◆読書感想◆
新・新幹線殺人事件
森村 誠一(著)
価格:\580(税込)
評価:★★★★☆
1985年の出版。タイトル通り、新幹線で起きた殺人事件トリックです。新幹線の前に新とつくのは、前作(新幹線殺人事件/1970年)があるからです。森村作品らしく、幾つもの事件がパズルのように交差し、意外な犯人に「あ!」っと驚きます。
タイトル名からトラベルミステリーのひとつと考えてしまいそうですが、作者はトラベルミステリーを描く意図は無かった思います。何故なら、名作「人間の証明」では霧積温泉など、通好みの観光地を丹念な描写で表現するのが、上手い作者ですが、本書は観光の匂いがしません。観光の持つ情緒性を排除し、新幹線というスピードの象徴を社会に投影した、文明批判を展開する作品に思えます。
本書が出版された1985年は、迅速であることがいいとされた時代です。しかしスロームーブメントが起きる間際でもあります。1986年、ローマにマクドナルドが進出したことで、スローフード運動が起きます。ここからスローライフの提唱が広がります。
現代はスローの価値が評価される時代でもありますが、スピードはよりスピーディになることが求められる時代です。新幹線、更にはジェット機の一般化により、サラリーマンが宿泊出張出来る機会は激減しました。今は回線速度の向上や、ネットの普及により、出張しなくともテレビ会議やメールのやり取りで、仕事が出来る時代となりました。便利ですが刹那的な世の中になったものです。(2009/09/13)
◆読感履歴◆
ショージ君の「サラ専」新聞
太陽の塔
終末のフール
数学物語
兎の眼
東京物語
極楽カンパニー
牛乳には危険がいっぱい?
無趣味のすすめ
最新、危ないコンビニ食
あの歌がきこえる
風に舞いあがるビニールシート
食育入門
脳が若返る30の方法
ドラママチ
ステップ
忌野旅日記
魔性ホテル
廃墟建築士
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