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◆本ページは、昆虫等に関する茨城方言をまとめたものです。他県の方言の収集も合わせて開始しました。

標準語 茨城弁 解説・他県の方言
アブ (総称)
あぶ
あぶめ
あぼ
あら:幼虫。
(シロアブ)
あらまら:幼虫。
あらむし:幼虫。
(ウシアブ)
あがあぶ:アカウシアブ
あぶのおやがだ
あらまら:幼虫。
あらむし:幼虫。
おーあぶ
しんだんべ:幼虫。
たうじ:幼虫:田蛆。
たばぢ:幼虫:田蜂。
ちっかりむし:幼虫:くっつき虫。
ちっかりめ:幼虫。
ちっりむし:幼虫。
(ウマアブ:ウマバエ参照)
(ハナアブ)
おなうじ:幼虫
おなこーじ:幼虫。女子蛆の意味。
おなじめ:幼虫。女子蛆の意味。
くそむし:幼虫
はなばぢ
(コウカアブ)
おんこばぢ
くそばぢ
くそんばい
くそんべー
くまはぢ
ちょーずばへーみ
ぶんぶん
ぶんぶんばい
ぶんぶんばぢ
ぶんぶんむし
ぶんぶんめ
べんじょばぢ
べんじょばち
べんじょへーみ
べんじょむし
んこばぢ
(キイロコウカアブ)
おんこばぢ
ぶんぶん
ぶんぶんばぢ
んこばぢ
『虻』。
最近は里山に行ってもまず見かけなくなった。当時は、ナラやクヌギの樹液に集まって来る昆虫は、まずカナブン、黄色まだらの蝶、そしてカブトムシとクワガタムシ、それにスズメバチとアブがいた。アブは針で刺すのではなく口で吸う。その時毒液が出るのか食われた後はかなり大きく腫れる。蚊と違って痒いのではなくずきずき痛む。集って(たかって)きたら直ぐ手で潰すのが防御方法だった。
広辞苑には『ハエ目(双翅ソウシ類)中の一群の昆虫の総称。種類が多く、大体ハエより大で、眼も大きい。雌は人畜をさして血を吸い、諸種の病原体を媒介する種類もある。雄は花に集まり花粉・花蜜をなめる。幼虫は蛆(ウジ)状で、多くは肉食性。ウシアブ・ミズアブ・ヒラタアブなど。』とある。古名『あむ』
『あらまら』は、県北部から県西部にかけての方言。これに刺された時『あらまら天上いだぐねー』と3回唱えると痛くないという言い伝えが常陸太田市に残る。新潟県南蒲原郡でもアブの幼虫を『あらまらー』と呼ぶことがネットで紹介されているので、もともと古くからあった言葉と考えられる。
『しんだんべ』は、『もう死んだんべと田んぼの水口で待っているとされる。』。県西部方言。
(総称)
あく:鹿児島。
あぼ:アブ:神奈川・静岡。
あらまらー:アブの幼虫:新潟県南蒲原郡。
しんだんべ:アブの幼虫:埼玉。
ぶんぶー:静岡。
(シロアブ)
(ウシアブ)
広辞苑に『牛虻:アブの一種。体色は灰黒ないし灰褐、体長二・五〜三センチメートル。牛馬などから吸血する。』とある。

(ハナアブ)
広辞苑に『花虻:ハナアブ科の昆虫の総称。体長一五ミリメートルほど。ミツバチに類似するが、翅は二枚。冬にも見られ、花蜜を吸う。幼虫は長い尾を持った蛆(ウジ)で汚水などにすみ、「おながうじ」と呼ばれる。アブバエ食が蠅(シヨクガバエ)。扁虻(ヒラタアブ)。』とある。
中里介山の『大菩薩峠』『おなうじ』が出て来る。『女子蛆』と当てられる。現代では、長野・岐阜の方言で単にウジの意味で『うなじ』が残されている。随分離れた茨城の北部に同じルーツの言葉が残るのは興味深い。 『まあいやな、幾千万とない真白な女子蛆(おなうじ)! おばさんの身体が、そっくりと真白な女子蛆になってしまいましたよ――まあ、あとからあとからあの通り、蛆がうずうずとして頭を出しています。』とある。中里介山は東京生まれなので東京でもかつては『おなうじ』と言っていたのか、山梨方言を使ったかは不明。
おなむし:宮崎。

(コウカアブ)
俗に便所蜂と呼ばれる。昔は汲み取り式便所付近をしばしば低空で飛んでいたし、古い小便器をもくもくと這っていたのはコウカアブの幼虫である。成虫は黒い色をしている。止まった時羽が直線にたたまれる。都市部では全く見かけなくなった。
『後架』とは広辞苑に『禅寺で、僧堂の後ろにかけ渡して設けた洗面所。その側に便所があり、転じて便所の意になる。
ごか。』とあり、そのまま便所蜂である。

(キイロコウカアブ)
アブラムシ、油虫 あぶらめ あま:和歌山・大分。
あまこ:島根・岡山。
あまめ:三重・和歌山・九州。
あめ:和歌山。
:大分・長崎。
アメンボ あめりかどんちゃ:那珂湊市。
かーかっ:久慈郡。
さんきりむし:常陸太田市。
さんきりめ:常陸太田市。
たんきり:久慈郡。
たんきりむし:真壁郡。
ふねこ:久慈郡・多賀郡。
ふねこむし:久慈郡。
みずおよ:東茨城郡・行方郡。
みず:猿島郡・稲敷郡。
みずすまし:県広域:あめんぼの別称。
みずまーし:猿島郡。
『水黽』。
広辞苑には『カメムシ目(半翅ハンシ類)アメンボ科の昆虫の総称。体は細長く棒状で、五〜三○ミリメートル。脚は長く、先には毛が生えていて水上に浮んで滑走し、小昆虫を捕食する。飴のような臭いを出す。時に多数群集。数種ある。ミズスマシとは別種。アメンボウ。カワグモ。アシタカ。ミズグモ。水馬。』とある。また、『@ミズスマシ科の甲虫の総称。また、その一種。体長約五〜一○ミリメートル。紡錘形で、背面は隆起し、黒色で光沢がある。複眼は腹背の二対に分れ空中と水中を別々に見る。水上を旋回する習性があり、小昆虫を捕食。春先から人目にふれる。ミズスマシ・オオミズスマシなど。ウズムシ。マイマイムシ。鼓豆虫。A(「水馬」とも書く) アメンボの俗称。特に俳句などに多く使われる。』とあり、アメンボをミズズマシと言った歴史があることに注意が必要である。
『称呼』には『まいまいむし:江戸にてみずすまし、同近在にてさをとめ。京にてうづむし。泉州堺にてごまいむし。大阪及西国にてかいもちかき。大和及近江越前にてまいまい。東近江にてごままいり。四国にていたこむししろかきむし。下野にてごきまわし。信濃にてすめ。加賀にてさをとめしけしけ。伊勢にてたまる。上総にてみづぐるま。美作にてみこのまひ。薩摩及肥前にてごきあらいむしなと云。此むし形丸く真黒にして小さし。水面にうかびめぐりてうづまくが如し。』とある。
『本草啓蒙』には『みづくも(江戸):あめんぼう(備後)、てふま(水戸)、みづすまし(畿内)、かつほむし(畿内)、しぼくみ(丹後)、しほのみ(越後)、とびとび虫(加賀)、あめ(伏見)、あめ虫(伊勢)、じょうせん(近江)、あめたか(筑前)、しほうり(西国)、しほか(出雲)、しほたき(土佐)、あめかす(遠江)、あめそ(薩摩)、あしたか(信濃)、ぎめ(大隈)、のま(南部)、あまむし(能登)、えびのうま(日向)、かも(佐渡)、ぎゃうせん(豊前)、かっむし(仙台)、本草の水黽なり。』とある。
あま:新潟。
あめ:大分。
あめやかんぞう:新潟・石川。
あめんどう:鹿児島。
あめんぼー:神奈川。
いろはかき:神奈川。
うまっこ:岩手。
うまのり:秋田・長野。
うんま:長野。
えんこ:高知。
おからまい:宮崎。
おかま:神奈川。
おんぼー:山口。
おんま:群馬・長野。
おんめ:神奈川。
かーかんじょー:静岡。
かーくも:静岡。
かーすんまえ:静岡。
かっ:神奈川。
かーっ:神奈川。
かっむし:栃木。
かねたたき:埼玉。
かまば:神奈川。
かはこし:埼玉。
かわっとび:静岡。
かわっ:神奈川。
かんかん:静岡・愛知。
かんかんぶと:静岡。
かんす:神奈川。
かんどり:香川。
かんぬし:長野。
こーごんめ:八丈島。『川子奴』の意味と思われる。
すいじんさん:島根。
すまんば:埼玉。
すみ;神奈川。
せんどー:静岡・愛媛。
たかあし・たかんま:神奈川。
つんつんむし:長野。
みずぐも:静岡・岡山。
みずすまし:神奈川・静岡・福井・愛媛。
やんめーしょーこ:神奈川。
アリ (総称)
ありどん:古河市・猿島郡。
ありぼ:東茨城郡・稲敷郡・行方郡・鹿島郡。
ありぼー:東茨城郡・稲敷郡・行方郡・鹿島郡。
ありめ:県全域。
ありんこ:県内散在。
ありんど:県内散在。
ありんどめ:県北部。
ありんどん:高萩市。
ありんぼ:県広域。
ありんぼー:県広域。
(アリの行列)
ありのかー:新治郡。
ありのどんどんーり:勝田市・東茨城郡。
ありのどんどんめーり:東茨城郡。
ありまぢ:真壁郡・結城郡。
ありめのどんどんめーり:東茨城郡。
(クロオオアリ)
ありおやじ(雌):多賀郡。
ありのいげーの:県内散在。
ありのいけーの(雌)
ありのおやじ:多賀郡。
おーあり:水戸市。
おーくろあり:-。
くろあり:結城郡。
くろばぢ(雄):東茨城郡。
じじありぼ:鹿島郡。
でがあり:真壁郡・下館市。
でかあり
どろぼーあり:猿島郡・岩井市
(その他)
とびあり:羽蟻。県内広域。
はねあり:羽蟻。
『蟻』。広辞苑には『ハチ目(膜翅類)アリ科の昆虫の総称。体長五〜一五ミリメートル。体色は黒または赤褐色。胸腹間に甚だしいくびれがある。触角は「く」の字形に屈曲。地中または朽木の中に巣をつくる。雌である女王と、雄と働き蟻(不完全な雌)とがあり、多数で社会生活を営む。種類が多い。新しく羽化した女王と雄には翅があり(羽蟻)、交尾後に翅を失う。』とある。
(総称)
あいこー:沖縄。
ありご:群馬。
あり:新潟・長野・静岡。
ありんご:群馬。
ありっこ:神奈川。
ありんこ:静岡。
ありんじょ:佐渡島。
ありんぞ:神奈川。
ありんぞー:山梨・神奈川。
ありんど:埼玉・神奈川・静岡。
ありんどー:神奈川・山梨・静岡。
ありんぼ:神奈川。
ありんぼー:神奈川。
いやい:鹿児島。
いやり:静岡。
いら:静岡・山口。
ささみ:鹿児島。
しあい:鹿児島。
すあい:鹿児島。
やい:鹿児島。

(アリの行列)
ありんぼのかんのんめーり:アリの行列:神奈川。

(クロオオアリ)
(その他)
うんぞー:シロアリ:福岡。
ありじごく、蟻地獄 あどじゃりむし:笠間市。後ろに動く虫の意味。
あどじゃりもっこ:真壁郡。後ろに動く牛の意味。
あまんじゃぐ:新治郡。アリが来るのをずっと待っているのを天邪鬼としたのだろう。
ありめのちゃ:稲敷郡。アリを茶菓子にしている意味。
いしこたっこ:勝田市・東茨城郡。『石粉』の地面に住む『田子』の意味か。
いじごだっこ:那珂郡・東茨城郡。『石粉』の地面に住む『田子』の意味か。
いじっこたっこ:東茨城郡。『石粉』の地面に住む『田子』の意味か。
いだぢごっこ:那珂郡・勝田市・水戸市・東茨城郡・行方郡。アリがアリジゴクにはまり、アリジゴクが後ろに下がってお互いに戦う様を指していっているものと思われる。
いたちこっこ:水海道市。アリがアリジゴクにはまり、アリジゴクが後ろに下がってお互いに戦う様を指していっているものと思われる。
いちこたっこ:東茨城郡・勝田市・水戸市。アリを苛める『田子』の意味。
いちこたっこめ:東茨城郡。アリを苛める『田子』の意味。
いっちごたっちご
いっちこたっちこ:鹿島郡。この言葉は本来ちぐはぐの意味である。他方言に習って語呂を合わせたのではないかと思われる。
いどくぼ:常陸太田市。すり鉢を井戸のくぼみに例えたのだろう。
うしこ:久慈郡・高萩市・勝田市。アリジゴクの角を牛に例えたものだろう。
うしこたっこ:県内広域。アリジゴクの角を牛に例えながら、後ろに進むので田子とあわせたもの。
うしこたっこたっこ:西茨城郡。アリジゴクの角を牛に例えながら、後ろに進むので田子とあわせたもの。『たっこ』が二重になっているのが可愛らしい。
うしこっこ:高萩市。アリジゴクの角を牛に例えたものだろう。
うしこめ:久慈郡・那珂郡。アリジゴクの角を牛に例えたものだろう。
うしこんこ:久慈郡。アリジゴクの角を牛に例えたものだろう。
うしこんべ:久慈郡。アリジゴクの角を牛に例えたものだろう。
うしこんぼ:久慈郡。アリジゴクの角を牛に例えたものだろう。
うしたんころ:久慈郡。
うしっこ:勝田市。アリジゴクの角を牛に例えたものだろう。
うしっこたっこ:旧水戸市。アリジゴクの角を牛に例えながら、後ろに進むので田子とあわせたもの。
うしっこめ:久慈郡。アリジゴクの角を牛に例えたものだろう。
うしんべっこ:那珂郡。アリジゴクの角を牛に例えたものだろう。
うすこ:稲敷郡。牛が訛ったのか、アリジゴクのくぼみ臼に例え、アリを穀物に例えたのかは不明。
うすこっこ:常陸太田市。牛が訛ったのか、アリジゴクのくぼみ臼に例え、アリを穀物に例えたのかは不明。
うすこめ:勝田市。牛が訛ったのか、アリジゴクのくぼみ臼に例え、アリを穀物に例えたのかは不明。
うそっこ:高萩市。牛が訛ったのか、アリジゴクのくぼみ臼に例え、アリを穀物に例えたのかは不明。
けっちょむし:久慈郡。後ろに進む虫の意味。
ことことむし:猿島郡。土に潜る様を表現したもの。『こちょこちょむし』という呼称がどこかにあるはずである。
ぐしらず:新治郡。アリの地獄を自ら作りながら、実は地獄を知らないというアンチテーゼの方言。
じーろこたろこ:稲敷郡。茨城には、アリジゴク以外に同名の虫が沢山ある。その由来は、手元の資料では不明である。民話に由来すると思われる。
じーろっこたろっこ:筑波郡。稲敷郡。茨城には、アリジゴク以外に同名の虫が沢山ある。その由来は、手元の資料では不明である。民話に由来すると思われる。
じろたろ・じろたろむし:結城郡。稲敷郡。茨城には、アリジゴク以外に同名の虫が沢山ある。その由来は、手元の資料では不明である。民話に由来すると思われる。
じろっこたろっこ:筑波郡。稲敷郡。茨城には、アリジゴク以外に同名の虫が沢山ある。その由来は、手元の資料では不明である。民話に由来すると思われる。
すなこっこ:土浦市。これは、著名文献を調べた限りいずれにもなく、土浦市上大津村限定の方言である。アリジゴクの住処は、縁の下か、崖等のくぼみの雨の掛からない場所に生息する。そのため、乾いた土を『砂』と呼び、『砂の子』の意味がさらに転じて、重複表現になったのだろう。
せんだんむし:稲敷郡。逃れるためには千段の階段を上る必用があるからだろう。
たーういっこ:新治郡。田植えは後ろに進むことに由来するもの。
たういこじろー:真壁郡。
たういむし:那珂郡。田植えは後ろに進むことに由来するもの。
たーういむし:東茨城郡。田植えは後ろに進むことに由来するもの。
たーこっこ:西茨城郡・竜ヶ崎市。田植えは後ろに進むことに由来するもの。
たこむし:鹿島郡。田植えは後ろに進むことに由来するもの。
たーころ:西茨城郡。田植えは後ろに進むことに由来するもの。
たっこ:下館市。田植えは後ろに進むことに由来するもの。
たっこたっこ:西茨城郡。田植えは後ろに進むことに由来するもの。
たっこたっこむし:鹿島郡。田植えは後ろに進むことに由来するもの。
たっこっこ:真壁郡。田植えは後ろに進むことに由来するもの。
たっこむし:東茨城郡。田植えは後ろに進むことに由来するもの。
たったっこ:真壁郡。田植えは後ろに進むことに由来するもの。
たーべしこっこ:水戸市。田植えは後ろに進むことに由来するもの。この場合、さらに難しい表現で、苗を田にお押し付ける意味ではないかと思われる。
たーらぼ:真壁郡。田植えは後ろに進むことに由来するもの。『田原坊』の意味だろう。
ちーたっ:真壁郡。小さい意味か地面に由来するもの。
ちんころ:西茨城郡。小さい意味か地面に由来するもの。
ちんだん:鹿島郡。小さい意味か地面に由来するもの。
つちむすめ:岩井市。土の中にいる娘とは、角を女の髪と感じて例えたものと思われる。
ほこほこむし:岩井市。土に潜る様を表現したもの。『ほこほこ』動く虫だろう。
ほっこ:行方郡。『掘虫』の意味。
ほっこめ:行方郡。『掘虫』の意味。
ままっこ:久慈郡。これは意味が深い。『まま』とは崖の意味で『崖に住む子』の意味になる。
めこたっこ:鹿島郡。茨城県では、稲敷・行方・鹿島郡ははずれにあり、茨城方言の中でも特別な地域である。『めっこ』は『めどこ』に由来し『穴』の意味、それに『田子』を繰り返していると考えられる。
めとたこ:行方郡。
めんこちゃんこ:稲敷郡。
@牛に例えたもの、Aその訛りかまたは臼に例えたもの、B後ろに進む意味、C後ろに進むことを田植えに例えているもの、D転じて田子としているもの、E次郎太郎、F掘の子に例えたもの、G生活の場所を示すもの、H蟻の墓場を意識しているのか葬式に例えたもの、Iその他、に分類できる。
広辞苑には『ウスバカゲロウの幼虫。体長約一センチメートル、土灰色で細いとげがあり、泥をかぶっている。縁の下などの乾いた土砂にすりばち状の穴を掘って隠れ、すべり落ちたアリなどの小動物をやっとこ状の大顎で捕食。あとびさり。あとしざり。すりばちむし。』とある。
『俚言』に掲載されたものは本草啓蒙を合わせ、さらに他の情報もあわせると全国の呼称は、『あとびさりあとずさりあとびっさりありのぢごくありぢごく(京)、うしむし、うしこむし、うしころ、かはほり・かはほりむし(淡路)、くぼくぼむし(近江)、くるもうじ、くるもし、くるまんしょう、けんけんけそけそ(紀伊)、こそばい、こってい(肥前)、こもこも(北海道)、こもこもむし・こもごもむし(出雲)、こほこほ、ことこと、こまこま、さんねんざる(松前)、さをとめ(備後・南部)、しんしよれ、しりひきむし、しゃうとめ、すけすけ、すりばちむし(加賀)、せじやこ・せじやと(河内)、たうえんじ、たんばむし、ぢごくむし、ちゃほりむし、つぼむし(日向)、てい(肥前)、ねぢねぢ、べべ、べべごし・べべこじ(伊勢)、べこ(仙台)、べべくろ(丹後)、めくらこうし、ももんしょ・ももんじょ(但馬)、をぢをぢ(筑前)』となる。これらの方言が現在どこに残っているか調べるのも面白いだろう。
成虫のウスバカゲロウは、何故か方言には現れない。昭和30年の上大津地域では、夏の夕方を告げる使者ののようなものだった。夏の夕方になると頼りない飛び方でひらひらと飛んでくるのが日課だった。
あとざりおしっこ:埼玉。
あとしゃりべべっこ:山梨。
あとざりむし:青森。 
あとしっつぁり:神奈川。
あとしやりっこ:埼玉。
あまんじゃく:岡山・鳥取。
いちいち:岡山。
いちこんこ・いちっこ・いっちらたっちら:神奈川。
いぼじり:静岡。
いもじり:静岡。
いもり:静岡。
うし:静岡。角があるからか。
うしあな:岩手。
うしこ:千葉。
うしっこ:福島・埼玉・静岡。
うしのつの:静岡。
うずこもり:愛媛。
うすんぼ:静岡。
えねくぼ:奈良。
おくんぼ:静岡・愛知。
おこぼ:大分・佐賀。
おしこ・おちこ:千葉。
おしっこかっこ:埼玉。 
おちょこ:神奈川。
おぼんぼろ:静岡。
おんちょこ:神奈川。
かっこありっくい:埼玉。
かーっ:福島。
かわほりむし:兵庫淡路島。
かんこ:長野。
さむらい:神奈川。
しじっこ:神奈川。
すりばち:神奈川。
ぜんぜん:奈良。
そもそも:岐阜。
ちっけっ:栃木。
ちょこばんば・ちょこむし:神奈川。
ちょろちょらばーさん:神奈川。
つぼくり:奈良。
てーちっ・てちっ・ででっ:神奈川。
てっこばっこ:群馬。
ててっ:島根・山口。
とっこ:栃木。
ととっこ:栃木。
へこ:長野。
べべっこ・べべっちょ:神奈川。
ほっこ:神奈川。
ほてっ:神奈川。
ままっこ:神奈川。
アワフキムシ (総称)
あかぼたる:猿島郡。
あーぶく:久慈郡。
あーぶぐむし:久慈郡。
あぶぐむし:常陸太田市・稲敷郡。
あわむし:久慈郡・真壁郡。
へびのあわ:久慈郡・水戸市・勝田市。
へびのつばき:那珂郡。
ほだるのこども:東茨城郡・笠間市・結城郡。
ほだるのす:真壁郡・稲敷郡・行方郡。
ほたるむし:猿島郡。
(関連語)
あおいるのたま:アワフキの泡。
へびのよだれ:アワフキの泡。
ほだるのす:アワフキの泡。
ほだるのたま:アワフキの泡。
『泡吹虫』。
広辞苑には『カメムシ目(半翅類)アワフキムシ科とその近縁の昆虫の一群。成虫は体長約五ミリメートル。ウンカに似る。幼虫は草木の枝や葉に腹端から出す泡で唾液様の巣を作り、その中で植物の汁を吸い成長する。シロオビアワフキ・マツアワフキなど、わが国に約五○種。アワフキ。ツバキムシ。』とある。
イラガ (幼虫)
おこぜ(蜂熊・おきくさん)。
おさすり・おさそり
おしゃらぐけむし
むし
けうづし
さしけむし:刺し毛虫。
しとむし
しどっけむし
しとみけむし
しどむし
しびれむし:痺れ虫の意味。
すずめのーのけむし
ちとーむし
ちどけむし
ちどむし
でんきむし
どぐけむし
どくむし
どっけむし
らけむし
らむし
っちょ
はぢまんたろー
ーむし
ほろし
やなむし

(繭)
けむしのす
すずめのしょーべんたこ
すずめのしょんべんた
すずめのす
すずめのたま
すずめのてっ
すずめの:空になった繭。
すずめのふい
すずめのぼち
すずめのぼっち
すずめのまぐら
すすめのみず:空になった繭。
すずめぼぢ
すずめぼっち
はぢまんたろーのす
はぢまんたろーのたま
:羽化後の繭。
ーむしのこども
ーむしめ
ひょーひょーだま:羽化後の繭。
ふい。笛の意味。
ふいふき
『刺蛾』。
広辞苑には『イラガ科のガの総称。また、その一種。体も翅も黄色、前翅の外半は煉瓦色、前翅の中央に赤褐色新月状の部分がある。開張約三・三センチメートル。繭は卵形できわめて堅く、灰色に黒条があり、俗に「すずめのたご」「たまむし」といい、中の蛹(サナギ)を釣餌とする。幼虫は「いらむし」という体長約二センチメートルの毛虫で、その毒刺に触れると非常に痛い。カキ・ナシ・リンゴなどの害虫で、九月ごろ繭を作り、翌年五月ごろ成虫となる。』とある。
(幼虫)
さこけ:山梨。
でんきむし:群馬。

(繭)
すずめのからおと・すずめのからす・すずめのちゅー:羽化後の繭:神奈川。
ーむしのたま:群馬。
うじ、うじむし、蛆、蛆虫 うじめ
おなこーじ:ハナアブの幼虫。
おなじめ:ハナアブの幼虫・ウジムシ。
くそむし
さす:ハエの卵。
中里介山の『大菩薩峠』に『おなうじ』が出て来る。女子蛆と当てられる。『まあいやな、幾千万とない真白な女子蛆(おなうじ)! おばさんの身体が、そっくりと真白な女子蛆になってしまいましたよ――まあ、あとからあとからあの通り、蛆がうずうずとして頭を出しています。』。
うなこーじ:神奈川。
うな:長野・岐阜。
うな:便所の蛆:東京多摩。
おなむし:宮崎。
ぐし:鹿児島。
さし・さじ・さす神奈川。本来は人工繁殖させたキンバエのウジで『さし』と言う。
ウスタビガ ぎーぎめ:繭。
しゃくとりのまゆ:繭。
ひょーたんめー:繭。
やまおごさま:幼虫。
やまこ・やまびご・やまびっこ
やままい:繭。
やままいのおど:繭。
『薄手火蛾・薄足袋蛾』。
広辞苑には『ヤママユガ科の大形のガ。体も翅も橙褐色ないし黄褐色で、前後翅に各一個の円い半透明な紋がある。開張は約一○センチメートル。幼虫はクリ・クヌギ・ケヤキ・サクラ・カエデなどを食い、成虫は秋に出現。繭は山叺(ヤマカマス)などと俗称。日本本土のほか、シベリア南東部にも分布。』とある。天蚕を山蚕(やまこ)とも言うのでその訛りか。
ウスタビガとヤママユガの繭は似ているが、ウスタビガの繭は頂部が平らになっている。茨城方言では、ウスタビガとヤママユガの繭は共通語があるが、この方言だけは、ウスタビガにしか与えられていない。このうち『やまこ』は岩手県でも使われるという。
ウスタビガは、『薄手火蛾・薄足袋蛾』と書かれたり、山叺(ヤマカマス)とも呼ばれるように、繭が薄くて中が透いて見えることと、形状が魚篭(びく)に似ているため『山魚篭』の意味なのだろう。
ウンカ あがじ 広辞苑に『浮塵子(うんか):カメムシ目(半翅類)ウンカ科・ヨコバイ科などの昆虫の総称。形はセミに似、大きさ約五ミリメートル。口吻で植物の汁を吸い、またウイルスを媒介する種類もある。後肢はよく発達し、跳躍し、また飛ぶ。大群をなすこともある。種類はきわめて多くセジロウンカ・ヒメトビウンカ・トビイロウンカ(以上ウンカ科)・ツマグロヨコバイ(ヨコバイ科)は稲の害虫として有名。古来、しばしば凶作の原因。こぬかむし。さねもりむし。糠蠅。蝗(イナムシ)。』とある。
オサムシ やすじ
へっりむし
『筬虫・歩行虫』。
広辞苑には『オサムシ科のうちオサムシ亜科に属する、比較的大形の甲虫類の総称。体は細長く、筬に似る。大多数の種は後翅がなく、左右の前翅が癒合し飛行不能のため、地域分化が著しく、わが国でも四○種近くを認める。成虫、幼虫ともに肉食。美麗種や体形の変ったものが多い。オオオサムシ・アオオサムシ・マイマイカブリなど。』とある。
ヤスデは古名が『おさむし』である。神奈川でもオサムシを『やすで』と言っていることから、オサムシ=ヤスデの流れが残ったと考えられる。カマキリとトカゲの呼称の混乱と良く似ている。
やすで:神奈川。
オビカレハ おびかつたま:卵。
けむしめのたま:卵
さぐらけむし:幼虫:桜毛虫。
さぐらむし:幼虫:桜毛虫。
さぐらのけむし:幼虫:桜の毛虫。
さぐらむし:幼虫:桜虫。
しなんたろー:幼虫。広域方言。
注)『称呼』には『武州の内にて毛虫の異名信濃太郎といふ所多し。其心は、六月信濃の方に出る雲を、しなの太郎と云。此虫の黒き形、其雲ににたりる故に名つくとぞ。』とある。オビカレハの幼虫は黒くないので、クスサンの幼虫を指す白髪太郎が訛ったと思われるが、『しなんたろう』は広域方言で、富山・石川・新潟でも使われ、イラガの幼虫を指すこともあると言う。
すずめのまぐら:卵。
たろーけむし:幼虫。
とーこじむし:幼虫。
とくじっけむし:幼虫。
はぢまんたろー:幼虫。
はちまんたろー:幼虫。
ばばけむし:幼虫。
まづむし:幼虫。
まづけむし:幼虫。
んめけむし:幼虫。
んめのけむし:幼虫
『帯枯葉』。
広辞苑には『カレハガ科のガ。全体に淡褐色。雌は雄よりも大きく、開張約四センチメートル。雄の触角は櫛状。若い幼虫は天幕(テンマク)毛虫と呼ばれる害虫。日本からシベリア・ヨーロッパにかけて広く分布。』とある。また『天幕毛虫(てんまくけむし):オビカレハの若い幼虫の俗称。多数集まって糸を綴り、天幕状の巣をつくる。ウメ・サクラ・モモ・リンゴなどの葉を食害する。』とある。
(総称)茨城県下での総称は蝶とほとんど共通しており区別無く使われている。蝶と蛾を区別しないのは、石川、長野・和歌山・岡山・愛媛でも同じである。フランス語では『パピヨン』ドイツ語では『シュメッタリング』と言い区別しないという。
がが・がっががんが(幼児語):土浦市。
たべら:久慈郡。
ちょーちょ・ちょーちょー:県全域。
ちょちょっ:筑波郡・真壁郡。
ちょちょべ:古河市。
ちょちょ:古河市・猿島郡。
ちょーちょめ:久慈郡・新治郡。
ちょーちょんべ:結城市・猿島郡。
ちょっ:真壁郡・下館市・新治郡。
ちょっ:笠間市・真壁郡・新治郡。
ちょっ:真壁郡。
ちょーま:県下全域。
ちょーまめ:土浦市。
ちょーまん:鹿島郡。
ちょんま:土浦市。
ちょんまめ・土浦市・真壁郡。
どぐ:真壁郡・猿島郡。
べらちょー:新治郡以北。
べらちょーめ:県北部。
べらっちょー:県北部・北西部。
べらっちょめ:県北部。
(大型の蛾)
いがいちょちょ
いがいちょっ
おにが
おにちょー
おばげちょー
おばげちょーちょ
じゃんぶくちょーまん:葬式の蛾の意味。
ちょーま
たましー
たましーちょーちょ
ばげちょー
ばげちょーちょ
ばけちょーちょ
ばげっちょ
ばげっちょーちょ
ばけっちょーちょ
べらみ:蛾の一種。大型の蛾と考えられる。この蛾は死者の魂といわれる:勝田市(べらめが訛ったもの)。
ほどげちょーちょ
ほどげのたましー
(小型の蛾)
ちょっ
(種類別)
いがいちょっ:クスサン。
くりけむしのが:オオミズアオ。
すずめちょー:セスジスズメ。
ちょっっこ:メイガ。
どぐちょー・どぐっちょ:ドクガ。

(幼虫)
こしま:ドクガ科の蛾の幼虫:腰曲がり。
ごまむし:メンガタスズメの幼虫:胡麻虫。
しなんたろー:クリケムシ(クスサンの幼虫)。
しょーかたけむし:ドクガの幼虫。
つつこむし:チャミノムシの幼虫。
つつっこむし:チャミノムシの幼虫。
らげーまん:ドクガの幼虫:猿島郡。
らけむし:背中にコブのある毛虫類。
やまおかいこさま:クワゴの幼虫。
やまかいご:クワゴの幼虫。

(その他)
広辞苑には、『チョウ目(鱗翅リンシ類)のチョウ以外の昆虫の総称。形はチョウに似る。多くは夜間活動し、静止の際、翅を水平に開くか屋根状に畳み、また触角は先端ほど細くなり、櫛歯状になっているものもあるなどでチョウと区別するが、やや便宜的。小蛾類・尺蛾類・夜蛾類などに分ける。きわめて種類が多く、わが国だけで約五千種。その幼虫に髄虫・毛虫・芋虫・蚕・尺取虫などがある。火取虫。火虫。古称、ひひる。』とある。その他文献には『ひる・ひいる』がある。『ひらひら』飛ぶ意味より、夜の明かりの火にまつわる意味がこめられているようである。そうなると現代標準語の『が』はどこらか生まれたかが解からない。
蚊を『よが』と言うのとも関係があるのかもしれない。青森・秋田・岩手・福島・新潟・富山・岐阜で使われる。茨城でも蚊を『よが』と言うが、『が』が鼻濁音かどうかが定かでは無い。もし『よだとすると、『夜のもの・夜の虫』の意味になる。これによって、何故蚊を『よというかの説明がつく。
一方、蝶類の総称を昔は雅な『が』といい、夜に活動する蝶を『よが』と言ったのかもしれない。

(総称)
おんぼー:福岡・熊本。
ちょーちょー:埼玉。
ちょーまん:千葉銚子。
ちょーり:鳥取・岡山。
:青森。
はべる・はーべーるー:沖縄。『かわひらこ』
ひーる:青森・岩手・宮城・山形・東京・神奈川・佐渡・長野・静岡・愛知・和歌山・徳島・大分・福岡・佐賀・宮崎。
ひーるめ:八丈島。
ひーろ:新潟・静岡・福岡・大分。
ひいろ:カイコガ:佐渡島。
べっとー:山形。
べらこ:秋田。

(種類別)
おこさまちょーちょ・おこさまのちょー・おこさまのちょーちょ:カイコガ:神奈川。
おひる:カイコガ:山形。『ひひる』。
かいこのちょー・かいこのちょーちょ:カイコガ:神奈川。
かいのちょー:カイコガ:神奈川。
ぐず:天蚕:神奈川。てぐす糸をとる天蚕。
けーこのちょーちょ:カイコガ:神奈川。
ちょーちょ・ちょーちょー:カイコガ:神奈川。
ちょーまん:ノシメマダラメイガ:千葉銚子。
すのむし:天蚕:神奈川。てぐす糸をとる天蚕。
ひる・ひーる:カイコガ:神奈川。
ひーろ:カイコガ:東京多摩・神奈川。
ぼが:カイコガ:神奈川。
まゆのちょーちょー:カイコガ:神奈川。

ひる:カイコガ:山形。『ひひる』。
ひーろ:カイコガ:東京多摩。『ひひる』。

(幼虫)
くりのきばばー:クリケムシ(クスサンの幼虫):東京多摩。
しなんたろー:クリケムシ(クスサンの幼虫):富山・石川・新潟:イラガの幼虫を指すこともあると言う。
ちょろ:ハマキガの幼虫・ハマキムシ:神奈川。
でんきむし:イラガの幼虫:群馬。
ぶどーむし:ブドウスカシバの幼虫:神奈川。釣り人界では『ぶどうむし』はハチノスツヅリガの幼虫を指すらしい。

(サナギ)
しびつ:カイコの蛹:福島。
(その他)
とすべり:水蝋虫(いぼたのむし)が分泌した蝋:神奈川。水蝋樹蝋・虫白蝋。
(総称)
かー
かめ
かーめ
かんか:幼児語。
かんかめ:幼児語。
かんかんめ:幼児語の地域とそうで無い地域がある。
かんめ
けーめ:下妻市。

(ヤブカ)
しまか
しまが:オークロヤブカ。
ぼーいん:真壁郡。
やまっか
(ガガンボ・カトンボ)
あしな
あしな
あしなかんめ
あしなとんぼ
あぶか
おちゃ
おやかんめ
ががんぼ
かがんぼ
かのいげーの
かのーば
かのおやじ
かとんぼ
かめかが::蚊の母親の意味
かんめのおどっつぁま
かんめのおやじ
たげやまかんめ
てな
てなあしな
ばびぼ:真壁郡。
(ユスリカ)
わがさむし
(ヌカカ)
ぶゆ
ぶよ
めづぶし・めつぶし
めほりめ
めまし
めまーしめ
めます
(ブユ・ブヨ)
わがさむし
(関連語)
かんめのもぢつき:蚊柱。
きん:ユスリカの幼虫(アカムシ)
広辞苑には『ハエ目(双翅ソウシ類)カ科の昆虫の総称。体・翅・脚共に細くか弱い。体は褐色または黒褐色で、白い紋のあるものが多い。脚は細長く、一対の透明な膜質の翅を備え、触角は総毛状、雌では目立たない。飛ぶ時、羽音を発する。口吻は吸収に適し、雌は人畜を刺しその血を吸い、マラリアや日本脳炎などの伝染病を媒介するものがある。世界に約二千種。ユスリカなど別科のものもある。幼虫は「ぼうふら」。』とある。
土浦ではかめ・かーめ・かんか・かんかめ・かんかんめ・かんめ』が代表的。カトンボ(ガガンボ)『かんめのおやじ』である。ちなみにガガンボの別称は『カノウバ。カノオバ。』である。
(総称)
かー:青森。
がじゃん:沖縄。
かっ:宮崎。
かぶめ:蚊:八丈島。茨城の『かんめ』と同源と思われる。
かんかんめ::栃木。
がんじゃー:蚊:長野。
かんす:蚊:愛知・岐阜。
かんば:静岡。
かん:静岡。
かんぼ:静岡。
:蚊:青森・秋田・岩手・福島・新潟・富山・岐阜。
(ヤブカ)
やぶっか:東京。元『薮つ蚊』か。
(ガガンボ・カトンボ)
標準語の中では珍しい呼称。『蚊の母』を思わせる言葉。
広辞苑には『大蚊:(カガンボとも。「蚊が姥(ウバ)」の転か) ハエ目(双翅類)ガガンボ科の昆虫。種類が多い。カに似るがはるかに大きく、血を吸わない。脚は長くもげ易い。幼虫は多く泥の中にすむ。カノウバ。カノオバ。カトンボ。』とある。第2音が鼻濁音かどうかは不明。茨城では濁音である。
『俚言』によれば江戸時代には清音で『かかんぼ』と呼んでいた。
おとんぼ:鹿児島。
かーとんぶ:神奈川。
かんねんぼ:ガガンボ:長野。痩せた人も指す。
とーぜんぼー:佐渡島。

(ユスリカ)
(ヌカカ)
(ブユ・ブヨ)
:静岡
カイコ、蚕 おかいごさま
おかいごさん
おけーこさま
おご
おこ
おごさま
おこさま
おごさん
おこどの
かいおごさま:蚕はもともと『飼い蚕』の意味。
おごさま
おこさま
おごさん
けーこ
広辞苑に『(「飼い蚕(コ)」の意) チョウ目(鱗翅リンシ類)カイコガの幼虫。孵化した時は剛毛の存在によって黒く見える(毛蚕ケゴ・蟻蚕)が、第一回の脱皮後灰色となる。多くは暗色の斑紋を具え、一三個の環節がある。通常四回の眠を経て、脱皮して成長し、絹糸を吐いて繭を造り、中で脱皮して蛹(サナギ)となる。羽化したカイコガは、繭を破って外に出て交尾・産卵し、後死ぬ。繭から絹糸を取る。家蚕(カサン)。御蚕(オコ)。』とある。
おかいこさま:神奈川。
おかいこさん:神奈川。
おけーこ:神奈川。
おけーこさん:神奈川。
おこさま:神奈川。
おこさん・おこはん:神奈川。
おしなさま:養蚕の神:青森。
おしら:蚕:山梨。
おしらあそび:標準語。正月十六日、おしら様の祭日に、「いたこ」と称する巫女が……儀式をいう。
おしらがみ:標準語。古くは全国的に民間で祀った神の名。何神かは、不動尊説、馬娘神説、盲巫山女説、北方神説、アイヌ神説などあり、何れとも決しがたい。紳体は……。
おしらさま:養蚕の神:青森・神奈川・群馬県多野郡。
おしらさま:蚕:埼玉・神奈川・山梨・静岡。
おしらさん:静岡。
おひめさん:蚕:神奈川・静岡。
おひらさま:男女二体の偶像の神:岩手県。
おぼこさん:山梨。
きぬがささま:養蚕の神:群馬県勢多郡。
けーこ:神奈川。
けこじょ:鹿児島。
しゃーかみ:養蚕の神:八丈島。
ひめこさん:静岡。
ひめっこ:静岡
ぼぼさま:長野。
ぼぼーさま:長野。
カゲロウ (総称)
(ヘビトンボ)
かーむかで(幼虫)。
たは(幼虫)。
たむかぜ(幼虫)。
たむかで(幼虫)。
たろー(幼虫)。
たろむし(幼虫)。『孫太郎虫』。
(ウスバカゲロウ)
おちゃむし
おちゃばこばこ
おづるどんば
おはかとんぼ
ちょっ
ろー
ろーとんぼ
かみさまとんぼ
どぐとんぼ
ばびぼ
ひめとんぼ:勝田市・岩井市。
やなとんぼ:久慈郡。
ゆーれーとんぼ:−。
(アオバカゲロウ)
おぢゃ(幼虫)
おちゃむし
『蜉蝣・蜻蛉』。
広辞苑には『(飛ぶさまが陽炎カゲロウのひらめくように見えるからいう)
@トンボの古名。Aカゲロウ目、広くはアミメカゲロウ目を含む昆虫の総称。体も翅も弱々しく、二本または三本の長い尾毛がある。夏、水辺に飛び、交尾・産卵を終えれば、数時間で死ぬ。幼虫は二〜三年を経て成虫に羽化。はかないもののたとえに用いる。かぎろう。青(セイフ)。朝顔。(ヒオムシ)。』とある。
(総称)
かとんぼ:埼玉。
ちょーとんぼ:長野。

(ヘビトンボ)
たろー(幼虫):神奈川。

(ウスバカゲロウ)
ゆーれーどん:神奈川。

(アオバカゲロウ)
カナブン いそ
いぞ
いぞー
いぞむし
おごわむし
おごわんぼ
こーらむし
こわむし
こわんぼ
かなぶんぶん
かねぶんぶん
ぶんらめ
広辞苑には『@コガネムシ科の甲虫。コガネムシに似るが、体は少し大きくやや扁平、青銅色、光沢に富み、体長約二・五センチメートル。クヌギ・ナラなどに集まり、樹液を吸う。かなぶんぶん。かねぶうぶう。A俗にコガネムシ類をいう。』とある。
茨城県下のカナブンの呼称も大半がコガネムシの呼称と同じである。
昭和30年代の木の樹液に群がっていたのは、まずはカナブンで、それにれに黄土色のまだらの蝶が定連だった。この蝶は、猛暑の頃、敷地の一角に打ち水をしたりするとよく集まる。小便した時も同じように集まるである。
近年、神奈川の我が家の近くの雑木林にはこのカナブンを見かけない。かつてはゴミ同然だったカナブンが何故いなくなったのだろう。
コガネムシは、今も健在で、植え込みの中に幼虫をよく見かける。昨年、我が家の植え込みを掘り返した時、可哀想なので土に戻したが、植え込んだゼラニウムが次々に枯れてしまった。これは間違いなくコガネムシの幼虫の仕業である。カナブンはいったいどこに行ってしまったのだろうか。
かなぶんぶー:山梨。
カブトムシ
(総称)
あんどんむし:−。夜にしばしば明かりに誘われて飛んでくるからだろう。
うにむし:鹿島郡:おにむしが訛ったと思われる。
おにむし:土浦市他県下広域。クワガタムシを指す地域もある。『おに』とは恐ろしく大きな意味である。関東から東北にかけて分布。
おにらむし:真壁郡・稲敷郡・北相馬郡。鬼柄虫・鬼殻虫の意味と思われる。
おにむしめ:土浦市他県下広域
かぶと:土浦市他県下広域(推定):略語。
:土浦市他。略語の半濁音化。
かぶとおにむし:高萩市。クワガタムシを含めた総称としての『おにむし』にカブトがついたもの。
とむし:土浦市他。半濁音化。
こわむし:新治郡。甲虫類を意味する。
さいかち:那珂郡。
さいかちむし:稲敷郡。
しかむし:真壁郡:鹿の角に例えたものだろう。
せーかち:−
つのむし:土浦市他。
(雄)
じじ(雄):結城郡。婆に対する爺だろう。
じじー(雄):稲敷郡・行方郡。婆に対する爺だろう。
じじむし(雄):結城郡。婆に対する爺だろう。

(雌)
おにむしのおんな(雌):東茨城郡・真壁郡・猿島郡
おにむしのおんなめ(雌):久慈郡・常陸太田市・那珂郡
おにむしのばばー(雌):稲敷郡。爺の雄に対して婆の意味か、役立たずの意味か。
おんな(雌):猿島郡:単に雌の意味。
ばば・ばばー(雌):結城郡・猿島郡・稲敷郡
ばばおにむし(雌):真壁郡:婆鬼虫の意味。
ばばーむし(雌):−:婆虫の意味。
ぶだ(雌):土浦市・鹿島郡他。牛に対して丸い豚と例えたのか、沢山ある意味の『ふだ』が訛ったかは不明。
ぶたかん
ぶだむし(雌):猿島郡。
(幼虫)
いも(幼虫):行方郡。居潜る意味。
おまんじむし(幼虫):土浦市・水戸市:饅頭虫の意味。
くそむし(幼虫):高萩市。家畜の肥えに住むからだろう。
げんろむし:猿島郡
こいむし・こいむしめ(幼虫):土浦市他県下広域。家畜の肥えに住むからだろう。
こやしむし(幼虫):県下全域。家畜の肥えに住むからだろう。
むし(幼虫):勝田市。
でっけーだんむし(幼虫):鹿島郡。単にダンゴムシの大きなものに例えたもの。
ばばむし(幼虫):岩井市・行方郡・鹿島郡:『ばば』は『糞・屎』のこと。
まんじむし(幼虫):土浦市・岩井市。
『兜虫・甲虫』。
広辞苑には『(角の形が兜の前立てに似るからいう) コガネムシ科の甲虫。長さ約五センチメートル、幅約三センチメートル。背面隆起、全面平滑、光沢があり、黒褐色。脚は強大で脛節に歯状突起を有し、雄は頭上に先の割れた長い角状突起をもつ。幼虫は堆肥や枯葉を食い、成虫は夏に現れ、樹液を吸う。サイカチムシ。』とある。別名『さいかしむし。』。
『おにむし』は一般に『鬼虫』と当てられるが、根拠ははっきりしていない。しかし、日本最大のトンボをオニヤンマ(鬼やんま)と呼ぶことを考えると鬼の意味のうち『伝説上の山男、巨人や異種族の者。』になぞらえたものであろう。一方、鬼には角があることから、それに例えたとも考えられる。
雌は、角が無くまるまるとしているので、『豚』に例えたか、『ぶだ』『ぶだむし』がある。
おにらむし』は、イセエビを殻のまま付け焼きにした料理を『鬼殻焼』と言うことから、その殻の固さを例えたと考えられる。
幼虫は肥えに住むことが多いので『こいむし・こいむしめ』は『肥え虫』の意味でほぼ間違いないだろう。『しかむし』は角を鹿の角に例えたのだろうが、クワガタムシこそ相応しい名前だと思う。幼虫を『ぶだ・ぶだむし』と呼ぶのは、沢山居る意味の『ふだ』より、ころころした感じを豚にたとえたか、牛より価値が無い意味で例えたのではないか?。『まんじむし』は明らかに『饅頭虫』の意味だろう。
幼虫を婆、成虫を爺に例えたように思われる方言は、元に『糞虫』を意味する『ばばむし』があり、やがて糞を意味する『糞・屎(ばば)』を『婆』と誤解して、雄を『じじ・じじー』『じじーむし』が生まれたと推測されるが、『糞・屎(ばば)』は姥捨て山に代表される用無しの『婆』のたとえであったとすれば様相は異なる。
尚、『語源』には『ばば:大便、また、汚いものを言う幼児語。:唐語か。Aババイ(汚)と動語源で、驚きの声バを重ねたもの。』とある。
『称呼』には『かぶとむし:江戸にてかぶとむしという。伊勢にてやどをかと云。大和にてつのむしと云。』とある。
『俚言』には『さいかちむし:江戸にて京師のかぶとむしをいふ。一種はさみむしといふあり。』とある。
うし:静岡。角があるからか。
うしるま:東京武蔵村山。
おにらむし:秋田・宮城。
おにむし:宮城・栃木・茨城・千葉・群馬・新潟・奈良。
おんだら:熊本。
こーらむし:神奈川。
つのむし:奈良・大阪・熊本。
つーむし:佐賀。
でんむし:神奈川。
ばんばー:神奈川。
(幼虫)
うま:幼虫:静岡。
のけさ:山梨。
まんじゅーむし:神奈川。
まんじゅむし:埼玉。
カマキリ (総称)
いぼかき・いぼかきむし:北東部。栃木にも分布。
いぼかっきり:鹿島郡
いぼかり:県北部・稲敷郡・行方郡
いぼきり・いぼきりむし:鹿嶋市・神栖市。関東・長野以東。
いぼくいむし:−
いぼとり:稲敷郡
いぼむし:−
みむし:筑西市・結城市付近。栃木・近畿以東・関東以西に散在。
かまかっきり:茨城西部から栃木東部。
かまっちょー:新治郡
かまかり・かまり・かまりめ・かまりむし・かまりむし:北部限定。
かまっちょ・かまっちょう・かまきっちょ:県央部。栃木・埼玉・東京の一部。
かま:新治郡
かまきりじーさん:古河市
かまきりむし:県西部。全国に散在。
かまっち:笠間市・西茨城郡
かまっちょ:西茨城郡・岩井市・新治郡・石岡市・行方郡
かまっきり:北東部・福島南西部。
かまむし:南西部限定。
くっつきはんべー:稲敷郡
くぼかり:稲敷郡。この場合の『くぼ』は疣のことと考えられ、
とか:茨城南部・千葉・埼玉・東京・神奈川・山梨にかけて分布する。
:筑波郡・稲敷郡。
とかむし:真壁郡。
とーろむし:鹿島郡。
まかり:水戸市。
(関連語)
あまんじゃぐ:カマキリの卵。
からすのきんたま:カマキリの卵。神奈川でも使われる。
『鎌切・螳螂・蟷螂』。
カマキリの別称は、『カマギッチョウ。鎌虫。蠅取虫。疣虫(イボムシ)。疣じり。疣むしり。疣つり虫。とうろう。』(広辞苑)とある。カマキリを指す言葉を古い順番に列挙すると、いひぼむしり、いぼむしり、いぼうじりとなる。いぼじりはこれらの変化したものである。『いひぼ』『飯粒』書き、そのままの意味であるが、転じて疣を指したと言う。日本各地に疣をカマキリに食わせて取り除くまじないがあり、中国でも『食疣』と呼ぶ表現がある。
『かまぎっちょう・かがみっちょ』なら、江戸時代からある江戸言葉。
『新方言』には『カマギッチョ 「かまきり」;埼玉県東部で戦前には「かまきり」を老人がトカケと呼んでいたが少年層がカマギッチョに変えた時期があった(長谷川1967);老人は「とかげ」をカマギッチョと言っていたから,「とかげ」と「かまきり」の区別を保ちつつ,完全な共通語形を採用しなかったわけ』とある。
『称呼』には『 かまきり(別名いほじり):江戸にてかまぎってう、江戸田舎にてはいとりむし、信濃にてかわみそ、相模にていぼしりいぼくひ、奥州にていぼむし、津軽にていぼさし、肥前にてかまきりてうらい、と云。』とある。ここでも江戸ではハエを『はい』と呼んだことが解る。
『俚言』には『たちかせ』が掲載されているが、辞書には無い。
(総称)
いちやねどの:長野。
いぼ:神奈川。
いぼいぼむし:福島。
いぼかき・いぼ:神奈川。
いぼきり:青森・神奈川・長野・静岡。
いぼきりむし:静岡。
いぼきり:神奈川。
いぼきりむし:静岡。
いぼくい:千葉・大分。
いぼくいむし:千葉。
いぼくらい・いぼくらいむし:神奈川。
いぼさし:青森。
いぼじ:神奈川。
いぼじり:神奈川。
いぼっかき神奈川。
いぼっくい・いぼっくり・いぼっくれ:神奈川。
いぼった・いぼったむし:神奈川。
いぼっちょ神奈川。
いぼむし:宮城・福島・新潟。
いもむし:福島。
いもり:富山。
うろんぼー:長野。
えぼ:神奈川。
えぼきり:青森・神奈川。
えぼくい:千葉。
えぼぼっち:秋田。
えぼじり:神奈川。
えぼたむし:神奈川。
えぼっかき:神奈川。
えぼった・えぼったむし
えぼっつりむし・えぼとりむし:神奈川。
えぼむし:秋田・宮城・新潟。
えもじげんたろ:富山。
えもじり
えれんぼー:高知。
えんぼ:長野・徳島・高知。
えんぼーじり:徳島・高知。
えんま:徳島。
おがまたろー:長崎・宮崎。
おがまなとーさん:徳島・大分。
:奈良。
みおじ:奈良。
みじょーろ:栃木。
みじょーろー:栃木。
みっちょ:埼玉・群馬・神奈川。
みどーろー:群馬。
みむし:栃木・群馬・埼玉。
:神奈川・岐阜・滋賀・和歌山。
:和歌山・愛媛・大分・宮崎。
おがんぎす:熊本。
おがんちょろ:熊本・宮崎。
おがんぼーし:徳島。
おきんや:神奈川。
おこりむし・おこりんぼ・おしゃか:神奈川。
おとろむし:栃木。
おまんばか:埼玉。
おまんばかばか:埼玉。
おまん:埼玉。
おやめめり:富山。
おんがめ:鹿児島。
おんめ:神奈川。
かせぎめ:八丈島。
かまいたち:神奈川・長野・新潟。
かまうち:徳島・高知。
かまきち:徳島。
かまっちょ:埼玉・神奈川・静岡。
かまっちょう:関東・静岡・大分・福岡。
かまきりちょーらい:大分。
かまたて:石川・福井・奈良・岡山・広島・徳島・大分。
かまちこ:千葉。『香取』掲載語。
かまちょ・かまっかき:神奈川。
かまっきり:神奈川・静岡。
かまんちょ:千葉。
がんぎり:徳島。
がんしち:群馬。
きっちょ:神奈川。
げんびーめ・げんべー・げんべい:八丈島。
ごんべ:埼玉。
ごんべい:埼玉。
ざっとのぼー:千葉・兵庫。
せーかんぼ:新潟。
せんき:神奈川。
せんたろむし:新潟。
たけうま:神奈川。
たけむし:神奈川。
ちょーなかたぎ:高知。『手斧担ぎ』の意味。
ちょーらい:大分・宮崎。
ちょーらんみゃー:佐賀・長崎。
つくまいむし:千葉。
とか:埼玉・神奈川。
:千葉。
とこあ:神奈川。
とーろ:神奈川。
とーろーむし:群馬・神奈川。
とーろ:栃木。
はいとりばばあ:埼玉。
はじはじー:神奈川。
はらたちごんべ:埼玉。
へぼきり:神奈川。

(関連語)
からすのきんたま:カマキリの卵:神奈川。
からすのしずく:カマキリの卵:神奈川。
カマドウマ いびこー:真壁郡。
いびこーろ:真壁郡。
うさむし:稲敷郡。捕まえようとするとびょんびょん跳ぶからだろう。
いんまこーろ:鹿島郡。
いんまこーろ:勝田市・東茨城郡・行方郡。
おかま:結城郡。
おがまこーろ:東茨城郡・笠間市・鹿島郡。
おがまこーろ:笠間市。
おかまさまのおつかいんま:久慈郡。
おかまさまののりんま:久慈郡。
かまこーろ:常陸太田市。
かまどこーろ:常陸太田市。
かまどむし:県北・県西部・土浦市。
こぬがむし:勝田市。
こーろ:鹿島郡。江戸時代には水戸でも使われた。
こーろのいげーの:真壁郡。
しみむし:水戸市。
しんしょーあむし:猿島郡。
ちょんちょんむし:北茨城市。
ちんころ:久慈郡。
つりむし:猿島郡。
つるむし:岩井市。
てでちょっかい:勝田市。
はねこむし:稲敷郡。
はねっこ:那珂郡。
べんじょこーろ:勝田市・東茨城郡。広域方言。俗語とも言える。
みそどろぼー:猿島郡。
みそむし:猿島郡。
んま:東茨城郡。
んまとび:水戸市。
んまむし:結城郡。
『竈馬』。
広辞苑には『バッタ目(直翅チヨクシ類)カマドウマ科の昆虫の総称。またその一種。キリギリスやコオロギに近縁であるが、翅はなく、全体黄褐色。体長約三センチメートル。後肢は強く、跳躍に適し、触角は非常に長い。屋内の暗所に群棲し、台所などに出る。オカマコオロギ。イイギリ。エンノシタコオロギ。』とある。古名『コオロギ』
『称呼』
には『いとど:京にてくろろ、伊勢及四国にてかま、尾張にてかまりす、遠江にてかんな、四国にてくろつづいひ、近江にてくろと云。これ古こほろといひし物也。』とある。
ネットのとあるサイトに異称として『海老蟋蟀・裸蟋蟀・おかま蟋蟀・縁の下蟋蟀・竈子(かまご)・かまどうま・竈虫・便所蟋蟀』が挙げられている。
あまむし
いいぎり:岡山。
いいぎりご:岡山。
いい:山口・九州。
いご:福岡。
いとじ:京都。
いとど:京都。『原型はいいとどで飯を食うとど、「とど」は「ねことち」の「とち」、「くろとち」の「とち」、「くろとと」の「とと」と同じものだろう。』の説(橘正一)あり。
うさぎむし:四国。
うま:岡山。
うまぎーす:岡山。
うまぎす:兵庫。
うまさいむし:岡山。
えびこーろ:埼玉・東京・神奈川(武蔵)。
えべすうま:和歌山。
おかえび:群馬。
おかまぎーす:岡山。
おかまきり:岡山。
おかまぎりす:愛知。
おかま:大阪・香川・愛媛。
おかまこーろ:埼玉・群馬・東京・神奈川(武蔵)。
おかまさま:福島。
かたさせ:岩手。
かどうま:東京。
かまうさ:高知。
かまぎりす:愛知。
かま:三重・鳥取・四国。
かまこ:広島。
かまどうま:島根・四国。
かまどむし:四国・高知。
かまぼこ:愛知。
かんな:静岡。『竃の子』か。
ぎめ:鹿児島。
きりきりず:岩手・長野・奈良・鳥取。
きり
くろ:滋賀。
くろつづ:西国。
くろつむし:福岡。
くろとち
くろとと
くろろ:京都。
くろんぼ:四国。
ごきむし:岡山。
ころ:奈良。
こーろ:東京・神奈川・和歌山。
こーろ:神奈川
しっけこおろ
しっこおろ:埼玉・東京・神奈川(武蔵)。
しっちこおろ:埼玉・東京・神奈川(武蔵)。
しゅーとんど:静岡。
せんちこおろ:石川。
だいこくのひ:島根。
つづりさせ:新潟。本来はコオロギの別称。
とびんま:隠岐。
とんど:静岡。
ねこせなか:宮城。
ねことち:京都。
はだかこおろ:石川。
べんじょこーろ:千葉銚子。
ひゅーとんど:静岡。
へーじ:愛知。
むろむし
よましくい:大阪。『咲まし麦』を食べるため。
カミキリムシ かみきり:結城郡・新治郡。
ぎーぎー:結城郡。
ぎーぎーむし:真壁郡。
きーきーむし:東茨城郡・行方郡。
ぎしぎし:稲敷郡。
ぎじぎじ:勝田市・水戸市・稲敷郡・鹿島郡。
ぎじぎじむし:東茨城郡・鹿島郡。
ぎじぎじめ:勝田市。
きっきりむし:東茨城郡・勝田市。
きーきりむし:県広域。
きりきりむし:東茨城郡・古河市・猿島郡。
けきりむし:那珂郡。
けーきりむし:久慈郡・那珂郡・勝田市・東茨城郡・古河市。
けっきりむし:県広域。
けはりむし:久慈郡。
ささきりむし:真壁郡・下館市・猿島郡・筑波郡。
(その他)
くりむし:幼虫。
てっむし:幼虫。
ぶどーむし:幼虫。
『髪切虫・天牛』。
広辞苑には『カミキリムシ科の甲虫の総称。世界に二万種以上。最大のものは体長約一○センチメートル。口の左右に鋭い大顎があって、竹木類を咬むことがある。長い触角を有し、その基部に複眼を備える。ゴマダラカミキリ・クワカミキリなどが最も普通。幼虫は「てっぽうむし」と呼ばれ、立木の材部を食害する。』とある。ゴマダラカミキリ・ルリボシカミキリ・アオスジカミキリ・シロスジカミキリ・マツノマダラカミキリ・ベニカミキリ・キクスイカミキリ等。
いときいむし:鹿児島。
いときり:神奈川。
いときりむし:神奈川。
かじり:神奈川。
かまきり:神奈川。
かみきり:神奈川。
きーきーむし:神奈川。
ぎーぎーむし:神奈川。
きちきち:神奈川。
きりきりむし:神奈川。
くわかみきり:神奈川。
くわきりむし:神奈川。
けきり・けきりむし:神奈川。
げじげじ:神奈川。
けばきり・けばきりむし:神奈川。
じーじーむし:神奈川。
(その他)
てっーむし:幼虫:埼玉。
ガムシ ゲンゴロウと混同され一般にはあまり知られていない。
広辞苑に『牙虫:ガムシ科の水生甲虫の総称。またその一種。ゲンゴロウに似るが上翅の縁は黄色でなく、全体が黒色。腹面に一本の鋭い剣状突起がある。草食性。』とある。
ウィキペディアには『ガムシ類は一般的に沼や池など小さな止水系に住む水生昆虫で、外観からゲンゴロウ類と混同されることがしばしばあるが、系統分類学的には遠く、むしろエンマムシ類と近縁のグループである。ゲンゴロウ類同様、付属肢には水かきの役割をする細毛が発達するが、付属肢、特に後肢の形態はゲンゴロウ類ほど特殊化が進んでいないため、ゲンゴロウほど流麗な遊泳は行わず、どの種類もまるで水中で体を小刻みに震わせながら早く歩くといった感じの遊泳方法である。胸部下に後方に向かって、1つの尖った突起があり、これを獣の牙に例えて、牙虫と呼ぶようになったと言われる。』とある。
がんむし:宮城。
カメムシ あおぎ:クサガメ:東茨城郡。
いなむし:イネカメムシ。
おーが:県広域:おかあ。
おがー:鹿島郡:おかあ。
おがむし:県広域:おかあ虫。
おーがむし:稲敷郡・鹿島郡:おかあ虫。
おしゃがむし:真壁郡:お釈迦虫。そう呼ぶと臭くないと言う。
おじょろさま:東茨城郡・真壁郡:お女郎様。
おひめさま:東茨城郡・真壁郡:お姫様。
おりひめさま:結城郡:織姫様。
がいだ:北茨城市:釈迦の従兄弟のダイバ(提婆)の意味か。
かみしもむし:筑波郡:裃(かみしも)。
じょろむし:久慈郡:女郎。
ひっりむし:久慈郡・高萩市・那珂郡・土浦市:屁っ放り虫。実際はもっと広域に使われると考えられる。
ひっりむし:土浦市・常陸太田市:屁っ放り虫。実際はもっと広域に使われると考えられる。
ひっぎむし:土浦市:屁っ放り虫。
ひらっかむし:カメムシ・クサガメ:西茨城郡。
へくさむし:真壁郡・水海道市。広域方言。
へっくさむし:猿島郡。
へっくそむし:猿島郡。
へっりむし
へっぎむし:土浦市:屁っ放り虫。
へっりむし:県全域:屁っ放り虫。
へっりめ:那珂郡・東茨城郡。
『椿象・亀虫』。
 広辞苑には『カメムシ目(半翅ハンシ類)カメムシ科などの昆虫の総称。体は扁平で、多くは亀の甲形の六角形。前翅の基部は硬化し末部は膜質。後翅は膜質。種類が多く、大きさ・色彩などは多様。触れると臭腺から猛烈な悪臭を出すものが多い。植物の汁を吸い農作物に有害。クサガメヘッピリムシ。』とある。『ヘヒリムシ・ヘコキムシ・クサムシ』とも呼ぶ。また通常『ヘッピリムシ(屁っ放り虫)・ヘヒリムシ(放屁虫)』と呼ばれるのは、『ゴミムシ(ミイデラゴミムシ)・オサムシ・カメムシ』である。
 語源は、亀に似ていると言う説がある。種類によって見え方は様々で、茨城方言にはそれが良く現れている。例えばシロヘリクチブトカメムシはカミシモに見える。長い髪をたらしたお姫様に見えるものもある。
ウィキペディアには『臭いを発するなじみ深い虫なので、各地でいろいろな方言で呼ばれてきた。例としてクセンコクセンコムシとも・青森県津軽地方)、アネコムシ(秋田県南部山間部)、ヘクサムシ(山形県?福島県)、マナゴ(和歌山県)、ガイザ又はガイダ(兵庫県〜岡山県の山間部)、ジョンソン(兵庫県日本海側の一部)、フウ(九州地方)、ホウジ(山口県)、ハットウジまたはハトウジ(広島県〜岡山県の山間部)などがある。特に今日九州で用いられている「フウ」あるいは「フウムシ」は、カメムシを指す古語のひとつの系譜を引いているとも言われており、ホオズキの語源ともされている。』とある。
いんがーむし:アオクサガメ:神奈川。
おんがーむし:神奈川。
ごきんど:山梨。
こぶた:神奈川。
こぶたむし:神奈川。
じゃご:宮城。
ひらっか:栃木。
へくさむし:福島。
へっくさむし:福島。
へっりむし:埼玉・神奈川。
わくさ:群馬。
クスサン おにちょー
おばげちょー
おばげちょーちょ
たましー
ばげちょー
ばけちょー
ばけちょーちょ
ばけちょっ
ばげっちょ
ばげっちょーちょ
ばけっちょーちょ
ほどげさま
ほどげさまのおむがい
(幼虫)
くりぬげけむし・くりのぎむし・くりむし
しなんたろー。広域方言。
しらたろー。白髪太郎。土浦市。
いとむし
むし
てんすむし・てんそむし

(繭)
くりげむしのす・くりげむしのたまご
くりむしのす
てんすのまゆ繭。
(その他)
いど:すが糸。
『樟蚕』。
広辞苑には『ヤママユガ科のガ。大形で、開張一○〜一二センチメートルで、黄褐ないし紫褐色、各翅に一つずつの眼状紋と数本の波状線がある。』とある。
幼虫は『白髪太郎』と言う。広辞苑には『クスサンの幼虫。白い毛の大きな毛虫で、体長約一○センチメートル。クリ・クス・イチョウなど多くの木の葉を食害。前年、木の幹に産みつけた卵から四〜五月頃発生。六〜七月頃成熟、網目状の繭を造り、秋、成虫となる。幼虫の絹糸腺を取り出して「てぐす」を作る。繭を透俵(スカシダワラ)という。しらがだゆう。くりけむし。信濃太郎。』とある。
『称呼』には『武州の内にて毛虫の異名信濃太郎といふ所多し。其心は、六月信濃の方に出る雲を、しなの太郎と云。此虫の黒き形、其雲ににたりる故に名つくとぞ。』とある。オビカレハの幼虫は黒くないので、クスサンの幼虫を指す白髪太郎が訛ったと思われるが、『しなんたろう』は広域方言で、富山・石川・新潟でも使われ、イラガの幼虫を指すこともあると言う。
(幼虫)
くりのきばばー:東京多摩。
しらがだいろ・しらがだゆー:群馬。
クモ (総称)
くぼ
くぼめ
くもどん
くもめ
さが
さざ
(オニグモ)
いび
おー
おじろ
おにん
かねくぼ
かね
かみなりくぼ
かみなり
しぶと
じーろっこたろっこ:次郎子太郎子。
じんさ:巡査蜘蛛。
どろぼーぐも
ひし
よとーくぼ
よとー
らいさま
(ジョロウグモ):別称カミナリグモ。
おいらん
おしゃらぐ
おにくぼ
おに
かねくぼ
かね
かみなりくぼ
ぎんかんくぼ
ぎんくぼ
げんべーくぼ
じしんくぼ
じしん
しま
しりふり:尻振り。
どろぼーぐも
へーたい
べんけーくぼ
やま
(コガネグモ)
おしゃらぐ
じしんくぼ
じしん
しま
じょろー
ちんくぼ:ナガコガネグモ。
とら:ナガコガネグモ。
べんけーくぼ
らいさま
(アシダカグモ)
あしなくぼ
おーくぼ
おー
とけーむし
(アシナガグモ)
おに
(クサグモ)
あお
(ザトウムシ)
あしなくぼ
ゆーれー
(ジグモ)
かん
かんべー
かんーさん
かんーむし
かんべさん
じーくぼ
したかじ:下が火事。
じろっこたろっこ:次郎子太郎子。
ずーずんぼ
たーらぼ
たらぼー
ちーくぼ
つるこんべー
つるこんべーる
はらきり
はらきりかんべー
はらきりくぼ
はらきり
はらきりむし
ふくろ
(ハエトリグモ)
くぼゆ
はいとり
(関連語)
どろぼーぐも:夜家の中に出て来るクモ。
ふく:朝家に入ってくるクモ
『蜘蛛』。
広辞苑には『クモ綱クモ目の節足動物の総称。体は頭胸部と腹部とに分れ、どちらにも分節がない。触角はなく頭に八個の単眼、頭胸部に四対の歩脚がある。多くは腹部にある二〜四対の出糸突起から糸を分泌するが、網(いわゆる「くものす」)を張るものと作らないものとがある。卵は一塊にして産み、子ぐもは風に乗って散らばる。ジョロウグモ・オニグモ・ハエトリグモ・キムラグモ・トタテグモ・カニグモなど。世界に約三万種、わが国だけでも千種ほどある。ささがに。』とある。
(総称)
くっ:鹿児島。
くーばー:沖縄。
くぼ:佐渡島・静岡。
こつ:鹿児島。
こぶ:鹿児島。
とんざる・とんざるめ・とんじゃるめ:八丈島。
てんこぶ:大分・長崎・熊本。
やまこっ:鹿児島。

(オニグモ)
(ジョロウグモ)
じしん:栃木。
やまくぼな:八丈島。
やまこぶ:長崎・熊本・鹿児島。
やまんこっ:鹿児島。

(コガネグモ)
(アシダカグモ)
(アシナガグモ)
(クサグモ)
(ザトウムシ)
(ジグモ)
標準語の別称には『アナグモ・勘平(カンペイ)・サムライグモ・ツチグモ・ツナグモ・ズボズボ・ネヌケ・ハラキリグモ・フクログモ』がある。
いちっこ:神奈川。
かんかん・かん:神奈川。
きんちゃくさむらい:小さなジグモ:神奈川。名前からするとコモリグモを思わせる。
けんか:神奈川。
さーむろ:神奈川。
さむらい・さむらい・さむれー・さむれーも・さーむろ:神奈川。
じんじぐも:神奈川。
せーむら:神奈川。
せっ:神奈川。
だんじゅーろー:神奈川。
つちぐも:神奈川。
でろんぼー:神奈川。
ととさんかかさん:神奈川。
どろぼー:神奈川。
はらきり:神奈川。
ふくろ・ふくろのくも:神奈川。
ぶし:神奈川。
(ハエトリグモ)
どこの家にも必ずいる蜘蛛。ぴょんぴょん跳ねるので直ぐ解かる。ハエを捕獲する時は見事に跳ねる。ハエが居なくなった今、何を食べているのだろうか。新築後、我が家にも住み着いて、私は家族の一部と思っていたし、しばしば目にしながら放っていた。最近、たまたま風呂に入っていたら彼が傍にいた。息子はゴキブリ扱いしたので良く教えた。顔が可愛らしい。早速、ハエトリグモを手の上に載せて遊んだら息子はやっとその意味を解ってくれた。
(関連語)
えば:クモの糸:大分。
クモの巣

いず
えず
くぼのい
くぼのい
くぼのい
くぼのいず
くぼのえず
くぼのす
くもあみ
くものあみ
くものい
くものえ
くものえず
『い』は『網』と書き、糸を示す。また、くもの糸や巣は、古くは『蜘糸』(い)とも呼んだ。『蜘糸』を『繋く・構く(かく)』あるいは『架ける・掛ける・懸ける』意味か?。『蜘蛛網』(いかき)に通ずる言葉。くもの糸は古くは『蜘糸』(い)と言った。『蜘糸』を『繋く・構く』意味か?。くもの巣は別名『くものい』とも言い『蜘蛛の網』と書く。
『えず』は『嘔吐く』との関係や『蜘糸』(い)+『巣』、『網巣』を思わせる。
『日本方言大辞典』では、東北と島根県隠岐島では『いき』と言う。あるいは『がり』は『縢り』(かがり)か。あるいは籠や笊は『笊籬』(いかき)ということから、編んだものを示す古いことばの可能性もある。
『東雅』では『くものい』の『い』は家の意味だとしている。『隠れ処』という言葉があるようにくものいり・くものえり』は『蜘蛛の家処』の意味で『り』は接尾語の可能性もある。同様に『くものえず』も『蜘蛛の家処』の意味でで『ず』は『処』が訛った可能性がある。あるいは『ず』は『巣』の意味か。
方言地図では東京と埼玉南部に『あず、あじ』が集中していことである。『あ』とは『網』のことである。そうなれば、『ず・じ』は『巣』と考えられる。
あじ:東京・埼玉南部・神奈川・八丈島。
あじくり:八丈島。
あず:東京・埼玉南部。
:東北・島根県隠岐島。
:熊本。
:熊本。
:京都。
:高知・長崎。
:熊本。
えず:宮城・福島。
くぼねず:栃木。
くぼのえ:岩手。
くぼのえず:岩手。
くぼのやじ:新潟。
くもいず:群馬。クモの糸も指す。
くものえ:宮城・福島・栃木・熊本。
くものえ:岐阜。
くもはで:千葉。
くものえず:宮城・福島・栃木。
くものえ::熊本。
くものえんば:神奈川。
くものすんば:神奈川。
くものへばり:愛媛。
くもはで:千葉。
こぶのえ:福岡・長崎・熊本・宮崎・鹿児島。『クモの家』か。
こぶのやね:宮崎・鹿児島。 『クモの屋根』か。
ぜんばり:山口。
ねんばり:福岡・熊本。
まい:長崎。
やじ:佐渡・新潟・富山長野。
クワエダシャク いずれも幼虫の呼称。
こっきんぼー
しゃくおやし
どびんこわし
どびんむし
どびんわり:『土瓶割り』はエダシャクトリの異称。
のんきらめ
はがりむし
はかりむし
『桑枝尺』。
広辞苑には『(桑枝尺蠖クワエダシヤクトリの略) シャクガ科のガ。翅は褐色で、黒い波のようなすじがある。中形で、開張三・五〜五・五センチメートル。六〜七月に現れる。幼虫は「くわしゃくとり」といい、桑の害虫。』とある。
びゃーむし:神奈川。
クワガタムシ (総称)
おにむし・おにむしめ:県内広域
くあ:県内広域
くわ:県内広域
くあまた:稲敷郡。
かぶとむし:鹿島郡
きーくいむし:那珂郡・東茨城郡・行方郡
きりくいむし:那珂郡
けっきりむし:常陸太田市
ささきりむし:真壁郡・筑波郡・土浦市。
しか:取手市
しかむし:茨城西部。
のごりむし(雄):土浦市・東茨城郡・真壁郡
のこりむし:土浦市。
はさみおにむし:高萩市。
はさみのあるおにむし:東茨城郡。
はさみむし:県内広域。江戸言葉でもある。
ばば・ばばー(雌):猿島郡
ばんざいむし:真壁郡
やなむし:稲敷郡。
(大型のクワガタムシ)
おーば:猿島郡
(ノコギリクワガタ)
あがまん(雄):久慈郡。
あかたちぼー:猿島郡
あかたつ:猿島郡
なだ:久慈郡。
のご
のごりおに:久慈郡
のごりくわ
のこりば:猿島郡
(オオクワガタ)
あがおに:久慈郡
(ヒラタクワガタ)
はご:久慈郡。
ばごおに:久慈郡。
(ナミクワガタ)
くろおに:久慈郡
でっこら:(雌):久慈郡。
(コクワガタ)
いっんば:猿島郡
『鍬形虫』。
広辞苑には『クワガタムシ科の甲虫の総称。体はやや平たく、頭部大きく、雄の大顎は発達して鍬形状を呈する。ナミクワガタ・ノコギリクワガタ・ミヤマクワガタなどがあって、大顎の形・体長などが異なる。クヌギ・ナラ・ヤナギなどの樹液を好む。幼虫は朽ち木などの材部を食う。サイカチムシ。』とある。別名『さいかしむし。』。
(総称)
おにむし:宮城・栃木・長野。
かんきり:岡山。
じゃき:神奈川。
はーくっちゃー:沖縄。
はさみっちょ:神奈川。
はさみむし:千葉・栃木・埼玉・群馬・神奈川。
ばばっこ:宮城。

(大型のクワガタムシ)
(ノコギリクワガタ)
のこ:神奈川。
(オオクワガタ)
(ヒラタクワガタ)
(ナミクワガタ)
(コクワガタ)
ばばっこ:雌:宮城。
ゲジゲジ げじげじ
げじげじむし
広辞苑には『蚰蜒:(歴史的仮名遣ゲジゲジとも)@ゲジの俗称。A忌み嫌われる人。B(「非」の字がゲジの形に似ているからいう) 非職の官吏の称。』とある。
がいがい:群馬。
ぎちがんぼ:鹿児島。
げんじき:静岡。
ケムシ、毛虫 きむし いら:岡山・山口・九州・鹿児島。
かいりむし:岩手。
がいだか:北海道・青森・岩手・秋田。
げだか:青森。
けーむし:静岡。
げやだが:岩手。
げんだが:青森。
けんむ:埼玉。
けんむし:埼玉。
ケラ おげら
かなむ
けらたろー
けらむし
けらめ
けろた
けろたろー
たろーさん
『螻蛄・螻』。
広辞苑には『バッタ目(直翅類)ケラ科の昆虫。コオロギに似て、体長約三センチメートル。前胸は卵形に膨大し、暗褐色で硬化した前翅と短小な後翅とを有する。前肢は大きく、モグラのように土を掘るのに適する。昼間は土中に潜み、夜、飛び、よく灯火に来る。農作物を食害。土中で「じいい」と鳴く。これを俗に「みみずが鳴く」という。おけら。』とある。
ケラの『ら』は接尾語で、得体の知れない『卦等』の意味ともとれる。『ろ』は上代東国方言の接尾語で『等』の意味であり、けろたけろたろーが注目される。
『本草啓蒙』には『けらこまむし(関東)、ごきあらひむし(伊予)、をけら(越前)』とある。
おっりむし:栃木。
たこぞー:静岡。
ててむし:岩手。
ゲンゴロウ かっ:西茨城郡・石岡市・鹿島郡。
かっげんろー:勝田市・東茨城郡。
かっむし:新治郡・鹿島郡。
かめのごむし:稲敷郡。
げんんむし:東茨城郡・真壁郡。
げん:多賀郡・水戸市・下妻市。
げんろばぢ:勝田市。
げんろーむし:県内広域。
げんろむし:県内広域。
こーらめ:久慈郡・那珂郡。
たろー:東茨城郡・西茨城郡・真壁郡。
たろーのこども:小型のゲンゴロウ:真壁郡。
たろーむし:ゲンゴロウの幼虫:勝田市・東茨城郡・真壁郡。
たろむし:ゲンゴロウの幼虫:県広域。
みずすまし:小型のゲンゴロウ。
『源五郎』。
広辞苑には『ゲンゴロウ科の水生甲虫の総称。また、その一種。広卵形、体長約四センチメートル。滑らかで、緑色光沢を帯びた黒色、後肢は長大で多くの毛があり、水中を泳ぐ。池沼にすみ、夜間空中を飛んで移動し、また電灯に飛来。幼虫は細い紡錘形で鋭い牙を持ち、成虫と共に肉食で水中にすむ。小児の疳(カン)の病に効があるという。竜蝨(リヨウシツ)。』とある。
『本草啓蒙』には『げんごろげんごろ(江戸)、かむし(南部)、すっぽんむし(土佐)、どんめむしまいまいむしの一種なり。』とあり江戸時代の呼称は単音形であったことが分かる。
幼虫は『孫太郎虫』とも呼ばれる。
かーむ:八丈島。
がめむし:青森・新潟・富山。
こーがりめ:八丈島。
おまん:岡山。
コオロギ (総称)
おーじーころころ:久慈郡。
かいっちょ:稲敷郡。
かまごーろめ:日立市。
かまどむし:久慈郡・東茨城郡・新治郡・土浦市。
くつあむし:東茨城郡・筑波郡。
くつわむし:−。
けさかけ:古河市。
けさかっか:旧那珂郡。
こーろぎ
こーろ:県広域。
こーろ:勝田市。
こーろめ:真壁郡・新治郡。
ちんころむし:−。
ちんころめ:県広域。
(種類別呼称)
いぬこーろ:エンマコオロギ:東茨城郡。
おにこーろ:ミツカドコオロギ
らこーろ:ミツカドコオロギ
かたさせ:ツズレサセコオロギ:平安時代まで遡る。名前の由来となった鳴き方は、『針刺せ、糸刺せ、綴れ刺せ』で、『肩刺せ』に変化したものだろう。
かねつきむし:カネタタキ
きねきね:クサヒバリ
『蟋蟀』。
広辞苑には『バッタ目コオロギ科の昆虫の総称。体長は二センチメートル内外。楕円形で、全体黒褐色。触角は体より長く、二対の翅と尾端に一対の尾毛を持つ。後肢は長く、跳ねるのに適する。草地などに多く、物の陰にかくれ、雄は夏から秋にかけて鳴く。大形のエンマコオロギを始め種類が多い。作物の芽をかじるので有害。いとど。ちちろむし。古名きりりす。』とある。また『つづりさせ:(衣を綴り刺せの意に寄せて、冬の用意に衣服を作れとの意) キリギリス(今のコオロギ)の鳴き声。つづれさせ。』ともある。
『称呼』には『こほろぎ:南都(なら)にてきりりすころころしと云。江戸にてこほろ(こをろと云。武蔵府中邊及信濃奥州南部にてきりりすと云。越後高田邊にてつづりさせと云。美作にてきりといふ。白石翁曰、是古(いにしへ)に云きりきりす也。』とある。
コオロギとキリギリスそしてカマドウマの名称は、古くを調べると混乱した経緯が見られる。『俚言』によると江戸時代の水戸ではコオロギとキリギリスを両方コオロギと呼んでいた。
新井白石は、コオロギの古称はきりぎりすカマドウマの江戸時代の呼称はいとど、古称はきりぎりすキリギリスの古称ははたおりめと定義した。
尚、橘正一の『国語と国文学第12巻第2号「キリギリスとコオロギ」』に収録されたものには、『蟋蟀』と漢字表記されたものは、別にまとめている。これは、歴史的な経緯から、コオロギを指しているとは限らず、キリギリスやカマドウマを指している可能性を示唆していると思われるが、ここでは、本欄に含めた。念のため『*』印を記した。
(総称)
あぶらぎす:長野。
いご:佐賀・長崎・熊本。
いず:鹿児島。
いちず:種子島。
いちゅん:鹿児島。
いとうし:愛知。
いとじ:京都。*
いとど:京都・兵庫。
いとむし:愛知。
おかまぎす:愛知。
おかまきりす:愛知。
おっちょっちょ:滋賀。*
かたさせ:岩手・神奈川。
かまぎめ:熊本。
かま:岐阜。*
かまどきす:滋賀。*
かんた:長野。*
かんだろー:長野。*
かんな:静岡・愛知。『竃の子』か。
かんなっちょ:静岡。
かんなっちょー:静岡。
かんのこ:静岡。
かんのちょー:静岡。
かんのっこ:静岡。
ぎす:長野。*
きす:長野。*
ぎーす:岡山。
ぎっちょ:長野。*
きっちょ:長野。*
きーっちょ:山梨。*
きなめ:長崎・熊本。
ぎみ:宮崎・鹿児島。
ぎめ:宮崎・鹿児島。
きめ:種子島。
きゅーはち:長崎。
きりきす:和歌山。*
きりぎっつ:埼玉。
きりりす:岩手・秋田・山形・埼玉・長野・山梨・奈良・三重・鳥取。
きりご:島根・鳥取・岡山。*
きりこ:岡山・広島。
ぎりす:三重。*
きりす:和歌山。*
きりょこ:三重。
きれーず:埼玉。
くろぎめ:宮崎。
くろこーろん:富山。
くろつ:福岡。
くろづち:福岡。
くろつち:福岡。
くろつづ:島根・福岡。*
くろつつ:福岡。
くろつむし:福岡。
くろと:鳥取。*
くろとち:京都。
くろとと:福井。
くろんぼ:香川・愛媛。
けさがっか:栃木。*
けさかっか:茨城・栃木。*
けさこっこ:栃木。*
けさのかかー:東京多摩・神奈川。
けさはっこ:栃木。*
げーしゃのかかー:神奈川。
けずりむし:愛知。
けら:埼玉。
けろけろ:富山。
こいろ:福井。
こうこう:東京。
ころ:神奈川。
こーろ:八丈島。
こーろぐ:長崎。
こーろく:長崎。
こーろ:埼玉。*
ころころ:千葉・長野。*
ころころし:奈良。
ころころむし:青森?
こーろん:石川。*
ころんぼ:高知。
ころんぼー:高知。
しゅーとんど:静岡。
しゅーとんびん:静岡。
じんちょ:滋賀。*
すいっちょ:滋賀。*
そばきりご:岡山。
ちみす:滋賀。*
ちんくら:富山。*
ちんころ:富山。*
ちんちくら:富山。
ちんちろ:群馬・奈良・和歌山・宮崎。*
ちんちろこ:和歌山。
ちんちろりん:神奈川・大阪。
つーつー:岐阜。*
つつね:新潟。
つづりさし:岐阜。*
つづりさせ:新潟。
つづれさし:富山。
つづれさせ:神奈川・新潟。
つんづりさし:岐阜。*
ていていとーし:高知。
ててかか:栃木。
ててとし:福井。
とくりへんじ:愛知。
とち:福井・京都。
とんど:静岡。
なでうま:滋賀。*
はたおり:長崎。
ひうとんど:静岡。
ひじり:京都・三重。
ひゅーとんど:静岡。
ひょーひょーぎ:佐賀。
ひょろひょろ:長崎。
ひょろひょろぎす:佐賀。
ひりんひりん:佐賀。
へいじ:愛知。
よきち:三重。*

(エンマコオロギ)『俚言』による。
いつつ:鹿児島。
えんまこおろ:東京。
おにこーろ:和歌山。
ころころ:岡山。
ころころし:奈良。
ころろん:大阪。
ほろほろ:三重。
コガネムシ (総称)
いそ:猿島郡。
いぞ:那珂郡・猿島郡・岩井市。
いぞー:那珂郡・水海道市。
おごわむし:県広域。
おごわんぼ:猿島郡。
かなぶんぶん
かねぶんぶん
こーらむし:県周辺部。
こわむし:県広域。
こわんぼ:猿島郡。
つんべ:鹿島郡。
ぶんらめ:那珂郡・勝田市・東茨城郡。
ほだる:北茨城市。
ほだるのおやじ:北茨城市。
ほだるのおやじ:久慈郡・北茨城市・多賀郡・真壁郡・新治郡・鹿島郡。
ほだるのとっつぁま:鹿島郡。
(食葉類)
あぶらけし:稲敷郡・竜ヶ崎市。
あぶらむし(ヒメコガネ):県広域。
おかねむし:東茨城郡・稲敷郡。
おごわむし:県広域。
かなぶん:猿島郡。
かなぶんぶん:猿島郡。江戸では『かねぶんぶん』と言った。
かねむし:県北部。
かねん:猿島郡。
がんがんむし:鹿島郡。
きんこむし:東茨城郡。
ぎんむし:水戸市・東茨城郡。
くそずんべ:鹿島郡。
こやしむし:真壁郡。
こわむし:県広域。
たまむし:那珂郡。
どん(ドウガネブイブイ):久慈郡。
ぶん:久慈郡。
ぶん:高萩市・那珂郡・勝田市。
ぶんらむし:常陸太田市・勝田市・東茨城郡。
ぶんらめ:勝田市。
ぶんぶんむし:稲敷郡・北相馬郡。
(食糞類)
うんこむし:マグソコガネ・ヒラタコガネ・ダイコクコガネ:笠間市。
おんこむし:マグソコガネ・ヒラタコガネ・ダイコクコガネ:県広域。
たまむし:センチコガネ・ムネアカダイコク:那珂郡。
だんむし:センチコガネ:鹿島郡。
ばんざいむし:ダイコクコガネ・ツノコガネ・センチコガネ。
ふんころがし:センチコガネ。
そむし:ダイコクコガネ・ツノコガネ・センチコガネ。
(その他)
こいむしのこども:ヒメコガネの幼虫:東茨城郡・真壁郡。
だんむし:コガネムシの幼虫:鹿島郡。
どよーめ:コガネムシの幼虫:東茨城郡。
:コガネムシの幼虫:常陸太田市。
りむし:コガネムシの幼虫:県下広域。
ねーきりむし:ヒメコガネの幼虫。
ばばーむし(幼虫):−。
ぶだ:幼虫。
『黄金虫・金亀子』。
広辞苑には『コガネムシ科の甲虫の総称。世界に約一万七千種が分布。ダイコクコガネ・マグソコガネなどの食糞類と、カブトムシ・コフキコガネ・スジコガネ・ハナムグリなどの食葉類に大別する。また、その一種のコガネムシは、体長約二センチメートル、緑色で金色に輝く。成虫は種々の植物の葉を食う害虫。幼虫は「じむし」といい、土の中にすみ腐った植物質を食う。日本その他に広く分布。』とある。
茨城県下の総称は、大半がカナブンと同じである。
(総称)
あぶらむし:鹿児島。
えぞ・えど:神奈川。
おかねぶんぶ:愛知。
おにむし:岩手。
かなぶん:静岡。
かねぶんむし:八丈島。
ごーらむし:神奈川。
むし:神奈川。
ぶんむし:八丈島。
ぶんぶら:神奈川。
(食葉類)

(食糞類)
かんじょーむし:センチコガネ:八丈島。
ゴキブリ あぶらむし:チャバネゴキブリ。
くそむし:チャバネゴキブリ
かねむし
くりむし:チャバネゴキブリ
しむし:下館市。
ゴキブリの名前はもともとは『御器噛』(ごきかぶり)で、『生物学用語集』(1884)で誤って『ゴキブリ』の振り仮名がつけられ、その後もそれが踏襲されて現在に至ったという。別名『油虫』
あぶらむし:東京。
あまめ:鹿児島。
こーじんむし:神奈川。
ごきた:神奈川。
せーはち:神奈川。
せん:静岡。フナムシをも言う。
とーびーらー:沖縄。
ひーらー:沖縄。
わんくいむし:静岡。
コクガ こめむし:幼虫。
すーつくろ:幼虫。
すーかげむし:幼虫:巣掛け虫。
『穀蛾』。
広辞苑には『ヒロズコガ科の灰白色のガ。幼虫は、長さ七ミリメートル、黄白色の小さい芋虫で、頭と前胸背板とは黄褐色を呈し、全身に粗い毛があり、貯蔵穀粒中にすんで食害する。世界中に分布。』とある。
コクゾウムシ くらむし
こぐむし
こめくいむし:幼虫。
こめむし:幼虫。
ほいりめ
ほり
ほりこ
ほりごめ
ほりごめむし
ほりむし
ほりめ
『穀象虫』。
広辞苑には『オサゾウムシ科の甲虫。体長約三ミリメートル。頭部の先端が突出して象の鼻に似る。体は黒褐色。幼虫は米粒など貯蔵穀類の中にすみ食害する。世界中に分布。米食虫。米虫。米の虫。古名、ほり。』とある。
こくーぞー:コクゾウムシ:神奈川。このの方言は、『虚空蔵菩薩』との関連が捨てられない。
つみ:島根・岡山・山口。
コクヌスット こぐむし
こめくいむし:幼虫。
こめむし:幼虫。
すーかげむし:幼虫:巣掛け虫。
すだれむし:幼虫。
県下には以下の呼称がある。
コハンミョウ てんきむし ハンミョウ類の一種。ハンミョウ類は、日当たりのいい林道などに生息し、人が近づくと飛んで逃げるのを繰り返すのであたかも道を教えているように見えるために別名『ミチオシエ』とも言う。幼虫は『ニラムシ』と呼ばれる。
じむし:ハンミョウの幼虫:神奈川。
にわむし:ハンミョウの幼虫:神奈川。
へっりむし:ハンミョウ:神奈川。
ゴミムシ (ノグチゴミムシ)
くろかげむし
(ミイデラゴミムシ)
へくさむし
へこきむし
へっりむし
『芥虫・歩行虫』。広辞苑には『オサムシ科のうち、オサムシ類以外の甲虫の総称。体は長楕円形で、多くは黒褐色、光沢がある。石やごみなどの下に多く、肉食性。ゴミムシ・キベリアオゴミムシ・ミズギワゴミムシなど種類が多く、わが国に千種以上が分布。その一種のゴミムシは、体長約一三ミリメートル、黒色で光沢がにぶい。草むらの中、石の下などに多く、夜行性。』とある。
コメツキムシ ぎっこんむし:水戸市。
こめつきばった
こめむし:幼虫。
じばり:幼虫:地針の意味。
しんとむし:幼虫。
ずどむし:幼虫。
ずどーむしめ:幼虫。
てっーむし:幼虫。
はだがむし:幼虫。
はりねむし:幼虫。
へーらむし
へらむし:稲敷郡。
っきりむし:東茨城郡・真壁郡。
つき:ウバタマコメツキ。
つきむし:コメツキムシ・ウバタマコメツキムシ。
『米搗き虫・叩頭虫』。
広辞苑には『コメツキムシ科の甲虫の総称。普通体長約一センチメートル。全身黒褐色ないし黄褐色で、紡錘形。胸の関節は特殊な構造をし、仰向きにされても頭で地を叩き跳躍して起き上がる。体をおさえると
盛んに頭を振って人が米を搗くのに似る。幼虫は地中や朽木中に生息し、針金虫と呼ばれて植物の根を害する種類もある。米踏(コメフミ)虫。額突(ヌカズキ)虫。』とある。
昆虫類・節足動物・軟体動物 あぶらむし:甲虫類の総称。
おんぶむし:コオイムシ
がいだむし:ヒメマムカツオブシムシの幼虫と考えられる。ゲジゲジに似た虫。
かづおむし:ウンカ
きじらみ:カイガラムシ
くりむし:クリシギゾウムシの幼虫
すだに:ダニ。
すだり:ダニ。
ちーちゃいがんがんむし:タイコウチ。
はだがむし:クリシギゾウムシの幼虫。
はねむし:トビムシ。
はまぎむし:オトシブミ。
あかんま:ノミ:神奈川。
おにむし:甲虫一般:福島。
かーむし:甲虫類の総称:静岡。
けーらむし:カイガラムシ:神奈川。
けーむし・けーもし:毛虫:神奈川。。
ちょろむし:カゲロウの幼虫:神奈川。
とんびじらみ:羽虫の一種:神奈川。
蛹、サナギ (蛹)
一般にアゲハやスズメガの大形の蛹を指して『にしどち、にしどっち、にしはどち、にしむけ』と呼ぶが、蛹一般を言う地域がある。
にしゃびっくり:蛹。
にしんどっち:蛹(久慈郡・那珂郡)。
(ススメガの蛹)
にしどっこ
にしどっち
にしどっちひしどっち
にしはどっこ
にしはどっち
にしはどっちひしはどっち
にしひしめ
にしびっかり
にしーびっかり
にしびっくり
にしーびっくり
にしびっこ
にしぶっくり
にしーびっしゃ
にしぼっくり
にしゃどち
にしゃどっこ
にしゃーどっこ
にしゃどっち
にしゃーどっち
にしゃびっくり
にしんちんちろりん
にしんどー
にしんどっち
にっちゃどっち
にっちんどちん
(蛹)
一般にアゲハやスズメガの大形蛹を指して『にしどち、にしどっち、にしはどち、にしむけ』と呼ぶが、蛹一般を言う地域がある。
どーじ:静岡。
にしゃー:静岡。
にしゃどっち:静岡。
ひびす:福島。
ひびつ:福島。
ひびっつ:福島。
まえみ:山形。

(ススメガの蛹)
スズメガは、かなり大型でこげ茶色をした蛹。一般にアゲハやスズメガの蛹を指して『にしどち、にしどっち、にしはどち、にしむけ』と呼ぶ。『西どっち?』と言うと答えるように尻を振るのでこの名があり、当時の子供達のささやかな遊びの一つでもあった。実際は声をかけただけでは動かず、たまたま動くくだけなので、少し触ると良く動いた。
広辞苑には『(指でつまんで「西、何方」と問えば、答えるかのように腰から上を振るからという) 蛹(サナギ)の異称。特にアゲハチョウやスズメガの蛹にいう。入道虫。西向(ニシムケ)。』とある。
『にし』は二人称の古い代名詞でもあり『お前はどっち』という意味にもとれる。
にしひ:青森。
にしゃ:山梨。
にしゃどち:千葉・栃木・埼玉・群馬静岡・大阪・三重・高知・大分。
にしゃどっこ:静岡。
にっしーはどっち:埼玉。
ザリガニ いび
えび
まっかちん
広辞苑に『(後方にしざる性質があるからいう) ザリガニ亜目アメリカザリガニ科のエビ。体は赤みを帯びた暗緑色で、殻表は平滑、体長一○センチメートル内外。第一歩脚の鉗脚(鋏ハサミ)は、他種と比べて小さい。北海道・東北地方北部の川や池に生息。わが国特産で、秋田県八幡沢で天然記念物。エビガニ。』とあるので、正確にはアメリカザリガニである。えびは日本古来のザリガニを指しているから、福島や茨城でも昔は生息していたのかもしれない。
ザリガニはフランス料理でも使われることから、美味であることは間違いないだろうが、私は食べたことが無い。幼い頃近所でザリガニを食べる人が居て、バケツ一杯捕まえてその家に持っていくと小遣いが遣いをもらった事が何度もあった。
じゃっちゃ:福島。ザリガニの『ざ』に愛称としての接尾語『ち・ちん・ちゃん』を付けた『ざっちん・ざっちゃん』が訛ったのではないかと思われる。
まっかちん:ウィキペディアでは別称として扱われている。関東圏で使われているからだろう。『ちん』は愛称としての接尾語と思われる。『まっかーさー』という別称もあると言う。
シミ つむし 広辞苑に『衣魚・紙魚・蠧魚:(体形が魚に似ているので「魚」の字を用いる) シミ目(総尾類)シミ科の原始的な昆虫の総称。体は細長く無翅。体長約一センチメートル。体は一面に銀色の鱗におおわれ、よく走る。衣服・紙類などの糊気あるものを食害。ヤマトシミ・セイヨウシミなど、世界中に分布。しみむし。きららむし。』とある。
ぎんむし:佐渡島。
ちょろちょろむし:山形・神奈川。
はくむし:佐渡島・新潟・富山・和歌山。
シャクトリガ いずれも幼虫を指す。
こっきんぼー:擬態語。
はがりむし
はかりむし
はかりめ
シャクトリムシ しゃっきりむし:シャクトリムシ:尺切り虫の意味。
のっきらむし
のっきりむし
のんきんむし
はがりむし
はかりむし
ひゃぐとりむし
ひゃくとりむし
『尺取虫』。
広辞苑には『エダシャクトリなどの幼虫の別称。』とある。
しゃっきら:群馬。
つんぼむし:長野。
シラミ、虱 きさ:シラミの卵。
きさざ:シラミの卵。
きさだ:シラミの卵。
きそず:シラミの卵。
きゃず:シラミの卵。
きものしらみ:コロモジラミ。
きらざ:シラミの卵。
きらじゃ:シラミの卵。
きらず:シラミの卵。
きらだ:シラミの卵。
はだじらみ:コロモジラミ。
シラミの子は『木佐々』と書いたと言う。
『方言学概論』には『「新撰字鏡」には、虫偏に幾と書いた字を志良彌(しらみ)とも支加佐(きかざ)とも訓じている。「倭名抄」には同じ字を「岐佐々(きささ)」と訓じて虱子也と註し、虱をば、之良美(しらみ)と訓じて噛人蟲也と註して居る。「伊呂波字類抄」には、虫偏に幾の字をキササともキサシとも訓じ、虱子也と註してある。易林本「節用集」には、キサシ、「書言字考」にはキサザとある。これによれば、キカザ、キサザ、キサジの順に転訛した様に見える。』『豆腐のおからは、虱の卵によく似ている。両方ともキラズと呼ばれるのは関係があらう。キラズキサジキシャジを通って訛ったものと認められる。川越市ではアリマキをキラズと言う。「倭名抄」に酒×を佐加岐佐々(さかきさざ)と訓じてある。今、醤油の上に浮かぶ白いかびをさざ(山形・鳥取・島根)、ささ(島根)、ささび(隠岐)、さし(島根)、さだ(島根)などと言ふのは、キサザの上略である。』とある。キサザの上略はともかく、細かく降る雪を『ささめゆき(細雪)』と言い、細かい様を『ささら・さざら(細)』と言う様に、『きささ・きさざ』『ささ・さざ』は細かな様を言うのではないか。即ち黄色くて細かなものとして『黄細』の意味で『きささ・きさざ』と呼んだのではないだろうか。
かし:シラミの卵:奄美大島。
きかじ:毛虱:大阪。
ぎーかし:シラミの卵:沖縄。
きかぜ:毛虱:大阪。
きかぜ:シラミの卵:和歌山・壱岐。
きさじ:シラミの卵:東京・神奈川・佐渡・石川・和歌山。
ぎさし:シラミの卵:沖縄与論島。
きさし:シラミの卵:和歌山・種子島。
きさず:栃木。
きさぜ:シラミの卵:和歌山。
きさだ:シラミの卵:千葉・群馬。
きさだ:栃木。
ぎしゃし:シラミの卵:沖縄。
ぎしゃーし:シラミの卵:沖縄。
ぎっさ:シラミの卵:沖縄宮古島。
きびす:シラミの卵:長野。
きらじ:シラミの卵:石川。
けがし:シラミの卵:淡路島・徳島。
けらじ:シラミの卵:石川。
じしゃし:シラミの卵:沖縄。
しため:鹿児島。
したん:鹿児島。
しらめ:神奈川・静岡・鹿児島。
むしのこ:シラミの卵:青森・秋田・山形・千葉・長野・種子島。
スズメガ いもむし:幼虫。
いもむしが:幼虫。
ごまむし:スズメガの幼虫:胡麻虫。
じっときが:ジェット機蛾。
じゃんぶくちょーまん:葬式の蛾の意味。
すずめちょー
ひこーきが
ふねこむし:実際は蛹を指すと思われる。
へぼそ:幼虫。
ゆーおちょっ
ゆーおむし
『雀蛾・天蛾』。広辞苑には『スズメガ科のガの総称。体は太く紡錘形、翅は細長く強く、色が美しい。夕方から夜間に活発に飛び、花蜜を吸う。灯火によく飛来する。幼虫はいわゆる芋虫で通常尾角を有する。わが国に約五○種。イモムシチョウ。スズメチョウ。黄別当(キベツトウ)。』とある。
スズメガの蛹、蛾の蛹 うらないむし:占い虫:結城郡。
きっくりむし:擬態語。
きんのぎむし:桐の木虫。
じしゃぐむし:磁石虫。
にしどっこ:岩井市。
にしどっち:県全域。
にしどっちひしどっち:新治郡。
にしはどっこ:猿島郡。
にしはどっち:県広域。
にしはどっちひしはどっち:水戸市。
にしひしめ:東茨城郡・行方郡。
にしびっかり:稲敷郡。
にしーびっかり:稲敷郡。
にしびっくり:久慈郡。
にしーびっくり:行方郡・鹿島郡。
にしびっこ:久慈郡。
にしぶっくり:多賀郡。
にしーびっしゃ:旧久慈郡。
にしぼっくり:鹿島郡。
にしゃどち
にしゃどっこ:蛹の一つ。古河市。
にしゃーどっこ:猿島郡・岩井市・北相馬郡。
にしゃどっち:県広域。
にしゃーどっち:県広域。
にしゃびっくり:蛹。
にしんちんちろりん:稲敷郡。
にしんどー:常陸太田市・那珂郡。
にしんどっち:スズメガの蛹(常陸太田市)・蛹(久慈郡・那珂郡)。
にっちゃどっち:東茨城郡。
にっちんどちん:竜ヶ崎市。
くむし:結城郡。
かなり大型でこげ茶色をした蛹。一般にアゲハやスズメガの蛹を指して『にしどち、にしどっち、にしはどち、にしむけ』と呼ぶ。『西どっち?』と言うと答えるように尻を振るのでこの名があり、当時の子供達のささやかな遊びの一つでもあった。実際は声をかけただけでは動かず、たまたま動くくだけなので、少し触ると良く動いた。
広辞苑には『(指でつまんで「西、何方」と問えば、答えるかのように腰から上を振るからという) 蛹(サナギ)の異称。特にアゲハチョウやスズメガの蛹にいう。入道虫。西向(ニシムケ)。』とある。
『にし』は二人称の古い代名詞でもあり『お前はどっち』という意味にもとれる。
基本的に標準語の流れの言葉であるが、にしはどっちひしはどっちにしひしめ』のように西に限定しない言い方や『お前はびっくり』を思わせるにしびっかりにしーびっかりにしびっくりにしーびっくりにしびっこにしぶっくりにしぼっくり・にしゃびっくりがあるのは興味深い。くむし』は茨城らしいい擬態表現である。
にしひ:青森。
にしゃ:サナギ:神奈川・山梨。
にしゃどち:茨城・千葉・栃木・埼玉・群馬・静岡・大阪・三重・高知・大分。
にしゃどっこ:静岡。
にしゃどっち:蛹:静岡。
セミ (総称)
じむじむめ:東茨城郡。
じりみき:久慈郡。
せーみ:稲敷郡。
せみめ:県全域で使われると推定される。
せんみ:県北を除く。
せんみん:北相馬郡。
せんめ
(ニイニイゼミ)
あぶらぜみ:県北・県西部。
いぎれぜみ・いきれせみ:水戸市・東茨城郡。
こじり:久慈郡。
こじろー:那珂郡。
こぜみ:県北・県西部。
じーじー:県北・県西部。
しーしーぜみ:那珂郡・稲敷郡。
じーじーぜみ:那珂郡・北相馬郡。
しーしーめ:勝田市。
しーしめ:鹿島郡。
じーじめ:勝田市・東茨城郡。
じりじり:北茨城市。
じんじん:高萩市。
じんじんぜみ:水戸市。
しんしんめ:久慈郡・勝田市。
ちーち:県南部。全国的にはこぜみという呼称があるように『小さい』意味と考えられる。
ちーちー:県南部。
ちーちぜみ:真壁郡。
ちーちーぜみ:真壁郡・水海道市。
ちーちせんみ:新治郡。
ちーちめ:真壁郡。
ちゃちゃ:猿島郡・岩井市:猿島郡付近は独特の訛りが多い。
ちょーちょーぜみ:筑波郡。
つーつーめ:行方郡。
にーにー:那珂湊市。
にーばいぜみ:那珂郡。
ぬがぜみ:筑波郡。
はんむし:水戸市。
(アブラゼミ)
あかじく:那珂郡。
あかじゃ:高萩市。
あがぜみ:北茨城市。
あかてー:那珂郡:足が切れると赤い体液が出るためだろう。赤手切りの意味。
あきぜみ
あぶらせんみ:鹿島郡。
おーじ:下館市。
おーじ:真壁郡。
おーじり:久慈郡。
おーぜみ:県広域。
おーぜんみ:東茨城郡・真壁郡。
おーせんみ:猿島郡。
がちゃがちゃぜみ:笠間市。
がながな:稲敷郡・鹿島郡。
がや:多賀郡。
がやがや:多賀郡。
ぎーぎめ:東茨城郡。
ぎじかだ:水戸市。
ぎっじぜみ:水戸市。
ぎーたろ:稲敷郡・北相馬郡。
ぎーたろー:稲敷郡。
ぎーとこ:岩井市・稲敷郡。
ぎーとら:竜ヶ崎市。
ぎーとる:鹿島郡。
ぎーとろ:県広域。
ぎーとろめ:東茨城郡。
ぎーとろろ:勝田市。
きどろ:新治郡。
ぎりぎり:水海道市・岩井市。
げーとこと:水海道市。
:真壁郡・結城郡・新治郡。
ぜみ:笠間市。
:真壁郡。
じーじ:真壁郡。
じーじー:県広域。
じーじーぜみ:行方郡。
じり:久慈郡。
じりみき:久慈郡。
じりめ:久慈郡。
じんじめ:久慈郡。
じんじん:高萩市・水戸市。
じんじんめ:県北部。
ぜんぜん:水戸市。
だいきぢ:人名化した大吉:常陸太田市・那珂郡。。
だいきち:人名化した大吉:久慈郡。。
だいきぢぜみ:人名化した大吉:久慈郡・常陸太田市。。
だいきちぜみ:人名化した大吉:那珂郡。。
でーぎぢ:人名化した大吉:久慈郡・那珂郡。
でーきぢ:人名化した大吉:那珂郡。
(ヒグラシ)
かなかな
かなかなぜみ:県広域。
かなかなめ:県広域。
なべかげ:常陸太田市。
なべかげむし:常陸太田市。
はんむし:西茨城郡・真壁郡・結城郡。
(ミンミンゼミ)
しんしんめ:久慈郡。
ちからぜみ:力蝉の意味:−。
みよんみよん:那珂郡。
みんみん:県全域。
みんみんさま:水戸市・東茨城郡・笠間市・西茨城郡。
みんみんせんみ:鹿島郡。
みんみんめ:県広域。
みんよん:鹿島郡。
(クマゼミ)
にーはりぜみ:北相馬郡。
(ツクツクボウシ)

うーしーつくつく:県北部。
うーしくっく:久慈郡。
うーしつくつく:県北部。
おーしぜみ:水戸市。
おーしーつく:水戸市・東茨城郡。
おーしーつくつく:県北・県西部。
おしんちょこちょこ:東茨城郡・稲敷郡。
おーしんつく:下妻市。
おーしんつくつく:東茨城郡・真壁郡。
おーひーつくつく:那珂郡・東茨城郡。
おひーつく:水戸市。
おひーつくつく:県北部。
おひーつくつくめ:県北部。
おひんつくつく県北部。
おーひんつくつく:水戸市。
かぎあがるめ:筑波郡。
きたかたこいし:北相馬郡。
きたかたごいし:稲敷郡。
きたかたごいす:竜ヶ崎市。
きたかたごよし:北相馬郡。
きたかたごんす:北相馬郡。
きたからこいし:稲敷郡。
ごどいしょー:稲敷郡。
ごどごどいっしょ:真壁郡・下館市・筑波郡。
ごどごどいんし:新治郡。
ごどごどいんす:稲敷郡。
ことことごいし:稲敷郡。
ごどごどごいし:県西部・県南部・土浦市。
ごどごどごいす:新治郡・稲敷郡。
ごとごとごいん:真壁郡。
ごとごとにーす:新治郡・筑波郡。
ずくずくいんしょ:筑波郡。
ずくずくいっしょー:結城市・水海道市。
つぎんぎょーす:常陸太田市。
つくいよーす:常陸太田市・那珂郡・東茨城郡。
つくいんぼー:水海道市・行方郡。
つくしんぼ:多賀郡・那珂郡。
つくづくおーし:久慈郡。
つくつくいんしょ:猿島郡・岩井市。
つくつくいんしょー:猿島郡・岩井市。
つくつくいんよーし:猿島郡。
つくつくおーし:東茨城郡。
つくつくごいし:筑波郡。
つくつくいんょーめ:常陸太田市。
つくっしょ:石岡市。
つくっしょめ:東茨城郡。
つくぼー:水海道市。
つくんよ:常陸太田市・那珂郡。
つくんよーし:結城郡・猿島郡。
とことこんよす:下館市。
とことぼよーし:真壁郡。
ほうしぜみ:水戸市。
ほーしんづく:鹿島郡。
ほーしんづくづく:鹿島郡。
ほーしんぜんみ:鹿島郡。
(ハルゼミ)
にーにーぜみ:古河市。
はん:西茨城郡・行方郡。
まづむし:猿島郡。
(エゾハルゼミ)
おーぜみ:多賀郡。
まづむし:猿島郡。
(エゾゼミ)
ぜみ:筑波郡。
やまぜみ:東茨城郡・筑波郡。
(ヒメハルゼミ)
おーぜみ:−。
(その他)
あなぜみ:土から出てきたばかりのセミの幼虫:東茨城郡・笠間市・下妻市・鹿島郡。
あなぜんみ:土から出てきたばかりのセミの幼虫:古河市。
うーち:雌のせみの総称:県広域。標準語では『唖蝉』と言う。
うーちぜみ:雌のせみの総称:新治郡・鹿島郡。
おんなぜみ:雌のせみの総称:那珂郡。
ごっこぜみ:雌のせみの総称:唖蝉の意味:東茨城郡。
だんまぜみ:セミの雌:だんまり蝉の意味。
ちちんぼ:蝉の幼虫:土ん坊の意味:真壁郡。
づんぼ:久慈郡。
つんぼ:セミの雌:北相馬郡。
づんぼぜみ:セミの雌:つんぼ蝉の意味:県広域。鳴かないはつんぼだからという意味が込められているのだろう。
つんぼぜみ:セミの雌:水戸市・新治郡・行方郡。
づんぼめ:セミの雌:つんぼの意味:県北部。
つんぼめ:セミの雌:勝田市・東茨城郡。
なかず:セミの雌:猿島郡。
なかずのせんみ:セミの雌:猿島郡。
ぬげらぜみ:セミの抜け殻:水戸市。
むげかいりぜみ:土から出たばかりのセミの幼虫。
むげいるのせみ:土から出たばかりのセミの幼虫。
蝉は、7月の初めに『ちーち(ニイニイゼミ)』が鳴き始め、『ぎーとる(アブラゼミ)』に続いて『みんみん(ミンミンゼミ)』、『かなかな(ヒグラシ)』が続いた。夏休みも終わりに近づくと『ごどごどごいし、おーしんんつくつく(ツクツクボウシ)』が鳴いて、『しくだい』がたっぷりたまっているのをせきたてているように聞こえた。筑波山では『ハルゼミ』が鳴いていた。平成に入ってから関東でも『クマゼミ』の泣き声を良く聞くようになった。温暖化の影響だろうか?。
種類別別称は以下の通り。
・アブラゼミ:アカゼミ。アキゼミ。
・ヒグラシ:カナカナ。
・ツクツクボウシ:クツクツボウシ。筑紫恋し。法師蝉。『俗語』によれば、江戸時代の東国方言に『つくんし』があると言う。

(総称)
セミの語源は蝉の漢音である『せん』に由来する説と鳴き声の説がある。
あかびら:東京武蔵村山。
がーす:宮古島。
ぎしぎし:石川。
じりみき:福島・茨城。
じりめ:栃木。『じり』は擬音語ともとれる。
じんじん:栃木。
じんじり:栃木。
せき:鹿児島。
せつ:鹿児島。
せっ:鹿児島。
せび:佐渡島・静岡・鹿児島。
せーび:静岡。
せーみ:静岡。
せんせん:三重。
せんみ:神奈川。
せんめ:埼玉・静岡。
ちいせみ:愛知。
みんみん:新潟・石川・滋賀。

(ニイニイゼミ)
『本草啓蒙』には『又なつせみいきれせみ(水戸)、こせみ(江戸・肥前)、みこせみ(阿波)、なつむし(讃岐)、まつせみ(筑前)、ぢんてう(筑後)、むぎはらせみ(江戸)』とある。
えっち:千葉。
こぜみ:神奈川。
じーじーぜみ:神奈川。
ちーちーぜみ:東京多摩。
ちーちーせみ:埼玉。
ちんちんぜみ:神奈川。
みんみん:群馬。

(アブラゼミ)
『本草啓蒙』には『くろぜみ(江戸):あかぜみさとぜみひぐらし(阿波)、おおせみ(近江)、ゆうぜみ(筑前)、みやませみ(播磨)、やしおせみ(肥前)、なべかきせみ(琉球)、じいらせみ(仙台)、(中略)この雌は鳴かず唖蝉と云。おしろう(備前)、いいしぜみ和名抄なわせみと云。』とある。『なつぜみ』とも言う。
おーじんじ:島根。
おーぜみ:埼玉・神奈川。
おやぜみ:愛知・岐阜。
かーめ:岩手。
がんがらぜみ:岡山・香川。
かんこ:香川。
せんだいせみ:香川。
たなばたせみ:徳島。
たろーぜみ:千葉。
ちせみ:香川。『血蝉』の意味だろう。
みーんみん:神奈川。

(ヒグラシ)
『本草啓蒙』には『又、くつわぜみ(上総)』とある。
いちいち:富山。
いりこ:石川。
ぎゃーぎゃー:神奈川。
かなかな:埼玉。
かんかんぜみ:青森・岩手・秋田・宮城・福島・広島・長崎。
かんたかんた:福島。
つくつくぼーし:神奈川。

(ミンミンゼミ)
『本草啓蒙』には『又みんみんみいみい(美作)、めんめん(加賀)、ころもせみ(江戸・石見)、びいどろ(伊勢)』とある。

(クマゼミ)
『本草啓蒙』には『くまぜみ(京):ほんせみ(阿波)、わしわしせみ(筑後)、たいせみ(和泉)、ころもぜみ(伊勢)、かたびらぜみ(肥前)、おおせみ(仙台)、えどせみ(南部)。』とある。

(ツクツクボウシ)
『本草啓蒙』には『又つくつくぼうし(京)、つくしこいし(近江)、ふゆせみぼってう(下野)、ほっせうづく(薩摩)は寒蝉和名抄のかむせみなり。』とある。別名『寒蝉。かんせん。』
おーしーつく:神奈川。
おーしーつくつく:神奈川。
おーしん:群馬。
おーしんちくちく:栃木。
おーしんつく:埼玉・神奈川。
おしぜみ:神奈川。
つくしこいし:滋賀。
つくつくほし:鹿児島。

(ハルゼミ)別名マツゼミ
まつむし:神奈川

(エゾハルゼミ)

(エゾゼミ)

(ヒメハルゼミ)

(その他)
おぼんさま:セミの寄生虫:神奈川。
つちぼ:セミの幼虫:宮崎。
はいっころ:セミの幼虫:神奈川。
はいぼこ:セミの幼虫:長野。
べご:セミの幼虫:青森。
タガメ かっむし
かっ
かー
かーむし
がーむし
かーむし
がんがんむし
しりぬぎかっ:尻抜け河童。
ちんはさみ
『田鼈・水爬虫』。
広辞苑には『カメムシ目(半翅類)タガメ科の水生昆虫。大形で、体長約六五ミリメートル。体は扁平で、ほぼ六角形。カマキリのように、前肢は捕獲肢となる。口は吸い型。成虫・幼虫とも泥色で水生昆虫などを捕えて体液を吸う。小魚をも捕え、養魚上有害。成虫は夜、水中から出て飛び、灯火にも集まる。ミズガッパ。コウヤヒジリ。カッパムシ。ドンガメムシ』とある。
『本草啓蒙』には『一種とんぐはむしてかぼ(南部)、いをはさみ(日向丹波)、とんかめむし(播磨)、がごうじ(備前)、かご(備後)、たうちかめ(肥前)、かっぱむし(江戸)、かいるはさみ(江戸)、たはさみや(琉球)、西土の水爬虫なり。』とある。
かめむし:静岡。
ダニ だんにゃま:鹿児島。
だんべら:鹿児島。
タマムシ かねむし
きんむし
ねむし
るりむし
『玉虫・吉丁虫』。
広辞苑には『タマムシ科の甲虫の一種。体は紡錘状で長さ四センチメートル。金属光沢のある金緑色で、金紫色の二条の縦線がある。美しいので装飾用などとされる。成虫は夏に現れ、エノキなどの樹につく。幼虫はサクラ・ケヤキなどの幹を食害。なお、タマムシ科は熱帯の森林を中心に約一万五千種、わが国にはウバタマムシ・オオルリタマムシなど約一五○種が分布。樹木の害虫も多い。ヤマトタマムシ。』とある。
ねむし:神奈川。
ダンゴムシ(オカダンゴムシ) かびむし
かぶらむし
かめのごむし
ころころむし
たまむし
だんむし
てんまりむし
もりっこむし
ぞーりむし:神奈川。
チャドクガ 全て幼虫の呼称である。
ちゃ:茶殻の意味。丸坊主になる様を茶殻に例えたものか。
ちゃらし:茶枯らしの意味。
ちゃらむし:茶枯らしの意味。
らけむし:荷鞍虫の意味。背中にコブがあるのを例えたもの。
らむし:荷鞍虫の意味。背中にコブがあるのを例えたもの。
ぶんこしょー
ほろし
『茶毒蛾』。
広辞苑には『ドクガ科のガ。開張二・二(雄)〜三・二(雌)センチメートル。年二回発生し、幼虫は茶・椿・山茶花の葉を食害。幼虫・成虫・繭には毒毛があり、人体がこれに触れると激しいかゆみと痛みを覚え、皮膚に赤い斑点を生ずる。幼虫を茶毛虫(チヤケムシ)という。』とある。
かいりむし:幼虫:千葉。
ちゃらむし:幼虫:千葉。
蝶、蝶々 (総称)茨城県下での総称は蛾との共通語が沢山ある。蝶と蛾を区別しないのは、石川、長野・和歌山・岡山・愛媛でも同じである。フランス語では『パピヨン』ドイツ語では『シュメッタリング』と言い区別しないという。
いがいちょちょ:大型の蝶:猿島郡。
いがいちょっ:大型の蝶:真壁郡。
けーよんま:稲敷郡。
たべら:久慈郡。
ちうま:鹿島郡。
ちょーちょ:県下全域。
ちょーちょー:県下全域。
ちょちょっ:筑波郡・真壁郡。
ちょちょばい:猿島郡。
ちょーちょばっこ:竜ヶ崎市・北相馬郡。
ちょちょべ:古河市。
ちょちょ:古河市・猿島郡。
ちょちょっ:筑波郡・真壁郡。
ちょーちょべ:下妻市・結城市・水海道市・古河市・猿島郡。
ちょーちょーべ:行方郡。
ちょーちょべっこ:古河市・猿島郡・稲敷郡・北相馬郡。
ちょーちょべらこ:水戸市。
ちょーちょめ:久慈郡・那珂郡・東茨城郡・土浦市。
ちょーちょーめ:久慈郡・常陸太田市・那珂郡・東茨城郡・西茨城郡。
ちょちょんべ:真壁郡。
ちょーちょんべ:下妻市・結城市・水海道市・猿島郡・岩井市。
ちょっ:県広域(中央部を除く)。
ちょーっ:旧真壁郡。
ちょっ:西茨城郡・東茨城郡・真壁郡・新治郡。
ちょっ:真壁郡。
ちょー:東茨城郡。
ちょま:鹿島郡。
ちょーま:県全域。
ちょーまめ:土浦市。
ちょーまん:鹿島郡。
ちょんき:石岡市。
ちょんま:県広域。
ちょーんま:土浦市・稲敷郡・行方郡。
ちょんま:新治郡。
ちょんまめ:土浦市・真壁郡。
べらこ:江戸時代の常陸言葉。『俚言』
べらちょー:新治郡以北。
べらちょめ:県北部・北西部。
べらちょーめ:県北部。
べらっちょー:県北部・北西部。
べらっちょめ:県北部。
(種類別)
あまんじゃぐ:ジャコウアゲハの蛹・キアゲハの蛹。
おきくはん:アゲハチョウのさなぎ。広辞苑に『阿菊虫:アゲハチョウ類の蛹(サナギ)の俗称。枝などに尾端を固着し、胸部は一本の糸で枝に懸る。』とある。
おかまちょーちょ:アゲハチョウ
おごりぼちょーちょ:アゲハチョウ・カラスアゲハ・ジャコウアゲハ。
おこんじょっ:カラスアゲハ
おにひらこ:黒い大型の蝶・カラスアゲハ。
おはろちょーちょ:カラスアゲハ。
おばげちょー:カラスアゲハ。
からす:黒い蝶・カラスアゲハ。
からすちょう:カラスアゲハ。
くすりちょーちょ:カラスアゲハ。
じゃんぶくちょうまん:大型の蝶・カラスアゲハ。
ずいばいちょーちょ:カラスアゲハ。
ずるばい:黒い蝶の総称。
ちゃらめ:アカタテハの幼虫:チャドクガの幼虫と間違えての呼称と思われる。
つのだし:アゲハチョウ。
なのはなちょーちょ:モンキチョウ。
にんじんむし:キアゲハの幼虫。
ねんじんむし:キアゲハの幼虫。
ばげちょーちょ:黒い蝶・ジャコウアゲハ。
ばけちょっ:カラスアゲハ。
はしばりむし:イチモンジセセリの幼虫。ハマキムシ。
はまぎむし:イチモンジセセリの幼虫。ハマキムシ。
へっりむし:アゲハチョウの幼虫。
みかんむし:アゲハチョウの幼虫。
もんつきちょー:モンシロチョウ。
ゆずむし:カラスアゲハ。
広辞苑には『チョウ目(鱗翅類)のガ以外の昆虫の総称。二対の大きな葉状の翅は、鱗粉と鱗毛により美しい色彩を現し、口器は螺旋(ラセン)状に巻いた管で、花蜜を吸うのに適する。一対の棍棒状または杓子状の触角、二個の複眼を具える。幼虫は毛虫・青虫の類で、草木を食べて成長し、蛹(サナギ)となり、さらに成虫となる。一般に繭は作らない。昼間活動して花蜜を求め、静止の際は両翅を垂直に背上に立てる。種類きわめて多く、わが国だけで約二五○種を数える。胡蝶。蝶々。古名、かわひらこ。』とある。
土浦の代表的な呼称は『ちょーちょめ・ちょーま・ちょーまめ・ちょんま・ちょーんまちょんまめ』
『称呼』には『てふ:相模下野陸奥にててふまと云。津軽にてかかべとも、てこなとも云。出羽秋田にてへらこと云。越後にててふまべつとうと云。信濃にてあまびらと云。一種あげはのてふ其形大にして黒色羽の縁に文有もの也。上総にてくてふてふ、と云。下野鹿沼邊にて、くでふまと云。美濃をよび近江にて、かみなりてふてふと云。薩摩にてやまでふてふと云。今按に、蝶種類多し。そのあらましをここに出す。蝶和名かはびらこ也。羽州にてへらこと云。野州にてはところにより、蝶々ばこと云。これらの詞はかはびらこの略にしてひらこへらこと転し、またへらこ転して、ばことなりたる物らん。又胡蝶と云胡の字は、其髭を賞せし名也。よって蝶々ともかさねて呼ともいへり。』とある。このことから、『ちょーま・ちょーちょばっこ』は江戸時代以前まで遡る古い方言であることが解る。一方の蝶を指す方言は蛾との混乱が見られ、『称呼』の後半は個別の名称と考えられ蛾の呼称も混じっていると思われる。現代の茨城方言と比較すると例えば、『上総にてくてふてふ、と云。下野鹿沼邊にて、くでふまと云。』とあるは、大型の蛾を指しているとも思われる。
基本形は『ちょーま・ちょーちょめ・ちょーちょーめ』で『ま・め』が『べ・ぺ』に訛った形式が多い。また『ちょーちょばっこ』を使う地域が以外に少ないことが解る。『ちょうま』はツグミの別称でもある。アゲハチョウは古くは『アゲハノチョウ・ホホチョウ・ゴクラクチョウ』と言った(俚言)
『新編常陸国誌』には『小児の戯言に「ちょうちょべらこ菜の葉へとまれ」と謡うことあり』とある。
蝶の古語は『てふ』である。『語源辞典』によるといきなり『ちょうは蝶の漢音』とある。その理由はそれ以前は『かはひらこ』であったからである。しかし、なぜ『てふ』と当てたかという疑問が残る。大工道具の『手斧』『ちょうな』に、『手水』『ちょうず』に変化したように、蝶は『てふ』であったとすれば、羽を手に例えた『手振り』の意味であったのではあるまいか。鳥も複合語では『〜ちょう』と言うこともこれから説明できる。日本語は全て漢語に従っているという観念はもしかしたら間違いで、日本語にもとからあったいわゆる『雅語』に見合う漢字を当てたとも考えられる。

(総称)
かかべ:青森。
かーぶり:静岡。
ちゅくまんじょ:鹿児島。
ちゅちゅ:鹿児島。
ちゅーちゅまんげ:福岡。
ちゅちゅまんご:宮崎・鹿児島。
ちょちょ:神奈川。
ちょーちょ:神奈川。
ちょーちょーばこ:神奈川。
ちょーちょばっこ:埼玉・群馬・千葉。
ちょーちょーばっこ:埼玉・東京多摩・神奈川。
ちょーちょーばんこ:神奈川。
ちょーちょべっこ:栃木・群馬。
ちょちょま:神奈川。
ちょーちょーま:神奈川。
ちょーちょーめ:神奈川。
ちょーちょんまい:神奈川・静岡。
ちょーちょんめ:神奈川。
ちょーま:岩手・山形・宮城・福島・神奈川。
ちょーまべっとー:新潟。
ちょーまん:千葉銚子。
ちょーまんぼ:栃木。蝶の総称ではなく大型の蝶を指していると思われる。
ちょーり:広島・岡山。
ちょんば:山形。
つつ:鹿児島。
:岩手。
:青森。
てこな:青森。
てびらこ:岩手。
てんらこ:岩手。
はべる・はーべーるー:沖縄。『かわひらこ』
べっとー:秋田・山形・新潟。
へらこ:秋田。

(種類別)
あまのじゃく:アゲハの幼虫、イラムシ:神奈川。
あまのじゃく:蝶類のサナギ:山形・神奈川。
かまくら:アゲハチョウ:神奈川。
かまくらちょー:アゲハチョウ:群馬。
かまくらちょーちょ:アゲハチョウ:神奈川。
かみなりちょーちょー:アゲハチョウ:岐阜・滋賀・奈良・大阪。
がんぼー:蝶・蛾:静岡。
ちょんちょのばんこ:アゲハチョウ:神奈川。
でーかんちょーちょ:アゲハチョウ:神奈川。
ばかっちょー:アゲハチョウ:神奈川。
テントウムシ (総合)
いしゃさまむし
おあんむし
おわんむし
らむし
かぶらむし
きんかんむし:黄色のテントウムシ
てんとむし
ひめむし
(ニジュウヤホシテントウ)
あぶらむし:ニジュウヤホシテントウの幼虫。
だまし
てんとーだまし
てんとむしだまし
にせてんとー
『天道虫・瓢虫・紅娘』。
広辞苑には『(店頭虫とする説がある) テントウムシ科の甲虫の総称。ナミテントウ・ナナホシテントウなど。半球形、小形で赤や黒の斑点がある。カメノコテントウ・ベタリアテントウなどは成虫も幼虫もアブラムシ・カイガラムシなどを捕食。ニジュウヤホシテントウなどは作物害虫。ナミテントウは最も普通のテントウムシで、体長約七ミリメートル、色彩は様々で、赤の無地、赤地に多くの黒紋のあるもの、黒地に赤紋のあるものなどがある。』とある。
他に『偽瓢虫(てんとうむしだまし)』がある。広辞苑には『@テントウムシダマシ科(テントウダマシ科とも)の甲虫の総称。体長五ミリメートル内外で、ややテントウムシに似る。樹皮やキノコなどに生活。最も普通のヨツボシテントウムシダマシは赤橙色で、翅に四黒紋がある。Aニジュウヤホシテントウ・オオニジュウヤホシテントウなどの作物害虫の、農業上の別称。』とある。
(総合)
あねこむし:青森・宮城。
おかたむし:長野。
おちゃやのばんとう:京都。
おばごむし:群馬。
おまん:群馬。
せーまんじょ:静岡。
てんじくさん:佐渡島。
てんじくむし:佐渡島。
でんでんむし:神奈川。
とのさんうま:佐渡島。

(ニジュウヤホシテントウ)
おからむし:栃木。
トンボ
(総称)
あきづ:北茨城市・東茨城郡:奈良以前の『あきず』が残ったのではなく、『あきつ』の濁音形と考えられる。『あきつ』の古形が『あきず』とされる。。
あげづ:多賀郡。
あけづ:多賀郡。
おげんつぁま:北茨城市。
おげんつぁん:北茨城市。
おんなたんば:トンボの雌の総称。
きんざろめ:久慈郡。
けけす:久慈郡。
けけちょ:那珂郡。
けげづ・けけづ:久慈郡・高萩市・日立市。
けーけっちょめ:那珂郡。
けげづめ・けけづめ:久慈郡。
けけーづめ:久慈郡。
けっけじょめ:那珂郡。
けっけづ:久慈郡・常陸太田市。
けっけっ:旧久慈郡。
げっけーづ:新治郡。
けっけづめ:久慈郡・水戸市。
けっけちょ:旧那珂郡・那珂郡。
けーけっちょめ:那珂郡。
けっけぢょめ:那珂郡。
げんざ・けんざ:県内広域。
げんざっ:県内広域。
げんざっぼー:旧西茨城郡。
げんざっ:現桜川市付近。
けんざっ:現東海村付近
けんざーろ:那珂郡。
けんざ:勝田市。
げんざめ・けんざめ:県北部。
けんざら:常陸太田市・那珂郡。
げんざーら:久慈郡・那珂郡。
けんざーら:旧久慈郡。
けんざらめ:常陸太田市。
けんざる:旧久慈郡。
けんざーる:常陸太田市。
けんざるめ:那珂郡。
げんざんぼー:旧多賀郡・旧久慈郡・東茨城郡。
けんざんめ:那珂郡・勝田市。
げんじろー:那珂湊市。
たんば:旧久慈郡・県北部。
たんばぢ:久慈郡。
たんばめ:久慈郡・常陸太田市。
どんば・どんばめ:土浦市・県南・県西部。
とんぶ:古河市。
どんぼ:土浦市・県南・県西部。
とんぼめ:県北部。
びんちょー:東茨城郡。
やま:−。
(大型のトンボの総称)
おーやまげんざ
おーやまどんば
かんたん
けんぞー
めーおんじょー:取手市。
やまとんぼ:県広域。
やまどんぼ:真壁郡。
やまのげんじょ:真壁郡。
やんま:県広域。
やんまとんぼ:猿島郡・岩井市。
(ヤンマの総称)
おくま
おくまとんぼ
かねきとんぼ
かんたん
けんぞ
げんど
げんどどんば
たんば
たんばとんぼ
(オニヤンマ)
あおや
あおやまとんぼ
おくま
おくまとんぼ
おーけんざ
おーたんば
おたんぼ
おーたんぼ
おーとら
おーとんぼ
おにらとんぼ
おにやま
おやとんぼ
おーやまげんざ
おーやまどんば
おーやまとん
おーやまとんぼ:土浦市。
おやまのかねとんぼ
おーやまのかねとんぼ
おーやんま
かなやまとんぼ:土浦市。
かねどんば
かねやぎとんぼ
かねやま
かねやま
かねやまとんぼ
かねやんま
くまがら
くまがらとんぼ
げんぞどんば
けんぞとんぼ
たんばたいしょー:那珂郡。
たんば(雌)
とらやんま
なべかぎとんぼ:稲敷郡。
なべしけー
まやんま:水戸市。
やまげん:真壁郡。
やまとんぼ:県広域。
やまのげんげん:真壁郡。
やまのげんざ:真壁郡。
やんま:県広域。
やんまとんぼ:猿島郡。
やんまめ:東茨城郡。
(ギンヤンマ)
あおやとんぼ
いげどんば
いげどんぼ
うみとんぼ
おーちょーめーちょー
おにやんま
おやとんぼ
おんじょ(雄)
おんと(雄)
かーおーやまとんぼ:西茨城郡。
がーね(雄)
かーね(雄)
かーねとっとろ(雄)
かねとんぼ
かねひとんぼ
かねやま
かねやま
かねやまとんぼ
かねやんま
ぎんとんぼ
ぎんやま
くるまとんぼ
じょーな
だらやんま
ちゃんやんま(雌)
とっとろ(雌)
ぼーずやんま:水戸市・東茨城郡。
めやんま:猿島郡。
めんじょ:稲敷郡。
めんと(雌):古河市。
やまのげんざ:真壁郡。
やまのどんぼ:真壁郡。
やろーやんま(雄):稲敷郡。
やんま:鹿島郡。
やんまとんぼ:猿島郡。
よーけや(雄):行方郡。
よるげんざ:久慈郡。
(ウチワヤンマ)
あぶらやんま
くるまやんま
げだはぎやんま
しゃくしやんま
(カトリヤンマ)
どろぼーとんぼ
どろぼーなーたん
へびとんぼ
へびやんま
(エゾトンボ)
だるきやんま
(オオヤマトンボ)
おーとらんぼ
かなやまどんぼ
かなやまとんぼ
かねとんぼ
がんとら『民俗』ではトラトンボとしている)
くま
とら
とらやんま
なーたん:久慈郡。
やんま:稲敷郡。
(オオシオカラトンボ)
いしたんば
いしたんぼ
おはろたんば
やーらとんぼ
(シオカラトンボ)
あわどんぶ(雌)。
あわとんぼ(雌)
おしろいとんぼ(雌)。
おしろいぼんぼ(雌)。
おんと(雄)
かーらとんぼ
けっくたんば(雌)
こととんぼ(雌)
こめとんぼ(雄)
しおとんぼ(雄)
しおやとんぼ:『塩屋トンボ』の意味と言われる。
しょーから
しょーからとんぼ
しょーげんざ(雄)
しょーどんば(雄)
しょーとんぼ(雄)
しょーどんぼ
とんぼ
にわとんぼ:東茨城郡。
ばばとんぼ(雌):真壁郡。
ばばとんぼ:真壁郡。
から(雌):古河市。
どんば(雌):真壁郡。
とんぼ:結城郡。
わら(雌):県広域。
わらどんば(雌):下妻市。
むぎわらとんぼ(雌):県広域。
むごさまとんぼ:久慈郡。
めんと(雌):古河市。
よめさまとんぼ(雌):久慈郡。
(アカトンボの総称)
あがけんざ:勝田市。
あかたんば:久慈郡・筑波郡。
あかたん:久慈郡。
あかどんば:真壁郡。
あがどんば:水海道市・猿島郡・真壁郡。
あがとんぼ:県内広域。
あかやんま:猿島郡・鹿島郡。
あからん:久慈郡。
あきとんぼ:稲敷郡。
あげづ:高萩市。
あめりかとんぼ:東茨城郡・稲敷郡。
いなけんざ:県内広域。
いなげんざ:県内広域。
おぢゃ(幼虫)
くるまたんば:久慈郡。
けけづ:高萩市。
けっけたんば:久慈郡。
けっけたんぼ:久慈郡。
しょーからとんぼ(雌)
らしげんざ:真壁郡・下館市。
らしどんば:県内広域。
らしとんぼ:県内広域。
とーらしとんぼ:県内広域。
とんがらし:県内広域。
とんがらしどんば:真壁郡・結城市・猿島郡。
とんらしどんぼ:筑波郡。
とんらしとんぼ:水戸市・水海道市・結城郡。。
なんばん:那珂湊市。『なんばん』は『南蛮辛子』の略でトウガラシの意味である。
なんばんけけづ:久慈郡・常陸太田市。
なんばんけっけ:久慈郡。
なんばんけっけつ:久慈郡。
なんばんけつめ:久慈郡。
なんばんちん:久慈郡・水戸市。
なんばんとんぼ:勝田市・東茨城郡・笠間市。
べにらとんぼ:東茨城郡・岩井市。『紅殻』は『ベンガラ』のことであり、野口雨情の童謡に『べにがらとんぼ』がある。野口雨情の童謡のタイトルでこれ以外に方言は見当たらず、当時は比較的広く使われていたのではないかと考えられる。
ゆーやげとんぼ:久慈郡・東茨城郡。べにらとんぼ』以上に詩情ある言葉。
(ショウジョウトンボ)
とーらしとんぼ:稲敷郡。
(黒いトンボの総称)
すみかげ:墨掛け。
(カワトンボ)
あねさまとんぼ
よめとんぼ:猿島郡。
(ハグロカワトンボ)
あねさま
かねかねとんぼ
かねつきとんぼ
くろどんば
くろとんぼ
しかとんぼ
(ハグロトンボ)/かねつけとんぼ/『鉄漿(かね)』とはお歯黒の液のこと。
『称呼』には『一種かねつけとんぼ、(中略)東武にて、かねとんぼと云。肥前にてかうやひじりと云。』とある。
あげづ
あねさまとんぼ
うぢみとんぼ
おは
おはろけけづ
おはろたんば
おはろどんば
おはろとんぼ
おはん
とんぼ
かーたんば
かねつきとんぼ
くろとんぼ
さーとんぼ
じょろー
じょろーとんぼ
すみいろとんぼ:墨色トンボ。
すみかきとんぼ:墨掛けトンボ。
すみかげ:墨掛け。
なべかげ:稲敷郡。
なべかげとんぼ:稲敷郡。
なべとんぼ:稲敷郡。
はなよめ:水海道市。
ひめどんば:真壁郡。
ひめとんぼ:水戸市・取手市・結城郡。
よめさまどんば:真壁郡・筑波郡。
よめさまとんぼ:岩井市・稲敷郡。
よめとんぼ:筑波郡。
よめどんぼ:筑波郡。
(イトトンボ)
あねさまとんぼ
あやとんぼ
いーとんぼ
うぢみとんぼ
おいらん
おいらんとんぼ
おしゃらとんぼ
おじょろとんぼ
おじょろーとんぼ
おぢゃ(幼虫)
かみさまとんぼ
かみさまとんぼ
かみさんとんぼ
しゃみせんとんぼ
しゃむせんとんぼ
じょろーげんつぁま
じょろーとんぼ
せんことんぼ:線香トンボ。
なーしろけけず:久慈郡。
なーしろげんざ:西茨城郡・真壁郡。
ねーさんとんぼ:行方郡。
はなよめ:水海道市。
はりねとんぼ:笠間市。
ひめどんば:真壁郡。
ひめとんぼ:水戸市・結城郡。
よめとんば:猿島郡。
よめとんぼ:猿島郡。
よめさまどんば:真壁郡。
よめさまとんぼ:鹿島郡。
よめどんば:猿島郡・岩井市。
よめとんぼ:猿島郡・岩井市。
(チョウトンボ)
っちょ
くるまとんぼ
たういちょー
たなばだとんぼ:七夕トンボの意味。
ちょーちょとんぼ
ちょっとんぼ
なべちょー
ひこーきとんぼ:結城郡。
(その他)
おどごたんば:雄のトンボ。

(ヤゴ)別名やまめ・たいこむし
きしゃ
たいこむし
どんばむし・とんぼむし
『蜻蛉』。カゲロウ類を除く。
広辞苑には『トンボ目(蜻蛉類)に属する昆虫の総称。体は細長く、腹部は円筒状。細長い透明な二対の翅は非常に強くよく飛ぶ。眼は複眼で大きく、触角は小さい。幼虫は「やご」といい、水中に生活。成虫・幼虫共に他の昆虫を捕食。ギンヤンマ・アキアカネ・シオカラトンボ・カワトンボ・イトトンボ・オハグロトンボ・ムカシトンボなど。せいれい。かげろう。あきず。とんぼう。』とある。平安以降『あきつ』となる。トンボを指す言葉にも多くの異なる語源があることになる。
トンボの語源は、『飛羽』(とびは)が最も有力な語源で、『とびは』『とんば』『とんばう』→『とんぼ』というように変わったと言われる。『とんば』『とんぼ』に変わったのは日本語の表記方法と口語の差異に少なからず関係があると思われる。
『とんぼ』と呼ぶようになったのは、平安時代頃といわれる。現代語感覚からは『飛び坊』だろうと考えてしまうがそうではないようである。別名を『えんば』と言う(新井白石の主張が定説になったようである)。また別名『あきつ』(奈良以前あきず)とも呼ばれる。やんまとも言う。
茨城県下の類似の言葉では県北では『たんば』、県南部では『どんば・どんぼ』と呼ぶ。
『俚言』には『あきつ:あきつむし、あげつ、かげろふ、ゑむば、ゑむま、ゑんぶう、ゑんぼう、やんま、へんぼう、へんぼ、ぼうり、だんぼ、だんぶり、たあふり、だぶり、げんざ、とんぼう、あきいず。やまめの羽化したる者の総名種類多し。』とある。標準名称が定められた現代と異なり、おおらかに迎えられていたころがわかる。
トンボの名称には大きく4っつの流れがあることが解る。@一般名称、Aトンボの代表のシオカラトンボ類、B赤トンボ類、Cカゲロウ類である。面白いのは、動植物の分類や定義が未分化の時代には、どうやら羽の形状を意識して作られた言葉で、時代が進むにつれて、アカトンボの存在が大きくなり、もともとの『トンボ』とは別の呼称に生まれ変わった経緯がうかがえる。
単純なトンボの呼称だけでな、種類別の呼称まで含めて、方言を論ずればそれだけで一冊の本ができるのではないかと思われるほど、トンボの世界だけでも奥が深い。当面調査結果のみに基づいたづいた紹介に限定するが、いずれ語源考察をしてみたい茨城方言のひとつである。
(総称)/別名とんぼう・えんば・やんま、古名あきつ(あきづ)・かげろう『かぎろう』とも言う。
『称呼』には『とんばう:奥州仙台南部にてあけづと云。津軽にてだんぶりと云。、常州及上州野州にてげんざと云。西国にてゑんばと云。』とある。(中略)「東雅」曰、蜻蛉はいにしへあきつと云。後かげろふと云。即今云とんぼう也。東国の方言にえんばと云。赤とんぼをいなげんざなどもいふなり。あきつとは秋に出て、其類の衆多なれば也。秋津と云は助字也。いなげんざといふも、稲熟する時に有を云也。げざとはゑんばの転語也。童部のやんまといふも、ゑんばが転ぜし也。ゑんばは即ゑばなり。なを、八重ばといふが如し。よのつねの虫は多くは、羽二つ有を、此虫の羽四つあれは、かさなれる羽といふ意也。又きはめて細く小きなる草むらの間に、其羽を重ね植て止まるものを即今、かげろふといふ也。このもの誠にありともなし共さだかに見えぬもの也。「南留別志」に蜻蛉をとんぼうといふは、吾邦の名を秋津洲といふ故に東方といふこと也云々。
『俚言』には『とんぼう:「本草啓蒙」とんぼあきつ(南部)、えんま(筑前)、えんば(西国)、えんぶう(筑前)、へんぼう(筑後)、ぼうり(薩摩)、あかいず(琉球)、たんぼ(能登)、だんぶり(佐渡・津軽)、だあぶり(松前)、げんざ(常陸・上野・下野)、本草の蜻蛉和名抄のかげろうなり。』とある。
文献を総合すれば、トンボの語源は『とびは』で、別の古語『えんば』『やんま』になり、別の呼称の『あきつ』『かげろう』は消えてしまったことになる。
『げんざ』『どんぼ』のように第一音が濁音化する稀な言葉もあることから、『げんざ』とは『験者』で、柳田国男も同じ説を唱えている。また『どんぼ』とは『導師坊』が約まったもので、修行僧に見立てた可能性もあろう。
『あきつ・あきづ』に類似する方言が主に日本の南北の端にあるのは、『方言周囲論』を証明する好例でもある。
それでは『あきつ・あきづ』とはどのどのような意味かと考えると『秋の(もの)』あるいは『赤きなる(もの)』とも思われる。また『俚言』にある『あきいず』は『秋出ずる(虫)』とも思われる日本語は上代に行くほど清音の傾向があると言われるが、『あきつ』の古形が『あきづ』であったことの証明にもなろう。
『語源辞典』には、『あきつ』は『@アキツムシ(秋の虫)、またアキツドヒムシ(秋集虫)の下略。Aアキツバサ(明翅)の略。Bカカキツ(陽炎)の義。』『上代ではあきづであったと推定されるが、後に清音になりあきつとなった。上代では「蜻蛉」の文字に「あきづ」の訓が付けられているが、平安時代以降、同じ「蜻蛉」に「かげろふ」の訓が付いた。』とある。
あーきーぢゅー:沖縄。
あきつ:大分。
あきゅーす:宮崎。
:宮城・山形。『赤』の古形は『あけ』。
あけ:宮城・山形。
あーけ:宮城。
あけご:山形。
あげじ:岩手・秋田。
あげし:鹿児島。
あけし:鹿児島。
あけす:鹿児島。
あけーぢゅー:沖縄。
あげづ:岩手・秋田・宮城。
あけづ:岩手・秋田・宮城・福島・茨城・宮崎・熊本・沖縄。
あけーづ:熊本。
あーけーづー:沖縄。
あけどり:大分。
あけべろ:鹿児島。
あげん:山形。
あっけ:山形。
あんけ:山形。
えーだー:鹿児島。
えんば:福岡・長崎・佐賀。
えんばしょーろ:佐賀。
えんぶ:福岡。
おんぼー:東京大島。
かいかい:三重。
かいとぼ:和歌山。
げんざ:栃木。
けんざ:栃木。
げんざんぼー:栃木。
ざぶり:秋田。
ざんぶり:佐渡島。
せろぼい:鹿児島。
せろんぼい:鹿児島。
せんぼ:長崎・熊本。
だぶり:秋田。
だーぶり:岩手。
だぶり:青森・秋田。
だんぶ:青森・秋田。
だんぶり:北海道・青森・秋田・岩手・佐渡島。
だんぼ:新潟・富山・石川。
どぶ:秋田。
どろんぼ:福島。
どんば:山形・福島・栃木。
どんぶ:秋田・埼玉・静岡。
とんぶ:埼玉・神奈川。
とん:神奈川。
どんぼ:岩手・福島・埼玉・佐渡島。
とん:神奈川。
へぼ:佐賀・熊本。
へんぼ:大分・福岡・佐賀・長崎・熊本。
ぼい:鹿児島。
ぼいけ:鹿児島。
大半が『げんざ』すなわち新井白石が言う『ゑんば』『ゑば』つまり4枚の羽が重なった意味と、一部『あきつ』が交じり合った様子が伺える。しかも圧倒的に県北部にある方言である。
(大型のトンボの総称)
どろす:宮城。
(ヤンマの総称)/生物学上の区分と方言区分は別物と考えるべきである。以下の呼称は概ねトンボの古い呼称を受け継いでいるだけと思われる。
『称呼』には『又大なる物を馬大頭(やんま)と云。上総にてをんじゃうといふ。越後にて山とんぼと云。』とある。
『俚言』には『又やんま・やんまとんぼう山とんぼ(越後)、やまあけず(南部)、をんじゃう(上総)、ほんぼうり(薩摩)、ほんや(大阪)、みやこあかいず(琉球)。』とある。
おんじょー:千葉・神奈川・静岡。
かまくらとんぼ:岐阜。
がんま:静岡。
とのさまだんぼ:富山。
やまとんぼ:新潟・富山。
(オニヤンマ)
いどいとんぼ:神奈川。
いど:神奈川。
えどいとんぼ:神奈川。
うしやんま:高知。
うずまきとんぼ:神奈川。
おーしまとんぼ:神奈川。
おーす:神奈川。
おーどろぼー:東京。
おーとんぼ:神奈川。
おにとんぶ・おにとんぼ:神奈川。
おーまき:神奈川。
おーやま:神奈川。
おーやまげんざ:栃木。
おーやまとんぶ・おーやまとん・おーやまとんぼ・おーやまとん・おーやまどん:神奈川。
おやとんぶ:神奈川。
おんじ:神奈川。
おんじょ・おんじょー:神奈川。
きーちょ:神奈川。
くまんぼー:神奈川。
げんやとんぼ:神奈川。
ごんげん:神奈川。
どろぼー:神奈川。
ふじとんぼ:神奈川。
ふじまき・ふじまきとんぼ:神奈川。
まむしとんぼ:神奈川。
:幼虫:静岡。
やんま:神奈川。
やんませー:神奈川。
(ギンヤンマ)
ぎんや:神奈川。
ぎんやま:神奈川。
(ウチワヤンマ)
(カトリヤンマ)
(エゾトンボ)
(オオヤマトンボ)
(オオシオカラトンボ)
(シオカラトンボ)/別名しおとんぼ/体長50-55mm、後翅の長さは43mm前後の中型のトンボ。雌雄で大きさはあまり変わらないが、老熟したものでは雄と雌とで体色が著しく異なっている。雄は老熟するにつれて体全体が黒色となり、胸部〜腹部前方が灰白色の粉で覆われるようになってツートンカラーの色彩となる。この粉をに見立てたのが名前の由来である。雌や未成熟の雄では黄色に小さな黒い斑紋が散在するので、ムギワラトンボとも呼ばれる。稀に雌でも粉に覆われて "シオカラ型" になるものもあるが、複眼は緑色で、複眼の青い雄と区別できる(ウィキペディア)。
『称呼』には『又一種江戸にてしほとんぼと云有。奥州にてしもがらあけづと云。肥前にてしほからゑんばと云。』とある。
『俚言』には『きえんばせうれうとんぼ(筑後)、せうれうえんば(筑前)、いなとんぼ(津軽)、麦とんぼ(出雲)、みそかい(加賀)、をどりとんぼ(伯耆)、ほとけとんぼ(土佐)。』とある。
こめとんぶ:シオカラトンボの雄:神奈川。
こめとんぼ:シオカラトンボ:神奈川。
ままっこ:シオカラトンボ:神奈川。
むいからとんぼ:シオカラトンボの雌:神奈川。
(シオヤトンボ)/シオカラトンボの仲間で小型のもの
あわとんぼ(雌)
こめとんぼ(雄)
しおから
しおからどんば(雄)
しょーからとんぼ
しょーげんざ(雄)
しょーどんば(雄)
(アカトンボの総称)/別名あかげんざ・あかねとんぼ・あかゑんば
あきとんぼ
(アカトンボ・アキアカネ)民俗では別に扱われているがここではまとめて表現した。
『称呼』には『又一種東武にてあかとんぼと云、(和名)あかえむば也。機内にてしゃうれうやんまと云。西国にてしゃうれうゑんばと云。常陸上野下野下野邊にていなげんざと云。越後にてこしゃうとんぼとんぼと云。奥州にてなんばあけづと云。会津にてはたのかみとんぼと云。』とある。
『俚言』には『あかとんぼ紅とんぼ(出雲)、せうぜうとんぼ(伊予)、かうやひじり(伊勢)、をこりとんぼ(越中)、いなげんざ(常陸)、こせうとんぼ(越後)、たのかみとんぼ(会津)、しゆぼうり(薩摩)、あかち(土佐)、本草の赤卒和名抄のあかえんまなり。』とある。
あかち:東京。
あかどん:神奈川。ミヤマアカネだけを指して言う。
あーけ:宮城。
おしゃかとんぼ:岐阜。
おしょく:山梨。
おどりとんぼ:島根。
くるまとんぶ:ミヤマアカネ:神奈川。
くるまとんぼ:ミヤマアカネ:神奈川。
(ショウジョウトンボ)
(黒いトンボの総称)
(カワトンボ)
かーとん:神奈川。
かーとんぼ:神奈川。

(ハグロカワトンボ)
(ハグロトンボ)/かねつけとんぼ/『鉄漿(かね)』とはお歯黒の液のこと
『称呼』には『一種かねつけとんぼ、(中略)東武にて、かねとんぼと云。肥前にてかうやひじりと云。』とある。
おは:神奈川。

(イトトンボ)/別名とうすみとんぼ・とうせみ
『俚言』には『一名かげろう(石見・伊予・筑前)、七夕とんぼ(越前)、かんな(津軽)、かとんぼ(加賀)、めくらとんぼ(江戸)、いととんぼ(近江)、ぢごくあけず(南部)』とある。
かーとんぼ:神奈川。
(チョウトンボ)別名ひこうきとんぼ
ちょーちょとんぼ:埼玉。
(ヤゴ)

(その他)
つゆとんぼ:小さなトンボ:神奈川。
:大トンボの幼虫:静岡。
ニラムシ らむし
じむし
つちやどっこ:『土はどこ?』の意味。
にらむし
コハンミョウの幼虫。
にわむし:神奈川。
ヌカカ めぶよ
めほりめ
めまし
めまーし
めまーしめ
めます
広辞苑に『糠蚊:ヌカカ科のカの総称。微小で、体長約二ミリメートル。体は黄褐色、翅は二枚で暗色。草むらにすみ、夏、人の眼の周囲を飛び回るので「めまとい」ともいい、吸血もする。幼虫は水生。糠子(ヌカゴ)。糠蠅。浮塵子(フジンシ)。』とある。
ノミ、蚤 のみめ
のんみ
のんめ
『釈名』には『蚤:のむ也。ひとの血をのむ蟲也。』とある。『のむめ』『のみめ』が訛ったとすれば納得できる。
あかうま:長野・愛知・富山・大分。
ぬまー:蚤。。
ぬん:鹿児島。
のん:鹿児島。
のん:香川。
ハエ (ハエの総称)
はい:ハエ。
へー:ハエ。
へーみ:ハエ。
へめ:ハエ。
へーめ:ハエ。
(イエバエ)
くそべー:オオイエバエ
(ウシバエ)
あがあぶ
てんじょう:幼虫。
てんじょばぢ
てんじょぶし:幼虫。
てんじょむし:幼虫。
てんとむし:幼虫。
やす:幼虫。
(ウマバエ):別称ウマアブ。
あがあぶ
んまあぶ
(キンバエ)別称クソバエ。
きんべー
くそばい
くそべー
くそべーめ
くそんべー
(その他のハエ)
あかばい:ショウジョウバエ。
うりばい・うりむし:ウリハムシ
きーりばいめ:ウリバエ
しまばい:サシバエ。
(関連語)
へーめぶっちゃし・へーめっちゃし、へーめぶっちゃしき:ハエタタキ。
『蠅』。
広辞苑には『ハエ目(双翅類)イエバエ科およびその近縁の科に属する昆虫の総称。体は短くて太く、多くは黒色や褐色で光沢がある。幼虫はいわゆる「うじ」。イエバエ・キンバエ・ニクバエ・クロバエ・サシバエ・ヤドリバエなど種類が多く、伝染病を媒介して人に害を与える。はい。』とある。
(ハエの総称)
へー:埼玉・神奈川。

(イエバエ)
(ウシバエ)
(ウマバエ):別称ウマアブ。
(キンバエ)別称クソバエ。
くそべー:キンバエ:神奈川。

(その他のハエ)
あかばい:ショウジョウバエ。
うりばい・うりむし:ウリハムシ
きーりばいめ:ウリバエ
しまばい:サシバエ。
(関連語)
ぶんぶるばえ:大型のハエ:神奈川。
バクガ がっちょめ
さぼり
たべら
ちょーま
ちょちょ
ちょっ
ちょっ
ちょんまめ
はぶり
べらめ
ほり
ちょーまん
のちょう
『麦蛾』。
広辞苑には『キバガ科のガ。開張は約一五ミリメートルで灰褐色。幼虫はムギなどの貯蔵穀物を食い荒す。世界各地に分布。』とある。
ハサミムシ ばしゃひきむし
らいさまむし
『鋏虫』。
広辞苑には『ハサミムシ目(革翅類)の昆虫の総称。また、その一種。体長一〜三センチメートル、体は褐色または黒褐色のものが多く、細長でやや硬く、多少甲虫に似る。尾端に鋏状付属物があり、種により形状を異にする。地中・石下などに穴をあけてすむ。雌は卵および孵化(フカ)直後の幼虫を保護する性質がある。雑食性。わが国にはハサミムシのほか、オオハサミムシ・チビハサミムシ・エゾハサミムシなど約二○種、世界に約千二百種。しりはさみ。』とある。
ハチ (総称)
ばぢ
ばち
ばぢめ
ばちめ
はぢんぼ
はちんぼ
(オオスズメバチ)
おーくま
おーくまん
おーくまんばち
じーまんばぢ:スズメバチ特に大型のスズメバチ。
(中型のスズメバチ)
くまんばぢ
くまんばち
ちーくま
ちーくまん
ちーぐまん
ちーぐまんばち
ちゅーぐまんばち
(小型のスズメバチ)
こくまん
(クロスズメバチ)
ごかいちちばぢ・ごかいばぢ:クロスズメバチの巣(5層になっている。)。
さんいちちばぢ・さんいばぢ:クロスズメバチの巣。
ちちばぢ:土蜂の意味
ちちんばち:土蜂の意味
つちばち:土蜂の意味:土浦市。
どばぢ:土蜂の意味。
(アシナガバチ)
あしつり
あしな

ぎんばぢ
(クマバチ・クマンバチ・マルハナバチ)
だるまばぢ
だんご
だんろばぢ
はなばぢ
ぶんぶんばぢ
まるばぢ:マルハナバチ類。
(ミツバチ)
あめばぢ:久慈郡。
はなすいばぢ
はなばぢ
みづばぢ
きんかばち:スジハナバチ(ミツバチ)
(ジガバチ)
じばぢ
かそり

(ツチバチ)

(スジアメバチ)
あーこばぢ
あーばぢ
あわばぢ

(その他)
あぶぐばぢ:ヒメベッコウバチ。
おみきすずのはぢ:トックリバチ
こぬがばぢ:スジアメバチ・コマユバチ
ささばぢ:アメイロコマユバチ
ぬがばぢ:アメイロコマユ・ブランココマユ。
ぶんぶんばぢめ:ベッコウバチ。
へーたいばぢ:体に黒と白の斑がある小型の蜂。
『蜂』。
広辞苑には『ハチ目(膜翅類)の昆虫のうち、アリ以外のものの総称。アリと違い、一般に二対の翅をもつ。多くは腹が細くのびて、腹柄を形成し、雌は産卵管を毒針としても使う。完全変態をし、幼虫は多く「うじ」状。発達した本能を持ち、種類により様々な生活をする。ミツバチ・スズメバチ・アシナガバチ・ジガバチ・ツチバチ・コマユバチ・ヒメバチ・ハバチ・キバチなど。』とある。
・スズメバチ:カメバチ。フエドウバチ。俗称熊蜂。
・アシナガバチ:足吊るし。
・ジバチ:標準和名クロスズメバチ。すがる。すがり。

(総称)
広辞苑に『蜂:ハチ目(膜翅類)の昆虫のうち、アリ以外のものの総称。アリと違い、一般に二対の翅をもつ。多くは腹が細くのびて、腹柄を形成し、雌は産卵管を毒針としても使う。完全変態をし、幼虫は多く「うじ」状。発達した本能を持ち、種類により様々な生活をする。ミツバチ・スズメバチ・アシナガバチ・ジガバチ・ツチバチ・コマユバチ・ヒメバチ・ハバチ・キバチなど。』とある。
:宮城。
ばち:秋田・栃木・静岡。
ばちめ:栃木。
はちめ:メバル:石川。背びれの刺が鋭いためと見られる。
はちんべー:静岡。
(オオスズメバチ)
広辞苑に『スズメバチ科のハチ。大形で、雌の体長約四センチメートル、働き蜂は小さく、約三センチメートル。翅は淡褐色、透明。胸部は黒褐色、腹部は黄褐色で、黒い横縞がある。腹端に毒針を持つ。木材を噛んでねり、大きい幾段にも重なった巣を作り、まわりを球形の壁でおおう。これを露蜂房(ロホウボウ)といって薬用にする。ミツバチの巣を襲い、蜜や幼虫を奪うことがある。俗称クマバチ・クマンバチ。』とある。
『本草啓蒙』には『やまばちまるばちおほばちかめばち(南部)、はんめうばち(能登)、いもばち(大和)、ほうをう(筑前)、本草の大黄蜂なり。』とある。
あかばぢ『俚言』には『あかばち:赤黄色の翅のある「蜂なり。』とある。
(中型のスズメバチ)

(小型のスズメバチ)
(クロスズメバチ)
広辞苑に『くろすずめばち【黒雀蜂】:ジバチの別称。』『じばち【地蜂】:スズメバチ科のハチ。体長約一五ミリメートル。全体黒色、頭部・胸部などに白紋があり、腹部に黄白色の横縞がある。地に穴を掘り、材木をかじってその粉を練り、地中に巣を作る。幼虫を「はちの子」といって食用。標準和名クロスズメバチ。すがる。すがり。』とある。
へぼ:山梨・岐阜。
(アシナガバチ)
スズメバチ科のハチの一群。中・大形、赤褐色で黒褐色の線がある。脚は長く、飛ぶ時に中・後肢を下げるので、さらに長く見える。人家付近に普通で、木材をかじりとり唾液とこね、ハスの実のような巣を造る。種類が多い。
あしっつるし:神奈川・山梨。
すかり:山梨。

(クマバチ・クマンバチ・マルハナバチ)
『本草啓蒙』には『一種胡蜂、俗名くまばちすずめばちおほかみばち(仙台)、あんどんばち(越前)。』とある。
おーかみばち:仙台。
おーっくま:大型のクマバチ:神奈川。
くもんばち:神奈川。
だんばち:埼玉・神奈川。
ちゅーくま:中型のクマバチ:神奈川。
(ミツバチ)
あめばち:青森。
(ジガバチ)
広辞苑に『ジガバチ科のハチの一種。体は細く黒色、腹部は藍色。腹部の基部の二節は細く、続く第三腹節は赤褐色。体長は約二五ミリメートル。七〜八月頃地中に穴を掘り、しゃくとりむしなどを捕え、貯えて幼虫の食物とする。獲物を穴に入れる時、翅をじいじい鳴らすので、古人が「じがじが(似我似我)」と言って青虫を埋めると蜂になって出てくるものと思い、この名がついたという。また、ジガバチ科のハチの総称で、アナバチも含む。すがる。腰細蜂。から。』とある。
なき:神奈川。
ばち:神奈川。
んばち:神奈川。
:山形。
りばち:山形。
つちす:宮城。

(ツチバチ)
広辞苑には『つちばち【土蜂】:ツチバチ科のハチの総称。体長一○〜五五ミリメートル、黒色で、腹部は一般に長く、黄色の毛による横縞や黄または赤色の斑紋のあるものが多い。オオモンツチバチ・ハラナガツチバチなど。コガネムシの幼虫の体表に産卵し、孵化後はこれに寄生。近縁にコツチバチがある。アナバチとは別。』とある。
なき:東京多摩。

(スジアメバチ)

(その他)
バッタ (総称)
はねこめ
はねっこ
はねっこめ
(トノサマバッタ)
おきちばった
おにばった
おーばたって
おーばった
どでばった
ばった
ばたばた
ばっため
はねこめ
はねっちょむし
(クルマバッタ)
くそばった
(イナゴ)
いな
いなこ
いなっこ
いなむし
いねこ
いね
おがいび
どん
はっとり
はねこ
はねこむし
はねこめ
はねっこ
はねっこめ
はねむし
(クビキリバッタ)
いのぢしらず
ぎす
くっつぎばった
くっつぎはんべー
くびきり
くびきりむし
じーじー
すだれ
たげわり
ばった
(ショウリョウバッタ)
みむし
おーばのねさん
ぎっちょ
ぎっちんこ
こめつきむし
さんぜのねさま
ちきちきばった
ちょき
とんとんむし
さま
さまばった
さん
さんばった
どの
どん
ばった
はだおり
はだおりばーさん
はだおりばっこ
はだおりばった
はだおりにんょさま
ばたばた
ばったむし
はねばった
ふねこ
ふねこばった
つきばった:猿島郡。
やりばった:多賀郡。
ろーこ:行方郡・鹿島郡。
(オンブバッタ)
おぶさりばった
ばったのちーちぇーの
(ヒシバッタ)
おんこばった
こばった
つちばった
ばった
(クツワムシ)
あおがしゃがしゃ:羽が緑色のクツワムシ。
がしゃがしゃ
がしゃがしゃむし
がぢゃがぢゃ
がぢゃがぢゃむし
がぢゃがぢゃめ
がちゃがちゃ
がちゃがちゃむし
がちゃがちゃめ
くだまぎ
くだまき
くつあ
(キリギリス)
うり
うりー
うりーっちょ
うりん
うりーん
うりんちょ
ぎす
ぎっちょ
ぎっちょん
きりきす
きり
きりりすめ
きりんめ
きわいっちょ
こーろ:江戸時代の呼称。
さんしょーむし
(ヤブキリ)
ぎっちょ
(ウマオイムシ)
いどひき
すいーちょ
すいちょ
すいちょむし
すいっちょめ
すいっちょん
ずいよ:北茨城市。
ずいんよ:北茨城市。
ずんよ:北茨城市。
(マツムシ)
むし
すずむし
ぢんぢろめ
ちんちろめ
ちんちろりん
ちんちろりんめ
ちんちろれん
ちんちろん
(カンタン)
よこよこ:水戸市。
(セスジツユムシ)
ずいーちょ
ずんちゃっか
(スズムシ)
すいかったね(雄)
りんりん
りんりんめ
『飛蝗・蝗虫』。
広辞苑には、『バッタ目(直翅類)バッタ科に属する昆虫の総称。一般に体は細長く、後肢は発達して跳躍に適する。脚と翅とを擦って音を発するものもある。幼虫・成虫共にイネ科などの植物を食い、農業上有害で、特に飛蝗(ヒコウ)による被害は著しい。イナゴ・トノサマバッタ・カワラバッタ・ショウリョウバッタなど種類が多い。』とある。『はたはた』とも言う。
その代表であるキリギリスは『螽斯・蟋蟀』と書く。広辞苑には、『(鳴き声に基づく語か。スは鳥や虫など飛ぶものにいう語)。@コオロギの古称。Aバッタ目(直翅類)キリギリス科の昆虫。糸状の触角が体長より長い点で、バッタと区別できる。体長約三五ミリメートル。畳んだ翅の背面は褐色、側面は褐色斑の多い緑色。盛夏、原野に多い。雄は、「ちょんぎいす」と鳴く。』とある。またこおろぎは秋鳴く虫の古称でもある(以下カマドウマ・ケラ・コオロギ類を除く。)。
また、広辞苑に『管巻:(鳴く声が糸車を繰る音に似ているからいう) クツワムシの異称。また、同じキリギリス科のウマオイ・ヤブキリを指すこともある。くだむし。いときり。いとくり。』とある。
『俚言』によると江戸時代の水戸ではコオロギとキリギリスを両方コオロギと呼んでいた。

(総称)別称:ぎす。はたぎ。がたぎ。はたはた。古名『いなこまろ』
『称呼』には『はたはた:江戸にてがちばったしやうれうばったと云。上野にてばたといふ。信州にてほったこと云。駿河にてがたきと云。伊勢にてどのと云。奥州仙台にてはったぎと云。出雲にてほとけのうまと云。長崎にてたなばたと云。』とある。
『バッタ』の語源は、@『はたはた』の約転、Aはねとびたち(跳飛立)の義 とある。では、『はたはた』の語源は明確ではない。思うに、『キチキチバッタ』に代表されるように、飛ぶ時の音が語源なっているのではないか。
方言ではイナゴとの混同が見られる。
おきち:徳島・大分。
おたか:大分。
おまんはたおり:千葉。
おやのめつぶし:奈良。
がーたー:鹿児島。
ぎす:岐阜・大分。
ぎーっちょ:徳島。
くそだか:長崎。
くまだか:高知。
たか:長崎。
たかず:種子島。
たかむし:大分。
とっねめ・とっ:八丈島。
とのり・とのりめ:八丈島。
どば:千葉。
とびっちょー:山梨。
とらぼ:青森・秋田。
とんぶし:静岡。
さんばった:栃木。
やまいな:神奈川。
はーたぎ:福島。
はったぎ:北海道・青森・岩手・宮城・福島。アイヌ語では『パッタキ』と言う。
はたはた:大阪・和歌山・兵庫・岡山・香川・徳島。
はんたんご:岡山。
(トノサマバッタ)
『俚言』には『おほいなごをいたち(京)、とのさまばった(江戸)、たか(薩摩)、いなだか(琉球)、ひゑつけ(大隈)本草の蝗虫なり。一種くるばった(江戸):きちきちばった(江戸)、たかいなご(薩摩)、くさたか(大隈)、だいこくはただ(阿波)、一種いなご(京):こたか(薩摩)、たいもさい(琉球)、いなはったぎ(南部・松前)。又つゆむし(京):くびきりばった(江戸)、あかくち(土佐)、りんりん(讃岐)は草螽なり。又とびむしおほとびむしつちいなごつちばた(土佐)、まぐそだか(伊勢)、くろと(近江)木草啓蒙。』とある。現代と違い当時はおおらかな捉え方をしていたようで種類の特定が難しいが、西国ではバッタをタカと呼んでいたことが解る。
おーと:東京。
ぎちぎちばった:栃木。

(クルマバッタ)
おーと:東京。

(イナゴ)別称:禰宜(ねぎ)『俚言』には『こたか、いなばった、いなはったき』がある。古名『いねつきこまろ』。アイヌ語では『パタパタ・タカタカ』と言う。このアイヌ語もどうやら擬音語らしい。
方言ではバッタの総称との混同が見られる。
:滋賀。稲の語源は『い』で、ご飯を指す『飯(いい)』との関係を思わせる。稲とは『飯(いい)』の根の意味か。
いかんど:静岡。
いなだか:愛媛・高知。
いなんじょ:静岡。
いなんど:静岡。
いねっちょ:静岡。
いねたか:高知。
いねとらぼ:青森。
おたか:大分・長崎。
かた:三重。
がた:愛知
がた:愛知・三重・奈良・和歌山。
ぎっちょ:静岡。
たか:高知・大分・鹿児島。
たかむし:大分。
たかんぼ:高知。
つまもり:京都。
とっ:鹿児島種子島。
とん:福井。
:埼玉。
はだぎ:青森。
はったぎ:北海道・青森・岩手・宮城・福島。
(クビキリバッタ)別称:くびきりぎす。
(ショウリョウバッタ)別称:キチキチバッタ。コメツキバッタ・いなごまろ。
おんめ:神奈川。
きちきちもし:鹿児島。
ぎっちょ:群馬。
ぎっつ:群馬。
はたおり:神奈川。
はたおりぎっちょ:群馬。
はたおりばった:神奈川。
はたおりむし:埼玉。

(オンブバッタ)
(ヒシバッタ)
くそばった:埼玉。

(クツワムシ)別称:がちゃがちゃ。くだまき。糸繰り。おだまきむし。
広辞苑には『管巻(くだまき):(鳴く声が糸車を繰る音に似ているからいう) クツワムシの異称。また、同じキリギリス科のウマオイ・ヤブキリを指すこともある。くだむし。いときり。いとくり。』とある。
『称呼』には『くだまき一名いとくり:江戸にてむまをいと云。近江にてすいととといふ。土佐にてくだまきくだむしと云。』とある。
うるまー:沖縄。
かさど:静岡。
がしゃ:神奈川・静岡。
がしゃがしゃ:埼玉・静岡。
がちゃがちゃ:東京・神奈川。
がっちゃ:神奈川。
くだから:静岡。

(キリギリス)別称:ぎす。ぎっちょ。はたおり。はたおりめ。莎(さ)の鶏。古名『きりきりす・こほろ
『称呼』
によれば江戸時代の呼称は『はたおりむし』。
『俚言』には『ぎす(京):きりきりす(畿内・伊勢)、こほろぎ(南部)、ぎりちょう(江戸)、ぎっちょう(尾張・三河)、きり(讃岐)、きいす(出雲)、うりい(水戸)、きりきりす(東国)、ぎっす(東国))、ぎっちょ(東国)、やまきす(伊勢)、うりす(近江)。原野に多し。児童籠に入れ瓜の?を与へ自ら鳴しめて玩具とす。一種あぶらっちょう(尾張)、ほんっちょうあぶらきりきりす(阿波)。』とある。
あおっ:神奈川。
あかっ:神奈川。
うりす:滋賀。
おーめばった:神奈川。
おまん:千葉・神奈川。
がった:愛知。
かま:岐阜。
ぎいっちょ:東京。
りす:千葉。
ぎす:青森・山形・群馬・神奈川・長野・静岡・愛知・福井・京都・大阪・愛媛。
きず:静岡。
きす:長野。
ぎーす:富山・静岡・島根・岡山・愛媛。
きーす:静岡。
ぎすっちょ:群馬・神奈川。
きーちょ:神奈川。
ぎーちょ:神奈川。
ぎーちょん:神奈川。
きつ:青森。
ぎっす:東国・愛知。
ぎーっちょ:東京多摩・神奈川。
きーっちょ:神奈川。
ぎっちょ:埼玉・群馬・神奈川・長野・山梨・愛知・福岡。
きっちょ:神奈川。
ぎーっちょ:東京多摩。
ぎっちょん:埼玉・神奈川・山梨・島根。
きっちょん:神奈川・山梨。
ぎっちょんちょん:福岡・神奈川。
ぎっつ:埼玉・群馬・長野。
ぎよ:神奈川。
きり:香川。
きりぎっつ:埼玉。
ぎりす:高知。
きりす:福島・神奈川・京都・奈良・高知。
きりーぞー:神奈川。
ぎりちょー:東京。
きりっす:高知。
きりっちょ:神奈川・愛知。
きりんど:広島。
きんりす:大阪。
くだから:静岡。
くだまき:佐賀・鹿児島。
げっつ:静岡。
げれす:富山。
けんば:キリギリスの雄:神奈川。
こおろ:岩手・宮城・山形。
こおろ:秋田。
じんきちがしょー:長崎。
すいっちょ:群馬・兵庫。
すいっちょん:群馬・神奈川。
たけのむし:神奈川。
ちゃっちゃ:神奈川。
ちょんぎー:島根。
ちょんぎす:愛媛。
ちょんぎーす:島根・岡山・山口・愛媛。
ちりちり:神奈川。
:富山。
とんぎりす:石川。
ののおり:鹿児島。
ひーちょ・ひーっちょ:神奈川。
ぼーっちょん:福岡。誤植か。
やまぎす:三重。

(ヤブキリ)
(ウマオイムシ)別称:すいっちょ。すいと。
いむしめ:八丈島。
すいっちょん:宮城・埼玉・静岡。

(マツムシ)
ちんちょろりん:鹿児島。
(カンタン)
(セスジツユムシ)
(スズムシ)
ほろほろ:静岡。
ハリガネムシ 広辞苑に『針金虫:@ハリガネムシ目の袋形動物の総称。その一種のハリガネムシは、体は針金状で極めて細長く、数センチメートル〜九○センチメートルで、淡黒色。幼虫は水生昆虫に寄生し、のち他の昆虫(カマキリなど)の体内で成虫となり、脱出して淡水中に帰り、自由生活を営む。寄生された昆虫は生殖能力を失う。Aコメツキムシ科の昆虫の幼虫。』『米搗き虫・叩頭虫:コメツキムシ科の甲虫の総称。普通体長約一センチメートル。全身黒褐色ないし黄褐色で、紡錘形。胸の関節は特殊な構造をし、仰向きにされても頭で地を叩き跳躍して起き上がる。体をおさえると盛んに頭を振って人が米を搗くのに似る。幼虫は地中や朽木中に生息し、針金虫と呼ばれて植物の根を害する種類もある。米踏(コメフミ)虫。額突(ヌカズキ)虫。』とある。
あしまき:静岡。
ヒトリガ・シロヒトリ・アメリカシロヒトリ けまんたろー:ヒトリガの幼虫・アメリカシロヒトリの幼虫。
じじばばけむし:シロヒトリの幼虫:爺婆毛虫。
たろけむし:ヒトリガの幼虫。
たろーむし:シロヒトリの幼虫。
たろむし:ヒトリガの幼虫。
とーこーじ:シロヒトリの幼虫。
ばばけむし:シロヒトリの幼虫・ヒトリガの幼虫。
ばばむし:ヒトリガの幼虫。
広辞苑には『白灯蛾:ヒトリガ科のガ。中形で、開張七〜八センチメートル。全体白色で、腹に赤い点がある。夜、灯火に飛来。幼虫はオオバコなどを食う。』とある。
ヒル (総称)
びる
びーる
びるめ
びーるめ
ひるめ
びーるんぼ
(チスイヒル)
たびる
(ウマビル)
びるめのいげーの:鹿島郡。
まびる
まんびる
やまびる
(コウガイヒル)
おかびる
のびる
やまびる
(その他)
いたびる:種類不明。ハバヒロビル・ヒラタビルのことか。
『蛭』。
広辞苑には『ヒル綱の環形動物の総称。体は細長くやや扁平で環節から成り、前後両端の腹面に吸盤があり、
前吸盤の中に口がある。雌雄同体。魚類・貝類、時に人畜などの皮膚に吸着し、血を吸う。池沼・水田・渓流などにすみ、チスイビル・ウマビル・ヤマビルなど種類が多い。』とある。
血を吸うヒルには、ヒラタビル、ハバヒロビル、ヤマビル(ヤマヒル)、ウマビルが代表的だが、土浦でしばしば血を吸われたのはチスイヒルである。雨の後の家の回り等で黒いハンマー形をした細長い形をしたものを見かけたが、こちらはコウガイヒルで血は吸わない。ウマビルは最も大型でいかにも沢山血を吸いそうだが実は人畜から血を吸う能力は無い。
チスイヒルは大型なのに比べ小さなヤマヒルは大した事無いと思いがちだが、低い山の沢筋歩きなどでとんでもない被害を被ることがある。チスイヒルの場合は水の中にいるのでズボンをずり上げたり半ズボンのことが多いので食われたのが直ぐ解るが、山歩きではズボンを履いているので、食いつかれたのに気が付かない。気がついてズボンを上げて毟り取った後もなかなか血が止まらない。数時間も血が止まらないことがあり、休み毎に血を拭わないと、膝下が血だらけになってしまう。血が止まっても何日も痒みが残り、傷はなかなか治らない。
(総称)
:鹿児島。
ひい:鹿児島。
びる:岩手・宮城・山形・福島・栃木・静岡。
ひーる:東京武蔵村山・神奈川・静岡。
びろ:秋田。
ひろ:青森。
へーる:静岡。
へろ:秋田。

(チスイヒル)

(ウマビル)

(コウガイヒル)『俚言』には『「本草啓蒙」みみかきびるかみなりびる(北近江)、あまびる(播磨)、かったいびる(伯耆)』とある。
広辞苑には『こうがいびる【笄蛭】:陸生の渦虫類の一群。体は扁平で長い紐(ヒモ)状、頭部が笄形、すなわちイチョウの葉形。体長五〜五○センチメートル。淡黄色に暗褐色の縦縞のあるもの、黒色のものが多い。蛭(ヒル)の類とは全く別類で人体への害はない。』とある。
コウガイヒルは、今でも都心の住宅地の枯葉を浚うと見ることが出来る。
フウセンムシ おじゃむし
かみあむし
さーむし
はだらぎむし
ひこーきむし
『風船虫』。
広辞苑には『ミズムシ科の水生昆虫、特にコミズムシの俗称。池沼にすみ、夏、夜に灯火にも飛来。捕えてコップに紙片などと共に入れておくと、それにつかまって水面に浮上し、また潜る動作をくりかえす。』とある。
フナムシ 広辞苑に『ふなむし【船虫】:ワラジムシ目(等脚類)の甲殻類。体は長卵形、灰褐色、体長約四センチメートル。第二触角は長い。胸脚はよく発達し、岩・船板などの上を群をなして走る。日本各地の海辺に分布。』とある。
せん:静岡。ゴキブリをも言う。
ブユ、ブヨ ぶゆ
ぶよ
広辞苑に『蟆子・蚋(ぶゆ):ハエ目(双翅類)ブユ科の昆虫の総称。ハエに似て小さく、体長二〜八ミリメートル。黒褐色、翅は透明。雌は人畜から吸血。刺されるとかゆく不快。幼虫は水中にすみ円筒形。老熟すれば繭を作って蛹(サナギ)となる。ぶよ。ぶと。』とある。
野原を走り回る昭和30年代の子供には大敵だったが、今ではブヨに刺されたなどと聞くことはない。
:青森・秋田・福島・新潟・富山・長野・岐阜・静岡・熊本。
ぶと:静岡。
ぶとー:静岡。
ボウフラ ぼーふり ひんひんむし:鹿児島。
ホタル おやぼたる:ゲンジボタル。
ぼーたる:古河市。
ほーたる:県広域。
ほたるめ:県広域。
ほたろ:−。
ほーたろ:古河市・猿島郡。
ぼたる:ゲンジボタル。
『蛍』。
広辞苑に『ホタル科の甲虫の総称。体は軟弱で細長く、背面は扁平。触角は糸状。熱帯を中心に、世界に約二千種が分布。そのうち腹端に発光器をもち、夜間、青白い光を点滅するものを指すことが多い。幼虫は水生で肉食、発光するものがある。わが国にはゲンジボタル・ヘイケボタル・ヒメボタルなどの種類があり、特に前二者は古来蛍狩の対象となり、飼養もされる。ほたろ。なつむし。くさのむし。』とある。
『俚言』には『ほたる:「本草啓蒙」古今同名ほたろ(京)、ほうたろ(播磨・三河)、ほうたれ、本草の蛍火なり。一種つちぼたる(出雲)、みづぼたる(筑前)、むしぼたる(筑後)、みみずぼたる(出雲)は蛍蛆なり。くさぼたる(筑前)は宵行なり。』とある。
長音形は、格助詞の萌芽期の名残だろう。
うるむし:鹿児島。
:静岡。
とっちん:愛媛。
ほたい:鹿児島。
ほたーる:神奈川。
ほーたる:青森・神奈川。
ほたれ:鹿児島。
ほたろ:秋田・神奈川・長野。
ほーたろ:福島・長野・静岡。
ほーたろー:静岡。
ほったろ:長野。
マツカレハ まづむし
まづけむし
まづむし
まつむし
まつくいむし
まづくいむし
まつっけむし
『松枯葉』。
広辞苑には『カレハガ科のガ。全体茶褐色で大形。開張五〜七センチメートル。前翅は黒帯と点斑列とがある。幼虫は松毛虫で、松の葉を食う法定の森林害虫。』とある。
マユ、繭 まい :鹿児島。
ミズカマキリ カメムシ目タイコウチ科の水生昆虫。
かっ:東京武蔵村山。同じカメムシ目のタガメは、『カッパムシ』と言うからそれにちなんだ方言。
ミズスマシ あめりか
あめんぼー
うずまぎむし
およむし
ごきあらいむし:水戸(俚言)。
じーかぎむし
じかぎむし
ととめ
みずかぎむし:稲敷郡。
みずまぎ:東茨城郡・行方郡。
みずまし:県広域。
みずまーし:県広域。
みずむし:県広域。
ぶんまつ:下妻市。
よごむし:常陸太田市。
『水澄まし』。
辞書には『@ミズスマシ科の甲虫の総称。また、その一種。体長約五〜一○ミリメートル。紡錘形で、背面は隆起し、黒色で光沢がある。複眼は腹背の二対に分れ空中と水中を別々に見る。水上を旋回する習性があり、小昆虫を捕食。春先から人目にふれる。ミズスマシ・オオミズスマシなど。ウズムシ。マイマイムシ。鼓豆虫。A(「水馬」とも書く) アメンボの俗称。特に俳句などに多く使われる。』とあり、アメンボをミズズマシと言った歴史があることに注意が必要である。
『称呼』には『まいまいむし:江戸にてみずすまし、同近在にてさをとめ。京にてうづむし。泉州堺にてごまいむし。大阪及西国にてかいもちかき。大和及近江越前にてまいまい。東近江にてごままいり。四国にていたこむししろかきむし。下野にてごきまわし。信濃にてすめ。加賀にてさをとめしけしけ。伊勢にてたまる。上総にてみづぐるま。美作にてみこのまひ。薩摩及肥前にてごきあらいむしなと云。此むし形丸く真黒にして小さし。水面にうかびめぐりてうづまくが如し。』とある。
『本草啓蒙』には『みづすまし(江戸周防):ごきあらいむし(江戸周防水戸薩摩備前)、さをとめ(江戸近村・加賀・上野・讃岐・伊予)、まひまひむし(京)、まひまひ(大和・近江・越前)、すめすめ(土佐)、すみすみ(備後)、ごままいり(東近江)、みこ(津軽)、かすめ(南部)、しろかきむし(仙台・四国)、まひまひこんごう(越前)、みづくるま(上総)、みこのまひ(美作)、すめ(信濃)、ゑかきむし(佐渡)、状かきむし(加賀)、かいもちかき(西国・大阪)、たまる(伊勢)、ごきまはし(上野)、本草の鼓虫なり。』とある。
いろはかき:神奈川・和歌山。
いろはむし:千葉。
うきよ:静岡。『浮き魚』か。
うずまき:静岡・島根。
うま:長野。
うまこ:岩手・秋田。
うまっこ:岩手。
うまのり:秋田・長野。
おからむし:大分。
おたゆーさん:香川。
おてらばんば:長野。
おとめ:大分。
おめ:静岡。
およ:静岡。
おんかーむし:静岡。
かーかんじょー:静岡。
がむし:福島。
かめ:島根。
かめのこ:島根。
かーりんぼ:静岡。
かわぼーたる:静岡。
かんかん:静岡。
がんがんむし:静岡。
きんきんむし:神奈川。
くるまひき:埼玉。
げんごろー:神奈川。
さおとめ:長野。
しーとめ:埼玉。
しろかきむし:宮城・福島・長野。
すいじんさん:静岡・広島・愛媛。
すいじんさま:神奈川。
すいとめ:埼玉。
すーとめ:群馬・埼玉。
すめ:長野。
そーとめむし:栃木。
たうえむし:富山。
:大分。
ちゃわんまわし:熊本。
ふーせんむし:神奈川。
まいまい:静岡・愛知・近畿・島根・高知。
らん:静岡。
ミノムシ つとこむし
つとっこむし
つとむし
『蓑虫』。
広辞苑には『ミノガ科のガの幼虫。樹木の枝や葉を糸で綴ってその中に潜み、蓑を負うような形をしている。袋の中で蛹化し、次いで成虫(ミノガ)となる。雌は成虫も無翅で幼虫と同様袋の中にすむ。袋は丈夫で、財布(サイフ)などの材料にする。鬼の捨子。鬼の子。』とある。
でれむし:熊本。
ムカデ しろむかぜ:細くて長いムカデ。
せーかぢ:細くて長いムカデ。



むがぜ
むかぜ
むがぜめ
むがで
むがでめ

もがて
もかで
『蜈蚣・百足』。
広辞苑には『ムカデ綱の節足動物のうち、ゲジ目を除いたものの総称。体は扁平で細長く、体長五〜一五○ミリメートル。頭と胴とに分れ、多数の環節から成る。各節に一対ずつの歩脚があり、数は種により異なる。頭部に一対の触角と大顎をもち、大顎から毒液を注射して小昆虫を捕えて食う。ジムカデ・トビズムカデ・オオムカデ・イシムカデなど、日本に百種以上。地表・土中にすみ、人に有害なものもある。古来、神の使い、また怪異なものとされ、藤原秀郷(俵藤太)の伝説は有名。』とある。
『もで・もがて・もかで』は『百足』(ももかち)を思わせる。
『俚諺』には『江戸にては西北の風をと云。また、ムカテを云。』とある。『はち』は、元江戸で使われたが、現代では失われ、周辺地域に残ったと見られる。
『語源辞典』には『@手が向かい合っているところから向手の義・ムカフテ(対手)の義か。Aモモイカテ(百数多手)。Bモモガテ(百手)の義』とある。
はかち:神奈川。
:茨城・千葉・東京多摩・神奈川。
むかじ:八丈島・静岡。
むかじめ:八丈島。
むかぜ:群馬・神奈川・静岡・鹿児島。
ちーち:幼児語。
ちいちい:幼児語。
うじ:幼虫:富山。
うじ:蜂の子:大分。
うじ:毛虫:奈良・山口。
みーみー:岡山・高知。
ヤスデ かんばむし
へくさ
へくさむし
やすじ
『馬陸』。
広辞苑には『ヤスデ綱の節足動物の総称。体は円筒状で体長約二〜二五○ミリメートル。頭部と多数の環節とから成り、褐色、時に赤・黒・白・青緑色。ムカデに似るが、一節に二対ずつの歩脚があるところが異なり、倍脚類ともいう。物に触れれば巻曲して円くなり、臭気を放つ。暗湿な場所に潜み、多くは腐植食性。フサヤスデ・タマヤスデ・オビヤスデ・ヒメヤスデ・ヒラタヤスデなど世界に約一万種、わが国に二百種が分布。円座虫。銭虫。古名、雨彦(アマビコ)、筬虫(オサムシ)。』とある。
ヤスデの古名は『おさむし』であることから、オサムシの古称であるへくさ・へくさむし』がヤスデの呼称になっていると思われる。
ヤママユガ じーおご:繭:爺蚕
たましー
ばけちょっ
ほどげ
ほどげさま
ほどげのたましー
やまおく
やまおご
やまおごさま
やまおごさまのす
やまおこちょーちょ
やまおごのちょーちょ
やまおごのまい
やまおごのまゆ
やまかい
やままい
やまんめー
やまんめーのちょーちょ
広辞苑には『山繭・天蚕:ヤママユガ科のガ(蛾)。黄褐色ないし暗紫褐色、翅(ハネ)に眼状紋と黒褐色の条がある。大形で、開張約一三センチメートル。幼虫は体長約八センチメートル、体の各節に剛毛を粗生する。クヌギ・ナラなどの葉を食い、黄緑色で楕円形の繭を作る。日本各地の山地に分布。ヤママユガ。天蚕(テンサン)。山蚕(ヤマコ)。』とある。『ウスタビガ』参照。
やまめ:鹿児島。
ヨコバイ、横這い (総称)
でんきむし
よごとび:ヨコバイ・ツマグロヨコバイ。
よごべー:ヨコバイ・ツマグロヨコバイ。
(テングスケバ)
でんきむし
(ハゴロモ類)
でんきむし
はど:アオバハゴロモ。
はどむし:アオバハゴロモ。

『でんきむし』と呼ぶのは、人体にたかると体液を吸い、その時ちくりと痛むからである。イラガも同じ名前で呼ばれる。
(ウンカ類)
うんか
広辞苑には『横這い:カメムシ目(半翅ハンシ類)ヨコバイ亜目(同翅類、これを独立のヨコバイ目とすることがある)の昆虫の総称。また特に、そのうちのヨコバイ上科の昆虫。体長三〜一三ミリメートルでウンカ類に似るが、触角は短い糸状で、その基部も細い。近づくと横に這って、葉裏にかくれる。オオヨコバイ・ツマグロヨコバイ・イナズマヨコバイなど種類が多く、農作害虫も多い。汁液を吸収し、またウイルスを媒介するものもある。』とある。

(総称)
(テングスケバ)
(ハゴロモ類)
(ウンカ類)
さべ:鹿児島。
はと:ウンカの類:神奈川。
ヨトウガ どろぼーむし:幼虫・ヨトウムシ。
:幼虫・ヨトウムシ。
りむし:幼虫・ヨトウムシ。
よどーむし:幼虫・ヨトウムシ。
よどむし:幼虫・ヨトウムシ。
よとむし:幼虫・ヨトウムシ。
よどーめ:幼虫・ヨトウムシ。
よとーめ:幼虫・ヨトウムシ。
『夜盗蛾』。
広辞苑には『ヤガ科のガの一種。全体暗褐色、前翅に多くの黒い条と黒線に囲まれた白色の斑紋とがある。開張四・五〜五センチメートル。幼虫は夜盗虫。成虫は春・秋に発生。また俗に、この種と近縁の種も含めていう。やとうが。』とある。
ワタムシ ゆぎじるし・ゆぎふり・ゆぎぶり・ゆぎふりむし:ワタムシ・リンゴワタムシ・ユキムシ。
わだむし:リンゴワタムシ。
しーらのばんばー・しらんば・しらんばんばー・しーらんばんばー:神奈川。
しろばんば・しろばんばー:神奈川。
ふし:神奈川。
ワラジムシ かばむし
かびむし
かぶむし
かぶらむし
かぶりむし
かぶれむし
かぶれめ
かめむし
かんじぎむし
こはぜむし
しけむし
ぞーりむし
にわつく:猿島郡。
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