◆読書感想◆

マンボウ恐妻記

北 杜夫(著)
価格:\420(税込)
評価:★★★★☆
 北杜夫は「夜と霧の隅で」で芥川賞を受賞しました。また「どくとるマンボウ航海記」を初め、多くのベストセラーを持つ人気作家です。おまけに父はアララギ派の代表歌人である斉藤茂吉です。

 文人として家系的にも業績的にもすごいのですが、そのオーラがありません。北杜夫ほどプライドを誇示しない作家も希少です。

 本書「マンボウ恐妻記」は北杜夫の人柄を端的に表しています。これだけ自虐的な文章を読むと、読者は「北杜夫は本当にどうしようもない人なんだ」と感じるでしょう。そういえば、初期の名作「船乗りクプクプの冒険」にはキタモリオという愚か者が登場しましたが、後期高齢者として執筆した本書も自分を落として笑いを取る姿勢は変わりません。

 これだけ力の抜けた人ならばストレスフリーで、長生きしそうです。スローな生き方が望まれる今、北杜夫はもっと見直されるべき作家です。まずは新潮社に廃刊となった数々の本を復刊して欲しいと思います。(2008/05/16)

◆読感履歴◆
優しい音楽
恋愛不安
夕凪の街桜の国
殺人の花客
ドミノ
なぜ、我々はマネジメントの道を歩むのか
半パン・デイズ
安全な温泉あぶない温泉
生き地獄天国
バスジャック
きよしこ
あぁ、阪神タイガース
スカートの中の秘密の生活
ちょい太でだいじょうぶ
カラフル
パパの極意
オロロ畑でつかまえて
だから、あなたの会社の「SCM」は失敗する
雪煙
となり町戦争

◆過去ログ◆
#136〜180
#91〜135
#46〜90
#1〜45

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