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 2001年11月1日
   2世帯住宅の憂鬱



 先日、関西の友人と会う機会があって、彼の作品(彼も建築家)を見せていただきました。彼のデザインは、実に素晴らしく、細部から全体に渡っての気配りが感じられ、完成度の高い作品であったと感じ入りました。
 ところが、ちょっと違和感がありました。見たところ200uもあろうと思われる住宅なのに、おばあちゃんの部屋は家族から完全分離され、入り口も全く別、そこまでは良いのですが、内部までも、長い廊下と廊下の間に1枚の扉があり、まるで別邸のような作りをしてあったのです。
 どうも理解できなくて、後日電話して聞いてみると、予感は的中しました。嫁が姑を随分毛嫌いして、顔も合わせたくない状況からそのようなプランになったそうです。その土地は、おばあちゃんが持っている財産だそうなのに−−−。
 同じ敷地内なのにそこまでしなくても−−−。同じ敷地内であれば、きっと顔を合わせるでしょう。わざわざ完全分離したのに、顔を合わせた二人の様子を想像すると怖い。もうひとつ良く解らないのは、嫁の旦那の存在が感じられなかったことです。 
 これからどうなっていくのでしょう。私が思うに、嫁は、プランの完全分離によって、生活も完全に分離できると信じたに違い有りません。おばあちゃんは、どうでしょう。嫁はにくいが息子はかわいい。自分の財産は、息子のため、孫のため、そう思って割り切ったのではないでしょうか。
 完全分離という言葉は、実に便利ですが、実際は、なにかにつけ顔を合わせざるを得ない建築的環境にあります。その時の軋轢はだれでも想像できるでしょう。
できるだけ、関係を維持できる建築的手立てはなかったのかと、無責任ながら思います。