◆本ページはそのうち、方言地図に掲載された言葉に習い典型的な標準語表現に相応する茨城方言を集めたものです。作業を開始したばかりです。
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標準語発音 |
標準語表記 |
解説と茨城弁一覧 |
あめだろう |
雨だろう |
古い関東方言では『雨だべ、雨だべー、雨だんべ』となる。茨城弁は進化?したので、茨城の標準語は、『雨だっぺ』『雨だっぺよ』がメジャーである。『雨だべ、雨だべー、雨だんべ』は当時新方言的なニュアンスで使われた。
方言地図を基本にすれば以下の通り。
・あめだっぺ:雨だろう。
・あめだっぺど:雨らしいぞ。
・あめだど:雨だぞ・雨らしいよ。
・あめだがもしんね・雨かもしれない。
方言地図では、単に『雨だろう』の問いに対して回答者はニュアンスを無視して様々な回答をしているのが伺える。
標準語でも実際は様々な微妙なニュアンス表現があるのに残念である。さらに代表的な関連表現を以下に示す。
・あめがい:雨なの?・雨かい?。
・あめがい:雨ではない。
・あめがな・あめがなー:雨かな。
・あめがなや・あめがなやー:雨だろうか・雨ではないのではないか。
・あめがなよ・あめがなよー:雨だろうか。
・あめがもしんね・あめがもしんに・あめがもしんにぇ・あめがもしんにゃい:雨かもしれない。
・あめがや・あめがやー:雨ではないよ。
・あめがよ:雨かよ。雨なの?。
・あめげー:雨なの?。
・あめだがや:雨だろうか・雨ではない。
・あめだっぺ:雨だろう。
・あめだっぺど:雨らしいぞ。
・あめだがもしんね:雨かもしれない。雨になるかもしれない。
・あめだっぺどよ:雨だって言ってるよ。
・あめだっぺな:雨だろうな。
・あめだっぺや・あめだっぺやー:雨だよ!。
・あめだっぺよ・あめだっぺよー:雨だろうよ・雨だよ。
・あめだでやー:雨だぞ。
・あめだど:雨だぞ。雨らしいよ。
・あめだねー:雨ではない。
・あめだねーべ:雨ではないだろう。
・あめだべし・あめだべち:雨だろう。
・あめだぺちけ・あめだっぺちけ:雨だそうだ。
・あめだぺちけな・あめだっぺちけな:雨だそうだ。
・あめだぺちけよ・あめだっぺちけよ:雨だそうだよ。
・あめだぺちか・あめだっぺちか:雨だろうか。
・あめだべ・あめだんべ:雨だろう。 |
行かなければならない |
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『が』は古くは鼻濁音で新しくは濁音である。清音のこともある。『い』は『ゆ・え』とも発音する。『ならない』は『なんね、なんに、なんにぇ、なんにぇー』とも言うので、それらを含めると際限の無いバリエーションになる。
いがながなんね
いがなぎゃなんね
いがなくちゃなんね
いがなくてなんね
いがなくてはなんね
いがなくってなんね
いがなくってはなんね いがなぐばなんね
いがなぐれなんね
いがなぐればなんね
いがなげなんね
いがなげーなんね
いがなげばなんね
いがなげれなんね
いがなげれーなんね
いがなげればなんね
いがにゃーなんね いがねげなんね
いがねげばなんね
いがねげれなんね
いがねげればなんね
いがねっけなんね
いがねっけれなんね |
行きたい |
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『い』は古くは『ゆ・え』と発音した。『でー・てー』は『だい・たい』のことがある。末尾は単音形のことがある。
・いぎてー、いぎでー、いきてー:行きたい
・いってきてー、いってきでー:行ってきたい
・いってみでー、いってみてー、:行ってみたい |
行きたいと思っている |
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『ぐ』は濁音・鼻濁音『い』は古くは『ゆ・え』と発音した。『おもってる』は『おもっでる』『もってる』と言う場合がある。
・いぎてーとおもってる、いぎでーどおもってる、いきてーとおもってる:行きたいと思っている。
・いくべどおもってる、いぐべどおもってる、いんべどおもってる:行こうと思っている。
・いぐがどおもってる、いんかどおもってる:行こうかと思っている。 |
行くだろう・行くんだろう |
− |
『ぐ』は濁音・鼻濁音。清音のこともある。末尾は長音となることがある。『い』は『ゆ・え』とも発音する。『ど、や、やー、よ、よー、っちゅのに、っちのに、っちば、ってゆーのに』等が加わることがある。
・いぐべ、いんべ:行くだろう。
・いぐんだっぺ、いぐんだっへ:行くんだろう(新しい言い方)。
・いぐんだべ、いぐんだべ、いぐんだんべ(古い言い方)。 |
行くな・行くなよ |
− |
『ぐ・が』は濁音・鼻濁音。清音のこともある。『い』は古くは『え・ゆ』とも言った。
@主に優しい言い方(女言葉)
いぐな、いぐなよ、いぐなー、いぐなーよ、いぐなや、いぐなやー、いぐなーや、いがないでよ、いがねーでよ、いぐんだないよ
A主にきつい言い方(男言葉)
『ど、よ、よー、っちゅのに、っちのに、っちば、ってゆーのに』等が加わることがある。
・いぐな、いぐんだねー、いぐんだない、いぐんでねー、いったらなんねー(古い言い方)
・いぐんじゃない、いぐんじゃねー、いぐんじゃねー(新しい言い方) |
行くのだろう |
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『ぐ・が』は濁音・鼻濁音。清音のこともある。『い』は古くは『え・ゆ』とも言った。
・いぐんだっぺ
・いぐんだっぺー
・えぐんだっぺ
・えぐんだっぺー
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行くまい |
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『が』は濁音・鼻濁音。清音のこともある。『めー』は『まい』とも言う。
・いがねー、えがねー、ゆがねー:行かない。
・いがねー、えがねー、ゆがねー、いがめー、いぐがやー、いぐめー、えがめー、えがめー、ゆがめー、ゆがめー:行くまい(行かない、行かないだろう)
・いがめ、いがめー:行かないよ・行かないだろうよ。 |
行こう |
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『が・ぎ・ぐ』は濁音・鼻濁音。清音のこともある。『い』は古くは『ゆ・え』と発音した。
置かれた状況や相手によって言い方は様々だが、以下に典型的な事例を示す。
・いぐべ、いんべ:行こう。
・いってぐべ、いってんべ:行ってみよう。
・いぐべな、いぐべよ、いぐべや、いんべな、いんべよ、いんべや:行こうよ。
・いがねーが、いがねーげ:行かないか。
・いぐべだねーが、いぐべでねーが、いんべだねーが、いんべでねーが:行こうじゃないか。
・いぎやしょー:行きましょう。
・いぎやすか:行きますか。 |
行ってはいけない |
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『が・ぐ・げ』はまれに鼻濁音のことがある。また、清音のこともある。『い』は古くは『ゆ・え』と発音した。『ね』は『ない』のことがある。末尾は単音形のことがある。
『ど、よ、よー、っちゅのに、っちのに、っちば、ってゆーのに』等が加わることがある。
・いってはいがねー、いってはいがんにー、いってはいがんにぇー、いっていげねー、いってはいぐねー、いってなんねー、いってはなんねー(古い言い方)
・いってはいげねー、いっちゃなんねー、いぐんだねー(新しい言い方)
類義の言葉として、いってはだいだ(行っては駄目だ) |
だけど |
そうだけれど |
現代語の『だけど』にあたる言葉は標準語に限らず不思議なほど沢山ある。古くは、『しかるに』が代表的である。
それでは、現代語ではどうなるかというと、『そうだけれど』『だけれど』『そしたら』『それなら』『そんなら』となり、ニュアンスを代えて『そうならば』『だったら』『だとすると』が新しい言葉ならば、『さらば』『さすれば』が代表的であり現代語では『そうなると』『そうなれば』『ならば』『であれば』となる。文語では『だが』となる。
茨城弁では、一般に『んだげど』『んだけと』『んだけんと』と清音化・促音化する。らに仮定形の意味を含めると『だらば』『んだらば』となる。『な』が『だ』に変化する。標準形は『そったら』『だら』と変化する。
標準語と異なり文語は意識しないで済むので口語と文語が近い。
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誰が遣るものか |
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方言地図では前後を分割しているので、正確なところは不明だが、記憶と照らし合わせて以下のような典型的な言い方をまとめた。回答者はかなり広範囲な意味で捉えたようなので、大きく三つの意味に分けてある。方言地図にあっても記憶に全く無い言い方は記載していない。
・だいがやるもんけー、だれがやいもんか:誰が遣るものか!。
・だんがやっか、だいがやっかい、だれがやっかー、だれーやる、だれがやるもんだ(が)、だれがやっか、だれがやっかや、だれがやっかい、だれがやんだい、だんがやんだ:誰が遣る?
・だいがやいっかい、だれがやいっか、だれがやいーもんか、だんがやえっか、だんだががやれんだ:誰が遣れるものか?。
・だいがやんだ、だれがやんだ、だれがやるー、だれがやっぺが、だんがやんだが:誰が遣るだろうか?。 |
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