売掛金や在庫品は中小企業にとって主要な財産ですが、銀行にとっては担保として管理することが難しく、不動産担保と比較してほとんど活用されていませんでした。
しかし、平成17年からスタートした動産・債権譲渡登記制度により、登記所に登記することによってこれらの資産を担保として活用する道が開かれ、中小企業の借入が従来より容易になりました。実際の利用例はまだ少ないものの、信用保証協会の保証制度でも流動資産担保融資保証(「ABL保証」ともいう。)として導入され、保証料率が優遇されるなど、今後の利用増が期待されています。
1.担保となる売掛債権とは
-
商品の販売やサービスの提供等により、取引先へその代金を請求する権利を売掛債権といいます。受取手形も売掛債権に含まれます。
※ 債権譲渡禁止特約のある売掛債権について
債権譲渡禁止特約のある売掛債権は、特約解除ができる場合、または民法468条の異議なき承諾が得られる場合を除き、担保となりません。
売掛債権の例
-
(1)売掛金債権
(2)割賦販売代金債権
(3)工事請負代金債権 など
3.担保とする方法
-
売掛債権や棚卸資産に対し譲渡担保契約を締結します。譲渡担保契約とは法律的には譲渡契約であるが実質的には担保契約である契約のことをいいます。ですから、債務不履行をしなければ、それらの実質的な所有権は移転しません。