昔の茨城弁集
昭和35年〜45年頃の茨城弁集
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◆印:『土浦の方言・続土浦の方言』掲載語。■印:『土浦市史・民族編』掲載語。▲印:『茨城方言集覧』掲載語。印:新編常陸国誌掲載語。印:茨城方言民俗語辞典掲載語。印:茨城弁今昔掲載語。印:物類称呼掲載語。●印:『国立国語研究所・日本語情報資料館・電子資料館・日本言語地図・方言文法全国地図』掲載語。▼印:日本方言大辞典掲載語。印:日本方言辞典掲載語。浪花聞書掲載語。印:俚言集覧掲載語。★印:使用例とその標準語訳。黒太文字:標準語。
茨城弁 標準語訳 備考・解説・使用例
(ち) 方言理解のための基本単語。
@ち:@舌尖と上前歯との間で形成される無声破擦音〔t〕と母音〔i〕との結合した音節。〔ti〕A平仮名「ち」は「知」の草体。片仮名「チ」は「千」の全画の転形。→ぢ
Aち【千】
(1)百の十倍。せん。〈神代紀上訓注〉
(2)数の多いこと。万一二「百(モモ)に―に人は言ふとも」
Bち【父】
(チチのチ) 男性である祖先・親・親方などに対する親愛の称。記中「うまらに聞しもち食せまろが―」
Cち【血】
Dち【乳】
Eち【茅】
Fち【路・道】
Gち【霊】
(複合語として用いる) 自然物の威力・霊力を表す語。「いかずち(雷)」「おろち(蛇)」など。
Hち【地】
Iち【池】
いけ。水のたまったところ。「―畔」「貯水―」「電―」
Jち【知】
Kち【治】
Lち【値】
Mち【恥】
Nち【致】
Oち【笞】
Pち【智・知】
Iち【遅】
Rち【痴】
Sち【稚】
21ち【置】
22ち【徴】
23ち【質】
24ち
中国古代の横笛。竹製で、吹き口が嘴(クチバシ)のように突き出る。
25ち【箇・個】
【接尾】物の数を表し、また数詞の下に添える語。つ。連濁して「ぢ」ともいう。記下「金(カナスキ)も五百(イオ)―もがも」。「はた―」→じ(箇)
26ぢ
「ち」の濁音。舌端を硬口蓋に触れて、声を破裂させる子音と母音〔i〕との結合した音節。古代語では〔di〕。現代の標準語音では「し」の濁音「じ」と同じ。
(てぃ) 五十音タ行の第2音 茨城では、『ti』と発音することがある。濁音形も同様で『di』と発音することがある。その理由は、え段とい段の混同による。以下、本項の『ち』『ぢ』は全て同様である。また、一見標準語の『ち』と同じように発音しているような人でも僅かにシャープさが足りず『つ』に近い発音が残る人がいる。『ちゃん』を『つぁん』と言っていた時代の筋肉感覚が抜けないのだろう。東北でも『ち』が『つ』になることがある。また逆もある。
うつ:家:青森。
うつわ:団扇:青森。
ちる:鶴:青森。
つかい:近い:青森。
つゅーい:注意:青森。
まち:松:青森。
おめすーやるっち(てぃ・ちぇ)いったっ:お前はすぐ遣るって言ったろうが。
なんぢ(でぃ・ぢぇ)だ:なんでだ。
まーだやってぃいみーな:まだやっていないだろうが。
いづもーやってぃんでぃすよー:いつも遣っているんですよ。
(ぢ) 鹿児島。
ぢし:利子:鹿児島。
〜ぢ
〜ち
〜の家 『〜の家(うち)』が転じたもの。清音なら標準語の俗語。
のうち→んうちんち
おらぢではそったごどやんねどなー:俺の家ではそんなことやらないぞ。
(〜ち) 【助動】〜たい 福島。足音化した動詞に付く。
〜ぢ(でぃ)
〜ぢぇ
【助】〜で、〜では(じゃ) 足音化した動詞に付く。
古代語の『ぢ』の発音が残っていると言える。ほぼ英語の『di』の発音。しかも『i』は英語とほぼ同じである。
『新方言』には『〜チ,ジ 「〜て,で」;福島県などで,(re)teが/tje/を経て変化;チェ/tje/は音韻体系からいって位置づけの難しい発音だったので,もっとありふれたチ/ci/に置き換えた;福島県(講座);新日;→クッチ,〜ニ』とある。
そんぢはだいだ:それでは駄目だ。
ひとんぢはさむしー:独りでは寂しい。
〜ぢぇる、〜ちぇる:〜している。
ひとんぢぇいいでる:ひとりでに動いてる。
〜ぢ(〜でぃ〜)
〜ち(〜てぃ)
〜ちー
【助】〜(し)て 単に接続助詞『て』が転じたもの。現代では『ち(chi)』と発音するが、かつては、『てぃ(ti)』と発音する人がいた。
〜ち:茨城・和歌山・高知・福岡・大分・佐賀・長崎・宮崎・鹿児島。
〜ちー:八丈島。
あーさー、かおあらってぃだらー、とーちゃんらー、はーでがげでだんだわー:朝、顔を洗っていたら、お父さんはもう出かけてたよ。
みぢくる・みっぢくる・みでぃくる:見てくる。
いっちぐれっか・いっちくれっか、いってぃくりっか:行ってくれるかい。
ばーちゃんがやっちくっちだよ:おばあちゃんが遣ってくれたよ。
『新方言』には『クッチ 「くれて」;福島県の方言では,クッチェ,クンニェのように,標準語に本来なかった発音/tje/, /nje/を使っていたが,若い人はチ,ニのように標準語にある発音を使うようになった(講座);新日;→クンニ,キランニ』『〜チ,ジ :〜て,で。;福島県などで,(re)teが/tje/を経て変化;チェ/tje/は音韻体系からいって位置づけの難しい発音だったので,もっとありふれたチ/ci/に置き換えた;福島県(講座);新日』とある。
『〜ち』は関東から九州まで広域に分布する。
★『土』:汝(わ)りや馬鹿(ばか)だな本當(ほんたう)に、何(なん)ち馬鹿(ばか)だんべなあ
〜ぢ〜
〜ぢー
〜ち
〜ちー
【助】@〜と言う、〜だそう、A命令形の動詞につく強調の終助詞、〜でしまえ、〜ちゃえ この助詞を使ったバリエーションは膨大にある。基本形は『〜ち』である。
@『〜ちゅう』(〜と言う)は分解すれば『〜ていう・〜という』となるが、万葉集にもある古くからの言い方。。茨城では『〜とゅー』という言い方もある。『〜ちゅう』はかつて『〜ちゆう』だったとすると、茨城には古形が残っていることになる。江戸言葉では『〜てえ』。古語の『〜ちふ』に当たる。
〜ち:和歌山。『でも『類は類』ちさか(というから)、それはそーかなと思うけどよ』。
〜で:秋田。
〜でぁ:秋田。
なんだっちんだ?:何だっていうんだい?。
A促音化または撥音化した動詞に付く。驚いたことに語法も言葉も全く同じ方言が八丈方言にある。
『〜し』と同じ語法だが、使う人が限られ、間も無く消えて行く。やっちーよ・やっちぇーよ:やっちゃえよ。
〜ちや・〜ちーや:〜てよ・〜だそうだよ。
〜ちよ・〜ちーよ:〜てよ・〜だそうだよ。
はーおやしたっちよ:もう終わったってよ。なんだっちんだ:何だって言ってるんだい。
★『土』:知ってっ處(とこ)でなくっちゃ盲目(めくら)だから面倒見てくれるっち人もあんめえしなあ:知っているところでなければ、めくらだから面倒を見てくれるって言う人もないだろうしなあ。
★『土』:汝(わ)りゃ馬鹿だな本当に、何(なん)ち馬鹿だんべなあ:お前は馬鹿だなあ本当に、何て馬鹿なんだろうもう。
★『土』:何(な)んちいか寄(よ)せて見(み)せえ:何て言うか口寄せして見せなさい。
★長塚節『芋掘り』の一節:そんなことゆふな理窟っちいものぢゃねえか:そんなことを言うのは理屈って言うものじゃないか。
『新方言』には『フッタッチーヤ 「降ったそうだ」;老人はフラッチーヤ;八丈島末吉の若者(国語研1985:249)』とある。この『ふったっちーや』は茨城方言でもある。古語で言えば『降りたりてふや。』。
『新方言』には『〜チ,ジ 「〜て,で」;福島県などで,(re)teが/tje/を経て変化;チェ/tje/は音韻体系からいって位置づけの難しい発音だったので,もっとありふれたチ/ci/に置き換えた。』とある。
ちー 幼児語。『乳』は古くは『ち』であったが、現代では『ちち』と言う。幼児語が一般化した可能性が高い。現代でも『乳呑み児・乳飲み子』が残る。長崎では乳母を『ちーうば』と言う。
ちー ●灸 きゅう→きーちー。音通現象。
ちー 味噌汁、汁 :露:鹿児島。
ちい:露:八丈島。
ちー にきび 東茨城郡・真壁郡・筑波郡・水海道市・新治郡・竜ヶ崎市の方言。『乳』に由来すると思われる。『乳』には『釣鐘の表面に数多く並んでいる疣(イボ)状の突起』の意味がある。
:千葉。
ちー:静岡。
ちいぼ:長野。
(〜ちー) 【接尾】〜ちゃん 静岡。
ちあらもっこ
ちーあらもっこ
【形動】いい加減な様、でたらめ 古い言葉の『ちゃらぼこ・ちゃらっぽこ』の転。現代語の『ちゃらんぽらん』のルーツと思われる。
『民俗』では『無駄遣い・浪費』の意味としている。
ちあんばい
ちあんべー
@血液の運行する道筋。血脈。A産褥時・月経時・更年期などの婦人に見られる、頭痛・逆上・めまい・温熱感・寒冷感・発汗などの症状または子宮病の俗称。血の病。 『血の道』。『血の塩梅すなわち血の具合』の意味
ちーい @注意、A中位、B中尉
◆●ちいちゃい 【形】小さい 標準語。
◆ちいと 【副】すこし 『ちと』の転。
ちいん 住む土地に基づく縁故関係。 『地縁』。
(ちえ) 鹿児島。
〜ちぇー 【助動】願望を表す助動詞。〜(し)たい。 『〜ちゃい』。多く促音化した動詞に付く。
〜ぢぇ
〜ちぇ
〜ちぇー
【助】〜(し)て、〜て、〜で 古くは『でぃえ』(dye)『てぃえ』(tye)と発音した。
『新方言』には『クッチ 「くれて」;福島県の方言では,クッチェ,クンニェのように,標準語に本来なかった発音/tje/, /nje/を使っていたが,若い人はチ,ニのように標準語にある発音を使うようになった(講座);新日;→クンニ,キランニ』とある。
『〜ぢぇ、〜ちぇ』という言い回しは次第に無くなる。tiと発音することもある。促音化した動詞に付く。『新方言』の解説と一致する。
〜ちぇ:山形・福島。山形では促音化しない。みろちぇ:見ろって。
やっちぇねー:遣って無い。
ちっとまっちぇろ:ちょっと待ってろ。
はいぐしろっちぇ:早くしろって。
〜ぢぇ
〜ちぇ
〜ちぇー
【助動】〜(し)ちゃえ 『〜ちぇ・〜ちぇー』は茨城・千葉・東京で使われると言う事は関東方言の可能性がある。
〜ちぇ:東京。のしちぇ:やっつけてしまえ。
〜ちぇー:千葉。
〜てまえ:神奈川。
〜ぢぇー
〜ちぇー
【助動】〜(し)たい。 願望を表す助動詞。
〜っち:福島。
〜っちー:福島。
(ぢぇくる) 【動】出来る 鹿児島。
(ちぇすと・てすと) 【感】快感の感嘆詞 鹿児島。
(ちぇちょ・ちしょ・ちちょ・ちゃんぢょ) 鹿児島。
(ちぇつ) 鹿児島。
(ちぇっ・ちぇっ 鉄砲 鹿児島。
ちぇっんたま:鉄砲玉:鹿児島。
(ちぇで) 手代 鹿児島。
広辞苑に『手代:@江戸時代、郡代・代官・奉行などに雇用され、収税その他の雑務をつかさどった小吏。A頭(カシラ)に立つ人の代理をなす者。江戸時代の商家では番頭と丁稚(デツチ)との中間に位する身分であった。』とある。
〜ぢぇな
〜ちぇな
〜ぢぇない
〜ちぇない
〜ぢぇなや
〜ちぇなや
【助】〜てな、〜だそうだね
〜ぢぇない
〜ちぇない
〜ちぇねー
【複】〜(し)ていない おらーやっちぇねーど:俺は遣っていないよ。
〜ちぇやる 【複】〜(し)てやる、〜(し)てあげる 足音便を伴う。
〜たる:関西。
〜ちゃー:佐賀。
〜ぢぇみ
〜ちぇみ
【複】(し)てみなさい 〜ちおみ・ちょみ:大分。
〜ぢぇも 【複】〜でも 〜ぢぇん:〜でも:鹿児島。
〜でん:〜でも:鹿児島。そいでん:それでも。
そんぢぇも:それでも。
〜ちぇも 【複】〜(し)ても いぐらゆっちぇもなおんにぇ:いくら言っても直らない。
〜ぢぇる
〜ちぇる
【助動】〜てる、〜している 足音便の動詞に付く。
関西では『〜とる』が変化した『〜ちょる』に該当する。
ぜーぶんはなっちぇる:随分離れている。
(ぢぇる) 【動】出る 鹿児島。
〜ぢぇろ
〜ちぇろ
【助動】〜てろ、〜していろ 足音便の動詞に付く。
いまっとはなっちぇろ:もっと離れていなさい。
(ちえん) 住む土地に基づく縁故関係。 『地縁』。
ちえん:血縁:東京。
(ちぇん) 貂(テン) 鹿児島。
(ちぇんご) 悪戯 鹿児島。
(ちぇんば) お喋り 鹿児島。『転婆』。
〜ちが
〜ちか
【助】〜しか ひゃぐいんちがねーのが?:100円しかないの?。
〜ぢが
〜ぢーが
〜ちが
〜ちーが
〜ちか
【助】〜て、〜だって? 促音を伴って使われる。標準口語の『〜てかい』に相当する。
なんだっちが?:何だって言うんだい?。
んだっちがやー:そんなこと言って無いだろう(そうじゃないだろう)。
んだっちーが:そうなんだって?。

【動】違う :静岡。
ちごっ:鹿児島。
:青森。
・ち:違うよ。
ーべ:違うだろう。
がっ:違うだろう。
ちかあ すぐに止む雨
あれる 【複】血が汚れる 産後20日の間に油ものや魚を食べると血が荒れると言われる。
ちがい 【形】近い
ちーいり 宙返り
いる
える
【動】@交叉させる、A交換する、他と異なるものにする、B正常の位置からはずす、(筋などを)痛める、C間違える 『違える・交える』。
いる
える
【動】不作になる :作物の出来が悪いこと:神奈川。
うすい 血縁上遠い
ちかおどり 近寄って見ると、遠くから見るより劣って見えること。 『近劣り』。
がった
かった
【複】違っていた 『痛かった』という言葉のように、形容詞『いい』に対する対語として『違う』を形容詞として使っているもの。今や都内にも進出し始めたらしい。
『新方言』には『カッタ 「違う」の過去形,「違っていた」;最近の東京の新方言;意味が形容詞的なので,過去の継続的な状態を示すのに「カッタ」をつけたのだろう;関東北部や東北南部では,昔から使っていた;埼玉/千葉を経て,東京下町の若者の言葉になったらしい;東京都付近では青年層使用率40%近い;神奈川にも進出中;群馬県(ことに東部)では,東京型の新方言として10年間で使用者が増えた;1991年に静岡県出身の大学生も言うと聞いた;1993年東京外国語大学のレポートに「ちかった」と書いてあったので驚いた;1994年には広島の中学生と母親が使いはじめたとの報告があった;福岡県にも使用者が出ている;沖縄でも児童生徒が使う;マンガや深夜番組経由の飛び火型伝播か?。』とある。
ただし、『違いてありけり)』(【けり】は過去の助動詞キとアリとが結合したものとする説と、動詞キ(来)とアリとが結合したものとする説とがある。動詞・助動詞の連用形に付く。)のような表現から生まれた『かり活用』形が残ったとも考えられる。
かった:栃木・埼玉・東京。
あれ!ちがったが?:あれ!違った?。
よーぐみだらちがってもーしわげねーごどしたわ:良く見たら間違っていて申し訳ないことをした。
がっ
がっへ
がへー
【複】違うだろう 形容詞『いい』に対する対語として『違う』を形容詞として使っているもの。
ちがーり
ちか
ちかーり
天気が変わり易い様 『近い』+『変わり』。
【複】違うの連用形 『痛く』という言葉のように、形容詞『いい』に対する対語として『違う』を形容詞として使っているもの。
『新方言』には『 「違って」;外語大レポートの文章で「違くはないのか」と書いた学生あり(1994);茨城出身;形容詞としての用法が拡大しつつある』とある。動詞である『違う』を形容詞的に使っているもの。
うぐ:そうではなくて:宮城。
ぐする
くする
【動】【複】@思いがけないものになる、A変える、B間違える 『痛くする』という言葉のように、形容詞『いい』に対する対語として『違う』を形容詞として使っているもの。
B2008年『ちくする』を神奈川の30代男性が使うのを耳にした。
ちーぐせ
ちーぐせー
ちーくせ
ちーくせー
中学生
くて 【複】間違っていて、違っていて 『痛くて』という言葉のように、形容詞『いい』に対する対語として『違う』を形容詞として使っているもの。今や都内にも進出し始めたらしい。
くて:埼玉。
『新方言』には『クテ 「違っていて,違って,そうじゃなくて」;「チガクテー」と,尻上がりイントネーションでいうのを,首都圏で耳にする。』とある。
くない
ぐねー
くねー
【複】間違い無い、(疑問形の場合は)間違ってない? 『痛くない』という言葉のように、形容詞『いい』に対する対語として『違う』を形容詞として使っているもの。
くない:栃木。
これちっとちぐねーが:これはちょっと間違ってない?
ぐなった 【複】変わってしまった、違ってしまった 『痛くなった』という言葉のように、形容詞『いい』に対する対語として『違う』を形容詞として使っているもの。
『新方言』には『クナッタ 「違った/同じでなくなった」;「チガクナッタ」という言い方も便利である;地方によっては,以前から「チガウクナッタ」と言っていた;地方での形容詞の勢力拡大の一例である;伊豆半島では老人もいう。』とある。
ぐなる 【複】変わってしまう、違ってしまう 『痛くなる』という言葉のように、形容詞『いい』に対する対語として『違う』を形容詞として使っているもの。
清音形の『ちがくなる』は近年標準語話者も使うようになってきた。
くなってる:違っている:東京。
いーんや、ぜーぶんちぐなったなやー:いやあ、随分変わったねえ。
こい 【形】@血縁上近い、A違っている A★こぐしてはだいだよ:間違っては駄目だよ。
さる 【動】間違える
ちかしー 【形】親密である。したしい。 『近しい』。やや古い標準語。
ちかしー:東京。
しぬ 内出血する、血豆が出来る しぬ:群馬。
つめんちしんちった:爪が血豆になっちゃった。
ぢがたび
ぢかたび(じかたび)
◎ちかたび
地下足袋 広辞苑によると『(「地下」は当て字。直ジカに土地を踏む足袋の意) 丈夫な布と厚いゴム底から成る主として労働用のはだしたび。』とある。一般には『じかたび』と発音するが、清音形の『ちかたび』も辞書掲載されている。茨城では多く清音形が用いられたが、清濁双方が併用されるのは茨城らしい。理論上は『ぢがだび』もあり得るがあまり耳にしなかった。
ちなみに『ちかたび』の場合の『ち』は無声音である。
ちかちか 【副】@ちくちく、A親しく、近しく、B近々
ーど
ーどー
【複】違うぞ、違うよ
ちかどなり 近隣
ちかば 近いところ、近所 『近場』。
ちかば:東京多摩・神奈川。
ちかづぎ 知人、知り合い あまり聞かなくなった『近づき、お近づき』。
ちがづぐ
ちかつく
【動】近づく
ちーっご
ちーっごー
ちーっこ
ちーっこー
中学校
ちかっと 【副】ちょこっと、少し 土浦市に隣接する新治郡の方言。
ちょこっと・ちくと→ちこっとちかっと
ちかっと:山形・岩手・宮城・福島・佐賀。
ちか 【副】ちくちく えか:山形。
△ちかま 近所、近いところ 『近間』。やや古い標準語。
ちかま:宮城・新潟。
ちかまいる 【動】捕まえる ちかまえる:鹿児島。
ちんまえる:静岡。
ちかまさり 遠くで見るよりも近くで見る方がまさっていること 『近優り・近勝り』。
ちかまーり @近道、A近所 『近回り』。
A・ちかまーり:静岡。
ちかまわり:神奈川。
ちかまる 【動】捕まる
ちかみ 近場 この『み』は場所を示す接尾語。
ちかみ:神奈川。
ちかみぢあるぎ 近道をすること
ちかめ 近視、近視の人 『近目・近眼』。
ちかめる
ちかめ
【動】捕まえる
ちがら
ちーがら
ちから
力、能力 清音形は標準語だが、語法に相違がある。県内では、濁らないのが一般的だが、当時の土浦市の上大津地区では濁るのが一般的だった。
べんきょーぢがらつおい:勉強する能力が高い。
〜ぢがら
〜ぢーがら
〜ちがら
〜ちーがら
【助】〜と言うから 『〜っちゆーがら』が訛ったもの。
ちからいし 力比べをする石 『力石』。
建築では石工事で、コーナーの石の裏補強の石を『力石』と言う。
ちからおどす 【動】落胆する 『力を落す』。短縮化・濁音化。
ちからおどり 他より力が劣ること。また、その人。 『力劣り』。
ちからじぐ 【形動】力ずく
でや
ーでや

ーど
【複】違うぞ ちごど:鹿児島。
ちからまさり 力のすぐれていること。また、その人。 『力優り』。
ちーかよーり
ちーかりょーり
中華料理
ちがる
△▽ちかる
【動】@座る、A載る、乗る 『集覧:猿』。『つがる』。『着く』が訛ったものだろう。
@・ちかる:茨城・栃木、
A・ちかる:埼玉。
△▽れる
ちかれる
【動】枯れる、葉が枯れる 『木枯れる』『干枯れる』意味か。県央部を除く周辺地域に分布するため、古い方言と考えられる。
ちかん 時間 高齢者限定の言葉。
こごでちかんでるちかんはなんちろだ?:ここで痴漢が出る時間は何時ごろだ?。
このちかんはにーすのちかんだ:この時間はニュースの時間だ。
〜ちかん 〜時間 『〜じがん』
濁音化と清音化が共存するのは茨城方言の特徴でもある。この場合の『ち』は無母音で発音される。
この清音化現象は、意識して話しているわけではなく、濁音化した発音がややしにくいことから自然にそうなったものだろう。。
いぢじがん・いぢちかん:一時間。
ろぐじがん・ろぐちかん:六時間。
ちぎ
ちき
『集覧:無記載』。当時の高齢者の言葉。『つ』が『ち』に変化するのは東北にもあり、秋田方言の有名な『ちかれたべー』がある。
(ち 静岡。
広辞苑に『ちぎ【杠秤・扛秤】:ちぎばかり』『ちぎ‐ばかり【杠秤・扛秤・杜斤】:近世、一貫目以上の重い物の目方を量るのに用いた大桿秤(サオバカリ)。ちき。ちぎ。ちきり。ちぎり。』とある。
ちーぎ 中風(ちゅうふう・ちゅうぶ・ちゅうぶう)、脳卒中等の後遺症一般 『中気』。死語。=『ちーぶ』
『中気』とは広辞苑に『中風のこと。半身の不随、腕または脚の麻痺する病気。脳または脊髄の出血・軟化・炎症などの器質的変化によって起るが、一般には脳出血後に残る麻痺状態。古くは風気に傷つけられたものの意で、風邪の一症。中気。風疾。』とある。
『中気』とは『本気』に対して名づけられた言葉と推測され、半身不随の症状以外にも意識障害があったためであろう。日本の医学の進歩がそのまま言葉に表れている。
ちーぎ 地域
〜ちぎ
〜ちき
【助】〜だって、〜らしい、〜だそうだ 『〜ちけ』がさらに訛ったもの。
★『土』:仕事(しと)畢(しま)っちゃ一合(ふ)位(れえ)引(ひ)つ掛(か)けて直(す)行(い)っちゃあんだっちけ、それ今日(けふ)は早(はや)くから來(き)てたんだっちきや。
(ちきい) 竿秤 鹿児島。
『杠秤・扛秤』(ちき・ちぎ・ちきり・ちぎり・ちぎばかり)。
ちきしょ
◆ちきしょー
ちきしょめ
ちきしょーめ
@【感】畜生、罵倒語、Aけだもの、獣 『ちきしょう』は俗語。
@・ちきしょ:福島・千葉。
ちきしょー:埼玉・千葉・静岡。
つきしょー:宮城。
つくしょ:宮城。
つくしょー:神奈川。
ちきしょら
ちきしょーら
あいつ等
(ぢきじん) 琉球人 鹿児島。
ちきちきばった ショウリョウバッタの別称
竿秤 新治郡。広辞苑に『ちぎり・ちぎりき(乳切木):両端を太く、中央を少し細くけずった棒。元来、物を担うためのものであるが、喧嘩などにも用いた。』とあり、担い棒と竿秤を混同したものと見られる。
【動】抓る(つねる) 青森・岩手で使われる東北系方言。
つねる→ちねる→ちにる→ち
:青森・岩手。
れち 幾つにもちぎれたさま。きれぎれ。
ちぐ

■●△▽ちく
ネットサイトでは、一般にこれこそ茨城方言の真骨頂のように言われるがそうではない。
茨城県内では、南部に集中し、北部では一部でしか使われない。土浦では濁音形が多く使われる。鼻濁音形もまれに使われる。清音形は女性が使うことが多い。
『言語地図』によると『ちく』は、茨城南部・栃木南部に集中し北部はまばらになる。埼玉では茨城に隣接する一部地域にしかない。『ちくらっは茨城県西部に、『ちくらっは埼玉の茨城に隣接する一部地域で使われる。
『日本方言大辞典』では、『ちく』は五番目に位置づけされ、『ちくら・ちっくり・ちっち』を嘘の意味としてまとめてくくられている。『ちは、不ぞろいの意味が主である。これは、『ちは、もともと不ぞろいの意味の茨城方言である『ちぐたに由来するか、『ちぐはに由来する可能性をも示すものであろう。
『称呼』には『いつはり(うそ)といふを(中略)常陸下野邊でちくとも又ちくらくとも云。尾張にては謀計なる事すべて深きたくみをちくらくと云。』とある。
『広辞苑』には、『ちく:(関東方言) うそ。』とある。
『物類称呼』「うそといふを常陸下野辺にてちくとも又ちくらくともいふ」』とある。
『俚言』には『ちくぬく:下野にて虚言をいふ。又ちくらっともいふ。』『ちく:又ちくらっ。館林にて虚言をいふ。』とある。
『常陽芸文』によれば、『古代朝鮮の筑羅島が語源で、対馬の近くに巨済島という島があり、古くは『筑羅島』といわれた。この島と対馬の間の海は、朝鮮と日本との潮境にあたり、『筑羅が沖』と呼ばれた。『筑羅』は『ちく』となり、潮境の持つどちらに属するともいえないイメージから転じて『どっちつかず』の意味で使われるようになり、さらに『いいかげん』『うそ』の意味に転化していった。』と言う。
 ちなみに『筑羅』広辞苑に『@朝鮮と日本との潮境にあたる海。ちくらが沖。A転じて、どっちつかずの意。』とある。類似語に『筑羅者』(どこのものともわからない者。どっちつかずの者。)がある。同義語に『筑羅が沖』、類義語に『筑羅者』(どこのものともわからない者。どっちつかずの者。)がある。
古事記や日本書記には大和時代に戦乱の朝鮮半島から多くの朝鮮人が渡来し、東国や常陸、下毛野(下野の古称)、武蔵に住まわせた記録が残っている。『筑羅』系の方言は、栃木東部、群馬の一部、島根等に残るが、茨城が最も顕著である。しかし、『筑羅』『ちく』はルーツが異なる可能性もあり、単に『痴句』の意味だったり、『痴愚』(馬鹿)が転じたり、『ちぐはぐ』が訛ったと考えても間違いではないような気がする。ちなみに遠く離れた九州地方でも『ちく』を『ちぐはぐ』(不揃い)の意味で使われているという。『ちと発音されるのはその名残だろう。
『常磐沿線』では独特の推察がされており、
嘘をつくんだべし→嘘をつくんだんべ→嘘つくんだんべ→嘘つくだっぺ→つくだっぺ→ちくだっぺ と変化したとしている。
一方、『ちくる』という言葉がある。『告げ口する』意味である。この言葉は『ちくり・ちくちく』等に由来し、刺す説と『口』の倒語の説がある。『ちくる』は新しい言葉で、江戸時代からある茨城方言の『ちく』との関係性はあり得ない。
『茨城のことば』(遠藤忠男)には古老の話として以下の引用がある。『江戸時代。肩いからした浪人が太刀の柄に手をかけ、「下郎なおれ。そこなそっ首、打ち落としてくれる。」と怒声を発したとき、遠巻きの見物人から野次が飛んだ。「ちくだ、ちくだ、竹光だ。ちくが抜けるか。」。その声に思わず浪人が振り向いたすきに、土下座していた下郎はすばやく逃げ出して無礼打ちの難を逃れた』。また、投稿による似た説に『「ちく」とは竹のことであり、竹は地下茎のため抜くことができない。したがって、竹(ちく)を抜くのは嘘であるというのが語源である。』がある。これは、前記の『茨城のことば』の古老の話に似ていて面白い。しかし、嘘をつく意味で『竹(たけ)を抜く』と言う言葉が合わせて存在すれば、有力な説とされると思われるが、そのような言葉は無い。
どこかにつながりがあると思われる言葉に『いんちき』がある。広辞苑には『(安斎随筆、印地鎗の図説に見える、遠江国小笠郡の方言で、餌を用いない釣針のことをいうインチキ(「餌エ無き鉤チ」の転)からか。また、イカサマのイや穴一・一六勝負のイチなどに、排斥・軽侮の意をもつ接尾語チキがついたものとも考えられ、未詳)』とあり、語源は特定されていない。
何故、茨城及びその周辺にだけ『嘘』の意味の『ちぐ・ち・ちく』があるのかも合わせて考える必要がある。
さらに茨城には古い方言として『ちんから』がある。『千』は『ち』とも読むから『千三』『万八』のように確率表現の『千空』の意味なのか、『ちんからり』(内部に何物もないさま・からっぽ)の意味が転じたか。中身が無いことは嘘に通ずる。この『ちんから』を『千空』と表現したとしたらこれは『ちくう』と読める。『ちく』の語源の一つとして無視してはいけないのではないか。
ちなみに、現代標準語の『嘘』の語源は、『語源』によると『@ウキソラ(浮虚)の義。またウキソラ(浮空)の略か。Aウチソラ(内空)の義。B実質のウスキ、或いは其の失せたる言の意。C古語ヲソの転。Dヲソ(獺)に擬して言う語。カワウソが尾を振って人をばかすという俗言から。E虚を意味するアザの転訛。Fウソ(烏素)で、烏は黒いのにシロ(素)いといつわりをいう義。G口をすぼめて唇を突き出したまま声を出すウソブク(嘯)から。ウソも不真面目な調子の作り声でいうことが本来の意。Hウはウツセミ、ウツケのウ、ソはソラコトのソ、うつけたそらごとの意。Iウは大なる義。ウソは大いにそむく意。J「迂疎」の音、Wusoから。』とある。
茨城では『ちぐ・ち・ちく』と言うことから元は『ちぐは(それぞれ対応すべきものがくいちがって揃わないさま。)と同源だったのかも知れない。
いんちく:ごまかし:福井。
うす:大分。
おげ:香川。
おげった:香川。
おそ:福島・石川・鳥取。
きやーっ:神奈川。
からっちく:埼玉東部。
ごーら:岩手。
すらごと:福岡・佐賀・熊本北部。
そら:埼玉の一部。
そらっ:千葉中央・群馬東部・長野西部。
そらっ:埼玉西部。
:半ば:大分
ちぐ:半ば:静岡・愛知。
:不揃い・はんぱ・おろか・ばか:静岡。
ちく:茨城・栃木・埼玉の東部・群馬の一部・千葉の一部。
ちくりんぼ:島根。
ちょーば:千葉。千葉ではカ行音のK音が消滅する傾向があるから、格助詞を含めた『ちくをば』が転じたのだろう。
だだー:神奈川。
でんぼ:群馬。
てん:山形南部・新潟東部。
どてらっ:栃木。
ばし・ばす:秋田中央。『ばし』は少ない。
ばち:静岡。
ぼが:岩手。
ぼんが:岩手。
ぼんぎ:岩手。
やぐど:冗談:青森。
やぐど:嘘:秋田。
ちぐだっ:嘘でしょう。
★長塚節『芋掘り』の一節:四つ又もちっと眼がチクになったな。そりや一番粉で糟がへえらねえだ。甘かんべえ。:ここ場合の『ちく』は嘘の意味ではなく、概ね『ちぐはぐ』の意味だろう。結果として、『ちぐはぐ』(不揃い)の意味が最も有力と思われる。つじつまが合わないことを略して『ちく』と言っても可笑しくない。
★『土』いや本当でがす。わしゃ嘘(ちく)なんざいうな嫌(きれえ)でがすから:いや本当です、私は嘘なんかを言うのは嫌いですから。
ちぐ
ちく
【動】着く、付く ちぢーらさまーだちーでねーんだどよ:土浦にまだ着いてないんだってよ。
はーちーだどよ:もう着いたって
【動】死ぬ 行方郡の方言。『しがさらに訛ったもの。
〜ぢぐ
〜ぢ
〜ちぐ
〜ち
【助】〜して行く しごどやっちぐ:仕事を遣って行く。
(ちくい) 【形】低い 静岡。
ちぐいー
ちくいー
●【動】嘘をつく、【名】うそつき 『いー』は『ゆー』との中間音。
ちぐいぢ
ちくいぢ
【名】【副】一つ一つ順を追うこと。いちいち詳細に。 『逐一』。
ちくおんき 大嘘つき 那珂郡・東茨城郡・岩井市・行方郡の方言。広域に偏在する。蓄音機と大嘘つきには関連性は見出せないので『ちく』+『瘟鬼』(疫病神)の意味か。
ちぐこ
ちぐころ
ちぐこぐ
ちくこく
【動】嘘をつく
ちくさ 秩父産の布で着物の裏地に使うもの
ちくしょーばら 女が一回に二子以上を産むこと。また、多産をののしっていう語。 『畜生腹』。

▲▼
【形動】ちぐはぐ 『集覧:久』。
(ちくた) 背の低い人 静岡。
【形動】ちぐはぐ、互い違い 『ぐ』は鼻母音。『ち(それぞれ対応すべきものがくいちがって揃わないさま)の『ちぐ』は『値遇』(出合うこと、めぐりあうこと)、『はぐ』は『反遇(はぐれる)』で、出会ったりはぐれたりする様が転じたとされる他、一揃いの『一具が逸れる(はぐれる)』意味が転じたとする説もある。この方言は、『値遇反遇』を『ちぐうたんぐう』と呼んだことに由来するのではないかと思われる。実際県北部では『ちんたんと言う。北茨城市では『ちくったはった』と言う。
『俚言』には『:器の不具なるをいふ。ちく、又かたちなといへり。』とあることから『ちくく』の流れとも考えられる。
明治の静岡でも全く同じ方言があった。
:静岡。
:バランスがとれないこと:静岡。
ちぐだまし
ちぐだます
ちくだます
【動】嘘をつく ちくだます:栃木。
(ぢくつ) 理屈 鹿児島。
ちぐつぐ
ちくつく
ちくをつく
【動】嘘をつく
ちぐっこ
ちぐっころ
ちぐっと
ちくっと
ちくと
【副】少し、ちょっと 『ちょこっと』。『ちくと』は近世語で『ちょっと』の意味。
ちかっと:山形・岩手・宮城・福島・佐賀。
ちくと:山形。
ちーくと:山形。
ちくとばかり:少しばかり:宮城。近世語。『俚言』掲載。
ちくとばり:少しばかり:宮城。
ぱぐ 【形動】ちぐはぐ 『集覧:猿』。
ちくとんべー 【形動】少しばかり、ちっとばかり 猿島郡の方言。『ちっとんべー』のルーツ。
『俚言』には『ちくとんべい:上州にて少々ばかりをいふ。』とある。『ちくと』は近世語で『ちょっと』の意味。
(ぢくな) 【複】利口な 鹿児島。
ちぐぬがす
ちくぬかす
【動】嘘をつく 『ちぐぬぐ』より、してやられたという印象が強い。
ちくぬかす:栃木。
ちぐぬがすな!:嘘つくな!。
ちぐぬがせ
ちくぬかせ
【慣】嘘つけ!
ちぐぬぎ
ちぐぬき
ちくぬぎ
・■▼ちくぬき
うそつき
ちぐぬぎばなし
ちくぬぎばなし
根拠のない話、嘘
ちぐぬぎぼ
ちぐぬぎぼー
ちくぬきぼー
嘘つき
ちぐぬぐ
ちくぬぐ
ちくぬく
ちぐーぬぐ
ちくーぬぐ
ちくーぬく
【動】嘘をつく 『集覧:多・新』。長音形は『を』が変化したもの。栃木では『ちくらぬく』と言う。
『抜く』だけで『ごまかす。だます。』の意味があった。
『俚言』には『ちくぬく:下野にて虚言をいふ。又ちくらっともいふ。』とある。
ちくぬく:栃木。
ちくらぬく:栃木。
どてらっーゆー:栃木。
むかふく:宮城。
ちぐぬげ!:嘘つけ!。
ちぐぬいだらべろぬがれっと:嘘ついたら舌を抜かれるよ。
ちぐぬげ 【複】嘘つけ!
ちぐばーしゆー 【複】嘘ばかり言う
ちぐばなし
ちくばなし
根拠のない話、嘘
ちぐばなしきかせる 【動】絵空事を言う
ちぐばなしゆー 【動】嘘をつく
ちぐまぐ
ちぐまげる
【動】嘘をつく
ちぐぶづ
ちぐぶんぬぐ
【動】嘘をつく 『うそぶく』。
(ぢくもん・ぢこーもん) 利口者 鹿児島。
ちぐゆー
ちくゆー
【動】嘘をつく 『俚言』には『ちくを言う:下野常陸にてうそをいふをちくをいふと云。又ちくをぶんぬくとも云。』とある。
ちーくらか
ちーくれか
@中くらい、A中途半端 土浦市にしかない方言。本来は『中くらいの加減』の意味。
ちぐらがす 【動】騙す、ちくる
ちぐらぐ
ちくらぐ
△○ちくらく
うそ 『御洒落(おしゃらく)』(おしゃれ)の言い回しを真似たか?。『集覧:西・猿』。
江戸時代の文献『物類称呼』にも掲載されている言葉。
ちくらく:栃木・群馬東部。
ちぐらっ
ちくらっ
ちぐらっ
ちくらっ
ちくらっ
うそ 『ちぐ』と同義語。『集覧:西・猿』。
『俚言』には『ちく:又ちくらっ。館林にて虚言をいふ。』『ちくぬく:下野にて虚言をいふ。又ちくらっともいふ。』とある。
県西部では『こちくらっとも言う。
ちくらっ:栃木・群馬。
ちくらっ:茨城西部・千葉・栃木・埼玉東部・群馬東部。
ちくらっ:栃木南部・埼玉東部。
ちくりんぼ:栃木・島根。
ちぐらっつぐ
ちぐらっぬぐ
ちくらっぬぐ
ちぐらっーぶんぬぐ
【動】嘘をつく ちくらぬく:栃木。
★『土』:博勞(ばくらう)なんちい奴等(やつら)は泥棒根性(どろぼうこんじやう)無(な)くっちや出來(でき)ね商賣(しやうべえ)だな、嘘(ちく)らっう打(ぶ)んぬいて、兼等(かねら)汝(わ)りや、俺(お)れことせえおっ嵌()める積(つもり)しやつて。
ちーくらーり
ちーくるーり
宙返り
ちぐりー
ちくりー
【動】嘘をつく、【名】うそつき 『り』は『れー』との中間音。
ちー
ちーれー
ちーくれ
ちーくれー
ちゅーぐれー
ちゅーくれー
@中くらい、中位くらい、A真ん中あたり、中間 たんねがらちーくれーちーくれー:血が足らないから中位血をちょうだい。
ちくをいう
ちくをぬく
ちくをぶんぬく
ちぐをゆー
【動】嘘をつく 『俚言』には『ちくを言う:下野常陸にてうそをいふをちくをいふと云。又ちくをぶんぬくとも云。』とある。
ちくをぬく:栃木。
(ち 弁当箱 静岡。
広辞苑に『ちげ【鉤笥】:漁夫が漁に出るとき携行する、釣具を入れた手箱。漁夫の弁当箱のことをいう地方もある。つげ。海ちげ。沖箱。海箱。枕箱。』とある。
〜ちげ
〜ちーげ
〜ちけ
〜ちーけ
〜ちっけ
【助】@〜だって、〜らしい、〜だそうだ、〜だとか、A〜と言ってるの? 東関東方言。
近世語風に言えば、『〜てえかえ、〜てえかい』となる。
『〜って』に当たる、=『すけ・ちけ』
〜てえかい・〜てかい(関東方言)→〜てがい〜てげー・〜てけー〜てげ・〜てけ〜ちげ・〜ちけ〜しけ・〜しげと変化したと考えられと解り易い。
ただし『〜てえかい・〜てかい』は、質問・反問を示すので、若干意味が異なる。しかし、考えてみると不思議な言葉である。『ち』が『し』に変化することは、茨城方言では他に例が無いからである。『け』は標準語にもあり、『けり』が変化した過去を表す古語の『き』の流れ。思い出したり、相手の関心に訴えたりする気持を表す助詞である。
『〜ちから』は関西方言の『〜さかい』に相当する。中世語に『てえり』(と言へり)がある。『しけ』の存在を含めるとルーツがますますすます解らなくなるが、『しけ』『ちけ』が転じたと思われる。
〜にてと言いにけり→〜にてといひけり→〜といひけり→〜ていふけ→〜ちひけ〜ちけと訛ったか。現代でも主に東京西部を中心に『〜てか』がある。
〜ちけ:福島・千葉。
〜ちけ:〜から:千葉。
〜つけ:宮城。
〜ちげが・〜ちけが:〜なんだって?。
〜ちけど:〜だそうだ。
〜ちけや:〜だそうだ。
なんちけ:何て言うんだっけ・何て言ってた?。
★『土』:そんでも疱瘡神(はうそうみ)は赤(あけ)え手拭(てね)好(す)きだつちげな。
【名】@違い、A間違い、B不作、【形】C違う 『新方言』には『「違う」;都内某男子校では圧倒的使用率(1994);「別冊マーガレットお正月増刊」(1991.1.10号)に漫画の用例「バーカ ちげーよ」あり;1992年東京外国語大学のレポートによれば,埼玉県川口市や東京都内の塾の中学生が「チー」といっているとのこと;その後高校生も使っているとの口頭の報告もあり,急速に広がっているらしい;新しい形容詞「チガイ」の終止形が,まず口語的な形で出現したわけだ;ただし「チガイ」という音融合以前の形は1994年現在報告を聞かない。』とある。
@・:埼玉。
B・:山梨。
C当時ごくまれに使う人が居た言葉。本来は『ちー』。今や新方言の格付けをされている。近年、『ちげーよ』(違うよ)が若者言葉になっている。
:神奈川。
ちけー 【形】近い 江戸言葉。
ちけー:埼玉。
ーなし
ーねー
【複】違いない 江戸言葉か。
ちーけーほーそー 中継放送
ーる 【動】@(筋などを)痛める、A不作になる、B間違える 『違える』。
A・:不作:山梨。
B★『土』:そんだお内儀(かみ)さんさうえ錢(ぜに)は自分(じぶん)の役(やく)に立(た)てせえしなけりゃどうしても違(ち)えあんすべえね
ーねー
えねえ
【動】違いない 江戸言葉。
ちーーり 宙返り
ちげる
▲▼ちける
【動】載せる、乗せる、着ける 『集覧:猿』。
きける:載せる:神奈川・静岡。
ちける:載せる:宮城・茨城・栃木・埼玉・神奈川・山梨。
つこえる:供える:宮城。
ひける:神奈川。
ゆける:載せる:岡山。
ちー 忠言、忠告 『ちゅうげん』なら標準語。この『忠言』という言葉も当時は良く使ったが、最近はぱったりと聞かない。『忠告』よりずっと柔らかな言葉だと思うのだが−−。
(ちこ) 【複】近く 鹿児島。『ちこう』。
都合
ちこい
ちーこい
【形】小さい、ちっこい ちーかい:佐渡島。
ちーくい:静岡。
ちくさい:長野。
ちごぐ
ちこぐ
遅刻 標準語では『遅刻』の『ち』は無母音である。『ちごぐ』の場合の『ち』は有母音、『ちこぐ』の場合の『ち』は無母音である。
(ちーごーごー) 出血 沖縄。
ちこし
ちこーし
【形動】少し 江戸言葉。『浮世』には『子供衆には少(ちこ)しっばりのものでござりませう。』とある。
ちくし:山口。
ちー 中腰
ちーこしゃ 中古車
ちーしゃぐ @お節介(な言葉)、A忠言、忠告 『忠』+『講釈』?。当時は良く使ったことば。
ちごっと
ちこっと
【形動】ちょこっと、少し、ちょっと 『ちょこっと』。
『ちくと』は近世語で『ちょっと』の意味。新治郡では『ちかっと』と言う。
ちと→ちっと→ちくと→ちこっと→ちょこっと。
ちくらほくら:少しずつ:山形。
ちこちこど:ちょこちょこと:山形。
ちごっと:福島。
ちたらほたら:少しずつ:山形。
(ちこに・ちこん) 【複】近くに 鹿児島。『ちこうに』。
ちごんき
ちこんき
ちこーんき
蓄音機 『洗濯機』同様。耳から聞こえる音から訛が発生する例。方言とは言い難い。
ちーさ 注射、駐車
ちさい 【形】小さい
ちーざいしょ 駐在所
(ちさっら) 平たいもの 静岡。
(ぢさん) 鹿児島。幼児語。
ちじ 辻(交差点) ちーじ:神奈川。
よっちじ:四辻。
ちしね うるち米 別名『うるごめ・うるしね』と言うので『うるしね』が訛ったのだろう。『集覧:那』。
(ちしね) 【複】切れない 宮城の方言。関西では『きれへん』に当たる。
『き』『ち』になるのは東北特有の訛り。『し』は受身の助動詞『す』の変化したものと見られる。『切れる』は『ちしる』と言う。
ちーしゃじょー
ちーさじょー
駐車場
ぢしゃのき エゴノキ 別名の『チシャノキ』が訛ったもの。落葉高木。やや地味な白い花が無数に咲き、庭園や公園でよくみかける。未熟な果実(果肉)は有毒で魚毒としても利用された。『ロクロギ』とも言う。
ちーしょぐ 間食 『中食』の意味。
ちじる 『血汁』(ちしる)。濁音化。
〜ぢす(でぃす) 【助】〜です そーんでぃすねー:そうですねえ。
ちすじ 血縁、親戚 『血筋』。
ちーすーしんけー 中枢神経
ちせー
ちーせ
◆●ちーせー
【形】小さい 文語では『ちさい』と言う。『ちいせえ』なら江戸言葉。
ちーしー:静岡。
ちーしゃー:静岡。
ちーしゃい:静岡。
ちせ:青森。
ちーせー:神奈川。
ちーせーしばぐだん 中性子爆弾
ちそ 紫蘇(しそ) 『集覧:多』。
古語には『ちそ』はなく紫蘇を使う料理がもしかしたら『ご馳走』だったのではないかもしれないと思わせる。
『し』と『ち』が無声音化することで、『し』と『ち』の交代が発生したと考えられる。
きそ:東京・神奈川。
ちさ:秋田。
ちそ:秋田・福島・東京・神奈川・長野。
ちそー:長野。
ちそっ:神奈川・山梨。
〜ぢだ
〜ちた
〜ちだ
〜ちぇだ
【助】〜てた 『〜ちた』の『ち』は無声音の場合がある。標準語の話者の中に時々『遣ってた』を『やっつた・やっとぅた』のように言う人がいる。『つ』も『とぅ』も無声音である。
ひとたばごすっちだのにみずぶっかげっちゃあんめ:人がタバコを吸ってたのに水をかけるなんてないだろう。
ちーたい 中退
ちーだぢ ついたち 八丈島でも『ちーたち』と言う。
ちだらぐ 血だらけ
ちだらげ 血だらけ
ちだらまっが
ちだらまっか
ちーだらまっか
血だらけの様、血だるま ちだらまっか:福島・栃木・群馬・長野。
ちーだらまっか:栃木。
ちだらまっかん:栃木。
ちんどろ:山梨。
ちだらまっがでろでんびん
ちーだらまっかでろでんびん
ちだらまっかでろでろびんびん
血だらけで泥だらけの様、ひどい怪我をする様 実際にこのような様は滅多にないが表現上強調して良く使われた。
ちーだん 山腹 『中段』の意味。
ちぢ
ちぢっこ
ちちっこ
ちちこんぼ
@・:静岡。現代では『乳呑み児・乳飲み子』が残る。
Aその他。
ちち:稲の実:神奈川。
ちち:羽織の前についている羽織の紐を取り付ける輪:神奈川。
ちち:旗・のぼり・草鞋のへりについている紐通しの輪:神奈川。
うしめのちぢ:牛乳。
ちち 松の瘤から出る樹液 乳は『植物の葉・茎を傷つけた時に出る乳に似た樹液。』も指す。傷をつけると樹液を出す植物を『乳草』(ちちくさ・ちぐさ)と言う。
茨城では、ジシバリ・ニシキソウ・ノゲシ等を『ちちくさ、ちちぐさ』と言う。
ちぢ
ちち
槌(つち) 『集覧:猿』。
◆▲ちぢ
ちち
『つぢ』。『集覧:猿』。
『つ』が『ち』に変化するのは東北にもあり、秋田方言の有名な『ちかれたべー』がある。
『俚言』には『ちちかぶり:「和名抄」に×を訓り。此魚かじかに似たり。近江の石部邊にちちんかぶりとちんかぶりなど云。京師りくらひ、又江戸だぼはぜあり。此類なり。又かじかは近江伊勢にて、ちちこ、ちちんこ、とちんこなどもいふ。』とある。「和名抄」に書かれた文字が読めないが間違いなくハゼの類を指している。この中の『ちち』とは土を指している。『土地(とち)』も辞書を調べると土の意味がある。『地』はそれだけで土を意味する。すなわち土を『ちち』と言うのは茨城だけではなく江戸でも使われ、関西にもあり、全国的なものだったことが解る。
『父』の古代語は『ち』だったとされる。『ち』を重ねて現代の『ちち』になったとされる。同様の言葉に『耳』がある。古代語は『み』だと言う説がある。『乳』の古代語は『ち』である。『足』『あ』である。『魂』『ち』とも言う。『ち』が根源的なものを指す古代語だとすれば、『地』は地上の根源であり、『乳』()は子供を育てる根源であり、『血』は体の根源である。『ち』を重ねて『ちち』となり『土』を意味しても不思議は無い。また、『ちち』も『つち』も最初の音は無声音であることから、『ちち』が『つち』に訛ったと考えることもできる。
魂を表す『ち』の代表語は『大蛇(おろち):(オは「峰」、ロは接尾語、チは霊威あるものの意) きわめて大きな蛇。うわばみ。だいじゃ。』(広辞苑)とある。類似語法に『いかずち』(雷)、『かぐつち(迦具土)』(火の霊力)、『みずち(蛟)』((古くはミツチと清音。ミは水、ツは助詞、チは霊で、水の霊の意) 想像上の動物。蛇に似て角と四脚とを持ち、毒気を吐いて人を害するという。)がある
土は、八丈島でも『ちち』と言う。土浦は茨城では『ちちうら』などと言う。
青森・新潟では母を『ちち』と言う。福島・新潟・三重では拗音化して『ちゃちゃ』と言う。
すな:千葉。
ちぢ:千葉。
ちち:福島・千葉。
つづ:宮城。
つつ:青森。
★『土』:俺(お)ら土(ちゝ)噛(かぢ)ってもそんな料簡(れうけん)は出(だ)さねんだ。
ちぢ
ちぢり
【形動】散りぢり、ばらばら 『千千・千箇・数千』(数の多いさま・さまざま・いろいろ)が転じたもの、その語源の中には『散々』の意味も含まれている。
ちーち
ちーちー
ちーちめ
ちーちーめ
ネズミ
ちーち
ちーちー
@【名】虫、A【形動】ネズミの鳴き声 幼児語。
@の意味で『ちいちい』なら近世語。特にシラミを指して呼んだとされる。
ちーち
ちーちー
おっぱい 幼児語。『乳』または『汁汁』あるいは『ちゅうちゅう』の意味。
ちーち
ちーちー
幼児語。『小さい』意味か。
ちーち
ちーちーぜみ
ちーちせんみ
ちーちめ
ニイニイゼミ 鳴き声に由来するか『小さい』意味。
ちーちーぜみ:東京多摩。
ちーちー 【形】@小さい、Aやかんがちんちん鳴る様 @八丈島ではすみれを『ちーちーばな』、山梨では三男坊を『ちーちーぼー』、次男坊を『ちーぼー』と言う。
ちーちー:静岡。
Aは子供のころ、標準語はおかしいのではないかと思ったものだ。薬缶はどう聞いても『ぴゅー』とは鳴るが『ちん』とは絶対言わない。ましてや『ちんちん』なんてまず言わない。絶対『ちーちー』の方が近いと思った。長じてから知ったのは、笛鳴りではなく蒸気で蓋が上下してかたかたする音だったことを知った。
ちぢいり
ちぢいれ
作物の生育中に鍬などで土を根のきわにふるいこむこと 『土入れ』。
ちぢうら
ちちうら
土浦 地には、古くは土の意味があった。一方格助詞の現代語の『の』は『つ』と言った。これから、土浦とは、古くは『ちつうら』だったのではないかと考えるのも面白い。当時の呼称である『ちちうら、ちぢうら』と読んだ根拠になりうる。
《土浦は、お乳の裏あだりにあんだっが?》
 実際に有力な説と言われるのは『土屋藩の「土」と十一の「浦」の合成地名という説と「津々浦々」から転訛したという。』である。ただし、土屋氏が統治した土屋藩が誕生したのは江戸後期で、『土浦』の地名が歴史に刻まれたのは現れるのは『土浦市史』によれば、安土桃山時代の文禄年間であるから、辻褄が合わない。また土屋氏のそれ以前の歴史記録については不明で、むしろ音韻からは、『津津浦浦』(つつうらうら・つづうらうら)の方が信頼性があるようにみえる。つまり『ちぢうら』は、元は東北方言に近いように見える『つづうら』で、さらに元をたどると『つづうらうら』だったのかも知れないのである。
ちーちぇー 【形】小さい 小さい→ちっちゃい→ちーちゃいちーちぇー
ちーちぇー:埼玉。
(父親の呼称) 二人称は、『おどっつぁん、とおつぁん、とっつぁん、おどっつぁ、とっつぁ、とっつぁま、おどうさん、おどうぢゃん、とうぢゃん』、『とうちゃん』が一般的だった。三人称では『とっつぁん、とっつぁま、おどう、おっどう、おっど、おっとう、おっと、おどっつぁま、おどっつぁん、おどうさん、おどうぢゃん、とうぢゃん』等。『とうちゃん』が最も一般的。その家の慣習により異なることが多かった。母親の呼称と1:1で対応しないのは私の当時の世代環境にあったと思う。ちなみに新治郡(今のかすみがうら市)生まれの私の母親は『おどっつぁん』と言っていた。
県下全ての呼称を列挙すると、あっさー、あにー、おちゃん、おっちゃ、おっちゃーおっちゃまおっちゃんおっどーおっとーおっどおっとおどー、おどーさんおどーぢゃんおとちゃん、おどっさま、おとっちゃん、おどっつぁおどっつぁー、おどっつぁまおどっつぁん、じゃっちゃーちゃいや、ちゃん、ちゃんやー、つぁーとーとーぢゃんとーちゃんとーつぁん、とっちゃんとっつぁ、とっつぁーとっつぁまとっつぁんとなる。
幼児言葉は『たた、だだ、だだあ』が訛った『だーだ、だーだー、だった』
山形・福島では『ちゃちゃ』、栃木・千葉・長野・鳥取・島根では『ちゃっちゃ』と言う。
ちぢかいない 【慣】辛抱が足りない 隣接する石岡市の方言。語源不詳。
ちち 粘土 『集覧:真』。『ちち』は『土』の意味なのだが、『がば』が解らない。『かべちち』の倒語かもしれない。
ちぢがまる
ちぢかまる
ちちかまる
【動】縮こまる 『縮かまる』。
ちぢがむ
△ちぢかむ
ちちかむ
【動】@縮む、Aかじかむ 『縮かむ』。
@・ちぢかむ:山梨。
A・ちぢかむ:静岡。
ちちくい ウラシマソウ
ちちくさ 道ばたに生えている草 稲敷郡。『辻草』の意味と考えられる。
ちぢくび
ちちくび
乳首 清音形なら標準語。『ちくび』の転。『ぢ』は有声音、『ちち』の二番目の『ち』は無声音。
ちちくび:埼玉。
つこくび:宮城。
ちぢぐる
ちちくる
【動】男女が密会する 広辞苑に『ちちくる【乳繰る】:(「乳」は当て字) 男女が密会する。上方では、「ちぇちぇくる」「ちゃちゃくる」などという。』とある。
ちちくる:ふざける:静岡。
ちぢぐれる
ちぢくれる
【動】@縮む、Aちぢれる A・ちぢくれる:神奈川。
ちぢげる
ちぢける
ちちける
【動】@縮む、Aかじかむ、B縮れる @は標準語の『縮ける』(ちぢける)。
B・ちちける:高知。
ちーちこい 【形】小さい
ちぢこ
ちちこ
土塊
ちぢこね 子供の土遊び 『土捏ね』の意味。
つづごね:宮城。
ちぢこばる
ちちこばる
ちぢごまる
ちちごまる
ちちこまる
【動】縮む、縮こまる 『縮こまる』。
ちぢくばる:青森。
ちちこばる:屈む・しゃがむ:秋田
ちぢごまる:屈む・しゃがむ:山形。
つづこまる:宮城。
ちぢごめる 【動】@縮める、A小さく押さえる @・ちぢごめる:山形。
ちぢころ
ちちころ
土塊 ちぢくろ:スズメ:千葉。
ちちじ ツツジ
ちちじもぢ 餅病にかかったツツジの葉 子供のとき良く食べた。ただし『さざんかもぢ』の方がうまい。
ちーちーたごがいな 【慣】ちゅうちゅうたこかいな おはじきなどで、『二、四、六、八、十』と数える代わりに使う言葉。
ちぢっくび
ちちっくび
乳首
ぢぢっけ
ちぢっけ
縮れ毛
ちぢっこまる
ちちっこまる
【動】縮こまる 濁音化・清音化・促音化。
ちぢっこまる:群馬。
ちぢっころ
ちちっころ
土塊 『つぢっころ』
ちちっと 【副】少し、ちょっと
ちちっびら
ちぢっ
ちちっ
ちぢっ
ちぢっ
ちちっ
ちちっ
ちち
ちぢ
ちぢ
地面、地表 『集覧:新・無記載』。三重・徳島・愛媛では『つちべた』と言う。茨城では、土を『ちち、ちぢ』と言うので、これは西日本の方言の流れということもできる。
ちぢっ
ちちっ
土塊 鋤や鍬でさくった土塊は、多く薄い形状なのでそう呼ぶと考えられる。
ちぢっぼごり
ちぢっごり
ちちっこり
土埃
ちぢばぢ
ちちばぢ
ちちんばぢ
ジバチ(クロスズメバチ) 『土蜂』の意味。
ちぢふまず 土踏まず
ちぢぼごり
ちぢごり
ちちこり
土埃
ちぢぼっち
ちちぼっち
山状に盛り上げた土
ちぢ
ちち
土塊 鋤や鍬でさくった土塊は、多く薄い形状なのでそう呼ぶと考えられる。
ちぢや 牛乳屋 『乳屋』の意味。
ちーちゃい 【形】小さい ちーちゃい:静岡。
(ちぢゅむ・ちゅぢゅむ) 【動】縮む 鹿児島。茨城にあってもおかしくない訛。
ちぢゅーら
ちちゅーら
ちぢーら
ちちーら
土浦 代表語は『ちぢーら』
ちぢらん
ちちらん
大風 県北では、昔吹いたと言う強風を『千々乱風』(ちちらんう・ちぢらんー)と呼ぶ。勝田市から那珂湊にかけてあった三つの村が砂で埋まったと言う言い伝えがある。
ちぢり
ちぢり
ちぢりっけ
ちぢれっけ
縮れ毛
(ちちんぷいぷい) 子供が怪我をしたりぶつけた時痛みを和らげる呪文 『ちちんぷいぷい』は、『ちちんぷいぷい御代(ごよ)の御宝(おんたから)。一説に「智仁武勇は御世のお宝」という。』とある。
県北では、昔吹いたと言う強風を『千々乱風』(ちちらんう・ちぢらんー)と呼ぶ。勝田市から那珂湊にかけてあった三つの村が砂で埋まったと言う言い伝えがある。この強い風で痛みを吹き飛ばす意味だろう。このことから、この方言は、標準語の『ちちんぷいぷい』が訛ったのではなく、『千々乱風・千々乱寒風』の意味と考えられる。
見方を変えれば、以下の茨城県内のまじない言葉の多さから標準語の『ちちんぷいぷい』は、この茨城方言が語源の可能性もあるだろう。
ちちんかんんほい:那珂郡。
ちぢらんかんかん:土浦市。
ちちらんかん:県広域。
ちちらんかん:東茨城郡。
ちぢらんかん:県西・県南部・土浦市。
ちぢらんかんん いでーのいでーの (あっちのやーまに) とんでっちぇ(ちちんぷいぷい痛いの痛いの(あっちの山に)飛んでってしまえ):土浦市。
ちちらんかん:筑波郡。
ちちらんかんん かへいのまじない あっちのやまにとんでけほい:東茨城郡・土浦市。
ちぢらんかんん きちかへい のろいで っとなおれ:新治郡。『きちかへいのろい』とは『気違いの呪い』の意味か。
ちぢらんかん:土浦市。
ちぢらんかん:土浦市。
ちぢらんかん:矢田部郡。
ちぢらん:取手市。
ちんらんやんん あっちのやまさ いっちまい:西茨城郡。
つちんかん:行方郡。
また、那珂湊市では、目にゴミが入った時のまじない言葉として『いどさへーれ、かーさへーれ、ちちらんん』がある。
ちつ 地図
〜ちっか 【助】〜しか 『〜ちか』がさらに訛ったもの。
それちっかあんめ:それしかないだろう。
ちっかがる
ちっかかる
【動】(小便・水などが)かかる 『ひっかかる』。
ちっかげる
△▽ちっかける
【動】(小便・水などを)かける 『しっかげる』。『ひっかける』。『ちっかける』は千葉でも使われる。
ちっかる 【動】@座る、A載る、乗る A・ちっかる:埼玉。
(ちっくらほっくら) 【副】少しずつ、僅かずつ 群馬。辞書には『ちっくり・ちっくりそっと』(【副】すこし。ちょっと。ちくり。)がある。
〜ちっけ 【助】〜て、〜だって、〜らしい 『集覧:猿』。元『〜てえりけり』か。
『〜(だっ)ちゆーっけ』(〜だと言ってた)の短縮形。
んだちっけ:そうだって。
ちっけ
◎ちっけー
【形】小さい 『ちくい』『ちっこい』の転。ただし『ちっこい』は主に関西の言葉。
『ちっけえ』は俗語とも言える。
ちーっきー:静岡。
ぢっくい:ちび:鹿児島。
ちっくい:神奈川・山梨・静岡。
ちーっくい:静岡。
ちーっくな:静岡。
ちっくない:静岡。
ちっくり:小さい子:山梨。
ちっくり:静岡。
ちっくりー:静岡。
ちっけー:群馬。
▲▼ちっける 【動】@載せる、A着ける 『集覧:猿』。
@・ちっける:栃木・埼玉・静岡。
ちっけん ジャンケン
ちっけんちー ジャンケンの掛け声 『新方言』には『チッケッタ じゃんけんのかけ声;東京で使われるようになったが,もともとは千葉/埼玉あたりの言い方;「じゃんけん」はじめ,子供の遊びのことばは,今でも各地で新しく生まれ変わっている;房総南端ではチッケッタ系は中年で出現,若年で減少;チッケッが代わりに進出したため(昭和1994)』『チッケッ系:じゃんけんのかけ声;房総南端ではチッケッタ系に代わって進出中(昭和1994:62)』とある。
ちっけった:千葉・埼玉・東京・長野・静岡。
ちっけったっ:栃木。
ちっこ @【名】乳、A【形動】小さな様 『集覧:久』。
@・ちこ:青森。
ちっこ:青森。
ちんこ:栃木。
つこ:宮城。
★『土』おっかあ乳房(ちっこ)欲(ほ)しんねえんだぞ:お母さんのお乳は欲しがることは(もう)できないんだぞ。
A・ちっこ:佐渡島。
Bその他。
ちっこ:小男:鹿児島。
ちっこ つば 竜ヶ崎市の方言。
ちーっこ 賢い子 『知恵』+『子』。
△▽ちっこい
ちっこくせー
ちっさい
ちっせー
【形】小さい 文語では『ちさし・ちさい』と言う。
ちっくい:神奈川・山梨。
ちっこい:少ない:福島。
ちっこい:群馬・神奈川・静岡・関西。
ちーっこい:静岡。
ちっさい:静岡。
ちっせー:山梨。
〜ちった 【助】@〜しちゃった、A〜と言った @『新方言』には『〜チッタ 「てしまった」;チャッタの簡略表現;関東の若者から東京都内に流入した;茨城県付近で発生したのか;埼玉県の使用率が都区内よりやや多い(埼玉);アラレちゃんの漫画などでも登場するが,アラレ語ではなく,東京付近の若者の言葉である;1989年前後,ボーカルグループCCBのディスクジョッキー番組で「バレチッタ」を耳にした;1986年頃法政大学の文集で「ヤベー,財布忘れチッター」と書いてあるのをみた;「別冊マーガレットお正月増刊」(1991.1.10号)に漫画の用例「クビになったのかと思っちったあり;神奈川県高校生1.7%(田中1991);チャッタとその前身チマッタ自体も明治時代に関東方言から東京山の手に流入したもの;→ミチッタ。』とある。茨城では40年前にすでに使われていたものである。
長塚節の『土』には、『死んちまあ』はあるが、『ちった』登場しない。
茨城方言集覧にも無いことから、比較的新しいらしい。
古い歌謡曲に『僕は泣いちっち』(昭和34年)がある。作詞は浜口庫之助で、『ちゃった』を『ちっち』にしたのは方言ではなく、意図的に作ったという。
はやぐやっちったらがっ:早くやってしまえば良いでしょう。
A★あいづっちったら:あいつといったら。
そーいごどやるっちったおぼいはねー。そんな事遣るって言った覚えは無い。
ちった
◆■▲ちったー
【副】少しは 『集覧:新』。『ちったあ』は時代劇でも聞かれる江戸言葉。ちっとは→ちっとあちったあ
ちーたー:東京・神奈川・岡山・福岡。
ちったー:青森・埼玉・群馬・東京・山梨・静岡。
★『土』:そんぢゃ忙(いそ)しい時(とき)にゃちったあ手傳(てつだ)って貰(もら)へてよかんべな。
ちったって 【複】そう言ったって、てったって
◆▲〜ちったって 【複】〜と言ったって、〜てったって 『集覧:猿』。
ちっち
ちっち 小便 幼児語。『しし』の転。
ちっち
ちーっち
『集覧:稲』。幼児語。『小さい』意味。栃木でも使われる。
ちっちー 【形】小さい
(ちっちー) 乳母 静岡。『乳つちー』で『ちー』は接尾語と見られる。
ちっちーあんちゃん 三男からの次男の呼称
ちっちぇ
ちっちぇー
【形】小さい 『ちっちゃい』。
ちっちぇー:埼玉・神奈川・静岡。俗語か。
つっちぇ:宮城。
★『土』米大変だから俺(お)れ風呂敷じゃちっと小(ち)っちぇんだ大(え)かえの有れば貸してくんねえか:米は大変だ、俺の風呂敷きではちっと小さいから大きなのがあれば貸してくれないか。
〜ちっちぇ 【助】〜してしまって、〜したって、〜してしまえ 促音化した動詞につく。
古い歌に『僕の恋人東京に行っちっち』という歌があったが、茨城・東北訛の歌だったのだろうか?。
ちっちぇーあんちゃん 三男からの次男の呼称 我が家は男三人兄弟で、三男(ばっち)からの次男の呼称は『ちっちぇーあんちゃん』だった。
ちっちかまる
ちっちこまる
【動】縮こまる
ちっちっちー
ちっちっちーのち
ちっちのま
ジャンケンの掛け声 昭和40年頃に初めて聞いた記憶がある。
先の二つは『民俗』には、真壁郡・筑波郡の方言とあり、西から伝わって来たことになる。
ちっちく:ジャンケン:山梨。
〜ちっちゃ
〜ちゃっちゃ
【複】@〜(して)しまっては、A〜(して)しまった 促音化した動詞につく。
@『〜ちゃっては』。
〜ちっちゃ:千葉野田。
ほーたごどやっちっちゃだいだ:そんなことを遣っては駄目だ。
A『〜ちゃった』。
はーやっちっちゃど:もう遣っっちゃったよ。
◎ちっちゃい 【形】小さい 『新方言』には『チッチャイ 「小さい」;房総南端ではチャッケーに代わって進出中(昭和1994);デッカイと対の表現;「細かい」の意味で,壱岐若年層』とある。
標準語でもサ行音がタ行音に変化した例。
ちっちゃい:福島・神奈川・静岡。
ちっこい:少ない:福島。
〜ちっちゃい 【助】〜してしまえ 促音化した動詞につく。
ちっちゃけー
ちっちゃこい
【形】小さい 『小さくあり』すなわち『小さかり』の意味か。
きしゃこい:岩手。
ちさこい:岩手。
ちちゃこい:山形・宮城・神奈川。
ちっちゃかい:神奈川。
ちっちゃけー:千葉銚子。
ちーちゃっけー:神奈川。
ちっつぁい 【形】小さい 『ちさい』。
〜ぢって
〜ちって
【助】@〜と言って、A〜(し)ちゃって 促音化した動詞につく。
@★みんななやったっちってごーじょだよな:全部やったって言って強情だよね。
A・〜ちって:千葉野田。
ちーっと 【副】ちょっと、少し 長音化。
ちーっと:神奈川・静岡。
ちっと 【副】ちょっと、少し やや古い『ちと』が転じたもの。多くの茨城県人が方言だと思っている言葉。しかし当の標準語世界では使われなくなっている。江戸時代には『ちくと』とも言った。
ちとちくとちっと
ちっちら:静岡。
ちっと:福島・千葉野田・埼玉・神奈川・山梨・静岡・鹿児島。
ちっとのあいだ:少しの間:神奈川。
ちっとのま:少しの間:静岡。
★『土』:おっかあ、ちっとでもやらねえか:おかあさん、少しでも食べないか。この場合の『ちっとでも』という言い方は文法的な誤りは無いが普通は『ちっとも、ちっとでもいいから』と言う。
ちっとこ
ちっとご
【形動】少しの様、僅かな様 『ちっと』に接尾語『こ』がついたもの。=『ちょっとご』
ちっとごま
ちっとこま
【形動】【副】あっという間に、ちょっとの間に
ちっとっづ
ちっとっつ
【副】少しずつ、ちっとずつ ちーっつら:静岡。
ちっとばい
ちっとばがし
◆■ちっとばかし
ちっとばがり
ちっとばかり
ちっとばげ
ちっとばけ
◆▲ちっとばし
ちっとばーし
ちっとばっか
ちっとばっかし
ちっとばり
ちっとばーり
【副】ちょっとばかり、すこしばかり 『集覧:真』。『ばり』は江戸言葉。『浮世』には『子供衆には少(ちこ)しっばりのものでござりませう。』とある。
標準語の口語では『ばかり』が訛って『ばかし』と言い、『ばっか、ばっかし』と言う。
さらに辞書には『〜べい』『〜べえ』は、『〜ばかり』の転じたもので近世江戸語とある。
広辞苑には『許り:助詞(副助詞。「計る」と同源。「計」「斗」とも書く)(1)体言、活用語の終止形につく。@分量・状態・程度などの、おおよその見積りを表す。大体…ぐらい。…ほど。万八「わが宿の萩の花咲けり見に来ませ今二日―あらば散りなむ」。万七「広瀬川袖つく―浅きをや心深めてわが思(モ)へるらむ」。土佐「年九つ―なる男の童」。天草本平家「その勢五十騎―で義経の堀河の宿所へ押し寄せて」Aおおよその時期・時刻を表す。頃。土佐「二十一日。卯(ウ)の時―に船いだす」Bおおよその場所を表す。あたり。辺。源末摘花「隅の間―にいと寒げなる女房」(2)体言、活用語の連体形につく。@事柄の範囲がそれ以上に出ないことを表す。源若紫「御几帳の帷子引きおろし、御座などただ引きつくろふ―にてあれば」Aそれだけに限定する意を表す。だけ。古今恋「言(コト)に出でて言はぬ―ぞみなせ川したに通ひて恋しきものを」。「それ―は許してくれ」B
今にもしようとする状態にある意を表す。「出かける―のところに急用ができた」Cそのことが完了してから間がない意を表す。「今仕上がった―だ」』とある。
この言葉に関しては、体言で『それだけに限定する意を表す。だけ。』の意味である。
『俚言』には『ちくとばかり:又野語にちくとんべいといふ。』とあり『ちょっとだけ』の意味である。
『ばかり』が何故『ばかし』『ばり』に転じさらに『〜べい』『〜べえ』になった理由はよく解らない。唯一茨城方言の『ちっとばい』が浮上する。『〜べい』『〜べえ』は東国方言の『だろう』を意味する言葉に通じ、また、鹿児島方言の意思を意味する『ばい』に通じる。
仮に、古語の反語の『や』に通じるなら、『ばい』『ばや』に通じ、『〜したらどうするのだろうか、するだろう?』の意味になる。
ちくとばかり・ちくとばり:少しばかり:宮城。『ちょっと・少し』は江戸時代には『ちくと』と言った。
ちくとばかり:少しばかり:宮城。
ちくとばり:少しばかり:宮城。
ちっとばか:東京・神奈川・長野・山梨・静岡。俗語。
ちっとばかえ:神奈川。
ちっとばかし:福島。俗語。
ちっとばっか:福島。俗語。
ちっとばっかし:群馬。俗語。
ちーっとばっかし:群馬。
ちっとばっかり:神奈川。
ちっとべー:東京多摩・東京三鷹・神奈川。
ちっとんばい:群馬。
ちっとん:群馬。
ちっとんべ:群馬。
ちっとんべー:埼玉・群馬・東京三鷹・東京多摩・神奈川。
ちょっとんべ:東京青梅市。
ちとばこ:岩手。
ちんべ:少し:群馬。
ちっとべ
ちっとべー
【形動】少しばかり 辞書には『〜べい』『〜べえ』は、『〜ばかり』の転じたもので近世江戸語とある。
ちっとべ:千葉野田。
ちっとべー:東京多摩・東京三鷹・神奈川。
ちっとまっちろ
ちっとまっちぇろ
【複】少し待って
ちっとも 【副】@少しも、A少しでも、ちょっと 江戸言葉。今では『ちょっと・ちょっとも』の押され死語となりつつある。
@『少しも』の意味で否定を伴う。
ちっとも:福島・東京多摩。
A茨城弁では肯定形を伴う場合にもしばしば用いられ、断定の係助詞を伴った『少しでも』や『ちょっと』の意味が最も近い。しかし、辞書にはある語法で、標準語では使われなくなった言い方である。
ちっとも:埼玉・山梨。
みそのちっともあればいーんだが:味噌が少しでもあれば良いんだが。
さげちっともやっか:酒を少し飲もうか。
ちっとら 【複】少し、少しは、少しだけ ちっとらっつ:少しずつ:東京三鷹。
△▽ちっとんべー
ちっとん
【形動】少しばかり、ちっとばかり 広辞苑に『ちくと:@すこし。ちょっと。A針などで刺すさま。ちくっと。』とある。
これにより、針や蜂などが刺す様の『ちくり』は、『ちょっと』の意味であることが解かる。
辞書には『〜べい』『〜べえ』は、『〜ばかり』の転じたもので近世江戸語とある。原型は『ちくとんべい』。関東方言。『集覧:新』。=『ちくとんべー』
しかし人名化した『ちっと兵衛』の方が語源としての可能性は高いと思われる。
『称呼』によると『南部の方言にてよめる歌に(中略)ちとべこちとばかり也。(中略)津軽にてはちてべこといふも是にをなじ。』とある。『ちとばかり』が『ちとべい』『ちくとんべい』に変化しそれに接尾語『こ』がついて『ちとべこ』となったのだろう。
『俚言』には『ちくとんべい:上州にて少々ばかりをいふ。』とある。
この場合の『べー』は、『をば:(格助詞「を」に係助詞「は」が付き濁音化したもの) 動作・作用の対象を強く指し示す語。』『ばや
(接続助詞バに係助詞ヤのついたもの):@(活用語の未然形について、仮定条件をあげ、下に疑問の意を伴う) …としたら…だろうか。A(活用語の已然形について、既定条件をあげ、下に疑問の意を伴う) …から…のだろうか。』が変化したのではないかと思われる。
ちくとばり・ちとばり・ちっとばりちくとばし・ちとばし・ちっとばしちくとべー・ちとべーちっとんべー
ちくとばかり:少しばかり:宮城。
ちくとばり:少しばかり:宮城。
ちっとばか:東京・神奈川・長野・山梨。俗語。
ちっとばかえ:神奈川。
ちっとばかし:福島。俗語。
ちっとばっか:福島。俗語。
ちっとばっかし:群馬。俗語。
ちーっとばっかし:群馬。
ちっとばっかり:神奈川。
ちっとべー:東京多摩・東京三鷹・神奈川。
ちっとんばい:群馬。
ちっとん:群馬。
ちっとんべ:千葉野田・群馬。
ちっとんべー:埼玉・群馬・東京三鷹・東京多摩・神奈川。
ちょっとんべ:東京青梅市。
ちとばこ:岩手。
ちんべ:少し:群馬。
(ぢっ 【形動】立派 鹿児島。
ぢゃ:神奈川。
ちっ 十匹
ちっくせー 【形】小さい ちっくせー:神奈川。
ちっ 十分(10分)
△◇ちっ 【形】小さい、ちっぽけ 『集覧:新』。
ちっ:京都・大阪。
ちっくさい
ちっくせー
【形】@小さい、ちっぽけ、A禿ている様、Bいじけている様 @・ちっくせー:神奈川。
ちっ
ちっ
【形動】小さい様 ちーっ:【形】静岡。
ちっけない 【形】小さい 稲敷郡の方言。
ちっけない:静岡。
ちっこりん 【形動】小さい様
ちーづり 宙吊り
〜ちて
〜ちてー
【複】〜だって、〜て言って 『〜ちって、〜ちゅって』の短縮形。
ちでい
ちーでい
ちで
ちーで
ちーでく
【複】@連れて行く、付いて行く てで。『ぐ』は濁音・鼻濁音。
ちでい:宮城。
ちーでに 【副】ついでに
ちでくる
ちーでくる
【複】@連れてくる、A付いて来る @=『せーでくる』
ちでくる:宮城。
ちーでるめ 血が出るような目、ひどい目
ちーでんのさま 夏祭りに使った中学生用の神輿 『中天王様』。
ちと
ちいと
【副】少し 使われなくなったやや古い標準語。
ちいと:新潟・徳島。
ちいーと:静岡。
〜ちど
〜ちーど
〜ちと
〜ちーと
【複】〜ていうと、〜て言ってる、〜だってよ 『〜てぞ』『〜てーぞ』『〜ていうぞ』。清音形は一部の人に限られた。
いしゃさまゆーにはさげのんではだめだっちど:医者が言うには酒を飲んでは駄目だってよ。
★『土』:佛(ほとけ)はあゝえに動(い)くんだつちぞおめえ。
★『土』:私等家(わたしらぢ)のおとっつぁは道具(だうぐ)っちと酷(ひど)く怒(おこ)んですから。
ちーど
ちーと
ちーとご
ちーとこ
途中、中途、半ば 『中処』または『中途っこ』の意味。
ちーとごげ
ちーどごけ
ちーとこけ
【形動】中途ぐらい、半ばぐらい この『げ・け』は『位』で『中途位』の意味。
ちーとごはん
ちーとこはん
【形動】中途半端
ちーどっこ
ちーとっこ
【形動】中途、半ば
ちーとばがし 【副】少しばかり 『ちとばかり』。
ちーとはんか
ちーどはんば
ちーとはん
ちーどはんばぐ
ちーとはん
【形動】中途半端 『はんか』は『半可』。『はんばぐ・はんぐ』は『半白、斑白、頒白、斑駁』(はんぱく)で白黒入り混じった中途半端な様を言うのだろう。
ちーどぐ 中毒
ちーとも 【副】@少しも、A少しでも、ちょっと @古い標準語の『ちいと』に『も』が付いたものでほぼ『ちっとも』の意味。=『ちとも』。
A標準語では一般に否定を伴う。茨城弁では肯定形を伴う場合にもしばしば用いられ、断定の係助詞を伴った『少しでも』や『ちょっと』の意味が最も近い。
ちーともーとも 【副】うんともすんとも
ちーとんち 駐屯地
〜ちな
〜ちない
〜ちなや
【助】〜てな、〜だそうだね
〜ちない
〜ちねー
【複】〜(し)ていない かなり古い言い方。足音便の動詞につく。さらに古くは、『〜しない』とも言った。
まだやっちね:まだ遣っていない。
▲●ちなくさい
ちなくせー
ちなっくさい
ちなっくせー
【形】きな臭い 東北弁系の訛。『集覧:猿』。口をあまり開けず口先の発音のため『き』と『ち』が区別しにくいためである。
ちなびる 【動】萎びる 『集覧:筑』。
〜ちに
〜ちーに
【助】〜したのに、〜だそうなのに、〜てのに 『集覧:猿』。『〜と言うのに』が訛ったもの。標準語でも古くは『〜と言ふに』と言った。古い言い方では『〜てえのに』。『〜てぃーに』『〜てぃに』(tiini,tini)とも発音する。
てんきよぐなったちーにまーだこーもりさしてんのが:天気が良くなったというのにまだ傘をさしてんのかい。
はーいーっちに:もう良いというのに。
ちーにぐちーぜー 【形動】中肉中背
ちにぐる 【動】つねる 『ひにぐる』がさらに訛ったと考えられる。
ちにくる:埼玉。
ちーにぢ 中日
(ちぬー) 昨日 沖縄。東北弁と同様、沖縄でも『き』が『ち』に変化する傾向がある。
ちぬいと 絹糸 東北弁系の訛。口をあまり開けず口先の発音のため『き』と『ち』が区別しにくいためである。
ちねる 【動】つねる ちにる:宮城・埼玉。
(ちねる・ちんねっ) 【動】寝る 鹿児島。『ち』は接頭語。
ちーねん 中年
ちーねんぶどり 中年太り
〜ちの
〜ちーの
【助】〜(した)と言うの 『〜というの』が訛ったもの。古い言い方では『〜てえの』。
ほんでもいっちのが:それでも行くって言うのかい。
ちのご キノコ 典型的な東北訛り。口をあまり開けず口先の発音のため『き』と『ち』が区別しにくいためである。
☆ちのしる 血、血液 『血の汁・血汁』(ちのしる・ちしる)。
〜ちのに
〜ちーのに
【助】〜したのに、〜だそうなのに、〜って言ってるのに〜、〜というのに 『〜というのに』が訛ったもの。古い言い方では『〜てえのに』。『集覧:猿』。『〜にてあるのに』に意味。
そだっちのに:そうだと言ってるのに。
やだっちのにやらすんだがんな:嫌だっていうのに遣らせるんだからね。
はーもーあさだっちーのにまーだねでっと:もう朝だっていうのにまだ寝てるよ。
★『土』:云(ゆ)って見(み)ろっちのに、云(ゆ)って見(み)ろよ。
★『土』:根性捩(ねじ)れてっからだあ、晩稲は作んなっちのに:根性が捻れているからだ。晩稲は作るなってのに。
★『土』:よき、それ貰(もら)あもんだ。爺(ぢい)呉(く)れるっちのに
ぢのもん その土地の人間 『地の者』。
ちーは タバコの葉で中央についているもの タバコ栽培専門用語。『中葉』。西茨城郡ではさらに訛って『ちー』(中の意味)と言う。
〜ぢは 【助】〜では、〜じゃ、〜じゃあ 『〜にてあるにては』の意味。『でぃは』とも発音する。
おれぢはねー:俺ではない。
〜ちば
〜ちーば
【助】〜と言っているの!、〜てば、〜と言ったら やや古い言葉の『〜てば』と同義。古い言葉に『〜てえり』がある『〜と言へり』が転じたとされ、この場合は『〜てえば』。
現代でも、『もし、そう言ったら(どうするの)?』という言い方がある。『〜てば』とは、今では突き放す言葉だが、『〜と言わば(如何にせん)?』という余韻のある意味だった事は間違いない。
こごはいばらぎでちばだねーっちば:ここは茨城で千葉じゃないって言ってるの!。
やだっちいーばいーのが:嫌だって言えば良いのかい。
やだっちば:嫌だってば。
(ちばりよー) 【複】がんばれ 沖縄。『気張れよ』。
ちーはん 昼飯、昼ご飯 『ちゅうはん』なら標準語だが死語。
ちはん:鹿児島。
ちび
ちょび
小さなもの(人) 『集覧:猿・真』。標準語では『からだの小さいこと。そういう人。また、年の幼い者。ちびっちょ。ちびっこ。』。
(ちび) 沖縄。『尻尾』の意味か。
ちーび 中火
ちびくさい
ちびくせー
【形】小さい
ちびくそ 小さいもの(人) 卑下する言葉。
ちびくそやろ
ちびくそやろー
小さい人、けちな人 卑下する言葉。
ちびこい
ちびけー
ちびちゃい
【形】小さい 『新方言』には『チビチャイ 「小さい」;もとはチビサ;奄美で1960年代の子どもが使用(倉井1987);→ナガッチョロイ』とある。地理的関係から偶然の一致と考えられる。
ちめこい:福島。
ちんびー:山梨。
ちびすけ
ちょびすけ
【形動】ちび、けち 人名化したもの。
ちべた:青森。ちべたなねずみ:小さなネズミ。
ちびたら
ちびたらちびたら
【副】すこしずつ、のろのろ、ちんたら ぢびたら:東京青梅。
ちびたれ
ちびったれ
【形動】@ちび、A子供、B▲けち 『集覧:新』。
Bちびる→ちびたれちびったれ
ちびちび 【副】すこしずつ 『集覧:多・稲』。
ちびっけー
ちびっこい
ちびっちー
ちびっちぇー
ちびっちゃい
【形】小さい 『禿びる』(先が磨り減る)とも関係がありそうだ。
『新方言』には『チビチャイ :小さい。もとはチビサ;奄美で1960年代の子どもが使用(倉井1987);→ナガッチョロイ。』とある。
ちびっこい:神奈川。
ちびっちゃい:神奈川。
ちーんびー:静岡。
ちびっち 小さいもの(人)
ちびっと
っと
【副】ちょっと、ちょびっと ちびっと:神奈川。
ちびらちびら 【副】少しずつ、ちびちび、ちびりちびり ちびらか:山形。
ちびらちびら:山形。
ちびーらちびーら:神奈川。
ちびる 【動】@少し漏らす、A出し惜しむ、B先が磨り減る @『俚言』によれば江戸時代には寝小便を『しびりくそ』『びりくそ』と言った。古語には『ちびる』は無く、『しびる』に由来するもの。辞書には難しい字が当てられているが、『し』は尿のことで『びる』は『放る』すなわち、『尿放る』意味と思われる。また、『ち』は『些・少』の意味だとすれば、『些放る』も考えられる。
B『禿びる』。
ちーぶ チューブ
ちーぶ 中風(ちゅうふう・ちゅうぶ・ちゅうぶう)、脳卒中等の後遺症一般 『ちーぎ』
『中風:半身の不随、腕または脚の麻痺する病気。脳または脊髄の出血・軟化・炎症などの器質的変化によって起るが、一般には脳出血後に残る麻痺状態。古くは風気に傷つけられたものの意で、風邪の一症。中気。風疾。』とある。
昭和30年代、半身麻痺の病気を『ちーぎ』と言ったが、『ちーぶ』とも言う事があった。どうやら、『ちーぶ』のほうが古いらしい。
ちーぶ:八丈島。
ちゅーぶたかり:中風病み:宮城。
ちぶかす あばた 石岡市の方言。『しぶかす』がさらに訛ったもの。
ちぶく
ちぼく
お産の時の血を穢れとしてを忌むこと 『血服』の意味。本来は『血不浄』。
あかふじょー:神奈川。
いきぼく:神奈川。
きぶく:神奈川。
ちぼくのさわり:神奈川。
かかる:神奈川。
かまう:神奈川。
わるい:神奈川。
ひのかかり:神奈川。
ぼく:神奈川。
ちーくせー 【形】小さい
ちぶくれ 『地膨れ』の意味。
『俚言』には『ちぶくれ:たて林にて塚をいふ。』とある。
ちぶす チフスの訛り。通常は腸チフスと言う。 いつの頃からかチフスと言うようになったと記憶する。昔は良く聞いた感染症だったが、現代では海外から持ち込むだけになっている。
ちーぶちょご チューブチョコ 当時の子供用のお菓子。鉛のチューブに液体状のチョコレートが入ったもの。
ちーぶら 【形動】中途半端、いい加減、ぶらぶら
(ちぶる) 沖縄。
ちぶるやみー:頭痛。
ちーぶる 中古 『ちゅうぶる』は辞書に掲載されている。
ちべこい
ちべっこい
ちべたい
ちべてー
【形】冷たい 『つべたい』の転。
『俚言』によれば北伊勢で『ちびたい』と言う。
ちびたい:滋賀。
ちびてー:埼玉・長野。
ちべこい:福島。
ちべっと
っと
【副】ちょっと、少し
ちぼか 天然痘が治ったあとのあばた 『窪処』(くぼか)の意味か『壺処』(つぼか)だろう。『集覧:多・稲・新』。
ちぼかー 【形動】僅かな様 『集覧:西』。中世語の『つぼい・つぼし』の流れ。
ちぼけ
ちー
【形動】@禿ている様、Aいじけている様 『集覧:新』。『ちぼか』と同じルーツの言葉だろう。
ちー
ちーけー
【形動】小さな様、ちっぽけ
ちぼまる 【動】縮まる、しぼむ 新潟では『座る』意味。
ちぼむ 【動】縮む、しぼむ、つぶる、つぼむ
ちぼめる 【動】縮める、すぼめる、つぼめる
(ちまー) 馬鹿 沖縄。
〜ちまー
〜ちまう
【助】〜してしまう 長音を平坦に発音する。標準語では撥音化した動詞に続く場合は濁音化するが、茨城では濁音化しない。
〜ちまう:群馬・東京。
〜ちもう:群馬。関東圏では珍しいウ音便である。
しんちめ・しんちめー:死んでしまえ。
★『土』:八十錢(はちくわん)づゝも取(と)っちやおめえ、女(をんな)の手(て)ぢゃたえしたもんだな、今度(こんだ)自分(じぶん)で死(し)んちまあなんて、行(や)んねえこったなあ。
ちま 血まみれ
ちまちま
ちまぢま
小さいこと、細かいこと 清音形は標準語。
ちまか:静岡。
ちまぢま:東京多摩・神奈川。現代標準語は重ね言葉の場合濁音化するのにこれは例外らしい。
ちまっこい
ちまっけー
【形】小さい、細かい ちまっこい:東京多摩。
ちまなぐ
ちまなご
血眼
(ちまる) 【動】止まる、泊まる 辞書で見つけた上代東国方言。『やってしまう』が『やっちまう』に変化したプロセスにこの『ちまる』が関わっていたと考えるのも面白い。
ちまった:しまった:静岡。
ちみ 茨城弁の俗語。
ちみぎる
ちみ
ちみぐる
【動】つねる 全国的に散在する方言。
ちみきる:静岡・主に関西。
ちみぎる:三重。
ちみくる:山梨・静岡。
ちんぎる:沖縄。
ちんみ:福島。
つめ:秋田・三重・和歌山。
ちみじ 旋毛
ちみじかぜ
ちみじっかぜ
旋風 ちみじっかぜ:千葉。
ちみたい
ちみで
ちみでー
ちみてー
【形】冷たい 『集覧:真』。
『俚言』によれば北伊勢で『ちびたい』と言う。
ちびたい:滋賀・三重。
ちみたい:栃木。
ちみたか:鹿児島。
ちみて:鹿児島。
ちみてー:群馬。
ちんたか:鹿児島。
うー、ちみてーちみてーだ:おお、冷たい血みたいだ(ああ冷たい)。
ちみぢ
◎ちみち
ちみづ
血筋、親戚 『血身内』が転じた『ちみち』。
(地名) 全国の地名を見て気がつくのは、歴史・経済的な背景だけでなく、方言読みの地名が沢山ある。以下は、代表的な茨城県内の方言読みの地名である。茨城弁の特徴の濁音読みが無いのは、中央から矯正されたのだろうか。
・歩崎:あいみざぎ(あゆみざき)
・安食:あんじぎ(あじき・あんしょく)
・田伏:たぷせ(たぶせ)
・下妻:しもつま(しもづま)
・水海道:みつかいどう(みずかいどう)
・勝田:かつた(かつだ)
・鉾田:ほこた(ほこだ)→ほごたと言う人もいる
・玉造:たまつくり(たまづくり)
注)()内は標準語読み
ちなみに千葉県の我孫子(あびこ)は茨城弁読みでは『あびご・あこ』になる。
(ちむ) 心、肝 沖縄。『肝(きも)』。
(ちむぐるさん) 【形】心苦しい 沖縄。
ちむし 急性胃炎、胸焼け 『つむし』。昭和30年代前半の言葉。
『ち』は『唾(つ)』が訛ったもので『唾虫』の意味。
(ちむじゅーさん) 【形】心強い 沖縄。
(ちむちゅらさん) 【複】心が清らか 沖縄。
(ちむどんどん) 【形動】どきどき 沖縄。
ちーめ 網目等が中位であること 『中目』の意味。
〜ちめ 【助】〜のやつ 戦前の言葉。名前に『〜ち』をつけるのは古い標準語にあるが、それに『め』がついた言葉。
〜ちめ
〜ちめー
【助動】〜(して)しまえ、〜ちまえ 多く足音便・撥音便を伴った動詞に付く。促音化した動詞につく『〜ちめえ』は江戸言葉に由来する俗語だが、茨城では撥音化した動詞の場合も清音のままである。特に『しんちめ・しんちめー』は茨城でしか聞けない方言と思われる。
くっちめ:食っちまえ:東京青梅。
きちめ:来ちまえ:東京青梅。
しちめ:東京青梅。
しんちめ・しんちめー:死んでしまえ。
やっちめえ:やってしまえ。
しちめー:してしまえ。
(ちめこい) 【形】小さい 福島。
原型は『ちびこい』と考えられる。ただし、『ちまちま』と言う言葉もあることからこれに由来する可能性もある。また『ちびちび』という言葉もあり、日本語のマ行音の濁音形は実はバ行音であるとも言える。
ちめだい
ちめたい
ちめで
ちめでー
ちめてー
【形】冷たい ちめたい:福島。
ちめたか:鹿児島。
ちめて:鹿児島。
ちも
ちもける
【動】霜枯れる、霜で痛む やや古い標準語の『霜げる(しもげる)』の転。『集覧:北』。土浦では幼児語。
ぢもぢ ぢのある人
ちーもん 注文
ちーや 昼夜
(ちーや) 乳母 静岡。
ちゃー 【形】違う 関西では『ちゃう』と言う。茨城ではそのまま長音化する。
ちゃう:和歌山・香川。
ちゃーよ:違うよ。
ちゃーな:違うな。
ちゃーど:違うぞ。
いぐらゆったってちゃーものはちゃー:幾ら言っても違うものは違う。
ちゃちゃ:違う違う。
〜ちゃ
〜ちゃあ
【複】〜と言えば 俗語。
通常『言うっちゃ言う』(言うと言えば言う)の形で使われる。もともとは俗語『といやあ・ていやあ』が訛ったものと考えられるが辞書には無い。『ば』は古くは『は』だったとされる。『ていはは』の意味と考えられる。
やるっちゃーやる、やんねっちゃーやんね。どっちがにしろ。:やると言うならやる、遣らないと言うなら遣らない。どっちかにしなさい。
〜ぢゃー
〜ちゃ
〜ちゃー
〜ぢゃう(じゃう)
〜ちゃう
【複】〜してしまう 〜でしまう:じゃう、〜てしまう:ちゃう
標準語では撥音便に続く場合は濁音形となるが、茨城では一律清音形である。また多く平坦に発音する。
広辞苑には『じゃう:「でしまう」の転。』『ちゃう:「…てしまう」の約。話し言葉で使う。』とある。
NHKの『気になる言葉』(2006.07.26放送)には以下の件りがある。『赤い靴履いてた女の子 異人さんに連れられて行っちゃった〜♪おなじみの童謡『赤い靴』です。この“行っちゃった”という言い方について、違和感があるとお便りをいただきました。「行っちゃった」はもともと、「行ってしまった」という完了の言葉が変化したものですね。実はこの「〜ちゃった」は、東京周辺の県で使われ、その後東京に入ってきた東京の方言と言われています。童謡『赤い靴』の野口雨情は茨城県の出身で、大正時代に上京したので「ちゃった」に親しんでいたのかもしれませんね。さて、東京の方言には“下町ことば”と“山の手ことば”があります。国語学者の田中章夫さんによるとまず、周辺の県で使われていた「しちまった」が、明治時代の初め頃に東京に入ってきて、下町に根付いたのではないかと言っています。確かに、明治18から19年に書かれた坪内逍遙【当世書生気質】にも「なくなツちまつてー」と出てきます。そしてこの「しちまった」が「しちゃった」に変化して、周辺の県から入り、今度は東京山の手ことばの、特に若い人の間で明治30年頃に広まっていったそうです。しかし、昭和になると山の手だけでなく、広く「しちゃった」が使われるようになりました。昭和49年の国立国語研究所が東京で調査した結果をみると、年輩の方も半数近くが「しちゃった」を使っていて、若者だけでなく、幅広い年齢層に使われていたことが分かります。確かに、話し言葉なので、公の場などでは似つかわしくないかもしれませんが、「ちゃった」も一つの方言だったのですね。東京の方言としてなじみ深い言葉でもあるのです。』とある。
この分析は奥が深い。当茨城弁集では、はじめに標準語があって、それを中心に分析しているが、方言が現代標準語形成のプロセスに大きな影響を与えたとなると事は単純ではない。しかし、良く考えてみると言葉は人間関係のツールだから一方通行のコミュニケーションは有り得ないとすれば、当たり前のことである。
確かに、標準語の『〜てしまう』『〜ちゃう』には断絶があり『〜ちまう』が介在しないと言葉の変遷を説明できない。
『て』が『ち』に限りなく近く、また拗音化を好む県は関東では茨城県しかないととすれば、『〜てしまう→〜ちまう→〜ちゃう』の変化を生んだのは茨城県の可能性が高いと考えられる。
茨城弁はさらに進化して連用形は『やっちって』、終止形は『やっちった』、命令形は『やっちぇー・やっちー』となる。
『俚言』には『ちやぁふちやぁはぁ』とあるが解説がない。
現代語の『〜ちゃう』とは、もしかしたら、『〜て遣る』意味かもしれない。広辞苑に『遣る:(他の動詞の連用形について)動作が完了する意を表す。…てしまう。源桐壺「えも乗り―・らず」。日葡「イ(生)キモヤラズ、シ(死)ニモヤラズ」。「晴れ―・らぬ空」』とあ。
ところで茨城では、今でも、『たべっちゃー』などと言う。『食べちゃう』の意味である。
〜ちゃう:東京。
〜てある:神奈川。してあった:してしまった:神奈川。
〜てまう:青森・岐阜・愛知・福井・近畿。
〜てまる:青森。
いだぐしっちゃーど:怪我しちゃうよ。
いづまでもあるっちゃってー、はーおらだいだ:何時までも歩かされて(歩いてしまって)、俺はもうもう駄目だ。
おめやっちゃーあがらいげねんだど:お前が直ぐやっちゃうからいけないんだぞ。
かでっちゃー:勝ててしまう。
しっちゃったのがー:しちゃったのかい?。
しんちゃった:死んじゃった。
すてっちゃー:捨ててしまう。
のんちゃった:飲んじゃった。
っちゃー:投げてしまう・放り出す。
はやぐやっちゃーべ:早くやってしまおう。
はいぐのんちゃって:早く飲んじゃって。
ひーけーっちゃーよ:火が消えちゃうよ。
よんちゃった:読んじゃった。
★『土』:さうだよ、飮(の)まっせえよおめえ、めでてえ酒(さけ)だから、威勢(えせえ)つければおめえ身體(からだ)の工合(ぐええ)だつてちっと位(れえ)なら癒(なほ)っちゃあよ
〜ちや
〜ちーや
【複】@〜て言ってるよ、〜そうだ、A〜て言ってるの? 『と言へり』が訛った『てえり』があるように、これは『と言へりや』の意味。
@★ゆったちーや:言ったそうだ。
『新方言』には『フッタッチーヤ :降ったそうだ。老人はフラッチーヤ。八丈島末吉の若者(1985)』とある。
A★なんだっちーや:何だって言ってるの?。
〜ちゃ 【助動】〜た、〜だ 足音便を伴うことが多い。語法は異なるが、断定の助詞を『ちゃ』と言うのは全国に散在する。古くは神奈川でも使われた。動詞によっては可能形になることもある。
〜ちゃ:山形。
〜ちゃや:宮城。終助詞『や』がついた強調形。
〜っしゃ:宮城。
〜っちゃ:青森・宮城・福島・新潟・山口・大分・福岡・長崎。
〜っぢゃ:山形。みらっぢゃ:見た・見られた。かかっぢゃ:書いた・書かれた。
〜っちゃん:長崎。
あるかっちゃ:あるだろうか:神奈川。
あんめっちゃ:あるまいよ:宮城。
いくのかっちゃー:行くのか:神奈川。
おーきーっちゃ:大きい:青森。
どんだべーっちゃ:どうだろう:青森。
きっちゃ:切った・切れた。
くっちゃ:呉れた。
ふろにへーっちゃげ:風呂に入りましたか。
めんじょもらっちゃ:彰状をもらった。
ちゃんとやっちゃが:ちゃんとやったかい。
くわっちゃが:食べられたかい。
動詞の終止形または形容詞の終止形等に『ちゃ』が付く表現が、東北・北陸・北陸・九州に分布する。これは『かあさんの歌』の『せっせと編んだだよ』にもある形式で、具体的には『〜(する)だ』形『〜(した)だ』形『〜(形容詞・助動詞)だ』形があり、それに準じて分けてみると、主に太平洋側に分布する『だ』に該当することが判明した。現代語にすれば『〜のだ・〜んだ』に当たる。一部には『だ』そのものが当てはめられるものもある。以下『ふるさと』による。
(〜(する)ちゃ形)/〜(する)んだ
〜っちゃ:新潟・山口・宮崎。
〜っちゃん:長崎。
〜べっちゃ:〜だろう:宮城。
〜べーっちゃ:〜だろう:青森。
(〜(し)たっちゃ・だっちゃ形)/〜(し)たんだ・〜だのだ。
〜たのっしゃ:宮城。
〜たっちゃ:岩手・宮城・富山・長崎。
(〜(形容詞・助動詞・その他)っちゃ形)
〜っしゃ:宮城。さんじっしゃ:三時です。いったとっしゃ:行ったそうだ。ねとっしゃ:行かないそうだ。そっしゃ:そうだ。疑問の意味があり『じゃん』にも通ずる。
〜っちゃ:青森・宮城・新潟・長崎・宮崎。
〜ーちゃ:富山・大分・福岡。
〜ぢゃ
〜ぢゃー
〜ちゃ
〜ちゃー
【助】@〜とは(連語=格助詞+係助詞)、〜って、A〜と言うのは 茨城では多く促音を伴って使われる。元『〜てやらは・〜とやらは』か。
@『〜にては』『〜にてありては』の流れと思われる。『〜にてある』とは、『〜にちゃあ』『〜にいちゃあ』にも通ずる。さらに『〜にてあるとは』の意味も考えられる。江戸言葉の『〜たあ』に当たる。
類義語として近世語のに『:【助詞】係助詞「は」が、入声音(ニツシヨウオン)チ・ツで終る字音語の下に来た場合、タと発音されたもので、表記は「は」。能狂言などに見られる。狂、素襖落「明日は(みょうにった)日がらもようござるによつて」』(広辞苑)がある。
〜ちゃ:福島。
〜ちゃ:高知。『いくつっちゃ獲れんぞこんなものは』:いくつとは獲れないぞこんなものは。
やだっちゃなんだ::嫌だとは何だ。
やだっちゃねーべ:嫌だってことはないだろう。
おめそーたごどゆーっちゃあっか:お前、そんな事を言うなんて無いだろう。
あすくっちゃどごでー:あそこってどこだい。
★『土』:武州っちゃどっちの方だんべ:武州の方ってどっちの方だろう。
★『土』:そんだつて酒(さけ)っちゃ人(ひと)の口(くち)さ入(せ)える樣(やう)に出來(でき)てんだから、それ證據(しようこ)にゃ俺(お)ら口(くち)さ入(せ)えりゃす利(き)くから見(み)ろえ。
★『土』:彼岸(ひん)過(す)て斯(か)うだことっちゃ俺(お)ら覺(おべ)えてからだっで滅多(めった)にやねえこったから此(こ)れから暖(ぬくと)く成(な)るばかしだな、麥(む)も一日毎(いちんちめら)に腰(こし)引(ひ)っ立(た)たな
A@が基本になったものと見られる。
〜ぢゃ・ぢゃー:山形。
〜ぢゅーは:山形。
やだっちゃなんだ:嫌だと言うことは胴いう事だい。
〜ぢゃ
〜ぢゃー
〜ちゃ
〜ちゃあ
【助】〜ては 古くは濁音形も使われた。多く促音化したことばに付く。
『〜ては』の口語形で『ちゃ、ちゃあ』の意味。江戸語と思われる。寅さんの『それを言っちゃあおしまいよ』。
古くは濁音が使われたが最近は殆ど清音に変わったようである。
格助詞の『て』『と』はしばしば混乱して使われる。同時に『ては』『とは』も同様であるから、実質的に前項と同じルーツの言葉と思われる。
のんてゃーわるい:飲んではいけない:青森。
みてゃーいけない:見てはいけない:青森。
〜ぢゃ
〜ぢゃー
〜ちゃ
〜ちゃー
【助】〜たら(体言・活用語の終止形について、非難・驚きなどの意を表す。) 古くは濁音が使われたが最近は殆ど清音に変わったようである。
夏目漱石の『我輩は猫である』のニに『ほんとに憎らしい猫だつちあありあしない。』がある。現代語表記すれば『ほんとに憎らしい猫だっちゃあありゃしない。』になる。意味からすれば『ほんとに憎らしい猫ったらありゃしない。』であるが、『たら』が『ちゃあ』に訛ったとは考えにくい。『たら』は『とやら』が訛ったものとされ、反語の『や』が隠れている。古語風に言えば『とやらあらむ』『とやあるらめ』『てやらあるらめ』すなわち、『ほんとに憎らしき猫たるにてやあるらめ。』『ほんとに憎らしき猫だにしてやあるらめ。』、促音の存在から『ほんとに憎らしき猫だとてやあるらめ。』も考えうる。このことから、この場合の『〜ちゃあ』は、『〜てや』『〜とてや』が変化したと考えられる、現代語の『〜ては』が転じた『〜ちゃあ』にも通ずる。
〜つやー:〜と言えば:静岡。小刀つやーちっとも切れない。
まったぐうっせっちゃねー:全くうるさいったらない。
(〜ちゃー) 【接尾】〜達 静岡。
〜ちゃあんめ
〜ちゃあんめー
【複】〜するとはとんでもない、〜するなんて駄目だろう 『ち』は古くは濁音。『〜するなんてそれは無いだろう』の意味。
やんなっちったのにやるっちゃあんめー:やるなって言ったのにやるなんてないだろう。
〜ぢゃい
〜ちゃい
【助動】〜してしまえ 『〜ちゃえ』の転。
やっちゃいなさいよ
はやぐやっちゃいよ:早くしなさいよ。
〜ぢゃい
〜ちゃい
【助動】願望を表す助動詞。〜(し)たい。 当時の高齢者言葉。促音形を伴うこともある。過去を示す助動詞『〜た』に当たる方言として、『ちゃ』があるのを受けて生まれた方言か。『じゃ』との関係も無視できないがそれに関連する願望の言葉は見当たらない。また古語の『たし』との関係も見当たらない。そうなると、『〜たしや』が浮上する。願望を表す助動詞『たし』と感動を示す終助詞『や』がついた『たしや』が変化したのではないかという考え方である。
〜たしや→〜たや→〜たい→ちゃい
『新方言』には『〜ッチャイ:〜たい。山形県南部長井付近では、ラ行5段動詞のッチャイが他のすべての動詞に拡大した。ノミッチャイ・カッチャイなど。福島県で盛んな動詞のラ行音の拗音化と関係する。→見ッチャイ。』とある。
北海道民謡の『そうらん節』の『ちょい』(にしん来たかと 鴎に問えば わたしゃ立つ鳥 波に聞け チョイ)にも似ている。
〜っち:福島。
〜っちー:福島。
やっちゃくてもやらんねーがらこまんだよ:遣りたくても出来ないから困るんだよ。
しょんべんしっちゃぐなっちった:小便したくなっちゃった。
おめらにてづだってもらっちゃがねー:お前なんかに手伝ってもらいたくない。
〜ちゃい 【助動】〜さい 依頼・命令の助詞。『しゃる』の命令形『しゃれ、しゃい』が訛ったもの。
・ここ入りんちゃい:岡山。
・頑張りんちゃいよー:岡山。
・負けんちゃんなよー:岡山。
おいにもくんちゃい:俺にも頂戴。
〜ぢゃい 【助動】〜だよ 〜ぢゃい:鹿児島。
ちゃいん 茶畑 『茶園』。
ちゃいんかぶ
ちゃいんかぶず
ちゃいんかぼず
茶の木
(ちゃいんざ・ちゃねんざ・ちゃのんざ) 茶飲み座、中座敷 鹿児島。
ちゃおげ
ちゃおけ
茶菓子 『茶請け』。
おぞっ:山形。
おちゃぞっ:山形。
ちゃぞっ:埼玉。
ちゃぞっ:東京三鷹。
(ちや チガヤ 神奈川。倒語。
〜ちゃが
〜ちゃがー
〜ちゃか
〜ちゃかー
【助動】〜(し)たかい おわっちゃがー:終わったかい。
(〜ぢゃーか・〜ぢゃっか) 【助動】〜である 鹿児島。
〜ちゃが
〜ちゃか
【助】〜しか
ちゃがし
ちゃかし
ちゃかすこと 標準語には名詞形は無い。
ちゃかし:悪ふざけ者:青森。
ちゃがす
■▲ちゃかす
【動】@ひやかす。なぶる。馬鹿にする。Aはぐらかす。ごまかす。ちょろまかす。 『茶化す』。『集覧:多・稲』。
@・ちゃかす:静岡。
ちゃがす
ちゃかす
茶殻 『茶滓』。
ちゃがすけ 慌て者 『ちゃかちゃか』しているので人名化して『ちゃか助』と呼んだのだろう。
ちゃかし:青森。
ちゃがちゃが 【形動】@落ち着きの無い様、Aさっさと、どんどん @『ちゃかちゃか』。
ちゃかちゃかする:目立つようにする:山梨。
A・ちゃかちゃか:@ちゃっかり・Aいつの間にか:千葉銚子。
〜ぢゃがね
〜ぢゃがねー
〜ちゃがね
〜ちゃがーねー
【助】〜(し)たくはない やっちゃがねー:やりたくはない(やりたかあねえ)。
◆▲ちゃ 【動】しゃがむ、かがむ 『集覧:西』。多くは幼児語。
ちょこばむ:神奈川。
〜ぢゃがら
〜ちゃがら
【複】〜(し)たから
〜ぢゃーがら
〜ちゃーがら
【複】〜(し)ちゃうから 促音化した動詞に付く。
ちゃ
ちゃ
ちゃ
ちゃ
ちゃれこえ
ちゃれっこい
しわがれ声、しゃがれ声、かすれ声
△○ちゃ 【動】下がる、退く 『集覧:猿』。茨城・栃木。さがる→しゃちゃ
『称呼』には『脇へ退けといふ事を上総邊下野にてちゃといふ。「ちゃはあがしやしや庭のきりきりすをなし所にねまりてぞなく」。はあとははや也。すべて東国にていふ詞也。かしやしやかしましや也。ねまるは居ると云ことにて奥羽又又は加賀なとにていふ詞也。尤古代の詞也。出羽の尾花(澤)にて、はせを翁の発句にもきこえたり。又「欅白集」に云、小田原と云所の宿に泊まる。明れば、玉だれの小瓶に酒少し入りて、粽めくもの御膳にとてさしいづ。あるしのおとこにやあらん。けふはめてたきせちに候。一盃けしめされ候へかし、とあいたちなくいふも顔まほられぬへし。しどけなき事打語て、今しばし、ねまり申しべいをそれがしが旦那のえらまからんとて立ぬる。彼かふるまひにつけて(下略)此文章を見る時は、相州邊にても、ねまるといふ詞を遣ひたるとおもわる。むかしはすべて通語や。』とある。
ちゃ 【複】退け、下がれ 『集覧:猿』。
ちゃれる 【動】しわがれる、しゃがれる 古い言葉。しわがれる→しゃがれる→ちゃれる
ちゃがれる 【動】引掻かれる 『集覧:鹿・稲』。
ちゃぎちゃぎ
ちゃきちゃぎ
【形動】正統、生粋、本場もの、ちゃきちゃき 『ちゃきちゃき』。
ちゃぐい
☆ちゃくい
【形】ずるい、こすい 清音なら死語となった標準語。
ちゃくい:東京・山梨。
ちゃくる:横取りする:山梨。
〜ぢゃぐね
〜ちゃぐね
〜ちゃぐねー
【助】〜(し)たくない 通常促音を伴う。
やっちゃぐねー:やりたくない。
やっちぐね:やりたくない:福島。
ちゃくみじゃく 【副】目茶目茶に、支離滅裂、はちゃめちゃ 『俚言』には『ちゃちゃむちゃく』があるが解説が無い。近世語の『ちゃちゃくる』があることから、この方言も近世語の流れと思われる。
(ちゃくや) 夕方、夕暮れ時 神奈川。
ちゃーくらちゃー 【形動】しゃあしゃあと、はずかしもなく
ちゃ 茶筒 東茨城郡。
ちゃ:茶壷:埼玉・愛知。
〜ちゃげ
〜ちゃけ
【助】【助】〜だけ 拗音化。
ちゃけなす 【動】相手の言うことを打ち消す、けなす 『潰しけなす』意味。
(ちゃー) 茶菓子 静岡。
ちゃーこい 【形】小さい 『集覧:多』。
ちゃこい:宮城・福島。
ちゃこちゃこ
ちゃーこちゃーこ
ちゃーこちゃこ
【形動】しゃあしゃあ、はずかしもなく、平気で しゃあしゃあ→ちゃーちゃーちゃーこちゃーこ
(ちゃこや) 飲食店、料理屋、待合 東京。
そのまま『茶小屋』の意味と思われるが、江戸の近世語と考えられる。
(ぢゃさん・やんこさん) 稚児 鹿児島。
ちーやす 【動】費やす この言葉は実に感慨深い。
『費やす』と『潰す』が同源であったことを暗示させる。『潰す』は古くは『つやす』と言った。現代でも『時間を潰す』と言う。
茨城方言には接頭語+『ちゃす』の組み合わせの方言が残る。
(ちゃせ 1月14日に、前年生まれの子が正装してそれぞれ訪問する行事 宮城。
(ちゃぞっー) おつまみ 東京三鷹。
ちゃちこい
ちゃちけー
【形】ちゃちな様 ちゃちー:千葉銚子。
ちゃちこぐ
ちゃっちこぐ
ちゃっちっこぐ
【副】ちゃちに
ちゃちゃ
ちゃーちゃー
【複】違う違う 『違う』の繰り返し。関西では『ちゃうちゃう』
◆▲ちゃーちゃー 【副】しゃあしゃあ、はずかしもなく、平気で 『集覧:多・西・新』。
ちゃらちゃら:神奈川。
ちゃぢゃくちゃ
ちゃちゃくちゃ
ちゃぢゃみぢゃ
ちゃぢゃめぢゃ
ちゃぢゃめちゃか
ちゃちゃめちゃら
ちゃぢゃらめぢゃら
【形動】@いい加減な様、A散らかっている様、Bめちゃくちゃ 古い言葉に『茶茶ほうちゃ(無分別なさま。無茶。無茶苦茶。だいなしにすること。さんざん。)』がある。また『茶茶』には無分別の意味がある。『茶茶苦茶』『茶茶目茶』の意味。
広辞苑には『ささほうさ:だいなしになること。ささほさ。ちゃちゃほうちゃ。さんざん。めちゃめちゃ。浄、桂川連理柵「身代を―にする長右衛門」』とある。
『俚言』には『ちゃちゃむちゃく』があるが解説が無い。近世語の『ちゃちゃくる』(めちゃくちゃにする)があることから、この方言も近世語の流れと思われる。
A・ぢゃぢゃくちゃ:粗雑・適当・乱雑・雑然な状況:福島。
B・ちゃちほさ:神奈川。
ぢゃぢゃくちゃ:福島。
ちゃちゃほーちゃ:群馬・静岡。
ちゃちゃむちゃかー:神奈川。
ちゃちゃめちゃ:群馬。
ちゃっちゃくちゃら:福岡。
ちんがら:鹿児島。
Cその他。
てたくた:忙しく立ち働く様:宮城。
ちゃちゃっと 【副】さっさと、一気に 近世語。
ちゃーちゃど
ちゃーちゃーど
【副】しゃあしゃあと、はずかしもなく、平気で
ちゃぢゃみじゃぐ
ちゃぢゃみじゃく
ちゃぢゃめしゃぐ
ちゃぢゃめぢゃぐ
ちゃぢゃもぢゃぐ
ちゃちゃもちゃく
【副】目茶目茶に、支離滅裂、はちゃめちゃ 『集覧:稲』。
ちゃちゃめちゃ:群馬
ちゃぢゃらが 【形動】@いい加減な様、A散らかっている様
ちゃっか 【動】屈む 『しゃがみ屈む』意味。
ちゃっかちゃっか 【副】落ち着きの無い様、ちゃかちゃか
(ちゃっかり) 【形動】落ち着いている様、悠然 神奈川。若干の意味のずれ。
ちゃかりと:落ち着いて:静岡。
ちゃっく ファスナーの商品名、チャック
(ちゃっくい) 【形】ずるい 東京・神奈川。『ちゃくい』の転。
ちゃっくらちゃーど 【副】しゃあしゃあと、はずかしもなく 昭和30年代の言葉。
(ちゃっくれー) お茶が好きな人 神奈川。
ちゃつけ
ちゃっけ
ちゃつけめし
お茶漬 このような清音化は茨城方言の特徴である。
ちゃづげ
ちゃつけ
昼飯、冷飯 『茶漬』には『粗末な食事。簡単な食事。』の意味がある。
当時は、今と違い電子ジャー(今やこれも死語か)など無く、お櫃だった。ご飯は朝晩は炊くが昼は炊かない。農作業は明るいうちしかできないから、昼の分は朝に炊く。だからどうしても粗末な食事になる。昼食を『茶漬・冷飯』と言うのは、まさにそのままの呼称である。
ちゃっけ
ちゃっけー
ちゃっこい
【形】小さい 『ちっこい』が拗音化したもの。
ちゃっけー:千葉。
ちゃっけみち:細道:千葉。
ちゃっけあめ:小雨:千葉。
ちゃこい:宮城・福島。
ちゃっこい:青森・山形・宮城・福島・千葉。
めちゃこい:小さい:山形・宮城。
めっちゃこい:宮城。
ちゃっけ
ちゃっけー
ちゃっこい
【形】冷たい 幼児語。
ちゃっこい:神奈川。
ちゃっけす 【動】相手の言うことを打ち消す、けなす 『集覧:那』。『潰し消す』意味。
ちゃっけなす 【動】相手の言うことを打ち消す、けなす 『潰しけなす』意味。
ちゃっこい 【形】茶色っぽい 『ちゃっい』
ちっとちゃこぐねーが:ちょっと茶色っぽくないかい。
ちゃっこい 【形】すばしっこい 石岡市の方言。語源不詳。『はしこい』か。
ちゃっくい:ずるい:神奈川。
(ちゃっこざる) 小さな竹笊 神奈川。
(ちゃっさん) 【形動】沢山 沖縄。
〜ちゃった 【複】〜してしまった 標準口語では、撥音便を伴う場合は『〜じゃった』となるが、茨城弁ではオールマイティにそのまま全て『ちゃった』となる。
この場合、『〜してしまった』が訛ったとは考えにくく『にてありたり』すなわち『〜(し)てあった』が訛ったと思われ、歴史的にはむしろ茨城方言のように一律『ちゃった』の方が自然である。
『ちゃった』の用法は明治以降の語法で1922年(大正11年)野口雨情の『赤い靴』に見られる。もともと東京周辺の県で使われた言葉が東京に入り標準語として定着したものである。ちなみに神奈川方言の『〜(し)てあった』『ちゃった』に訛るとすれば、『て』を『ち』と発音する地域である。『て』を『ち』と発音するのは、全国では、茨城・和歌山・福岡・佐賀・長崎・大分・宮崎・鹿児島であり、大半が九州にあり、東日本では茨城だけである。そうなれば、『ちゃった』が生まれたのは茨城であることはほぼ間違いないだろう。
こうなると『ちゃった』の古形は『〜(し)てありたり』ということになる。
ちなみに茨城では、『ちゃった』とは別に『〜(し)てあった』がある。標準語でも『書いてあった。』などと言う。このニュアンスの違いは『〜(し)てあった』は過去の行為の結果の状態を示しているが、自らの行為の結果ではない。しかし、『ちゃった』は、格は選ばないから、この『過去の行為の結果の状態』と完了形の差異は見出せない。
〜でもた・〜てもた:兵庫・和歌山。
〜(し)てあった:神奈川。
しんちゃった:死んじゃった。
よんちゃった:読んじゃった。
広島に同じ言い方の『〜ちゃった』がある。『〜ある』((動詞の連用形、漢語動詞の語幹を受けて、その動作が自然のまま存在するという言い方で、敬意を表す) …なさる。あそばす。)が変化したものである。『ふるさと』の事例には、『来ちゃった』(来てあった:来なさった)『呉れよっちゃった』(呉れおりてあった:下さった)がある。
ちゃっちー 【形】ちゃちな様 俗語。
〜ちゃっちぇ 【助】@〜(し)てしまって、〜(し)ちゃって、A〜(し)たって、B〜(し)てしまえ
ちゃちっこい
ちゃっちっけー
【形】ちゃちなこと
〜ちゃっちった
〜ちゃっちっちゃ
〜ちゃっちゃった
〜ちゃっちゃっちゃ
【助】〜(し)てしまった 『〜(し)てしまった』を『〜てっしゃった』と言うことがあり、また、主に末尾が『す』で終わる動詞の『〜ちゃった』は『しゃった』となり、『おわっしゃった』(終わらせちゃった)などと言う。
最初の『ちゃ』は、格助詞『て』が『ちぇ』を経て『ちゃ』に変化したもの。2番目の『ちゃ』は『しまう』意味の『ちゃう』の転。最後の『ちゃ』は『〜た』の転と考えられる。
〜ってしまった→〜ちぇっちゃった〜ちぇっちゃった〜ちゃっちっちゃ
つぢーらさいっちゃっちった:土浦に行っちゃった。
ちゃっちゃ 雪駄 幼児語。『集覧:西』。
ちゃっちゃがちゃっちゃが
ちゃっちゃちゃっちゃ
【副】さっさと、素早く 『たったがたったが』
ちゃっちゃくっちゃ
ちゃっちゃくちゃ
【形動】歯茶目茶、支離滅裂 古い言葉に『茶茶ほうちゃ(無分別なさま。無茶。無茶苦茶。だいなしにすること。さんざん。)』がある。また『茶茶』には無分別の意味がある。『茶茶苦茶』『茶茶目茶』の意味。
広辞苑には『ささほうさ:だいなしになること。ささほさ。ちゃちゃほうちゃ。さんざん。めちゃめちゃ。浄、桂川連理柵「身代を―にする長右衛門」』とある。
『俚言』には『ちゃちゃむちゃく』があるが解説が無い。近世語の『ちゃちゃくる』(めちゃくちゃにする)があることから、この方言も近世語の流れと思われる。
ちゃちほさ:神奈川。
ちゃっちゃくちゃら:福岡。
ちゃちゃほうちゃ:むちゃくちゃに:群馬。
ちゃっちゃっと
ちゃちゃっと
ちゃっちゃど
ちゃっちゃと
【副】さっさと、素早く 『ちゃっと』の繰り返し言葉。古い標準語の『ちゃちゃと』の足音便。
日本語のサ行音は古くは『チャ行音』だったとされている。
しゃっしゃと:香川。
ちゃっちゃ:長野。『さっさ』。
ちゃっちゃっと:宮城・神奈川。
ちゃっちゃど:青森・岩手・宮城・山形。
ちゃっちゃと:静岡。
ちゃらかっと:神奈川。
ちゃっぢゃめぢゃ
ちゃっちゃめちゃら
【形動】歯茶目茶、支離滅裂 ちゃっちゃくちゃら:福岡。
ちゃちゃほうちゃ:むちゃくちゃに:群馬。
ちゃっと 【副】さっと、素早く 今の標準語世界で使う人はいない。
『俚言』には『ちゃと:急く事を申し付る時にいふ。江戸にてはちょっとといふ。又今の俗言にちょいとといふ。』とある。
現代語では『ちょっと』は『少し』の意味だが、『さっと』は古くは『颯と(さと)』とも言い、『さ』『ちゃ』は近世では同じ意味で使われていたことが解る。
ちゃっと:青森・静岡。
ちゃっと:急に:長野。
ちゃーっと:静岡。
ちゃーと:静岡。
ほちゃーと:急に:長野。
ほちょかっと:急に:長野。
ほちると:急に:長野。
(ちゃっ タオル、手ぬぐい 福島。幼児語と思われる。
(ちゃっづぐ) 【動】調子に乗る 福島。
ちゃづぼ 茶壺 茶は結いで自前で作るのがあたりまえで、一抱えもある大きな茶壺(焼き物)に1年分の茶を収容した。最後の『づ』が濁音でなければ標準語。木製の『茶箱(ちゃばご)』もあった。=『ちゃばぢ、ちゃぼぢ』
ちゃっ 風呂 幼児言葉。
ちゃっんちゃっ 【形動】飲み物を飲みすぎて胃の中で音がしている様子、ちゃぷちゃぷ
ちゃっこっ 【副】つべこべ 『ちゃべこべ』がさらに訛ったもの。
ちゃっ @風呂、A帽子 @幼児言葉。
じゃっ:宮城。
A・ちゃっ:学帽:宮城。
ちゃっ:群馬・神奈川。
Bその他。
ちゃっ:腰巻:静岡。
ちゃっ 風呂 幼児言葉。
ちゃっんちゃっ 【形動】飲み物を飲みすぎて胃の中で音がしている様子、ちゃぷちゃぷ
ちーやど 花嫁の一行が花婿宅に向かう途中の休憩所となる家 『中宿』。
〜ちゃーど 【複】〜(して)しまうぞ、〜ちゃうぞ 促音を伴う。
へそいじってっといだぐなっちゃーど:臍をいじっていると痛くなるぞ。
はーおらたべっちゃーど:もう俺は食べちゃうぞ。
〜ちゃない
〜ちゃね
〜ちゃねー
【助】@〜(する)ことはない、A〜(する)とはとんでもない、〜(する)なんて駄目だろう 足音便の動詞に付く。
〜ちゃない:山形。もってえったさいごあ、かえすちゃない:持って行ったら最後、返すことは無い。
(ちゃーならん) 【複】お手上げ 沖縄。
◎ちゃにする 【慣】ちゃかす。馬鹿にする。 『茶にする』。
□△ちゃのこ 朝飯前、朝食前の軽い食事、朝食、お茶菓子 やや古い標準語。『集覧:多・北』。『茶の子』(ちゃのこ)。
ちゃのこ:長野・静岡・鹿児島。
ちゃのご
ちゃのこごはん
ちゃのこめし
朝食前の軽い食事 『茶の子』(ちゃのこ)。
ちゃのま @土間に面した板の間の部屋、A台所 『茶の間』。=『おぢゃのま』。生活様式が変わった今では方言と思い勝ちだが、便所を『厠』と言ったのと同様民俗語である。
@食事をする部屋のことで、現代の『お茶の間』のこと。現代では食堂と居間を分離している家もあるが、かつては居間そのものだった。農家では畳の敷かれた部屋は、接客や就寝に使われたから、そう呼ばれる。
戦前の都市では、板の間も畳の間もなく、一つの部屋が食堂であり居間であり寝室であったから、当時の住宅公団が『食寝分離』を叫び、現代の○DKの考え方が生まれた。その後、さらに居間と寝室が分離されるようになり、現代の○LDKに至る。
A水戸市。江戸時代の言葉に『茶の間・茶の間女』がある。『江戸時代の武家で、茶の間に働く女中。商家では中居という。おちゃのま。』の意味である。
ちゃのみぢゃーん 茶飲み茶碗 単独では『ちゃーん』と言う。
(ちゃーはーえー) 【複】一目散に逃げる 沖縄。
ちゃばご 茶箱 清音なら標準語。
ちゃばだげ 茶畑 清音なら標準語。当時の土浦市の農家は畑の一部に必ずお茶の木を植え、家によってはその畑を『ちゃばだげ』と呼んだ。
当時の農家は共同で『焙炉』を持ち、初夏は茶を蒸す臭いが村にたなびいた。学校も敷地内に必ずお茶の木が植えてあり、5月には生徒が集まって茶摘をした。
ちゃばぢ 茶筒
ちゃばん 行事の当番
ちゃび ちび
(ちゃーびたん) 【複】参りました 沖縄。
(ちゃーびらさい) 【複】ごめんください 沖縄。もともとは『いかがですか』の意味と言う。
△○ちゃびん 薬缶 やや古い標準語。その他『@茶を煎じ出す釜。A茶を煎じ出す土瓶。B貴人などが外出の時に茶道具一切を入れて携えた具。』の意味がある。
『称呼』には『やくはん:大阪及中国四国にてちゃびんと云。遠江にてとうびんと云。信濃にててどりと云。土州の客予にていはく我故郷にやっくわんと云有。ちゃびんと云物よりは少大きくして口短を云。ちゃびんと云は形丸らかにして口長きを云とぞ。江戸にて其かたちいろいろ有といへどもすべてやくはんと云。又茶びんはその制別物なり。』とある。
現代ではヤカンが日常生活の中にあるのが寒冷地だけだろう。ヤカンは『薬缶』と書き、『(ヤッカンの約。もと薬を煎じるのに用いたのでいう)@銅・アルマイトなどで鉄瓶の形に造った容器。湯沸し。茶瓶。去来抄「うづくまる―の下の寒さかな」(丈艸)A薬缶頭の略。』とありヤカン一つをとってみても過去の日本語の変遷が見られる。
△▽ちゃぶす 【動】潰す、壊す つぶす→ちぶすちゃぶす。これぞ茨城・栃木限定の方言。東関東方言の代表。
『つやし潰す』『つやし圧す』意味か『潰す』と『潰す(つやす)』の合成語か。
ちゃぶす:茨城・千葉・栃木・埼玉。
ちゃぶだい
ちゃぶたい
ちゃぶで
ちゃぶでー
ちゃぶてー
卓袱台(ちゃぶだい)  子供の頃、テレビから聞こえる『ちゃぶだい』の発音が不思議だった。茨城では『ちゃぶたい』がメジャーである。音便化すると突然濁音化する標準語は不思議である。
 『卓袱台(ちゃぶだい)』の語源は『@チャブは「茶飯」の中国音Chya-fan、または「茶袱」の中国音Cho-fuの訛りか。また中国料理をいう米国語Chop-sueyの転か(大言海)。』とあり、昭和初期に編纂された『大言海』の引用しかないので、比較的新しい言葉と見られる。いずれも納得のいく説では無い。
 『chop suey』(チャプスイ)は大辞林では『肉や野菜をいっしょにいため煮にした米国式中華丼』とあり、広辞苑では、『チャプスイ【雑砕・炒汁砕】:(中国語) 広東料理の一。鶏・家鴨・豚・鮑(アワビ)などと筍(タケノコ)・白菜など野菜類の繊切(センギリ)とを、鶏のスープに加えて調理したもの。』とある。中国語が先なのか英語が先なのかなのか、今でも権威ある学者間で見解の相違のある不思議な言葉である。
 日本語感覚では、『ちゃ』は『茶』以外にあり得ないのだが、『ちゃぶだい』は近世や古語には無く、『卓袱台』と漢字が当てられている事から、中国語に理解の深い明治の文豪あたりが当てたとしか思えないが、その起源は明らかにされていない。
 では、『ぶだい』は何かということになる。『ぶたい』とは戦軍にも通じ、『舞台』にも通ずる。そうみると、『卓』を『舞台』に見立てて、『茶舞台』と呼んだ茨城県人の感覚は優れたものだと言えるかもしれない。
 ただ、昭和の『卓袱台』は今やほとんど無くなってしまった。昭和の時代の建築は、戦後『食寝分離活動』に始まり、それまでは、特定の部屋を用途を限定せず、用途に応じてフレキシブルに使っていた日本古来の文化があったのに対して、今や、LD・LDKが一般的となり、用途に応じて、部屋を設けるスタイルに変化した。
 これによって、それまで最小限のスペースで済んだものが、相応の面積が必要になるようになった。日本も西洋型の合理主義の世界が当たり前になったのである。
 今、居間(L)と呼ばれる部屋は、実際は、供給側が勝手に付けた部屋の名前である。実際は、LDであったり、LDKであったりする。呼び名は、本来は極めて重要なのだが、販売側はあまり積極的ではない。
 この理由は、持っている家具の存在による。これは、家具は建築物の一部であるという、合理的な西洋の感覚と、日本人の感覚は相反するのである。
 私は、この現象は、西洋人は自己責任感覚が強いので、そうなるのだろうと思うが、保険問題ではないので、ちょっと違うのかもしれない。
 日本が、過去に第二次世界大戦に突入したのは、石油の利権に係わるのですがそのの経緯を正しくしく理解している人は少ないかもしれません。
 きっと、これからのIT情報は、世界の人類が等しく得られなければならない。
ちゃぶでー:群馬・神奈川。
ちゃぶぢ 茶筒、茶壷
ちゃぶる 【動】(目を)つぶる つぶる→ちぶるちゃぶる
ちゃぶれる 【動】潰れる、壊れる 『集覧:多・新・稲』。つぶれる→ちぶれるちゃぶれる。東関東方言。
『ちゃぶす』の自動詞形とも言える。
『俚言』には『ちゃぶれる:下野にてつぶれること。』とある。
学生時代の部活でうっかり『ちゃぶれる』を使ったら、栃木出身の先輩に『栃木と同じなのね』と言われたのを思い出す。
ちゃぶれる:千葉野田・栃木。
ちゃーべ 【複】違うだろう
〜ちゃーべ 【助】〜してしまおうよ、〜ちゃおうよ 〜ちゃんべー:東京青梅。
はいぐやっちゃーべよ:早く終わらせようよ。
ちゃべぐる 【動】喋りまわす、喋くる ちゃべくる:山梨。
ちゃべごべ
◆■▲ちゃべこべ
【副】つべこべ 『集覧:那・新』。
ちゃべる 【動】喋る 次第に『喋る』に変っていった。
『俚言』によると加賀で多弁の者を『ちゃべ』と言った。
ちゃべ:おしゃべり:福島・富山・石川。
ちゃべくり:おしゃべり:山梨。
ちゃべし:おしゃべり:青森。
ちゃぼ ちび ちゃぼ:神奈川。
ちゃほじ
ちゃほーじ
焙烙(ほいろ)・炮烙(ほうろく) 『集覧:新』。
当時は、どの家にも茶畑があり、自家製でお茶を作った。かなり大型の焙じ台(焙炉の大型のもの)を共同所有し、時期が来るとあたり一面が茶焙じの匂いで一杯になった。長音形は山形県米沢市でも使われる。
広辞苑には『茶焙じ』は『番茶を火にかけてあぶる道具。柄付きの曲物(マゲモノ)の底に紙や金網を張ったもの。』とある。
ちゃほーじ:山形・茨城。
ちゃほじ
ちゃほーじ
土製の炒り鍋 『称呼』には、『いりなべ:大和及東国にてほうろく、下総にていり、常陸にてちゃほうじといふ。』とある。 広辞苑には『茶焙じ』は『番茶を火にかけてあぶる道具。柄付きの曲物(マゲモノ)の底に紙や金網を張ったもの。
』とある。
ちゃぼぢ
ちゃぼち
茶筒、茶壷 『集覧:稲』。
△ちゃぼん 茶器をのせる盆 『茶盆』。普通は『おぢゃぼん』と言う。
◆▲ちゃま 茶釜 『集覧:猿』。音位転倒の典型例。
『俚言』によれば駿河でもそう言ったとある。当時の家には、お茶用の湯沸かし専用の小型の釜があった。
ちゃま:青森・秋田・神奈川・佐渡島・静岡。
ぶんぶぐちゃま
(ちゃむくれ) 罵倒語、馬鹿野郎 神奈川。
『へちむくれ・へしむくれ・へちゃむくれ』なら標準語。
(ちゃも) 矮鶏(ちゃぼ) 鹿児島。
調べると、『軍鶏(しゃも):(暹羅鶏シヤムロケイの転略) 鶏の一品種。丈が高く、精悍。羽毛の装飾は少なく、色は、赤笹(褐色)・白笹・銀笹・黒の四種が普通。闘鶏に用い、また愛玩用・食用。シャム。』『矮鶏(ちゃぼ):(占城チヤンパ国から渡来したからいう) 鶏の一品種。愛玩用。小形で、尾羽が直立し、脚が非常に短く、両翼が地に接するほど低いことなどが特徴。カツラチャボ・シロチャボ・ミノビキチャボなどわが国で作出された種類が多い。ウズラチャボは全く尾羽がなく、天然記念物。』とある。
〜ちゃや
〜ちゃよ
【複】〜(し)たよ 足音便を伴うことが多い。語法は異なるが、断定の助詞を『ちゃ』と言うのは全国に散在する。これに、終助詞『や・よ』がついたもので強調形である。
〜ちゃや:宮城。
(ちゃやっいり) 茶屋通い 東京。
▽☆ちゃら @嘘、でたらめ、うそつき、Aちゃらんぽらん、B差し引きゼロにすること。 『集覧:稲』。
広辞苑には『@ごまかしのことば。でたらめ。でまかせ。うそつき。Aちゃらんぽらん。B差し引きゼロにすること。』とある。@Aはやや古い標準語。
『俚言』には『ちゃらくら:人を幻惑するを云。又ちゃらとばかりもいふ。』とある。
A・ちゃら:静岡。
ちゃら 冗談、本心に無いこと、ふざけたこと 本来は『茶利』と考えられる。
おちゃらちゃら:東京多摩。
ちゃら:福島・群馬・神奈川・長野・山梨。
〜ちゃら 【複】〜(し)たら 即音便を伴う。『とてやあるらめ』『てやらあるらむ』の流れの『とやら(てやら)』が訛ったもの。
ちゃーら
ちゃーり
【副】ちゃらんぽらんに、適当に、いい加減に 『ちゃら』の転。本来は名詞だが、副詞として使っているもの。
ちゃらがす 【動】@散らかす、A放って置く、 A『おちゃらがす・おっちゃらがす・ほっちゃらがす』の短縮形。
ちゃらがす
▽ちゃらかす
【動】冷やかす、ちゃかす ちゃらかす:神奈川。
〜ちゃらがっ 【複】〜(し)てったらいいだろう・〜(し)てったらどう(勧誘) 『〜たらがっ。即音便を伴う。元『〜たらいがっ。元『〜てあらば良かるべし』。一般に下二段活用の動詞に限定して使われる。
いっちゃらがっ:入れたらいいだろう。
くっちゃらがっ:呉れたらいいだろう。
よっちゃらがっ:寄ったらいいだろう。
ちゃらぐら
☆ちゃらくら
【形動】でまかせにいいかげんなことを言うこと(人) =『ちゃら』。
ちゃらげる
△☆ちゃらける
【動】いいかげんなことを言う、ふざける 『俚言』には『ちゃらけるちゃらをいふなど云。ちゃらを云り。偽るをちゃらてんとも云。ちらてんとも云。』とある。
ちゃらける:岩手・静岡。
ちゃらちゃら 【形動】軽い物腰でいいかげんなこと(人) 標準語。
ちゃらちゃら:埼玉。
ちゃらつぐ 【動】うきうきする、お金をちゃらちゃら言わせる 『ちゃらつかす』。
ちゃらっと 【副】@ちゃっかりしている、平気な様、Aさらっと、軽く、ちょろっと @『しらっと』。
ちゃらっと:千葉。
A『さらっと』。
ちゃらかっと:神奈川。
Bその他。
ちゃらっと:ややもすると:岩手。
ちゃらっぼご
ちゃらっ
◎ちゃらっ
ちゃらぼご
ちゃら
ちゃらっこ
【形動】でたらめ。うそ。また、でまかせを言う人。いい加減な様。 『集覧:北』。古い言葉の『ちゃらぼこ・ちゃらっこ』。現代語の『ちゃらちゃら』に通ずる言葉。
一般に『ちゃらぼこ』とは、『ちゃらぼこ太鼓』とも言い太鼓やそのリズムを言った。現代では三河地方の芸能としても残っている。
江戸時代には『ちゃらぼこ野郎』などと罵倒語としても使われた事から『頓珍漢』と同じように音のずれに例えて物事の辻褄が合わなかったり、ちぐはぐになったりすること、間抜けな言動をすることを例えたのであろう。
ちゃらっ:神奈川。
ちゃらほら
ちゃら
【形動】@ちゃらんぽらん、でたらめ、Aおだてられる様 『ちゃら』。
A・ちゃらほや:山梨。
ちゃらもっこ
ちゃーらもっこ
【形動】でたらめ。うそ。また、でまかせを言う人。いい加減な様。 『集覧:多』。古い言葉の『ちゃらぼこ・ちゃらっこ』の転。
ちゃらんらん
ちゃらんらん
■▲ちゃらんらん
ちゃらん
【形動】いい加減な様、でたらめ 『集覧:筑・新』。
『ちゃらんぽらん』は『ちゃらほら』を語源とし、『ちゃらほら』は『ちゃら』に由来するとされる。
ちゃらんらん:静岡。
ちゃらんらん:静岡。
ちゃり
ちゃりいれ
横槍、野次 『茶利』とは滑稽な文句や身振り・おどけ・冗談を意味するので、『茶々』の意味で誤用していると思われる。
ちゃり:埼玉。
△▽◇ちゃり
ちゃれ
滑稽な文句、おどけ、おどけ者 『茶利』(滑稽な文句や身振り・おどけ・冗談)。標準語。
『俚言』には『ちゃり:江戸にてどうけ方のことを京にてちゃり役と云。』とある。
ちゃり:合の手:神奈川。
ちゃり
ちゃれ
しゃれ 『茶利』とは滑稽な文句や身振り・おどけ・冗談を意味するのでそれが転じたか『洒落』が転じたものだろう。
ちゃりる
ちゃれる
【動】おどける、洒落を言う 『洒落る』。
ちゃりる:山梨・長野・岐阜。
ちゃーる 【動】捨てる 『集覧:猿』。『打ち遣る』の転。
『俚言』には『ちやぁれ:下総にて打やれといふ事を、ちやぁれと云。遠江にてはちつちやれといふ。上方京邊にてはほっておけといふ。』とある。
ちゃーる:茨城・千葉・栃木・静岡。
〜ちやる
〜ちゃる
【複】〜(し)てやる、〜(し)てあげる 足音便を伴う。
〜たる:関西。
〜ちゃー:佐賀。
ちゃれる
ちゃーれる
【動】▲破れる、壊れる、潰れる 古い標準語の『潰す』(つやす)が転じたか『ちゃぶれる』がさらに訛ったと考えられる。『集覧:新・稲』。
(〜ぢゃろ) 【複】〜だろう 鹿児島。
今では古老のことばとしてしか使われないが西日本では健在である。『〜であるらむ』『〜にてやあるらめ』の意味か。
ちゃん お父さん 江戸時代以降の古い言葉。『集覧:猿』。
ちゃちゃ:幼児語:岩手。
〜ちゃん 【助】〜ちゃん 幼児語。標準語と同じだが何にでも『ちゃん』付けして呼ばせる傾向があった。
あーら、ねこちゃんがきた。ぶだちゃんもあそごにいっと。いぬちゃんはおっかねーんだよな:ほら、猫が来た。豚もあそこにいるよ。犬は怖いんだよね。
ちゃーん 茶碗
ちゃんかたぶね 小船 『ちんこぶね』
ちゃんれる 【動】しわがれる、しゃがれる
◆▲ちゃんこ
ちゃんけー
ちゃんちゃんこ、(子供用の)袖なし羽織、そでなし 『集覧:鹿』。那珂郡では『ちゃんか』と言う。
ちゃんきー:中国の上着のようなもの:静岡。
ちゃんこ @膝、Aお座り、正座 @茨城方言集覧では旧新治郡の訛りで『膝蓋のこと』と読める。
A幼児語。
おかっこ・おかっこま:東京。
おかっこまり:東京青梅・神奈川。
おかっこまわり:神奈川。『畏まり』が訛ったと考えられる。
おしゃんこら:栃木。
おちゃんこ:東京青梅・神奈川。
じゃんこ:宮城。
じゃんする:座る:宮城。
ちゃんこ:福島・神奈川・静岡。
Bその他。
ちゃんこ:袖無しの羽織・ちゃんちゃんこ:神奈川。
ちゃんこ 小型の川舟の一種 『ちゃんころ(小さくて取るに足りないもの)』に通じる言葉。
△▽ちゃんこ 女陰 県下では筑波郡にのみ残る言葉。
ちゃんこ:新潟・長野。
ちゃんこい 【形】小さい 『ちんけ』とも関係がありそうな言葉。
ちゃんこ:大家の奥周りの下女:青森。
ちゃんこする 【動】正座する 幼児語。
じゃんする・じゃんとする:座る:宮城。
ちゃんこする:静岡。
◎ちゃんころ 小さくて取るに足りないもの もともとは銭のこと。江戸語。
『俚言』によれば江戸時代には銭のことを別に『ちゃんから・ちゃん』と言った。『ちゃん』は中国語に由来するとされる。
ちゃんころ @ちび、A川舟の一種、B犬 『ちゃんころ(小さくて取るに足りないもの)』に通じる言葉。
Aは『ちゃんかた』『ちゃんかたぶね』『ちゃんきぶね』『ちゃんころぶね』とも言う。茨城民謡の『磯節』に『船はちゃんころでも炭薪や積まぬ、積んだ荷物は米と酒』がある。
ちゃんころ 中国制覇を旨とした時代の日本軍が中国人を呼んだ呼称 投稿があったため掲載した。
『ちゃんころ』とはもともとは銭のことで、転じて『小さくて取るに足りないもの』の意味がある古い標準語。
戦時中に中国人を指した蔑視語でもある。『小さくて取るに足りないもの』とは語源が異なるとされているが、無関係ではないと思う。満州駐留経験のある私の義理の叔父がしばしば言っていた言葉。
広辞苑には『チャンコロ:(「中国人」の華音 zhongguoren の転訛) 中国人に対する蔑称。』とある。
ちゃんころぶね 小型の川舟の一種 『ちゃんころ(小さくて取るに足りないもの)』に通じる言葉。
ちゃんちきあめ 『ちゃんちきあめや』が売る飴 『ちゃんちき』とは『鉦(かね)などを打ち鳴らす音を表す語。』の意味。民謡に『ちゃんちきおけさ』がある。
ちゃんちきあめや 鉦を叩きながら天秤棒を担ぎながら飴を売り歩く行商人
(ちゃんちゃー) 茶碗 静岡。幼児語。
ちゃんちゃん 【形動】終わりの様 幼児語。『集覧:久』。
ちゃんちゃん:宮城。
おしまいちゃんちゃんね:終わりだよね。
△ちゃんちゃん
◆ちゃんちゃんこ
ちゃんちゃんこ おちゃんこ:子供用のちゃんちゃんこ:神奈川。
ちゃんちゃん:群馬・長野・静岡。
ちゃんちゃんこ:肌着:福島。
ちゃんちゃんと 【副】ちゃんと、しっかり、さっさと、きちんきちんと 古い標準語。
ちゃんちゃんと:山梨。
ちゃんちゃんばらばら @ちゃんばら。
A乱闘。喧嘩。
副詞的につかうこともある。ほぼ死語。
ちゃーんと 【副】ちゃんと、しっかり 長音化。
ちゃんとにする 【動】ちゃんとする 古い言葉。
ちゃんとにね:きちんとしなよ:山梨。
(ちゃんびー) 静岡。
(ちゃんびん) 茶柄杓 静岡。
(ちゃんるー) まぜあわせ、野菜炒め、ちゃんぽん 沖縄。
ちゃんぼ
ちゃん
ちゃん
ひざ、ひざ頭 このような訛が残っているのは、かつて『膝』を『ひじゃ』と呼んでいただろうことが推測される。
ちゃんぼ:茨城・群馬・岐阜。
ちゃんぼーん
ちゃん
葬式 『集覧:筑・稲』。
葬式のドラの音や『鐃はち(にょうはち)』(銅製の皿状の物を二枚打ち合わせて音を出す法会や葬儀で用いる楽器)は古くは『じゃんぼん』と呼ばれた。
ちゃんん) 【形動】交互の様 神奈川。
ちゃんや
ちゃんやー
江戸時代の呼称『ちゃん』に由来する古い言葉。稲敷郡・鹿島郡の方言。
『ちゃん』に呼びかけの感嘆詞『やあ』がついたものが成語となったと思われる。『ちゃん』は元は『父(ち)』に敬称『やん』が付いたもので、『ちゃん』に親しみの接尾語『や』が付いたか。
ちゅ
ちゅゆ
おしる、おつゆ
(ちゅ・ちゅー) 沖縄。
(ちゅー) 今日 沖縄。
〜ちゅ
〜ぢゆー
〜ちゆー
△〜ちゅー
【複】〜て〜、〜と言う〜、〜だそう〜 格助詞と合わせて様々な助詞を形勢する『〜ちゅう』は標準語でも関西でも口語として使われる。古語の表記は『ちふ』
〜っていう→〜っちゆう〜ちゅー
『〜という』意味。広辞苑に『ちゅう:「といふ」の約。万八「誰の人かも手に巻かむ―」。「何―ざまだ」』とあり、万葉集の時代からあった古い言葉。古語には『ちょう・てふ・ちふ』がある。
『新編常陸国誌』の濁音形の存在は貴重である。
『称呼』には『何事じゃといふ事を 上総にて あんだちふと云。会津にて あんちふだびっちふだ と云。あんだは 何(な)んぢゃ也。ちふは、何々と云言をつづめて何々ちふとも、何々とふとも、何々てふとも、上代よりいひし言なり。戀(恋)すてふなど歌によめるも、戀(恋)すといふ詞なり。長門又は土州の山家にて、何(なに)ちふと云。又事ぢゃと云を、京近邊西国にては、何(な)んの事(こっ)ちゃとつめて云。尾州邊で、何(なに)の事でやと直にいひ、東国にては、何(な)んの事(こん)だとはねて云。是等のはねるとつめるの相違は風土のならはし也。』とある。
この言葉を分解すれば『〜ちいう・〜ていう・〜という』となる。茨城では『〜とゅー』という言い方もある。標準語の『〜ちゅう』はかつて『〜ちゆう』だったとすると、茨城には古形が残っていることになる。
よく考えると、『〜ていう』の成り立ちを考えると、『〜teyu』であり、『とぅゆー』を経て『ちゅう』になるのは必然性がある。
格助詞と合わせて様々な助詞を形勢する『〜ちゅう』は標準語でも関西でも口語として使われる。古語の表記は『ちふ』
〜っていう→〜っちゆう〜ちゅー
『〜という』意味。広辞苑に『ちゅう:「といふ」の約。万八「誰の人かも手に巻かむ―」。「何―ざまだ」』とあり、万葉集の時代からあった古い言葉。古語には『ちょう・てふ・ちふ』がある。
『新編常陸国誌』の濁音形の存在は貴重である。
『称呼』には『何事じゃといふ事を 上総にて あんだちふと云。会津にて あんちふだびっちふだ と云。あんだは 何(な)んぢゃ也。ちふは、何々と云言をつづめて何々ちふとも、何々とふとも、何々てふとも、上代よりいひし言なり。戀(恋)すてふなど歌によめるも、戀(恋)すといふ詞なり。長門又は土州の山家にて、何(なに)ちふと云。又事ぢゃと云を、京近邊西国にては、何(な)んの事(こっ)ちゃとつめて云。尾州邊で、何(なに)の事でやと直にいひ、東国にては、何(な)んの事(こん)だとはねて云。是等のはねるとつめるの相違は風土のならはし也。』とある。
この言葉を分解すれば『〜ちいう・〜ていう・〜という』となる。茨城では『〜とゅー』という言い方もある。標準語の『〜ちゅう』はかつて『〜ちゆう』だったとすると、茨城には古形が残っていることになる。
よく考えると、『〜ていう』の成り立ちを考えると、『〜teyu』であり、『とぅゆー』を経て『ちゅう』になるのは必然性がある。
〜ちゅー:群馬・静岡・香川・鹿児島。
〜ちょー:静岡。
やだっちゅに:嫌だってのに。
んだっちゅが:そうだって。
やだっちゅーいーがだはねーべ:嫌だという言い方はないだろう。
(ちゅーい) 【副】暗誦で、そらで 鹿児島。
『宙で』。
〜ちゅいば
〜ちゅいーば
【助動】〜て言えば やだっちゅいーばいがっ:嫌だと言えば言いでしょう。
(ちゅううがなびら・ちゅーがなびら) 【複】こんにちは 沖縄。
ちゅが
ちゅーが
【接】と言うより、て言うか
〜ちゅが
〜ちゅーが
【助】〜て言うの? なんだっちゅが?:何だって?。
(ちゅーかー) 急須、土瓶 沖縄。
ちゅ 【形動】違う
ちゅいる 【動】違える、間違える
ちゅーくせ 中学生
ちゅってる 【動】違ってる、間違ってる
ちゅーぎ 通風、通風を止む人 標準語では使われなくなった『中気(ちゅうき)』。
ちゅぐ
ちゅく
ちゅうらい
ちゅうくらい
ちゅー
ちゅーくれ
ちゅーれー
ちゅーくれー
中位 ちゅっくれー:埼玉。
(ちゅーこー・ちゅーこん) 古くからではないこと 神奈川。『中古』すなわち少し古い意味か。
ちゅーしゃぐ @お節介(な言葉)、A忠言、忠告
ちゅーさ 注射
ちゅーさい
ちゅーせー
【形】小さい 『集覧:無記載』。
(ちゅーじき) 昼食 ちゅーじき:山梨。
ひりい:山梨。『昼飯(ひるいい)』。
ちゅーぜーしょ 駐在所
ちゅーだん 山腹 『中段』の意味。
ちゅーだん:群馬・千葉。
(ちゅーちゅー・ちゅーちゅーしー) 【形動】小さくて体に合わない様 神奈川。『きゅうきゅう』の意味か。
ちゅーちゅー:東京三鷹。
ちゅーちゅーしてる:着物の丈が足りない:山梨。
ちゅーちゅーたごかいな 【慣】ちゅうちゅうたこかいな おはじきなどで、『二、四、六、八、十』と数える代わりに使う言葉。
ちゅーっくれ
ちゅーっくれー
中位
〜ちゅった 【助】〜と言った 『〜っていった』
〜ちゅった:神奈川。
ちゅーっ 大人になる手前の子供 『常磐沿線』掲載語。『中羽』の意味としている。『中端』の意味も考えられる。
ちゅーっ
ちゅーっ
中腹、山腹、斜面 ★『土』:田(た)の畦豆(くろまめ)引(ひ)っこ拔(ぬ)えて土手(どて)の中(ちう)っ腹(ら)へ干(ほ)しちゃ見(み)た樣(やう)だが、まあだなんちっても莢(さや)本當(ほんたう)に膨(ふく)れねえんだから、ほんの豆(まめ)の形(かたち)したっち位(くれえ)なもんだべな。
ちゅーとか 【形動】いい加減
ちゅーどなが 途中 『中途』+『中』。
ちゅーなか:秋田。
〜ちゅーに 【複】〜と言ってるのに 〜ちゅーに:山梨。
〜ちゅーの 【複】〜と言ってるの
ちゅーは 中葉、中位の位置にあるタバコの葉 タバコ栽培の専門用語。
(ちゅーばー) 【形】強い 沖縄。
ちゅーはん 昼食 『中飯・昼飯』。
ちゅーはん:福島。
ちゅーはんめ:午前中で片付く仕事・午前中:青森。
つはん:鹿児島。
つーはん:福島。
ちゅーぶら 【形動】中途半端、いい加減、ぶらぶら、宙ぶらりん
ちゅーぶる 中古、セコハン 今ではあまり使われない標準語。
ちゅーぶる:埼玉。
(ちゅーむかし) 幕末から明治初期頃 神奈川。=『じゅーむかし』
(ちゅら) 【形動】うつくしい 沖縄。『きよらか』が訛ったもの。
(ちゅらかーぎー) @美人、美女、A【複】顔がかわいい 沖縄。
『ぎー』は『顔』の意味。
(ちゅらさん) 美人、美女 『ちゅらさん』『ちゅら』は、形容動詞と考えられ、もともとは『清い』の意味と言う。『清ら』が訛ったものであると言う。しかし、光るものや雲母は『きら』とも言い、『ちゅら』とは『光る様』の意味の可能性がある。
カ行音の一部がタ行音に変化する傾向は東北方言にも見られ、日本語は、もともとカ行音とタ行音が未分化で、仏教伝来に伴って、漢語・漢字の到来によってカ行音とタ行音が分化した可能性を思わせる。漢語・漢字の伝来によってカ行音とタ行音が分化したのではないかという仮説である。
一方、沖縄方言の母音は全てではないが、概ね『あいう』に収束する。五段に表すと『あいういう』となる。標準語を中心に考えれば、『え』が『い』に、『お』が『う』に収束する。この傾向は、実は標準語にもかすかながら残されており、それなら、古い日本語の語形は地方に残る方言にこそ、その原型があったと考えても間違いは無いのかも知れない。
(ちゅーん) 【動】来る 沖縄。
ちゅんちゅん
ちゅんちゅんめ
スズメ 幼児言葉。方言地図によると、茨城県下ではこのほか『ほんすずめ・ぬぎばすずめ』と言う地域がある。隣の千葉県では『ぬきば』と呼ばれる。
〜ちょ 【助】@場所やその状態を表す助詞、A愛称の接尾語 @標準語では『横っちょ』がある。『所、処』が訛ったと思われる。『〜にてある所』の意味。
っちょ:右側。
ういっちょ:上の所。
A標準語では『ぎっちょ』『太っちょ』がある。『〜にてある奴』の意味。
かまっちょ:カマキリ。
〜ちよ
〜ちょ
【助】〜(なん)て、〜(なん)てさあ 『て』に終助詞『よ』がついたもの。多く『〜なんちよ、〜なんちょ』の形を取る。原型は『〜なんちゃよ』
やだなんちよ、よーぐゆってられるわ:嫌だなんてよく言っていられるわ。
やだなんちょゆってるしまあんのが:嫌だなんて言ってる暇があるのかい。
こーたのなんちょくわんにぇ:こんな物なんて食べられない。
〜ちょ
〜ちょー
【助】頂戴、(〜して)下さい。 ・聞いてちょーよ:愛知。
『国誌』では『此方へ誘い依する辞なり。』と解説している。当時の新方言と思っていたが江戸時代にも使われていたもの。
やってちょーよ:やって頂戴よ。
くんちょ:頂戴。★おいっちょ:お出でなさい。
おんちょ:お出でなさい。
(〜ちょ・〜ちょし) 【複】〜するな 山梨県の方言。動詞の連用形に付く。
いっちょし:言うな・行くな。
きちょ:着るな・来るな。
ここおとーっちょし:ここを通るな。
ほんねんかっかべえってくっちょ:そんなにがつがつして食べるな。
みちょし:見ないで。
(〜ちょー) 【複】〜そうだ 静岡。『〜てよ』が訛ったか。
あったっちょー:有ったそうだ:静岡。
(〜ちょー) 【接尾】〜様、〜さん 静岡。
〜ちょー ベイゴマを数える単位 『梃・挺』の意味か。
広辞苑には『鋤・鍬・墨・銃・蝋燭・艪・駕籠・人力車などを数える語。「丁」とも書く。』とある。
ちょい 【副】ちょっと 標準語。
ちょいこら 【副】ちょっと 近世語。
ちょいくら:栃木・群馬。
(ちょいいっく) 僅かな休憩 神奈川。『ちょい一服』。
ちょいちょい 【副】しばしば 標準語。
ちょいちょい:群馬・神奈川。
ちょいちょいしてるもの:小さなもの:神奈川。
ちょいちょい 普段着 やや古い標準語。30年代の言葉。本来は『ちょっとした外出の時などに着る着物』の意味。農家の場合は作業服こそ普段着だから、そのようになったのだろう。
ちょいちょい:晴れ着と普段着の中間:群馬・東京。
ちょいっと
ちょいと
【副】ちょっと 『俚言』には『ちやと:急く事を申し付る時にいふ。江戸にてはちょっとといふ。又今の俗言にちょいとといふ。』とある。現代では少しの意味だが、近世には急いでの意味があった。
呼びかけに『ちょいと』を使うのは江戸言葉である。
ちょいと:群馬・山梨。
ちょいのま 【形動】@少しの間、Aすぐ近く 辞書には無いが、近世語を受継いだ言葉と見られる。
@・ちょいのま:群馬・神奈川。
はーちょいのまにやっちゃーべな:あっと言う間にやってしまうだろう。
ちょいみ ちょっとみ 辞書には無いが、近世語を受継いだ言葉と見られる。
ちょいみる 【動】ちょっと見る 辞書には無いが、近世語を受継いだ言葉と見られる。
しとのはらなんちゃちょいみだらわがっちゃーよ:人の心の奥底なんてちょっと見ただけで解ってしまうと。
ちょいら
ちょいり
【副】@ちょっと、簡単に、A突然 辞書には無いが、近世語を受継いだ言葉と見られる。
@・ちょいら:群馬。
A・ちょえら:山形。
(ちょう) 長野。
(ちょか) 土瓶 鹿児島。
ちょがす 【動】散らかす 久慈郡・鹿島郡。
ちょかはやい 【複・形動】素早い、頭の回転が良い、機転が利く 『集覧:稲』。
古い標準語の『ちょか』は『心がおちつかず、行動の軽々しいこと。また、その人。』を示す。漢字は当てられていない。副詞形に『ちょかと』(ちょっと。急いで。)があり現代語の『ちょこちょこ』に通ずる。古い標準語の『ちょくる』(たわむれに触れる。なぶる。)に通ずる。
ちょか:軽々しい人:滋賀・奈良・兵庫。
ちょかす:からかう:長野・和歌山。
ちょっけはやい:長野
(ちょー 経木 神奈川。カ行音がタ行音に変化するのは東北方言の特徴でもあるが、東北方言と最も縁が無い神奈川でも同じ訛の図式があることを立証する方言である。
(ちょきかりな) 【副】簡単な・あっさりした 東京。
ぢょぎぢょぎ 【副】ちょきちょき(鋏で切る)
ぢょぎっと 【副】ちょきちょき(鋏で切る)
ちょき
☆ちょきぶね
ちょっき
ちょっきぶね
さっぱぶねより大きく船足が速い 『猪牙船』。
芥川龍之介の『大川の水』にも出てくる。『猪牙船:山谷船、ちょけぶね、ちょき』とも言う。
ちゃか:小船:静岡。
(ちょー 経木 神奈川。
ちょれる 【動】ちょんぎれる、千切れる 短縮化。俗語。
ちょ 【動】ちょんぎる、千切る 短縮化。
ぢょぎんと 【副】ちょきちょき(鋏で切る)
ちょぐ
○☆ちょく
猪口(ちょこ) 『猪口(ちょく)』。一般に使われる『猪口(ちょこ)』はその訛。神奈川にも残る。
『称呼』には『ちよく:薩播州にてのぞきと云。江戸にても底深きをのぞきぢょく(のぞきちょく)と云。又福建及朝鮮の方言に鐘っを呼てちよくと云。』とある。
ちよこ:神奈川。
ちょこ:静岡。
〜ちょ
〜ちょく
【助】〜(し)ておく 『ぐ』は濁音・鼻濁音。
『新方言』には『〜チョク 「ておく(完了態)」;「て置く」の音融合形「チョク」と以前からの「〜チョル」の用法の混同による;大分県中年以下(1992);「先にタベチョク」は「先に食べてしまっておく」の意味;老人も使う。』とある。
訛りの図式は東西とも変わりが無い例。
〜ちょくれ:〜(し)ておくれ:大分。
しくでーやっちょ:宿題やっておきなさいよ。
おれやっちょっから:俺がやっておくから。
ちょぐちょぐ
ちょくちょぐ
ちょくちょく
ちょこちょろ
【副】ちょいちょい、しばしば、ちょくちょく 『集覧:真』。清音なら使われなくなりつつある標準語。近世には『ちょこちょこ』とも言った。
ちょくちょく:埼玉・群馬・神奈川。
ちょぐに
ちょくに
【副】直接に 『直に』(じかに)。清音形は定着した言葉だが辞書には無い。
ちょぐみぢ 近道 『直道』(すぐみち)を訓読みしたものと思われる。
ちょくら 【副】ちょっと 『ちょっくら』の原型と考えられる。
ちょぐる 【動】からかう、おちょくる 古い標準語の『ちょくる』(たわむれに触れる。なぶる。)の濁音化。広辞苑には『(東北地方・新潟県・関西地方で) からかう。』とある。古い標準語には『嘲す(ちょうす)』(あざける。馬鹿にする。人をなぶる。)、『戯ける(ちょうける)』(おどける、ふざける)がある。現代では多く『おちょくる』という。
ちょかす:長野・和歌山。
ちょかす:京都・兵庫。
ちょくらかす:長崎・熊本・鹿児島。
ちょぐる:山形。
ちょくる:青森・鹿児島。
ちょける:ふざける:三重・和歌山・奈良・大阪・京都・兵庫。
ちょーける:静岡。
ちょこす:千葉。
ちょちける:岐阜。
ちょちょくる:和歌山。
ちょぼける:長野・岐阜。
ちょらかす:山形・福島・長野・和歌山。
ちょろがす:山形。
ちょろかす:岩手・秋田・宮城・新潟。
ちょろかす:岐阜。
ちょろける:じゃれる:淡路島・徳島。
(ちょに) 【副】斜めに 神奈川。
(ちょーけん) 餅つきの小型の杵 神奈川。
ちょーけんぼー 茶碗酒 『集覧:那』。高野山の破戒僧『澄賢房』に由来するかは不明。別に『梁塵秘抄口伝集』に『澄兼坊』という僧の記載がある。
ハヤブサの一種『長元坊(チョウゲンボウ)』はネズミを主食とするタカだが、捕獲した後、枯れ木や電柱の上に片足で止まり、もう片足で餌をを口に運ぶ様は、あたかも茶碗酒を飲んでいるようにも見える。
ちょご 猪口(ちょこ) ちょこ:静岡。
(ちょこざい) 直ぐ悪戯をする子供 神奈川。
広辞苑に『猪口才:さしでがましいこと。なまいきなこと。こりこう。』とある。
ちょごちょご 【副】@ちょこちょこ、Aちょくちょく A近世には『ちょこちょこ』とも言った。
ちょこちょこ:神奈川。
ちょごっと
ちょこっと
【副】ちょっと ちょかっと:俄かに:鹿児島。
ちょごっと:福島。
ちょこっと:静岡。
ちょこっと:早く:鹿児島。
ちょっくと:山梨。
(ちょこなんと) 【副】小さくじっとかしこまっているさま。ちょこんと。 東京。
(ちょこばむ) 【動】しゃがむ、うずくまる 神奈川。
ちよこま 小紙 千代紙を小さく切った紙、すなわち、現代の色紙に当たると思われる。『千代細』の意味。
『国誌』によれば江戸時代には『千代駒』と当てられたと言う。
ちょごまが 【副】ちょこまか、ちょこちょこ ちょこまか:良く動いて働くさま:神奈川。
ちょごまがす 【動】ごまかす、盗む 東京下町では『ちょこまかす』
古い言葉に『ちょこざい【猪口才】:さしでがましいこと。なまいきなこと。こりこう。』がある。
ちゃかまかする:横着する:長野。
ちょこまかする:横着する:長野。
ちょごまがする 【動】ちょこまかする
ちょごまご 【副】ちょこまか、ちょこちょこ ちょこまこ:群馬・静岡。
ちょこまこする:ちょこまか動く:神奈川。
ちょごんと
ちょごーんと
【副】ちょこんと、小さくなって座る様 ちょこんと:ちょいと:静岡。
ちょーさい 料理人 本来は『調菜』で『@副食物の菜を調理すること。A精進料理の副食物。』を意味する。
□△▽ちょーさいぼー 人を馬鹿にしてからかうこと。また、嘲弄される人。なぶりもの。(広辞苑) 『嘲斎坊』。主に関西に残る言葉。
ちょーさいぼー:静岡。
(ちょーしかん) 面白い事 静岡。
ちょーしこぐ
ちょーしごむ
ちょーしこむ
ちょーしっこぐ
ちょーしっこむ
【動】調子にのる、調子付く 『調子付く』。
『ちょうしこく』は俗語。映画などでもしばしば聞かれる。
ちょーける:長野・愛知。
ちょーされる:山梨。
ちょーしくれる:神奈川。
ちょーしこむ:栃木。
ちょーすく:愛知・岐阜。
ちょんこずく:山梨・長野。
まーだちょーしごんでおめやー、のみすであしたのりょごーにいんねでもおらしんねどはー:また、お前は調子に乗って。飲み過ぎて明日の旅行に行かれなくても私はもう知らないぞ。
ちょーしつくば やぶにらみ 『銚子筑波』の意味。『ロンパリ』と似た表現。
ちょーしっずれ 調子外れ、音痴 俗語。
ちょーしっずれ:群馬。
ちょーしっ
ちょーしっ
ちょーしぶる
【動】調子にのる、調子付く
ちょーじゃ
ちょーじゃばしら
@仏壇の脇の柱、A大黒柱の次に太い柱 『しょーこぐばしら』
広辞苑に『長者柱:四間取の民家で四室の接合する中心に立てる柱。宮城県・埼玉県などでいう。群馬県では都柱(ミヤコバシラ)という。』とある。
ちょーじゃばしら:大黒柱:神奈川。
(ちょーしをくれる) 【動】うまい話にのせる 神奈川。
ちょーしもの
ちょーしもん
@軽々しく調子に乗りやすい者。軽はずみな人。Aいい加減に調子を合せる者。お調子者。 ちょーしもん:軽はずみに行動する人:静岡。
ちょーしんのる 【動】調子にのる 標準口語。
ちょーす 【動】@あざける、馬鹿にする、なぶる、からかう、Aいじる、もてあそぶ 『嘲す』。類義語に『彫鏤(ちょうる):ほりきざむこと。』がある。
『手斧』が訛った『ちょうな』があるように、『嘲す』とは『誑かす(たぶらかす):だます。まよわす。たぶろかす。』に通じ、『手でぶらぶらさせる』意味を思わせ、『嘲す』は『手押す』の意味に無理やり当てた漢字にも思われる。
@・ちょか:軽々しい人:滋賀・奈良・兵庫。
ちょかす:からかう:長野・和歌山。
ちょーす:騙す:新潟・千葉。
ちょーす:からかう:秋田・山形・神奈川・山梨。
ちょーし:嘘:千葉・新潟・長野・山梨。
ちょーしもっこ:なぶりもの:青森・岩手・福島・茨城。『畚に乗る』とは死刑に処せられることで、『なぶられて畚に乗る』意味だろう。茨城には慣用句を由来とする『おだでもっこ』がある。
ちょーらかす:からかう:神奈川・長野・静岡・愛知。
ちょーる:静岡。
Aはは@の意味が僅かに変化したもの。
ちょしまさえる:弄り回される・秋田。
ちょーしまわす:いじりまわす:宮城。
ちょす:いじる・触る・もてあそぶ:青森・岩手・秋田・宮城・山形・新潟。ちょすな:いじるな:宮城。
ちょーす:東北全県・新潟。
Bその他。
ちょける:ふざける:長野・静岡・岐阜・愛知・福井・滋賀・奈良・三重・大阪・和歌山・岡山・徳島。
ちょーける:ふざける:長野・静岡・岐阜・愛知・福井・滋賀・奈良・三重・大阪・和歌山・岡山・徳島。『嘲す:あざける。馬鹿にする。人をなぶる。』の流れと考えられる。
ちょーす:欺く:千葉。
ちょーす:あやす:神奈川・長野。
ちょーされる:欺かれる。
(ちょーす) 【動】@寵す、A諜す、B潮す、C牒す @『寵す』。かわいがる。いつくしむ。
ちょーされる:もてはやされる:山梨。
ちょーす:あやす:神奈川。
ちょーす:おだてる:山梨。
ちょーらかす:子供をあやす:長野・静岡・愛知。
A『諜す』。ひそかに事情をさぐる。様子をうかがう。
B『潮す』。おもてに表す。さす。
C『牒す』。回状をまわす。通牒する。
ちょーず @便所、A大便 『手水』。現代語ではそのまま『お手洗い』。愛知・岡山・大分でも使われる。
『手水』は、もともとは『てみず』であり、標準語のなまり方も半端ではない。『手斧』が『ちょうな』になったのに似ている。
Aは古い標準語では、『大小便』を指す。場所の名称が、行為の産物の名称になったと考えられる。
ちょーず:神奈川。
ちょーずだらい
ちょーずだれー
手洗い鉢、手水鉢 『手水盥』の意味。
最も『盥(たらい)』自体が『手洗い』が転じたもの。
ちょーずだらい:和歌山。
ちょーだれー:神奈川。
ちょーんだらい:静岡。
ちょずば
ちょーずっ
▽ちょーずば
便所 『手水場(ちょうずば)』。
ちょーずば:宮城・埼玉・群馬・東京・神奈川・山梨・静岡。
ちょーずばや:神奈川・静岡。
ちょーずや:静岡。広辞苑に『ちょうずや【手水舎】:手水所の建物。水屋。』とある。
ちょーどば:東京。
ちょーずばぢ 手水鉢 ちゅいばち:鹿児島。
ちゅっばち:鹿児島。
つっばち:鹿児島。
ちょそぐり
ちょそっと
ちょそら
ちょそり
【副】少し、ちょっと
(ちょうだい) 寝室 『帳台』。建築史の教科書に出て来る言葉。広辞苑には『@浜床(ハマユカ)の上に畳を敷き、四隅に柱を立てて帳をかけ、内部に几帳を配した装置。貴人の座所・寝所などとした。みちょうだい。A民家の寝室。ちょうだ。ちょんだ。』とある。
ちょうだい:富山・岐阜
ちょうだい:奥の部屋:東京都大島
ちょーでぃぁー:茶の間:八丈島。
ちょちかー 軽はずみ ちょちかー:千葉。
(ちょーちた) 【複】落ちた 静岡。
ちょちょ
ちょちょー
@手軽、気軽、A冗談 標準語の『ちょちょら』は『口先でお上手を言うこと、お世辞』。
形容詞に『喋喋しい:@多弁である。くちかずが多い。転じて、調子がいい。Aおおげさである。ぎょうさんである。』がある。
ちょーちょーしー:軽々しい:山梨。
ちょーちょ
ちょーちょー
蝶、蝶々 何故か『ちょうちょ』は辞書にはない。
ちょちょ:神奈川。
ちょーちょ
ちょーちょー
標準語では蛾の意味は無い。
ちょちょいのちょい 【形動】簡単な様 辞書には掲載されていない。俗語。
ちょちょいと
ちょちょっと
【副】@少し、ちょっと、Aさっさと、一気に 良く使われた言葉。類似語に『ちょちょいのちょい』がある。『ちょちょら』は『口先でお上手を言うこと、お世辞』。軽々しく言うことを表現したものだろう。
いまちょちょっとだな:いま少しだな。
ちょちょっとやっちぇーよ:さっさとやってしまいなさい。
ちょちょれる 【動】涙があふれる 俗語。強調語。
ちょちょこなる
ちょちょこまる
【動】縮む、縮こまる 古い言葉の『ちょちょこなる』(【自四】遠慮して小さくなる。ちぢこまる。浄、先代萩「そちらの方へ片寄つて、―・つてごさい」)(広辞苑)。
『ちょちょら』は『口先でお上手を言うこと、お世辞』。
ちょちょくなる:うずくまる:静岡。
(ちょーちょーしー) 【形】軽々しい 神奈川・山梨。
広辞苑に『喋喋しい:@多弁である。くちかずが多い。転じて、調子がいい。Aおおげさである。ぎょうさんである。』とある。
ちょぢょす:騒がしい:宮城。
ちょーちょーらしー:軽率に喋る:佐渡島。
ちょちょっ
ちょちょっ
ちょちょっ
『集覧:無記載』。神奈川では『ちょちょ』という地域がある。
ちょちょばい 『集覧:猿』。近年では『ちょーちょんべ』と言うそうである。
ちょーちょばっこ 『集覧:北』。
『称呼』には『てふ:相模下野陸奥にててふまと云。津軽にてかかべとも、てこなとも云。出羽秋田にてへらこと云。越後にててふまべつとうと云。信濃にてあまびらと云。一種あげはのてふ其形大にして黒色羽の縁に文有もの也。上総にてぢごくてふてふ、と云。下野鹿沼邊にて、ぢごくでふまと云。美濃をよび近江にて、かみなりてふてふと云。薩摩にてやまでふてふと云。今按に、蝶種類多し。そのあらましをここに出す。蝶和名かはびらこ也。羽州にてへらこと云。野州にてはところにより、蝶々ばこと云。これらの詞はかはびらこの略にしてひらこへらこと転し、またへらこ転して、ばことなりたる物らん。又胡蝶と云胡の字は、其髭を賞せし名也。よって蝶々ともかさねて呼ともいへり。』とある。
ちょーちょーばこ:神奈川。
ちょーちょばっこ:埼玉・群馬・千葉。
ちょーちょーばっこ:埼玉・神奈川。
ちょーちょーばんこ:神奈川。
ちょーちょばな クレオメ(フウチョウソウ)
・:古河市・猿島郡・稲敷郡・北相馬郡。
・:水戸市。
ちょーちょべ
ちょーちょーべ
ちょーちょべっこ
ちょーちょべらこ
ちょーちょめ
ちょーちょーめ
土浦では『ちょーちょめ』は幼児語。
ちょーちょべっこ:栃木・群馬。
ちょーちょーめ・ちょーちょんめ:神奈川県足柄上郡山北町。古代語が残っている可能性が高い。
ちょちょべ
ちょちょ
ちょちょんべ
@蝶、A蛾
ちょちょいら
ちょぢょら
ちょぢょーら
ちょちょら
ちょーちょら
【副】@少し、ちょっと、Aさっさと、一気に、Bいい加減に 標準語の『ちょちょら』は『口先でお上手を言うこと、お世辞』。軽々しく言うことを表現したものだろう。『ちょちょいのちょい』に通じる言葉。
形容詞『ちょうちょうしい【喋喋しい】@多弁である。くちかずが多い。転じて、調子がいい。Aおおげさである。ぎょうさんである。』がある。
(ちょちょまる) 【動】混乱する 大阪。
ちょぢょら
ちょちょら
ちょぢら
@嘘、でまかせ、嘘つき、Aいたずら、つまらないこと 『ちょちょら』は『口先でお上手を言うこと、お世辞』。軽々しく言うことを表現したものだろう。『ちょちょいのちょい』に通じる言葉。
ちょちょら:軽率な人・おっちょこちょい:群馬。
ちょちょらっと:簡単に・わけなく・ちょっと:静岡。
ちょっ:軽率な人・おっちょこちょい:群馬。
ちょっっかー:軽率者:静岡。
ちょんちょん:軽率な人・おっちょこちょい:群馬。
(ちょーちょーらしー) 【形】わざとらしい 神奈川。
『ちょちょら』は『口先でお上手を言うこと、お世辞』。
ちょぢょらちょっ @【形動】いい加減な様、Aいい加減な人
(ちょちょる) 【動】ふざける 静岡。『ちょちょら』から生まれた言葉か。
ちょーぢん 提灯 ちょちん:鹿児島。
△ちょーちんばな ホタルブクロ ホタルブクロの別称。土浦で見かけたものは、正確には『ヤマホタルブクロ』。
ちょーちんばな ツチガネニンジン
ちょっかい
ちょんけー
相子、勝ち負けなし 『集覧:行』。
ちょっかい @ちょっかい、余計な世話、A機転、B動作 @・おちょっか:悪戯好きの子供:神奈川。
おちょっかい・おとっけ・おちょっ・おちょび・でしゃばり:神奈川。
ちょーつ
ちょーづ
ちょーつ
@蝶番、A関節 @現代では主に『ちょうばん』と呼ぶが、もともとは『てふつがい』で雄蝶と雌蝶の番(つがい)に見立てたものとされる。
A@が転じたものと思われる。当時は『関節』などとは言わなかった。
ちょっき ベスト 死語に近いが今でも『防弾チョッキ』は健在。jack(現代ではjacket)が訛ったとされる。
《きょうはチョッキを着ているから直帰がベストだな、早く帰っ
ちょっきら 【形動】丁度
ちょっきり 【形動】丁度 『集覧:猿』。
ちょっきり:福島・静岡。
つっきら:静岡。
つっきり:静岡。
◆■ちょっくら 【副】ちょっと やや古い標準語。時代劇でも聞かれる。近世語。『ちょいこら』
『俚言』によれば江戸時代には『ちゃっくり』とも言った。
ちっくら・ちっくり:少しの間:神奈川。
ちゃっかり:宮城。
ちょいくら:栃木・群馬
ちょっくら:福島・千葉・埼玉・群馬・東京・東京多摩・神奈川・長野・山梨・静岡。
ちょっくら:なかなか・いつまでも:神奈川。
ちょっくり:長野・静岡。
ちょっくらご
ちょっくらこ
ちょっくらこっくら
【形動】簡単な様 そーたちょっくらごにゃいがねーど:そんな簡単にはいかないよ。
ちょっくらこぐ 【動】さぼる、手を抜く
ちょっくらそっくら 【副】ちょっと
ちょっくらだねー
ちょっくらでねー
【複・形】@簡単じゃない、量が多くて終わらない、時間や手間がかかる、A動作が遅くてはがゆい Aは@の意味が転じたもの。
ちょっくらちょい 【副】たちまちできること、簡単なこと ちょっくらちょいとぱあにはなりゃしねえ/植木等のすうだら節。
ちょっくらちょっと 【副】簡単に
ちょっくらちょいっと
ちょっくらちょっと
【副】簡単に 『俚言』によると江戸時代には『ちょくらちょっと・ちゃくりちゃっと』とも言ったとある。
ちょっくらちょっと:神奈川。
ちょっくらはっくら
ちょっくらっくら
【副】ちょっとやそっと
ちょっくり 【副】ちょっと 古い標準語。
ちょっくり:神奈川・長野。
ちょーつけ 葬式の時のご飯や酒の二杯目 『弔付け』の意味と思われる。
ちょっけ
ちょっけー
@ちょっかい、余計な世話、A機転、B動作 @・ちょっけー:神奈川。
B・ちょっけー:神奈川。
ちょーつ 蝶つがい ちょつげ:鹿児島。
ちょっけーきぐ
ちょっけーきく
ちょっけーはやい
【複・形動】@素早い、A頭の回転が良い、機転が利く 格助詞の『が』を伴うこともある。古い標準語の『ちょか』は『軽率で落ち着きのない人』を示す。
『ちょっかい』は、広辞苑によると『@まがって萎縮した手。A相手の腕や手をののしっていう語。B猫などが前の片足で物をかきよせること。C横合いから干渉すること。』とある。この四つの意味を良く考えると、@Aの意味が転じてBを指し、Cに転じたと考えるか、BCが転じて@Aになったと考えるかで解釈が異なるだろう。
『語源辞典』では、@『一能掻』(いちよくかい)。Aちょっ掻きのイ音便。B手使いとある。いずれの場合も早い動作や手を介した行為を指しているのは共通している。
@ちょっけはやい:群馬。
ちょっけーはやい:神奈川。
ちょーっこぐ
ちょっこむ
ちょーっこむ
【動】調子にのる ちょっこらめく:うきうきする:青森。
ちょこちょこ 【副】しばしば
ちょっこら 【副】ちょっと、ちょっくら ちょっこし:石川・福井・岐阜。
ちょっこら:山形・福島・秋田・宮城・福島・群馬。
ちょっこん:富山・石川。
ちょっこらこ 【形動】簡単な様
ちょっこらちょっと 【副】簡単に 『ちょっくらちょいと』。
ちょっこらちょいっと 【副】簡単に 『ちょっくらちょいと』。
ちょっこらはっこら
ちょっこらっこら
【副】ちょっとやそっと
△◇ちょっこり 【副】ちょっと、僅か やや古い標準語。
ちょっこ:富山・鳥取。
ちょっこい:直ぐに:鹿児島。
ちょっこり:山形。
ちょっとご 【形動】ちょっとしかない様、僅かな様 そったちょっとごではいんねおら:そんな少しなら要らないよ、俺は。
ちょっとこー
ちょっとこーや
ちょっとこーよ
【複】ちょっと来い ちょっとこー:山梨。
ちょっとこい コジュケイ
ちょっとごま 【形動】【副】あっという間に、ちょっとの間に 古い言い回し。
『こま』は古い標準語の『小間』(短い時間)が残ったものと思われる。あるいは、単に『ちょっとの間』の意味かもしれない。
ちょっとごまにでぎっちった、はえーなや:あっという間に出来ちゃった、早いね。
ちょっとのま 【副】あっという間に、ちょっとの間に 標準語。
ちょんのま:神奈川。
ちょっとばし
ちょっとばーし
ちょっとべー
【形動】少しばかり ちょっとばーし:千葉銚子。
ちょっとみ ちょっと見ること、ちょっと見たところ 『一寸見』。『ちょいみ』とも言うが辞書には無い。
ちょっとみはいーけんと:ちょっとみは良いけれどねえ。
ちょっとも 【副】@少しも、A少しでも、ちょっと 辞書には無いが標準語と考えられる。ただし、Aの語法は今では聞かない。江戸言葉では『ちっとも』。
ちょつ
ちょーつば
ちょーつ
ちょーっ
便所、手洗 =『手水場』。北茨城市では屋外の便所を『ちょっぱごや』と言う。
ところで、『手水(ちょうず)』とは何かということになるが、そのまま『てみず』の説が有力である。
『俗語』によれば江戸時代の便所の呼称は、『かはや・まる・おかは』であったことある。
ちょーつば:栃木。
ちょーつ:神奈川。
ちょっ
ちょっ
@蝶、A蝶や蛾、、B小型の蛾、バクガ 『集覧:西』。『ちょーちょばこ・ちょーちょばっこ』が言いにくいので略したと思われる。
地域によっては蛾の幼虫を言うところもある。
ちょーっ
ちょっ
『集覧:真』。
ちょっ
ちょーっ
【動】調子付く ちょっ:盗む:栃木。
ちょっ 【形動】ちょうどぴったり 当時の若者言葉。
ちょっ:栃木。
ちょっ
ちょっ
◇☆ちょっ
【副】少し、ちょっぴり よく使われた言葉。
ちょっ 相子 『集覧:多・那』。
(ちょっん) 天辺 鹿児島。
ちょーつら 帳面、帳面づら 清音化。
ちょーでー 【感】頂戴、下さい
(ちょーでー) 兄弟 沖縄。
(ちょーどいいことをした・ちょーどいーやー) 【感】@開いた口がふさがらない、Aがっかりして呆れたときに使う、失敗したときに発する言葉 神奈川。負け惜しみの言葉。
ちょーどいーや:千葉銚子。
ちょーどっこ 【形動】@まともなこと、A公平なこと、Bぴったりな様 @★ちょうどっこだねー:ちゃんとできていない。
B・ちょーどっこ:長野。
おれにゃあちょーどっこなふぐだ:俺にはぴったりの服だ。
ちょーな 手斧 建築の歴史教科書に出て来る道具。原始的なカンナ。現代では使われない。
『称呼』には『てをの:関東にててうな、大阪にてちょんのと云。』とある。
広辞苑には『ちょうな:(テヲノがテウノと転じ、さらに訛ったもの) 大工道具の一。平鑿(ヒラノミ)を大きくしたような身に、直角に柄をつけた鍬形の斧。斧で削った後を平らにするのに用いる。ちょんな。』とある。
このような古代語が今でも地方に残っているのは驚くべきである。
ちゅの:鹿児島。
ちょーな:静岡。
ちょんな:静岡。
ちょんの:大阪。
はつり:長野。
ちょーないれ
ちょーなうぢ
ちょーなたぢ
ちょーなたで
ちょーなはじめのいわい
大工が家の建築にとりかかった初めの日に行う儀式。 『手斧初め』。
ちょーなんぼ 長男 『長男坊』。
ちょーなんぼ:埼玉。
ちょーば 帳付けまたは勘定などをする所、勘定 場葬式の受付等も指す。
ちょーばあせちょーばあーせ
ちょーばあわせ
つじつま合わせ、一次逃れ 『ちょーば』は『帳場』または『帳簿』のことだろう。
ちょーば:嘘:千葉。
ちょーや:祠:長野。
ちょー
ちょび
ちょびすけ
ちび、小さい様 『集覧:猿』。『猪尾助』(@体の小さな人をあざけっていう語。ちび。ちびすけ。A小生意気に出しゃばってちょこまかする人をあざけっていう語。)。
ちょび:生意気・いたずらっ子:神奈川。
ちょび:小利口:静岡。
ちょびい:小さい:山梨。
ちょびすけ:いたずらっ子:神奈川。
ちょびちゃい:小さい:神奈川。
ちょびっちぇー:小さい:神奈川。
ちょびっかす:生意気:神奈川。
ちんび:小さい人・幼児:神奈川。
ちょちょ 【副】ちびちび、少しずつ 『ちょびちょび』。
ちんぼちんぼ:鹿児島。
(ちょびちょび) 【形動】子供がこまめに動くさま 神奈川。

ちょびちょび:いい気になる様:山梨。
(ちょびちょびする) 【複】生意気な態度を見せる 神奈川。
ちょびちょびする:利口ぶる:静岡。
(ちょびつく) 【動】こせこせする 静岡。
△ちょびっと
ちょっと
ちょ
【形動】【副】ほんの少し 『ちょびと』。
ちょびっと:神奈川・山梨。
ちょびーりちょびり
ちょーりちょ
【副】少しずつ、ちょっぴり ちょびらちょびら:山形。
ちょびりちょびり:山形。
ちょーふ 貼付 現代では『てんぷ』と言うことが多い。パソコンの普及で『てんぷ』は『添付』が多く使われる。
ちょーふ 分け前 現代では福島で使われる。『調賦(みつぎもの。ねんぐ。)』。
『符帳・符丁』(商品につけて値段を示す目印の符号。符牒。)にも通ずる。
ちょべ 真壁郡の方言。
ちょべだし:手出し:山梨。
ちょべっかする:調子付く:山梨。
(ちょーべー) お世辞、へつらい 山梨。標準語に関連語が無いのは擬音語・擬態語のためと思われる。
おちゅばい:静岡。
おちょーばい:静岡。
おちょーばいつかい:お世辞を使う人:神奈川。
おちょべ:長野。
おちょべ:生意気な人:長野。
おちょんべ:群馬。
ちょびちょびする:生意気な態度を見せる:神奈川。
ちょべちょべする:でしゃばる:栃木。
ちょべっと
ちょっと
【形動】【副】ほんの少し 『俚言』には『ちょべんこ:加賀にて少しをいふ。又ちびんとともいふ。』とある。
ちょべっと:宮城。
ちょっと:青森・宮城。
ちょべだら
ちょべたら
ちょたら
【副】簡単な様、やすやす
ちょべらちょべら
ちょへらちょへら
ちょへーらちょへーら
【副】へらへら、ぺらぺら おちょべ:生意気な人:長野。
ちょびちょびする:生意気な態度を見せる:神奈川。
ちょべちょべする:でしゃばる:栃木。
ちょほ
ちょーほ
重宝 ちゅほ:鹿児島。
ちょほ:鹿児島。
☆ちょぼいち とんま、でたらめ、いんちき、ぺてん(罵倒語) やや古い標準語の『樗蒲一』のこと。さいころ賭博の一種に由来する。『ちょぼ』とは『しるしに打つ点。ぽち。ほし。』を言う。
☆ちょぼちょぼ 【形動】@点をまばらに打ったさま、Aところどころに小さく、B小さいさま
ちょぼちょぼあるぎ 歩幅の狭い歩き様
ちょぼっと 【形動】【副】ほんの少し 『ちょびっと・ちょびと・ちょぼと』。
ちょぼっと:山形。
ちょぼりと:山形。
ちょま
◆▲□△ちょーま
ちょーまめ
ちょーまん
@□△蝶、A蛾、Bツグミ @『集覧:新』。
『称呼』には『てふ:相模下野陸奥にててふまと云。津軽にてかかべとも、てこなとも云。出羽秋田にてへらこと云。越後にててふまべつとうと云。信濃にてあまびらと云。一種あげははのてふ其形大にして黒色羽の縁に文有もの也。上総にてぢごくてふてふ、と云。下野鹿沼邊にて、ぢごくでふまと云。美濃をよび近江にて、かみなりてふてふと云。薩摩にてやまでふてふと云。今按に、蝶種類多し。そのあらましをここに出す。蝶和名かはびらこ也。羽州にてへらこと云。野州にてはところにより、蝶々ばこと云。これらの詞はかはびらこの略にしてひらこへらこと転し、またへらこ転して、ばことなりたる物らん。又胡蝶と云胡の字は、其髭を賞せし名也。よって蝶々ともかさねて呼ともいへり。』とある。『ちょーま』は古い言葉であることが解る。
ちょーま:山形・宮城・福島・栃木。
ちょーちょーま・ちょーま・ちょちょま
神奈川。
ちょーまん:千葉。
A蛾の古形は『ひひる』。動詞の『沖る・冲る』(ひひる)は『ひらめき飛びあがる。』意味。
ちょーまん:千葉。ノシメマダラメイガをも指す。
ちょーまんぼ:栃木。蛾の一種。
B『鳥馬(ちょうま)』はツグミの別称。
ちょーま:山梨。
ちょーまん:埼玉。
ちょーま 元結紙
ちょーめん 帳面、帳簿、ノート、通帳 標準語世界でも高齢者でないと使われない。冊子になっていて書き込むものは何でも帳面と呼んだ。
(〜ちょーゆー) 【複】〜と言う 静岡。
(ちょーらかす) 【形動】ばかにする。ひやかす。からかう。 『嘲す』の他動詞形。本来は『ちょうさす・ちょうさせる』と思われる。
類義語に『彫鏤(ちょうる):ほりきざむこと。』がある。
『手斧』が訛った『ちょうな』があるように、『嘲す』とは『誑かす(たぶらかす):だます。まよわす。たぶろかす。』に通じ、『手でぶらぶらさせる』意味を思わせ、『嘲す』は『手押す』の意味に無理やり当てた漢字にも思われる。
ちょーらかす:静岡。
ちょらちょら 【形動】口達者な様 『集覧:真』。
『すらすら』が訛ったか。
おちょら:慌て者・軽率な者群馬。
ちらちら:早く:長崎五島。
ちょりちょり 【形動】(作物等が)干からびてよれよれになった状態 触ると『ちょりちょり』と音がするような状態。
ちょりちょり:せんべいを食べる様:山形。
ちょーりんぼー 【形動】身分の低い人 、非人 『穢多』。江戸時代に『長吏(ちょうり) 』と呼んだ名残。『集覧:猿』。また、人を卑下する言葉に『嘲斎坊』がある。
ちょれー 【形】た易い 『ちょろい』の転。俗語である。
広辞苑には『@つまらない。値打ちのない。Aなまぬるい。てぬるい。B見えすいている。おろかである。C簡単である。たやすい。扱いやすい。』とある。
ちょれ:迂遠・迂闊:鹿児島。
ちょれー:群馬。
ちょろい:弱い:静岡。
(〜ちょる) 【複】〜ている 足音便の動詞に付く。東西対立語の一つ。
関西では『〜ておる』が変化した。『〜とる・〜ちょる』『〜ちょる』と言う地域は『て』『ち』と発音する地域と概ね一致する。
関東では『〜ている』が変化した『〜てる』を使い、関西の『〜ちょる』に当たる言葉は、茨城の『ちぇる・ちる』しかない。これは、東日本で唯一『て』を『ち』と発音するのが茨城であることによる。
〜ちょる:岐阜・島根・山口・高知・福岡・佐賀・長崎・大分。鳥取出身の知人は『いっちょるけんのう』などと言っていた。
・分かりきっちゅーやんか:高知。
・雨が降っちゅー:高知。
・ニゴイが来〔き〕ちゅーぞ:高知。
・今日はいっぱい入っちょーが:鳥取。
・いい値がしちょーけんなー:鳥取。
・どーもわしゃふとー(太り)すぎちょって:島根。
・すっきりしちょー:島根。
・冷や汁も出来ちょっど:宮崎。
・二匹も三匹も来ちょーが。サバが二匹も三匹も来ちょっ。:宮崎。
・食いついちょれよー:高知。
ちょーる 【動】折れる 『打ち折る』か『千折る』意味。
(ちょれき・ちょーれき) 懲役 鹿児島。
ちょーれる 【動】折れる 『集覧:猿』。『打ち折れる』か『千折れる』意味。
ちょろがす 【動】@ちょろまかす、ごまかす、A馬鹿にする A・ちょろがす:山形。
ちょろかす:秋田・岩手・宮城・新潟。
ちょーろぐ
ちょーろく
【形動】しっかりしていること、まともなこと 『丁』(一丁は夫役一人分)』+『禄』(給料)の意味で一人前の意味と推測される。標準語に『重六』(双六で、二つの采を振って六の目が揃って出ること)がある。また、『丁』には『ちょうど。まるまる。』の意味があるので『丁陸』の意味か。
『陸(ろく)』とは『(呉音)@ゆがみなく正しいこと。まっすぐなこと。A(「碌」とも書く) 物の正しいこと。まじめなこと。きちんとしていること。B十分なこと。満足なこと。』の意味。ちなみに建築専門用語に『陸屋根(ろくやね・りくやね)』(平坦な屋根)、『不陸(ふろく・ふりく)』(水平で無いこと)がある。いずれも辞書掲載語だが、現在では、『ろくやね』『ふりく』が使われる。このようになった原因は、恐らく和語としての『ろく』と『りく』があり、それに、『陸・碌』の字を当てた歴史的な経緯があったのではないかと推測される。ここで『碌』とは『@天から与えられるさいわい。A仕官するものに下付される給与。給金。B当座の賞与。かずけもの。』とある。
そこで、『六』を調べると、『(呉音。リクは漢音) 数の名。むつ。むっつ。陸。』書かれている。これで、また解らなくなる。『陸』は『ろく』とも読み、『六』『むつ』と言い、『陸』とも書き、そして東北の『陸奥(むつ)』は、『みちのく』と読み、その語源は『道の奥』だとされる。
ちょーはん:群馬。
ちょーろぐだね
ちょーろくだねー
ちょーろくでない
ちょーろくでねー
【複】駄目なこと、ろくに出来ていないこと、ろくでなし 『集覧:多』。今なら『ちょうろくじゃない』
『ちょー』が無ければ『ろぐだね、ろくだねー、ろくでない、ろくでねー』となる。となれば、『ちょー』は強調の接頭語とも考えられる。現代風に言えば『超ろくでなし』の意味。
おめなんつぁちょーろぐにでぎめー:お前なんてまともにできないだろう。
ちょーろぐだま 愚鈍な人をののしっていう語。まぬけ。 『表六玉』が訛ったか。
ちょーろぐに 【副】(否定形を伴って)まともに〜ない びんじょそーじもちょーろぐにでぎねーやづこづげーほしーっちゃあっか:便所掃除もまともに出来ない奴が小遣い欲しいなって言えるかい。
ちょろげる 【動】ちょろちょろする
ちょろけん 餅つきの小型の杵 鹿島郡。大勢で餅をつくときに使う。
ちょろけん:神奈川。
ちょろけん:餅をつくこと:神奈川。
ちょろこい 【形】@いい加減な様、A簡単な様 標準語では『ちょろっか』『ちょろっと』『ちょろり』(『ちょろっと』以外は最近あまり耳にしない)に該当する。
@・おちょら:軽率なもの:群馬。
ちょろけん:兵庫・鳥取。
A『ちょろい』と同源と思われる。
ちょろこえ:山形。
ちょろこなえ:山形。
ちょろえ:山形。
Bその他。
ちょろこい:頭が鈍い:大阪。
ちょろっかい:まだるい:静岡。
ちょろたら 【形動】@(水等が)ちょろちょろ出る様、A小さいものがすばやく動きまわるさま ちょろかろ:青森。
ちょろっか 【形動】@大したことのない様、取るに足りない様、手軽な様、Aいい加減な様、軽率な様 今やほとんど聞かない標準語。
ちょろっか:うろうろ:東京多摩。
ちょろっか 【形動】@ちょっと、A▲か細い、きゃしゃ A『集覧:多』。類義語にかんちろりん(痩せて細い人)がある。
ちょろづぐ
ちょろつく
【動】ちょろちょろ動き回る 『うろつく』という言葉があるのだから『ちょろつく』もあって良さそうなものだが辞書には無い。
ちょろづぐ:秋田。
ちょろっこい
ちょろっけー
【形】いい加減な様、簡単に済ます様 標準語では『ちょろっか』『ちょろっと』『ちょろり』(『ちょろっと』以外は最近あまり耳にしない)に該当する。
ちょろっと 【副】@動きがすばやい様、Aあっけない様、B水が僅かに流れるさま、Cちらりと見る様 『ちょろと』。
@・ちょろいと:直ぐに:鹿児島。
A★そーたのちょろっとでぎっ:そんなの簡単にできるだろう。
Cは辞書には無い。
ちょろっ 【形】いい加減な様、簡単に済ます様 『ちょろっか』の形容詞形。
ちょろっ:軽々しい:東京多摩。
ちょろまがす
■▲ちょろまかす
【動】くすめる、ごまかす、かすめ取る 『ちょろまかす』。『集覧:多』。
ちょろまかす:静岡。
ちょろり
ちょろーり
【副】@動きがすばやい様、Aあっけない様、B水が僅かに流れるさま 『ちょろっと』。
ちょろりやっちぇーな:さっさとやっちゃいな。
ちょん @たやすく物を切るさま、A物事の終了、Bしるしに打つ点、Cおろかな者 いずれもあまり使わなくなった標準語。
現代語の『総角(ちょんがー)』は、広辞苑に『(朝鮮語 ch'onggak の転)@朝鮮の丁年未満の独身の男子の蔑称(ベツシヨウ)。もと結髪せず冠を着けず、髪を後に編みさげる風習があった。A俗に、独身の男。』とある。
あーたちょんではだいだ:あんな馬鹿ではだめだ。
(ちょん) 愛らしい子供 鹿児島。
(ちょんりー) 【形】尖った様 静岡。『とんがり』が訛ったか。
(ちょんれ) 浮かれ節(@三味線にあわせて唄う俗歌。A浪花節。) 静岡。『ちょんがれ節』とも言う。
ちょんき 石岡市。
ちょん 【副】ちょっと
ちょんけー ちょっかい
(ちょんこ) 【形】小さい 静岡。
(ちょんこ) 稲叢 静岡。『尖ったもの』の意味か。
見出しでは『ちんょこ』と書かれているが誤植と見られる。
(ちょんじょくなる) 【動】うずくまる 静岡。
(ちょんじょこなる) 【動】かがむ 静岡。
ちょんと
ちょーんと
【副】ちょこんと、小さくなって座る様、ちょいと 『ちょんと』は標準語。
ちょーどしていろ・ちょんてろ:静かに座っていろ:岩手。
こごにちょんとすあって:ここに小さくなって(静かに)座っていなさい。
ちょんと
ちょーんと
【形動】ちょっと、僅か そーたちょんとだげだらいんね:そんな少しなら要らない。
いまちょんとがんばんねどな:もう少し頑張らないとね。
ちょんとー:ちょっとー(呼びかけの言葉)。
(ちょんのま) 少しの間 神奈川。『ちょいのま』が更に訛ったか。
ちょんぼり 【形動】ちょっと、僅か 『集覧:多』。
使われなくなった標準語。『ちょんびり』という言葉もある。
◆▲ちょんま
ちょーんま
ちょんま
当時は多く『蝶』を指した。東北系の訛の代表。『集覧:新』。
ちょんまめ 蝶、蛾 土浦では蝶だけを指し、かつ幼児語。
ちょんまつり 武士の時代のいたずら 昔頭の禿げた百姓の老人は、シュロで作ったかつらを付けていたため、武士達がトリモチをつけた釣竿でそのかつらを釣り上げたという。
ちらがしまぐる
ちらがしまーる
【動】やたらに散らかす ちらがしまぐる:千葉銚子。
ちらがす 【動】散らかす 濁音化。
ちらがる 【動】散らかる 濁音化。
ちらくら 【形動】ちらちら 標準語には『ちらりちらり』『ちらりほらり』がある。
ちやくや:夕方の薄暗くなった様:神奈川。
ちらくら:群馬。
ちらりくらり:神奈川。
ちんらまん:うろちょろ:神奈川。
めーちらくらすんだわ:目がちらちらするんだよ。
ちらげる 【動】散らかる、散らばる 『散らける』は辞書にはないが助詞を含めればしばしば使われる。
ちらちら 【副】夜が明ける様、しらじら
ちらちらあげ 夜明け、早朝
ちらっ
ちら
ちらりらり
ちら
【副】@ちらほら、あっちにこっちに、A(雨が)ぽつぽつ降る様、B【名】斑点 『集覧:多』。『ちらほら』をつい『ちらっら』と言いいたくなるのは、促音便の好きな茨城方言の特性を示している。
@・ちらりらり:東京多摩。
A・ちなぼな:少しずつ貯め蓄える様:神奈川。
(ちらふっくゎー) 怒りんぼう 沖縄。
ちら 【形動】いい加減な様、でたらめ 古い言葉の『ちゃらぼこ・ちゃらっこ』
(ちらまがやー) 不細工な人 沖縄。
ちららがす 【動】散らかす 散らすにさらに使役形を加えた表現。『ちりらがす』の転。
ちらりらり 【副】ちらほら ちらりらり:東京多摩。
ちらん
ちらんらん
ちらんらん
◆■ちらんらん
ちらん
【形動】いい加減な様、でたらめ 『ちゃらんぽらん』。長崎壱岐ではてんでんばらばらを『ちらんばらん』と言う。
ちらんらん 【副】ちらほら 『集覧:多』。
ちらりらり:東京多摩。
ちりかみ
ちりし
ちり紙
ちりから 囃子の一つ 西茨城郡・新治郡。
歌舞伎の『ういろううり【外郎売】』の一節に『おきゃがれこぼし、おきゃがれ小坊師、ゆんべもこぼして又こぼした。たあぷぽぽ、たあぷぽぽ、ちりから、ちりから、つったっぽ、たっぽたっぽの一丁だこ、 落ちたら煮て食お、煮ても焼いても食われぬものは、五徳、鉄きゅう、かな熊童子に、石熊、石持、虎熊、虎きす、中にも、東寺の羅生門には、茨城童子がうで栗五合つかんでおむしゃる』とある。
『茨城のことば』には『「ちりから」は二挺つづみを打つこと、またその囃子を言い「ちりからたっぽー・ちりからちったぽー」とも言う。そしてこれを愛好する仲間が「ちりかられん」とか「ちりからぐみ」。』とあり、どうやら江戸時代の古い言葉が残ったものらしく、今でも笠間市土師地区の『ちりから踊り』は健在だという。
樋口一葉の『うもれ木』にも『ちりからたっほう』が登場する。
ちりからおどり 盆踊りの一つ 東茨城郡・笠間市。
ちりからぶし 民謡の一つ 東茨城郡。
ちりざら ちり取り
ちりだいこ 囃子の最後に演奏する太鼓 新治郡。
ちりちり @毛などが燃える様、A散り散り Aは標準語の古形。
ちりちり 松かさ 『ちちり・ちちりん』
ちりっ 『ちり』を強めた言葉 『塵っ端』(ちりっぱ)。
ちりばご ゴミ箱 『塵箱』。
ちりぼごり
ちりこり
ちりとほこり 『砂埃』(すなぼこり)というのに、『塵埃』(ちりほこり)と言うらしい。標準語は不思議だ。ただし、口語では『ちりぼこり』と言う。
ちりらがす 【動】散らかす
ちりりん
ちりりんけ
れんげ、陶器製のスプーン 『散り蓮華』の訛。『集覧:行』。
ちりりん:神奈川・静岡。
ちろりん:静岡。
ちろれん:神奈川。
ちる 蔓、▲鶴 『集覧:無記載』。当時の高齢者の言葉。
〜ぢる
〜ちる
【助】〜てる、〜している 足音便の動詞に付く。
あばっちる:暴れている:福島。
べんきょーやっちっか:勉強遣ってるかい。
いっちる:行ってる。
あばっちる:暴れている。
(ちるだい) 脱力、気が抜ける 沖縄。品詞不明。
(ちれめん) 縮緬 静岡。
ちーれん
ちーれんなー
ちーれんなわ
注連飾り(しめかざり)、注連縄 『注連』(ちゅうれん)。
〜ぢろ
〜ちろ
【助】〜てろ、〜していなさい 足音便の動詞に付く。県西部では『〜して下さい』意味で使われ『やっちろ、見ちろ、来ちろ』などと言う。
やっちろよ:遣ってなさい。
いづまでもゆっちろよ:いつまでも言ってろよ。
ちろちろ 【副】@小さな炎がゆらめくさま、Aわずかに水が流れるさま Aちょろちょろ。その他『うろちょろ』の意味があるが現代では使われない。
ちろっと 【副】ちらっと 『ちろりと』。
ちろいと:鹿児島。
(ちろり) 酒を暖めるのに用いる銅・真鍮または錫製の容器。 『ちろり【銚釐】』。
ちろり:静岡。
ちろれん れんげ、陶器製のスプーン 『散り蓮華』の訛。
ちりりん・ちろれん:神奈川。
〜ちーわ 【複】〜て言ってるよ、〜だってよ 『〜と言うわ』の意味。
やったちーわ:遣ったってよ。
ちーん チェーン
ちん 犬の名前の代表語 広辞苑には『狆:イヌの一品種。中国原産。小形で体高約二五センチメートル。顔は平たくしゃくれ、目は丸く大きい。体毛は絹糸状。黒と白、白と茶との斑が多い。中国からの品種をもとに、江戸時代に作出。愛玩用。ちんころ。』とあるから、茨城では犬の代名詞となったと思われる。
名前を知らない犬であっても、『ちーんちんちん』と言って呼びかけた。
(ちん) 着物 沖縄。古語『衣(きぬ)』。
(〜ちん) 【接尾】〜達 静岡。
ちんかい 【形】小さい ちんか:鹿児島。
ちんかい:静岡。
ちんかか:鹿児島。
ちんりー:静岡。
ちんかたこ ウナギの子 『集覧:無記載』。
ちーんがむ チューインガム
ちんから
ちんからこ
『集覧:新・稲』。
『千三』『万八』のように確率表現の『千空』の意味と考えられる。『千』は『ち』とも読む。古い標準語の『ちんからり』(内部に何物もないさま・からっぽ)の意味が転じたか。
ちんがら・ちんがらっ:滅茶苦茶:鹿児島。
ちんからもん:ごみ:群馬。
(ちんらちんら) 【形動】足を引きずって歩く様 神奈川。
(ちんりとも) 【副】少しも 静岡。
(ぢんき) ねたむこと。特に情事に関する嫉妬。やきもち。 『悋気』。
鹿児島。
ちん 【動】ちぎる、ちょんぎる ちん:静岡。
ちんだ:静岡。
(ちんぐー) 友達 山口。朝鮮語の『chingu』に由来するという。
(ちんい) 【形】小さい 静岡。
ちんたん
ちんはん
【形動】ちぐはぐ、互い違い ちんたん:福島。
ちんたん:福島。
つんたん:福島。
(ちんらまんら) 【形動】目の前でうろちょろして仕事の邪魔をする様 神奈川。
ちんけ 【形動】貧相、器量が小さい 博打言葉に由来する((さいころばくちで一の目を「ちん」ということから) )。俗語。
ちんけ:ちんぴら:埼玉。
ちんけ:小さくて弱々しい・取るに足らない:群馬。
ちんけー 【形】小さい 『ちんこい』の転。
標準語では『ちんけ』に当たる。広辞苑には『(さいころばくちで一の目を「ちん」ということから) 貧相なさま。器量の小さいさま。「―なことをするな」』とある。
ちん:静岡。
ちんりー:静岡。
ちんけ:鹿児島。
ちんけー:福島・静岡。
ちんけんめ 小鳥 『集覧:無記載』。
◆■▲△▽ちんこ
ちんこー
▲本気でないこと、掛けないこと 『うそっこ』とも言うことから『ちぐ』+『こ』→『ちぐっこ』→『ちんこ』と思われる。あるいは『ちんこ芝居』(江戸時代から明治初年まで行われた子供芝居)に由来するか?。『ほんこ』の対。『集覧:久・那・鹿・稲』。
ちんこ:栃木。
◆■ちんこ 子犬 『ちんころ』の転。
△▽ちんこ 【形動】@小さい様、体の非常に小さい人、こども、ちび、A子供の陰茎 『集覧:久・那・鹿・稲』。主に県北部を中心に犬の子を指す。
@・ちんこ:茨城・静岡・福井・大阪。
A群馬では猫柳を『ちんこやなと言う。
Bその他。
ちんこ:小さい子:鹿児島。
ちんどん:小さい子:鹿児島。
(ちんこ) 袖無し 静岡。
◆▲●ちんこい 【形】小さい 『集覧:久』。
一般に『ちっこい』は西日本で多く使われる。長く『ちんこいは茨城特有の方言だと考えていたがそうではなかった。良く考えてみると、小さいの原型は『稚』である。『稚』は漢字の伝来以降当てられたのは言うまでも無いが、和語の『ち』には根源的な意味もある。
ちめこい:奈良・兵庫。
ちもこい:岐阜・滋賀。
ちんか:熊本・鹿児島。
ちんこ:鹿児島。
ちん:静岡。
ちんこい:福島・栃木・新潟・静岡・石川・奈良・大阪。
ちんこめ:鹿児島。
ちんこぐする:小さくする。
ちんこぐする 【複】小さくする
ちんこくせー 【形】小さい
ちんこぶね
ちんこふね
小さい船 『集覧:多・稲』。
ちゃんころ(小さくて取るに足りないもの)』に通じる言葉。
ちんこら 『ちんから』
◎ちんころ
ちんころめ
子犬 標準語では子犬または『狆(ちん)』(犬の一種)を指す。
『ち』も『こ』も幼さや子供を指す。石川では牛馬の子を『ちんころ』と言う。
愛知でなぜ『おにぎり』を『ちんころ』と言うのかは不明である。
(ちんころ) 足の具合がわるくて歩行の釣合がとれないこと。また、その人。 静岡。『跛』。
ちんさい
ちんせー
【形】小さい ちんさか:鹿児島。
ちんせ:鹿児島。
ちんじ
んじさま
ちんじさん
神社 『鎮守』『鎮守様』。『集覧:稲』。
ちんじーぼー
ちんじゃーぼ
ちんじゃんぼん
葬式 行方郡の方言。
(ちんじゅー・ちんじら 縮れ毛 静岡。
(ちんじゅーた) 【形動】縮み撚れた様 静岡。
〜ちんだ
〜ちーんだ
【複】〜って言うんだ 『集覧:猿』。
なんだっちんだが:何だって言ってんだい?。
あんだげいぎばってやったのになんだっちんだっなーよ:あれだけ頑張ってやったのにどうしてなんだろうかねえ。
はらーねっちんだらつれでい:払わないと言うなら連れて行かない。
★『土』:勘次(かんじ)さんそんでも入(せ)えんなよ、毒(どく)だっちんだから、俺(おれ)折角(せっかく)別(べつ)にしてたんだから
ちんたー 【複】少しは 『ちったあ』。
ちんだーぼ
ちんだーぼー
葬式 『集覧:筑・稲』。
ちんたら
ちんたらちんたら
【副】だらだら 辞書不掲載だが俗語として使われる。
〜ちんだら 【複】〜って言うなら ★『土』:汝(わ)りゃ何時(いつ)でも何(なん)ちった、おとっつあは決(けっ)して心配(しんえ)掛(か)けねえからって云(ゆ)ったんぢゃねえか、そんでも汝(わ)りゃ心配(しんえ)掛(か)けねえのか、掛(か)けねえっちんだら云(ゆ)つて見(み)ろ:お前は何時も何て言ってた?。お父さんには決して心配かけないからって言ってたじゃないか。それでもお前は心配かけないのか?。心配かけないって言うなら(何か)言ってみろ!。
(ちんたれ) 鬢盥 鹿児島。
ちんち 稲敷郡の方言。『小さい』意味。千葉ではすずめを言う。
ちんぢ 高齢者言葉。
ちんち
ちんちー
【形】小さい
ちんちぇ
ちんちぇー
【形】小さい ちんちぇー:千葉。
ちんちかばる
ちんちかまる
【動】縮む
ちんちくさい
ちんちくせー
【形】小さい 『集覧:新』。『ちんちくりん』との関係を思わせる。
『俚言』によれば江戸時代の近江では『ちんぢくさい』と言ったという。
ちんちさま 鎮守様 高萩市の方言。
ちんちくりん 【形動】@背の低い人、A服等が短く身体に合わないこと 標準語。
@・ちく:神奈川。
ちくだま:神奈川。
ちんちく:神奈川。
ちんちこばる
ちんちこまる
【動】縮む
ちんちころ 【形動】小さい頃
ちんぢばぢ 土蜂
ちんちめ スズメ ちんち:千葉・長野。
◆■▲●ちんちゃい
ちんちゃこい
ちんちゃっこい
【形】小さい 『集覧:多・猿』。茨城県人にとってはおなじみの言葉だが、標準語圏では『ちっちゃい』である。
ちんちゃい:福島。
ちんちゃぼ
ちんちゃぼー
ちび
ちんちゃぼー 葬式 『集覧:行』。
(ちんちょか) 【形】珍しい 長崎の方言。『珍重かり』の意味。
中央の形容動詞の『ナリ活用・カリ活用』を受けた言葉と考えられるが、九州では一般の形容詞の活用部が固定化されて『か』と表現されることが多い。
九州では状態表現の末尾を『か』で統一しようとした合理化策が見られる。方言にはしばしば見られる現象でもある。
ちんちり
ちんちろ
松かさ 『ちちり・ちちりん』『ちんちり』は、大阪・兵庫の方言でもある。
ちんちりさい 【形】小さい 『集覧:新』。
明治時代の旧新治郡の方言なので土浦方言と必ず繋がりがあるはずである。茨城弁の訛りの法則に従うと『ちんちいさい』が原型の可能性がある。『ちんちい』と『ちいさい』の合成語なのだろうか。
ちんちろ 縮れ毛 おちんぢれ:縮れ毛の人:山梨。
ちん:神奈川。
ちんちろりん マツムシ
ちんちん 【副】鉄瓶などが沸騰してちんちんなる様 標準語。今や電気ポットになり。『ちんちん』とは鳴らなくなってしまったので死語と言って良いかもしれない。
(ちんちん・ちんちこちん) 煮物等が十分に煮えた状態 愛知。
もともとはお湯が沸騰した状態の『ちんちん』に由来するもの。
(ちんちん) 【副】順序を追って。だんだん。しだいしだいに。そろそろ。 鹿児島。
ちんちん 鼻をかむこと 幼児語。
ちんちん 幼児語。
ちんちん
▲●ちんちんめ
@スズメ、A▲小鳥 『ちゅんちゅんめ』がさらに訛ったと考えられる。
A『集覧:久』。
ちんちん:静岡。
ちんちんかもかも 【形動】男女の仲むつまじい様 古い標準語。
ちんちん:仲の良い様:佐渡島。
ちんちんかもかも:埼玉・東京。
ちんちんま:神奈川。
ちんちんどんどん 葬式の行列 当時の葬式は土葬で、家から直接墓まで仏様を送った。その際、太鼓と鐘を鳴らす音が『ちんちんどんどん』と聞こえるのでそう呼んだ。
ちんちんばしょり 尻っぱしょり 那珂郡。神奈川でも使われることから、関東圏の古い方言と思われる。
ちんぢんばらばら
ちんちんばらばら
【副】ばらばらな様子 『てんでんばらばら』または『散り散りばらばら』の転。
ちんちんばらばら:神奈川。
ちんちんも 片足けんけん 『ちんちんもら、ちんちん』。古い標準語。
ちんちんばっこ:神奈川・山梨。
ちんちんも:東京。
ちんつぁい
ちんつぇー
【形】小さい 『集覧:新』。
〜ちんで
〜ちーんで
【複】〜と言うので 江戸言葉の『〜てんで』の転。
どーきーせーがびょーえんさにーんしたっちんでみめーにいっちった:同級生が病院に入院したと言うので見舞いに行ってしまった。
いーぐらゆったってやんねっちんだがらしまづわりーべな:いくら言ったってやらないと言うのだから始末が悪いだろうよ。
〜ちんでー 【複】〜(する)と言っているんだい? 江戸言葉の『〜てんでえ』の転。
『〜ちんだい』がさらに訛ったもの。『〜と言うんだい』の意味。促音化した動詞につく。
★『土』:汝(わ)りや、何(なに)くろっちんでえ:お前は何をくれと言っているんだい。
◆■▲ちんと
ちーんと
【副】ちょっと 標準語の『ちんと』は『@孤立し、孤独なさま。ぽつんと。A手早いさま。さっさと。B落ち着いているさま。整っているさま。きちんと。ちゃんと。また、すましているさまにもいう。』意味で『ちょっと』の意味はない。『ちと、ちいと』が訛ったと思われる。
ちんと:山形。
ちんと:端然と座った様・整然と秩序立っている様:東京。
ちんと:神奈川。ちんともいわねー:何も言わない。
(ちんどん) 幼子 鹿児島。『稚児供』の意味か。
ちんにぐる
ちんねぐる
ちんねくる
【動】つねる ひんにぐる・ひんにくる』
ちんに:福島。
ちんにくる:栃木。
つんねぐる:福島。
ちんねくる:千葉野田。
(ちんにぐる・ちんにげる) 【動】逃げる 佐賀。
(ちんぬく) サトイモ 沖縄。
ちんば
ちん
ちぐはぐなこと、片足が無いこと ちんば:静岡。
(ちんばらをたつ・ちんばらをたてる) 【動】腹を立てる 東京多摩。
ちんばらをたてる:怒る:群馬。
ちんんじ
ちんんじん
チンパンジー 《珍犯児?》、《おっと、チンパンジーは茨城人種のひとつだっか!》
ちん @筑波山のもともと野生種のミカンである『フクレミカン』を干したものを入れた薬味、A七色唐辛子、B一味唐辛子 『陳皮(ちんぴ)』(蜜柑の皮を乾かした生薬。去痰・鎮咳・発汗・健胃剤として薬用、また、薬味料とする。香辛料としては柚子皮をも使用。)(広辞苑)。
B・ちん:神奈川。
(ちんびー) 【形】けちな様 静岡。
ちんくせー 【形】小さい ちんび:静岡。
ちんびー:静岡。
ちん:静岡。
ちーんびー:静岡。
ちんびきさい:静岡・岐阜・愛知。
ちんびきしゃい:静岡。
ちんびくさい:静岡。
ちんぶい:静岡。
ちーん:静岡。
ちんぶくたい:静岡。
ちんくらい 【副】少し
ちんくりん
ちんくれん
【形動】小さい様
ちんくれ
ちんくれー
【形動】【形】小さい 『集覧:鹿』。
ちんりむぐ 【動】そっぽを向く、知らない振りをする 訛りの訛りのような言葉。『ちんぷり』は『知らない気振り』の転と考えられる。
ちんりこぐ
ちんりこく
【動】そっぽを向く、知らない振りをする 『俚言』には『ちんりをかく:近江にて怒ること。』とある。
広辞苑に『ちゅうっぱら【中っ腹】:心中に怒りを含むこと。むかむかしていること。また、腹を立てやすい気性。』がある。
いんぶりかく:腹を立てて機嫌が悪くなる:長野・静岡・愛知。
おちんぶり:すねてる様子:山梨。おちんぶりをかいてちょ:すねているなよ:山梨。
おちんぶりをかく:怒る:神奈川。
じんばらかく・じんばらたつ:怒る:神奈川。
そんぶりかく:怒る:神奈川。
ちんばらかく:怒る:神奈川。
ちんばらをこく:怒る:神奈川。
ちんばらたてる:怒る:埼玉・神奈川。
ちんばらをたつ:腹を立てる:東京多摩。
ちんばらをたてる:怒る:群馬。
ちんびりこく:腹をたてる:静岡。
ちんびりをかく:腹をたてる:静岡。
ちんらかく:怒る:神奈川。
ちんぶり:怒ること:神奈川。
ちんぶりかく:怒る:神奈川。
ちんりこく:つまらぬことで腹をたてる:静岡。
ちんりをかく:拗ねる:静岡。
ちんりをかく:怒る:滋賀。
ちんぶる:怒る:神奈川。
☆ちんんかん
ちんんかん
【形動】ちんぷんかんぷん 『珍紛漢・陳紛漢・陳奮翰』。原型は『ちんぷんかん』。現代では『ちんぷんかんぷん』。儒者の用いた漢語をひやかして言ったとも、外国人のことばの口真似との、法令の難しい漢語を指したとも言われる。
〜ちんべ
〜ちんべー
【助】(たった)〜ばかり、(たった)〜ぽっち 指示代名詞に付く。
ちんべ:少し:群馬。
ちんぼ
ちん
ちんぼー
ちん
▽ちん
子供の陰茎 倒語にして『ぽこちん』という言い方もあるが、辞書には掲載されていない。もともとは『珍宝』(ちんぼう・ちんぽう)とする説がある。鎌倉時代には『ちうぼう』(古今著聞集)と言ったという。
ちんぼこ:東京。
ちんぼ
ちんぼー
乳首、乳汁 『集覧:猿』。
ちん 【形】小さい ちん:静岡。
ちん:静岡。
ちんけたい:静岡。
ちんくさい
ちんぼくせー
ちんくせー
ちんくちゃい
【形】小さい もともと『ちんこ』とは小さい意味から発しているとされている。『ちんぽ』は子供の陰茎。『ちんこ』は陰茎を指す幼児語である。『ちんぼ』と濁音になるのは『小さい棒』を意味してもともとは関西圏の言葉のようである。珍しい宝を意味する『珍宝』(ちんぽう・ちんぼう)に由来する説もある。
茨城方言から考えればところで『ちんくせー』とは、何も子供のおちんちん臭いわけではなく、小さい意味の『ちんい』+『臭い』(その傾向がある)意味である。《これは放送禁止用語かと思ってチェックしましたが大丈夫、でもこれだけで漫才のネタになりますね?!?》
ちん
ちんぼけ
【形動】ちいさいこと 『ちっぽけ』。『集覧:多』。
ちん:山形。
ちんけー 【形】小さい 『ちっぽけ』。
ちんけな 【形】小さい 『ちっぽけな』。
ちん
ちんこりん
【形動】ちいさいこと 『集覧:行』。
ちんはさみ タガメ 土浦市の方言。肉食なので『新穂挟み』は考えにくい。
《こんな名前があるって事は、土浦では誰か挟まれた人が居るってことかなあ?、ぬぬっ!、もしタガメに挟まれたら?!?、いでーのにたーめー!!》
(ちんまえる) 【動】捕まえる 静岡。
▽ちんまり
ちんもり
【形動】小さくまとまっている様子 『俚言』によると江戸時代には『ちんみり』とも言ったという。
ちんまるこい:小さい:佐渡島。
ちんめらこい:小さい:佐渡島。
ちんめりこい:小さい:佐渡島。
ちんみょう 【形動】かわっていておかしいこと。奇妙。 『珍妙』。
ちんも
ちんもじく
ちんもじくる
【動】揉む
(ちんや) 静岡。
 本茨城弁集は、昭和40年前後の茨城方言を中心に茨城県全域の江戸時代まで遡る言葉を集めたものです。他県の方言との関係を重視し主要なものについては他県の方言も紹介しています。また、近年使われなくなってきた標準語や語源考察、また昭和30年代の風俗・文化等を紹介するために、合わせて標準語も掲載していますのでご注意下さい。
 お気づきの点やご指摘等がありましたら、『茨城弁投稿』と書いてお気軽にここにメール下さい。他地域・他県との関係情報もお知らせください。訛の変遷が解かるような投稿は積極的に掲載致します。