◆読書感想◆

太陽の塔

森見 登美彦(著)
価格:\420(税込)
評価:★★★★☆
 日本ファンタジーノベル大賞を受賞した作品。しかし、内容はファンタジーとは程遠いと思いました。プライドが異常に高く、偏執凶的妄想に浸る絶望的にモテナイ京大生の手記です。文章は面白く、何度か吹き出しましたが、読んだ後のこの疲れはなんなんだろう!?笑いが癒しにつながらない、異感覚の作品です。

 その異感覚は表題である「太陽の塔」そのものに思えます。太陽の塔は大阪万博の象徴として岡本太郎が作ったモノです。作者は太陽の塔について、次のように記述しています――「つねに異様で、つねに恐ろしく、つねに偉大で、つねに何かがおかしい。何度も訪れるたびに、慣れるどころか、ますます怖くなる。」多少大げさですが、同じ怖さを本書にも感じました。

 しかし、その怖さを一気に癒すのが、本上まなみさんの解説です。本上さんは解説で主人公を「へもい」と愛らしく表現すると共に、内容について「大言壮語、文士的な語り口はそう病期の北杜夫文学を思わせる」と書きます。「なるほど〜」と素直に納得しました。(2009/09/04)

◆読感履歴◆
終末のフール
数学物語
兎の眼
東京物語
極楽カンパニー
牛乳には危険がいっぱい?
無趣味のすすめ
最新、危ないコンビニ食
あの歌がきこえる
風に舞いあがるビニールシート
食育入門
脳が若返る30の方法
ドラママチ
ステップ
忌野旅日記
魔性ホテル
廃墟建築士

◆過去ログ◆
#271〜285
#226〜270
#181〜225
#136〜180
#91〜135
#46〜90
#1〜45

ほんのほん
かっての読書遍歴

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