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   2005年3月
   照明計画/照度と照明の基礎知識


 住まいの照明計画は、比較的簡単に済まされる傾向があります。ハウスメーカーの多くが、いまだに別途工事扱いになっている理由の多くは、設計は含めるが施工は別という、施工業者の資格の問題もあるようです。これは供給のしくみの問題なので、善し悪しを述べることはできませんが、設計段階から総合的な視点できちっと計画することが大切です。



1.住まいの照明の基本的考え方


1)昼間から照明に頼らない

 照明計画の前にまず、昼間から照明をつけなければならないような、間取りは避けるようにします。一戸建ては、マンション等の集合住宅に比べて間取りの自由度がもともと高いのですから、メリットを生かして実現したいものです。

2)照度設定の考え方

@照度には推薦値がある
 照度には推薦される値があります。下記の表はJIS規格の基準を示しています。この表は室別ではなく行為別に表現されており大変良くできたものだと思います。
A全般照明と局部照明
 照明は、室内全体を照らす全般照明と、行為に応じて部分的に明るくする局部照明に分ける必要があります。
室名 行為 推薦照度(lx)
居間 手芸・裁縫 750〜2000
読書・化粧・電話 300〜750
団欒・娯楽 150〜300
全般照度 30〜75
書斎 勉強・読書 500〜1000
50〜100
子供室 勉強・読書 500〜1000
遊び 150〜300
全般照度 75〜150
応接室 家具上 150〜300
全般照度 30〜75
和室 座卓・床の間 150〜300
全般照度 30〜75
食堂・台所 食卓・調理台、流し台 200〜500
全般照度 50〜100
寝室 読書・化粧 300〜750
全般照度 10〜30
深夜 1〜2
家事室・作業室 手芸・裁縫・ミシン 750〜2000
工作 300〜750
洗濯 150〜300
全般照度 75〜150
浴室・脱衣室 髭剃り・化粧・洗面 200〜500
全般照度 75〜150
便所 全般照度 50〜100
深夜 1〜2
廊下・階段 全般照度 30〜75
深夜 1〜2
納戸・物置 全般照度 20〜50
玄関 300〜750
靴脱ぎ・飾り棚 150〜300
全般照明 75〜150
門・玄関ポーチ 表札・郵便受け・押しボタン 30〜75
アプローチ 5〜10
防犯 1〜2
カーポート 清掃・点検 200〜500
全般照明 30〜75
パーティ・食事 75〜150
テラス・全般照度 30〜75
通路 5〜10
防犯 1〜2



2.照明器具の種類

 照明器具は、取りつけ位置により天井に付けるシーリングライト、天井に埋め込んだ高効率のダウンライト、壁に用いるブラケット、天井からワイヤー類で吊る置き型のスタンド等があり、用途に応じて使い分けます。建築的なボックス等を作って間接的に壁や天井を照らす間接照明がありますが、エネルギーロスが大きいので、住宅ではあまりお勧めできません。
1)シーリングライト
 
天井に取り付ける埋め込みしない照明です。比較的シンプルなものが多くあります。
2)ダウンライト
 主として天井面に取り付ける丸型や角型の小型の照明器具で、多くは天井に埋め込みます。半埋め込みや直付けのものもあります。反射版を利用して高効率の照度が得られます。
3)スポットライト
 
光の放散角度を狭く作ってあり、特定の場所や物が明るく照らされるようになっています。

4)ブラケット照明

 壁に取りつける器具で、補助光や演出照明として用います。意匠性の高いものが多くあります。
5)コードペンダント
 天井からワイヤーで吊るす照明です。住宅では、吹きぬけ部分やダイニングに適しています。
6)シャンデリア
 誰でも知っている豪華シャンデリアですが、高価なものが多いので少なくなりました。シンプルなものもあります。
7)建築化照明
 金属等を用いて建築工事でボックスを作り、裸の灯具を内臓するものです。あまり照明らしく見えないのが特徴です。
8)スタンドライト
 寝室等でグレアを感じ易い場所は、天井照明を避け、スタンド類を用います。

9)タスクライト

 子供室、書斎等、書き物や本を読む場合に重宝します。
10)間接照明
 建築的にボックスを作り、壁や天井を照らし反射光で光を得るものと、灯具自体が間接構造になっているものがあります。演出効果が高いのですが、反射光のため効率が悪く、特に天井面に建築的にボックスを作って作る方法は、ボックス内にちり埃がたまるなど、維持・管理面でも問題があり、住宅では特殊なケースを除き、あまりお薦めしません。
11)光天井
 多くは、特注でボックスを作り、内部に蛍光灯などを内臓するものです。すっきりした印象になりますが、一般に高価になります。
12)暴雨型と防湿型
 外部の雨掛かりに用いる場合は防雨型、湿気が多い室内や軒天等に用いる場合は、防湿型と呼ばれます。



3.照明の質/色温度

 照明の質を表すものに、色温度があります。色温度が低いと赤みを帯び、高いと青みを帯びてきます。一般には、電球色、白色、昼光色などと呼ばれています。
 最近は、蛍光灯でも色の種類があるので、予め決めてお
いた方が良いと思います。 
@電球色:白熱電球の色、温かみがあります。
A白色:書斎等の事務スペースなどに用います。
B昼光色:昼間の少し青みがかった色、住宅ではあまり用いません。



4.灯具の種類
 以下、住宅で主に用いられるものを紹介します。
1)白熱灯
 シリカランプと呼んでいます。一般的な白熱灯の他に小型で比較的高効率のミニクリプトン電球があります。調光が可能です。

2)蛍光灯

 良く知られている蛍光灯ですが、光の色も豊富になり、ツイン型と言って曲げてコンパクトにしたものがあり、用途の巾が大変広くなりました。最近は世界標準のHF型蛍光灯に移行しつつあります。管径が小さく高輝度で照明効率も高くなっています。

3)ハロゲン電球
 車のヘッドライトに使う電球と言えば解り易いと思います。白熱灯の一種です。以前は裸で用いていましたが、火傷事故が多いので、今では容器に収容されています。料理などを美しく見せる効果があります。

4)(高圧)放電灯

 水銀灯やメタルハライドランプがあります。水銀灯は以前は庭園灯などに良く用いましたが、点灯に時間がかかるため比較的使わなくなって来ています。




5.照明による演出

 執務スペースのように、ただ単に均一な照度を確保する
のと違って、明暗をはっきりさせると演出効果は高くなります。
 飾り台等のスポットや食事のスペースは、演色性の良いハロゲンランプ類を用いると効果的です。

ロンドンの地下鉄の照明演出



6.省エネルギー対策

・全般照明で室内をほんのり明るくし、局所照明で照度を稼ぐのがポイントです。
・白熱灯より蛍光灯(ツイン、HF)の方がエネルギー効率が高くなります。
・点滅回路を分け、使用状況に応じて最小限の点灯で対応できるようにすると省エネにつながります。
・消し忘れ防止のため、人感センサーを用いる方法があります。



7.維持管理に対する配慮

・光源の種類を少なくすると交換時に便利です。
・簡単に交換できるよう、高所設置(吹き抜け注意)を避けるようにします。

本ページは、作成者が20年間の建築設計監理の業務を通じて得た情報と経験をもとに作成したものですが、不具合やご意見・ご要望がございましたら、お手数ですが下記までご連絡下さい。
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