スマートグリッド
 ITを駆使することで、地球環境に貢献することも可能です。

 アメリカ・オバマ大統領はグリーン・ニューディール政策として、風力発電の推進を打ち出しました。2030年までに発電量の20%を風力発電で賄う壮大な計画です。風力発電はC02を排出せず、資源が枯渇しない再生可能エネルギーです。しかし「風まかせ」という言葉がある通り、風はその時々の状況で強弱が変わります。それによって、電気の出力が突然、落ちることがあります。安定供給が出来ない発電法は大きな問題となります。従って、風の状況変化に対応可能なインフラ整備が必要となります。

 スマートグリッドはこのような電力の問題に対して、ITを使って解決を試みる概念・技術です。電力需要のピーク時に消費を減らす依頼信号を家庭に送ったり、蓄電池で不足分を補うなど、様々なサービスが計画されています。アメリカは政策としてスマートグリッドの導入を推進しています。

 一方、日本においては推進は容易ではありません。そもそも日本の送電線はエリア毎に電力会社がキッチリ管理していることから、風力発電で得られた電力を送電する必要性が小さいと思われます。また、電力需要を満たす供給が安定している為、例えば2003年に起きたニューヨーク大停電のような事故は日本では余り想定されていません。端的には日本の電力供給はレベル高く、スマートグリッドを推進する必然性に欠けている訳です。

 しかし、日本の電力を枯渇エネルギーである火力や原子力だけで賄うのは将来性から見て望ましくありません。とりわけ、2011年3月に発生した東日本大震災に伴う福島第一原発事故では、東京電力の問題点が浮き彫りとなりました。このような問題企業が、放置されて残っている理由は、地域の電力を1社で独占しているからです。発電と送電の分離などの議論を通じ、政策主導で再生可能エネルギーを推進し、日本版のスマートグリッドを進めていくことが望まれます。

 因みに東京工業大学を中心に、東京電力、東芝、日立製作所、伊藤忠商事などの企業が連携し、日本版スマートグリッドの実験を2010年から行います。実験対象となる家庭にスマートメーターを設置します。そこで、太陽光や風力発電などの自然エネルギーによる電力を蓄積します。そして電力需要にあわせて、送電網と蓄電池との放電を制御するシステムを稼動させ、安定した電力供給とCO2削減を目指します。


クリーンテック革命
ロン・パーニック

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