◆読書感想◆

家日和

奥田 英朗(著)
価格:\1,470(税込)
評価:★★★★☆
 今が旬?のアラウンドフォーティにお薦めな本だと思いました。

 本書に収められた6編は、いずれも家という日常空間に焦点を当てています。ただ、平凡でありながら、遊び心が仕込まれています。読みながらニンマリしました。

 特に気に入ったのは「サニーデイ」と「妻と玄米御飯」。前者はネットオークションにはまる主婦を描きます。ちょっとした好奇心からオークションしたところ、小銭を手にします。落札者から感謝のメッセージが届いたことが妻に感動を与えます。それから、どんどん深みにはまります。最後は夫が大事にしていた希少品までこっそりオークションに出してしまう・・・。静寂のサスペンスです。

 「妻と玄米御飯」では、ロハスにはまる主婦とそれを皮肉る夫(作家)を描きます。ロハスを信仰する人は、日本人の30%とも言われます。ただ、外から見るとへんちくりんな宗教に入信したようにも見えます。それを夫がジョークとして作品にしてしまうのですげっそりその後の怖い家庭環境が想像されます。

 「人間到る処青山あり」――本書(ここが青山)に登場する言葉です。40代は自分の青山を探す初めのタイミングに思えます。30代までの勢いがスローにチェンジする節目です。

 しかしこれからの人生も長くあります。本書を読むと、人生の後半を楽しく生きていきたいと感じます。(2008/08/13)

◆読感履歴◆
リズム
西の魔女が死んだ
マグマ
東京空港殺人事件
偽善エコロジー
その女(ひと)の名は魔女
非情人事
BPMがビジネスを変える
おれは非情勤
思考の整理学
日本アルプス殺人事件
頭のいい子が育つパパの習慣
リビング
日本以外全部沈没
いつかパラソルの下で
眼の壁
続・未来からの警告
マンボウ恐妻記
優しい音楽
恋愛不安
夕凪の街桜の国
殺人の花客
ドミノ

◆過去ログ◆
#181〜195
#136〜180
#91〜135
#46〜90
#1〜45

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