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  2005年3月
   キッチンの作り方3/キッチンの内装と設備


 キッチンの主役はなんと言ってもシステムキッチンですが、キッチンの環境を決定するのは、実は設置位置と建築的な工夫の方がウエイトは高くなります。これからのキッチンはますます良い環境が求められていくでしょう。
 日常生活の大半の時間を、主婦がキッチンで過ごすことを考えると、ますます明るく快適な環境を作ることが求められています。




1.各部仕上げ
 様々な材料が考えられるので、代表的な材料に限定しています。
1)床

 キッチンの床を考える上で最も大切なことは、長期的にはどうしても油汚れがついてしまうことと、若干の耐水性が求められることです。そのため、防汚性の高い材料を用いる必要があります。
@樹脂系床材
 最も安価で、良く使われるものです。プラスチックタイル(Pタイル)、クッションフロアー、長尺塩ビシート、ホモジニアスタイル等が考えられます。この順番で後の方が高価です。
A木質系床材
 フローリング類とコルクタイルが考えられます。最近はこの2つが良く使われています。
Bタイル・石
 タイル、石は高価ですが、居間やダイニングとの関係で使われることもあります。堅い材料ですから、物を落したときにものが割れ易い欠点があります。耐久性は高い材料です。足元周りが冷え易いので、床暖房や足元暖房機の併用を考えましょう。

2)壁

 壁・天井にも防汚性が求められます。長期的には、油汚れがたまって、黄ばんでくる傾向があります。また上階に居室がある場合は、内装制限を受けます。準不燃または不燃材料を使います。ダイニングやリビングと一体化したキッチンでは、これらの部屋にも内装制限が適用されます。
 木質系の材料を使う場合は注意が必要ですが、それ以外は、あまり問題になりません。
 また、ワークトップ周りは特に耐水性が求められるので、全体の壁とワークトップ周りの壁を分けて考えるのが合理的です。
@塗装
 塩化ビニル樹脂系塗装(VP)合成樹脂調合塗装(エマルジョン塗装:EP)が考えられます。塗装は、同じ名称の塗装でも塗料メーカーによって、見え方や性能に差があります。一般にVPは水周りに適していますが、艶があるため、下地がしっかりしていないと、見栄えしません。EPは、やや汚れ易い傾向がありますが、アクリル系で病院をターゲットにした塗料では、マジックインキの汚れも簡単に除去できるものがあります。有機溶剤を使わない健康材料なので、もっと使われて良い材料です。下地は石膏ボードが一般的です。
A壁装材(クロス類)
 紙、織物、ビニル、化学繊維、無機質等があります。織物壁紙は避けた方が良いでしょう。サンプル帳に防汚タイプと書かれているのがお薦めです。
B木質系
 木質系の材料は、ムク材のほか合板類やパーチクルボード類等、沢山の種類があります。
 最近は、針葉樹のムク材で天然塗装を施した家が多くなっています。シックハウスを意識した結果でしょう。合板類を用いたものは、VOC発生量の少ないものを選択します。内装制限を受ける場合は、かなり高価なものになります。
C石・タイル
 ワークトップ周りにお薦めです。石類には人造石(テラゾー)もあり、タイルと合わせて極めてバリエーションが豊富です。
D樹脂系ボード
 最近、メラミン樹脂を使った大型のパネルで不燃材が流通し始めました。防水・防汚性もあり、ワークトップ周りに利用できます。
E金属系
 ステンレスは、ワークトップ周りの素材として機能性の高いものですが、好き嫌いが分かれる材料です。

3)天井

 天井は、塗装やクロス類、木質系の材料が一般的です。汚れに対しては、なかなか清掃しにくい部位なので、油汚れが目立たない材料というようなイメージになるでしょう。経年変化によって黄ばんで来た天井は、不用意に油落しをすると、そこだけ色が変わってしまいます。




2.出入り口

 廊下に面する場合と、ダイニングに面する場合や複数の出入り口を設ける場合が考えられます。勝手口からの出入りもあるでしょう。
 24時間の計画換気を行う場合は、空気の流れを作るために、出入り口扉を利用する場合があるので、流れのルートをきちんと作ります。
@廊下からの出入り 
 廊下からの出入りは、基本的にサービス動線になると考えて良いと思います。ドア巾は、80cmは欲しいところです。
Aダイニングからの出入り
 独立型のキッチンの場合、配膳動線を考え、オープンか引き戸にします。
 セミオープンやオープンキッチンで、扉を設けない場合で、内装制限を受ける場合は、規定に従います。
 セミオープンやオープンキッチンでも、来客の際や臭いの出やすい料理をする場合は、工夫によって仕切ることもできます。




3.窓

 キッチンの採光は法律論議は別にして、明るく快適な環境を求めるのが、これからの住まいの鉄則だと考えています。付属するユーティリティを含めて、主婦が最も多くの時間を過ごすキッチンの環境向上は、ますます高まっています。また、一戸建てであるがゆえに可能であるとも言えるでしょう。セミオープンキッチンが主流になっている理由は、そのあたりに理由があると思います。




4.キッチンの設備
 システムキッチンに関わる設備は、ここでは除外しています。
1)空調

 キッチン専用のエアコンを設けるのは、極めて稀なことです。理由は、レンジフードの排気によって他の部屋の快適に保たれた空気が運ばれてくるからです。また、温度環境としては、作業室であるために若干低い温度でも耐えられる傾向があるからでしょう。しかし、ユーティリティを積極的に配備する場合は、もうすこし室内環境に配慮した設計が求められます。夏季は、暑いうえに、コンロ類の輻射熱にもさらされますから、これからは、エアコン設置の傾向になるのではないかと思います。セミオープンキッチンが人気の理由はここにもありそうです。
 高齢者対応としては、床暖房や居室に準じた暖房が求められます。
@独立型キッチンの場合
 夏季は、自然換気に留意した設計が求められます。
 冬季は、加熱器の放射熱が多少暖房の役割を果たすと考えられますが、使用状況によっては低温になります。床暖房や、専用の暖房機の導入も考えましょう。エアバランスの保たれたレンジフードの他に、高断熱・高気密に配慮し、計画換気によって他室の余剰空気を導入する方法が考えられます。
Aセミオープン・オープンキッチンの場合
 セミオープンキッチンの場合、冬季は比較的問題にならないと考えられます。夏季の暑さをどのようにしのぐかが課題になるでしょう。風の道を考えておくのが重要です。
 オープンキッチンでは、ダイニングと一体になるので、環境はダイニングに従属します。

2)換気設備

 レンジ排気の詳細については、右のリンクを参照下さい。
 レンジ排気は、コンロ類の裸火の燃焼によって、室内空気中の2酸化炭素や有害物質と臭いを排気するものです。排気するので、専用の給気口を設けます。
 独立型キッチンでは、レンジ排気を止めてしまうと、キッチン自体の換気機能が無くなってしまうという不具合があるので、別の換気扇を取り付ける必要があります。



・キッチン各部の知識へのリンク

3)水栓金物

 水栓金物については、右の『キッチン各部の知識』を参照下さい。


・キッチン各部の知識へのリンク


4)照明

 キッチン全体の必要な明るさを確保しながら、作業内容に応じた補助照明が必要になります。
 全般照明はツイン蛍光灯を用いたダウンライトを使用するのが最も効率的だと思っています。
 吊り戸棚下は、暗がりになってしまうので、蛍光灯や小型のローボルトハロゲンダウンライトを使って明るくします。
 食器類をあえて見せる収納形式しした場合は、スポット照明の設置も考えます。










5.コンセント・スイッチ類
 キッチンには様々な家電製品があります。システムキッチンを導入しても、電源やアースの技術的な対応が必要になります。電子レンジは単独回路にします。家電製品の使用状況を整理して設計者に伝える必要があります。








6.総合維持管理運営センターとしてのキッチン

 キッチンやユーティリティは、住まいの総合維持管理センターになりうる場所です。給湯器の親操作スイッチ、内線電話の親機、インターホンの親機、ホームセキュリティ総合操作パネル等、電気・通信系統の集中管理場所として最も適切な部屋になります。




7.勝手口とサービスヤード
1)勝手口とサービスヤードの意義
 最近は、勝手口を作らない住まいを良く見かけます。傾斜地や敷地面積の関係から物理的に作れない場合がありますが、生活利便性の観点からは、あった方が何かと便利です。勝手口の外には、サービスヤードとしてのスペースを設けます。地流しのほかに収納も考えます。家事には、外でした方が良いダーティな作業もあるからです。キッチンを2階に設置した場合は、サービスバルコニーを設け、外階段を設置します。
2)防犯性の向上
 勝手口には、唯一弱点があります。防犯性の問題です。勝手口は、裏方のスペースなので、目につきにくい場所を選びます。そのため、死角になりがちです。防犯性を向上させるために、アンチピッキングキーを設けたり、ダブルシリンダー(キー)にしましょう。外側の照明は、センサー照明にするのも効果があると言われています。ホームセキュリティを導入していれば、建具にマグネットセンサーを設置したり、室内側に空間センサーを設置します。

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