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  2001年11月12日
   120u1000万の住宅とオープンシステム


 本日、19:35 NHKのクローズアップ現代で住宅の特集を見ました。ひとつは、新工法の採用と徹底的なコスト削減によって120u1000万の住宅です。具体的コスト削減の方法は、コスト削減手法に私がピックアップした内容と全く一緒でした。プランひとつだけ、殆ど一切の変更が認められていません。コスト至上主義に走った事例の典型でしょう。ニーズはあるでしょうが、設計事務所の出番は新工法の開発に参画する位で、出番はほとんどありません。
 もうひとつは、完全分離発注直営工事(NHKでは少々説明が不足していた)と言って、工事をいくつかに分け、工事毎に入札し、その事務手続き(工事監理はどうなっているか説明が無かった)の一切を設計事務所がになう方式(オープンシステムと呼んでるそうです)です。問題となる責任の所在については、保険会社との契約によって解決していました。ここでの設計事務所は、いわゆるPM(プロジェクトマネジメント)CM(コンストラクションマネジメント)の役目を果たしている例です。ちょっと解りにくいかもしれないので、かつての大工の棟梁の役目(=工事発注手配、工事監理、工程監理等)を設計事務所が代わりに行うようなものです。この方式は、工事コストの透明性の点で極めて優れた方式ですがなかなか普及するには至っていませんでした。
 建設業界でのオープンシステムの考え方は、もともと現金沢美術工芸大学教授の内田祥哉先生が、東大で教鞭をとられている時、『建築生産のオープンシステム』として1997年(昭和52年)に著書と共に発表されたのが始めだったと思います。この場合のオープンシステムは、システムズビルディング(=いわゆるプレファブ)を生産の基点におきながら、自由でフレキシブルな間取りと将来更新が簡単にできるという点、それにCM方式を加えてその当時かなり話題になり、その後の建築業界を動かして行った考え方です。私も学生時代に関わり、卒業論文はそれがテーマでした。
 今日放映された『オープンシステム』は、工事発注・工事監理手法のひとつの典型事例として、評価できる手法でしょう。コスト削減には必ずしもならないというのが、業界の一般的意見ですが、行く末を見守りたいと思います。ちなみにNETで『オープンシステム』をキーワードに調べたら、5〜6社の設計事務所のHPがみつかりました。興味がある方は一度覗かれてはと思います。