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 使い勝手の良い住宅は、生活負担を少なくしてくれます。コンセントが少なかったり、スイッチがドアに隠れてしまっていたりは、どんなにデザインが良くでも落第です。使い勝手は、バリアフリー・ユニバーサルデザインにも通じ、設計の根幹をなす要素です。
 使い勝手については、各室の作り方の中にも含まれています。各室特有の使い勝手については、そちらをご覧下さい。
 
 
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            | 1.使い勝手の悪い住まいの原因
 1)設計または施工上のミス
 本来あってはならないことです。関係者が一丸になって限りなくゼロに近づける努力が必要です。
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            | 2)ミスコミュニケーション
 設計者と住まい手のコミュニケーションは、良い住まいを作るために欠かせないものです。設計者側は、努めて様々な確認行為を行います。また住まい手側も条件提示を忘れないようにします。
 設計段階に横断的なチェックを行い、かつ現場段階でも再度確認すれば防止できます。
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            | 3)設計時と異なる使われ方
 設計時の想定と使い方が異なる場合です。設計段階に、どのように使うかを良く考えておきましょう。
 
 
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            | 2.使い勝手のチェックポイント
 1)間取り
 @ゾーニングがしっかりしていることが大事です。
 A人の動きを一通り考え、他の部屋を継由しなければならないような間取りにはしないようにします。また家事動線が長くならないようにします。
 B生活行為を一通りピックアップし、どこで何をするかを考えます。特に家事行為は重点的にチェックしましょう。
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            | 2)上下足のエリア
 @上下足のエリアと境界を明快にし、クツの置き場所を考えておきます。
 Aクツを持って行かなければ行けないようなプランは避けます。
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            | 3)ドアの開き勝手
 ドアの回転軌跡内に物が置かれるような設計は避けます。設計段階に家具類を図面に書きこんでチェックすれば防止できます。
 人の動きを考え、開き方向を決めます。物の搬入に問題が無いかもチェックします。
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            | 4)収納類
 @布団や大型備品を収容する場所を特定しておきます。
 A収容物に応じた奥行きを設定するようにします。
 B抽出しは、奥まで見えるので小物収納に便利です。
 C扉を付けた場合は、ドア同様扉の回転軌跡内に他の物(他のドア)がないかチェックします。
 D扉の回転軌跡は、90度制限の場合、物の出し入れが不便です。135度位は開くようにすると使い勝手が向上します。使い方によっては、180度開きも考えます。
 E棚は、構造上許される限り移動棚(金ダボを使う)にし、棚枚数は多めにしておくのがポイントです。
 F書籍類はかなり重量があります。予め収容場所を決めておかないと、市販のシステム収納では棚が撓んで使い物にならないこともあります。
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 ・重要物品を収容する収納は、鍵を忘れずに
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            | 5)スイッチ・コンセント類の数と位置
 @スイッチは、ドアノブ側の通常室内側に設けます。在室しているのにスイッチを消されることがないようにするためです。夜間はホタルスイッチが便利です。
 Aコンセント類は、スイッチ下に必ず1箇所(スイッチ近傍には物は置かれない。掃除用に最適)設け、その他に家電類の専用コンセントを設けます。部屋の大きさによっては掃除用コンセントを複数設置する必要があります。少し多めかなという位に設置しておくと丁度良いと思います。
 B必ず家具配置図を作り、家電類と合わせて位置と数の妥当性をチェックします。
 Cリモコンが利用できる照明や空調機が増えて来たので、合わせてチェックしておきましょう。
 D集合型のスイッチは、スイッチに文字を書き入れます。
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            | 6)局部照明の位置
 家具配置等に応じて、位置を設定します。
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            | 7)照明の消し忘れ防止
 @トイレは、消し忘れ防止のため、人感センサーを設置するのも良い方法です。
 Aトイレや浴室、脱衣室は、内部の照明の点滅状態が解るようにドアに小窓をつけたり、ドア上にガラス欄間を設けます。
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            | 8)水栓金具の操作方向
 シングルレバー水栓の操作方向は、2種類あります。人間工学的には下押し開が自然で、商品数も多いのですが、幼児などが、不意に押して出しっぱなしにしてしまう恐れを考えると、上揚げ開が良いといわれています。どちらかに統一するのがポイントです。
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            | 9)空調機の設置位置
 吹き出し方向に障害物が無いことを確認します。
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            | 10)屋外の清掃・水やり
 @2階のガラス清掃は、原則的に室内側からできるようにします。
 A夏の外部の水遣り、外部床清掃用の水栓位置を考えておきましょう。
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 ・出来ない場合は、市販の伸縮式の清掃器具で対応可能。
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            | 11)シャッターのスイッチ
 カーポートのシャッターは、電動にしましょう。通常のスイッチのほかに、リモコンをつけておくと便利です。外壁に専用の小さなアンテナが必要になります。
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            | 12)余裕のある玄関庇
 玄関ドアは基本的に外開きですから、雨の日に片手で傘を持って、一方の手でドアノブを掴んで開けられるのが前提です。たまに60cm程度しか無い玄関庇を見かけることがありますが、そのような庇ではドアが濡れるどころか室内に雨が入ってしまいます。またドアノブ側に近接して壁があると、傘が壁に当たってしまうこともあります。
 また、メールボックスは、最も使い勝手の良いのは、玄関ドア脇の壁面または玄関ドアの袖のガラス内に納めると便利です。そのため、メールボックスに雨が掛からないようにするためにも玄関庇は奥行き・巾共余裕を持って考えるのが大切です。
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            | 13)総合図の作成
 当事務所では、基本設計図の段階で1枚の図面に全ての機器とスイッチ、照明類、水栓類を書き込み、調整を行ないます。
 工事の発注条件のひとつに、総合図を作成するよう明記しておくと、かなり精度の高いチェックができます。
 | ・総合図とは、平面図と天井せ図(必要に応じて展開図)に、ドアの回転軌跡(収納扉も含む)、設備機器や各種アウトレット、家具等の全てを書き込んだものです。実際に住んでいる状態を再現しチェックするためのツール。
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