ブラジル政府は13日、温室効果ガスの排出量を2020年までに、特別な対策を取らない場合に比べて36.1〜38.9%削減するとする目標を発表した。アマゾンなどの森林伐採を大幅に減らして二酸化炭素(CO2)の森林吸収を増やすことで達成を目指す。(朝日新聞/2009.11.14)
●スローなコメント
 アマゾンでの森林伐採は、焼き畑などによる農耕地の造成が主な原因とされているようです。伝統的な焼畑農業は、森林を伐採し、燃やし、灰を肥料として農作物を栽培します。数年間、そこで農作物を作った後は、そこから別の耕作地に移動します。残された元・耕作地は数十年かけて、森林が再生し、再び焼畑農業が可能となります。

 このような伝統的な焼畑農業は、環境問題に大きな負荷を与えないとされます。しかし、地力収奪的な火入れ開拓を行う、伝統的焼畑農業の方法を取らない人々が、森林破壊の大きな要因をつくっているとされます。

 森林保護に対する意識の高まりは喜ばしいことですが、問題認識を誤ると、本来は非難・規制するべきでない人々が被害を受ける可能性があります。原因が複雑な環境問題の解決は言葉で唱えるほど、易しい問題ではありません。
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