昔の茨城弁集
昭和35年〜45年頃の茨城弁集
茨城弁・土浦弁掲示板/新規に開設しました。どなたでもお気軽に書き込みください。
  茨城方言大辞典/し
 昔の茨城弁集 TOP
 茨城方言の特徴
 茨城方言入門
 茨城方言大辞典
 動物・両生類
 魚・水産物・海産物
 虫・昆虫・軟体動物 
 樹木
 草花・キノコ 
 地理・自然
 
 
 特殊な形容詞
 人体用語
 代名詞
 風俗文化・建築・生活
 子供の遊び 
 農業・養蚕・漁業
 茨城の迷信
 年中行事
 挨拶言葉
 
 
 茨城方言の分布
 茨城方言の文法
 小説の中の茨城方言
 茨城方言の発音練習 
 茨城の日常会話
 幼児語に学ぶ
 投稿文紹介
 当時のテレビ番組
 相互リンク集
 八丈方言との関係
BACK NEXT
◆印:『土浦の方言・続土浦の方言』掲載語。■印:『土浦市史・民族編』掲載語。▲印:『茨城方言集覧』掲載語。印:新編常陸国誌掲載語。印:茨城方言民俗語辞典掲載語。印:茨城弁今昔掲載語。印:物類称呼掲載語。●印:『国立国語研究所・日本語情報資料館・電子資料館・日本言語地図・方言文法全国地図』掲載語。▼印:日本方言大辞典掲載語。印:日本方言辞典掲載語。浪花聞書掲載語。印:俚言集覧掲載語。★印:使用例とその標準語訳。黒太文字:標準語。
茨城弁 標準語訳 備考・解説・使用例
(し) 方言理解のための必須用語。(広辞苑)
1)【風】:(複合語として用いる) 「かぜ」の古語。万一三「荒風(アラシ)の吹けば」。山家集「風巻(シマキ)横切る」
2):(呉音はジ)
3)子:(呉音はジ。唐音はス)
4)巳:十二支の第六。み。「上―」→み(巳)
5)支
6)氏
7)司
8)史
9)四
10)市
11)矢:弓につがえて射るもの。や。「一―をむくいる」「嚆―(コウシ)」
12)示:じ(示)
13)旨:
・(「嘗」に通用) うまいこと。美味。「―酒」
・(「趣」に通用) むね。こころもち。かんがえ。わけ。「趣―」「要―」
14)次:じ(次)
15)死
16)糸
17)自:じ(自)
18)至
19)伺
20)巵:さかずき。酒杯。「―酒」「玉―」
21)志
22)私
23)使
24)刺
25)始
26)姉
27)枝
28)肢
29)祉
30)姿
31)屍・尸:しかばね。死骸。
32)思
33)施:(慣用音はセ)
34)食
35)
36)祠
37)し:数の単位。垓(ガイ)の一万倍。
38)紙
39)脂
40)梓:(古くアズサの木に彫ったのでいう) 版木(ハンギ)。
41)瓷:釉(ウワグスリ)のかかった陶器。「―器」
42)紫
43)視
44)斯:
これ。この。
45)觜:〔天〕二十八宿の一。觜宿。とろきぼし。
46))詞
47)歯
48)嗣:つぐこと。あとつぎ。よつぎ。「―子」「継―」
49)肆:
・ならべること。品物を並べた店。みせ。「書―」
・(「恣」に通用) ほしいままにすること。「放―」
・数の名。「四」の大字。「金―阡円也」
50)詩
51)試
52)資
53)雌
54)飼
55)緇:
・黒い色。黒色の衣。すみぞめの衣。「―衣」
・僧侶。「―徒」
56)誌
57)賜
58)駟:馬車につけた四頭立ての馬。また、その馬車。
59)諮
60)諡:
死者に贈る名。おくりな。「―号」「賜―」
61)贄:
・にえ。
・会見のとき持って行く礼物。
62)汝:(「し」と同源という。助詞「が」を伴う) 相手を低く見て指す語。おまえ。なんじ。
63)其:【代】(格助詞「が」を伴い、「―が」の形で用いる)
@(人にも物にも用いる) それ。自身。記下「―が下に生ひ立てる葉広ゆつま椿」。万一八「老人(オイヒト)も女童児(オミナワラワ)も―が願ふ心足らひに」
A(二人称) そち。なんじ。落窪一「―が身の程知らぬこそいと心憂けれ」
64)し:【助動】助動詞「しゃる」の命令形「しゃれ」が「しゃい」に、次に「せえ」に、さらに「し」と転化したもの。四段活用の動詞の未然形に促音「つ」の伴った形に接続する。「しゃる」の表した尊敬の意はなくなり、ほぼ対等の相手への命令を表す。いろは文庫「さあさあ七助、咄しは置いてもう一盃呑まつし」
65)し:【助詞】
【間投助詞】 上の語を強く指示してその意味を強め、また、語調を整える。奈良時代の文献に最も多く見え、以後は用法が次第に局限されて衰退する。平安時代以後は「しぞ」「しも」「しか」などのように係助詞と結合して用いられるか、条件句中に用いられるか、「折しも」「定めし」などの熟語の中に残るにとどまった。鎌倉時代以後に盛んに用いられた「ばし」も、「をばしも」の略で「し」が他の助詞と結合して残った例である。→ばし。
@主語または連用修飾格に立つ語句の下に直接つく。万一五「君を待つらむ人―かなしも」。源若菜上「みな処分(ソウブン)し給ひてなほ―残りをなむ京の御料とて送り奉り給へる」
A格助詞の上または下につく。土佐「一文字をだに知らぬ者―が、足は十文字にふみてぞあそぶ」。万一「草枕旅に―あれば」
B副助詞の下につく。万五「ねのみ―泣かゆ」
C係助詞の上または下につく。万二「万代にしか―もあらむと」。万一七「路は―遠く」
D間投助詞「よ」「や」の下につく。万三「あをによ―ならの都は」。万七「はしきや―吾家(ワギエ)の毛桃」
E複合動詞の中間に入る。万一七「山にも野にもほととぎす鳴き―とよめば」
【接続助詞】 活用語の終止形を受ける。江戸前期までは助動詞「まい」「う」以外につくことはあまりなかったが、次第に盛んに用いられ、現在ではすべての活用語につく。話し手にとってつながりがあると意識される事情を指示する。
@事柄を並列する際に、前の句の終りにつけて、次の句に続ける。伎、好色伝授「おれもじやじや馬に乗らう―、其時はそちも乗物に乗せて歩かさうぞ」。「酒も飲まない―煙草も嫌いだ」
A前の句が、次の句の理由・原因となっていることを表す。…から。…故に。…ので。浄、冥途飛脚「梅川がサア出るに極まらば、借銭も有らう―、泣いても二百五十両…盗せうより外はない」。「仕事も済んだ―、ひとつみんなで出かけるか」「天気は好い―休日だ―すごい人出だった」
B否定の推量を表す語の下について、判断の成り立つ条件を表す。娘節用「今どき縁切りだのなんのかのと、芝居かしやれ本ではあるまい―、どふしてそんな事がありますものか」。「子どもじゃあるまい―、自分で何とかしなさい」
C「こそ」と対応して矛盾する内容の句をつなぎ、「…けれども」「…が」の意を表す。浄、重井筒「銀(カネ)こそはなるまい―、判つく程は一門がひ」
D室町時代から江戸初期にかけての文語調の文で、「して」の意に用いられる。幸若、大織冠「刀を振ると見えしは防がんために無く―、玉をかくさん其為に吾身を害しけるよ」。浄、念仏往生記「平家の大軍は…一戦にも及ばず―、前なる船に取乗て」
65)し:【感】
@制止または沈黙させるために発する声。しい。
A鳥獣などを追うときに発する声。
B人に呼びかける声。しし。
(じ) 方言理解のための必須用語。(広辞苑)
1)仕:し(仕)
2)柱:弦楽器の駒(コマ)。「琴―」→駒(コマ)
3)除:じょ(除)
4)路・道:(チの濁音化。接尾語的に用いる)
5)示:(呉音。漢音はシ)
6)地:(呉音)
7)字
8)寺
9)次:(慣用音。シとも)
10)耳
11)自:(呉音。漢音はシ)
12)児:(呉音はニ)
13)事:(呉音。唐音はズ)
14)侍
15)治
16)持
17)時
18)痔
19)滋
20)慈
21)辞
22)爾
23)璽
24)じ:【助動】(活用は特殊型。変化しない) 動詞・助動詞の未然形に付き、「む」の否定を表す。鎌倉時代には文章語化し始め、代って「まじ」が発達する。活用例は多く終止形と連体形相当のもので、已然形相当のものは擬古的な用例にだけ存在する。
@ある事柄を推量・想像によって躊躇しながら否定する場合に用いる。まず…ないだろう。万一八「大君の御門の守りわれをおきてまた人はあらじといや立て思ひしまさる」。古今雑「幾代しもあらじ我が身を」
A動作主体が話し手である場合には、自己の意志によって或る事柄を否定するのに用いることが多い。…ないつもりだ。…まい。記上「わが率寝(イネ)し妹は忘れじ世のことごとに」。万一九「櫛も見じ屋内も掃かじ草まくら旅行く君を斎(イワ)ふと思(モ)ひて」
B擬古的な用法に見える「こそ」の結び。新続古今春「人はなど訪はで過ぐらむ風にこそ知られじと思ふ宿の桜を」
25)じ:【接尾】体言について、…のような、…に似たの意、転じて、…でない意を表すシク活用の形容詞を作る。万一九「人は我じく斎(イワ)ひて待たむ」。万一「時じくそ雪は降るとふ」→時(トキ)じ
26)じ【箇】:【接尾】(チの濁音化) 一○の倍数の数詞につけて、年齢を表す。(年齢を道にたとえて、「路」と当てる) 「ななそ―」
茨城方言の『し』は口蓋化しない発音で、英語の『si』に近い。標準語の感覚からは『し』『す』の間の発音である。これは東北方言の特徴でもある。
東北方言の『し』はしばしば『す』と表記されるが、厳密には『す』そのものではない。
また、逆に『す』が『し』に近い発音になることもある。
茨城では東北ほど顕著ではないが今でも高齢者の発音に残る。
うす:牛:青森。
:杉:青森。
ししむ:進む:青森。
しみ:墨:青森。
すす:寿司:青森。
する:汁:東北
すんだ:死んだ:青森。
なす:梨:青森。
しる:する。
茨城方言の『じ』は口蓋化しない発音で、英語の『zi』に近い。例えば『標準語』はへぃよーずぃゅんご/hio:zyungo』のような言い方になる。さらに鼻に抜ける発音になれば完璧である。これは東北方言の特徴でもある。茨城では今でも高齢者の発音に残る。逆に『ず』が『じ』に近い発音になることもある。
茨城では東北ほど顕著ではないが今でも高齢者の発音に残る。
すずみ:シジミ:青森。
はずめて:初めて:青森。

しー
典型的な江戸訛。
:福島・東京・神奈川・長野。
□し あなた、おまえ 古語。1人称の場合もある。

しい
しいし
小便 幼児言葉。標準語では『しし・しいし・しっこ』
『俚言』にはいずれも掲載されている。さらに『ししばば』とも言ったと言う。この場合の『ばば』は糞のこと。
しこ:長野。
じじ:長野。
しし:鹿児島。
しっこ:長野。
しびん:鹿児島。
しびんつか:小便所:鹿児島。
しべん:鹿児島。
ちぢー:山梨。
じゅ 直音化。茨城方言ではイ段音が口蓋化していないため、イ段音はエ段音との中間の発音である。言い換えれば標準語のイ段音には【y】音が含まれるが、茨城のイ段音には【y】音が含まれないため、『じゅ』が成立しないのである。
(じ) 沖縄。古語由来の語。『侍』か。
しー ジゃんけん 土浦市。
じー 穢多、最低の身分の呼称 『集覧:多』。明治以降無くなった。
〜し 【複】〜(した)という 『ち』が変化したものか。実際の用法は『しから』『しけ』等に限られるので、関西方言の『さかい・さけー』『さ』に相当する可能性が高い。
この図式は現代語で言えば『(遣った)さ。(だ)から』のような表現と思われる。
ゆったしがら:言ったというから。
〜し
〜しー
【助動】〜なさい 広辞苑には『助動詞「しゃる」の命令形「しゃれ」「しゃい」に、次に「せえ」に、さらに「し」と転化したもの。四段活用の動詞の未然形に促音「つ」の伴った形に接続する。「しゃる」の表した尊敬の意はなくなり、ほぼ対等の相手への命令を表す。』とある。
山梨にも残る。
〜し:山梨。おまんやれし:お前がやって下さい。
いかっしー:行け:長野。
おやすみなんし:お休みなさい。
(〜し) 【助動】〜です 広辞苑に『す【候】:サウラフ(候)の略サウのさらに転じたもの。閑吟集「嵐では無げに―よの」』とある。
〜なえし:〜(し)ないです:山形。丁寧語。『〜ない候』。よまなえし:読みません。
いがながったし:行きませんでした:山形。
〜し 【助】〜さ、〜よ 終助詞。
現代語の『さ』に当たる。近世語。時代劇で『さあ、ずんずんやっておくんなせえやし。』などと言う。
『す』が訛ったもの。以下の2つは辞書または学説による見解の違いによるものと思われ、実質は同じものと考えられる。
広辞苑に『:【終助詞】現代語の「さ」に当る。浮世風呂四「自然とおとなしくなるからじやまにもならねへす」』とある。
ここ数年流行った若者言葉でもある。『〜しぇ』に近い発音、テレビコマーシャルでも話題になった。茨城弁には昔からあった表現。東北では敬語表現等に変わりながらも今でも現役で使われている。代表的なのは『〜だす』
現代で何気なく使っている語の『さ』は『すわ』が転じたと考えられる。
これを考えていくと、現代語の『です』は、現代語を起点にすれば『だ+さ』の意味と考えるのが最もわかりやすい。
〜し:青森・山形。
〜し:山梨。『寝てろし、起きろし、貸せし』。
〜しぇー:青森。かぜあふかねあーしぇー:風は吹かない。
〜たなしは:〜(し)たよ:山形。えってきたなしは:行って来たよ。
ごめんなせえやし:時代劇で良く耳にする言葉。
んだっ:そうだろうよ。
◎〜し 【助】〜か、〜ね 大辞林に『:【間投助】〔近世江戸語〕文末(まれに文中)にあって、軽い確認の気持ちを表す。「かういい心持ちに酔つたところを湯へ入つて醒すは惜しいもんだ―/滑稽本・浮世風呂 4」「はて湯のふりで稽古に行つて―、銅壺の湯で手拭をしめして帰(けえ)る人のやうにやあいくめえ―/滑稽本・素人狂言紋切形」』とある。
現代標準語では、接続助詞として使われるが、余韻のある文末形としてもしばしば使われる。
〜し:神奈川。あんべーし:あるだろうか・あるだろうね。
〜がし:ですか・ですね:福島。目上に言う。そーがし:そうですか。
〜かし:ですか・ですね:福島。目上に言う。
なんだし:何だね:山形。
そーだねし:そうだね。
そーだっ:そうだろうね。
そったごごどもあんめーしな:そんなこともあるまいしね。
〜じ 【助】〜で 格助詞。
『じぇ』の直音化。=『でぃ』
ほんじはだいだ:それでは駄目だ。
そんじねー:それではない。
なんじだっ:何でだろう。
〜し〜 【助】強調の助詞 間投助詞。
いまし
〜し 【接尾】〜の人々、〜達 『衆』。江戸では『しゅ』と言い辞書にある言葉。
〜し:神奈川・山梨。
〜し 【接尾】方向を示す接尾語 もともとは風を指すものだったと考えられる。『あっちし、こっちし』などと言う。類似の言い方に『〜し、〜かし』がある。『そっちし、そっちかし』などと言う。清音形は神奈川で見も使われる。
〜しか:〜のほうが、〜が一番:奈良・和歌山。『か』は係助詞と考えられ、『〜こそ』の意味であろう。ただし『ふるさと』には『〜しか:(〜のほうが;〜が一番)《「〜ほかない」「〜しかない」(限定)の対応から類推して「〜ほか(〜ほうが)えー」に「〜しかえー」(比較)を当てた》』と言う解釈もある。
『「何しかしたって、もーお前よ、向こ先近うなってきたのら(ねえ)」〈十津川村〉【奈良】。「カニやったらこっちしか(こっちの方が)えーわ。よー、近所よりこっちしか安いんやでー。おとーさんタイしか(タイが一番)好きなんかなー」〈和歌山市〉【和歌山】』とある。
〜しこら:〜だけ:長崎。
しあさっで
しーあさっで
しーあさって
@3日後(明明後日)、A4日後(明明明後日) 3日後と4日後は東京では、『しあさって・やのあさって』、西日本では『しあさって・ごあさって』、東京以外の東日本が『やのあさって・しあさって』という。東日本の中で東京の3日後が西日本と同じなのは、商業交易の関係で西日本に合わせたものと推測される。西日本の『ごあさって』は、『しあさって』の『し』を『四』と理解し、当日を一日目として『ご(五)あさって』としているようである。
三日後と四日後が東西で異なるのは、明日を一日後と数えるか二日後と数えるかの違いによると考えられる。東京は、江戸時代に
関西との交流により関西の影響を深めたと思われる。
区分 3日後(明明後日) 4日後(明明明後日)
東京(広辞苑) しあさって やのあさって、やなあさって
東日本* やのあさって、やなあさって しあさって
西日本 しあさって ごあさって(五明後日)
茨城** やなあさって、やなさて、やなあさて、やのあさって しあさって、しやさって、さーあさって、さーさって、さーさて、しうあさって、しなさって、こらさって
土浦*** しあさっで・しやさって(やなあさっで、やのあさっで) さーさあさっで、さーしあさっで、しーしあさっで、(しあさっで)
八丈島 さんなさって しあさって
広辞苑 しあさって・やのあさて・やのあさって・やなあさって
 *東京を除く。茨城県の他地域を含む。
 ***:清音形もある。
広辞苑を調べると驚くべき事実が解った。実は3日後は、『しあさって・やのあさって・やなあさって(弥の明後日)』であって、土浦方式が正しかったのである。その当時の土浦は由緒ある古い言葉を受け継いでいたことになる。
『あさって』(二日後)の語源は『あさて』が変化したもので『@アスサリテ(明日去)後の意味。Aアスタチ(明日立)の義。タチの約チがテと転じたもの。』とある。
『しあさって』(三日後)の語源は、@しきあさって(重明後日)、Aすぎあさって(過あさって)、Bさあさての訛音、の三説が有力である。しかし、数えの感覚から三日後を四日後とした可能性も有る。関西で四日後を『ごあさって』と言うのに似ている
『やなあさって・やのあさって』(東京では四日後)の語源は、『語源辞典』では避けられている。
『俚言』には『あさって:「倭訓栞」あさって:明後日をいふ。あす去て後の日といふ義也といへり。されど西土には翌日を明日といひ、其次を後日といふ也。大後日も同し。此の明後日を俗に明々後日といひささってともいへり。もとしあさってと呼り。今日より第四日にあたる故也。シア反サなるをもて、ささってともいふあり。全漸兵制には、後日をあさって、大後日をしあさってと称す。「愚案」シアサッテのシはスギの約りにて過後日の義なるべし。大字も太と通して大過の義なれば大後日即すきあさて也。』とある。さらに『さざって:明明後日をささってと云。しあさっての略也。』『しあさって:明明後日を云はスギの約りにて過後日の義なるべし。』『しあさって:「和訓栞」云今日より第四日にあたる也。志あ反なさるをもてささってともいふあり。』とある。
八丈島では明明明後日を『ごさって』、明明明明後日、すなわち五日後を『ごあさって』と言う場合がある。
ここで、語源説の『さあさてが、しあさってになった。』説は、『俚言』にある『ささって、もとしあさって』は矛盾する。
これらの『さ』は現代語の感覚では『再』と思われるが、これとて当て字の可能性は拭い去れない。
『俚言』を正とするならば、『さーさあさって・さーしあさって』は、『ささあさて』『新(更:さら)しあさって』の可能性があるだろう。さらに漢字から『新(しん)しあさって』となり『しーしあさって』と訛ったとも考えられる。
茨城方言は自由度が高い言葉である。そのため茨城県下どころか土浦市内でもここでの定義がくまなく通じるわけではないが、当時の土浦では、『ひーひーひーあさって』『しーしーしーあさって』(5日後)と言う人がいた。これも語源の流れを考えればあってもおかしくない言い方であるが、あまり数が増えるとミスコミュニケーションのもとになるためか、廃れてしまった。
『新方言』には『シシアサッテ 「やのあさって」;「しあさって」の次の日,あさっての次の次の日;首都圏の一部の若者のごく最近の言い方;「し」を二つ重ねてもっとあとの日を指したわけ;土屋私信で気づいた(真田1996に再録);中学生の通信調査によると,西日本各地に使用者がいる(井上未刊)』とある。
その後、教育の徹底によって30年代後半あたりから、東京方式に切り替わって行く。私は幼年時代、混乱した言葉の環境の中で、指折り数えて、『あしただっー。そんでそのつぁーあしたあさっでだっー。そんつぁーひーあさっででー、そんつぁーひーひーあさってだっなー。』と言った記憶がある。
面白いのは、県北の旧那珂郡で4日後を『こらさって』と言うことである。これは、港町のために関西方言の『ごあさって』が入って訛ったと考えられる。
『言語地図』によると3日後を示す『やなさて・やなあさって』は茨城県内では全域で使われ、『やなさて』は東北・新潟に分布する。『やのあさって』は県南部に限定される。『やなあさて』は県北部限定の言葉。4日後を示す『しあさって』はほぼ全域に分布し、『さーさって・さーあさって・さーさて』は県北部に偏る。『さーさって・ささって』は特に福島に多い。県西部の一部に『しうあさって・しなさって』がある。
八丈島では、三日後(明明後日)を『さんなさって・しさって』、四日後(明明明後日)を『しあさって』、五日後(明明明明後日)を『ごあさって』と言う。極めて明快である。栃木の一部でも五日後を『ごあさって』と言う。
これを見ると、現代のこの言葉に対する対立は、数えなのか、満なのかによるのかもしれない。どうやら、数えの文化は、関西がその起源を遅くまで残し、満の文化はいちはやく東の文化が先取した可能性がある。
@3日後(明明後日):しあさって。
さんなさって:八丈島。
しあさって:東京。
さって:八丈島・静岡。
ひあさって:神奈川。
さって:神奈川。
やなあさって:東北・埼玉・群馬・千葉・・神奈川・長野。
やぬあさって:千葉。
やねあさって・やねんあさって:神奈川。
やのあさって:宮城・神奈川。
A4日後(明明明後日):やのあさって。
ごあさって:関西。
さって:静岡。
さーさって・ささって:福島。
しあさって:八丈島・佐渡島。
すあさって:佐渡島。
しらさって・すいあさって・すえあさって:神奈川。
B5日後(明明明明後日)。
ごあさって:栃木・八丈島。
しあーせ @幸せ、A廻り合せ、運、B行為をあわせること 現代語の『幸せ』は不思議な言葉である。
本来は『仕合せ』(@めぐりあわせ。機会。天運。仮、伊曾保「こは―わろきことかな」。「ありがたき―」Aなりゆき。始末。一代男四「その科のがれず、つひには捕へられて、この―」)である。
後に『B(「幸せ」とも書く) 幸福。好運。さいわい。また、運が向くこと。狂、末広がり「―というて、身についた―ではおりない」。「―な結婚」』に変化する。
この言葉が生まれた背景は、何もしないより、事前に様々な画策や戦略により『仕し合わせる』意図が伺える。
別に、『共に行うこと』が『仕合せ』とも考えられる。ここから先は宗教になってしまう。
@幸せ。
A★しあーせわるい:運が悪い。
『仕合せる』とは、一緒に行う意味である。
B相互に行うこと。『仕合わせ』。試合を『試合わせ』と言うのと同じ。
しあます 【動】@物事をなしとげないで残す。し残す。Aもてあます。 『為余す』。
A・ししゃます:山形。ししゃました:てこずった:宮城。
ししゃます:困ったこと・あきれたこと:宮城。
しゃます:宮城。
しゃーますする:山形。
ひしゃます:宮城。
ひしゃますする:山形。
じあめ 本降りの長雨 『地雨』。辞書には『きまった強さで降りつづく雨』とある。にわか雨の対語。
しあんする 【動】思案する、考える、心配する 標準口語の世界からは消えつつある。当時は、『考える』を思案すると言った。
しあんぼー けちんぼう 『吝ん坊』(しわんぼう)の転。
しえーや:神奈川。
しあんもぢ 12月1日につく餅 『思案餅』。12月1日に餅をつき、奉公人が餅を食べながら来年また奉公するか考え、12月8日に主人に伝えたという。12月8日につくところもある。
じーい 獣医
しーいぎ 収益
じーいぢ 【数】11月
(しいげ・しつげ) 尻繋・鞦(しりがき・しりがい) 鹿児島。
じいわい 地鎮祭 『地祝い』の意味。
じーいん
じーえん
【数】十円
じーいんべー
じーえんべー
ベエゴマの区分の1種、当時のベエゴマの多くはは一個5円で、大型のものは10円したことに由来する。
しうあさって 四日後、やのあさって
(じぇー) 【形】良い 福島。
不思議ではあるがヨーロッパでもi音とj音は交代する。
〜じぇ 【助】〜で 〜じぇ:山形。そんじぇあかえちゃだ:それでは裏返しだ。
そんじぇ:それで。
〜しぇ
〜しぇー
【助】@〜しゃい、〜なさい、〜せえ、A〜してしまえ、〜しちゃえ 広辞苑には『助動詞「しゃる」の命令形「しゃれ」「しゃい」に、次に「せえ」に、さらに「し」と転化したもの。四段活用の動詞の未然形に促音「つ」の伴った形に接続する。「しゃる」の表した尊敬の意はなくなり、ほぼ対等の相手への命令を表す。』とある。
@尊敬の意味が残る。=『〜せー』
〜しぇ:福島。
〜しぇー:神奈川・山梨。
いかっしぇー:行きなさい:神奈川。
よまっしぇ:読みなさい:福島。
A単なる命令形。
おやっしぇーよ:終わらせなよ。
やっしぇーよ:やっちゃえよ。
やっしーよ:遣りなさいよ。
おっころっしぇー:殺してしまえ。
いってきしぇー・いっちきっしぇー:行って来ちゃいなさい。
しぇーき 世紀 『集覧:無記載』。
じぇじぇこ 銭、お金 当時の高齢者の言葉。
しぇーでる 【複】知れてる しぇーだもんだ:知れたもんだ。
じぇに
じぇね
銭、お金 『集覧:無記載』。当時の高齢者の言葉。
じぇに:山形・福島・千葉・山梨。
じぇね:青森・山形・八丈島。
〜じぇは 【複】〜では 現代語の『じゃあ』の古形とも考えられる。
〜じぇあ:山形。
(しえーや) けちな人 神奈川。『吝い(しわい)や』の意味。
(しぇーわく) 背負子 静岡。『背負い枠』の意味と見られる。
じーえん 【数】十円
(〜しぇん) 【数】〜銭 静岡。
じぇんこ 銭、お金 当時の高齢者の言葉。
じぇんこ:青森・秋田。
しぇんしぇー
しぇんしぇえ
先生 『集覧:無記載』。当時の高齢者の言葉。このような拗音化は東北と九州の一部に見られる。
しぇんしぇ:宮城。
しぇんしぇー:青森・静岡・鳥取・沖縄。
しんし:宮城。
じぇんしぇー 全盛 『集覧:無記載』。
しおあい
しおえー
物事のほどあい。ころあい。 『潮合』。
しおいり
しおいりやだ
湖に接した田 広辞苑に『潮入:池・沼・川などに海水が流れこむこと。また、その流れこんだ所。』とある。かつて霞ヶ浦は太平洋とつながっていた時代の名残と考えられる。
しお しわがれ声、しゃがれ声 『しわがれ』→『しゃがれ』は標準語の中の訛。
しお 【動】@しょげる、意気消沈する、A萎れる
◎しおし 野菜の塩漬け 『塩押・塩圧』。
しおし:神奈川。
しおっかれー 【形】塩辛い しおっかれー:群馬。
ししっからい:静岡。
しおったれる 【動】元気が無くなる、しおれる 『潮垂れる』の促音化。俗語。
しおたれる:東京。
しおったれる:神奈川。
△▽しおとうじ 海水浴 『潮湯治』。広辞苑には『病気治療のため、海水に浴すること。また、海水浴。しおゆあみ。』とある。
しおどす 【動】うっかりしないでしまう 『為落す』。
しおびぎ
しお
塩鮭、新巻鮭 『塩引き』。
茨城県生まれの詩人横瀬夜雨の小品『田舎の新春』の冒頭付近に次のようなくだりがある。
百姓の御馳走といつても、野菜料理に數の子鹽鮭位である。師走の暮れには鹽鮭を藁つとにして親類や知己に贈る。その時鮭の尻尾のところに屹度藁草履のかはりに銀貨や白銅のおひねりをつけたりもする。この鹽鮭が大抵御正月の御馳走になるのだ。』。
『田舎の新春』が発表されたのは昭和9年でさすがに昭和30年代には藁つとの塩鮭ではなく鮭の絵が印刷された細長い箱に入っていたが暮れに塩鮭を送る慣習そのものは昭和9年頃と同じで、いただいたものは真っ黒に煤けた土間の梁に吊るした。そのため鮭の本数がその家の付き合いの情況を来客者に暗に知らしめることになる。
広辞苑に『新巻鮭:甘塩の鮭(サケ)をわら縄で巻いたもの。北海道の産。今は臓腑をとって塩をつめて作る。近世以後、歳暮の贈答品に用いる。』とあるように冷蔵庫の無い当時の塩鮭は、塩をきれいに取り去って焼いても、塩が白く噴出すほどの塩分量だった。新巻鮭とは別に、前びれの周辺だけを小さく切り取った粗の塩鮭が売られていた。それを焼いたものは、この上なく美味しく、たった一切れでも、山盛りのご飯を2〜3杯食べることが出来た。
しおびぎ:山形。
しおびき:宮城・福島。
ししょびぎ:山形。
すおびぎ:宮城。
しおらがす 【動】萎れさせる しおれかす:神奈川。
じか
じが
狂気者、短気者 『集覧:久・多』。
(しかー) 臆病 沖縄。

@つらら、A田んぼにはった薄氷 『しとは今の茨城県下では県北の久慈川の水の一部が凍って流れる現象を指す。土浦地域でも田んぼや水溜りに張った薄氷を『しと呼び、その氷を割って作業することを『しかぎ』と言っていた記憶があるが、地元ではすっかり死語になってしまったようである。
一般に関東北部から東北にかけて凍ったものに関わる方言として『し『すがある。ツララを指す地方もある。『す『すもり・すもれ』に代表されるように、屋根に積もった雪が建物の室内の熱で溶けて、雨漏りと同じ現象になる方言であり、これは建築学の中では特別な専門用語になっている。雪国ではこの『すもり』を防ぐため早い時期から高断熱化が進んでいる。雪止めを作るか否かは厳密には屋根の構造荷重をどうみるかにも関係するのだが、雪の落下による事故に配慮して、特に公共建築では雪は屋根にためるのが原則である。岩手では霜柱を『すばしら』と言う。
明治時代の茨城方言を集めた茨城方言集覧では旧久慈郡・多賀郡の方言で『氷柱』としている。
本題にもどって、『し・すとは何か。標準語圏に近い茨城県北地区の『しが重要だ。氷の固まりは古くは『ひ』と発音されたという。東京都西部の『氷川』は『ひかわ』と呼ぶのがそれだ。横浜にある客船『氷川丸』は知らない人はいない。『凍みる』意味も加えて『し』は凍ったものの意味と考えてよいと思う。ただし『下がる』意味の可能性も捨てきれない。
そうすると鼻濁音の『が』は何だろう。青森から北海道にかけての代表的方言に『しばれる』(凍るほど寒い意味。)、しもやけを『しもばれる』と言うように、『氷腫れる』意味だろう。そこで、@動詞の語幹の一部だったのではないかという考え方や、A凍った川の意味の『氷河』、B『氷』に所属・所有を表す格助詞『が』(〜の、〜のもの)がついた、すなわち『氷のもの』が考えられるが、恐らくBあたりが最も可能性が高いと思われる。
『称呼』では、『つらら(たるひ):越後:かなこり、奥の津軽:、奥の南部:だへう(だひょう:堕氷)、仙臺(仙台):たるひ、会津・信州:ほ(を)り、西国及近江邊:ほだれ、下総:とろろう、下野(栃木):ぼう 伊勢白子:かな、出羽最上:ぼんだら』とある。
『俚言』には『(氷):つらら。』が紹介され、『称呼』の一部が書かれている。何と江戸では氷やツララを『す』と呼んでいたのである。
@・:北海道・東北全県・茨城。
んぼー:群馬。
A・:山形・新潟。
Bその他。
:氷:青森・岩手・秋田・山形・福井。
:霜柱:新潟。
っこ:氷:秋田。
ばしら:霜柱:宮城。『氷の柱』の意味。
:氷:青森。
しかま:氷:青森。
:氷:秋田・山形・岩手。
:氷:秋田。
(しか) 鹿児島。
(〜しか) 【助】〜だけ 〜しこら:〜だけ:長崎。
(しかい) 【副】次第に 静岡。
『次第』には『由来。経過。なりゆき。いきさつ。』の意味があり、関西の『さかい』にニュアンスが近いのではないかと思われる。
しーかいじょ 集会所
ねー 【複】遣り甲斐が無い しぇーなー:兵庫。
しかいる
しかえる
【動】手を加える、遣りかえる 茨城方言集覧では旧真壁郡の方言で『小修する』意味とある。『仕替える』(あらためてする・しなおす)の意味の変化。
しかうぎ
しかおぎ
鹿や雉(キジ)を誘い寄せる笛。おぎい。鹿笛。(広辞苑) 東北方言の『おき』の流れ。
じがぎむし
じーかぎむし
ミズスマシ 『字書き虫』の意味。水戸市・結城郡・真壁郡・筑波郡・下館市・稲敷郡の方言。
じかきむし:福島・新潟・富山・和歌山・香川・愛媛・長崎。
(しく) 才覚、工夫 『仕覚』。近世語。
:東京。
しーかぐ 収穫
しかぐな
しかくな
しかぐの
しかくの
【形】四角い 『四角』を形容動詞として用いているものでいずれも古い標準語と考えられる。茨城弁では濁音化することが多い。
しかげ
しかけ
格好、身なり、様子 『しこ』。『仕掛け』の意味のうち『装置。からくり。また、作り具合。構え。』の意味が僅かに変化したもの。
そったしかげしていぐもんだあんめ:そんな格好をして行くものじゃないよ。
★『土』:かうだ婆等(ばばあら)だってさうだに荷厄介(にやっけえ)にしねえでくろよ、こんで俺(お)ら家(ぢ)ぢゃまあだ俺(お)れなくっちや闇(くらやみ)だよおめえ、嫁(よめ)あの仕掛(しかけ)だもの
しかげ 仕掛け、遣り方、段取り 濁音化。『仕掛け』。
しかげる 【動】用意する、据える 『仕掛ける』。
すかげる:宮城。
しかげわりー 【形】仕掛けが悪い、準備が悪い、段取りが悪い
(シカゴとチカゴ) シカゴとは広辞苑に、『アメリカ中部、イリノイ州北東部の都市。ミシガン湖の南西岸に臨む。世界最大の穀物・家畜市場、一八九○年創立のシカゴ大学などがある。人口三○○万九千(1986)』とある。英語表記は『Chicago』である。
ところで、『Chicago』の辞書での発音は英語の発音文字がソフトに無いためここでは表現できないが、便宜的に日本語表現をすれば、『しーかーごー』となる。このように言えば間違いなくアメリカ人に通じるはずである。ここで、日本語のガ行音は、単語中で多く鼻濁音で発音される理由は不明である。
 日本では『シカゴ』と表記されるが、『シ』は無声音で『ゴ』は鼻濁音が標準語の発音である。茨城方言では『しがと言うのが標準である。この場合の『し』は有声音でないと次の『カ』は濁音化しない。
さて、当のアメリカでも『シーカーゴウ』と『チーカーゴウ』と言う二派がある。
2009年10月2日の2016年のオリンピックをを焦点にしたアメリカのプレゼンテーションで、オバマ大統領の発音は『チーカーゴウ』であった。

しぇ
:青森・東京・神奈川。
しがし
しがーし
しっがし
【接】しかし 最初の『し』は有母音で発音される。
◎しかしか 【副】しっかりと。はっきりと。 『確確』。古い言葉。
しかしか:神奈川・静岡。
しかじか:神奈川。
(しかしか) 【副】たびたび、しばしば 神奈川。
(しかしか) ところどころ。あちこち。ここかしこ。 静岡。
しーかじょ
しーかじょ
集荷場
(しがせん) 【複】しません 静岡。
『が』が鼻濁音なら単に『しません』が訛ったと考えられるが、濁音なら、丁寧の助動詞『がんす』が訛った『がす』の複合語である。静岡には『がんす』『がす』が双方あるので、ほぼ『がす』の複合語だろう。
じがた
じかだ
じかた
しかたけ シロシメジ
しかだながっ
しかたなかっ
【複】仕方が無いだろう
しかだなぐ
しかだねぐ
【複】仕方なく しかたんの:鹿児島。
しかだねー 【形】仕方が無い、申し訳無い
じがだもぢ
じかたもぢ
じかたもち
@癇癪持ち、A痔病のある人 『集覧:無記載』。
@『地方』とは、『江戸時代に、「町方」に対して農村の地をさし、転じて田制の意となり、更に広義に土地および租税制度をいい、次いで両制度に関する政務一般すなわち農政をいうに至った。(広辞苑)』とあり、農政をつかさどる役人が直ぐに怒ることから『地方持ち』と呼んだのではないかと推測される。
また、広辞苑には『地肩:生来持っている肩の力。球を投げる力などにいう。』とある。
『国誌』には『痔肩持ち』の意味とある。
じー 10月
しかっつめ しかめっ面 『(しかつめがお)』(もったいぶった顔つき)の意味拡大か?。あるいは『然り』という『目』か?。
しかつめらしい
しかっつめらしい
【形】緊張してまじめな、形式ばっている 古い言い方。標準語(文語)。『しかつべらしい』(シカアリツベラシの約)が転じたとされる。
しかつめらしい:佐渡島。
(しない) 【形】(サガナシの転)@とるに足りない。つまらない。A貧しい。乏しい。 植木等のスーダラ節に『サラリーマンはしがない家業と来たもんだ。』とある。
ない
ねー
【複】死なない 茨城弁では『ナ行』が『ガ行』に変わることがある。 死ぬの語源は『過ぐ』とされる。
:秋田・宮城・栃木・福島・山梨・静岡。
ないぢにぢ
ないぢんち
一日中 『日がな一日』。江戸言葉。
(しかまくー) 弱虫 沖縄。
(しかますん) 【動】おどろかす 沖縄。
みづぐ 【動】しがみつく みづぐ:山形。
じーみね ばーみね 『民俗』によれば、つくば市と八郷町の境にある峠とあるので、現在の風返し峠か、湯袋峠しかない。
【動】しゃがむ
しがめる
める
【動】眉や額にしわを寄せる 『顰める』(しかめる)。
△▽ 土留め 標準語。
『柵(しがら・しがらみ)』杭を打って両面から竹や芝をからめた土留め工法。
古くからの土木建築の言葉なので、一般的な人達には、方言と思われてもしかたがない言葉。こにような言葉は少なくない。
:千葉。
:始末:山形。
:しがらを組むこと:千葉。
らーかく:土留めをする:神奈川。『かく』は『掛ける』の古形『掛く』。『しがらを掛ける』。
しからびる 【動】干からびる しからびる:神奈川。
唐臼、踏み臼 杵を足で踏むテコに組み込んだ精米用の臼。我が家では当時すでに作業場の片隅に放置されていた。
『称呼』には『からうす:江戸にて云からうすは是畿内にて云ふみうす也。江戸の田舎にて云らうす也。今略してと云。又穀する臼に農家にて云からうすすりうすの二品有。』とある。標準語にならなかった江戸言葉。
らふみ 踏み臼を使って精白する作業
しがれーる
しかれーる
【動】叱られる しかれる:神奈川・静岡。
しーがんし
しーかんし
週刊誌
(しかんだー) 【複】驚いた 沖縄。
じかんひょー 時間割表、時刻表 『時間表』。古い標準語。昭和30年代のテレビ番組の少年探偵団や怪人二十面相を知っている人には懐かしい言葉。『時間表止まれ!』。
しぎ
しき
@やり方、方法、Aありさま、事情 『式』。名詞として単独で用いる古い標準語。当時はよく用いた。さらに副詞的につかう『(これ)しき』がある。
@・しき:静岡
そーゆーしぎだらおんにもやらっかもしんね:そう言う遣り方だったら俺にも出来るかもしれない。
A・しき:まあまあ:群馬。
(しき) 本当 静岡。『至貴:この上なくとうといこと。』の意味が転じたか。
しー @結婚式、Aお祝い金 『祝儀』のなまったもの。直音化。
@・おかたよび:婚礼:山梨。
じー 遠慮 『辞宜・辞儀』(じぎ)。
しぎ 『敷き』が訛ったと考えられる。船の底を『敷き』と言う。
『俚言』には『大和国城上郡城をしきと訓るも、城は築立て底あるものなれば、云なるべし。塞をそこと訓るも底をしきともそことも訓故に塞も城も同しさまのものなるをもてよめなるべし。(中略)今かなとこと云り。とこしきそこ三言同し事也。(中略)又板をしきと云。』とある。
しき:竹籠の底:神奈川。
しき:山梨・静岡。
しき:樋の底:静岡。
じぎ
じぎに
じっき
【副】じきに、そのうち、直ぐに 『俚言』によると江戸時代には『じと濁音だったという。
じぎ:青森。
じき:東京多摩。
ずがに:青森。
ずぎ:青森。
ずげ:山形。
△▽じ
じー
@お辞儀、A辞退すること、遠慮、B挨拶 『辞宜』『辞儀』。
@・おじん::神奈川。
:神奈川。
なしに:挨拶なしに:神奈川。
A・:岩手・秋田・山形・福島・埼玉・群馬・宮崎・鹿児島。
なしに:遠慮なく:岩手・神奈川。
しぎー 敷居 しきえ:神奈川。
しけー:神奈川。
しっけ:福島。
すぎいん:宮城。
しーいん
しーえん
衆議院
(じきしらず) 時間の概念の乏しい人 神奈川。
しきじる
しきずる
【動】引き摺る 『集覧:真』。
しきせ お仕着せ、制服 標準語。
しきせ:静岡。
◎しきび しきみ、モクレン科の常緑小高木
しきびょういん
しきびょーえん
隔離病院 古い標準語の『避病院』(ひびょういん)のこと。『集覧:多』。=『ひきびょういん』。『避』を間違って『へき』と呼んだのか、『引け病因』の意味なのかは解らない。
しきふ シーツ 『敷き布』。
すぢふ:宮城。
しぎぶだ
しきぶだ
敷き板 五右衛門風呂の底の敷き板。
しぎぶどん
しぎとん
敷布団 しっふとん:鹿児島。
しきみ 敷居、門戸の内外の区画を設けるために敷く横木、蹴放(けはなし) 古い言葉。『閾(しきみ)』。
しきもの 引き出物 『引物』。
◎〜しきゃ
〜しっきゃ
【係助】〜しか 俗語。促音化して『〜っきゃ』とも言う。
〜しきゃ:東京・静岡。
〜しきゃー:静岡。
(しやき) 茄子(ナス)に油を塗って火であぶり、または油でいため、味付味噌をつけた料理。茄子田楽(デンガク)。 『鴫焼』。
やき:東京。
しきゃく 死亡通知の使者 『飛脚』か。
しきゃく:神奈川。
じきゃくろ ザクロ 『集覧:無記載』。
ょー 授業 授業も事業も同じ発音。
しーきょー 宗教
ょー 土地の造成工事 『地業』。土浦では主にに盛り土を指す。
(じょうこうじ) 地業工事 標準語だが専門用語。建物本体の基礎ではなく、杭や地面の砂利の工事を指す。
ょー:群馬。
じーょーいん
じーょーえん
従業員
しーょーしぎ 終業式
しぎりど
しきりと
しぎりに
【副】頻りに しきいと:鹿児島。
しぎりびょー
しきりびょー
赤痢病 『集覧:西』。
しきれびょー:福島。
しきる 【動】遣り切る、出来る 『仕切る』。標準語の口語でも使われる言葉だが本来は『とりしきる』意味。
しーきん 集金
しーきんあづめ 集金 『集金』+『集め』。
じぐ 学習塾 当時の塾は、ソロバン、習字、オルガン、英語程度だった。
じく:群馬。
(しく) 宿 東京。『しくば』とも言う。江戸言葉。
じぐ
じく
@軸、A性根、根性 滑稽本『旧観帖』に『ずくがない:物をする根気や気力がない。』がある。
『尽』(ずく)は、現代では『力ずく』などのように接尾語でしか使われない。『〜ずくし』もある。もともとは『尽くす』『尽く』(@つきるようにする。なくする。空しくする。Aあるかぎりを出す。Bきわめる。C終るまで精一杯する。はたす。D他のもののために努力する。尽力する。E(動詞の連用形について) すっかり…する。…しきる。)のうちCDの名詞表現で現代では消えてしまった可能性がある。
@茨城ではかつて、心の根源や拠り所としての根性を『軸』と言っていた。詩的な表現でもあり哲学的でもある。
軸も尽も根源的なものを示す意味があるが、一貫した意味のその到達点の意味の『熟』も昔は同じ意味だったのかもしれない。
A・おーずく:気力がなくなること:長野。
おんずくなし:馬鹿:福島。
こずく:細々とした仕事を骨惜しみせずする気力:長野。
じぐ:茨城。
じく:茨城・山梨。
じく:力・器用:鹿児島。
じくたれもん:怠け者:島根。
じぐなし:意気地なし:青森。
じくなし:臆病者・意気地なし:青森・秋田・岩手・群馬・埼玉・神奈川。
じくなし:だらしの無い者・無精者・怠け者:神奈川・山梨・大分。
じくぬけ:意気地なし:神奈川。
じち:山梨・静岡。じくじきじちと変化したか。 じちなし:だらしがない:静岡。
ずぐ:青森・秋田。
ずく:やる気・根気・元気・まめさ:長野・山梨。
ずく:長野・山梨。
ずくない:取り得が無い:山形。
ずくーこかす:やる気がなくさぼっている:山梨。
ずくだれ:意気地なし:福島。
ずくたれ:意気地なし:岩手・岐阜。
すくたれ:見っとも無い様:佐賀。
ずくなし:役立たず・怠け者・無精者:山形・長野・静岡・岐阜。
ずくなし:意気地なし:青森・岩手・秋田・山形・福島・佐渡・新潟・石川・福井・長野・山梨・大分・佐賀・長崎・熊本。
ずくなし:不器用者:山形・新潟。
ずくなし:怠け者:長野・静岡・岐阜。
ずくなし:無精者:長野・静岡。
ずぐね:意気地なし:青森・秋田。
ずくーやむ:やる気がなくさぼっている:山梨。
ずなし:怠け者:宮崎。
ずんだれ:無気力者:鹿児島。
ずなし:怠け者:宮崎。
ずんだれ:無気力者:鹿児島。
じぐねー:根性が無い。
じぐってる:性根が曲がっている。
Bその他。
じく:茎:神奈川。
◆▲ 【動】死ぬ 『集覧:久・水』。
かなり早い時期に使われなくなった言葉。土浦地域では、私の記憶では昭和30年代でもほんの一部の人達が使った言葉だったと記憶している。
『しは茨城方言研究者が最も重視する茨城方言であるという。『死ぬ』は標準語の口語ではでナ行五段活用の唯一の言葉である。文語ではナ行変格活用になる。
『しは『死ぬ』が転じたとするのと同じように『い(行く)は『往ぬ・去ぬ』ではないかという仮説が成り立つ。
ところが、『過ぐ・過ぎる』には、『死ぬ』の意味があり、万葉集一には『ま草刈る荒野にはあれど黄葉のすぎにし君が形見とそ来し』がある。これらから、『しの語源は『過ぐ』『過ぎる』であると考えられる。
うっち:山梨。
うっちぬ:埼玉・神奈川。
おっちぬ:埼玉・東京武蔵村山・神奈川。
:秋田・宮城・栃木・福島・山梨・静岡。ガ行五段活用で変化する。『ぐ』が鼻濁音かどうかは正確には確認できていないが、鼻濁音が無い地域は除いている。
:死ね:静岡。
しにゅり:奄美大島。
しむ:神奈川・静岡。
:秋田・新潟。万葉集にもある言葉。
:宮城。古語『過ぐ』。
すんだ:死んだ:青森。
:壱岐。
そおたごどしたらし:そんなことしたら死ぬよ。
〜じぐ
〜じゅぐ
【接尾】ただそれだけの目的で、ただその手段だけで、それにものをいわせて 『尽く(ずぐ)』(類)力ずく(力づく)。納得ずく(納得づく)。
じーく @おもく堪えがたい苦しみ、A十九、B生意気 @『重苦』。
B『重句』の意味か?。猿島郡の方言。
じゅーく:口答え:文句:群馬・埼玉。
じぐねー 【形】@役に立たない、A根性が無い 『軸が無い』(支えるものが無い)意味で使った。実際は、古い標準語『ずくなし(尽く(ずく)が無い):役に立たない者。怠け者。不精者。』が転じたと思われ、長野弁の『ずく』と一致する。
A『尽(ずく)』とは『名詞に添えて「ある限りを尽す」「それ次第」「その結果」「相互関係にある」の意を表す。』(広辞苑)とあり、語法は異なるものの、意味は理解できる。
じくなし:臆病者:秋田・岩手・群馬・埼玉。
じちなし:意気地なし:静岡。
じちもない:締りが無い:静岡。
じつなし:怠け者:神奈川。『術無し』と混同している。
ずぐなす:宮城。
どじくなし:意気地なし:青森・秋田。
しくくめ キサゴ
しくさる 【動】しやがる 主に関西の方言とされる。
しくさる 【動】@すがる、A組打する 集覧では、旧久慈郡では『縋る(すがる)』、旧北相馬では『組打する』(取っ組み合いのけんかをする)とある。旧久慈郡では、さらに『すさる』(縋る)がある。
この場合の『くさる』は『鏈る』(つながりあう。つなぎ合せる。つづり合せる。)意味だろう。
じぐじぐ 【副】@痛む様、ずきずき、A湿気る様、じゅくじゅく A・じぐじぐ:千葉。
じぐじゃれ 甘えん坊 『尽(ずく)じゃれ』の意味か。
じくだれ:意気地の無い人:神奈川。
じぐじゃれる
じくじゃれる
【動】@甘える、A▲悪ふざけする 『集覧:無記載』。『尽(ずく)じゃれる』意味か。
@・じゅぐじゃれる:岩手。
Bその他。
じくだれ:意気地の無い人:神奈川。
じーくする 【動】差出がましく言う、でしゃばる 『集覧:猿』。『重句』の意味か?。
しくだい
しくでー
宿題 『宿』は『しく』とも読む。
しくだい:群馬。
(しぐだまる) 【動】かがむ 宮城。
(じち) 語呂合わせ 広辞苑に『じぐち【地口】:俚諺(リゲン)・俗語などに同音または声音の似通った別の語をあてて、ちがった意味を表す洒落(シヤレ)。例えば、「着た切り雀」(舌切り雀)、「年の若いのに白髪が見える」(沖の暗いのに白帆が見える)の類。秀句(シユウク)。口合(クチアイ)。語呂合(ゴロアワセ)。』とある。
しくちょぐしづ
しくちょぐひづ
宿直室
(じくつ) 理屈 静岡。ラ行音が濁音化したような現象としてダ行音に変化する事例は全国に散在し、この場合は『ぢくつ』が正しいかもしれない。
しくでー 宿題 しくでー:埼玉。
(じくどー) 無精者、横着者、怠け者 東京多摩・神奈川。
『じく』は『ずくなし(尽く(ずく)が無い):役に立たない者。怠け者。不精者。』の『尽く(ずく)』で『軸』にも通ずる。
じくどー:未熟者・いくじなし・役立たず:静岡。
じくどーまくり:無精者:神奈川。
じくどーまくれー:無精者:神奈川。
じくどーもの:怠け者:神奈川。
じくなし:無精者・意気地なし:神奈川。
じくぬけ:意気地なし:神奈川。
じくまくれ:無精者。
しびとい・じびとい:無精な:神奈川。
どーほねやすみ:怠け者:福島。
じーくにぢ 十九日
◆▲じぐねる
▽じくねる
【動】ぐずる、すねる 近世語。『集覧:北・水』。
広辞林に『じくねる:(仮名遣はヂクネルとも) 「拗(ス)ねる」の俗語。執念深く我を張る。ひねくれる。すねる。』とある。『地くねる・自くねる』意味か。
じぐねる:福島。
じくねる:悪ふざけする・ふざける:福島。
じくねる:はにかむ:神奈川。
じごねる:岩手。
じょくねる:はにかむ・照れ隠しにおどける・ふざける:神奈川。
じーくや 十九夜講 月待ち講のひとつで、毎月当番の家に女達が集まり、円座を組んで長い数珠をぐるりと回しながら念仏を唱えた。終わると歓談の時間が持たれ、女たちの憩いの場になっていた。子安信仰が主だったらしいが、念仏信仰と一緒になっていたようである。記憶では、その後男達も集まって部落の報告会等の後大宴会になり、いつもの民謡合戦が執り行われた。『ちゃんちきおけさ』になると普段は禁忌である茶碗叩きが堂々と行なわれた。30年代には、子供の私はなにかというと酔っ払い集団の中に呼ばれて、『ひゃっんがいし』を聞かされたが、大人たちばかりが楽しかったばかりではなく普段口にできない刺身のおこぼれにあずかれるので、『じーくや』の晩は楽しみだった。
土浦には『じーくたぢまぢ、はづがよいやみ』(十九忽ち、二十日宵闇)と言う慣用句がある。
月待ち講は、ほかに二十三日講、観音講がある。
茨城方言では、イ段音が口蓋化していないために、イ段音に『y』音が含まれず英語の『i』音に近い。『じゅ』はローマ字で書けば『jyu』であり、『y』音が無いと成立しない。
そのために標準語に慣れた人が人が聞くと『じーくや』に聞こえてしまうし、それ以外に表現する手段が無いのであるが、当の茨城県人は『じゅーくや』と発音しているのである。
(しくる) 【動】しくじる 神奈川。
るま 重い荷物を運ぶ4輪の台車 今では山車の台車として残っており、山車そのものも指す。
じぐるむ
じくるむ
【動】熟する 『集覧:真』。

れあめ
@雷、A夕立 本来の『時雨』の意味とは異なる。
『時雨』の語源は『@シバシクラキの義、Aシバシクラシの義、Bシハクラの義、Cシキリクレ、Dシゲククラムの義、』とあり、俄かに暗くなるのは雷も夕立を指しても不思議ではない。
:千葉。
:みぞれ:静岡。

しくれ
しーくれ
夕方、日暮れ 『ひ』と『し』の混同。清音化、長音化。江戸言葉。

しくれ
れいわい
れゆわい
田植えの終わりの祝い 『集覧:稲』。
文語の動詞『為(す)』の連用形『し』に『暮れる』がついて名詞化したと考えられる。
:千葉。
れころ
れっころ
日暮れ頃、、夕暮れ時、夕方頃
れま 日暮れ、夕暮れ 『ひれやまれ』。この『目暗れ(まぐれ)』は、暗くなってあたりが良く見えなくなった様子を指す。『夕間暮れ』と同じ意味。
しーくれる
れる
【動】日が暮れる 《しーくれっとくらぐなっから、しーくれっとさーびすいんだいな?!!。》
じーくんち 十九日
江戸言葉。
シギ 『鷸』。『集覧:北』。
:静岡。
しけ 雨が降ること、雨が降ってじめじめすること 標準語の『時化』とは異なる。どうやら、『時化』とは、漁師言葉らしい。
この場合『湿気る』の名詞形と考えられる。
しけ:梅雨:千葉。 
(しけ) びり、最後、末席 『方言学概論』に『しけ(びり):青森・岩手・秋田・宮城・茨城・栃木。しっけ・すけ・すけこ・すけっぽ・すけんぼ・すっけんぼ・すけのこびとも。しりけつの訛かと思ふ。』とある。
しけ:末席・最後:青森・秋田。
しっけ
すけ:岩手。
すけこ
すけっ
すけんぼ
すっけんぼ
すけのこび
〜しげ
〜しけ
【複】@〜(だ)って、〜らしい、〜だそうだ、A〜(した)ところ、〜(した)ら @『〜って』に当たる、=『すけ・ちけ』。〜てえかい・〜てかい(関東方言)→〜てがい〜てげー・〜てけー〜てげ・〜てけ〜ちげ・〜ちけ〜しけ・〜しげと変化したと考えられと解り易い。ただし『〜てえかい・〜てかい』は、質問・反問を示すので、若干意味が異なる。千葉県・福島県でも使われているという。しかし、考えてみると不思議な言葉である。『ち』が『し』に変化することは、茨城方言では他に例が無いからである。『け』は標準語にもあり、『けり』が変化した過去を表す古語の『き』の流れ。思い出したり、相手の関心に訴えたりする気持を表す助詞である。それでは『し』とは一体何かということになる。
関西方言の『さかい』に通ずる。岩手・新潟では『すかい』、さらに新潟では『すか』とも言う。『し』は中世からある終助詞『す』の変化したもので、現代語の『さ』に当たる『け』は過去を表す古語の『き』の流れと考えられる。
〜しけが・〜しげが?:〜だって?。
〜しけがら:〜だそうだから。
〜しけど:〜だそうだよ。
〜しけな:〜だそうだね。
〜しけよ:〜だそうだよ。
そーたごとやってっとせんせにゆーしけがんな:そんなことを遣ってると先生に言うそうだからね。
助詞『し』及び類似の『す』他について『〜しけ』の用法に見合い、伝聞の意味に近い助詞を以下に列挙する。
(1)『し』:大辞林に『〔過去回想の助動詞「き」の連体形。「若かりし時」など現代語では慣用的な言い方としてのみ用いられる〕』とある。
(2)『す』:広辞苑に【終助詞】現代語の「さ」に当る。浮世風呂四「自然とおとなしくなるからじやまにもならねへ―」』とある。
(3)『す』大辞林に『【間投助】〔近世江戸語〕文末(まれに文中)にあって、軽い確認の気持ちを表す。「かういい心持ちに酔つたところを湯へ入つて醒すは惜しいもんだ―/滑稽本・浮世風呂 4」「はて湯のふりで稽古に行つて―、銅壺の湯で手拭をしめして帰(けえ)る人のやうにやあいくめえ―/滑稽本・素人狂言紋切形」』とある。広辞苑ではこれに該当するのは、間投助詞の『し』である。
(4)『すけ』:広辞苑に『【助詞】(越後地方で) 〜から。〜ので。(上方語の「さかい」に同じ)』とある。新潟・山形で用いられ、『さかい』が転じたとされる。
A
やったしけー:遣ったら。


しん
【形】凄い
【副】繁く 通常は『足繁く』と言う事が多い。
・しく・:神奈川。
しけごむ 【動】時化て来る
(しけじけ) 【副】つくづく 神奈川。
◆■しけち
しけっち
しけっばた
しけっ
◆■しけっ
しけっ
しけばだ
しけ
しけみ
しけめ
湿地、水はけの悪い土地 この場合の『ぽ』とは『圃』(はたけ。田園。)の意味と考えられるが、『田圃』の語源は『田面』であるとされる。
しくったれ:静岡。
しけっ:神奈川。
しけっ:神奈川。
しっけだ:湿田:神奈川。
しめっ:湿田:神奈川。
しけってる 【動】湿気ている テレビでも時々耳にする。標準語の俗語か?。
しけっ 【形】湿っぽい 『湿気っぽい』。標準語。
しけっ:宮城・福島。
しけでる 【複】湿気ている、懐が寂しい、けちである 形容詞的に使う。
ねー 【形】つまらない 『しげない』はやや古い標準語。
しけらがす 【動】湿気らせてしまう しけらかす:栃木。
△▽しける 【動】@湿気る、A長雨が続く、B懐が寂しくなる、C気持・恰好などが、何となくぱっとしないでいる @標準語。
A『湿気る』の意味が拡大して『長雨が続く』意味でも使う。ただし暴風雨のことを『時化(しけ)』と言うがルーツは同じでは無いだろうか。
しける:新潟・茨城・静岡。
なーんだがこごんとごしけんなーや:何だかこのところ長雨が続くね。
B標準語。
しける:神奈川。
C標準語。
しける:憂鬱になる:神奈川。
(しける) 【動】載せる 静岡。
茨城では『ちける』。元は荷物を『付ける』意味だったろう。
しける 【動】引ける
(しる) 【動】奢る(おごる) 静岡。
しけん ジャンケン 『手拳』『指拳』の意味と思われる。県北・県西部の方言。
しー 結婚式 『祝言』。『しー(祝儀)』の方が一般的。
しこ 【古】醜い格好、でたらめな遣り方 『醜(しこ)』は、広辞苑に『@強く頑丈なこと。頑迷なこと。A醜悪なこと。強く恐ろしいこと』の意味があり、醜悪なものをののしったり卑下する場合に使う。ほぼ、古い標準語に近い。
相撲の『四股を踏む』の『四股』は『(醜足シコアシの意かという) 相撲で、力士が土俵上でする準備運動。足を開いて構え、左右かわるがわる高く揚げて手を膝頭にそえ力を込めて地を踏む。力足(チカラアシ)。醜足』とある。また『醜名』は広辞苑に『@自分の名の謙称。A渾名(アダナ)。B(「四股名(シコナ)」は当て字) 相撲の力士の呼び名。』とあり、もともとは、『醜(しこ)』に由来する古い言葉である。
土浦では連語の『しこたれ』をよく使った。古語ではそのほか『醜女(しこめ)』(容貌のみにくい女。醜婦(シユウフ)。また、黄泉(ヨミ)にいるというごつい女の鬼。)、『醜男(しこお)』(強く、たくましい男。みにくい男。また、男をののしっていう語)、『醜草(しこぐさ)』、『醜手(しこて)』がある。
しこぶき:笹やヨシばかりで葺く屋根:神奈川。
しこ
しこー
@格好、身なり、A身支度、準備、B装置、やり方、方法 『趣向』か。
@・しこ:長野。
しこー:福島・群馬・神奈川・長野・静岡・岐阜。
しこー:風采:岐阜・福井。
A・しこー:福島・群馬・神奈川・和歌山・長崎・熊本・鹿児島。
しっこー:岩手。
しこーする:準備する。
B★しこーつかね:遣りようが無い。
Cその他。
しこ:量:鹿児島。
(〜しこ) @【助】〜だけ、A【名】倍 鹿児島。
しーこ
しーこっこ
小便 幼児言葉。標準語では『しっこ・しし・しいし』
しこー 会食 『酒肴』(酒と肴)が転じたものだろう。
(じこー) 利口 静岡。
しこい 【形】残酷な様 『醜(しこ)』の形容詞形と考えられる。稲敷郡の方言。現代語の『凄い』との関係も無視できない。
『凄い』には『@寒く冷たく骨身にこたえるように感じられる。Aぞっとするほど恐ろしい。気味が悪い。Bぞっとするほど物淋しい。荒涼として身もすくむような感じである。C形容しがたいほどすばらしい。D程度が並々でない。』の意味がある。
どうやら、凄いことを『しこい』『しい』とか言ってもおかしくないことになる。
しこい 【形】@醜い、見た目が悪い、A粗末な様、B出来が悪い、C良くない 『いしこい』。『新編常陸国誌』掲載語。『新編常陸国誌』が、『いしこい』のルーツを『醜(しこ)』にあるとした根拠になる言葉である。
ぐそば
くそば
じごぐっ
ドクダミ ドクダミは、普通小さいが肥えた土地では蕎麦並みに良く育つ。あの特有の臭いを地獄に例えたとも思われる。
くそば:福島・茨城・千葉。
ぐのかづるし
くのかつるし
スギナ つるし』は自在鉤のこと。
地獄で釜茹でにしている大鍋を吊るしているのが、スギナのようなか細い鉤吊るしであるという、シュールな例えの方言でもある。
くのかつるし:北関東・東北南部。
ぐのかまのふた
ぐのかまのふたあぎ
ぐのかまたあぎ
8月1日 『地獄の釜の蓋』『地獄の釜の蓋開き』『地獄の釜蓋開き』の意味。
8月1日(旧暦7月1日)にあの世(地獄)の釜の蓋が開き、お盆に先祖が戻って来る。戦前は、地域により行事があったそうだが、当時すでにすたれていた。
ぐばな
△▽くばな
ヒガンバナ くばな:群馬・鹿児島。
ぐぼし 老人性色素斑、地獄ぼくろ 『地獄星』の意味。茨城ではこれができると長生きすると言われた。
くぼし:群馬。
しこざま 醜い格好、悪い結果を招いた様 『醜(しこ)』+『様(ざま)』で似た意味を持った言葉の連語。=『しこたれ』
◆▲しこし
しこーし
【形動】少し 『集覧:猿』。広域にあるのは、『し』『す』が無声音のため交代したと見られる。
しこし:福島・栃木・埼玉・山梨・鹿児島。
しこしっかねー・しこーししかねー:少ししかない。
しこじゃす 【動】失敗する、やり損なう、しくじる 死語となった『為抉らす』(しこじらす)の転。
しこじる 【動】失敗する、やり損なう、しくじる
じーこじーこ
じーこじーこじーこじーこ
【副】自転車を踏む様子 じこじこ:少ししか進まない様:栃木。
しこた 【形動】沢山な様、甚だしい様 しこただねーど:半端な量じゃないぞ。
しこたな 【連体】沢山の、多くの
しこたに
しごだま
■▲しこたま
しこだも
しこたん
しこったま
【副】沢山、はなはだしく 『しこたま』は、俗語に近い響きのためか、標準語圏では最近使う人は少ない。この場合の『しこ』とは何だろう。『しこためる』(たくさん貯える。むやみに溜める。着服する。金品をごまかす。)という言葉があるように、物事の数や様がはなはだしい意味であることは間違いない。広辞苑には『しこる』の解説に『【自四】(サ変動詞「す」の連用形に「懲(コ)る」のついたもの) 間違ったことをして懲りる。しそこなう。一説に、「しこ」は醜(シコ)で、量や程度が増大するの意という。』とある。
『醜(しこ)』は、広辞苑に『強く頑丈なこと。頑迷なこと。醜悪なこと。強く恐ろしいこと』の意味があり、醜悪なものをののしったり卑下する場合に使う。
『しこ』にはもともと醜い意味がありながら、無用に多い意味だとすれば『しこにてあまたある』が訛ったとも考えられる。
静岡県西部の『しごくだま』括弧、山形の『しこぐだま』を考えると『至極にて数多』の意味とも考えられる。
『称呼』には『京にてせんどと云。相模にてたうどといふ。常陸にてだらくと云。信州上州共にもうにと云。上総にてどんどと云。遠江にてしごくだまと云。東国にてしこたまと云。仙台にてよんこと云。肥州にてよんにゃうと云。是は余饒(よにょう)ある。』とある。
『俚言』には『しこたま:多き事をしこてこと云。又醜の意なるべし。』とある。またさらに『しこでこない:遠にていと大なるものを云。しこは醜の義。でこでかともいふ。大きなる事也。重ねていへるなり。』とある。
たま・こたま:甚だしい・大きい:長野。
しこたま:岩手・福島・栃木・群馬・東京多摩・神奈川・静岡・兵庫淡路島・島根。
こっづぐだま:山形。『こしこたま』。
こっえだま:山形。『こいっぱいたま』。
こっえしたま:山形。
しこぐだま:山形。
しこだま:山形。
すこだま:山形。
◆■しこたれ
しこーたれ
しこったれ
【古】@身なり、したく、A醜い状態、良くない状態、Bだらしがない様 『醜(しこ)』または『趣向』と『たれ』(接尾語)の連語と考えられる。『たれ』は、『たらし』と同義で『にてあり』が訛ったと思われる。『垂らし』にも通ずる。すなわち『しこにてあり』の意味である。
言い換えれば現代語の『くそたれ・くそったれ』(糞垂れ)とは、単に『糞』の意味で、糞を垂れる人間を指しているわけではないのではないかという仮説である。
確かに、『垂れる』には、多くの意味がある。【自下1】@たる(下二) (古くは四段活用。→垂る)重みで下にだらりとさがる。先端がさがった状態になる。A(液状のものが)筋をひいて、また、しずくになって落ちる。
【他下2】たる:(下二)だらりとさがるようにする。下の方へ向けおろす。たらす。@流し落とす。こぼす。また、大小便や屁をする。A(「垂」の訓読として) 目下の者や後世の者に表し示す。B転じて、刃物がよく切れる。
@・きそーだれ:静岡。
B・しくた:役に立たない人:静岡。
(しごつ) 仕事 鹿児島。
しこってる 【動】【流】格好つけてる、いばっている 当時のTV番組で『あいつしこってやがんの』をよく耳にした。昭和30年代には、標準語でも、『醜(しこ)』の流れが残っていたことになる。
しこってる:福島。
しごでご
しこてこ
【副】沢山、はなはだしく 『集覧:久・稲・猿』。『しこてこ』は何故か辞書に無い。近世語と考えられる。
この言葉も『醜(しこ)』に由来する言葉であろう。
『俚言』には『しこたま:多き事をしこてこと云。又醜の意なるべし。』とある。またさらに『しこでこない:遠にていと大なるものを云。しこは醜の義。でこでかともいふ。大きなる事也。重ねていへるなり。』とある。
しこてっ 【副】腹いっぱい、たらふく 『常磐沿線』に掲載されているもので、他文献では見られない方言。『しこてこ腹』の意味か。
【名・形動】手間がかかること、骨が折れること 標準語には無い表現。
こりゃしどだ:これは大変だ。
ほーたしどなごどはあしたはやりだぐねーな:そんな骨の折れることは明日は遣りたくないな。
どし
とし
@鳶、Aやり手 『仕事師』。
@・とし:群馬・東京。
どじばん 男用の作業上着 『仕事襦袢』の意味。
(しこどっこ) 握りこぶし 鹿児島。
どはじめ 1月4日。事始め。仕始め。 『仕事始め』。この日は、藁を打ったり針仕事をする。
どふやし 余計な事をしてかえって手間がかかるようになること
どふやす 【動】余計な事をしてかえって手間がかかるようになる
(しとゆびわ) 指貫 宮城。
じーごにぢ 十五日
しーーばしょ 集合場所
しこなし @身のこなし。態度振舞い。Aうまく処置すること。
しこばる
しこーばる
【動】【古】格好つける、威張る 『しこ(醜・鬼)』(強く頑丈なこと)または『趣向(しこう)』+『張る』とも思われる。『しゃっちょこばる(鯱張る)』との関係も無視できない。
しこばる:栃木。
しこーばる:形式張る:群馬。
しとばれる:悪ふざけする:東京多摩。
しこまい
しこーまい
しこまえ
しこめー
しこーめ
@格好、身なり、A身支度、準備、B装置、やり方、方法、Cするふり、手まね 『醜前』『趣向舞』等が考えられる。
水が澱むこと 『集覧:猿』。
【動】水が澱む
しこむ 【動】指導する、教え込む 『仕込む』。
じー 十五夜 旧8月15日のお月見。大麦の月見と言われる。一升瓶にススキを刺したものと15個の団子を縁側に置く。当時は、その団子を盗んで食べるのは黙認され、『団子を取られるのは縁起がいい』とか『団子を取って食べると縁起がいい』といわれた。子供達は遊び半分で団子泥棒をした。
しこゆび 小指 『ひこゆび』
しこる 【動】@格好つける、威張る、気取る、A(肩が)凝る @標準語の『凝る、痼る』(しこる)は、広辞苑に『(1)固まる。一団となる。(2)(主として、動詞の連用形につく) 一事に夢中になる。ふける。(3)意地をはる。(4)筋肉などがこってかたくなる。しこりができる。』とある。当時TV番組で『あいつしこってやがんの』をよく耳にした。(3)の意味を転じて使っていたと思われる。
しこる:福島・栃木・神奈川・山梨。
しこる:叱る:青森。
ひこる:神奈川。
A標準語だが死語。
しこる:山形。
Bその他。
しこる:繁る・はびこる:神奈川。『一団となる』意味に近い。
しごろ
しころ
@頭、A錏庇(しころびさし) @『錏、錣』(しころ:兜・頭巾)。
しころ:東京多摩。
しころをさ:うつむく・精神的に参る:神奈川。
A『錏庇(しころびさし)』の略。
しころ:庇:石川・広島。
じーごんち 十五日
じーさー 祖父
(しーさー) 魔除けの一種。瓦屋根にとりつける素朴な焼物の唐獅子像。 沖縄。『獅子さん』の意味と言う。
しーさい 秀才
(じざいもち) あんころ餅の大きなもの 『自在餅』。
じざいもち:神奈川。
じぜーもち:神奈川。
じぜんもち:粟餅:神奈川。
しさし
しぇさし
じさま
◆●じーさま
祖父 『祖父様・爺様』。
じさま:福島。
ずさま:福島。
(しざらに) 【複】しないわけにはいかない 静岡。『勝手にしやがれ』に対する応答語。
『〜せずありざらぬに』。
しさる 【動】やりなさる、やりやがる 尊敬語だが転じて卑下する場合にも使う。『しなさる』。
広辞苑に『さる:【助動】(室町時代から江戸時代にかけて用いられた。活用は四段型) 四段・ナ変以外の動詞の連用形について、軽い尊敬・親愛の意、または、転じて軽蔑の意を添える。』とある。
標準語の『退る』(しさる)は『あとへひきさがる。後退する。すさる。』意味。
〜しされ:〜しなさい:茨城・静岡。
〜しさんすな:しなさんな:宮城。『しさりすな』。
じーさんまいり
じーさんめーり
十三参り 『数え年の十三歳は生まれ年の干支が初めて戻ってくる、いわば「十二支の還暦」にあたります。この歳は男女とも人生最初の厄年であり、同時に、身も心も大人に生まれ変わる大切な年齢です。昔は十三歳頃から心身ともに成人らしくなるということで、このとき初めて本裁ちの着物を作ってもらい、女子は「本身祝い」、男子は「元服祝い」「若衆入り」をしました。』(村松虚空蔵尊のHPより)
当時は子供会の主催で、3月13日に必ず東海村の村松虚空蔵菩薩にお参りをした。
《お爺さんがお参りすることではない》。
じーさんや 十三夜 旧8月15日のお月見。小麦の月見と言われる。一升瓶にススキを刺したものと13個の団子を縁側に置く。
◎しし イノシシ 広辞苑に『獣・猪・鹿(しし)』とは肉を指したとある。転じて『@けもの。野獣。特に、食肉のために捕獲する「いのしし(猪)」「かのしし(鹿)」をいう。A獣狩(シシガリ)の略。』とある。そのため鹿を『しし』と呼ぶ地域が全国にある。
(しし) 沖縄。古語『獣・猪・鹿(しし)』。
しし:牛馬の肉:鹿児島。
しじー 【副】始終
しじー 四十 しんじゅ:鹿児島。
〜しーしー 【助】〜しながら、何度も〜して 近世語に『してして:そうして』がある。
〜しーしー:埼玉。
しーじ 習字
しーじ 巾の狭い道、路地 『小路』(こうじ・しょうじ)。
しょうじ→しゅーじしーじ
しーしあさっで
しーしあさって
やのあさって(4日後) 『新方言』には『シシアサッテ:やのあさって。「しあさって」の次の日,あさっての次の次の日;首都圏の一部の若者のごく最近の言い方;「し」を二つ重ねてもっとあとの日を指したわけ;土屋私信で気づいた(真田1996に再録);中学生の通信調査によると,西日本各地に使用者がいる(井上未刊);』とある。
『俚言』には『あさって:「倭訓栞」あさって:明後日をいふ。あす去て後の日といふ義也といへり。されど西土には翌日を明日といひ、其次を後日といふ也。大後日も同し。此の明後日を俗に明々後日といひささってともいへり。もとしあさってと呼り。今日より第四日にあたる故也。シア反サなるをもて、ささってともいふあり。全漸兵制には、後日をあさって、大後日をしあさってと称す。「愚案」シアサッテのシはスギの約りにて過後日の義なるべし。大字も太と通して大過の義なれば大後日即すきあさて也。』とある。さらに『さざって:明明後日をささってと云。しあさっての略也。』『しあさって:明明後日を云はスギの約りにて過後日の義なるべし。』『しあさって:「和訓栞」云今日より第四日にあたる也。志あ反なさるをもてささってともいふあり。』とあり、「し」を二つ重ねたと言う説も捨てられないが、江戸時代の言葉の『ささって』の流れとも考えられる。
じーじが 十字架
ししく 細くて食べられないタケノコ 『糸竹』の意味。広辞苑には『糸竹:箏・琵琶などの弦楽器と笙・笛などの管楽器。楽器。また、音楽。管弦。いとたけ。』とある。
しし 【動】押し潰す 『拉ぐ』(ひしぐ)。江戸方言の典型。
しし:山梨。
ちーぶをししどででくっと:(歯磨き)のチューブを拉ぐと出てくるよ。
しじーく 四十九
じじくせー 【形】年寄り臭い
しじーくにぢ
しじーくんぢ
しじーくんち
四十九日
しじーくのもぢ
しじーくもぢ
しじーくんちのもぢ
四十九日につく餅 県下では多くが葬式に餅をついた。四十九日についたのは勝田市と土浦市だけである。
(じじくり) いたずら書き 神奈川。
(しじくる) 【動】しくじる 静岡。倒語と見られる。
□▽しじこ こどもの陰茎。おちんちん。 近世語の『指似』に『こ』がついたもの。県下では、北茨城市・水戸市・真壁郡・筑波郡・新治郡に残る。
(じしざん・じしざ This is a pen. アメリカの茨城人が喋るとこうなる。実際古い西部映画などを見るととんでもない訛りの田舎老人がいたりするが、まさに茨城訛りとそっくりの発音をしている。
ししだげ
ししだけ
埋葬前の墓前祭の際棺を担いで回る際の中心となる備えで笹竹を4本立てたもの。葬列とともに墓まで持ち込み墓に立てる。 土浦市特有の呼称。左回りに3回半または7回半回る(手野では7回半だったと記憶している)。一般には、墓前あるいは寺の庭で行なわれるとされるが、手野では出棺の最後の儀式で自宅の庭で行なわれたと記憶している。
(ししだれ) オマル 鹿児島。
しじづ 手術 茨城では正確には『すぃずぃづ』。NHKアナウンサーの発音も『しじつ』に聞こえるのに辞書には無いのは不思議だ。
しじづ:東北・福島。
しじつ:山梨。
しじつしつ:手術室:群馬。
ししつかい 獅子舞 もともとは『獅子を操る人』の意味だったろう。
おししつかい:群馬。
じーしっ 【数】十七八
ししっ 獅子鼻
しして
ししてー
【副】終日、1日中 『ひして』。(類)『よって』
古語の『ひひとひ(日一日)』(終日、一日中)に由来する。その他古い標準語に2月1日を示す『一日正月』(ひひてしょうがつ)がある。
しして:山形・茨城・千葉・長野・徳島。
ししてー:茨城・千葉。
しすて:宮城。
ひしぇてじゅー:千葉。
ひして:岩手・宮城・福島・茨城・千葉・佐渡島・愛媛・鹿児島。
ひしてー:茨城・長野。
ひしてい:千葉。
ひしとい:徳島。
ひってい:静岡。
ひっとい:静岡。
ひーて:長野・静岡・愛知・大分。
ひーてー:静岡。
ひーとい:静岡。
ひひて:岩手・山形・宮城・茨城・愛知。
ひひてー:茨城。
ひょーらく:静岡。
へして:茨城。
へしてー:あと1日か二日:神奈川。
へーして:栃木。
へーとい:静岡。
へひてー:静岡。
ししてーふつか 【副】一両日 ししてーふつか:千葉県。
じじばしょり ジシバリ 神奈川では『尻っ端折り』を『じじーしょり、じんじーしょり、じんじーばしょり、じんじーまくり、じんじっしょり、じんじんばしょり・ちんちんばしょり』と言うが関連性は不明。
じじばば
じじーばばー
じーばー
春欄 当時の裏山に必ず自生していた欄。猿島郡では『じじばばのき』と言う。このほか県下には『じんじばっ・じんじばんば』がある。
言葉は面白いもので、現代語では『じじー・ばばー』は卑下された言葉なのに、『じっち・ばっと聞かされると、ずいぶん可愛らしい表現に聞こえる。
現代日本語は、古代語から、濁音化の道をたどったとされる、『じじ』は古代語の父を指す『ち』そして『ちち』に由来するとされる。『ばば』も『はは』が濁音化した説が有力である。
言い換えれば、古代の日本人は、『ちち』や『はは』は老いると濁音表現で表したのではないかという仮説が生まれる。
じじばば:群馬。
じし ジシバリ
しじみかいこ
しじみっかい
しじみっけ
しじみっけーこ
蜆、シジミ 広辞苑には『蜆シジミ科の二枚貝の総称。殻長二〜三センチメートル、暗褐色または漆黒色、内面は多少とも紫色を帯びる。淡水または汽水産。肉は食用。わが国にはマシジミ・ヤマトシジミ・セタシジミの三種あり、マシジミだけが胎生。しじみがい。』とある。
しじみかき シジミを取る事
じじむ 【動】滲む、しみる 『集覧:猿』。集覧では『墨抔のしみること』とある。単に訛ったと思われる。
じじむ:静岡。
☆じじむさい
じじむせー
【形】@むさくるしい、A爺くさい 近世語。
◆▲□◇しじめ @▲□◇蜆、シジミ、Aスズメ 広辞苑掲載語。標準語の中の訛り。『集覧:猿』。
辞書には、訛りと書かれているが『繁(しじ)』とは『すきまのないこと。ぎっしり。』の意味であり、万葉集にもある言葉。それに接尾語『め』がついて『しじめ』となり、それが関東で『しじみ』となったとすれば理解し易い。すなわち『隙間無く居るもの』の意味である。これは語言説の一つの『繁群れているところからか。』
@『聞書』には江戸で『しじみ』、浪花で『しじめ』とある。このような東西対立語の多くで、茨城言葉が西と一致するのは、もともとは『しじめ』で、江戸で『しじみ』に変化したと考えられる。
しじめ:東京。
しじめっかい
しじめっけー
蜆、シジミ
しじめる 【動】【古】@静かにする、A口を窄む 『しじま』(静まり返っていること)の語源となった古い言葉。
(しーじゃ) 兄貴、年上の人 沖縄。
(ししゃね) 【複】知らない 宮城にしかない方言。『仕方が無い』の意味でも使われる。『知りはしない』意味か。
(ししゃわら) 寸莎、寸莎藁 鹿児島。
じしょ 敷地、土地 『地所』。辞書には『建物の敷地にするなど、利用目的をもつ土地』とある。
あすこのえーはじしょもぢだがんな:あそこの家は土地を沢山持っているからね。
じーしょ 住所 実際の発音は『ずぃーすぃょ』に近い。
じーしょーかんじゃ 重症患者
しーしょぐ 就職
(ししょね) 【複】しょうがない 福島。
しじん 主人 実際には『し』『じ』も僅かに小さな『ゅ』があり『しゅじゅん』のように発音されることが多い。しかし曖昧なため『しじん』と聞こえる。時には『しじゅん』とも聞こえることがある。
ごしじん:東京。
しじん:青森・千葉・東京・神奈川。
じしん 身内 『侍臣』(主君のそば近く仕える臣)の意味か?。
(地震雷火事親父) 日常、人々の恐れるものをその順に列挙していう語。 このうちの『親父』は父親の意味ではなく、『大山風(おおやまじ)』即ち台風だとされる。
じーす ジュース 茨城弁の代表的な直音化の訛。
じず 数珠 『ずず』とも言う。
じず:千葉・静岡。
しす 繻子(しゅす)、サテン 『集覧:久』。直音化。
しす:八丈島・静岡。
〜じす 【助動】〜です 〜じんす
(しず) 【複】しよう 静岡。元『しずら』か。
しずい 下枝 『下枝(しずえ)』(下の枝、したえだ、しずえだ)の転。
しずが 【形動】静か すんずが:宮城。
(じずか) 地面 静岡。
しずがな 【形】静かな
しずがに 【副】静かに しずがに:ご無事で・お達者で・平穏に
:福島。
しず 【動】沈みつく 古い標準語の『沈く』の転。
かすみうらにしずいちったよ(しずんちったよ):霞ヶ浦に沈んでしまったよ。
じず 車座になって大きく長い数珠をつかって念仏を唱える行事
しずげだづ
しずけだつ
【動】夏が終わり涼しくなる 『静け立つ』意味だろう。
しずづ 手術 正確には『すぃずづ』
しずづ:東北・福島。
すずづ:東北・福島。
しずまる 【動】静かになる (類)『ねしずまる』。
しずめる
しつめる
【動】@沈める、Aお湯に浸かる @・ずぼがす:山形。『沈めほかす』。
しずらこい
しすらこい
しずらっこい
しすらっこい
【形】ずるい、狡猾、うるさい 『集覧:行』。近世語の『ひすらこし』(わるがしこい。しみったれてこすい。ひすし。)の転。『ひすい』とも言う。
しずよれる:@面倒くさい・混乱する・頭にくる・込み入っている・A最終的には解決するのだが骨が折れる・面倒くさいなどの状態:千葉銚子。
ちらこい:しつこい:滋賀。
ひっつらこい:しつこい:三重。
(しずる) 【動】ちょっかいをだす、からかう 宮城。『為いじる』の意味か。
しずんちった
しずんちゃった
【複】沈んでしまった
(しせき) 屋敷林 神奈川・静岡。『四壁』。
広辞苑に『(関東地方でいう。「四壁林」の訛か) 屋敷の周囲の防風林。しへい。』とある。
しゅせき:神奈川。
しょせき:神奈川。
せせき:神奈川。
じせぶり 隣の土地にはみ出ること 『せぶり』は『攻む』と『攻める』の混交した名詞形とも考えられ、また類義語の『せびる』【他五】(しいて頼む。無理にねだる。せがむ。)と同じ意味の言葉に『せぶる』【他四】があり、その名詞形とも言えよう。
あぜよく:群馬。
じせんぞ
じせんぞさま
その地にかつて住んでいた人の霊 『地先祖』の意味。
じーそー 重曹
しぞーが 静岡 逆行同化。
しぞーか:静岡。
しどーか:静岡。
じぞーこー 安産を祈る主婦の会。掛け軸を掛け飲食する。 『地蔵講』。本来は、地蔵菩薩の信者たちの寄合だが、月待ち講に変化している。。
しそっ 紫蘇の葉 きそっ:埼玉。
(じぞろ) 不揃い 静岡。
した 【慣】そうだ 『したり』に通ずる言葉。
したどーだっなや:そうだが、どうだろう。
(〜した) 【複】@〜ました、A意味を持たない接尾語 @近世語の『やした』が訛ったと考えられる。
きした:来ました:青森・宮城・福島。
せした:しました:青森。
よみした:読みました:宮城・福島。
A『候にてあり』すなわち現代語では『でした』に当たると思われる。
あんめした:あるまい:宮城・福島。
たまだした:驚いた:宮城・福島。
よかんべした:良いだろう:宮城・福島。
なかんべした:無いだろう:宮城・福島。
よかったした:良かった:宮城・福島。
しだ 馬のたてがみ 古い言葉。『垂れ』の意味か。
しだ:山形・福島・群馬。
じーた 石蹴り 鹿島郡。
じゅーた:石蹴りの石:千葉。
じだあし
じだーし
地団駄 『地団駄』は『地だたら』が語源と言われる。
じら:我侭:富山・石川・山口・大分。
じらをいう:駄々をこねる;山口。
◆▲したい
したえ
@額、A下絵 『集覧:久』。ブログ等でしばしば話題になっている『死体に色塗る(したいにえろぬる)』(下絵に色を塗る)は代表的な訛り。栃木も同様。
したいだとり 山林の枝払い 『下枝取り』の意味。
したおび
したのおび
ふんどし。腰巻。 『下帯』。
した
した
したか
したかー
【形動】下側 『が』『か』は『処』『側』。
したがが
したがが
した
したかー
【形動】下の側 最初の『が』は格助詞で『の』の意味。
した
したかし
【形動】下端
したかだ
したっかだ
【形動】下の方 『下方』の意味。
した
した
したかの
したっかの
したっかーの
下にあるもの、下のもの、下の 『が』は格助詞で『の』の意味。
したぎ
△☆したき
したぎ:福島。
しだき:福島。
したき:岩手・秋田・山形・宮城・福島・栃木。
したけ:山形・宮城・福島。
した
したき
山林の下枝、生育の遅れた木 『ぎ』は濁音・鼻濁音。
しーたぎ
しーたき
シイタケ
したかり
したきり
山林の枝払い、成長の遅れた木の伐採 『ぎ』は濁音・鼻濁音。
したぎに 【接】それにしても 『したりけれ』『したりけりに』。
したきっとも:福島。
(したぎーん) 【動】苛める 沖縄。古語『しへたぎる』。『虐ぐ(しいたぐ)』。
したぐ 準備、着替え 『支度』。
さんだく:山形。『算段』の意味か。したく→したぐ→すたぐ→すんだぐ→さんだぐ・さんだく か。
したぐ:青森。
したこ:静岡。
したくさかり 共同の草刈の行事、道普請を含む 『下草刈り』の意味。標準語としても意味は通じるが、共同で行うことが異なる。
したくさそーじ 山林の下草を刈ること 『下草掃除』の意味。
したぐする 【動】準備する、着替える 『支度する』。
じーたぐ 住宅
〜したくれ
〜したけれ
【助】〜したら、〜してそれで 古語が残った言葉。『したりけれ』。
かげっこしたくれいっとぅになっちゃった:かけっこしたら一等になっちゃった。
しだ
した
しだのけ
しだんけ
馬の鬣(たてがみ) 東北南部、茨城・栃木・群馬東部・埼玉東部・東京西部・神奈川西部に分布する。古い東国語と考えられる。『垂れ毛』(しだれげ)の意味と思われる。
とり:岩手。
したけっと
したけんと
【接】けれど、しかし 『したりけれど』。
したきっとも:福島。
(したこち) たむしに類する皮膚病の一種。ある種の白癬菌、小胞子菌の寄生によって起き、小児の頭髪部に硬貨大の円形斑が漸次拡大、患部は灰白色の粉末状の鱗屑(リンセツ)で覆われ、毛髪が脱落。頭部白癬。 ・鹿児島。
『白癬・白禿瘡』(しらくぼ・しらくも)。
〜したごったら
〜したごっちゃら
【助】〜したら、〜してそれで
(したや) 下小屋 建築工事のための下ごしらえや職人の休憩のための小屋。
したじ 出し汁、醤油、つゆ やや古い標準語。
『御下地(醤油)』は死語となった標準語。
土浦は、古くは野田・銚子と並んで関東の三大名醸地であった。かつてはレンガ積みの醤油工場が村落ごとにあった。上大津地域では、常磐線に面した東側の田圃の中に醤油工場があった。
『おしたじ』(醤油。煮物のつゆ。)はその昔『おひたぢ』(お常陸)だったという説がある。江戸では『ひ』はしばしば『し』に交替したから可能性の高い説である。
したじ:福島・群馬・神奈川・長野・静岡。
ひたじ:神奈川。
ひたじ:汁:静岡。
むらさき:醤油:東京。
したしき 下敷き 清音化。古代の言葉が残った可能性もある。
じだじだ
じたじた
【副】【形動】@小便を漏らしてびしょびしょの様子、A雨が降るさま、B水がこぼれる様 標準語の『じたじた』は、『しめっているさま、じとじと』とあり、ほぼ同じルーツの言葉。また近世には『たじろぎ、またはよろめくさま。たじたじ。』の意味で使われた。
(したじっこ) 芸妓とするために養成中の少女 東京。『下地っ子』。
したしんぞ:娼妓に使われている小間使いの様な者:東京。『下新造』の意味か。
したす 【動】浸す
じだだ 地団駄 室町時代の小歌集「君待ちて待ち兼ねて定番鐘のその下でのじだじだじだだじだじだをふむ」(広辞苑)がある。
したたが
したったが
したたか
@【形動】手ごわい様、A【副】甚だしい様 『強か』(したたか)。
A・しったらか:沢山:千葉。
(しただる) 【動】滴る 『滴る』とはもともとは『下垂る』だった。
『俚言』によると江戸時代には濁音形だったと言う。
また雪などが枝から落ちることを『垂る(しずる)』と言った。
したたれ @傾斜地の下の場所、A意気地なし 『下垂れ』の意味。
したぢ 日立
(したぢ) 人達 福島。
この場合の『し』は『士・師』と考えられる。
しーたち シイタケ 単なる訛りと思われる。しいたけ→しーたきしーたち。『集覧:久・猿』。
カ行音がタ行音に訛るのは東北方言の特徴でもある。
(したづ) 人達 宮城。
この場合の『し』は『士・師』と考えられ、福島の『したぢ』より古い言葉と思われる。『達』は古くは『たつ』と発音した。
したったらず 【形動】舌足らず
したっか
したっかー
【形動】下側 『か』は『処』または『側』。『下つ側』。
したっか:千葉。
したっかー:神奈川・山梨。
したっかし 【形動】下端 『下が端』。
したっかだ 【形動】下方 『下つ方』。
したっき
したっくれ
したっけ
したっけれ
【接】そうしたら 日常的に良く使われる言葉。古語の『したりけれ』が残ったもの。
『新方言』には『シタッケ 「それじゃあ/そうしたら」;北海道や北関東で若い世代に向けて増えている;ッケは「見たっけ,居なかった」など,かなり自由に使う;首都圏では千葉の言い方ととらえられている;北海道の若い人はシタッケを「さよなら」のあいさつにも使う;札幌の「方言みやげ」のキーホールダーやTシャツにも使われるくらい,地元では有名になっている;なお新潟県西部では,「(だ)から」のスケが若い世代でッケに変化し,「酸っぱいッケ」のように言っている;→ッケ』とある。
したっけ:さよなら:北海道。
したっけれ:栃木。
すたっけ:宮城。
すたっけぁー:青森。
〜したっき 【助】〜したら、〜してそれで
〜したっくれ
〜したっけ
〜したっけれ
【助】〜したら、〜してそれで 〜したけ:秋田。
したっくれ
したっけ
したっけれ
【接】そうすると、そしたら したっくれ:福島。
したっけ:千葉・東京・神奈川。
したっけ 【接】ところが、だけど 日常的に良く使われる言葉。
したっけ:福島。
〜したっけ
〜したっけ
〜したっけよー
【助】〜したけど、〜だけどさ
したっけが 【複】そうだったの? 日常的に良く使われる言葉。
したっけな 【複】@そしたらね、@そうだってね、Aそれじゃあね、さようなら
したっこ 下面 『下処』の意味。
しったっこ:埼玉。
したったりー
したったるい
【形】言い方が甘い、言い方がくどい 古い標準語の『舌たるい・舌ったるい』の転。
したったるい:東京。
したったりねー 【形】言い方が足りない 『舌が足りない』意味。
したったれ @傾斜地の下の場所、A▲意気地なし 『集覧:北』。
したって 【接】だって、けれども したって:秋田。
しだでこだてあなえほど:どうしようもないほど:山形。
したっても:秋田。
したども:秋田。
すたって:岩手。
したっばだ
したっ
したっべだ
したっ
【形動】下端、下面
したっぶり
したっ
言い方、口振り 『舌ぶり』(舌風、舌振り)。
じだっ
じーだっ
@どんぐり、Aクヌギの実、Aずんぐりした人、B太くて短いこと @Aクヌギは別名『じだんぐり』と呼ばれ、それが転じたと思われる。ドングリの語源は『栃栗(トチグリ)』、『団栗(ダングリ)』、『独楽(コマ)の古名のツムグリ』等の諸説があると言う。『じだ』は『耳朶(じだ)』(耳たぶ)に関係があると思われる。
したづら
したつら
したっつら
【形動】下面 標準語では『うわつら』はあるのになぜか『したつら』がない。
☆したで 下の方。しもて。下手。 古くは濁音形だったとされる。
しだね 葬式のあった家の野菜等の種。使ってはいけないとされる。 『死種』の意味。
したば
したばだ
した
した
下端 半濁音は濁音で発音されることがある。
じだばだ 【副】じたばた 濁音化。
じだばだ:山形。
ちた:山形。
したな 常名(ひたな) 土浦市にある地名。多くの人が訛って発音していた。
したふき 雑巾 『下拭き』の意味。
じたぶり 長雨 『直降り(ひたぶり)』(つづけざまに降ること。降りに降ること。)。
したべろ べろ、舌 『くぢべろ』(対)。
したべんじょ 屋外の便所 したべんじょ:神奈川。
したまいはる
しためーはる
【複】低姿勢になる 『上前・下前』はもともと着物の合わせの順番を指す。一方『上米』は、江戸時代に諸国の年貢米を通す際に、神領などで取った一種の通行税や売買その他の仲介者が取った手数料。ところが『下米』は無い。
したみ (野菜などの水を)切る笊 標準語だが死語。
(したみいた) 家の外部の壁をおおう横板張で、各板が少しずつ重なり合うように取り付けたもの。その上に細い木を直角に間隔をおいて縦に打って押えとする。 『下見板』。その工法を『下見板張り』と言う。日本の伝統的な外壁の工法。一説に『しとみ』が訛ったとされる。『南京じたみ』と言うことがある。
したむ 【動】【古】(野菜などの水を)切る 標準語だが死語。『@液をしたたらす。しずくを残りなくたらす。A漉(コ)す。』の意味があると言う。
したむ:神奈川・静岡。
したむぎ 【形動】ひたむき 『直向き』。
〜したもんだら 【助】〜したものなら、〜したとしたら
したよみ 予習
☆したら
したらば
【接】そうしたら 辞書掲載語だが今の標準語ではあまり使われない。
したば:秋田。
すたら:宮城。
すたらー:青森。
しだら
しどろ
ひどく、ものすごく 古い標準語の『しだら』(しまり、始末、ていたらく)が転じて『しだらに』(ひどく)の意味で使ったか?。『しどろ』は『秩序なく乱れたさま、取りとめないさま』。
◎しだら 締まり 広辞苑には『(梵語で秩序の意の sutra からとも、「自堕落」の転ともいう。多く悪い意味に用いる) しまり。始末。ていたらく。』とある。
しだら:東京。
じだら:整理しない様・でたらめ:山梨。
〜したらいがっ
〜したらいかっ
〜したらがっ
〜したらかっ
【助】〜したら良いでしょう 半濁音はまれに濁音で発音されることがある。
じだらぐ 【副】だらしないさま、ふしだら 『自堕落』。
じだら:不浄:八丈島。
しだらない
しだらねー
【形】だらしない 『しだらない』は立派な古い標準語。語幹は『しだらな』。『しだら』は、しまり、始末、ていたらくの意味。本来は『しだらない』が正しい言葉。『しだらなし』。現代語では『ふしだら』が残っている。『自堕落』の説もある。
ちなみに広辞苑に『首陀羅(すだら・しゅーどら:インドの四種姓(ヴァルナ)制で、最下位に置かれた隷属民。ヒンドゥー法典によれば、その義務は上位の三ヴァルナに奉仕することにある。農民や牧畜民などが含まれる。』とある。
しだらない:静岡。
しだらなえ:山形。
すだらもねー:下らない:神奈川。
したらば 【接】そうしたなら 辞書掲載語だが今の標準語ではあまり使われない。
しだらもこだらもねー
しだらももだらもない
【複】どうしようもない、ぐちゃぐちゃになってどうしようもない 2番目は投稿による。『しだら』は『ふしだら』の『しだら』で『締まり』の意味。『もだら』は東北にかけて使われる方言で『藁で作ったタワシ』の意味だから、そのままでは『締まりもタワシもない。』意味になってしまう。
『しだらない』は、江戸時代に前後が入れ替わって、現代語の『だらしない』に変化したとされる。茨城県人は語呂合わせが好きだから、『しだらももだらもない』とは、近世語の『しだらなし』を受けた言葉と思われ、『だらしない』意味を強調したのではないかと思われる。
(しだり) 現代語の『垂れ』に当たる。万葉の時代にはそのように言った。
〜したりなにしたり 【複】〜したりして 〜すること以外にも様々なことをしたという意味がこめられている。
したる 【動】(汗や水が)滴る(したたる) 『俚言』によれば江戸時代には『しだる』といったとされる。現代語には『しだれ桜』等が残る。
したる:こぼれる:岐阜・島根。
しだるい 【形】鈍い 『したるい』。広辞苑には『【形ク】@じとじとしている。夫木三六「―・き麻の衣すすぎて」Aやさしい。なまめかしい。置土産「少しく―・き野郎を招き、色付の柱にもたれて」B物言いが甘ったるい。したたるい。元禄大平記「下輩(ゲビ)た事を表にしてべつたりと―・く」Cぐずぐずしてのろい。日葡「シタルイヒト」』とある。
△じだん クヌギ
じだんだする
じたんたする
【動】@駄々をこねる、Aじたばたする @は『地団駄踏む』。
Aは混生語。
じーたんばぐ 絨毯爆撃 《爺ちゃんが戦争で爆撃したってが?!?》
じだんぼ
じだんぼー
クヌギ クヌギは別名『じだんぐり』と呼ばれそれが転じたと思われる。
じだんぼ:どんぐり:群馬。
じーだんぼ:どんぐり:東京多摩。
(しち) 『俚言』には『しち:凡字音の質。七等は俗ひちと呼。匹字の呉音のごとし。』とある。すでに当時『ひ』と『し』の混乱の萌芽があったことになる。
しちくでー
しちっくでー
【形】くどくどしい、しつこい 『しちくどい・ひちくどい』。=『ひちっくでー』。標準語の中で『し』と『ひ』のどれが正しいか不明な言葉。
恐らく『執拗』の『執』に由来すると思われるが、それとてかつては『ひつよう』だったかもしれない。
しちくでー:千葉・神奈川。
しちっくでー:群馬。
しぢーくにぢ
しぢーくんち
四十九日 葬儀の際に墓に49本の竹ヒゴで作った籠を置き、お参りの都度引き抜く慣習があった。手野では、七日毎に7本ずつ抜いた。
〜しちった 【助】〜しちゃった 〜しちったー:千葉銚子。
(じちなし) 意気地なし 静岡。=『じつなし』
『術無し』(仕方がない。困る。切ない。)。とは異なる。
しちはだ 【副】ものすごく、【形動】普通でない様、甚だしい様 『しち』(強調の接頭語)+『はだ』(たいそう、非常に)か?。広辞苑に『しちは【七八】
:@さいころでする博奕(バクチ)で、いちかばちか、勝負を一度に賭けること。日葡「シチハニカクル、また、シチハガケヲスル、また、シチハニスル」A商売などで、思いきって冒険をすること。』がある。『はなはだ』と同じ意味。
しちあだ:千葉銚子。
(しちふり) 自分のなりふりにえり好みする性質 神奈川。『しち』(強調の接頭語)+『振り』か。
しちまー
しっちまー
【複】してしまう、しちまう しちまう:神奈川。俗語
しちめ
しちめー
しっちめー
【複】してしまえ、しちまえ 『しちめえ』なら江戸言葉。
しちめ:東京三鷹。
しちめんど
しちめんどー
【形動】すごくめんどうくさい 『七面倒』『ひち面倒』。広辞苑に『(シチは接頭語、「七」は当て字) 非常に煩わしいこと。浄、神霊矢口渡「娘めが目を覚し邪魔ひろげばひち面倒」。「―な問題」』とある。
恐らく『執拗』の『執』に由来すると思われるが、それとてかつては『ひつよう』だったかもしれない。
しちめんどー:岩手。
しちめんどーくさい
しちめんどくせー
【形】すごくめんどうくさい 『しち面倒臭い』。=『ひちめんどくせー』
すづめんどくせ:宮城。
(じちもない) 【複】順序が立たない。乱雑である。つまらない。 静岡。
しーちゃぐいぎ 終着駅
じーぢゃ
じーちゃ
じーぢゃん
じーちゃん
じーつぁま
じーつぁん
祖父
〜しちゃーおいた 【複】〜してはおいた 通常は、反意の接続助詞『が』『ども』が続くが以下の事例は異なる。同じ言葉で『(何度も)〜してはおいた』の場合があるが、前後の関係でそうではないようである。
★『土』:それでも俵(たはら)にしちゃ置(お)いたな:それでも俵にしては(良く)置いたものだ。
しーちゅーほーが
しーちゅーほーか
集中砲火
(しちょー) 【複】するな 静岡。
しちょろ 第七の櫓(ろ) 『集覧:無記載』。『七梃櫓』(しちちょうろ・しっちょうろ)の意味。『梃』は櫂の本数の単位。ここでの櫓は和船用の櫂(かい)のこと。
しっ〜 【接頭】 『引く』の促音便の場合と、強調語の場合がある。
じーつぁま
じーつぁん
祖父
しっか @出荷、A出火 『過って火災を起すこと。また、その火災。』は『失火』と言う。
じっか @【副】十分、沢山、A順々に、B【名】肥料分の多い土 @・しっか:静岡。
A茨城猿島郡。
しずが
しつか
【形動】穏やか、静か しずがに:ご無事で、お達者で、平穏に:福島。
しっか
しっかー
後ろ、びり 『しりっかー』がさらに訛ったもの。『しりっぽ』が『しっぽ』になるのと同じ。『集覧:北』。
〜しっか 【助】@〜するかい、A知るか、B〜しか @・しっか:山梨。
しっかい 【複】@するかい、しない、A知るかい、知らない @『するかや』。
A『知るかや』。
しっかい:静岡。
しっかいる
しっかえる
【助】@▲ひっくり返る、A遣り返す、やり直す 『集覧:久』。
@『尻返る』意味か。
A『し変える』。
(しっかぇー) 【副】すっかり 静岡。
しっかがる
しっかかる
【動】@引っ掛けられる、A(小便等が)ひっかけられる
しっかぐ 【動】引っ掻く
(しっかく) 四角 宮城。
しっかげる
しっかける
【動】@引っ掛ける、A(小便等を)ひっかける、B仕掛ける A・しかけぶり:にわか雨:鳥取。
しっかげる:千葉銚子。
B・すっかげる:宮城。
すっかける:宮城。
しっかし 【接】しかし 茨城弁らしい足音便化。
しっかじぐ
しっかじく
【動】引っ掻く
しっかじる 【動】齧る、引っ掻く
しっかど
しっかと
【副】たしかに。しっかりと。びっしりと。 『確と・聢と』。
しかっと:宮城。
すかっと:宮城。
しつかな 【複】穏やかな、静かな しつかな正月でよーござんしたねー:穏やかな正月で良かったですね。
じづない
じづねー
【複】実力が無い、中身が無い
しつかに 【副】静かに
じっかに 【副】@一面に、全体に、A順次に 『集覧:北・猿』。
この語源は良く解からない。標準語の『直に』は直接の意味だから、どこから来た言葉なのだろう。『確と・聢と』(@はっきりと。たしかに。しっかりと。Aびっしりと。)由来か。
@・じっか:辺りいっぱいに・一面に:宮城・群馬。
しっから 【複】するから 『集覧:多』。
しっから:福島。
しっからまる 【動】絡まる
■▲しっかり 【副】十分に、沢山 近世語。
しかいと:沖縄。
しっか:静岡。
しっかり:山形・福島・千葉・埼玉・神奈川・静岡・高知。
しっかり:暫く:徳島。
しっ:山形。
ひっかり:神奈川。
じーづき 小使、用務員 『常付き』の意味。『民俗』掲載語。
しっき 湿り気 『湿気』。
じっぎ
じっき
じっぎに
じっきに
【副】直ぐに、直に 茨城方言の促音化傾向を肌に感じさせる言葉。
★『土』:どうしたもんだんべまあ、ぢっき怒(おこ)んだから。
しっきな
しっけな
【複】気の毒な
しっきりなしに 【副】引っ切り無しに 江戸方言。
★『土』:さう汝(われ)見(み)てえに痩虱(やせじらみ)たかったやうにしっきりなし云(い)ふもんぢやねえ。
しっくい
しっくえ
漆喰 しっくえ:鹿児島。
しっくさる 【動】しやがる 『し』+『くさる』。関西弁系の訛。
(しずくむ) 【動】沈む 『うずくまる』にも通ずる言葉。古くは『沈く』と言った。『くむ』は『込む』との大きな関係を思わせる。『しずぐむ』『しずごむ』『しずいごむ』と言った記憶がある。
しっくりいし
しっくりーし
しっくるいし
しっくるーし
【複】ひっくり返し 『が・げ』は濁音・鼻濁音。
しっくりかえす:静岡。江戸言葉。
しっくりいしもっくりいし
しっくりーしもっくりーし
しっくるーしもっくりーし
【複】繰り返し 『が・げ』は濁音・鼻濁音。
しっくりいす
しっくりーす
しっくるいす
しっくるーす
【動】ひっくり返す 『が・げ』は濁音・鼻濁音。
しっくりかえす:東京。
しっくりいる
しっくるいる
しっくりーる
しっくるーる
【動】ひっくり返る 『が・げ』は濁音・鼻濁音。
しっけ 湿地の畑
じっけ
しっけ
ジャンケン じっけ:福島。
じっけっち ジャンケンの掛け声 『じっけっち、ちっ、ちっ、ちっ−−−』
〜しっけ
〜しっけー
【助】〜次第 準備する意味の『仕付ける(しつける)』が訛ったと考えられる。
しっけーし 仕返し、(贈答の)お返し 『仕返し』の意味で用いる場合は、強調方言となるが、『お返し』の意味ではちょっときつい言葉。
じっけづ 『ぢつ尻』。
ぢっけつ:埼玉。
じっけっち 【慣】石拳(じゃんけん)のかけ声。 『じっけっち、ちっ、ちっ、ちっ−−−』
しっける 【動】湿気る 標準語の中の訛。
しっける:神奈川・静岡。
しっける
しっけーる
【助】@ひっくり返る、A遣り返す、やり直す
しづげる
しつける
【動】@結婚させる、A作法を教える、B苗を植える @
A・しづげる:山形。
B・しづげる:山形。
しつける:東京多摩・神奈川。
じっけん
しっけん
ジャンケン
しつけねー 【形】無作法な様 『仕付け』が無い意味だろう。
じっこ 土地っ子。地の子。 『地つ子』の意味。
じっこー・じぼー:神奈川。
じっこ 懇意、親密、ねんごろ 『昵懇』の短縮化。
〜しっこ 【接尾】〜し合う事 名詞に付く。
〜しっこ:静岡。
しづごい
しづこい
しつこい
【形】しつこい 元は『ひつこい』から生まれたとされる。
(じっこげる) 【動】ずっこける 福島。
じっこげだ:ずっこけた。
◎しっこし 意気地、根気 『しりこし』の転。古い標準語。
しっこし:群馬・東京。
ひっこし:東京・神奈川。
ひっこしねー:意気地が無い:神奈川。
しっこだま 【副】しこたま しっこたま:静岡。
しっこむ 【動】@引っ込む、A敷き込む @典型的な江戸弁。
しっこむ:青森。
しっころ 遣りあうこと、競争 『やりっころ』。『ころ』は『競』(くら)の転。
しょんべんしっころではおれのかぢだ:おしっこ飛ばしでは俺の勝だ。
じっこん 懇意、親密、ねんごろ 『昵懇』。やや古い標準語。当時は日常的に用いた。
しっしっ ジャンケン 西茨城郡・土浦市限定の方言。
しつじっ 稲の二番穂 『ひつじ穂』。
(しーっしゃい) 【複】しなさい 静岡。
しっせ 出世
しっせいし 筑波山で取れる石 『出世石』の意味。通称『つぐばいし(筑波石)』と言う。風雨に晒されて古くなったものほど価値がある。
しった しった:山形。
しった:底:山梨。
〜しった 【助】〜ちゃった、〜(て)しまった 30年代の言葉。『〜してしまった』が訛ったもの。〜してしまった→〜しちった→〜しった。『〜ちった』と同義語。音韻が弱いせいか使う人が少ないまま消えてしまった。主に末尾が『す』で終わる動詞の『〜してしまった』形。
おわっしった:終わらせちゃった。
(しったい・すったい) 【副】ひたすら 鹿児島。
『すっかり』が訛ったか。
(しったい) 【副】既に 鹿児島。
『したり』が訛ったか。
しったがっぶり
しったがっ
知ったか振り
しったがぶり 知ったか振り 濁音化。
しったがぼっち
しったかぼっち
知ったかぶり 『知ったか法師』の意味と思われるが『尻高法師』とも思えなくも無い。
しったがる
しった
【動】持ち上がる、上がる、火があがる
しったぐねー 【複】したくない やたらに促音化したくなる傾向がある典型的な訛。
しった 【動】(裾などを)手繰る 『引き』+『手繰る』。
しったぐる
しったくる
【動】引っ手繰る 『集覧:猿』。
しったくる:静岡。
しったげぶり 知ったか振り 『知った』『気振り』と考えられ、標準語の方がむしろ訛っていると考えられる。
しった 【動】持ち上げる、火をつける
(しったご) 去年 鹿児島。
しったごっちゃねー 【複】知らないよ、関係無いよ
しったす 【動】@差し出す、A引き出す =『ひったす』。
しったぜる 【動】@持ち上げる、A立てる、B引き立てる
しっただねー
しったざねー
【複】引き立たない、持ち上がらない
しったぢ 旅立ち 『出立』(しゅったつ)。
しったづ 【動】@立つ、建つ、A引き立つ、B旅立つ、出立する 『引っ立つ』。
@『立つ、建つ』の強調語。
A『ひったづ』がさらに訛ったもの。
B『発つ』の強調形。
しったでる 【動】@持ち上げる、A立てる、B引き立てる 『引っ立てる』。
@・しったてる:群馬。
A・しったてる:群馬。
B『ひったでる』がさらに訛ったもの。
しっだっぶり
しったっ
知ったか振り
しったでる 【動】持ち上げる
しったぶり
しった
しったふり
知ったか振り 『知った振り(しったふり・しったぶり)』ならやや古い標準語。
『知ったか振り』とは『知ったかの如くの振り』の意味。
しっだもん
しったもん
【形動】知れたもの、たいしたこと無いもの もともとは『下物』だったと考えられる。
しだもん:宮城。
しったら 【複】したら はやぐしったらいがっ:早くしたらどう。
しったらす 【動】@着物の裾をを下ろす、A大小便を漏らす
しったれる 【動】@着物の裾が垂れる、A大小便をする
じったんぼ どんぐり 新治郡・筑波郡の方言。
しっつぁぐ 【動】裂く、切る
◆■▲●じっち 【形動】雨がざあざあ降る様 幼児言葉。=『じゃっちゃ』
★◆じっちとふる:雨がざあざあ降る。
■▲じっち
じっちー
じっちさま
じっちさん
じっちちゃん
じっちゃー
じっちゃま
じっちゃん
【代】祖父 茨城方言集覧では旧多賀郡・新治郡・稲敷郡の言葉で『老爺』の意味で紹介されている。
かつて『たまごっち』が流行ったが『ち』は愛称として残る。
じっち:宮城・福島。
じっちー:千葉銚子。
じっちゃん:福島。
〜しっち
〜しっちー
〜しっちぇ
〜しっちぇー
【助動】@〜してしまえ、A〜して はいぐしっちーよ:早くしてしまいなさい。
しょんべんしっちがらやっがら:おしっこしてからやるから。
(〜しっち) 【助動】〜したい 福島。
(しっちかる) 【動】強く叱る 神奈川。
しっち 【動】@引きちぎる、Aつねる @・しっち:千葉・静岡。
じっちぐじっちぐ
じっちごじっちご
じっちこじっちこ
【副】雨がざあざあ降る様 にーばいにへーったらまーあめがじっちごじっちごふっこどふっこど:梅雨に入ったら、まあ雨がざあざあ降ること。
(しっちくもっちく) 【副】のろのろ 群馬。
しっちぐもっちぐ:@もじもじする・とまどう・A身のおきどころがなくてもじもじする感じ:千葉銚子。
ひっちくもっちく:物事が前に進まない様子・もじもじしている様子・決断がつかない事:群馬。
しっちぐる
しっちくる
【動】@▲引っ手繰る、奪い取る、Aする、やりまくる、B弄くる、画策する 『集覧:猿』。
しっち
しっちーる
【動】くじく、捻挫する 『引き違える』意味か。
しっち:群馬。
しっちごだづ 【動】逆立ちする 直音化。
しっちごばる 【動】緊張する、硬くなる 直音化。『しゃちこばる・しゃちほこばる・しゃっちょこばる』の転。『鯱張る』。
じっちじっち
じっぢど
じっちと
【副】雨がざあざあ降る様子
しっちなぐる 【動】無理に取る 『集覧:北』。
しっちにぐる
しっちねぐる
◆■▲しっちねる
【動】@ねじる、ひねる、ねじ上げる、Aつねる 『ひねる』。『集覧:北』。
A・しっちにくる:栃木・埼玉・東京多摩。
じっちーはっく 【副】十中八九
しっちばる 【動】縛る 『ひっちばる』
ばらばらだがらしっちばっとげよ:ばらばらなんで縛っておいてよ。
じっちばる 【動】ためらう 稲敷郡の方言。『引き詰まる』意味と考えられる。
しっちめる 【動】締める、苛める 『引き締める』。
じっちゃー 祖父 じっちゃ:青森。
しっちゃー
しっちゃう
【複】@してしまう、しちゃう、A知ってしまう @★『土』:可怖(おっかね)え目(め)つきしっちやってな
しっちゃいねー 【複】知らない、知った事ではない 『知っちゃいない』。
しっちゃいねい:埼玉。
しっちゃがましー
しっちゃかましー
【形】やかましい
しっちゃがめっちゃが
しっちゃがめんちゃが
【形動】しっちゃかめっちゃか、滅茶苦茶 濁音化。
しっちゃがめっちゃが:千葉銚子。
しちゃかめっちゃか:埼玉。
しっちょくわっちょ:鹿児島。
しっちゃぐ
しっちゃく
【動】引き破く
しっちゃく @七百、A七尺 『集覧:西』。
しっちゃぐっちゃ
しっちゃごっちゃ
【形動】しっちゃかめっちゃか、でたらめの状態 『やっちゃぐっちゃ』
しっちゃぐる
しっちゃくる
【動】適当にすます
しっちゃ 【動】@ぶら下げる、A持ち上げる @『引っ提げる・提げる』の転。
A『引き上げる』の転。
しっちゃげる 【動】裂ける、破ける
しっちゃこっちゃ 【形動】あべこべ
しっちゃごっちゃねー 【複】知ったことではない、知ったこっちゃ無い しっちゃごっちゃねー:福島。
そーたのしっちゃごっちゃねー:そんなの知たことじゃない。
しっちゃった 【複】しちゃった ★『土』:鎌(かま)何處(どこ)へ遣(や)っちゃったか分(わか)んなく仕(し)っちゃったんでさ。
★『土』:可怖(おっかね)え目(め)つきしっちゃつてな。
しっちゃね 【複】知らない、してはいない
しっちゃばぐ
◆▲しっちゃばく
しっちゃぶぐ
しっちゃぶく
【動】引き破く 『集覧:無記載』。
しっちゃばく:千葉・群馬・長野。
でーじなもんぎなのにしっちゃぶいちゃった:大事な股引なのに破けちゃった。
しっちゃばげる
しっちゃばける
しっちゃぶげる
しっちゃぶける
【動】破ける しっちゃばける:山梨。
しっちゃぶる 【動】破く しっちゃぶる:東京。
しっちゃべぐる
しっちゃべくる
【動】しゃべくる
じっちゃま
◆▲●じっちゃん
祖父 『じっちゃま』は三人称。他方は二人称・三人称。『集覧:鹿』。
じっちやん:福島。
しっちゃもんだ 【複】知れたものだ、大したものではない 『下物』(つまらないもの)が転じたか『知れたもの』の意味とも解釈できる。
しっちゃもんだ:福島。
つまんにもんしっちゃもんだっ:全く大したものじゃあないよ。
(しっちゃゆ) 【動】落ちる 鹿児島。
しっちゃらがす 【動】散らかす 『しっちらがす』の転
しっちゃる 【動】退く、引き下がる 『引き去る』意味。
しっちょー 出張 しっちょー:群馬。
A:あいづはさいぎん、ぜーぶんこげできたな。B:んだな、そーいばあいづ、きのー、しっちょーにでだしたど。A:ほんとがー?。あー、それはいーよーしっちょーだっな。/A:あいつ、最近随分痩せて来たな。B:そうだね。そう言えば、彼は、昨日出張に出かけたよ。A:ほんと?。それは、栄養出張(失調)でしょ。
◆▲しっちょー 【動】背負う 『しっ』は接頭語。『ちょう』は『背負う』の転。関東方言。『集覧:新』。
しっちょう:神奈川。
しっちょる:群馬。
しっちょー 七升 『集覧:西』。
しっちょびぐ 【動】無理に引っ張って行く、無理に連れて行く 『しょびぐ』の転。
しっちょる 【動】背負う しっちょる:群馬。
(しっちょーるー) 知り合い 沖縄。
しっちょる:知ってる:鹿児島。
しっとる:知ってる:関西。
じっちらい
じっちれー
お爺さんの家 じっちれー:千葉銚子。
しっちらがす 【動】ちらかす 『おっちらがす』『かっちらがす』『ひっちらがす』『ぶっちらがす』
しっちらかす:群馬。
しっつらがす:宮城。
ひっちらかす:埼玉・神奈川・鹿児島。
ひっつらかす:神奈川・鹿児島。
しっちらがる 【動】ちらかる
しっちらげる 【動】ちらかる 『集覧:北・新』。
(しっちらんかお) 知らん顔 神奈川。
じっちり
じっつり
【副】じっくり
しっちん 湿疹 『集覧:久』。
しっつぁがめっつぁが 【形動】しっちゃかめっちゃか、滅茶苦茶
しっつぁぐ
しっつぁばぐ
しっつぁばく
しっつぁぶぐ
しっつぁぶく
【動】引き破く
◆▲じっつぁま
じっつぁ
じっつぁん
祖父 『集覧:猿』。
じっつぇん 十銭 『集覧:猿』。当時の貨幣単位ではないが、『銭』を『つぇん』と言う言い方はまだ現役だった。本来は『じっせん』
しっつがめる 【動】捉まえる
しっつぐ 【動】引っ付く しっつく:静岡・鹿児島。
しっつぐむっつぐ
しっつくむっつく
【副】むっつり、心の中で考えていることをはっきり言わない様、しんねりむっつり しっつむっつ:子供が不満な様:山形。しっつむっつかえす:むずかる。
★『土』:おつ嵌()めんなもんぢやねえ、それ厭(や)だら錢(ぜに)出(だ)せよ錢(ぜに)、なあ、錢(ぜに)出(だ)さねえ積(つもり)すんの泥棒(どろぼう)より太(ふて)えんだな、西(にし)のおとっつぁ等(ら)躊躇逡巡(しっつくむっつく)だから、かたで:騙すような者じゃあねえ。それが嫌なら金を出せよ金を。金を出さねえようにするのが、泥棒よりずるいんだ。西の父さんなんか、しんねりむっつりだからな、全く。
しづっげー
しづっけー
しつっけー
しづっごい
しづっこい
しつっこい
【形】@しつこい、A味が濃い しつっけー:群馬。
しっつげる 【動】引っ付ける、しつける、備える
しって @鍬の柄の端、Aロープの端、杵を持つ時、体に近い方の手 『尻手』の意味。JR南武線に『尻手(しって)』駅がある。
しっでー
しってー
【形】酷い 『し』と『ひ』の混同+撥音便+連母音変形。
〜しって 【助】〜して
しっていない
しっていねー
【複】知らない 『知っている』の否定形だが通常標準語では使われない。
しってっとご 【複】知ってるところ どごにもしってっとごねー:どこも知ってるろころが無い。
しってっ
しってっ
しってっへ
しってっへー
【複】知ってるだろう しってっ:千葉銚子。
しってない
しってねー
【複】知らない 疑問形なら俗語で使われる。
しってない:神奈川。
しってねー:神奈川。
しってべ
しってべー
【複】知ってるだろう 『集覧:久』。古い言い回し。今なら『しってっー』
しってべ:神奈川。
しってら
しってらー
しってらい
【複】知ってるよ 『知ってるわ』『知ってるわや』。
しってらー:山梨。
しってらい:群馬。
〜しってる 【複】〜している
しってるふり 知ったかぶり 新しい言い方。
しってるっ:栃木。
しっと 落ち度、所為(せい) 『失徳』の意味。
しっと
しっとー
跡、痕跡 『集覧:行』。『尻跡』の意味か。
しっとー:茨城・長崎隠岐。
じっと
じーっと
【副】静かに 標準語では行動を押さえる意味だが、茨城方言では言動を諌める言葉。このような僅かな意味の違いは標準語と茨城弁の間だけではなく茨城県内の地域間にもある。
じっとぎ
じっとき
ジェット機
じっとすろ 【複】静かにしなさい 『集覧:猿』。
しっとり 【形動】濡れている様、潤っている様 『湿る』同源。
(じつなし) 【形】意気地なし 静岡。元『じくなし』か。
『術無し』(仕方がない。困る。切ない。)。とは異なる。
じっ 十羽、十杷 じっ:十羽:青森・千葉。
じゅっ:十杷:青森。
(じっ 【形動】立派 静岡。
しっぱが 【動】引っ剥がす
しっしより
しっしょり
(裾などを)手繰ること、しりっぱしより 和服を手繰って走ることなど今や有り得ないので『しりっぱしより』は死語だろう。
しっしょり:静岡。
しっばだぐ
しっだぐ
【動】引っ叩く 『ひっだぐ』
しっだぐ:宮城。
しったく:東京・静岡。
しょったく:神奈川。
しっ 七八 じゅーしっ:十七八。
しっ 出発 しっ:青森。
じっ
しっ
しりっぱね 雨の時にズポンなどに付くどろ水のこと。=『ひっね』
標準語では尻尾を『しっぽ』と言うのに何故か『しっね』とは言わない。
うっかりすると私自身『しっ』を使ってしまう。
しっ:福島・栃木・群馬・静岡。
:秋田。
しりっ:群馬。
すっ:福島。
:宮城。
しっねる 【動】泥がはねる
じっひとから どれもこれもあまり価値のないものとして、多数を一まとめに扱うこと。また、何もかも一緒くたにして扱うこと。 『十把一絡げ』。
しっらい 最後、終わり、しんがり 『尻払い・後払い』。
しっらい:福島・群馬。
しっれー:末っ子:神奈川。
しっらー
しっらう
【動】引き払う、片付けて去る 半濁音は濁音で発音されることがある。
しっれー:最後。《みんなが選ぶザしっれー
しっ 血縁 『ひっり』
しっ 【動】引っ張る、縛る
しっ 出費 偶然なのか『失費』(使った費用。ものいり。いりよう。)という言葉がある。
しっ しっぺ
しっ
しっ
漁具の一つ、叉手網に竹の柄をつけたもの 『叉手網』(さで網)の一種。
しっ @鍬の一種、A畝の間に次の作物の種を撒くために鍬を引いて溝を作ること 『しっ』+『引き』の意味。
しっきる 【複】上前をはねる 『しっきる』
しっ 【動】引く
しっぴげーし
しっぺげーし
しっぺ返し 『竹篦返し』(しっぺがえし、しっぺいがえし)。本来は『しっぺい』だが現代では語源は無視され『しっぺがえし』が標準語になっている。
しっぺげーし:神奈川。
(しっぁん) 鮪網 鹿児島。
『しび網』が訛ったもの。
しつびょー 疾病 間違いやすい誤読言葉。正しくは『しっぺい』。
(しっり) 野菜の下の方 東京多摩。
しっりかっ 知らんぷり 鹿島郡の方言。ごろあわせ言葉。
しっりかっ:しぶしぶ:千葉。
しっ 末席、びり
しっ 【複】@しよう、Aするだろう、B知るだろう @・しっ:福島。
しっ 拒絶 『竹篦』の意味が転じたか。
しっべー 役に立たないこと 『失敗』の意味が転じたもの。
しっ 尻ごみ 稲敷郡の方言。『尻引け』の意味。
しっぺげーし 竹箆返し 江戸言葉。
しっぺげーし:群馬。
しっべだ
しっ
しっ
尻、尻の面、端 しっ:長野。
しっ:野菜の下の方:東京多摩。『尻縁』の意味。
しっ:大根人参などの尻尾:山梨。
じっべだ
じっ
地べた、地面
しっ 尻尾 『集覧:久・猿』。今や『しりお』と言う人はほとんどいないが明治時代には望ましく無い言葉として考えられていたことになる。
『しりお』『しっに変化したのは、『尻つ尾』が存在したのではないかと思われる。
ひっ:静岡。
しっきり 上前をはねること
しっきる
しっをきる
【動】上前をはねる 『慣用句辞典』に『尻尾を切る(しっぽをきる):集金した金の一部や、釣り銭などを誤魔化す。』とある。
しっをきる:つり銭などのはした金を自分のものにすること:神奈川・静岡。
(しっり) 大根などの根の先 群馬。
この場合の『り』は『内裏』(だいり)などに代表される『内側・裏・中』の意味か。『裏』は『末』(うら)に通じ、奥すなわち『先』の意味になってもおかしくはない。
しつまる 【動】静かになる 『静まる』。
しつよー 必要 『ひ』と『し』の混同。
しつよー:神奈川。
じづら 地面、土地の面積、地面の形状 標準語では『字面(じづら)』が残るが地面に関する言葉は現代では残されていない。
この言葉は、建築業界では今でも使われる。『地面(じづら)』の意味。
(しつら) 【複】したろう 静岡。元『したずら』か、または、確信の推測の助動詞『し』に推測の助動詞『らむ』がついた『しつらむ』か。
〜しつらい 【助】〜しずらい
しつらいる 【動】設える(しつらえる)
〜しつれー 【助】〜しずらい
◎しで 幣束 『垂・四手』。
しで 松材の脂のあるもの。 『ひで』。
して 【接】【古】それで、さて、そうしたら 時代劇でも聞かれる古い言葉。辞書掲載語。
近世語に『してして:そうして』がある。
して:青森・山形。・
すって:青森。
してー 『し』と『ひ』の混同。
してー:群馬・神奈川・八丈島。
しでー 次第 〜しきゃー:山梨。『〜しければ』の意味か。
〜しっけー:山梨。
しで:鹿児島。
じでー 時代 じで:鹿児島。
しでー
してー
【形】酷い 『ひでー』
しでー:神奈川。
しどい:神奈川。
しとい:千葉銚子。
してー 【複】したい 俗語。
してー:神奈川。
〜して 【助】〜で 主に数詞につく。広辞苑には『【格助詞】そのことを行う人の数・範囲などを表す。〜で。』とある。
ひとりして:一人で。
みったりして:三人で。
みんなして:みんなで。
〜(さ)して 【複】 (作成中)
使役の助動詞『せる』の辞書や教科書には無い変則的な連用形。文語の受身・可能・自発・尊敬の助動詞『す』の連用形『し』に引きずられているのだろうか。さらに、『させる』も同様に『〜さして』と言う。
整理すると日本語の自動詞と他動詞の定義や表現にもかかわり、本来動詞の原型は自動詞であるべきものが、擬似自動詞の表現があったり、他動詞と使役形が混乱していることが解かる。例えば、『緩む』は自動詞だが、『緩まる』という言い方がある。もともとは『緩みにてある・緩みある』意味だろうが、一方では『緩める』という他動詞表現があり、さらに、使役形の『緩ませる』がある。
一方、『遣らかす』『たぶらかす』という動詞があるかこの場合の『かす』は助動詞であるべきだがそのような定義はされていない。
現代の助動詞は文語に比べかなり整理されて定義されているが、茨城方言の訛は、古語・文語の混乱期の流れをそのまま受け継いでいるためと思われる。言い換えれば、現代標準語は、明治に入ってから無理やり統一しようとしたことが伺え、それは時代の趨勢だったのだろう。
(五段活用)
・書かせて→書かして。
・泳がせて→泳がして。
・越させて→越さして。
・立たせて→立たして。
・思わせて→思わして。
・飛ばせて→飛ばして。
・飲ませて→飲まして。
・乗せて→乗して。
・有る:該当表現無し。
・死なせる→死なして。
・蹴らせて→蹴らして。
(上一段活用)
・着させる→着さして。茨城では『きらせる』と言う。
・煮させて→煮さして。茨城では『にらせる』と言う。
・居させる:居さして。茨城では『いらせる』と言う。
・起きさせる→起きさして。茨城では『おきらせる』と言う。
・恥じさせる:該当表現無し。茨城では『はじらせる』と言う。
・強いる:該当表現無し。
・延びる:該当表現無し。今では延ばすという。
・試みる:該当表現無し。
・悔いる:該当表現無し。
・懲りる:該当表現無し。。
(〜してあった) 【複】〜してしまった 神奈川。
現代語の『しちゃった』を連想させる言葉。原型は『してありたり』と考えられる。
(〜してあって) 【複】〜してしまって 神奈川。
〜しておぐなんしょ
〜しておくなんしょ
【複】〜しておくれなさい
〜してくいだが
〜してくれだが
〜してけーだが
【複】〜してくれたかい
〜してくいねーが
〜してくれねーが
〜してくんにが
〜してくんねが
〜してけーねが
〜してけーねーが
【複】〜してくれないかい 〜してくんにが:福島。
〜してける:〜してくれる:福島。
〜してくれろ
〜してくろ
〜してけろ
〜してけーろ
【複】〜して頂戴 〜してけろ:福島。
してーさぎ
してーさき
してーつぁぎ
してーつぁき
してーつぁーき
してーぇつぁーき
額の出張ったところ 『集覧:猿』。『額先』の意味。当時の『先』は体の部分の端部を指す意味でしばしば使われた。長音化・単音化は茨城弁の豊かで柔軟な表現の一つで、この言葉にそれがよく込められていると思う。
(〜してちょー) 【複】〜して頂戴 静岡。
〜しででだ
〜してでだ
〜してーでだ
〜してでーだ
【助】〜していた
〜しででで
〜してでで
〜してーでで
〜してでーで
【助】〜していて 標準口語(俗語?)の『〜してていて』に当たる。
してもの
◆▲してーもの
してもん
してーもん
単衣(ひとえ)のこと、浴衣 『集覧:新・猿』。
してもの:神奈川。
してーもの:八丈島・静岡。
しでがす 【動】為出かす、してしまう 濁音化。
(してまえ) 【複】してしまえ 神奈川。
東海方言の影響を受けたものとみられる。関東では『しちまえ』『しちめえ』である。
しでまづ 松材の脂のあるもの。 『ひで』。
しーてん 終点
(〜(し)てんから) 【複】〜(し)てるから 東京・神奈川。
じでんしゃ 自転車 濁音化。今、横浜市内の子供達の多くがそう言っているらしい。調べると日本広域の方言。『ちゃり・ちゃりんこ』等は今では俗語としてよく使われるが、茨城では昔は使われなかった。語源は、@ハングルの『チャルンケ』からきた、Aベルの『チャリン』という音からきた、B子どものスリを意味していたのが自転車の意味に変化した等の説があるという。
日本に自転車が伝わったのは江戸末期で、国産車が生産され一般化するのは明治末期だったので、以下のいずれも比較的新しい方言と考えられる。
特に、『けった・ちゃりき』等は漫画等を通じて広まったと見られる。
また『じでんしゃ』が全国に散在するのは、タ行音の第2音が濁音化する東関東方言・東北方言のエリアと、他県には発生の図式に差異があると考えられる。
以下の全国方言は、@自転車に由来するもの、A『ちゃり・ちゃりんこ』に由来するもの、Bペダルを踏む行為に分けられる。
ぐる:群馬。
けった:北海道・岐阜・名古屋・三重。
けったー:静岡。
けったくい:佐賀。
けったくいましん:佐賀。
けったりばいく:宮城。
けったましん:千葉・岐阜・名古屋。
けったりんぐましーん:名古屋。
かとばし:群馬。
じてこ:大阪。
じてんこ:札幌・東京。
じでんしゃ:北海道・福島・茨城・群馬・神奈川・静岡・福井・大阪・福岡・鹿児島。
ずでんしゃっこ:宮城。
ちゃりき:茨城西部・滋賀・大阪。
でてんしゃ:奈良。
どってんしゃ:鳥取。
どてんしゃ:広島。
ふんごくり:群馬。
ふんだらもーたー:広島。
してんにでん
◎してんにてん
してんみてん
互いに優劣のないさま、にたりよったり 『四天二天』。江戸時代の言葉。
してんにてん:平等:埼玉。
してんはってん
しちてんはってん
七転び八起き、様々な事があった様 『七転八起』(しちてんばっき)が訛ったか?。
しと 俗語か。
古くは『すと』の方が近い発音だった。新しい記憶ではハリーポッターに出て来る屋敷しもべのドビーがその名を口にしてはいけないヴォルデモートを指して『そのしと』とルビ入りで訳されていた。
しと:青森・秋田・福島・八丈島・静岡。
しど
しと
もち米・赤飯を蒸す時に後から加える水分 『湿』(しとり)の意味。古語の『しと』は尿を指す。
しと:打ち水:山形。
しとねる:湿らせる:山形。
しと 足跡、痕跡 『あしと』
〜しど
〜しと
【助】〜だって 『〜ちと』『〜ちど』。当時でも高齢者しか使わなかったことば。
んだしと:そうだって。
んだしとよ:そうだってよ。
しーど
しーと
しゅーど
舅(しゅうと) 舅・姑は古くは『しひと』と言い『しいと』『しうとめ』に変化した。現代形は『しゅうと』。古い言葉を受け継いでいる茨城言葉の一つ。
しーど
しーと
しゅーど
しーとおっかさん
しーとおふくろ
しーとかがさま
姑(しゅうと)
じとー 名子を使役した地主 『地頭』とは広辞苑に『江戸時代、知行所を持つ旗本。また、各藩で知行地を与えられ、徴租の権を有した家臣。主として東北地方で、名子(なご)を使役した地主。』とある。平安時代の荘園におかれた荘官とは異なる。江戸時代の方言。
しどい 【形】酷い 『ひどい』。
しといじり @ちょっと根回しすること、ちょっと作業をすること、A人をいびること 『ひといじり』。『いじり』は死語となった標準語。
しといもの
しといもん
単衣(ひとえ)のこと、浴衣
じーどー 柔道
(自動車) 30年代の農耕にはにはまだまだ牛馬が使われていた。
自動車を見ることができたのは、結婚式等の式典で使う黒塗りのハイヤーだけだった。30年代後半の農家の足代わりにもなったのは、耕運機だったが、間も無く自家用乗用車の時代になって行く。我が家に初めて乗用車がやってきたのは昭和42年で豊田(トヨダ)の中古だったバブリカを手に入れたのが初めで、すぐに黄色の日産チェリーに乗り換えた。

昭和33年の米寿の祝い

結婚式に使われた昭和37年の黒塗りのハイヤー
しとおさ 水田の1区画 『ひとおさ』
しとがだ
しとかだ
しとかた
しとっかだ
【名】@一人の人、【副】A一通り、B助力すること @Aやや古い標準語の『一方』(ひとかた)の濁音化。
B『一肩』。
しとがだぎ
しとかたぎ
しとかだげ
しとかたげ
1回分の食事 『片食』(かたき・かたけ)。
(しと 神前に供える餅の名 広辞苑に『しと【粢】:神前に供える餅の名。古くは米粉を清水でこねて長卵形としたものを称したが、後世は、糯米(モチゴメ)を蒸し、少し舂(ツ)いて餅とし、楕円形にして供えた。しとぎ餅。』とある。
シト・シツト・シトキ:餅:アイヌ語。日本語からの外来語。
しと:餅:青森・岩手。造り方・食べ方の差異はあるがルーツは同じだろう。
しと:おから:岩手。転用語か。
しと:祭りに作る餅:福岡。ルーツに近い意味。
しとくち ひと言 『一口』。
しときり 【副】ひところ。一時。 『一切り』。
しときり 【副】一時盛んであるさま、しばらく 『ひとしきり』。
しとーり 一往復 『返り』には『回数・度数を表す語。度(タビ)。かい。へん。』の意味がある。
(しとこっ 少しの間 神奈川。=『ひとこっ
『一小間』の意味か。
しとごろ
しところ
【副】一頃
しとごろ
しところ
『集覧:新』。江戸言葉か。
ふところ→ひところしところ
しところ:群馬・神奈川・静岡。
しとさし
しとさしいび
しとさしえび
人差し指
(自動三輪) 三輪自動車 法律上の扱いは知らないが、当時、特に商品販売用にしばしば使われた車で、ハンドルは自転車型で『ク』の字だった。曲がり角でしばしば横転していた。
しとしお @一塩、A一入、ひときわ
じどじど 【形動】湿った様 『じとじと』。
じとーしゃ 自動車
しとせ @一荷物、重い荷物、A一仕事、Bひとしお もともとは『一背』の意味で背負い籠で背負える1回の分量を言う。
B・しとっしょい:たくさん:静岡。
しとたな 薪の量の容積単位 『一棚』の意味。
しとだのみ 他人まかせ 『人頼み』。
しとたらし
しとったらし
一滴 『一垂らし』。
しとづ
しどっつ
しとっつ
一つ
しとっきり
しとしきり
【副】一時盛んであるさま、しばらく 『一頻り(ひとしきり)』。
しとっきり:東京。
しとっづも 【副】一つも、全く
しとっとし
しとどし
同い年 『ひとどし』
しとっだらぎ 一働き
しとっ 【動】湿気ている 足音便なら標準語。今や標準語世界で『湿っぽい』などと言ったら、通じないかもしれない。
しとっ:群馬・東京多摩・神奈川。
しとづまなぐ @1つ目(小僧、)、A俵を編む時の木製の鉤針 『一つ眼(ひとつまなこ)』。
A一つ目小僧のように見えるからだろう。
しとのじんせーはえろえろだ 【複】人の人生は色々だ
じーどば
じーとば
じーとばー
春欄、ジジババ 『爺と婆』の意味。当時は裏山(屋敷林)にいくらでも生えていた。がく片は緑色で花は白。今ではホームセンターに行かないと見られない。鹿島郡では『じーばー』、筑波郡では『じうとばあ』と言う。
しとだぎ 1回叩くこと
(しとばれる) 【動】悪ふざけする 東京多摩。
しとばん 一晩
しとばんじー
しとばんじゅー
一晩中
(「し」と「ひ」)の混同 茨城では『し』が『ひ』に変化する傾向があるが、逆のこともある。これは茨城だけではなく多かれ少なかれ他県にもあるものである。また東日本では『し』と『ひ』はしばしば無声音になるので、識別が難しくなるなるという事も考えられる。
東京では『ひ』が『し』に変化する。以下は東京方言の事例である。大正十年生まれ調布育ちの叔母の訛りは今でも健在である。
江戸時代の江戸では、言葉をわざわざひっくり返したり、『地口:俚諺(リゲン)・俗語などに同音または声音の似通った別の語をあてて、ちがった意味を表す洒落(シヤレ)。例えば、「着た切り雀」(舌切り雀)、「年の若いのに白髪が見える」(沖の暗いのに白帆が見える)の類。秀句(シユウク)。口合(クチアイ)。語呂合(ゴロアワセ)。』(広辞苑)も大流行したから、『ひおしり』の存在を考えると、最初は『粋な言葉遊び』だったものが、次第に定着したのではないだろうか。
こーしー:コーヒー。
:火。
しおし:東京。
しこーき:飛行機。
しこーち:飛行機。
しし:菱形。
しっこし:引越し。
しと:人。
しばし:火箸。
しばち:火鉢。
しびや:日比谷。
しゃっこい:ひゃっこい。
ひおし:東京。
ひく:敷く。
ひつこい:しつこい。
・ひゃっくり:しゃっくり。
しとぶづ 【動】もち米、赤飯を蒸す時に後から水分を加えること 『湿を打つ』意味。
しと
しとっ
(紙等)1枚、一片
しと 【形】湿っぽい しとらしぇる:湿らせる:山形。
しとたら
しとったら
一滴
しとまーり 一回り
▽しどみ
◎しどめ
草ボケ、しどめ 標準語。実を指して言う場合もある。
『俚言』には『くさぼけ野ボケコボケしとみ(陸奥)、ちくうめ(肥前)、じなし(常陸)。』とある。
しどめ:群馬・静岡。
(しとみず) 恥ずかしがること 神奈川。
(しとみずする) 【複】恥ずかしがる 神奈川。
しーとめ 古い言葉の『姑(しひとめ・しいとめ)』。
しどもど 【形動】ためらう様 しつもつす:躊躇する:青森。
しどもねー 【形】だらしない しどもなえ:山形。
しどあなえ:山形。
しどらぢもなえ:山形。
こしどもなえ:山形。
(しどらまどら) 【形動】怠ける様 岩手の方言。『しだら』に由来すると思われる。『しどもない』(@しまりがない。だらしない。Aたどたどしい。子どもじみている。)と言う言葉もある。
しとり しとること、しめり、うるおい 『湿』。
しとり 一人
しとりで 【副】一人で、ひとりでに、自然に しとって:静岡。
しとる 【動】湿気る 『湿気る』(しとる)。当時は当たり前のように使った言葉だが、今の標準語世界では『湿気る』(しける)しか通じないだろう。絶滅危惧言葉か。
『湿気る』と漢字が当てられているのが不思議でならない。
しとぼる:山形。
しとる:東京・神奈川・静岡。
しとんじぇ
しとんで
【副】一人で、ひとりでに、自然に しとんで:宮城。
しな 品質 『語源』には『@人や物の品格・品質。A品物・もの』とある。さらに、『B分かれる意味のシナ(級)の義、Cシナ(重名)の義、Dサマ(様)の転、Eシハナシ(皺無)の義、シナヤカナルに通じる。』とある。様々な文献があるが、本来は『階段状の地形を表す語』を示すとされる。
しな 中国 広辞苑に『支那:(「秦(シン)」の転訛) 外国人の中国に対する呼称。初めインドの仏典に現れ、わが国では江戸中期以来第二次大戦末まで用いられた。戦後は「支那」の表記を避けて多くシナと書く。』とある。『秦』は紀元前の中国の国家であり何と2千年以上も呼称を変えなかったことになる。英語の『china』も同様なのだろう。
昭和30年代の土浦でも、中国の呼称は『シナ』であり、ラーメンの主な呼称は『しなそば』だった。
しーな 実の入っていない籾。『粃・秕』。 『釈名』によれば、江戸時代には『しいね』とも言ったと言う。語源は『実無し稲』とされる。広辞苑には『粃・秕:殻ばかりで実のない籾(モミ)。また、果実の実らないでしなびたもの。』とある。
ただし『しいね』は広辞苑には『悪核・瘤』((シヒ(癈)ネ(根)の意) こぶ。)とある。『しいなし。しいなせ。しいら。しいだ。』とも言う。
しーな:未成熟:東京多摩。『雛(ひな・ひいな)』と混同したと見られるが『しいな』と同源の可能性もある。
しーな:成長の悪い痩せた子供:神奈川。
しーな:東京多摩・山梨・静岡。
しな:埼玉。
しーなだん:屑米の粉で作った団子:神奈川。
△〜しな 【接尾】その折、そのついで、〜がけ やや古い標準語。古形は『しだ』で『時』と当てられる。
けーりしな:帰りがけ。
でがげしな:出しな(出掛け)。
(しない) 死体 鹿児島。
〜しないちゃった
〜しないちった
〜しないんちゃった
〜しないんちった
【助】〜しなかった、〜し忘れてしまった、〜しそこなってしまった 『〜しないでしまった』。独特の古い言い回し。『〜しないにてありたり。』『〜しないでありたり。』『〜しないであった。』。
しなー
しなう
しなる
しのう
しのる
【動】@しなやかに曲がる、A萎れる 『撓う・撓る』。標準語。竹や弓などが曲がっても尚折れない様を言うが、日常生活ではほとんど使う機会が無くなってしまった。古語では『しなふ』。
一方、の古語は『しなゆ』と言う。『萎れる』意味もある。
形容動詞が動詞化したと見られる。
しなぐなんね
しなぐれなんね
しなげなんね
しなげれなんね
【複】しなければいけない 『やんなぐなんね』の方が古い言い回し。
しなくちゃない:宮城。『しなくてはなや』。
すなげね:宮城。『しなけれなや』『しなけれね』。
しなぐれる
しなげる
【動】しおれる、萎びる、しぼむ しなくれる:群馬・神奈川・長野・山梨。
〜しなげれや
〜しなけれや
【複】〜しなければ 現代語の『〜(しな)けりゃ』の古形。
しなこい 【形】弾力があって曲がる、なめらかに曲がる、しなやか、しなしな 標準語の撓う(しなう)』の形容詞形。『やっこい』とは意味が異なる。
しなこい:すじなどがあり噛み切りにくい様 :福島。
しなさって
しーなさって
しあさって(三日後) 今日を一日目と数えた四日後の意味の可能性がある。
しのあさって:千葉。
(しなさりんど) 【複】殺すぞ 沖縄。『死なさせあらむぞ』の意味か。
しなさんな 【複】しなさるな 古い俗語。
じなし ボケ 『地梨』。常陸言葉だが辞書には草ボケの別称とある。
しなしな 【形動】@柔らかく撓む様、しなやか、A乾いて萎えた様 @は標準語。
しょなしょなする:行儀良く歩く:神奈川。類義語に『じょなめく:なまめかしい様子をする。着飾る。』がある。
ちょなちょな:しなしな・なよなよ:群馬。
A・しなしな:しわくちゃ・ひからびる・しわぶくれ:千葉銚子。
しなそば ラーメン 『支那蕎麦』。
しなつぐ
しなつげる
【動】色っぽく振舞う 慣用句の『品を作る』(主として女性が色っぽい動作や様子を見せる)が転じたと考えられる。
しなをつける:群馬。
しなっこい 【形】弾力があって曲がる、なめらかに曲がる、しなやか、しなしな 標準語の撓う(しなう)』の形容詞形。『やっこい』とは意味が異なる。
しない:硬い:宮城。
しなこい:全国広域。
しなこい:硬い:宮城。
しなごい:ごわごわしている:三重。鼻濁音かどうか不明。
しなこえ:山形。
しなっこい:山梨・静岡・京都。
しなっこい:硬い:宮城。
しね:硬い:青森。
すなこい:なかなか噛み切れない様:山形・宮城。
すならっこい:硬い:宮城。
すね:なかなか噛み切れない様:岩手。
しなった
しなっちゃ
【複】死なれた
(しなってー) 【複】しないで 静岡。
しなっと 【副】しんなり 俗語と考えられる。
□しなの マメガキ。ブドウガキ。千生(センナリ)柿。 『信濃柿』。広辞苑には『カキノキ科の落葉小高木。野生の柿の一種で高さ約六メートル。果実は小さく、球形・楕円形などで、熟せば食用となるが、主に未熟のものから渋をとるために栽培する。材は建築用・器具用。東北・信越地方に多く栽培。マメガキ。ブドウガキ。千生(センナリ)柿。』とある。
しなはぢ
しなはち
すり鉢 『砂鉢』が転じたか。静岡でも『しなはち』と言う。『汁盤(しるのはち)』の意味も考えられる。中国から伝わったので『支那鉢』説もある。
当時の味噌は自家製で、麦と大豆がまるのまま入っていた。濾していないからで、すり鉢で一旦すり潰してから使った。そのため、すり鉢は『みそすりばぢ』とも呼んだ。
しなはち:静岡。
しなはる 【複】しなさる しなはんな:しなさるな:静岡。
しなびげる
しなびける
しなける
【動】しおれる、萎びる しなびける:岩手。
しなびでる
しなびてる
しなてる
【複】萎びている
しなびでる
しなびてる
しなてる
【複】古びている 『鄙びる』(ひなびる)の意味拡大と思われる。
しなびらがす 【動】萎びさせる すなびらがす:宮城。
しなびる 【動】萎びる、萎れる しなびる:岩手・山形・東京多摩・神奈川・静岡。
しーなびる:長野。
しなべる:青森。
しんなびる:静岡。
すなびる:宮城。
しなびっちゃ:萎れた・鮮度が落ちて萎れた。
しなびれる
しなぶれる
【動】しおれる、萎びる
(しなべる) 【動】調べる 静岡。
しなやが 【形動】なめらかに曲がる様 濁音化。
しなる 【動】しなやかに曲がる 『撓る』。=『しなう』。
しなる:埼玉。
◆▲じなる 【動】怒鳴る 古い言い回し。『集覧:久・多・猿』。=『がなる』
単にに怒って声を出す『怒鳴る』より、『地が鳴る』方が遥かに重く聞こえる。
ぎゃなる:山形。
じなる:岩手・福島・栃木・群馬。
しゃなる:山形。
ずなる:青森。
しなんだ 【複】しなかった 当時の高齢者の言い回し。
しなんだ:山梨。
じーなんたいそー 柔軟体操
しなんたろー クリケムシ 『白髪太郎』の転。
『称呼』には『武州の内にて毛虫の異名、信濃太郎といふ所多し。其心は六月信濃の方に出る雲をしなの太郎と云。此虫の黒き形其雲ににたりる故に名つくとぞ。』とある。オビカレハの幼虫は黒くないので、クスサンの幼虫を指す白髪太郎が訛ったと思われる。
しなんたろー:富山・石川・新潟。イラガの幼虫を指すこともあると言う。
じなんぼ 次男 ずなんべ:宮城。
◆▲じに 銭、お金 『集覧:行』。幼児語。
じに:福島。
じぬ:宮城。
じん:沖縄。
ぜね:青森・福島・埼玉・群馬・神奈川。
せね:埼玉。
しーにー
しーにゅー
しゅーにー
収入
しに 無駄金、あぶく銭 『死に金』。
しに 遺体 『死に殻』の意味。一般の辞書には無いが近世に使われた言葉。昭和30年代の茨城では一般的に使われた言葉。
しに 【副】思いっきり、沢山、死ぬほど しにりいっ:死ぬほど沢山。
しにぐ 朱肉
しにぐる
しんにぐる
【動】@つねる、ひねる、A皮肉る @・しに:山形。
しねる:山形。
じーにしちょー 十二指腸
しにせる 【動】真似をする 古い標準語。『仕似せる・為似せる』。
しにっぱぐ 死に逸れ、死にそこない しにっぱぐ:群馬。
しにつぼ 建坪が42坪の家。忌まれる。 『死に坪』の意味。一般には4間かける2間の部屋を言う。『死に間』とも言う。
しにば 臨終、死際 『死に場』。
じーにひとい 十二単、じゅうにひとえ
(しにる) 【動】痣になる 山梨。
しぬぐ 【動】遣り抜く 『為抜く・為貫く』。
しぬく:静岡。
じーね エゴマ 『国誌』には『じうね』と表現されている。
しねー 竹刀 しね:鹿児島。
しら:鹿児島。
しねー 【複】しない 俗語。
しぬ:静岡。
しねー:福島・神奈川。
〜しねー 【複】〜(し)もしない、〜(し)やしない 動詞の連用形につける。助詞の欠落。
やりしねー・やりゃしねー:遣りもしない。
しりゃしねー・しりしねー:知りもしない。
しねがった 【複】しなかった 東北弁の影響を受けた新方言。
(しねぐれ・しめぐれ) 悪戯 鹿児島。
(じねくれる) 【動】いらいらする、すねる 群馬。
〜しねげ
〜しねげれ
〜しねげれば
【複】〜しなければ 〜さねば:山形。
しねげなんねしねげれなんね
しねげればなんね
【複】しなければいけない 『やんなげなんね』
〜しねちった
〜しねーちった
〜しねーちゃった
〜しねっちゃった
【助】〜しなかった、〜し忘れてしまった、〜しそこなってしまった 茨城弁特有の言葉。
しねーこ
しねっこ
【複】しない事、しない約束 すねっこ:宮城。
しねで
しねーで
【複】しないで しなってー:静岡。
しんで:しないで:静岡。
せっと:広島。
せんと:関西。
しねる 【動】つねる 『捻る・拈る・撚る』の転。
じねんじょ 自生するヤマイモ 『自然薯』『自然生』。
じねんと
じねんに
【副】あるがままに、自然に 仏教用語の『自然(じねん)』。今でも天然のトロロイモの名称であるジネンジョ(自然薯・自然生)に残されている言葉。
じねーんと:徐々に:福島。
しーのー 収納 しの:鹿児島。
じーの
じーのー
十能、火掻き 当時の生活必需品。その名の通りかまどの作業全般に用いられるが、主として炭火を出し入れしたり、火を起こすのに用いた。小型のスコップのようなもの。
『称呼』には『じうのう:京にてをきかき、江戸大阪ともにじふのう。北陸道及因幡伯耆或は土佐にてせんばと云。奥州南部にてひかきと云。今按、遞火(ていくは)ひかきと訓す。』とある。
(しのこし) 難癖、難題 神奈川。
しのごの 【副】つべこべ 『四の五の』。あまり聞かなくなった標準語。高齢者言葉。
しのばち
しのはぢ
□△しのはち
すり鉢 『集覧:久・那』。砂鉢→しなはちしのばちと変化したか。
『国誌』には『汁盤(しるのはち)』の意味とある。確かに『汁』と『擦り』は音が似ている。東北では『汁』と『する』と言う。そうなると『汁』とはもともとは『摺ったもの』の意味なのだろうか。あるいは、『し』とは小便を意味する言葉でもある。すなわち液体を意味するのだろうか。
しのはち:静岡。
しのまぎ 木綿糸をとるときに用いる女竹の細い棒 しのまき::神奈川。
しーのみとり シイの実拾い シイの実は、当時は貴重な食料で、我が家には樹齢2〜300年くらいのシイの木が今でも2本ある。かつてはもう一本あったが、今は無い。木によって、随分実の形状の違いがあって、シイにも様々な樹種があることを知ったのは、建築設計を学んでから後である。
 上大津地区では手野町の東のはずれの台地の途端に庚申様が祭られていて、2〜300年は経つような二本の大きな椎の木の根本に社がある。庚申塔を祭った庚申塚に植えた椎の木が大きくなったものだが、当時の子供達にとっては社には興味が無く、秋になると2本の椎の木が実らせた椎の実が絶好のお八つ代わりになった。一番美味しいのは、フライパンで炒って食べる方法である。炒る場合は必ず蓋を付けないとはじけた時にどこかに飛んでいってしまうことがあった。蓋の中でつ』と弾ける音を聞きながら食べ時を決めた。
 今でも霞ヶ浦のメルセデス製遊覧船からその雄姿を見ることができる。
 シイの実が貴重な食料になっていたたことは、八丈島の民話『てごめ』にもある。
じのもん その土地の人
〜じは 【複】〜では 『〜でぃは』
じばあやめ ニワゼキショウ 帰化植物で、芝地でみかける。高さ20cm程度で超小型のアヤメのような紫色の花をつける。野山の雑草の中では高山植物に匹敵する愛らしさを持つ。
(しーばい) おしっこ 沖縄。
しばいし @芸人、A策を練る人、B人を騙す人 辞書不掲載。『芝居師』。『芝屋師』(しばやし)という言い方もある。標準語として定着しなかった言葉と考えられる。
しばきり 雑木を刈ること 『柴刈り』。
しは
しは
【動】遣りそこなう
じーばご
じーぼご
重箱 じょーばこ:長野。
ずーばこ:福島。
しばし 火箸 典型的な江戸言葉。
しばし:福島・神奈川・鹿児島。
しばしめじ ツチカブリ 調理法によって食べられるキノコ。
じばしり
じはしり
しり
農作業のうち補助的な作業またはそれをする人、職人の手伝いをする人 『地走り』の意味。手間のかかる作業ではないのでひたすら運搬等の簡単な作業をしたのでそう言うのであろう。標準語にないのが不思議なくらいの表現力のある言葉である。
じばしり:神奈川。
しーはすー 周波数
しはすさんや 12月23日のこと。 『師走三夜』の意味。この日の夜三夜尊にお参りすると1年間お参りしたことになる。
『師走』が『しはす』と発音されているのも興味深い。
◎しばすべり 草すべり
しばだぐ 【動】まばたく、(目にゴミが入って)まばたく、しょぼつく 『瞬く』(しばたく)。
しばぢ
しばち
火鉢 『集覧:無記載』。東京方言に代表される『ひ』を『し』と発音する方言。
じーばぢ 重箱 『重鉢』(じゅうばち)の意味である。茨城では器類を多く『鉢』と言う。標準語でも古くは飯櫃(めしびつ)を『御鉢』(おはち)や『飯鉢』(めしばち)と言った。また『お櫃』(おひつ)とも言った。また器類は『ぼち』とも言う。
『はち』と『ぼち』と『ひつ』は音通する。
じょーばち:長野。
(しーばち) 食を強いること 佐渡島。
じーはぢばん 十八番、おはこ、一番得意なこと
しばづがせる
しばつかせる
【動】まばたく、(目にゴミが入って)まばたく、しょぼつかせる 『瞬く』(しばたく)の他動詞形。
(しばっかーら) 芝原 静岡。
しはねる
しはねーる
【動】し始める 『はねる、はねーる』は『始める』意味。
しはにゃーる:山梨。
しはんねーる:山梨。
しばや 芝居 『集覧:鹿・久』。『芝屋』。辞書には『(シバヰの訛か) 芝居。また、芝居小屋。』とある。近世・明治期の言葉。
『芝居』は字のまま芝の上に居ることが転じて、見るものを指したと言う。
しばや:秋田・福島・群馬・東京・神奈川・静岡・鹿児島。
しばと:神奈川。
しばやぎ
しばやぎり
しばらやぎ
野焼き 『芝焼き』『芝原焼き』の意味。『やぎり』『やぎる』の名詞形。
しばらぐぶり 久しぶり 『しばらくぶり』の濁音化。
しばらくぶり:群馬。
しばらぐぶりだなー
しばらぐぶりだなや
しばらぐぶりだなやー
【複】久しぶりだなあ 挨拶言葉の代表。
しばらぐでがした
しばらぐぶりでがした
しばらぐぶりでがんした
【複】久しぶりでございました
しばらぐぶりでした 【複】久しぶりでした 土浦の代表的挨拶言葉。濁音化。
しばらぐぶりですねー 【複】久しぶりですねえ
しばらぐぶりでやした
しばらぐぶりでやんした
【複】久しぶりでした
しばり ヒバリ 江戸言葉。
しばり:福島。
しばり チカラシバ 轍の両側に見事に繁茂するので子供達はそれを結んで、通りがかりの人が引っかかって転ぶのを見て遊んだ。所謂『草縛り遊び』である。
【動】縛る
じばん 襦袢(じゅばん) 和服用の下着。
広辞苑に『ジバン【ポルトガル・襦袢】肌につけて着る短衣。はだぎ。垢取り。汗取り。じゅばん。』とある。
じばん:青森・秋田・東京・長野・静岡・鹿児島。
じばんこ:神奈川。
じばん
じはん
農作業用の上着
しび ひび、あかぎれ
しび 藁の穂のしん。打藁のくず。くずわら。 『しべ』。
しび:青森・埼玉・群馬・東京多摩。
しび マグロ
しーび ヘビ へび→ひびひーびしーび
しびー 【形】渋い しっか:鹿児島。
しっ:鹿児島。
しび:鹿児島。
じびぎ

じひき
字引、辞典
しびだ
しびた
(果実の)へた 『尻べた』の意味。
:宮城。
すびた:宮城。
:宮城。
じびだ
◆▲じびた
地面 『集覧:水』。
『じびた』は大辞林に掲載。一般には『じべた』と言う。
じびた:群馬・神奈川・静岡。
(しびった) 【複】しまった 静岡。
しびったれ けち、貧乏 『しみったれ』。『び』と『み』は音通する。
しびったれ:静岡。
しびたれ
たれ
しびったれ
弱虫、臆病者 『集覧:新』。『しみったれ』。『び』と『み』は音通する。
じびたら:ぐずぐずする様:東京三鷹。
しびったれ:福島・静岡。
すびたれ:山形。
しびど
しびどー
◎しびと
死人
(じびとい) 【形】無精な様 神奈川。
(しびとい) 【形】@無精な様、Aしぶとい 神奈川。
A・しびとい:静岡。
しびとぐみ
しぶとぐみ
アキグミ、ナツグミ
しびぶどん
しびぶとん
しびとん
藁布団 『しび』は『しべ』(藁の穂のしん、打藁のくず、くずわら)のこと。当時の農家の生活はまだまだ貧しく、藁布団から綿布団にやっと切り替わった頃だった。冬場は2枚の敷布団のうちの下の布団はまだ藁布団だった。藁布団は、綿布団のように柔らかくないのでうまく畳むことができなかった。
しびぶとん:千葉。
じひ
じぇひ
【名】是非、【副】どうあっても。きっと。 是非→じぇひじひ
じひもない
じひもねー
じぇひもない
じぇひもねー
【複】是非も無い
しびょーいん 隔離病院、伝染病院 『避病院』。
じびら
じびらき
地響き 『じぶる
じびら 【動】地響きがする 単に響く場合は『ひびらと言う。
しびり しびれ 近世語。『痺れる』の古形は『痺る(しびる)』(自下二)なので理屈の上ではおかしな言い方である。
しびれる 【動】@かじかむ、A困る、ひどい目に合う @北海道では『しばれる』と言う。古い言葉に『疼ぐ(ひひろぐ)』『疼く(ひびらく)』(ひりひりと痛む。うずく。)がある。
A単に『痺れる』意味が転じたもの。
しびれっちゃーよ:参ったよ。
B・しびれる:体が部分的に冷たい様:神奈川。
しびる 【動】痺れる 『痺る(しびる)』(自下二)。
あししびっちぇたざんね(当時の高齢者の言い方):足が痺れて立てない。
あししびれでたでねー(当時の一般的な言い方):足が痺れて立てない。
しびれぎる
しびれげる
しびれげーる
【動】しびれる、長く待つ
しびれすり 当時の子供の遊びの一つ。成熟していない青いうちの山椒を口に入れて噛むと辛さを通り越して一次的に舌が痺れるという単純な遊び。経験の無い方にはお勧めの遊び。
しびわら くず藁
(しぶい) 冬瓜 沖縄。
しぶい 【形】けちな様 『渋い』。
現代では『渋い』は味を意味する言葉に絞られつつある。動詞形は『貸し渋り』があるようにまだまだ健在である。る。
広辞苑には『渋い:@渋柿を食べた時のような舌を刺激する味がある。A声などが、なめらかでない。Bはでやかでなく、おちついた深い味がある。C不平そうである。にがりきっている。D金品を出し惜しむ。けちである。』とある。
また、『渋る』『絞る』は同源の可能性がある。
しぶい:東京多摩・静岡。
しぶおどし 田植え後の茶会 『渋落とし』。
しぶおとし:千葉。
しぶかー
しぶかし
しぶかす
しぶっかす
そばかす、あばた 『集覧:多・新・稲』。『そばかす』が訛ったのではなく『渋粕』の意味。
しぶきわら 豆等を干す時筵の下に敷く藁 語源不詳。土浦市の方言。
しぶぐ
しぶく
【動】しぶきが飛び散る、雨混じりの風が吹き込む 『繁吹く・重吹く』。濁音化。
しぶぐみ アキグミ、ナツグミ
しぶぐる
しぶくる
【動】渋る、滞る しぶくる:陰気に怒る:神奈川。
しぶくる:静岡。
(じぶくる) 【動】@理屈をこねる。Aすねて怒る。 広辞苑に『じぶくる:理屈をこねる。すねて怒る。じぶっくる。』とある。
@・じぶくる・じぶる:神奈川。
A・じぶくる:ぶつぶつ不平を言う・理屈をこねてふてくされる:東京。
じぶくれる:ふくれる:群馬・東京青梅・神奈川。
Bその他。
じぶくる・じぶる:泣く・むずかる・いじくりまわす:神奈川。
じぶんいばり:威張ること:神奈川。
じぶぐれ
じぶくれ
じぶぐれやま
じぶくれやま
地面が盛り上がった様、丘、古墳、塚 『地膨れ』の意味。
『俚言』には『ちぶくれ:たて林にて塚をいふ。』とある。
しぶぐれる 【動】ふくれる 『渋る』の転。
じぶくれる:群馬・東京三鷹。
しぶげる 【動】渋る
しぶごみ 藁屑 『しべ』+『塵』。
しぶだ
しぶた
鉄分のある田、赤い田
しぶだみ @布地が古くなった様、A手ぬぐいなどの色が変わって古くなったっ様り 『しぼだみ』。土浦市。
『しみったれ』に繋がる言葉。『み』はもともとは『め』と思われ、物を指す接尾語。
しぶたれ
しぶったれ
@けち、物惜しみ、A▲臆病 『集覧:新』。『しみったれ』。『び』と『み』は音通する。また、『しみったれ』に対して動詞『渋る』を起源とした『しぶったれ』が生まれるのは自然である。
@・しぶたれ:福島・三重。
しぶったれ:福島。
しぶたれる
しぶったれる
【動】物惜しみする 『しみったれる』。
しぶたれる:やつれる・みすぼらしい姿である:青森。
しぶちん けち
しぶっかー あばたのある顔
(しぶっけない) 【形】気が進まない、乗り気がしない 宮城。『渋っ気なりや』即ち『気が渋る』意味か。
しぶっこい 【形】渋い しぶったい:群馬。
しぶってー:群馬。
しぶっとい
しぶってー
【形】しぶとい
しぶづら
しぶつら
しぶっつら
不満足らしい顔つき。にがにがしい顔つき。しぶめん。 『渋面』。
しぶっつら:静岡。
(しぶつら・かぶつら) 痘痕顔 長野。
しぶど
しぶと
死人 しぶと:群馬。
しぶどい
とい
しぶとい
しぶとくせー
【形】しぶとい、強情 しびとい:神奈川。
すびどい:宮城。
じぶり 長雨、本降りの雨 『地降り』の意味と考えられる。
じぶり:山梨。
しぶりしぶり 【副】しぶしぶ、しぶりながら
しぶりっ 便秘 『しぶりばら』『ふんづまり』。いずれも今では死語に近い標準語。
(しぶる・しぶい・しぼい) 【動】絞る 鹿児島。
じぶるい
じぶるえ
じぶる
地震 『地』+『震え』(『ぶる)。『ぶるは、『振う』『震ふ』の擬似名詞形。『ぎ』は濁音・鼻濁音。
茨城では『貧乏揺すり』を『びんぼーぶるい』『びんぼぶる・びんぼーぶると言う。
標準語では古くは揺れることを『揺るぎ』とも言い、『ぶるい』(震え)と『ゆるぎ』のミックス語ともとれる。標準語の口語でも震えるを『ぶるう』と言うことがある。明らかに『震ふ』が濁音化したものである。
『ぶる『ふーるぐ』(篩う)の名詞形である。ここで『震ふ』『篩う』『振う・揮う・奮う』等の動詞は、もともと同源で、後から詳細な意味毎に漢字が当てられたと考えられる。その意味からこの言葉は茨城特有の言葉ではなく、古い時代の言葉の流れと考えられる。言い換えれば、震える様を示す『ぶるぶる』の名詞形であり、ここから動詞形の『ぶるう』の存在が説明できる。
ちなみに、古い茨城方言で、底を削ったベイゴマは、『ぶる』と言った。『ぶるぶる』と震えながら回るからである。
この言葉は何故か『民俗』には無い。
地震の古語は『ない・なえ』である。
じぶん 時期、節、適当な頃合 やや古い標準語『時分』。
じーぶん 【副】【形動】十分
(しーぶん) おまけ、サービス 沖縄。
(じぶんいばり) 威張ること 神奈川。
じぶん
じぶん
じぶん
自分、自分のもの、自分のこと じぶ:宮城。
(しーぶんぐわー) おまけ、サービス 沖縄。『添え分が(もの)』の意味か。
しーぶんし 新聞紙 なぜか『しんぶんし』がまともに発音されなかった。
しーぶんのひ 秋分の日
じぶんよー 日常生活の身の回りの処理(食事、用便、入浴) 『自分』の『用』。
(しべ) 痺れ 鹿児島。
しべ
しべー
【複】@しよう、やろう、Aするだろう 『集覧:行』。『しべい』。江戸言葉。『浮世風呂』にもある。
しべー:東京三鷹・東京青梅・神奈川・静岡。
はいぐしべ:早くしよう。
〜し 【複】〜だろう 『〜す
『候』の転じた『す』『し』に転じにがついたもの。広辞苑に『す【候】:サウラフ(候)の略サウのさらに転じたもの。閑吟集「嵐では無げに―よの」』とある。
なんだし:何だろう。
じべだ
◆■▲じべた
地面 『集覧:水・猿』。『じべた』が方言と思われているのが興味深い。
じべた:群馬・東京・神奈川。
じべった:群馬。
つぢま:山形。
しべた (果実の)へた
じーぼこ 葬式
しぼだみ @布地が古くなった様、A手ぬぐいなどの色が変わって古くなったっ様 『しぶだみ』。土浦市。
『しみったれ』に繋がる言葉。『み』はもともとは『め』と思われ、物を指す接尾語。
しほーでー 仕放題 しほーけー:神奈川。
しほーもぢ 四方餅 建て前の際に、家の四隅の四方柱付近から一つずつ撒く少し大きめの餅のこと。
(しぼりだし) チューブ入りの絵の具 神奈川。
広辞苑に『搾り出し:金属・ビニール製の管に納めた絵具や練歯磨などを、管の一端を圧搾して、口から捻り出すもの。チューブ。』とある。
しぼりっかす 必要なものをしぼりとった残りのかす。 『絞り滓・搾り滓』。
しぼる 【動】@きびしく責めたてて、油汗の出る思いをさせる。きつく叱る。Aきびしく訓練する。きたえる。 『絞る・搾る』。
しま
しまー
しまう
【動】とりかえしのつかないことになる、しそこなう 現代標準語では、単独で用いることはなく、複合語で使うことが多い。『しまった』という言い方だけが残っている。東北でも『しそこなう』意味で『しまる』が使われる。
ばーいによっとしまーごどになっかもしんね:場合によるととりかえしのつかないことになるかもしれない。
しーまい シュウマイ 崎陽軒のシュウマイは正式には『シウマイ』である。
しまいいー 【形】@整理が良い、A扱いやすい
しまいっこ 末っ子 しまいっこ:東京青梅市。
しまいのはで
しめーのはで
【形動】最後、終わり 類似語の繰り返し。現代語で言えば『終わりの終わり』だが、『仕舞いの果て』には、詩情を感じる。
しまう 【動】終わる、片付ける、(収納などに)入れる 標準語。『仕舞う・了う・終う』。
しもた:済んだ・終わった:宮崎。
しもたる:壊す:三重。
しま シマガヤ
(しま) 泡盛 沖縄。
(しまぐち) 琉球方言全般 沖縄。
(しまさば) ビーチサンダル 沖縄。
しまだれ 暇つぶし 『ひまだれ』とも言う。『暇足り』の意味。北茨城郡の方言。
しまだれ:山形。
じまづ
じまつ
しまづ
しまつ
@始末、整理、A倹約 @・しんまい:静岡。
なんだこれこのしまづー:なんだいこの始末は。
A『始末』。清音は近世語。広辞苑に『浪費せず、つつましいこと。倹約。』とある。『じまづ』『民俗』に東茨城郡の方言とあるが、土浦市でも使われた。
古い言葉に『始末人・始末屋』(倹約を主とし、万事につづまやかな人。倹約家。)がある。
じま:宮城。
じまたい:物を大切にすること・幾分吝嗇の意味あり:岡山。
しまつ:東京。
じまづい
じまづいー
しまづい
しまづいー
【形】@整理が良い、A扱いやすい、B倹約する
しまづつかねー 【複】片付かない、けりがつかない しまつがつかんほど:沢山:島根。
しまづする
しまつする
【動】@片付ける、整理する、A倹約する 清音なら標準語。ただし、Aは近世語。
しまづにおいねー
しまづわりー
しまづわれー
しまづになんね
しまづんなんねー
【複】【形】始末が悪い、手に負えない、始末に負えない 良く使われる言葉。
すまづわれ:宮城。
あそごのがぎめらでははーしまづになんね:あそこの子供達では、もう手に負えない。
じまづり 地鎮祭 『地祭り』の意味。
じまつり:神奈川。
(しまないちゃー) 沖縄方言のわからない沖縄人、沖縄に住んでいる本土の人 沖縄。
沖縄では人を示す接尾語は『ちゅ・ちゅー』と言うが、この言葉は八丈方言に似ている。
(しまにーびち) できちゃった婚 沖縄。
じまま 気まま、わがまま 『自儘』。
(じーまみ・じーまーみー) 落花生 沖縄。『地豆』。
しまりや 倹約な人。しみたれな人。しまつや。けちんぼう。 『締り屋』。
しまりや:東京。
(じまわり) その土地に住みついている者。特に、遊里や盛り場に住んでうろつきまわるならず者。 『地回り・地廻り』。
じまわり:東京。
(しまんちゅ) 島の人 沖縄。
標準語の『中』は、『なかまうち』の意味である。茨城方言では『手合い』(連中。なかま。たぐい。)に当たる『〜てー・〜てー・〜てえー』が使われる。八丈島では『しゃ・しゃー・ちぇー』が使われる。が、『中』と『手合い』、『衆』は漢字が当てられてしまったために、現代ではまったく別の言葉に見えるが、ルーツは同じと思われる。
じまんらしい 【形】誇らしげな様 標準語と区別しにくい微妙な表現。『自慢たらしい・自慢臭い』という言い方もある。『自慢であるらしい』意味なら標準語。石川でも使われる。標準語の『誇らしい』と同じ表現。
じまんらしぐゆーんだいなー:自慢げに言うんだよねえ。
しみ あざ、褐色の色素斑 『肝斑』。
(しみ) 日本語の『しみ』の代表語は『染み』『凍み』『衣魚・紙魚・蠧魚』が当てられている。
(1)『染み』とは『@色や香りがしみこむこと。また、しみこませて色や香りをつけること。また、そうしたもの。A染み汚れること。また、その部分。汚点。B(「肝斑」とも書く) 皮膚に現れる茶褐色ないし濃褐色の平面的斑紋。』とある。
(2)『凍み』とは『こおること。こおり。』とある。関連語に『凍み豆腐』がある。
(3)『衣魚・紙魚・蠧魚』とは、『(体形が魚に似ているので「魚」の字を用いる) シミ目(総尾類)シミ科の原始的な昆虫の総称。体は細長く無翅。体長約一センチメートル。体は一面に銀色の鱗におおわれ、よく走る。衣服・紙類などの糊気あるものを食害。ヤマトシミ・セイヨウシミなど、世界中に分布。しみむし。きららむし。』とある。
(しみ) こおること。こおり。 佐渡島。『凍み』。
(じみ) 【形動】健康な様 宮城。広辞苑に『滋味:@うまい味わい。A滋養のある食物。B物事の豊かな深い味わい。』とある。
じみじみとした:健康そうな。
(しーみー) 清明祭 沖縄。
広辞苑に『清明祭:沖縄地方で、旧暦三月の清明節に一族そろって祖先の墓参りをする行事。士族の間で中国伝来の行事として始まったとされる。御清明(ウシーミー)。』とある。
しみかす しみ、そばかす
しみごもる 【動】物の中まで冷える 『凍み込む』意味。
しみこーる 【動】硬く凍る、凍りつく 『凍み氷る』。
しみこん コンニャクの根茎を薄く切って凍らせた後天日乾燥させたもの 『凍みこんにゃく』のこと。
かつて全国の寒冷地で生産されていたものだという。2008年、茨城県下で唯一生産していた農家が一軒あったのを最後に絶えてしまったという。
しみこん:静岡。
しみじみ
しみーじみ
【副】@しんみり、A心に意思がある状態、しっかり、きちんと、しゃきっと、真剣に、B心に染みるように十分に満足した状態 広辞苑に『しみじみ:@深く心にしみるさま。よくよく。つくづく。徒然草「月の色も一きは―と見ゆるぞかし」。「―とした風情(フゼイ)」「―親の恩を感ずる」A静かに落ちついているさま。しんみり。』とある。
@標準語。
A標準語の意味が若干変化したものと考えられる。『心に滲みるようにさせて事を行う様』の意味と言える。
しみじみ:千葉銚子。
まっとしみじみしろ:もっとしっかりしろ。
Bは標準語の『しみじみ』に近いが、例えば『しみじみ食った』というような語法はない。しかし、間違いなく語源は同じと思われる。標準語では『しみじみと感じた』とか『しみじみと語り合う』というような語法に限定されている。千葉県でも同様の言い方をする。
さらに県下には、『ぴったり、すっきり』(言い換えれば心に滲みるようにぴったりしたり、すっきりしたりする意味。)の意味や、『親身になる様』(心に染み渡るような気持ちになる意味。)で使う地域があり、いずれも『心に滲みる状態』を意味した言葉と考えられる。言い換えれば、標準語の『しみじみ』は、受身的な表現だが、茨城では能動的な意味に拡大して使っていると思わる。
ちなみに、文語・古語の『滲む』の他動詞形には、『@心に深く刻みこむ。思いつめる。A(主に「…に心を―・む」の形で) 心をうちこむ。心を奪われる。』(広辞苑)の意味がある。ここに、茨城方言の他動詞形のルーツがあると思われる。すなわち茨城方言の『しみじみ』とは、言わば『滲み滲み』すなわち『滲みて滲みて』の言い回しで、古語の意味を残している言葉と考えられる。
一方、『みしみし』という言葉がある。標準語では、『@物を動かしたり取り壊したりするさま。また、その音。A板などの物がきしむ音。みしりみしり。Bひとつの物事を十分に行うさま。みっちり。』(広辞苑)の意味である。Bの意味は、現代標準語ではほとんど使われないが、茨城ではそれを『みじみじ』と言う地域があることから、茨城方言の『しみじみ』は、『みしみし』が音位転倒した可能性も捨て切れない。
しみじみしねー 【複】@はっきりしない、しっかりしていない、A満足できない
しみじみする 【複】@親身になる、Aしっかりする
しみず シュミーズ 死語となった言葉。
しみず @泉、A湧き水 『清水』。
『清水』とは標準語ではわき出る清い水を指す。
『泉』は、広辞苑には『(出水の意)地中から湧き出る水または湯。また、その場所。』の意味とある。『語源辞典』では、単に『出水(いでみ)』としているが、『み』には『場所』の意味があるので、広辞苑の『湧き出る水または湯の場所』の解説は適切であると思う。すなわち『(水が)出る場所』の意味である。
土浦市の手野地区では、かつて田圃のあちこちで清水が沸いていて、その場所は、水面が少し盛り上がっているので解った。子供達はその場所を知っていて、魚とりをしているうちに喉が渇くとその清水を飲みに行った。口を近づけると少し泥臭い臭いがしたが、特に腹を壊すこともなかった。
今、清水が沸くような場所は、都会ではまず無い。昔は、自然が形成した水道(みずみち)があったはずだが、土木や大規模な建築によって水道(みずみち)が絶たれて無くなってしまったのだろう。
『清水』の語源は、@スミミズ(澄み水・清水)の略転、Aシミ(凍み)ミズ(水)の転か とある。ちなみに、『氷水』は古くは『ひみず』と言ったという。茨城では『染み出てきた水』を『しもりみず』、『しみ出る、雨漏りする』を『しもる』と言う。現代語の『染みる・沁みる・浸みる』の古語は『染む・沁む・浸む・滲む』である。『清水』とは、『滲み出す水』すなわち『滲み出ずる水』意味も語源の一つに成り得るのではあるまいか。
@・しっこ:青森。
しみず:千葉。
Bその他。
しみず:日陰:神奈川。『日見ず』の意味か。
しみず 湿地 湿地は多く清水が湧き出ているところが多く、場所を指す意味に転じたのではないかと思われる。『滲み処』の意味か。稲敷郡・鹿島郡の方言。
しみず サワガニ 当時は、家々の間を流れる生活排水溝(みーこ)でも見かけることがあった。
しみすかり 郷土料理の一種 2月の初午の日に作る。
もともとは、『すみつかり、すむつかり』と呼ばれたとされ、『すむつかり』は『酢憤』と当てられる。
広辞苑には『すむつかり:おろし大根に炒大豆を加え、酢醤油をかけた郷土料理の一種。今では、栃木県地方などに「しもつかれ」の名で遺され、さらに、塩鮭の頭・大根・人参・酒粕などを加えて煮た料理。初午(ハツウマ)の嘉例に道祖神に捧げ、また自家の食用とする。』とされる。
しみぞら 今にも雪が降りそうな空 『凍み空』の意味。
しみだれ
しみたれ
しみったれ 『集覧:新』。現代では『しみたれ』は使われない。
広辞苑には、『@吝嗇(リンシヨク)なこと。けちなこと。また、その人。しみったれ。A意気地のないこと。また、その人。嬉遊笑覧「―はもと塩垂なるべし。泣ことをいへり」Bみすぼらしいこと。また、その人。』とある。
この言葉には漢字が当てられていないが、『凍み垂れ』の意味ではないかと思われる。
しみづがる
しみつかる
【動】(味が良く)染みている 『染み着く・沁み着く』の自動詞形。
しみつかれ 郷土料理の一種 2月の初午の日に作る。
もともとは、『すみつかり、すむつかり』と呼ばれたとされ、『すむつかり』は『酢憤』と当てられる。
広辞苑には『すむつかり:おろし大根に炒大豆を加え、酢醤油をかけた郷土料理の一種。今では、栃木県地方などに「しもつかれ」の名で遺され、さらに、塩鮭の頭・大根・人参・酒粕などを加えて煮た料理。初午(ハツウマ)の嘉例に道祖神に捧げ、また自家の食用とする。』とされる。
しみづぐ
しみつく
【動】@(味が良く)染みる、Aくせになる 『染み着く・沁み着く』。
おめはやー、そおたりょーけんからだにしみづいでんだねーのげー:お前はねえ、そんな了見が体に染み付いているんじゃないのかい。
しみづける
しみつける
【動】(味を良く)染ませる 『染み着く・沁み着く』の他動詞形。
(しみっい) 【形動】馴れ馴れしい 静岡。
しみったぐれ 【慣】罵倒語 『しみったれ』と『へったくれ』を合わせた造語のような訛。
しみったれ 【形動】@しみったれ、けち、貧乏、A弱虫、臆病者 『集覧:新』。
この言葉には漢字が当てられていないが、『凍みっ垂れ』の意味ではないかと思われる。
@・しみったれ:東京。
しみっつぉら 今にも雪が降りそうな空 『凍み空』の意味。
しみどーふ 高野豆腐 『凍み豆腐』。
しみどーふ:青森・岩手・宮城・福島・群馬・埼玉。
すみどーふ:宮城。
じみょー 寿命 じみょー:群馬・八丈島。
しみる 【動】@染みる、(液体などが)染み通る、A(液体などが)染み通って濡れる 標準語。『染みる』、中には『しゃみる』、『しゃみでる』と発音する人がいたがメジャーではなかった。『(液体などが)染み通る』意味の場合は死語。『湿る』との混同もあるかもしれない。
しみる:群馬。
しめーる:静岡。
すみる:山形。
すもー・すもる:宮城。
あまがっきれで、ふぐがしみちゃった:雨合羽が切れて、服が濡れちゃった。
◎しみる 【動】@凍る、身がひきしまる、A野菜や穀物が凍害を受けて腐る 『凍みる』。
しばれ:霜焼け・雪焼け:青森。
しばれる:冷え込む:北海道・青森・岩手。
しびる:高知。
しみてまる:凍ってしまう:青森。
しみる:東北全県・福島・茨城・栃木・群馬・佐渡島・新潟・富山・長野・山梨・静岡・岐阜・島根。
しみる:冷え込む:埼玉・長野。
しゃ:こごえる:長野。
すみる:岩手・山形・宮城。
しみる 【動】しみ出る 『しみでくる』
じむ ヘビの1種のジムグリ 『地潜り』。別名『アズキヘビ・ツチムグリ』。
標準語読みは本来ならば『ジモグリ』のはずだが何故か『ジムグリ』である。このことから潜る意味の『むぐる』が古い言葉だと解る。調べると『むぐる』と発音するのは近世(江戸時代)にあった。辞書の中には『もぐる』が訛ったとしていないものもある。幼蛇の頃は赤地に黒の綺麗な斑紋があるのでヤマカガシを『ジムグリ』と呼ぶ地域もあるようである。また、さらにアオダイショウやマムシを指すこともある。
じむし @ニラムシ、A甲虫類、コガネムシの幼虫 『地虫』。@は鹿島郡の方言。A死語となった標準語。
広辞苑には『土中にすむ虫の総称。また、特にコガネムシ科の甲虫の幼虫。体は円筒状、C字形で、尾端が曲っている。頭部は赤褐色、胴は大部分白色、尾端は灰黒色。土中にすみ、植物の草根を食害。すくもむし。ねきりむし。入道虫。』とある。
『俚言』には『ぢむし:「本草啓蒙」:かっとうむし(播磨)、あまめ(紀伊)、ねきりむし(仙台)、ことことむし(加賀)、こえむし(肥前)、しくじ(尾張)、にうどう(阿波)、入道虫(土佐)、どんが(若狭)、つぼむし(薩摩)、からすのはは(和泉)、のけだ(周防)、うしのしたのうばきぜう(筑前)、うまのくそむし(筑後)』とある。
じむじむめ セミ
(しむち) 書物 沖縄。
しむる 【動】しみ出る 『滲み漏る』意味。
しめ
しめー
終い、おわり 『しめえ』は典型的江戸言葉。
終わり→終い→しめーしめ
しみゃー:静岡。
しめ:鹿児島。
しめー:群馬。
しめ
しめー
【複】しないだろう 『しまい』。『しめえ』は典型的江戸言葉。
〜しめ
〜しめー
【助動】@〜させてしまえ、A〜してしまえ 動詞の使役・命令・完了形の助詞の一つ。例えば『探す』の使役形は『探させる』であるが、茨城弁の使役形は『させる・ささせる』、使役・命令形の『させろ・ささせろ』、使役・命令・完了形の『ささせっちぇー』『さっしめー』となる。=『〜ちめ』
また、古い助動詞『しめる』の変化したものとも思われる。
@★やらっしめー:やらせてしまえ。
A広辞苑に『しめ:【助動】(室町時代口語。助動詞シムの命令形) 本来は他の人の動作を敬意をもって促し望む意を示すが、狂言などでは同輩間や主人が下僕に命ずる時などに用いることが多い。…なさい。狂、木六駄「それならばもう一つ飲うで味を覚えしめ」』とある。ただし、茨城方言の場合、即音便を伴う。
しめかす 大豆や魚等から油を絞った後の粕 『搾滓・〆粕』。多くは飼料や肥料に使う。
すめかす:鹿児島。
★『土』:〆粕(しめかす)で作(つく)っからよ。
▽しめし @おしめ、おむつ、A濡らすこと、水気を与えること 古い標準語。当時の茨城では『おしめ・しめし』を使ったが『おむつ』はマイナーだった。『むつき』とも言い、広辞苑に『むつき【襁褓】:@生れたばかりの子に着せる産衣(ウブギ)。A子供の大小便を取るために腰から下を巻くもの。おしめ。おむつ。Bふんどし。たふさぎ。』とある。不思議な現代語の『おむつ』は元『むつき』だったようである。1月を指す古語『睦月』は、元『むつびづき・むつびのつき』だそうだから、『睦月』と『むつき』は元はなんらかの関係があったと見られる。
@・したし:鹿児島。
しみし:青森。
しめし:神奈川・佐渡島・山梨・静岡。
しめしつかねー 【複】示しがつかない 江戸言葉。
しめしつかねー:群馬。
(しめす) 【動】@ぬらす。うるおす。しめらす。A(水にぬらして消すことから) 火を消す。吹き消すことにもいう。B(筆をぬらすことから) 手紙などを書く。(広辞苑) 『湿す』。
A・しめす:東京。
しめだる 結納、婚約が成立した時の宴会 『〆樽・注連樽』の意味。全国的にあるもの。もともとは、婚約が成立したときに仲人が嫁方に持ち込む酒樽のこと。
この場合の『しめ』は『注連縄』の『しめ』と同じで、『占める』すなわち独占する意味がある。
しめだる:長野・福井。
しめーっこ 末子 しめっこ:神奈川。
しめーっこ:埼玉・東京青梅・神奈川。
しめーっれー:神奈川。
しめれー:神奈川。
しめっ @しめりけがある。じめじめする。A気分が沈んでいる。陰気くさい。 @・しめりぼったい:静岡。
しめーのはで 終わりの終わり しめーのはて:山梨。
(しめーばれー) 最後の食べ物を始末すること 神奈川。
しめり @水気のあること。湿気(シツキ)。A適度の雨が降ること。また、その雨。 A・しみり:静岡。
しめる 【動】@(鶏などを)殺す、A叱る、とっちめる、Bなぐる 当時は蛋白源が少なく、卵を生まなくなった鶏の首に包丁を入れ、血を出すために庭先に逆さにぶら下げてあるのを良くみかけた。ほとんどがチキンカレーになった。
:締める:山形。
しめる:捕まえる:静岡。
(しめる) 【動】沈下する 東京。『湿る』(水気で火が消える)。
(しも) 現代語では『霜』と当てられている。類似の現代語では凍る意味の『凍みる』がが残る。
類似の音韻に例えば『染みる・滲みる』がある。ものの中に滲み渡る意味である。文語の『しむ』は『染む・沁む・浸む・滲む』『凍む』が当てられる。滲みるも凍みるももともとは同源と思われ体に応える意味だろう。
(しも) 相撲 鹿児島。
しもおごし 秋にうなった田を春先にまたうなうこと 広辞苑には『下起し・霜起し:田を二度目に耕すこと。』とある。
◆▲□▽しもかぜ 東風 『集覧:新』。
西風(上風)に対する言葉。ところが標準語では全く意味が変わって、『疝気』の意味。
しもふる 【複】霜が降りる ★『土』うむ、霜(しも)も降(ふ)ったやうだな:あら、霜が降りたようだな。
しもげる
しも
【動】霜だらけになる、(作物などが)霜でやられる、霜枯れる 『霜げる』。標準語だが、農家にしか残っていない言葉。土浦では濁音で発音する場合もある。『げる』はさまざまな複合語を形成するもので、茨城弁では長音形の『げーる』もある。『げる』とは『化ける』意味か『返る』意味なのか、『ぐ』の使役形なのか解らないが、この場合は『化ける』意味ではないかと思われる。
しも:栃木・埼玉。
しも:体が部分的に冷たくなる:神奈川。
しもれる:山形。
しもげる 【動】かじかむ 『霜げる』が転じたもの。
しも 人糞肥料 『下肥』(しもごえ)。
(しもた) 【複】しまった 鹿児島。
じもち 怒りんぼう 『集覧:無記載』。
しもつかれ 郷土料理の一種 2月の初午の日に作る。
もともとは、『すみつかり、すむつかり』と呼ばれたとされ、『すむつかり』は『酢憤』と当てられる。
広辞苑には『すむつかり:おろし大根に炒大豆を加え、酢醤油をかけた郷土料理の一種。今では、栃木県地方などに「しもつかれ」の名で遺され、さらに、塩鮭の頭・大根・人参・酒粕などを加えて煮た料理。初午(ハツウマ)の嘉例に道祖神に捧げ、また自家の食用とする。』とある。
しもつかれ:栃木。
(しもっちゃーら) 霜のある地 静岡。
(しもってる) 【複】酒に酔っている 宮城。
しもづま
しもつま
茨城県内の地名の一つ 『下妻』。清音が正しい読み方。
(じもない・じもね) 【形】勝手な様 鹿児島。
(じもの) 【副】乱雑に 鹿児島。
しもべんじょ 屋外の便所 これは方言とは言いがたい。
△しもや 召使のいる建物、雑物を置く建物 『下屋』。
しもや 屋外の便所 しもや:群馬・長野・新潟。
しもやぎ
しもやげ
霜焼け
じもり 家や土地の管理
しもり @家や土地の管理、A先祖の墓などの管理 『地守』の意味と考えられる。
しもり:重り:静岡。
しもりみず 染み出てきた水 谷津田(やつだ)に面した少し高い場所の『おかば』での水田耕作に不可欠な水。『染み漏り水』の意味か。
しもる 【動】しみ出る、雨漏りする 『しみ出る』と『漏る』の合成語の『染み漏る』か?。県下では土浦市にのみある方言。
しもってる:酒に酔っている:宮城。
しもろ:沈む:静岡。
じーもんじ 十文字、四辻
(〜じゃ、〜じゃあ) 【連語】〜では 誰もが知っている標準語の口語。
テレビの影響を受けた垢抜けた言葉として当時は意識されていた。すでに一部の人が使い始めていた。土浦では『〜では』は『〜だ・』が主流で『〜ぢは・〜ぢや・〜であ・〜でぃは・〜でぃや・では・でや』を使った。
ところで、『〜では』が訛って何故『〜じゃ』と茨城流の『〜だ』に分かれたのだろう。断定の言葉の『そうだ』は現代風に言えば『それにてあり。』『それにてある。』である。
実際のところを考えると、
〜では→〜であ→〜じゃ だと思って辞書を調べたら、その通りであった。しかしこれには、中間形の『〜ぢや・〜であ・〜でぃは・〜でぃや・でや』がないと説明しにくいが、茨城方言にはその中間形が存在する。
『俚言』には『ぢや:西国にて何しや此ぢやなと云を尾張邊にてはでやといふ。関東にては何だ是だと云。』とあり、西の『じや』、東の『だ』に対して尾張に『でや』があるのは面白い。これは、
では→であ・でや→ぢゃ(じゃ)→ と変化したと見られ、茨城方言の『だ』は最も進化した言葉とも言える。すなわり、標準語では文語では『では』口語では『じゃ、じゃあ』を使い、終助詞は『だ、た』を使うが、茨城では、『では』はいくつかの変化した言葉を並存させながら『だ』にやや収束し終助詞『だ、た』も『だ』に統一する動きが見られたが、結局そのうち標準語に押されたされてしまったようである。
そんではだいだ・そんであだいだ・そんでやだいだ:それではだめだ。
そーだねーよ・んだねーよ:そうではないよ。
〜じゃ 【助】〜だ、〜だい? 当時は、『ざ』に近い発音をする人が多かった。
江戸時代からの古い言い回し。当時の高齢者言葉。『である』が原型で『であ』を介して変化したものとされるが、反語の『や』が間違いなく隠れていると思われ『〜にしや』『〜にてや(あるらめ)』だろう。
現代でも音韻のある表現として、『どうだい、それを遣っては?。』などと言う。
現代若人言葉の、『それは良くなくない?』とは、違和感のある言葉とされるが、実は、反語の現代的表現とも思える。二重否定なので日本語では肯定の意味だから、普通に『そうだよ。ほんとに好いねえ。』と答える。
それでは、『それは良く無い?。』と聞けば、『ああ、良く無いね。』と答える。
『俚言』には『ぢや:西国にて何しや此ぢやなと云を尾張邊にてはでやといふ。関東にては何だ是だと云。』とある。
断定の助動詞『じゃ』は広辞苑には『じゃ :(「である」の約「であ」の転):体言・用言の連体形その他種々の語について断定を表す。…だ。…のだ。』とあり、関東では『だ』に変化し、関西では『や』に変化したとされる。
もともとは反語の助詞であったものが、関西や、茨城で強調の終助詞に変化したと見られる。
茨城では、一部に『じゃ』が残り、促音化した動詞に続く場合は『ちゃ』に変化する。
宮城等で、『〜たっちゃ』と言うのに似ており、『〜(し)たのだ』の意味だが、地方に残る『〜ただ・〜だだ』と大きな違いは無い。『〜たりにてある・〜たりにている』意味か。
〜じゃ:青森・富山・鳥取・山口・岡山等。
じゃっどがい:そうですか:鹿児島。『であるぞかえ』。
じゃねー:そうだね・だね:宮崎。『であるねえ』。
〜じゃひ:〜です:宮崎。『じゃい』。
〜じゃもん:〜だもの:広島。
〜じょ:兵庫・徳島。『じゃよ』。
あるんだじゃ:あるんです:青森。
いぐじゃ:行きます:青森。
〜たや:〜(し)たの?、〜(し)たのかい。
〜だや:〜(し)たの?、〜(し)たのかい。
やんべーじゃー:やろうじゃないか:神奈川。この場合は終止形に『じゃ』がつく特殊な形。関西の『や』に近い。
(〜しや) 【助動】@〜ですか、A〜です 宮城。『候や』の意味か。
〜しゃ 【助】〜に、〜へ 語尾が『し』で終わる名詞等に方向を示す格助詞『〜さ』がつく場合に限って拗音化することがある。
にしっしゃいった:西に行った。
(〜しや) 【助】〜さ 宮城。終助詞か。『候や』の意味か。
いったとっしゃ:行ったそうだ・行ったとさ。
いがねとっしゃ:行かないそうだ・行かないとさ。
そーだともっしゃ:そうだともさ。
しゃーあっか
しゃーあっかい
【複】@何か方法があるかい、Aしょうがないだろう、Bしょうがない
(しゃーあっかせ) 【複】しかたがないこと 福島。
ネットで拾った福島弁。意味はそのまま掲載したが、実際は『しょうがない』の意味と思われる。
しゃーあんめ
しゃーあんめー
【複】仕方が無いだろう 関東方言か。
しゃーあんめー:埼玉。
〜しゃい 【助】 動詞『す』に自発・可能・尊敬・受身の助動詞『らる』がついた『せらる』の命令形『しゃれ』が転じたもの。
何故か辞書には無い。現代語の『しゃい』は特化した言葉と解釈されているらしい。=『っせ』
現代では『いらっしゃい』という特定の表現でしか使われない。
〜しゃい:群馬・新潟・静岡・島根。くらっしゃい:来なさい:静岡。
きんしゃい:来なさい。今では福岡あたりで使われるが茨城でも使われた。
しゃいともねー
しゃいむねー
しゃいもない
しゃいもねー
【形】取るに足らない、らちもない、たわいない、つまらない 『差異も無い(しゃいもない、さいもない)』(らちもない。たわいない。)。『差異(しゃい)』は広辞苑に『(シャは呉音) ちがい。差異(サイ)。』とある。差別は古くは『しゃべつ』ともいった。
しゃいなし:内気なところがない・能天気・軽はずみ:群馬。
しゃいもが:わざわざ:鹿児島。
しゃいもない:新潟・滋賀・京都。
じょさね:秋田・山形。
じょっさね:秋田。
〜しゃー
〜しゃう
【助動】〜してしまう、〜しちゃう 『〜ちまー』、『〜ちゃー』
標準口語でも『壊っしゃった・壊っしゃって』と言うことがある。末尾が『す』で終わる動詞の『〜してしまう』『〜しちゃう』形に限られ、実際はこれも訛りの図式の一つと言える。
してしまった→しちゃった→しゃった
考えてみると、本来完了を示す動詞は『しまう』であり、例えば古い言い方の一つに『遣り仕舞う』があったとすれば、『やっしゃう』と訛ってもおかしくない。
茨城弁で特徴的なのは、自動詞が他動詞化して『〜らせてしまう』の場合も同じように『〜しゃう』と言うことである。例えば『終わっしゃう』がある。さらに複合語でも使われ、茨城方言では自由自在に表現される。
ところで、広辞苑に『遣る:(他の動詞の連用形について)動作が完了する意を表す。…てしまう。源桐壺「えも乗り―・らず」。日葡「イ(生)キモヤラズ、シ(死)ニモヤラズ」。「晴れ―・らぬ空」』とあり、『〜して遣る、し遣る』(してしまう)が『しゃう』に転じたとも考えられる。
また、『〜してしまえ』は『〜しー・〜しぇー』と言う。標準口語の『〜ちゃえ』が訛ったと思われる。ところが、広辞苑には『助動詞「しゃる」の命令形「しゃれ」「しゃい」に、次に「せえ」に、さらに「し」と転化したもの。四段活用の動詞の未然形に促音「つ」の伴った形に接続する。「しゃる」の表した尊敬の意はなくなり、ほぼ対等の相手への命令を表す。』とある。こうなると茨城独自の言い方という考えは一掃されてしまう。
2009年、横浜市内の70代の男性が『しゃう』を使うのを聞いた。
だっしゃー:出しちゃう。
いげすにおんのまっしゃってよーひでーめさらった:生簀に落ちてしまってひどい目に会った。
ずぼんまっくろによっしゃった:ズボンを真っ黒に汚しちゃった。
おわっしゃー・おわらっしゃー:終わらせちゃう。
やっしーよ:遣りなさいよ。
はいぐおわっしゃーべ・はいぐおわらっしゃーべ:早く終わらせよう。
しゃ 坂、斜面
しゃか 鶏冠
じゃ ジャガイモ 標準語。
しゃがいのまど ズボンのファスナー 濁音化。
じゃおぢ がけ崩れ
しゃがぎ
しゃが
サカキ(榊) 拗音化。
(じゃか 丸く細長く粗く編んだ籠の中に、栗石や砕石などを詰めたもの。河川工事の護岸・水制などに用いる。竹蛇籠・粗朶籠・鉄線蛇籠などがある。石籠。じゃこ。 『蛇籠』。
じゃかん:神奈川。
じゃこげ
じゃかこげ
がけ崩れ
しゃがしゃが
しゃかしゃか
【副】さっさと、すかすかと
じゃがすか 【副】勢いの良い様、沢山ある様 濁音化。標準語の『じゃかすか』は、『勢いよく物事をする様』を示すが、茨城弁では意味を拡大して使っている。
あめじゃがすかふってきた:雨がどんどん降ってきた。
ちんこだまじゃがすかでできた:パチンコ玉がどんどん出て来た。
じゃたら
じゃたらいも
じゃたろ
じゃたろー
じゃたろいも
ジャガイモ ジャガイモは江戸時代にインドネシアのジャカルタ(古名ジャガタラ)からオランダ人が持ち込んだことに由来する。
じゃがら:群馬。
じゃら::群馬。
じゃぶけ がけ崩れ
じゃかぼか
じゃか
じゃかぼこ
でこぼこ じゃがぶづ:でこぼこ:山形。じゃがぶっつら:あばた顔。『釈迦仏』に由来するとされる。
じゃかぼこまづり 土浦市東崎町にある鷲神社の1月15日に行なわれた祭り。
しゃまる 【動】@しゃがむ、A座る 『が』は鼻濁音。『しゃがむ』の擬似自動詞形。
しゃまる:長野。
しゃみおに 鬼ごっこの一種 『ぶくぶくおに』の原型か。
(しゃみっちょー) しゃがむこと 静岡。
しゃ 【動】座る 標準語世界でも間違って使っている人が多い言葉。正しくは『うずくまる、かがむ』意味。
じゃかもこじゃん 土浦市東崎町にある鷲神社の1月15日に行なわれた祭り。 一度廃れたが最近復活されたという。保存会の解説には『発祥の時代は定かでない「じゃかもこじゃん」祭りは念仏講に伴う祭りともいわれ、奇妙な名称は念仏と太鼓、数珠が発する合唱音から呼ばれたもの。』とある。
じゃがら
じゃから
【接】だから
じゃからかいもない
じゃからかいもねー
しゃからけーもねー
しゃからもねー
【複】役に立たずつまらない 『集覧:無記載』。『邪気乱(じゃけら)』(取るに足らないもの)と『甲斐』を並べて強調したか。『邪気乱な・し、邪気乱甲斐もな・し』。
しゃからなし:宮城。
しゃーからなし:岩手・宮城。
しゃがらなす:浅はかな行い・浅はかな人:宮城。
しゃっきらもない:愚にも付かない:新潟。
同義語に『さからけーもねー』がある。『逆らう甲斐も無い』意味だとすると、『邪気乱(じゃけら)』説は崩れる。ただし、『逆らう』を『しゃからう』と言う方言がなければならないが、文献には無い。
しゃがりぎ
しゃきりき
しゃっきりき
しゃきりこ
しゃきりこんこ
しゃかりき 標準語の『しゃかりき』の語源は、『釈迦力』だという。『集覧:久』。
『しゃきりこんこ』は集覧では『先を争いて廻り合うこと』とあるが『民俗』では子供の遊びの一種に変わっている。
しゃ しゃがれ声、しわがれ声 『しゃい』
しゃーえ・しゃっからえ・しゃっかれ:神奈川。
しや
しゃー
【動】しやがる 俗語。辞書には無い。もともとは尊敬語の『しある』がが訛った『しやる』の可能性が高い。
しゃー:神奈川。
◆▲しゃ 【動】下がる、退く 『集覧:猿』。
しや
しゃー
【複】しやがれ しや:長野。
しゃー:長野。
しゃれる 【動】しわがれる しゃれる:東京。
しゃがん 左官 濁音化。建築業界では『さかん』と言うが、拗音形もある。
しゃかん:東京・静岡。
しゃく:鹿児島。
しゃくんべら:鏝:鹿児島。
しゃがんや 左官屋
しゃぎしゃぎ 【副】ものを噛む時の歯切れの良い様、機敏な様 『しゃきしゃき』。
じゃぎじゃぎ
じゃぎじゃぎじゃぎじゃぎ
【副】小石・砂などが触れ合って発する音。 『じゃりじゃり』。
しゃぎっと
しゃぎんと
【副】しゃきっと しゃぎんと:山形。
しゃきばる 【動】かしこまる、固くなる しゃぎばる:威張る・得意がる:山形。
しゃぐ
◎しゃく
@柄杓(ひしゃく)、A酒を杯につぐこと。また、酒をついで飲むこと。 @『杓』(しゃく)。
しゃく:埼玉・鹿児島。
しやく:静岡。
しゃーく:神奈川・長野・静岡。
A『酌』。
しゃぐ
しゃく
しゃく:青森。
じゃく 学校をさぼること 稲敷郡。
じゃく:千葉。
じゃく 悪い炭 北茨城市。
じゃく 山崩れ 高萩市の方言。『びゃく』がさらに訛ったものと思われる。広辞苑には『びゃく:関東の一部で、土の崩れた所をいう。潰(つえ)。』とある。
じーやぐ 重役
じーやぐ ドクダミ 『十薬』はドクダミの別称。
しゃぐー
しゃぐう
しゃくー
【動】掬う(すくう) 『杓う(しゃくう)』なら古い標準語。当時の土浦ではもっぱら『杓う(しゃくう)』が使われた。
しゃくー:東京。
しゃぐいだ しばしば耳にした言葉だが、『土浦の方言』によると『巾1尺、長さ六尺、厚さ九分の板』とある。現在のJAS(日本農林規格)にもある板の寸法。最近の建築工法ではこのような板が使われるのは足場板ぐらいだろう。
しゃぐいん
しゃくいん
しゃぐえん
しゃくえん
百円 拗音化・濁音化。
しゃぐおごす 【動】胸部・腹部に激痛がする 『癪を起こす』。
じゃくおぢ
じゃくおち
じゃくこげ
じゃくこけ
@山崩れ、がけ崩れ、A土地が崩れたところ 『集覧:久・稲』。『じゃく』『びゃく』がさらに訛ったものと思われる。広辞苑には『びゃく:関東の一部で、土の崩れた所をいう。潰(つえ)。』とある。
びゃくくむ・びゃくでる・びゃくになる:崖が崩れる:神奈川。
しゃぐ 尺金、金属の物差し (類)『差し金』。
しゃぐ
□△▽○しゃく
物差し 『ひゃぐ。県内全域。
『尺(しゃく)』はそれだけで物差しを意味するが、『ご』は『木』または『衡(こう)』(はかり)あたりが転じたものか?。あるいは、『尺具』の意味か。
茨城方言集覧では旧鹿島郡・稲敷郡・猿島郡の方言で『尺度』と解釈されている。
『称呼』には、『武州河越にてしゃく共云。常陸にてしゃくと云。』とあるので、少なくとも江戸時代には使われていた言葉である。
しゃく:福島・栃木・群馬・埼玉・千葉・山梨。
しゃぐぼし
しゃくぼし
オリオン座の三ッ星
しゃぐし
しゃくし
@杓子、スプーン、Aおたま、Bしゃもじ 古い標準語の濁音化。『しゃくし』。当時は木製のスプーンがまだまだあった。勿論『スプーン』などど言わなかった。
『しゃもじ』は『杓子』をもとにした女房言葉とされ『杓文字』の意味とされる。
動詞形として『杓う』(しゃくう)がある。杓子を『匙(かい)』と言うのはその昔貝を使っていたからとされる。
昔は飯でも汁物でも掬う器は『杓子』であったが、その後用途に応じて呼称が分化したようである。
@・しゃもじ:東京。
A現代では通称『おたま』と言うが、元は『おたまじゃくし【御玉杓子】:形がまるくて柄のついた汁杓子。御多賀杓子。』であった。
しゃぐす:宮城。
しゃもじ:東京。
B古語『飯匙(いひがひ)』
いーぎゃ:宮崎。
いーげー:宮崎。
しゃぐす:宮城。
しゃもじ:東京。
はん:石川・愛知。
みしげー:沖縄。
めしがー:種子島。
めしがい:高知。
めしぎゃ:長崎・熊本。
めしげ:長崎・鹿児島。
よー:愛知・三重。
しゃくし
しゃくし
鋤、犂 『集覧:猿』。
しゃぐし
しゃくし
しゃくしけー
しゃくしっ
実の入っていない栗 杓子に似ているため。標準語では単に『しゃくし』とも言う。
『しゃくしけー』は『杓子匙』で二重表現。
おしゃん 栗の実と実の間の箆状の実・器量のわるい女の子(女の子に対する侮蔑語):群馬。
(しゃくしげ) 板屋貝・帆立貝などの殻に、竹や木の柄をつけた杓子。 鹿児島。『貝杓子』。
しゃくしょー 百姓 しゃくしょ:宮城。
しゃぐとる 【動】寸法を測る 『尺を取る・尺を打つ』。
しゃくな シャクナゲ 『俚言』掲載語。方言扱いにはなっていない。その他全国には『しやくなんさう(肥前)、ひやくなん(伊予)、もうのはな(伊賀)、卯月ばな(伊勢)』がある。
しゃぐなり 年老いても元気な人、転じて年老いてもこうるさい人 『百生り』(ひゃくなり)の転。
しゃぐなりじじー:口やかましい爺さん。
(しゃま) じゃじゃ馬 静岡。
じゃくみ イワシの見張り役 『集覧:無記載』。イワシは『弱し』が転じたという説があるように『じゃく』は『弱』の意味だろう。
しゃぐもしねー 【複】【形】全然たいしたことない、話にならない 『ひゃぐもしねー』
しゃくり しゃくること。刳(ク)ること。 建築業界では、コーナーの面取りや溝を『抉り(しゃくり)』と呼び、ジョイント部分で双方に溝を入れることを『合決り(あいじゃくり)』と言う。
しゃぐりあ 【動】(子供が)泣きじゃくる 濁音化。
しゃぐる
しゃくる
【動】@しゃくる、中をえぐる、すくい取る、A掬う(すくう)、Bそそのかす。おだてる。 『決る、抉る、刳る』。
清音ならあまり使われなくなった標準語。『さくる』が訛ったとされる。
A・しゃくる:静岡。
B・しゃくる:東京。
しゃぐる
しゃくる
【動】@しゃっくりする、A泣きじゃくる 『さくる』が転じたもの。
しゃぐれる
しゃくれる
【動】弓なりに窪んでいる なーんだあ、せっかぐてーらにしたどおもったらしゃぐれでっと!:なんだい、折角平らにしたのに凹んでるよ!。
じゃぐろ
じゃくろ
ザクロ 『集覧:猿』。『石榴・柘榴』。
じゃくろ:群馬・東京・神奈川・神奈川・静岡。
しゃけ 『集覧:無記載』。これは明治政府が望ましくない言葉としたものだろう。
鮭はアイヌ語の『夏の食べ物』の意味の『さくいべ』『さけんべ』、また『乾魚』の意味の『さっとかむ』に由来すると言われる。
しゃけ:東京。
しゃげ @鮭、A酒 @・しゃげ:青森。
〜じゃげ
〜じゃけ
〜しゃげ
【助】〜だけ おめがどんじゃげがんばってもおらきがねど:お前がどれだけ意地を張っても俺は聞かないぞ。
◎しゃけのー 『サケの王(鮭の大助)』の意味と『鮭の魚(うお)』が考えられる。『サケの王(鮭の大助)』:広辞苑に『東北地方で、陰暦一一月一五日に、この王が眷属(けんぞく)を引き連れ、川をのぼって来ると伝える。』とある。
△▽☆じゃけら 【形動】@ふざけていること。軽率なさま。Aとるにたりないこと。とりとめのないこと。B粗末に扱うさま。むごくあつかうこと。Cけばけばしいこと、華美なこと @A『邪気乱』。古い標準語。『集覧:行』。茨城方言集覧では『軽々しくすること』とある。
『俚言』には清音形の『しゃけら』も掲載されている。『じゃけらぽい』(ぽはぼの可能性もある)も使われたとある。
B『邪慳・邪険』。
Cは別のルーツと考えられる。
Dその他。
じゃけら:あどけない事:静岡。
しやげる
しやける
じゃげる
【動】むかつく、腹が立つ 『せやげる』『いじやげる』がさらに訛ったもの。
しゃげる 【動】裂ける 拗音化。
しゃける:山梨。
しゃけんぼ 県西部の方言。愛称と見られる
しゃこ 子供の玩具、パチンコ 猿島郡。『射こ』の意味と思われる。
(しゃーこ) 柄杓 静岡。
しゃまる 【動】しゃがむ、座る、うずくまる しゃまる:宮城。
しゃ 【動】しゃがむ、座る、うずくまる 北海道から関東・九州まで分布する方言。『しゃがむ』は古語には無く近世から文献に出て来る。
しゃ:神奈川・鹿児島。
しゃじゃむ:かがむ:静岡。
しゃん:神奈川。
しょなる:かがむ:静岡。
しょ:群馬。
しょんじょくなる:かがむ:静岡。
しょんずくなる:かがむ:静岡。
しやざ
しゃーざ
為業・仕業 しゃーだ:静岡。
しやさっで
しゃーさっで
しやさって
しゃーさって
@3日後、しあさって、A4日後、やのあさって A・しやさって:福島・栃木。
しゃじ 匙、さじ 古い標準語。『おしゃじ』とも言った。
『杓子』(飯または汁などの食物をすくいとる具。頭は小皿のようでこれに柄をつけたもの。古くから木製と貝製とがあり、飯をすくうものを飯匙(イイガイ)と称した。現在はアルマイトやステンレス製のも用いる。しゃもじ。)と言ったが現代では死語。
しゃじ:秋田・宮城・栃木・群馬・東京。
しゃず:宮城。
(じゃーじ) ジャージー織の衣服、体操着 昭和40年初めに普及し始めた。学校の体操服の代表。最近のNHKでは『ジャージー』と言っている
じゃす:宮城。
じゃっしー:山梨。。
じゃしぎ
しゃしき
座敷 『座敷』と『桟敷』は同源ではないかと思わせる方言。
じゃしき:秋田・福島・群馬・八丈島。
しゃじき:桟敷:青森・秋田・八丈島。
じゃしじゃし 【形動】(砂などがご飯などに混じって)じゃりじゃりする、ざらざら ざすざす:宮城。
〜しやしないか
〜しやしねーが
【複】〜してはいまいか 古い言い回し。きつい言い方のためか現代語では消えつつある。多く『何か・どうか』に付く。
★『土』:此(こ)りや櫟(くぬ)がもっと有(あ)った筈(はず)ぢゃないか勘次(かんじ)はどうかしやしないか。
しゃしみ 刺身 拗音化。一部の人が使っていた。写真を『さしん』と呼ぶ訛りと反対の現象。
さしん:鹿児島。
しゃしみ:群馬。
〜しやしめー 【複】〜しないだろう 『しやしまい』。
しやしめーし:東京三鷹・東京青梅。東京にも『候』の『し』が残っていた。
なにがしやしめーな:何かするんじゃないだろうね。
★長塚節『太十と其犬』おっつぁんどうかしやしめえ:叔父さん、何かしないだろうね。
しゃじゃ @アミ、Aイサザ
しゃーしゃ 【形動】平気で、しゃあしゃあ しゃらしゃら:神奈川。
じゃーじゃー 【形動】雨が降るさま、ざあざあ じゃーじゃーじゃー:佐賀。
(じゃじゃかぶ) ぼさぼさ状の髪型、激しく乱れた髪形 福島。
しゃーしゃど
しゃーしゃと
【副】平気で、しゃあしゃあと しゃーしゃどして:平気な顔して。しゃあしゃあとして。
しゃーしゃどしらんかおして、しゃーしゃどしんねかおして:平気で知らない顔して。しゃあしゃあと知らない顔して。
しゃーしゃどしらんりして・しゃーしゃどしんねりして:平気で知らない振りして。しゃあしゃあと知らない振りして。
▽☆じゃじゃばる 【動】強情を張る。我意を通す。頑張る。 やや古い標準語。『じゃじゃ馬』の『じゃじゃ』と同じ意味の語幹。『浮世風呂』掲載語。橘正一の『方言学概論』では京阪語に由来しない言葉と定義されているが、発生地は解からないとしている。
駄々は、『地団駄』に由来し『地団駄踏む』などと言う。一方『俚言』によると江戸時代に『じゃじゃ(を)踏む』が使われたとある。そうなれば『じゃじゃ』は駄々が変化したもので『地団駄』に由来する可能性がある。
一方、単に『やるだやるだ。そうじゃそうじゃ』の意味の可能性もある。
じゃじゃをこく:岩手。
じゃじゃばる:神奈川・静岡。
じゃじゃぶり
じゃっちゃぶり
【形動】どしゃ降り 『じゃじゃ馬』の『じゃじゃ』と同じ流れと思われる。
(しゃじゃむ) 【動】屈む 静岡。
しゃしゃりでる 【動】でしゃばって出てくる、厚かましくでしゃばる 標準語の中の面白い言葉。『しゃあしゃあと出る』意味であるから、『しゃしゃり』は『しゃあしゃあーり』『しゃしゃーり』が語源だとしたら、茨城方言にきわめて近い表現。
しゃしゃりでる:東京。
じゃじゃんま 人の制御に従わない人。特に、不従順な妻や娘など。 『じゃじゃ馬』。
じゃじゃんま:東京。
しやす
しやんす
【複】します そーしやすか:そうしますか。
しやすな
しやんすな
しやんすなよ
【複】〜しますね 江戸時代の遊里言葉の『しゃんす』にも通ずる。
しゃーせ 幸せ 『俚言』には俗に『しやわせ』と言うとある。現代では誰もそのように発音することは無いが、耳から聞こえるのは確かに『しやわせ』である。これは日本語の『し』が口蓋化しているためである。
しゃーせ:静岡。
(しゃーだに) 【副】いつも 山梨。
しゃーたら
しゃーたらしゃーたら
【副】しゃあしゃあ しゃーたら:お世辞:山梨。
(じゃっかー) 厚かましい人、鉄面皮 静岡。
しゃっか 【動】屈む 『集覧:新』。
(しゃっかき) けちな人 神奈川。
(しゃっかちあたま) 乱れ髪 静岡。
しゃっからい 【形】塩辛い
しゃっきばる 【動】しゃちこばる、しゃっちょこばる、緊張する、硬くなる、威勢を張る 『しゃきばる』の促音便。
『俚言』『しやつきばる』が掲載されている。もともとは罵倒の接頭語『しゃ』に『気張る』がついたもので意味が変化したのではないかと考えられる。
しゃっきりばる:東京。
そきばる:威張る:青森。
しゃっきり 【形動】@直立して動かないさま。ぴんとして張りのあるさま。Aしっかりしていて崩れないさま。B気持が張ってしっかりとしているさま。 現代では副詞形の『しゃきっと』を使うことが多い。
じゃっきど:青森。
しゃーつぐ
◎しゃーつく
ずうずうしい態度、ずうずうしい人 調べると、『酒蛙つく』(しゃあつく)と書く江戸時代の下町言葉。
しゃーつく:群馬。
しゃっけー
しゃっこい
【形】冷たい、ひやっこい 東国方言。ひやこい→ひやっこい→ひゃっこい・ひゃっけーしゃっこい・しゃっけー
しゃっけ:福島。
しゃっこい:北海道・青森・宮城・福島・東京・神奈川。
しゃーっこい:神奈川。
しゃっけー:神奈川。
(しゃっこのす) 【動】殴る 神奈川。
じゃっじゃ
じゃっじゃじゃっじゃ
じゃっじゃが
じゃっじゃがじゃっじゃが
【副】(雨が)ざあざあ
じゃっじゃ
じゃっじゃめ
スズメ 雀(じゃん)→『雀雀(じゃんじゃん)』の転と考えるのが自然か?。一部で使われていた。
ザリガニを『まっかちん』と言うのと同じように、『じゃ』は愛称としての接尾語『ちゃん』が、変化した可能性があろう。
〜しゃっせ
〜しゃっせー
【助】〜らっしゃい、〜なさい
(〜じゃっせん) 【複】〜だよね。〜じゃない? 鹿児島。
しゃった
しゃーった
【複】しまった、失敗した
〜しゃった 【助】〜しまった、〜ちゃった 『〜てしまった』が訛ったものだろう。『〜ちった』と同義語。音韻が弱いせいか使う人が少ないまま消えてしまった。主に末尾が『す』で終わる動詞の『〜してしまった』形。
『ちゃった』が訛ったとは考えにくく、むしろ『ちゃった』の原型と考えた方が解り易い。
〜(て)しまった→〜(て)しあった→〜(て)しゃった→〜ちゃった。
できしゃった:出来ちゃった:群馬。
とっくにいがっしゃった:とっくに行かせてしまった。
おわっしゃった:終わっちゃった。
(じゃったけ) 【複】そうだったかな 鹿児島。
(しゃっち・しゃっちむっち) 【副】必ず 神奈川。
『遮二無二』の意味か。
(しゃっち) 【副】せめて、強いて 鹿児島。
しゃっちきばる
しゃっちごばる
しゃっちこばる
しゃっちょごばる
【動】緊張する、硬くなる 『しゃちこばる・しゃちほこばる・しゃっちょこばる』。『鯱張る』と書く。
しゃちのように厳しく構えた様子をしているところが転じたというのが有識者の解釈。名古屋起源は一般に俗説のようである。また強調接頭語『しっ』+『しこ(醜・鬼)』(強く頑丈なこと)+『張る』も考えられる。
しゃっちこばる:東京。
じゃっちゃ
じゃっちゃが
じゃっちゃがじゃっちゃが
じゃっちゃじゃっちゃ
【副】(雨が)ざあざあ
(しゃっちゃぐなし) 【複】言わなくても良いような恥ずかしいこと人が言ったとき言う言葉 福島。
ネットで拾った方言。『知りたくない』意味と思われる。
しゃっちょごだづ 【動】逆立ちする 『しゃっちょこだち』なら標準語。
しゃっちょこだち:逆立ち:群馬。
しゃちょこだち:逆立ち:東京。
じゃっちんじゃんぶく 葬式 鹿島郡の方言。
しゃっつ シャツ 『ワイシャツ』は、『わいしゃっつ』と言う。
しゃっつ:宮城。
(しゃっつかまえる・しょっつかまえる) 【動】捕まえる 長野。
(じゃっど) 【複】そうだ 鹿児島。目下に使う。『じゃら』とも言う。
(しゃつばら) 数多くの者をののしっていう語。やつら。やつばら。 『奴原』と当てられる。何時の時代に生まれた言葉かは解らないが、漢字から受けるイメージと意味が全く異なる。
『しゃ』とは古い言葉で広辞苑には『【代】相手を指していう語。きさま。おのれ。【接頭】卑しめののしっていう語。【感】あざけりののしる心で発する声。また、驚きの声。』とある。
『しゃつ』とは、『奴』と書き、『【代】(三人称) 人をののしっていう語。きゃつ。そいつ。そやつ。』の意味である。
一方、『はら』は人を示す名詞に添えて、複数、またはその人の階層・境涯の範囲を表す接尾語『輩・原・儕』で『殿』『法師』『奴』などと言う。
しゃっ
しゃっ
帽子 フランス語の『chapeau』に由来する。慣用句に『シャッポを脱ぐ』がある。
しゃっ:静岡。
しゃっ:青森・福島・東京。
しゃづら
しゃつら
▽しゃっつら
顔を悪し様に言う言葉。 『しゃ面』。
『しゃ』は罵倒の接頭語。『しゃ首』などと言う。
えげしゃづ:山形。
しゃづ:山形。『しゃつ【奴】:(三人称) 人をののしっていう語。きゃつ。そいつ。そやつ。』。
しゃっつら:福島・群馬・埼玉・長野・山梨・静岡。
しゃっつらにくい:憎らしい:静岡。
しゃつら:山形・埼玉。
しゃつらにくい・しゃつらにねー:憎らしい:神奈川。
ひっつら:静岡。
しゃで
しゃでー
◎しゃてー
しゃーてー
しゃでっこ
しゃでーっこ
『舎弟』。
しゃで:山形・宮城・福島。
しゃでー:福島。
しゃてー:栃木・埼玉・群馬・神奈川。
しゃでっこ:宮城。
しゃでこ:福島。
しゃてこ:宮城。
(しゃーなー) 【感】さようなら 静岡。
しゃーない 【形動】仕方ない 全国的にある訛。整理すれば、関西では『しゃあない』で関東では『しゃあねえ』だろう。もはや方言とは言いがたい。
しゃーなぐ 【副】仕方なく 『しょうがなく』の意味。
しゃーなし 【形動】仕方なく、馬鹿、しょうがない人
しゃーに
しゃーにー
しゃーにぇー
【複】しょうがない
しゃにかめーる 【複】身構える。改まった態度をする。正面から対応せず皮肉な態度をとる。 『斜に構える』。
しゃにかめーで:大急ぎで:神奈川。
しゃにむり 遮二無二 『慣用句辞典』には、『遮二無二:むりしゃりの変化か。』とある。
しゃにむに:東京。
しゃね
しゃーね
◎しゃーねー
【複】【形】仕様が無い、しょうが無い 『しようがない』→『しょうがねえ』→『しゃーねえ』、『しゃあねえ』は関東圏では俗語と言っても良い。
関西では『しゃあない』と言い関東では『しゃあねえ』と言う。神奈川生まれ神奈川育ちの義父は昭和2年生まれで、『暑くてしゃあねえ。』と言う。
しゃーね:宮城。
しゃーねー:宮城・東京・神奈川。
しょんない:静岡。
しゃーねーごどー:しょうがないこと。
まったぐしゃーねーごどばがりやんだがら:全くしょうがないことながりするんだから。
しゃね
しゃーね
しゃーねー
【複】知らない 原型は『知りはしない・知りやしない』か。
しゃーない:静岡。
しゃね:宮城。しゃねがったおー:知らなかったよ。しゃねっちゃ:知らない。しゃねっ:しらないふり。
しゃねー:宮城。おらしゃねー:俺は知らない。
しゃーね:福島。
しゃーねー:宮城。
〜じゃねー 【複】〜ではないか 茨城の新方言。
もともとは『〜だねー、〜だねーが、〜だねーげ、〜でやねー』
(じゃば) お転婆 宮城。元『じゃじゃうま』か。
しゃばかり 柴刈り
じゃば 大きな口 『蛇の口』の意味。
しゃばぐ 【動】破く ひっちゃばぐ。『捌く』が訛ったか。
しゃばく:静岡。
しゃばける:破ける:静岡。
しゃばぐれる
しゃばくれる
しゃーばぐれる
しゃばっくれる
しゃーばっくれる
【動】しらばくれる、しらばっくれれる しゃばぐっち:しらばくれて:福島。
じゃばげる:千葉銚子。
しゃばぐれ
しゃばっくれ
しゃーばっくれ
しらばくれること
じゃばら 埋葬前の墓前祭の際棺を担いで回る際の中心となる備えで笹竹を4本立てたもの 『ししだけ』
左回りに3回半または7回半回る(手野では7回半だったと記憶している)。一般には、墓前あるいは寺の庭で行なわれるとされるが、手野では出棺の最後の儀式で自宅の庭で行なわれたと記憶している。
(じゃばる) 【動】騒ぐ 静岡。『じゃじゃばる:我意を通す。強情(ゴウジヨウ)をはる。』が変化したか。
しゃび 錆び 拗音化。
しゃび:静岡。
(しゃびく) 【動】釣り糸等を上下に動かす 神奈川。原型は『さ引く』か。
◆▲しゃびる 【動】錆びる 『集覧:多』。拗音化。
(しゃびれる) 【動】寂れる 静岡。
しゃぶぎ 古語『しわぶき』の転。『しはふき・しはぶき・すはぶき』とも言った。
さぶき:青森・岩手・秋田。
しはぶき:京都の江戸時代の語。
しゃびき:秋田・山形。
しゃぶき:岩手・山形・宮城・佐賀。
しゃべき:山形。
しゃむき:佐賀。
しゃんぶき:山形。
しわぶき:長崎。
しわむき:長崎。
すわぶき:大分。『下学集』にある。
すわむき:大分。
じゃぶくー
じゃぶぐる
【動】ずぶ濡れになる 擬態語か。
じゃぶくー:千葉銚子。
しゃぶる 【動】口の中に入れてなめる 『集覧:真』。標準語。
古語では『舐る(ねぶる)』と言った。『ねぶる』は現代語の『嬲る(なぶる)』に近く、『ねぶる』『なぶる』『なめる』は同源の可能性がある。ちなみに古語の『滑める(なめる)』は『滑らかである・すべすべする・つるつるする』意味。
明治の茨城で方言扱いされたのは当時の新語だった可能性がある。
しゃぶろ シャベル、スコップ 標準語では別に『シャブル。ショベル。』の呼称がある。
しゃぶろ:青森。
しゃぼろ:岩手。
しゃむろ:宮城。
しゃべぐり おしゃべり しゃべくり・しゃべっくり:神奈川。
しゃべぐりあるぐ 【動】言いふらす
しゃべぐりきがせる
しゃべぐりきかせる
【動】言い聞かせる
しゃべぐりげーる 【動】言いまくる
しゃべぐりどーす
しゃべくりとーす
【動】言い続ける
しゃべぐりまぐる 【動】言いまくる、しゃべりまくる
しゃべぐりまーす 【動】言いまくる
しゃべぐりまーる 【動】言いふらす
しゃべぐる 【動】言いまくる 『喋くる』は近松作品にも出て来る。
しゃべぐる:宮城・福島・千葉銚子。
しゃべくる:群馬。
しゃべぐっちょ
しゃべっちょ
おしゃべり おしゃべくり:神奈川。
おしゃんべくり:神奈川。
おしゃんべり:神奈川。
しゃべくり:神奈川。
しゃべちょ:福島。
(しゃべる) 【動】話す。言う。特に、口数多くぺらぺらと話す。また、他人にもらす。 『喋る』。古語には無い。
一般に『話す。言う。』に対して悪いニュアンスを持つ。江戸前期には使われていた。旧来から尊敬語にが罵倒の意味を持つ言葉が多く、『しやりはべる』意味か。
じゃぼ
じゃぼー
△▽じゃーぼ
◆■▲じゃーぼー
しゃぼー
しゃーぼー
じゃーぼん
葬式 葬式の最も代表的呼称。標準語の古い幼児語・隠語に『じゃらんぼん・じゃらんぽん』があるのでそれが訛ったものと思われる。茨城方言集覧によると『しゃーぼー』(旧行方郡)、『しんだぼー』(旧鹿島郡・行方郡)もあったという。石岡市では『じゃぼー』とも言う。稲敷郡では『鐃はち(にょうはち)』を『じゃーらんぼ』という。
当時の葬式は土葬だった。午後1時の出棺に先立って最後のお別れをしたあと遺族が石で釘を打つまねをした後、喪主が挨拶。いよいよ六道達が棺を専用の荷車に乗せて墓に向かう。その途上では、太鼓とカネ(鉦:ちゃんちき・摺り鉦)で『ちんちんどんどんちんどんどん』または『じゃんぼごじゃんぼごじゃんじゃんぼごぼご』が繰り返し奏でられた。同じ音なのにどうして2種の表現になるのは不思議だ、この時の音は言わばチンドン屋の打楽器を使ったものと考えれば良く葬送の音楽としては違和感があった。葬式は自宅で行なうのがあたりまえで、火葬になった今も葬儀だけは自宅で行なわれる。この類似の訛は東日本に広く分布する。
ちなみに、『鐃はち(にょうはち)』(銅製の皿状の物を二枚打ち合わせて音を出す法会や葬儀で用いる楽器)は古くは『じゃんぼん』と呼ばれたという。
『じゃーぼ』は分布地域から見て典型的な東関東方言であると考えてしまうが、『じゃ』で始まる全国の方言は以下の通りで、『じゃーぼ』何ら特殊な方言ではないことが解かる。
じゃれん:島根(幼児語)
じゃぼ:栃木・新潟。
じゃぼー:栃木・三重。
じゃーぼ:福島・千葉・栃木。
じゃらぼ:山形。
じゃらぼん:山形。
じゃらぼん:葬列:神奈川。
じゃらんじゃらん:岩手。
じゃらんぼ:青森(幼児語)・福島・群馬。
じゃらん:山形。
じゃらんぼー:千葉。
じゃらんぼん:山形・群馬。
じゃらんぼん:葬列:神奈川。『じゃらんぽん』とも言う。
じゃらん:静岡。
じゃりんどん:新潟。
じゃーぼぎょーれづ
じゃーぼーぎょーれづ
野辺送りの葬列
じゃーぼ
じゃーぼー
ヒガンバナ
じゃーぼ
じゃーぼー
葬式の時相互に助け合う組講
じゃーぼしらせ 葬式の通知
じゃーぼしんせぎ
じゃーぼしんせき
葬式のときだけ付き合う遠い親戚
じゃーぼだす
じゃーぼーだす
じゃーぼんだす
【複】葬式になる 『葬式を出す』意味。
そーたあぶねーかじとりしてっとじゃーぼんだっしゃーど:そんなに危ない運転をしていると葬式になっちゃうよ。
じゃーぼのさだ
じゃーぼのしらせ
葬式の知らせ
じゃーぼばな
じゃーぼーばな
ヒガンバナ
じゃーぼまんじー
じゃーぼまんじゅー
葬式饅頭
しゃぼてん サボテン
しゃぼん 石鹸 標準語(もともとはポルトガル語)。
さすん:鹿児島。
さふん:鹿児島。
さぼん:鹿児島。フランス語。
しゃふん:鹿児島。
しゃぼん:神奈川。
じゃまがす
じゃまかす
【動】騙す、からかう、陥れる しゃまかす:からかう:八丈島。
じゃまかだ
じゃまげど
じゃまけど
【形・形動】邪魔な じゃまけどー:神奈川。
じゃまっけどー:神奈川。
じゃまくさい
じゃまくせー
【形】邪魔な様 じゃみさえ:赤ん坊が不機嫌に泣き勝ちなこと:山形。
じゃみる:赤ん坊が泣く:山形。
じゃまくずす
じゃまこねる
【動】邪魔する
しやます
しゃーます
【複・動】@し残す、A持て余す 『為余す』。
A・ししゃます:山形。ししゃました:てこずった:宮城。
ししゃます:困ったこと・あきれたこと:宮城。
しゃます:宮城。
しゃーますする:山形。
ひしゃますする:山形。
じゃまっか
じゃまっかだ
じゃまっかど
じゃまっけ
じゃまっけー
じゃまっけど
じゃまっこい
【形・形動】邪魔な 『じゃまっかだ、じゃまっかど、じゃまっけど』は、『じゃまっけぞ・じゃまっけだ』が形容動詞化したものとも思われる。
『邪魔』はもともと仏教用語で『仏道修行をさまたげるよこしまな悪魔。』の意味である。
じゃまっけ:埼玉・東京・神奈川・山梨。『邪魔っ気』。
じゃまっけど:群馬・東京多摩・神奈川。
じゃまっけどー:神奈川。
じゃまっけどーだ:邪魔だ:神奈川。
じゃまなか
じゃまのか
じゃまのかー
じゃまのけ
じゃまのけー
【形動】邪魔な様 よく使われた言葉。『せわなが(面倒な)』と同じ語法。『か』は濁音のこともある。
邪魔なことを意味する形容動詞。よく使われた言葉なのに、何故か茨城弁の他のサイトには全く見られない。
長塚節の『土』にそのルーツを見つけた。『土』には『〜だ』が『〜のんだ』と表現されている。そうすると『邪魔だ』は『じゃまのがんだ』という言い方になる。その意味でこの方言は明治期の古い茨城弁の名残の可能性がある。一方で、『生半(なまなか)』という言葉があるように『邪魔半』の意味の可能性もある。
標準語の『邪魔っ気』は元『邪魔つ気』だったと考えられ、現代の表現に変えると『邪魔の気』となる。
じゃまのけど:神奈川。
じゃまはる 【動】邪魔する 『邪魔を張る』意味。
じゃまはり:邪魔をすること:宮城。
じゃみ 【形動】@物事が途中で駄目になること、A粗悪品、屑物 近世語。
当の土浦では、『駄目』に当たる意味と思いながら使っていた。正確には『でぁみ』の発音
だったかも知れない。『邪魔入り』の意味か。
広辞苑に『じゃみ(動詞「じゃみる」の名詞化)@物事が途中で駄目になること。おじゃん。A小さいもの。若いもの。Bくず。粗悪品。C釣で、外道(ゲドウ)の雑魚(ザコ)をいう。Dあばた。じゃも。』とある。広辞苑は凄い。
古語では『@あばた、A小さいものの称』である。
そーたごどやったらじゃみんなっちまーべ:そんなことしたら駄目になっちゃうよ。
じゃみだじゃみ:駄目だ駄目!。
A・じゃみ:ごみ・えりのこり:静岡。
じゃみ:野菜屑:神奈川。
Bその他。
じゃみ:織物の残り糸:群馬。
◎しゃみせん ナズナの別称
じゃみっこ
じゃみっこー
育ちの悪い植物や動物、駄目なもの(人) 『じゃみ』の流れ。『病み子』の意味か。
じゃみ:成長の悪い栗:神奈川。
△☆じゃみる 【動】物事が途中で駄目になる 近世語。物事が途中でだめになる意味があり、『おじゃんになる』とほぼ同じ意味。
『俚言』掲載語。『邪魔が入る』意味とも『病みが入る』ともとれる。
じゃみる:静岡・岐阜・滋賀・石川・奈良。
じゃみる:羨む:岩手。
じゃみる:@染みる・A習字とかで文字の周りに墨が滲む:千葉銚子。
しゃみる 【動】染みる、滲む 30年代の言葉。
しゃみでる 【動】染み出る、滲みでる 30年代の言葉。
しゃむせん 三味線 三味線とは本来三つの弦で音楽を奏でる楽器の意味だが、沖縄ではヘビの皮を使うことから、『蛇味線』と呼ばれる。地場転訛語の一例である。
しゃむせん:東京・静岡。
しゃーめ
しゃーめー
【複】仕方があるまい 『しようがあるまい』。
『しゃーあんめ』がさらに訛ったもの。関東方言が進化したものか?。
いぐーらゆったってしゃーめがらあぎらめだほーがいーど:いくら言ったってしょうがないので諦めた方がいいよ。
しゃーめでや
しゃーめーでや
しゃーめでや
しゃーめーでやー
【複】仕方があるまい 直訳すれば『仕方があるまいぞや』。
しゃーめーじぇよー:神奈川。
しゃーめど
しゃーめーど
しゃーめどや
しゃーめーどやー
【複】@仕方があるまい、A仕方が無いそうだ @『仕方があるまいぞ・仕方があるまいぞや』。
A『仕方があるまいと・仕方があるまいとや』。
(しゃらい) 【形】弱い 静岡。
じゃらがす
しゃらがす
【動】ずらす、どかす
じゃらがす 【動】じゃれさせる 『戯らす』の擬似他動詞形。
じゃらがす:山形。
じゃらかす:岩手。
(しゃーらかす) 【動】平気でいる 静岡。『しゃあしゃあ』を基にした動詞か。
(しゃらきたない) 【形】酷く汚い 静岡。
(しゃらく) 調子が良いこと 神奈川。
『洒落・灑落:物事に頓着せず、さっぱりとしてわだかまりのないこと。』か。
しゃらく:生意気:山梨。
しゃらくさい
しゃらくせ
しゃらくせー
【形】洒落臭い、生意気な
くさらし・くさらしか・くっさらし・くっせらしか:鹿児島。
しゃらくさい:静岡。
しゃらっくせー:神奈川。
じゃらげる
じゃらける
【動】@ふざける、じゃれる、A(お金などが)ばらばらになる @清音形は標準語。
じゃらける:佐渡島・静岡。
(しゃらこく) 【動】平気でいる 静岡。『しゃら【洒落】』には『生意気』の意味がある
(しゃらこっー) でしゃばり、生意気 神奈川・静岡。『骨灰・粉灰』の強調語と見られる。
しゃらっつく:無神経:静岡。
(しゃらしゃら) 【形動】しゃあしゃあ 神奈川。
(じゃらじゃらする) 【複】着物などが体に付きまとう 神奈川。
じゃらじゃら:あだっぽい様・いちゃつく様:東京。
広辞苑に『じゃらじゃら:なまめいていやらしいさま。たわむれるさま。でれでれ。』とある。
じゃらす 【動】じゃれさせる 標準語。『戯らす』。
じゃらす:山形。
じゃらす
しゃらす
じゃらせる
しゃらせる
【動】ずらす、どかす
じゃらせん 小銭 『ざらせん』の転。
だら・だらせん:青森。
じゃらつぐ
じゃらつく
【動】じゃれつく、じゃれる 『戯つく』。
(しゃらっつく) 無神経 静岡。副詞『しゃらっと』から生まれたか。
しゃらっと 【副】平然と、しれっと やや古い標準語。
(しゃらめく・しゃーらめく) 【動】ふざける 静岡。
しゃらん
しゃらんらん
【形動】知らない振り 『しらんぷり』と『ちゃらんぽらん』が混じったような言葉。
しゃーらっこい:知らん顔:静岡。
しゃらんらん:怠け者:静岡。
じゃらんぼん 葬式 広辞苑には『じゃらんぼん:(児童語・隠語) 葬儀の行列。仏僧が葬列の先頭で打ちならすにょうはちの擬音から出た語。じゃらんん。』とある。
じゃらんぼ:福島・群馬。
じゃらぼん・じゃらんぼん:葬式の葬列:神奈川。
じゃらんぼん ヒツジグサ
(しゃりき) 大八車などをひいて荷物運搬を業とする人。 『車力』。
しゃりき:きこり:埼玉。
しゃりきり
しゃりきりこんこ
【副】むりやり、是が非でも 『集覧:久』。
しゃりこうべ
しゃりこべ
髑髏(しゃれこうべ) 古い標準語。『されこうべ』とも言う。
じゃりぢ
じゃりち
じゃりっ
石の多い土地 『砂利地』の意味。
じゃりっち:千葉。
△しゃりむり 【副】むりやり、是が非でも 『差理無理』。やや古い標準語。
『俚言』にはさらに『しゃっちむっち・しゃにむに・むりしゃり・しゃでもむでも・じゃがひでも・否でも応でも』が掲載されている。
『慣用句辞典』には、『遮二無二:むりしゃりの変化か。』とある。
さいもい:鹿児島。
しゃいがもいが:鹿児島。
しゃいも:鹿児島。
しゃいもい:鹿児島。
しゃっちり:鹿児島。
しゃりもり:神奈川。
しゃりむり:岩手・宮城・福島・滋賀・福岡・長崎・熊本。
しやる
しゃる
【動】@しやがる、Aしてやる 古語の流れを残す言葉。
@A『めさる』『なさる』が変化した室町・江戸時代の卑下する言葉『しゃる』(〜やがる)が残ったものだろう。広辞苑には近世上方語とある。
なにしゃんでー:何をしやがるんだい。
◆▲しゃる
しゃーる
【動】退く 『集覧:久・稲』。
『去る』または『いしゃる』(退く)の転あるいは『いしゃる』(退く、下がる)『しゃる』(下がる)の転、さらには古語の『退る(しさる)』(あとずさる)も考えられる。いずれも退く(しりぞく)意味である。
しざる:佐渡島。
しゃらえ:退け:宮城。
しゃる:秋田・宮城・山形・福島・北関東・群馬・八丈島・長野・山梨。しゃれ:消えろ・どけろ:宮城。
しゃれ:退け。
★『土』:ちっとおめえ等退(しゃ)ってくんねえか:ちょっとお前達退いてくれないかい。
(〜しゃる) 【助動】〜(な)さる 動詞『す』に自発・可能・尊敬・受身の助動詞『らる』がついた『せらる』が転じたもの。主に尊敬の意味で使われるが、四段活用の動詞の未然形に促音の伴った形に接続する。。
特に、命令形『しゃれ』『しゃい』に、次に『せ・せえ』に、さらに『し』に変化した。『しゃる』の表した尊敬の意はなくなり、ほぼ対等の相手への命令を表す。
かつてはかなり広く用いられたが、現代では使用範囲が限定され、『いらっしゃる』『おっしゃる』等や命令形の『いらっしゃい』等が慣用表現として残る。
茨城の土浦市上大津地区では、理由は良くわからないが『しゃい』最上級のきつい命令言葉として使われた。
以下関連語の広辞苑等の解説である。
いらっしゃる:【自五】(イラセラルの転)@「居る」「在る」「来る」「行く」の尊敬語。A(用言に「て」「で」の付いたものに接続して) 「ている」「である」などの尊敬語。
おっしゃる:【他五】(オオセアルの約オオシャルの転) 「言う」の尊敬語。仰せられる。
しゃる:(セラルの転。近世上方語) 四段・ナ変動詞の未然形について尊敬の意を表す。…なさる。
さしゃる:(サセラルの転) 四段・ナ変活用以外の動詞及び同型の助動詞の未然形、カ変・サ変の連用形について、尊敬の意を表す。活用は下二段型から四段型へ移る傾向を示す。…なさる。
らっしゃる:(ラセラル)は汎用性があるが固定化した表現である。
〜しやる:宮崎。
いがっせ:行きなさい。
きらっしゃい:来なさい。
やってみらっしゃる?:やって御覧なさいます。
やってみらっっしょ:やって御覧なさい。この『しょ』は現代語の『しょう』とはルーツが異なり、『せよ』が転じたもの。
それみらっしゃい:それ見なさい。
ほれみらっせ:それ見なさい。
『しゃいしゃい・しゃる』は標準語の中ではどうやら特別な言葉で、関東でこのように拗音化することは少ないから、上方語をそのまま受け継いだとしか思えない。近世江戸語は上方語の影響を受けた言葉で、その後変化した。
基本形は拗音化しない近世語をを受けた方言には以下の表現がある。
拗音化。
@〜んさる・〜んしゃる。近世上方語。『なさい』が変化したもの。『なさい』の音便と拗音化。本来敬語のはずが、意味が薄れて命令語である。今では中国から九州にかけて使われる方言。茨城では、かなりきつい命令言葉。
はいぐきんしゃい・きんさい:早く来なさい。
やりんしゃい・やりんさい:遣りなさい。
よーぐききんしゃい・ききんさい:良く聞きなさい。
A〜しゃる。動詞「する」の未然形サに助動詞のついた『される』の変化した『さる』の拗音化。
やらしゃった:遣らされた。
B『〜しやがる』。もともとは尊敬の意味だったものが変化したか、単に『〜しやがる』が訛ったもの。広辞苑には『さる:【助動】(室町時代から江戸時代にかけて用いられた。活用は四段型) 四段・ナ変以外の動詞の連用形について、軽い尊敬・親愛の意、または、転じて軽蔑の意を添える。狂、武悪「天の網が来(キ)さつた」。浄、関取千両幟「出さらにや爰(ココ)へ引きずり出す」』とあり、このうちの軽蔑の意味の用法の拗音化の可能性がある。
じゃる
じゃーる
『集覧:無記載』。
じゃる:秋田・八丈島・静岡。
じゃーる:静岡。
じゃろ:静岡。
■▲しゃれ 【慣】退け! 『いしゃれ』。『集覧:久・稲』。
しゃれ:秋田・宮城・福島・北関東・八丈島・長野。
しゃれる 【動】着飾って、おめかしをする。おしゃれをする。 『洒落る』。死語。
じゃれる 【動】戯れる 『集覧:真』。
じゃれる:静岡。
しゃれっこぎ
しゃれもの
しゃれもん
お洒落な人 しゃれもん:静岡。
(じゃん?) 【助】〜じゃないの?、〜だろう 茨城弁では『だっにあたる。茨城では使われない。
1975年頃、亀戸天神に近い東京の友人が『じゃん』を連発していた。
『新方言』には『〜ジャン:ではないか。今全国の若者に口語として広がっているが,戦前に静岡県西部で発生した言い方(東海);「豊橋や静岡県平野部のジャンは昭和初期の流行」;戦後長野/山梨から中部地方一帯に広がり,更に関東に進出したらしい;東京には,昭和30年代に横浜から入ってきた;ジャンは豊橋地方が震源で愛知県にも広がった;長野県高遠町1901年生まれの女性が1958年の録音ですでに使用していることをテープで確認できた;山梨県の方言集にも収録されている;山梨県全域で女性が使用;東海道とどちらが早い発生か未解明;山口県で増加(1990);福岡県にも使用者が出ている(1993);今東北地方の山村にも首都圏のスキー客などから広がっている;語源は「ではないか」の略で,デハ→ジャ,ナイ→ンと変わった;伊豆半島やかつての横浜でジャが使われたこととの関係は未解明;三浦半島ではかつてジェー,ジェンに変わった(1952);なお山形県鶴岡の若者もジャンを使うが,もとからのデアン(であろう)から変化したものとも考えられる;関西ではジャンを使わない;代わりのヤンを以前から使っていたからだ;ジャンカが一段古い言い方と思われる。』とある。
似た言葉に石川の『じー』がある。
神奈川には『やんべーじゃー:やろうじゃないか。』があり、『じゃん』の原型と見られる。そのほか『じぇん』という言い方もある。『じゃん』はそのまま関西の『やん』に語法も意味も合致する。
〜しゃ:宮城。もうなんじっしゃ:もう何時なの。
〜じゃー:山梨。
〜じゃん:東京・神奈川・山梨・静岡・愛知・長崎。
〜じゃんかさー:神奈川。
〜じゃんけ:〜じゃないか:山梨。関西では『やんけ』
〜じゃんよ:〜でしょ:神奈川。
じーやん 叔父、祖父
〜しゃん 【接尾】〜様、〜さん 名前の末尾が『し』の場合に使われる。標準語でも例えば『たかしさん』は、慣れないと言いにくい。そのため、『し』は無母音化させると言い易い。標準語では『た』にアクセントがあり他は平坦に発音されるので連続する『しさ』は言いにくいのであろう。関西弁のように『たかし』を有母音ではっきり発音しそれに『さん』をつければ言いにくさは解消される。これらはアクセントとの有り方が重要な鍵を握る。
これに対して茨城方言は代替語法をとって『しゃん』を使っていると考えられる。また、茨城では少ないながらも『やん』が使われるから『(〜し)やん』が訛った可能性も有る。
◆▲▽じゃんか
じゃんこ
あばた、天然痘が治った後のあばた 『集覧:多・新・稲・真』。
『じゃんか』は建築業界の専門用語で『豆板』を指し、コンクリートが型枠の中に充分に行き渡らずできた痘痕(あばた)の状態を指す。一般の辞書には無くどうやら関東から東北地方の『痘痕(あばた)』の意味の方言が、建築用語になったようである。建築に携わる出稼ぎ労働者の多くが東北地方出身なので出来た言葉なのだろうか。正確には『じゃんこ』
神奈川では、『桑の木の枝の付け根で瘤状になっている硬い部分を指し燃料にすると言う。桑の木の生物学的な特性は詳しくは知らないが、桑の根は、昆虫類の食害を受けやすいのか、奇形が置き易いものだったと記憶する。昭和44年頃、近くの桑畑で、桑の株を総入れ替えしたしたとき、地面から出てきた桑の根は、奇怪きわまりないものだった。私はそれを見てすっかり虜になって、掘り起こされた桑の根っこを無理にしこたま貰い受けて、一つ一つにニスを縫って部屋の飾り物にした。
じゃっかい:岩手。
じゃんか:不揃いな様:群馬。
じゃんか・じゃん:桑の木の枝の付け根で瘤状になっている硬い部分:神奈川。
じゃんか:福島。
じゃんかづら
じゃんかっつら
あばたのある顔
(じゃんかん) 厚かましい人、鉄面皮 静岡。
じゃんか:解からずや:負けず嫌いで意地悪:神奈川。
じゃんかもの:悪戯者:神奈川。
じゃんけんち
じんけんち
【慣】 石拳(じゃんけん)のかけ声。『じゃんけんち、あいしょっち、ちっ、ちっ、ちっ−−−』、『じゃんけんち、あいしょっち、ちっ、ちっ、ちっ−−−』『じんけんち、あいちょっちっ、ちっ、ちっ、ちっ−−−』
『新方言』には『ジャイケンシ ドッコイシ アイコデシ:じゃんけんぽん。北九州市小倉(熊本大レポート)』とある。奇妙な類似の理由は不明である。
じゃんけん
じゃんけん
じゃんけん
【慣】 石拳(じゃんけん)のかけ声。テレビの影響を受けて変った結果と思われる。『じゃんけんっ、っ、っ−−−』『じゃんけんい、い、い、い、−−−』
じゃんけんっくりげってじゃじゃんがぽ 【慣】 じゃんけんの合言葉の亜流と思われるがなかなか語呂が良い。かすかな記憶によるものので一字一句正しいかどうかは自信が無い。古い形式からすると全国共通言葉に近いので、当時流行った言い方の流れと思われる。
◎じゃんこ あばた じゃんこづら:あばた面:八丈島。
(〜じゃんさー) 【複】〜と言うことでございます 鹿児島。
(〜じゃんさい) 【複】〜でございますとも 鹿児島。
じゃんじゃが 【副】楽器などを騒がしく鳴らす音物事を威勢よく進めるさま。
じゃんじゃんぼ
じゃんじゃんぼん
じゃんじんぼー
じゃんじんぼん
葬式 『集覧:久・稲・鹿』。葬式を示す茨城方言のルーツのような言葉。
〜しゃんでー 【複】〜しやがるんだい なにしゃんでー:何をしやがるんだい。
しゃんと 【副】@正しく整ったさま。きちんと。A確定的であるさま。たしかに。B体が衰えず、丈夫なさま。 形容動詞形に『しゃんしゃん』がある。現代ではAの意味はあまり使われない。
@・しゃんと:静岡。
Cその他。
しゃんこ:座る事:静岡。幼児語。
(〜しゃんな) 【複】〜なさるな 静岡。
助動詞『さる:(室町時代から江戸時代にかけて用いられた。活用は四段型) 四段・ナ変以外の動詞の連用形について、軽い尊敬・親愛の意、または、転じて軽蔑の意を添える。』の流れ。
いかしゃんな:行きなさるな。
しゃーんね
しゃーんねー
【複】【形】仕様が無い、しょうが無い
じゃんばー ジャンパー 全国的な訛。一般には、関東では『じゃんぱー』関西では『じゃんばー』と呼ばれるが、例外もある。
じゃんばー:山梨。
しゃん
しゃーん
知らない振り
しやんぼー
しゃんぼー
けちんぼ 『吝ん坊(しわんぼう)』。
しやっかき・しやんぼ:群馬。
しゃんぼ:神奈川。
▽☆じゃんぼ
じゃん
じゃんぼー
じゃんぼご
じゃんぼこ
じゃん
◆▼△▽☆じゃんぼん
じゃん
葬式 『集覧:久・稲・鹿』。
上大津地域ではやや使う人が少なかった。
もともと、葬式のドラの音や『鐃はち(にょうはち)』(銅製の皿状の物を二枚打ち合わせて音を出す法会や葬儀で用いる楽器)は古くは『じゃんぼん』と呼ばれ楽器の古称が葬式の代名詞になったと考えられる。
土浦では葬式行列の音楽隊は太鼓と鐃はちを使うので、そのまま茨城訛りで言葉にすると『ちんちんどんどんちんどんどん』または『じゃんぼご じゃんぼご じゃんじゃんぼごぼご』となる。実際、県東南部では『じゃんぼこ』と言う。
夏目漱石の小説に『坑夫』がある。足尾銅山を舞台にした小説だから栃木弁の『じゃんぼー』が出てくる。面白いのは前半に茨城県出身の人物が出て来て『芋』を『えも』と発音するくだりまで描かれている。
青空文庫 夏目漱石 坑夫
『俚言』には『ぢゃんぼ:下野にて葬式をいふ。』『ぢゃんぼん:館林にて葬式をいふ。』とある。
土浦の上大津地域では『じゃーぼ』がメジャーであったが、市内では『じゃんぼ・じゃんぼん』と言う地域もあった。
いずれも、野送りの際の楽器の音に由来することは間違いない。
じゃんじゃんぼ:福島・静岡。
じゃんび:三重
じゃんぼ:福島・栃木・千葉・新潟(幼児語)・静岡
じゃんぼー:栃木。
じゃん:千葉
じゃんぼこ・じゃんぼご:福島・千葉
じゃんぼん:秋田・福島・茨城・千葉・栃木・埼玉・群馬・新潟・長野・長野・山梨。
じゃん:秋田(幼児語)・福島・栃木・長野・静岡
じゃんぼん:死ぬこと:新潟。幼児語。
じんがん:長野
じんぼん:新潟。
じゃんぼ ヒガンバナ
じゃんぼ
じゃんぼんくみあい
葬式の時相互に助け合う組講
じゃんぼさだ
じゃんぼしらせ
じゃんぼんつかい
葬式の知らせ
じゃんぼしんせぎ
じゃんぼしんせき
じゃんぼんしんせぎ
葬式のときだけ付き合う遠い親戚
じゃんぼっか 両墓制の埋め墓
じゃんぼっ
じゃんぼばな
じゃんぼんばな
じゃんんばな
ヒガンバナ じゃんぼばな:群馬・千葉。
じゃんぼまーり
じゃんぼんめ
葬式の出棺の際の儀式が転じて左周りの意味。 じゃんぼんまわり:群馬。
じゃんぼまんじー
じゃんぼまんじゅー
葬式饅頭 『じゃんぼ』は葬式の意味だが、確かに大きな饅頭だった。そこで子供達はこんな歌を作った。『そーしきまんじゅー、でっかいまんじゅー、じゃーんぼまんじゅー、でっかいまんじゅー』
しゃんめ
しゃんめー
しゃーんめ
しゃーんめー
【複】しょうがないだろう 『しゃーあんめー』がさらに訛ったもの。東京西部でも使われ、『しゃああんめえ・しゃあんめえ』なら関東方言・江戸言葉と思われる。
『しようがあるまい』→『しょうがあるまい』→『しゃああんまい』『しゃああんめえ』『しゃあんめ』
中には『さーんめー』に近い発音をする人もいる。
しゃんめ:福島。
しゃんめー:千葉野田。
しゃんめっちゃー:宮城。
★『土』:只(ただ)かうしてぐづぐづして居(ゐ)ても仕(し)ゃうあんめえな。
★『土』:そんだっておとっつあは、よき欲(ほ)しいっちから出(だ)して俺(お)れと燒(や)いたんだあ、食(く)へたくなっちゃしゃうあんめえな
しゃんりんしゃ 三輪車
しゆ
しゅ
おしる、おつゆ しゅ:鹿児島。
しゅい:鹿児島。
じゆー 理由 『集覧:無記載』。当時は『理由』より『じゆう』を使う事が多かった。『事由』の意味とすれば標準語である。茨城方言集覧では『理由』が訛ったとしている。『り』の濁音形として『じ』になったと考えられる。煮た方言に『下りる』意味の『おぢる』がある。
ラ行音が濁音化するのは、八丈方言と共通している。
(じゅー) 鹿児島。
(〜しゅー) 鹿児島。
琉球弁に似て鹿児島でもウ段音がオ段音に変化する。茨城ではウ段音とオ段音が交替することがある。
(〜じゅ) 紙・海苔などの一定の枚数を一まとめにして数える語 鹿児島。
『帖』。
(しゅい) 首里 沖縄。
(じゅいや) 料理屋 鹿児島。
じゅうふく 重複 私の世代は『ちょうふく』が正しいと学んだが、辞書にもある言葉。
(しゅえ) 【複】敷け 千葉。
しゅーかえひづ 集会室
しゅー @結婚式、Aお祝い金 『祝儀』。
じゅぐ @軸、A性根、根性
じゅーく
じゅーくー
@おもく堪えがたい苦しみ、A▼文句、生意気なこと、ませていること、そのさま @『重苦』。
A『日本方言大辞典』では、猿島郡の方言として紹介されている。文献にも雑俳・柳多留六に『ぢゅうくうなこと斗いふ宿下り』がある。『事由句』の意味か?。
じゅーく:口答え:文句:群馬・埼玉。
おじゅーく:おてんば:長野。
じゅーくー:勝手なこと・生意気なこと・根拠のないこと:群馬。
じゅーくする:よけいな口出しをする:埼玉。
じゅーくたれる:生意気を言う。
しゅぐじる
しゅくじる
【動】しくじる、失敗する
じゅぐるむ 【動】熟する
(じゅーしー) 炊き込みご飯、おかゆ 沖縄。『雑炊』の意味か。
(十について) 茨城では、かつて多くの人が話す十は『じー』だった。促音になる場合は特に『じっ』と聞こえる。
NHKのアナウンサーの多くは、長音の場合は『じゅう』と言い、促音のばあいは『じっ』と言う約束になっているという。従って十手は『じって』、十戒は『じっかい』、十個は『じっこ』、十本は『じっぽん』、十回は『じっかい』と発音する。普段聞きなれているので聞き逃してしまうことが多いが間違いなくそのように発音されている。『を』は必ず『お』と発音されている。
ところが、口語では『じゅう』『じゅっ』しか使われない。日本語は不思議だと外国人に言われても仕方が無い。
ところで、見方を変えると十はかつて『じふ・じう』と表記された。すなわち十の本来の発音は『じう』であり、促音化する場合は『じっ』となったのであろう。ところが、日本語のイ段音はもともと口蓋化した音なので『じう』と発音しても結局『じゅう』と発音してもほとんど区別がつかないところに誤解が生じるのであろう。
今や、『じゅっこ』も『じゅっぽん』も『じゅっかい』も誰も否定しないし、ワープロもそのまま変換される。
ところで、茨城の『じー』とは一体何故生まれたのだろう。茨城の長音は、平坦にそのまま発音するのが原則である。例えば、買う:かー、言う:ゆー、食う:くー、となる。『じう』『じー』になり、先週(せんしう・せんしゅう)は『せんしー』に、舅・姑(しうと・しゅうと)は『しーと』になる。このような方言は神奈川にもあり、詳しく調査すればかなり広い地域で使われている。
その一つの理由は、旧かな使いの誤読が挙げられよう。
さらにこのうち舅・姑(しうと・しゅうと)の古形は『しひと』であり、古語がそのまま残ったと考えることもできる。
一方、茨城方言の直音化現象は、合理化の好きな茨城方言の特徴の一つとも考えることができる。
また、仮説ではあるが、『じって』『じっかい』『じっこ』『じっぽん』がかつての東京方言だったすれば、近世江戸語を現代に多く残す茨城方言であるから『十』の直音化があってもおかしくはない。かつての東京では大半の人が『新宿』を『しんじく』と発音していたと言われる。土浦市の東のはずれにある『沖宿』は濁音化を伴うものの同様に『おぎじぐ』と発音される。
ただ、茨城方言の直音化現象は江戸方言の巾をはるかに超えている。これは、拗音を嫌う茨城方言の傾向が、周辺部から入る言葉に対して『地場語同化』現象を起こしているとも考えられる。
じゆーさゆー 【形動】思うがままの様、自由自在 『自由左右』の意味。『左右』は語呂合わせの言葉と考えられる。
なんでもじゆうさゆうにでぎっとおもーんだねーど:何でもわがままにできると思うんじゃないぞ。
しゅーじ 巾の狭い道、路地 『小路』(こうじ・しょうじ)。『集覧:多』。
しゅーじ:長崎。
(じゅーじゅー) 【副】たびたび、ちょいちょい 神奈川。『重重(かさねがさね。いくえにも。)』の意味が転じたか。
(じゅすまき) 竜頭で巻く方式の時計 鹿児島。
『竜頭巻』。
(しゅだ) 【形】不思議な、特殊、希代 鹿児島。
『殊たる』意味か。
じゅーづき 小使、用務員 『集覧:無記載』。『常使い』の意味。
じゅっけ ジャンケン
じゅっけっち ジャンケンの掛け声 『じゅっけっち、ち、ち』と繰り返す。
(じゅつない) 【形】仕方がない。困る。切ない。 『じつない』とも言う。『術無い』。
じぢなし:無能また無術の人:長野。長野にもあるタ行音の濁音化。
じゅーね エゴマ
(主の祈り) キリスト教の『主の祈り』の方言版が『日本各地の方言による「主の祈り」』に掲載されている。そのうち県西部の茨城方言として以下が紹介されている。『〜』は長音表現のようである。尚、『主の祈り』宗派によって少しずつ異なる。
天にいるおれらのとーちゃん。
たのむから〜、おめのなまえを〜、あがめさしてくんねか。
おめの国がくるように〜、してくんねか。
おめが考えてるように〜、天になるように〜
おらほんとこにもやってくんねか。
おれらの食いもんを〜、今日もくんねか。
おれらに罪をおかすやつらを〜、かんにんすっから〜。
おれらの罪も〜、かんにんしてくんねか。
おれらをこころみに〜、あわせねように〜
悪いとこから〜、たすけてくんねか。
おめの国と力と栄えは、いつまでもおめのもんだからよ。
ほーだよ、ほーだよ。

(当サイトが作った昔の土浦の主の祈り)
天に居(お)らいる俺らのおどっつぁんよー。
どーが、なめーをあ
めさせでくらっしょ。
おめ様の国を来(き)らせでくらっしょー。
おめ様のこごろが天にとどろぐよに、地にもとどろがせでくらっせ。
俺らのいづもの食いもんを、あだいでくらっせー。
俺らにと
をおがすもんを俺らが勘弁するよに、俺らのとをも、勘弁してくらっしょ。
俺らを、試しにあーせねで、あぐがら救い出してくらっせやー。
国どちがらどさがいどは、せー
んなぐ、おめ様のもんだがんなや。
アーミン。
じゅーばち 重箱 『集覧:多』。
じゅーばち:飯櫃:青森。
しゅびん 尿瓶 古い標準語。
(じゅーみー) アオカナヘビ 沖縄。
(しゅもく) 撞木。仏具の一。鐘・鉦(タタキガネ)・磬(ケイ)などを打ち鳴らす棒。多くは丁字形をなす。しもく。(広辞苑) しもく:鹿児島。
(しゅーもん) 戸籍 静岡。
明治以降は戸籍制度が出来たがそれ以前は『寺帳』などと呼ばれるように、寺等で現在の戸籍に変わる台帳が管理されていたため『宗門』が戸籍の名称として残ったとされる。
(じゅり) 沖縄地方で、遊女のこと。女郎。一七世紀から那覇に遊郭が設けられ、ここに集められた。 沖縄。『尾類』と書く。もともとは『ずり』
(じゅるい) 【形】ぬかるむ様 静岡・愛知・福井・大阪・兵庫・岡山・山口・長崎・熊本。元『緩い』か。代表的な西日本方言。
じるい:愛知・岐阜・京都・奈良・三重・兵庫・岡山・鳥取・山口。
じるくたい:静岡・愛知・鳥取。
じるたんぼ:ぬかるみ:徳島・愛媛。
しゅーれきしゃ 終列車 『集覧:多』。
(しゅわ) 鹿児島。
じゅわっと 【副】じわっと 俗語では使われる。拗音化。
(しゅん) 染み 鹿児島。
じゅん 順序を追ってすること。順番。 『順繰り』。
じゅん:東京。
じゅんけーに 【副】順番に 『巡回』の意味か。順番に回る意味か。
じゅんけない:予想外の費用がかかること・予想外の用事が重なること:岩手。順を踏んで手続きを踏む意識が無い意味だろう。
じゅんけん じゃんけん
じゅんじょー 尋常 じゅんじょー:青森。
じゅんつ 順繰り 『順継ぎ』の意味。
じゅんとう
じんとー
【形動】道理にかなっていて、当然であるさま 『順当』。使われなくなりつつある標準語。当時の茨城では日常語。
しゅんとぎ 瞬時 『瞬時』の重箱読み。
じゅんのび
じんのび
順ぐりに期日を延ばすこと 『順延』。
じゅのび:ゆっくり:長野。
じょんのび:ゆっくり:新潟。
じゅんばんこ 【副】順番に じゅんりばんこ:宮城。
じゅんわり 【副】じんわり 標準口語では使われる。拗音化。『俚言』掲載語。
しよ
しょ
しょー
日本語のイ段音は、口蓋化しているため、Y音が含まれるから、必然的に生まれた訛りである。
しお→siyo→しよ・しょ
しよ:群馬・鹿児島。
しょ:秋田・八丈島・長野。
しょー:福島・長野。
『しょ』と『じょ』 2010年1月、NHKの女性アナウンサーがハイチ地震のアナウンスで、『避難所』を『ひなんしょ』と発音していた。これは辞書には無い。
日本語には他にもおかしな表現がある。関東では『保育所』を多く『保育園』と言い、また関東では『ほいくじょ』と言うのに厚生省管轄の児童福祉法では『ほいくしょ』と定義されている。
何故、『便所』を『べんしょ』と言わないのかも考える必要がある。
しよー
◆●しょー
しょう
【動】背負う 『集覧:久・猿』。標準語の中の訛り。ただし茨城では『しょってる』(うぬぼれている)意味では使わない。『おんぶする』意味で使うことがある。
しょう:栃木・群馬・東京・長野・静岡。
しょる:青森。
しよ
しょー
『集覧:猿』。ここまで訛ると倒語の可能性もある。江戸時代には倒語が流行した。
じょ 手紙 鹿児島。『状』。
じょー あまること。多すぎること。 『剰』。
じゃに:沢山:島根。
じょー:沢山:島根・岡山・山口。
しょー:非常に:徳島・高知。
じょっ:余計な様:神奈川。
じょーに:沢山:高知・大阪・京都・中国・香川・徳島。
じょー
じょん
じょーん
良い子、おりこうさん、上手 じょー:福島。
じょん:福島。
じょー 娘、未婚の女 『嬢』。標準語では普通『御嬢様』である。古くは『御嬢』とも言った。
じょー 錠前 『錠』。昔は錠をかけ、鍵を交うと言った。今は錠が固定されているので、鍵をかけるだけになった。当時の農家は老夫婦が家にいることが多かったためもあるだろうが、家に鍵をかけることは殆どなかった。
(じょー) 長野。
(じょー) 勝負なし 静岡。『持(じ)』(優劣のないこと。あいこ。もちあい。)の意味と言う。
(じょー) 通り 静岡。
じょー:戸口・門:静岡。
しょー 先天的な性質。うまれつき。性状。たち。 『性』。
じーよー 【形動】重要
しょー
しょう
【動】背負う
〜しょ
〜しょー
【助】@丁寧な推測の助詞、A丁寧な勧誘の助詞、〜下さい 『〜しょう』は、現代語では、助詞とは定義されていない。助動詞『です』の活用形の一部として捉えられている。
@標準口語では、推測の助詞として『〜ろう』は男性、『〜しょう』は女性が使う傾向があり、『〜しょう』の方がより丁寧で上品な印象がある。土浦でも『〜、〜べ、〜へ』は男性中心で、『〜しょう』は女性を中心に使われた。これも標準語化の過渡期の現象だったかもしれない。旧仮名遣いでは『せふ・せう』
そーでっしょー:そうでしょう。
こーでっしょー:こうでしょう。
ようござっしょー:宜しいでしょう。
『新編常陸国誌』では全て単音形で表現されている。
そーでっしょ:そうでしょう。
こーでっしょ:こうでしょう。
A主として女性言葉。丁寧な命令語。茨城方言では『〜せよ・〜せえよ』が訛ったと考えられ、独自に発達した助詞とみることができる。
一方、広辞苑には『:助動詞「しゃる」の命令形「しゃれ」「しゃい」に、次に「せえ」に、さらに「し」と転化したもの。四段活用の動詞の未然形に促音「つ」の伴った形に接続する。「しゃる」の表した尊敬の意はなくなり、ほぼ対等の相手への命令を表す。』とある。ちなみに『しゃる』『せらる』が訛ったものであるから『しらる』があっても不思議はないのだが文献には無い。
この方言は、『し』に、終助詞『よ』よがついて『〜しよ』となり、『しょ』に変化したと考えられる。この『し』は現代語の『為る』の連用形に当たるが、特に関西では、『はよし・はよしい』などと言い現代に残り、さらに助動詞が付いて『はよしなされ・はよしなはれ』などとも言う。
現代でも、時々『ご覧しょう』などと言うことがある。古くは『ご覧しよ』だったと推測される。
みらっしょー:御覧なさい。
あすばっしょー:お遊びなさい。
おきらっしょー:お起きなさい。
やらっしょー:お遣りなさい。
ねらっしょー:お休みなさい。
やすまっしょー:お休みなさい。
あいばっしょー:お歩きなさい。
かえらっしょー:お帰りなさい。
あがらっしょー:お上がりなさい。
きらっしょー:お召しなさい。
やめらっしょー:お止めなさい。
ごっしょー:御座いましょう。
いき(ん)しょー:お行きなさい。
かえり(ん)しょー:お帰りなさい。
またき(ん)しょー:またおいでなさい。
いってみーしょー:行って御覧なさい。
やってみーしょー:遣って御覧なさい。
『新編常陸国誌』では全て単音形で表現されている。標準語約は適当な言葉が見つからない場合は通常の命令語で表現した。
みらっしょ:御覧なさい。
あすばっしょ:遊びなさい。
おきらっしょ:起きなさい。
やらっしょ:おやりなさい。
ねらっしょ:お休みなさい。
やすまっしょ:お休みなさい。
あいばっしょ:歩きなさい。
かえらっしょ:お帰りなさい。
らっしょ:お上がりなさい。
きらっしょ:お召しなさい。
やめらっしょ:お止めなさい。
ござっしょ:おいでなさい。
いきんしょ:行きなさい。
かえらっしょ:お帰りなさい。
かえりっしょ:お帰りなさい。
またきっしょ:またいらっしゃい。
いってみーしょ:行ってみなさい。
やってみーしょ:やって見なさい。
しょーあい
しょーあわい
@性質。たち。A互いの性質の合うこと 『性合』。
@・しょーあえ・しょーあわえ:山形。
しょーありあしねー
しよーありやしねー
しょーあるもんじゃねー
しょーあるもんだねー
【複】しょうがない、やりようがない 『しょうがない』の反語。『仕様がありやしない』意味。
★『土』:此(こ)れおめえ女っ子でもなくって見さっせえ、こんな小(ちいせ)えの抱(だけ)えて仕ようあるもんじゃねえな:これがあんた、女の子でもなかったら見なさい。こんな小さいのを抱いて、やりようがあるもんじゃないよ。
★『土』:夕飯(ゆふめし)も何(なに)も仕(し)やうありやしねえなんてな。
しょあんめ
しょーあんめ
しょーあんめー
【複】仕方が無い、仕方が無いだろう、しょうがないだろう 『しゃーんめ』の原型。『し様があるまい』。
しょーあんめ:福島。
しょーあんめー:群馬。
★『土』辛(から)くて仕(し)ゃうあんめえなよきは。:よきは、辛くてしょうがないだろう。
★『土』どっちでもええって腹減っちゃしょうあんめえな:どっちでも良いって(言ったって)腹が減ってはしょうがないだろうが。
しょい
しょーい
醤油 『集覧:猿・無記載』。『ゆ』が『い』に変化。
しょい:群馬・鹿児島。
しょーい:青森。
そい:鹿児島。英語の『soy sauce』はこれに由来するという説がある。
しょーいー 【形】性格が良い 『性良し』。
しょーいー:神奈川。
しょいあぎねー
しょいかあぎない
行商人 『背負商い』。
しょいあきない:群馬。
しょいこあきない:秋田・岩手。
しょいか 背負い籠
しょいかだ 背負子 しょいな:静岡。
しょいかぶる 【動】@背負う、A責任をとる、ひっかぶる
しょいござ 日光・雨露をしのぐために身にまとう茣蓙 『着茣蓙』。
しょいござ:神奈川。
しょいた:神奈川。
しょいごむ
しょいこむ
【動】背負い込む
しょいなー
しょいなわ
背負い籠に付けた縄 『背負い縄』の意味。
しょんなー:静岡。
しょいばし 背負子 『背負い梯子』の意味。
しょいだい:群馬。
しょいで:群馬。
しょいでー:群馬。
しょいな:静岡。
しょいばし:群馬。
しょいひも 負ぶい紐
しょいぶぐろ 背負い袋、頭陀袋、麻袋 一輪車が普及する前に堆肥などを入れて運搬した大型の袋。背負うための縄がついているものもあった。
しょいぶくろ・せーぶく:岩芝と言う草を茹で細い縄にして編んだ紐付きの背負い袋:群馬。同じ名前でも茨城とは用途が異なると考えられる。
(しょえん) 書院 静岡。
(しょえん) 油煙 静岡。
(じょーおー) 女王 定着した誤読。ワープロ変換できる。実際『じょおうさま』と『じょうおうさま』は耳で聞くとほとんど識別できない。これは『う』をそのまま発音せず長音語にしてしまった現代語の宿命とも言える。
(しょが) 生姜 鹿児島。
しょーあんめ
しょーあんめー
しょーんめ
しょーんめー
【複】しょうがないだろう しょーあんべー:神奈川。
しょーんめー:群馬・東京多摩。
じょーかい 定期的な会合、定例会議 『常会』。
じょーだり:いつも:奈良。
じょーこわい 【複】強情、頑固 『こわい』は『強い』(こわい)意味。
(しょーつ) 農繁期などに村落中で農作業を休む日の総称 神奈川独特の言い方だが『正月』には『喜ばしく楽しい場合』の意味があると言う。しめーしょーつ・くさかりしょーつ・たねまきしょーつ・あめふりしょー などがある。
しょーってねー 【複】仕様勝手が無い、しょうがない
しょーってもしょーねー 【複】気に掛けてもしょうがない
しょない
しょーないしょ
しょねー
しょーねー
【形】しょうがない 『集覧:猿』。
しょ:福島。
しょーない:根性が無い:神奈川。
しょーにゃー:静岡。
しょーらねー:神奈川。
しょうるもんじゃない:しようがない:静岡。
しょーんない:東京・神奈川。
しょーんねー:神奈川。
しょーがら
しょーから
塩辛 しょっから:神奈川・静岡。
しょー 【複】気に掛ける、(どこか)しようがある
しょーるもんだねー 【複】気に掛けるな
じょき 椀(わん) 『集覧:無記載』。『定器』(@壱常に定まって使用する器物。A飯などを盛って供える仏具。)の転。
『称呼』には『椀(飯椀・汁椀・菜椀等の品あり):西国及北国にてごきと云。東国中国四国にて日用の飯器をじやうと云。相模安房上総下総武蔵邊に至るまでかうだいと云(江戸は勿論其国其国の駅舎にてはかうだいとは称せずわんとのみよぶ也。)。今按にごきと云事卑賤の詞にはあらざるべし。「続日本紀」に御器の膳と有。又ぢやうと云へるは則常器也。西国にてはぢやう ぢやう ぢやうなどと云。又かうだいといふは今の椀とは少たがへり。今の世に椀といふ物は、いにしへ引入合子(がうし)などいひし也。(中略)「平家物語」に木曾義仲精進がうしの詞あり。「職人書歌合」にいなばがうし などの詞あれば因幡の産を上品とせしにや。今も年の初に門松をつくる藁合子(わらごうし)といふ物有。古き詞なり。大峰の圖司のわたりにて人々俳諧連歌せしにいとせばき家なりければ ゆふけもる器物こしらへる音 席に聞えけれは、「大峰の圖司のあたりのちかきにやなりわたるらんごきもぜんきも 季吟」。』とある。
記録に残された由緒ある言葉はともかく、食器としての『じょき・じょうき』や笊を示す『しょぎ・しょうぎ』は同源であろう。
これは、『食』と『常』の深い関連性を示していると思われる。
しょう:貴人の椀:八丈島。
じょけ:石川。
じょーぢゃわん:島根。
ずき:壱岐。
しょーぎ おしおき、折檻 『仕置』。
しょーき:神奈川。
しょー 床几、折りたたみ式(脚が交差した)椅子 時代劇で合戦の大将が屋外で座る姿が見られるが、座っている椅子が床几である。養蚕の台等にも使われた。
しょー
しょーざる
浅い小笊 関東方言。類『あしょー
中国から九州にかけて笊を『笊笥(そうけ)』と呼び、その他『しょうき、しょき、しょけ、じょけ、しょうけ』等と呼ばれている。
標準語では『床几・牀机・将几』(野外使用の腰掛)または、『鬘桶』(かずらおけ)を指す。『笊笥』(そうけ)は広辞苑に『(西日本で) ざる。』とある。『笊』は音読みで『そう』と読む。『笥』は器の意味。となれば『笊器』であり『笊』が拗音化し『器』が濁ったのだろうか。
『称呼』には『いかき:畿内及奥州にていかき、江戸にてざる、西国及出雲石見加賀越前越後にてせうけと云。武州岩附邊にてせう、安芸にてしたみ、丹波丹後にていどこ、遠江にてゆかけ、越後信濃上野にてぼてといふ。』とある。
しょー:埼玉。
じょー 田植えの際の苗の間隔を決める道具 『定規』の意味。
しょぎあだり 暑さ負け 『暑気中り』(しょきあたり)。
△しょく 卓、机 『集覧:猿』。『しょく』とは古い言葉で『卓』のこと。
しょき:鹿児島。
しょく:神奈川・静岡。
しょぐ
しょく
照明の明るさの単位 『燭』。
1961年に廃止された旧単位。電球の単位としてワットを使用する以前の単位、当時は、ビートルズが来日し、オリンピックが開催され、池田内閣による所得倍増計画が宣言された時代だった。
(しょく) 菖蒲 鹿児島。
(じょーぐぅー) 上戸 沖縄。
しょぐいん 食塩、職員
しょぐい
しょくい
しょぐえ
しょくえ
卓、机 茨城方言集覧では旧新治郡の方言で『しょくゑ』と表現されている。『しょく』とは古い言葉で『卓』のこと。
しょくえ:佐渡島。
しょぐえんひづ 職員室 『い』と『え』、『ひ』と『し』の典型例
しょぐ
しょぐす
しょくす
【複】身に余る、過分 『職過ぐ』(古語)の転。
しょくす:千葉・神奈川・静岡。
しょぐほそい 【複】食が細い、小食 日常言葉。
しょぐほそい:宮城。
(しよくされ) @海水が淀んでいること、Aぬるぬるした汚れ 神奈川。
しょくせー 様子 『そくせー』がさらに訛ったもの。
じょー @錠のかかった入口、A門から玄関までの道路状の土地、門口 @清音なら古語。『錠口』。
じょー:玄関:神奈川。
Aもともとは、大名屋敷等の表と奥の間の出入り口を指したものが訛ったのであろう。あるいは『条口』の意味か。
じょー:戸口・門:静岡。
じょー:門口:岩手・山形・埼玉・東京多摩・神奈川・佐渡島・山梨・静岡。
じょー:門口:宮城。
じょーぼー:千葉。『条坊』のことか。
しょぐどー 食堂
(しょなる) 【動】しゃがむ 静岡。
しょぐにん 職人 しょかにん:鹿児島。
しょぐよーいる
しょぐよーえる
しょぐよーーる
食用蛙、うしがえる
(しょれる) 【動】真っ直ぐにならない 神奈川。
しょー
しょーげー
障害、妨げ 古い標準語の『障礙、障碍』。
しょごむ 【動】しょげこむ
しょげーる 【動】しょげかえる
(じょー 【副】たびたび、しばしば 神奈川。『常が様に然が様に』の意味か。
(しょける) 【動】倒れる 静岡。
じょーげる
じょーける
【動】ふざける。 近世語。漢字は当てられていない。もとは上方語とされる。『浮世風呂』にもある。上方語の『ちょける・ちょーける』が訛ったと考えられている。
じゃばける:宮城。
じょくねる:山梨。
じょけっか:ふざけること:山梨。
じょける:群馬・新潟・長野・山梨・静岡。
しょける:静岡。
ちょける:長野・静岡・岐阜・愛知・福井・滋賀・奈良・三重・大阪・和歌山・岡山・徳島。『嘲す:あざける。馬鹿にする。人をなぶる。』の自動詞形とも考えられる。
ちょーける:長野・静岡・岐阜・愛知・福井・滋賀・奈良・三重・大阪・和歌山・岡山・徳島。『嘲す:あざける。馬鹿にする。人をなぶる。』の流れとも考えられる。
ちょれる:長野。
じょ
じょー
漏斗、じょうご 一升瓶等に入れる漏斗はアルミ製。米を俵に入れる漏斗は大型で竹で編んだもの。
(じょご) 上戸 鹿児島。
しょーこぐばしら 大黒柱に対して少し細い柱
しょことなし
しょーごどねー
【形】しょうことない、しようがないこと 『しょうことない』の転。
しょーことなし:東京・静岡。
しょーこりねー
しょーこりもねー
【形】こりることがない。 『性懲りもない』。
しゃえこなし:無用のことをするもの:山形。
しょーこりなぐ
しょーこりもなぐ
【副】こりることなく、いつまでも
しょ 【動】水や小便などが吹き上がる 『ひょる』。古語の『ひょぐる』の転。
しょ:神奈川。
じょーこわい 【複】強情、頑固 『情が強い(こわい)』意味。
しょざいない
しょざいねー
【形】することがなくて退屈な様 『所在無い』。現代では口語で使われることはめったに無い。
しょわざわいない:東京。
じょーさん 【複】沢山 『仰山』が訛ったものだろう。上方方言。東日本では茨城だけに残る。
じょーさん:茨城・福井・奈良・和歌山・大阪・淡路島・岡山・広島。
(しよし・しよしり) 潮干狩り 東京。典型的な東京方言。
(しょし) 障子 鹿児島。
(じょーし) 漁師 静岡。
しょーじ 巾の狭い道、路地 『小路』(こうじ)。
漢字の読み方からすれば『しょうじ』の方が正しいと言える。上方語。
『称呼』によると『小路(こうぢ)。京都にて称す。江戸にて横丁(よこてう)といふ(但式部小路(しきぶこうち)・藪小路(やぶこうち・浮世小路(うきよしょうち)なと呼有)。大阪及伊勢松坂にて小路(しゃうぢ)と云。勢州山田にて世古(せこ)と云。辻子(づし)。京にていふ。江戸大阪ともにろぢといふ。』とある。
しょうじ:佐渡島。
しょーな:静岡。広辞苑に『しょうな:(東海地方で) 田畑・人家の間の小径。または往還から屋敷までの路。』とある。『小畷』の意味か。
しょーし 【形動】@気の毒なこと。A滑稽なこと。B恥かしく思うこと。 『笑止』(@大変なこと。A困ったこと。B気の毒なこと。同情すべきこと。C笑うべきこと。おかしいこと。D恥かしく思うこと。)は当て字でもともとは『勝事』であるとされる。標準語だが死語。高齢者は今でも使う。『笑止千万』。
『勝事』は広辞苑に『(ショウシとも)@人の耳目をひくような尋常でない事柄。すばらしいこと。また、奇怪な事件。Aしょうし(笑止)。』とある。二つの語源があるとも考えられる。
@嘆き悲しむ意味の『愁傷』と『笑止』は極めて音韻が似ている。当時の大人達がもごもご言いながらごまかすようにつぶやいていた理由はここにもあるかも知れない。
おしょし:岩手・秋田。
おしょしー:東北・宮城・長野。
おしょーし:気の毒なこと:山形・新潟・石川・長野・香川・徳島。
おしょしさんでございます:気の毒で御座います:宮城。
おしょーしだげんでもかしてくだえ:物を借りる時の言葉:山形。
おしょーしな:有難う:山形。『な』は『だ』の意味。
おしょす:岩手。
おしょすい:岩手・宮城。
ごしょーし:気の毒:静岡。
しょし:青森・秋田。
しょしー:青森。
しょーし:恥:千葉・新潟。
しょーし:大変な様・恥ずかしい様:長野。
しょーし:福島・静岡・高知。
しょーしー:山形・福島・千葉・新潟・静岡・三宅島・長野。
しょーしない:恥ずかしい:佐渡島。
しょす:岩手。
しょすい:宮城。
しょーしー 【形】@気の毒な様、A滑稽な様、(B恥ずかしい) 標準語だが死語。高齢者が使う。『笑止い』は当て字。ちなみに古語には無い。
@前項参照。
しょーし:静岡。
BAの意味が転じたものだろう。
名詞形の『笑止』には、『恥かしく思うこと』の意味があるのに、形容詞形は辞書では方言として扱われている。
『俚言』には『しやうし:越後にて恥ずかしいこと。』とあり、江戸時代にすでに方言と認識されていた言葉である。
おしょし:岩手・秋田。
おしょしー:東北・宮城・長野。
おしょーし:気の毒:静岡。
おしょーしー:恥ずかしい:神奈川・長野。
おしょし:恥ずかしがり:宮城。
おしょす:岩手。
おしょすい:岩手・宮城。
おしょす:恥ずかしがる:宮城。
しょし:青森・秋田。
しょしー:青森。
しょーし:恥:千葉・新潟。
しょーし:東北全県・千葉・新潟・長野・静岡・淡路島・隠岐・高知。
しょーしー:山形・福島・千葉・群馬・新潟・長野・静岡・三宅島。
しょーし:恥ずかしがる:山形。
しょす:岩手。山形・福島・千葉・群馬・新潟・静岡・三宅島・長野。
しょすい:宮城。
しょし
しょーしかみ
ちり紙 『集覧:多』。
◎しょしき 物価 古い言葉。『諸色・諸式』。
(じょーしき) つね。ふだん。常時。 『常式』。
・東京。
しょーじぎ 【形動】正直 しょーりき:静岡。
しょーし 拍子木 『ひ』と『し』の混同。
(じょーじゃる) 【動】訴える 長野。
しょーしゃない
しょーしゃねー
【複】遣ることが無い 『所作(仕事)』が無い意味。
しょしょ 他国から来た漁師 『集覧:無記載』。単に『しょしょ【諸処・諸所】:さまざまな場所。あちこち。方々。』の意味が訛ったか。
◎じょじょ
じょーじょー
じょっじょ
草履 『集覧:新』。幼児語。『じょじょ』は、童謡にも歌われている言葉。『集覧:新』。
『俚言』掲載語。草履は『じょうり』とも言い繰り返し言葉にしたものと考えられる。
じょじょ:東京・長野。
じょーじょー @常々、Aたびたび 『常々(じょうじょう)』。
@標準語。
じょーじゅー:静岡。
Aの意味は標準語には無い。
じゅーじゅー:神奈川。
じょー:神奈川。
じょーじゅー:静岡。
じょーじょ:神奈川。
じょーじょー:神奈川。
じょじょい:鹿児島。
じょじょん:鹿児島。
じょん:鹿児島。
しょーしょー
じょーじょー
【副】小便をする様 もともとは水が流れる言葉に由来する。『俚言』によれば水や川が流れる様は『しょろしょろ』だった。表現の問題もあるが『そろそろ』とも言ったという。ラ行音を嫌う茨城方言と濁音化によって生まれた由緒ある言葉の一つ。
(しょーしょーれ) 少し暗くなった頃 神奈川。
『少々暮れ』の意味と考えられる。
しょーじろ 巾の狭い道、路地 『小路』(こうじ)+『路』の意味。
(しょじん) 精進 鹿児島。
じょーず お世辞 標準語。
じょんずまげる:お世辞を言う:岩手。
(じょーずー・じょーずぐ) 【副】上手に 静岡。『ぐ』は濁音か否か不明。
◎しょーず 小豆 小豆の別称。
(じょーずく) 【動】弄ぶ 静岡。
(しょずむ) 【動】摘む 静岡。
じょせーねー 【形】如才ない じょさね:山形。
じょせ:ておち・てぬかり:青森。『如才』。
しょぜーねー 【形】することがなくて退屈な様 『所在無い』。
しょーぜーねー:神奈川。
しょーぜーねー:神奈川。
(じょーだ) 【複】ましだ 静岡。
しょだいもぢ
しょたいもぢ
既婚者 『所帯持ち』。
しょたれ 元気のない人、みすぼらしい人 『潮垂れる』の名詞形。
(しょたれる) 【動】@びしょびしょに濡れる、A塩っぽくなる 『潮垂れる』(@潮水に濡れてしずくが垂れるA涙で袖が濡れる。悲嘆に沈む。B(斎宮の忌詞) 泣く。C貧相な有様になる。元気のない様子になる。しょぼたれる。)の転か。
(じょーたん) 【副】度々 静岡。
しょーちー
しょーぢー
しょーぢゅー
焼酎 しょちゅ:鹿児島。
しょつ:鹿児島。
そつ:鹿児島。
しょじーしょーちーのんでる:しょっちゅう焼酎を飲んでる。
しょぢ
しょぢー
【副】しょっちゅう、始終 『しょっちゅう』は、『初中後』(しょちゅうご)が転じたとされている。
じょーだり:奈良。『常にてあり』。
じょーたん:静岡。
しょーちき 正直 しょちき:鹿児島。
そちき:鹿児島。
じょーちゃん お嬢さん
じょーづかい
じょーつかい
用件を連絡して回ることを仕事にする人 『常使い』の意味。
しょっかい 【形】しょっぱい しょっかい:北海道。
しょっかだ
しょっかた
しょっこ
背負子 『集覧:行』。
しょいだい:群馬。
しょっかた:千葉。
せいた・せーた:群馬。『背板』の意味。
やせうま:福島。
しょっかぶる 【動】@背負う、A責任をとる、ひっかぶる
しょっからい
しょっかれー
【形】塩辛い これは主に中部地方の方言とされる。
しょっからい:富山・静岡。
(しょつき) 端、先端 静岡。
(しょっきり) 【副】厳しく 静岡。
しょづぐい
しょづくい
しょつくい
座って読み書きするための机、文机 『書机』(しょづくえ)。昭和40年頃まで私の勉強机は書机だった。
しょっくぢ 初っ端 『初口(しょくち)』(物事の初め、はじまり)。
しょっけー 【形】塩辛い
じょーつけ
じょーづげー
じょーつけー
用件を連絡して回ることを仕事にする人 『常使い』の意味。
じょーづけ:神奈川。
しょっこ 袖なし半纏、ちゃんちゃんこ 『集覧:新』。『背負子』の意味。冬場の寒い時に赤ん坊をおんぶする時に使うからだと思われる。
しょっこ:チョッキ:栃木。
(しょっこ) 【形動】いびつな様 神奈川・静岡。=『ひょっこ』
(しょっこー) 縮れ毛 静岡。
(しょっこずみ) 残り物 静岡。
じょっじょ 草履 幼児語。『じょじょ』が転じたもの。
(じょっせん) 蒸気船 鹿児島。
しょっちー 【形】しょっちゅう、度々
じょーった 【複】上手だ、良い子だ 『じょんだ、じょーんだ、じょーんた、じょんだ、じょんた』
しょったれ 元気のない人、みすぼらしい人、しみったれ 『潮垂れる』の名詞形。
しょったれ:無精者:新潟。
しょびたれ:無精者:三重。
しょったれる 【動】元気が無くなる 『潮垂れる』。
しよたれる:ずぶ濡れになる:神奈川。原初の意味に近い。
しょったれる:静岡。
しょっぢゅー
しょっちゅー
【副】いつも、絶えず、始終 『集覧:稲・真』。
『初中後』が転じた説が有力。
しょって 最初、初め 『初手』。
しょってる 【動】うぬぼれる、自負する 標準語。『集覧:真』。茨城方言集覧では『愚なること』とある。
『背負っていることを自負する』意味。この言葉が方言ではないかと思ってしまう理由は、『しょう』(背負う)を方言と思う人が多いからであろう。
しょってる:神奈川。
しょっ 【形】@塩辛い、Aけちである 『集覧:猿・鹿』。=『おっい』
古形は『鹹し(しわはゆし)』で、『しおはゆし』を経て現代語に変化したとされる。『こそばゆし』が茨城で『こそっい』に変化したのに似ている。
@調布生まれの70代後半の義母は『からい』と言う。上方語の名残であろう。万葉集にもある言い方である。
しおしょっ:山形。
しょっ:東北全県・関東全県・新潟・長野・山梨・静岡・宮城。
しょっ:山形・福島。
しょっらい:静岡。
しょっりゃー:静岡。
しょっれー:神奈川。
しよ:岩手。
しょんばい:静岡。
しょっ 【形】酸っぱい しょっ:栃木・群馬・埼玉・東京・千葉。
しょっいめ 大変な目、嫌な経験 標準語の『しょっぱい』には『困惑した様』の意味がある。
しょっぱがらい
しょっぱがれー
【形】塩辛い
しょっぱがらし 塩辛いものが好きな人
しょっじめ 最初、初っ端 しょっじめ:栃木。
(しょったくぞ) 【複】殴るぞ 神奈川。『背負い叩くぞ』の意味か。
しょっ 最初、初っ端 標準語。
しょっ:静岡。
しょっ:群馬・東京・静岡。
じょっ
じょーっ
強情っ張り、意地っ張り 動詞形に『情を張る』がある。
じょっ:青森・岩手・秋田・宮城・福島。
ぞっ:佐渡。
じょーっ
じょーっ
【動】意地を張る
(じょっー) 上等な品物 沖縄。『上品』の意味か。
しょっぎだす 【動】引っ張り出す 『浮世風呂』に『しょびき出す』がある。
しょっぶきだす:神奈川。
しょっ
しょっ
【動】@引く、引っ張る、A(算数で)引く 清音形は時代劇でよく耳にする言葉。広辞苑に『しょびく:(ソビクの転か) ひっぱる。無理につれて来る、また、つれて行く。しょっぴく。』『そびく:@探り知るために誘う。さそい出す。Aむりに引っぱる。しょびく。』『すびく【素引く】:@弓の弦を少し引いて、張りの強さをためす。A気をひく。誘う。こころみる。B(自動詞的に) つっぱるように動く。痙攣を起す。』がある。
@・しぶく:山形。
しょっ:千葉銚子。
しょっびく・しょっく・しょっぶく:神奈川。
しょっ:静岡。
しょ:千葉・神奈川・静岡。
しょぶく:千葉・静岡。
じょろびく:神奈川。
しょんぶく:静岡。
ぞびきだす:山梨。
ぞびく:島根・山口。
:宮崎・熊本・鹿児島。
◆●しょっ
◆●しょっ
【形】しょっぱい、塩っぱい しょっ:山形。
しょっ:青森・宮城。
しょっ:千葉・埼玉・群馬・東京多摩・神奈川。群馬では『しみったれ』の意味がある。
しょっ:秋田。
しょっなし:下らない事:群馬・長野。
(じょっー) 【形】余計な様 神奈川。『剰』+『ぽい』か。
しょっだん 醤油と片栗を混ぜて餡で包んだ団子 『あまだんの対。『しょっぱい団子』の意味。
しょっだん:醤油味の串団子:福島。
しょっのき ヌルデ しょっしょっ:神奈川。
しょで
しょて
しょてー
最初、初め 『初手』。『集覧:多・稲』。
しょっつぎ:山形。
しょで:山形。
しょて:神奈川・山梨。
しょでがら:最初から:宮城。
しょてっ:神奈川。
しょてっ:神奈川。『初天辺』。
しょでん・しょーでん:秋田。
すてんから:初めから:神奈川。『初手から・始点から』か。
じょーてー 状態
しょで
しょでー
しょーてー
正体 飲みすぎでーしょーてーふめーなんだはー:飲みすぎて正体不明(前後不覚)になってしまっているんだよ。
しょでー 所帯 しょて:鹿児島。
しょでーもぢ
しょてーもぢ
既婚者 『所帯持ち』。
(しょてつ) ソテツ 静岡・鹿児島。
しょーど 目当て、目的 広辞苑に『しょうど:(歴史的仮名遣シャウドとも。センド(先途)、またシャウジョ(生処)の転か)@目当て。目的とする所。Aあの世。』とある。
しょーど:本当のところ:山梨。
(しょーとく・しょーに) 【副】本当に 静岡。
しょーどす 【動】うっかりしないでしまう 『為落す』(しおとす)。
しょーどもない
◆■しょーどもねー
【複】【形】どうしようもない、仕様が無い、やってもしょうがない、取るに足らない 『集覧:北・新』。『しょうど』は古い言葉で『目当て。目的とする所』で『目的も無い』意味。
ただし、江戸時代に流行った倒語の流れで『どうしようもない』が転じたと考えるのは無理があるだろうか。
しょーどなし:意気地なし:宮城。
そおたつまんにもんかってしょーどもねえ:そんなつまらない物を買ってしまって困ったものだ。
しょなくれる 【動】しおれる、萎びる 『しなくれる』がさらに訛ったもの。拗音化。『集覧:多』。
しょーなし 【形動】しょうがない様、【名】馬鹿、しょうがない人
(しょなじょな) 【形動】しんみりした様、しみじみとした様 神奈川。
(しょなしょなする) 【動】行儀良く歩く 神奈川。『しなしなする』意味か。『品品し』(いかにも品格が高い。上品である。けだかい。)が変化したか。
(しょなつく) 【動】ぶらぶら遊ぶ 静岡。
しょなのが 初七日 葬儀から49日までの忌明けまでの最初の儀式。当時すでに合理化策が進み、初七日は葬儀の翌日に行なわれたと記憶している。現在では、葬儀の当日行なわれるようになっている。
(じょなめく) 【動】なまめかしい様子をする。着飾る。 山形。近世語。
(じょーにん) 気だてのよい人。正直で柔和な人。 『上人』。
しょーね
しょーねー
【形】しょうがない 『仕様が無い』。この表現は県南部の言い方。一般には『しゃーねー』
しょーねー:神奈川。
しょんない:静岡。
じょんならん:どうしようもない:香川。
しよんねー:山梨。
★『土』:おとつゝあ待(ま)ってたよ、俺(お)ら仕(し)やうねえよ。
しょねむ 【動】嫉む(そねむ) 『集覧:猿』。
しょなむ:島根・長崎。
しょねむ:山形。
しょのむ:鳥取・島根・愛媛・長崎・鹿児島。
(少年サンデーと少年マガジン) 日本の少年雑誌の草分け同士。当時40円だったものが突然50円になって驚いたのを覚えている。今のように分厚いものではなくせいぜい1cm強の表紙以外は白黒の雑誌だった。
その当時は、どちらかと言うとサンデーがメジャーでマガジンはマイナーな印象があったが、昭和40年頃から両者逼迫して、両方を買うはめになった。
我が町には本屋が無かったので、神立に住んでいた親戚の友人に頼んで、毎週買ってもらって学校で受け取った。当時のアンパンは10円、細長いアイスキャンディーは5円、アイスクリームは10円、ベエゴマは5円、大きなベエゴマは10円、50円の価格は、子供の小遣いの一週間に匹敵するものだった。
ついに、少年マガジンの梶原一騎の『巨人の星』が生まれた。私の中学校時代のヒーローになった。
しょーぬげ @痛んだためにすぐやぶけてしまいそうな布や気力を失った人、A土壁で藁が腐った様、B炭酸の抜けたビール 『性が抜ける』(本来の形・性質が失われる、気力などが衰える)の名詞形。
(じょの) 上納 鹿児島。
(しょの) 樟脳 鹿児島。
(じょーの) 【連体】いつもの 静岡。『常の』の意味か。
しょ 初っ端
しょはねー
しょーはねー
【複】しょうがない 『仕様は無い』意味。
じょーばり
じょー
強情な人
じょーばる
じょーはる
じょーっ
じょっ
じょーをはる
【動】意地を張る 『情を張る』意味。半濁音は濁音で発音されることがある。
(常磐炭坑節) 茨城県民謡 ハアー 朝も早よからヨー カンテラさげてナイ ハ ヤロ ヤッタナイ 
坑内通(こうないがよ)いもヨードンと主のためナイ ハ ヤロ ヤッタナイ

竪坑(たてこう)三千尺下れば地獄 死ねば廃坑の土となる

発破(はつば)かければ切羽(きりは)が残る 残る切羽が金(かね)となる

娘よう聞け鉱夫の嬶(かか)は 岩がドンと来(く)りゃ若後家(わかごけ)よ

だみね山からとんで来る鴉(からす) 金もないのにカオカオと

鉱夫さんにはどこがよくて惚れた 飯場(はんば)通いの程のよさ

おらが炭坑で見せたいものは 男純情とよい女子(おなご)

向う通るは坑夫さんじゃないか 金がこぼれる袂から

遠く離れて逢いたい時は 月が鏡となればよい

逢えばさほどの話もないが 逢わなきゃその日が過ごされぬ
しょーひ 潮干狩り しよび:静岡。
しよびぎ
しよ
しょーびぎ
しょーびき
しょー
塩引き、塩鮭 子供の頃、大人達が色々な言い方をするので混乱した記憶がある。塩引きは当時の年末の定められた貴重な贈答品でのひとつで、年末にはその数が1年の付き合いの結実のようなものだった。 表面は白紙にシャケの姿が印刷された袋だったり、上等な場合は箱や箱紙につつまれていた。『にやば』(土間)の天井にはこれみよがしに、シャケが『ぶるさった』。それで冬の無収穫の時期をしのぐことができた。茨城の農村が生み出した長い時間をかけた知恵なのだろうと思いきや、実はこれは当時の全国的な文化であったようである。
天井に『ぶるさる』理由はあたりまえだ。猫にやられてしまうからだ。実際、うっかり吊る場所を間違えて猫に食べられたことがある。
でも猫も家族の一員だから、年に一遍はそれくらいの贅沢が許されて良かったはずだし、袋叩きにする人は概して少なかった。
当時の塩鮭は、表面に塩の結晶ができるほど飛びぬけて塩辛かったので、僅かな量でも十分にご飯が食べられた。
その後、その風習が廃れてからは、『しょーびぎのあら』がしばしば食卓に上がった。大半がエラの回りだったが、脂肪が十分に乗ってそれは美味いものだった。
ちなみに鮭の語源は『アイヌ語サクイベ(夏の食物)からとも、サットカム(乾魚)からともいう』とある。
しょっびき:福島。
しょーびき:福島・栃木。
しょんびぎ:秋田。
しょびぐ
しょびく
しょ
【動】@▲引っぱる、A間引く 『集覧:行』。
@『しょびく』は古い標準語。『しょっく』の古形。
しょびく:茨城・静岡・島根。
しょぶく:静岡。
しょんぶく:静岡。
A・せびく:群馬。
しょびす 【動】引き摺る これは土浦の方言だが記憶に無い。
じょーたり
しょーたり
【形動】たびたび行うこと、いつも、しじゅう 近世語の『じょうびったり・じょうびってえ』。『常浸り』の意味か。
じょーびで:千葉。
(しょーびゃー) 商売 静岡。
(しょぶ) 勝負 鹿児島。
じょーぶ
じょうぶ
【形動】丈夫、元気なこと 最近あまり耳にしなくなった言葉。
しょーふだ 掛け値のない値段を書いて、商品につけた札またはその値段『正札』。 今や消えつつある標準語、今や他店より安くしますという標語に変わった。
んで、しょーふだはいぐらだ:じゃあ、本当の値段は幾らだい。
(しょーぶづき) 五月 神奈川。『菖蒲月』の意味と言う。
じょーぶになる
じょーぶんなる
【複】@健康を回復する、A出産を終えて元気になる A・たっしゃ:子供を生むこと:静岡。
おがさまでじょーぶになりやしたよ:お陰様で元気になりました(女言葉)。
じょーぶん 【形動】丈夫、元気なこと じょーぶん:宮城。
しょーぶん 生れつきの性質 『性分』。
しょぶぐれる 【動】しょぼくれる、元気がなく、みじめな様子になる
しょーべー 職業、商売 しょーびゃー:静岡。
(しょへーら) 方々 静岡。『諸方等』の意味か。
しょーべんぶり 肥桶、小便担桶 『小便振り』の意味。
しょーほー 商売人 『商方』の意味か。
(じょーほー) 両方 静岡。
しょぼい 【形】貧相。さえない。ぱっとしない。弱々しい。けち。 『しょぼしょぼ』の形容詞化。大辞林では新語扱いになっている。
そぼい:山梨。形容動詞に『そぼそぼ』がある。
しょぼぐれる
しょぼげる
【動】しょぼくれる、貧相
(しょぼけ) 藁靴 長野。
しょぼたれる 【動】@びしょびしょに濡れる。A貧相な有様になる。元気のない様子になる。 @・しょぼたれる:静岡。
しょぼつぐ
しょぼつく
【動】@目が疲れて、さかんにまたたかせる、A気が弱った様、がっかりする @で清音なら標準語。
しょぼったれ @しみったれ、けち、Aみすぼらしい様 俗語とも言える。
しょぼったれる 【動】しょぼたれる、しおたれる 俗語とも言える。
しょーぼね 根性、性根 標準語では『性骨(しょうこつ)』(天性)。
しょーぼねわるい
しょーっねわるい
【形】性根が悪い 標準語では『性骨(しょうこつ)』(天性)。『土性骨(どしょうぼね)』(ど根性)ということばがある。
しょぼふり 細かい雨、わずかな雨 『そぼふる』(細かい雨が降る)の転。八丈方言共通語。
しょぼふる 【動】細かい雨が降る 『そぼふる』(細かい雨が降る)の転。
しょぼろ
しょぼろなっとー
茨城県の郷土料理で、納豆に刻んだ切干大根を混ぜ、醤油で味つけしたもの 『そぼろなっとー』
じょーまい 錠前 北海道では鍵を『じょっん』と言う。
じょーまい:静岡。
じょまえ:鹿児島。
しょーまい
しょーめ
しょーめー
【複】仕方があるまい、やりようが無い 『しょーあんめ』がさらに訛ったもの。千葉方言との関係が深い言い方。県北では使われないという。古語では『せよまじ』。江戸言葉では『しよまい』。
ほんではー、いーづまでたってもしょーめがらー、とーちゃんゆぐど:それでは、いくら時間が有ってもやりようが無いだろうから、お父さんが行くって。
あんではしょーめやな:あれではしょうがないよ。
しよみず
しょーみず
塩水  塩水は、ローマ字で書けば『siomizu・shiomizu』となるが、英語感覚では『syomizu』となる。
 もし、日本語の『塩』を外国人に発音させたら、多くが『しよ、しょ』と言うだろう。日本語のイ段音は口蓋化しているためである。英語流に発音すると、『すぃお』になってしまう。その意味で日本語のサ行音は、言語学的には、本来『さ・(すぃ)・す・せ・そ』『しゃ・し・しゅ・しぇ・しょ』とすべきだったのかもしれない。
 『鮭』『さけ』『しゃけ』と呼ばれるので、このような考察はある意味で無意味とも言える。言語の起源は、初めにルールがあったわけではないからである。言語の原則は話し易い言葉が選択された結果とも言える。
 明治以降、五十音が定められたが、組み合わせの関係性によって、日本語に限らず、古今東西、今後も新しい言葉が生まれるのは、変わらないのかもしれない。
 推測ではあるが、英語の『shirt』(襯衣・シャツ)と『suit(共布でできた衣服の上下一揃。男子の背広服の一揃や、上着とスカートとの婦人服一揃。』は同源か。
しよみず:神奈川。
(しょみよばかでない) 【複】少なくない 静岡。
(しょむ) 【動】沁みる 福島。『染む』が訛ったと考えられる。
しょもく 鐘・鉦(たたきがね)・磬(けい)などを打ち鳴らす棒。 『集覧:久』。『撞木』(しもく)のことで広辞苑には『シュモクの訛。浄、職人鑑「鐘の―とわれとわが身をけづらるる憂きつとめ」』とある。現代語では『シュモクザメ』に残る。
しょーもねー 【複】【形】@どうしようもない、仕様が無い、Aやってもしょうがない、取るに足らない @・しょーむない:神奈川。
しょんない:静岡。
A関西では『しょうもない』
□しょーや
しょーやさま
村長(むらおさ)、庄屋 関東では名主と呼ばれることが多いとされる。当時は『あそごのうぢはめーはしょーやさまだがんな』などと言った。
じょーや:地主:静岡。
じょーや @柱、A平生、普段 @『集覧:新』。語源不詳。『丈輻』の意味か。
A・じょーや:千葉。
Bその他。
じゃーや:いつでも:静岡。
じょーや:たびたび:千葉・神奈川・静岡・長野・岐阜・新潟・石川・三重・和歌山・香川。『常夜』の意味か。。
じょーや:是非・きっと:岩手・宮城・山形・群馬・新潟・長野。『是非をや』の意味か。
(しょゆ) ふるまい。立派な料理。おいしい食物。 鹿児島。『饗応』が訛ったか。
しょーゆー 小便 『小用』が訛ったもの。『集覧:多』。
しょーらい 【副】生来、性来 現代では『せいらい』と発音することが多い。
しょーらい:静岡。
◆▲じょーり 草履、ぞうり 近世語。『集覧:西・猿・行』。
じょっこ:幼児語:山梨。
じょり:秋田。
じょーり:青森・神奈川・山梨・静岡。
じょーりつき:畳付きの下駄:静岡。『草履下駄』か。
しょり
しょりー
しょーり
醤油 『ゆ』はしばしば『り』に変化する。
ゆ→い→り。
(しょーりき) 正直 静岡。
じょりじょり 髭などを剃る様、ぞりぞり 主に幼児語。
ずえずえ:山形。
(じょーりにん) 料理人 静岡。
じょりん
じょれん
土を漉き取り細かくする農具 『鋤簾』。古くは竹製だったらしいが当時は既に鉄製のものだった。アサリ取りにも使われる。
(じょーる) 【動】折檻する 長野。『料る』の流れか。
(じょーる) 【動】料理する 静岡。『料る』。
(じょーる・しょーる) 【動】弄ぶ、手を触れる 静岡。『料る』の流れか。
しょろ シュロ 『椶櫚』。『集覧:久・多』。
しょろ:静岡。
しょろ ショウロ(キノコの一種) 『松露』。『集覧:行』。
しろ:鹿児島。
じょろ 如雨露(じょうろ) 短縮形。
(しょろ) 精霊 鹿児島。
(〜じょーろ) 【接尾】〜様 静岡。女性の卑称か。
(しょろける) 【動】倒れる 静岡。元『ひょろける』か。
じょろじょろ 【副】小便をする様
(しょろしょろ) 【形動】ぐずぐずする様 神奈川。『そろそろ』が訛ったか。
(しょろしょろ・しょろりん・しょろりんしょろりん) 【副】そろそろ、ゆっくりと 静岡。
しょろびぐ
しょろびく
【動】引き摺る
(しょろま) のろま 静岡。のろま→そろま→しょろま
『野呂松(ノロマ)人形』は『曾呂間(ソロマ)人形』とも言う。
じょろめさま 紙やマコモで作った人形 筑波郡・水海道市・稲敷郡・北相馬郡・行方郡の方言。
『女郎』は現代では遊女のイメージが強いが、広辞苑には『@身分のある女性。A若い女。また、広く女性をいう。B遊客に色を売る女。あそびめ。うかれめ。傾城(ケイセイ)。遊女。C(接尾語的に) 女性の名前の下につけて、軽い敬意や親しみを表す語。』とある。
(じょーろり) 浄瑠璃 静岡。
しょーわりー 【複】性質が良く無い 『性悪し』。
しょーわりー:神奈川。
しょーわる 性悪、性格のよくないこと しょーわる:神奈川・山梨。
じょんこ
しょんこ
じょーんこ
じょーっこ
(物事の)上手な子、良い子、利口者 『集覧:北・猿』。
『上の子』の意味。江戸時代に広く全国で使われた『上子(じょうこ):良い子と褒めていうことば』に由来すると見られる。
NHKの連続テレビ小説の中で『西郷じょんこ』の群馬訛で有名になった言葉とルーツは同じだろう。
ちょん:愛らしい子供:鹿児島。
じょんこ 可愛い娘 結城郡。
じょっこ:可愛い子:宮城。
じょんこ
しょんこ
女の子、幼女 稲敷郡・結城郡・水海道市この場合の『じょん』は、『嬢』か。
◆▲じょんじょ
じょんじょこ
草履 幼児語。童謡に『じょじょ』が歌われている。『集覧:久・西』。
じょんじょ:神奈川。
(しょんじょくなる・しょんずくなる) 【動】屈む 静岡。
じょんじょこ
じょんじょごとり
じょんじょん
お手玉 県北部。
(しょんじり) 臆病 静岡。
じょんだ
じょんた
じょーんだ
じょーんた
【複】上手だ、良い子だ 古い言い回し。高齢者限定の言葉。『上たり・上にてあり』の意味。特に『だ』が『た』と表現されるのは古語由来であろう。
じょん:上手:山形。
じょんだ:山形・宮城。
じょんた:宮城・福島。
じょーんだ:静岡。
じょんたごだ:上手だ事:宮城。
じょーんだな
じょーんたな
【複】上手だな
(しょんなー) 背負い縄 静岡。
(しょんなり) 身なり 静岡。茨城では『おしょこなり』
しょんべ
しょんべー
◆▲しょんべん
小便 『しょんべん』なら俗語。寅さんの『たいした(田にした)もんだよ蛙のしょんべん』は有名。
しょんべ:宮城・福島。
しょんべん:群馬・東京。
しょんべおげ
しょんべんおげ
@(屋外の)男子便所(小便用の便所)、A肥桶 『小便桶』。
@室外(物置等の一角に据え置かれた)の小便用の瓶は、多くが焼き物だったが、中には木製の桶を埋めて使っている家もあった。川崎民家園では今でもその現物を見ることが出来る。
文献によると、江戸時代には、ただ桶を置いてるスタイルのものもあり、女性も用をたしたとされる。
しょんぼけ:千葉・静岡。
しょんべんくせー 【複】@小便臭い、A青臭い 俗語。
@・しょんばらくさい:静岡。
しょんべんこ
しょんべんごば
しょんべんごぼ
しょんべごま
しょんべんこま
@男子便所(小便用の便所)、A小便用の大型の瓶 『こは『桶』の意味。当時は、大型の瓶を地面に埋めて小便用の便所としているのが多かった。浄化槽が普及するのは昭和45年頃からだった。土浦流では、『壺』を『ぼぢ』と言うので本来は『しょんべんぼぢ』のはずだが何故かそうならない。そうならば『小間』(小さな部屋)の可能性があるだろう。しかし、他の訛りを考えると『こ(桶)が本来の意味と考えられる。
平成19年正月土浦への帰省の際、『しょんべんごま』のことが話題になった。一同『しょんべんこが本来の意味だろうという意見で一致した。
@・しょんべや:静岡。
しんぼけや:静岡。
しょんべた
しょんべんた
@(屋外の)男子便所(小便用の便所)、A肥桶 『小便担桶』(しょうべんたご)。『担桶(たご)』はれっきとした標準語である。
しょんべんため (屋外の)男子便所(小便用の便所) 『小便溜』。
しょんべんだめ:神奈川。
しょんべーたれ
しょんべったれ
しょんべんたらし
しょんべんたり
しょんべんたれ
@小便もらし、小便をよく漏らす子供、A小便をすること
しょんべんつまる 【複】小便をもよおす しょんべんつまる:宮城。
しょんべんば
しょんべば
小便用便所 しょんべんじゃ:山形。
しょんべんじょ:外にある小便用便所:神奈川:神奈川。
しょんべんどや:風呂と一体になった屋外の小便用便所:神奈川。
しょんべんば:千葉。
しょんべんしゃぐ
しょんべんひゃく
肥びしゃく
しょんべんぶぢ
しょんべんぶり
肥桶
しょんべんむらし 小便もらし、小便をよく漏らす子供
しょーんまい
しょーんめ
【複】しょうがないだろう 『しょうあんめ』がさらに訛ったもの。
(しらの意味) 現代口語では、興ざめしたとき『しら』と言ったりする。また『しらばくれる・しらばっくれる』、『しらける』『しらをきる』などと言う。『しらっぱくれる』は今や使う人は少ないが広辞苑に掲載されている。また酒を飲んでいないことを『しらふ』と言う。漢字では『素面・白面』と書く。表面を化粧していない木は白木と言う。『しらじらしい』もある。ふだん何気なく使っている言葉にも先人達の思いが込められているのである。
広辞苑には『@「しろ」に同じ。他の語に冠して用いる。(1)白色。「―玉」「―菊」(2)手を加えないで生地(キジ)のままであること。「―木」「―鞘」(3)しらばくれること。Aつくりかざらないこと。あけすけなこと。傾城買二筋道「―でいふほうがいい」B正直なこと。まじめ。色道大鏡「―。隅人より出たる詞なり、…正直の心也」』とある。
つまり『しら』は『白』であり『素』でもあり、状況によってよくも悪くも使われる言葉である。
(じら・じらー) @〜みたい、〜なんちゃって、Aうそ、うそみたい 沖縄。
しら
しらー
【複】する 『するわ』。
んだらばおれがしらー:それなら俺がやるよ。
あったごどしらったらだれでもおごっぺ:あんなことされたら誰でも怒るだろう。する→しるしるわしるしらー
しらー
しらう
【動】拾う しょろー:山形。
〜しら 【助】〜すら、〜しか
〜しらいー
〜しらいーわ
【複】〜すればいい 『すりゃあいい』。
〜すらいわ:宮城。
しらいる 【動】@出来る、Aされる、Bなさる 『しられる』がさらに訛ったもの。r音の脱落。
@★あー、おんにはしらんにぇ:ええ!、俺にはできない。
A★げんこづしらいだ:拳骨で殴られた。
しらえ 白和え 短縮化。
しらい:群馬。
しらお @白魚、A白子 @・しらお・東京。
しらか
しら
しら
すり鉢 『集覧:北』。
『白笥』の意味か。『笥』は『食物を盛るうつわ。また、物を入れるうつわ。』のこと。あるいは精米する意味の『精ぐ(しらぐ))』の名詞形とも考えられる。
(しらかー・しらかわ) 【形】厚かましい 静岡。
じらがす 【動】じらす、騙す 濁音化。30年代の言葉。
しらたろう クリケムシ、クスサンの幼虫 『白髪太郎』と呼ばれるだけあって、白く長い見事な毛が特徴的。
しらがだいろ・しらがだゆー:群馬。
しーらぐ 集落
じらげる 【動】@ふざける、じゃれる、A(お金などが)ばらばらになる、B焦れる @『じゃらける』。
じらける:秋田・福島・島根。
A直音化・濁音化。『じゃらける』。
B『焦れる』の転。
しら 【動】玄米を搗(ツ)いて白くする。精白する。 『精げる・白げる』。
したぐる:鹿児島。
しらこねる 【複】知らないふりをする。知らないふうをよそおう。 『白を切る』。
しらざ シラミの卵 真壁郡。
◆▲●○☆しらじ
しゅらじ
すり鉢 古い言葉の『白地』(しらじ:女房詞)が残ったもの。『集覧:新・猿』。
『称呼』には『すりばち:江戸にてすりばち、大阪にてすりこばち、山陽道及四国にてかがつ、西国にてすりこのばち共いふ。東国の女言葉にしらぢと云。上総及出羽にていせばち、奥州にてらいばん(擂盆か)、同三戸にてかはらけばちといふ。』とある。
しらち:静岡。
しらしら 【副】しらじら 古い標準語。
しらしらあけ:明け方:千葉・群馬・神奈川・静岡・島根。
しらしらあげ・しらじらあげ:明け方:千葉。
しらじらしー 【形】そらぞらしい。しらばくれている。(裏の気持が)見えすいている。 『白白しい』。『痴れ痴れし』とも言う。
しらす 白魚 『白子』。『集覧:多』。
しらずしらず 【複】無意識のうちに。ついつい。 『知らず識らず・不知不識』。
しらせ 葬式の通知 標準語の意味限定使用。
〜しらっか 【助】〜出来る?
しらっかび 白かび ★『土』:床板(ゆかいた)が白(しら)つ黴(かび)に成(な)つちやつて此(こ)れがまだなか/\干(ひ)ねえから疊(たゝみ)なんざ何時(いつ)敷(し)つ込(こ)めるもんだか分(わか)んねえのさ。
しらっしょ
しらっせ
【複】しなされ、しなさい 丁寧語。丁寧な命令語。
広辞苑には『:助動詞「しゃる」の命令形「しゃれ」「しゃい」に、次に「せえ」に、さらに「し」と転化したもの。四段活用の動詞の未然形に促音「つ」の伴った形に接続する。「しゃる」の表した尊敬の意はなくなり、ほぼ対等の相手への命令を表す。』とある。歴史から言えば二重表現。
(〜)しらっちゃ 【複】(〜)された やーらせしらっちゃ:嫌がらせうをされた。
(〜)しらっちゃ:福島。
しらっちゃげる
しらっつぁげる
【動】色が褪せて白くなる 『しらちゃける』。
しらっちゃげる:宮城。
(しらっと) 【複】するな 静岡。
東西方言のミックス方言か。本来は意志・勧誘の『しらずら』のはずが、否定形に変化したのは、解らない。『しらしっと』とも言う。
元は、単に『しないと』の意味か。
ただし、関東では『しないと』は『』
しらっぐれる
しらっくれる
しらばぐれる
しらばっくれる
【動】知って知らないふりをする、しらばくれる 濁音化。『しらっくれる』は今や使う人は少ないが広辞苑に掲載されている。
しなまぐれる:しらばっくれる:福島。
しらっぐっち:しらばくれる事:福島。
しらばっくれる:群馬・静岡。
しらば 修羅場 広辞苑に『@しゅらじょう。太平記二○「干戈に貫かれて、―の下に死し給ひき」。「―を踏む」「―と化す」A人形浄瑠璃・歌舞伎または講談で、はげしい戦闘の場面。特に講談では「しらば」「ひらば」ともいう。』とある。
しらばげる 【動】知って知らないふりをする、しらばくれる 名詞形の『白化け』は辞書にあるが動詞形は無い。
しらばっくれる:染物が毛羽立って色があせる:神奈川。
(しらばしこい・しらばっしー) 【形】白っぽい 長野。
しら 【動】調べる
しらむ 酒乱、【動】酒乱になる 名詞形は県内広域にあるが、動詞形は北茨城市限定。千葉県の地名に『酒々井』(しすい)がある。
しらめ @シラミ、Aヒラメ、B▲海底の平らなところ 『集覧:無記載』。
@・しらめ:神奈川。
しゃんみ・しゃんめ:八丈島。
B茨城方言集覧には『海中の平沙をいふ』とある。『平み』の意味か。
しらや すりゴマで和えた料理 『白和え』。
しられる 【動】@される、Aできる、Bなさる 古い言い回し。
A★おめ、そーたごどしられんのがー:お前は、そんな事出来るのかい。
B・〜すらい・すらいん:〜なされ:宮城。『〜しられい』。
しらん 酒乱
しらんくらん
しらんらん
知らない振り 良く使った言葉。必ず古いルーツがあるのではないかと思われるが、今のところ不明。
しらんくらん:要領を得ないさま:静岡。
(しらんちゅー) 知らない人 沖縄。
(しらんつら) 知らん顔 神奈川。
◎しらん 知らない振り 標準語。
しらんふーなー:沖縄。
しらんらん 【形動】知らない振り
しらんめ シラミ 『集覧:久』。『しらみ+め』の意味。
しゃんみ・しゃんめ:八丈島。
しーり 修理
(しりあけざる) 仕事に飽きやすいこと、またはその人 神奈川。
しりお しっぽ 『尻尾』。
しいぼ:鹿児島。
しりかぶ
しりっかぶ
しりこぶ
しりこぶた
しりこぶたん
しりっこぶ
『尻臀』(しりこぶら)。その他『しりこぶた、しりたぶ、しりたぶら、しりたむら、しりべた、しりむた』がある。
『俚言』には『かぶら:「東雅」今俗には蕪菁の根のみかふらといひぬれと古にはしかはあらず。蕪菁の根をも?の根をも又海藻根のごときをもかぶらとはいひけり。(中略)脚腓をこむらといふも、かふらといふが如し。かぶらといひこむらといふは転語なり。愚按、かぶら一にかぶといふ。 は助辞也。(中略)「色道大鑑名目」蕪、初心なるものをさして云也。瓦智に比していへり。物を食するに味なき物を蕪を喰う様等云詞にて知るべし。』とある。これらを合わせて見ると、『かぶ・かぶら・かぶろ・こぶ・こぶた・こぶら・こむら・たぶ・たぶら・たむら』等は同源の可能性が高い事が分かる。
しったぶら:長崎・対馬・熊本。
◎しりきりばんてん
しりきれ
農作業の半襦袢 『尻切半纏』。辞書には『丈(タケ)が短くて裾が切りとったように腰のあたりまでしかない半纏。』とある。
しり
しりくせ
大小便などをもらす癖。また、性的にみだらな癖。 『尻癖』。那珂郡では『好色女』の意味で使われる。
しりくせわりー:好色だ。
しりけん 手裏剣 広辞苑に、訛りとして掲載されている。
しり 【動】しりごみをする。ためらう。 『後込む・尻込む』。最近は動詞形はあまり使われなくなった。
『称呼』には『しぐむといふ事を、江戸にてはにかむと云。又びびるとも云。東国にてと云。又と云。房総海辺にてがなづうと云う。がなづうとは寄居虫(がうな)の事を云。己が家より外へ出ることあたはず。内に斗居るにたとへたり。遠江にてやにると云。関西にてわにるといふ。越後にてけすむと云。「万葉集」に「つののふくれにしぐひあひけん」とよめり。しぐひしぐむといふにをなしと有。』とある。ここで、『しぐむ』とは『しりごみをする。はずかしがる。』の意味で漢字は当てられていないが、『尻』は古くは『し』と言った(今でもしっぽと言う)から、『尻ぐむ・尻込む』の意味なのだろう。
(しりさかせ) 【形動】互い違いの様 神奈川。
しりしったぐる
しりしっちょる
【動】着物の裾をまくり上げて、その端を帯に挟む
しりしったぐれ
しりた
しりたくり
しりっから
着物の裾をまくり上げて、その端を帯に挟むこと 『尻紮げ(しりからげ)』。『ぐ』は濁音・鼻濁音。
しりた
しりたくる
【動】着物の裾をまくり上げて、その端を帯に挟む 『ぐ』は濁音・鼻濁音。
しりたぶ 尻、尻べた 『しりこぶた、しりこぶら、しりたぶら、しりたむら、しりべた、しりむた』がある。
『俚言』には『かぶら:「東雅」今俗には蕪菁の根のみかふらといひぬれと古にはしかはあらず。蕪菁の根をも?の根をも又海藻根のごときをもかぶらとはいひけり。(中略)脚腓をこむらといふも、かふらといふが如し。かぶらといひこむらといふは転語なり。愚按、かぶら一にかぶといふ。 は助辞也。(中略)「色道大鑑名目」蕪、初心なるものをさして云也。瓦智に比していへり。物を食するに味なき物を蕪を喰う様等云詞にて知るべし。』とある。これらを合わせて見ると、『かぶ・かぶら・かぶろ・こぶ・こぶた・こぶら・こむら・たぶ・たぶら・たむら』等は同源の可能性が高い事が分かる。
しったぶら:長崎・対馬・熊本。
しりっか
しりっかー
後ろ、びり 『尻処』の意味。
しりつぐ 【動】座る、腰をおろす すりつぐ:宮城。
しりった
しりったくる
しりっしょる
【動】(裾などを)手繰る 『集覧:猿・行』。『ぐ』は濁音・鼻濁音。
しくらとる:青森。
しりった
しりったくる
【動】調べまくる、勉強しまくる 『ぐ』は濁音・鼻濁音。
しりっしょり 和服のすそを外がわに折って帯の間に挟むこと 『尻っ端折り』。『尻紮げ』とも言う。
じじーしょり・じんじーしょり・じんじーばしょり・じんじーまくり・じんじっしょり:神奈川。
しりっしょり:東京。
じんじーばしり:静岡。
じんじんばしょり:東京・神奈川。
ちんちんばしょり:神奈川。
ひっしょり:岩手。『引き端折り』意味。
しりっ 尻の端
しりっべだ
しりっ
しりっ
尻、尻の面 『尻べた』。
しっ:野菜の下の方:東京多摩。『尻縁』の意味。
しりっ:宮城。
しりっ:最後尾:神奈川。
▽しりっ
しり
@しっぽ、A尻の方 今やあまり聞かなくなった標準語。『集覧:久・猿』。
@・しいぼ:鹿児島。
しりっ:福島・長野。
しり:山形。
すりっ:宮城。
しりて 後ろ、裏、端 『尻手』の意味。何故か辞書には無い。
しりぬげ @部屋に出入りの時に戸やドアなどを開けっ放しにしておく事、Aやったそばから具合が悪いこと 濁音化。『尻抜け』。標準語ではこのほか、B覚えたそばから忘れてしまうこと、C手ぬかりのあること、D仕事などをやりとげずに途中でやめてしまうことまたはその人、の意味がある。
しりあけざる:飽き易い人:神奈川。
しりなし:長野。
しりぬげ:福島。
しりぬけ:静岡。
(しりのしっり) 最後の最後 神奈川。
じりみき セミ 『幹をずる』意味なのだろうか。『集覧:久』。アブラゼミを指して『じりめ』とも言う(久慈郡)。
じりみき:福島・茨城。
じりめ:栃木。『じり』は擬音語ともとれる。
しりめど 尻の穴
しりもしねー 【複】知りもしない しれもしねー:神奈川。
しりもぢづぐ
しりもぢつぐ
【動】転んでお尻を付く 『尻餅をつく』。
しりゃ
しりゃー
【複】すれば しりゃー:神奈川。
じーりょー 重量
しーりょーしぎ 終了式
じーりょぐ 重力
(しりんす) 尻の穴 沖縄。
しる 【動】する(為る) 古くは『さ』行1段活用だったとされているが、当時は既に大半が3段活用になっていた。同じ意味の『する』(さ行1段活用)の存在が不思議だが、もともと『しる』の『し』の発音が『す』に近かったと考えることもできる。
しりゃー:すりゃあ:神奈川。
しる:山形・福島・栃木・神奈川・山梨・静岡・高知。
しれば・しろば:すれば:神奈川。
しん:しない:静岡。
しんから:するから:神奈川。東京方言と同じ撥音化。茨城では『しっから』
しんのけー:するのかい:神奈川。
しんべー:しよう:神奈川。
あったごどしらったら(しらいだら)だれでもおごっ:あんなことされたら誰でも怒るだろう。
はいぐしっ:早くやろうよ。
そおたごどしんだねー:そんな事するんじゃない。
しる 物の中にある液状のもの、液状のもの一般 標準語。『汁』。さらに『〜しる、〜じる』という連語によって区別する。
しる 【動】排泄する、体の外に出す 『放る』(ひる)。
しーる:神奈川。
おんこしりにいった:ウンチをしに行った。
しるあい @知り合い、A白合え
(じるい) 【形】湿っぽい、道がぬかるむ様 西日本の言葉。辞書掲載語。
じゅるい:緩い:愛媛。
じゅるい:愛知・和歌山・福井・大阪・兵庫・岡山・山口・愛媛・長崎・熊本。
じゅんるくたい:静岡。
じりー:静岡・島根・岡山・大分。
じるい:柔らかい:静岡。
じるくたい:静岡・愛知・鳥取。
じるくったい:静岡。
じるたんぼ:ぬかるみ:徳島・愛媛。
しるかげめし ご飯に味噌汁をかけたもの 忙しい時や朝食等でしばしば食べた。
清音形なら『俚言』掲載語。
しるくみ オタマ 『汁汲み』の意味。=『おしるくみ』
しるなべ 汁ものを煮る鍋 『汁鍋』の意味。=『おしるなべ』
(しるわかし) 団子を味噌汁で煮たもの 長野。明治の長野料理。現代では無くなってしまった様である。
〜しれ 【動】〜しなさい 『〜しろ』の転。
しれ
しれー
【形】白い 俗語。江戸言葉。
しとか:鹿児島。
しれー:青森・群馬・東京・神奈川・八丈島・静岡。
しんろい:静岡。東北弁的である。
★『土』:そうれ見(み)ろえ、稻(いね)へ白(しれ)え花(はな)が咲(さ)えたぞ、白坊主(しろばうず)の花(はな)だこりや。
しれーあるぐ 【動】集め歩く 『拾い歩く』。
しーれきしゃ 終列車
(しれくそ) いら立つこと 神奈川。
しれこねー 【形動】せいせいしないでねちねちしている様、知らない振り 『白を切る』意味の『しらこねる』の名詞形。
(じれっくそ) 神経質でいらだつ人 神奈川。『焦れる』の複合語。
(じれっくり) 子供等で神経質でいらいらする者 神奈川。『焦れる』の複合語。
じれってー 【形】じれったい 江戸言葉。
しれーっと 【副】平然としているさま 長音化。『しれっと』。
じれっと 【副】じっと
しれでる 【複】(高が)知れている
〜しれば 【複】〜すれば 『しる』の仮定形。
〜しれば:神奈川。
しれりしれり 【副】しらじら 『痴れ痴れ(しれじれ)』(いかにもおろかなさま。また、そらぞらしいさま。)に通じる。
しれりしれり:群馬。
しれりしれり・しろりしろり・しろんしろん:卑屈な目つき・またはその様・うかがい覗く様:神奈川。『じろじろ』にも通ずる。
じれる 【動】もどかしく思う。せいていらだつ。いらいらする。 『焦れる』。現代では『焦らす』『焦れったい』は使うがこれはあまり聞かなくなった。
じれこむ:東京。近世語。
▽しろ 蕨やキノコが出るところ。 『代』。久慈郡・筑波郡・新治郡に残る言葉。
広辞苑には『(「茸の代」の意) 菌類が菌糸などを伸ばし、地中あるいは地表で占有した特定の場所のこと。ふつう、毎年そこにきのこが生ずる。』とある。
しろ 苗代
しろ
しろっ
シュロ しろ:静岡・鹿児島。
(じろ) 囲炉裏 『地炉』。これは方言ではないが『方言周囲論』の好例となる古い言葉でもある。
じろ:岩手・秋田・山形・新潟・石川・八丈島・宮崎・熊本・種子島。
ひじろ:神奈川・長野・山梨・静岡。広辞苑掲載語。『火代:(「しろ」は一定の区画のこと) 関東・中部地方で、囲炉裏・炉をいう。火焚じろ。』とあるが分布地域から『地炉』より新しい言葉と考えられ『地炉』から生まれた『火地炉』の可能性もあるだろう。
しーろ 朱色
じろー 児童 『集覧:無記載』。tやd音がr音に変化するのは、私が知る範囲では米国語に著しいが、かつての茨城方言にもあったということになる。
〜しろい 【複】〜しなさい しろや・しろよ→しろえ・しろい。
〜しろい:群馬。
はいぐしろい:早くしろ。
しろいもの @白髪、A雪 方言とはいえないもの。はっきり物を指して言わないところは和の心を感じさせる。
A・しろいもの:千葉。
じーろうどー 重労働
▽しろうま 濁り酒 『白馬』。筑波郡に残る言葉。
しろうま:神奈川。
しろんま:東京。
しろかぎ 代掻き 濁音化。田のの耕起は『荒代(アラシロ)・中代(ナカジロ)・植代(ウエシロ)・本代(ホンジロ)』のうち本代に相当する。本代は標準語でも『代掻き』と言う。
しろきり:神奈川。
しろぐに
しろくに
【副】(後で否定を伴い)十分に 『集覧:西』。
当時は単に『ろくに』の意味で使っていたが、『尸禄(しろく)』(むなしく禄を食(ハ)むだけで、職責を果さぬこと。その器にあらずして高禄を食むこと。ろくぬすびと。尸位素餐(シイソサン)。職責を十分に果たせる器でないのに高禄を取ること)かも知れない。あるいは、『ろくに』を『六に』にかけ『四六に』としたのかもしれない。
茨城方言集覧では『不十分の意』としている。
関係があるかどうかは解らないが現代語の『四六時中』(一昼夜。終日。)は古くは『二六時中』(昔の時の制で昼夜をそれぞれ六等分したのでいう)で現代の24時間制に合わせて作られた言葉だという。
じもしろぐにかげねーくせしてえばってんだがら:字も十分に書けないくせに威張っているんだから。
しろこ ウナギの稚魚 『白子(しらす)』を誤読したと考えられる。
しろご
しろこ
お汁粉 『集覧:無記載』。当時の高齢者の言葉。
しろこ:埼玉。
しろこさい
しろしらい
しろしらえ
しろこしれー
しろこせ
しろこせー
田の代や苗床作りの作業 『拵える(こしらえる)』は『こさえる』とも言い、江戸では訛って『こせえる』と言った。
しろこさいる
しろこせる
しろこせーる
田の代を作る、苗床を作る 『こせえる』は江戸言葉。
じろこたろこ
じーろこたろこ
じろたろ
じろたむし
じろっこたろっこ
じーろっこたろっこ
アリジゴク @『次郎太郎』の転、A『たういむし』(田植え虫:後ろに進むことから)の異名があることから、『地床虫』の意味を基本に、『じろこむし』となり、語呂を合わせて『じろっこたろっこ』、B『田の代の子』の『じろっこ』意味の語呂合わせ、等が考えられる。
じろこむし:地虫の総称:東北。『じろ』は『路地』の倒語とも思われる。『次郎』に対して語呂合わせで『太郎』をあわせたようにも見える。
しろこね 田の代掻き
(じろじん) 寿老人 鹿児島。
しろつな
しろづな
シュロ縄 清音形は県下広域で使われ、濁音形は北茨城市の方言。
しろなー シュロ縄 シュロで作った細縄は今でも造園業者が固定する縄として使われる。藁縄に対して耐久性が高く、見た目も自然のものに見えるからである。
しろならし 代掻き
しろなわ シュロ縄 農家の屋敷には必ずと言って良いほどシュロの木が植えてあって、そこから取れる茶褐色の繊維を使ってシュロ縄を編んだ。シュロ縄は長持ちするので様々な農作業の場や垣根などにも使われた。
シュロの木は生長が極めて遅く、茎がまともにできるためには数十年かかる。大きなシュロの木がある家は間違いなく古い家である。
あかなわ:シュロ縄:神奈川。
(しろねこ) 表面美しく裏に異心ある人 静岡。
◎しろねずみ 白いハツカネズミ 『白鼠』。広辞苑には『@毛色が白く、眼の赤いネズミの俗な総称。大黒天の使で、そのすむ家は繁昌すると伝え、大黒ねずみともいう。Aドブネズミの飼養変種。実験用に使われる。ラッテ。Bハツカネズミの俗称。C(@が大黒天に仕えたという伝えから) 主家に忠実な番頭・雇人。D染色の名。薄いねずみ色。しろねず。うすねずみ。』とある。
しろのき シュロ 幼い頃、『しろ』を辞書で調べても無かったことを思い出す。
じろーのしょーがづ
じろーのついたぢ
2月1日 広辞苑に『太郎の朔日:(中国・四国・九州でいう) 二月一日。次郎太郎の日。次郎の朔日。初朔日。二月年(ニガツドシ)。一日正月(ヒトヒシヨウガツ)。ひとえ正月。』とある。
じろーのついたち:群馬。
〜しろば 【助】〜すれば 〜しろば:千葉銚子・東京青梅・神奈川。
やろば:〜すれば。
しろばた 白無地の絹織物 勝田市。
しろばた:神奈川。
しろぶ 【動】絞る、しめる、圧縮する 『窄む』(しろむ)の転。『集覧:北・新』。マ行音とバ行音は音通現象がおき易い。英語の、badとmadは意味が近い。
しろぶぢ @代掻き、A田植えの時の男 茨城では、行為の全てを『打つ』と言っていたのではないかと思わせる言葉。標準語では『する・やる』に該当するのかもしれない。
茨城方言では多く一律『ぶづ』と言う。
そこで、調べるともともと@ある物を他の物に瞬間的に強くあてる、A打つ、Bきずつけたおす、C遠くへ投げる、D物をうちつけて組み合せる、Eあることを行う意、とある。
@〜Dを考えると代掻きを『しろぶぢ』と言うのはおかしい。せいぜい苗を投げる行為は『苗打ち』と言っていい程度である。
ここで、Eの存在が重要である。広辞苑には『@芝居や相撲を興行する。A碁・すごろくなどの遊戯を行う。Bばくちをする。Cかけひきしてある方策を行う。D物事のきまりがついたことを祝って手をたたく。手をしめる。E総金額のうち幾分かを渡す。品物の交換などの場合、不足金を補いはらう。F或るしぐさをする。G勢い良く動く。進んで事を行う。』とある。確かに〜を打つという表現はしばしば今でも慣用句として残っているが、単に『ぶづ』だけで意味を表せるのは茨城弁で最も特徴的なのかもしれない。
これもまた、茨城方言が古い言葉を残している証だろう。
しろべっちょっちょ
じろべっちょーちょ
じろべっちょっちょ
アゲハチョウ 子供の頃、白い鱗粉が『べっちょっちょ』に付いてるからそう呼ぶのだと思っていた。『次郎兵衛』は辞書にはなく『四郎兵衛:(総名主三浦屋が郭内取締りの会所を大門オオモン口に設け、その雇人四郎兵衛を定詰ジヨウヅメとしたことから、その名が世襲された) 吉原の大門の番所に詰めた見張役の名。転じて、取締りの意に用いる。大門四郎兵衛。柳樽初「―もひやうひやくまじり暇乞」』がある。名主の『四郎兵衛』にあやかって、蝶の総帥としての名前なのだろうか。
しろみざくら
しろみに
代掻きに使う藁の鞍 『代見座鞍』『代見荷鞍』の意味と考えられる。
◎しろむ 【動】絞る、しめる、圧縮する 『窄む』。
しろめ 半田・盤陀 標準語。
しろめ 白炭
しろもぐ 白無垢
じゅわっと 【副】じわじわと
(しわー) 心配 沖縄。
しわさんけー:心配するな。
△しわい 【形】けち、しみったれ 『吝い』。現代語では『渋い』。
しうゃー:したたかで気が強い:静岡。
しえー:群馬。
しわい:東京・静岡。
しわい:生意気:山梨。
しわい:のろい:静岡。
しわい:つらい・苦しい・(食物が)固い:島根。
しわえ:山形。
しわくた しわくちゃ
じーわぐ 十煩悩、十悪 仏教用語の『十惑』の転。
じわっと 【副】じわじわと、じわりと
しわふいる 【複・動】皺が増える、苦労する あーたにかまられだらしわふいっちゃーよ:あんなにお節介をされたら皺が増えちゃうよ。
しわかい
しわけー
【形】皺深い
(しわる) 【動】圧力をうけてしなう。たわむ。 東京。『撓る』。
しわんぼ
しわんぼー
けちん坊 標準語。『吝ん坊』(しわんぼう)。
おしわんぼ:神奈川。
おーんぼく:静岡。
こしごろ:鹿児島。
こすぼ:鹿児島。
しゃっかき:群馬・神奈川。
しゃんぼ:神奈川。
しゅわんぼー:東京多摩。
しわっかき・しわっかけ・しわっかち・しわっけち・しわっけつ・しわっつー・しわっとー:神奈川。
しわんぼ:神奈川・静岡。
しわんぼー:神奈川。
すわっ:宮城。
しん 汁、味噌汁 当時の高齢者言葉。
しん 電池、ライターの石、ほちきすの針 『芯』の意味。当時は電化時代のさきがけで、エネルギーを供給する元等を『すみ』とも呼んだ。
しんしまり:しっかりしている人:神奈川。
しん @魚介・蔬菜・果物などがよくとれて味の最もよい時。A物事を行うに適した時期。 『旬』。
(しん) 品(ひん) 長野。典型的な江戸方言。
じん 鼻に抜ける発音のためそう聞こえると考えられる。
えにけーだじん:絵に描いたような字。
じんじょーんだな:字が上手だね。
おらはーしーぶんのじんみーね:俺はもう新聞の字が見えない。
じーん 十円
(しん) 【複】しない 静岡。
(しんえーる) 【複】知られる 静岡。尊敬語。
しんかい
しんけーち
開墾地 『新開』。
しんけぇ:千葉。
じん お辞儀、挨拶 『辞宜・辞儀』(じぎ)。『集覧:猿』。
じん:福島・群馬。
じん 遠慮 『辞宜・辞儀』(じぎ)。
おじん:静岡。
じん:秋田・福島・栃木・茨城・千葉・山梨・富山・静岡。
じんしる:遠慮する:福島。
(じんき) 臨機 静岡。
(しんきくさい) 【形】思うにまかせず、くさくさした気分である。じれったく、いらだたしい。 『心気臭い』。
近世語だが現代では主に関西で使われる。
(じんきち) 財布 静岡。
広辞苑に『陣吉:腰に帯びる布製の長い財布。物類称呼「財布。甲州及上野上総辺にて―といふ」』とあり、関東・中部の古い方言と見られる。
じんょー 巡業、授業
しんきゃぐ 真客、一番大事な客
しんきゃぐ
しんきゃく
@披露宴に出席する花嫁の付き添い役。A結婚式の後の嫁の最初の里帰り。B結婚式後の嫁の最初の里帰りに付いていく婿と婿の両親。C出産後の最初の里帰り。 『民俗』では『新客』と当てている。標準語の『新客』は、『新来の客。婿が初めて嫁の家にゆくこと。初婿入り。新客』と解説されている。
その意味では、Bは概ね標準語に近い。とは言ってもこれは、文化の問題なので標準語にないからといってもともと方言扱いできるものではない。
@は標準語の『真客』に近い。
しんきゃく:婿方から嫁を迎えに行く人達:神奈川。
A嫁宅ではもともと家族だったものが、結婚後、客として迎えられる意味を込めたものだろう。
B田舎の生活では縁の無い人の来客は少ない。結婚によって生まれた新たな客という意味を思わせる。
しんきゃく:神奈川。
Cこの場合は、新たに誕生した子供を対象にしていると思われる。
しんきゃぐ 足が速いこと 『隼脚』(しゅんきゃく:早飛脚。江戸時代の飛脚の一。並(ナミ)飛脚が昼間のみであるのに対し、夜間も逓送(テイソウ)した。早便(ハヤビン)。)か、『駿脚』の意味か。足のはやい馬は『駿馬(しゅんば・しゅんめ)』と言う。
辞書に、『駿脚』が無いのに驚いた。『駿』とは『たかし・とし・はやお・はやし』と読み、『馳』とほぼ同じ意味である。現代では主に馬術用語に『駿馬』(しゅんめ)が残る。茨城では『しゅんきゃく』は直音化して『しんきゃく』なることが多いが、それならばやはり『隼脚』がそのまま残って訛ったとしか考えられない。
じんりじん
じんりた
じんりたん
【形動】順繰りに じんりじん:栃木。
じんぐりばんぐり:群馬。
じんりに 【副】順繰りに、順番に じんりに:山形。
(しん へそくり 長野。
しん 【形動】思いもよらないこと。意外。また、予期に反して遺憾に思うこと。 『心外』。
ただし、『心外(しんげ)』には『心の外。』の意味がある。『外』を『がい』と言うのは新しい読み方で、『げ』と読むのが古い言い方である。
この例は、訛りと考えられている言葉が実は古い言葉の典型例例であるともいえる場合も示している。
じんけー いつくしみ。めぐみ。なさけ。 『仁恵』。このことばはいつごろから消えてしまったのだろう。
じんけーのあづいひと:人を思う心のある人。
じんけーがある:情け深い心がある。
(じんけぁねー) 【形】わずらわしい、うるさい 宮城。
施す側の立場から発した言葉と思われる。仁恵を施してもその甲斐が無い意味だろう。
・あの乞食は毎日やってきてじんけぁねー
(じんけさま) 警察官 福島。
『仁恵』の意味も考えられるが、『陣警様』の意味だろう。
しんけーたがり 神経質な人、狂人 全国的な訛りを考えると『神気集り』かもしれない。単に『しんけー』と呼ぶ地域が全国にある。
しんけたがり:福島。
しんけたがれ:青森。
すんけんたがり:山形。
(しんーる) 【複】出来る 静岡。『するが得る』意味か。
じんけん
しんけん
じゅんけん
じゃんけん じゃんけんの最も古い言い方。『しけん』ということから『指拳』の意味と思われる。
じんけんち
じゅんけんち
じゃんけんの最初の掛け声 石拳(じゃんけん)の時のかけ声の古い言い回し、『じんけんち、ちっ、ちっ、−−−』『じゅんけんち、ちっ、ちっ、−−−』『じんけんち、あいちょっちっ、ちっ、ちっ、−−−』
じん リンゴ 『集覧:無記載』。
じんこ
じんこじんこ
順番 古い標準語の『順行』の訛と考えられる。
じんさ 警察官 『巡査』の転。
じんけさま:福島。
じんさ:千葉。
ずんさ:宮城。
じんざっ クヌギの実、どんぐり 『じだんぐり』が訛ったと思われる。
じんさどろぼー 全国的にある子供の遊びの一つ 『警察と泥棒』の意味。
じんざま お爺さん 『集覧:多』。
◎じんじ 神を祭る儀礼・行事。まつり。祭祀。かみごと。 古語。『神事』。
じんじぐす 【動】時が熟す 『純熟、淳熟』の動詞化。
(しんしまり) しっかりしている人 神奈川。
しんじめ シジミ 高齢者言葉。
(しんじゅーだて) 人との約束を守りとおすこと。特に、相愛の男女が誓いを守りとおすこと。また、その証拠を示すこと。 『心中立て』。
しんじゅーだて:義理立て:東京。
じんじょ 順序 じんじょ:東京。
しんしょ
しんしょー
財産 『身上』と当てられる。しかしぴんとこない。『身性』のほうがイメージに合う。
しんしょ:福島・神奈川。
しんしょーこしれー:財産作り:神奈川。
しんしょー:群馬。
すんしょ:宮城。
じんじょ
じんじょー
普通のこと 『尋常』。当時は『普通』より『尋常』の方が多く使われた。その他『@すなおなこと。殊勝なこと。A目立たないで品格のよいこと。おとなしいこと。きゃしゃ。B立派なこと。すぐれたこと。』の意味がある。
じんじょー:おだやか・整っていること:東京。
じんじょーだねー
じんじょだねー
【複】尋常ではない、普通ではない かつての小学校は『尋常小学校』と呼ばれた。また中学は『尋常中学校』、高校は『尋常高等学校』と呼ばれた。
しんしょまーし
しんしょーまーし
家計のやりくり しんしょーまわし:群馬。
しんしょもぢ
しんしょーもぢ
@裕福な家、財産持ち、A一家の主 『身上持ち』。福島の民謡『会津磐梯山』で小原章介さんが潰したのも『しんしょう』だった。
@・しんしょーもち:宮城。
しんしょもぢ:福島。
すんしょもづ:宮城。
A・しんしょーもち:静岡。
Bその他。
しんしょーもち:財産管理の方法・家計のやりくり:東京。
しんしょわだし
しんしょーわだし
しんしょーわたし
しんしょゆずり
しんしょーゆずり
遺産相続、財産渡し 『身上渡し』『身上譲り』。
財産を譲ると、親は多く敷地内に別棟の『隠居』と称する建物を建て、そこに移った。時期は子供が25〜30歳頃で孫が小学校に入る頃が目安で50〜60歳頃だったが、今は晩婚になったためか遅くなっているという。『隠居』から見た母屋は『おもで』(表)と言う。当時は、財産を相続しても田畑の一部は隠居分として確保されたが、最近は年金の利用によって無くなってしまったという。
同居家族であれば、家の財産は本来家族全員のものであって、隠居制度が良いのか今の制度が良いのかは単純には判断できない。今の税制では、むしろ分割所有した方が有利だが、実質的に敷地内に別宅を持つ物理的なありかたは、敷地に余裕のある田舎でしかできないことで、核家族化の弊害の大きな解消になるが、都会ではせいぜい2世帯住宅を作るしかない。田舎でのこのような生活は、共用空間としての庭の存在がきわめて重要で、庭がコミュニケーション空間であり、共用空間として生かされる。ところが、都会の2世帯住宅にはそのような空間が存在せずほとんど通過空間でしかない。
しんしょーゆずり:神奈川。
しんしょーわたし:群馬。
じんじろめ マツムシ
(じんじん) 沖縄。擬態語か。
(じんすけ) 情が深く嫉妬深い性質。また、その性質の男。 『甚助』。
じんすけ:東京。
しんぜる 【動】進ずる、差し上げる、進上する、(神仏に)供える 『進ぜる』。古い標準語。時代劇でも良く聞く言葉。
しぇんじぇる:山形。
しんじぇる:山形。
しんじょー・しんじょい:差し上げる:香川。
しんぜる:群馬・長野・静岡。
ひんぜる:静岡。
へんぜる:福島・静岡。
(しんぞ・しんぞー) @あらたにつくること。また、新しく造ったもの。A二○歳前後の女。嫁入り前の若い女。B年増。C新妻(ニイヅマ)。若妻。転じて、下級武士や上層の町人の妻女の敬称。D近世前期、新しく出た遊女。勤めに出て間もない遊女。E近世後期、遊里で、「おいらん」と呼ばれる姉女郎に付属する若い遊女の称。出世して座敷持・部屋持となるものもあり、新造のまま終るものもあった。 『新造』。
しんぞ:@20歳前後の女、嫁入り前の若い女、A新妻(ニイヅマ)、若妻、転じて下級武士や上層の町人の妻女の敬称:東京。
しんぞっこ:年若い女:東京。
しんそごねー 死に損ない しんそこね:鹿児島。
しんそごねる 【動】死に損なう
じんだー
じんた
地団駄 『じんだら』がさらに訛ったもの。室町時代には、『地だだ(じだだ)』と言ったとされる。『集覧:多』。
じんだ:神奈川。
しんだー
しんだ
地団駄 『じんだー』がさらに訛ったもの。室町時代には、『地だだ(じだだ)』と言ったとされる。『集覧:猿』。
じんた 糠みそ 『糂汰』(じんだ:@ぬかみそ。五斗味噌。ささじん。A麹(コウジ)と糠(ヌカ)とに塩をまぜてならした食品。酢または酒を加えて用いる。じんだみそ。B枝豆或いは莢豆(サヤマメ)を茹(ユ)でて潰(ツブ)したもの。これをつけた餅をじんだ餅という。)。
じんだん:豆ぬた:山形。
ずんだ:枝豆をつぶして砂糖と混ぜあんこ状にしたもの:宮城。
ずんだもづ:大豆をつぶして作った緑色のあんをつけた餅:宮城。
しんだい
しんでー
新品の乗り物(自転車・自動車)、新車 乗り物を乗る台に例えたものと考えられる。
しんたいきんさ
しんたいけんさ
身体検査 40年代前半までの体格検査の呼び方。私は身長はあったが痩せていたので身体検査の前には必ず水をがぶ呑みするようにしていた。
小学校に入る前に視力検査があったが、当時はランドルト環が無くて、検査標には動物の絵が書いてあってその名前を言うことになっていたが、私は、平仮名こそ覚えていたものの、動物の名前を知らなくて随分悪い結果が出てしまった苦い思い出がある。
その後間も無く馬蹄形のランドルト環による検査が実施され私の目はとびっきり良いことが判明した。
しんたいけんさ:群馬。
しんたぐ @新宅、A分家 『新宅』。
A・えっこ:青森。
しんたく:福島・神奈川・静岡。
しんだ クヌギの実、ドングリ クヌギは別名『じだんぐり』と呼ばれそれが転じたと思われる。
じんだし
じんだじ
地団駄
じんだしふむ
じんだらふむ
じんだしこ
【動】地団駄踏む 30年代の言葉、もともとは『地踏鞴(じたたら)』(鉄を溶かす時の大きなふいご)が転じて『地団駄』になったという。
このような方言があることは、『地踏鞴(じたたら)』以外に別の言い方があったはずであるが目下不明である。
じんだふむ:神奈川。
じんだらふむ・じんだらーふむ・じんだらふる:神奈川。
ずだすふむ:東北。
(しんたしょーがつ・しんたっしょーがつ) 身奇麗な姿をして仕事をしないで居る人 神奈川。
じんだっ クヌギの実、ドングリ
しんだぼー 葬式 『集覧:鹿・行』。地場語同化を思わせ『死んだ坊』の意味か。
じんだら 地団駄 『集覧:猿』。『じんだだ』『じんだんだ』とも言った記憶がある。すなわち『地の駄々』の意味である。また、この言葉は『自堕落』との関係を思わせる。
じんだら:踏みにじること:山形。
じんだら:神奈川。
じんだらこ 【動】地団駄踏む
じんだん クヌギの実、ドングリ 『集覧:多・猿』。クヌギは別名『じだんぐり』と呼ばれそれが転じたと思われる。
しんだんべ @ウシアブの幼虫。Aイラガの幼虫、Bゲンゴロウの幼虫 @の場合は、『もう死んだんべと田んぼの水口で待っているとされる。』。県西部方言。
Aは岩井市の方言。
結城郡では@Bを指して『しんだんと発音すると言う。『〜だんは県下でも稀な言い方。
別に県北から県西部にかけて『あらまら』がある。(民俗)
Cその他。
しんだんべ:死人:埼玉。
じんだんぼ
じんだん
クヌギの実 じんだんぼ:栃木・埼玉・千葉。
じんだんぼ:どんぐり:東京多摩。
しんだんぼ 葬式 鹿島郡の方言。
しんちった 【複】死んでしまった 『死んじゃった』。
しんちまー
しんちまう
【複】死んでしまう、死んじまう 清音化。
標準口語では『死んでしまえ→死んじまえ』と言うが、茨城弁では一律に清音である。明らかに茨城方言が古い言葉の『死にてしまう・死にてしまえ』を受け、そのまま残っていると思われる。
この方言が、文献に一切無いのは不思議である。
えーかんにしねーどしんちまーど:いい加減にしないと死んでしまうぞ。
★『土』八十銭(はちかん)づつも取つちゃおめえ、女の手じゃたえしたもんだな、今度(こんだ)自分で死んちまあなんて、行(や)んねえこったなあ:八十銭づつも取っちゃあんた。女の手じゃあ大したものだよな。今度は自分で死んでしまうんだから、(そんなことは)遣らない事だなあ。
しんちめ
しんちめー
【複】死んでしまえ、死んじまえ 最悪の罵倒の侮蔑言葉。『死んじめえ』。この場合の清音化は茨城独特のもの。
しんちめーっちゃあっか:死んでしまえは無いだろう。
しんちゃー
しんちゃう
【複】死んでしまう、死んじゃう 清音化。
『しんちゃー』は赤いプルトニウムも使ってる。
しんちゃった 【複】死んじゃった 『集覧:北』。童謡『赤い靴』は大正11年(1922年)に発表された。野口雨情が作詞したものである。この歌詞にある『異人(いじん)さんに つれられて 行っちゃった』の中で『行っちゃった』がしばしば方言研究の題材にされるという。『行っちゃった』は茨城でもそう言うしさらに『いっちった』とも言う。
私が知る限り、『死んじゃった』を『しんちゃったと言うのは茨城と栃木だけである。
『〜てしまった・〜でしまった』を『〜ちゃった』と言う新しい言葉を生むきっかけになったのは、茨城方言に由来する可能性が高いのである。
てしまった→ちまった→ちゃった。
じんちょ
じんちょー
じんちょき
じんちょーき
ジンチョウゲ、チンチョウゲ 植物の呼び名は多く方言が採用されることが多い。この方言は中でも有力な方言である。
じんつぁま
◆▲じんつぁん
祖父 『集覧:多・新・鹿』。
じんつぁ:岩手。
じんつぁま:栃木。
ずんつぁ:山形。
ずんつぁん:宮城。
じんつ 【形動】順繰り 『順継ぎ』の意味。
じんて 【形動】@順繰り、A普通の様子 @・じんて:山形。『順の手』の意味か。
A・じんて:山形。『順手』の意味の転か。
しんでー 【形】辛い、疲れる しんでー:群馬。
・しんてい @こころざま。こころだて。A心底、心の奥底 古い標準語。@『心体』。A『心底』。『土』では、『心底』と当てているが意味は『心体』が近い。
★『土』:そんだつて盲目(めくら)だもの目鼻立(めはなだち)見(み)べえぢやなし、心底(しんてえ)せえよけりやえゝと思(おも)つてな。
じんてご
じんてこ
@ぱっとしない人、気が利かない人、A長男 標準語にある『甚六』(@長男はおっとりして気がよいところがあることからからかう気持ちをこめていう。Aお人好し。のろまな愚か者。)とはあまりに音韻がかけ離れているがその流れとしか考えられない。実際『総領の甚六』などど言われる。
古語の『手児(てこ・てご)』は『@幼児。赤んぼう。A少女。おとめ。』を指す。長男は多く幼いことから『甚手児』の意味か。
『俚言』には『ぢんてこ:又はさるっこ。下野館林にて袖なしのこと。』とある。長男と袖なしがどう関係するのだろうか。『袖なし』と『然にあらず』をかけたのだろうか。
じんてこ:素朴で純朴な人:山梨。
ずんてこ:馬鹿:福島。
そーりょーのじんてご:長男は気が利かない(言い伝え)。
しんと
しんとー
芯、真ん中 『心頭』の意味か。『芯筒』の意味も考えられる。
しんとー:群馬・東京多摩・神奈川・長野・静岡。
しんどい 親類 R音がまれにダ行音になる例。関西弁の『しんどい』も『心労』が転じたとする説がある。
しんぢ:鹿児島。
しんどい 【形】つらい。くるしい。 広辞苑に『しんどい:(関西方言)(「心労」の転か) くたびれている。つらい。くるしい。』とある。
今では全国的に使われるようになったが、この言葉は茨城では古くからあったものである。
しんどい:埼玉・徳島。
しんどか:鹿児島。
しんの:長野・静岡。
しんのー:心労:山形。
じんと 人研ぎ、テラゾー 建築の専門用語で『人造石塗り研ぎ出し仕上げ』の略。
日本では今では工場生産品しかなく、現場で研ぎ出す職人がいなくなったため完全にすたれてしまった。1989年代にアメリカに行った時、ヘルムート・ヤーンの設計したシカゴ空港の床は、大半が人研ぎでしかも『現テラ』(現場磨きテラゾー)だった。収縮クラック防止や施工上の理由と床のパターンの境に目地が入っていたが当時の日本では現テラの施工をしたという話は聞いたことがなく、当時のアメリカではまだ職人がいたらしい。
我が家の風呂は五右衛門風呂だったが、貝殻が混ぜられて丁寧に磨き上げられた人研ぎのデッキの中に鋳物の五右衛門風呂がすっぽりと納まったものだった。貝殻がきらきらと光る上等なものだった。
私が結婚式場として選んだ目黒の雅叙園は、家内の祖父がしばしば利用していたことによる。目黒雅叙園は90年代にオフィス棟を加えて刷新されたが、そのとき、象嵌職人が日本にはいないため、韓国から大勢の象嵌職人を招き、日本でわずかに残る職人のいた山形で住み込みで作業をさせたと聞いた。
(しんどづく) 【動】殴る 神奈川。
しんどーみぢ
しんどーみち
新道 興味深い方言。『新道路』の意味。教育が行き届かなかった時代を思わせる。二重表現。『集覧:多』。
しんどめ
しんとめ
芽止め 植物の芽は茨城では『芯』である。
(陣取り遊び) 子供の遊び 陣取り遊びは様々なものがあるそうだが、土浦では大きく2種類あった。曖昧な記憶だが、@おはじきを使う方法、A五寸釘を使う方法である。おはじきを使う場合は、地面にやや大きめの四角を書き、四隅に陣をとって、おはじきを使って陣を広げる。これがいわゆる『石蹴り』である。五寸釘を使って遊ぶ方法は、さらに2種類あって、夫夫が五寸釘を地面に順番に刺して、自分の釘がきちんと刺さった毎に線で結び、陣地を作る。もう一つは、ジャンケンで勝った方が自分の足の踵を中心に地面に円を描き、その円を繋げて陣地を作る。『くぎぶぢ』とも言った。いずれも単なる遊びとする他、各々の陣地に入った分だけの人数でグループ分けすることに使われたりした。子供の遊びも訛に似た現象があり、地域毎に微妙に異なるのが面白い。
(しんとろ) 竹を切った短い筒に色紙を刺し羽子のようにして年末から正月にかけて行う遊戯。 静岡。
これは方言ではなく民族語であろう。謂れは判然としないが羽子板遊びの羽子の作り方に由来すると考えられる。
しんな 【複】するな しんな:静岡。
しんない
しんね
◆■しんねー
【複】知らない これは単なる訛り。『そうかもしんない』は標準語世界でも俗語としてしばしば聞かれる。
近松門左衛門の作品では『知らぬ・知りぬ』を『しんぬ』と言っている。
しんない:神奈川。
しんねー:神奈川。
しんないちった
しんないちゃった
【複】知らなかった 『知らないで居てしまった』『知らないで居た』の意味を含む。
『しらないでありたり』『しらないでいたり』の流れか。
(しんなか) 日中、ひなか 神奈川。典型的な江戸言葉。
しんながった
しんねがった
【複】知らなかった
じんなぶり
じんなんぼ
じんなんぼー
クヌギの実、ドングリ 『集覧:稲』。クヌギは別名『じだんぐり』と呼ばれそれが転じたと思われる。多賀郡では『じんなぶり』と言う。
(しんなやみつける) 【動】叱り付ける 神奈川。
しんなり 【形動】しなやかな様
しんなりづよい 【形】しなやかで強い。ねばりづよい。 しならづよい・しんならづよい:見かけによらず丈夫:新潟。
しんなりがんじょー:見かけによらず丈夫:栃木・群馬。
しんねりじょーぶ:見かけによらず丈夫:群馬。
しんに 【副】まことに。ほんとうに。 『真に』。
しんに
しんにぇ
しんにゃい
しんにゃえ
【複】@知らない、A知れない 稲敷郡生まれの祖母がよく使った言葉。『集覧:久』。
しんに:福島。
しんぬい 親類、親戚
しんぬ 落し紙 『尻拭い』の意味。
しんね 昼寝 『ひんね』がさらに訛ったもの。
しんね:宮城。
しんね
しんねー
【複】知らない しんね:群馬。
しんねー:埼玉。
しんねーけぶり
しんねーけっ
知らない振り
しんねご
しんねこ
しんねーこ
しんねっこ
【形動】@内緒、知らないふり、ここだけの話、A二人だけ、B■ねこかぶり、おべっか 代表語の『しんねこ』は土浦では『知らない』+『こ』(お互いの意味を示す接頭語または事の短縮形)の意味である。
『しんねこ』は、広辞苑に『男女がさしむかいで、むつまじく語らうこと。』とある。講談で使われる意味は『昼日中から男女差し向かいでむつまじく語らうこと。』である。また大辞林では『男女が人目を避けて仲よく語り合うこと。』とある。この『人目を避けて』が重要であり、筑波郡に残る『二人だけ』の意味を介して『内緒』の意味に転じたと考えられる。
また、標準語の『しんねこ』は、『しんねりむっつり』『しんなり・しんねり』『撓う(しなう)』『しなやか』も同源と思われる。
ここから『しなびる』は『萎びる』と漢字が当てられているが、本来は『撓干る』(乾いて曲がる)意味だと考えられる。『萎える』と『萎びる』には同じ漢字が当てられているが、これは、まさしく漢字が伝来する前からあったの和語に後から漢字を当てたことが推測される。ちなみに『萎る』の古語は『しをる』『しなゆ』で『萎る』『撓ゆ・萎ゆ』と当てられている。どうやら、古語(女偏に弱いという漢字が当てられた)も含めて現代語の『しなやか』のルーツには、柔らかな意味のほかに、萎れる意味すなわちこっそりなにかをする意味もあったようである。
しんねこ:しんみり:群馬・栃木・埼玉。
しんねこ:男女がさしむかいでむつまじく語らうこと:東京。
ちんねこ:人前で黙っていること:山梨。
しんねちった
しんねーちった
しんねちゃった
しんねーちゃった
しんねんちった
しんねんちゃった
【複】知らなかった 『知らないで居てしまった』『知らないで居た』の意味を含む。
『しらないでありたり』『しらないでいたり』の流れか。
しんねづ 体の芯の熱 医学的な根拠があるかどうかはわからない熱。
しんねっ
しんねふり
しんねーふり
知らない振り
しんねーど 【複】知らないぞ しんねーど:千葉銚子。
しんねべ
しんねーべ
【複】知らないだろう 関東方言。
しんねーむっつり
しんねりむっつり
【副】むっつり、心の中で考えていることをはっきり言わない様 『しんねりむっつり』は、やや古い標準語。『しんねり』は『しんなり』と同じ意味で『しなやかなさま。ねばるさま。』のこと。『しんねり』は『しなやかなさま。ねばるさま。しんなり。』の意味。
しんねり:むっつりした様:神奈川。
しんねりがんじょー・しんねりじょーぶ:見た目は弱弱しいが体は丈夫な様:群馬。
しんねりむっつり:東京三鷹。
しんねりくんねり 【副】むっつり、心の中で考えていることをはっきり言わない様 しんねりくんねり:ぐにゃぐにゃとしまりの無い様::神奈川。
しんねる 【動】つねる 『ひねる』の転。
しんのい 親類、親戚 『集覧:新』。
しんのい 【形】つらい、疲れる 『しんどい』のルーツを感じさせる方言。『しんどい』は広辞苑に『(関西方言)(「心労」の転か) くたびれている。つらい。くるしい。浄、源平布引滝「―・い時はこのぬるでや紅葉を見て、くたびれを休みやいの」』とある。古河市の方言。
しんの:長野・静岡。
しんの
しんの
しんの
しんの
落とし紙、尻拭い 『集覧:猿』。『尻拭い』。
しんの:神奈川。
〜しんのげ
〜しんのげー
【複】〜するのですか 〜しんのけー:神奈川。
じんのまーり 順番 『順の回り』の意味。
しんのみ 汁の具、味噌汁の具 『汁の実』。
しんのみ:群馬・神奈川・静岡。
★『土』汁(しん)の身(み)なんざそんでも、どうにか出来んのか:汁の具なんかはそれでも、どうにか出来るのか。
しんのめー 午前中 『昼前』。『ひんのめー』がさらに訛ったもの。
しんのめ:宮城。
じんば 作業用の防寒具、陣羽織 『陣羽織』。
しんはずれ 好適の時期でないこと。季節はずれ。 『旬外れ』。
しゅんはずれ:東京。
じんばら 内臓 いんぶりかく:腹を立てて機嫌が悪くなる:長野・静岡・愛知。
おちんぶりをかく:怒る:神奈川。
じんばら:群馬・埼玉。
じんばら:大腸:埼玉。
じんばら:へそを曲げる:東京多摩。
じんばらかく・じんばらたつ:怒る:神奈川。
ちんばらかく・ちんばらをこく・ちんばらたてる:怒る:神奈川。
ちんばらをたつ:腹を立てる:東京多摩。
ちんばらをたてる:怒る:群馬・東京多摩。
ちんらかく:怒る:神奈川。
ちんぶり:怒ること:神奈川。
ちんぶりかく:怒る:神奈川。
ちんりをかく:怒る:滋賀。
ちんぶる:怒る:神奈川。
じんばり 勢力旺盛、好色なこと 『腎張り』。
しんばりぼー 心張り棒、突っ支い棒 しんだつぼー:神奈川。
しんだっ:静岡。
しんばり:千葉。千葉ではさらに大黒柱も指す。
しんばりぼー:神奈川。
じんばん
じんばんこ
順番 じんばん:千葉。
ものごどにはじんばんちもんがあんだど。じんばんはいじんばんでーじんだ。でーじんなのはかねもぢだ。かねもぢはじんばんおでーじんする。でーじんはかねもぢだ。そすっとじんばんおでーじんするってごどあかねもぢてごったな。:物事には順番がある。順番は一番大事だ。大尽なのは金持ちだ。金持ちは順番を大事にする。大尽は金持ちだ。そうすると順番大事にするってことは金持ちってことだね?。
じんばんに 【副】順番に じょんに:長野。
(しんびゅー) 【形動】従順な様 鹿児島。『神妙』が訛ったとされる。
(しんびれ) 痺れ 神奈川湯河原。『し』が『す』に近くなれば東北方言になってしまう。
しんびれ:静岡。
(しんびれる) 【動】痺れる 神奈川湯河原。『し』が『す』に近くなれば東北方言になってしまう。
(神仏を拝む時の言葉) 全国には以下の方言がある。『ああ尊い』『尊い尊い』の意味か。
あーああっと:岩手。
あっとあっと:岩手。
あっとだい:秋田。
あーとうと:壱岐。
あーとうとさま:長崎。
あーとーと:沖縄。
うーとーと:沖縄。
とーだいとーだい:秋田。
(じんぶん) 知恵 沖縄。『伝聞』の意味か。
しんぶん 新聞紙 材料としての新聞を指す。
しんべ
しんべー
【複】しよう しんべー:神奈川。
しん 心配 江戸言葉。
しん:千葉・群馬。
しんべー:神奈川。
(じんべえ) 麻・木綿製で筒袖をつけた夏の家庭着にいう。(広辞苑) 広辞苑には『甚兵衛:「陣羽折」また「陣兵羽織」の転という。男子用の袖無し羽織の名。もと関西地方に起り、木綿製綿入れの防寒着で、丈(タケ)は膝を隠すくらいとし、前の打合せを付紐で結び留める。じんべ。甚平。』とあり、元は防寒具であったものが、夏服に入れ替わってしまったというのが面白い。
詳しいことは不明であるが、戦いの無くなった江戸の武士達が夏の風流な着物として作り出したものとも思われる。
当時の土浦では農家が多かったためかほとんど普及していなかった。どちらかというと粋なやくざ者のような人が着ていた。
現代の甚兵衛は、半ズボンとセットのものを言うようになっている。
じんべーさま
じんーさま
じんべさま
じんべーさん
じんーさん
ジンベエザメ 『集覧:無記載』。
しんぼ 辛抱 『辛抱(しんぼう)』は今や殆ど死語になっている。
しんぶ:鹿児島。
しんぼい
しん
しん
切り株から出た目、草木の新芽 古語の『ほえ』(@木の枝。A柴。)の転の『新ほえ』の意味か、『新生え』か。
しん:梢の先:山形。
しん:梢:宮城。
しんぼーま 意気地なし 『辛抱』『逃れ』。
しんぼん 新盆(にいぼん、あらぼん) 方言というより間違いとも言えそうだが県内広域で使われる。
前年の盆以降亡くなった人を新仏(しんぼどげ)と言う。新盆の家では、古くは『だがどーろ』(高灯篭)を立てた。その後軒先に派手な提灯をさげるようになってから、急速にすたれた。
(しんまい) 始末 静岡。元『仕舞』か。
じんまーし
じんまーり
順番
◎しんみ @肉親、A肉親に対するような真心のこもった心づかいをするさま 『親身』。@の意味はすっかり廃れた。
(しんむり) 下痢 静岡。『尻漏れ』の意味と見られる。
しんめ
しんめー
@【複】知らないでしょう、知るまい、A【名】新米 @『知るまい』。
A・しんめ:鹿児島。
しんめまづり 鹿島郡の祭り 『神馬祭り』の意味。
8月1日に行われる。馬二頭を飾りつけ村落中を囃し回る。嵐を除け豊作を祈る祭りという。
『神馬』(しんば・じんめ)は広辞苑に『神の乗御に供する意で、神社に奉納する馬。かみこま。しんめ。』とあり『しんめ』は古い言葉である。馬を『め』と呼ぶのは『駿馬(しゅんめ)』(すぐれてよく走る馬。すぐれてよい馬。しゅんば。)に残る。
(しんむり) 下痢 静岡。そのまま『尻漏り』の意味か。
(しんもる) 【複】沈む 静岡。
◎しんや 分家 『新家』。
しんや:神奈川・長野・静岡。
じんよー 【形動】重要
じんよー
じんよーこーじ
地業工事 建物本体の基礎ではなく、杭や地面の砂利の工事を指す。
じんよーし 弟が兄の嗣子となること 『順養子』。
じんりぎ @人力車、A人の力
じんれー 巡礼
 本茨城弁集は、昭和40年前後の茨城方言を中心に茨城県全域の江戸時代まで遡る言葉を集めたものです。他県の方言との関係を重視し主要なものについては他県の方言も紹介しています。また、近年使われなくなってきた標準語や語源考察、また昭和30年代の風俗・文化等を紹介するために、合わせて標準語も掲載していますのでご注意下さい。
 お気づきの点やご指摘等がありましたら、『茨城弁投稿』と書いてお気軽にここにメール下さい。他地域・他県との関係情報もお知らせください。訛の変遷が解かるような投稿は積極的に掲載致します。