◆読書感想◆

五分後の世界

村上 龍(著)
価格:\560(税込)
評価:★★★★★
 本書の「あとがき」で、著者は「今までのすべての作品の中で、最高のものになった」と記しています。既に発表から15年が経過している作品ですので、今も同じ認識なのか定かではありませんが、本作が衝撃的に凄いことは間違いありません。

 なぜか五分後の世界に紛れ込んだ、主人公の小田桐。そこは人口が26万人に激減し、1945年以降も国連軍と戦争を続ける「もうひとつの日本」がありました。SFぽい内容です。しかし、単なるSFの範疇には収まらない深みを感じます。「もうひとつの日本」は「実際の日本」に対するアンチテーゼとして描かれます。著者の考える日本論をSFとして読んでいるイメージです。

 また、本書の特異性は「文字の力」です。特に第四章「戦闘」では、延々と戦争シーンを描写します。そこには安易な擬態語や会話はありません。戦闘状況が文章として60ページに渡って述べられます。この文章を映像化すると、チープになるであろう、圧倒的な「文字の力」を感じます。

 本書の強いメッセージ性は、正に村上龍の代表作であり、日本を代表する小説のひとつです。(2009/09/30)

◆読感履歴◆
ブルーベリー
しがみつかない生き方
子どもが育つ魔法の言葉
新・新幹線殺人事件
ショージ君の「サラ専」新聞
太陽の塔
終末のフール
数学物語
兎の眼
東京物語
極楽カンパニー
牛乳には危険がいっぱい?
無趣味のすすめ
最新、危ないコンビニ食
あの歌がきこえる
風に舞いあがるビニールシート
食育入門
脳が若返る30の方法
ドラママチ
ステップ
忌野旅日記
魔性ホテル
廃墟建築士

◆過去ログ◆
#271〜285
#226〜270
#181〜225
#136〜180
#91〜135
#46〜90
#1〜45

ほんのほん
かっての読書遍歴

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