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  2005年3月
   総予算をつかむ


 住宅建設に伴う資金計画は、
総予算をつかむことから始まります。融資を受ける場合は、融資先と金額、妥当な返済計画が確認できたら、投入できる自己資金と合わせて総予算が確定します。ここでの総予算とは、設計・建設に関わる全ての費用の合計予算を指します。
 この段階ではこれで十分ですが、早めに時間軸(月毎)を加え、建物竣工後1年間まで含めてた
家庭収支計画(時間軸を入れた金銭の出納計画)を組んでおくことをお勧めします。設計料や工事費は分割払いするのが通例ですから、うまくやりくりすれば、定期預金の切り崩し防止や一次借り入れ等を避けることができるし、諸費用の支払いスケジュールを管理することができます。市販の表計算ソフトで十分作成可能です。
 住宅建設に伴う諸費用の費目は、概ね下記のようになります。設計・建設プロセスの流れに従って、まとめてあります。

1.土地取得費及びそれに伴う諸費用

2.土地登記料及びそれに伴う諸費用

3.敷地調査費

4.敷地測量費

 一般には3と一緒に依頼します。敷地に高低差があったり、既存建物をそのまま残して増築する場合は、特に不可欠です。この時隣地の建物位置、道路のマンホール類、電柱位置なども合わせて調査しておきます。

5.隣接家屋調査費

 地下等大掛かりな地盤の掘削をする場合に、紛争防止のため隣地の現状調査を行います。

6.解体工事費

 敷地内の既存建物や擁壁等を解体する場合の費用。建設リサイクル法の施行により今後はコストアップが見こまれます。

7.地盤調査費


8.地盤改良費

 本体工事に含めることも可能です。

9.設計監理費及びそれに伴う諸費用

 住宅の設計監理費は、一般に工事費の10%が目安になっています。しかし、12%は高く、8%だったら安いということではありません。工事費と同じ様にどこまで設計者に委託するかで異なるからです。

10.設計監理標準外費用及びそれに伴う諸費用

 ここでいう標準外業務とは、委託された設計事務所が通常業務委託対象外にしているものを指しています。住まい手が自ら独自に手配する場合と設計事務所がオプションとして請け負う場合、設計事務所が仲介して専門の協力会社に依頼する場合があります。設計監理費に含める場合は、契約書に明記します。
 一般に、本格的模型やプロの手によるパース・CG、資金・融資計画コンサルティング、敷地測量・地盤調査(本項では、すでにピックアップしてある)、積算業務(設計者が行う積算)等は、別扱いになります。

11.仮住まいへの引越し費及びそれに伴う諸費用

12.仮住まい家賃及びそれに伴う諸費用

13.建築確認手数料

14.地鎮祭に伴う費用

15.本体工事費

16.追加工事費

 工事請負契約金額確定後、現場等での追加変更があった場合の費用です。次項の埋設物撤去を含め追加が無い方がまれなために、始めから本体工事の5〜10%程度の予算を見込んでおくのが賢いやり方です。

17.予測できない本体関連工事

 追加工事費のひとつですが、誰も予測できないような埋設物(地表面から存在が確認できない地中の埋設物、岩や隣地の配管が出てくることもある)が出てくることがあります。予め試掘して調査することも可能ですが、2度手間になることもあるので別途扱いが常識です。

18.工事中の近隣対応費

 工事中の騒音や匂い、工事車両等の出入りで近隣には多少の迷惑がかかります。日常の対処は施工者が行いますが、近隣とのその後の付き合いを考えて住まい手の立場としての挨拶や手土産費用が必要になります。

19.工事中の雑費

 工事現場に行く場合は、職人達へのふるまいも必要になります。 
20.上棟式に伴う費用


21.別途工事費
 別途工事に関わる部分では、しばしばトラブルが発生します。家具や備品についても同様です。置くだけのものであれば、住まい手にもある程度対応できますが、スペースの問題、荷重問題、電源供給、電源容量のチェック、使い勝手の課題等を住まい手がマネジメントすることは、専門知識と過大な労力を必要とするため、住まい手と設計者の話合いによって範囲を決めていきます。契約によってマネジメント業務だけを設計者に委託することもできます。設計監理契約を提携する際、委託業務範囲を明確にしておきましょう。

@ 置き(移動)家具
A 家電・什器類
B 表札類
C 置敷カーペット
D カーテン・ブラインド類
E 電話機/配線・配管・アウトレット工事は本体
F ホームセキュリティの機器及び配線工事/配管は本体工事
G 消火器
H システムキッチン/電源供給・給排水配管・水栓金具・吊り戸棚固定下地等の調整が必要で、本体工事に組み入れる方が望ましい。別途にするとトラブルが発生し易い。
I 外構・植栽工事/排水計画や本体建物との関係を総合的に検証するためには、本体工事に含めたい
J 空調機、局部暖房機、床暖房設備
K 照明

注1)
印は本体に含めた方が望ましいもの。門屋総合設計では、置き家具、置き敷きカーペット等、取りつけ工事の発生しないものを除き、住まい手への負担軽減とトラブル発生防止目的としてなるべく工事に含めるよう推奨しております。   
注2)一般に住宅メーカーは、大量発注・大量仕入れ、独自開発商品等によってコストダウンを図っているため、それに乗らない工事種目を除外する傾向があります。坪単価の比較をされる際は、注意が必要です


21.別途工事費

22.設備引き込み工事費(給水、ガス)

23.電話引き込み費

24.中間検査費

25.竣工(式)に伴う費用

 式典としての竣工式は、住宅では行われませんが、苦労した関係者への感謝の意をこめてホームパーティを行うのが一般的です。

26.引越費

27.建物表示登記料

28.不動産取得税

 支払いは、入居後になります。

29.その他設計・建設に伴う雑費用

本ページは、作成者が20年に渡る建築設計監理の業務を通じて得た情報と経験をもとに作成したものですが、不具合やご意見・ご要望がございましたら、お手数ですが下記までご連絡下さい。
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