昔の茨城弁集
昭和35年〜45年頃の茨城弁集
茨城弁・土浦弁掲示板/新規に開設しました。どなたでもお気軽に書き込みください。
  茨城方言の文法
 昔の茨城弁集 TOP
 茨城方言の特徴
 茨城方言入門
 茨城方言大辞典
 動物・両生類
 魚・水産物・海産物
 虫・昆虫・軟体動物 
 樹木
 草花・キノコ 
 地理・自然
 
 
 特殊な形容詞
 人体用語
 代名詞
 風俗文化・建築・生活
 子供の遊び 
 農業・養蚕・漁業
 茨城の迷信
 年中行事
 挨拶言葉
 
 
 茨城方言の分布
 茨城方言の文法
 小説の中の茨城方言
 茨城方言の発音練習 
 茨城の日常会話
 幼児語に学ぶ
 投稿文紹介
 当時のテレビ番組
 相互リンク集
 八丈方言との関係
茨城方言大辞典五十音検索

◆本ページはそのうち、方言地図に掲載された言葉に習い典型的な標準語表現に相応する茨城方言を集めたものです。作業を開始したばかりです。

標準語発音 標準語表記 解説と茨城弁一覧
あめだろう 雨だろう 古い関東方言では『雨だべ、雨だべー、雨だんべ』となる。茨城弁は進化?したので、茨城の標準語は、『雨だっ』『雨だっよ』がメジャーである。『雨だべ、雨だべー、雨だんべ』は当時新方言的なニュアンスで使われた。
方言地図を基本にすれば以下の通り。
あめだっ:雨だろう。
あめだっ:雨らしいぞ。
あめだど:雨だぞ・雨らしいよ。
あめだがもしんね・雨かもしれない。
方言地図では、単に『雨だろう』の問いに対して回答者はニュアンスを無視して様々な回答をしているのが伺える。
標準語でも実際は様々な微妙なニュアンス表現があるのに残念である。さらに代表的な関連表現を以下に示す。
あめがい:雨なの?・雨かい?。
あめがい:雨ではない。
あめがな・あめがなー:雨かな。
あめがなや・あめがなやー:雨だろうか・雨ではないのではないか。
あめがなよ・あめがなよー:雨だろうか。
あめがもしんね・あめがもしんに・あめがもしんにぇ・あめがもしんにゃい:雨かもしれない。
あめがや・あめがやー:雨ではないよ。
あめがよ:雨かよ。雨なの?。
あめげー:雨なの?。
あめだがや:雨だろうか・雨ではない。
あめだっ:雨だろう。
あめだっ:雨らしいぞ。
あめだがもしんね:雨かもしれない。雨になるかもしれない。
あめだっどよ:雨だって言ってるよ。
あめだっ:雨だろうな。
あめだっや・あめだっやー:雨だよ!。
あめだっよ・あめだっよー:雨だろうよ・雨だよ。
あめだでやー:雨だぞ。
あめだど:雨だぞ。雨らしいよ。
あめだねー:雨ではない。
あめだねーべ:雨ではないだろう。
あめだべし・あめだべち:雨だろう。
あめだちけ・あめだっちけ:雨だそうだ。
あめだちけな・あめだっちけな:雨だそうだ。
あめだちけよ・あめだっちけよ:雨だそうだよ。
あめだちか・あめだっちか:雨だろうか。
あめだべ・あめだんべ:雨だろう。
行かなければならない は古くは鼻濁音で新しくは濁音である。清音のこともある。『い』は『ゆ・え』とも発音する。『ならない』は『なんね、なんに、なんにぇ、なんにぇー』とも言うので、それらを含めると際限の無いバリエーションになる。
ながなんね
なぎゃなんね
なくちゃなんね
なくてなんね
なくてはなんね
なくってなんね
なくってはなんね
なぐばなんね
なぐれなんね
なぐればなんね
なげなんね
なげーなんね
なげばなんね
なげれなんね
なげれーなんね
なげればなんね
にゃーなんね
ねげなんね
ねげばなんね
ねげれなんね
ねげればなんね
ねっけなんね
ねっけれなんね
行きたい 『い』は古くは『ゆ・え』と発音した。『でー・てー』は『だい・たい』のことがある。末尾は単音形のことがある。
てー、いでー、いきてー:行きたい
いってきてー、いってきでー:行ってきたい
いってみでー、いってみてー、:行ってみたい
行きたいと思っている 『ぐ』は濁音・鼻濁音『い』は古くは『ゆ・え』と発音した。『おもってる』は『おもっでる』『もってる』と言う場合がある。
てーとおもってる、いでーどおもってる、いきてーとおもってる:行きたいと思っている。
いくべどおもってる、いぐべどおもってる、いんべどおもってる:行こうと思っている。
いぐがどおもってる、いんかどおもってる:行こうかと思っている。
行くだろう・行くんだろう 『ぐ』は濁音・鼻濁音。清音のこともある。末尾は長音となることがある。『い』は『ゆ・え』とも発音する。『ど、や、やー、よ、よー、っちゅのに、っちのに、っちば、ってゆーのに』等が加わることがある。
べ、いんべ:行くだろう。
んだっ、いんだっへ:行くんだろう(新しい言い方)。
んだべ、いんだべ、いんだんべ(古い言い方)。
行くな・行くなよ 『ぐ・が』は濁音・鼻濁音。清音のこともある。『い』は古くは『え・ゆ』とも言った。
@主に優しい言い方(女言葉)
な、いなよ、いなー、いなーよ、いなや、いなやー、いなーや、いないでよ、いねーでよ、いんだないよ
A主にきつい言い方(男言葉)
ど、よ、よー、っちゅのに、っちのに、っちば、ってゆーのに』等が加わることがある。
な、いんだねー、いんだない、いんでねー、いったらなんねー(古い言い方)
んじゃない、いんじゃねー、いんじゃねー(新しい言い方)
行くのだろう 『ぐ・が』は濁音・鼻濁音。清音のこともある。『い』は古くは『え・ゆ』とも言った。
んだっ
んだっ
んだっ
んだっ
行くまい は濁音・鼻濁音。清音のこともある。『めー』は『まい』とも言う。
ねー、えねー、ゆねー:行かない。
ねー、えねー、ゆねー、いめー、いがやー、いめー、えめー、えめー、ゆめー、ゆめー:行くまい(行かない、行かないだろう)
め、いめー:行かないよ・行かないだろうよ。
行こう 『が・ぎ・ぐ』は濁音・鼻濁音。清音のこともある。『い』は古くは『ゆ・え』と発音した。
置かれた状況や相手によって言い方は様々だが、以下に典型的な事例を示す。
・いべ、いんべ:行こう。
・いってべ、いってんべ:行ってみよう。
・いべな、いべよ、いべや、いんべな、いんべよ、いんべや:行こうよ。
・いねーが、いねーげ:行かないか。
・いべだねーが、いべでねーが、いんだねーが、いんでねーが:行こうじゃないか。
・いやしょー:行きましょう。
・いやすか:行きますか。
行ってはいけない 『が・ぐ・げ』はまれに鼻濁音のことがある。また、清音のこともある。『い』は古くは『ゆ・え』と発音した。『ね』は『ない』のことがある。末尾は単音形のことがある。 『ど、よ、よー、っちゅのに、っちのに、っちば、ってゆーのに』等が加わることがある。
いってはいがねー、いってはいがんにー、いってはいがんにぇー、いっていげねー、いってはいぐねー、いってなんねー、いってはなんねー(古い言い方)
いってはいげねー、いっちゃなんねー、いぐんだねー(新しい言い方)
類義の言葉として、いってはだいだ(行っては駄目だ)
だけど そうだけれど 現代語の『だけど』にあたる言葉は標準語に限らず不思議なほど沢山ある。古くは、『しかるに』が代表的である。
それでは、現代語ではどうなるかというと、『そうだけれど』『だけれど』『そしたら』『それなら』『そんなら』となり、ニュアンスを代えて『そうならば』『だったら』『だとすると』が新しい言葉ならば、『さらば』『さすれば』が代表的であり現代語では『そうなると』『そうなれば』『ならば』『であれば』となる。文語では『だが』となる。
 茨城弁では、一般に『んだげど』『んだけと』『んだけんと』と清音化・促音化する。らに仮定形の意味を含めると『だらば』『んだらば』となる。『な』が『だ』に変化する。標準形は『そったら』『だら』と変化する。
標準語と異なり文語は意識しないで済むので口語と文語が近い。
 
誰が遣るものか 方言地図では前後を分割しているので、正確なところは不明だが、記憶と照らし合わせて以下のような典型的な言い方をまとめた。回答者はかなり広範囲な意味で捉えたようなので、大きく三つの意味に分けてある。方言地図にあっても記憶に全く無い言い方は記載していない。
だいやるもんけー、だれやいもんか:誰が遣るものか!。
だんやっか、だいやっかい、だれやっかー、だれーやる、だれやるもんだ(が)、だれやっか、だれやっかや、だれやっかい、だれやんだい、だんやんだ:誰が遣る?
だいやいっかい、だれやいっか、だれやいーもんか、だんやえっか、だんだがやれんだ:誰が遣れるものか?。
だいやんだ、だれやんだ、だれやるー、だれやっが、だんやんだが:誰が遣るだろうか?。
 本茨城弁集は、昭和40年前後の茨城方言を中心に茨城県全域の江戸時代まで遡る言葉を集めたものです。他県の方言との関係を重視し主要なものについては他県の方言も紹介しています。また、近年使われなくなってきた標準語や語源考察、また昭和30年代の風俗・文化等を紹介するために、合わせて標準語も掲載していますのでご注意下さい。
 お気づきの点やご指摘等がありましたら、『茨城弁投稿』と書いてお気軽にここにメール下さい。他地域・他県との関係情報もお知らせください。訛の変遷が解かるような投稿は積極的に掲載致します。