昔の茨城弁集
昭和35年〜45年頃の茨城弁集
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◆印:『土浦の方言・続土浦の方言』掲載語。■印:『土浦市史・民族編』掲載語。▲印:『茨城方言集覧』掲載語。印:新編常陸国誌掲載語。印:茨城方言民俗語辞典掲載語。印:茨城弁今昔掲載語。印:物類称呼掲載語。●印:『国立国語研究所・日本語情報資料館・電子資料館・日本言語地図・方言文法全国地図』掲載語。▼印:日本方言大辞典掲載語。印:日本方言辞典掲載語。浪花聞書掲載語。印:俚言集覧掲載語。★印:使用例とその標準語訳。黒太文字:標準語。
茨城弁 標準語訳 備考・解説・使用例
(あ) @母音の一。口を広く開き、舌を低く下げ、その先端を下歯の歯ぐきに触れる程度の位置におき、声帯を振動させて発する。
A平仮名「あ」は「安」の草体。片仮名「ア」は「阿」の偏(ヘン)の略体。(広辞苑)
(あ) 方言理解のための必須語。
@。あし。
A畔・畦。田のあぜ。
B。あみ。
C亜。
・他の語に冠して、次ぐ、準ずる、二番目である、の意を表す。
・〔化〕中心原子を同じくするオキソ酸(酸素酸)などのうち、酸化の程度の低いものに冠する語。
・亜細亜(アジア)の略。
・亜爾然丁(アルゼンチン)の略。
・亜米利加(アメリカ)の略。幕末から明治初期にかけて用いた。
・(「堊」の通用字) 白い土。白くぬること。
D阿。
・まがりかど。隈(クマ)。
・おもねること。
・家のひさし。むね。
人を呼ぶのに親しみを表して冠する語。
・阿弗利加(アフリカ)の略。
・阿波国(アワノクニ)の略。
・梵語(ボンゴ)の第一字母
E案。(アンのンを表記しない形) 考え。思案。
F
・言語を発声できないこと。
・驚きのあまり口のきけないさま。
G我・吾。代(一人称) 。われ。私。同義の「わ」に比して用例は少なく、多く「―が(私の、自分の)」の形で、相手に親密感を持つ場合に使う。
H彼。代。遠くのものを指していう語。あれ。多く「―は」の形で使われた。
Iあ。感。
・驚きや感動を表して発する声。あっ。
・呼びかける声。
・応答の声。はい。
@主格を示す格助詞『は』、A名詞・動詞中の『わ』 @主格を示す格助詞『は』。江戸言葉。連母音変形を伴い、下町言葉でも聞かれる。実際は江戸時代以降に使われた標準口語。〜とは→〜たあ。〜のは→〜なあ。〜には→〜にゃあ。いけば→いきゃあ。
こどしあいーとしにしてーよな:今年は良い年にしたいよね。
・少しは・ちっとは:すこしゃあ・ちったあ
・実は:じつあ・じつぁあ・じづあ・じざあ
・中は:なかあ・ながあ
A名詞・動詞中の『わ』。
・川:かあ
・北側:きたっかあ・きたっか
・変わる:かある・かーる
・合わせる:ああせる・あーせる

あー
あん
あーん
【感】@なんだい、えー、Aねえ、Bはあ 声をかけられた時に応えたり相手に問いかける言葉。『14』『114』。無理に訳せば『なんだい?』・『えー?』。発音は比較的はっきり発音する場合と、『ん』と『あ』の間のことがある。その場合は『う』を発音する時よりわずかに口をあけ、鼻腔を開いて曖昧に発音する。元来『あー』の意味だが、鼻に抜ける発音のため『あん・あーん』とも聞こえる。
この『あ』は、『我・吾』と考えられ、古くは二人称でも使われた言葉が残ったものと考えられる。
:青森・東京多摩。
どしたんだー。あーん。どごがわりーのがー。あよー。どうしたの。ねえ。どこか悪いの。ねえ。
★『土』:どうした、そんだ此間(こねえだ)の白(しろ)は善(よ)かったんべ、彼(あ)れさ打(ぶ)てな、ああ西(にし)のおとっつっ、白(しろ)ぢや徴發(ちようはつ)はさんねえぞ

あー
あん
あーん
【感】@ああ(相づちの言葉)、Aええ(念を押す言葉)、ねえ、Bはい @ああなら標準語。淡々と相づちを打つ場合:あーそーが:『33322』。感銘を受けて強調するばあい:あーそーがー:『222411』。意外なことを聞いた場合:あーあれが:(ああああれがあ)『1411441』。
あーな:神奈川。
A★おめやんのがー、あー:お前が遣るのかい、ええ?。
はいぐやれな、あ:早く遣りなさいよ、ええ?。
Bこれは標準語にはない。
:青森。
あー:神奈川。
あーい:神奈川。
あー
あーこ
あーっこ
あー 【動】@会う、A合う 長音形はそのまま伸ばすのが茨城弁の基本。東北弁と同じ特徴。
わりにあーね:割に合わない。
ばんかだあーべ:今晩会おう。
ああ
あー
【指代】あれ、あんなふう 標準語の口語でも使う言い回し。『いつでもああですよ』。
あーしかねー:あれしかない。
いづもあーだが:いつもああなの?。
(〜あ・〜あー) 【接尾】動物名につく接尾語 沖縄。茨城の『め』に該当する。
あたびきゃー:蛙。
あたびちゃー:蛙。
うなー:ウニ。
がらさー:カラス。
くーばー:クモ。
さぎゃー:サギ。
ぬまー:蚤。
ひーばー:ヘビ。
みみざ:ミミズ。
あい 『間』。死語。
あい:静岡。
あいのもん:間食:京都。
あいまぜ:おせっかい:高知。
あい 実の入っていない籾、しいな 『あいもみ』の短縮化。『あい』は『間または合』であり熟しきっていない意味。筑波南部では、赤・緑色の玄米を指す。県下全域。
あい:栃木。
あい アユ あい:東京・神奈川・鹿児島。
あえ:秋田。
あい 【慣】はい 江戸時代から受け継がれた関東語。
『称呼』には『あい他の呼に答る語:関東にてあいと云。畿内にてはいと云近江にてねいと云。長門邊にてあっと云。薩摩にてををと云。肥前にてないと云。土佐にてゑいといふ(又ゑっともいふ。奴僕のたぐひはををともやっともこたふ。)。越後にてやいと云。越前にてやっといふ。陸央にてないと云。』とある。
肯定の感嘆詞は英語では、『yes』の別形に『aye』がある。目上の人に『yes sir.』と言う。海軍では、『aye aye sir.』と言う。
一方、『sir.』は近世語の『そうでさ。』の『さ』とそっくりだ。
あい:福島・埼玉・佐渡島・静岡。
あーい:神奈川。 
あいよ・あいよー:さあどうぞ。
あい
あえ
【指代】あれ、あいつ 遠称の指示代名詞である『彼』(あ)+『い』(上代語で主格を強調する格助詞)としての『あい』がそのまま残ったとも考えられる。
あい:静岡・鹿児島。
あえだへ:あいつだよ:秋田。
あーあいがー:ああ、あれかあ。
あいでいーよ:あれで良いよ。
あい
あーい
あえ
あゆ
あーゆ
【複】ああ言う 古語の『彼故』の流れ。
とーちゃんあいんだがらしゃーんめ:父ちゃんがああ言うんだからしょうがないだろう。
あーゆんごどゆってはだいだ:ああいうことを言っては駄目だ。
あいなもんになってはいげね:ああいう人にはなってはいけない。
あいー
あいーい
【感】ああ、いいえ。どういたしまして。 尻上がりに発音する。
あいやい:愛媛。
あい〜 【接頭】 『相』または『合』で、『一緒に』『相互に』または強調の接頭語。昔は良く使われたが最近はあまり聞かない。
あいいやしょ:一緒に行きましょう。
あいあー
あいあう
【動】会う
あいい 【複】一緒に行く 『ぐ』は濁音・鼻濁音。
あいいやしょ:一緒に行きましょう。
あいおい 相生、二つのものが一緒に成長すること 標準語。
あいがせる
あいせる
【動】歩かせる、行かせる 『あい往かせる』を思わせる言葉。
あいかせる:山梨。
あいかだ
あいかた
あいっかだ
@相棒、連れ、A相手 @『合方』。
A『相方』。
あいがら 【接】あれから、【複】ああ言うから
あいわるい 【複】仲が悪い 『間(あい)が悪い』。やや古い標準語。
あい 上着と下着との間に着る衣服、秋冬ものの服、間着 標準語。
あいきゃぐ
あいきゃく
居合わせた客 清音なら標準語。『相客』。
あいきゃぐ
あいきゃぐさま
結婚式のとりもち役 『相客』の意味が転じたもの。
あいぎやしょー 【複】@歩きましょう、A一緒に行きましょう @『あいぐ』の勧誘語。
A『あい行く』意味の勧誘語。『ぎ』は濁音・鼻濁音。
あいぐ
あい
あいく
【動】@歩く、A一緒に行く @は単なる訛。ただしこのうち『あいは古語の『歩ぶ』の流れを思わせる。静岡では里帰りを『あいきぞめ』と言うが『歩き初め』の意味。
あいく:長野・山梨・静岡。あいかせる:歩かせる。あいけん:歩けぬ。あいったら:歩いたら。
あいがんしょ:歩きましょう。
あいぎやすか:歩きますか。
Aは『あい行く』意味。『あい』は『相』で『一緒に』の意味の接頭語。各地の方言に『行こう』の意味が何故『あいべ・あんべ』等の言葉になるかを思う時、『あい行く』意味だとすれば納得できる。
あいでいく:一緒に行く:新潟。『相で行く』意味か。
あいゆやしょー:一緒に行きましょう。
『行く』は古語の『往く』に由来し時間や空間の中である場所から別の方向へ向う意味である。一方『歩く』の古語は『歩く』(ありく)で、必ずしも足によらず『あちこち歩き回る』意味だと言われる。現在の『車で行く』という言い方は、車という手段である場所から別の方向へ向う意味であるし、『車で歩く』という表現は、車を使ってあちこち回る意味であり、古語の流れにそのまま沿っているだ。
『歩む』とは、一歩一歩進んで行くものでその過程でのプロセスが大きな意味をなすことになる。『歩む』は各地で『あいぶ』に変化して他動詞形の『あいばせる』が、『あい馳せる』(一緒に急いで行く)と混乱した様子が伺える。
《ハイキングは茨城弁ではアイギング?!?。》
あーいぐ〜
あいぐ〜
【複】あんなに、あのように、ああいう風に あーいぐはなりだぐねーな:ああ言う風には成りたくないな。
あい 葬式などを手伝いあう隣組 真壁市。民俗族語。
あいこー おあいこ あいこ:神奈川。
いっーっこ:神奈川。
あーいーごどした 【複】あああ良かった
あいごどば
あいこどば
合い言葉 古くは『えーこどば』
あい くず米 古くは『えめ』。『あい』は『間または合』であり熟しきっていない意味。
あいころ ハゼの類 江戸時代の常陸言葉。
あいざ
あいさ
古くは『えざ』。清音なら関東から関西にかけて分布する広域方言。『間狭』の意味か。
あいさ:群馬・神奈川・新潟・長野・山梨・静岡。
あいさこーさ:間々:静岡。
あいさっこ:群馬。
えーさ:神奈川。
あいさ
あいさ
@ウミアイサ、Aカワアイサ 那珂湊市。
あいさが 仕事の忙しさが頂点にある状態 この茨城弁集で最も古い言葉の一つ。『合い坂』の意味と考えられる。この場合の『合い』の意味は、『合間』の『合い』に似ていて『間がさらに区切られた短い時間』、『さか(坂)』は正に坂で『難渋して進みがたい過程』即ち『難渋して進みがたい過程の短い時間』の意味だろう。
あいさがづぎ 三々九度の杯 『相杯』の意味と思われるが、辞書に無いので調べると『合杯・合盃・相盃』があった。今では著名な辞書より地方や特定の機関が発する情報に理解できが意味が存在する時代になったとも言える。日本語には、漢語の伝来の前にあった言葉に当て字をした過去の歴史がそうさせているのだろうか。古くは『えーさがづぎ』
あいさかずき:神奈川。
あいさづ 挨拶 古くは『えさづ』
(あいしこ) 【複】あるだけ全部 鹿児島。
あいしばらぐ 【副】しばらく、随分時間が経っている様 『あい』は語調を整えたり強調する接頭語。『あい済みません』と同じ語法。。清音形なら古い標準語。古くは『えしばらぐ』『いしばらぐ』
あいしばらぐでぃした:しばらくでした。
(あいじゃ) 【複】濡れちゃった 沖縄。
あいしょけん
あいしょーけん
あいしょんけん
じゃんけん 最初は『あんしょー、あんしょー』で始めるので『やりあんしょう・やりやんしょう』(遣りましょう)が詰まったか、『あいこでしょ』がつまって『あんしょ・あいしょ』となったか、『相しよう:一緒にしよう』が訛りりそれに『拳』がついたとも考えられる。これはルーツの『両拳』にも通じる。
あいしょっち
あいしょっしょ
あいこれしょ
あいこっしょ
じゃんけんの『あいこでしょ』 『あいこっしょ』は今の横浜市内でも使われている。3回目からは2回目の末尾がそのまま繰り返されるのは今も昔も変わらない。『あいしょっち、あいしょっしょ』は『相しよう:一緒にしよう』を思わせる。
あいしらー
あいしらう
【動】あしらう 『あしらう』の古形は『あいしらう・あひしらう・あえしらう・あへしらう』。現代語の意味は一方的なな意味があるが、古い言葉には相互の意味があった。
『しらう』は現代語には無く、『しらふ』『しろふ』で互いにしあう意味の古語である。
茨城では古くは『えしらー』『いしらー』と言った。
古語の『あへしらい』は応答・もてなし・供応の意味である。『あへしらふ』がある。『受け答えする、応答する、挨拶する』意味である。
『俚言』には『あひしらいあへしらうと云雅語也。又あしらうとも云。あへの方正なるべし。』とある。
あいしらい:あしらい:山梨。
あいしらう:山梨。
あいしろう:山梨。東日本では『おはよう』等の一部を除いてウ音便は基本的に無いから、これは、関西の影響だろう。
あえしょらう:秋田・山形。
えーしらう:山梨・
えーしろう:山梨。
やーしろー:山梨。
あいすくり アイスクリーム
あいすくりん アイスクリーム 日本初(明治2年)のアイスクリームの商品名。
あいすくりん:神奈川・沖縄。
あいそ 愛想 標準語であるが、標準語世界では消えつつある言い方。
あいそ ウグイ 県内広域。北関東方言。
あいそ:栃木。
あいそつかす 【複】いやになってとりあわないようにする 『愛想を尽かす』。格助詞が省略されているが口語で使われる。名詞形に『愛想尽かし』がある。
あいそもこそもつきた 【慣】愛想が尽きた 『愛想も小想(こそ)も尽き果てる』。
あぃだ!、いだだだだだだだ−−!
あぇだ!、えだだだだだだ−−!
【慣】痛い! 『だ』は『で』寄りまたは『du』に近い発音。
あーいだ
あーいた〜
あいた〜
【代】あんな〜、ああ言うような〜 『ああいった』『ああ言うような』の意味。
あーいたのいー:あんなのが良い。
〜あいだ 〜(日)間
あいだ 間食 やや古い標準語。
あいだ:神奈川。
あいだくぢふさんねー 【複】開いた口が塞がらない 清音なら江戸言葉。
あいだっこ あいさっこ:群馬。
あーいだに
あーいたに
【複】あんなに あーいたに:静岡。
〜あいだめ 〜(日)毎
あいだめでみらんね
あいだめでぁみでらんね
【動】見ていられない 『開けた目では見られない』。
あいためじゃみられね:群馬。
あーいだよに
あーいたよに
あーいだよーに
あーいたよーに
【複】ああいう様に
あいだら あれなら
(あいだれる) 【複】疲れる 静岡。『あい』は『飽く』の連用形。
あいちか 近いうち 『あい』は『間・相』で『間近・相』の意味。
あーいぢ モミジイチゴ 久慈郡。
あいちょっち あいこでしょ じゃんけんの掛け声。
あいづ 【代】@あいつ、Aあれ(物を指す) 古くは『えづ』と発音し、それが『やづ』に変化した。もともとは『彼奴(あやつ)』だったとされる。その意味でも茨城弁の古い発音が『えづ』だったことには意味がある。
あやつ→・あいつ→やづ・やつ・やーづ・やづ
その他の代名詞として、『そいづ・こいづ・どいづ』等と言う。
@・あいづ:宮城。
あえづ:山形。
A茨城では物を指して言う事がある。
あいっこ 相子、お相子 あいっこ:神奈川・静岡。
あいった
あいったなー
【感】参った どちらかというと独り言に近い言い方。さらに詰まって『ったなー』と言うこともある。
あいづら
あいーづら
あいづづら
@あいつら、Aあいつの面 @・あらうど:青森。『彼等人』。
あいっ 実の入っていない稲・麦等の穂 古くは『えーっ。『あい』は『間または合』であり熟しきっていない意味。
あいっ ひつじばえ 結城市。『相穂』の意味。
あいづぼっち
あいづっち
たかがあいつ、あいつ独りで 辞書には無いが『〜ぽち・〜ぽっち』の拡大利用と思われる。
あいづら
あいづらら
あいつら 古くは『えづら』と発音し、それが『やづら』に変化した。
あいづら:宮城。
あいで 敢えて
あいで
あえで
相手
あぃで!、あいででででででで−−!
あぇで!、えででででででで−−!
【慣】痛い!
あいでー
あいてー
【複】逢いたい あいてー:東京。
あいで
あいーで
あいでゆ
あいでゆく
【動】歩いて行く 『ぐ』は濁音・鼻濁音。もともとは『ありーていく』。
あんでく:新潟。
あいでーで
ありでいで
あれでーで
【複】あれでいて
あいでどる 【動】相手取る
あいでは 【複】あれでは あいでは:静岡。
あいと 【感】駄菓子屋等で買い物をするときの呼びかけ 東茨城郡・猿島郡・新治郡の方言。
現代語にそのまま約せば、『はいと』
あいどー
あいとー
餅つきの相方 『相人』の意味。
(あいどし) 同い年 神奈川。『相年』。
あいどずる 【動】相手取る 『相頭(あいとう)』+『取る』?。
△あいどり @物事を一緒にすることまたはその人、A餅つきのきの相取り役 『相取り』。
A・あえどり:山形。
あいな @アイナメ、Aエゾアイナメ この言葉は標準語の方が茨城方言的である。−
あいな
あーいな
【複】あんな、あのような、ああいう風な 古い言葉に『其のいな』(そのような)がある。このことから『あのいな』もあったと考えられる。関西には『あないな』が残る。
この言葉は格助詞の無い形と考えられる。
あいな:宮城。
あえな:秋田・山形。
あーいなごってはいがんめ:あのような事では良く無いでしょう。
あいなぐ 【副】@間もなく、A敢え無く、仕方が無く、あっけなく @の意味の『あい』は『間』の意味。
Aは古い標準語の『あいなし』の連用形『あいなく』。現代では『敢え無く』という言い方に変わっているので茨城訛は標準語の古形を残していることになる。
あいなっとー 塩を多めにした納豆で保存期間が長いもの 『あい』は『相』で『一つの事柄に共にかかわる意をあらわす。』ことが転じて長期間保存できる納豆の意味か、あるいは『(塩)合え納豆』。真壁郡にしかない納豆の製法。
あいに 【副】合間に、時々 『間(あい)に』。
あえに:宮城。
あいに
あーいに
【複】あんなに、あのように、ああいう風に ★『土』:唯(たゞ)たあ思(おも)へねえよ、勘次(かんじ)さんもああいに仕(し)ねえでもよかんべと思(おも)ふのになあ。
あいにあー
あいにあう
【複】ぴったりと合う、良く似合う 一般の辞書には無いが『俚言』にはあるので近世語と見られる。
あいにぐ 【副】あいにく 古くは『えにぐ』
あいにぐと
あいにぐに
【副】あいにく 清音なら準標準語と言える。最近の海外映画の訛表現として使われている。このあたりになると標準語と訛の境界は曖昧になる。
あいの
あーいの
【複】ああいうもの、ああいう人 あいのいー:あんなのが良い。
★『土』:ああえの何(なん)かの生(うま)れ変わりっちんでも有(あ)んべな、可怖(おっかね)えようだよ本当にな
あいのおごさま オオイヌタデ 県西部。
あいのま 間、あいま 辞書には無い。重複語。
あいのご 間いの子、混血児 濁音化。清音なら死語となった標準語。放送禁止用語。
あいば 【複】行こう 那珂郡の方言。『あいぶ』の勧誘形。
あいばさみ 二人で一つの物を箸(ハシ)ではさみ合うこと。また、箸から箸に直接受けわたすこと。火葬の骨上げにそうするので、平常は忌む。(広辞苑) 『相挟み』。
あいばさみ:山梨。
あいばせあーした
あいばせた
あいばせやんした
あいばせやした
あいばせやーした
あいばせやんした
ばせやした
【複】ご苦労様でした 『歩かせてしまいお疲れ様でした』『いっしょに急いで行って(来て)いただいて有難うございました』の意味と思われる。
あいばせて:ご苦労様でした:山梨。
あいばせまして:よくいらっしゃいました:山梨。
えーばした:来て貰った:神奈川。『歩かせた』。
おえーばせしました:神奈川。
おえーばせました:神奈川。
おやばせました:お呼び立てしてすみませんでした:神奈川。
およばせました:お呼び立てしてすみませんでした:神奈川。
あいばっしょ
あいばっせ
あいばんしょ
あいばんせ
【複】歩きましょう、歩きなさい、行きましょう、行きなさい あいばせ:福島。
あいばんしょ:福島。
あえばっせー:静岡。
えーばっしぇ:山梨。
(あいばり) 頭にできる腫れ物 佐渡島。
『痘瘡』のことか。
あいびあー
あいびあう
あいびやー
あいびやう
【動】歩みあう、誘い合う
あいびあい
あいびやい
歩み寄ること 古くは『えー』。『歩み合い』の意味。
あいびあい:静岡。
あいびやい:静岡。
あいべや:神奈川。
えーびえー:神奈川。
あいびあい 船の舫い(もやい) 那珂湊市の方言。『歩みあう』意味。
あいびなんしょ 【慣】一緒に行きましょう 直訳すれば『お歩きなさい』の意味。どうやら、茨城弁の『あいぶ』には一緒に歩く意味が込められているようで、『相行く』意味に近いと言える。
あいぶ
あいーぶ
【動】歩む、歩く 『歩ぶ』(あよぶ・あゆぶ)の流れの『あいぶ』。辞書には東北南部・北関東・中部地方で今でも使われる言葉とある。さらに訛って『やあぶ』という地域もある。
あいぶ:岩手・宮城・福島・群馬・静岡・長野・静岡・岐阜・和歌山。
あいぶ:幼児語:秋田。
あいべ:歩け:神奈川。
あえぶ:山形。
あにゅむ:鹿児島。
あゆぶ:青森・静岡。
あよぶ:静岡。
えーぶ:宮城。
えんで:行って:山梨。
あいふ
あーいーふ
あーいーふー
【複】ああいうふう(に、な) あいふではだいだ:あんなふうでは駄目だ。
あいふた
あーいーふた
あーいーふーた
あいふな
あーいーふな
あーいーふーな
【複】ああいう風な
あいふに
あーいーふに
あーいーふーに
【複】ああいう風に
□△あいべ @【慣】行きましょう、歩きましょう、A【複】歩け 『歩ぶ』(あよぶ・あゆぶ)の流れの『あいぶ』の勧誘形・命令形。
@『歩むべし』。
あいばえ:行こう:宮城。
あいべ:岩手・福島・新潟。
あいべ:付いて来い:新潟。
あばいん:宮城。
あべ:宮城。
あんべ:歩け・行こう:岩手・宮城。
えーべ:宮城。
A『歩め』の意味。
あいべ:神奈川・静岡・山梨・長野・三重。
あいへん あいづち 新治郡の方言。
『相返答(あいへんどう)』。辞書には『相手の話に調子を合せること。相づち。返事。あへんど。あへんどう。』とある。『相づちを打つ』は、江戸時代には『相返答(あいへんどう)を打つ』と言った。新治郡の方言。
あいへど:岩手。
あへんど:青森・岩手・宮城。
えへんど:挨拶:青森。
あいへんとる
あいへんをとる
【動】話をする、対話する、相手の言うことを聞きながら話をする あいへんとーうつ:抗議する:香川。
あいほーちー 女物の高下駄の一種 結城郡の方言。
あいほまれ 女物の駒下駄のうち歯が中程度の程度の高さのもの 結城郡の方言。
あいま 合間 あいま:山梨。
あませーなしに:一日中:神奈川。『合間さえ無しに』。
あいま 普段着 『合間着』の意味。
あいま 間食 山梨。『合間食い』。辞書には無いが標準語と思われる。
あいま:静岡。
あいまごま
あいまこま
合間 『合間』を強調した『合間小間』の意味。
あいまこーま:神奈川。
あいまこいま:神奈川。
あいまぢ 過ち あいまち:山梨・静岡。
あいまみる 【動】@あいまみえる、会う、A時間を見計らう
あいまる 女物の駒下駄の一種。丸い形をしている。 結城郡の方言。
あいみざぎ かすみがうら市(旧新治郡出島村)の地名 『歩崎』。
あいみたがい (相身互身の略) 同じ境遇や身分の者は互いに同情し合い助け合うべきであるということ。 『相身互い』。
あいみぢ 小道、近道 『あい』は『合い・間』の意味か。
あいむ 【動】歩く、歩む あいめ:歩け:新潟。
あいむそーりひそーりないかくそーりひそーり
あいむそーりひそーりそーりだいじんひそーり
【慣】 当時流行った言葉遊び。
あいもねー 【形】仕方が無い、あっけない 古い標準語の『あひなし・あいなし』の別形に近い。『敢え無い』。
あいもの 野菜・魚介類などを味噌・胡麻(ゴマ)・酢・辛子(カラシ)などであえて調理したもの。 『和え物・韲え物』。
『俚言』によれば、江戸時代には『あひもの』と言っていた。
あいものし:佐渡島:干し塩魚を製造販売する者:佐渡島。
あいもみ 実の入っていない籾、しいな 古くは『えーもみ』。『あい』は『間または合』であり熟しきっていない意味。
◎あいや 藍屋、紺屋 『藍屋』。広辞苑には『(コウヤとも) 染物屋。元来は藍染(アイゾメ)業者をいったが、のち染物を業とするものの総称。中世は「紺掻(コンカキ)」といった。』とある。
あいや
あいやー
あいやいやー
あいやまー
【感】あら、ありゃ、おやまあ、あらまあ 面白いのは中国語にも同じ言い方がある。日本語のほぼ半分が中国語に由来するという説もあるほどだから、当たり前なのかもしれない。現代語では『おや』が最も近い。
感嘆詞としての『あや』は、『義経記』に出てくる。
広辞苑には『あいや:相手を呼びとめる時の語。これこれ。ああ、もし。』とある。
あいや:秋田・新潟。
あいやー:宮城。
あいやあいや:鹿児島。
あいえな:沖縄。
あや:青森。
あんやいやい:八丈島。
あいよ 【慣】はいよ、どうぞ あいよ:埼玉。
あいよ
あーいーよ
あーいーよー
【複】ああいう様(に、な) あいよではこまっちゃーど:ああいう様では困っちゃうな。
あいよた
あーいよた
あいよな
あーいよーな
【複】あんな、ああいう様な
あいよに
あーいよに
あーいよーに
【複】あんなに、ああいう様に
◎あいら 【代】あの人たち。かれら。あいつら。 『彼等』。広辞苑には『(三人称。アレラの転。卑しめていう語) あのものども。あいつら。』とある。『我等』の意味のこともある。
あいどん:鹿児島。
あいら:静岡。
あいらし 【形】愛らしい あいらすい:宮城。
あえらすい:宮城。
あいる 【動】@会える、A和える、B飽きる A・あいる:山梨。
あいろ あっち 現代俗語の『あすこいら』に通ずる言葉。『あいろこいろ』の存在を考えるとこれも古くは使われた言葉ではないかと思われる。
◎あいろこいろ あちこち 『呉竹集』に出てくる。
あいわりー
あいわるい
【形】仲が悪い、間が悪い 当時の高齢者の言葉。明治37年発行の『茨城方言集覧』では、『あやーわるい』とある。
あいんた 【連体】あんな
あいんでぐ
あいんで
【動】歩いて行く 『歩んで(あゆんで)行く』。30年代の言葉。
あいんでいく:静岡。
あいんめっき 亜鉛メッキ
あうい @具合、按配、頃合、A天気 @『間』(あわい)。稲敷郡の方言。
あうぇー:間:神奈川。
あうぇー 【形】青い あうぇー:静岡。
あーぅえ:新潟。緑色の場合もそう言う。
あんおい:静岡。
(あぅえー) 【形動】まれ。たまさか。たまたま。 宮城。
あうとおに かくれんぼ 『足音鬼』の可能性がある。
あえ 実の入っていない籾、しいな 『あいもみ』の短縮化。『あい』は『間または合』であり熟しきっていない意味。
あえー 【形】青い 江戸言葉。俗語。
あえー:群馬・神奈川・静岡。
あおぇー:岐阜。
あえにぐ 【形動】生憎
あえにぐなてんき
あえにぐのてんき
【複】生憎の天気 あえにぐなてんき:千葉。
あえぐ
あえぶ
【動】歩む、歩く 『集覧:行』。『あいぶ』の転。
あえぶ:秋田。
あえべ:おいで:福島。
えぶ:群馬。
あえばっしょ 【複】お歩きなされ 『集覧:久』。『集覧』では『歩きなさい』と解説されている。『あいぶ』の勧誘形。
一見命令形に聞こえるが、現代語の『なさい』はかつては尊敬語の『なされ』であったから、明治の茨城方言の解説を現代に訳せば、『歩かれてはどうです』の意味と思われる。
あえべ 【複】歩け 『集覧:久・行』。『あいぶ』の命令形。
(あえらすくねー) 【形】愛らしくない 宮城。
(あえる) 【複】 @熟して落ちる:兵庫・鳥取・徳島・山口・九州。
A汗などがしたたり落ちる。徳島・鹿児島。
B膿などが流れ出る:島根。
Cもてあそぶ:兵庫・鳥取。
D野菜などをもんで柔らかくする:高知。
E馬鹿:鳥取。
あお 仰向け あお:群馬。
あお 緑色 古くは、目立たぬ色を表す語で、灰色をも含めていったという。
あおいろ:新潟。
(あお) 籾がらを打ち落とす道具。大豆・ごまなどに使う。 静岡。『打杵』のことか。
(あおいたこんぶ) 昆布を適当の長さに切り、これを胆礬(タンバン)・緑礬(リヨクバン)・青竹などの溶液で青く色をつけ乾燥したもの。多く料理に用いる。 『青板昆布』。
あおいた:静岡。
あおいる アマガエル
あおいるのたま アワフキの泡
あお ーぶぢ』(メンコ遊び)の戦法の一つ。手の平や半纏をうまく使って風を起こし相手をひっくり返す。
あお うちわ 扇(おうぎ)はもともと『扇ぐ』の連用形に由来し古くは『あふぎ』と言った。
あおぎ
あおきっ
あおぎば
おきば
あおぎっ
あおきっ
アオキ、アオキの葉
あおくび マガモの雄 最近も耳にした言葉。
あお:マガモ:栃木。
あお 【動】扇ぐ、仰ぐ 当時の高齢者言葉。
あおりげーる
あおるげーる
【動】仰向けになる 当時の高齢者言葉。
あおいどー イヌビユ
あお
あおけづ
蒙古斑 類似の該当言葉は無いが意味は通じる。
あおーる
あおーろ
@トノサマガエル、Aアマガエル @『青蛙』。
あおーろ:東京多摩。
(あおめ・はたきめ) 屑米 神奈川。
◎あおしとど アオジ 筑波郡。
広辞苑に『蒿雀:スズメ目ホオジロ科の小鳥。背は緑褐色、腹は黄色に灰褐色の縦斑がある。湿った林にすみ、鳴き声はホオジロに似る。青鵐(アオシトド)。』とある。
あおじれー 【形】青白い 江戸言葉。
あおっじれー:群馬。
あおすじはる 【動】激しく怒る 『青筋を立てる』。
(青空映画館) 部落(町)には映画館が無かったので、子供会等の主催で毎年夏に青空映画館が開かれた。ウルトラマンを始めとして、モスラやゴジラが上演された。上演後は天の川を仰ぎながら家に帰った。
あおた 青あざ、蒙古斑 青い顔料の『青丹(あおに)』に由来し、湯桶読みしたものが転じたと考えられる。
あおだい アオダイショウ 短縮化。
(あおたいる・あおた 【動】慌てる 静岡。・あおたいでる:慌てている:静岡。
(あおだらくさい) 【形】青臭い 静岡。
あおたれる 【動】顔色が悪くなる、青ざめる 類:『潮垂れる』。
あおたん 青あざ、蒙古斑 青い顔料の『青丹(あおに)』に由来し、湯桶読みしたものと考えられる。
『新方言』には『「打ち身のアザ」;アオタンデキタ;北海道の新方言として若者の間に急速に広がったあと,今は東日本各地,首都圏や大阪にも進出中;東京の中では,西の奥の氷川に多く,続いて下町に多い(荻野他1985,地平);この急速な伝わり方からみると,花札用語「青短」「青丹」からスラングとして普及した可能性も考えられる。』とある。
あおたん:青あざ:群馬。
あおたん:短く切って青く見える坊主頭:神奈川。
あおたん:無い出血したときにできる瘤:神奈川。
あおたんぼーず:短く切って青く見える坊主頭神奈川。
あおたん
あおたんき
あおたんきーり
あおたんやろー
若い人を罵って言う言葉 尻が青いことを、例えたものだろう。
ちなみに広辞苑に『あおたん:染色の名。白地に青く色どったものに家紋や桐竹・鳳凰などの花鳥のぬいをおいたもの。太刀の平緒(ヒラオ)や手綱などに用いる。』とあり。
あおっくび マガモの雄
あおっけづ 蒙古斑 あおぢ:静岡。
あおったれ
あおっとろげ
顔色の悪い様(人)
あおったれる 【動】顔色が悪くなる、青ざめる あおったれだかおしてどーがしたのが:青ざめた顔してどうかしたのかい。
あおっちろい
あおっちれー
【形】青白い 江戸言葉か。
あおっちれー:山梨。
あおっとろげでる 【複】青い顔をしている
あおっとろげる
あおっとげる
【動】顔色が悪くなる、青ざめる
あおっ 子供などが垂らす青みをおびた鼻汁 『青洟・青っ洟』。
当時の子供達は決まって青っ洟を垂らし、袖口で拭くため、袖口がかに』固まっていた。
あおっ ヨシノボリ
あおっぐれ 【形動】顔などが青くむくんだ様 『青脹れ』。
あおっくれ:東京。
あおでーしょ
あおでーしょー
アオダイショウ あおでーしょ:山梨。
あおでーしょー:神奈川。
(あおてーる) 【動】慌てふためく 神奈川。
あおとおに かくれんぼ 『足音鬼』の可能性がある。
あおとろげ 顔色の悪い様(人)
(あおどんぶち) あおあおとした深い淵 静岡。『碧潭』(へきたん)。
あおなじみ
あおにじみ
@痣、青あざ、内出血、A蒙古斑 『なじむ』は『馴染む(なじむ・なれしむ)』の意味とは異なる。
『丹(に)が滲みる』意味ではないかと考えたが『丹』は、別に『土』とも当てられ、広辞苑には『(地・土の意を表す「な」の転)@つち。A赤色の土(赤土で染めた)赤色。』とある。
『なじむ』とは、『滲む』意味で丹(に)即ち『丹(な)が滲む』意味だろう。また、『青なる染み・青の染み』の意味とも取れる。
茨城方言として常に話題になる言葉であるが東京都西部でも使われることから古くは関東で広く使われていたものと見られる。
@茨城の『あおなじみ』は東北の『あおなじ』に場所を示す接尾語『み』がついたとも考えられる。関西の『あおじみ』も同源と考えられる。格助詞の無い形であろう。愛媛の『あおじ』は『青地・青血』の意味か。宮城の『くろち』はそのまま『黒血』だろう。内出血した場合、最初は赤く、次にどす黒くなり、次第に青くなるからである。
群馬・長野・愛知等では『内出血する』を『ちしぬ・ちしんだ』等と言う。内出血した血はそのまま『血が死ぬ』意味も有ろうが、本来血管の中に流れる血が筋肉や皮膚の下に『染む・染みた』意味ではないか。
あおじ:愛媛。『青地・青血』か。
あおじみ:関西。『青染み』か。
あおなじ:東北・福島。『青の地・青の血』か。
あおなじみ:栃木・千葉・東京多摩。
くろち:宮城。『黒血』か。
あおになる
あおんなる
【動】仰向けになる 『あおむぎになる』より古い言葉。
あおになる・あおぬなる:宮城。
あおぬがい
あおぬかい
仰向き 『集覧:猿』。『あおのけ』は古い標準語である。
あおぬぎになる
あおぬげになる
【動】仰向けになる 『あおのけになる』。
あおぬげ
あおぬげー
仰向き 『あおのけ』は古い標準語である。
あおぬる @アオミドロ、A庭等に生えるコケ
あおのがい
あおの
あおのげ
あおのげー
仰向き 『あおのけ』(仰のけ)は古い標準語である。
あおのけ:佐渡島。
あおのけに:仰向きに:東京。
あの:静岡。
あおのぐ 【動】仰向く 『仰のく』。
あーぬく:神奈川・静岡。
あおぬく:神奈川・山梨。
あおのく:山梨。
あーのく:静岡。
あの:静岡。
おなく:鹿児島。
おーぬく:神奈川。
あおのになる
あおのげになる
あおのげる
【動】仰向けになる 『あおのけになる』『仰のける』。
あおのろ @アオミドロ、A庭等に生えるコケ @・あおんどろ:山梨。
あーおば 青葉
あおばし
あおばしぎおん
旧暦6月21日にススキの茎でうどんを食べる風習、青屋祇園、青屋の祇園
◎あおびょーたん 未熟な青い瓢箪。転じて、顔色の青ざめた人をあざけっていう語。あおふくべ。 罵倒語。『青瓢箪』。
あおぞんびょー:山梨。
あおどんびょー:山梨。
あおたんびょー:埼玉。
あおぶぐれ 【形動】顔などが青くむくんだ様 『青脹れ』。
あおぼーず 短く切って青く見える坊主頭 あおたん:神奈川。
あおたんぼーず:神奈川。
あおぼーず:神奈川。
あおぼね ダツ
あおみぢ
あおみち
公図上の河川 青道。明治時代に作成された公図では河川が青で表現されていたためそう呼ばれる。大規模な敷地の場合全て自分の敷地と思っていたところが、実は青道があって、地盤下に埋設配管があったりすることがある。財産権上は公共に権利があるので、建築基準法上は別の敷地となり、隣地斜線が発生することがあるので注意が必要である。
あおむぎ
あおむき
あおむげ
あおむけ
仰向け 『むき』形の方が古い。まれに『ぎ・げ』は鼻濁音のことがある。
動詞の名詞形は五段活用動詞の場合は活用部分がイ段音となるが一部の動詞ではエ段音のことがあり、上一段活用の場合は語幹そのものの場合と活用部分がイ段音となる場合があり、下一段活用の場合は語幹そのものの場合と活用部分がエ段音となる場合がある。
この言葉の場合、『あおむき』は『仰向く』の、『あおむけ』は『仰向ける』の名詞形である。
あおむぎざま
あおむきざま
あおむけざま
仰向けの状態 広辞苑には『俯き様』はあるが『仰向き様』が何故か掲載されていないが清音は標準語と考えてよいと思われる。
あおむぎざまにつっころんだ:転んで仰向けになった。
あおむぎになる
あおむきになる
あおむげになる
あおむけになる
【動】仰向けになる 『むき』形の方が古い。まれに『ぎ・げ』は鼻濁音のことがある。
あおむぐ 【動】上を向く、仰向けになる 『仰向く』。
あおむぐ:山形。
あおもぐ @クロモ、Aフサモ、アオミドロ
◎あおもの @緑色の野菜、A野菜 標準語だが一般には『青物野菜』が使われる。一方、『野菜市場』より『青物市場』がつかわれるのは不思議だ。
青物屋:八百屋。
あおや
あおやぎおん
あおやさま
あおやのぎおん
あおやばし
あおやばしのいわい
あおやばしのうどん
あおやばしのしんじ
あおやまづり
あおやのまづり
旧暦6月21日にススキの茎でうどんを食べる風習、青屋祇園、青屋の祇園 旧6月21日の風習。
『あおやばし』とはその時の箸のことでススキの茎で作ったもの。もともと石岡(土浦の北側)の青屋神社の神事にちなんでいる。土浦では、庭に3本のススキを三脚状に立てその上にうどんを載せる。
あおや オニヤンマ
あおやとんぼ
あおやまとんぼ
ギンヤンマ
あおり 唐箕 もともとは古くからある脱穀の手法の名称(煽り:穀粒などを煽って、その重さによって選別する農具。箕。)がそのまま唐箕の名称に移し変えられたもの。
あおり:神奈川。
あおりあおり 【副】煽りながら、はしゃいでずんずん進む様
あおる 【動】@風の勢いで物を吹きたてる。また、そのように揺れ動かす。Aそそのかす。おだてる。煽動する。 『煽る』。
あおる 【動】打つ。殴る。 広域方言。
あおらかす:静岡。
あおる:静岡・新潟。
あおる:走る:宮城。
あおる
あおろ
仰向け 『あおのけ』の流れ。『げ』は濁音・鼻濁音。
あおんーろ アマガエル
あが @垢、A赤、B船にたまった水、C白米に混じった赤い色の米 東北方言共通。
B『淦(あか)』。『閼伽』にも貴賓または仏前に供える水の意味がある。
あか:静岡。
C赤米。山口では古米を『あか』と言う。
★『土』:今年(ことし)は赤(あか)も夥多(しっかり)だ
あが
□△あか
田、田畑、野良 『集覧:無記載』。辞書掲載語。梵語の『閼伽』はもともと水を指し、それに由来するのではないかと思われる。
あか:茨城・千葉。
あか:田:千葉。
あがたんぼ・あがたんぼー:田:茨城。
あかなわ:シュロ縄:神奈川。
あこーど:茨城・千葉。
(あか) 赤ん坊 神奈川・佐渡島・山梨。
あかみまい:出産見舞い:山梨。
(あがー) 【感】痛い 沖縄。
あが〜 【接頭】名詞や形容詞につけて甚だしい意味 標準語の『赤』は名詞につく。また、茨城方言では、成語形が標準語と異なることがある。
『俚言』には『赤下手・赤嘘・赤無理・赤裸・赤身・赤の他人』が掲載されている。
あかずり:腕白な子供:神奈川。
あかばか:馬鹿者:神奈川。
あかっちゃべくり:おしゃべり:神奈川。
あがよぐふかい:すごく欲深い。
あがあがど 【副】明々と、赤々と 濁音化。
あがあぶ @アカウシアブ、Aウマバエ、Bウシバエ
あがい 【形】赤い あきゃー:静岡。
あっかい:静岡。
あがいおまま
あがいおまんま
小豆をまぜて炊いた飯。 『小豆飯』。
あがいごんこ 赤飯 『ごんこ』は『供御(くご、ぐご)』が訛ったもの。
(あかいしょ) 余所行きの着物 宮城。
あがいも ジャガイモ あかいも:福島。
あがいわし @古くなったイワシ、A錆びた刃物
(赤いプルトニウム) 近年話題の茨城弁を使ったお笑い芸人 第64回『赤いプルトニウムのラジカントロプス2.0』【ネット版】公開!で結城出身の彼女の茨城弁を一時間聞くことができる。これが現代の茨城方言なのだろうと思う。おなじみの『おめぇらい〜づまでも調子乗ってんじゃねぇかんな。』という定番フレーズで笑いをとっている。
尻上がり言葉は現代のコギャルと同じであるが、フランス語の語調に驚くほど似ている。若年世代ではあるが、カ行・タ行音の濁音化や『エ段』が『イ段』に近いことや、サ行音の不思議な発音などを聞きながら思うのは、『もし私が今も茨城に住んでいたらきっと私の娘はこんな茨城弁をしゃべっていたのではないか。』と思う感覚に襲われる。
あがいんば 小型のトンボ 『いんば』は古い言葉の『えんば』が訛ったものである。赤とんぼを指していると考えられる。
あがうそ 真っ赤な嘘 『赤嘘』。
あがおに オオクワガタ
あがいる
あがえる
アカガエル
あがか
あが
あが
ヤマカガシ
あがかす
あがっかす
@垢、A滓(かす) 多くは垢に代表されるような形を成さずなかなか取り除けないものを指す。
あが 略して『あが』とも言う。
あが:千葉。
あが:千葉。
あがかべ @粘土質の畑、A炭焼き窯に使う粘土
あか @赤柄小麦、A赤い殻の鶏卵、赤殻 標準語。
あが 製材後の木 『赤木』。
(あき) @動き、A具合、調子、勝手 東京。
広辞苑には『あがき【足掻き】:@馬などが前足で地面を掻いて進むこと。A手足を動かしてじたばたすること。手足の動き。B悪い状態から脱け出そうとして、どうにもならないのにいろいろやってみること。C(子どもが)あばれること。わるさ。Dあくせくすること。特に、金の工面に気をもむこと。』とある。
@は概ね標準語、Aは東京方言と見られる。
あが
あがきり
あが
あかぎれ 広辞苑に『あかぎれ【皹・皸】:寒さに冒されて手足の皮膚が荒れ、裂けて痛むもの。あかがり。皹裂(キレツ)。皴(シユン)。』とある。
あかぎれは農家の主婦の代名詞だったが今は少なくなったと聞く。ひびだらけの手はひび割れた煎餅のようだった。『皹(あかがり)』は元『あかかがり』
あが:宮城。
あがりぼっくり
あがりぼっくりさん
シュンラン
【動】もがく、あせる 『足掻く』。
あがーる
あがーろ
アカガエル
あがけんざ アキアカネ 『けんざ』は古い東国方言の『げんざ』に由来するもの。
あがごはん 赤飯
あがさま いかさま、いんちき
あがさる 【動】@明かされる、聞かされる、A暴露される @『明かさる』。
あかさーる:静岡。
あくさる:静岡。
あくせる:教える:静岡。
あがし
あかし
【古】@明かり、蝋燭やランプなどの燈火、光、A理由、証拠 @『灯(あかし)』。
あがし:福島。
あかし:宮城・神奈川・佐渡島。
あかし:ロウソク:東北・長野。
あかし:松明:山梨・静岡。
あかし:薪:静岡。
あかし:細い薪:近畿。
あがすこ:青森。
A証し。
あかじく アブラゼミ 『あかじく』は、もともとは赤い血を出すものの意味で『赤血こ』ではないかと考えられる。
あかじり:栃木。
(あかじなー) 十円玉 沖縄。
あがじみる 【動】垢染みる垢がついてよごれる、田舎臭い 濁音化。『垢染みる』。清音形は死語。
ほーたふぐではあがじみでんだねーのげー:そんな服では田舎臭いんじゃないの。
あがす
あかす
【動】@(寝ないで)夜明けまでの時をすごす。A明るくする。B物事を明らかにする。特に、秘密を打ち明ける。言いつける。C(「証す」と書く) 無実・潔白などを証拠だてる。D穴を開ける、E隙間を作る、場所をあける 口語ではあまり使われなくなっている言葉。古語の流れ。
A・あかす:火をともす・明るくする:岩手。
B・あかす:神奈川・山梨。
あかす:教える:静岡。
あかせる・あかせーる:神奈川。辞書には無い。擬似他動詞形と見られる。
あかせる・あかせーる:教える:静岡。擬似他動詞形と見られる。
D茨城特有か。『開く』に対する擬似他動詞形か。
E茨城特有か。『開く』に対する擬似他動詞形か。
(あかず) 麦飯 静岡。『飽かず:(飽クの未然形に打消の助動詞ズのついたもの)不満足で。不十分で。』に例えたか。
(あかすかべい) 【感】あかんべい 広辞苑に『(アカメ(赤目)の訛アカンベイをさらに言いかえた語) 「あかんべ」に同じ。』とある。ただしこれは上方由来の言葉である。
膝栗毛二『(女)すんならさあおとまり。(弥次)あかすかべい。』
浮世風呂『其時にやぁ、あかすかべぇだらう。』。
あかすか:岐阜・愛知・近畿。『飽く』の反語。
(あすけ) 目立ちたがり、でしゃばり 山形。人名化した『我が助』の意味か。
(あかずり) 腕白な子供 神奈川。『あか』は『まったくの・すっかり・あきらかな』の意味。『ずり』は『ずるい』意味か。
あがせあがまじひっちゃぶれ 子供の囃し言葉で、告げ口を言った子に向かって言う
(あかぞうゆうした) 【感】ざま見ろ 沖縄。
あがた
あがたん
擦りむいたり赤く剥けた皮膚、赤痣
あがた 低湿地の田 『あが、あか』は『田、田畑、野良』を指すので特に田を指しているものと思われる。
あがたがり 垢がついて汚い様子、汚い人 『垢集り』の意味。
あがたがり:青森・宮城。
あがたがる 【動】垢がつく あがたがる:宮城。
あがだな 盆の時墓に供え物を載せる棚 『閼伽棚』。
あがたにん 全くの他人 格助詞は漢文には少なく、この場合の言い方は古い言い方と考えられる。
あかたんば
あかたん
赤とんぼ 『集覧:久』。『赤とんば』の意味。『とんば』はトンボの古形。
あがたんぼ 『あが、あか』は『田、田畑、野良』を指すので特に田を指しているものと思われる。
あがぢ ザリガニ 『まっかちん』。ウンカを指す地域もあるらしい。
あがちぐ
あがちく
あかちく
真っ赤な嘘
あがちぢ
あがちち
あがっちぢ
あがつぢ
あがっつぢ
赤土、関東ローム層のこと 有機物は少ないが、芋類にはうってつけの土壌とされる。『ち』の発音は、『ち』と『つ』の中間のような音。
あかちち:八丈島。
あがっちぢ:千葉。
あがちん @傷薬の商品名、Aきちんと皮が剥けた陰茎 @『アカチン』。当時の傷薬の代表。いわゆるマーキュロ、どんな小さな傷でもこれを塗ると随分大げさな傷になった。調べたらまだ生産されているらしい。
(あがっ) 【感】痛っ 沖縄。
あがつぎ
あがつき
@明け方、Aある事柄が実現したその時 やや使われなくなった標準語の『暁』の濁音化。
あかつき:佐渡・新潟・八丈島・種子島・沖縄。
あかつち:沖縄。
あかとき:壱岐。
けさあかとき:島根。
すとみて:沖縄。古語『つとめて』の転。
とんめて・とんめてい:八丈島。古語『つとめて』の転。
あがっけ
あかっけ
赤毛
あがっこ 赤ん坊 『赤子』が転じたもの。
あか:新潟。
あかこ:宮城。
あがっこ:福島。
あかっこ:埼玉・群馬・神奈川。
あかっ:神奈川。
あかびっき:青森。
あがったがり 【形動】【名】垢がついて汚い様子、汚い人 『垢集り』の意味。
(あかっちゃべくり) おしゃべり 神奈川。『あか』は『まったくの・すっかり・あきらかな』の意味。
(あかっつらーひっる) 【複】恥じて興奮して顔を赤らめて反抗する 山梨。
『あかっつら』はそのまま『赤面』だろうから『赤面を引っ張る』意味。
っておぐんなさい
っておくんなさい
っておぐんなせー
っておくんなせー
【複】(上に・座敷に)上がってくださいよ、召し上がりください 丁寧語。
ってい
って
【複】(上に)上がっていきなさいよ、上がっていきな、召し上がりください 『げ』は濁音・鼻濁音。
ってくらっせ
ってくらっしょ
ってくれらっせ
ってくれらっしょ
【複】(上に)上がっていきなさいよ、召し上がりください てけらっしゃえ:秋田・山形。
ってったらいーべな
ってったらいがっ
ってったらがっ
【複】(家に)上がっていったら良いだろう
っと
っとご
っとこ
上がり框、上がり端 『と』は、『処・門・戸』で『上がる処』の意味。
っと:静岡。
あがっ 赤っ恥
あがっ
あかっ
@【形動】▲嘘つき、嘘、【名】Aイモリ、Bアカハラ 『集覧:久・那・多・稲』。
A『アカハライモリ』ならイモリの別称。
『茨城方言民族語辞典』には、旧勝田市の『あから』がある。
あがっ 【形】赤が混じっている、赤すぎる 『赤っぽい』。
あかっ:赤ん坊:神奈川。
あがっ
あがっ
【形動】全くの下手 『赤っ下手』。標準語では死語になりつつある。
あがっ
あがっ
あかっ
あがっろぐ
あかっろく
あがっーろぐ
あがっーろく
あかっーろく
赤土、関東ローム層、赤土の畑 『集覧:無記載』。
古い標準語の『ほろく』(くずれる、ぼろぼろ砕ける)が転じたものと考えられる。『ぽ』は濁音で発音されることがある。
広辞苑に『あかのっ(火山灰土壌の一。腐植にとぼしく、黄褐色。茨城県を中心に栃木・埼玉などに見られる。腐植の多いものは黒のっぽ。)が掲載されている。ここで『のっぽ』とは何かということになるが、『野襤』の意味と思われ、ろく』『ーろく』は動詞の『ほろく』の残骸と思われる。
★『土』:裏の垣根外(くねそと)さ、土はかたで赤っうろくだが、掃溜(はきだめ)みっしら掘つ込んで置いた處(ところ)だから、其(そ)れが出たと見えんのさ:裏の垣根の外に、土は全くの赤土だが、ゴミをしっかり掘って入れて置いたところだから、それが生えて来たらしいのさ。
あかっ 土が強風によって舞い上がり空を赤く染めること
あがっ 【形】赤が混じっている、赤すぎる 『赤っぽい』。
あかてー アブラゼミ 足に傷が付くと赤い体液が出るので『赤手切り』の意味と思われる。
(あでに) 【複】自分で 静岡。『我が手にて』の意味か。
上がり端 『と』は、『処・門・戸』の意味。
あがとり 船の淦を汲み取るひしゃく。あかくみ。 『淦取り』。濁音化。
あかとり:シーツ・敷布:東北・新潟。
あがどんば
あがとんぼ
@赤とんぼ、アキアカネ、A内弁慶 Aは『いーのめーのあがとんぼ』に由来すると思われる。
県下の赤とんぼの呼称は以下の通り。
なんばんけけづ・なんばんけっけ・なんばんけっけつ・なんばんけつめ・なんばんちんぽ・なんばんとんぼ
あがなじみ
あかなじみ
あがにじみ
赤あざ 打ったあとの一般に痣(あざ)は、最初は赤く次に青くなる。
あがなす
あかなす
トマト 『赤なす』はトマトの異名。
あかなす:福島・栃木・群馬。
たまと:群馬。
あがぬげでる 【複】垢抜けている、都会的だ あがぬげでんなやー:垢抜けてるねえ。
あがぬげる 【動】垢抜ける
あがねー
あがんねー
【複・形】満足しない、良く無い 『飽かない』。関西弁の『あかん』と同源。
あがのっ
あがのっ
赤土、関東ローム層 広辞苑に『あかのっ(火山灰土壌の一。腐植にとぼしく、黄褐色。茨城県を中心に栃木・埼玉などに見られる。腐植の多いものは黒のっぽ。)が掲載されている。
九州では『あかほや』と言う。これは、その地域にしかないものなので、例えばその地域にしかいない動物同様、方言とは言えないものである。
あかのっ:栃木・埼玉・群馬・神奈川。
あかばい ショウジョウバエ 結城郡。
(あかばか) 愚鈍者 神奈川。『あか』は『まったくの・すっかり・あきらかな』の意味。
あがはじ 全くの恥、あかっぱじ あかはじったく:赤恥をかく:神奈川。
あかばっけ
あかばっけー
あかばっち
赤土の崖 『ばっけ』は広辞苑にも掲載されている言葉で、関東から東北にかけての方言とある。『はけ』とも呼ばれる。『はけ』は『捌ける』の名詞形。崩れた場所の意味。現代語の『禿げ』にも通ずる言葉。
『ばっけ』の語源は、アイヌ語の『頭・突端』の意味という説がある。
あかばほす 【動】遊び暮らす 多賀郡。
あかはや ウグイ ユグイの地方名として『鮠(はや)』(東京)がある。
あがはら
□△▽あかはら
あが
▲嘘つき、□△ 『あかはら』は赤痢の別称でもある。
『俚言』には『赤腹をたれる:虚言を云。陸奥の方言なり。』とある。
ここでの『はら』は日本語に『腹黒い』があるように『赤腹』の意味とも考えられるが、ほら貝と同じもので昔中国で使われた『大角(はら)』に由来するという説がある。『法螺』『大角』の関係は立証した人はいないが、両者とも大きな音を出すことから、大言に通じ嘘に転じたと言われる。
あかはら:宮城・茨城。
あがはら
あが
あか
あがばらめ
イモリ 『アカハラ・アカハライモリ』ならイモリの別称。
あがばらめ @アカハラ、Aオイカワの雄、Bウグイ、Cタナゴ Bウグイの別名は『アカハラ』。
あかはらつく
あかはらをつく
【動】嘘をつく あかはらをたれる:岩手。
あかばっけ
あかばっけー
あかばっち
赤土の崩れた崖 『茨城方言民族語辞典』では、採取地を『茨。勝。東、茨・小。稲、阿。行、玉・麻。鹿、野。』としている。『ばっち』は抜けた土地を思わせる。
あかっち・あかまま:神奈川。
あかべ タナゴの雄 あかべ:尻・肛門:石川。
あがべだ
あが
あか
【形動】全くの下手 『赤下手』(あかへた)。
あがべら タナゴの雄
あかぼいぬ
あがぼーいぬ
内弁慶 語源不詳。『あがぼいる』の変化したものか。
あがぼいる
△▽あかぼえる
【動】大声で泣く、泣く 『集覧:無記載』。
『ほえる』は古い標準語で泣く事。現代では『吠え面』が残っている。かすかな記憶に『あきぼえ』『あくぼえ』がある。子供の泣き声の意味だがひょっとすると『飽く吠え・飽き吠え』(飽きて泣くこと)なのかもしれない。あるいは、飽くほど吠える意味かもしれない。
おとぼえる:兵庫・佐賀・鳥取。
あがほぎほぎ 【形動】(熱などで)顔がほてって赤い様、(果物などが)赤みを増しつやつやしている様 『ほぎ』とは『火気』と思われる。
なんだがー、ばーがにかおあがほぎほぎしてんなやー:何だか馬鹿に顔が赤いねえ。
あかぼたる アワフキ アワフキはなぜか『ほたるのす』と呼ばれた。アワフキ自体は赤い小さな昆虫で、蛍とは似ていない。
あがーろぐ
あかーろく
赤土、関東ローム層
あがま
あかま
あがまま
『集覧:那』。幼児語。『まま』『まんま』は茨城方言で水をも意味する。『赤い水』の意味。
『あかまんま』がさらに訛ったもの。
あがます 【動】ごまかす 筑波郡。赤は悪に通じるからだろうか。
あがまっが
あがまっか
あがまっがん
あがまっかん
【形動】真っ赤、まっかっか 『真っ赤』は元『真赤(まあか)』。『真っ赤』は元『真の赤』の意味の『真つ赤』だろう。
『あかまっか』は関東を中心にした広域方言。
最初の『あが』は広辞苑にある『赤:名詞の上につけて、「まったくの」「すっかり」「あきらかな」の意を表す』『名詞の上につけて、「まったくの」「すっかり」「あきらかな」の意を表す語。「―はだか」「―恥」』と考えられる。
あかまっか:神奈川・山梨。
あがまま
あがまんま
▲■あかまんま
@赤飯、Aイヌタデ、B▲血 幼児言葉。『集覧:久』。
@古い標準語では『赤の飯(あかのまんま)』と言う。イヌタデをアカマンマと言うことからこれも古い標準語と考えられる。『飯(まま)』は『まんま』の別称。
あかまま:福島。
あかまんま:福島。
Aイヌタデは別名『アカノマンマ・アカマンマ』と言う。『飯(まま)』は『まんま』の別称。
B 『まま』『まんま』は茨城方言で水をも意味する。『赤い水』の意味。
あかままだいく:下手な大工:福井。言われは不明だが、『下手なので怪我をする大工=下手な大工』の意味だとすれば、茨城方言に通ずる。
★『土』:聞かねえと此(これ)で切ってやんぞ。赤(あか)まんまが出るぞ。おお痛(いて)え。:聞かないとこれで切ってやるぞ。血が出るぞ。おお痛い(ってなるぞ)。
まま わがまま、我儘 『吾が儘』。
すけ:生意気・目立ちたがり屋:山形。
あかまるた ウグイ 東茨城郡。
あがまん ノコギリクワガタの雌 久慈郡。
あがまん 那珂郡・東茨城郡の方言。『万八』を強調したもの。
自分 『吾が身』。
あがみぢ
あかみち
公図上の道路 明治時代に作成された公図では道路が赤で表現されていたためそう呼ばれる。大規模な敷地の場合全て自分の敷地思っていたところが、実は赤道があって、公共の敷地だったりすることがある。
あがみぢ 船の浸水箇所 『淦道』の意味。
あがむぐれ
あかむくれ
あがむぐり
あがむげ
【形動】【名】皮が剥がれて赤くなった様子、赤く腫れ上がった様 『赤剥け』。いかにも痛々しい表現。やや古い標準語でも『剥ける』を『むくれる』と言うがめったに使われない。『あかむくれ』は広域方言。
あがむげ:宮城。
あがむし @ユスリカ類の幼虫、A赤い小さな虫やサナギ、Bイトミミズ @濁音化。『アカムシ』。小型の淡水魚釣りの餌の代表。
むじー
むじゅー
【形動】無我夢中 『が』は濁音・鼻濁音。濁音の場合は強調の意味の『赤』。鼻濁音の場合は『我が夢中』の意味だろう。30年代の言葉。
あがめ 『あがま』がさらに訛ったか『赤み』の意味と考えられる。
あがめ 白い木炭、堅炭 赤には『(一説に、「くろ(暗)」の対で、原義は明の意という。』(広辞苑)の意味がある。備長炭等の硬質の炭は火が熾きると白くなる性質があるので『明るい目・明るい身』の意味ではないか。
あがめ
あがんめー
@【複】満足しまい、良くあるまい、Aあかんべえ @『飽くまい』。
A・あがめ:青森。
あかーめ
あーがめ
あがんめー
あーがんめー
あかべ、あかんべ、あかんべえ もともとの意味である『赤目』の意味が残されている。
あがめ:青森。
あかーめ:宮城。
あかめたい:宮城。
あがめて:宮城。
あがめし 小豆飯 赤飯は『赤の飯(あかのまんま)』とも言うことから、清音形なら和語の可能性がある。
あかはん・あかめし:小豆やササゲで色をつけたもち米のご飯:神奈川。
あがめっ
あがめっ
目の悪い人 罵倒語。『赤目坊』の意味。
(あかめはる) 【動】一生懸命になる 山梨。
あかめり 『赤める』の名詞形。
あがめる 【動】赤くする、赤らめる 濁音化。『赤める』【文】。標準語では通常『赤らめる』と言う。現代では『赤くする』と言う。
あがもぢ モロコシを入れて搗いた餅
あがやんま アキアカネ 『やんま』はトンボの古名の一つ。
あがゆり オニユリ
あがゆわし 錆びた刃物 広辞苑に『赤鰯:赤くさびた鈍刀をあざけっていう語。』とある。
あがよぐ 全くの欲、強欲 清音なら古い標準語と考えられる。
あかよく:山梨。
(あかもの) 赤く彩色した人形・玩具。 『赤物』。広辞苑に『赤色が病魔を退散させるという俗信から、江戸時代疱瘡(ホウソウ)除けのまじないとして流行。』とある。
あかものし:道端で玩具を売っている店:宮城。
あがらさまに 【副】あからさまに あからっさま:群馬。
らっしぇ
らっしゃい
らっしょ
らっせ
らっせよ
【複】@(上に)上がって下さい、Aお食べなさい @・ちょくれあす:静岡。
らっしゃー・あらっしぇぁー:千葉。
らっしゃい:山形。
らんしょ:福島。
A・っしゃえ:秋田・山形。
てけらっしゃえ:秋田・山形。
らっしぇ:山梨。
らんしょ:福島。
あがらむ 【動】@(実等が)熟する、A明るくなる @『赤らむ(あからむ)』(赤くなる)が転じて(実などが)熟する意味に転じ訛ったものと考えられる。
あからむ:静岡。
A『明らむ』の濁音化。
あからん 赤とんぼ 久慈郡。
あがり 照明 濁音化。『明かり』。
あかい:青森・鹿児島。
あがり:青森。
あかる:静岡。
上がり、揚り 広辞苑には『@位置・地位・価値・値段・能力などが高い方に向かうこと。はねあがること。
A風呂などから出ること。B地方から京都へ来ること。C終ること。だめになること。(雨が)やむこと。(魚・虫が)死ぬこと。また、用ずみになること。Dできあがること。また、そのできぐあい。仕上がり。E双六(スゴロク)で、駒が最終の場所へ進むこと。また、その場所。また、トランプなどで勝負がつくこと。F収入。収穫。売上げ。G「上がり花」の略。H(接尾語的に) 前にその職業・身分・状態だった者。』とある。
『上がり・揚り』と言う言葉は随分便利である現代ではABCDなFGは一部全く使わないものがあるほか、別の言葉が使われることが多くなった。
茨城では、他村に引っ越すことやカイコの上族を『あり』と言う。
現代でもまだまだ使われる言葉だが、しばしば漢語に押されて、一部の言葉は使われなくなりつつある。
@古物、A更年期を迎えた女性
あがりー 【形】@明るい、A詳しい 『明るい』。
@・あがり:青森。
あかりー:神奈川。
あかりー:晴天の意味:静岡。
あがりー
あがりいー
【形】解かり易い あがりー:岩手。

甘柿 :千葉・和歌山・徳島。
りかき
階段 『上がり雁木』又は『上がり掛け』の意味と思われる。
りがだ
りっかだ
上がったところ、上がりきったところ そごーいったありっかだにおいどいだどー:そこを行って上がった所において置いたぞ。
まぢ 上り框 濁音化。
りぎおん
りぎょおん
りぎょーん
夏祭り(祇園祭り)の3日目(最終日) 『上り祇園』の意味。『おぐりぎょおん』(おくり祇園)とも言う。

あがりくぢ
りくち
りっくぢ
りっくち
上がり端、上り口、畳に上がる時の式台やあがりがまち 『上がり口』。
ったて:徳島。
りくづ:山形。

りっけだ
上がったところ、上がりきったところ だ、けだ』は『方』あるいは『肩』。
:宮城。
りっと:神奈川。
りだん 階段 広辞苑には『上がり段:高い所に登る階段。』とある。
りだん @土間から上がるところにある台、式台、上がり端、A縁側に上がるために設けた台 英語で言えば『step』。
@・りだん:神奈川。
りっ
りっ
りどころ

りべだ
上がり端、上り口、畳に上がる時の式台やあがりがまち 本来は『上がり端(あがりはな、あがりばな)』。
『端』は『はた』とも『はな』とも、あるいは『へた』読むことから、『上がり端』を『あがりばた』『あがりべた』と言ってもおかしくはないが、辞書には無い。
また、『ありどころ』はそのまま『上がり処』の意味で、神奈川の『ありっと』に通じる。
りっと:家の入り口にある部屋:神奈川。『上がり処』の意味と考えられる。
りっと:山梨。
りっ:福島。
りと:広間:静岡。
りっ
りはな
◆ありばな
上り口、畳に上がる時の式台やあがりがまち 『上がり端(あがりはな、あがりばな)』。
土間から『うい』(客間)に上がる時は、下が下駄箱になっている式台があった。それを『ありっな』と呼んだ。『上がり端』(あがりばた)の意味。半濁音は濁音で発音されることがある。その他『ありどころ・ありぶぢ』という。
当時の民家は、現代のような布基礎やベタ基礎ではなく、束石に直接柱を立てるのが普通だったから、縁側と同じように縁の下に続くような構造になっていると、外気や風が直接入ってしまうため、塞ぐ必要があった。下が下駄箱になっているのは、塞ぎ部の有効利用と、二重構造となる事によって気密性を高める目的があったと考えられる。言い換えれば収納のある『式台』である。
りっ:群馬・神奈川。
りはな:埼玉・神奈川・静岡。
りてんき 天気が回復すること
りぶぢ 上がり端、上り口、畳に上がる時の式台やあがりがまち 鹿島郡。『上がり縁』の意味。
りまぢ
りまち
まち(明神祭り)の最終日(三日目) 『まち』は辞書には『ある定まった日に人々が集まり、忌みごもりして夜を明かすこと。また、その行事。まつり。』とあり、清音なら古い標準語。その場合『待・祭』と当てられる。『上がり祭り』とも『上がり待ち』とも考えられる。『たがはらい』とも言う。
土浦では、11月25日の祭りをまぢ・まち(明神祭り・秋祭り)と呼んだ。土浦ではこの祭礼の意味も解らず、日程は、順番に、よいまぢほんまぢりまぢたがはらいと呼ばれた。
夏祭りの祇園祭とは異なり、この時期は農作業もすっかりおわ終わって実際は冬支度の時期である。
なぜ、この時期に祭りをしなければいけないかという疑問と、『祭り』と『待ち』の関係を検証しなければならない。古代の人々にとっては、『祭り』とは、行事の中で、行政側の『纏める』意味の『まつり』と『頼もしく待つ』ことが、『まつり』となり、『まち』になったのではあるまいか。
りまち:祭りの翌日:千葉。
りやんせ
りやせんか
【慣】@召し上がれ、召し上がりませんか、A上がりなさい、(上に)上がりませんか @・あがいやんせ:召し上がれ:鹿児島。
あがりわりー 【形】解かりにくい
(あかりーん) 【動】別れる 沖縄。古語『散る・分る(あかる):(ひと所から)ちりぢりになる。分散する。』。
あがる
あかる
【動】@(戸などが)開いている、A開く、B開けられる、C空になる 古語『散る・分る(あかる):(ひと所から)ちりぢりになる。分散する。』の流れか。
茨城方言では、動詞の擬似自動詞形のような形をとって、自発・受身・使役形を表現することがある。これもまた、れもまた『開く』の擬似自動詞形と思われる。このような方言は、栃木にもある。
@★あがってねーど:開いていないぞ。
A★あがっか:開きますか。
あがっ:開くだろう。
B・あがる:宮城。
あかる:群馬。
あがんね:開けられない。
C『明く・開く・空く』(@隔て・境・仕切り・ふたなどが除かれた状態になる。Aそこを塞げていたものが無くなり、空白部ができる。Bからになる。また、すきまやへだたりが出来る。)の擬似自動詞形か。
あがる:青森。
あかる:開く:神奈川。
かんづめあがったがや:缶詰開いたかい。
あがる 【動】解る w音の脱落。ただし、古語『散る・分る(あかる):(ひと所から)ちりぢりになる。分散する。』があり、『明る(あかる):明るくなる。』もあるように、古語由来の可能性が高い。
また『明く・開く・空く』(@隔て・境・仕切り・ふたなどが除かれた状態になる。Aそこを塞げていたものが無くなり、空白部ができる。Bからになる。また、すきまやへだたりが出来る。)もある。
【動】@(学校に)上がる、入学する、進級する、A(仕事・農作業などを)終える、雨が止む、 B果実が熟する、C蚕が上族(体が透き通る)する、D座敷に上がる、EDが転じて訪問する 『が』は鼻濁音。『上がる』には他にも沢山の意味があるが、特徴的な意味だけ示した。ほぼ標準語。
大阪では『学校を卒業する』意味で使われるが、その場合は『学校をあがる』で『完了する』意味の延長か。
@・:群馬・山梨・静岡。茨城では『合格する』意味で使う地域がある。
A・:山形・群馬・静岡。
D・:神奈川・静岡。
Eは独特の言い方。もともとは、相手を敬う意味があり転じたと思われる。茨城弁は現代では敬語が存在しない方言の代表とされるが昔は相応に敬語があった。
:岩手・山形。
うぢにもおあんなんしょ:家にも来て下さいよ。
【動】食べる 丁寧語。標準語では『貴人の食事が終る。』意味。『召し上がる』の『上がる』と同じ。
あがるみ @日の当たる場所、明るい場所、A一般の人に見えるところ 『明るみ』。現代語では一般にAの意味でしか使われない。
@・てりみ:千葉。
てるみ:栃木。
あがるむ
あかるむ
【動】@(実等が)熟する、A明るくなる 『あか』には赤い意味と明るい意味がある。
@清音形の『あかるむ』は日本書紀・万葉集にみある古い言葉。『あかるむ』は熟するに押され今やあまり聞かない。
あかるむ:東京都多摩。
あころぶ:福井・京都・和歌山。西国特有のウ音便化。
A『明るむ』の濁音化。
あかるむ:神奈川。
はーあがるんできたな:もう明るくなってきたな。
(あかん) 【複】うまくいかない。だめだ。不可である。いけない。 関西の言葉。
『埒明かぬ』が転じたとされるが『飽かぬ』の意味も考えられる。
あかん:富山・福井・岐阜・愛知・静岡・近畿全域・四国全域。
あかんたれ:弱虫・意気地なし:大阪・兵庫。
あきまへん:いけません:大阪。
あく:できる・うまくいく:和歌山。
あかんいる
あかんーろ

あかんびき
アカガエル 『赤の』が『あかん』に転じているもの。
あかんえる:群馬。
あがんない
あがんねー
【動】@開かない、A解んない @撥音便。=『あがねー』
あがんね:宮城。
Aは曖昧発音のためにそう聞こえると考えられる。
んなせー
んなんしょ
【感】お上がり下さい んなれ:静岡。
んなんしょ:福島・栃木。
あがんべ
あがんべー
あーがんべー
あがんべろりん
あかんべろりん
あかべ、あかんべ、あかんべえ、拒否・軽蔑の気持ちを示す 主として子供がからかいや拒否・軽蔑の気持ちを示す場合の行為。もともとは『赤目』の意味。
あかめたい:まっぴらだ:宮城。
あがんべ:嫌な様:福島。
あかんべがしきんね:納得出来ない・同調出来ない:群馬。
あかんろりん:皮膚がすりむけて赤くなったさま:東京。
えーろ:宮城。
あーがんべろりんだ:嫌だ。
あかんべ @ウリハムシ、Aタナゴの雄、Bセキショウ
あかんべ セキショウ 『めはじき、めはじぎ』
あかんべたな タナゴの雄
あがんぼ 赤ん坊 『おどめ』
こんぼこ:長野。
あぎ
あーぎ
@秋、A開き @・あぎ:青森・千葉。
あぎー 【形】悪い、あくどい 『あぐい』がさらに訛ったもの。
あぎあぎする 【動】飽き飽きする
あぎあじ
あきあじ
鮭(塩鮭) 『集覧:無記載』。
清音形は辞書掲載語。広辞苑には『(アイヌ語アキアチップの転という。「秋味」と当てる) 北海道・東北地方などで、鮭のこと。特に、秋、産卵のため川を遡ってくる鮭。また、塩鮭をもいう。』とある。これは、『大言海』の解釈による。
アイヌ語では別に『アキアンチ』があるが、これは生鮭のことで、『アキアン(秋の)』『チ(魚)』とされる。また『チュクチェプ』(秋魚)は日本語方言の『あきあじ』である。
あきあじ:北海道・東北・茨城・佐渡島・新潟。
(あきこーばい・あきこべー・あきこーべー・あきっこーべ・あきっこーべー) 飽き気味 神奈川。『飽き勾配』の意味。
(あきじゃなんてこった・あきさみよー・あぎじゃびよー) 【感】驚いた、なんて事だ、大変だ 沖縄。
あぎじまい 秋の収穫の終わり
あきしょ
あきしょー
あきしょん
【名】くしゃみ、【擬音】くしゃみをする様 あきしょ福島。
あぎしょー 飽きやすい性質 『厭き性・飽き性』。
あきっしょー:山梨。
あぎしょぐ
あきしょく
秋撒き 『秋植え』の意味。
◎あきず トンボ 『秋津』。トンボの古名の一つ。平安以降は清音の『あきつ』も使われた。県下では北茨城市、東茨城郡に残る。
(あきすえ) 盲・瞽 佐渡島。
『盲(めしい)』と『明き盲』の合成語か。
(あきすとぜねこ) 恋占いのキーワード 主に女の子を中心に行われたもので、名前を数値化して占う遊び。キーワードの各々の文字は『愛してる・嫌い・好き・友達・絶好・熱烈・恋人』を示す。
□あきぜみ アブラゼミ 『秋蝉』。『あかぜみ』とも言う。
あぎだ 【複】飽きた あぎだ:東北・青森・山形。
(あきたんぼー・あきっちょ) 意気地が無い者 神奈川。『芥(あくた)』はゴミ。
(あーきーぢゅー) トンボ 沖縄。
『秋津・蜻蛉(あきず・あきつ)』
あぎっばなし
あぎっなし
あきっなし
開けっ放し 原型の『あがる』からすれば『あがりっなし』のはずだが何故かそうは言わない。半濁音は濁音で発音されることがある。これはれは今では方言扱いされるが、
あぎっ
あぎっぼ
あぎっ
あきっ
あぎんぼ
飽きっぽい人 あきたんぼー:意気地無し:神奈川。
あきっちょ:意気地無し:神奈川。
あぎっ
あぎっ
【形】飽きっぽい あきっ:神奈川。
あきとんぼ @赤とんぼの総称、Aアキアカネ @猿島郡・稲敷郡。
A稲敷郡。
あぎない
あぎね
あぎねー
【名】@商い、商いをする人、【形動】A飽きない、根気強い様 商いの語源は、大きく二つあり、@アキは『飽く』意、Aアキは秋で、農民の間で収穫物・織物などを交換する商業が秋に行われたこと がある。
@行商人を指す地域があるのは、物の売買が行商人を通じて行われることが多かったためと考えられ、方言とも言いがたい。
あきない:行商人:島根。
あぎね:青森。
あきね:青森・鹿児島。
あぎねー:福島。
あきねー:群馬。
あきんど:行商人:島根・大分。
(あきなる) 【動】無くなる、失くす 静岡。
あぎに 馬車等で荷物が無い状態 辞書に無い不思議な言葉。
あぎねーか 行商人が背負う籠
あぎねーみせ 商店、露店、茶店
あぎのかだ
あぎのほー
その年の歳徳神がいる方角 『明きの方・明きの方角』。『恵方』(えほう)。毎年方角が異なる。
あきのかた:群馬・神奈川。
(あきはさん・あきやまさん) 飽きてきたこと 神奈川。秋葉神社にかけた言葉という。
あぎばはら 秋葉原 当時、『あきばはら』と言う人がいた。江戸では明治初期に大火があり、江戸城から鎮火の神様を招いて『秋葉神社』が作られた。それに伴ってその付近を『あきばはら・あきばっぱら』と呼んだと言われる。ところが明治末期上野から鉄道が移された時作られた駅はなぜか『あきはばら』としたとされる。略称が『あきば』であるのはそれに由来する。
あぎび
あきび
あぎ
アケビ アケビの語源は『開け実』とされる。
あくび:山梨。
あぎ
あき
飽きっぽい
あぎまで
あぎまでり
あきまで
あきまでり
あぎまどい
あぎまどめ
秋の収穫、稲の収穫 『まで』は『纏める』意味と考えられる。『民俗』に『あぎまどい・あぎまどめ』が掲載されている。『り』が付くのは、擬似名詞形と思われる。
あきまで:栃木。
あぎまどめ 商店。露店。 『商う』の語源説のひとつに『秋に産物の交易が行われたから』(東雅)がある。この方言は、それを裏付けるものになるかもしれない。
あぎみず 秋の洪水 『秋水』の意味。
あぎめぐら @外見は異常がないようだが視力を失っている人。A文字の読めない人。 『明き盲』。
(あきやせん・あけせん) 【複】うまくいかない。だめだ。不可である。 近畿。『飽きやせぬ』。
あぎらがす
あぎれがす
あぎれらがす
【動】呆れさせる、飽きさせる
足の指のひび割れ 『足切(あぎれ)』。辞書には『足の指の切り傷。(俚言集覧)』とある
【動】飽きる 『ぎ』は濁音・鼻濁音。
あぎる:山形。
あぎっちゃった・あーぎっちゃった:飽きちゃった。茨城弁は終止形だけでは語れない言葉の典型。
(あきる・あく・あくぶ・あぐむ) 【動】 日本語の『あく』とは、英語の『inef』に近いようだ。
原型の『飽く・厭く・倦く』は本来『@たんのうする。十分だと思う。A十分すぎていやになる。いやけがさす。B(動詞連用形について) 十分に…する。いやになるほど…する。』の意味がある。関東では『あきない』とは、『嫌にならない』意味に近い。
あきる:飽きる・厭きる・倦きる。
あぎる:食べ物の旬が過ぎる:高知。
あく:飽く・厭く・倦く:(現代でも西日本で使われるが、共通語では「飽きる」の方が普通)@たんのうする。十分だと思う。A十分すぎていやになる。いやけがさす。B(動詞連用形について) 十分に…する。いやになるほど…する。
あくぶ:欠ぶ:欠伸をする。
:倦む:ある物事をしとげられないで困る。もてあましていや気がさす。意味である。
あかぎれ 標準語の『足切(あぎれ)』は、足の指の切り傷を指す。
あぎれきしる
あぎれきする
あぎれぎる
あぎれきる
【動】呆れかえる、すっかり飽きる 『飽きれ気する』意味。この『ぎる』は、『切る』の意味だろう。
あぎれげる
あぎれける
あぎれげーるあきれけーる
【動】呆れかえる、すっかり飽きる あきれそっかえる:岩手。
あぎれでちーーる
あぎれちーーる
【慣】酷く呆れ返る 『呆れて宙返りをする』意味。
あぎれでちーーりしっちゃーよ:全く呆れちゃうよ。
あぎれもしねー 【慣】酷く呆れて何も言い様が無い 『呆れもしない』意味。近世語の『呆れもせぬ』の流れ。
あぎれる
あきれる
【動】飽きる 標準語の『あきれる』は意外でどうして良いかわからない意味が主。土浦では、『飽きる』『呆れる』両方の意味があった。
良く調べると標準語の『呆れる』と『呆る』は同じ意味で、飽きてしまう意味の『飽きれる』という言葉は無い。『飽きる』の自動詞形的な使い方のようである。
実際は、『飽きる』の古形『飽く・厭く・倦く』(自四)に自発を示す助動詞『れる』がついた擬似的な自発形すなわち擬似自動詞形とも考えられる。
あきれる:栃木。
あぎれる
あきれる
【動】呆れる
あぎんど 商人
@鰓(エラ)、A顎(あご) A顎は古くは『あぎ・あぎと』と言った。釣針の針先の内側に逆向きにつけたとがったかぎは『あぎと、あぐ』と言うことから、これも標準語になり損ねた言葉の一つと考えられる。
:宮城・茨城・栃木・群馬・埼玉・静岡。
あぐ 悪(わる) あく:神奈川。
あぐ 清音形は標準語。
あぐ:山形・福島。
あく:新潟。
あっ:鹿児島。
あぐ
あく
灰汁(あく) 『あく・あぐ』が双方ある北海道・東北・新潟では、青森・岩手・秋田・宮城・山形は、ほぼ全ての地域で『あぐ』、北海道・福島・新潟では、『あく』が優勢である。茨城では北部に『あぐ』だけが集中するが、昭和30年代の土浦の我が家では、『あぐ』を使っていた。
標準語の灰汁(あく)は、今ではそのまま灰汁だが、灰を『あく』と呼ぶ地域はほぼ全国に存在することから、その昔は、灰を『あく』と言っていた可能性が高い。ちなみに灰は古語には無い。
あぐ:北海道・青森・岩手・秋田・宮城・山形・福島・茨城北部・新潟。
あく:北海道・宮城・山形・福島・茨城・千葉(わずかな地域)・栃木北部・群馬(わずかな地域)・埼玉・佐渡・新潟・長野・静岡・奈良・三重・島根・広島・山口・愛媛・高知・宮崎・奄美大島・徳之島。
あくな:石炭の燃え滓を捨てること:北海道。
あご:山形の一部。茨城にあっても不思議は無い。
あこ:静岡。僅かな地域にしか無い。
あぐ 【動】開ける 自動詞形を他動詞として使うことが多い。
くぢあいでみろ:口を開けてみて。
歩幅 :歩幅:岩手・宮城。『足矩』の意味か。
あぐ
あーぐ
【動】歩く あぐ:青森・秋田。
つる・あすつる:一歩一歩歩く:宮城。
あさぐ:青森。
【副】もぐもぐ食べる様 幼児語。
あくらあくら:いつまでもむさぼり食う様。
あむあむ:宮城。
あむあむ:噛む様:新潟。
あぐい 【形】悪い、あくどい 当時の新方言。『悪い』を音読みしたものかまたは『灰汁+い』意味。
あぐいん 思うままにならない男女の間柄。また、離れようとしても離れにくい関係。くされ縁。 『悪縁』。
(あくかー・あくかえ・あくかいよ) 【複】『飽く』の反語 近畿。=『あかすか』
あぐじゃれ 品のない駄洒落
あくしょ
あくしょん
くしゃみ 『集覧:多』。
あくしょ:山形・宮城。
あくすい 汚水 『悪水』。標準語。
あくすい
あくせ
排水溝 『悪水』が転じたもの。
あぐせ
あくせ
あくせー
たちのわるいこと、悪いくせ、乱暴 『悪性』(あくしょう)または『悪才』か。
あくさい:陰口:新潟・徳島。
あくさい:あきれること・持て余す事:埼玉・長野。
あくさい:迷惑な様・困る様・嫌な様:長野・三重。
あくさい:嫌な天気の様:長野。
あくさい:馬鹿らしい:奈良。
あくさいうつ:嫌になる:愛媛・福岡・長崎。
あくさいつく:困る:愛媛。
あくさいもの:邪魔者:神奈川。
あくしー:鬱陶しい:島根。
あくしゃ・あくしゃー:迷惑な様・困る様:長崎・熊本。
あくせー:嫌な様・嫌な天気の様:長野。
顎は古くは『あぎと(顎門・顎・腮・鰓』と言い、それが転じたものと思われる。
あぐた @芥、ごみ、A沢山(のもの) 濁音化。『あくた』『くた』。
あくたまい:くず米:京都。
そーたあぐたものあづべでどーすんだ:そんなゴミみたいなもの集めてどうするんだい。
あぐだい
あぐたい
悪態 あくだい:福島。
あぐだいつぐ
あくたいつく
【動】悪態をつく、悪口を言う 正しくは『悪態(あくたい)をつく』。
あくさい:陰口:新潟。
あくさい:あきれること:埼玉。
あくさいつく:困る:愛媛。
◎あくたもくぞ
あぐたもぐだ
◎あくたもくた
あぐもぐ
@何の役にも立たないもの、がらくた。A欠点、B他人の欠点を拾って悪口を言うこと 『あくたもくず・あくぞもくぞ・あくたいもくたい・あくたもくた・あくたもくぞ』。『芥(あくた)』はゴミ。また、江戸時代には腹の虫・寄生虫のこと、『もくた』は『藻屑』(もくず)が転じたものとされる。
@・あきたんぼー・あきっちょ:意気地が無い者:神奈川。
あぐだもぐだ:宮城。
A・あくたもくた:悪口・雑言:神奈川。
あくてーもくてー:神奈川。
B・あくさいもくさい:ぞんざいにする様:神奈川。
あくさいもん:邪魔者:神奈川。『悪才者』か。
あぐだもぐだゆう
あくたもくたゆう
あぐもぐゆう
【複】なんだかんだと(悪口を)言う あくたもくた:種々様々:静岡。
あぐだれ
あぐたれ
あくだれ
あくたれ
あぐったれ
@悪口、悪態、A乱暴者 『悪たれ』。
@・あくたれ:福島・群馬。
A・あくたま:ガキ大将:山梨。
あぐだれ
あぐたれ
悪口、悪態 『悪たれ口』。
あぐだれ
あぐたれ
あくだれ
あくたれ
あぐったれ
悪口、悪態 『悪たれ言』の意味。
あくたれ:神奈川。
あぐだれもん
あぐたれもん
乱暴者、にくまれ口をきく者 『悪たれ者』。
あくともん:鹿児島。
あぐだれる
あぐたれる
【動】わざといたずらをする。悪たれ口をきく。駄々をこねて言うことをきかない。 『悪たれる』。
あくたれる:宮城。
あくたれる:暴れる:静岡。
あぐづ
▲□あくつ
低い土地のこと、川沿いの低地や沼 『圷(あくつ)』。『集覧:稲』。
現在では、関東から福島にかけて使われる。様々に当て字され地名に多い。古くは『悪津』と当てられたという。
あくつだ
あくつたんぼ
川沿いの低湿地の田
あぐっち 悪い血
あぐでー
あくでー
【形】@味が濃い、(服などが)どぎつい、Aたちが悪い。どぎつい。ひどい。 @『あぐどい』がさらに訛ったもの。
A『あくどい』。
あくでー:神奈川・静岡。
あぐでー
あくでー
あくてー
悪態 清音形は江戸言葉。
あぐだえ:山形。
あぐで:青森。
あくでー:悪い行為:東京多摩
あくてー:埼玉・東京多摩・神奈川・山梨。
あぐでーつぎ
あぐでーつき
あくてーつき
悪態つき、口の悪い人 清音形は江戸言葉。
あぐでーつぐ
あくでーつく
あくてーつく
あくてーはぐ
あくでーふく
【動】悪態をつく、悪口を言う 清音形は江戸言葉。
(あくと) かかと 東北・群馬・神奈川・新潟・中部全域。
現代語の『踵』かかとは、広辞苑には『足の裏の後部。くびす。きびす。また、靴などのその部分。』とある。
『かと』なら使われなくなった標準語。『かど』は鹿島郡・稲敷郡と千葉北部の狭い地域及び東北の限られた地域に、『かがど』は県全域及び福島南部・千葉北部に分布するので東関東方言と言える。『かがと』は県北部及び福島南部・栃木東部の限られた地域及び新潟の広域・その他全国に散在するための流れの言葉と考えられる。江戸時代には『きびす・くびす』といい、『俚言』では『かかと』は関東方言としている。
『聞書』では『かかど』が掲載されている。
『広辞苑』に『あくと:(アグトとも。関東・東北地方で) かかと。くびす。あぐつ。』とある。『あかと(足掻所)』が転じたと考えられる。富山では土踏まずを『あくとうら』と言う。
古語の『距(あごえ)』は、鶏などの蹴爪を言う。
以下の『あ』は、明らかに足の古語『あ』に何らかの意味が加えられていると考えられる。
あくい:愛知。
あくいと:長野・岐阜・愛知。
:静岡。
あくつ:埼玉・群馬・長野・静岡・愛知。
:青森・岩手・秋田・宮城・山形・福島・新潟。
:東北・岩手・秋田・福島・関東・静岡。
あくど:青森・秋田・福島・神奈川。
あくと:群馬・佐渡島・新潟。
あくとうら:土踏まず:富山。
あこ:静岡。
あこい:山梨。
あこつ:山梨・静岡。
:静岡。
あこび:山梨。
あしのとも:三重・奈良・和歌山。『とも』とは船尾を言う言葉。動物の後ろ足は『ともあし』と言う。
あじゃら:宮城。
あぞ:大分。
あっくい:長野・山梨・静岡・愛知。
あっくえ:長野。
あっけ:長野。
あっけー:八丈島。
あっこい:長野・愛知。
あったい:中部地方。
あど:大分・長崎・宮崎・熊本・沖縄。
あときびす:奈良。
あどじい:鹿児島。
あどど:鹿児島。
あぐと
あくと
@低い土地のこと、川沿いの低地や沼、A石の多い土地 『圷(あくつ)』が訛ったと思われる。県下では、肥沃な場合とやせている場合がある。
あくと 不死身の人 『悪徒』の意味が転じたのだろう。
あぐどなれに:出て行くと間もなく:山形。
あぐどい
▲■あくどい
【形】@▲味が濃い、A(服などが)どぎつい、B了見が悪い @『集覧:久・水』。
B旧桜川村。
ねる 【動】いやになる。もてあます。あぐむ。 漢字は当てられていない。
現代では単独ではあまち用いられない。『思いあぐねる』等の複合語で用いられる。
ねはでる:強調語:山形。
あくねる:静岡。
ねる:東京・静岡。
らしー:じゃまくさい・場所をとって目障りだ:新潟。
える:仕事が多くて困る:高知。
あせっくらしー:目障りで落ち着きがない様子:新潟。
あぐばい 肥料にする灰 二重表現。
あぐばり 【形動】欲張り あくばり:迷惑:島根隠岐島。
あぐばる 【動】欲張る この場合の『あぐ』は『悪』なのだろうか。古い言い回し。
あくばる:仕事が多くて嫌になる:広島・山口・徳島・愛媛・長崎。
あくべたい:退屈な:石川。
あぐび 欠伸 あぐび:青森。
あぐび アケビ 『開く実』の意味か。
あぐび:秋田。
あくび:神奈川・山梨・静岡。
あーくび:山梨。
あぐび 延焼する火 『悪火』の意味。
あぐびょー 疫病神 Y音の脱落と思ったら『悪病』(たちのわるい病気。悪疾。)という言葉がある。
あくびょーがみ:群馬。
あくびょうがみおくり:悪病神送り・悪病が流行すると鐘を叩いて病気を集落境から送り出す:群馬。
あぐべー 灰、藁の灰
あぐふぐ
あぐふく
【動】悪口を言う
あぐぼー 悪者、悪人 『悪坊』の意味。
あぐまでも 【副】あくまでも 濁音化。
あぐまんでも:青森。
あぐまっらい
あぐまっれー
あぐまばらい
あぐまはらい
あぐまはれー
悪魔払い 祈祷などで悪魔を払うこと。半濁音は濁音で発音されることがある。関東方言か。
あくまっらい:群馬・東京。
あくまっらい:小正月に行う厄払いの行事:神奈川。
あくまっれー:神奈川。
あーぐみ モミジイチゴ 那珂郡。
【動】またぐ 『あむ』
古い標準語には『足組む(あぐむ)』(あぐらをかく)がありこの場合の『あ』は足のこと。
:栃木。
【動】持て余す 『倦む』。
現代では単独ではあまち用いられない。『思いあぐる』等の複合語で用いられる。
:有り余る:青森。
あぐもぐ 【副】あれこれ
あぐもの
あくもの
粗悪品
あぐもの 常識上食用としないものを食うこと。悪食。いかものぐい。 『俗語』には『あくものぐひ』とある。
らかむ
らくむ
【動】あぐらをかく
あぐらづ わるくすごいこと。非常にたちのわるいこと。 『悪辣』。
@江戸時代の漁法。大徳網の小型のもの。A巻網漁。 標準語には『揚繰網(あぐりあみ)』(巻網の一。網を打ち回して魚群を囲み、網裾の沈子綱を繰り揚げて捕えるもの。イワシ・アジ・サバ・カツオ・マグロをとるのに用いる。)がある。千葉ではイワシ漁の漁船を言う。
@・:鰯をとる網漁:静岡。
あぐるどし
あぐるとし
【複】翌年、明くる年 濁音化。
あぐるひ 【複】翌日、明くる日 あくひ:鹿児島。
あぐるひ:千葉。
あくるひ:群馬。
胡座 :静岡。
:群馬・東京都多摩・神奈川。
ろをかく:胡坐をかく:鹿児島。
(あくゎさんと) 【副】ぼんやり 鹿児島。
あげ @【形】赤い、A【助】〜明け @『赤』の古形は『あけ』と言う。
あげ:宮城。
あけ:鹿児島。
あげ 年明け、夜明け
@筌の仕掛けで、入ると出られない装置、A釣り針の戻し A『あぎと、あぐ』
上あご 鹿島郡。
挙句・揚句(あげ) 北茨城市。
(あ 富山。広辞苑に『上げ:高い所にある田。あげた。』とある。万葉集にある言葉である。
あぎ:陸:沖縄。
あげ:陸:鳥取・山口。
【形動】あのよう、あのような 『彼気』(あげ)または『彼が様』の意味。
広辞苑には『:(西日本などでいう) あんな(に)。ん。あん』とある。
茨城では類似の言葉で文献にあるのは、ー・そーに・そーに』だけである。
あがい:あのような・あのように:岡山・広島山口・愛媛・福岡。
いに:あのように:西日本。
あがん:あのような・あのように:広島。
あぎゃん:あのような・あのように:島根・佐賀。
あげ:島根。
:山形。
あげな:あのような・あんな:鹿児島。
ーに:あのように:愛知・大分・熊本。
あんげ:あのような・あのように:三重・宮崎。
あげん:あのような・あのように:三重・九州・鹿児島。なぜかこれは、鼻濁音の無い地域と一致する。
あげんな:あのような・あんな:鹿児島。
あないに:あのように:石川・京都・大阪・愛媛。
あなん:あのような・あのように:香川。
あねーに:あのように:中国。
あげ
◆●あげー
あけー
【形】赤い あけ:鹿児島。
あけー:群馬・神奈川・静岡。俗語。
あーけ:新潟。
あっけ:鹿児島。
あしとり 揚げ足を取ること あしな:揚げ足:山形。
うら 2階の床下、軒裏 建築専門用語。『上げ裏』。
広辞苑に『上げ裏:上方にあって下から見える裏。軒の裏など。』とある。
あけ 嫁入りの時、鞍につける明荷 広辞苑に『明荷(あけに):@旅行用の一種の竹つづら。外をござで覆い、角や縁に割竹をつけたもの。馬の左右につけるのに便利にしてある。A力士が場所入りの時に持ちこむ、まわし・化粧まわしなどを入れた長方形の箱。開荷。』とある。
あげくらす 【動】月日を送る 『明け暮す』。現代では自動詞形の『明け暮れる』使う事が多い。
一挙手一投足 方言とも言えない言葉。
広辞苑には『あげさげ【上げ下げ】:@上げたり下げたりすること。Aほめ上げたりこきおろしたりすること。B物価の騰貴と下落。C質物(シチモツ)を受け出すことと預け入れること。D潮のみちひき。』とある。
:東京。もならなくなる:にっちもさっちも行かなくなる。
あげさけ 低地や田の中にある堀 霞ヶ浦周辺地域。私の記憶には無い。『げ』は濁音か鼻濁音か不明。
堀の縁は泥で塗り固めるので、『あは『上げ』または『開け』の意味と思われる。『さけ』は境の意味なのか、『裂け』の意味か。総合的に考えると、『開け境』の意味と思われる。
おる
とる
【動】揚げ足を取る 『上げ下げを取る』。
さで
ざる
だま
うどん等を掬う柄のついた竹製の道具 『叉手・小網(さで)』とは、掬い網の一種で、かつては、二本の竹を交叉して三角状とし、これに網を張って袋状としたものを言い、今では、魚釣りの際の掬い網を言う。
道具の古い形や形式が現代に残っているものである。
現代語の『おたま、たま』は古くは丸いものを意味した。『あだま』は先の丸いものの意味である。
そばあ:神奈川。
そばあざる:神奈川。
しお 差し潮 『上げ潮』。
しお:満潮:神奈川。
しょ
しょー
うどん等を掬う柄のついた竹製の道具、あげざる 柄のついた平たい笊。『揚げ小笊』の意味。関東方言で単に笊を指す県もある。『麦すくい』とも言う。
そばあ:神奈川。
そばあざる:神奈川。
あげすけ 【形動】遠慮なくはっきりあらわす様、露骨 『あけすけ』。

った
周りを掘って土盛りした田


ーた
【連体】あのような、あんな 辞書には無いが古い標準語の『あがいな』が訛ったものと考えられる(『そがいな』なら辞書掲載)。本来は『彼が様な』(あがような)である。
茨城では類似の言葉で文献にあるのは、ー・そーに・そーに』だけである。
あげたで 開け閉め 『開け閉て』。
だま うどん等を掬う柄のついた竹製の道具、あげざる
あげづ
あけづ
トンボ トンボの古い呼称の『あきつ、あきず』の転。『集覧:多』。
『俚言』には『あけつ:陸奥南部の方言。虫名あきつをいふ。』とある。
あけつば:ゴミ捨て場:新潟。
っけー 【複】あげましょうか 丁寧語。=『やっけー』
ったぼり 湿田の周りの堀
(あけっとり) 騙す事 静岡。
(あけっなっ) 【動】飽きれる 鹿児島。
あげっ
あげっなし
開けっ放し 半濁音は濁音で発音されることがある。
あげっなす:宮城。
あけはんどー:静岡。
あげっ 【形動】@あけっぴろげ、Aあけっぱなし 清音なら標準語。半濁音は濁音で発音されることがある。
Aの意味の『あけっぴろげ』は標準語だが近年聴いたことが無い。
あげっ 【動】開け広げる、開けっ放しにする あけっ:神奈川。
つらう 【動】欠点・短所等をことさらに言い立てる 『論う』。あまり使われなくなった標準語。
つる 【動】欠点・短所等をことさらに言い立てる
どご 地面の上に作る苗床。専売公社の指導と思われるが、多くタバコの苗床を指す。 単に『とご・とこ』とも言う。民俗語とも農村用語とも言える。
平らな地面に直径
7〜8cmの杭を打ち、それに、竹の横木を添えて、床の構造を作った後、横木に合わせて藁を副え、言わば地上に巨大な堰を作った箱状ものに、松の堆肥を敷き、その後鶏糞を撒き、前年に作った松の堆肥を敷いたのもの。
『あどご・とご・とこ』とは、かつての農民は究極のリサイクルをしていた証でもある。
あげどーす
あげっとーす
【動】建具を開け放つ 『開け通す』意味。
・あけんどーし:建具を開け放つこと:神奈川。

ーな
【連体】あのような、あんな 『彼気な』(あげな)の意味。辞書には無いが古い標準語の『あがいな』が訛ったものと考えられる(『そがいな』なら辞書掲載)。
あげない
あけない
【複】開けられない、開かない ★『土』:口が開けなく成つて仕(し)ゃうねえよう:口が開けられなくなってどうしようもないよう。

ーに
【副】あんなに、あのように 『彼が様に』の意味。
辞書には無いが西日本で使われる『あいに』が訛ったと考えられる(『そいに』なら辞書掲載)。 茨城では類似の言葉で文献にあるのは、ー・そーに・そーに』だけである。
広辞苑には『:(西日本などでいう) あんな(に)。ん。あん』とある。
『称呼』には『あのやうに このやうにといふを、勢州長嶋及出雲邊 または播磨なとにて  と云。九州にてあんがい こんがい と云。総州にて に にといふ。又あんな こんなといふは あのような このような也。そんなといふはそのやうな也。肥前の佐賀にて そがいと云是なり。』とある。
あがい:あんな・あんなに:岡山・広島山口・愛媛・福岡。
いに:西日本。
えに:山形。
ーに:山梨。
あがん:あんな・あんなに:広島。
あぎゃん:あんな・あんなに:島根・佐賀。
あげ:島根。
ーに:愛知・大分・熊本。
あげん:あんな・あんなに:三重・九州・鹿児島。なぜかこれは、鼻濁音の無い地域と一致する。
あないに:石川・京都・大阪・愛媛。
あなん:あんな・あんなに:香川。
あにゅん:あんなに:鹿児島。
あねーに:中国。
あんげ:あんな・あんなに:三重・宮崎。
(あけのひ) あくる日。その翌日。 東京。『明けの日』。
あげのみょーどー 金星 那珂湊市。
はが 両墓制の参り墓。引墓。
げぴゃぐ 肥びしゃく
あげろっ @開けっぴろげ、あけすけ、A開けっ放し
まい カイコが上族したときの祝いで餅をつく
あげーまま 赤飯 あげまま:秋田。
あげーまま 『赤い水』の意味。
(あみず) 洪水。大水。 千葉。
もぢ 油で揚げた餅 『揚げ餅』。
多く鏡餅を欠いたものや丸餅を薄く切ったものや繭玉餅をそのまま油で揚げて作った。醤油をまぶせば出来上がり。特に鏡餅を欠いたものや繭玉餅は、からりと揚がった部分と餅の粘りのある部分がミックスして絶品の味わいがした。半月ぐらい自然乾燥した頃が丁度良いということなのだろうか。
もの
もん
供え物 もの:静岡。
もん:静岡。
(あや) 肥え取り、肥し汲み 宮城。
【動】@(宿題・レポートなどを)提出する、Aあげる、B吐く、C(神仏に)供える、上納する、D小作地を解約する、E片付ける、完了する、F尽くす 『げ』は鼻濁音。準標準語と考えて良い。
@方言だが、上納する意味が転じたのだろう。
B標準語だがあまり標準語地域では聞いた事が無い。
:岩手・福島・新潟・山梨。
あげる:群馬。
C・:山形・山梨。
D・:神奈川。
あげる
あける
【動】テーブルなどの上を片付ける 『明ける・開ける・空ける』。
物で塞がったテーブルの上をあける意味である。
あげる:山形。
あける:栃木。
(あげんこげん) あんなこんな 鹿児島。『あがようにこがように』。
(あけんどーし) 戸障子などを全部開け放しにすること 神奈川。
歩くこと 『集覧:行』。『ご』は鼻濁音と推測される。・:歩幅:岩手・宮城。
:歩幅:山形。
あん:歩幅:山形。
(あ 防水材の立ち上がりの上に付けるコンクリート等の突起 建築専門用語。防水層の裏側に雨水が回らないよう設けるもので、水切りの役割を果たす。金属で作る場合もある。
【形動】快調、好調 久慈郡の方言。
あーこ 足跡 稲敷郡。古語の流れの言葉と考えられる。
いる 【動】@またぐ、A飛び越える @『足越える』意味。万葉集の時代には、足を『あ』と言った。
A地域によっては『あいぐ』と言う。
あご 【形動】、際限なくむさぼること。また、あつかましいさま。ひどく扱うさま。 『阿漕(あこぎ)』。
『語源』には、『伊勢国阿濃郡(三重県津市)の当方一帯の海岸。阿漕ヶ浦。伊勢の神宮に供える魚をとるための禁地漁地であったが、あるる漁夫がたびたび密漁を行って捕えられたという伝説がある。』とある。これは、古今和歌集六帖三の『逢ふことを阿漕ヶ浦の島に引く網のたびかさならば人も知りなむ。』に由来するとされる。
しかし、『我がまま』と似た表現で『吾が漕ぎ』すなわち、自分勝手に漕ぐ様を示しているとも考えられる。
あこなこと 【複】あつかましい事。ひどく扱う事。 『阿漕なこと』。『集覧:猿』。
『あた』
:青森。
:おしゃべり:大分。
たん:大阪。
たたたく:良くしゃべる:熊本。
あごはじけ:おしゃべり:熊本。
だす 【動】根を上げる、諦める 『顎を出す』。
だめし 歩測
(あちゃ 逆、ちぐはぐ 山形。
(あばたき) 寒くて顎をがくかぐくがくさせること 神奈川。
あーこばぢ スジアメバチ 久慈郡。
あーこばな オミナエシ 久慈郡。
ふむ 【複】歩測をする
(あこほる・あっこほる) 【動】悪口を言う 青森。『悪を放る』意味か。
まれる 【動】またがれる
溝、小さな堀 『集覧:真』。『またぐ場所・またぐ水』の意味と思われる。
・あんば・あんぼ:茨城。
みっ 水口 水口は畦が切れているので、またがなければいけないからそう呼ぶのだろう。
みはねる
△▽○
【動】またぐ、飛び越える 茨城に残る古い東国方言。
『称呼』には『跨ぐ(またぐ)といふ事を 東国にてと云。跨をあとこゆるといふは足跡のまたがりこゆると云意なりとぞ 又 はあとこゆるの転語也。』とある。
ここで『あとこゆる・あとこゆ』とは、辞書情報によると『跨ぶ(あどこぶ)』(あふどこぶの転)の古形。』である。
別に『あいる』『あんいる』がある。万葉集の時代には、足を『あ』と言ったので、『あとこゆる』説の他に『足越える』意味も考えられる。
:歩幅:岩手・宮城。
:歩幅:山形。
:茨城・千葉・三宅島・愛知・福井。
んば

んぼ
溝、小さな堀
あさ 翌日 あさ:鹿児島奄美大島。
あさあげ 夜明け 『朝明け』。
あさあげ:千葉。
あさあけ:千葉。
(あさう・あそー) 麻畑 長野。『麻苧畑』の略とされる。
(あさうらぞーり) 麻糸の平打ちの組緒を渦巻きにして裏につけた草履。 『麻裏・麻裏草履』。
あさぶら:静岡。
あさが 仕事の忙しさが頂点にある状態 『あいさが』の転と思われる。この茨城弁集で最も古い言葉の一つと考えられる。『合い坂』の意味と考えられる。この場合の『合い』の意味は、『合間』の『合い』に似ていて『間がさらに区切られた短い時間』。『さか(坂)』は正に坂で『難渋して進みがたい過程』即ち『難渋して進みがたい過程の短い時間』の意味だろう。ただし飛躍して『真っ盛り』の意味も考えられないわけではない。
あさが 【副】@よもや、いくらなんでも、A本当に、現実に、まさしく 『まさか』が訛ったもの。
A・あっさか:神奈川。
◎あさ @男性用小便器の別称、A漏斗の形をしたもの A茨城では篠竹製の漏斗を言う。
あさ 朝、早朝 『朝駆け』(あさがけ)には『早朝に出かける時』の意味がある。古語では、『朝懸け、朝駆け』で『早朝、不意に敵陣を襲うこと。転じてたやすい事。』の意味。
ただし、単に朝の意味もあり、動詞の連用形につけて途中を示す接尾語の『掛け』を名詞にも使っている可能性もある。
『俚言』には『:早朝に出るを云。元来軍よりいでたる辞也。』とある。
この場合のけ』は現代語の『掛ける』にも通ずる。『掛ける・懸ける』には『@ある物・場所などに事物の一部をささえとめる。。A事物を曲った物・とがった物・張った物・仕組んだ物などでとらえる。B事物を他におおいかぶせる。ふりむける。C(「架ける」とも書く) 事物をある所から他の所までわたす。D他にむけてある動作・作用を及ぼす。Eある事物に対して心をむける。Fある事柄に他の事柄を関係させる。Gある物の上に他を加える。H(他の動詞の連用形について) 物事を始めた情況にあるの意を表す。』の意味がある。
『かけ』には空間的な意味と時間的な意味があり、双方とも関係させる・繋ぐ意味がある。軍事用語である、『朝懸け、朝駆け』は、もともとは、『掛け・懸け』で『駆け』に意味が変化したとも考えられる。
一方、『かける』とは、物事が進行中である意味を供えているとも思われる。
あさで:静岡。
あざがす
△▽あざかす
あさがす
【動】@土に鍬を入れて空気を入れる、A隙間を作る、B掘り返して探す、見つける、発見する @Aは『間』(あい)『透かす』(隙間を空ける)意味か。
B『漁る』が転じたものだろう。
あさ
あさかだ
朝方 『が』は濁音・鼻濁音。
あさかんだぢ 朝の雷雨
あさ
あさ
早朝 古語の『あさけ』(夜明け)が残ったか?。標準語の『朝餉(あさげ)』は朝食を指すのに対して夕食に該当する言葉が無い。夕方を示す言葉に『晩げ』があり、もともとは『晩景』で、古くは『ばんげい』とも発音したと言われることから、『朝景』だったのではないかとも思われるが、辞書にはそのような言葉は無い。
雑炊を言う場合の『ぎ』は『食・餉』の意味と思われる。朝飯前の仕事を言うのは『朝儀』か。朝を単に言う場合の『ぎ・り』は格助詞かもしれない。
あさあ:朝食:熊本。
あさ:朝飯前の仕事:和歌山・奈良。
あさ:朝の時間:長野・兵庫。
あさぎ:雑炊:長崎・宮崎。
あさ:朝食の時:石川。
あさ:朝方:新潟・福井。
あさ:朝:山形・福島・群馬・長野・新潟。
あさ:朝食前にする仕事:奈良・和歌山。
あさ:朝食:長野・新潟。
あさり:朝:三重・和歌山・兵庫。岩井市。
あしたあさ:明朝:山形。
あさ 野菜類の朝の収穫 古河市。『朝切り』。
あさりはらって 朝早く 朝露(朝霧)を払ってが転じて朝早くからの意味か。
あざぐ
あさぐ
【動】@漁る(あさる)、A探す あざぐ:他人の持ち物を調べる:宮城。
あざく:かき回す・餌を探す・漁る:山形・宮城・福島。
あざく:穴を掘る:福島。
(あさくさみ) 再生紙のちり紙 広辞苑に『浅草紙:すきがえし紙の下等品。主におとし紙に用いる。江戸時代に、多く浅草山谷(サンヤ)辺から産出したからいう。』とある。
すきーし:神奈川。
◎あさくさかり(朝草刈り) 夏の農作業の定番。牛馬やウサギ等の餌として早朝に夜露のついた雑草を刈る作業。農村専用言葉。当時は『草刈場』なる共用の土地があり雑草も有効に利用した時代だった。夜露のついた雑草は家畜の水分補給になっただけでなく新鮮さを保てるからだったと思われる。その後農薬が多用されるようになると耕作地の雑草は農薬をかぶっている可能性があり、かなり気を使って探さなければならなくなった。今は家畜は全くと言って良いほどいなくなり、草はすっかり邪魔者になっている。
県内では、単に『朝草』と略して言う地域が多い。
あさくさ:茨城・神奈川。
あさ
あさ
辞書には『公卿・殿上人などが履いた浅い靴』とあるので古い言葉が残ったのは間違い無い。
あさくぼ
あさ
朝出て来るクモ 『朝蜘蛛』。吉兆とされる。
あさ 【動】漁る(あさる) 『ぐ』は濁音・鼻濁音。
あさ 標準語の『朝食・朝餉(あさげ)』は『(古くはアサケ) 朝の食事。朝飯。』の意味。
『朝に』の意味の『あさが訛ったと思われる。もと『朝が(時)に』すなわち『あさに』だったと考えられる。
あさ:福島・群馬。
あさ:山形。
あざげる 【動】ふざける 『戯る』(あざる)の自動詞形。
あじゃける:秋田・富山・岐阜。
あさこい 【形】浅い あさこい:青森。
△▽あさざ
あさーざ
@朝早い時間、朝の時間、A朝飯前の仕事 『朝座』は辞書に『朝のお勤め、特に法華八講等の朝の説教・読教』とある。
あさざ:朝食:香川。
あさざ:朝の時間:岐阜・愛媛。
あさざし 朝飯前の仕事
あさし 朝方、朝、朝のうち 『が』は鼻濁音。『し』は強調の助詞。
あさし:群馬。
あさしごて:朝のうちに:鹿児島。
あさし 朝飯の前の仕事 あさがり:山形。
あさす:宮城。
あさずくれー:静岡。
あさしょぐ
あさしょく
朝食 『朝食』の湯桶読み。高齢者が使った。
あさだぢ 朝、朝方 『朝立ち』。『朝駆け』と同じ意味。
あさだち:福島。
あさだち:早朝に仕事に出かけること:秋田。
あさたび
あさたび
毎朝 『朝度』『朝度毎』の意味。
あさちー
あさちゆ
あさっつゆ
あさづゆ
あさづよ
朝露 あさちい:八丈島。
◎あさぢゃ 朝のお茶 現代では濁らないが、近世では濁音だった。標準語では正確には『朝食の前にのむ茶』の意味。
茨城には『あさぢゃはそむぐな』(朝のお茶は必ず飲めの意)という慣用句があり、朝茶はその日の難をのがれるとされる。
あさぢゃ:朝飯:静岡。
あさっかだ 朝方 濁音化。促音便。『朝つ方』の意味か。
(あさつき) ワケギ。 広辞苑に『浅葱・糸葱:ユリ科の多年草。ネギ類で最も細い。ユーラシア大陸原産。各地に自生するが、野菜として栽培し、葉と、ラッキョウに似た鱗茎を食用。春先の葉は美味、臭みがない。センボンワケギ。センブキ。漢名、蒜葱。』とある。
あさづぐり
あさづくり
あさつくり
あさっくり
朝飯前の仕事 『朝作り』の意味。これは方言というより農村言葉と思われる。
あさおり:朝早く働きに出ること:静岡。
あさづくり:埼玉・群馬・東京青梅・東京多摩・神奈川・山梨・長野・静岡・山口。
あさづくり:朝の早い時間:埼玉・神奈川。
あさづくれ:神奈川。
あさで:神奈川。
あさよなべ:神奈川。
△▽あさづけ
あさつけ
糠みその漬物 『浅漬』の意味。
標準語では『@野菜を糠(ヌカ)や薄塩で短時日漬けること。また、その漬物。当座漬。A生ぼしの大根を塩と糠とで下漬けし、麹(コウジ)を加えて本漬けしたもの。浅漬大根。』のこと。
『聞書』では、江戸で『どぶづけ』、浪花で『あさつけ』とある。『どぶづけ』は糠味噌漬けであるから、この茨城方言は関西方言と一致する。清音形が共通するのも興味深い。ただし現代ではあさづけが一般化している。
あさづけ:福井・和歌山・広島・佐賀。
あさづけいちべったらいち:東京都中央区日本橋大伝馬町一帯の通りで一○月一九日の夜に開くべったら漬の市。くされいち。
あざっこ 痣のある子 古河市。火事の方を向いて小便をすると痣のある子供が生まれると言われる。
あさっこい
あさこい
【形】浅い
あさってのほう 明後日の方、見当外れ 『一昨日来い、あさっておいで』に似たウィットに富んだ表現。標準語
あさって:静岡。
あさってむぐ 【複】すねる、へそを曲げる
あさってんばん 明後日の夜 あさってんばん:千葉。
あさっ 朝腹、朝早く 『朝端』の意味。
あさっばら
あさっ
あさ
朝腹、朝早く この『ぱら』は、『腹』の意味で『朝食前の空腹の状態』を意味し、それが転じて『朝早くから』の意味になった。元『朝つ腹』か。
あさっ:神奈川。
あさっ:東京多摩・長野・静岡。
あさで 朝早く出かけること 『朝出』。
あさで:朝:静岡。
あさてっかり 朝天気が良いこと ほぼ標準語。
あさっかり:栃木。
あざとい 【形】押しが強くて、やり方が露骨である。 近世には『思慮が浅い。小利口である。』の意味で使われた。
あざとり:浅はかな:三重。
あざとり:こわれそうな:富山。
(あさどやゆんた) 沖縄八重山諸島竹富島に伝わる民謡 『安里屋結歌』と書く。『結歌(ゆんた)』は『結い歌』が訛ったのだろう。
歌詞の中の『マタハリヌ チンダラ カヌシャマヨ(また逢いましょう、美しき人よ)』は誰でも知っている。
あざな あだ名 『字』。古い標準語。『あだ名』の古形。
あざな:神奈川。
あさね 朝遅くまで寝ること、朝寝坊
あさね
あさね
朝寝坊 中世の『寝濃し』(寝坊)の名残だろう。『ご』は濁音・鼻濁音。『朝』『寝濃し』。
あさね
あさねぼー
朝寝坊 中世の『寝濃し』(寝坊)の名残だろう。『ご』は濁音・鼻濁音。『朝』『寝濃し』『坊』。
あさにごろ:鹿児島。
あさねごろ:鹿児島。
あさねっ:神奈川。
あさばど キジバト
あさ あさっぱら 半濁音は濁音で発音されることがある。古くは、標準語でも『朝腹(あさはら)』と言った。
あさぶら:神奈川。
あさはん 朝ご飯 標準語だが死語。
(あさびっちょ) 浅瀬 静岡。
あさひやげ 朝焼け あさかじ:千葉。
あさにじ:長野。
あさひやけ:千葉・群馬。
あざ あざ 久慈郡の方言。
△あさま 『朝間』。近世語で現代では死語。今では方言として残る。何故か『昼間』は残る。
あさま:青森・栃木。
あさまし:朝の仕事:岩手。
あさんめ:朝のうちに:鹿児島。
あさまがだ
あさま
あさまかだ
朝方 『朝間方』の意味。
あさまずみ
あさまずめ
明け方、未明 北茨城市。
広辞苑に『まじめ・まずめ:(沈静の意。漁村語) 黎明と朝、夕方と黄昏との境目をそれぞれ朝まじめ・夕まじめという。この時刻は深海の魚類も水面に近く浮くので、好漁の潮時。まずめ。まずみ。まさめ。』とあり、方言ではなく漁師言葉と言える。
あさましくら・あさまじくら:神奈川。
あさまじめ:朝飯前の仕事:神奈川。
あさまずめ:朝凪:神奈川。
あさめ
あさめー
早朝 『朝前』の意味。
あさめしめー 【複】【形動】@朝飯前、A容易なこと @正しく『朝飯の前』の意味で、簡単な意味の『朝飯前』はあまり使われなかった。
あさめしめー:群馬。
A
B・あさめしまえ:朝早く起きてする仕事:新潟。
あさめしめー:朝食前にする仕事:神奈川。
あさやげ 朝焼け
(あさら) 無論、勿論 静岡。
あざらし
あざらしー
【形】新しい
あさり 川の水の浅い所。浅瀬。 『浅り』。古い言葉。死語。『り』は漢字は当てられていない。
(あざる) 『あざる』は現代では使われなくなった言葉。広辞苑には以下のように有る。
あざる:@さわぎくるう。一説に、ア(足)サル(移動する)の複合した形で、動きまわる意ともいう。A魚肉が腐る。
狂る・戯る:@たわむれる。ざれる。ふざける。Aうちとける。乱れている。Bしゃれている。風流だ。
あじゃる:ののしる:和歌山・高知。
あざるる:@くさる、Aうんざりする、飽きる:熊本。
あーさる 【動】@合わさる、A会わされる @・あーさる:山梨。
あーされ:川の合流点:山梨。
あし 徒歩 死語に近いとなった標準語。しかし、私の家内は今も使う。考えてみると、移動の手段は、かつて牛か馬か人間の足しかなかった。文化が文明が文化を変えてしまった事例。さらに時に@タクシーや、鉄道を使わない意味や、A目的の対象が近接している場合の徒歩行為を示す。
〜あし 【接尾】動詞の連用形についてちょうどそうする時の意味 『〜やし』
〜あし:千葉・新潟・高知。
あじあみ 魚を捕るしかけ。簗。 鹿島郡。『網代編み』の意味か。
あしいり
あしいれ
あしいれしー
あしいれしー
足入れ婚のこと 『足入れ』。婚前の数日間同棲する風習。
あしいれ:神奈川。
あしいれ 結納の交換 『足入れ』には『婚姻の成立祝いを婿方ですませると、妻は実家に帰り、その後ある期間は夫が妻問いの形式をつづける習俗。』の意味がある。
あしかげ 足掛かり 『足掛け』。
あしかげ @縄跳びの一種。Aメンコ遊びの戦法の一種。Bめかけ 『足掛け』。
@縄跳びは、広辞苑に『子供の遊戯の一。張った縄を飛びこし、また、手に持った縄を回転させながら、それをとびくぐる。一人あるいは数人で行う。』とある。
張った縄を飛びこす遊びは当時すでにでに、『ゴム跳び』に変化していた。
Aーぶぢ』の戦法の一種。相手のメンコの近くに足を置く方法で、『あおと併用すると効果絶大。恐らくメンコの上が負圧になるためだろう。
Bかつて『足掛け・手掛け』といえばめかけの代表語だった。昭和50年頃には、暫定的な彼女・彼氏の意味で使われた。その後、OL用語で、結婚前の就職そのものを『あしかけ』と言った時代があった。
あじ 笠の一種。 東茨城郡。『網代笠』のことと思われる。
あし
あしかだ
あし
足跡 『足形』。
あしかだ:青森。
(あしはえー) 【形】食べ物などが傷み易い 神奈川。
あしやぶき 葦で葺いた屋根
あしらみ 足手まとい 『足手搦み:あしてがらみ』。
あしらまり:宮城。
あすらみ:宮城。
あじき 味気 古い標準語。
あじきねー 【形】味気ない 『あじきない』なら古い標準語。古語の『味気なし(あぢきなし)』(面白くない)とは意味が変わっている。ただし『味気ない』は『あじきない』が正しく味気は当て字とされる。
あしきんきん 片足跳び
(あじくーたー ) 【形】味が濃い 沖縄。
あしくむ 【動】あぐらをかく 『足組む(あぐむ)』意味。
あしくんでんだねー:あぐらをかくんじゃない。
あじ 他人にひどい仕打ちをすること。 『足蹴(あしげ)』。
あしにする
あしりする
【動】ひどい仕打ちをする 『足蹴(あしげ)にする』。『あしりする』は標準語世界でも使う人が居る。
あしけり 片足とび 足を蹴るのではなく足で蹴る意味だろう。
あしけん
◆▲あしけんけん
あしんけんけん
片足とび 『集覧:新・稲』。
あしけんけん:福島。
◆■▽☆あしこ 足跡 『あしっこ・あしっと』。関東方言。稲敷郡では『あーこ』と言う。『あしと』とも言う。
『俚言』には『足粉:関東邊板敷の上などに足跡のつきたるを云。』とある。
(あしこ) 【複】あれ程、あれだけ 鹿児島。
△▽あじこい 【形】可愛い、端正な、美しい 現代語の『味』には、広辞苑によると『@飲食物が舌の味覚神経に触れた時におこる感覚。A体験によって知った感じ。B(かみしめて知るような)物事のおもむき。面白み。C(一風かわって)快いさま。気のきいているさま。おつ。D手ぎわのよいこと。E相場の動きぐあい。』の意味があり、このうちの『(かみしめて知るような)物事のおもむき。面白み。』の意味をルーツにした方言と考えられる。
『称呼』には『かはいらしいと云詞のかはりに、下総又信濃にてつぼいと云(「大江山の謡」に「うち見にはをそろしげなれとなれてつぼいは山ぶし」とあり)。越後及び奥羽にてと云。津軽にていずいと云。武州片田舎にてむぢこいと云也。上州房州又四国にてと云。上野にてちないと云。肥前及薩摩にてむざうと云。是等は皆かはゆひといふ事也。』とある。
あじこい:茨城・銚子・京都・神戸。
京都では美しい意味、茨城では可愛い意味である。
あじめる:味わう:愛媛。
あしめる:期待する:富山・石川。
むじょか・みじょか:可愛い:熊本。原型は『味良か』ではないかと思われる。
あしこ
あしこっこ
あしこに
あしこね
あしこん
あしこん
あしこんこ
あしこんこん
あしちょんちょん
あしっこ
あしと
片足とび 『集覧:真』。
あしこんこん:茨城・千葉・神奈川。
(あしこそこ) あちこち 鹿児島。
あじした
あじょした
【複】どうした 当時の高齢者言葉。通常は『なじした・なじょした』
『称呼』には『なぜと云事を、薩摩にてなじかいと云。古き歌に「大和かいあじかを関東べい都ござんすいせをりやります」。西土にて、あじかをと云も、なじかいといふにひとし。総州及東奥にて、あぜといふ。江戸にて、なぜといふ。京にて、なせにとと清(すみ)ていふ。案になぜとは胡(なんぞ)也。とがめたる言葉也。万葉に「あぜそもこよひよしろきまさぬ」なと詠り。古き詞なり。』とある。ここで『あぜ』は上代東国方言。またさらに、『称呼』には『いかやうにもといふを、伊予にてどうばりと云。土佐にてはどうまれかうまれなといふ。按に土佐にてどうまれかうまれと云はどうもあれかうもあれなり。予州にていふどうばりは是もどうまれの転語也。東国にてなでうあでうなどいふはいかやうなといふ意也。「紫日記」になでう女のまなぶみとあり。』とある。
『俚言』には『なぜ:「貞丈随筆」俗語になせと云は、なに也。なに転してなしとなる。と音相通。なじ又転してなぜとなる。と相通。古き物語の冊子に、なじかは以ってたまるべきといふ語あり。なじかなにかと云事也。』とある。
あしずり @怒りまたは悲しみのあまり、足で大地を踏みつけること。Aつまずくこと。 『足摩り・足摺り』。
あしずる 【動】@怒りまたは悲しみのあまり、足で大地を踏みつけること。Aつまずく。 『足摩る・足摺る』。北海道では『手こずる』を愛媛では『困る』を『あずる』と言う。
◎あした 次の日、翌日 辞書には、源氏物語の夕顔の巻に使われている『あした』の意味は、『夫が来て泊っていった翌朝。また夜中に何か事があった、その翌朝。』とある。
そのあした:その翌日。
あしだ 高下駄 『足駄』。
『称呼』には『あしだ:関西及西国にてくりぶくりといふ。中国にてくりぶくりと云物は江戸にて云げたのこと也。』とある。
あしだ 沼地の田 『悪し田』『葦田』か?
あしたー 【複】明日は 『集覧:無記載』。格助詞の一体化による擬似長音化。
あしたーはれっどよ:明日は晴れるってさ。
あしたあさって 明後日 語源を調べると、@『明日去りて』、A『明日立ち』の2説がある。『明日去りて』を口語にすれば『あしたさって』となる。
あしたさって→あしたーさってあしたあさって
長い間疑問を残した方言だったが、この方言もまた、古い言葉の名残だったのである。
あしたあさって:栃木。
あしたあだり 明日当たり
あしだい
あしでー
@踏み台、A交通費 @『足台』の意味。
A『足代』。標準語。
あしたうぢ
あしたうち
明日まで おわんのはあしたうぢだな:終わるのは明日中だね。
あしたが (人・動物、また道具類などの) 足の長いこと。また、そのもの。 『足高・脚高』。
枕草子にもある古い言葉。現代で言えば『足長』。
あしたあした @明日の明日、A突然なこと A今日に対して明日の意味で突然なこと。
あしたがいづが
あしたがいつか
あしたがいっか
【副】明日かあるいはその前後、明日辺り 『明日か、あるいはいつか』。
あしたがか
あしたがかに
【副】明日かあるいはその前後、明日辺り 不確定を表す格助詞『か』の二重使いではなく、『なにがかっか・なにがかにか・なにがかんか』(何か、あれこれ)と同じ表現で明日を中心にした曖昧な時間を示す訛。
あしたがかっか
あしたがかにか
あしたがかんか
【副】明日かあるいはその前後、明日辺り
あしだから 親戚 『間柄』(あひだから)が訛ったのだろう。
あしたっから 【複】明日から 促音化。
あしたなあさ
あしたなさ
明朝 『あしたなあさ』なら古い標準語。『あしたなるあさ』。
あしたなさ:群馬・東京・神奈川・山梨・静岡。
あしたなあだり
あしたのあだり
明日当たり
あしたなし @明日が無いこと、転じて大晦日、A待ったなし(勝負言葉) @★いよいよあしたなしになしんなったなやー:いよいよ大晦日になったねえ。
あしたのでっかし 【感】明日また遊ぼう 東茨城郡。『でっかし』『でっかす』(出会う)の名詞形だから『明日の出会い』の意味か。
あしたら
あしたらあだり
明日当たり 『明日』『等』(ら)。
あしたらどーだっよがっ:明日どうだろう−いいよ。
あしたんあさ 明朝 あしたんあさ:千葉。
あしたん 明朝 鹿島郡。『明日の口』の意味。
あしたんばん 明晩 あしたのばん・あすのばん:神奈川。
あしたのばん:山梨。
あしたんばん・あしたんばん:千葉。
あしつ 踏み台、踏み継ぎ あしつ:千葉・奈良・京都・大阪・島根。
あしっくび 足首
◆▼あしっこ
あしっと
@足跡、A足 @『と』とは『跡』と当てられる古い言葉。『あと。足あと。』の意味。
あしっこ:関東・群馬・埼玉・東京多摩・山梨。
あしっと:神奈川。
あしもと:静岡。
あしんど:静岡。
あしっずし
あしっずれ
足を外すこと 半濁音は濁音で発音されることがある。
あしっ
あしっ
あしっ
足の裏 半濁音は濁音で発音されることがある。
『足つ平(ひら)』『足つ辺(べた)』の意味。
あしつら
あしっつら
あしつり
あしっつり
あしっつる
足、足の筋肉 多く即穏便を伴う。『つら』は『蔓』(つる)の古形で筋状のものを示すことから、筋肉や筋を意味している。
あしつり アシナガバチ あしっつるし:東京多摩・山梨。
あしでー @踏み台、脚立、A交通費 @『足台』の意味。
あしで:青森。
A『足代』。
▲▼あしと 足跡 当時の高齢者の言葉。『集覧:稲・新・北・真・行・久・東』。『と』とは『跡』と当てられる古い言葉。『あと。足あと。』の意味。現代語では『跡絶える(とだえる)』に残る。
あしでまどい 足手惑い 濁音化。古語では『足手搦み:あしてがらみ』。
あしな @アシナガバチ、Aガガンボ
あしな
あしなかんめ
あしなとんぼ
ガガンボ
あしなが
あしながぞーり
草履の一。踵の部分がなく足の半ばくらいの短いもの。 『足半・足中』。
あしだか:青森・秋田。
あしだがぞーり:山形。
あしなが:秋田。
あしなか:群馬・神奈川・静岡。
あしなかじょーり:神奈川。
あしなかぞーり:神奈川。
あしなかわらじ:神奈川。
あしながぞーり:山形。
はなむすび:群馬。
あしなぐする 【複】足をくずす、くつろぐ あしなにする・あしなになる:東北。
あしなくぼ @アシダカグモ、Aザトウムシ アシナガグモとアシダカグモは別種であり、また、アシダカグモはザトウムシの別称でもある。
アシダカグモは、灰色に近い褐色で、足まで含めるとCD並みの大きさに達する。時々民家に侵入してその大きさに恐れられるクモであるが、ゴキブリの天敵でもあり、人間に対してはただ素早く逃げるだけである。普通なかなか捕獲は難しいが、もし素手で捕まえたりすると大きな牙で噛まれることがありかなり痛いが毒は無い。
あじなめる 【慣】味を占める あじなめる:山梨。
あじにもかじにも 【複】どうにもこうにも 『なじにもかじにも』
あしのばす 【複】足をくずす、くつろぐ 『足を伸ばす』。
あじねー 【複】味が無い、まずい
あしのしら
△▽あしのひら
足の裏 『てのひら』(対)。
現代語では手のひらはあっても足のひらは無い。
あしのひら:東北・埼玉・群馬・新潟・長野・山梨・静岡・岐阜。
あしのはら:九州。『ひら』と『はら』は同源か。
あじば 網代を仕掛ける場所
あしはずす 【動】@降りてもらう、A足をくずす、くつろぐ 『足を外す』意味。
あしび アセビ 『馬酔木』の別名。
一般には『あせび』と発音することが多い。語源は、馬がこの実を食べると酔って足が萎えるからと言う。茨城では、好んでこの木を墓に植える。広辞苑には『ツツジ科の常緑低木。山地に自生、また庭木として栽培。高さ約三メートルに達する。春、壺形の小白花を総状に下垂。全株が有毒、牛馬が食うと麻痺するというので「馬酔木」と書く。葉の煎汁は殺虫剤・皮膚病薬。材は堅く、薪炭材・細工物とする。あしみ。あしび。あせぼ。あせみ。毒柴。ヒササキ。』とある。
アセビは幼い頃から毒だと聞かされていた。幼い頃葉を食べてみたが、何も起こらなかった。
あし
あし
足の裏、土踏まず、足裏、蹠 半濁音は濁音で発音されることがある。
あしぶぐろ 足を包むもの。足袋より少し長い。 取手市。
あしぶみ 足踏み式脱穀機 昭和30年代の脱穀の主役。千把扱きは主に藁すぐりに使われた。間もなく電動脱穀機にとって変わる。
(あじまー) 四つ角、交差点 沖縄。
あしまがせ 足の進むに任せて気ままに歩くこと 『足任せ』。
あしまどい 足手まとい 『足纏い』。
(あじめし) 五目飯 山梨。
あじもあいそもねー
あじもいーさもねー
あじもそっけもねー
あじもそっもない
あじもそっもねー
あじもすっともねー
あじもすんともしねー
あじもつんともねー
【形】味も素っ気もない、味も何も無い 『そっも、すっとも』はやや古い標準語の『そっとも』(ちっとも、少しも)が訛ったものと考えられる。半濁音は濁音で発音されることがある。
あじもそっもねー:山梨。
あしもど @履物、A脱穀のとき足元に落ちている屑籾。B建物の柱の床下に通す貫。 『足下・足元・足許』。
@濁音化。
A・あしもと:神奈川。
B標準語では『家屋の床下から土台に至る部分の称。』の意味。
あじゃ
あじゃー
あじゃじゃ
あっじゃー
【感】あら、あらまあ、ありゃ、おや あいやーあいやいやー・あいやまー』『あやあやーあやあやあややあややー』『ありゃありゃあありやー・あっりゃー』と同じ。
中国では、『あいや・あいやー』と言う。
西欧でも、j音は、清音と濁音がある。キリストをジーザスとイエスと言うのと同じ。ジャパンはドイツではヤーパンである。
もともとは『何じゃ』と思われる。
なんじゃ→あんじゃあじゃ・あじゃー
また俗語の『あちゃ・あっちゃー』が訛ったとも考えられる。
あきちゃー:新潟。
あきゃー:新潟。
あっきゃー:新潟。
あっきやい・あっきや:あきれた:福島。
あっちょー:静岡。
じゃじゃ:岩手。
じゃじゃじゃ:岩手。西欧風に言えば『ヤーヤーヤー』である。日本語では『ややや』である。
(あじぇげな・あじぇげだな) 【連体】あんな 山形。『彼(あ)にてありたる気なりたる』『彼(あ)である気たりなる』意味か。
あしやど 足跡
あじゃら @筌(うけ)、A蓮根の薄切りを酢で煮た料理 A旧桜川村の方言。
あじゃら レンコンを薄く切って酢で煮た物 『すす』
広辞苑に『阿茶羅漬:(アチャラはペルシア語の achar に由来するポルトガル語) 蓮根・大根・筍(タケノコ)・カブなどを細かく刻んで、トウガラシを加え、酢・酒・醤油・砂糖などに漬けた食品。アジャラづけ。』とある。
○あじゃらに 【副】ふざけて、冗談に、軽率に、いい加減に、かりそめ 『戯(あじゃら)に』。類義語に『あじゃらしい』がある。『あじゃら:おどけたこと。たわむれ。ふざけ。じょうだん。かりそめ。』
『称呼』には『かりそめと云詞のかはりに、畿内にてあじゃらと云。東国にては大抵の事ならぬを云。考るに其意をなじ。』とある。
あじゃける:ふざける:秋田・富山・岐阜。
あじゃら:かなり:和歌山・高知。現代語では『やたら』に近い。
あじゃら:薄情な・人情がない:宮城。
あじゃらに:宮城・兵庫。
あしゃらもない:たわいもない:静岡
あじゃる:ののしる:和歌山・高知。
あじゃらす:粗末過ぎる。
あじょ
あじょー
【副】何故、どういうわけで、どんな あじょー:千葉。
あじょーにする:どうする:千葉。
あんじょーでもねー:何でもない:神奈川。
あんじょーにか:どうにか:神奈川。
あじょしんだ:どうするんだ。
あじょにも
あじょーにも
【複】何としても、どうにも、どうしても 『何てありとも』の意味。
あじょーにも:どうしても:群馬。
あじょーにも:万が一にも:埼玉。
あじょーもも:是非:神奈川。
・あんじょーにも:山梨。
あじょにもかじょにも どうにもこうにも、どうにでも 千葉でも使われる。
あじわいる
あじわぐ
【動】味をしめる 『味わう』の転。普通終止形は使わず『あじわいだ』と言う。
あじわる 【形動】具合の良く無い様、後味が悪い様 これは、標準語としても良いのかもしれない。
(あしらーない・あしらーかない・あしらかまわない) 【複】気にかけない 静岡。
あしをかる 【複】足を掬う
あず コンニャクやヤマイモの球根 高萩市。
(あず) 山形。
(あず) 【動】腐ったものが糸を引く 神奈川。
(あーず) ヤマイモの根茎の上部についている大豆大の瘤の名称でこの部分が現れると芋掘りの好機と判断する。 神奈川。『泡頭』の意味か。
あーざーめーる:仕事の目鼻がつく:神奈川。『あーずが見える』意味か。
〜あす 【助】〜あります、〜ございます 『〜あんす』の転。『〜あんす』は江戸時代の遊里訛。
あります→ありんす→あんす・やんす→あす・やす
〜あーす:静岡。
〜ございあす:青森。
ございあす:ございます。
あすあす 近日 あすあす:山梨。
あすあすじゅー
あすあすじー
近日中
あーすいば
あーすば
ああすれば 茨城弁では『ラ行』音を曖昧に発音するのでそうきこえる。
あずかりち 江戸時代、百姓が郷里を離れる時に地主や隣組の者に預ける土地。預かった者はその百姓に草鞋銭を渡す。
あずがる 【動】@預かる、A預ける @・あずがる:青森。
A擬似受身形。
あずかる:宮城。
Bその他。
あずがる:扶養する:青森。
あずぎ 小豆
あずきあらい
あずきあらいばっ
あずきあれーばばー
あずきばーさん
あずきばっ
あずきみきのばばー
小豆洗いばばあ あずきあらい:神奈川。
あずきと:神奈川。
あずぎ
あずぎ
あずき
あずっかい
正月15日に作る粥 あずき:神奈川。儀礼食として作ることが多いと言う。
あずぎごはん
あずぎめし
赤飯 30年代の言葉。『小豆飯』。
あずぎだま お手玉
あずきのかー 役に立たない人 東茨城郡。
あずきへび ヤマカガシ
あずきめし 小豆を入れたご飯。三夜様の日に食べる。 真壁郡。
(あずきもち) 汁粉 宮城。
広辞苑に『小豆餅:@小豆あんをまぶした餅。Aゆでた小豆を入れてついた餅。』とある。
あすく
あすくんとご
あすくんとし
【代】あそこ 『集覧:無記載』。
元『彼つ処』の意味が訛ったと思われるが、辞書には無い。
あずぐ:宮城。
あずく:宮城・福島。
あすく:東京都青梅市。
あすご:岩手。
あすこ:東京・神奈川・山梨。
あずくび
あずっくび
コンニャクやヤマイモの球根の目の出口 高萩市。
あすくら
あすくらあだり
あすくらへん
あの辺り 元『彼つ処やら』か。
あすくいら:東京都青梅市。
あすくらへん:東京都青梅市。
(あずくろっ) 【複】味を占めて 鹿児島。
あすくんとご
あすくんとし
あそこの場所
あず コンニャクやヤマイモの球根から出ている細い根 高萩市。
あすけー 【複】あそこへ あけー:山梨。
あずげる 【動】@ 預ける、A与える、あてがう @濁音化。
Aは微妙な使い方だが純粋に『与える』意味の場合でも使われる。
あずける:宮城・福島・新潟。
あすご
◆▲あすこ
【代】あそこ 『あすこ』は標準語の口語では頻繁に使われる。広辞苑掲載語。
古くは『あしこ』も使われた。『あちこち』は『あすこここ、あしこここ』とも言われた。
あこ:新潟。西日本に多い。
あしこ:静岡。
あすこ:群馬・東京・神奈川・山梨・静岡。
あっこ:静岡・富山。
あすこいら
あすこら
あすこらあだり
あすこらへん
【代】あの辺り あしけーら:静岡。
あすけ:あそこに:鹿児島。
あすけーら:山梨・静岡。
あすこいら:山梨。
あっけーら:神奈川・静岡。
あっこらへん:神奈川。
あすごんた
あそごんた
【連体】あそこの 『あそこにありたる』意味。
あすごんたえ
あそごんたえ
あの家、あの家庭、あの人 旧桜川村の方言。
あすこんどご
あすこんどこ
あすこんとご
【複】あそこのところ あすこんとこ:静岡。
あーすた
あーすった
【複】ああした、あんな
あーすっか 【複】あのようにするかい?、ああそうか
あすだぢ 朝、早朝 『朝駆け』(あさがけ)に似た表現。
あすってる 【複】遊んでる 促音化の典型例。
いーづまでもあすってんだなよ:いつまで遊んでいるんだろう。
あすってこ:遊んで来い。
(あすっどし) 遊び友達 鹿児島。『遊び同士』の意味か。
あすなし 大晦日
あすなろー ヒバ、アスナロ 広辞苑には『翌檜(あすなろ):(「明日はヒノキになろう」の意) 日本特産のヒノキ科の常緑高木。葉はヒノキに似て大、鱗状に重なり合う。雌雄同株。五月頃、単性花を開く。果実は楕円形の球果。材は帯黄白色、建築材・船材・枕木など。樹皮は火縄または縄となる。木曾の五木の一。生垣などにも利用。羅漢柏。ひば。しろび。あて。あすひ。あすはひのき。』とある。
あすなろー:槙:静岡。
あすはるど
あすはると
アスファルト
あすび 遊び 『遊び』とは『休み』は同源か。
あすび:山梨。
あしび:沖縄。
あすひ
あすびひ
農休日 『遊び』とは『休み』に通じ『休み日』の意味か。
あすびひ:祝祭日:神奈川。
あずひげ ヤマイモについている細い根 東茨城郡。
あすびーこー
あすびにこー
あすびんこー
【複】遊びに来い あすびーこー:山梨。
あすび 遊び事 あすび:東京。
あすびじぐ
あすびずぐ
あすびずぐ
遊び目的 『ずぐ』は『尽く』(ただそれだけの目的で、ただその手段だけで、それにものをいわせて)の意味。(類)力ずく(力づく)。納得ずく(納得づく)。
あすびにん 遊び人 あすんぼー:山梨。
あすびふげる
あすびふーげる
あすびほげる
あすびほーげる
【動】遊び呆ける、遊びふける
◆▲■あすぶ 【動】遊ぶ 『集覧:無記載』。落語で耳にする。江戸言葉と考えられる。茨城では『あそぶ』も使われるが多く『あすぶ』が使われる。
『遊ぶ』と『休む』は音韻が酷似しており、同じ語源ではないかと調べたがどうやらそうではないらしい。
活用形は、『あすんべ、あすっ、あすばねえ、あすんで・あすって、あすびやす、あすぶ、あすぶどぎ、あすんどぎ、あすぶんだら、あすべば、あすべ、あすべる、あすんちゃあ』
あすぶ:青森・秋田・山形・福島・群馬・東京・山梨・静岡。
あすぼう:遊ぼう:静岡。
あすんべー:静岡。
あすんでこーよ:遊んで来なさい。
あすぶべ・あすんべ:遊ぼう。
あすぶひ 農休日
(あずましー) 【形】居心地がよい、調子がいい、気持ち良い 語源は『吾妻しい、安住しい、味ましい、東しい』等がある。
あじましー:北海道・青森。
あずましー:北海道・青森。辞書掲載語。
あんずます:青森。
(あずめーなし) ずけずけものを言う人 神奈川。東国人をもって『東去なし(あずまいなし)』と呼んだか。
(あーずりまわり) 【動】慌て駆け回る 神奈川。
あずる 【動】心配する、もてあます 『案ずる』。
(あずる) 【動】@飽きる、A迷う・もがく・あせる、B移転する・移動する 静岡。 
あーすんだこーすんだ 【複】ああしろこうしろ、ああするこうする
あすんで 【複】遊んで 八丈方言共通語。『あすって・あそって』とも言う。
あすんでる 【複】遊んでる あすんでる:山梨。
あすんべ 【複】遊ぼう 『あすぶべ・あそぶべ』の音便。
(あぜ) 【副】何故 上代東国方言。広辞苑には『【副】(上代東国方言)@なぜ。どうして。Aどのように。いかに。』とある。『あにぞや』が訛ったと考えられる。
『称呼』には『なぜと云事を、薩摩にてなじかいと云。古き歌に「大和かい西はあじかをあじかを関東べい都ござんすいせをりやります」。西土にて、あじかをと云も、なじかいといふにひとし。総州及東奥にて、あぜといふ。江戸にて、なぜといふ。京にて、なせにと清(すみ)ていふ。案になぜとは胡(なんぞ)也。とがめたる言葉也。万葉に「あぜそもこよひよしろきまさぬ」なと詠り。古き詞なり。』とある。またさらに、『称呼』には『いかやうにもといふを、伊予にてどうばりと云。土佐にてはどうまれかうまれなといふ。按に土佐にてどうまれかうまれと云はどうもあれかうもあれなり。予州にていふどうばりは是もどうまれの転語也。東国にてなでうあでうなどいふはいかやうなといふ意也。「紫日記」になでう女のまなぶみとあり。』とある。
『俚言』には『なぜ:「貞丈随筆」俗語になせと云は、なに也。なに転してなしとなる。と音相通。なじ又転してなぜとなる。と相通。古き物語の冊子に、なじかは以ってたまるべきといふ語あり。なじかなにかと云事也。』とある。
あぜ:千葉・埼玉・神奈川・山梨。茨城では『あんで』と言う。
あぜだーた:何ですか:神奈川。
あぜでもねー:なんでもない:東京青梅市。
あーぜや:どうしてだ:東京青梅市。
あで:東京多摩・神奈川。
あーせ @おかず、A着物を合わせること、裏地つきの着物、B綿入れ半纏 『合わせ』『袷』。
@・あせ:岩手・宮城・埼玉・群馬。
あせ:朝食:長野。
あわせないで:おかず無しで:群馬。
A・あーせ:静岡。
あせー 長野。
あせ
あせー
【形】浅い あさか:鹿児島。
あせ:鹿児島。
あぜー
あっぜー
【形】暑い 『あづぇー』『あっづぇー』の方が正確な表現かも知れない。
★『土』:汝(われ)熱(あつ)えぞ。
あーせおび 裏地のついた広幅の帯 『袷帯』の意味。
あせかぎ
あせっかぎ
汗かき 濁音化。
あせっかき:群馬。
あーせかみ 村の祭り等を隣村と同じ日に行うこと 新治郡。
(あせくい・あせくっ) 【動】かきまわす、混ぜかえす 鹿児島。
あせくいかやす:ひっかきまわす。
あせぐだぐだ
あせぐったぐた
【形動】汗だく、汗だらけ、汗まみれ、あせみどろ、汗みずく、あせびっしょり 倒語現象。
あせるみ 【形動】汗だく、汗だらけ、汗まみれ、あせみどろ、汗みずく、あせびっしょり 標準語も茨城弁も汗まみれの表現は沢山あるが、この言い方は、『汗まみれ』に匹敵する上品な言葉。
あせくるめ:青森。
あーせ
あーせ
下肥に木炭や米糠をまぜた肥料 『合わせ肥』の意味。
あーせーこーせー
あーせこーせ
【複】ああしろこうしろ
あせだぐだぐ
あせだっくだぐ
あせだーぐだぐ
【形動】汗だく、汗だらけ、汗まみれ、あせみどろ、汗みずく、あせびっしょり 標準語の『だく』は『だくだく』が語源だそうで茨城弁には語源そのものが残っている。
あせだらぐ
あせだらげ
【形動】あせだらけ 汗だくと汗だらけのMIX。
あせっかぎ 【形動】汗かき
あぜっくり
あぜっけ
あぜぬり
あぜぬりかい
田の畦作り 『畦作り』『畦付け』『畦塗り』『畦塗り替え』。
あせっ 【形動】汗ぐんでいる様子 半濁音は濁音で発音されることがある。
あせとり 肌着 古い標準語。
あせどろ 【形動】あせみどろ
あーせとんび 綿入れ半纏 霞ヶ浦周辺地域。広辞苑に『鳶(とんび):〓(トビの羽に似ているからいう) ダブルの袖無し外套。二重まわし。インバネス。』とある。
あぜない 田の端にある苗
あーせば
あーせーば
@ああすれば、A合わせれば、B会わせれば
あせびしゃ
あせびっしゃ
あせびしゃびしゃ
あせびだり
あせびっしゃびしゃ
あせびっしょ
あせびっしょびしょ
あせびったり
あせびぢゃびぢゃ
あせびっちゃ
あせびっちゃびちゃ
あせびぢょ
あせびっちょ
あせびぢょびぢょ
あせびどびど
あせびっとびと
あせべぢょべぢょ
あせべっちょべちょ
あせべどべど
あせべっとべと
あせべっとり
【形動】汗だく、汗だらけ、汗まみれ、汗みどろ、汗みずく、汗びっしょり、汗がひたひた 様々な標準語との関係がある訛。農村の言葉ゆえに、汗に関わる訛が多くあるのはあたりまえなのだろう。
あせふき
あせふぎ
汗をふき取る布、手ぬぐい 当時はまだタオルが充分普及しておらず手ぬぐいはたちまちびしょびしょになった。
◇あせぼ 汗疹(あせも) やや古い標準語。『汗いぼ』が転じたとされる。現代語の『あせも』の古形と考えられる。
『聞書』には江戸で『あせも』、浪花で『あせぼ』とある。浪花言葉が茨城に残っているのか、古形の『汗いぼ』が訛ったことになる。
あせぼ アセビ 古河市。
あせぼだぼだ
あせぼったぼた
あせぼだら
あせぼったら
あせぼったり
【形動】あせびっしょり 『汗がぼたりと落ちる』様の意味だろう。
あせぼったい 【形動】汗ぐんでいる様子
あーせまぎ 籾と肥料を混ぜて種まきすること 『合せ播き』。
あせみずぐ
あせみずく
あせみどろ
汗でびっしょりぬれるさま、あせだらけ、汗みどろ 『汗水漬』。
あしぇみどろ:山形。
あせみずく:山梨。
あぜみぢ 畦道
あーせもぢ 二段以上に重ねた餅
あせもん
あーせもん
おかず 『合わせ物』。
あせもん:埼玉。
(あぜよく) 畑の境界の桑の木などを少しずつ動かして自分の土地をふやすこと 群馬。『畔欲』の意味。
あーせる 【動】@合わせる・会わせる・逢わせる・遭わせる。A焦る @長音形になるのは、古形『あはせる』の流れ。
あしぇる:山形。
あーせる:東京西部・静岡。
あへる:青森。
A・あへる:青森。
あーそーげ
あーそーげー
あーそーけ
あーそーけー
【複】ああそうですか 『ああそうかい』が訛ったもの。古形『ああそうかや、ああそうかよ』。
電話などでは、標準語なら『はい』で済むが、茨城弁ではいちいち『あーそーけ』と言う。長短はその時のニュアンスで選ぶ。単音の場合は淡々とした言い方、長音は感情が篭った言い方である。
あそご 【代】あそこ 『彼所』。
あこ:山梨。
あっそこ:静岡。
あっそっこ:静岡。
あっとこ:静岡。
あっとんとこ:静岡。
あのもの:静岡。
あそごいら
あそごら
あそごらあだり
【指代】あそこの辺り、あの辺り あそこいら:山梨。
あそごもん あそこの物(者)
あーそっか 【複】ああそうか 標準口語で若い女の子達が『ああ、そっかあ』と言う変形に似ている。勿論、発音は似ても似つかない。
あそびひ 農休日
あそびほーげる
あそびほろげる
【動】遊び呆ける
あそぶべ
あそんべ
あそんべー
【複】遊ぼう あっそんべー:東京。
あだ 無駄 『徒、空』。
あだにはできない:容易には出来ない:静岡。
あだにすんなよ:無駄にやるなよ。『自分に害となるもの。うらみ。』の場合は『仇・敵』。
あだ 恨み、かたき 広辞苑に『仇・敵:(室町時代までアタと清音)
@攻めて来る者。敵兵。A自分に害となるもの。かたき。Bうらみ。遺恨。』とある。
あた:東京都多摩・神奈川。
あたーこく:仕返しする:神奈川。
あたする:仕返しする:神奈川。
あだになる:害になる。
(あだ) 広間 静岡。
あだ 【慣】嫌だ あだがんな:嫌だからね。
あだ
◇あた
【接頭】むやみに、甚だ、無駄に 広辞苑に『あた:【接頭】(アダとも。副詞的に用いられることもある) 悪い意味を持つ名詞・形容詞に冠して、嫌悪の気持をこめて、その程度の甚だしいことをあらわす。』とある。
近松作品には『あたかしましい、あたやかましい、あたじさいらしい、あたしただるい、あたしつこい、あたぜいはる、あた胴欲、あた鈍、あたぶのわるい、あたほこしゆもない、あた見られぬ』がある。
あだ!、あだだだだだだだだ−−! 【慣】痛い! あだ:青森。
あーだ
あーた
【複】あのような、あんな 『集覧:稲・西』。八丈方言では『あだん』と言う。『あれにてある』『あれなる』『あれたる』意味。もともとは『あーたる』だったと考えられる。標準語の『あんな』は『あれなる』の流れ。
『あーた・こーた・そーた・どーた』などと言う。
ただし『ああいった』が訛った可能性もある。
あーた:福島。
あーたふりしていーどおもってんだっ:あんな事をして良いと思ってんだろうか。
★『土』:ああた野郎(やらう)なんざあ槍(やり)ででも何(なん)でも突(つ)っ刺()しっちあんでがすね。
あだあだする 【動】あたあたする、慌て苦しむ 広辞苑に『あたあた【熱熱】:(アツアツの転か) 熱くて苦しい時に発する声。』とある。
一方『おたおた:思いがけない出来事にあわてて無意味な言動をするさま。』ともある。
あだあだする:いつも浮かれて軽々しい調子でいる:山梨。
(あたあんど・あたはんど) 【複】私など 鹿児島。
あだい
あたい
【代】私 標準語。
古い映画などで耳にすることがある、辞書には『下町や花柳界などの婦女子または小児の使う一人称』とある。土浦ではもっぱら幼児言葉・若年層の女言葉として使われた
今になれば、『我がようなる故:我たる故』の意味か。
近年はすっかり耳にしないようになった。
あたい:埼玉・群馬・東京・神奈川・山梨・鹿児島。
(あだいか) 【複】ああだろうか 宮城。
こだいか:こうだろうか。
あだーいでー 【複】頭が痛い
あーだいに
あーたいに
【複】あんなに あだえ:山形。
あだいめ 当たり前
あーだが
あーたが
【複】あんな様子なの?、あんななの? どうしていつもああだかねえ
いづもあーだが:いつもああなの?。
あーだがではだいだ:あんな様子では駄目だ。
あーた 【複】あんな あーたごどではいがんめ:あんなことでは良く無いだろう。
あーたいーだのこーたいーだの 【複】あれが良いとかこれが良いとか
あだがす 【動】広げる、散らす 『あさがす』がさらに訛ったもの、『あだける』の他動詞形。
あーた
あーた
【複】あんな、あんなもの 『が』は濁音・鼻濁音。『そーたな』(類)。
あーたのごってなにがもんでーあんのが?:あんなことで何か問題があるのかい?。
あだがも
あだかも
【副】あたかも 語源が特定されず諸説ある言葉。
『あだかも』は日本最初の和英辞典である江戸時代発刊の『和英語林集成』に見える。また、1908(明治41)年に赤旗事件で入獄した堺利彦の『獄中生活』にも出て来る。
『かも』は広辞苑に『かも:【助詞】@(終助詞)1)疑問のカに詠嘆のモを添えたもの。詠嘆しながら疑う意を表す。2)(助動詞ムの已然形メにつづいて) 反語の意を表す。…ものか。3)
(助動詞ズの連体形ヌにつづいて) 願望を表す。…しないかなあ。3)(詠嘆のカとモの複合したもの。平安時代以後は主に「かな」に代った) 感動を表す。…ことだ。A(係助詞) 詠嘆しながら疑う意を表す。』とある。
どうやら古語と現代語には大きなギャップがあるらしい。茨城方言の『あだ』は現代では『あのような』の意味である。
『獄中生活』:菜は朝が味噌汁といえば別に不足はないはずだが、その味噌汁たるや、あだかもそこらの溝のドブ泥をすくうて来たようなもので、そのまた木槽たるや、あだかも柄のぬけた古柄杓のようなもので、その縁には汁の実の昆布や菜の葉が引かかっているところなど、初めはずいぶん汚なく感じた。
あだがも:秋田。
あーだがも
あーだかも
【複】そんな様子かも
(あーたくぅー) キノボリトカゲ 沖縄。
あーだぐ
あーたぐ
あーたぐも
あーだに
あーたに
あーたにも
【複】あんなに
あだ
あだ
あだくぢ
無駄口、悪口 『徒口』(あだくち)。
あだくら 葬儀で棺を担ぐ者 東茨城郡。
あだーくる
あだーにくる
【複】頭に来る
あだげる
◆あだける
あたげる
あたける
【動】あばれ騒ぐ。乱暴する。 『あたげる』:『集覧:無記載』。あたける:『集覧:稲』。
近世語の『あたける、あだける』。『荒くれる』。
あた:乱暴:静岡。
あだげる:騒ぐ:山形。
あだける:乱暴する:新潟。
あだける:暴れ騒ぐ:長野。
あたける:騒ぐ:新潟。
あたける:暴れる:長野・静岡。
あたーす:乱暴する:静岡。
あたんする:乱暴する:静岡。
△▽○あだける 【動】@△▽○ふざける、A嘲笑する、からかう 『あばける』
『おどける』や古い標準語の『あざる、あじゃる』(戯る)、『あざける』(嘲る)が訛ったものか。また『徒け(あだけ)』には『うわついたこと。浮気。』の意味がある。『廃く(あばく)』(@はげてくずれる。A気がゆるむ。だらける。)が訛ったことも考えられる。
『称呼』には『ざれたはふるる事を上方にてほたへると云。関東にてをどけると云、又でうける(じょうける)といふ又そばへるといふ。陸奥にてあだけるといふ。』とある。
『俚言』には『あだけ:うはきらしい、いたずららしい、あたける。あは助語也。たけるは猛の義也。』とあり、@の『あたける、あだける』と同源の意味で解説している。江戸時代からある東国方言。
@・あだける:ふざける:東北・福島・長野・北陸。
あたげる:ふざける:八丈島。
あーたれる:静岡。
A名詞形に『徒け:(アダクの連用形から転じた名詞か。アダにケ(気)がついたとも) うわついたこと。浮気。』がある。
あだけ:嘘:福島。
Bその他。
あだける:落ちる:兵庫。
あたける:甘える:和歌山。
あたける:無理を承知でする:三重。
あたける:落ちる:京都。
あだげる 【動】広げる、散らかす 『あさがす・あだかす』の擬似自動詞形か『開ける』(はだける)のh音の脱落か。
あたける:散らかす:新潟。。
あだごど
あだ
@つまらない事、A無駄なこと、無駄な言葉、Bあんなこと @A『徒事(あだと)』なら標準語。
B・あだごど:宮城。
あーだごど
あーたごど
あーたこと
【複】あんなこと 『あーだごど』は古い言い方。以下同様。
あだし 女性の代表的一人称 少しずつ『おれ』から『あだし』に代わって行く。複数形は『あだしら』
あだしー
あだーしー
【形】新しい 30年代の言葉、ラ行音を嫌っていた典型的例。
まっとあだしーくづおしー:もっと新しい靴が欲しい。
(あたじけない) 【形】けちである。しわい。 東京。近世語。
(あだじゃーねー) 【複】大変な様 山梨。
あだじょっ
あだじょっ
【形】やけにしょっぱい あだじょっ:福島・群馬。
あだじょっ:群馬。
あだする 【複】うらみに思う。しかえしをする。 『仇をなす』。古くは『あだなす』。『仇』は室町時代まで清音。
あだーこく:悪いことをする:山梨。
あたする:神奈川。
あたーする:八つ当たりする:東京青梅市。
あたーする:神奈川・山梨。
あだだまる 【動】温まる
あだだめる 【動】暖める
あだっ
あだだだだだ−−−
【感】あ痛っ!、痛い!
あだつく 【動】ありつく 鹿島郡。
ありつく→あらつくあだつく と変化したか。
あーだっちゃ〜
あーたっちゃ〜
【複】あんなことは〜、あんなことって〜 あーだっちゃあっか・あーたっちゃあっか:あんなことあるかい・あれじゃあひどいじゃないの。
あーだっちゃあんめ・あーたっちゃあんめ:あんなことあるかい・あれじゃあひどいじゃないの。
あーだっちゃねー・あーたっちゃねー :あんなことは無いよ・あれではひどいよ、
あーだっちゃねーど・あーたっちゃねーど:あんなことは無いよ・あれではひどいよ。
あーだっちゃねーべ・あーたっちゃねーべ・あーたっちゃねーよ:あんなことは無いよ・あれではひどいよ。
あだどご
あーだどご
あーたどご
【複】あんな所 あだどご:宮城。
あたへん:あの辺り:新潟。
あーだな
あーたな
【連体】あんな 『あーたら』
あだに 【副】おろそかに、軽い気持ちで、無駄に(変に) 『徒に』。古い標準語。
あーだに
あーたに
【複】あのように、あんなに 『あったに』
地域によっては『あーてに・あんてに』 と言うところがある事から、『あの体(てい)に』が語源の可能性もある。
いに:西日本。
あだい:山形。関西の『あない』に当たる。
あたに:青森。
あたらに:青森。
あにゅん:鹿児島。
あないに:西日本。
あねーに:中国。
あんたに:秋田。
あんない:静岡。
あんねーに:神奈川。
あーたの 【連体】あんなもの なんだあーたの:何だい、あんなの。
あーだのこーだの
あーたのいーだのこーたのいーだの
【複】ああ言いこう言い、なんだかんだ
(あたはんだ) 【複】私なんか 鹿児島。
(あたびー) カエル 沖縄。
あーだふーに〜
あーたふーに〜
【副】あのように〜、あんな風に〜 『あーたらふーに』
あだふだ
あだふた
あた
【副】【形動】あわてふためくさま 『あたふた』。
あたふた 【形動】沢山、むやみな様 現代では死語。
明治期発刊の茨城方言集覧では、望ましく無い方言として取り扱われているのが面白い。恐らくその当時既に、沢山の意味の『あたふた』は、耳慣れない言葉になっていたと推測される。
類義語の古語に『幾許(ここだ・ここた・ここだく・ここたく)』(こんなに多く)がある。万葉集の時代の言葉でもる。次項の言葉にもあるようにこの言葉は『あなふな(あんな風な)』の意味であり、現代でも『あんなに(沢山)頂きまして有難う御座います。』などと言う。
あーだふーだ
あーたふーた
【連体】あのような 『あんな風な』の意味。
あだぼー 当たり前 近世語の濁音化。『当たり前だ、べらぼうめ』が約まったもの。
あたぼー:東京。
あだま @頭、A髪の毛 @濁音化するのは典型的な東北系の訛り。ところで頭を指すことばはそのほか『かしら、かぶり、こうべ、つむり、つぶり』がある。また類似語に冠を示す『かぶり、かんぶり、こうぶり』がある。茨城では頭を『かんぶり』と言うが、『冠』の上代語は『かがふり』で、転じて『かうぶり・こうぶり』となり、『かんむり・こうむり・かむり・かんぶり・かぶり』になった。
『あたま』という言葉が主流となったのは江戸時代で、平安時代頃から使われるようになったが、初めは頭の一部(ひよめき)を指した。その後頭頂部を指すようになり、室町後期から江戸初期にかけて頭全体を指すようになった。そうなると、『あたま』とは『彼(あ)にてありたる間・彼(あ)たる間』あるいは『彼(あ)にある玉』さらに『天なる玉』の意味なのだろうか。
『語源』には、『@アテマ(当間)の転で灸点に当たる所の意か、Aアタマ(天玉)の義、Bアタルマド(当窓)の略。アタルとはその頂に当たる意、Cアテマ(貴間)の義、Dアマツマ(天間)の義、アメノミタマ(天御霊)の略語、Eオノガタマヰ(己霊坐)の義、F率いる意の動詞「アタム」の未然形名詞法、Gインドネシア語のウタマ(最高、最上の意)から。チベット語でこれをカブリといい、この両語が日本に入ったという、他』とある。
あだま:山形。
A江戸時代に髪の毛を『あたま』と言った名残り。
あたま:静岡。
あだまふったがってる:髪の毛がぼさぼさになっている。
あだまいきた 【複】頭にきた おらおめ、あだまいきたどー。あだまいきたらあにすっかわがんねがんなー。おめしってっかー:俺はね。頭に来たよ。頭に来たら何をするか解らないぞ。お前は知ってるかい。
あだまいくる
あたまいくる
あだまーくる
【複】頭にくる あたまいくる:群馬。
あだまいきたら、あだまはわすっちったほいーがもしんねな
あだまいで
あだまいでー
【複】頭が痛い、困った こんではいづーもあだまいだぐなっちゃーど:これじゃあ、いつも頭が痛くなっちゃうよ。
あだまおし 二人で額を合わせて押し合う遊び 祖父が元気なころ、良く遊んだ。
こきらっこ:神奈川。
あだまがづ 頭数、人数
(あだまがづ) 【複】頭が大きい 山形。『頭がごつい』意味か。
あだま 髪の毛 源氏物語に『頭の髪』という言い方がある。
あだまがら 【副】最初から、端(はな)から
あだまかり 髪の毛を切ること、床屋に行くこと 『頭刈り』の意味。江戸時代に髪の毛を『あたま』と言った名残りと考えられる。
あだまかる
あだまーかる
【複】【動】髪の毛を切る、床屋に行く 『頭を刈る』意味。
あだまきり
あだまーきり
髪の毛を切ること
あだまきる
あだまーきる
【複】【動】髪の毛を切る、床屋に行く 《頭を切ったら死んでしまう》
あだまくだし
【形動】頭ごなし 『頭下し』。清音ならあまり使われなくなりつつある標準語。
あたまっくだし:群馬。
あだまけずる
あだまーけずる
【複】髪の毛を櫛でとかす 髪の毛を『梳る』(けずる)。
あだまなし 頭ごなし 『ご』は濁音・鼻濁音。
あたまっこなし:山梨。
あだまする
あだまーする
【複】髪の毛を剃る 『頭をする』は『俚言』に掲載されている。
あだまだいじん
あたまだえじん
オタマジャクシ 常総市の県境付近にしかない言葉。『頭大尽』の意味だろう。
あだまっから 【副】最初から、端(はな)から あたまっから:東京。
あだまてんてん おつむてんてん 『あたまてんてん』『俚言』に掲載されている。
あだまとがす
あだまとぐ
【複】髪の毛を櫛でとかす 髪の毛を『解く』『解かす』。
あだまのけ 髪の毛
あだまのびる
あだまーのびる
【複】【動】髪の毛がのびる あだまのーびっちゃってっ:髪の毛が伸びてるだろうが。
あだまは 髪の毛を切ること、床屋に行くこと
あだまは
あだまーは
【複】【動】髪の毛を切る、床屋に行く
あだまわげ 割り勘、人数割り 『頭割り』。
あだまおかる 【複】【動】髪の毛を切る、床屋に行く
あだまわり @割り勘、A人数割り 『頭割り』。
A・あたまっ:神奈川・山梨。
あたまっ:山梨。
あーだめ
あーため
【複】@あんな目、Aあんな奴 Aは東茨城郡に顕著な方言。
あーためにやらさんにぇ:あんなやつに任せられない。
あーだもの
あーたもの
あーだもん
あーたもん
あんな物、あんな人 なんだあーたもん:なんだい、あんなもん。
(あたら・あったら) (アタラシの語幹。感動詞的に独立して、また連体詞的に名詞に冠して用いる) 惜しくも。もったいないことに。惜しむべき。(広辞苑) 静岡。『可惜』。
あーだら
あーたら
【連体】あんな あーだらやづがでぎっこあんめ:あんな奴ができっこないだろう。
あーだらこーだら
ああたらこうたら(あーたらこーたら)
【副】ああ言いこう言い、なんだかんだ 清音形は俗語。
あーだらごど
あーたらごど
あんな事 あだらごど:宮城。
あだらさる 【動】当てられる、ぶつけられる
あだらしー 【形】新しい
(あたらしや) 分家 静岡。
広辞苑に『あたらしや【新屋】@(愛媛県宇和島で) 葬具店。だみ屋。(民間の忌詞)A(長野県で) 分家からの分家。B(福井県で) 本家を弟に譲った兄の別宅。』とある。
また『にいや(新屋・新家)@(関東地方で) 新築の家。しんや。しんけ。A(関東・東海地方で) 分家(ブンケ)。新宅(シンタク)。』ともある。
にーえ:山梨。
にーや:茨城・神奈川。
(あたらしゃ) 【形】惜しい 沖縄。古語『可惜し(あたらし)』。
あーだらもの
あーたらもの
あーたらもん
あんな物、あんな人 『あーたなもの・あーたなもん』
あだり 【助】@辺り、【名】A当たり、B豊作、C果物等の腐り 濁音化。
@・あだり:山形・宮城。
あそごらあだり:あの辺り。
A★こごろあだり:心当たり。
B・あたり:山梨。
C・あたり:神奈川。
あだりいっ 【副】そこらじゅうに、辺り一面、あたりいっぱい 半濁音は濁音で発音されることがある。
あだりがる
あだりっががる
あだりっかかる
【動】八つ当たりする 『当たり』+『掛かる』。
あだり
あだり
あたり
八つ当たり 『当たり』+『掛ける』。
あたり:福島。
あたり:仕返し:岡山。
あたん:仕返し:京都。
あだりげる
あだりっがげる
あだりっかける
【動】八つ当たりする 『当たり』+『掛ける』。
あだりぎ
あだりき
あだりぎしゃりぎ
あだりきしゃりき
【形動】あたりまえ 『あたりき、あたりきしゃりき』。
あたりき:東京。
あだりぐれる
あだりくれる
あだりっぐれる
あだりっくれる
【動】八つ当たりする、当たりまくる
あーだりこーだり 【複】あれこれ
あだりぢらす
あだりちらす
【動】当り散らす 濁音化。
あだりはずれ 当たり外れ
あだりばぢ
あたりばち
すり鉢 『あたり鉢』。
『すり』の忌み言葉。
あたりばち:神奈川。
あだりばったり
あたりばったり
【副】手当たり次第 あだりばったり:山形。
あだりび 当たり日、命日、命日の当日 濁音化。それに当たる日の意味。
・あたりび:淡島様の祭礼の日・三月三日:神奈川。
あだりぼー 擂粉木 『当り棒』。擂粉木の忌詞。
あたりぼー:神奈川。
あだりまい
あだりめ
あだりめー
【複】当たり前 《あだりめーだのクラッカー》。『俺がこんなに強いのも、当たり前田のクラッカー。』は、当時の超人気番組『てなもんや三度笠』のコマーシャルで藤田まことが言った流行語。
あたりまい:東京。
あだりめ:宮城。
あたりめー:東京。江戸言葉。
あたるまえ:神奈川。
(あたりめ) スルメ スルメは『摺る』につながるので、験を担いでそう言う。
あだる 【動】(1)直進して対象に到達する。@(目標や急所などに)ぶつかる。命中する。A(局所などに)接触する。くっつく。B光がまともに差しつける。C(ある態度で)人と接触する。後世では、ひどく扱う場合に言うことが多い。D物事に探りを入れる。また、ためしにぶつかってみる。E照合して確かめる。F野球で打者がヒットを打つ。Gとがめだてをする。(2)直進作用をまともに身に受ける。@(日光・風・熱などを)身に受ける。身をさらす。A(役目や割当てなどを)引き受けて行う。担当する。また、割り当てられる。B事件・不幸・罪などに直面する。C飲食物や暑気・寒気がからだにさわる。毒気・悪気の害を身に受ける。(3)物事と他の物事とがぴったり相対応する。@(勢いが)匹敵する。はりあう。A(他からの刺激に)まともに反応する。思い当たる。B(そういう関係・順位・資格・価値などに)相当する。Cちょうどその方向・時期にある。該当する。D(基準・道理または事実に)かなう。合致する。また、的中する。E(願望などが)期待通りになる。(物事が)うまくゆく。F対戦相手としてめぐり合う。G(否定表現を伴って、…に適合しないの意から) …するには及ばない。(4)(忌詞)@果実などがいたむ。A(他動詞的に使って) 剃(ソ)る。擂(ス)る。商家で「する」「そる」というのを嫌っていう。(広辞苑) 『当たる・中る』。濁音化。左記は、広辞苑の解説をそのまま写したものだが、一部を除き殆どが現代でも使われる。
入試等で合格は『あだる』、不合格は『はずれる』という言い方は、現代標準語には無いが、単に方言とは言いがたい。
忌み言葉としての『あたる』は広辞苑に『@果実などがいたむ。A(他動詞的に使って) 剃(ソ)る。擂(ス)る。商家で「する」「そる」というのを嫌っていう。』とある。
あだる:青森。
1)直進して対象に到達する。
2)直進作用をまともに身に受ける。
@★こだづにあだってくれろや:炬燵に当たって下さい。
B★ばぢあだりだおめは:罰当たりだよ、おまえは。
C・あたる:山梨。
なんだがこんんかいはあだっちったな:何故か今回は病気になったね。
DE・あたる:そろばんをはじいて計算する:東京。
(3)物事と他の物事とがぴったり相対応する。
(4)(忌詞)
A・あたる:東京。
あだるど
あだると
あだっと
【複】(火に)当たると、(炬燵に)当たると、(くじに)当たると、(子供に)当たると、(ばちが)当たると、(食べ物等に)当たると 『当たると』。
あだるといーにあだるといーなあ:アダルト映画に当たるといいんだけどなあ。
あーだんだら
あーたんだら
【複】あんななら、あんなもんなら
あーだんで
あーたんで
【複】あんなので、あんなもので
あだんめ 当たり前 『あだりめ』がさらに訛ったもの。
あぢあぢ
あちあち
あっちあち
【感】あちち 熱い状態を表す。
あぢ
あぢー
あちー
【形】暑い、熱い、厚い 清音形は標準語の口語でも使われる。逆行同化。
あち:鹿児島。
あちー:群馬・神奈川・静岡。
あづ:青森。
あぢぢ
あぢっ
あぢぢぢ
【感】あちっ 中には、息の続く限り続ける人『あぢぢぢぢぢぢぢぢぢぢぢ−−−−−−』。『あぢ』を繰り返す人『あぢあぢあぢあぢあぢあぢ−−−−』。さらに訛って『あぢゃあぢゃあぢゃあぢゃあぢゃ−−−』
《そーいーば、『あぢぢあぢぢ』なんちうだあったけなやー。》
(あちこーこー ) 【形動】あつあつ、熱いこと 沖縄。
あちこい
あちっこい
【形】@可愛い、A端正な、素晴らしい 『集覧:無記載』。『あじこい』(上方でも使われる)の清音形。
県下では『羨ましい』意味の地域がある。
Bその他。
あちこい:羨ましい:千葉。
(あちさん) 他人 新潟。
(あちさん) 【形】熱い、暑い 沖縄。
【代】私 古い言い回し。『あたし』→『あちし』→『あっし』。
『あちし』と『あっし』の間のような発音で僅かに『ち』が聞こえる感じ。一部の女の子が使った。=『わちし』と同様。方言というよりテレビの影響か?。
(あちゃ・あちゃー) 明日 沖縄。
あぢゃ
あちゃ
あぢゃー
あちゃー
あぢゃぢゃ
あぢゃぢゃー
【感】ええ!、なにこれー!、あーあ、ありゃ、ありゃありゃ、ありゃりゃ 江戸時代には『はっちゃ』(恐ろしい時または嬉しい時に、思わず発する声。狂、抜殻「清水に鬼がゐる。はっちゃこはもの。急いで頼うだお方へ申し上げう」/広辞苑)と言った。
あちゃ:さようなら:新潟・山梨。
あちゃ:本当に:山梨。
あちゃ:それでは:埼玉。
あちゃー:富山。
あちゃよ:さようなら:山梨。
あつぁ:青森。
あっつぁ:青森。
じゃいや:青森。
じゃっ:青森。
あぢゃー、なーんだこれー、だーれやったんだっ:ええ!、何これ!、誰がやったんだろう。
あぢゃこぢゃ
あちゃこちゃ
あっちゃこっちゃ
【形動】あっちこっち、あれやこれや、話がまとまらない様 清音形は俗語。
あぢゃこぢゃ
あちゃこちゃ
【形動】互い違い
あぢゃま
あぢゃまー
あちゃまー
【感】あらまあ 当時テレビで流行った伴淳三郎の『あじゃー』は単なる造語による流行語だったという。
あちゃらか めちゃくちゃ、でたらめ 『あちゃらか』は広辞苑に『ごく日常的なことを材料としながら、笑いを誘うような、ばかふざけをすること。「―芝居」』とある。『戯(あじゃら)』(おどけたこと。たわむれ。ふざけ。じょうだん。かりそめ。浄、忠臣蔵「夫婦仲、睦じいとて―にも、悋気ばしして去らるるな」)と同じルーツと考えられる。
一方、色川武大の著作に『あちゃらかぱい』がある。戦前戦中の浅草六区の喜劇人について書いたものである。
那珂郡に残るこの茨城方言は、偶然の一致ではなく『戯(あじゃら)』をルーツにした言葉だろう。
あぢゃら:薄情な・人情がない:宮城。
あーちゃん @お母さん、A叔母さん 東茨城郡・下館市・水海道市。
東京方言の影響と見られる。
@・あーちゃん:東京・神奈川。
あづい
あづえ
あづぇー
あつえ
【形】@暑い、熱い、A厚い @・あづ・あつ:青森。
あづい:宮城。
★『土』:おお暑(あつ)え暑(あつ)え、なんち暑(あつ)えこったかな
A・あづ:青森。
あづいまげ 暑気あたり
あつぉご
あつぉこ
【代】あそこ
あっか 母親 『おっかあ』が訛ったものと思われる。
(あっか) 魚。 福島。幼児言葉。
あっか 【複】有るかい? 標準語の口語でも使われることがある。俗語に近い。江戸語と思われる。
あーたっちゃあっかよ:あれではあんまりだ(あんな事が有るかよ)。
あっかよっちゃあっかよ:有るかいって言うことは無いだろう。
そったごどあっかい:そんなこと有るかい?。
あっかー ひしゃく 筑波郡。
あっかあっか 【形動】はらはらすること、焦ること、やきもき、あたふた あかあか:危険を感じる様:佐渡島。
あっかあっか:栃木。
あっがい 【形】赤い 強調語。
あっかい:静岡。
(あっがいたんぎー ) 【感】驚いたときに出る言葉 沖縄。
あづしら
あつしら
髪の毛の多い人(様)
あづがましー 【形】厚かましい
あっかもしんない
あっかもしんね
あっかもしんねー
【複】有るかもしれない 『あっかもしんない』は今では俗語。
△▽あっかもっか 【形動】はらはらすること、焦ること、やきもき、あたふた 『集覧:真』。
あっかあっか:栃木。
あっかまんどーする:慌てふためく:神奈川。
あっかもっか:茨城・千葉。
あっくれもん:あわて者:神奈川。
★『土』:日暮に成ったら、あっかもっかして凝然(じっ)としちゃ居らんねえんだ:日暮れになったらやきもきしてじっとしちゃあ居られないんだ。
〜あっから 【複】(〜が)有るから 俗語。
あっからかん 【形動】あっけらかん これは辞書には無い言葉だが方言とはいえないかもしれない。
(あっかり) 【副】うっかり 静岡。
あづがる
あつかる
【動】預かる あつかる:宮城。
あづがー
あづかー
あづっかー
厚顔。恥を恥とも感じないこと。鉄面皮。 『厚皮』。
あづがんべ
あづがんべー
あつかんべー
【複】暑いだろう 茨城では高齢者言葉で『〜がっ・〜かっ形がメジャー。
あつかんべー:東京。
あつき 小豆 清音化。『あ』とは『赤い』に通じ『赤いものがなる木』を思わせる。
あずぎつけずに:むきだしに:山形。
あちき:鹿児島。
あつき:八丈島。
あつきごはん
あつきめし
赤飯 あつきめし:八丈島。
あつく 【代】あそこ 『あすく』がさらに訛ったものか。
『彼つ処』の意味で、古代語の流れ。
あっこ:新潟・長野・静岡。
あづくび
あつくび

あづっくび
コンニャクやヤマイモの球根の芽の出口の凹み 高萩市。『足の首』すなわち『足つくび』の意味。
(あっくれもん) 慌て者 神奈川。
あづけ コンニャクやヤマイモの球根の根 高萩市。『足の毛』すなわち『足つ毛』の意味。
あづげ
あづけ
あつけ
あづっけ
暑さ 古語。『暑気』。暑気あたりの意味もある。
あっけ
あっけー
【複】@有るかい?、A有った @・あるけ:山梨。=『あるげ』
A『ありけり』
あっけど
あるっけど
【複】有るよ、有るそうだ 『あんだよ』。『ありけりぞ』。
そごにあっけど:そこにあるそうだ。
あっけど
あっけと
あっけっと
あっけんと
【複】有るけれど 『あんだけど・あんだけんと』。さらに終助詞『や、よ』等が付くことがある。
あそごにあっけどよー:あそこにあるそうだよ。
あっけど
あっけと
あっけっと
あっけんと
あっけども
あっけとも
あっけっとも
あっけんとも
あっけども
あっけとも
あっけっとも
あっけんとも
【複】有るけれども さらに終助詞『や、よ』等が付くことがある。
あっけんとも:宮城。
□あっけない 【形動】@あっけない、A物足らない、手応えがなく張合いがない、つまらない 『集覧:稲』。標準語。『呆気ない』。
『国誌』にも掲載されていることから江戸時代に生まれた新語と考えられる。
あっけあなえ:山形。
あっけなす 【動】悪口を言う @『悪気』『成す』。
A『悪く』あるいは接頭語+『けなす』。
あっけね
あっげねー
◆■あっけねー
【複】@あっけない、A物足らない、手応えがなく張合いがない、つまらない 連母音変形。江戸言葉。
あっけねー:福島・神奈川。
あっけや 【複】有ったよ 『ありけりや』。
あっけら
あっけらかん
あっけらけん
あっけらこん
あっけらぼ
あっけらっけら
あっけら
【形動】@事の意外さにあきれて、ぽかんとしたさま。Aまた、少しも気にせずけろりとしたさま。 半濁音は濁音で発音されることがある。
@標準語の『あっけらかん』は、呆れる側の心情を示すが茨城弁では対象も指す。古くは『あけらくわん・あけらかん』。標準語は、『あけらけん』が訛ったもの。その他に今は使われなくなった『あけらぽん。あけらひょん。あけらほん。あんけ。あんけら。がある。語源は、『口を開けた様子』の意の『あんけ(開けの転)』という。古い言葉が転じて残っている例。
あっけんけらすけ:ぼんやりとした様・びっくりした様:神奈川。
あっ:宮城。
あんけらかん:東京。
いやー、あっけらしちゃったでやー:やあ、呆れたよ。
あいづはあっけらかんなやづだ:あいつは呆れた奴だ。
Aの意味の標準語はほとんど聞かれなくなった。
あいづああっけらかんだがらなー:あいつは何を言われても気にしないやつだからなあ。
あつける 【動】預ける 清音化。
あすける:静岡。
あつける:八丈島・新潟。
あっこ 足跡
あつこ
あっこ
【代】あそこ 『あ』は『彼』であり、『つ』は古語の格助詞
で『の』の意味、『こ』は場所を示す接尾語の『処・所』とすれば理解できる。『彼つ所』の意味か。促音表現の原型を思わせる言葉。
あこ:山梨。
あつこ:山梨。
あっこ:東京・神奈川・新潟・長野・静岡・山梨・富山・三重。
あっこら:あの辺:長野。
あっこんとこ:あそこの所:神奈川。
(あっこ) 【動】扱う 鹿児島。ウ音便化した『あつこう』の変化。
あづこい
◆▲あつこい
あづっこい
あつっこい
あづけー
あつけー
【形】厚い、分厚い 『集覧:那・東・真』。
あっこだあっこだ
あっこどあっこど
【複】沢山ある様、あることあること 『あっこだ』は『あることをは』『あることや』の流れか。
あっこだあっこだ:宮城。
(あっこと) 悪口 神奈川。
『悪言』の誤読か。
あっこんだら 【複】有ったとしたら 『ある事なら』。
あっこんだら:福島。
そーたごどあっこんだら、やんねほーいー:そんなことが有ったらやらない方が良い。
あっさー 父親 結城郡・猿島郡。
あっしゃん:和尚さん:群馬。
(〜あっせ) 【複】〜なさい 静岡。『〜あんすえ・やんすえ』の意味か。
ごめんあっせ:御免なさい:静岡。
あっぜー 【形】@暑い、熱い、A厚い
あづだ 苗を密植した田んぼ 『厚い田』の意味。
あっだ 【複】有った あっだあっだ、こごにあっだ:有った有った、ここに有った。
(あったー) 彼等 沖縄。
あっだ〜
あーった〜
あーっだ〜
あぁった〜
【連体】あんな この『あ』はやや伸ばし気味に発音することが多い。
あったが 【形動】暖かいこと
あったいー 【複】あった方が良い
あったいーだのこったいーだの 【複】あれが良いとかこれが良いとか
あったがぼっこ
あったかぼっこ
あったがぼっち
あったぼっこ
ひなたぼっこ 標準語では、古い言葉も含めると『ひなたぼこ、ひなたぼこう、ひなたぼっこう、ひなたぼこり』がある。
この言葉の場合、明らかに標準語が訛っている。
あったかぼっこ:群馬。
ひなたぶくり:宮城・静岡・岐阜・福岡。
あったぐ
あったく
【副】全く m音の脱落。
あった:八丈島。
あったげ
あったけ
【複】あるだけ(全部) あったげ:宮城。
あったげ
あったげー
あったけ
あったけー
【形】暖かい あたけ:宮城。
あったかい:愚かな様:神奈川。近世上方語の『温い(ぬくい)』に当たる言葉。
あったけー:埼玉・神奈川・新潟。江戸言葉。
あったけー:愚かな様:新潟。
あったけーの:愚か者:新潟。
あったげ
あったけ
【複】有ったかい
あったげ
あったけ
【複】@あれだけ、あれのみ、Aあれほど 『あれだけ』。=『あんだげ』
あったこい 【形】厚い 古河市の方言。
あっただい
あったたい
あっただがい
あったたけー
【形】暖かい ぜーぶあっただぐなりやしたよー:随分暖かくなりましたねえ。
あったちっと 【複・形動】あんな僅か あったちっとでもーしゃげねーけんともらってくんねべげ:あんな少しで申し訳無いけれど受け取ってもらえないだろうか。
あったっけべ 【複】あっただろう
あっだっべ
あっだっべー
◆■あったっ
あったっ
あったっへ
あったっへー
あっだべ
あったべー
あったへ
あったへー
あったんべ
あったんべー
【複】あっただろう 『集覧:久』。これに助詞『ど、どい、どや、、どよ、どよな、な、ない、なな、なに、なや、なよ、なよな、に、にな、にや、によ、や、やい、やな、よ、よい、よな、よに、よや』等がついて微妙に使い分ける。
そごにあったっにやー:そこにあっただろうが。
あったっ
あったっーや
【複】あっただろう この意味に近いニュアンスの言葉は、『あったっな・あったっや・あったっよ』
あったど 【複】あったぞ
あっだな
あったな
あーったな
【連体】あんな
あったに〜
あーったに〜
【副】あんなに あったごつ:ありのままに:鹿児島。
あったふった
あったもった
【副】あたふた
あったもんだら 【複】@有ったものなら、Aあんなものなら
あったまーし
あっためいし
あっためえし
あっためーし
@暖め返し、A映画の再放映 『げ』は濁音・鼻濁音
最近は、テレビ等の再放送も指すそうである。
あったまーす
あっためいす
あっためえす
あっためーす
あっためけーす
【動】再度暖める、暖め返す 『げ』は濁音・鼻濁音。みそ汁は煮詰まるので水を加えたが、炊飯器の無い時代のご飯はそうは行かなかった。特に夏場は風通しの良い『おはぢ(お櫃)』でもすぐに饐え始め、『麦割りめし』は『あっためげえす』と特有の臭いがした。むしろお茶づけの方が無難だった。最近は『再放送』を指して言うそうだがその場合は新語
★『土』:うむ、少し芋足(た)して暖(あった)め返(けえ)したんだ:うん、少し芋を足して暖め返したんだ。
あっためげんこ 息をはあっとかけてからする拳骨。千葉県の方からの投稿。
あっだめる
あっためる
【動】暖める
あづだもせんごぐうすだもせんごぐ 諺の一種 『厚田も千石薄田も千石』の意味。稲田は、苗を沢山植えてもなばらに植えても収穫量は同じになること。
あったもった 【副】あたふた
あっだら
あったら
あーったら
【連体】あんな 『とやら』の転か『あんなな』の転。東北系の訛り。
あったらに:あんなに:青森。
(あったら) 【副】惜しくも。もったいないことに。惜しむべき。あったら。 東京。
あったらいのぢ
あったらいのち
【複】惜しい命 『可惜命』の意味。
あったらいのち:東京。
★『土』:お品(しな)さんも可惜(あったら)命(いのち)をなあ。
あったらこったら 【複】あれこれ 俗語と考えられる。
あったらごど
あったるごど
あったるごと
【複】もったいないこと、惜しいこと 『可惜物(あたらもの、あったらもの)』の撥音便の転訛。
あったらこと:山梨。
あったらごど 【複】あんなこと 東北系の訛り。
『彼にてある事・彼なる事』の意味。
あったらごど 【複】とんでもないこと 『可惜物(あたらもの、あったらもの)』が転じたか。
あったらしー 【形】@▲もったいない、惜しい、A新しい @『集覧:無記載』。
広辞苑に『あたらし【可惜し】:(アタラはアタル(当る)と同源か。アタは相当する意。対象の立派さ、すばらしさを認め、その立派さに相当する状態にあればよいのにと思う気持を表す。平安時代以後「新し」と混同した)@このままにしておくのは惜しい。惜しむべきである。もったいない。A(そのままにしておくのは惜しいほど)立派だ。すばらしい。』とある。
あたらい:石川。
あったら:石川。
あったらい:石川。
あったらし:鹿児島。
あったらしー:茨城・長野・富山・石川。。
あったらしか:九州・鹿児島。
あったらむしー:青森・秋田。
あたらむし:青森・八丈島・新島・利島・石川・山梨・佐賀・長崎・熊本。
おとましー:石川・岐阜・静岡・愛知・三重。
あったらむしかる:惜しがる:青森。
A促音化。
□あったらもの
◎あったらもん
あったるもの
あったるもん
【複】もったいないもの、惜しいもの 古語の『惜物・可惜物(あたらもの、あったらもの)』。『有りたらばと惜しむ』意味。
あったらもの:栃木・埼玉。
あったらもん:岩手・宮城・山形・福島・茨城・千葉・栃木・埼玉・群馬・新潟・長野・滋賀・大阪・三重・和歌山・佐賀・宮崎・鹿児島・沖縄。
★『土』:そんでも可惜(あったら)もんだからよ:それでも勿体無いからさ。
あったらもの
あったらもん
【複】あんなもん 東北系の訛り。
『彼にてあるもの・彼なるもの』の意味。
あったらもの:青森。
あっぢ
あっち
【代】あっち 『彼方』。
上代の遠方を示す言葉は『彼(あ)』である。『彼方』とは『彼(か)なる方』の意味である。
『彼方(かなた)』という言葉は口語ではかなり早くから廃れたらしい。
相撲の行司は今でも東西を区別して『彼方(かなた)』と『此方(こなた)』と言う。
あづ:青森。
あっつ:宮城。
あっぢー
◎あっちー
【形】暑い、熱い 清音なら俗語。
あっちー:群馬・神奈川。
あっちぇ:新潟。
あっつ:青森。
あっちいい
あっちー
【複】あっちへ行け 『げ』は濁音・鼻濁音。
あっちいいったりこっちいいったり 【慣】あっちに行ったりこっちに行ったり
あっちいぐらぐらこっちいぐらぐら 【慣】思い悩んで決められない様子
あっぢ
あっち
あっち
あっちか
あっちかー
【形動】あっち側、あっちの方 あっち:東京青梅市。
あっち
あっちかし
【形動】あっちの端、あっち側、あっちの方 『あっち河岸』の意味か、『あっちが端』が訛ったか。
あっちかだ あっちの方、あっち側
あっちかわ 【複】あっち側
あっぢ
あっち
あっちくち
【複】あっち側、あっちの入口
あっちくっち
あっちこっち
あちこち あっちこっち:神奈川。
あっつこっつ:宮城。
あっちくっち
あっちこっち
あべこべ あっつこっつ:宮城。
あっちごどもねー 【複】途方も無い、予想外な やや古い標準語の『当て事もない』(あてこともない・あてごともない)の転か。
あっちし 【形動】あちらの端、あちちら側、あちらの方 『あっちし』の短縮形。
あっちっか
あっちっかー
あっちっかわ
【複】あっち側 あっちっかー:東京青梅市。
あっちっかわ:群馬。
あっちっかだ 【形動】あっちの方、あっち側
あっちっ
あっちっ
【複】あっちの端
あっちな 【代】あっちの
あっちなてー
あっちなんて
あっちなんてー
あっちのてー
あっちんてー
@あっちの人、A別の方法
あっちばだ
あっち
あっち
【複】あっち側、あっちの端 あっちべた:新潟。
あっちまに
あーっちまに
あっちーまに
あーっちまに
【複】あっという間に
あっちむぎ
あっちーむげ
あっちの方を向いていること、別の方向を向いていること、あっちに相応しいこと
あっちめ 斜視 那珂郡・水戸市の方言。
あっちゃ 【代】あっち、あっちへ 『聞書』には江戸で『あっち』、浪花で『あっちゃ』とある。明らかに『あちら』が訛ったもので、江戸言葉が一番訛っている。
あっちゃ:青森・秋田・宮城・福島。あっちゃいけ:あっちに行け:宮城。原型は『あっちあいけ』と見られ格助詞が隠れている。
あっちゃん:あっちへ:鹿児島。
あっちさめ:あっちへ:鹿児島。
あっちせん:あっちへ:鹿児島。
あっぢゃ
あっちゃ
あっぢゃー
あっちゃー
【感】驚きの言葉、あれれ、あちゃあ 『あっちゃ・あっちゃー』は俗語として使われる。
あっちゃ:新潟。
(あっちゃー) (歩く人から転じて)職業とする、生業とするの意 沖縄。
あっちゃこっちゃ 【複】@あっちこっち、A互い違い、あべこべ、Bちぐはぐ 『あちらこちら』。
@・あっちゃこちゃ:群馬。
A多く関西で使われる。
あっちゃこっち:鹿児島。
あっちゃこっちゃ:山形・石川・福井・大阪・鳥取・四国・九州・鹿児島。多く関西で使われる。
B・あっちゃこっちゃ:山形。あっちゃこっちゃなごどをゆー
あっちゅまに
あっちゅーまに
【複】あっという間に
あっちょ
あっちょー
【複】あっちを 速く喋るとこのように聞こえる必然的な訛り。
あっちょー:山梨。
あっつぁげ 鳥肌 北茨城市の方言。全国的にも珍しい言葉。もともと鳥肌の意味ではなく鳥肌が立つような恐ろしい意味が転じたとしか考えられない。そう考えれば『はっつぁげる(張り裂ける)』『わっつぁげる(割り裂ける)』が浮上する。
あっづい
あっつい
あっづえ
あっづぇー
あっつえ
あっつぇー
【形】@暑い、熱い、A厚い @『あっつい』『あっつぃー』は俗語としても使われる。標準語との境界は今や曖昧である。
あっつい:宮城・静岡。
あっづえ:秋田・山形。
あっつぃーなし 【形】無分別で軽率な様 北茨城市の方言。『さっつぁいなし』がさらに訛ったもの。
あっつぉ 【複】有るぞ あっそい:福島。『あるそや』。
あづっがましー
あづっかましー
あつっかましー
【形】厚かましい
あづっけー
あつっけー
あづっこい
あつっこい
【形】@厚い、分厚い、A熱い @・あつっこい:福島・栃木。
(あっつら) 【複】有るだろう 静岡。『あるずら』が促音化したもの。
あって
あってー
【複】あれで
あってごどもねー 【形】途方も無い、とんでもない やや古い標準語の『当て事もない』(あてこともない・あてごともない)の転。
あってこともない:栃木・群馬・長野・静岡。
あってこともない:大変:静岡。
あってこてもねー:群馬。
あちぇんなか:鹿児島。
あてこともない:大変:静岡。
あでごどもなえ:山形。
あてんなか:鹿児島。
あっと 【複】@有るよ、有るぞ、A有るらしい @促音化・清音化。
あるぞ→あんぞあっぞあっと
あっちにあっと:あっちに有るよ。
A『有ると』の意味。
標準語は不思議で、『それがあって、それがあったら』とは言うが『それあっと』とは普通言わない。茨城方言の方が文法に忠実である。『やっと』(遣ると)も同様。
これあっといーんだいな:これが有るといいんだよな。
そーいごどあっとたいへんだど:そう言うことがあると大変だぞ。
あっとあらかいであんねおまんこくっちゃった 【慣】子供の囃し言葉。相手が『ああ』と返事をしたときに言う。 子供の囃し言葉だから、意味は差し引く必要がある。
『民俗』によれば下館市限定の慣用句だが、使った記憶がある。一見下賎な慣用句だが、何か歴史的・民族的な深い意味があるかもしれない。
『ああ』と安易に承諾し、開き直った相手に対して中傷する心象を示す高位なテクニックだと思われる。
現代語のイメージではとんでもない意味になるが、『あんね』は茨城では、姉またはまたは女中を指す。また、ここでの『おまんこ』は江戸時代の婦人語で饅頭を意味する略称の『おまん』に『こ』がついたと思われる。
勝手な解釈だが、直接約せば、『良いよと言って、あぐらをかいて、饅頭を食べているようなものだよ。』と中傷したのだろう。
〜あっとが 【複】有るのか、有るんだね そーたごどもあっとが:そんな事もあるんだね。
あづどご タタミ 『厚床』。
あっとご 【複】ある所 あっとごにあんだ:ある所(どこか)にあるんだ。
どごがにあっとごねーげ:どこかに有る所無いかい。
あっとごしょーぶ ある時勝負、金を持っている時の大胆な勝負
あっとする 【動】驚く、はっとする
(あっとって) 【複】あっても 山梨。『ありとて』。
(あっなか) 【形】危ない 鹿児島。あぶない→あぶなかあっなか
あっ 『集覧:多・北・筑・稲・真』。辞書掲載語。『(仙台および山形・山梨県で) 口のきけない人。』とある。
『俚言』にも常陸の方言とある。
各地の意味を総合すると関西の『阿呆』に該当すると考えられる。
あっ:宮城・福島。
あっ:馬鹿:宮城。
あっ:山形・福島・新潟・山梨・関東地方。
あっ:馬鹿:福島・静岡。
あっぱぐ:ぼけっと口を開けている様子:福島。
あっ:悪い子:新潟。
あっしょ:仲間はずれ:宮城。
あっ:あきれたり驚いて大きくあけた口:新潟。
あっんじょ:大便用の便所:新潟。
あっ:あきれたり驚いて大きくあけた口:新潟。
あば:鹿児島。
(あっー) 釜の一種 静岡。
解説に『はそり』とあるが、意味不明。『歯釜』の事か。
〜あっ 【複】〜あれば 半濁音は濁音で発音されることがある。
いっかんめもあっいがっ:1貫目もあればいいでしょう。
あっ 【感】さよなら 県北部。幼児語。『あばよ』。
あちゃ:新潟・山梨。
あんば:秋田・福井・滋賀。
あづばい 熱い灰 『熱灰(あつばい)』(火の熱さが残っている灰:広辞林)。火で十分に熱せられた灰で、芋や栗を焼くのに利用した。
あつべ:神奈川。
あづべー:茨城。
びりんべ:神奈川。
びりんべー:神奈川。
ほどばい:神奈川。
(あっい) 【副】やはり 鹿児島。
あっ 子供をけなす言葉 『あっと同じルーツの方言。『集覧:北』。『童衆(わっぱしゅう)』の意味も考えられる。
あっ:赤ん坊:八丈島。
あっすっ
◆▲■あったっ
あったっ
【副】@はらはらすること、A焦ること、あたふた、Bやきもき 半濁音は濁音で発音されることがある。あっすっ:『集覧:多』。『あったっ:『集覧:多・稲』。
A・あっすっ:神奈川。
(あっばった) 【複】参った、疲れた 鹿児島。
あっ 【感】さよなら 県北・県西部。
あっばっば
あっ
【形動】@開けっ放しの様、A服がだぶだぶの様、B開けっぴろげな人、C馬鹿 調べると『大正末期頃流行った女性用のワンピース型夏服の呼称』とある。『あっとも関係がありそうな方言。
@・あっーすー:静岡。
C・あっ:神奈川。
D・あっ:女性用のワンピース型夏服:新潟。
Eその他。
あっ:何もなくなった様:静岡。
あっのすっ @開けっぴろげな人、A馬鹿
◆▲あっとっ 【副】@はらはらすること、A焦ること、あたふた、Bやきもき 半濁音は濁音で発音されることがある。『集覧:那』。
A・あっとっ:福島。
Cその他。
あっとっ:訳のわからない様子:宮城。
:訳のわからない・ちんぷんかんぷん:宮城。
あづばり 集まり、会合 茨城ではマ行音の濁音形はバ行音だと感じている事を示す言葉。しかしこれはれは茨城だけではない。
あづばる 【動】集まる あづばる:青森・宮城・福島。
(あっち) 大きな口を利くこと 神奈川。
あづひ ヤマイモの細い根 『足つ髭』の意味。
あっ 【感】(子供に向かって)こらの意味 半濁音は濁音で発音されることがある。標準語では『あっぷっぷ』。ただし辞書不掲載。『ぷ』は、怒った時の顔の状態と考えられる。
そったごどしたらあっだがんな:そんなことしたら怒るよ。
あーつぶ
あーっつぶ
@小さなもののたとえ、粟粒、Aはかないもののたとえ、泡粒 『粟粒』『泡粒』。
そおたあーっつぶつづぐよーたごどしたらやがらいっかんな:そんな、重箱の隅をつつくようなことをするとると嫌がれるからね。
あっ
あっぷぷあっぷぷ
【形動】あっぷあっぷ、水に溺れて苦しむさま。転じて、非常な困難に苦しむさま。 半濁音は濁音で発音されることがある。
あっ:鹿児島。
あっあっ:東京。
あづぶぐれ 【形動】衣服に綿を沢山入れて膨らんだ状態 あづぶぐれたえ:衣服に綿を沢山入れて膨らんだ様:山形。
あづぶぐれる 【動】衣服に綿を沢山入れて膨らむ
あったっ 【副】焦ること、あたふた 半濁音は濁音で発音されることがある。まれに『あっぷあっぷ』の意味で使う人もいた。
あっいも
あっらいも
ジャガイモ 『集覧:多』。
『かぶらいも』の意味と考えられる。この方言から、東北方言の謎が解ける。ただし、オランダ語の『aardappel』に由来するとする説がある。
『民俗』では那珂郡那珂町、茨城方言集覧では旧多賀郡の言葉として紹介されている。
ジャガイモを初めて栽培したのは昭和40年代。蒸かしたジャガイモを食べると天国にいるような気がするほど美味かった。
『茨城のことば』では、『茨城方言であっらいもと言い、那珂川を上がって栃木では「かんら・かんら」、佐竹氏のの移封で秋田「あんら・あふら」、さらに宮城「あっら」に伝わった。天保七年丙申(1836)の大飢饉の年に出版の「救荒二物考」(高野長英)に「アップラ奥地の方言なり。按ずるに此アールドアップルの略言なり。」とあるようにオランダ語 aard apple(土リンゴのことでジャガイモの意)の略転。(中略)尚、あっかんと、語勢を強めてののしり言葉、悪口言葉として使ったりする。「かんは、発芽しはじめてシワのよったジャガイモ」というが、食用にならぬ腹立たしさはののしる意味に通じるからでもある。』とある。
あっ:岩手・秋田・宮城。
あっらいも:宮城・茨城。
あふら:秋田・宮城。
らいも:秋田。
あん:秋田。
あんらいも:秋田。
かっらいも:茨城。
かん:福島・茨城・栃木。
かんらいも:茨城。
かんらえも:福島。
かん:茨城・栃木。
かんらいも:茨城・栃木。
あっれる 【動】溢れる
◆▲あっ
あっ
あっ
@【形動】▲きたない様、A▲きたない物、B悪口 半濁音は濁音で発音されることがある。『悪し兵衛』の意味だろう。『集覧:真・稲・久・多・鹿』。
@幼児言葉。
あっ:福島。
それはあっだがんな:それは汚いよ。
あっづら:汚い顔。
A・あっ:大便:埼玉・新潟・石川・福井。
あっんじょ:便所:新潟。
(あっー) 【形】まぶしい 神奈川大磯の方言。
あっべ
あっべー
あっ
あっ
あっへ
あっへー
【複】あるだろう 茨城弁の代表語。あるべし→あるべえ→あんべえ→あっべ・あっべー・あっ・あっ
あっ:千葉。
あっした:福島。
あるらに:あるだろうに:山梨。『あるらむに』の意味。
★土浦の民話:むじなのちょうちん:ありや、この村さ長ぐ住んでるムジナでもあっよ。ムジナでもな、長ぐ住んでれば、おらも村ん人(しと)の役(やぐ)に立ぢでえなんて、思ーごどもあんだっ
あづべー 熱い灰 『熱灰(あつばい)』(火の熱さが残っている灰:広辞林)。火で十分に熱せられた灰で、芋や栗を焼くのに利用した。
あつべ:神奈川。
びりんべ:神奈川。
びりんべー:神奈川。
ほどばい:神奈川。
あっがら
あっへがら
【複】あるだろうから あっがら:宮城。
あづべこづべ 寄せ集め 北茨城市。茨城らしい語呂合わせ言葉。
あっこっ 【形動】あべこべ あっ:青森。
あっとっ:首尾一貫しないこと:宮城。
あっとっ:福島。
あっ
あっ
【複】あるだろう(チャンスがあるよ) 半濁音は濁音で発音されることがある。余韻を含む言葉。=『あべし・あんべし』
あっ:宮城。
あっした:福島。
★(患者)せんせ、とごろでおらのむすこ、せながのあだりいでっつってんだよ(医者)だいじだっぺがそったごどもたまにはあっ:(患者)家の息子がね、背中の辺りが痛いって言ってるんですよ−(医者)大丈夫でしょう。そんなこともたまにはあるでしょう。
あっしか
あっちか
【複】あるだろうか そったごどもあっちから:そんな事もあるだろうから。
あっって 【複】あるだろう、あるだろうって
あっづら @汚れた顔、A馬鹿づら 土浦市・新治郡の方言。土浦では幼児語。
@あっかお:べそをかいた顔:栃木。
あっべども
あっども
あっへども
【複】あるだろうが 『あるべしども』。
あるべども:青森。
あっなし
あっいなし
他人を悪く言うこと(人) 半濁音は濁音で発音されることがある。
『悪気』『成し』か『悪く圧し成す』意味か。
あっなす 【動】悪口を言う 半濁音は濁音で発音されることがある。
あづべり タタミ 稲敷郡。薄縁に対して『厚縁』の意味だろう。
あづべる
あつべる
あづめる
【動】集める 『べ』と『め』は音通する。
あづべる:青森。
あつべる:青森・秋田・宮城・神奈川・八丈島・山梨・静岡。
あつべもの:集め物:宮城。
あっ @帽子、A餅 幼児語。
@奈良ではぞうり、長崎では履物を言う。
あっ:東京。
A『あんも』
あっ:栃木・福井。福井ではだんごも指す。
あっ @汚い様、汚いもの、A餅 @『集覧:北』。
あっ:大便:福島・埼玉・新潟・石川・福井。
あぼ:大便:福岡・佐賀。
A『集覧:久・那』。『あんも』『餡餅』(あんもち)が訛ったと思われる。
Bその他。
あっ:大便:福島。
あづぼったい
あつぼったい
あづぼってー
あつぼってー
【形】@厚い、厚ぼったい、A暑い、暑苦しい、B腫れぼったい @『厚ぼったい(あつぼったい)』なら古い標準語。『厚い』+『重たい』意味か。
あつぼったい:東京。
A『暑重たい』意味。
あつぼってー:山梨。
★『土』:熱(あつ)ぼってえから一枚(めえ)とってくんねえか:暑いから一枚とってくれないかい。
B『熱重たい』意味。
あつまや 東屋 清音化。『国誌』には解説が無い。
あづらい 注文すること。 『誂え』。
あづらいもん 注文品 『誂え物』。
あづらいる
あづれーる
【動】注文して作る 『誂える』なら標準語。別に『頼んで自分の思うようにさせる。』の意味がある。
『あつらえる』の『あ』は『吾』、『つ』は格助詞『の』、『らえる』は使役の意味か。
あづらえる・あつらえる:依頼する:青森。
あつらえる:預ける:青森・山形。
あつらーさる:注文を受ける:山梨。
あつらさった:頼まれた:静岡。
あで 当て、見込み あで:ナマズ・ウナギ・カニ等の住処:千葉北部。『当てにする場所』。
あでこ:腹当て:山形。
あで 木材の欠点の一。材の一部の硬くなっているところ。樹木の日かげの側、または、山地斜面のもので根本の湾曲している部分など。 『あて』。建築専門用語。
あでー 『あたい』が訛ったもの。幼児言葉・若年層の女言葉。
あて:京阪神の方言。
あてー:神奈川。女言葉。あてーら:複数。
あで
あーで
@【接】さて、はて、A【代】あれ @さて→はて→あで
あーで、どーしっかい:さてどうする?。
A茨城ではラ行音がまれにダ行音になる。
あででいがっ:あれで良いだろう。
あでいじゃり
あでいしゃり
後ずさり 『あどいじゃり』がさらに訛ったもの。
あでいじゃる 【動】後ずさりする 『あどいじゃる』がさらに訛ったもの。
あでーしゃ:山梨。
あでおに
あておに
子供の遊びの一つ 当時の子供達は、決まった遊びに飽きるとしばしば、新しいルールを考え出して遊んだ。
目隠しをした鬼が音や声を聞いてその当人を当てる遊びだったと記憶する。
あで
あで
【動】宛がう、与える 日常的にしばしば用いた。『あてがう』なら標準語。
あて:静岡。
あて:山梨。
あでくじ 駄菓子屋のくじ、当時の子供用の遊びくじ 『当て物』の一つ。『みせや』でくじを引くのは5円の時代。『おーぐーれ』『くっだいよ』と言って店に入る。テレビで耳にする『くださいな』とはこの世の言葉とは思えなかった。違和感ではなくマリア様の清さに触れたような印象だった。
くじは当てるものなので『くじ』で良いはずが何故か『当て』がついた。中の見えない筒に割り箸程度の太さの木の棒が刺してあり(易者のそれとおなじ)、それを引き抜くと棒の下先が赤いのが当たりだった。当たっても家のがらくたがまたまた増えるばかりだったが、繰り返し挑戦した。
景品は、正月の注連飾りのようなものが多かった。それでも、当時の子供達は繰り返し挑戦した。日常生活には無いものを、求めたのではないかと思われる。
そこに『グリコのキャラメル』が登場して『あでくじ』は衰退して行く。
さらにストックの時代が始まる。様々な貯蔵の技術が発達し、さらに供給が安定したので、無くなったら買うのではなく、ストックしておいて、無くなりそうになったら買うように変化した。
あでくじあでる:くじを当てる。
あでくじあだる:くじに当たる。
あでくそにもなんねー
あどくそにもなんねー
【形】当てにならない、取るに足らない あでくせ:青森。
あでーぶぢ
あで
【複】【名】与える側が一方的に取り決めて割り当てる金品 『宛がい扶持』。半濁音は濁音で発音されることがある。
あでーぶち:千葉北部。
あてーぶち:山梨。
あで
あでーる
【動】宛がう
あでこ ある事を推量して言いあてる競争。当てくらべ。 『当てっこ』。
(あてご) 【動】宛がう 鹿児島。ウ音便化した『あてう』
あでこずり
あでこすり
【複】【形動】当て擦り、あてつけ 濁音化。
あてこすり:あてずっぽう:高知。
あてっこすり:山梨。
あでこする 【動】当て擦る 濁音化。
あでごでねー 【形】途方も無い、とんでもない やや古い標準語の『当て事もない』(あてこともない・あてごともない)の転。
あで 【古】@当て推量、A面当て 『ご』は濁音・鼻濁音。
『当て言』(@それとなく遠まわしにいう言葉。Aあてこする言葉。)。
あてこと:あてにすること・頼みにすること:東京。
あで @クイズの類、Aくじ引き 『当て事』(@予想してあてにすること。頼みにすること。A隠してあるものを言いあてること。)。
あて:推量:静岡。
あでごどなぐ 【副】途方も無く
あでごどねー
あでごどもねー
あてこともねー
あーてこともねー
あてこもねー
【慣】【形】@途方も無い、とんでもない、Aいい加減、B沢山 『ご』は濁音・鼻濁音。
やや古い標準語の『当て事もない』(あてこともない・あてごともない)の転。
あってこともない:栃木・群馬・長野・静岡。
あってこともない:大変:静岡。
あってこてもねー:群馬。
あちぇんなか:鹿児島。
あてこともない:大変:静岡。
あでごどもなえ:山形。
あてんなか:鹿児島。
あでごむ @当て込む、A過分の分配をうける。 @濁音化。
A『当て混む』意味。
あでーじゃり
あでーしゃり
後ずさり
あでじゃる
あでーじゃる
あでしゃる
あてしゃる
あでーしゃる
【動】後ずさりする あてーしゃ:山梨。
あでしょど 当て、見込み 『あで』は『当て』、『しょうど』は古い言葉で『目当て。目的とする所』の意味で、同じ意味の繰り返し言葉。
あてしょーどもない
あでしょどもねー
あでしょーどもねー
あでんしょーどもねー
【複】どうしようもない、当てが無い 『あで』は『当て』、『しょうど』は古い言葉で『目当て。目的とする所』の意味で、同じ意味の繰り返し言葉。単独で『しょーどもねー』とも言う。
あでずっ
あでずっ
あですっ
あですっ
あてすっ
あでつっ

◆▲あてつっ
あでっ
あでっなし
【複】【名】いい加減、当て推量 『当寸法・当推坊(あてずっぽう)』。半濁音は濁音で発音されることがある。『集覧:新・猿』。
あでずっ:福島・新潟。
あでずっ:山形。
あてずっ:静岡。
あでつける 【動】あてこする 『当て付ける』。何故か『俚言』に濁音形が掲載されている。
あでっこ ある事を推量して言いあてる競争 『当てっこ・当てくらべ』。
あでっこすり
あてっこすり
【複】【形動】当て擦り あてっこすり:群馬・山梨。
あでっずれ 当て外れ 半濁音は濁音で発音されることがある。
あてっずれ:山梨。
あでっずれる 【動】当てが外れる 半濁音は濁音で発音されることがある。
あてっずれ:山梨。
あででくる 【複】@当てて来る、A風が強くなる 『当てて来る』。
@は濁音化。
Aは風が狙いを当てて吹いてくるニュアンス。
あでぶぐろ
あでっぐろ
【複】【名】子供用のくじを兼ねた商品 『当て物』の一つ。『当て袋』の意味。駄菓子屋で売ってたもので様々な大きさの袋の中に何かが入っていてその先にはひもがついていた。その紐はどの袋とつながっているか解らないようになっていて、勘で紐を引いて袋を当てた。もうひとつのやりかたは、等級が記された台紙の上に紙が張ってありそれを剥がすと該当する等級が決まり、その景品は、台紙に等級毎に袋に入れて展示してあり、当たるとそれをぶちりと剥ぎ取るもの。何が当たるか解からないスリルがあった。今では『宝袋』と言うらしいが辞書には無い。
あでめ 当てになる目途、当たる確率 『当て』『目』の意味。
あーでもねーこーでもねー あれやこれや、あれこれ あーでもねーこーでもねー:神奈川。
あーめったこーめった:山梨。
あでもの
あでもん
くじ引き、当て事 『当て物』。
(あてやう・あとづきあう) 【動】一枚に布団に二人が互いに足をを突き合わせるようにして寝る 神奈川。
あてやってねる:2人で頭と足を違えて寝る:山梨。
あとづきあい・あとづきえー:一枚に布団に二人が互いに足をを突き合わせるようにして寝る事:鹿児島。
あでらいる
あでられる
あてられる
【動】@当てられる、A中毒する 『当てる』の受身形。
あでらえる:青森。
あーでる 【動】慌てる あおてーる:神奈川。
あーでっとくぢがらあわでっと:慌てると口から泡が出るよ。
あでんじゃり 後ずさり 『あどいじゃり』がさらに訛ったもの。
あでんなんね
あでんなんねー
あてんなんねー
【複】当てにならない あちぇんなか:とんでもない:鹿児島。
あてぃならん:沖縄。
あてんなか:とんでもない:鹿児島。
あてんなんねー:群馬。
あど
あと
時間的な前、以前 現代標準語では使われなくなったもの。江戸時代には使われていた。
もともと、現代語の『後』に『空間的な後ろ』と『時間的なのち』の意味がある一方、『前』は『空間的な前』と『時間的な後ろ(前)』の意味がある。つまり、時間と空間の表現の『前』『後』が何故か逆になっているのである。言い換えれば、空間は『後ろと前』、時間は『前とのち』が使われるのである。この理由は、もともと時間を示す『前』には、将来の特定の時間を指したときそれより後ろ(先)を指して、『今の自分からすれば前にある』と認識してしまうことに起因するのだろうか。英語のように時間的な前後と空間的な前後は別の言葉があるのが正解なのだろう。
同じことが、『先(さき・せん)』にもある。以前の意味がありながら、将来を『この先・先行き』と言うのは言語としての未熟さを感じさせる。
その意味で、近年は漢語を用いることが多い。『去年(先年)、来年』、『先月、来月』、『先週、来週』。これなら間違いは無いが、和語の魅力が捨て去られるのも惜しい。くしくも、方言が消えていく図式に似ている。
あと:東京。
(あど) 【副】何故、何と、いかに 広辞苑には『(ナドの上代東国方言) いかに。どうして。』とある。『何ど(など)』は、『(ナニトの転) どうして。なにゆえ。なぜ。』とある。転じて『なじょう』がある。現代でも『何としたことか』が使われる。茨城では、『どうした?』を『なんとした、なんとしたー』と言うがこれは近世語そのものである。
『な』のN音のの脱落は茨城にもあるが、千葉県に最も顕著に残る。
あど
あどぉ
【副】あと、それと 『あど:24』。『あどぉ:241』。
あどあど
あどあどに
【副】後で 『あとあと』の濁音化。『あどあどぉ:22241』。
あどいじゃり
あどいしゃり
後ずさり 当時の高齢者限定言葉。『いしゃる』と結びつくことば。古い標準語の『居さる』が転じた『躄る・膝行る(いざる)』(物が置いた場所から自然にずれ動く)の転。
あどいじゃる
あどいしゃる
【動】後ずさりする 『あどいざる』とも。古い標準語の『居さる』が転じた『躄る・膝行る(いざる)』(物が置いた場所から自然にずれ動く)の転。
あどいせぎ @遺跡、遺蹟、A財産、B相続人 Bは『後移籍』の意味だろう。
あどいり @後から来た者、A途中で入った者、B後妻、後夫 清音の『後入り』は広辞苑にも慣用句辞典にも無い。調べると西日本を中心に『後妻』として使われていると言う。そのままでも理解できるからか?。
あどうづ 【動】人の話に調子を合せて応答する。あいづちを打つ。あどをうつ。 『あどうつ』。和語と考えられる古い言葉。広辞苑には『アド(迎合)』は、『@相手の話に調子を合せて応答すること。あいづちを打つこと。A狂言でシテ(仕手・為手:主役)の相手役。脇役』とある。
一方、現代標準語の『後役(あとやく)』は、『@前任者の役目をうけつぐこと。また、その人。A後始末をする役。』の意味。この場合茨城では『あどやぐ・あどやく』と言う。
あどおっかげる 【複】後を追いかける はいぐあどおっかげろな。んだねどまんにゃーめな。:早く後をを追いかけなさい。そうしないと間に合わないだろう。
あどおもい 後悔
あどか @跡、傷跡、A後ろ側 『か』は『処』。
あど
あど
【形動】後ろ側 『が』は『処』。
あどがせ
あどかせ
【古】@後添い、A後継者、あとがま、B次に生れた子供、C次に耕作する作物 この『かせ』は『枷』で係累の意味。
あど @後継者、A後妻 『後釜』。『後替り』とも言う。
@・あと:神奈川・山梨。
A・あと:神奈川。
あどくさり 後腐れ
あどくそわるい
あどくそわりー
【複】後味が悪い
あどくぢ
あどくち
@順番が後であること、A後味 『後口』。濁音化。
あどくらます 【複】行方をかくす。出奔する。 『跡をくらます』。
あど 先月 古い標準語の濁音化。『後月』(あとげつ)。
あど:千葉。
あと:神奈川。
あどげねー 【形】あどけない あどけねー:神奈川。
あどご
あどこ
跡、傷跡、足跡
あどさ あとずさり あとっしゃがり:群馬。
あどじさり
あとじさり
あどじゃり
あどしゃり
あどちゃり
あとずさり 『後退り』。清音形は古い標準語。『あとしざり』という言い方もある。この場合の『し』は『尻・臀・後』である。
『俚言』には『あとじさり、あとずさりあとびっさり』が掲載されている。この場合の『び』は『尾』の意味だろう。辞書には『後びさり』が掲載されている。
あとしゃりべべっこ:山梨。
あとすざい:鹿児島。
あとすだい:鹿児島。
あとすだり:鹿児島。
あとびっしゃり:東京三鷹・山梨・静岡。
あどじゃりむし
あどじゃりもっこ
アリジゴク あとざりおしっこ:埼玉。 
あとしやりっこ:埼玉。
あどじさる
あとじさる
あどしゃる
【動】あとずさる 『後退る』。清音形は古い標準語。『あとしざる』という言い方もある。江戸時代には『退る』(しさる・すさる・しざる)が単独で使われた。『シリ(後)サ(去)ル』が転じたとされる。
あどしまづ 後始末
あどさぎ @物事の順序、物事の経過と結果、A◆前後、B将来 『後先』。
@★あどさぎぎゃぐだ:順番が逆だ。
Bの意味は標準語には無い。この場合の『先』は、将来を意味する。
あどさぎどーすっ:今後どうしよう。
あどさぎみず 前後の事情を考えないさま、無分別、向こう見ず 『後先見ず』。
あどしき のち 『跡式・跡敷・跡職(被相続者の遺領・所職・家禄。家督と財産。跡目。)』が訛ったか。
あどじさり あとずさり 古い標準語に、『退る(しさる、すさる)』がありそれが訛ったものだろう。標準語では古くは『あとすざり、あとじさり』とも言った。
あどせー 後妻 湯桶読みが転じたもの。
あどせぎ 後ろの方の席
あどちさり
あどちゃり
あとずさり 古い標準語に、『退る(しさる、すさる)』がありそれが訛ったものだろう。
あどっか
あどっかー
あどっかわ
後ろ側 『後ろ』+『側』。
あとっかわ:群馬。
あどつぎ
あとつき
先月 『後』は時間的な前の意味。
あどつ @後継者、A長男 『跡継ぎ』。
A本来は跡継ぎを指す言葉だが、多く長男が跡継ぎなので転じたもの。
あとつ:埼玉。
あどつきみ 十三夜 『後』は時間的な前の意味。
あどっこ 跡、傷跡、足跡 あとっこ:足跡:埼玉。
あどっこ 後ろ あとっこー:静岡。
あどつさり
あどっさり
あとずさり 古い標準語に、『退る(しさる、すさる)』がありそれが訛ったものだろう。標準語では古くは『あとすざり、あとじさり』とも言った。
あどつさる
あどっさる
【動】あとずさる 同上。
あどっじゃり
あどっしゃり
あとっしゃり
あとずさり 同上。
あとっしゃがり:群馬。
あとっしゃり:群馬。
あどっじゃる
あどっしゃる
【動】あとずさる 同上。
あどっちゃり あとずさり 同上。
あとっちゃり:群馬。
あどっちゃる 【動】あとずさる 同上。
あどっつぁ 後下がり、着物の裾の後ろが下がること 『後』+『下がり』。
あどっつぁり
あとっつぁり
後ずさり
あどっつぁる 【動】あとずさる
あどとり
あどっとり
後継者、後継ぎ、長男 『跡取り』。
あととり:群馬・新潟。
あどっ 【古】農作業(特に田植え)で後に付いて作業すること、(遊び等で)2番手や次の人 この『はか』は『捗』で仕事を表している。
あどっ @産後の腹痛。後陣痛。A物事の後の出費等の苦労、B片腹、C食後の腹痛、D後産 @A『後腹』。半濁音は濁音で発音されることがある。『あとばら』なら標準語。
あどっらい 後産 真壁郡。この方言は『あどっらいでー』を『後産で』と解釈して使っているものと思われる。
あどっらいだむ
あどっらいでー
あどっらやむ
【複】後まで痛みが残る、物事の後に出費等で苦労する、後悔する 『後腹が痛い』『後腹が痛む』『後腹が病める』。半濁音は濁音で発音されることがある。
あどど 次回の頭屋 『後頭』の意味。
あどとり
■あととり
長男、家督を相続する者 『跡取り』。
あととり:後妻:香川・広島。
あどとる
あどにたづ
【動】@家督を継ぐ、A後に付いて行く、B後をつける @の場合は今でも通じる言い方。
あどなめ 後の人、家督を相続する者 『後の奴』の意味。
あどのおつきみさま
あどのつき
あどのつきみ
あどのめー
十三夜 広辞苑に『十三夜:旧暦九月一三日の夜。八月の十五夜の月に対して「後(ノチ)の月」と呼び、また、芋名月に対して豆名月・栗名月といって、月見の行事を行う。九一九年(延喜一九)の醍醐天皇の月の宴に始まるとも、宇多法皇がこの夜の月を無双と賞したのによるともいうが、わが国固有のものらしい。』とある。
あどのけーり 帰り道 あどのけーり:宮城。
あどのつぎ
あどのつき
先月 古い標準語の濁音化。『後の月』。
あどのつ 【形動】次の次
あどののごり 残り、これ以外の残り 不思議な言い方だが清音なら標準語でも使われる。
あどのまづり 後の祭り あとだーこと:東京青梅市。
あどはが
あど
【古】農作業(特に田植え)で後に付いて作業すること、(遊び等で)2番手や次の人 この『はか』は『捗』で仕事を表している。
あどらいだい
あどらいでー
あどらやむ
【動】後まで痛みが残る、物事の後に出費等で苦労する、後悔する
あどひぎ 【形動】美味しくて辞められなくなる様 『後引き』。
あどひきまめ 煎った落花生
あどひぐ 【動】美味しくて辞められなくなる 『後を引く』。短縮形。
あどしく:福島。
あどしゃり あとずさり 『俚言』には『あとじさり、あとずさりあとびっさり』が掲載されている。この場合の『び』は『尾』の意味だろう。辞書には『後びさり』が掲載されている。
あとびっしゃり:東京三鷹・神奈川・山梨・静岡。
あとびっちゃざくり:後ずさりしながら耕作すること:神奈川。
あとびっちゃり・あとびっつぁり:神奈川。
あどふぎ
あどふき
あとふき
@後片付け、A雑巾がけ 後の雑巾がけが訛ったのだろう。
あどふき
あとふき
結婚式の後に行う、隣組を招いての披露。 『くみよび』。地域によって様々で、@結婚式の翌晩、近所の主婦を招いてする嫁の披露、A結婚式の後、隣組を招いて行う披露。B結婚式の翌日若い衆が追う税で酒一升を持って祝いに来た時に鮭を振舞うこと、C祭りの後の慰労会、D行事の後始末 等がある。
あとふき:酒宴などでいつまでも飲み食いすること:青森。『後引き』。
あどまいり
あどめーり
十三参りの翌年のお礼参り 茨城では東海村の村松虚空蔵にお参りする。
広辞苑には『十三参り:旧暦三月一三日(今は四月一三日)に、一三歳の少年・少女が盛装して、福徳・知恵・音声を授かるために、虚空蔵(コクウゾウ)に参詣すること。当日境内で一三品の菓子を買って虚空蔵に供えた後、持ち帰って家中の者に食べさせる。京都嵯峨の法輪寺が有名。知恵詣。』とある。
茨城では、『十三参り』は訛って『じーさんまいり、じーさんめーり』とも言う。
前年のお参りを『まいまいり、めーめーり』、当年のお参りを『ほんまいり、ほんめーり』と言う。
あどまーし 後回し あとまーり:神奈川。
あどまづり 田畑に落雷があったときのお払い 真壁郡・筑波郡。4本の竹を立て注練縄を張る。
あどめ @家督をつぐこと、後継ぎ、Aこれからのこと、B長男、C後妻 @『跡目』。
A『後目』。
B本来は跡継ぎを指す言葉だが、多く長男が跡継ぎなので転じたもの。
あとめ:埼玉。
あどもづ
あどもらー
あどおもらー
【動】再婚する ★『土』:えゝ鹽梅(あんべえ)の有んだ後(あと)持ってもよかねえかえ:丁度良い人が居るんだだけれど再婚しても良いんじゃないの。
あどやぐ 後厄
あどんざり
あとんざり
あとずさり
あどんざる 【動】あとずさる
あどんつき 先月 あどんつき:千葉。
あどんなる 【動】後になる、遅れる あどまる:青森。
あーな アイナメ
あなあぎせん 穴明き銭 清音なら近世語と思われる。
あなあげる 【複】瓶類の蓋を取る
あないぢ
あないれ
穴を掘って、銅貨やメンコ、焼き物の円盤を使った子供の遊び。 『穴一』のこと。『いんぢ・いんぢうち』とも言う。広辞苑には『(アナウチ(穴打)の転か) 地面にあけた穴に約一メートルをへだてた線外から銭をうち込み、穴に入ったものを所得とする遊戯。後にはめんこ・小石などをつかう。多く、正月の遊び。あなうち。ぜにうち。かねこうち。ばいこ。投銭戯。』とある。
『俗語』には『あないち:今世の小児の戯れわざに穴いちといふわざするは、穴印地といふ事歟。むかしも印地といふわざ見えたり。それは石以って打さまなり。』とある。
『俚言』にも内容が詳しく解説されている。『穴いち:穴一とかけり。穴打とも云。又穴印地といふ説あり。(下略)』。
(あなり) 土手 神奈川。
あな 地下に穴を掘って物を貯える所。 『穴蔵』。
あなぐる 【動】@一さぐる。探し求める。Aさぐり調べる。穿鑿(センサク)する。 『探る・索る』。
◆▲あなこ
あなっこ
あなんこ
穴、小さな穴 『集覧:新・稲』。
あなっこ:福島・埼玉・群馬・東京武蔵村山・神奈川。
あなっこ:洞穴:千葉。
あなんご:群馬。
あなんぼす:山梨。
あなんぼすこ:山梨。
★『土』:何處(どこ)と何處(どこ)って穴つ子までちやんと分つてんでがすから:どこに穴があるかまで解っているんですから。
あなし h音の省略。
あなす 【動】@距離を置く、離す、A話す h音の省略。
あなずる 【動】あなどる 『侮る』。古い標準語。
あなぜみ
あなぜんみ
土から出てきたばかりセミの幼虫 セミの幼虫は、もともと土の中に住み、成虫になる年の夏、地面近くまで穴を拡張して、地上に出るのを待っている。
私の子供の頃の経験では、盛夏にセミの幼虫の住処となっている場所の表土を削り取ると、セミの巣の穴が現れる。そこから、無理やり幼虫を取り出しても大半は羽化した。
あなぜんじょー 洞窟 『禅定』とは『@心を静めて一つの対象に集中する宗教的な瞑想。また、その心の状態。A修験道で、富士山・白山・立山などの霊山に登って修行すること。B(霊山山頂での修行から) 霊山の頂上。』のこと。
あなぜんじょー:千葉。『香取』掲載語。
あなっ
あなっ
あなっ
あなぼご
あな
あなぼこ
穴、くぼみ 『穴ぼこ』は死語に近い標準語。半濁音は濁音で発音されることがある。
『ぼこ』は広辞苑に『小児。子供。また、赤ん坊。』とある。しかしこの場合の『ぼこ』は、『でこぼこ』の凹みの意味だろう。
あなっ:群馬。
あなぼこ:埼玉・東京。
あなぼっこ:神奈川。
あなんぼー:山梨。
あなんぼこ:山梨。
あなんぼす:山梨。
(あなばん) 隣組の人とは別に葬式の世話をする人を寺できめてくれるその人 群馬。
広辞苑に『あなばん【穴番】:歌舞伎劇場で、舞台の下に居て舞台の回転やせりだしなどを担当する人。奈落番(ナラクバン)。』とある。
あなみぞ
あなみど
◆▲▽○あなめど
小さい穴、穴、溝 『穴』+『針孔(めど)』。『めどあな』という人もいた。『集覧:真』。『あなみど』とも聞こえる。
『針孔(めど)』は辞書には、『針の糸を通す孔。はりのみみ。みず。みみ。みぞ。』とあるから、穴を茨城方言流に『みど』と言ってもおかしくはないことになる。
穴を『めど』と呼ぶのは東国方言。針孔(めど:針の穴)に由来する。江戸言葉に『けつめど』(尻の穴)がある。
『称呼』では『東国にてめどと云。東雅ニ曰孔竅を呼てめどと云。あなめど又転してみづと云。針の穴をみづといふが如き是也。』とあ。
あなむ シマドジョウ ドジョウの代表種。
あならがす 【動】距離を置く、離す h音の省略。
あなれる 【動】離れる h音の省略。
あなんこ 久慈郡、高萩市。
茨城では『あなこ、あなっこ』などと言うので県北部では撥音化傾向があると考えられる。
ただし、『あなんこ』は『穴の子』が訛ったとしか考えられない。一方『あなっこ』は『穴つ子』を思わせる。『穴の子』の意味である。
あにー 叔父、父 結城郡・北相馬郡。
あに
あーに
@【代】【副】何、なに、【感】Aなんだい、Bいいえ、なんで、なあに 関東に広域分布。
古語の『豈(あに)』に代表される『豈図らんや(あにはからんや)』(どうしてそんなことを予測しようか。意外なことには。思いがけず。)があるように、『あに』と『何』は並列して使われたことが解る。
現代語では方言扱いされるが、実は、由緒ある言葉でもある。
『俗語』によれば近世・現代語の『なあに』は『何豈(あに)』の意味とある。そうなれば茨城方言の長音化のルーツが判明する。
【副】@(打消の語を伴う) 何も。なんら。万四「八百日(ヤオカ)ゆく浜の沙(マナゴ)もわが恋に―まさらじか沖つ島守」A(反語に用いる) なんで。どうして。万三「価無き宝といふとも一杯(ヒトツキ)の濁れる酒に―まさめやも」』とある。
@・あに:東京多摩・神奈川・山梨・静岡。 あにこくだ:何言ってるんだ:東京青梅市。
あーに:神奈川。
あにやってんだおめ・あーにやってんだおめー:お前は何を遣ってんの。
A・あに:千葉・埼玉・東京西部・神奈川・静岡・山梨・八丈島。
あーに:神奈川。
B本来は反語の『や』を伴う。『あにや』。『何で、そうではない』の意味。
あーに:神奈川。
あんし:神奈川。
あんにー:神奈川。
あーに 【複】あのように、ああいう風に ーに:山梨。
あにが 【複】何か あにか:八丈島。
あにこぐ
あーにこぐ
【複】何を言う あにこく:埼玉。
あにこぎやがんでー:何を言いやがるんだい。
あにさま
あにさん
三人称。
あにー:群馬。
あにしたってかにしたって 【副】なにをやっても
あにしてんだ
あにしてんだー
あにやってんだー
【複】何してるんだい?
あにしろ 【副】なにしろ
あにしろかにしろ
あんしろかんしろ
【副】なにしろ、【慣】ああしろこうしろ
あにすんだ
あにすんだー
【複】何するんだ あにするだー:東京多摩。
あにはがらんや
あにおがはがらんや
【慣】豈図らんや 『豈』は何が転じたとされる。
あにっしもねー・あにっしもねえ 【複】何ほどでもない 山梨。
あにもがも
あにもかも
【複】何もかも あんにもかんも:山梨。
あにょ
あにょー
【複】何を 『なにょ・なにょー』
あにょ:八丈島。
あにょー:神奈川・八丈島・山梨。あにょーこくだ:何を言うんだい:山梨。
(あーぬき) うっかり者 静岡。
標準語では動詞形で『泡を食う』(驚きあわてる)がある。
あね
あねー
あねっこ
長女 あねこ:若い女:青森。
あねこ:年下の女:岩手。
あね
□あねえ
長音形当時の高齢者の言葉。『せなあ』の対語。時代劇でも聞かれる言葉。単なる長音化ではなく『姉上』が訛ったと思われる。『集覧:行』。『叔母』を言う地域も有る。
あねー:群馬。
あねっこ:東京武蔵村山。
あねま:娼婦:山形。
(あねこ) 魚や青物及び果物を行商する婦人 佐渡島。
やや古い標準語で言えば、『姉御・姐御』の意味か。
あねさま
あねさん
@姉、Aお嫁さん @・あねさ:山形・新潟・長野。
あねさま:福島。
あねやん:福島。
Bその他。
あねさ:若い娘:長野。
あねさ:目上の女性:福島。
あねさ:長女・新潟。
あねちゃ:目上の女性:福島。
あねや:女中:宮城。
あねさんかぶり 手ぬぐいを頭の上から被り、後ろで結ぶ代表的被り方 『姉さん被り』。
あの
あのー
【感】あのう 文字では標準語だがイントネーションは『141』『242』 となる。実はこのイントネーション、最近の若い女の子達が使っているものである。茨城弁の耳慣れない斬新なイントネーションが流行ったものと思われる。
あのあれ
あのあれー
あのーあれー
あのーこれー
あのーそれー
あのほれ
あのーほれー
【感】あのう、あのうそのう、あのうこのう、えーと 最近、横浜生まれの横浜育ちの息子が『あのーあれー』を使っている。聞いてみると学校で使われているのだと言う。
あのそー:静岡。
あのほれ:神奈川。
あのおり あの時 『あの折』。
あのほり:静岡。
あのがだ
あのかだ
あの方、あの人 あのさま:鹿児島。
あのさあ:鹿児島。
(あのくに) あのように、あんなに 長野。
あのくに:山梨。
あの
あのれー
あのくれ
あのくれー
あのけー
あのけん
あのっくれー
あの位 あのけー:神奈川。
あのっけ:宮城。
(あのさー) 【複】あのね 神奈川。俗語。
茨城ではかつては使われなかった。
(あのし) あの人達 山梨。『あの衆』の意味と思われる。
(あのせこのせ) 【複】ああだこうだ 福島。
(あのっさー・あのっさま) 【複】あの方 鹿児島。
あのな 【複】あのね 俗語。
あのなや 【複】あのね あのねや:神奈川。
あのほれ 【複】あのー あのほら:神奈川。
(あのもねー) 【複】何も無い 神奈川。
あのやづ 【代】あいつ、あれ(物を指して) 『あのやつ』は『あいつ』の古形で由緒ある言葉。
あのの:静岡。
あれだいあのやづ:あれだよ、あれ。
あのやざーうっとしーなやー:あいつは鬱陶しいね。
あのやづら
あねやづら
【代】あいつら 侮蔑の意味を込めた言い方。
あのやろ
あねやろ
【代】あの野郎
あのやろめ
あねやろめ
【代】あの野郎奴
あのやろめらあのやろら
あねやろめら
あねやろめ
【代】あの野郎等、あいつ等
あのよ
あのよー
【複】あのね 汚い俗語。茨城では日常語。
あのよ:神奈川。
あのよー:神奈川。
◎あば 漁網の縁辺部につけ、水面に浮せる浮き。木・ガラス・プラスチックで、中空の球・樽形など。 『網端・浮子』。
あばのき:桐の木:石川。
(あば) 古語の『おも』の流れの言葉と考えられる。上代東国方言に『あも』がある。『方言周囲論』の代表語。
青森・岩手・秋田・山形・新潟・富山・石川・福井・高知・壱岐・鹿児島・沖縄。
あじまー:奄美大島・沖縄。
あじゃ:青森・秋田。
あこ:鹿児島。
あだ:山形。
あちゃ:青森・三重。
あーちゃん:茨城・神奈川。
あっか:山形・福島・茨城・栃木。
あっ:青森・沖縄石垣島の士族。
:青森。
あは:秋田。
あばん
あひー:長崎・壱岐。
あぶ:沖縄八重山。
あふぁ:岩手・秋田。
あぼ:鹿児島。
:鹿児島。
あほ:熊本・鹿児島。
あぼあ:沖縄八重山諸島波照間島。
あぼん:鹿児島。
:鹿児島。
あま
あむ
あも
あや:北海道・青森・秋田・山形・新潟。
あやー:沖縄。
あやん:佐渡。
あーやん:茨城。
あんね:長崎。
あんま:富山・福井・高知・沖縄。
あんまー:沖縄。
いね:石川。
うね:新潟。
うま:三重・奈良・長崎。
うまい:新潟・静岡。
うめー:新潟。
うんにょ:鹿児島。
うんば:富山・奈良。
うんま:八丈島。
(あば) 【感】さようなら 群馬・神奈川・新潟・長野。
あちゃ:新潟。
あちゃね:新潟。
あばよ:東京。
(あば・あばくち) 大きな口 宮城。『あっに関係が深いのだろう。
あー 『あっがさらに訛ったもの。
あば:鹿児島。
(あばう) 【動】かばう。さえぎる。ふせぐ。まもる。 神奈川。
あばう:欲張る・争う:静岡。
あばかかり 不用意に仕事などに取り掛かること
あばく 【動】売りさばく、売り払う 広辞苑に『あばく:打消の形「あばかぬ」で、はいりきれない意を表す。』とあるが関係は不明。
あばく:さばく:鹿児島。
あばく:あふれる:長崎。
あばけ 波しぶき 北茨城市。『あびき:(漁村語) 汽船などが通る際に起す波のこと。単に大浪のことをもいう。汽船波。』とある。
あばけくー:しぶきをかぶること。転じてとばっちりを受けること。
あばげる
あばける
あばせる
【動】@◎△ふざける、甘える、Aはしゃぐ、Bいたずらをする @A類義語に、『廃く(あばく)』(1)@はげてくずれる。2)気がゆるむ。だらける。)、『あばけ者』(話しぶりが軽率で、無作法な者。)がある。『廃く(あばく)』の2)の意味が転じたと考えられる。『甘える』にも通ずる。
@・あばがす:甘やかす:山形。
あばげ:たわむれ言・冗談:山形。
あばげに:冗談に:山形。
あばける:山形・東北・関東・群馬・新潟・長野。
あまさる:静岡。
Cその他。
あばける:馬鹿げた状態になる:新潟。
あばける:さばけてしまう・要領よく言う:徳島。
あばける:水がはける:岡山。
あばける:増える:大分。
あばける:あふれる:香川。
あばげる 【動】暴れ騒ぐ 『あだける・あたける』。『溢れる(あぶれる』には暴れる意味がある。
あばける:神奈川・山梨。
あばらう:争う:静岡。
あばらう:欲張る:新潟。
あばらける:神奈川。
あまさる:静岡。
あばげんぼ @話しぶりが軽率で無作法な者、A暴れん坊 @『あばけ者』。
A『あだける・あたける』。
あばけんぼー:山梨。
あばさげる
あばさける
あばっさける
あばっさげる
あばっつぁける
【動】@甘える、Aふざける、▲悪戯する、Bはしゃぐ 『集覧:北・猿』。『甘えふざける』意味か。
@・あばさける:千葉・群馬・福井。
あべくさる:あまえる・あまえている:新潟。『甘え腐る』意味か。
あべこき:甘えん坊:新潟。
あべこく:甘える:新潟。
A・あばける:長野。
あばさける:千葉・群馬・福井。
あばされる:長野。
あばじゃれる:静岡。
★『土』:蛇嫌(きれ)えだと、さうだ大(えけ)え姿(なり)してあばさけたこといふなえ、俺(お)らなんざ蛇(へび)でも毛蟲(けむし)でも可怖(おつかね)えなんちゃねえだから、かうええか、斯(か)うだぞ:ヘビが嫌いだって!。そんな大きな格好して甘えたことを言うな。俺なぞ、蛇でも毛虫でもおっかないなんて事はないから、こう、良いかい、こうだぞ。
B★『土』:そうすっと駒(こま)っ子奴等(こめら)ひひんなんてあばさけてかと斯(か)う運びが違って来らな:そうすると馬達はひひんなんてはしゃいでぱかぱかと、こう、運び方が違って来るよ。
あばした へつらってご馳走になること。 北茨城市。『網端下』の意味か。
あばしたをはる:他人の網からこぼれた魚を取る。
あばせのみ 酒をがぶのみすること 北茨城市。
あばせる 【動】ふざける 北茨城市。
あばせる 【動】会わせる、合わせる
あばた 河川の州 那珂湊市・猿島郡。『網端』の意味か。
あばだし 定置網漁漁船の乗組員の職種 『網端出し』の意味。『網端・浮子(あば)』とは『漁網の縁辺部につけ、水面に浮せる浮き。木・ガラス・プラスチックで、中空の球・樽形など。』の意味。

【形動】あたふた 半濁音は濁音で発音されることがある。
あばちゃば:山梨。あばちゃばする:慌てる。
:慌てて:山形。
っと・ありと:呆然と:山形。
:訳のわからない・ちんぷんかんぷん:宮城。
(あばてんね・あばてんなか) 【形】沢山の様、甚だしい様、随分、大層 鹿児島。
あーばぢ スジアメバチ
あばっげ 魚網をあみあげたときにする祝い 『網端食』『網端上げ』の意味か。

あばど
あばーど
あばーと
アパート 茨城では、昭和30年初頭からテレビを見ているのに、何故かどうしても濁音化し短縮化してしまう典型例である。
この理由は、この場合は恐らく発音する際に『ぱ』より『ば』の方がエネルギーが少なくて済むからではないだろうか。
あばな 浮きを結ぶ網 『網端縄』の意味。
あばぶぢ 定置網漁漁船の乗組員の職種 『網端打ち』の意味。
(あばへ) 【複】行こう 宮城。『歩こう』の意味か。
あばゆい 船名が入ったタオルの手ぬぐいでする鉢巻 『網端結い』の意味。
(あばよ) 【感】じゃあな 別れを示す古い挨拶言葉。私の記憶では『あばな』と言った記憶があるが文献には無い。日本語の別れの言葉は考えてみると一見つれない。まさに『それでは』の意味である。これは、『それではまた会いましょう』が略されたもので英語でも全く同じ言い方がある。
ただし、『あばよ』の語源説には『塩梅良う』があるが、この場合の『あ』は指示代名詞に違いなく、『さらば・されば』と同じ意味だろう。
あば:神奈川。
あばあば:神奈川。
あばな:群馬。男の子。
あばね:群馬。女の子。
あばよ:東京・神奈川。
あばよしばよ:東京三鷹。
あばよしばよまたあした:幼児語:神奈川。
あばよちばよ:幼児語:神奈川。
あんばあんば:福島。
あばら 暴言 西茨城郡。
あばらう:争う:静岡。
(あらぎ) @【形】美しい。A【名】美人 沖縄。
あばらっ あばら骨 促音変形の典型。半濁音は濁音で発音されることがある。
◎あばり 網をあむための竹製の網針 『網針』。
あばり:養蚕のマブシ。魚捕用の網などを編む道具で。竹で作った編み針のこと。:千葉北部。
(あばれはんく) 【動】苦しみ暴れる 神奈川。
◎あばれる 【動】木などが曲がる。 建築専門用語。
あはんちゃはん のんびりした様
あーび アワビ あーび:静岡。
(あび・あびー) 【動】大声で叱る、怒鳴る 沖縄。
(あひい) アヒル 鹿児島。
あへる:鹿児島。
あびき しぶき 北茨城市。
広辞苑に『あびき:(漁村語) 汽船などが通る際に起す波のこと。単に大浪のことをもいう。汽船波。』とある。
あびき:波の引く力:神奈川。
あぶき:船の通ったあとの波:三重。
あぶき:余波:長崎。
あぶき:さざ波:和歌山・高知。
あびらうんけん
あびらうんけんそわか
あぶらおんけんそわか
あぶらんけそーらんけ
あぶらんけんさん
あぶらんけんそーらんけ
あぶらんけんそーらんけん
あぶらんそーらん
【慣】怪我をしたとき等のおまじないの言葉、ちちんぷいぷい 真言宗の『阿毘羅吽欠蘇婆訶(あびらうんけんそわか)』。広辞苑に『阿毘羅吽欠:〔仏〕 密教で、胎蔵界大日如来の真言。地・水・火・風・空の五大を象徴する。この真言を唱えると一切のことが成就するという。前に「おん」を、後に「蘇婆訶(ソワカ)」をつけて唱えることが多い。』とある。
県下には、その他『おわびらんけんそわか』(稲敷郡)がある。『おん阿毘羅吽欠蘇婆訶(あびらうんけんそわか)』が訛ったと見られる。
あびらせる 【動】浴びさせる、浴びせる、沐浴させる あっすっ:浴びせる:鹿児島。
あびる 【動】浴びる、泳ぐ 標準語。
あーふ
あーふー
【複】ああいう風
(あふぁい) 【形】味などが薄い 沖縄。
『淡い』意味。古語では『あはし』で古代の『は』は『ふぁ』だったとされる。
あぶい 【形】危ない 幼児言葉。幼児言葉ではない地域もある。
あぶい:福島。
あぶか ガガンボ 勝田市。
あぶぐ
あーぶぐ
濁音化。現代では『泡銭』に残る古い言葉。『あーぶぐ』と長音で発音することがあるのは、『あわぶく(口沫)』(唾の泡)との関係を思わせる。
あぶく:福島・群馬・東京。
あーぶく:神奈川・山梨。
あぼこ:栃木。
あんぶく:群馬。
あーんぶく:山梨。
(あぶく) 【動】台風などで稲が水に浸る 神奈川県内広域。『浴ぶ』が訛ったか。
(あぶく) 【動】溺れる 神奈川。
あぶぐばぢ ヒメベッコウバチ 久慈郡。唾液と泥を使って巣を作るので泥を口に含んだ様子が泡に見えるからだろう。
あぶぐむし アワムシ 常陸太田市。
【副】あたふた まれに『あっぷあっぷ』の意味で使う人もいた。半濁音は有母音ではっきり発音される。また濁音で発音されることがある。
あばちゃば:山梨。
あーふな 【複】ああいう風な
あぶな 【動】あぶなげに思う 『危ながる』。
あぶなぐ 【副】危うく 『危なく』。濁音化。
あぶなぐ:宮城。
あぶなっがしー
あぶなっかしー
【形】あぶなげである 『危なっかしい』。
あぶっかしー:静岡。
あーふに 【複】ああいう風に あーふに:静岡。
あぶに
あぶにー
あぶにぇー
あぶね
あぶねー
【形】危ない なか:鹿児島。
あっなか:鹿児島。
あぶにゃー:山梨・静岡。
あぶね:福島。俗語。
あぶねー:神奈川・静岡。俗語。
あぶんない:静岡。
あぶのおやがだ ウシアブ 久慈郡。
あぶはちとらず 【慣】欲張って損をすること 『虻蜂取らず』。虻と蜂の両方を捕まえようと欲張ったためにとちらも逃げられてしまうことから、余り欲張ると損をすることの喩え。
あぶめ アブ あぶめ:八丈島。
あぶら ガソリン、整髪料 他の油類もあぶらという。ガソリンを油と言うのは軽油を使っていた時代の名残りだろう。方言とは言いがたい。実際活動の原動力が無くなることを『油が切れる』と言う。
(あふらあふら) 【副】ぽかんとして待っている様
あぶら
あぶらー
油揚げ あぶらぎ:鹿児島。
あぶら
あぶらずし
稲荷寿司 『いなりずし』『おいなりさん』という言葉は無かった。単に『おすし』と呼ぶのは『巻き寿司』のことだった。
あぶらけし コガネムシ 稲敷郡・竜ヶ崎市。『油消し』の意味。『油火』の炎に集まり、消すことがあるからだろう。
あぶらぜみ ニイニイゼミ 県北部・県西部。
あぶらせんみ アブラゼミ セミの語源は蝉の漢音である『せん』に由来する説と鳴き声の説がある。江戸時代には『せい』とも言った。
『釈名』では、語源を『せん』としている。
(あぶらって) 脂性の手 東京。『脂つ手』の意味。
(あぶらつんぼー) 油壺 静岡。
あぶらみそ ピーナッツ味噌、味噌ピーナッツ、味噌ピー ピーナッツを味噌と油と砂糖で炒めた料理。冷めると固まり、冷めた状態の方が美味しい。
あぶらむし @人に集る(たかる)人、A成人しても一人前の仕事ができない人、B子供の遊びで鬼にしない幼児 広辞苑に『油虫:@ゴキブリの別称。油に浸ったような光沢があるのでいう。A他人につきまとって飲食・遊興・見物などをただでする者をあざけっていう。B遊里で、ひやかしの客をいう。』とある。
@標準語。
A・あぶらむし:ろくでなし:栃木。
B・あぶらしこ:山形。
あぶらっこ:宮城。
あぶらむし:栃木。
△あぶりこ 焼き網、餅網 『炙り子・焙籠』。
広辞苑には『@炭火の上に伏せて置き、着物を乾かしまたは温めるのに用いる竹籠。あぶりかご。A餅などを焼く鉄製の網または棒。』とある。
あぶいこ:鹿児島。
あぶりこ:宮城・新潟・和歌山・島根・鹿児島。
あぶる 【動】衣服等を火に当てて乾かす 『炙る、焙る』。標準語だが家庭内の生火はほとんどガスレンジに変わりIHも登場した今は死語になってしまった
あぶる 【動】浴びる 古語の『浴ぶ』が現代語の『浴びる』に移行する中間形とも考えられる。
あぶれもの @無頼でもてあまされている者。無法者。A仕事などにありつけなかった者。 『溢れ者』。
れる 【動】あぶれる 『集覧:久』。
あー 汚いもの 幼児語。『あっがさらに訛ったもの。
あーべ 【複】@歩け、行け、A歩こう、行こう 『あゆぶ・あよぶ』の命令・勧誘形。『あいべ』がさらに訛ったもの。『歩むべし』の意味ともとれるが、『あゆぶ』に近世語の終助詞『え』がついた言葉とも考えられる。現代語では『歩くぞ』の意味。
@・あーびな:行きな:神奈川。
あべ:秋田・宮城・山形・神奈川・静岡。
あべー:神奈川。
あーべ::神奈川。
A・あばい:行こう:宮城。『歩むばや』。
あばえ:宮城。
あばへ:行こう:宮城。
あべ:歩こう・行こう:青森・岩手・宮城・新潟。
あへあへ 【形動】言う事を聞く様 あへんとして:ぼっとして:宮城。
あべこ
あべこーべ
あべっこ
【形動】あべこべ 『集覧:稲』。
あっ:青森。
あひゃらとひゃら:山形。
あべこべなんね:どうにも打つ手が無い:新潟。
:首尾一貫しないこと・滅茶苦茶:宮城。
あべっち 【形】【形動】汚い、汚い様 那珂郡。『あっと同じルーツの言葉。
あべつら あばた顔 稲敷郡。
遠く離れた大分と同じ方言があるとは興味深い。『あっと同じルーツの言葉。
あべつら:茨城・大分。
あべ:曲がった口:青森。
あべ:下唇が突き出た口:秋田。
(あべる) 【動】浴びる 静岡。
(あへんとして) 【複】ぼんやりとして 宮城。『唖然として』が訛ったか。
あぼ
あほ
あほー
阿呆 江戸時代の武士の刑罰の一つに『阿房払い:江戸時代の刑罰の一。武士では両刀をとりあげて追放する。また、裸にして追放する。)』があるという。
あぼ アブ あく:鹿児島。
あぼ:神奈川・静岡。
あほ
あほー
あーほー
【感】ああそう
あほが
あほがー
あーほーが
あーほーがー
あほげ
あほげー
あーほーげ
あーほーげー
【感】ああそうか、ああそうかい 伸びやかな茨城弁表現の一つ。
西日本方言と繋がる言葉でもある。
あぼがど アボカド これは方言ではなく誤読の例。
(あほがどろすう) アボガドロ数 アボガドロ数を聞いて『阿呆が泥吸う』とふざけあったもの。個人レベルの造語。
あぼぐ あぼこ:栃木。
あほ
△▽あほー
@タバコ、A無駄 @・あほー:群馬・静岡。
A『むださ』とも言う。
あほくれー
あほっくれー
罵倒語 『阿呆食らえ』の意味。
あほだら
あほたら
あほだらぼ
あほだらめ
あほたらめ
あほたれ
あほたれべー
あほたれめ
あほたれっ
あほったら
あほったれ
あほんだら
罵倒語 『阿呆垂れ』。『集覧:真』。『あほたら・あほんだら』は本来関西の言葉。
『あほたれ、ばがたれ、くそたれ、おんこたれ』と重ねて言うこともあった。
【形動】きたない、きたない物 『集覧:北』。『あっと同じルーツの言葉。
(あぼーちゃぼー) やろうとしていた事が駄目になること 山梨。
あぼっけ 水戸市内の地名 『木葉下』と書く。アイヌ語の『o-pok:崖け下:o(尻)pok(下)』の説がある。崖に由来する言葉とされる。
『大日本地名辞書』(吉田東伍)に『木葉下(アボケ):今山根村の大字にて、小朝房(コアサボウ)山あり。木字にアの訓あるは疑ふべし。○新誌云、木葉下(阿煩祁)慶長三年の検地帳にはアネツケ村とあり、高田与清曰、ホケとはハケともカケとも(濁音ならば濁音に通ふべし)かよへる語にて、もと山の阻などの壌の、かけやすきより起こりしなり、頁海の地に赤ハケという処あり、これもしかなり、木葉下の字は、其地に大樹の美陰などありしより、描きそめしなるべし。』とある。有名なアイヌ語に『コロポックル(アイヌ語。フキの葉の下に住む人の意):@アイヌの矮人伝説の神。Aアイヌ移住以前の石器時代に北海道に住したという人種。』がある。
他の地名に以下がある。
・発句(ほっく):茨城。
・北方(ぼっけ):千葉。
・法華(ほっけ):岩手・福島・千葉。
あぼひぼ
あぼへぼ
削掛 『粟穂稗穂』。
小正月行事の名前が道具の名前に変化したもの。平坦に発音する長音や単音化は東北方言の特徴でもあるが、関東でもかつては広く使われていたことが解かる。
小正月は広辞苑に『小正月:旧暦の正月一五日、或いは正月一四日から一六日までの称。元日を大正月というのに対する。小年(コドシ)。二番正月。若年。』とあり、正月は年の始まりを祝ったのに対して、小正月は作物の豊麗を願うものだったようである。一般に同日に繭玉餅がある。茨城県下では、南部では繭玉、北部では『あわほひえぼ』の呼称になる。これは、その土地の農耕文化に由来するものであり訛を除けば方言ではない。
あぼひぼ:一月十五日に作る。竹の先を三つに割り上にニワトコで作った木花をつけ下に粟穂稗穂をさしたものを二十四本作るり神棚・門松・屋敷稲荷などに供える:群馬。
あぼへぼ:神奈川。
あぼぼ:神奈川。
あーぼさま
あーぼにひーぼ
あーぼーひーぼー
あーぼひーぼ
あーほひーほ
あわほひえぼ 『粟穂稗穂』(あわほひえぼ)。
農村言葉なので『あわぼひえぼ』と言っても方言ではないと言える。民俗語である。
広辞苑には『農村行事の一。小正月にヌルデの木などを削掛(ケズリカケ)にしたものを粟穂、皮付のままのを稗穂とし、側面に切れ目をつけ、また細い割竹にさしたりして、普通は六本ずつたばね、庭や堆肥上に立てる。東日本に多い。あぼへぼ。』とある。
あーぼひえぼ:神奈川。
あぼひぼ:群馬。
あぼへぼ:東京多摩。
あーぼへーぼ:神奈川。
あーほひーほ 繭玉 北茨城市。本来繭の多産を願う行事が他地域の行事名の影響を受けた興味深い方言である。
(あほりっこー) 競い合い 静岡。『煽り競べ』の意味か。
あほんだら
あほんだれ
馬鹿者。愚か者。 『阿呆垂れ』。
あほんだら:神奈川。
あま 女の卑称 『阿魔』。標準語だが死語。
時代劇にも良く出て来る。
この言葉が出ると、夫婦喧嘩の男の言う台詞になる。『なんだこのあまは』。東北に無いのが不思議である。
あま:茨城・千葉・栃木・埼玉・群馬・東京・神奈川・北陸中部(山梨除く)・静岡・滋賀・大阪・奈良・三重・和歌山・高知。
あま:少女:神奈川。
あまつぶり:山形。
(あま・あまこ) @高いところ、A天井の上、二階 静岡。『天』の意味。
(あま) あそこ 沖縄。
あま〜 雨はそれに続く言葉によって『あま』と発音することがある。しかし、『雨降り』は『あまふり』とは言わず、『雨宿り』は『あめやどり』とは言わない。『雨上がり』は『あまあがり・あめあがり』両方が使われる。これは、逆行同化現象によるものと思われるが、必ずしもそうでないものもあり、定着しているか否かが方言と標準語の分かれ目となっているようである。
あまい 【形】お人よしの様、手ぬるい様 『土浦の方言』では何故か方言扱いされている。
あまえ:山形。
(あまい) 【動】暴れる 鹿児島。『ば』と『ま』は音通する一例。
あまいごろ:暴れん坊:鹿児島。
あまいづら
あまいつら
依頼心の強い人 『甘え面』の意味。
あまいづら:山梨。
あまいでる 【複】甘えている あまってる:鹿児島。
(あまいばっきよ・あまいばっちよ) 腕白者 鹿児島。
あまいめ 馬鹿馬鹿しいこと 稲敷郡。
あまいらがす
あまえらがす
【動】甘やかす
あまいる 【動】甘える
あまいん
△▽あまえん
廊下、縁側 『雨縁』。本来は濡れ縁のこと。
あまえん:長野・福井。
あまいたれる 【動】あまったれる 『甘え垂れる』。
あまかい 甘酒 『甘粥』の意味。
あまかす:秋田・福島。
あまがす 【動】甘やかす あまーかす:神奈川。
あまかーず アマガエル
あま 雨具 標準語だが死語。
あまどい:鹿児島。『雨胴衣』。
(あまくそ) 雨粒 静岡。
◆▲△▽あまくち 【名・形動】@お人よし、A馬鹿、うすのろ 『集覧:真』。死語となった標準語。『口』には『部類・たぐい』の意味がある。
@・あまくち:茨城・埼玉。
あま 雨乞い あまぐ・あまげ:鹿児島。
あまけー 【形】甘い 『甘い』+『こい』。
あんまげ:新潟。
あま
あまける
【動】甘える 『げ』は濁音・鼻濁音。
あま:静岡。
あまーる:静岡。
あまいる:静岡。
あまえる:静岡。
あまーる
あま
あまーろ
アマガエル・アオガエル等の緑色のカエルの総称 あまえる:群馬。
あまーる:神奈川。
あまこ 『集覧:稲・新・間・西・行』。
あまこい 【形】甘い 『甘い』+『こい』。
あま:山形。
あまこい:宮城。
あまさいる 【動】のけ者にされる あまさえる:青森。
あまざげ
あまさげ
あまさけ
甘酒 最近、日光華厳の滝の売店で『あまさけあります』と言う張り紙を見た。日本語は、上代は清音傾向にあったとされているので、方言とはいえないかもしれない。
清音形は『聞書』(あまさけ:夏斗あきのふ冬ハなし)掲載語。
あまさる 【動】@のけ者にされる、A甘える A・あまされる:静岡。
あまさる:佐渡島・静岡。
あまされる 【動】のけ者にされる 使われなくなった標準語。
あまさえる:悪さをする:静岡。
あまさりもの:いたずら者:神奈川。
あまされる:ふざける(少し甘えるのニュアンス有り):新潟。
あまされぼーず:きかん坊:神奈川。
あまられる:叱られる:岩手。
あまじこい
あまじっこい
あまじっけー
【形】甘ったるい、塩味が薄い あまずれたえ:山形。
(あまじゃらし) 雨ざらし 群馬。どこでも起こりうる訛。
あまじょっかい
あまじょっ
あまじょっ
あまじょっ
【形】甘ったるい、塩味が薄い、甘辛い 半濁音は濁音で発音されることがある。
◆▲■△▽あます 【動】@▲吐く、もどす、A火等を出す、B残す、もてあます、Cのけ者にする @『集覧:新・久』。
東北系の訛。標準語の『余す』に意味の一つに『あふれ出させる・とび出させる』(大辞林)意味があるのでその流れの言葉と思われる。
また、胃の中で持ちこたえられず『余す』意味ともとれる。
あます:秋田・山形・宮城・茨城。
A@同様。
BCは標準語。
広辞苑には『@余分・余力・余地を残す。残っている。Aもらす。とり逃がす。B余勢で外にほうり出す。』とある。
Dその他。
あます:償う:静岡。
あまずっかい 【形】甘酸っぱい
(あませーなしに) 【副】一日中 神奈川。
『合間さえなしに』の意味だろう。
あまだ
あまた
あまーだ
【形動】【古】たくさん 『数多(あまた)』の濁音。標準語では『引く手あまた』ぐらいしか使われていない。
あまだ:福島。
あまだして
あまーだして
【副】【古】大勢で
あまたれ
あまたれこぞー
甘ったれ
あまだれ 軒下 『雨垂れ落ち』の略。昔の民家には雨どいは無かった。我が家で雨どいが付いたのは昭和40年前後だった。雨が落ちる場所は次第に穿たれるのでそこには砂利を敷いた。
あまだれ:愛知・神奈川。
あまだれ:軒:広島。
あまだれぎわ:群馬。
あまたろー 【固名】大判焼き、甘太郎焼き、お焼き、土手焼き、太鼓焼き、金鍔(きんつば)、金鍔焼き 今川焼きの一種。土浦で販売されていた大判焼の商品名。円形。『どてきん』という商品もある。
あまたろー:千葉県から関東北部。
あまたろー
あまちゃん
考えの甘い人、愚か者 人名化したもの。
あんたろー:馬鹿者:栃木。『あまたろー』に由来するのか『安穏』『安本丹』等と関係があるかは不明。
あまだん 餡でくるんだ団子
あまちこい
◆▲あまちっこい
あまちけー
あまちっけー
【形】甘ったるい 『甘味が濃い』意味。『集覧:稲』。
あまぢっこい:青森。
あまちち
あまちょ
松ノ木のこぶから出る樹液
あまちゃん 【形動】考えの甘い人、考えが幼い人 俗語。
あまちょ 【形動】@女をののしっていう語、A考えの甘い人、考えが幼い人 @『あまっちょ』。
あまっちょ:群馬。
あまっけー 【形】甘い 『甘い』+『こい』。
あまっけ 雨模様 あまけ:青森・静岡。
◆■▲あまっこ @女の卑称、A女の子、B甘えっこ 『集覧:新・稲』。『尼っこ』。
@標準語。
あまっこ:茨城・千葉・栃木・埼玉・群馬・東京・神奈川・北陸中部(山梨除く)・静岡・滋賀・大阪・奈良・三重・和歌山・高知。
A・あまっこ:東京・東京武蔵村山・神奈川。
あまっこー:静岡。
あまっこい 【形】甘い 『甘い』+『こい』。
あまっさえ 【副】あまつさえ、おまけに 古い標準語。
(あまっさい・あまっさえ) @雨の一時やむこと。また、その間。A雨のやむのを待つこと。 静岡。『雨つ冴え』の意味か。
@・あまっせい:雨の晴れ間:山梨。
あまったらしー 【形】甘い あまったるい:東京。
あまったらしー:山梨。
あまっちこい
あまっちっこい
【形】甘い
あまっちょ
あまっちょめ
【形動】@女をののしっていう語、A考えの甘い人、考えが幼い人 @『あまっちょ』は標準語。
あまっちょ:東京多摩。
あまっちょー:静岡。罵る意味でも使う。
Bその他。
あまっちょ:女の子:神奈川。
あまっちょー:女の子:静岡。罵る意味でも使う。
あまっちょ @スイカズラ、A松ノ木のこぶから出る樹液
あまっちょのき スイカズラ
あまっちょれー 【形】甘っちょろい あまっちょれー:群馬。
あまっとろい
あまっとろしー
あまとろしー
【形】甘ったるい あまじゃらし:群馬。
あまっつぁらし 【形動】雨ざらし あまっつぁらし:群馬。
あまっ 雨、雨降り
あまっ 【形動】雨が降りそうな様 半濁音は濁音で発音されることがある。
あまどし 雨の多い年
(あまのわ) 天の川 昭和30年代には、夏の夜の空には、いつも天の川があった。
何故天の川がよく見えたかと言えば、街灯が少なく、月明かりや提灯が欠かせなかった。
子供達は、村の各所にお化けが出そうな場所を取り決めて、様々な名前をつけていた。
夏の夜空は今でも不安定で、夜になると音も無い稲妻が町の夜空を走ることがあるが、多くの人が、知らずに終わってしまうようである。
恐らく日本には、今でも天の川を日常の環境として、自然に捕えている地域が多いのだろう。
あまのじゃぐ ひねくれもの、人に逆らい邪魔をする人 『天邪久・天邪鬼』。濁音化。今ではあまり使われない言葉。
あまぼ
あまぼー
甘えん坊 当時の高齢者言葉。
◎あまま 雨がやんでいるあいだ。雨の晴れ間。あまあい。 『雨間』(あまま)。万葉集にもある古い言葉。
◆■●あまめ 女性、女の子 卑下する言葉。江戸時代の江戸言葉とも言っても良いだろう。
あまめ:ゴキブリ:鹿児島。
(あまめ) ゴキブリ 鹿児島。動詞『あまい』に由来するか。
あまめがぎ 女の子 卑下する言葉。
あまもよー 雨が降りそうな様子 『雨模様』(あめもよう)。
△▽あまや 納屋、農機具・味噌・漬物・穀物ほかを収納する建物 辞書掲載語。雨の日にする作業部屋の意味と思われる。
辞書では『天屋』とされているが、雨の日の作業場としての『雨屋』もあるのではないかと思われる。=『までや』
あまや:福島・茨城・栃木。
あまやらがす 【動】甘やかす
あまら 女達 標準俗語。
あまらがす
あまらかす
【動】残す 『余す』『余らす』。文法的な間違いは無いようにも見えるが、標準語表現には無い。
あまる 【動】@溢れる、A一杯になる 標準語の意味拡大。
うんどーかいにいったっけひとであまっでだ:運動会に行ったら人が一杯だった。
(あまる) 【動】騒ぐ 鹿児島。
(あまん) 鹿児島。
(あまんかい) 【複】あそこへ、あっちへ 沖縄。
あまんじゃぐ
あまんじゃく
@あまのじゃく(あまんじゃく)、ひねくれもの、人に逆らい邪魔をする人、Aジャコウアゲハのさなぎ、B甘えん坊 @は濁音化。ところが広辞苑に『あまのじゃく(天邪久・天邪鬼):昔話に出てくる悪者。人に逆らい、人の邪魔をする。天探女(アマノサグメ)の系統を引くといわれるが、変形が多い。あまんじゃぐめ。』とある。この言葉の濁音化については茨城方言だけのものではないようである。
あまのじゃく:山彦:秋田・富山。
あまんじゃく:群馬・神奈川。
あまんしゃくま:ひねくれもの:鹿児島。
あまんしゃくめ:ひねくれもの:鹿児島。
Aはジャコウアゲハがあまのじゃくなので木に括りつけられたとされる。
あまのじゃく:蝶類のサナギ:山形・神奈川。
Bその他。
あまんじゃく:少女:神奈川。
あまんじゃく:女:静岡。 罵倒語。
あまんじゃく:反響:群馬・静岡。
あまんじょー:女:静岡。
あまんだれ 雨だれ 『雨の垂れ』の意味。ちなみに『天』と『雨』は同源とされる。
あまんだれ:ツララ:長野。
あまんだれ:軒:静岡。
あまんだれ:山梨。
あまんぼ
あまん
@甘えん坊、A▲ジャガイモ 当時の高齢者言葉。『集覧:久』。『甘の者・甘の物』の意味。
@・あまんべ:神奈川。
あめったれ:神奈川。
あまんぼ
あまんぼー
塩気が薄いこと 『甘の物』の意味。
あまんぼ
あまんぼー
あまんぼろ
あまん
ツララ 『雨の物』『飴の棒』の意味か。
あまんぼー:神奈川。
『飴ん棒(あめんぼう)』は使われなくなった標準語。
古い言葉に『ほろ』がある。『涙の落ちるさま。』の意味である。あまんぼろ・あまんろ』は『天から落ちた雨の涙』の意味とも思われる。
あみ 雨、飴 以下の『あめ』は全て『あみ』に置き換えられる。
『天(あま)』は『空(くう)』と同じ意味で、『宇』にも通じる。『宇』は『無』に通じる。『天(あま)』は雨の古形とされる。
また、各地の一人称・二人称は『あ』の複合形が多く使われる。各地の一人称・二人称は『あ・い・う・わ』の複合形が多い。
『あ』とは日本語の根源の言葉で、『ち』に並ぶ言葉と思われる。
あみ:鹿児島。
あみさ 三つあみのこと あみさ:栃木。
あみだのらい 阿弥陀如来 直音化。
あーみーでで
あーみーででも
【複】ああ見えても
(あみわたし) 渡し金、鉄灸 宮城。
あーむすび 紐の結び方の一。中央に一つ、左右に二つのわなを並べて結ぶ。飾り結びとして水引などに広く用いる。鮑(アワビ)結び。 『淡路結び』。
あめ 雨、飴 平板型アクセントで標準語のような区別はない。時により逆転する。アクセントがイントネーションに支配される。即ち茨城弁には単語にはアクセントが無いのである。
あめこ:飴:宮城。
あめ
あめー
【形】甘い 単音形は東北弁の特徴。
あみゃー:静岡。
あめ:味が薄い・甘い:青森。
あめ:宮城。
あめー:福島・群馬。
あめあめ 松ノ木のこぶから出る樹液 猿島郡・岩井市。『甘い飴』の意味。
あめおくれる
あめくれる
【動】相手が喜びそうなことをして、思い通りにする 『飴をくれる』意味。慣用句に『飴を食わす(あめをくわす):@勝負事などでわざと負けて相手を喜ばせる。より大きな利を狙(ねら)って、相手に小さな利を与える。A甘言など、巧いことを言って人を騙(だま)す。』がある。
あめーくれる:神奈川。
あめばがしくれでだんではだいだ:甘えさせてばかりでは駄目だ。
あめが
あめがー
【複】雨か? 『雨か?』の意味。
なにがあったのがー?、あーあめがー。なんだ、ほしものとっこまなげなんね。ふとんぬれっちゃーどいがんね(いけない)がら、おめてづだいや:なにかあったの?。ああ雨なの?。そうなら干し物を取り込まなきゃいけない。布団がぬれるといけないから、あなた手伝いなさい。
あめこんこ
あめこんこん
幼児言葉。
あめこんこ:福島。
あめくれる 【慣】より大きな利をねらって、相手に小利を与える 広辞苑には『飴をしゃぶらせる:相手を喜ばせるために、うまい事を言ったり勝負事にわざと負けたりする。より大きな利をねらって、相手に小利を与える。「飴を舐(ネブ)らす」「飴を食わす」とも。』とある。
あみょーくれる:山梨。
あめーくれる:神奈川。
あめする 【動】幼児が人見知りする 『まめする』のm音の脱落形と思われる。『集覧:無記載』。
あめっけ 雨気味の天気 あまけ:青森。
あめーったれ 甘えん坊 あめったれ:神奈川。
あめーったれる 【動】甘ったれる 『甘え垂れる』。
あまってる:神奈川。
あめったれる:神奈川。
あめっ @雨の勢い、雨の様子、A雨振り、雨 この『ぷり』は『振り』の意味で雨が降る状態を表す。半濁音は濁音で発音されることがある。『男っぷり』と同じ表現なので、方言とも言いがたい。
@★いいあめっりだ:良い雨の降り様だ。
A・あめっ:千葉・栃木・群馬・山梨。
あめっりばな ヒルガオ、コヒルガオ、ホタルブクロ 全国的には『アメフリバナ』。半濁音は濁音で発音されることがある。
あめっ:ホタルブクロ・クサボタン・ナルコユリ・ツリガネニンジン:長野。
あめふりばな:ホタルブクロ・クサボタン・ナルコユリ・ツリガネニンジン:長野。
あめっ 【形】雨気味の天気 半濁音は濁音で発音されることがある。
あめばぢ ミツバチ 久慈郡。
あめばち:青森。
あめはれる 【複】雨があがる イントネーションからは『飴腫れる』に聞こえる。
あめはれる:宮城。
あめぶり @雨の勢い、雨の様子、A雨振り、雨 あめぶり
あめふりばな
あめりばな
ヒルガオ、ホタルブクロ 『アメフリバナ』。
広辞苑には『雨降花:摘みとると雨が降って来ると伝える草花。地方により、ホタルブクロ・ツリガネソウなどをいう。』とある。方言としてのは、雨の日に良く咲く花の意味と考えられる。
あめふりあさ:ヒルガオ:埼玉。
あめふりばな:ヒルガオ:青森・山形・東北・埼玉・長野。
あめふりばな:ホタルブクロ:岩手・福島・長野。
のらあさ:ヒルガオ:埼玉。
あめま 雨がやんだ合間、雨の晴れ間 『雨間』(あまま・あまあい)。
あまえー:神奈川。
あめむり 雨漏り
あめめー 【形】@いまいましい、A馬鹿馬鹿しい 稲敷郡。
あめりか ミズズマシ 久慈郡。
あめりかどんちゃ アメンボ 那珂湊市。
あめりかとんぼ アキアカネ 東茨城郡。
あめりかなす トマト 稲敷郡。
あめーる 【動】甘える あめーる:山梨。
あめーらがす 【動】甘やかす あめこかす:宮城。
(アメリカナマズ) チャンネルキャットフィッシュの俗称。最近の霞が浦ではアメリカナマズが大量に繁殖している。2005年夏、網ですくって小魚の様子を見てみたら何と大半がアメリカナマズの稚魚だった。成魚は餌の食いつきが良く、30分程度で簡単に3〜4匹の大物が釣れる。大凡50cmから60cmもの大物ばかりである。食べられると聞いたので蒲焼のたれをかけて食べてみたら、ちょっと大味のウナギといった食感と味だった。もともとは食用に養殖されたらしいが、地元の漁協では総漁獲量のほか、特産のワカサギやハゼの漁獲が激減し、ペヘレイやブルーギルの繁殖と合わせて大きな問題になっている。
あめんなが 雨の中 濁音化。
あめんなが:宮城。
あめんぼ 飴ん棒。飴棒。 七五三の時もらった棒状の飴。『飴ん棒』(あめんぼう)なら古い標準語。『垂れん棒』とも言う。
あめんぼ
◎あめんぼー
つらら あめんぼー:東京多摩・山梨。
(あめんぼー) 飴の棒のように柔らかいもの 神奈川。
あーもぢ 粟を混ぜてついた餅 石岡市の方言。『粟餅』の意味。標準語の『粟餅』は『糯粟(モチアワ)を蒸してついた餅。』の意味。
あや 綾、見た目では解からない仕組み、裏の理由 標準語。
あや:静岡。
あやある:言葉に不審なところがある:神奈川。
あや
あやー
具合、調子 単に『具合』の短縮化か、『綾』(文章などの表現上の技巧。いいまわし。ふしまわし。)の意味が転じたか?。『間』(あわい)には、『情勢』(なりゆき。様子。また、勢力の優劣の状態。)の意味があり、それが転じたか?。
ところで『あいにく』の古形は『あやにく』である。この場合の『あや』は広辞苑では感嘆詞としての『あや』であるとしているが、日本語源大辞典では、『「あやに」が語の語幹であるという説もある。近代には「生憎」「合憎」「相憎」と表記して、副詞の用法が多く見える。』とある。
(あや) 気力 鹿児島。
ないすいもあやがのし:何をするにも気力がなくなった:鹿児島。
あや
あやー
あやあや
あやや
あややー
【感】あら、ありゃ、おや 現代語の『おや』が最も近い。感嘆詞としての『あや』は、『義経記』に出てくる。
『俚言』に感嘆詞として『ああ、あな、あなや、あや、あら、やあ、やあら』がある。
あいや:秋田。
あや:青森。
あんやいやい:八丈島。
あやあや 【感】おやおや
あやがし
あやがしい
【名】【形】怪しい、曖昧な様 清音の『あやかし』なら古語。本来は『あやかし:@海上にあらわれる妖怪。あやかり。海幽霊。A転じて、怪しいもの。妖怪変化。Bあほう。馬鹿者。』の意味。
あやしー:危ない:静岡。
あやっかしー:危ない:山梨。
あやがす 【動】子供をあやす 『あやす』の擬似他動詞形。
あやがりもの
あやがりもん
その幸福にあやかりたいと思うほどのしあわせ者。また、ある幸福な人と同じような幸福を得た者。果報者。 『肖り者』。濁音化。
あやかりもの:東京。
あやがる 【動】肖る(あやかる) 濁音化。
あやわるい
あやわるい
【複】具合が悪い
あやぐむ
あやくむ
【動】こんがらかる、複雑にできている 『綾が組む』『綾が混む』意味。
(あやす) 【動】叱る 神奈川。
あやつげる
あやつける
【動】言いがかりをつける 濁音化・短縮化。『綾を付ける』自体あまり使わなくなって来た。
あやつく・あやたかる:けちが付く:群馬。
あやつける:青森。
あやす:叱る:神奈川。
あやーつける:神奈川。
あやって 【複】ああやって 『彼(あ)やって』。
あやとんぼ イトトンボ 鹿島郡。
あやにぐ 生憎 『あいにく』の古形『あやにく』の濁音化。
(あやまち) 怪我 『過ち』。平家物語にもある古い言葉。『平家四「近う寄つてあやまちすな」』。
あいまち:新潟・鳥取。
あえまぢ:山形・静岡。
あやまち:静岡。
いーまち:福島。
えーまち:茨城。
★『土』:怪我っちゃ過(ええまち)だから
あやまらがす 【動】謝らせる
あやまる 【動】@閉口する、参る、A間違える @『謝る』。標準語では口語から消え去った言葉。
あやまる:福島。福島では『負ける』意味もある。
A『誤る』。当時の土浦では日常的に使われた。『はやまる』も同様に使う。
あやめ ハナショウブ
あーやればいーのが? 【複】ああゆうふうにすればいいのかい あーやればいーのがんだよな、ほんでいがっ:ああゆうふうにすれば良いの?。−そうだねえ、それでいいんじゃないの?。
あやーわるい
あやわりー
【複】拍子が悪い、間が悪い 『集覧:無記載』。
あーやん お母さん 幼児語。北茨城市の方言。
あや:北海道・秋田・山形・新潟。幼児語ではない。
あやー:沖縄。幼児語ではない。
あゆがせる
あゆせる
【動】歩かせる
あゆがす 【動】歩かす 古語の『揺かす(あゆかす)』は、『揺るがす・揺り動かす』意味。
あゆぐ 【動】歩く 古語では『揺く(あゆく)』とは言い揺らぐ事。『揺く(あよく)』が訛ったとされる。
古くは『あゆぶ。あよぶ。あよむ。』とも言われた。
また、行くの上代語は『行ゆく』である。
あにゅむ:歩む:鹿児島。
あゆぶ:鹿児島。
あゆぐ
あーゆぐ
【複】あんなに、あのように、ああいう風に
あゆた
あーゆた
あーゆたな
あーゆな
【複】あんな、あのような、ああいう風な
あゆたに
あーゆたに
あーゆに
【複】あんな、あのような、ああいう風な あーゆーたに:静岡。
あゆの
あーゆの
あーゆーの
【複】あんなの、あのようなもの(人)、ああいう風なもの(人)
あゆふ
あーゆふ
あーゆーふ
あーゆーふー
【複】ああいう風
あゆふた
あーゆふた
あーゆーふた
あーゆーふーた
【複】ああいう風な
あゆふな
あーゆふな
あーゆーふな
あーゆーふーな
【複】ああいう風な
あゆふに
あーゆふに
あーゆーふに
あーゆーふーに
【複】ああいう風に
あゆよた
あーゆよた
あーゆーよた
あーゆーよーた
【複】ああいう様な
あゆよな
あーゆよな
あーゆーよな
あーゆーよーな
【複】ああいう様な
あゆよに
あーゆよに
あーゆーよに
あーゆーよーに
【複】ああいう様に
あゆみ
あゆみいだ
歩板 『わだしいだ』
あーゆん 【複】ああいう風 あーゆんではだいだ:ああいう風では駄目だ。
★『土』:ありや、はあ、以前(めえかた)っからあゝゆんだから:あいつは、もう、以前からああいう風だから。
あゆんで 【動】歩いて行く 『歩んで(あゆんで)行く』。『ぐ』は濁音・鼻濁音。
あよ
あーよ
あーよー
【感】ねえ、なあ、あのさあ 茨城方言集覧に手書きでメモされている。
この言葉に相当する標準語は、『なあ』『ねえ』しかない。この『あ』は、『我・吾』(あ・わ)と考えられ、古くは二人称でも使われた言葉。『お前よ』の意味である。『なよ・なーよ』も同じである。
現代語の呼びかけの言葉『ねえ』は古くは、お前の意味の『己・汝』(な)に『え』がついた『なえ』だったのではないか。和歌山では二人称を『あや』、三重県では『あよ』という。
『なよ・なーよ』
・『241』(あよぅ):催促などをする場合。
・『332』(あーよ):同意を促す場合。
・『3321』(あーよー):同意を促す場合:話のきっかけにしたり促したりねだるときに使う。
・『22241』(あーよーー):少し甘えてねだる時の言い方。
あよ:千葉野田。
あよ、はいぐしろよ:ねえ、早くしてよ。
あーよ、おめもそーおもーべよ:ねえ、お前もそう思うだろう。
あら @玄米や精米に入っている籾、A魚の粗、B欠点 標準語。『粗』。
A当時は貧しかったので、味噌汁の具の魚はいつも粗だった。魚の種類はその時によってまちまちで、時には骨だらけで肉が薄っぺらく付いているだけの事もあった。しかし、十分に味噌汁を美味しくしてくれたし、食べた残りの骨は猫の上等な餌になった。当時は、サンマの塩焼きは内臓を除かず、そのまま頭から尾びれまで食べるのが慣わしだった。七輪(当時はコンロと呼んでいた)で焼いたサンマは骨まで良く火が通り、食べられたのである。良く聞かされたのは、猫には鳥の骨は絶対に与えてはいけないというう事だった。鳥の骨は魚の骨に比べて硬く、猫には噛み切れず酷い場合は死んでしまうからと教えられた。
私は今、寿司屋の粗煮が大好きである。美味しいだけでなく日によって具が違うのでいつも新鮮な味わいがあるからである。
B★人のあらをほじる・人のあらをつっつぐ:人の粗を探す。
あーら 深田 『やーら』がさらに訛ったもの。稲敷郡の方言。
あら 【指代】あれ 一部の助詞に付いて使われる(後掲)。
あら
あらー
あーら
【副】あれは 連母音変形。
あら:鹿児島。
あらー:群馬・東京。江戸言葉。
あら
あらー
【複】有るよ 『あらむ』とも『あるわ』が変化したとも考えられる。
江戸言葉では『あらあ』
あらー:東京青梅市・山梨・静岡。
あらー 【動】洗う あらる:青森。
ある:鹿児島。
あらー!、あららららららららららら−−− 【感】 イントネーションはともかく『あら!』までは標準語と同じだが、その後『ら』を何十回も繰り返すことがある。その場合の『ら』は波のようなイントネーションとなる。心の底から驚いたり怒るのではなく、やや茶目っ気のある言い方。
あーら
あーり
【副】あのように、安易にする様
あーりーこーりー 【感】ああ言いこう言い
あらあら 【副】凡そ、ざっと 標準語。
あらあら:静岡。
あらあんで
あらーあんで
【複】あれはあれで
あらいおげ @芋類を洗う木製の少し深い桶、里芋等の場合はX型の洗い棒を使ってごろごろ音をたてて洗った、A風呂で身体を洗う桶、B食器や野菜を洗うために流しに置く桶 清音なら標準語だが死語。『洗い桶』。
あらいかだ 洗濯 『かだ』は『方』で行為またはその行為をする人の意味。『綴り方』の『方』と同じ。
あらいかだ:山形。
あらいこ
あれーこ
粉石けん 『洗い粉』。古くは『物、特に髪や皮膚を洗うのに用いる粉。澱粉質(小麦粉など)に石鹸末・硼酸末・重曹などをまぜたもの。』(広辞苑)とある。
あれこ:鹿児島。
あらいざれー 【副】洗いざらい 連母音変形。
あらいちょ 丸型のメンコ
あらいっつぁらし 幾度も洗って色がさめること、またはその服 『洗い晒し』。
あらいっつぁらし:栃木。
あらいば @浴室で身体を洗うところ、A多く井戸の近くで洗いものをするところ 『洗い場』。
Aは、今では農家でも見られなくなってしまったもの。当時ははそこに必ず洗濯板の入ったタライと洗い桶があって、洗濯のほか、芋や野菜を洗う場所でもあった。
広辞苑に『ば【場】:(「には(庭)」の転):@物事の行われる広いところ。場所。A物事の行われる時機・局面。ばあい。B特に、戦場をいう。仕場(シバ)。C演劇で、或る幕のうち、舞台装置の変換が行われず、同じ場面で終始し一区切りとなる部分。D取引所内の売買取引をなす場所、すなわち取引所立会場。E〔理〕(field) 空間の各点ごとに或る物理量Aが与えられている時、Aの場が存在するといい、Aを場の量という。力の場、速度の場、電磁場、重力場の類。F〔心〕心的過程や社会現象の生起する状況を全体構造としてとらえ、動的な過程としてそれを記述または説明するための用語。』『ま【間】:@物と物、または事と事のあいだ。あい。間隔。Aあいだの空間。すきま。Bあいだの時間。ひま。いとま。Cある事にあてる一続きの時間。D長さの単位。E家など、建物の柱と柱とのあいだ。けん。F畳の寸法にいう語。京間は曲尺(カネジヤク)で六尺三寸と三尺一寸五分、田舎間は五尺八寸と二尺九寸。G家の内部で、屏風・ふすまなどによって仕切られたところ。H家の一しきりをなしている室。へや。I室町時代、部屋の広さの単位。坪。J部屋の数を数える語。K日本の音楽や踊りで、所期のリズムを生むための休拍や句と句との間隙。転じて、全体のリズム感。L芝居で、余韻を残すために台詞(セリフ)と台詞との間に置く無言の時間。Lほどよいころあい。おり。しおどき。機会。めぐりあわせ。Mその場の様子。ぐあい。ばつ。N船の泊る所。ふながかり。』とある。
広辞苑の解説には屈服せざるをえないが、標準語や数ある方言を見ても『ば』と『ま』は音通する。もともと、日本語には『ば』と『ま』が存在し、漢字が伝わった後、場と間に仕分けられた可能性もある。
あらいま:清水の湧き出すところや渓流に設けた洗い場:群馬。
あらいはり 和服を解いて洗い、板に張り乾かすこと 多くの茨城県人は方言だと思っている。
『洗い張り(着物などをほどいて洗濯し、板などに張ってしわを伸ばすこと。板張り・伸子張り・アイロン仕上げなどがある。)』(広辞苑)。
これは、和服のクリーニングを指して言うものだが、茨城では言葉がそのまま残り一般のクリーニングも『洗い張り』と言う地域がある。
あらいはりにだす:クリーニングに出す。
あらいはりや 洗濯屋、クリーニング屋 『俚言』によると江戸時代には、『あらひはりや:洗白家をいふ。』とあり、洗濯屋を『あらいはりや』と言った。
あらいまで
あらいまぜ
あれーまで
あれーまどい
食器洗い、台所の片付け 『洗いまとめる』意味と考えられる。
あらいでま:群馬。倒語か食器洗いの仕事を『洗い手間』と表現したか。
あらいのけ:器を洗うこと:長野。
あらいまし:食器を洗って片付ける:愛知・長野。『洗い回し』の意味か。
あらいまて:栃木。
あらいまて:拭き掃除:群馬・埼玉・千葉。
★『土』:待(ま)ってれば善(え)えんだなおとっつあ、洗(あら)いまでも仕(し)ねえのにどうしたもんだ:待ってればいいんだね、お父さん、台所の片付けもしてないのにどうしたものだろう。
あらおごし 春先に稲株のある水田を最初に耕うこと、一番耕起 『荒起し・新起し』。
あらおこし:開墾すること:群馬。
あらおこし:開墾したばかりの田畑:神奈川。
あら
あら
【動】@あらそう、いさかう、A相手の言うことを否定する 使われなくなりつつある標準語。『争う(あらがう)』。名詞形は『争い(あらがい)』。
あらいな:乱暴な:高知。
あら:からかう:岩手・広島。
あら:あらそう:山形。
あらがす 【動】荒らす、散らかす、混乱させる 『荒らす』の擬似他動詞形。
あらたがる
あらたかる
【動】米に籾殻が混じる 『あら』は『粗糠』(あらぬか)の意味。『たかる』は『集る』意味。
あらがだ 【副】大半、だいたい 『粗方』。濁音化。
あらがだ:青森。
あらかた:群馬・新潟・山梨・静岡。
あらがる 【動】@荒げる、A離れる、去る、距離を置く A『散去く(あらく)』(@ちりぢりになる。また、間を離す。特に火や灰をかきひろげる。A場所をあける。よける。)。
あらかる:離れる:千葉・神奈川・東京大島・和歌山。『散去ける』。
あらく:距離を置く:徳島・高知。
あらく:距離がある:兵庫。
あらぐ
あらく
【副】多い様 『えら』の連用形か。
『俚言』には『あらく:常陸の土人多いといふをあらくといふ。』とある。
あらぐ 【副】手荒に、乱暴に 『荒い・粗い』の連用形・濁音化。
あらく:山梨。
あらくたい:手荒い:近畿・四国。
あらぐ
■▲☆△▽○あらく
【名】@荒地、A▲開墾地 『集覧:稲』。
広辞苑に『あらく:(関東・東北地方で) 荒地。また、新しく開いた畑や山畑。動詞として、開墾する意にも用いる。』とある。古語に『新墾治(あらきばり):新たに田を開墾すること。にいばり。』がある。
荒るらく:(荒ルのク語法) 荒れること。』が訛ったか。
@『荒処』か、『荒塊』(土の大きなかたまり。)『荒塊起』(田を荒起しすること。あらぐり。あらくれ。)の意味か、『散去く(あらく)』(@ちりぢりになる。また、間を離す。特に火や灰をかきひろげる。A場所をあける。よける。)の擬似名詞形か。
あらく:茨城・群馬・千葉・東京多摩・神奈川・山梨・静岡。
A『新処』か。開墾地は『新地』(しんち)と言い地名に残る。茨城では『あらぢ』と発音する。
あらおこし・あらち:開墾したばかりの田畑:神奈川。
あらき:青森・秋田。
あらき:間隔:山口。
あらぐ:千葉。
あらく:岩手・宮城・栃木・群馬・千葉・東京多摩・神奈川・長野・山梨・静岡・種子島。
あらこ:群馬・静岡。
かいこんば:千葉。
ねーの:長野。
Bその他。
あらく:開墾する:神奈川・静岡。
あらける:開墾する:静岡。
あらぐおおごす
あらぐおぎる
あらぐきる
【動】開墾する あらくを起こす・あらくを切る』の意味。
あらく:神奈川。
あらける:静岡。
あらぐおごし
あらぐきり
開墾すること あらおこし:群馬。
(あらくずーかす) 【動】仕事で初めの遣り易い部分から遣る 神奈川。
あらくだぎ
あらくだき
稲田の2番耕起、2番うない
あら 落ち度 『粗隈』の意味。古い標準語に『荒くましい・荒くもしい・荒こましい』(荒々しい。あらい。)がある。
あらまさ あらさがし 『粗隈探し』の意味。
あらぐれ
あらぐれおごし
あらぐれかぎ
稲田の1番耕起 辞書には『荒塊』(土の大きなかたまり。)『荒塊起』(あらくれおこし:田を荒起しすること。あらぐり。あらくれ。)とある。
あらぐろ アブの幼虫 稲敷郡。
あらげない
あらげねー
【形】荒っぽい、荒々しい 古い標準語の『荒けない』の転。『俚言』には『あらくれない』があるが解説が無い。『荒くれ』は『荒々しいこと。乱暴なこと。また、そういう人。』の意味だから、この場合の『ない』は『無い』の意味ではなく『〜なや』の意味だろう。
あらげない:青森。
あらげね:青森。
あらげる 【動】@散ける、ちりぢりになる、A間や場所を開ける、整理する、B掻き広げる @AB古い標準語の濁音化。『散去ける(あらける)』。
@・あらける:落ちる:京都。
あらける:荷物などを投げ飛ばす:神奈川。
A・あらける:片付ける:神奈川。
あらける:間を広げる:静岡。
あらける:遠く離れる:神奈川。
B・あらける:山梨。
あらける:開く:愛知。
あらげる 【動】暴れる 『荒くれる』。
あらげる:秋田。
あらける:神奈川・佐渡島。
あらける:投げ飛ばす:神奈川。
あら 【動】(声を)荒くする 本来は『荒らげる』。
あらご
あらこ
開墾地 『集覧:稲』。
『新処』か。開墾地は『新地』(しんち)と言い地名に残る。茨城では『あらぢ』と発音する。
あらこ:群馬。
あらなし 細密な仕事の前に、まずざっと処理すること。 『荒ごなし』。
もとは、『物を粉末にする時、最初まずざっと砕くこと。』の意味だから、『粗粉を成す』の意味か。
ちなみに『熟す(こなす)』とは広辞苑に『@砕いてこまかにする。土などを砕いてやわらかにする。A食物を消化する。B思うままに扱う。自由に扱う。B動詞について、その動作を要領よくうまくする意を添える。C思うままに処分する。征服する。D仕事をすませる。処理する。E見くだす。軽蔑する。』とあるから、『粉を成す』意味であろう。Eは『潰す』意味に転じたのだろうか。あるいは、『こなす』は『けなす』や『くだす』に通じるからだろうか。
あらし 泥棒、強盗 『荒し』。
あらしー 【複】あるらしい 上代語の『あらし』の長音化。
あらしこ 台所で水汲みなどをする小使い 『広辞苑』では『荒子・嵐子:(荒仕事をする賤しい男の意)@武家に仕えた中間(チユウゲン)・小者(コモノ)の最下層のもの。A農家の使用人。下作人。洗い子』の意味としている。
あらじょだい
あらじょたい
あらじょでー
新婚の家庭 『新所帯』。
あらじんしょー:群馬。
あらじる 魚類のあらを入れてつくった汁、粗汁 標準語。当時は、魚の粗がいつでも魚屋で手に入り、美味い粗汁を食べることができた。今では家庭でこれを作るのは稀となった。店に売っていないからである。
あらす 新品 新治郡・稲敷郡(阿見町)・行方郡。霞ヶ浦を取り囲むように分布している。
『新品(あらしな・あらじな)』の意味がが訛ったか。
(あらす) 【動】転がす 長野。
(あらすか・あらすけー・あらっかい・あらっけー) 【複】あるものか 静岡。
『ありあんすか・ありやんすか』『ありあんすかい・ありやんすかえ』『ありあんすかや・ありやんすかや』の意味か。
あるいは、『あらんすか・あらんすかい・あらんすかえ・あらんすか』の意味か。
あらすか:山梨。
あらだ
あれだ
荒れた田。久しく耕さない田。あれた。 『荒田』(あらた・あれた)。
あらぢ @新開地、開墾地、A分家 『新地』。
あらっこめら 娘達 『童衆小女郎』(わらしこめろ)の意味。
あらっちめ
あらっちめー
【複】洗ってしまえ 長音形は江戸言葉とも考えられる。
あらっちめー:山梨。
あらっ 【形】荒っぽい 江戸言葉と考えられる。
あらっ:山梨。
(あらと) 手前、近く 山梨。
広辞苑に『あらと:@(伊豆大島・佐渡で) 家の入口。また、家の上り端(バナ)の一室。A(三河・飛騨で) 山や村里などの入口。』とある。
あらなー
あらなわ
藁で編んだ太い縄 『荒縄』。
〜あらない 【複】〜ない 広辞苑には『【助動】(活用は形容詞型) 動詞、動詞型活用の助動詞の未然形に付いて否定を表す。近世上方語には無く、江戸など東日本に多いが、終止形の例が多く活用の発達は遅い。仮定条件には「ないければ」が多く用いられた。おあん物語「くびもこはいものではあらない」。浄、宵庚申「急(セ)くことはあらない」(浜松の武士の詞)。梅暦「いふ事を聞くのは否、聞ないければ、あの通りいぢめて」。膝栗毛六「何だかかだか、さつぱり分らなくなつて」。人、春色恋廼染分解「何も吾儕がしなければならないといふ訳でもありませんが」』とある。
確かに当時の先生の中には『あらない』(あらぬ)を連発する人がいた。『せない』(せぬ)という言葉も聞こえた。
あらんもん:違うもの:鹿児島。
あらぬが 籾殻 清音なら標準語。
(あらひがん) 新仏のあった家が迎える初めての彼岸会 群馬。
あらひらー
あらひらう
粗を探す、他人の欠点を突く 『粗を拾う』意味。
あらーひろう:山梨。
あらびる
あらぶる
【動】荒々しく振舞う 『荒びる・荒ぶる』。
あらびる:山形。
あーらへん あそこあたり 標準語の俗語の『あそこらへん』の転。
(あらぼったい) 【形】荒っぽい 静岡。茨城に有ってもおかしくない言葉。
あらほど 【副】あれほど ★『土』:近頃(ちかごろ)それに何(なん)ぢやねえけえ、あら程(ほど)欲(ほ)しつたのに後妻(あと)貰(もら)あべえたあ、云(ゆ)はねえんぢやねえけえ。
あらま 【感】あらまあ
あらまい 【複】有るまい あらまい:静岡。活用の変化。『あらんまい』の表現。
あらまぎ 甘塩の鮭 『荒巻、新巻』。
広辞苑には『荒巻・苞苴・新巻:@葦、竹の皮、わらなどで魚を巻いたもの。つと。すまき。A甘塩の鮭(サケ)をわら縄で巻いたもの。北海道の産。今は臓腑をとって塩をつめて作る。近世以後、歳暮の贈答品に用いる。新巻鮭。』とある。
あらまぎ・あらまき:青森。
あらまし 【副】ひととおり、おおかた、【名】概要 標準語。
広辞苑には『アリに助動詞マシのついたものか』とある。
あらます:宮城。
ありまち:あるだけ全部:栃木・長崎・熊本。
あらまっちゃんでべそのちーいり 主に子供のはやし言葉。 『あら』『あらまあ』という返事に対して、はやす言葉。『あんんたんのけづまり』がつくことがある。
あらまら @ウシアブまたはシロアブの幼虫、Aゲンゴロウの幼虫、Bヤゴ 『あら』とは『現』(「世に現れている」「目に見えている」「現在ある」などの意を表す。)で、『まら』とは『魔羅・摩羅・末羅』(仏道修行を妨げ、人の心を惑わすもの。仏伝では、釈尊の成道(ジヨウドウ)を妨げようとした魔王の名。魔。)だとすると、『この世に現実に現れた魔王』の意味となる。
@県北部から県西部にかけての方言。これに刺された時『あらまら天上いだぐねー』と3回唱えると痛くないという言い伝えが常陸太田市に残る。新潟県南蒲原郡でもアブの幼虫を『あらまらー』と呼ぶことがネットで紹介されているので、もともと古くからあった言葉と考えられる。
あらまらー:アブの幼虫:新潟県南蒲原郡。
しんだんべ:アブの幼虫:埼玉。
A高萩市・那珂郡・真壁郡ではゲンゴロウの幼虫を指す。この虫は水田で人を刺し殺しておいて、死んで流れてくるのを水口で待っているという言い伝えが高萩市に残る。
B西茨城郡ではヤゴを指す。
あらみ
あらむ
撒く前の麦 『新麦』の意味。予めぬる湯につけて発芽させてから蒔く。
あらむ:群馬。
(あらめ) 目や心にありありと浮かぶ事 神奈川。『現目』の意味か。
あらめにみるよーだ:本当にはっきりと見えるようだ。
あらゆ 【古】焚き返しでない新しいお湯 『新湯』。
あらよ
あらよあらよ
【感】あらまあ 方言とも言いがたい言葉。
あらよ:鹿児島。
あらよそ 【副】大凡(おおよそ) 『粗凡』の意味。
あらってーず:神奈川。
あらってつ:神奈川。
あらよね
あられ
盆の供え物の一つ。 ナス・キュウロリ等を賽の目状にに切ったものに米を加えて、ハスやサトイモ等の葉で包み盆だなに備える。『粗米』の意味。
あらら
あらら
【動】(声を)荒げる 『荒げる』の本来の言い方で古い標準語。類似表現に『和らげる』がある。
あーららこららせーんせーにゆってやろー 【複】子供が学校で何か悪さをした時、言う言葉。 今も昔も変わらない子供の決まり文句。
あられ 霰餅 昔は、鏡餅等が乾いて硬くなり割れてしまった時の副産物だった。すっかり乾いたものは霰のようになり、湿っているものは揚げ餅に近く粘りがあってうまかった。
霰は今では商品化されスーパーに売っている。しかし、霰とも揚げ餅とも言えない昔の乾いた餅を揚げたものは、今のマックやケンタッキーより絶対美味いと思う。
あらね:(降る)霰:青森・山形。
あらねゆぎ:(降る)霰:山形。
あられ 【感】あれあれ、あらまあ 群馬。
(あらん) 【複】違う 沖縄。『有らぬ』。
あり 【指代】あれ 当時の高齢者言葉。
(あーり) 天気 静岡。
(ありあけあんどん) 夜通しともしておく行灯。明るさは、火袋の外側に、台にしている箱をかぶせて調節する。ありあけ。(広辞苑) 『有明行灯』。
ありあけ:常夜灯:神奈川。
ありあり 【形動】確かではっきりしている様子
ありいる 【動】有り得る のみふじとざんするなんちょありーみよ:蚤が富士登山するなんてあり得ないだろうよ。
ありえー @【名】有り合わせ、A【副】割合 古くは『ありえー』
@『有り合い』。
ありえー:山梨。
ありえね
ありえーね
ありえーねー
【複】有り得ない ありえねー:東京。
ありえる 【動】有り得る これは方言ではなく誤読言葉。
あり
ありでー
ありてー
【慣】有り難い あり:福島。
ありてー:東京・神奈川。
(ありとうもうしあます) 【慣】有難う御座います 宮城。
ありぎ
あり
歩くこと 『歩き(ありき)』。
ありぎり
あり
ありきり
ありりざっ
ありりざんまい
ありりほーげー
ありりほーでー
【形動】ありったけ、できる限り 『有り限』。
『俚言』には『あり:ありっきり、ありたけ、あるかぎり也。』とある。
ありぐ
あり
ありく
【動】歩く 『ありく』は古語で現在の『歩く』と同じ意味で、『あゆむ』より意味が広い。竹取物語にもある言葉。
ありぐ:青森。
ありく:秋田・山梨・静岡。
ありがせる:歩かせる。
ありーでんべ:歩いて行こう。
あり 自分の声、持てる声 『ありごえ』は辞書には無い。
『俚言』には『ありごゑ:ありのこゑ。鞠を乞ふ声也。「蹴鞠大概」はじめはあり声をながめてやさしくこふなり。「松下十巻書」やの声は請とる声なり、うかがひ声といふありの声は自分の声なり。』とある。
ありいだす 【動】持てる声を出す、大声を出す
ありした
ありした
【形動】ありったけ、できる限り 関東方言と考えられる。
ありした:東京三鷹。
ありしっけ:山梨。
ありしょー 【複】あるでしょう 『ありやしょー・ありんしょー』がつまったもの。
ありだげ
ありたけ
ありったけ
有り丈、ありったけ ありったけ:東京。
ありっかねー 【複】有りっこない、有るはずが無い ありっかねー:山梨。
ありっきり 【形動】ありったけ、できる限り
ありっきり 【副】あれっきり
ありっこ
ありーでぐ
ありーで
【複】【動】歩いて行く ありってけ:歩いて行け:山梨。
ありーで:歩いて行け。
ありどご 在り所、ありか あいどこい:鹿児島。
ありどん
ありーね
ありーねー
【複】あり得ない ありえねー:東京多摩。
ありのいげーの クロオオアリ
ありのおやじ クロオオアリの雌
ありのどんどんーり
ありのどんどんまいり
ありのどんどんめーり
ありめのどんどんめーり
蟻の行列 『蟻の堂々参り』の意味。
ありぼ
ありぼー
ありぼ:千葉。
ありまぢ 蟻の行列 『蟻の祭り』の意味。
ありめ ありめ:八丈島。八丈方言では『ありめんひぼうつけて』(蟻に紐を付けて)と言う。
ありめ:和歌山。女性語・幼児語。
ありめん:大分。
ありめにくわれだ・ありめんくわれだ:蟻に噛まれた。
ありめど
ありめのす
蟻の巣穴
ありめのちゃ アリジゴク 稲敷郡。
ありもねーのに
ありもしねのに
ありもしねーのに
【複】ありもしないのに
ありもぢ 持ち合わせ 『有り持ち』の意味。
ありもねー 【複】あるはずない、有りもしない ありもねーごどゆーな:あるはずも無いことを言うな。
ありゃ
ありゃあ
【複】あれは 俗語か。
ありゃ
ありゃあ
ありやー
あっりゃー
【感】あら!、あらら! 本来は『あれや』。
『あ』にアクセントがあり尻上がりに発音する。『り』が濁音に近い言い方になることもある。標準語にも訛がある。
ありょー:静岡。
ありゃありゃ 【感】あらあら、あらら、あれあれ 本来は『あれやあれや』。
◎ありゃこりゃ 【形動】互い違い、あべこべ 今ではほとんど使われない標準語。本来は『あれやこれや』。
ありやーこ:神奈川。
ありゃこりゃ:神奈川・静岡。
ありゃーこりゃ:神奈川。
ありやこりや
ありゃこりゃ
【副】あれやこれや、あれこれ ありゃーこりゃー:島根。
ありゃしめ
ありゃーしめー
ありやしめー
【複】有りはしまい あやーしめー:静岡。
〜(でも)ありゃーしめーし
〜(でも)ありやしめーし
【複】〜でもあるまいに 『〜(でも)ありはしまいし』
〜ありすめす:宮城
ありやす 【複】あります 丁寧語。近世語。
あらすか:ありますか:山梨。
ありやす:福島。
ありゃりゃ 【感】あら!、あらら!、あれれ! 本来は『あれやあれや』
あーりゃりゃこりゃりゃせーんせーにゆってやろー 【複】子供が学校で何か悪さをした時、言う言葉。 今も昔も変わらない子供の決まり文句。
◇ありやせん 【複】ありません 丁寧語。『ありやしん』にも聞こえる。
『聞書』掲載語。
ありやーせ
ありやわせ
あり合わせ
ありよー @ありさま。ようす。A成り行き。Bほんとうのこと。実情。ありのまま。Cあるべきわけ。あるべき理由。 『有り様』。現代では@の意味で使われることが多い。
(ありんくりん) あれこれ 沖縄。
ありんこ
ありんど
ありんどめ
ありんどん
ありんぼ
ありんぼー
ありんどん:『集覧:猿』。『ありんぼー』:『集覧:北』。
『ありんこ』は俗語。
蟻の語源説の一つには『良く歩く(ありく)ものであることから。』がある。そのため『ありんど』は歩く人の意味ともとれる。
あり:埼玉。
ありんご:群馬。
ありんじょ:佐渡。
ありんど:埼玉・群馬。
ありんどー:岩手・宮城・長野・山梨・静岡・種子島。
ありんどん:栃木。
(ありんす) 【複】あります、ございます 神奈川。丁寧語。
近世語。江戸の遊郭言葉。
ある 【動】居る 古い標準語。
おめこどもあんのが:お前は子供は居るの?。
(あるかっちー・あるかっちゃ) 【複】あるかしら 神奈川足柄下郡。
原型は『あるかって』『あるかってや』と考えられ、神奈川でも『て』を『ち』と発音する地域がある。
あるがっせ 【複】お歩きなさい あるかんせ:岩手。
あるぎ 徒歩 『歩き』。
あるき:小使・脚夫:長野・静岡。
おめ、なんでいぐんだー。じでんしゃがー、こーうんきがー、あるぎがー。−あー、おれだらあるぎだー。じでんしゃはおっちゃれちゃったしー、こーうんきは、はだげだがらよー。:お前はどうやって行くの。自転車?、それとも耕運機?、歩いて?。−ああ、僕なら歩いて行くよ。自転車は壊れちゃったし、耕運機は畑だからねえ。
あるぎあるぐ 【動】歩き回る 古語に同じ意味の『あゆみありく』がある。現代の『出かけ歩く』に近い。
あるきし
あるぎり
あるきり
【副】あるだけ、全部 『あるっきり』
あるぎつき 歩く姿 清音なら標準語だが、最近はあまり耳にしない言葉。
★『土』:何(なん)ちう、おつかさまに似(に)て來(き)たこったかな、歩(ある)きつきまでそつくりだ。
あるぎまーる 【動】歩き回る
あるぐ 【動】歩く、移動する 『ぐ』は古くは鼻濁音もあった。標準語では使われない表現。
あるぐ:宮城・山形。
あるってあるぐ:歩いて回る。
くるまである:車で移動する。
あるぐのやる 【動】歩く
あるげ
あるげー
【複】有るかい あるけ:山梨。
(あるぜん) 【複】有るぞ、有るぜ 静岡。
あるだげ
あるたげ
あるたけ
あるったげ
あるったけ
【副】あるだけ、全部 『あるったけ』は辞書には無いが『有りっ丈(ありったけ)』の現代語形。標準語には、古語の形がそのまま残り、現代語化されないものがある。方言の方が進化している例。
あっしこ:鹿児島。
あるったけ:群馬。
あるっきり 【副】ありったけ、全部 『あるきり』。『ありきり、ありぎり、ありっきり』。標準語には、古語の形がそのまま残り、現代語化されないものがある。方言の方が進化している例。
あるった 【複】歩いた 東京の高齢者はあたりまえに使う言葉。
あるった:東北・福島・茨城・群馬・東京・神奈川・関東一円。
よーぐいぢりもあるったいなー:よく一里も歩いたねえ。
あるって 【複】歩いて 東国方言と考えられる。関西で『借して』を『かって』と言うのに似た変則方言。
一般にカ行五段活用動詞の活用部の連用形は、古語・文語では『き』、現代語ではイ音便化して『い』となる。
・【カ五】書きて→書いて。
・【カ五】聞きて→聞いて。
・【カ五】解きて→解いて。
・【カ五】巻きて→巻いて。
・【カ五】歩きて→歩いて。
・【カ五】行きて→行って。
以上のように、『行きて』だけはイ音便化しない。これは「いいて」では「言いて」と混乱するから生まれた可能性が高い。また単純な考えでは、『行く』と『歩く』は関係が深いため、変則的な『行って』に習って『歩って』が生まれたとしか思えない。
広辞苑には『イ音便:音便の一。「き」「ぎ」「し」「り」の子音 k・g・s・r が脱落して i 音となる現象。「聞きて」が「聞いて」に、「次ぎて」が「次いで」に、「指して」が「指いて」に、「ござりまする」が「ございまする」になる類。平安初期以後に多くなった。』『促音便:音便の一。主に活用語の連用形の語尾の「ち」「ひ」「り」が「て」「たり」などに連なる場合「立ちて」が「立って」、「言ひて」が「言って」、「取りたり」が「取ったり」となる類。』とあり、『歩って』は確かに定義から外れてしまう。似た現象が関西の『借って』(借りて)にもあるが、これは定義に乗る。
あるって:東北・福島・茨城・埼玉・東京・神奈川・関東一円。
あるってって:歩いて行って。
あるってこーよ:歩いて来いよ。
なんだー、あるってきたのがー:なにい?、歩いてきたの?。
えんやー、あーるってあーるってよー。ひざがっかかだー:いやあ、歩きに歩いてねえ、膝がこちこちに硬くなっちゃった。
どーごあるってんだっなーや。さがやあだりであぶらうってんだっがー。:どこを歩いてるんだろう。酒屋あたりで油を売ってるんだろうか。
あるってあるぐ 【複】歩き回る この言い方は、多くの人が方言と考えてしまうが、最初の『あるって』は現代語の『歩く』(あゆむ・あよむ)意味。後の『あるぐ』は、古語の『歩く』(ありく)で、必ずしも足によらず『あちこち歩き回る』意味が残ったと考えられる。言い換えれば『あゆんであるく:歩いてあちこち回る』意味。
現在の『車で行く』という言い方は、車という手段である場所から別の方向へ向う意味であるし、『車で歩く』という表現は、車を使ってあちこち回る意味であり、古語の意味の違いががそのまま残っていることになる。古語の言い方に習えば『車でありく』となる。
ちなみに、『歩く』は辞書に『@一歩一歩踏みしめて進む。歩行する。あゆむ。A往ったり来たりする。あるきまわる。B(動詞の連用形、またはそれに接続助詞「て」のついた形を受けて) …してまわる。』とある。古くは歩むと歩くは別の意味だったのが現代では同じ意味になってしまった稀な例。
現代でも『駆け歩く』『飛び歩く』などと言う。
また、『歩いて来る』などと言う。『その動作・作用を済ませて立ち戻る。』意味だが、『歩いて帰る』と言うと意味が違ってしまう。
あゆみありく:古語:歩き回る。
あるぎあるぐ:歩き回る。
そごらじーあるってあるいだどー:そこらじゅう歩いて回ったぞ。類『はしってあるぐ』
あるっていぐ
あるってい
あるっていく
【複】歩いて行く 促音変形。標準語のビジネス社会ではまず聞くことは無いが、清音形は関東一円から東北にかけて使われる訛。
あるってい:宮城。
あるっていく:東京。
あそごこごであるってってこわぐながったげー:あちこち歩いて行って疲れなかったかい。
あるってぐ
あるって
あるってく
【複】歩いて行く、歩いてく 清音形は関東一円から東北にかけて使われる。口語で『歩いてく』なとと言うが、これは『歩いて行く』が訛ったのではなく文語の流れの可能性がある。
あるってく:群馬。
はー、おっかげんのこわいがらー、あるってぐべー:もう、追いかけるのは疲れるから、歩いて(行)こう。
★『土』:どうしたもんだかな、俺(おれ)でも擔(かつ)いて歩(ある)ってんべかな、恁(かう)して置(お)いたんぢゃ仕(し)ゃうねえかんな
あるってくる 【複】歩いて来る、歩いて行く あるってくる:宮城。
いーおでんきだもんだがらあるってきたんだわ:良いお天気なんで歩いて来たんだ。
ああ、あるってきます:ええ、歩いてきます。
あるってる 【複】歩いてる あるってる:東京多摩。
あーるってんだねーよ:歩いてちゃだめだよ。
(あるで) 【複】あるので 神奈川。
東海方言の影響か。近世語でもある。『あるにて』。
あるぶんこ あるだけ
あるべ
あるべー
【複】有るだろう あるべー:東京青梅市・静岡。
あるまいど
あるまいと
アルミ 当時のアルミの呼称。
広辞苑に『アルマイト【Alumite】:アルミニウムの腐食しやすい欠点を補うため、蓚酸溶液中で陽極酸化させ、表面に酸化アルミニウム皮膜をつくったもの。また、その方法。日本での登録名。』とある。
当時は、木製の弁当箱(輪っぱ)から、アルミの弁当箱に移行した時期だった。アルミ製の弁当箱に変わったのは、昭和40年頃だったろう。ただし、粗悪品もあり、定番の梅干を入れると穴が開くものがあった。恐らくその商品はアルマイト仕上げがされていないものだったと思われる。
現代のアルミ製品は、アルマイト仕上げが最低の仕上げで、サッシュなどは電解二次着色(古くは電解二次発色と言った)が主流で、電解三次着色(青系の色が多い)の商品もある。
今ではチタンを使った高級品もある。酸化チタンは様々な色になる。
こんだのべんとばぢはあるまいどだがら、はーあなあがめ:今度の弁当箱はアルマイトだからもう穴は開かないだろう。
(あるませる) 【複】重い物を一部だけ持ち上げずらしながら移動させる 東京。
あるまやさま
あるまやさん
屋敷神の一つ。泥棒除けの神として祭っている家がある。 土浦市にしかない風習。
『あるまや』とは何かはまだ解っていない。もし『あらまや』だとすれば、『あら』とは『現』(「世に現れている」「目に見えている」「現在ある」などの意を表す。)で、『まや』は『摩耶:釈尊の母。中インド拘利(コウリ)城主の善覚の妹(一説には娘)。迦毘羅衛(カビラエ)の浄飯(ジヨウボン)王の妃となり、悉達多(シツタルタ)太子(後の釈迦牟尼)を生み、七日目に死去した。マーヤー。摩迦摩耶(マカマヤ))。摩耶夫人(マヤブニン)。)』の可能性があるだろう。
あるむ
あるぶ
【動】歩く あるむ:東京。
あるめー 【複】あるまい 俗語。江戸言葉。
あるめー:福島。
あるもねー 【慣】有るはずがない 『有りもしない』。
あるもねー:有るものか:山梨。
あるもの 無いものを有るようによそおうこと 『有る物顔』。
◎あれ 天候が荒れること、暴風雨、嵐 やや古い標準語の『荒れ』。一般には動詞形を使う。
あれ
あれー
【感】えーと、あのう 言葉に持て余した時の感嘆符。最近は『えーと』を使うようになっている。
あれー:青森。
あれー 【形】粗い
あれ
あーれ
あーれん
あそこ 『集覧:久』。『彼』。
あれ 第三者を指示する語。あの人。彼。 標準語ではほぼ死語。
あれかし
あれっかし
【助】あれだけ 『かし』は強調を示す副助詞で近世古語。『さぞかし』の『かし』と同じ。『滓』にも通ずる。
あれきし
あれっきし
あれ
【副】あれ以来、あれきり、【名】あれだけ @『あれきり』『あれっきり』。
あれ 【形動】ありったけ、できる限り
あれざれ
あれーざれー
【副】洗い浚い あれざれ:宮城。
あれしる
あれする
【複】@あれをする、Aなにかをする、B何かが起こる、何かが発生する 漠然とした物事をする意味で標準語では『何かする』に当たる。
あれだいな 【複】そうだねえ、あれでしょう 考えに詰まった時に使う言葉。=『あれだよな』、勿論『あれがそうでしょう』の意味でも使う。
あれだーば
あれだらば
【複】あれならば あれだば:青森。
あれっ @【名】荒地、A【形動】荒れ果てた様 『荒れ場』の意味か『あれっだげ』が転じたと考えられる。
あれっ
あれっばがし
あれっがし
あれっがり
あれっかり
あれっがし
◆■あれっかし
あれっ
あれっーし
あれっ
【形動】あの程度、あればかり、あれっぽっち 半濁音は濁音で発音されることがある。『あればかり』が訛ったと思われる。
『少しばかり』を『ちっとんべー』と言うのは関東方言である。
あれっだげ 荒れた畑 半濁音は濁音で発音されることがある。
◆▲あれっ @【名】荒地、A【形動】荒れ果てた様 半濁音は濁音で発音されることがある。『集覧:久』。
@・あれっ:神奈川。
あれっろし 【形動】あの程度、あればかり、あれっぽっち 半濁音は濁音で発音されることがある。ろし』は、丈の意味である。
あれない 【感】あのね、あのな、あのう
あれーは
あれは
どうかすると。ひょっとすると。 『或いは』。
『国誌』には丁寧に事例が紹介されている。
あればっかり
あればっこ
あればーり
あれっばーり
【形動】あの程度、あればかり、あれっぽっち あればっこ:宮城。
あれび 嵐の特異日 『荒れ日』の意味。
あれーもの
あれもん
あれーもん
@洗濯物、A笑いもの @・あれーもの:福島。
あれーもん:山梨。
あれや
あーれや
あれやー
あれよ
あーれよ
あれよー
【感】あら!、あらら!、ありゃ! あれやー:宮城。
あーれよ:神奈川。
あれよー:神奈川。
(あれやしたり) 【感】あらまあ 宮城。
(あれやっめ) 食後の洗い物 鹿児島。『洗う奴め』の意味か。
あれやっめぁ すかんたろ てあれこっ:洗い物は嫌いなんだろう、乱暴なこと:鹿児島。
あれら 【代】あの人たち。かれら。あいつら。 『彼等』。
あらんど:青森。『あれなるひと』。
◎あわい 【古】合間、あいだ 標準語。『間(あわい)』。
あうぇー:宮城。
あわい:山形・神奈川・佐渡島・山梨・静岡・広島。
あわい:負ぶい半纏:静岡。
あわいさ:滋賀・京都・大阪・三重・和歌山。
あわいに:合間に・ときどき:山形・福島・静岡。
あわい
あわえ
@具合、按配、頃合、A天気 『間(あわい)』の意味の中の『@色の取り合わせ、配色、Aおり、形勢』が転じたと考えられる。=『あんわい』
@・あわい:茨城・千葉・岡山。
A・あわい:茨城・千葉。
(あわいのきもの) 普段着 静岡。
あわくー 【動】慌てる 『泡を食う』。俗語。
あわく:青森。
あわくー:神奈川。
あわーくー:神奈川・山梨。
あわっくい:慌て者:静岡。
あわてやま:慌て者:静岡。
(あわけない) 【形】消耗し易い 東北。
あわじむすび
あわむすび
紐の結び方の一。中央に一つ、左右に二つのわなを並べて結ぶ。飾り結びとして水引などに広く用いる。鮑(アワビ)結び。 『淡路結び』。
(あわたいてる) 【動】ぼんやりしている 静岡。
あわつぶ @小さなもののたとえ、粟粒、Aはかないもののたとえ、泡粒 『粟粒』『泡粒』。
あわっ どこにでも生える茶色のキノコ 半濁音は濁音で発音されることがある。もともとは『泡兵衛』の意味だろう。
あわっやろー どこでも顔を出す人 半濁音は濁音で発音されることがある。
(あわてぃーはーてぃー) 【形】忙しい 沖縄。
あわでがいる
あわてかいる
あわでーる
あわてけーる
あわでくう
あわでくらー
あわでくるー
【動】慌て返る 『げ』は濁音・鼻濁音。
あわてけーる:群馬。江戸言葉。
あわでっ
あわてっ
あわてん坊 半濁音は濁音で発音されることがある。
あわでまーる 【動】ひどく慌てる あわてまわる:神奈川。
あわでる 【動】@慌てる、A泡が出る 当時『焦る(あせる)』はほとんど使われなかった。
@『あわてる』の語源は、@泡立つの転用、A泡立ての約、B水の泡の沸いたり消えたりする様が急ぐ様子に似ていることから、Cアは驚いて発する音、ワは騒ぐ、湧くのワと同じ とある。となると茨城弁には語源そのものが残っていることになる。
あやける:長野。
あんまりあわでっとくぢがらあわでっと:あんまり慌てると口から泡が出るよ。
《もしがしてー、泡が出んのをあわでるっつーんだねーのげー》
あわでんない
あわでんなや
あわでんなよ
【複】慌てるな 『〜なよ』『〜なや』→『〜ない』。
あわてんない:群馬。江戸言葉。
あわどんぶ シオカラトンボの雌 猿島郡。
あわとんぼ シオカラトンボの雌、シオヤトンボの雌 水海道市。
あわばな オミナエシ・セイタカアワダチソウ・ハハコグサ。 オミナエシの場合、東北・新潟・長野の方言。
あわばな:月見の供え物:神奈川。供え物が何かは不明。
あわぶぐ 泡、あぶく 広辞苑には『あわぶく【口沫】:(「泡吹く」の意) (唾ツバキの)あわ。あぶく。』とある。
あぶく:福島・群馬。
あーぶく:神奈川・山梨。
あぼこ:栃木。 ・あわぶぐ:山形。
あわんぶく:山梨。
あわんぼこ:静岡。
あんぶく:群馬。
あんぶく:群馬・神奈川。
あーんぶく:山梨。
あんぶくたらし:生木を燃やしたとき切り口から泡が出ること:神奈川。
まーんぶく:山梨。
あわもぢたけ
あわもちたけ
@ヌメリイグチ、Aやたらにでしゃばる人 『国誌』では『キノコの一種』としている。
(あわもり) 泡盛 あをもい:鹿児島。
あわもりだけ ヌメリイグチ(食用のキノコ)
あわよぐば 【複】うまくゆけば。間がよければ。 もとは『間(あわい)良くば。』と言う。
あわら 沼地の田 『やわら』がさらに訛ったもの。
あわれる 【動】会える
☆あわわ 子供をあやしなどするとき、開いた口に手をあてて、軽く叩きながらアワワの声を出すこと。 『あわわ』が標準語だということを今まで知らなかった。
あわわ:青森。
あわんどり 1月14日の鳥追いの行事 主に県南部の呼称。村はずれに作った小屋を燃やす。
この日の夜、子供達はヌルデの木で作った棒(鹿島郡)や、藁鉄砲(取手市)で、地面を叩きながら家々を回る。これは、一般的には十日夜の行事である。
この時歌う歌は、地域により異なる。
・取手市:ぱーかぱーかにきーました。男なせ。女なせ。かぶちろやろは3人なせ。
・北相馬郡:ぱーかぱーかござった。あきの方からござった。あとは来年、さ来年。14日のえとりまで飲んだり食ったり。ほーいほい。
・北相馬郡:あわんどりのほーいほい。中竹はねるよぽーんぽん。
・鹿島郡:あわんどりもほいほいほい。きびんどりもほいほいほい。今夜はどこの鳥追いだ。鎌倉どんの鳥追いだ。さーらばいってすけましょー。すーけましょー、すーけましょー。むこーいおっこせ黒鳥。なーしろのよーすのす。さーらばいってすけましょーすーけましょーすーけましょー。
あをぬかい 仰向け 『集覧:猿』。集覧の解説では『仰向きのこと』とある。
あーん? 【感】そうでしょ?、ええ? この『あ』は鼻音。
あん〜 【代】@あの、Aあれ、B何 @・あん〜:新潟・鹿児島。
A・あんおー:あれをごらん:静岡。
あんではしゃーんめ:あれでは仕方ないだろう。
Bは辞書掲載語で標準語の中の訛。広辞苑に『何(あん):(ナニの音便ナンの訛) なに。雑兵物語「―とすべい」』とある。
あん〜:神奈川・佐渡島。
(あんか) 行火、就寝の際の暖房具の一つ 『ゆだん(類)。電気アンカなら今でも生産されている。
あんが 【複】@あるか、Aあるものか あんか:神奈川。
(あんい) 悪口 静岡。広辞苑に『案外:思いのほかのことをすること。無礼。ふとどき。』とある。近世語である。
あんかじゃんか 【形動】滅茶苦茶、台無し 北茨城市。
あんちょ 【慣】有難う 『えんがちょ』の表現に似た新しい言葉。
あん
あんとー
【慣】有難う 親しい間柄で使用。俗語。神奈川では幼児語である。
あんとー:静岡。
あんと:長野。幼児語か。
あんとーござんした 【慣】有難うございました 丁寧語。
あいがとごわす:鹿児島。
あいがともしゃげもした:鹿児島。
ありとがした:岩手。
ありとごいした:福井。
あんとさん 【慣】有難う 丁寧というより親しみを込めて使う。俗語。『あんとさま』はやや丁寧で、『あんとさまでやんした』となるとかなりの丁寧語となる。
あん 【動】上がる 久慈郡・那珂郡・水戸市・東茨城郡。
あんき 安心なこと、のんびりしていること 『安気』。30年代の言葉。標準語。かなり早いうちに使われなくなった。『のん気』との競合のためか?。
あんき:東京・神奈川・静岡。
あんきわるい:納得できない:静岡。
あんきする:安心する:山梨。
あんきゃ:暢気だ:静岡。元『あんきや』か。
これだらあんきにやれっと:これなら安心してやれるよ。
あん 【副】あんぐり あんらど:青森。
あんりけーる
あんりげーる
あんるかえる
あんるけーる
あんるげーる
【動】仰向けにひっくりかえる 『集覧:猿・久』。
あんるげ 仰向け
あんくれ
あんくれー
あん
あんれー
あんけー
【複】【副】あの位 撥音便。
あんかい:静岡。
あんけー:山梨。
あんつれー:山梨。
あんけーだらいがっ:あの位なら良いだろう。
あん
あん
【副】@案外、Aあの位、Bあんな @・あん:神奈川。江戸言葉。
A『あんれー』がさらになまったもの。
Bは主に西日本で使われる『あがい』と同じルーツの言葉。
(あんけつ) (人をののしる語) 馬鹿。あほう。 『闇穴・暗穴』。
もとは関西言葉で、後に江戸で使われた。『浮世風呂』に『さあ、片っ端から出しゃばれえ、あんけつめえ。』とある。
あんけつ:静岡。
あんけらかん
あんけら
【副】あっけらかん 『集覧:稲』。
標準語でも古くは『あけらかん。あけらぽん。あけらほん。』と言ったという。
広辞苑には『あんけ・あんけら:我を忘れて口をあけたさま。あんぐり。』とある。
『俚言』によると『あんけら』は愚人の形を言ったという。
おんけらぼーず:馬鹿野郎・まぬけ野郎:山梨。
あんけらこんけら 【副】のんびり 久慈郡・北茨城市・稲敷郡。
あんこ 土方 『集覧:無記載』。土を餡に例えたか?。
あんこ 足、あんよ 幼児語。茨城方言集覧では『小児の足』の意味とある。
あんこ 煮た小豆・白ささげ・白隠元・うずら隠元などをすりつぶし、砂糖をまぜて、さらに煮てねったもの。菓子・餅などの中に包み、または塗り、汁粉などにするもの。 『餡こ』。一般には『あん』と言うが『あんこ』もれっきとした標準語である。俗っぽい響きがあるためか、知ってても使わない人も多い。私は、かつて方言だと思っていた。
この場合の『こ』は物を表す接尾語と考えられるが『粉』の意味も込められている気がする。
一方、詰め物の意味もあり、通常の餡が先だったのか、詰め物の意味が先だったのは定かではない。『編みこむ』という言葉があるように『編む』との関係も無視できない。
東北には、『〜はんで』という方言がある。『〜(した)からで』と同じ意味の茨城方言に『〜かんで』がある。こうして見ると、曖昧なハ行音がカ行音に変化した歴史が見えて来る。
『噛む』は古くは『食む(はむ)』と言った。今でも牛などが草を食べることを『草を食む』と言う。しかし、何故か人間は食むことは無い。沖縄のハブは『食む(はむ)』に由来し、ハモは昔『鱧(はむ)』と呼ばれた。アブの古形は『虻(あむ)』である。そうなれば、『あんこ』とは粉を練って作った『食む(はむ)粉』とも考えられる。残念ながら、このような考え方は、研究者の間には無い。
あんいる
あんえる
【動】@またぐ、A飛び越える 『ご』は濁音・鼻濁音。30年代の言葉。『あごいと言う地域もある。
あん:歩幅:山形。
@『足越える』意味。万葉集の時代には、足を『あ』と言った。
あん:千葉北部。
A『はんいる』がさらに訛ったものか。h音の省略。『集覧:久・那』。
あんこどじょー ホトケドジョウ 真壁郡。
あん 【動】またぐ 『まだる』
あんこめし おはぎ
あんころ 【複】【副】あのころ
あんころ
あんころもぢ
あんこもぢ
外側に餡のある餅 『あんころ、あんころもち』。
この場合の『ころ』とは何だろう。日本語源辞典には、@餡の上に転ばした意味、A餡衣餅の2説が紹介されている。
一方、『〜ころ』は、上代東国方言でもあり、『子等』の意味でもある。一方、『石ころ』に代表される『〜ころ』は『塊(くれ)』とされる。これらには、転がるような小さなもの、あるいは塊りの意味が込められているとも思われ、餡で包んだ小さく丸い『転餅』または餡で包んだ小さい塊り状の『餡塊餅』の意味も考えられる。
あんころ:静岡。
あんころもち:静岡。
あんこにする:中に包み込む:神奈川。
あんこもち:お汁粉:宮城。
あんこもづ:宮城。
あんさー 【感】あのさあ 茨城弁の中の洗練された新しい言い回し。テレビの影響と思われる。
〜あんさ 【助】〜ます、〜ございます 江戸時代の遊里訛『〜あんす』に詠嘆・感動を表す終助詞『わ』のついた『〜あんすわ』が逆行同化したもの。
★『土』:村落(むら)に居(ゐ)あんさ、何處(どこ)っちったって行(ゆ)き場所(ばしよ)はねえんですから、なあに獨(ひと)りでせえありゃ却(けえ)つて懷(ふところ)はええんでがすから:村にいます。とこといった行き場所はないんですから。なあに、一人で居るならば返って懐具合は良いんですから。
あんさん @あなた、お前、A年上の男、B兄さん @当時の高齢者言葉。古い標準語。時代劇でも聞かれる。
B・あんさ:山形。
(あんし) あの人達 鹿児島。『あの衆』の意味か。
あんしゃ もへ のんかたや?:あの人達はもう飲んでるの?。
あんじ 饅頭 『まんじ』のm音の脱落。
(あんし) 【感】いいえ 神奈川。『否候』の意味か。
あんしー 【複】何をしに あんしー:山梨。元『あにしに』。
あんしにきた
あんしーきた
あんしんきた
【複】何をしに来た 元『あにしに来た』。
あんじ 心配事 『案じ事』。『ご』は濁音・鼻濁音。
あじこと:宮城。
あんじこど:山形。
あんず:宮城。
あんつこと:宮城。
〜あんした 【複】〜ました、〜ございました ★『土』:そんだお内儀(かみ)さん、其(その)女(あま)っ子(こ)も直(す)遁(に)て來(き)っちめえあんしたね、今(いま)ぢや何(なん)とか云(い)って厭(や)だら構(かま)あねえ相(さう)でがすね:ところがおかみさん。その女の子も直ぐに逃げて来ちゃいましたね。今では何とか言って嫌なら構わないそうでございますね。
あんじやしねー 【複・形】@心配してない、A心配ない 『案じはしない』意味。
A・あちこたない:新潟。
あんじゃーねー:群馬・山梨。
あんじゃない:長野・岐阜。
Bその他。
あずかげねがった:気に掛けていなかった・うっかりしていた:新潟。東北方言の響きがある。
あずかげのすた:うっかりした:新潟。
〜あんじゃなし 【複】あるわけではないし 『あるではなし』『あるじゃなし』。
★『土』:俺(お)ら見(み)てえな婆(ばゞあ)はどうで此(こ)れから娶(よめ)にでも行(い)くあてあんぢゃなし、構(かま)あねえこたあ構(かま)あねえな。
〜あんしょ
〜あんしょー
【助】〜ありましょう、〜ございましょう そーであんしょー:そうでしょう。
(あんじょー) 【副】(アヂ(味)ヨクの転) うまく。具合よく。 近世語。
あんじょー:京都・奈良。
あんしょーいし
あんしょーえし
あんしょけん
あんしょーけん
あんしょっち
あんしょんけん
じゃんけん、じゃんけんの掛け声 『餡、塩、石』の意味か、あるいは、最初は『あんしょー、あんしょー』で始めるので『やりあんしょう』(遣りましょう)が詰まったか。
(あんじょーでもねー) 【複】何でもない 神奈川。『なじょうでもない』。
あんじゃーねー:山梨。
(あんじょーにか) 【複】何とかして、どれほど 神奈川。『なじょうにか』。
(あんじょーにも) 【複】何としても、どうにも 山梨。『なじょうにも』。
あんしろ 【複】何しろ あんしろ:東京武蔵村山・山梨。『あにしろ』
あんしろこんしろ 【慣】あーしろこーしろ
◎〜あんす 【助】@〜あります、〜ございます 江戸時代の遊里訛そのもの。近松作品にもある。訛って『やんす』もある。
江戸の遊里語は出身地が解からないようにするために作った言葉とされる。もともとは『ありにて申し候』か。
あります→ありんす→あんす・やんす→やす
〜あーす:静岡。
〜えす:青森。とーきょーねすんでいえす:東京に住んでいます。
〜んす:青森。あなたさあんす:あなたに上げます。
あんすべ:行きましょう・行くだろう。
いだんであんすか:居たんですか。
★『土』:わし行って来あんすから、此等(こっら)こと見てておくんなせえ:私が行って来ますから、こいつ等のことを見ていて下さい。『こっらこと』以外は江戸言葉である。
★『土』:先生(せんせい)さん、わしっまあだ來(き)なくっちゃなりあんすめえか。
★『土』:下(しも)の方(ほう)に居(ゐ)あんすがね、わしは往來(いきき)なしでさ、同胞(きやうでえ)だたあ思(おも)はねえからってわし斷(ことわ)ったんでがすから、わし等(ら)嚊(かかあ)死(し)んだ時(とき)だって來(き)もしねえんですかんね、お内儀(かみ)さんさうえ者(もな)あ有(あ)りあんすめえね
★『土』:おやそんぢや俺(お)ら家(ぢ)でも葱(ね)の少(すこ)しもああんせう
★『栗毛虫』:ヘエーかう二つに裂いて酢で引き出すんでがす。ヘエー背中ンとこに糸あるんでがす。なんでも釣糸にすると強えなんて、せんの頃は言ひ言ひしっけなあに誰だって取れあんすともせ
(あんずり) 頷く事 静岡。
〜あんせん 【助】〜ません、〜ございません ★『土』:お内儀(かみ)さん本當(ほんたう)ですともね、わしあ嘘(ちく)なんざお内儀(かみ)いひあんせんから
あんぞ 【複】有るぞ 俗語的に使われる。茨城弁では通常『あっと』である。
★『土』:腹減ったら此處(ここ)にあんぞ
あんだ 【代】あなた 当時の高齢者の主として女性言葉。
あんだ:青森・宮城・福島。
あんだ 【複】有るんだ 撥音便。俗語。
そおたごどでもあんだがもしんねどおもってさぎにゆっといだんだよ:そんな事も有るかもしれないと思って先に言っておいたんだ。
★『土』:此(こ)んでもまさか、此(こ)の村落(むら)だつて隨分(ずいぶん)かぶつた處(ところ)も有(あ)んだから全然(まるっきり)なんともねえっちこともねえねえ
あーんだ 【感】ああ、そうだ
あんだ
あんた
あんな〜 『あにてありては』の意味か。
あんたな:あんな。
あんたに:あんなに。
あんたらごど:あんなこと。
(あんた) 【複】あれは、あいつは 鹿児島。『あにてありては』の意味か。
(あんだ) 沖縄。
あんだ
あんだー
【副】@何か、A何ぞ、B何だ B・あんだ:青森・東京多摩・神奈川・八丈島。
あーんだ:神奈川。
あんだー:山梨。
あんだいが
あんだへが
【複】あるんだろうか あんだいか:宮城。
あんだいな
あんだいね
【複】あるんだよね ほとんど東京の下町言葉。
あんだが 【副】何だか あんだか:山梨。
(あんだかしー) 唐揚げ状の豚肉(豚肉の油を採ったかす) 沖縄。『油粕』の意味か。
あんだがねんだがわがんね 【複】あるのか無いのか解らない
あんだがもしんない
あんだがもしんねー
【複】あるのかもしれない
あんだかんだ 【複】あれこれ、なんだかんだ
(あんだぐち) お世辞 沖縄。
あんだげ
あんだけ
【複】あるだけ(全部)
あんだげ
あんだけ
あんたげ
あんたけ
【複】@あれだけ、あれのみ、Aあれほど 『あったげ』
あんた あなたの家 主として女性言葉。
あんだい:宮城。
あんだげのひと
あんだけのひと
あんたけのひと
@立派な人、Aあんなに多くの人
あんだげのもの
あんだけのもの
あんたけのもの
【複】あれだけのもの
(あんだけぼーじゃー) 脂物好きの子 沖縄。あんだけ:脂物好き、ぼーじゃー:小僧
あんだっけ 【複】何だっけ あんだっけ:山梨。
あんだって 【複】どうして、何だって、何でも あんだって:千葉・神奈川・関東。
あんだって:なんと言っても:東京多摩。
あんだって
あんだどー
【感】何だって!、何だと! あんだって:関東。
あんだっ
あんだっ
あんだっへ
あんだっへー
あんだべ
あんだべー
【複】@どうしてだろう、何だろう、A有るんだろう @もとは『何だべし』。『何』は『あに』とも言うため撥音化してに生まれた言葉。江戸言葉では『あんだべい・あんだべえ』
あんだべ:埼玉・東京。
あんだべー:埼玉。
あんだんべ:東京青梅市。
あんによ:東京青梅市。
あーぜや:東京青梅市。
んでや:東京青梅市。
A・あんだべ:福島。
あんだんべ:神奈川。
あんでしょう:神奈川。俗語。
(あんだへ) 貴方の家 宮城。
あんだほ
あんだほー
貴方の方 茨城では主に女言葉。
あんだほ:宮城。
あんだよ
あんだよー
【複】@何だよ、A有るんだよ @『何』は『あに』とも言うため撥音化してに生まれた言葉。
あんだよ:東京・東京多摩。
あんだよー:東京多摩。
あんたら 【連体】あんな あんたらことに:何のことに:山梨。
(あんだら) 馬鹿、あほう 『あほんだら』。上方語。人名化した『安太郎』の意味か。
あんけつ:福井・大阪・兵庫・香川。
あんごー:三重・中国・愛媛。
あんた:山形・京都・大阪。
あんだら:無駄口:静岡。
あんだら あなた達 当時の高齢者の主として女性言葉。
あんだら:宮城。
あんだらほ
あんだらほー
あなたの方、あなた達の方 当時の高齢者の主として女性言葉。
あんだんどご あなたのところ 当時の高齢者の主として女性言葉。
あんぢ 【複】@あれで、Aどうして あんぢは・あんでぃは:あれでは。
あんぢも・あんでぃも:何でも・あれでも。
あんちー
あんちゅ
あんちゅー
【複】何という 『俚言』に『あんちふ:東国の俗語ナニトイフの音便也。』とある。
あんちゅー:山梨。
あーんちごった:何てこった。
あんちきしょ 【複】あの野郎 俗語の単音化。
あんちきしょー:神奈川。
あんちきしょら 【複】あの野郎等
あんちごど
あんちーごど
あんちゅごど
あんちゅーごど
【複】何と言うこと あんちゅーこと:埼玉。
あんちごだねー
あんちごどねー
あーんちごどねー
あんちーごどねー
【複】何て事ない、心配無い 『なんちゅう事は無い』と『案じ事は無い』の意味。
あちこたない:新潟。
あちこたね:新潟。
あんちゃら
あんちゃんら
兄さん達、男の子達
あんちゃん 兄さん 今ではいい意味では用いられず不良の若い男を指すことが多い。
あんかん:佐渡島。
あんこ:他人の子供を敬って言う語:青森。『兄御』か。
あんさん:佐渡島。
あんちゃ:新潟。
あんちゃま:青森。
あんちゃん:埼玉・神奈川・佐渡島。
あんやん:埼玉・佐渡島。。
あんーやん:佐渡島。
あんちゃんにぶんならいだ:兄さんに殴られた。
(あんちゃん・あんかん・あんさん・あんやん・あんーやん) 富豪、長者 佐渡島。
富豪を指して『兄』と呼んで敬ったのであろう。
あんさん:妻が夫を呼ぶ呼称。現代で言えば『貴方様』。時代劇で時々耳にする。
あんちゃん:妻が夫を呼ぶ呼称。
あんちゃん 男の子 あんこ:年下の男:岩手。
あんちゃんこ:優男:宮城。
いいあんちゃんだなや:良い男の子だね。
あんちょ 幼児語。
あんちょ @頂戴、Aどうぞ 幼児語。
@『あげて頂戴、くれて頂戴』の意味。
あんちょ:神奈川。
あんちょぐ
あんちょく
あんちょご
あんちょこ
@安易なさま。手軽なさま。A虎の巻。 『安直』。
@・あんちょく:東京。
あんちゅんだ
あんちゅーんだ
あんちんだ
【複】何というのか。何というのだろうか。 終助詞『が』がつくこともある。本来は『なんてえんだ・あんてえんだ』。
あんちゅー:なんという:東京武蔵村山。
あんちょーにも:何分にも・是非:山梨。
あんてんだ:神奈川。
あんつぁ
あんつぁん
@兄さん、A男の子、B若い男 30年代の古い言い方。
@・あんつぁ:山形・福島。
あんつぁ:目上の男性:福島。
(あんつく) 馬鹿 静岡。
あんつごど
あーんつごど
あんつーごど
【複】何てこと
あんつら 【複】あの面、あの顔
あんて
あんてー
あの人、あいつ 『あの手合い』が訛ったと思われる。
あんてー:静岡。
あんで 【複】@何で、何故、Aあれで、Bいいえ、なんで、なあに 標準語の中の訛と言っても良い。『何』を『あん』と言ったのは江戸時代の言葉。
@・あぜ:千葉・埼玉・神奈川・山梨(上代東国方言)。
あで:千葉・東京多摩・神奈川・山梨。
あんで:群馬・埼玉・神奈川・山梨。
A・あんで:神奈川。
B本来は反語の『や』を伴う。『あんでや』。『何で、そうではない』の意味。
あんで:神奈川。
あんで 【接】それで 取手市。
(あんでー) 【複】歩いて 静岡。
あんです 【複】有るんです 丁寧語。通常は『あんだ』『あんだよ』『あんだわ』『あんだいな』などと言う。口語でも『そんなことあんのかなあ』『どこにあんの』などと言う。もともと『ある』が撥音化するのは俗語にもあることから、これは限りなく俗語的な言葉と言え、方言とも言えない言葉である。
そーいごどもあんですよ:そういう事もあるんですよ。
★『土』:わしや、姉(あね)にや到頭(たうとう)小作(こさく)に持(も)ってくべと思(おも)ってたの一俵(う)てんに掛(か)けられたことあんですから
あんでだがよ
あんでだ
【複】何でだろう 清音なら標準語の中の訛と言っても良い。『何』を『あん』と言ったのは江戸時代の言葉。
あんでだっ 【複】何でだろう 半濁音は濁音で発音されることがある。
あんでだよ 【複】どうして?
あんてな〜 【連体】@〜あんな、Aあの手の
あんてなの あんなもの
あんてなもの
あんてなもん
あんてのもの
あんてのもん
あの類の人間(物)、あれと同程度の人間(物) 『あの手の者(物)』。
あんてに 【連用】@あんなに、Aあの手に、Bあの人達に
あんでは
あんでや
【複】あれでは これは古い標準語。『彼』を『あん』と言ったのは江戸時代の言葉。今でも使われる。俗語とも言える。
あんではだいだ:あれではだめだ。
あんでや
あんでよ
【複】@どうしてだ、Aいいえ、どう致しまして A『何で、そうではない』の意味。
あんでよ:神奈川。
あんでも 【複】あれでも
あんでも 【複】何でも あんでも:東京武蔵村山。
あんでもなぐ 【複】何でもなく あんでもなく:八丈島。
あんでもねー 【複】何でもない あんでもにゃー:山梨。
あんてら
あんてーら
あの人たち あんだし:山梨。『彼方衆』の意味か。
あんとぎ
あんとき
【複】あの時、あんとき あんとき:群馬。
あんともねー 【複】何とも無い、何でもない あんとんねー:千葉。
あんどんべや 行灯部屋。行灯をしまって置く室。多くは階段下などの暗い部屋が使われ、遊郭では揚げ代を払えぬ客をおしこめて置いた。
あんどんむし カブトムシ カブトムシは、必ずしも夜行性とはされていないが、時々夜の光に誘われて家の中に飛んできたから、このような呼び名になったのだろう。
もし、『行灯虫』の呼び名を貰うのに相応しい昆虫が何かといえば、『蛾』であろう。
あんな
あんなー
あんない
【感】あのなあ 『あんなあ』は一般には、上方語。『あんない』は、『あのなや、あのなよ』が変化したもの。
あんな:山形。
あんなー:山形・鹿児島。
あんね:あのね:宮城。
あんねぁ:鹿児島。
あんな 【複】有るな あんな:有るだろう:静岡。『ありなむ』。
あんない 【複】有るわけではない 『あるに無し』。
あんに
あんにー
あんにさん
あんにきまってっ 【慣】あるに決まってるだろう 半濁音は濁音で発音されることがある。
あんにもない
あんにもねー
【複】何も無い あんにもない:神奈川。
あーにもねー:神奈川。『あにもねー』が長音化したもので茨城でも使う事がある。
あんにもかんにも:何もかも:山梨。
あんにゃー
あんにゃん
『集覧:多』。
『兄じゃ』の流れか『兄や』か。古い言葉に『兄じゃ人』がある。兄である人の意味。辞書では『ちゃん』は『様』由来するとしているが、断定できるのだろうか。茨城では、古くは『ぢゃ・ぢゃん』と言った。
あんにゃ:宮城・福島・新潟。
あんにゃ:長男・若い男:新潟。
あんにゃ:女中:福井。
あんにゃ:遊女:三重。
あんにゃ:新潟:後継者。
あんにゃもんにゃ 大馬鹿 北茨城市。
標準語では『なんじゃもんじゃ:関東地方で、その地方には見られない種類の大木を指していう称。千葉県香取郡神崎(コウサキ)町神崎神社境内のもの(くすのき)、東京都明治神宮外苑のもの(ひとつばたご)が名高く、その他筑波山のもの(あぶらチャン)、山梨県鶯宿峠のもの(りょうめんひのき)などが知名。あんにゃもんにゃ。』。
あんにゃもんにゃ:わからずや:神奈川。
あんにゃもんにゃ:あやふや:静岡。
あんにゃろ
あんにゃろめ
あの野郎 全国的な俗語。ただし一般には長音形を使う。『野郎』のy音による後方同化。
あの野郎→あねやろ→あにやろ→あんにゃろ。
(あんにょー) 【感】合点がいった時、または相手の話に相づちを打つ時に発する語。なるほど。 静岡。
(あんにょーみょー) 【複】あれを見なさい 静岡。『あれにあるを見よ』か。
あんね
あんねー
@▲卑しい人の呼称、女中、A■▲姉、B▲婦人、女性の総称 『集覧:新・真・猿』。
@もともとは、女一般を言うことばが、女中に転じ、卑しい人の呼称にもなったのだろう。
A・あんね:宮城・福島・埼玉・神奈川・八丈島。
あんねー:福島・群馬・神奈川・静岡。
Cその他。
あんねー:年頃の娘:静岡。
あんねー 案内 あんね:鹿児島。
あんね
あんねー
【複】@有るわけではない、A有るね? @『あるに無し』。
あんにー:いいえ:神奈川。
あんねーごどもねーけんと:無いことも無いけどさ。
A★そおたごどもたまにはあんね:そんなこともたまには有るね。
(あんね) 【感】あのね 宮城。
あんね ブルーデイ用のナプキン(商品名) 正しくは『アンネナプキン』。1961年に販売開始。ブルーデイを『アンネ』と呼ぶようになる。それまでは、『廻り(めぐり)』『御回り(おめぐり)』。『差合・指合(さしあい)』『障り(さわり)』『月の物』『月水(がっすい・つきやく)』などと呼んでいた。
(あんねーに) 【複】あんなに 神奈川。原型は『あんなように』か。
あんねに:山梨。
あんの 【複】何の あんの:山梨。
〜あんの 【複】〜あるの? 標準語の口語・俗語。
そーたごどあんのがな・そったごどあんのがやー・そんなことあんのかなあ:そんなこと有るのかなあ。
あんのが 【複】有るのか あんのが:青森。
(あんのかじょー) 【複】案の定 山梨。
あんのきなしに 【複】何も考えないで、何の積りも無く、何気なく 『何の気なしに』。
あんのきなし:知らず知らずに・何気なく:神奈川。
あんのげ
あんのげー
【複】有るのかい おめはいったごどあんのげー:お前は行ったことあるのかい。
あんのじょー 思ったとおり。予期したとおり。はたして。 『案の定』。
あんじゅで:鹿児島。
あんのかじょー:山梨。
あんのじゅ:鹿児島。
あんのん 安らかにおだやかなこと 『安穏』。
あんのんぞー のんびりや 人名化した『安穏蔵』の意味。今なら『安穏族』。
うんのんぼー:神奈川。
あんのんけんのん 危険な目にあったときのまじない言葉 『安穏剣呑』の意味。
(あんばあんば) 【感】さようなら 福島。
(あんばいー) 慌てること 静岡。
(あんばか) 馬鹿 静岡。
あんばさま 漁村の神、大杉神社 辞書掲載語。『関東から東北地方にかけての太平洋岸で,主として漁村で信仰される神。女神とか船霊(ふなだま)様の親神といわれる。茨城県稲敷市の大杉神社がその発祥地という。』(大辞林)。
あん 腕白 清音形は近松作品にも出て来る。
あんはずだ 【慣】有るはずだ
あん あんぺら、畳表 広辞苑に『アンペラ:(語源未詳。amparo ポルトガル の訛か。また ampela マレー からとも) 筵(ムシロ)の称。江戸弁慶「―や雪を折敷く夕涼み」』とある。
(あんばらをやむ) 【複】食あたりする 静岡。
あんんや アンパイヤー、審判 半濁音は濁音で発音されることがある。
《アンパン屋さん!?!。》
(あんびーじゃ) 【複】遊びに行こう 静岡。
あんびん
あんびんもぢ
あんびんもち
@大福餅、A大型の饅頭 『びん』は『餅』(へい)が訛ったと考えられる。
@・あんびやき:硬くなったあんころもちを焼いたもの:神奈川。
あんびん:小麦粉を練り味噌を餡にして焼いたもの:神奈川。
あんびん:群馬・静岡。
あん:群馬。
A冠婚葬祭に出た大型の饅頭。お祝い事の紅白(あがしろまんじゅうー)を指す。関東一円に広く分布。『餡平餅』と当てているところもある。
Bその他。
あんびんもち:あんころもち・餡餅:静岡。
(あんぶ) 【動】遊ぶ 静岡。
あんぶない
あんぶにー
あんぶにぇー
あんぶねー
【形】危ない あんぶない:岩手。
こんごぢはあんぶにぇーがらあっちーいっちぇ:ここでは危ないからあっちに行って。
あんべ
▽あんべー
@按配、塩梅、具合、加減、A日柄、天気の具合 @『あんべい』なら江戸言葉。俗語。この言葉に関する限り東北の『あんばえ』あんべーになったと見た方がいいかもしれない。
あんばい→あんばえあんべー
あんばい:東京・長野。
あんばえ:山形。
あんべ:岩手・宮城・新潟・鹿児島。
あんべー:秋田・福島・群馬・東京多摩・神奈川・山梨・宮崎。
あんべあー:静岡。
あんべ
あんべー
【複】あるだろう 当時の高齢者言葉。『あんべい』は古い言葉で辞書掲載されている。上代は上方語で、後に東国語となり今では都心以外の東日本に残る。
広辞苑に『(アルベキ、またアルベイの音便) あるだろう。あるはずだ。更級「きらきらしき勢など―やうもなく」。伎、暫「鏡は…大かたぽつぽに―から、おれに下せへ」』とある。また短縮形の『あべい』は広辞苑に『アンベイ(アルベキの音便)のンを表記しない形。栄華岩蔭「―事ども仰せらるるに」』とある。
『俚言』に『あんべい:東国の方言。あるべしの転訛也。あんべいやうもないといふは、田舎詞なりとて今の人はわらふなれど源氏物語にある也。』とある。
あんべー:群馬・東京都多摩・神奈川。
あんべせ:青森。
★『土』:荷物(にもつ)あんのになあ、此(こ)れだけぢや暫(しば)らくあんべよ
★『土』:おとっつぁでもあんべ
(あんべ) 【複】歩け、行こう 岩手・宮城。
あんべぁり
あんべぁりー
【形】具合が悪い 病気の場合も状況が悪い場合も使われる。