◆読書感想◆


砂の王国(上)

砂の王国(下)
荻原 浩(著)
価格:\3,570(税込)
(上・下合計)
評価:★★★★★
 上/下巻合わせて、800ページを超える大作です。しかし、その長さを感じることなく、一気に読みきりました。荻原浩、渾身の力作です。大作を読み終えた充実感を久々に味わいました。

 主人公、山崎遼一は3円しか所持金を持たないホームレスです。かっては大手の証券会社に勤めるエリートサラリーマンでした。彼が底辺からの脱出を試みて、立ち上げたのが新興宗教「大地の会」。同じく社会の底辺で暮らす、2名(仲村、龍斎)と共同での組織化します。

 「大地の会」は教祖を演じる仲村のカリスマ的な雰囲気から、主婦を中心に人気を得て、急速に巨大化します。かってのホームレスたちは大金を手にします。しかし、巨大化した組織は最早、山崎らの手に負えない状況となります。

 山崎は新興宗教を成功させることを目標にまい進してきましたが、成功した組織をどのように維持、発展させていくかの戦略がありませんでした。最後は、山崎が想像しなかった奈落へと展開していきます。

 本書は宗教団体をモデルにしていますが、一般の企業経営に置き換えても、共通する部分が多々あると思いました。 (2011/03/06)

◆読感履歴◆


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