ノーベル平和賞受賞が決まった中国の民主派作家、劉暁波(リウ・シアオポー)氏(54)の妻、劉霞さん(49)に対し、反発を強める中国当局が、事実上の行動制限を含む終日監視の措置をとっていることがわかった。海外メディアやほかの人権活動家らとの接触を避けるため、引き締めを強化している模様だ。(朝日新聞/2010.10.09)
●スローなコメント
 尖閣諸島問題で日中関係がギクシャクしています。中国時船長の釈放に対して「日本の外交は中国に敗北した!」といった記事も多く見ました。

 ただ、日本と中国では、国内環境が大きく異なります。この記事の様に、中国では犯罪者扱いの人間がノーベル平和賞を取り、そのことで、中国当局が神経を尖らせ、外部との接触を遮断するなど、日本では到底想定が出来ない事態です。しかし、中国にとっては、そのことが、国の秩序を安定させる手段となっているのでしょう。

 こうした環境の違いを考えると、日本と中国の外交を単純な勝ち負けで判断することは出来ないと思います。

 いまや世界を代表する経済大国の中国。中国は活気に満ちています。ある知人は仕事で中国(上海)と日本(東京)を行き来していますが、その違いは大きいと言います。「地下鉄に乗ると、日本では乗客の目が死んでいるように見える。中国では、目が活き活きし、皆が喋りまくっている。」と言います。それは成長を実感する中国と、均衡状態にある日本との違いでしょう。

 経済発展と共に中国が社会的に成熟するには、まだまだ時間がかかると思えます。
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天安門事件から「08憲章」へ―中国民主化のための闘いと希望

89 年、気鋭の批評家として米国滞在中、急遽帰国し、天安門での非暴力抵抗を導き、その後も投獄・拘束に屈せず、事件の真相隠蔽に抗し続け、民主化運動に献身。08年12月、中国民主化のための「08憲章」発表直前、ただ一人、不当に逮捕・拘束。今なお獄中にあり、ラシュディやエーコなどが釈放を求めている、劉暁波。不屈の詩人と受難者たちの思想と行動が示す、歴史の真実と中国民主化の原点。
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