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 2005年3月
   バリアフリー・ユニバーサルデザイン


 バリアフリー住宅とは、心身に何らかの疾患がある家族がある住宅で、日常生活の自立を建築的な工夫により支援したり、自立が困難になった場合の介護者の介護行為を建築的な工夫により支援できる装置やスペースが用意された住宅ということができます。建築的な工夫とそれを補う福祉機器を適宜設置することによって、生活行為の幅が広い住宅が、優れたバリアフリー住宅であると言えます。
 バリアフリー住宅は、正確には、バリアフリー住宅とバリアフリー対応住宅に分けるべきだと考えています。



1.バリアフリー住宅と対応住宅
1)バリアフリー住宅
 バリアフリー住宅
は、現在バリアフリーが必要な状態です。必要なニーズが今ありますから、実態を良く調査すれば、自ずと解決策が見出せます。実際にはリフォームが大半であると考えられます。そのため、リフォーム対応だけでは限界があると言わねばなりません。

2)バリアフリー対応住宅
 バリアフリー対応住宅は、予め将来を予測し、実装または対応するものです。多くはこの対応のタイプに属すると思われます。障害は願ってなるものではないので、予測は不可能です。四肢の障害か、身体的な傷病か、精神的なものか。四肢の場合でも、上半身と脚、右か左かによって対応が異なるでしょう。一方、学者の中には、過剰な装備は、リハビリの阻害になると指摘されている方もいます。事例の中には、敢えて段差を設けてリハビリの道具とし、成功を納めた例もあります。

3)ユニバーサルデザイン住宅
 以上のようなことから、@建築的な工夫によって自立支援できるもの、A福祉機器利用によって自立支援できるもの、B家族の介護によって対応できるもの、C専門家に依頼するものに分け、予算やスペースも考慮しながら十分に話し合い、納得の行く答えを見出していくべきでしょう。
 また、健常者にも使い易くしたデザインをユニバーサルデザインと呼びます。



2.バリアフリー対応住宅のチェックポイント

 バリアフリー対応住宅としての、一般的な設計手法をまとめました。どちらかといえば、マニュアルと考えて下さい。状況に応じて適宜判断されるべきものだと思います。
 はユニバーサルデザインなので、実装してしまうことも考えられます。

1)プランニング上のポイント
@高齢者・障害者の寝室の設置階
 高齢者・障害者の寝室は、玄関、居間、食堂、便所、トイレ、洗面所、脱衣室、浴室、、及び高齢者等の寝室は、できる限り同一階に配置する。
A高齢者・障害者の寝室と他室の関係
 高齢者・障害者の寝室と便所、脱衣室、浴室は特に近接して配置するようにします。居間、食堂も近い方が便利です。

1)アプローチ
@道路縁石

・道路縁石の高さは、通常12cmくらいあります。車イスで段差を乗り超えられる高さは、2cm程度に押さえた方が望ましいとされています。ところが、縁石の切り下げは、1敷地1箇所(通常車両用)が原則で、5cmの段差になってしまいます。役所に粘り強く折衝すると良いでしょう。段差解消ブロックを設置する場合は許可が必要になります。
A玄関周りの段差
★玄関周りの段差解消、またはスロープ設置。
・レベル差が大きい場合は手摺設置

2)玄関
★引き戸またはタッチ式自動ドア
★上がり框の段差解消
★玄関ベンチ(靴の履き替え用)またはイス、手摺の設置

3)居間
★垂直方向の温度差が生まれないよう床暖房を施す。
・車椅子に対応した家具に配慮する。

4)寝室(要介助者用)
・なるべく居間に近い位置
★ミニキッチン、ミニ冷蔵庫
★ベッド
・緊急呼び出しボタンの設置
・床暖房
・障害、症状の程度によっては、寝室に便所を設置する。

5)キッチン
・キッチンカウンターの高さを低くする/車椅子対応
★電動昇降キッチンの採用
★足元暖房機

6)食堂
 
・車椅子対応テーブル

7)階段

★手摺(両側がベスト)
★階段幅員は、90cm以上。その場合、階段昇降  機設置可能。
・できればホームエレベーターを併設する。
★すべり止め
★ささら段の回避
★フットライト

8)廊下
・壁手摺対応/取りつけ下地補強
★フットライト

9)和室
・段差を無くして車イスで乗り入れるか、逆に積極的に40cmの段差をとり、車イスから移乗する。

10)浴室
★段差解消
★引き戸、折れ戸(中の様子が見える方が良い)
・床面をフラットにするために、スノコや排水溝(グレーチング)設置
★高さ40cm程度の浴槽:かつては、より低くした方が良いと考えられていましたが、最近は適正寸法があることが解かって来ました。入浴の際一旦浴槽の縁に座った方が楽だからです。勿論、障害の内容によっては必ずしもそうではありませんが、一般には30cm〜50cmの範囲が勧められています。
・介助可能なアイランド型浴槽(かなりのスペースを要する)
★手摺設置(適宜複数)
・移動台
★浴室暖房
・緊急呼び出しボタンの設置

11)洗面脱衣
・低い洗面カウンター/イス利用
★横型洗濯機
★暖房対応

12)便所
・車イス、介護対応の広いトイレ
★洋式便器の採用
★L型手摺の設置
★おしり洗浄装置
★暖房対応
★人感センサー付き照明
・緊急呼び出しボタンの設置

13)共通事項
@車椅子対応

・車イスターンスペース(理想R1.5m、R1.4mでも可)の設置
A非常時の対応
・非常通報システム
B床の基本的な考え方
★すべりにくい床材を選定する。
★床面の段差は作らない
Cヒートショック・冷ショックの防止
★全館空調/高断熱・高気密化と計画換気によって室内の水平・垂直の温度分布を平均化し、ヒートショック(冷ショック)を防止する。温度のバリアフリーとも言える。
D建具関係
 開閉し易く、非常時に救出し易い構造を考えるのが基本となります。また車椅子対応のため十分な有効幅員が必要になります。
★ドアノブは、レバーハンドルが良い。さらに引き戸の方が望ましい。    
★リバーシブルキー
★玄関ドア付近のセンサーライトまたは蛍光塗料付きキー穴
★ドアの有効寸法は、850以上
★ドア開閉作業のための縦壁手摺の設置
E水周りの器具
★操作しやすいものを選定する。シングルレバー水栓、自動水栓がベター
Fスイッチ類の仕様・高さ
★スイッチ類は、大型仕様、高さは1m〜1m10cm、寝室はリモコンが望ましい
G照明
★明るい照明
・夜間の暗がりを作らないようにフットライト等を分散配置する。
















































・白内障の場合明るすぎるとかえってものが見えにくくなる場合があります。

14)その他注意点
・最近の報道で、バリアフリー対応によって、浴槽の高さを低くしたため、乳幼児が溺死した例が報告された。これは、製作者自身がの子供が目の前で頭から浴槽に落ち、慌てて救い出した経験があるので施錠等の対策が必要な場合がある。



2.バリアフリーの今後

 コンピューター技術、IT技術、ロボット技術によって、バリアフリーの未来は、明るく開けています。実際、IT技術による先端医療や同時通訳技術は、目を見張るものがあります。今、バリアフリーは、建築だけの概念を超えて、町や都市、言葉や国、情報等のバリアフリーがもうすぐ実現できる時代になりました。いつ頃実現されるか解りませんが、楽しみです。
 また、バリアフリーは、高齢者や障害者だけのためのものと考え勝ちですが、これからは、健常者からさらに子供、情報、社会・経済のバリアフリーへと発展して行くものと考えられます。
本ページは、作成者が20年間の建築設計監理の業務を通じて得た情報と経験をもとに作成したものですが、不具合やご意見・ご要望がございましたら、お手数ですが下記までご連絡下さい。
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