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  2005年3月
間取り(プラン)のポイント


 間取り(プラン)を住まい手自ら作る行為は大切ですが、門屋総合設計はあまり薦めていません。理由は、1度作ってしまうとそれが、既成事実となって新しい発想を生む障害になる可能性があるからです。
 また、間取りができれば、それで終わりと思い勝ちですが、実は間取りは、スタート地点であってそれから始まる様々な検討によってどんどん変わっていきます。設計者側から考えると、間取りができた後、断面を描き、立面を描き、屋根形状断面を描き、立体的な外観を描き、模型を作りやパースやCGを描く毎に様々な障害が発生し、より良いものを作ろうとします。
 住まい手側は、概ね間取りができても、悩みはつきません。それからが本望です。実際に細かな生活イメージを描いていくと、実は想定した面積では到底イメージ通りのことができなかったり、生活のイメージそのものが変わってしまったりしまします。




1.規模計画

1)建築可能な最大面積をチェックする
 敷地は余裕がないことの方が多いですから、敷地条件から導き出される、建ぺい率、容積率から建設可能な最大面積をはじいておきます。

2)建築可能な領域をチェックする

道路斜線、隣地斜線、北側斜線から、建築可能領域を押さえておく。このチェックなしにプランニングすると無駄になることがあります。



2.各室面積の設定

1)所要室の考え方
 家族構成と将来予測に基づいて、最小限の所要室を定めます。カーポートは、車種と台数情報があればかまいません。生活のイメージを良く考えた結果に基づいて、客間や、書斎、ユーティリティ、アトリエ、音楽室、納戸等の必要な室のほか、必要があればライトコートや中庭等の外部施設も加えておくと良いでしょう。
2)各室の面積
 現在の住まいの室面積をベースに、どれぐらい欲しいかを面積一覧表にして作っておきます。現状の家具もそのまま利用するのか、新規購入するのか、概ね考えておきましょう。設計事務所によっては、ヒアリングシートを用意しているところもありますから、それを利用しましょう。予め家具を配置したスペースシートを作り、面積を算出しておくのもひとつの方法です。



3.ラフな間取り

 建築物の設計を行う場合は、敷地に与えられた様々な環境条件を見合わせながら、おおまかなゾーニングを行うことから始めます。
1)道路や隣地との関係
 まず、道路や隣地、方位との関係をチェックします。
採光や通風といった機能面のほか、隣家からの視線・こちらからの視線がどのようになるか予測します。密集地で外に開けた間取りが難しい場合は、プライバシーに配慮してライトコートや中庭を設けると良いでしょう。

2)ゾーニング

 住宅の場合は、室数が少ないのでゾーニングと呼ぶほどではありませんが、それでも水周りと居室群、カーポートは、少なくともゾーンとして捉えておきます。玄関の位置また、寝室類と浴室をプライベートゾーン、居間、食堂、キッチン、客間等をパブリックゾーンとして、区分する方法もあります。これらを水平・垂直の両方の構成の中でゾーニングしていきます。 このゾーニングによって関係を整理していくといくつかのパターンができるかもしれません。
 一般的な建築物からすると、住まいのプランそのものが、ゾーニングそのものといえます。このパターンこそ重要です。住まいの基本構成そのものがこれによって殆ど決まってしまうとも言えるでしょう。



4.動線チェック

1)動線のかなめ
 動線を考える上でのかなめは、アプローチから玄関、廊下、階段から各室に至る移動動線と、ユーティリティを中心とした主婦の動線があります。実際に描いた間取りの中に自分を置いて動いてみましょう。


2)玄関から直接居間に入る場合

 効率の良い間取りの代表が、居間、ダイニング、キッチンを一体にして直接玄関から居間にはいる方法です。階段は居間の一角に設けますから、廊下がいらなくなります。




5.プランニングのポイント

 プランニングの際のポイントを以下に列挙しました。概略のプランが完成したら、必ずテーマを思い起こし、また内容の評価を行い弱点の是正を行います。数案のプランが出来あがってしまうことがありますから、その場合は、内容を分析し評価して、案を絞り込んでいきます。

1)テーマを忘れずに

 テーマを念頭に置いて考える。大きなものを優先に、小さなことは後で考えます。

2)面積効率重視なら室の複合化

 特に面積に制約のある小規模住宅では、普通に間取りを作ると無理が生ずる場合があります。寝室だけは独立室にするとしても、その他の所要室を複合的にプランニングすると、小規模でも広く豊かな空間が得られます。

3)パズルプランニングはしない

 部屋の形を始めから作って、パズルのようなプランニングをすると、良い結果は得られません。つねに室と室の関係性を考えるようにする。

4)光と風を意識する

 光がどのように入り、風がどのように流れるか意識する。

5)水周りの位置

 2〜3階建ての場合の水周りは、上下の位置がまとまるようにします。これをきちっとしておくと、あとで外観のデザインを考えるとき、有利になります。

6)イメージしながら作る

 実際にどのような見え方をするか、内外に渡ってイメージしながら作業をすすめる。

7)断面図を描く

 ラフな断面図を描き、断面的な位置関係をチェックしておきます。屋根裏利用する場合は、特に重要な作業です。

8)家具を書きこんで確かめる

 ある程度位置関係が定まったら、収納類や家具を書きこみスペース設定の妥当性をチェックします。書き込んだ結果不具合がある場合は、面積や位置関係の調整を行います。新規購入家具の調整も必要になります。
9)断面図を作って確かめる
 断面図も大事です。特に傾斜地やスキップフロアー住宅は命になります。
10)立面図を作って確かめる
 立面図を作り、外観がどのようになるか確かめます。その結果、多少間取りにフィードバックする作業も発生します。模型を作って確かめることも大事です。特に屋根形状は、模型が最も解り易いツールになります。
 初期段階は、間取りそのものに影響を与えます。

11)模型やCGを作って確かめる
 外観や玄関廻りの見え方は重要です。模型CGを作って確かめます。屋根形状も重要です。屋根は、間取りがほんのちょっと変わっても全く印象の異なる建物ができます。
 また、隣接建物との関係も重要です。想定でもいいので、隣接建物を必ず作ったり、インプットしておきその関係を確かめます。



6.理解しておくべきこと

1)住まい手が求める機能性
 この段階では、大まかなニーズを押さえておきますが、実際に、玄嬢の住まい調査をしてみると、住まい手自身の実感と、現実に大きな差があることがあります。
 このギャップを埋めるためには、出来る限り設計者が現状を調査し把握する必要があります。

2)空間性・デザイン性
 外観が決まると、次は室内です。相互に関連しあっているので、外観優先や内観優先で決まるわけではありません。内容によって適宜判断します。
 空間性のイメージは、残念ながら、百戦錬磨のプロでも100%描ききることは出来ません。まして、設計者が作った図面を見て、大方のイメージをつかめる方は、稀です。空間イメージは、外感ができて次にできるというような段階的なヒエラルキーがあるわけではなく、実は多くは間取りに連動しています。
 設計手法にもよりますが、一般的に設計者はある程度プランが決まるとその間取りをベースに、次の段階に入り、断面や外観の検討に入ります。それによって微妙な間取りへのフィードバックが発生します。
3)間取りの後が長い
 じっくり腰を据えて、住まいを作る場合は、最初に間取りを作る時間は実は、極めて短い時間で、本当に長いのはそれからです。
 部屋毎に、家具や家電製品を一つ一つチェックし手作りする必要があります。設計者側では、それ以外の様々な技術的検討によってすこしずつ変遷していきます。それに応じて間取りへのフィードバックがあります。要望内容によっては抜本的な変更もあります。その検討作業を抜きに住まいを作ってしまったら、世間に見掛ける住まいになります。
 設計は、それからが勝負です。その段階を抜きにしては、よい良い住まいは絶対に実現できません。

本ページは、作成者が20年間の建築設計監理の業務を通じて得た情報と経験をもとに作成したものですが、不具合やご意見・ご要望がございましたら、お手数ですが下記までご連絡下さい。
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