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   2005年3月
住まい観/マンションから自由設計まで・コーポラティブハウジング・住み替えの発想


1.住まいのづくりプロセスとヒエラルキー

 下図は、住宅の設計の中で住まい手が大きく関わる基本計画と基本設計のプロセスを大きく4つの段階に分けた時の順番とその論理的ヒエラルキーを模式化したものです。これは門屋総合設計の考え方であって一般的になっているものではありませんが、設計者毎に大きな差があるとは思えません。時間的には上から下への順番になります。一方上の方が論理的なヒエラルキーが高く、下程低い事を示しています。つまり、検討のプロセスの中で何か迷うことがあったら、一段上に立ち帰る、それでもだめならさらに上に立ち帰る。そのような関係を示したものです。また、上位に行く程意思が固くないと、際限無く揺れ動いてしまうことになります。
 設計者の方も同様のプロセスを踏んでいます。設計者の場合、さらにこの下のレベルに実施設計が位置付けられます。
図:住宅設計 論理のピラミッド




2.住まい観

 日本の住まいの歴史を少しさかのぼると、西洋化によって職住分離、食寝分離の啓蒙の時代があって、プライバシーと生活を楽しむ住居観に変わってきました。また、地域との関係はますます薄れ、生活は点と点の渡り歩きになっています。
 かつての住まいの概念は、地域との関係も含めた生活の一部であって画一的でも十分満たされたものだったのだと理解していますが、時代が変わるにつれ、多様化と家族優先の道を歩んでると言えます。多様化とは、自由に家が設計できるという意味だけではなく、多様なマンションや戸建て住宅の中から選択できるという意味も含めて考えて良いと思います。。
 一方、住宅を構成する要素をひとつひとつ考えて行きたいと思えば、自由設計に対応する工務店か設計事務所に依頼するのが適切です。

1)マンションか戸建てか

 住まい観の最も大きなニーズは、第一にマンションか戸建てかといことになります。バブル崩壊後、戸建ては予算の点で手に届かないという神話はかなり崩れており、戸建てが建てやすい環境になってきました。
 一般には、マンションは、若年層に、一戸建ては中後年向きといわれていますが、住宅需要は益々多様化しており、中には田舎で自給自足する生活を選択したり、老後の医療環境を考えて都市にUターンする高年齢者層もあるようです。
 以下、選択の考え方の典型例をまとめてみました。さらに賃貸マンションを加えると変数が多くなりすぎるので、ここでは、分譲マンションと一戸建てに限定しました。なた一般的な傾向なので、必ずそうなるということではありません。
@生活利便性を考えると都市部のマンション
A老後の医療環境やバリアフリーを考えるとマンション
B仕事を優先し、通勤時間の短縮を考えるとマンション。
C土地購入を考えると割安のマンション
D定期借地権分譲マンションがコスト面ではベスト
E生活パターンを考えると将来は予測できない。今は必要最小限のニーズを考えればマンション。 
F当面は仕事優先だが将来の戸建て建設のため暫定的にマンション
G永住したいので一戸建て
Hマンション生活をした経験の中でのわずらわしさを避けたいので一戸建て
I定期借地権が施行され、一戸建てにも手が届くようになったので一戸建て
J生活の細部に渡って細やかな対応のできる住まいにしたいので一戸建て
Kその他
・田舎住まい究極の理想、だから地方の一戸建て。農地も合わせて買って自給自足したい

2)分譲か賃貸か

 次に分譲か賃貸かという選択があります。これは、マンションか一戸建てかという判断軸とかなり重複する部分があります。またこの課題は将来の生活収支計画が大きく影響します。目前に迫った需要と将来計画を前提に、時間軸を考えた資金計画の中で判断します。

3)お仕着せか自由か

 出来合いの住宅でも十分ニーズにかなう場合は、メーカー住宅を選択します。数多くのメーカー住宅の中から選択する自由があります。一方住宅展示場に行って、気に入った住まいがあったとしても、それが、敷地に当てはまるとは限りませんので注意が必要です。多数用意されたメニュープランから敷地にあったものを選ぶということになります。
 自由設計の場合は、敷地に合わせて作りこんでいきます。敷地の有効利用、特に不整形の敷地の場合はメリットがあります。

4)自由設計
 最初から自由設計を考えていた方、上記プロセスを経ていよいよ敷地に合わせて設計しなければならなくなった方は、自由設計となります。
 ところがこの自由設計にも2種類あります。間取りや形は自由ですが、使用できる材料や設備機器の種類が指定または種類が限定されている方式(準自由設計)と完全自由設計があるのです。
@準自由設計
 戸建て住宅を専門に取り扱う大手の設計・施工を行う企業(〜住宅とか〜ホーム等の呼称があり工務店という名称はあまり使われていない)を中心に行われている方式です。住宅展示場でも展示されています。設計は自社もしくは提携設計事務所が行い、施工も同様に自社もしくは提携(下請け)業者が行うものです。日本的な重層構造の中で、安定した品質確保と自由設計の双方を持った供給手法と言えるでしょう。建物構造形式はだいたい決まっていてその条件の中で設計を行います。
A完全自由設計
 全てが自由に行える設計です。設計・施工会社(工務店等)または設計事務所に設計を依頼します。工務店に依頼する場合は、設計施工両方を工務店が行います。設計事務所に単独で依頼する場合は、設計は設計を専業とする設計事務所が行い、施工は施工会社(工務店等)が行います。いずれを選択するかは、住まい手の判断によります。



3.コーポラティブハウジング

 特殊な住宅供給手法としてコーポラティブハウジングがあります。1970年台後半から80年初めまで業界を賑わしていましたが、その後土地価格がどんどん高騰し、しばらく成立しない時代が続きました。土地価格が下がった今、再び活性化しています。
 コーポラティブハウジングとは、住まい手が自ら共同して建設組合を作り、住宅を建設しようとする手法です。論理的には、1戸建てでもあり得る手法ですが、一般に集合住宅形式をとるので、分譲マンションと比べて以下のようなことが言われています。
@自由な設計ができる。
Aデベロッパーが供給するマンションに比べ販売促進や営業経費を節減できる
B住まい手中心に設計・建設が行われるので、それに伴う負担が大きい一方、そのプロセスの中で、都市に失われたコミュニティが醸成される。



4.人生のステップとしての住まい/住み替えの発想

 住まいは、住まい手の人生のステップによって明らかにニーズが異なります。地域の歴史や環境に配慮した建築的ニーズとは別に、面積、空間構成等の純粋に住まい内のニーズが変わっていきます。
 そのための一つの手法として、都市インフラの一つとして住まいを捉え、ニーズに応じて求められる住まいを供給または見つける
『住み替えの発想』があります。今、ITが浸透してきましたので、すでに実現されていると考えて良いと思われます。供給者(恐らく不動産業者)は、技術を駆使して膨大なライブラリー=商品群を提供できます。このような場合の住まいを新しく設計・建設する場合は、個々の住まい手の様々な要求に応えるより、一般にマンションと同じように不特定多数の最大公約数的な設計が求められるでしょう。あまり個性が強いと売却先や借り手の需要が限定されてしまうからです。

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