ビターテイスト
2月14日に向けて、デパートの食品売場はバレンタインデー商戦一色です。店内は多数の女性客がうごめいていました。この光景を見ると「本当に経済は不況なのかなぁ〜」と訝しく感じました。今年のバレンタインデーは週末です。いわゆる義理チョコより、本命チョコが売れるんだろうなぁ〜と思いました。どのみち初老(40歳)を過ぎたおじさんには、余り関係ない話だと思っていました。
バレンタインデー当日、妻が義理?でチョコレートをくれました。それがピープル・ツリーのチョコレート(写真)です。このチョコレートは、フェアトレード商品です。カカオの取引は、先進国の商社が利益を独占し、生産農家は貧困にあえいでいます。そのことが原因で、児童労働の問題が顕在化しています。フェアトレードは、生産者を守る目的で、公正な貿易を促す運動です。
さて、肝心の味ですが、これが本当に美味しいのです。カカオの成分がしっかり効いていて、高級感を感じます。乳化剤を使わず、オーガニック原料を使用するこだわりのチョコレートです。とてもサイズの小さいチョコですが、ひとくちの食べ応えがある為、満足感があります。
わたしはチョコを食べながら、フェアトレードについて、思いをはせました。考え方として、フェアトレードは、素晴らしい発想です。しかしフェアトレードにより、新たな問題を引きおこす不安も感じました。例えば、フェアトレードの導入により、生産農家が特定されます。当然、児童労働させている農家は、フェアトレードの対象にはならないでしょう。そうすると、ある地域で、フェアトレードの恩恵で、貧困から開放される農家と、貧困から抜け出せない農家が生まれるはずです。それは地域内の格差になります。結果的に貧困な農家は、ますます貧困にさせるのではないかと思いました。
日本という消費大国に居る限り、実態は見えません。ただ、美しい理念も、現実に照らすと、色あせることは想定出来ます。ビターテイストのチョコを食べながら、ちょっと苦い気分になりました。(2009/2)
●関連商品●
チョコレートの真実
カカオ農園で働く子供たちは、チョコレートを知らない。児童労働、政府の腐敗、巨大企業の陰謀…チョコレートの魅惑的で危険な世界へ。気鋭の女性ジャーナリストが徹底取材した、今なお続いている「哀しみの歴史」。
←前へ
次へ→
2009年
Menu