◆読書感想◆

100回泣くこと
中村 航(著)
価格:\480(税込)
評価:★★★★☆
 「100回泣くこと」――タイトルと表紙絵を見た瞬間「お涙頂戴のセンチメンタル系小説だなぁ〜」と思いました。実際に読んでも、主人公が愛した女性が死亡し、愛犬も死亡と悲しみのオンパレードでした。

 わたしは悲しい作品は、余り好きになれません。いや、悲しくてもいいのですが、最後はハッピーエンド、若しくは何らかの希望を見出すようなカタチでなければ嫌なのです。例えば、重松清さんは、そういった類の作品が多いから、読みたくなるのです。

 しかし、本作は「悲しいだけの作品」ではあるものの、余り嫌な印象は持ちませんでした。それは主人公がエンジニアの志向を持っていることにあるからでしょう。主人公は結婚をひとつのプロジェクトと位置づけ、計画を立案し、3ヶ月に1度、反省会を開きます。こうした描写はとても機械的で、感情の起伏がありません。その抑えた状況が、より悲しさをクローズアップさせる面もありますが、わたしはそこに面白さを感じました。(2010/05/01)

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