。
にょ:青森・秋田・山形・岩手・新潟・富山・長野・山梨。
によー:山形・静岡。
にょう:山梨・長野。
はぜば:稲干し場:佐渡島。
ぼっち:千葉・東京・静岡。
みよ:宮城。
みょーちん:静岡。
わら:長野・兵庫・中国・愛媛。
わらにょー:山形・長野・山梨・静岡。
わらぼっち:神奈川。
わらみよ:宮城。
(折口信夫/『稲むらの蔭にてに掲載されているもの地名は、出版された1916(大正5年)年のもの。
いなむら:阿波其他。
いなむらぼうと:徳島附近の農村。
くま:因幡気高郡。
くろ(清音):備前。
ぐろ(濁音):阿波板野郡。物を積み重ねた所。
こづみ:熊本・薩摩・日向。
じんと(?):河内九箇荘。
すゝき:大阪四周の農村・河内・大和・山城・紀伊日高。
すゞし:因幡気高郡。
すゞしぐろ:同じ地方。
すゞぐろ:同上。
すゞみ:美濃大垣・揖斐・尾張西部。
としやく:長門萩。
にえ:紀州熊野。
にお:信州全体・羽前荘内・陸前松島附近。
:信州諏訪。
のう(ノの長音):周防熊毛郡。
ほづみ:阿波。
ぼと:摂津豊能郡熊野田附近。
ぼうど(長音):徳島附近の農村。
ぼつち:武蔵野一帯の村々・磐城・岩代。
わら:備前。
稲を束ねる藁、結い藁 なーば:主に県南部。『苗場』の意味。
なー:稲敷郡。
なーばわら:稲敷郡・新治郡。『苗場藁』の意味。
なーわら:県全域に偏在。
なばわら:稲敷郡。
わら:東茨城郡。
ぬっつぉー:新治郡。
まづら:結城郡。
まっつら:県広域。
ゆっこ:東茨城郡・稲敷郡。
ゆっそ:東茨城郡・筑波郡・稲敷郡。
ゆっそー:東茨城郡・筑波郡・稲敷郡。
ゆっちょ:新治郡。
ゆっつ:古河市。
ゆっつぉ:県広域。
ゆっつら:県広域。
ゆつと:旧稲敷郡。
ゆっと:稲敷郡。
ゆつら:古河市。
ゆづわ:−。
よっぞー:稲敷郡。
よっつぉ:多賀郡・行方郡。
りいっつ:東茨城郡。
りっつぉ:県広域。
りっつぉー:県広域。
ろっつぉ:鹿島郡。
わらづが:東茨城郡・筑波郡。
『結い藁』。
辞書では主に茨城県で使われる方言として『ゆっつら』が紹介されている。『つら』は『蔓』(つる)の古語で上代では弓の弦を指した。『蔓』は茨城では紐状のもの一般を意味する。『結い蔓』が訛って『ゆっつら』『ゆっつぉ』となったものだろうか。千葉北部では『よっつおう、ろっつおう、りっつおう』と呼ぶことからかなり似ていることが解る。茨城方言集覧では基本語を『ゆづは』としている。他に『ゆつと』がる。県下ではこの他『ゆづわ』がある。
一方『ゆっそ』のように『結苧』(ゆいそ)を思わせる言葉もある。『麻・苧(そ)』とは、『@アサの古名。Aアサ・カラムシの茎の周辺部の繊維からつくった糸。』の意味である。縫い糸を指す『縫苧』と同じ表現である。
いーそ:岡山・愛媛・高知。
い・す・す:神奈川。
つな:山形。
ねじりす:丈夫な潅木の枝で薪や小枝を束ねて縛ること:神奈川。
うけ、筌 あじゃら
いびざる:エビ用の筌。
いびず:エビ用の筌。
いびせん:エビ用の筌。
いびだる:エビ用の筌。
うげ
うなうげ・うなうづぼ・うなぎせん・うなぎだる・うなづー・うなづーげ・うなぎのばがぶぐろ:ウナギ用の筌。
うづぼ
ず(づ)
ずー(づー)
せん
たる
ど・どー:ドジョウ用の筌。
どじょーだる:ドジョウ用の筌。
ふなうげ:フナ漁専用の筌。
広辞苑に『筌(うえ・うけ):魚を捕る具。細い割竹を編んで、筒または底無し徳利の形に造り、入った魚が出られないように口に漏斗(ロウト)状などのかえしをつけたもの。うえやな。もじ。』『:ウナギ・ドジョウ・エビなどを捕る漁具。割竹を編んで円筒状・円錐状に作り、口部には返しをつけ、魚が入りやすく出ることができないようにし、餌を入れて水底に沈めるもの。どう。うけ。筌(セン)。』とある。『うえ』は『植え』『受ける餌』『魚得』、『うけ』は『受け』『受けるける笥』『魚受け』を思わせる。
運搬具 だいはぢるま:大八車:リヤカーが普及する前の運搬具。牛馬にも繋いで使った。
たぶね:深田で、苗・刈穂や肥料を運ぶ舟。苗舟。田舟
もっこ:畚:縄むしろに吊りひもを付け、土やゴミ等を持って運ぶ道具、一輪車が普及すると間も無く使われなくなった。
りやかー:リヤカー:ちょっとした運搬に使う人力の荷車、自転車で牽引することもあった、耕運機用は専用になっていた
いかだ:木の枝で作ったもので稲を運ぶ道具:神奈川。
うし:木の枝で作ったもので稲を運ぶ道具:神奈川。
うしんぼ:木の枝で作ったもので稲を運ぶ道具:神奈川。
かじき:木の枝で作ったもので稲を運ぶ道具:神奈川。
かっちき:木の枝で作ったもので稲を運ぶ道具:神奈川。
かり:木の枝で作ったもので稲を運ぶ道具:神奈川。
かりした:木の枝で作ったもので稲を運ぶ道具:神奈川。
かりだい:木の枝で作ったもので稲を運ぶ道具:神奈川。
かりでー:木の枝で作ったもので稲を運ぶ道具:神奈川。
きのでー:木の枝で作ったもので稲を運ぶ道具:神奈川。
ばいすけざる:天秤棒で担ぐ肥料運搬具:神奈川。モッコの一種。
ひきづりもっこ:木の枝で作ったもので稲を運ぶ道具:神奈川。
えんぴ、エンピ、円匙 いん:長芋掘り等深く掘る場合に使う。
おけ、桶 :大桶:宮城。
おしきり、押し切り がぢゃんこ 飼葉用の藁を切る道具。
おの、斧 たがのは:斧の一種・刃が後ろに折れ曲がったもの。
よき
かかし、案山子 茨城では、今では『かがし』が一般的だがかつてはが使われた。
かーかし

かがし
かがしんぼー
(苗代に立てる篠竹やヨシの棒)
一般に、苗代の目印とされるが、カラスやツバメの止まり木とか、雷避けともされる(民俗)。案山子の原型を思わせる。広辞苑の案山子の意味とも合致する。

しじの
しだげ
しぼー
しんぼ
もともとは『かがし(嗅がし)』・『やきかがし(焼き嗅がし)』・『たちかがし(立ち鹿驚)』でそれらが転じたものとされる。臭いで鳥獣を追い払ったわけである。『かせ』とも言う。
広辞苑に『案山子:(とも。「嗅がし」の意か)獣肉などを焼いて串に貫き、田畑に刺し、その臭をかがせて鳥獣を退散させたもの。焼串(ヤイグシ)。焼釣(ヤイヅリ)。』とある。『威し・脅し(おどし)』とも言う。
『称呼』には『かかし(わら人形なり):西国にて鳥をどし、加賀にてがんおどし、肥前にてそふづと云。関西より北越邊といふ。関東にてかかしとすみていふ。また添水(そふづ)を、肥前にてうさぎつづみ、河内にてそうづがらうす、上野にてみずなるこ、信濃にてしかつづみ、加賀にてはじきといふ。貞徳翁の云 そふづは田へ水を添る具にて 板にて拵たる物也。そふ 添也。づ は水也。季吟翁の云 そふづは、水邊にしかけて、水の力を添て音を出す鹿をどしなり。続古今 「山田もる僧都の身こそかなしけれ秋果ぬれは問ふ人もなし 玄賓」。今按に 加賀にてはじきと云は「藝文類聚」にいはゆる弾歟。其制異なるやうにおもはるる也。又備中國湯川寺の玄賓僧都の故事、又僧都添水の論は歌書の注解「雑事筆海」「和字正濫」等の諸説考合せて分辨有。又國々にて其形異なる品数多しといへとも事繁けれはここに略す。』とある。ちなみに『添水(そうず)』は『鹿威し(ししおどし)』の事である。『案山子』は『そほづ』とも読む。
ちなみに『鳥威し』は『田畑を荒らす鳥をおどして追いはらうために作ったもの。鳴子(ナルコ)・案山子(カカシ)の類。』を言う。茨城では梨畑の鳥避けには今でも空砲が使われている。
その他、『おどせ・おどろかし』とも言う。
おどし:岩手・八丈島・岐阜・静岡・福井・近畿(三重以外)・中国全県・四国(香川不明)・九州(佐賀以外)。大半が西日本に残るが、岩手・八丈島にあるという事は、昔は東日本にもあったと見られる。
西日本では『かし』と言い、東日本では『かかし』と言うのは、言葉の発生が異なるためではなかろうか。『かし』とは『嗅がす』の名詞形で『かかし』とは『懸ける』の他動詞の名詞形と考えられる。
:北越から関西。
かがし『方言地図』では『が』の鼻濁音と濁音を区別していないので、正確ではないが、一般に新潟・群馬・埼玉・愛知・中国・四国・九州では鼻濁音が無いので概ね『かがし』は群馬・埼玉等の概ねこれらの地域で使われると考えられる。ただし、四国では徳島・高知、九州ではほとんど無く、大分・宮崎・鹿児島では少ないようである。
がんおどし:石川。
すずめおどし:愛知。
そめ:静岡。辞書掲載語。
とぼし:九州。辞書掲載語。『灯し』の意味か。
とーぼし:佐賀。『灯し』『灯燃し』の意味か。
以上から、どのような方法で鳥獣被害を防ぐか、又何から防ぐかによって呼称が生まれているのであって、方言というより民族文化語と言った方が正しいと思われる。
かま、鎌 おーぢゃぐ:長い柄のついた草刈用の鎌。
がりがりま・ものぐさま・たぢ:畝等の草取り専用の農具、普通の草刈り鎌と異なり、柄が長く両手を使う。土と一緒に『がりがり』刈る。
草刈り鎌:生い茂った草刈りに使う。
稲刈り鎌:稲刈り用の鎌、草刈鎌より細く長い。
るま:田で使う回転式の除除草具。
牛馬 うし:牛:耕運機が入れないような場所の農耕用にまだ健在だった。
ぎーしゃ:牛車。耕運機に押されて間も無く無くなる。平安時代は『ぎっしゃ』と呼ばれた。
はなかん:牛の鼻にとおす輪。はながい。鼻輪。
うしのくそ:牛に履かせる草鞋:神奈川。
おいなわ:牛馬の手綱:神奈川。
はづな:手綱:神奈川。
はなかん:鼻輪:神奈川。
べった:牛糞:神奈川。
ぎょぎょう、漁業 あがっれー:船の淦を払うこと。
あかとり:淦取り・淦くみ。
あかとり:船の淦を払うこと。
くわ、鍬、鋤 いちょっ・いぢょーまんのー:刃先がイチョウのように広がった四本刃の備中鍬。水田用。
いもほりまんのー:芋掘り用の備中鍬。
たまんのー:備中鍬の一種で三本歯。万能が主流でほとんど使われなくなくなっていた、耕運機が導入される前の『かたうない』の主役だった他、地面が固い場所で使う。
くろぐわ:黒鍬:古いタイプの鍬、開墾用の小型の鍬、あまり使われなかった。どちらかというと縦に振る鍬。
くわ:鍬:平鍬を指す、畝作りの主役、木製のものもあったが殆ど使われなかった。足元を切るか切らないかぐらいに足のわずか下を狙うようにして横使いにして使うのがこつ。ただし、平鍬は辞書にはなく『へらぐわ』と言う地域もある。農村専門用語らしい。
さくしきぐあ・さくひき:木の台または柄に三角の刃がついたもの。作物を植える溝を作るもの。
さんぼんこ:備中鍬の一種。主として春先に稲の株が残っ稲田を耕う万能。
しろかぎ:代掻き馬鍬。
:田で使う鍬の一種。
たげほりまんの、とんび:唐鍬の一種、竹の子掘りの他特に地面が固い場所で使う。
たげのごほり:唐鍬の一種。=とん
とー:唐鍬。
とー:唐鍬。
とん:唐鍬。
はすほりまんの・はすほりまんのー:レンコン掘り専用の用の鍬で柄が短く、刃が長い。うっかりすると自分の足を刺してしまいそうな危険なものでもある。現代は水掘りに変化したため使われていない。
まん:馬鍬。
まんの・まんのー:備中鍬の1種で軽量で刃が大きく4本ある。
みつこまんのー :備中鍬の一種で三本歯。
よつこまんの・よつこまんのー:備中鍬の1種で軽量で刃が大きく4本ある。石岡市の鈴木万能が備中鍬に改良を加えたもの。標準語の万能は馬鍬(うまぐわ・まぐわ・まんぐわ・まんが)を指す。
農耕具の代表は『鍬』である。『鍬』の語源は諸説がある。私は『壊す』意味を最初に浮かべるが『歯を食わす』意味も捨てきれない。
鍬は大きく風呂鍬と風呂無し鍬に分かれる。風呂鍬は柄と風呂(木製)と刃先に分かれるが、風呂無し鍬は風呂と刃先が一体になったものである。現代の鍬は風呂無し鍬である。古くはスコップ状のものだったが、次第にL字型になる。刃先が広がっているのが唐鍬である。刃が四角く細長いのが平鍬と呼ばれる。金属部が枝分かれしているものが備中鍬である。
茨城では平鍬を鍬と呼び、備中鍬は『まんの・まんのー』と言った。石岡市の鈴木万能が備中鍬に改良を加えたもので、標準語の万能は除草用である。
あたな:田の荒起こしに使う鍬:神奈川。
いん:柄に付いた縄を腰に巻きつけ畝間のさく付けなどに用いるもの:神奈川。『柄鍬』。
げぐ:風呂鍬の一種・刃先だけが鉄の平鍬のうち:神奈川。
つけ:風呂鍬の一種・刃先だけが鉄の平鍬のうち:神奈川。
おん:柄に付いた縄を腰に巻きつけ畝間のさく付けなどに用いるもの:神奈川。
おん:柄に付いた縄を腰に巻きつけ畝間のさく付けなどに用いるもの:神奈川。
かぶきり:稲株を掘り起こす鍬:神奈川。
かべっくわ:平鍬。
かべらわ・かべらっくわ:平鍬。
きあたま:へらぐわ:神奈川。
くわ:風呂鍬の一種・刃先だけが鉄の平鍬のうち:神奈川。
こまん:小型の馬鍬:神奈川。
さく:風呂鍬の一種・刃先だけが鉄の平鍬のうち:神奈川。
さんかく:先の部分が三角になった鍬。畝をさくったり、追肥のときに使う。
さんぼんづめ:三本歯の鍬:神奈川。
しほんづめ:四本歯の鍬:神奈川。
しょんべんおけ:小型の肥料桶:神奈川。
だい:刃先だけが鉄の平鍬のうち:神奈川。
つぶて・つぶてこわし:畑の土塊を叩いて細かくする道具:神奈川。
とー:唐鍬:神奈川。
:唐鍬:神奈川。
とん:唐鍬:神奈川。
ねだぎり:唐鍬で鉄の部分の巾が狭いもの:山形。
へら:風呂鍬の一種・刃先だけが鉄の平鍬のうち:神奈川。
へらつき:風呂鍬の一種・刃先だけが鉄の平鍬のうち:神奈川。
へらっくわ:風呂鍬の一種・刃先だけが鉄の平鍬のうち:神奈川。
ふずき・ふずき:鋤・牛馬にひかせて足で踏んで土を起こすもの:神奈川。踏み鋤。
ふりまん:牛馬にひかせて田をすく鋤:神奈川。馬鍬の一つ。
まど:風呂鍬の改良品の一種:神奈川。
まん:馬鍬:群馬・神奈川。
まんのー・まんのーわ・まんのっくわ:田起こしに使う3〜4本刃の鍬:神奈川。
よちくわ:四本歯の鍬:神奈川。よちくわどーし:四本の万能鍬を使った麦栽培の畦作り。
よつ:四本歯の鍬:神奈川。
よつ:四本歯の鍬:神奈川。よつ:四本の万能鍬で古株や草を取り除くこと。
よつ:草などを引っ掛けて取る道具:神奈川。
計量具 斗桝(一斗桝):木製で金属の箍(たが)の付いた円柱形の枡。枡はその他1合、二合、五合、一升が良く使われた。冬になるとベーゴマのとこ(床)に早代わりした。
じょ:漏斗。一升瓶等に入れる漏斗はアルミ製。米を俵に入れる漏斗は大型で竹で編んだもの。
かっきりぼー:枡に入れた米等の上を均す棒。斗棒。
でーばがり:台秤。重量物を測る秤。今のヘルスメーターに似ているがメーター部分は台から突出した首の部分にあった。体重を量る際も利用した。
さおばがり:竿秤。
ためします:一斗枡:神奈川。
こえおけ、肥え桶 こいおげ
こいた
こやしおげ
おげ
しょんべおげ
しょんべんおげ
しょんべんぶぢ
しょんべんぶり
だらおげ
だらおけ
肥え桶。肥えたご。振り桶。十分に発酵が終わった肥えを運ぶ桶。当時寄生虫が問題になり次第に使わなくなっていった。
げすおけ:肥桶:神奈川。
げすっり・げすぶり・げすり・ふりえ・ほーりもの:人糞と穀物の種を混ぜて播くこと・田畑に下肥をまきその後土をまぜること:神奈川。
げすりおけ:粟まきのとき粟と下肥を混ぜたものを入れる桶:神奈川。
・こいっぴやき:菜種などを植えた後を燃やして畑の肥料とすること:神奈川。

こえた:肥桶:東京・神奈川。
こえたん:肥桶:埼玉。
だらおけ:肥桶:福島。
こえおけようのひしゃく、肥え桶用の柄杓 いな
おーびしゃく
こいびしゃぐ
こいしゃぐ
しょんべんしゃぐ
しょんべんひゃく
だらびしゃぐ
だらしゃく

だらびしゃく
だらびや
だらびやぐ
だらしゃぐ
だらしゃぐ
ひきびしゃく
米櫃 こぐいれ
こくいれ
こぐびづ
こくびつ
じょれん、鋤簾 かまじょれん:長い柄のじょれん。
せおいかご、背負い籠、草刈籠、目の荒い負ぶい紐のついた籠 おーが
がしゃっ
しょいか
くさかりか
よごだ
よごだか
朝飯前の仕事やちょっとした作業のため、農具の運搬や刈り取った草・落ち葉等の運搬に使われた。
こもあみ、薦編み こもあみ
こもげだ
薦(こも)を手で編む簡易な台。
ざる、笊 ざーる:笊
いっとごしょざーる:1斗5升入りの笊。庭に敷いたむしろ2枚に1斗5升笊一つ分を割り当てると丁度良い乾し加減になる。
いっとざーる:1斗入りの笊
げすざーる:堆肥を入れて運ぶ笊
ふぐ:笊。
よごだざる:魚を入れる大型の笊。
シャベル さぶろ:スコップのこと。
しょいこ、背負子 しょっかだ
しょいばし
しぇーわく:静岡。
やせうま:静岡。『痩せ馬』。辞書掲載語で関東・東北地方の方言とある。
やせうんま:静岡。『痩せ馬』。
除草具 くさとりき:草取り機:稲の間の草を取る道具、手動の回転式草取り機。 くさっけずり:神奈川。
たうちるま:水田の除草具:神奈川。
田植え おー:田植えの際、田んぼで使う三角定規。・しろかぎ:代掻き馬鍬。
しろならし:代均し:田植え前に田の代を最後に均す道具、柄に板がついた簡易なもの。柄振り。
すじひき:田植えのラインを引く農具。柄の先に幅1間程度の板が付いていてその板に棒が打ち付けられたもの。
たうい
たういじょー:田植えのラインを引く農具、柄の先に幅1間程度の板が付いていてその板に棒が打ち付けられたもの。
たこすり:田植え前に田の代を最後に均す道具、柄に板がついた簡易なもの。柄振り。
たぢおどご:田郎二。 ・なーしろ:苗代。
たうえなわ:田植えの時定規に使う縄。
なしろ:福島。
なーしろ:福島・千葉。
なぜいた:苗代の整地に使う板:神奈川。
なぜぼー:苗代の整地に使う棒:神奈川。
なわしろ:苗代の整地に使う板:神奈川。
たげた、田下駄 いねかり:稲刈り用の田下駄。
おーわづげ:田下駄の一つ。

たがはづけ:田下駄の一つ。
たがわじき:深田用の田下駄。
たがわづけ
たがんじぎ
たんじぎ
ちーわづけ:中高の田下駄:中歯付けの意味。
なば
なーば
なんば:田下駄。
びたかんじき
びたわずけ
ふな
べったら:平たい田下駄。
やーら:深田用の田下駄。
わぢき:田下駄の一種。
わづげ
わそけ
わっけ
深田の場合に使っていた。田んぼ専用の木製下駄。
かんじき:田下駄:神奈川。
脱穀、選別 いぶり:柄振。穀物を掻き広げる道具。苗代を均す道具も同様に言う。
おーどーし:目の粗い篩。大通し。
おふき・おぶき:箕。
がーこん:足踏み式脱穀機:木製のドラムにループ型の鉄の棒が沢山ついたもの。昭和30年代後半まで使われたが間も無く電動式に変わる。
がーこんがーこん:足踏み式脱穀機。
くぬぼー:唐竿。
くるりんぼー:殻竿。
こめだーら:米俵。1表60kg。
こめづづ:米麦貯蔵容器:ブリキでできた円柱形の大型容器。
さいづぢ:金槌・木槌・藁を打つ木槌。
するす:『擦り臼』が転じて脱穀のこと。もともとは籾摺りのことだが、機械化が進み脱穀作業全体の代名詞になっていた。作業全体は、乾燥→脱穀→籾摺り→籾殻と玄米の分離という順番である。乾燥は、庭に筵を敷いて天日乾燥していたが、間も無く火力乾燥機が普及し時間短縮と品質の安定に寄与した。
するすひぎ:脱穀。
せーづぎ・せーづぢ:藁を打つ木槌・木槌。
千石通し(万石通し):傾斜した長い篩で、籾摺りした後の米を屑米や割れたものを選り分ける農具。精米した米と糠を分ける場合にも用いる。
せんばこぎ:千歯扱き:古くは脱穀の主役だったが、当時は殆ど使われなくなり藁すぐりに使った。 ・たーらしめき:俵締め機。俵を閉める金属製の道具。
てす:米俵を手で運搬する時引っ掛けて持ち上げる小道具。
電動脱穀機:昭和40年頃脱穀の一連の作業を1台でこなすものが現れた。
どずるす:土擦り臼の意味。唐臼・踏み臼。籾と玄米を分離させる道具で簡易なもの。当時はすでに使われなくなっていた。
とーし:万石通し。
どーす・どずるす・どーずるす:籾摺りの道具、唐臼。
とーみ:唐箕:籾と玄米を分離させる道具で当時はすでに電動ファンの風力を利用していた、それ以前は手動の唐箕を使っていた。
ふり・ふりー・ふーり・ふーりー:篩。大小様々なものがあり、角型の堆肥用篩いは自分で作ることもあった。鉄製の網が普及する前は、竹で作ったかめのござる(かめのこ笊)を使った。
ふーるぎ:篩。
ふりうぢぼー:唐竿・くるり・くるりぼー:主として豆類の脱穀に用いる木製の農具、回転脱穀棒。
ふりぶぢ: 唐竿。
までぼー:杵。柄の先にやや大きめの木材(桐)を結びつけた道具で単に叩くだけのもの。豆の脱穀のほか湿らせた藁をなめすことにも用いた。藁打ち杵。
:箕:穀類の古いわけに使う竹製の道具、当時は殆ど豆類につかった。
むぎぶぢだい・むぎぶちだい:麦を脱穀する台。板や丸太・臼の胴などを使う。
ぶぢぼー:麦を脱穀する道具で唐竿の一種。
もみならし:籾の山を崩したり、干した籾を均す時に使った木製の器具。柄振り。
よごづぢ:藁打ちの道具。
あおり:唐箕:神奈川。
あらぬき:篩の一種・粗い網目のもの:神奈川。
あらぶるい:篩の一種・粗目のもの:神奈川。
いたみ:木の板で作った箕:神奈川。
いねこきまん:千歯扱き:神奈川。
いねこきまんのー:千歯扱き:神奈川。
えぶり:柄振。穀物を掻き広げる道具。苗代を均す道具も同様に言う。
かなこ:千歯扱き:神奈川。
かな:千歯扱き:神奈川。
くるい:殻竿・くるり:神奈川。
こぬかどーし:細かい網目の篩:神奈川。
さいたまどーし:篩の一種:神奈川。
さいずけ・さいづち:藁を打つ木槌:神奈川。
ざっこっき:脱穀機:神奈川。
すだれ:麦を打ち付けて脱穀する道具:神奈川。
すどり:目の粗い箕。
すなぬき:篩の一種:神奈川。
せーづち:藁を打つ木槌:神奈川。
せんばー・せんばこき:千歯扱き:神奈川。
たけみ:穀物以外にのものに使う箕:神奈川。
たたら:踏み臼・唐臼:神奈川。
ちゃみ:茶を作る時に使う箕:神奈川。茶箕現代では茶匙を言う。
つくて:埼玉・東京多摩・神奈川・長野。東日本方言。
つちっこぞー:藁を打つ木槌:神奈川。
てあおり:風の無い時に籾と雑物を選り分けるためのウチワのような道具:神奈川。
てうす:石臼:神奈川。
とあおり:籾殻と玄米を選別する道具:神奈川。唐箕のことか。
とーあおり:唐箕:神奈川。
どいみ:竹で作った箕。
とーうす:唐臼:神奈川。
とーし:大型の篩:東京多摩・神奈川・長野・富山・愛知・奈良・兵庫。
ふみうす・ふみ:唐臼・踏み臼:神奈川。
ふりー:篩:神奈川・八丈島。
ほしものえし:柄振り:神奈川。
まん:千歯扱き:神奈川。
まん:千石通し:神奈川。
むぎす・むぶちだい:麦を打ち付けて脱穀する道具:神奈川。
ぶちぼー:麦を脱穀する道具で唐竿の一種:八丈島。
りぼー:殻竿・くるり:神奈川。
ものひろ:柄振り:神奈川。
もみどーし:篩の一種:神奈川。
やぬけどーし:篩の一種:神奈川。
やりぎ:唐臼につける取っ手:神奈川。
よこづち:藁打ちの道具:神奈川。『横槌』。
:カヤで作った俵。
だーら:炭俵。
すみだーら:炭俵。
たーら:俵。
:カヤで作った俵。
たんぼ、田圃 あが
あか
あがた:低湿地の水田。
あがたんぼ
あがたんぼー
辞書には『田圃』は当て字とある。また広義には『田畑』を意味する。『田の面(たのも)』は田の表面を意味する。
@はたけ、田園、A農夫、とある。漢和辞典には調べると、『ほ』とは『圃』であり、本来は畑を意味する。さらに、『田圃(でんぽ)』『園圃(えんぽ)』は畑を意味する。
Aは『田坊』の意味しか考えられないが、これではジレンマに陥ってしまう。そうなると、古い時代では、畑も田んぼも一緒だった可能性がある。文字を見れば国構え。囲われた水のある土地を連想させる。
茨城方言には、場所や土を示す『ぼ・ぼー』ー』がある。それらは、『圃』の意味の可能性が高い。
『語源辞典』には『@タノベ(田辺)の転。A他の方面の意のタノモの転。タオモ(田面)の転。』とある。
広辞苑には『あか:(千葉・茨城県で) 田圃(タンボ)をいう。「あこうど」は農民。』とある。
とーも:愛知。
とーもん:静岡・滋賀
ひどろた:山形・福島・群馬・長野。
とうか、稲掛け、小田掛け、稲架 いねだな:久慈郡。
おだ:県全域。
おだあし:県広域。
おだーし:−
おだ:県全域。
おだかけ:−
おだぎ:県周辺部。
おだばり:土浦市。
おだはり:土浦市・新治郡。
おだゆい:東茨城郡・新治郡・行方郡。
のろ:古河市。
のろし:県広域。
のろしかげ:県広域。
のろし:県西部・南部。
のろしかげ:県西部・南部。
はざ:久慈郡・結城市・稲敷郡・鹿島郡。辞書掲載語。
はざかげ:取手市。
はぜかけ:北茨城市。
ばだ:−。
はって(数段になったもの):那珂郡・東茨城郡。
はんでん:古河市・猿島郡・稲敷郡。
はんれん:古河市。
ふんじめ:久慈郡。
ほだ:北茨城市。
(稲掛けの行為)
おだ
おだかけ
おだゆい
のろしかげ:県西部・南部。
はざかげ:取手市。
(その他用語)
おだあし:稲架の脚部分。
おだし:稲架の脚部分。
おだーし:稲架の脚部分。
おだあしぼー・おだーしぼー:稲架の脚部分。
おだぎ:稲架の架構材。
おだしぼ・おだしぼー:稲架の脚部分。
おだーしぼー:稲架の脚部分。
おだばり:稲架の横架材。
おだはり:稲架の横架材。
おだむね:稲架の横架材:土浦市・新治郡。
のろしぼ:稲架の横架材。
はってんぼー:稲架の支柱:那珂郡。
やねおだ:数段に重ねた稲架
注)『のろ』が異質に見えるが実は、万葉集の時代からある言葉で、『野・野良』を指す。
広辞苑には『(茨城・千葉県で) 稲架。おだかけ。その脚となる二本の立木を「おだあし」という。』とある。『おだ』は『小田』と書き、田んぼを意味する。
稲掛けは、辞書に『刈った稲穂を束ね、穂を下にしてかけておくもの。いなぎ。いなばた。いなかけ。はさ。』とある。
刈り取った稲を乾燥させるために稲を掛けるもののうち脚部分を『おだーしぼー』、稲を実際に掛ける横架材はおだばり』『おだむね』と呼ぶ。その作業はおだげ』と呼ぶ。『集覧:稲・新』。『おだゆい』と言う地域もある。茨城県下の方言は、厳密な使い方はされておらず、全体部分を指す言葉が全体の呼称になったり、行為を示したりしている。
広辞苑に『はさ:(新潟・富山・福井・岐阜などで) 稲掛。稲架(トウカ)。はざ。』とある。『歯竿』の略されたものである。
いなか:神奈川。
うし:山梨・静岡。
かけば:神奈川。
かけぼし:神奈川。
さお:神奈川。
はざ:新潟・富山・福井・岐阜。辞書掲載語。
はさ:神奈川・新潟・静岡・富山・福井・岐阜。辞書掲載語。
はさ:北海道・神奈川・新潟・富山・福井・岐阜。
はさかけ:神奈川。
はさぼ:神奈川。
はしぇ:山形。稲架以外の干し物の場合にも言う。
はせ・はぜ:新潟・富山・福井・岐阜。
はで:群馬・新潟・富山・福井・岐阜。
はで:稲掛け棒:栃木。
やらい:埼玉。
(稲掛けの行為)
(その他用語)
うし:稲掛けの脚:神奈川。茨城の『おだあし』にあたる。
うま:稲掛けの脚:神奈川。
なた、鉈 なだ
たげなだ:竹鉈。
おーなだ:大鉈。
あらなー:荒縄。
なー:縄。
わらなー:藁縄。
:荒縄:神奈川。
なわない、縄綯い なーない
なわないき、縄綯い機 なーないき 縄は手でも綯ったが金属製の専用機があった。
その他の農具、農機具・農耕生活 草履編み機:木製の板に3本の釘の付いた草履やわらじを編むための道具。
おがや:カヤの収蔵庫。
くりばし:栗のイガを剥く竹製のハサミ箸。
くまぜ:熊手。
ざっかぎぼー・ざっかじぼー:芋洗い用の棒。
たげばがら:竹の屑。
たけっがら:竹の屑。
たけがら:竹の屑。
くずかき:落ち葉を掻き集める道具:神奈川。
くまぜ:熊手:神奈川。
くまん:熊手:神奈川。
農耕具 いん:土を掘るスコップに似た農具。もともとは軍隊で使われた野営用のスコップ。円匙。
おー:犂の一つ。大鍬の意味。
じょれん:鋤簾。土砂を掻き寄せる用具。長い柄の先に、竹で箕(ミ)のように編んだもの、または鉄板製の歯を取
り付けたもの。
つっつぎ:長芋やゴボウ掘りの最後に使う重要な農具、長い柄の先に長さ20cm程の刃がある。
のこぎり、ノコギリ、鋸 のー
のご
のごぎり
ノコギリ、種類に応じて5〜10本はどの家にもあった。
びく、魚篭 うか:魚籠の意味。
びぐ
フォーク ほーく 堆肥や厩肥え類を掻き出す農具。刃の先が鋭く尖っている。
ませんぼう、馬せんぼう おろぼー
まーせんぼー
ませぼー
肥料 きん:金肥:科学肥料・金で買った肥料。
げす:糞尿に灰を混ぜた肥料・人糞尿・堆肥。
げすばい・げすはい・げすべー:灰を混ぜた下肥。
げす:作物の種を下肥と堆肥を混ぜて蒔くこと。
こい:肥え・堆肥・人糞尿・肥料。
こいざる:施肥用の笊。
こやしぼっち:堆肥を積み上げたもの。
:堆肥を盛って運ぶ器。
やし:田の肥料にする青草。
:担い桶。
おげ:担い桶。
だら:人糞尿。
なーしろやし:苗代に入れる肥料。大根を使う。
にない・にねー・にねーおげ:担い桶。
ほしか:魚肥。
まや:家畜小屋の糞尿と敷藁とのまじったものを腐敗させた肥料。
みず:水肥。
あわせおけ:人糞と肥料と麦の種を混ぜ合わせる3畳ほどの平たい桶:神奈川。
うわ:追肥:神奈川。
かちき:水田に施す緑肥:神奈川。
かちきだいこん:肥料にする大根:神奈川。
きゅーひ:肥料:神奈川。
きりだる:魚肥:神奈川。
くさらかし:堆肥:神奈川。
げす:人糞尿:神奈川。
げす:灰と下肥を混ぜた肥料:神奈川。
こいみ・こえみ:肥料専用の箕。
こえどーし:堆肥用の篩:神奈川。
:油粕:神奈川。
こくみ:穀類を入れる箕:神奈川。
:堆肥:神奈川。
こやしのどびん:木製の桶に竹製の口がついたもので追肥に用いる:神奈川。
さかな:魚肥:神奈川。
い・だ:堆肥:神奈川。
たて:堆肥:神奈川。
だら:人糞尿:東北・関東・中部地方・熊本。
たわ:魚類の内臓を腐らせた肥料:神奈川。
つみ:堆肥:神奈川。積み肥。
どい・どーい:堆肥:神奈川。
とかしおけ:液肥を薄める大型の桶:神奈川。溶かし桶。
どひ・どひー:堆肥:神奈川。人名に『土肥』がある。
なえしろだいこん:肥料にする大根:神奈川。
にないおけ:担い桶。
ひょっとこ:木製の桶に竹製の口がついたもので追肥に用いる:神奈川。
ほしか:魚肥:神奈川。
ほしこ:魚肥:福島・新潟。
まくり:堆肥:神奈川。
まづかり:縄で編んだ袋状の肥料を入れる道具で、畑で下の方を解くとすこしずつ肥料がこぼれるもの:神奈川。『馬付かり』の意味か。
まや:家畜小屋の糞尿と敷藁とのまじったものを腐敗させた肥料:宮城。
まや:家畜小屋の糞尿と敷藁とのまじったものを腐敗させた肥料・厩肥:神奈川。
もと:堆肥:神奈川。
よせ:堆肥:神奈川。
ろくぶだる:天秤で担ぐ肥桶:神奈川。
みかん、蜜柑 いどみがん・いどみかん:温州蜜柑。
みがん
めかご、目籠 はんめーけ:浅い目籠。
はんめー:浅い目籠。
はんめ:浅い目籠。
みいき
みいけ
みかい

みけ


ざる
めかい
めーかい

いか
めかい
めーか
めけー

めーげ
めーけ
めけぇー
めん
めん
めんざい
めんざいる
広辞苑に『目籠:目の粗い竹籠。目ざる。』とある。
みけー:神奈川。
めかい:群馬・神奈川。
めかい:竿芋を入れる籠:神奈川。
めけー:群馬。
目刺籠 広辞苑に『目刺籠:漁夫が、採取した貝などを入れる籠。』とある。
めざし:神奈川。
もんぺ 広辞苑に『袴の形をして足首のくくれている、股引に似た衣服。保温用または労働用。雪袴。もっぺ。もんぺえ。』とある。
たっつけ:山梨。『裁着・裁衣(たっつけ):カルサンのこと。』。
ゆい、結い
いー
いく
いっばが
いっ
いどり
広辞苑に『結い:田植などの時に互いに力を貸し合うこと。また、その人。てまがえ。』とある。
ゆいなわ、結い縄 りーなー:結い縄。
ようさん、養蚕 (カイコの上族)

りめー:蚕の上族またはその作業。『上がり前』の意味。
:繭を作る前に頭が透明になったカイコ。
ずっこ:上族前のカイコで頭が透明になったもの。
ねむる:カイコが上族してて桑を食べなくなる。
まぶしあ
まぶしかげ::カイコの上族に伴いまぶしに移すこと。
まゆかぎ:まぶしから繭をとる作業。
めーかぎ:まぶしから繭をとる作業。
(カイコの上族祝い)
まい:餅をつく。
はきたでいいわい:餅をつく。
まぶしあいわい
まぶしあゆわい
まぶしいわい
まぶしゆわい
まぼしいわい
(カイコの病気等)
うすかー:病気のカイコが作った繭。薄皮の意味。
おじゃり:御舎利病。
おしゃり:御舎利病:筑波郡。
たれっこ:繭を作らずに死んで黒くなったカイコ。
ちょーちんこ:カイコの病気の一つ。
ひかりこ:病気のカイコ。白くなったり節がふくれたもの。
ふしたが:病気で節が白くなったカイコ。
わっこ:未成熟のカイコ。

(繭の種類)
のび・のびまゆ・のびめー:屑繭。
びしょまい:屑繭。
びしょまゆ:屑繭。
びしょまる:蛹が死んでいる繭。
びしょめー:屑繭。
まい:繭。
よりだま:二つの蛹が入っている繭。

(養蚕の道具)
かごむしろ:まぶし。
たげまぶし:竹製のまぶし。
どもろ:カイコが卵の時から2回脱皮するまで入れておく大型の箱。
どもろかごどもろを載せる台。
ひらつけ:養蚕紙の一面にカイコの卵がついているもの。
まぶし:蔟。蚕具の一。糸を吐くようになった蚕を移し入れて繭を作らせるための用具。蚕のすだれ。
ようさんか:まぶしの下に置く竹で編んだ四角い台。
わらまぶし:藁で作ったまぶし。

(糸等)
ふとり:屑繭からつむいだ糸。
ほくそ:糸をとった残りのくず糸。
ぼくそ:糸をとった残りのくず糸。

(その他)
くわきり:桑の収穫専用の鎌。
:蚕の糞
こくそ:蚕の糞
こばい・こばかい・こば:稚蚕の飼育。
とめる:【動】カイコが脱皮する前に桑を食べなくなること。
ようさんおんな:養蚕の手伝いに来る女。
わっこひき:未成熟のカイコを網の上に移すこと。
『俚言』には『かいこ:蚕。東国にておこと云。越後にてうすまと云。同国長田にてはぼこと云。信濃にてぼぼうと云。奥州津軽にて大なるものをとうどこと云。小さきものをきんこと云。出羽にてととこと云。房州にてひめこと云。』とある。
カイコの名称は茨城の虫・昆虫・節足動物・軟体動物参照。
(カイコの上族)
はややとい:上族前に早めにめに上族させること:神奈川。
ひぎる:熟蚕となる:山形。
ひきる:上族の時に体が透いてくる:神奈川
ふな:蚕が脱皮のとき桑を食べないこと:群馬。
ふなごまい・ふなめーだまふなやすみの時に搗いて食べる繭玉:群馬。
ふなやすみ:蚕が脱皮のとき桑を食べないこと:群馬。

(カイコの病気等)
あたますき:蚕の空頭病:神奈川。
うみこ:病蚕:神奈川。
おこじんじー:萎縮病にかかった蚕:神奈川。
おしゃり:御舎利病:神奈川。
おしゃりさん:御舎利病になった蚕:神奈川。
おっとこ:他より成長の遅れた蚕:神奈川。
くーとさん:蚕の空頭病:神奈川。
こぼしー:蚕の空頭病:神奈川。
たれこ:繭になれないカイコ。

(繭の種類)
したもの:粗悪糸:神奈川。
しびす・しびそ:糸取りのとき解きほぐし繭で蛾になれなくなったもの:神奈川。
しびつ:蚕の蛹:福島。
こーじんめー:小さい繭ができたときに荒神様に供える繭:神奈川。
なかまえ:痛んで売り物にならない繭:神奈川。
はびしょ:くず繭:群馬。
びしょんまゆ・びしょんめー:蛹が腐ってびしょびしょになった繭:神奈川。

(養蚕の道具)
いとだて:稚蚕の時に使う蚕具で藁と糸で編んだもの:神奈川。『糸経』。

おりまぶし:藁製の簡単なまぶし:神奈川。
かるとん:熟蚕を選り出していれるれる器。まぶしのことか。新語と思われる。
:幼蚕を飼う角型の道具:神奈川。
さそーほーちょー:桑刻みに使う包丁:神奈川。『ざそう包丁』。
たいこまぶし:藁製の簡単なまぶし:神奈川。
ちまぶし:ムカデのようか形をしたまぶし:神奈川。
まぶし:萩等の潅木を使ったまぶし:神奈川。
はふやとい:萩等の潅木を使ったまぶし:神奈川。
むかぜ:ムカデのようか形をしたまぶし:神奈川。
ゆたん:繭を入れる木綿製の大きな風呂敷:神奈川。『油単』。

(その他)
うな:蚕の糞:静岡。
おしらさま・おしらさん・しらみさま:蚕の神様:神奈川。広辞苑に『おしら様:東北地方の民間で信仰する養蚕の神。男女一対の桑の木の偶像で、馬頭のもの、烏帽子を被ったものなどがある。いたこ(巫女)が祭る。「おしらかみ」「おしらぼとけ」とも。』とある。
くわきり:桑の収穫専用の鎌:神奈川。
くわっとまり:蚕の4回目の脱皮:神奈川。
こがす:蚕の糞:山形。
:蚕の糞:群馬。
こくそ:蚕の糞:東京多摩・神奈川。
こくそっるい:養蚕が終了した時・上族の祝い:神奈川。
こばそだで:稚蚕の飼育:山形。
とまり・とめっこ:蚕の眠り:神奈川。
ひら:蚕の飼い方の一種・一段で飼う:神奈川。
ふないうぇー:第3齢の蚕児の休眠する時にする予祝行事:神奈川。このとき蚕神の供える団子をふなめーだまという。
:蚕の飼い方の一種・やぐらを組んで何段も飼うこと:神奈川。
よこどり:座繰り・糸車:神奈川。
りょうし、漁師 うけとんぼ:漁師。本来は『うきとんぼ』であろう。
うみとんぼ:漁師。
うみとんぼ:静岡。
藁とその利用 わらす:藁のはかまを取り除く作業に用いた。きれいにしごいた後、頭の方を縄で結び、反対側を広げて立てると円錐型(わらぼっち)になり庭等に干した。これは、むしろや縄、俵などの材料になった。
横槌(よこづぢ)、藁打ち(叩き)の道具、短い丸太に柄のついたもの。丸太縄や筵を作る場合は藁はそのままでは硬いので、水を口で拭きかけながら横槌で叩いて柔らかくした。
むしろ織:筵(むしろ)を手で織る木製の機械。
すてずく:米俵の外にかける太い縄。
かけや:藁打ちの道具・槌・掛矢:神奈川。
 本茨城弁集は、昭和40年前後の茨城方言を中心に茨城県全域の江戸時代まで遡る言葉を集めたものです。他県の方言との関係を重視し主要なものについては他県の方言も紹介しています。また、近年使われなくなってきた標準語や語源考察、また昭和30年代の風俗・文化等を紹介するために、合わせて標準語も掲載していますのでご注意下さい。
 お気づきの点やご指摘等がありましたら、『茨城弁投稿』と書いてお気軽にここにメール下さい。他地域・他県との関係情報もお知らせください。訛の変遷が解かるような投稿は積極的に掲載致します。