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  2005年3月
   将来対応/フレキシビリティ=永続性


 将来対応は、住まい方をどうするかを考えた時、必ず考えておかなければならない命題です。住宅寿命最低50年を有効に使いきるために、チェック項目に必ず加えておきたいものです。




1.余裕の住まい
1)小さくなってしまった住まい
 余裕のある住まいは、今では大変難しくなりました。都市部への人工集中によって土地価格が高騰し、手に入る土地面積が限られてしまうこと、大家族の崩壊と核家族化の進行によって、大きな住まいのニーズが無くなったことが挙げられるでしょう。
2)建築の流動化
 また、かつては安定した財産として機能した住まいが、いよいよ流動化し始めました。不動産が証券化されるようになって来たのです。けれでも建築物は、社会の資本でもあります。消費される生活用品とは異なって、地面に座った時から、数十年の間少しづづ価値を失いながらも生き長らえるのが建築物です。
3)短命の理由は?
 昔の家は、100年程度持たせるのはあたりまえでした。中には300年も使われている家もあります。現代の住まいはなぜ25〜30年位で壊されてしまうのでしょうか。まず、社会の変化が激しすぎて住まいが変化に追いついていけないことがあります。ここ20年の設備機器や家電の発達はそれ以前のスピードとは比べ物になりません。次に、建物自体の陳腐化が考えられます。以前の住まいは、空間性に乏しく生活スタイルも限定されていました。明治・大正期の特権階級の洋館が今見ても古さを感じられないのは、それと対照的です。最後に建物の余裕があげられます。余裕がある建物は、工夫しながら永く使うことができます。時には広すぎることがあっても、次の世代には丁度良いということになります。長生きの住まいはそうやって家族を見守ってきたのだと思います。
4)鍵は余裕と住まい変え
 余裕のある住まいであれば、家族数の変化や様々なライフスタイルに耐えらというのが誰もが認める事実だと思います。けれども、現実はそうはいきません。余裕のある住まいを手に入れられるのは、地方部の農村か都市部の限られた方々に限られてしまうからです。
 これを解決するには、良質な設計と施工によって良く考えられた住まいを、ニーズに応じて住みかえる方法が考えられます。



2.限られた住まい
 
多くの都市部の住まいは、余裕のないのが普通です。限られた住まいをどのように使いこなすかを考えてみます。

1)子供の成長対応

 住まいの設計で、必ず考えておかなければならないのは、子供の成長に伴う対応です。これを無視してしまうと住まいはたちまち使えなくなってしまします。
 設計の初期段階から良く考え、シミュレーションを行う必要があります。成長だけでなく、子供の将来のあり方も考えておかなければなりません。人生設計の中で最も大きなものです。










・子供室の作り方へのリンク

2)増築対応
 敷地に余裕があれば、増築スペースを予め考えておきます。最初は小さく作って、余裕ができたら増築する方法も考えられます。その場合は、増築後のプランも考えておくことが、ポイントです。

3)1ルーム住宅
 若い夫婦だけの住まいであれば、最初は広く大きく使って、ニーズに応じて少しづつ割りこんで行く方法が考えられます。
 実際には、割りこみ方には限界があるので、予め将来プランを練っておきましょう。また設備・電気の対応をどこまでしておくかがポイントになります。リフォームが最小のコストでできる工夫が必要になります。

4)設備関連対応
 間取り替えするときに、意外にネックになるのは、実は設備電気関係のスイッチやケーブル、配管類の対処です。将来対応を考える際には、必ず検討項目に含めておきましょう。
@配線類
 予め予備配線をしたり配管対応をしておいて、メクラプレートで隠す方法があります。位置を特定しておくのが前提です。特に情報系配線については、前もって専用配管されることをお勧めします。
 飛び込みのルートさえ確保できれば、巾木配線の方法があります。

A衛生配管類
・予備配管
 将来の位置が確定できる場合は、予備配管しておきます。最も確実な方法です。
・床上配管 
 衛生配管類は天井内横引きの場合、パネル方式の天井等を採用しないとかなりの大工事になります。据え置き型のライニングスペースを確保して裏配管すれば、簡易に更新できます。
・トレンチ配管
 外部の配管は、土中埋設を避け、トレンチ等(大型U字溝でも良い)を用いて配管すると劣化も少なくなり、更新時に有利です。
・1階床下の配管
 1階床下の衛生配管類の将来対応は、木造の場合は、想定個所に潜れるのが前提になります。RC造の場合は、配管ピットを設けるのが普通ですが、双方ともエリアを特定して必要があります。




3.将来を予測した合理的な住まい
 住宅の将来のライフスタイルの変化は、必ず発生します。そのようなニーズに応える設計手法があります。木造住宅の場合は、将来更新が比較的自由にできますが、構造・設備・電気を含めて総合的に考える場合、備素人判断でできるものではありません。それらを含めて将来のライフスタイルの変化に対応する設計手法があります。
 住宅の将来対応方式は、主として鉄筋コンクリート造を用いたスケルトン&インフィル方式、フリープランニング方式、モジュールプランニング方式等が考えられます。
 特に、将来のニーズが変わることが予測される場合は、
選択肢に加え、検討することも大切です。これらは、住まいの寿命を長くするための手法としても、重要な手法になるでしょう。100年使える高耐久コンクリートができましたから、さらに価値のある手法になりました。


1)スケルトン&インフィル方式(SI住宅)
 フリープランニング住宅のうち、SI住宅(スケルトン&インフィル)は、構造体と内装・設備を明快に分けた、古くからある設計思想です。100年間使用に耐える高耐久コンクリートを使えば、価値は倍増します。
 コーポラティブハウジングや自由方式のマンション等で採用されています。実際は、全てが自由とはならないので注意を要しますが、将来対応のシステムとして、最も評価できる手法です。

2)フリープランニング方式

 設計の手法として、固定的に考える部分とフリーに考える部分を明快に分けて計画する方式です。固定部位とフリー部位の設定の仕方で様々なバリエーションが考えられます。広義には、SI方式もこれに含まれます。
 一般に水周りは固定的に扱い、その他を簡単に取り外し・移設可能な間仕切りや間仕切収納で構成します。空間構成は、やや貧弱になりますが、将来対応を考えると良い方法です。この場合、空調や電気の配線も間仕切りの移設に伴い簡単に変えられる工夫が必要になります。更新はやや大工事となります。
 この考え方は、木造住宅にも応用できるものです。 

3)モジュールプランニング

 前者が全くフリーを前提にしているのに対して、予め想定位置(モジュール)を決めておき、その範囲の中でプランニングする方法です。制約がある反面、設備機器の移設が少なく済むのでより合理的な更新が可能です。オフィスなどでは一般的な設計手法になっています。

本ページは、作成者が20年間の建築設計監理の業務を通じて得た情報と経験をもとに作成したものですが、不具合やご意見・ご要望がございましたら、お手数ですが下記までご連絡下さい。
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