◆読書感想◆

点と線

松本 清張(著)
価格:\460(税込)
評価:★★★★☆
 先日、テレビでビートたけしが主演する「点と線」を見ました。わたしは20年前に原作を読みましたが、ドラマを見ながら「なんか違うな〜」と感じました。でもそれが何かが分からず、確かめたいと思い、再読しました。

 読んで「あ!」と思ったのは、有名な「空白の4分間」を発見する場面です。原作では本庁の若手刑事、三原が行ったのに対して、ドラマは博多の中年刑事、鳥飼(ビートたけし)になっています。原作は感情を抑えた叙事的な作品ですが、ドラマは鳥飼の人間性にスポットを当てた抒情的な演出が目立ちました。

 思うにこの古典推理は「アリバイ崩し」の賞味期限が完全に切れています。昭和30年と現代では、社会インフラが違い過ぎます。ですからドラマを作るに当たっては、ストーリーより人間を重視したと思います。

 清張作品のなかでも「点と線」は、抜群の知名度です。確かにこの作品は時代が生んだエポックですが、清張作品としてはこの後に続く「ゼロの焦点」や「黄色い風土」の方が、完成度が高いと思います。しかし本作が社会派ミステリーの原点であることは間違いなく、ミステリーファンなら一度は読むべき作品です。(2007/12/22)

◆読感履歴◆
地球環境のひみつ
スコットランドヤード・ゲーム
チーム・バチスタの栄光
トコトンやさしい水の本
漢方小説
結婚の条件
鈍感力
宇宙の果てをみると宇宙の始まりがみえる
母恋旅烏
オイラの美力
Web2.0でビジネスが変わる
なぜ、その人に惹かれてしまうのか?
原発事故はなぜくりかえすのか
青い鳥
もったいないばあさん

◆過去ログ◆
#91〜135
#46〜90
#1〜45

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