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 2005年3月
   コスト削減手法

 コスト削減は大きな課題です。またコストの妥当性がなかなか見えないというのが業界の実態です。大競争の時代、適正単価が揺れ動いています。
 コスト削減の方法は沢山あります。しかし、1000万で100uの住宅が作れるなどとは考えない方が懸命です。技術的には可能であっても、夢を大きく描けばそれなりのコストがかかるし、品質確保を主眼に責めていけば、相応の単価になってしまいます。以下に、一般的な手法と考え方の指標や注意点を挙げました。
1.コストとはなにか
1)コストとプライス
 コストとは、一般に何らかの物や商品を作成・生産するのに要する費用のことです。またプライスとは、商品を販売する場合の販売価格で、生産コストに様々な経費を上乗せした費用のことです。
2)単体のコストと総体としてのプライス
 建築の材料や部品は、一般に生産者から施工者に直接供給されるものではなく、生産側にも一次側の生産・加工に加えて、二次的な加工や組立が必要になるのが一般的です。
3)生産と販売の制度
 メーカーは、技術とニーズによって様々な商品を開発し販売します。日本のメーカーは生産はメーカーが行い、販売と実際の施工はいわゆる代理店が行うのがならわしです。誰もが知っている、自動車の供給は、メーカーとディーラーによって仕切られています。バブル期は、ユーザーに最も近いディーラーが巾をきかせましたが、いまはややメーカー勝ちにあるようです。
 建築業界も概ね同じ構造にあります。唯一異なるのは、自動車は大半がレディメイドであるのに対して、建築業界は、大口の巨大プロジェクト対応部隊があって、これもメーカー側の大きな生き残りの分野です。
4)ハウスメーカーと地方工務店の関係
 日本の住宅の供給体制は、最早、大手住宅メーカ−の笠下に駆逐されたと言って良いでしょう。すでに10年以上前から世界情勢は二極化の方向に向かうだろうと言われていました。バブル以降、誰もがそれを実感しています。しか。地方には地場のつながりや伝統がありそれらは無視できません。
5)設計事務所の生き残り作戦
 設計事務所はどうやら大きく2つに分かれ、それはさらに物件規模で大きく分かれるようです。
 従業員数が100人以上の設計事務所は、大手事務所ですから、存続は大変です。






2.コスト削減手法

1)整形なプラン・外形
・整形なプラン・外形にすることで単位面積あたりの外壁面積が少なくなり、構造的にもバランスが良くなります
・反面、豊かな空間構成や外観デザイン等に影響が出てきます。
・通風や採光等に工夫を要します。
2)面積効率の良いプラン
・効率良くプランニングし、面積を最小限に押さえるます。
3)建物高さを押さえる・階高を押さえる
・木造の場合は、木材の定尺長さをそのまま使いきります。
・鉄筋コンクリートや鉄骨の場合は、かなり効果的な方法です。
4)無理な構造にならないようにする
・アクロバティックな構造は避けるようにします。
・バランスの良い構造架構を考えます。
5)既製品をそのまま使う
・特注品は避け、既製品をそのまま使うようにします。
6)材料定尺を意識し端材発生を極力押さえる
・材料には定尺があります。端材が発生しないように使い切ります。
7)ローコスト材料を使う
・同じ性能なら安価なものを選びます。
8)大量に仕入れる
・なるべく共通の材料を用い、大量仕入れによりコストダウンをはかります。
9)工事職種をまとめる・少なくする
・工事の職種を少なくすることで、コストを押さえます。
10)バリエーションを少なくする
・住宅は、スケールが小さい割りに材料の種類は、そのままでは大規模建築と変わりません。スケールデメリットを解消するために材料の種類、寸法バリエーションを少なくします。
11)素材をそのまま使う
・素材をそのまま使うようにします。
12)現場加工量削減・加工内容の簡略化
・現場加工を少なくする
・簡単な加工で工事ができるようにする。
13)複雑な納まりを避ける
・工事職種が錯綜しないようにします。
14)化粧をしない
・構造材をそのままに、化粧材をなるべく使わないようにします。
15)中間マージンの削減
・ある程度量のある材料でメーカーから直接購入できるものは、材料を直接住まい手が手配し、材料を支給して工事を行う方法があります(材料支給)。
・ただし、発注のタイミングや発注量のチェックが適切でないと、工事の遅延やトラブルが発生します。
16)海外資材の導入
・安価な海外資材を積極的に導入します。
17)競争原理の発動
複数の業者に競争させる方法があります。
18)現場で手戻りになるような変更はしない
・現場での変更は、なるべく避けるようにします。
・特に手直しが発生すると、予想外の出費につながります。
19)自分でできることは自分でやる
・自分でできることは自分でやれば、コストを押さえられます。
20)全部を完成形にする必要はない
・無理して完成形にせず、当面不必要なものは、将来工事にする方法があります。


2.コスト削減の際の注意点
1)性能ダウンになるようなコスト削減はしない
・一般に求められる最小限の性能は確保するようにします。特に構造材、屋根、外壁周りは重要です。
・耐久性を無視して削減すると入居後の手直し費用がかさみ、長期的にはかえって高くつくことがあります。
2)どこまで割り切るか、限界を決める
 コストと品質・自由度は常に相反する要因なので、コストを偏重するとその分夢の実現の幅も狭くなります。どこまで割り切るか限界を明確にしておくようにするのが大事です。
3)特殊発注方式
@材料支給方式
・材料支給方式は、対象をうまく選び、早期に施工会社との根回しを前提に行う場合、かなり効果が得られる場合があります。
・一般的には、建築的なユニット材や面材に留めておいた方が無難で、様々な職種が関る材料は避けるべきです。
A分離発注方式
・分離発注方式は、様々なケースが考えられ、バリエーションは無限にあると言っても過言ではありません。
・もともと日本在来の住宅供給方式は、大工さんの棟梁を中心にしている一方、基礎工事やタイル工事、電気工事は異なる職種によって行われ、今でも田舎では分離発注をしながら棟梁が総合的なマネジメントを行う慣習があります。そのため、建物の価格は、あくまで大工工事をベースに考える地域もあり、ハウスメーカー全盛の都会とは様相を異にしています。
BCM方式(オープンシステム方式)
・CM方式は、正式にはコンストラクションマネジメント方式と言い、今、一部でオープンシステム方式と言われている方式は業界では造語であり、本来はシステムビルディング(工業化工法=プレファブ)の用語です。CM方式は、建設に関る全ての材料と人員を個別に手配し、建設する手法です。
・この方法は、もともと職能分化が進んだ米国で生まれた方式で、日本の建設業界には実態上も職能上もなかなかなじまない方式ですが、大きな魅力があります。
・ただし、CM方式は、コストダウンにはあまり効果が無いことが、公共建築や様々な実験住宅や業界での経験やしくみを通じて解かっており、最も大きな魅力は、積算内容の透明性に核心があります。
・CM方式は、簡単に言えばかつての大工さん棟梁の仕事と考えても良いのですが、実際はそうは簡単ではありません。
・一般にハウスメーカーや施工会社の採算ベースとなる経費率は工事総額の30%と言われます。
・公共機関の代表である、国土交通省の現場経費算出基準では概ね25〜27%になってしまいます。建築物の設計監理行為のうち、監理行為の比率がいかに高いかのひとつの指標になります。
・建物の格好や見え方は確かに設計行為で決まりますが、品質的な側面では、監理行為にこそ核心があると言って良いでしょう。
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