◆読書感想◆
ウランバーナの森
奥田 英朗(著)
価格:\600(税込)
評価:★★★★☆
奥田英朗のデビュー作は不思議な味のある作品です(まあ、デビュー作に限らず、奥田作品は、どれも不思議感漂っていますが・・・)。純文学を彷彿させる格調高い文体に、それにそぐわない便秘に悩む男。この便秘男(ジョン)――誰もが知っている有名人です。作品では架空の人物としていますが、実在した男の有名なエピソードが、随所に盛り込まれています。彼のファンであるなら、狂喜乱舞かもしれません。
一見、パロディですが、読めば作者がジョンをリスペクトしている様子が伺えます。作品では、ジョンの軽井沢時代にスポットを当てています。実在したジョン、この作品で描かれた翌年に、世界中に衝撃を与える死を迎えます。本作ではその部分に触れず、息子へ即興で作った子守唄を聞かせる場面で終わります。
「おまえが大きくなったら、いっしょに船に乗ろう。お空も駆けよう、歌もうたおう」――爽やかな歌詞に包まれたエンディングにせつなさを覚えました。(2010/07/31)
◆読感履歴◆
◆過去ログ◆
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#1〜45
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