「小笠原諸島」(東京都小笠原村)が世界自然遺産に登録される見通しとなった。地元は喜びつつ「自然保護はこれからが正念場」と気を引き締めた。(朝日新聞/2011.05.08)
●スローなコメント
日本は現在も多くの世界遺産を持つ国です。しかし、自然遺産となると屋久島、白神山地、知床くらいです。小笠原諸島の人々にとっては、当然嬉しいニュースでしょうし、元々、四季折々の美しさを持つ日本の自然が、世界に認められるのは、大変いいことだと思います。
一方、世界遺産の趣旨は自然や文化の保護にあります。世界遺産に指定されれば、観光客が増えることが想定されますが、世界遺産は「観光による地元経済の発展」が目的ではないことは知っておく必要があると思います。
というのは、いまでは世界遺産の陰に隠れてしまいましたが、日本には自然公園法に基づき、現在29箇所も国立公園があります。これら国立公園は、世界遺産同様、自然や景観の保護が目的です。しかし、実際に国立公園に行ってみると、どうみても自然や景観を破壊しているような建築物が目につきますし、観光客のなかには、かなりマナーが悪い行動を取っている人もみかけます。外来種問題も気になります。
世界遺産が国立公園の二の舞にならなければと思ってしまいます。
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