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  2005年3月
   材料選定チェックリスト


1.材料選定の流れとポイント

1)適材適所

 材料は、適材適所に選びます。使用される場所の環境や使用条件に応じて、適切な素材を選定します。設計者はさらに専門的な言葉で設計図に明記します。

2)材料決定のしくみ

 材料は、現場に入ってから最終的に決まります。色彩計画も同様です。これは、設計段階で特定メーカーの特定商品を指定してしまうと、施工者の材料調達の枷になってしまい、コストアップにつながるからです。そのため、多くは、素材の仕様(どのような原材料でできているかを言葉で表現します)を記入します。その他便利な方法として、『〜程度』という表現があります。仕様だけでは表現できない意匠性の高い仕上げ材に使用する場合は便利です。

嵯峨島居本

倉吉の土塀

3)材料選定は性能与件チェックから
 材料選定は、求められる性能を明らかにし、それを満たすものを探す作業です。従って、住まい手の使い方も良く確認しておかないと、予想外の使われ方がされれば性能を満たすことができなくなるケースが考えられます。
 使用条件によって様々な特殊性能を求められることがあります。 

4)好き嫌いも大切

 デザインに好き嫌いがあるように、材料にもこだわることは大変良いことだと思います。単に機能だけで決まるものではありませんから、雑誌やショールーム等で気に入ったものがあったら書き留めておき、設計者に伝えましょう。
 天然素材が持つ良さもあります。時間と共に自然に溶け込み、いつしか自然を構成する要素になって行く様子は、どこかに癒しを感じさせるものを感じます。古くからあった素材は、コストを主たる要因にして、職人不足等を理由に少なくなりつつありますが、シックハウス問題が浮上して、再び見直されています。



2.材料選定チェックリスト

1)意匠性

・色彩、テクスチャー等に優れていること
・種類が豊富なこと

2).安全性
@シックハウス対策
・有害物質チェック/MSDS
・有害物質吸着性能
・VOC、防蟻剤、、その他

Aアレルギー対策
・カビ、ダニ
B生活安全性

・すべりにくいこと(床材)
・怪我などの危険性のないこと
・毒物などを含まないこと

3)耐久性
@耐候性
・太陽光、風雨に対して劣化しないこと
・錆びない材料であること

A材料強度
・求められる材料強度があること
B堅牢性

・磨耗しにくいこと
・傷がつきにくいこと
・反り、縮み、伸びが発生しにくいこと
・劣化しにくいこと(外壁、屋根) 
・衝撃などに強いこと
C防汚性
・汚れにくいこと
・汚れても簡単にきれいにできること
D防虫性
・シロアリ等の被害をうけにくいこと
E防腐性

・結露等によってカビがはえたり腐ったりしないこと
F耐塩害性
・塩害地域(海岸線から4km以内)では、塩害に耐えられること

4)維持・管理性

@適切な耐用年数
・部位に応じた耐用年数が確保されていること
A補修・交換性
・容易に修繕、交換できること

5)環境貢献性/省エネルギー性
@断熱性
・断熱性が高いこと
A気密性

・気密性の高い材料であること
B環境負荷低減・
・生産時の環境負荷が少ないこと
C雨水浸透性
・雨水が浸透すること
Dリサイクル性

・リサイクルし易いこと
・廃棄の際、混合材とならないこと

6)防水・耐水性
@防水性
・防水性の要求される部分に相応しい材料であること
・防水保証が得られること

A耐水性
・雨掛かり、水場の環境に耐えられること
B防湿性

・防湿性の求められる部位で適切な性能を発揮すること

7)耐火・防火性

@適法性
・法に定められた耐火・防火要件等を満たしていること
A耐火・防火性
・燃えないか燃えにくい材料であること
B燃焼時の有害ガス
・火災の際、有害ガスの発生量が少ないこと

8)品質安定性
・求められる性能や品質のばらつきが少ないこと

9)施工時に求められる性能
@加工性
・簡単に加工できるか加工が少なくてすむこと
A作業性
・軽量で作業しやすいこと
B寸法安定性
・寸法精度がたかくばらつきが少ないこと
C応需性

・材料手配から納入までの期間が短いこと

D労働安全性

・アスベストを含まない(ゼロアスベスト)か少ない(ノンアスベスト)こと 
・有機溶剤を多量に含まないこと
D近隣対応性
・施工時の騒音や臭いが少ないこと
Eコンパティビリティ
・材料相互の適合性が高いこと
・相互汚染のないこと

10)その他の機能
@遮音性
A吸音性
B調湿性
C消臭性
本ページは、作成者が20年間の建築設計監理の業務を通じて得た情報と経験をもとに作成したものですが、不具合やご意見・ご要望がございましたら、お手数ですが下記までご連絡下さい。
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