読 感
死の棘
島尾敏雄(著)
価格:\820(税込)
評価:★★★★☆
◆読書感想◆
作家、島尾敏雄が私小説的手法によって書き上げた古典です。夫(トシオ)の浮気に対して、精神病魔的に責め続ける妻。ひたすら許しを請う夫。修羅場な夫婦関係に巻き込まれる子どもたち。陰鬱な状況が600ページにわたって書き綴られます。わたしは通勤電車で、この本を読みながら、10分でめまいを覚え、しばし本で顔を覆いました。読後感の悪さという意味では、群を抜いているかもしれません。
一方で夫婦関係は凄惨ですが、初めから終わりまでその状況が変わりません。ですから見方によっては単調な作品に思えます。読む側からすれば、もっとコンパクトに仕上げた方が面白いと感じるはずです。しかし著者はあえて夫婦の状況を克明に記録することにしたと思います。夫婦とは何かをえぐり出すことで、リアリズムを追求したかったのかもしれません。本書を読んだ誰もが、夫婦とは、家族とは、愛とは何かを探す内省の旅に出るでしょう。紛れもなく、読者の頭のなかに永遠に刻まれる文学作品。
読 感 (目的別)
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