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   2005年3月
   採光/光の取り入れ方

1.光を取り入れる意義
1)明るいということ

 ものは光が無いと見えません。また光と陰があって光が際立つということもあります。住まいは明るいと気持ちが良い事は確かです。建築の歴史は、光と共に歩んで来たともいうことができます。時代が新しくなればなるほど、窓が巨大化してきたのが建築の歴史の事実です。
 一方、日本の伝統であった雨戸が、姿を消しつつあります。様々な理由が考えられますが、朝1番の光を感じたい事が一つの理由ではないかと思います。同じ事が欧米の鎧戸(よろい戸)にもあるようです。

2)光の熱エネルギー

 光は熱エネルギーを伴います。このエネルギーを上手に使うと、冬の暖かさが得られます。一方、夏場の特に西日は、嫌われます。
 光の熱エネルギーを上手にコントロールし、快適な住まいを作りましょう。



2.上手な光の取り入れ方
1)土地を見る

@道路との関係
 道路に面する側は、確実に採光が得られます。
A隣地との関係
 隣地側は、ある程度距離を置かないと法律上も実態上も光を採りにくくなります。一般には、建物を北側に据えて、北側に水周りや納戸類を、南側に居室を配置すると、光を採りこみ易くなります。
 光を取りこむということは、外部からの視線に曝されるということですから、隣家との距離・相対する室の関係を良く考えて、間取りに反映します。
B方位
 敷地の方向が45度方向のような場合、隣家の配置は、様々になる傾向があります。その場合は、特に隣地との関係を意識して適切な配置を考えます。

2)部屋の窓の方向
@南が1番、東が2番

 一般に居室の窓の理想的な方位は、南側ということになります。夏の太陽は、高度が高い時は、南側の方が日射が入りにくくなります。一方、西日を避けることができます、冬の太陽は、南側の方が室内の奥まで入りこみ、光と暖を採り入れることができます。その次に良いのは東で、西側は西日を受けるので嫌われます。
A室の方向より2面採光ができる工夫を
 西側の室でも工夫次第で西日を防ぐことができます。また、西側は夏季の一時期に問題があるだけで、敷地の方位が少しでも振れてくれば、条件も変わります。隣家の日影になってしまうよりは西日を受ける位の方が良いという考え方もありますから、あまり拘らない方が良いと思います。
 西日は、カーテン等でも簡単にコントロールできるので、通風と合わせて、2面採光を考えた方が良いと思います。

3)1階の採光
@都市部の1階は、採光環境が悪い

 都市部の場合、法律上の採光条件規制は緩やかになります。そのため、土地の有効利用と合わせて、隣地との距離は狭くできます。その結果、1階の隣地に面する採光環境は悪くなる傾向があります。
A逆転の発想
 そこで、最も多くの時間を過ごす。居間や食堂を2階に置き、1階周りを寝室や浴室ゾーンにするという方法があります。3階建てならなおさら効果的です。

4)室から室へ光をつなぐ
 伝統的な日本の民家は、縁側以外に廊下の概念がなく、広間型に代表されるように、室の奥に室がありました。奥の室は、襖で仕切ると暗いため、欄間を作って光を届けました。
 一定の年代以上の方なら覚えておいででしょうが、昔の木造の学校は、廊下と教室の間もガラス窓でした。最近は欄間だけで済ませているようですが、廊下に入った光を再利用するということをやっていました。
 現代の住宅でもその手法は、利用できます。特に間取りがうまく行かず、中廊下になってしまった時などは、水周り諸室の上部をガラス欄間にすれば、外の光を捉えることができます。逆も考えられるでしょう。

5)光を制御する
 光は、欲しいときは欲しいのですが、明るすぎては困る場合もあります。また西日を遮らなければならないこともあります。人の視線を気にすることもあります。
 光の制御方法は、外部側では、庇・樹木・ルーバー、窓用シャッター、雨戸等が挙げられます。
 室内側では、カーテン・ブラインドといったウィンドウトリートメントや内戸によって制御します。
 また様々な特殊機能を持ったガラスの選定によって、光だけでなく熱輻射や視線もコントロールすることができます。



3.窓の作り方

1)窓の形式
 窓の形式は、開き方や形状の他に取り付け位置や大きさによって呼び名があり、光の量だけでなく光の質も異なってきます。また別の機能を持っているものもあります。
 
使い方や室内のイメージを醸成し、多彩な窓で光を取りこみましょう。
@天窓/トップライト
 屋根に設ける窓。天窓ともいいます。採光効果が非常に高く、同じ面積なら数倍の能力があります。
 ただし、結露やガラスの落下対策に工夫を要し、コスト面では、高価。換気も兼ねたものもある。
A高窓/トップサイドライト
 部屋の上部につける窓。採光効率が良い。面積の割に部屋の奥まで光が届く。視線より高いので、プライバシーが保たれる。カーテン類をつける場合は、ヒモ引き等にしないと届かない。
 日本の伝統的な欄間は、透かし彫り等を入れて建物を飾った。
Bドーマーウィンドウ
屋根裏部屋等の屋根面に小屋根を突き出し、側面につける窓。輸入住宅に多く屋根の表情が豊かになります。
C出窓/ベイウィンドウ
 採光より見晴らしや外からの意匠性を重視し飾り棚を兼ねた窓です。
D肘掛窓
 伝統的な日本建築の窓。ウチワを片手に温泉街を眺める風情が連想されます。眺める窓です。現在では、安全性のため落下防止のための手摺が必要になります。
E腰窓
 天窓に対して、腰下に窓をつけたものです。余分な風景を消して近くの植栽等を見せる窓です。
F地窓

 トイレなどで、主として換気を目的に付けました。高窓と組み合わせると効果的です。
G掃き出し窓

 下端が床まである窓。掃除の時に塵埃を掃き出したことが由来です。
Hガラスブロック
 本項での区分にはあてはまりませんが、特殊な例にガラスブロックがあります。取り付け位置は、屋根でも窓面でも可能です。床にも使えます。近代的でありながら障子のようなグリッドパターンと柔らかな光が得られます。
Iその他

 コーナーウィンドウ、傾斜窓、変形窓などがあります。

2)窓を作りやすい間取り
 あたりまえですが、窓は外壁があって作ることができます。明るさや通風を考えると2面窓にしたいところですが、整形の間取りでは、どうしても限界があるため、建物外形を複雑にしたり、雁行させたり、中庭を設けると、多くの多彩な窓が構築できます。この方法は、実は易学とはあい反する側面があるため、気にされる方は、注意が必要です。

3)窓の大きさ

 法律上の窓の大きさは、建築基準法の改正で大幅に緩和されました。そのため最近の都市部のマンションの北側住戸の中には、昼間でも電気をつけないと暗いというような現象が出ています。新法の趣旨は規制緩和にあり、法律にかなっているからと言って、良い建物ができるとは限りません。
 戸建て住宅も同じで、心地よい空間を作るためには、最低でも規制値の5倍程度を確保した方が無難です。特に意識する部屋は10倍程度確保しても無駄ではありません。

4)サンルーム・温室

 壁面全面を窓にしたサンルームもできます。明治から大正期に建てられた洋館には、うらやましいほどの大きさのサンルームを設けた家が残っています。冬のうららかな陽射しの中でお茶を飲んだり、読書したりの光景が浮かんできます。多目的に用いれば、花木の越冬用に使ったり雨天時のもの干し場にも利用できます。
 さらに温室用サッシュを使って、屋根面までガラスにした温室のような室を作ることもできます。 いずれも換気と結露、簡単な日射遮蔽の工夫をすれば、豊かな生活を送ることができます。

5)換気との関係
 法令の大改定で、建物の24時間換気が義務ずけられるようになりました。しかし、24時間換気の考え方は、省エネルギー政策ともリンクし、一度密閉してから空気を送るという、機械に頼ったシステムです。夏の暑い日にわざわざ窓を閉じて機械換気に頼ることは得策ではありません。
 窓を多くとることは、光環境や換気の点ではメリットがありますが、耐震性の点では不利になります。それらを設計者と良く話し合い、望まれる住まいを実現するべきだと思います。
本ページは、作成者が20年間の建築設計監理の業務を通じて得た情報と経験をもとに作成したものですが、不具合やご意見・ご要望がございましたら、お手数ですが下記までご連絡下さい。
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