鼓笛隊の襲来

◆読書感想◆

評価:★★★★★

　三崎亜記の作品を読むたびに「となり町戦争」と比較する自分がいます。この呪縛から解かれることはないのでしょうか！？

　「となり町戦争」は現実と非現実のバランスが絶妙です。主体は非現実な展開ですが、それが強調されずに、物語が進行していく様子が心地よいのです。しかし、他の三崎作品は、非現実が強調され過ぎています。内容が抽象的で理屈ぽく感じます。それなりに、面白いのですが「となり町戦争」ほどの魅力は感じません。

　「鼓笛隊の襲来」はショートショートです。やはり全作品で非現実感が目につきます。しかし、短編であるが故、コンパクトにまとまっています。そのため、難解さを感じることなく、純粋に娯楽作品として楽しめました。全作ＳＦでありながら、せつなさを感じるいいお話ばかりです。

　今まで読んだ三崎作品のなかでは「となり町戦争」に次ぐ面白い作品だと思いました。(2011/04/24）

◆読感履歴◆

◆過去ログ◆

#421～435
#406～420
#361～405
#316～360
#271～315
#226～270
#181～225
#136～180
#91～135
#46～90
#1～45

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