階段は、垂直動線の要となります。また豊かな空間構成と必ず密接に関係します。ところが住まいの中で最も危険な場所で、事故例の多い空間でもあります。安全性に配慮した設計が求められます。
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1.階段の意義
階段は、垂直移動のツールですが、楽しい生活を実現するために、様々な空間を構成する要素として需要な役割をはたしています。
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2.階段の作り方
1)階段の種類
階段の種類は、平面形式から以下の種類があります。また、構造形式からは、様々な階段があり設計者の腕の見せ所になる部分です。
@鉄砲階段(直線階段)
直線で踊り場の無い階段
A折り返し階段(行って来い階段)
中間に踊り場があり、折り返す階段
B折れ曲がり階段(くの字階段)
面積ロスが大きいので住宅ではあまり用いられません。
C螺旋階段(回り階段)
主として吹き抜け部分などに設ける階段。象徴的な階段にできますが、簡易な階段で使い勝手はあまり良くありません。物の上げ下ろしに苦労します。 |
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2)階段の位置
廊下同様多くは住まいの中央寄りに位置させますが、主婦の動線を考えると、居間やキッチンに近い位置が便利です。 |
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3)階段の各部寸法
階段の寸法で使い勝手に大きく影響するのは、蹴上げ(段と段の垂直距離)と踏み面(段と段の水平距離)の寸法です。建築基準法では、蹴上げが23cm以下、踏み面が15cm
以上を最低の寸法としていますが、バリアフリー・ユニバーサルデザインの時代にそのような急勾配の階段はお勧めできません。
経験的なものになりますが、蹴上げが20cm、踏み面が23cm位が実際の使い勝手を考えたときの最低限度だと思っています。
また、巾は、壁手摺寸法を除いて有効で90cm、出きれば1mは欲しいところです。理由は、将来階段昇降機が必要になった時、1mあれば健常者の利用も不自由がないからです。 |
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4)階段の通風機能
階段は、住まいの通風を考えるとき重要な役割を果たします。廊下が水平の風の道になる一方、階段は、垂直の風の道になります。上部に風を出す大き目の換気窓を設けるのがポイントです。 |
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5)遊びとゆとりのある階段づくり
せっかく作る階段ですから、廊下同様プラスアルファのゆとりが欲しいと思います。もともと垂直移動のスペースですから、そこから外が見渡せると、四季折々の景観を視点を変えながら味わうことができます。
垂直移動の視線の移り変わりの楽しみは、スキップフロアー型の住まいを見ると良く解ります。階の高さの半分の移動であっても視点が変わることによって、室内風景が一転します。 |
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6)見せる階段作り
子供室は多くは2階になります。子供との関わりを深くする有効な方法として、居間内に階段を設ける考え方があります。その結果、自動的に居間は吹き抜けになります。
そのような階段は、空間を構成する要素として重要なデザイン要素になります。
また、下の写真は都筑の家の階段を中庭から見たものです。当ホームページの表紙を飾っている写真ですが、中庭が階段室と一体になっている様子が解ると思います。これは、階段の存在をできる限り無くした事例です。 |
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都筑の家の階段 |
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7)安全な階段作り
高齢者の事故の多くは、住まいの中で発生しているという調査結果があります。その中で最も危険な場所が階段です。実際、作成者自身が設計した住宅でも発生しました。階段を降りる時スリッパがどこかに引っかかり、バランスを失って転んだのです。幸い手摺につかまって擦り傷と打撲程度で済みました。階段が緩やかであったのと、手摺が救ってくれました。以下に安全な階段のポイントを列挙しました。
@極力緩勾配にする
A手摺を両側に付ける
B蹴込みを設けない
C踊り場を設ける
D踊り場には回り段を設けない |
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8)階段の造作と備品
階段の造作は、階段本体と手摺、手摺子。滑りを防止するノンスリップ等があります。子供は階段が大好きです。フィールドアスレチックの感覚で階段で遊びます。危険がある反面、そのような場を作ることも必要かもしれません。 |
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9)設備機器
清掃のため近傍にコンセントが必要になります。夜間用にフットライトがあると便利です。天井照明は構造上灯具交換が難しいので避けます。
階段昇降機の将来対応のため、コンセントを用意する場合があります。
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