SCM
 いまや日本の至るところにアウトレットモールが存在します。日本で初めてのアウトレットモールは1993年に開業したリズム(埼玉県・ふじみ野市)です。開業当時、物珍しさも手伝って、わたしは何度も車で行きました。しかしリズム以降、アウトレットモールは増殖を続け、今や全国に点在しています。本来、アウトレット販売はB級品(品質の問題はない欠陥品)を安価で販売することを目的にしています。しかし実際は、生産過剰による在庫販売が中心です。アウトレットモールの増加は、無駄なモノを作りすぎる生産形態のひずみにも思えます。ロハスの視点から見れば、アウトレットモールの増加は、望ましい状況ではありません。

 生産から販売に至る流通過程で在庫増加を招く一因として、ブルウイップ効果があります。これは流通に至る在庫拠点で、予測の積み増しが引きおこします。例えばある販売店でAという商品が売れ筋となった場合、販売店はAの需要に応えるべく在庫を確保します。更に販売店に供給する物流倉庫でも、Aの需要に応えるべく在庫を確保します。このように在庫をそれぞれの保管場所で確保すると、商品Aの消費需要よりも、はるかに多くの生産が行われます。結果として商品Aは在庫過剰を引きおこし、アウトレットに回ります。

 無駄な生産を抑制する手法として期待されるのがSCMです。SCMは生産から消費にいたる供給の流れをマネジメントすることで、経営最適化を目指す経営手法若しくは情報システムを指します。「ザ・ゴール」という海外の小説があります。これは機械メーカーの工場長である主人公のアレックス・ロゴを中心に繰り広げられる工場の業務改善プロセスを主題にした作品で、SCM理論(TCO)を物語を通じて学べるユニークな本です。

 SCMは企業における最適化を指していますが、これからSCMはより重視されるでしょう。その理由として(1)モノを作るための資源が枯渇していること(2)無駄なモノ作りは無駄なCO2を発生させること。――最早、生産の最適化は企業を超え、地球の要望であると言って過言ではありません。

 無駄な生産を無くす身近な例として、マクドナルドをあげます。かってマクドナルドはハンバーガーを作りおきしていました。そして一定時間、販売されなければ、そのハンバーガーは廃棄されました。注文されたハンバーガーを瞬時に客に渡すことが大切で、その為には廃棄もやむなしという発想です。しかし「メイド・フォー・ユー」のシステムをマクドナルドは取り入れました。これは注文を受けてから調理をはじめる方法です。その為、客は商品を受け取るまで若干、待ちが発生します。しかし、廃棄が減り、CO2の発生も減ります。「店舗あたりのハンバーガーの廃棄量を2001年比で約38%も削減しています。(マクドナルドのHPより)」

 また、ユニクロに代表されるSPA(製造小売業)も、無駄な生産を排除する効率的なビジネスモデルです。アパレルは商品の寿命が短い為、需要と供給が即応していなければなりません。その為には店舗の需要をいち早く捉え、生産につなげることで供給リードタイムを短縮するシステムが必要となります。SPAは製造、物流、販売までを一貫して管理する為、各拠点における最適な在庫量をマネジメント出来ます。

 但し、SPAモデルは製造から販売までを自社で手がける必要がある為、あらゆる企業に対応出来る形態ではありません。その為、メーカーと小売業とが協力してサプライチェーン計画を立てるCPFR(協同需給計画)の発展が期待されます。CPFRの実現にあたっては、関係する企業間でデータを共有しあうことが前提となります。そのためには、協力関係の確立が必須であり、関係を結ぶにあたって、WIN−WINであることが重要です。

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