◆理念 〜関係性の検証〜 |
門屋総合設計の建築に関わる基本理念は、『関係性の検証』というキーワードに置きたいと考えています。
人間が社会に生き、社会や人との関わりの中で、生活しているのと同じように、建築も環境や地域そして歴史に深く関わっています。また建築行為は、関係する数多くの関係者の努力によって実現されて行きます。
門屋総合設計は、社会的・歴史的関係性を常に意識し、設計・建設に関わる空間的関係性、組織的関係性を中心にした6つの概念を必ず検証し、常に念頭に置いて作品づくりを行っていく行為=関係性の検証=に基本理念を置き、総合的な視点を最重要命題として、社会に貢献して行きたいと考えます。
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1.地球環境を考える
関係性対する理念は時代と共に変わっています。今最も大きな関係性の課題は、地球環境問題です。建築が社会問題としての地球環境に貢献できる課題は、環境負荷低減・省エネルギー・省資源にあります。循環型社会の復活を念頭に置いた作品作り(サスティナブルデザイン)を第1に考えたいと思います。地球環境問題の解消は、人々の意識の変革とそれを支える技術、そしてそれを世に提案する倫理観と積極性によって促進できると思います。 |
2.地域を考える
また、地域に目を移すと、地域のための環境づくりという課題があります。建築物は、地域の環境形成に重要な役割を果たしています。訪れる人々が心地よく招かれような地域の環境づくりに貢献するデザイン、作品づくりを第2に据えたいと考えます。 |
3.室内環境を考える
第3は、建築物の室内環境の課題です。室内環境は高齢化社会に伴って益々重要な位置付けになりつつあります。隣接する外部環境と程よい関係をもちながら、安全で健康的な室内環境を実現したいと考えています。 |
4.歴史的関係性の見なおし
歴史的な関係性の検証も重要です。大競争、二極分離、グローバル化、マネジメントの時代。私達は過去に経験したことのない超スピードの時代を迎えています。ITの技術はますますそれに拍車をかけています。スピードアップは、企業経営の根幹をなすニーズを形成しています。しかし過去の歴史には数多く学ぶことがあります。物事には全て二面性があり、スピードが全てではありません。もしかしたら現状維持がいまの地球には最もやさしいのかも知れません。淘汰の原理の全てを受け入れることが良いとは思われません。今、建築に関わる多くの分野で過去の手法が見なおされています。過去の手法を参考にしながら、今の時代に求められる建築象を短期的視点に捕われないよう再構築し、作品づくりに生かしていきたいと考えています。 |
5.プロジェクト運用のマネジメント
1)事業マネジメント
建築物は、ハード面の整備だけでは成立しません。事業を仕掛ける人、建築の具体的あり方を描く人、建築を実現するために出資する人、建築を現実の構築物に仕立て上げる人、建築物を運用する人が揃うことによって、その一生をまっとうできます。さらにその建築物を利用する人々の賛同がなければ、事業として成立しません。これらの関係者を包括的に捉えるとともに将来を予測し・支援し、計画の初期段階から組織体制と組織運用、スケジューリング、コストプランニング、事業プランニングのプログラムが求められています。さらに計画の初期段階から建築感覚を基礎とした職域の参画が求められています。これらの組織の関係を総括的に検証しながら、各々の組織力が生かせるよう最適解を見出し、信頼関係のなかで共同で作品を作る行為(コラボレーション)を大切にし、円滑で合理的なプロジェクト推進を実現することを最終的な課題に据えたいと考えています。
2)設計監理マネジメント
事業だけでなく、設計と現場の監理のマネジメント業務は重要です。医療業界同様建築業界も様々な職能があり、その総体として物が作られます。木造住宅であってもそれは同じです。
かつて日本の工事現場のマネジメントは大工の棟梁が担いましたが、現代では様変わりしています。設計のマネジメントと工事のマネジメントが別物だからです。
3)インターフェイス調整こそマネジメントである。
インターフェイスとは、もともとIT業界の専門用語でしたが、建築業界でも昭和40年代の工業化住宅業界を中心に話題にされるようになりました。インターフェイスとは物と物の境界のことで、さらに境界条件をも指します。建築設計や建築現場でトラブルが発生する場所は、このインターフェイス部分です。
@法的環境
・一番解りやすいのは、構造体同士のジョイントです。木造住宅は長くこの条件が曖昧でしたが阪神・淡路大震災を契機にジョイント金物の規定が一新されました。
・鉄筋コンクリート造では、以前は、薄い壁は耐震壁として扱われませんでしたが、阪神・淡路大震災を契機に耐震壁とそうでない壁の定義が耐震スリットを設けることでやっと明らかになりました。
・木造でも薄い石膏ボードであっても耐震要素として評価されるようになりました。
A構造設計者の思想の崩壊
姉葉事件以降、建築業界の信頼度が薄れました。建築基準法はもともと性善説にもとづいて作られています。医者は患者を助ける立場にあるのと同様、建築家が建物を法に従った建物を必ず作ってはくれないという、正悪説に基づいて法令が改正されたのです。このような、設計の本質的な思想が疑問視され、改正されたのには意味がありますが、性善説に基づいて物を作っている方々に多大な負担をかけ、さらにその正当性を審査する場合の費用をただ無駄に建築主が負担しなければならない時代になったのです。つまり、この考え方は、問題ごとを特定の弁護士に依頼しても、別の弁護士のお墨付きがないと建物が建てられない次代になったのです。2007年6月20日施行の法令施行が拍車をかけました。これによって、構造設計設計者の思想は無視され、標準設計により評価されることになりました。
この問題は、今後再度問題になるでしょう。
B構造問題解決の手段は何か
設計も含めて工事現場で問題が発生するのは、物と物の境界です。
・例えば、同じ鉄筋工事でも基準断面では問題がなくても、梁の交差部等で、しばしばコンクリートが入らないような配筋仕様になっていることがあります。このような場合は、配筋要領書や配筋詳細図を描かないと、納まらないのが通例です。
さらに問題なのは、行政も民間審査機関もこの部分の審査が全く欠落しています。すなわち、検査を受けたからと言って安心できないのです。
・コンクリートの打ち継ぎ部をどうするかも問題です。
・このような場合を想定して、善良な施工者は配筋要領書や配筋図えを作成し監理者の承諾を得る必要があります。
・これらの書類が無い場合は、現場管理がいい加減だと思う必要がありますし、書類があっても現場がそうなっているとは限りません。
・それらに関して、委託を受けて代理人として監理するのが建築設計事務所の仕事ですが、そのような報告が無い場合は、業務が遂行されているとは言えません。
C構造以外の問題解決の手段は何か
建物構造以外の問題も、現象としては全く同じです。単体としての物はだいじょぷぶかと考えるより、実は境界をどう納めるかが重要なのです。
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6.依頼者と設計者の意識ギャップの低減
設計の依頼者と受託者に意識のギャップを低減する手法としてアカウンタビリティ(説明義務)に徹底し、運用手法の最重要課題として取り組んでいきます。常に依頼者の立場に立って、プロジェクトの振興に貢献します。
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◆基本方針 |
理念に基づいて、建築設計・監理の方針を下記にまとめました。 |
1.経営理念の理解と徹底
顧客企業の経営理念を充分に理解するとともに、経営的な視点に立ってプロジェクトを円滑に推進し、予算に見合った合理的品質を確保し、企業経営に寄与します。 |
2.顧客優先の建築/夢の実現
@事業採算性検討支援
顧客の意向を充分にくみ取り事業の意図やイメージを総合的な見地から具体的な形にします。計画の初期段階では事業の妥当性についての検証を支援します。
A顧客とのコミュニケーション
顧客とのコミュニケーションを重視し、顧客の意図を設計・監理業務に反映します。また、設計内容は、解りやすく丁寧に説明し円滑な情報交換環境を実現します。
B業務ネットワークによる体制
顧客の意向を実現するために、必要に応じて各種専門家や協力事務所と提携し、最善を尽くします。
Cプロジェクト管理・スケジュール管理支援
事業推進のためのプロジェクト運営とスケジュール管理を支援し効率的に推進します。 |
3.地球環境問題に貢献し、安全かつ快適な建築
@循環型社会への貢献
地球環境問題に貢献するためにリサイクルや省エネルギー、廃棄物削減に配慮した建築作りを目指します。
A安全性と快適性
耐震性が高く、安全で快適な建築を実現します。
B防災性
人命と財産の保護を念頭に置き、防災性能の高い建築を目指します。
C良質な室内空気環境
シックハウス・シックスクール等の室内化学物質の汚染については用途に応じた合理的な検討を行い,材料の選定や換気計画には最善の注意をもって対処し汚染による疾病発生を防ぎます。
Dバリアフリー・ユニバーサルデザイン
バリアフリーを超えて、高齢者や障害者ばかりでなく健常者にも使いやすいユニバーサルデザインの建築を目指します。 |
4.地域環境に配慮した建築
@安全で快適な地域環境
常に都市的観点に立って、交通問題、騒音問題、日照問題、電波障害等の発生を最小限に押さえ、快適な環境の保全に貢献すると共に紛争を防止します。
A潤いのある景観づくり
都市や住宅地の景観を重視し、常に周囲との関係性を重視した建築を提供します。 |
5.品質管理/合理的な品質と耐久性のある建築
予算・要求品質に応じた、最適な品質と合理的耐久のある建築を提供します。 |
6.総合的でバランスが良く、使い勝手に配慮した建築
@プロジェクトの一元管理
建築を構成する構造、空調・衛生・電気・通信設備、ランドスケープ等を一元的にマネジメントし、綿密な調整とバランスの良い建築に心がけます。
A特殊設備調整支援
事業は常に総合的に捉える事が重要です。顧客が直接発注する特殊設備等との調整を支援します。
B家具を含めた総合的設計
インテリア設計の経験を生かし、求めに応じ、家具の設計監理に積極的に参加致します。
C運用管理を考えた使い易い施設設計
顧客の運用方針を設計プロセスの中で的確に掌握すると共に、詳細な確認行為や提案を行い、使い勝手の良い施設を実現します。 |
7.コスト管理
@事業の見直し提案
予算内容に応じて、事業の見直し提案、合理化等その他のアドバイスを行います。
A事業予算検討支援
事業予算は建築だけではありません。必要に応じ事業予算検討を支援します。
B建設コストの削減
工事の最適化のために、発注方式や業者選定、資材調達に関する検討を行い建設コストを削減ます。 |
8.維持・保全
@維持・保全し易い建築
建物内部のフレキシビリティを確保し、設備システムの構築の際には、将来の維持・保全のし易い建築となるよう善処します。求められる寿命が最適なコストで全うできるよう配慮します。
A長期的視点に立脚した設計
建物の維持・管理の最適化を念頭に置き、長期的な視点に立脚して対処します。 |
9.きめ細やかなアフターケア
@維持・保全のアドバイス
完成後もきめ細やかなアフターケアを実施し、ファシリティマネジャーの資格を生かして維持・保全等に関するアドバイスも行います。
A業務エリア
当面は、横浜地区をベースに展開し、組織拡充によってエリアを拡大していく予定です。
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