◆読書感想◆
魔性ホテル
森村 誠一(著)
価格:\620(税込)
評価:★★★☆☆
ホテルを介在した5つの人間ドラマ。森村作品としては初期短編集です。流石、元ホテルマンというだけあって、ホテルもそこで働く人の気持ちも熟知している様子が伺えます。
「ホテルにとって必要なのは、員数であって個人ではなかった。『おれは人間だ。一個の人間として扱ってくれ』。彼はいつもおもっていたが、現実に与えられた役目は、企業の歯車でしかなかった。いや歯車ならばまだよい。一本や二本欠落したところで、全体の動きには少しも支障をきたさない、ネジか鋲のようなものであった。(単位の情熱より)」
字面だけを見ると著者はホテルに対してネガティブな印象を持っているように思えます。しかしそれは違います。ここで描かれたのは「人間の本質」だと思います。それは「何故、働くか?」であり、極論すれば「何故、生きるか?」につながります。森村誠一が追求しているテーマは人間そのものだと思います。
文章的には粗い作品です。しかし著者の何かを表現しようとする圧倒的な力を感じました。平成の作家には余り感じないパワーですね(笑)。(2009/06/27)
◆読感履歴◆
廃墟建築士
ゴハンの丸かじり
ひな菊とペパーミント
村上ラヂオ
肩ごしの恋人
ペネロペこわいゆめをやっつける
強運の持ち主
葡萄が目にしみる
その日のまえに
町長選挙
怪盗ジバコ
「朝に弱い」が治る本
ブランケット・キャッツ
きんぎょ
最悪
ラン
◆過去ログ◆
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